説明

印刷履歴管理装置及びそのシステム

【課題】印刷不良の発生を追跡管理することができるとともに、印刷物の品質保証や印刷不良要因の解析等が容易となる印刷履歴管理装置及びそのシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】印刷機1から搬出される折丁をスタッカバンドラー6に搬送し、スタッカバンドラー6にて集積して結束した大束折丁とし、パレタイズロボット8にて所定本数の大束折丁をパレットに積載する印刷工程における印刷開始から全ての印刷物の積載終了までの時刻を計時手段により計時して、印刷機1から搬出される印刷物の積算枚数と、スタッカバンドラー6から搬出される大束折丁の本数と、パレタイズロボット8にて処理された大束折丁の本数と、印刷不良として排出される印刷物の不良積算枚数とを、計時手段による経過時刻とともに記録手段に記録し、印刷機1からパレタイズロボット8による各工程で発生した印刷物の不良発生情報と稼動情報とを時系列的に記録手段に記録するデータ収集装置15を備え、印刷工程における一連の作業が終了する毎に自動的に印刷履歴シートを出力する印刷履歴管理装置である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷物の印刷履歴から不良印刷物を追跡管理することができる印刷履歴管理装置及びそのシステムに関し、殊に印刷物の品質保証や印刷不良要因の解析等が容易にできる印刷履歴管理装置及びそのシステムに係るものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、印刷機から高速に搬出される印刷物は折丁とし、スタッカバンドラーに搬出されて所定部数の折丁を集積して折丁小束とし、折丁小束が所定部数集積されて結束した大束折丁として、パレタイズ工程へと搬出される。パレタイズ工程では、スタッカバンドラーから搬出された大束折丁がパレタイズロボットにてパレット上に所定本数積載される。その後、パレットに積載された大束折丁は製本工程へと搬出される。
【0003】
印刷機の生産管理では、印刷不良を除いた正紙(印刷不良がないと想定される印刷物)の生産量を正確に把握する必要があり、従来は、オペレータが印刷不良の発生を警告表示やブザー等を確認したり、或いはマーキング等を施した印刷物を排出して、残りの正紙を集計して生産量を管理する方法が行われていたが、このような従来の生産管理方法では、人件費が高騰したり、作業効率の低下を招いて好ましいものではなかった。
【0004】
このような非効率的な生産管理を解消するため、図9に示したように、印刷機械31から搬出される印刷物をスタッカバンドラー32を経てパレタイズロボット33により結束した大束折丁をパレタイズする際に、パレタイズ信号をデータ収集装置34に送出して、大束折丁の積載本数からコンピュータ35にて正紙を集計する方法が行われていた(例えば、特許文献1に開示された印刷機械の生産管理装置を参照)。
【0005】
また、印刷物の生産管理を容易とするために印刷機から搬出される印刷物を検査装置で光学的に監視して良否の判定が行われていた。検査装置により不良と判定された印刷物は、その不良部分の画像データが画像ファイリングシステムに記録され、かつ印刷の単位長さ毎に不良の個所、数量の集計をデータ集計部で行って、不良発生時の迅速な対応、後工程への不良抜き取り指示を明確に行うようにしていた(例えば、特許文献2の走行印刷物の検査装置を参照)。
【0006】
また、印刷機には印刷絵柄検査装置を備えるものもある。印刷絵柄検査装置は、光を印刷用紙に照射してその反射光を受光して印刷状態を判定して、インキ切れ等に起因する印刷不良の検出を行っていた。(例えば、特許文献3に開示された印刷絵柄検査装置を参照)。
【0007】
【特許文献1】
特許第3107919号(明細書全文,図1)
【特許文献2】
特許第3202293号(明細書全文,図1)
【特許文献3】
特開平11−147308号(明細書全文,図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来例である特許文献1では、スタッカバンドラーから搬出される大束折丁の全てが正紙であるとして、パレタイズロボットのパレタイズ信号によって、印刷機の生産管理を行うものであるが、印刷機から高速に搬出される印刷物の全ての印刷不良を排出することは困難であるので、正紙と想定した印刷物に不良印刷物が混入している場合があり、不良刷本が発生するおそれがあった。
【0009】
また、特許文献2の走行印刷物の検査装置は、印刷機から送出される印刷物を検査装置で検出する装置であり、オペレータが不良個所の画像を読み出してその内容を監視したり、不良検出信号を集計部に与えて印刷の単位長さ毎に不良の個所、数量の集計を行うことができる装置である。しかし、印刷機による不良を対象としていたが、印刷機は印刷物を高速で排出しており、発生した印刷不良を完全に排除するのは困難な面があった。また、特許文献3では、印刷機から送出される印刷物の絵柄を検査する装置に関し、印刷機の後段に配置されており、特許文献2と同様に印刷機で発生した印刷物の絵柄不良を完全に排除するのは困難であり、製本工程に不良印刷物が搬出されるおそれがあった。
【0010】
すなわち、印刷機から搬出される印刷物の不良印刷物を検査機により検出して、不良印刷物にマーキング、テープ等を付したとしても、印刷機の特性を熟知したオペレータが手作業で排出しており、不良印刷物の排出作業がオペレータの感に頼るところが大きく、印刷機から高速に搬出される印刷物から不良印刷物を完全に除去することは困難な面があった。
【0011】
