説明

印刷指標組成物

環境刺激に対する被印刷物の曝露を示す方法は、被印刷物を環境刺激にさらすことを含み、該被印刷物には、少なくとも1つの指標因子が含まれ、少なくとも1つの指標因子の各々は、(重量平均径)/(個数平均径)が約1.1以下と測定される、複数の色彩的に選択可能な散乱粒子と、着色剤とを含み、さらに、少なくとも1つの指標因子は、環境刺激に反応して色の変化を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2009年5月13日に出願された米国特許出願第12/454,174号の優先権を主張するものであり、任意の目的かつ全ての目的に関して、その全体を本明細書中に援用する。
【0002】
本発明は、コーティングおよび印刷用インク中の散乱粒子の使用に関し、より詳しくは、これらのコーティングおよび印刷用インクを含む被印刷物の環境曝露を明らかにする方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4089800号明細書
【発明の概要】
【0004】
一態様では、環境刺激に被印刷物(substrate)の曝露を示す方法は、被印刷物を環境刺激にさらすことを含んで、提供される。いくつかの実施形態において、被印刷物には少なくとも1つの指標因子が含まれ、ここで、少なくとも1つの指標因子の各々は、(重量平均径)/(個数平均径)[すなわち、Dw/Dn]として測定される約1.1以下である、複数の色彩的に選択可能な散乱粒子(CSSP)と、着色剤とを含み、さらに、少なくとも1つの指標因子は、環境刺激に反応して色の変化を示す。環境刺激は、熱、圧力、液体、または蒸気であってもよい。いくつかの実施形態において、方法は少なくとも1つの指標因子の色の変化を観察することを、さらに含むものであってもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの指標因子は、少なくとも第1の指標因子および第2の指標因子である。そして、第1の指標因子に含まれるCSSPのガラス転移温度は、第2の指標因子に含まれるCSSPのガラス転移温度と異なる。いくつかの実施形態において、第1の指標因子は環境刺激に反応して色を変え、また第2の指標因子は色を変えず、あるいは、第1および第2の指標因子が両方とも環境刺激に反応して色を変える。特定の実施形態において、環境刺激に応答して、第1および第2の指標因子の両方とも色が変化する。しかし、第1の指標因子の変色の量は、第2の指標因子で変色の量と異なる。特定の他の実施形態において、環境刺激に応答して、第1および第2の指標因子の両方とも色の変化を生じず、印加された刺激が不十分であること、または色の変化を引き起こすのに必要とされる閾値を下回ったことが示される。
【0005】
いくつかの実施形態において、CSSPは重合粒子を含む。いくつかの実施形態において、CSSPは架橋重合粒子を含む。いくつかの実施形態において、重合粒子のガラス転移温度は約20℃ないし約180℃である。いくつかの実施形態において、重合粒子のガラス転移温度は約40℃ないし約140℃である。
【0006】
別の態様では、消費財パッケージの同一性(identity)を認証する方法を提供する。この方法は、第1の同定指標因子を消費財パッケージに適用すること、(重量平均径)/(個数平均径)が約1.1以下と測定される粒径分布を有する複数のCSSPと着色剤とを含む第1の隠蔽用指標因子によって、第1の同定指標因子の少なくとも一部分をオーバーレイすることで、第1の同定指標因子の一部分を隠蔽すること、同一性露出刺激を、第1の隠蔽用指標因子に印加することで、第1の同定指標因子の一部分を露出させること、を含む。実施形態において、第1の隠蔽用指標因子の色は、第1の同定指標因子の色に一致する。いくつかの実施形態において、方法は、パッケージの同一性を認証するために現された第1の同定指標因子を検討することを、さらに含む。
【0007】