さらに、印刷工程では、印刷機からの印刷物が、印刷工程を経て、折機・断裁機に送られて折丁としてスタッカバンドラーに送られ、続いて、パレタイズロボットに搬出されて所定本数の大束折丁をパレットに積載している。このような印刷機から搬出される印刷物をパレタイズロボットまでの工程が一連の作業として行われており、印刷機による印刷不良が発生する以外に、スタッカバンドラーとパレタイズロボットによる印刷物の不良が発生するおそれがあった。しかし、通常、印刷機、スタッカバンドラー、パレタイズロボットは、それぞれ独自に制御されていて、印刷不良の発生に対する対処は個々の装置で行われており、不良印刷物の不良要因の追跡調査が困難な面があった。
【0012】
本発明は、上述のような課題に鑑みなされたものであり、印刷不良の発生を追跡管理することができるとともに、印刷物の品質保証や印刷不良要因の解析等が容易となる印刷履歴管理装置及びそのシステムを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成したものであり、請求項1の発明は、印刷機から搬出される印刷物を断裁した折丁をスタッカバンドラーに搬送し、該スタッカバンドラーにて集積して結束した大束折丁とし、パレタイズロボットにて所定本数の大束折丁をパレットに積載する印刷工程における印刷開始から印刷物の積載終了するまでの時刻を計時手段により計時して、該印刷機から搬出される印刷物の積算枚数と、該スタッカバンドラーから搬出される大束折丁の本数と、該パレタイズロボットにて処理された大束折丁の本数と、印刷不良として排出される印刷物の不良積算枚数とを、前記計時手段による経過時刻とともに記録手段に記録し、該印刷機から前記パレタイズロボットまでの各工程で発生した印刷物の印刷不良情報と稼動情報とを時系列的に該記録手段に記録するデータ収集装置を備え、前記印刷工程における一連の作業が終了する毎に自動的に印刷履歴シートを出力することを特徴とする印刷履歴管理装置である。
【0014】
請求項1の発明では、印刷機から搬出される印刷物が印刷不良を検出する検査機から折機、断裁機を経て、スタッカバンドラー、パレタイズロボットに搬送されてパレタイズされており、印刷機から搬出される全ての印刷物の積載終了するまでの時刻を計時する計時手段が印刷履歴管理装置に設けられ、計時手段による計時に基づいて、印刷機から搬出される印刷物の積算枚数と印刷不良として排出される印刷物の不良積算枚数(損紙積算枚数)とを経過時刻とともに記録手段に記録し、かつ印刷機からパレタイズロボットによる各工程で発生した印刷物の印刷不良情報と稼動情報とが時系列的に記録手段に記録されるデータ収集装置を備えている。さらに、印刷工程における一連の作業(パレットに所定本数の大束折丁が積載されて一山を形成する作業)が終了する毎に、自動的に印刷履歴シートが出力されるので、製本工程へと搬出される印刷物の品質保証することができる作用を有する。なお、パレタイズとは、印刷物の運搬が良好なように、所定本数の結束された大束折丁がパレットに所定配列で順番に積載されることを意味する。また、山は、所定本数の大束折丁をパレットに積載した単位として便宜的に使用する。
【0015】
また、このように印刷物の積算枚数、不良積算枚数、不良発生情報、各機器の稼動情報が時系列的に記録手段に記録されているので、積算枚数から不良積算枚数を減算することによって、本紙積算枚数を算出することができる。また、不良積算枚数には、検査機により検出された印刷不良による不良枚数と、刷り始め不良による不良枚数とが含まれている。また、印刷不良情報は、インキ汚れ、油汚れ、ダブリ、見当不良、印刷用紙の継ぎ目の部分に貼付されたペースタ等による不良要因が含まれる。稼動情報は、印刷機の運転信号や停止信号等、検査機のモード、運転・停止或いは中止情報、スタッカバンドラーの運転・停止、また、外部信号として、印刷機を止めずに高速でブランケット洗浄を行った場合の信号等が含まれる。また、印刷不良情報は、インキ汚れ、油汚れ、ダブリ、見当不良等の項目を入力装置(例えば、タッチパネル)で入力してもよいし、検出機による検出結果を電気信号に変換して入力してもよい。このような印刷履歴が管理されるので、印刷物がパレタイズされて製本工程に搬出された後に不良印刷物が発見された場合であっても、その印刷物がどのような生産過程を経て搬出されたものであるかを知ることができる作用を有する。
【0016】
また、請求項2の発明は、前記データ収集装置は、前記記録手段に記録した前記印刷機から搬出される印刷物の枚数と、前記スタッカバンドラーにて処理された大束折丁の本数と、前記パレタイズロボットにて処理された該大束折丁の本数と、該大束折丁をパレットに所定本数積載してパレタイズした山数とを、前記計時手段による所定経過時刻毎に表示することを特徴とする請求項1に記載の印刷履歴管理装置である。
【0017】
請求項2の発明では、データ収集装置が、前記印刷機から搬出される印刷物の枚数と、前記パレタイズロボットにて処理された該大束折丁の本数と、前記パレタイズロボットにて所定本数の該大束折丁をパレットに積載してパレタイズした山数とをそれぞれカウンタ(積算手段)に積算しており、これらの数値をデータ収集装置に取り込んで記憶手段に記憶し、計時手段による時刻データから所定経過時刻(例えば、60秒)毎に記憶手段から読み出して、ディスプレィに表示することができるので、印刷物の刻々の印刷工程の状況を把握することができる作用を有する。なお、各数値の記録は、カウンタ、例えば、内部記憶装置による積算手段であってもよいし、外部記憶装置を利用してもよいし、さらには、中継器を兼ねる信号入出力装置に設けてもよいことは明らかである。
【0018】
また、請求項3の発明は、前記データ収集装置が、前記印刷機による印刷開始時に発生する刷り始め不良印刷物の枚数と前記検査機により検出された不良印刷物の枚数とを加算して不良発生枚数を算出する第1算出手段と、
該印刷機後段の搬送路と前記スタッカバンドラーとで発生する不良印刷物の枚数を、該印刷機から搬出される印刷物の枚数と前記スタッカバンドラーによって結束した大束折丁の本数とから算出する第2算出手段と、
該スタッカバンドラーから搬出された大束折丁の搬出後の印刷不良数を、該スタッカバンドラーから搬出される大束折丁の本数と該大束折丁を前記パレタイズロボットにてパレタイズした積載本数とから算出する第3算出手段とを備え、
前記印刷機から搬出される印刷物の総枚数と、前記第1から第3算出手段の算出結果による総損紙枚数とによって、印刷用紙のロス率を算出するロス率算出手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷履歴管理装置である。
【0019】
請求項3の発明では、データ収集装置が、印刷機から搬出される印刷物の枚数と、スタッカバンドラーによって結束した大束折丁の本数と、パレタイズロボットにて所定本数の大束折丁をパレットに積載してパレタイズした山数とをそれぞれ積算して記憶されており、かつ、中央処理装置による演算手段として、印刷機の刷り始め印刷不良の枚数と検査機により検出された印刷不良の枚数とを加算する第1算出手段(損紙積算枚数算出手段)と、印刷機後段の搬送路とスタッカバンドラーとで発生する不良印刷物の枚数を、印刷機から搬出される印刷物の枚数とスタッカバンドラーによって結束した大束折丁の本数とから算出する第2算出手段(スタバン損紙枚数算出手段)と、スタッカバンドラーから大束折丁の搬出後の印刷不良数を、スタッカバンドラーから搬出される大束折丁の本数とパレタイズロボットにて大束折丁をパレタイズした積載本数とから算出する第3算出手段(ロボット損紙枚数算出手段)とが設けられており、第1,第2,第3算出手段による算出結果を積算することによって、総損紙枚数が算出することができる。一方、本紙(不良がないと思われる印刷物,本紙積算枚数)は、印刷機から搬出される印刷物の枚数から第1算出手段による算出結果による枚数を差し引いた値である。このように印刷不良を算出して時系列的に記憶することにより、各処理工程で排出される印刷不良を算出することができるとともに、印刷不良が混入した際の不良要因の解析を容易になし得る作用を有する。しかも、印刷用紙のロス率を容易に算出することができる作用を有する。
【0020】
また、請求項4の発明は、印刷機から検査機を経て搬出される印刷物を断裁した折丁をスタッカバンドラーに搬送し、該スタッカバンドラーにて該折丁を排出して結束した大束折丁とし、パレタイズロボットにて大束折丁をパレタイズする印刷から積載工程までの印刷履歴管理システムであって、
前記印刷機を制御して印刷情報と稼動情報との信号を出力する印刷機制御装置と、
該印刷機から搬出される印刷物を検査機で検査して印刷不良信号を出力する検査機制御装置と、
前記スタッカバンドラーを制御し、印刷情報と稼動情報との信号を出力するスタッカバンドラー制御装置と、
前記パレタイズロボットを制御し、印刷情報と稼動情報との信号を出力するロボット制御装置と、
前記印刷機制御装置、検査機制御装置、スタッカバンドラー制御装置、及びロボット制御装置からの各信号を入出力する信号入出力装置と、
中央制御装置からなり、前記信号入出力装置から各信号を受けて記録する記録装置を備えるデータ収集装置と、
前記データ収集装置が出力装置とを備え、該出力装置から印刷開始から全ての印刷物の積載終了までの一作業毎に印刷履歴シートを出力することを特徴とする印刷履歴管理システムである。
【0021】
請求項4の発明では、印刷機から検査機を経て搬出される印刷物を断裁して折丁とし、不良印刷物である折丁を排出した残りの折丁をスタッカバンドラーに搬出し、スタッカバンドラーにて結束した大束折丁とし、パレタイズロボットにて大束折丁をパレタイズする印刷から積載工程までの印刷履歴管理システムであって、印刷機制御装置、検査機制御装置、スタッカバンドラー制御装置、及びロボット制御装置からの各信号を受けて出力するための信号入出力装置と、信号入出力装置からデータ(印刷情報と稼動情報)を受けて記録する記録装置がデータ収集装置に設けられ、データ収集装置は中央制御装置(CPU)からなり、その出力装置からは、印刷開始から積載終了までの一作業毎に対して印刷履歴シートを出力するようにして、製本工程に搬出される折丁の品質を保証することができる作用を有する。なお、一作業とは、印刷物がパレタイズされて一山を形成するまでの工程を意味し、この工程毎に自動的に印刷履歴シートが出力装置(プリンタ)によりプリントアウトされて一山毎に添付される。
【0022】
また、印刷履歴管理装置には、積算手段(カウンタ)を備えており、印刷情報には、印刷機から搬出される印刷物の枚数(印刷機回転信号の積算値)、スタッカバンドラーによる結束した大束折丁の本数、パレタイズロボットによる本数及び山数があり、これらのデータがカウンタにそれぞれ積算されており、また、各機器(印刷機,リジェクタ装置を含む検査機,スタッカバンドラー,パレタイズロボット)の稼動情報が信号入出力装置を介してデータ収集装置に入力される。印刷情報と稼動情報が、記憶手段に時系列的に記憶されて、パレタイズされた一山毎に印刷履歴シートを添付して製本工程へと搬出することが可能であり、製品の品質保証ができる作用を有する。なお、積算手段は、信号入出力装置に設けてもよい。なお、具体的な稼動情報とは、印刷機であれば、運転信号、印刷機の回転速度、印刷終了信号、印刷中断信号等であり、スタッカバンドラー、パレタイズロボットでは停止情報等、検査機ではモード(検査,中断,停止)、リジェクタ装置の使用の有無等である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る印刷履歴管理装置及びそのシステムの実施の形態について、図を参照して説明する。図1は、印刷機から搬出される印刷物の処理工程を示し、印刷履歴管理装置の実施形態とそのシステムの実施形態を示すブロック図、図2は、本実施形態の印刷履歴管理装置のブロック図、図3は、印刷履歴管理装置の記録装置の記憶領域を示す図、図4R>4〜図6は、印刷履歴管理装置の処理フローを示す図、図7は生産管理記録の表示画面を示す図、図8は印刷履歴シートを示す図である。