他の実施形態において、方法は、消費財パッケージ上に、一つ以上の付加的な同定指標因子を付けること、および1つ以上の付加的な隠蔽用指標因子を、1つ以上の付加的な同定指標因子にオーバーレイすることを含み、1つ以上の付加的な隠蔽用指標因子は、(重量平均径)/(個数平均径)が約1.1以下と測定される粒径分布を有する複数のCSSPと着色剤とを含む第1の隠蔽用指標因子と、着色剤とを含む。いくつかの実施形態において、方法は、指標因子を隠して第1の上に保護層を適用することをさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、CSSPはエマルジョン重合体を含む。他の実施形態において、CSSPの重量平均径は、約125nmないし約700nmである。1つ以上の付加的な隠蔽用指標因子が使われる実施形態において、一つ以上の付加的な隠蔽用指標因子の各々のCSSPの重量平均径と第1の隠蔽用指標因子のCSSPの重量平均径とは、実質的に異なる。この脈絡にて用いられているように、「実質的に異なる」とは、比較されている領域のCSSPの重量平均径が、各々が異なる特性を隠蔽用指標因子に与えることができるほど十分に、異なることを意味する。例えば、別の領域とは異なる一領域のCSSPの重量平均径は、色、外部刺激に対する応答、その他に関して、検出可能な違いがある。さらに異なる着色剤を、異なる粒径のCSSPで用いてもよく、その場合、着色剤の色が異なるようにし、外部刺激に応答するようにする。
【0009】
別の態様において、温度センサーは被印刷物と、該被印刷物に適用された温度同定用指標因子の第1の領域を覆い、かつ隠している隠蔽用指標因子の第1の領域とを含む。ここで、隠蔽用指標因子の第1の領域が、Dw/Dnが約1.1以下として測定される粒径分布とガラス転移温度を持つ複数のCSSPと、着色剤とを有する。いくつかの実施形態において、隠蔽用指標因子がガラス転移温度を超えている外部温度にさらされる場合、少なくとも一部の複数のCSSPが隠蔽用指標因子の第1の領域を変形させて、温度同定用指標因子の第1の領域を露出させる。
【0010】
別の態様では、同定システムが提供される。この同定システムは、被印刷物と、該被印刷物に適用された温度同定用指標因子の第1の領域を、各々が覆い、かつ隠している隠蔽用指標因子の第1の領域とを含む。ここで、隠蔽用指標因子の第1の領域が、Dw/Dnが約1.1以下として測定される粒径分布を持つ複数のCSSPと、着色剤とを有し、隠蔽用指標因子の第1の領域が第1の外部の刺激にさらされる場合、少なくとも一部の複数のCSSPが変形して同定指標因子の第1の領域を露出させる。
【0011】
別の態様では、同定システムが提供される。この同定システムは、被印刷物と、該被印刷物に適用された温度同定用指標因子の対応領域を、各々が覆い、かつ隠蔽している、複数の隠蔽用指標因子の第1の領域とを含む。ここで、複数の隠蔽用指標因子の第1の領域が、Dw/Dnが約1.1以下として測定される粒径分布を持つ複数のCSSPと、着色剤とを有し、複数の隠蔽用指標因子領域の各々の複数のCSSPは、異なる重量平均径を持ち、そして、被印刷物が外部の刺激にさらされる場合、複数の隠蔽用指標因子領域の各々の一部分は、変形することによって、または変形しないことによって、同定指標因子の対応領域を露出または隠蔽する。
【0012】
別の態様において、温度センサーは被印刷物と、該被印刷物に適用された温度同定用指標因子の領域とを含み、ここで、温度同定指標因子が、Dw/Dnが約1.1以下として測定される粒径分布とガラス転移温度とを持つ複数のCSSPと、着色剤とを有し、いくつかの実施形態において、温度同定用指標因子がガラス転移温度を超える外部温度にさらされる場合、少なくとも一部の複数のCSSPが変形して温度同定用指標因子の色を変化させ、少なくとも一部の複数のCSSPが変化して温度同定用指標因子の色を変化させる。
【0013】
別の態様では、同定システムを提供する。このシステムは、被印刷物と、該被印刷物に適用された同定指標因子の領域とを有し、ここで、同定指標因子が、Dw/Dnが約1.1以下として測定される粒径分布を持つ複数のCSSPと、着色剤とを有し、同定指標因子が第1の外部の刺激にさらされる場合、複数のCSSPの少なくとも一部が変化して同定指標因子の色の変化を生じさせる。
【0014】
別の態様では、同定システムを提供する。このシステムは、被印刷物と、複数の指標因子領域とを有する。ここで、複数の指標因子領域の各々は、単独で、Dw/Dnが約1.1以下として測定される粒径分布の複数CSSPと、着色剤とを有する。複数の指標因子領域の複数のCSSPの各々は、異なる重量平均径を持つ。そして、被印刷物が外部の刺激にさらされる場合、複数の隠蔽用指標因子領域の各々の一部分は、変形することによって、または変形しないことによって、同定指標因子の対応領域を露出または隠蔽する。