【0024】
本実施形態の印刷履歴管理装置及びそのシステムについて、図1を参照して説明する。本実施形態の印刷履歴管理システムは、印刷履歴管理装置14が信号入出力装置13を通して、印刷機制御装置9、検査機制御装置10、スタッカバンドラー制御装置11、及びロボット制御装置12と接続されてデーター収集装置15にデータを集積するシステムである。印刷履歴管理装置14は、中央制御装置16と記憶装置17とで構成されるデーター収集装置15と、中央制御装置16に接続されたプリンタ18、ディスプレィ19、入力装置20と、信号入出力装置13とで構成されている。印刷機制御装置9は印刷機1、検査機制御装置10は印刷物検査機2、スタッカバンドラー制御装置11はスタッカバンドラー6、ロボット制御装置12はパレタイズロボット8を、それぞれ制御しており、これらの印刷機制御装置9、検査機制御装置10、スタッカバンドラー制御装置11、ロボット制御装置12の各出力が信号入出力装置13を経てデーター収集装置15に入力されている。信号入出力装置13は、シーケンサー等で構成され、例えば、CPU(中央処理装置)を含むものであってもよい。
【0025】
次に、データ収集装置15の記憶装置17について説明する。記憶装置17には、記憶領域E1〜ENが割り付けされている。記憶領域E1〜ENは、図3に示したように、日付、時刻、不良発生枚数、スタバン大束本数(Aライン,Bライン)、ロボット積載本数(Aライン,A山、Bライン,B山)、カウント枚数、不良積算枚数、本紙積算枚数、印刷機(rpm)、検査装置(モード,リジェクト)、スタバン(スタッカバンドラーを略記)(Aライン,Bライン)、要因等を記憶する記憶領域が設けられている。これらの記憶領域には、不良発生枚数の記憶領域にカウンタD3の値、スタバン大束本数のAラインの記憶領域にカウンタD4,Bラインの記憶領域にカウンタD5の値、ロボット積載本数のAラインの記憶領域にカウンタD6の値,A山の記憶領域にカウンタD7、Bラインの記憶領域にカウンタD8の値,B山の記憶領域にカウンタD9の値、カウント枚数(印刷機から搬出される総枚数)にカウンタD1の値、不良積算枚数に演算値D2とD3の値、本紙積算枚数の記憶領域に(D2+D3)の値、印刷機(rpm)の記憶領域に印刷機回転数、検査装置のモードの記憶領域に運転、停止中、中断中等のモード,リジェクト装置2aの動作状況、スタバンのAライン,Bラインの記憶領域には稼動状況、要因の記憶領域には不良の要因が自動的又は手動により入力される。
【0026】
なお、印刷機1には印刷機本体1aの後段に印刷物検査機(以下、検査機と略記する)2、折機3、断裁機(図示なし)が組み込まれている。検査機2は、印刷機本体1aから搬出される印刷物の不良印刷物を検出する装置であり、検査機2に隣接して不良印刷物を排出するリジェクタ装置2aが設けられている。印刷機1からの印刷物は、検査機2による印刷不良の有無を検査した後、折機3、断裁機により折丁として搬送路4を経てスタッカバンドラー6に搬出されている。スタッカバンドラー6にて所定部数の小束折丁に集積して、さらに段積・結束されて大束折丁とし、スタッカバンドラー6から搬送路7の停止機構まで搬送され、パレタイズロボット8によって、所定本数の大束折丁がパレットP上に規則的に積載され、製本工程へと搬出されている。
【0027】
図1では、印刷物を二経路で処理する実施形態が示されている。搬送路4は、上下二段の搬送路4a,4bから構成され、搬送路4a,4bの搬送端にスタッカバンドラー6a,6bがそれぞれ設けられている。スタッカバンドラー6a,6bの搬出端には、搬送路6a,6bがそれぞれ設けられている。A側のラインは、搬送路4a、スタッカバンドラー6a、搬送路6a、及び搬送路7aであり、B側のラインは搬送路4b、スタッカバンドラー6b、搬送路6b、及び搬送路7bである。図1は、A,B二経路で処理する実施形態であるが、何れの経路も同様な処理経路であって、二経路を使用しても一経路を使用してもよい。なお、パレタイズロボット8の動作は、二経路又は一経路を使用する場合では動作が異なる。
【0028】
次に、本実施形態を詳細について説明する。印刷機1は、オフセット輪転機、グラビア輪転機、活版輪転機等を含み、印刷機制御装置9により制御されている。印刷機制御装置9からは輪転機の回転数に応じて印刷機回転信号が送出され、印刷機回転信号は印刷物1枚に対応する信号である。印刷機制御装置9からは、印刷情報として印刷機回転信号が送出される。また、稼動情報としては、印刷機1の運転開始信号(運転信号)、印刷開始信号(本紙信号)、停止信号、中断信号、不具合等の信号が出力される。印刷機制御装置9からの印刷情報と稼動情報は、信号入出力装置13を経由して印刷履歴管理装置14に送出される。
【0029】
一方、印刷機本体1aから搬出される印刷物は、正紙のみが搬出されるのではなく、印刷物が印刷機1から高速に搬出されており、印刷不良の全てを確実に排出するのは困難であって、印刷不良が含まれるおそれがある。例えば、運転開始時には、刷り始め不良が送出され、この印刷不良は、検査機2に隣接するリジェクト装置2aによって、強制的に排出される。この運転開始からの輪転機が所定の回転数に達して本紙信号が出力されるまでの間、印刷機回転信号が積算されている。印刷機回転信号の積算値が印刷物の総枚数に相当する。
【0030】
また、輪転機が所定の回転数に達した後にもインキ汚れ、油汚れ、ダブリ、見当不良等の不良印刷物が搬出されることがあり、また、ペースタ(印刷用紙の繋ぎ目)が送出されてくる。これらの要因による印刷不良は、検査機2により検出されている。検査機2がこれらに起因する印刷不良を検出すると、印刷不良信号が出力されてリジェクト装置2aが作動して、不良印刷物が強制的に排出される。検査機2が印刷不良を検出し、印刷不良信号が信号入出力装置(例えば、シーケンサー)13に出力されている間、印刷機回転数信号が積算される。この積算値は不良発生枚数として記録される。また、検査機制御装置10は、検査機2が検出した不良印刷物に対して、マーキング等を施すように制御する。
【0031】
印刷機本体1aから搬出された印刷物は、折機3で規定寸法に断裁されて折丁として搬送路4に搬出されてスタッカバンドラー6に送り込まれる。搬送路4の前段或いは途中には、折り不良等を排出する排出・調整機構5が設けられ、不良印刷物の折丁を手動或いは検査機制御装置10からの印刷不良信号に連動して自動的に排出することができる。
【0032】
スタッカバンドラー6は、スタッカバンドラー制御装置11により制御されており、小束とする折丁の部数、大束折丁とする小束の部数、及び結束された大束折丁の本数を設定することによって、搬送路4から送り込まれる折丁が、スタッカバンドラー制御装置11による制御に基づいて、所定部数を集積して小束とし、さらに小束を所定部数段積みして結束し大束折丁とし、搬送路7に搬出している。また、スタッカバンドラー制御装置11からは、A側,B側両ラインからの印刷情報として搬出された大束折丁の本数が出力されるとともに、スタッカバンドラー6自体の不具合による印刷不良の発生が稼動情報等が出力される。
【0033】
パレタイズロボット8は、ロボット制御装置12による大束折丁の情報と段積情報とにより制御されており、搬送路7から搬出される大束折丁は、パレットP上に所定位置に順番に配列されて所定本数が積載される。ロボット制御装置12は、所定本数の大束折丁がパレットPに載置されると、大束折丁の積載本数と、パレタイズ信号(山信号,一つのパレットに所定本数の大束折丁が積載された際に出力される信号)とが、A側,B側両ラインからの情報として出力される。
【0034】
本実施形態の印刷履歴管理装置14は、図2に示したように、CPU(中央処理装置)からなる中央制御装置16が設けられ、中央制御装置16の入出力ポートにプリンタ18、ディスプレィ19、キーボード等の入力装置20が接続され、中央制御装置16は印刷履歴記憶領域E1〜ENが設けられた記憶装置17を備えてデータ収集装置15を構成している。中央制御装置16は、計時手段M1、品質保証シート送出手段M2、損紙積算枚数算出手段M3、スタバン損紙積算枚数算出手段M4、ロボット損紙積算枚数算出手段M5、ロス率算出手段M6、内部記憶装置によるカウンタ(記憶装置による積算手段)D1からD10等が設けられている。記憶装置17は外部記憶装置である。
【0035】
信号入出力装置13は、印刷機制御装置9、検査機制御装置10、スタッカバンドラー制御装置11、ロボット制御装置12からの各信号(印刷情報,稼動情報)が入力されて、データ収集装置15に送出されて収集される。印刷機制御装置9からは、印刷機回転信号等の印刷情報、稼動情報が入力され、検査機制御装置10からは、印刷不良信号、稼動情報が送出され、スタッカバンドラー制御装置11からは、大束折丁の本数及び山数、稼動情報が送出され、ロボット制御装置12からは、大束折丁の積載本数、パレタイズ信号が送出される。稼動情報には、印刷機1の運転信号、印刷開始(本紙信号)、ロボット制御装置12からの印刷終了信号(刷了信号)、検査機2の運転中、停止、或いは中断中等の信号、スタッカバンドラー6の運転中、停止中等の信号が含まれる。
【0036】
次に、中央制御装置16による各手段について説明すると、中央制御装置16には、計時手段M1が設けられており、運転開始信号から計時を開始して印刷終了(刷了,全ての印刷物の積載終了時)までの秒数がカウンタD10に積算される。カウンタD10の積算値に基づいて、各カウンタD1〜D9から積算値を記憶装置17の記憶領域に取り込み、ディスプレィ19に表示するタイミングである所定経過時刻(例えば、60秒)が計測されている。
【0037】
また、品質保証シート送出手段M2は、ロボット制御装置12からのパレタイズ信号(パレットPの大束折丁が1山形成される際に出力される信号)が出力される毎に、図8に示した印刷物の生産管理記録がプリンタ18でプリントアウトされた品質保証シートが出力される。印刷履歴が記載された品質保証シートが1山毎に添付される。品質保証シートには、日付、作業開始時間、品名、営業元No(顧客番号)、機械番号(印刷物を製造した機械番号)、組、折り出し(チョッパー折り、胴折り)、結束部数、1山本数と、図3に示したデータが、時系列的(例えば、60秒毎)にプリントアウトされている。
【0038】
また、損紙積算枚数算出手段M3は、カウンタD2とD3の値を加算する手段である。カウンタD2には、刷り始めに発生する印刷不良の枚数、即ち運転開始から本紙信号が出力されるまでの印刷機回転信号が積算されており、カウンタD3には、検査機2で検出された印刷不良枚数が積算されている。印刷不良枚数は、検査機2が印刷不良信号を出力している間の印刷機回転数の積算値である。不良積算枚数(損紙積算枚数)は下記の式(1)から算出される。
【0039】
【数1】