【0015】
別の態様では、消費財パッケージの同一性を確認する方法を提供する。この方法は、少なくとも1つの同定用指標因子を露出させるために、同一性露出刺激を消費財パッケージに適用すること、消費財パッケージを確認するために、少なくとも1つの同定用指標因子を検討することを、含む。ここで、消費財パッケージには、Dw/Dnが約1.1以下として測定される粒径分布を有する複数の色彩的に選択可能な散乱粒子を含む少なくとも1つの同定用指標因子と、着色剤とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、一実施形態にもとづく熱処理前後の認証指標因子の具体例である。
【0017】
【図2】図2は、わずかに変化するMFT/Tgを有する一組の複数の指標因子を有する温度センサーの非限定的な具体例である。多数の指標因子域を用いて、温度センサーの精度を高めることが可能である。
【0018】
【図3】図3は、種々の温度処理後の実施例6〜9のインクによってコーティングしたクラフト用紙の写真である。
【0019】
【図4】図4は、無送風式恒温器(no air-flow oven)内75℃での時間の関数として、実施例8のΔEのグラフである。
【0020】
[詳細な説明]
色彩的に選択可能な散乱粒子(CSSP)を、パッケージング用のコーティングに組み込むことが可能である。コーティングは、パッケージに関する情報を明らかにすることに用いることが可能である。例えば、パッケージの真正性または出荷環境に関する情報は、コーティングにコード化させて明らかにすることが可能である。いくつかの実施形態によれば、そのような方法が製品の偽造の削減もしくは同定、半合法的市場または闇市場に出回っている商品対する商品の認証、その他に使用することが可能である。例えば、多数の指標因子と異なる色および異なるが所定の度合いの色ずれとの組み合わせ、ならびに、多数の指標因子と多数の指標因子と所定のスイッチング温度との組み合わせの再現は、非常に困難である。なぜなら、プロセスに関する深い理解と、ホログラム画像、透かし、または他の複雑な模様のように生産するための高い精度とが必要とされるからである。また、加えて、消費財パッケージングは、偽造者には容易にわからない隠されたロゴまたはメッセージを有するものであってよいが、それが存在しない場合、パッケージングに含まれる商品が本物ではないことが示されると思われる。
【0021】
他の実施形態によれば、そのような方法は、コーティングを有するパッケージまたは他の被印刷物の熱履歴の追跡に用いることが可能である。パッケージの熱履歴は、多くの場合、パッケージの内容物の有用性を測定する上で重要である。例えば、閾値を上回る温度または閾値を下回る温度に特定のタイプの食品をさらすことは、該食品がもはや消費に適さなくなるような劣化を引き起こす場合がある。多くの薬品もまた、閾値を上回る温度にさらされた場合に、変化が生じて使用不適となり得る。他の例、例えば食品の低温殺菌では、サンプルの熱履歴は、その食品が消費可能な状態になることを示す指標となる。他の特定の例では、サンプルの熱履歴は、含まれる食品が、結果として望ましくない味になるかどうかの指標となる場合がある。
【0022】
一態様において、コーティングは、被印刷物(例えばパッケージ)の上に印刷またはコーティングされる少なくとも1つの指標因子を含む。少なくとも1つの指標因子は、画像、テキスト、ロゴ、バーコード、または他の模様であってもよい。指標因子は、Dw/Dnが約1.1以下として測定される粒径分布を有する複数のCSSPを含む。環境刺激(例えば熱、圧力および/または溶媒)にさらされるとき、指標因子はCSSPの光散乱の変化により色を変え、それによって、画像、テキスト、ロゴ、バーコードまたは他の模様の形状でコード化可能である情報を明らかにする。図1は、その一例である。そのような変色は視覚的に検出可能なものであってもよく、あるいは当業者に公知の器具(例えば分光光度計またはデンシトメータ)を用いることが可能である。本明細書中に開示されるCSSPを含むいくつかの組成物は、肉眼によって同定可能な0.5ΔE(CIELab)程度、小さな色変化を明らかにするのに有用である。環境刺激に反応したCSSPの変形によって上記色変化が生ずると考えられる。特定の実施形態では、流動によるCSSPの変形によって、重合体粒子のコアレッセンスをもたらすことが可能である。