【0040】
また、スタバン損紙積算枚数算出手段M4は、搬送路4からスタッカバンドラー6までに印刷不良とした排出された印刷物の枚数を算出する算出手段である。大束折丁が二経路で搬送されているものとして説明する。スタバン損紙積算枚数は、印刷機1から搬出される印刷物の枚数がカウンタD1に積算され、スタッカバンドラー6から搬出される大束折丁の本数がカウンタD4,D5にそれぞれ積算され、カウンタD1の値と、スタッカバンドラー6a,6bのA側,B側各ラインから搬出される大束折丁の本数(カウンタD4,D5の値)と、刷り始め印刷不良による損紙枚数D2と、検査機2により検出された印刷不良による損紙枚数(カウンタD3の値)から算出することができる。スタバン損紙積算枚数F1は、F1=D1−(D2+D3)−(D4+D5)の演算式で算出することができる。その詳細は、下記式(2)に示した。なお、この演算式におけるD1〜D5は便宜的にカウンタ値を示している。
【0041】
【数2】



【0042】
また、ロボット損紙積算枚数算出手段M5は、搬送路7a,7bとパレタイズロボット8との処理工程で発生した不良印刷物を算出する算出手段である。スタッカバンドラー6a,6bから搬出された大束折丁の本数はカウンタD4,D5に積算され、これらの積算値からパレタイズロボット8によりパレットPに積載された本数であるカウンタD6,D7の積算値を減算することにより算出することができる。ロボット損紙積算枚数F2を算出する演算式は、F2=(D4+D5)−(D6+D7)であり、その詳細を式(3)に示す。このような演算処理をすることによって、ロボット損紙積算枚数F2(結束後の不良枚数)を算出することができる。
【0043】
【数3】



【0044】
また、ロス率算出手段M6は、不良印刷物として排出された割合(ロス率)を算出する算出手段であり、カウンタD1からD3のカウント値と内部演算値であるスタバン損紙積算枚数F1とロボット損紙積算枚数F2とから算出することができる。カウンタD1はカウンタ枚数であり、印刷機1から搬送された印刷物の総枚数を示すカウント値である。この印刷物の総枚数に対して、損失枚数には、印刷機1に起因する損失枚数であって、式(1)で説明した(D2+D3)の値と、印刷機1後段に起因する損失枚数として、スタバン損紙積算枚数F1、ロボット損紙積算枚数F2とよって、ロス率Lを算出することができる。ロス率Lの演算式は、下記の式(4)に示した。
【0045】
【数4】



【0046】
続いて、本実施形態の印刷履歴管理装置14の動作について、図4〜図6の処理フローを参照して説明する。この処理フローは、中央制御装置16の演算手段により実行される。先ず、ステップS1に入力装置20から必要なデータ(品名,作業No,機械番号等)を入力して、ステップS2に進む。ステップS2では、カウンタ(積算手段)D1,D2,D4,D5,D6,D7を動作可能な状態にセットする。カウンタD1は運転開始からの印刷機回転信号をカウント、カウンタD2は印刷不良信号に基づいて印刷機回転信号をカウント、カウンタD4はスタバンA側刷本処理信号(大束本数)をカウント、カウンタD5はスタバンB側刷本処理信号(大束本数)をカウント、カウントD6はA側のロボット刷本積みつけ信号(積載本数)をカウント、カウントD7はB側のロボット刷本積みつけ信号(積載本数)をカウントする。なお、カウンタD2は検査機2による印刷不良信号が出力されている間の印刷機回転信号を積算する。続いて、ステップS3に進み、印刷機制御装置9から印刷機1の運転信号(輪転機が低速回転から定常回転に至るまでの試運転状態に出力される信号)が出力されているか否かを判断し、運転信号が出力されている場合、ステップS4に進む。ステップS4では、▲1▼で示したように、図7に示した生産管理記録(データ表示)をディスプレィ19に表示してステップS5に進む。なお、カウントD8はA側のパレットセット信号(山数)をカウント、カウントD9はB側のパレットセット信号(山数)をカウントする。これの値は、積載本数から山数が判定できるので、演算処理で求めて表示してもよいし、1山毎のパレタイズ信号を積載してもよい。
【0047】
ステップS5では、印刷機制御装置9から本紙信号(刷り始めの印刷不良が解消し、輪転機の回転数が所定の回転数に達して、良好な印刷物が搬出される時点の信号)が出力されたか否かを判断して、本紙信号が出力されると、ステップS6に進み、カウンタD2の積算を停止する。カウンタD2には、刷り始めから本紙信号までの印刷機回転数が積算され、刷り始めの印刷不良枚数が積算される。カウンタD2の積算を停止して、ステップS7に進む。ステップS7では、本紙信号に基づいて、検査機2を動作させるための検査信号を出力して、ステップS8に進む。ステップS8では、検査機2による印刷物の印刷不良を検出し、印刷不良検出されると、印刷不良信号が出力され、ステップS9に進み、リジェクト使用信号を出力してリジェクト装置2aを作動させるとともに、ステップS10において印刷不良信号が入力されている間、印刷機回転信号をカウンタD3にカウントする。カウンタD3には、検査機2により検出された不良印刷物の枚数が積算される。
【0048】
一方、正紙(印刷不良がないと推定した印刷物)による折丁は、搬送路4を通過してスタッカバンドラー6に送り込まれて、大束折丁としてパレタイズロボット8に搬出される。ステップS10の後、パレタイズロボット8では、パレットPの所定本数の大束折丁がパレタイズされる。ステップS11では、パレタイズ処理におけるA側,B側からの大束折丁の本数がカウントD6,D7、及びA側,B側からの山数(所定本数の大束折丁がパレットに載置されて1山を形成し、パレットリセット信号)がカウントD8,D9にそれぞれ積算される。
【0049】
ステップS11は、例えば、図5に示したように、パレットリセット信号(A側)がONであるかOFFであるかを判定し、0Nである場合、ステップS21に進み、カウンタD6をリセットし、ロボット刷本積みつけ信号(A側)をカウンタD6にリカウントを開始し、パレットリセット信号(A側)をカウントD8にカウントする。カウントD6が所定値(1山形成)に達すると、パレットPには所定本数の大束折丁が積載されたことを示し、ステップS22に進み、プリンタ18で図8に示した印刷履歴シートを出力する。続いて、ステップS23に進み、終了か否かを判断し、否の場合、ステップS24に進む。ステップS24では、パレットリセット信号(B側)が出力されたか否かを判断し、ONの場合は、ステップS25に進み、カウンタD7にリカウントを開始し、パレットリセット信号(B側)をカウントD9にカウントする。カウントD7が所定値に達すると、パレットPには所定本数の大束折丁が積載されたことを示し、ステップS26に進み、印刷履歴シートを出力する。続いて、ステップS27に進み、NOの場合、ステップS20に戻る。なお、ステップS20において、OFFであれば、ステップS24に進み、パレタイズ信号(B側)からの信号のみを積算することも可能である。また、パレタイズ信号(A側)からの信号のみを積算することも可能である。
【0050】
ステップS11に続いて、図4のステップS12に進む。ステップS12では、運転信号がONであるか、OFFであるかを判断し、OFFの場合、検査装置2に中断信号を出力し、ステップS3に進み、印刷機1の運転信号を待ち受ける。また、ステップS12がONであれば、ステップS13に進み、印刷終了信号(刷了信号)を待ち受け、ステップS13がONであれば、ステップS14に進み、検査機に停止信号を出力し、カウンタD1からD10の積算を終了する。残りのデータがプリントアウトされる。
【0051】
ステップS4では、図6のステップS30に進む。ステップS30は、図3の記憶領域に記録された各データをディスプレィ19に表示するステップであり、その表示例が図7に示されている。なお、日付けは、コンピュータに内在するデータや入力されたデータが表示され、時刻データは、計時手段M1で処理されたデータが表示される。各データが表示されると、ステップS31に進み、運転信号のON,OFFを判定し、ONであれば、ステップS32に進む。ステップS31において、運転信号がOFFであれば、印刷機1が定常状態でないことを示しており、図4のステップS3に戻る。ステップS32では、刷了信号が入力されたか否かが判断される。また、ステップS32が刷了信号がオン状態であれば、図4のステップS14に戻る。ステップS32が刷了信号がオフ状態であれば印刷処理が継続しているので、ステップS33に進み、計時手段M1により、カウンタD10が60秒に達したか否かを判断する。60秒に達すると、ステップS34に進み、データ表示をL行表示して改行してステップS30に戻り、同様の動作を繰り返す。
【0052】
ステップS30における各欄のデータは、以下のデータであり、図3の記憶領域のデータに対応する。即ち、日付け、時刻欄に現在値、スタバン大束本数A欄にD4の現在値、スタバン大束本数B欄にD5の現在値、ロボット積載本数A欄にカウンタD6の現在値、ロボット積載本数B欄にカウンタD7の現在値、不良発生枚数欄にカウント枚数D1の現在値、不良積算枚数欄に損紙積載枚数(D2+D3)の値、本紙積載枚数欄にD1−(D2+D3)の値、印刷機欄に稼動状態(回転数が設定以下の時は停止を表示)、検査機のリジェクト欄にリジェクト装置2aの使用状態、スタバンA欄にスタッカバンドラーの稼動状態、スタバンB欄にスタッカバンドラーの稼動状態、要因欄に入力された信号であり、これらのデータがディスプレィ20に表示される。また、A側,B側山数は、カウンタD8,D9の値を読み取り表示する。