【0023】
別の態様では、コーティングは2部コーティングであってもよい。ここで、第1の部分(同定用指標因子)を被印刷物に塗布し、その後に第2の部分(CSSPを組み込んだ隠蔽用指標因子)で第1の部分を覆う。指標因子を含む被印刷物に刺激物を塗布する場合、CSSPの光散乱が変化して同定用指標を現す。コーティング(すなわち同定用指標因子または隠蔽用指標因子)は、情報が観察者に伝わるように、被印刷物上に印刷またはコーティングされるインクまたは他のマーキング・コーティングであってもよい。そのような情報は、色、ロゴ(例えばデザインまたは画像)、言葉、バーコード、数字、または任意のマークであってもよい。隠蔽用指標因子は、下にある識別マークを効果的に隠すインクまたは塗料等のコーティングであってもよい。隠蔽用指標因子は、下にあるマークが、被さっている指標因子によって見えなくなるように、不透明であってもよい。あるいは、下にあるマークが観察から効果的に遮蔽されるように、下にある識別マークの色を模倣して、隠蔽用指標因子はいくらか透明である場合がある。CSSPは、いずれの用途にも適している。CSSPを用いて、指標因子を特定の色に合わせることが可能であることから、色合わせまたは色の模倣に適している。
【0024】
本明細書中に使用されるように、「散乱粒子(scattering particles)」は、入射分光分布を変更する可視光の一部を該散乱粒子が優先的に散乱させるように、「色彩的選択性(chromatically selective)」であると考えられる。すなわち、CSSPをコーティングに添加した場合、CSPP添加のコーティングは、CSSPを含まないコーティングと比較して、色の変化として現れる。例えば、黒色コーティングに添加されたCSSPによって、他の黒色コーティングの色彩が青色、緑色、赤色、黄色系またはその組合せを含む色の範囲のいずれかの色のように見える。正確な色は、CSSP粒子の粒径に依存する。CSSPが黒以外の色のコーティングに添加された場合、CSSPはコーティングの色彩が変化または強調したように見せる。例えば、光を散乱させて青くみせるCSSPが青色コーティングに添加されると、該青色コーティングが「よりいっそう青く」見え、CSSPを含まない青色コーティングよりも明るく見える。同様に、光を散乱させて赤く見せるCSSPが青色コーティングに添加されると、混色が起こって色彩を紫色にする(すなわち、散乱して赤色を認識するCSSPと青色顔料が混合してなる産物)。他の有色顔料を強調してもよく、また選択された色素と選択されたCSSPの大きさとに応じて、混色を達成することができる。
【0025】
本発明の任意の特定の理論に拘束されることを望むことなく、または意図することなく、CSSPを、該CSSP間の空隙容量に少なくとも部分的に起因する材料の知覚色彩を、変化させることに用いることができる。例えば、概ね単分散したCSSP粒子は、乾燥フィルムにおける空隙容量が約26%の最密配列を形成する可能性がある。いくつかの実施形態において、最密配列は、ほぼ結晶配列である。空気または別の適切な媒体で空隙容量を満たすことで、該空隙とCSSPとの間の界面で顕著な光散乱を生じさせるのに十分なほどCSSPの屈折率とは異なる屈折率を有する周囲媒体が得られる。有機材料および無機材料を含む種々の材料からCSSPを作ることが可能である。
【0026】
いくつかの実施形態において、CSSPは重合粒子である。そのような粒子として、ビニル芳香族モノマー、(メタ)アクリル酸、および/または(メタ)アクリレートモノマーから重合される粒子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適なモノマーとして、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、アクリル酸‐2‐ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、および2−エチルヘキシルアクリラートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。この発明の特定の実施形態において、狭い粒径分布(PSD)を有する重合CSSPは、乳化重合によって作られる。