【0053】
なお、本実施形態の動作の概要を図3〜図5の処理フローを参照して説明したが、本発明を逸脱しない限り、処理フローを変更できることは明らかである。
【0054】
【発明の効果】
上記記載にように、本発明によれば、印刷機から搬出される印刷物をパレタイズ処理するまでの処理工程における印刷履歴を時系列的に記憶するようにして、大束折丁がパレットに積載されて1山を形成する毎に印刷履歴シートをプリントアウトして添付するようにしたものであり、製本工程に搬出される印刷物の品質を保証することができる利点があり、製本工程への搬出後、印刷不良が存在することが判明した場合であっても、その印刷物の履歴が時系列的に記憶されているので、不良発生要因を容易に特定することができる利点がある。
【0055】
また、本発明によれば、印刷物の整列・集積工程やパレットへの積載工程の各工程における印刷物の印刷情報及び稼動情報を記録することによって、従来のように、各工程を個々に印刷履歴を管理するのではなく、印刷物が製本工程へと搬出されるまでの履歴を時系列的に記録することによって、各工程で発生した印刷不良を把握することが可能であり、不良発生要因を容易に解析することができる利点があるとともに、印刷開始から製本工程までのロス率を容易に算出することができる利点がある。
【0056】
また、本発明によれば、既存の各工程の制御装置からのデータを信号入出力装置で中継して入力するようにしており、既存の設備に印刷履歴管理システムを容易に形成することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷機から搬出される印刷物の処理工程を示し、印刷履歴管理装置の実施形態とそのシステムの実施形態を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の印刷履歴管理装置のブロック図である。
【図3】本実施形態における印刷履歴管理装置の記録装置の記憶領域を示す図である。
【図4】本実施形態における印刷履歴管理装置の処理フローを示す図である。
【図5】図4の処理フローの要部処理フローを示す図である。
【図6】図4の処理フローに続く処理フローを示す図である。
【図7】本実施形態の生産管理記録の表示画面を示す図である。
【図8】本実施形態における印刷履歴シートを示す図である。
【図9】従来の印刷管理装置のブロック図である。
【符号の説明】
1 印刷機
1a 印刷機本体
2 印刷検査機
2a リジェクト装置
3 折機
4(4a,4b),7(7a,7b) 搬送路
5 排出・調整機構
6 スタッカバンドラー
8 パレタイズロボット
9 印刷機制御装置
10 検査機制御装置
11 スタッカバンドラー制御装置
12 ロボット制御装置
13 信号入出力装置
14 印刷履歴管理装置
15 データ収集装置
16 中央制御装置
17 記憶装置
18 プリンタ
19 ディスプレィ
20 入力装置
E1〜EN 印刷履歴記憶領域
M1 計時手段
M2 品質保証シート送出手段
M3 損紙積算枚数算出手段(第1算出手段)
M4 スタバン損紙枚数算出手段(第2算出手段)
M5 ロボット損紙枚数算出手段(第3算出手段)
M6 ロス率算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機から搬出される印刷物を断裁した折丁をスタッカバンドラーに搬送し、該スタッカバンドラーにて集積して結束した大束折丁とし、パレタイズロボットにて所定本数の大束折丁をパレットに積載する印刷工程における印刷開始から印刷物の積載終了するまでの時刻を計時手段により計時して、該印刷機から搬出される印刷物の積算枚数と、該スタッカバンドラーから搬出される大束折丁の本数と、該パレタイズロボットにて処理された大束折丁の本数と、印刷不良として排出される印刷物の不良積算枚数とを、前記計時手段による経過時刻とともに記録手段に記録し、該印刷機から前記パレタイズロボットまでの各工程で発生した印刷物の印刷不良情報と稼動情報とを時系列的に該記録手段に記録するデータ収集装置を備え、前記印刷工程における一連の作業が終了する毎に自動的に印刷履歴シートを出力することを特徴とする印刷履歴管理装置。
【請求項2】
前記データ収集装置は、前記記録手段に記録した前記印刷機から搬出される印刷物の枚数と、前記スタッカバンドラーにて処理された大束折丁の本数と、前記パレタイズロボットにて処理された該大束折丁の本数と、該大束折丁をパレットに所定本数積載してパレタイズした山数とを、前記計時手段による所定経過時刻毎に表示することを特徴とする請求項1に記載の印刷履歴管理装置。
【請求項3】
前記データ収集装置が、前記印刷機による印刷開始時に発生する刷り始め不良印刷物の枚数と前記検査機により検出された不良印刷物の枚数とを加算して不良発生枚数を算出する第1算出手段と、
該印刷機後段の搬送路と前記スタッカバンドラーとで発生する不良印刷物の枚数を、該印刷機から搬出される印刷物の枚数と前記スタッカバンドラーによって結束した大束折丁の本数とから算出する第2算出手段と、
該スタッカバンドラーから搬出された大束折丁の搬出後の印刷不良数を、該スタッカバンドラーから搬出される大束折丁の本数と該大束折丁を前記パレタイズロボットにてパレタイズした積載本数とから算出する第3算出手段とを備え、
前記印刷機から搬出される印刷物の総枚数と、前記第1から第3算出手段の算出結果による総損紙枚数とによって、印刷用紙のロス率を算出するロス率算出手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷履歴管理装置。
【請求項4】
印刷機から検査機を経て搬出される印刷物を断裁した折丁をスタッカバンドラーに搬送し、該スタッカバンドラーにて該折丁を排出して結束した大束折丁とし、パレタイズロボットにて大束折丁をパレタイズする印刷から積載工程までの印刷履歴管理システムであって、
前記印刷機を制御して印刷情報と稼動情報との信号を出力する印刷機制御装置と、
該印刷機から搬出される印刷物を検査機で検査して印刷信号を出力する検査機制御装置と、
前記スタッカバンドラーを制御し、印刷情報と稼動情報との信号を出力するスタッカバンドラー制御装置と、
前記パレタイズロボットを制御し、印刷情報と稼動情報との信号を出力するロボット制御装置と、
前記印刷機制御装置、検査機制御装置、スタッカバンドラー制御装置、及びロボット制御装置からの各信号を入出力する信号入出力装置と、
中央制御装置からなり、前記信号入出力装置から各信号を受けて記録する記録装置を備えるデータ収集装置と、
前記データ収集装置が出力装置とを備え、該出力装置から印刷開始から全ての印刷物の積載終了までの一作業毎に印刷履歴シートを出力することを特徴とする印刷履歴管理システム。

【図1】
image rotate



【図2】
image rotate



【図3】
image rotate



【図4】
image rotate



【図5】
image rotate



【図6】
image rotate



【図7】
image rotate



【図8】
image rotate



【図9】
image rotate


【公開番号】特開2004−203001(P2004−203001A)
【公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−378157(P2002−378157)
【出願日】平成14年12月26日(2002.12.26)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】