乳化重合は、界面活性剤の存在下で水溶媒質中のモノマーのフリーラジカル開始重合に基づく周知の技術である。種々のモノマーを、乳濁液粒子の調製に用いることができる。遊離基開始剤の生成に関するいくつかの技術もまた知られている。プロセス変量を適切に選択することで、PSDが狭く、かつDwが特定値である乳化重合体を作ることができる。これらの乳化重合体を、シードされたプロセスまたはシードされていないプロセスによって、作ることができる。さらに、バッチ・プロセス、半連続プロセス、または連続プロセスを用いることができる。乳化重合体の耐性を改善するために、該乳化重合体を架橋させてもよい。乳化重合体のためのモノマーの選択は、屈折率、ガラス転移温度(Tg)、極性、および他の特性にもとづいて、行われる。これらの原理は、当業者に知られている。例えば、重合体のガラス転移温度(Tg)は、以下の方程式の使用によって、その成分モノマーのガラス転移温度から算出することができる。
l/T=Σ(W/Tgi
式中、wはモノマーの重量分率であり、Tgiはこのモノマーのホモポリマーのガラス転移温度である。ホモ重合体のTg値は、ブランドラップ(Brandrup)およびインマーガット(Immergut)編著、「ポリマー・ハンドブック(Polymer Handbook)第3版」(John Wiley and Sons, New York, 1989)の 第 VI, pp. 212-258に見出すことができる。したがって、当業者は、特定のTgでポリマーを調製するために、上記の等式を使用することができる。さらに、一般に可塑剤として知られている材料を用いることにより、Tgが下方調整される可能性がある。また、金属による特定の重合体粒子の架橋によって、重合体粒子のTgを増加させることができる。
【0027】
重合体の屈折率が、該重合体に含まれるモノマーからなるホモ重合体の屈折率の加法関数であることが知られている。
以下の等式を用いて、重合体の屈折率を算出することができる。
n=Σ(v
【0028】
この等式では、nは屈折率であり、vは重合体に存在するモノマーの体積分率である。種々の重合体の屈折率の値は、ブランドラップ(Brandrup)およびインマーガット(Immergut)編著 「ポリマー・ハンドブック(Polymer Handbook)第3版」 (John Wiley and Sons, New York, 1989) の第 VI 章, pp. 451~462に見出すことができる。
【0029】
当業者に知られている方法を用いて、種々の仕方で、架橋乳化重合体を作ることが可能である。特定の実施形態では、架橋乳化重合体は、ポリオレフィン不飽和モノマーと上記の他のモノマーとの共重合体によって、調製される。ポリオレフィン不飽和モノマーの例として、炭素数が約1ないし8のアルカンジオールのジアクリレートおよびジメタクリレート、例えば、グリコール・ジアクリレートおよびジメタクリレート、ブタン−1,4−ジオールジアクリレートおよびジメタクリレート、ヘキサン−l,6−ジオールジアクリレートおよびジメタクリレート、オクタン−1,8−ジオールジアクリレートおよびジメタクリレート、ならびに、ジビニルベンゼン(フタル酸ジアリル、ブタジエンおよびトリメチロールプロパントリアクリレートまたはトリメタクリル酸エステル)、さらにはペンタエリスリトールトリアクリレートまたはテトラアクリレートが挙げられる。ポリオレフィンモノマーを、重合すべきモノマーの全量にもとづいて、0.05重量%ないし15重量%の量で、用いることが可能である。
【0030】
特定の他の実施形態では、架橋乳化重合体を、上記の架橋モノマーと他のモノマーとの共重合体によって、調製することができる。架橋モノマーの例として、エポキシ(通常はグリシジル)およびヒドロキシルアルキル−メタアクリレートおよび−アクリレート、同様に、ケト−またはアルデヒド−官能モノマー、例えばアクロレイン、メタクロレイン、およびビニルメチルケトン、ヒドロキシルアルキル(通常はC〜C12)アクリレートのアセトアセトキシエステル、ならびにメタクリレート、例えばアセトアセトキシルエチルメタクリレート、およびアクリレート、さらに同じく、ケト含有アミド、例えばジアセトンアクリルアミドが挙げられる。いくつかの実施形態において、ヒドロキシであるアルキルメタクリル酸エステルは、ヒドロキシ(C〜C12−アルキル)メタクリル酸エステルである。例えば、ヒドロキシエチルメタクリレートは一連のC−アルキルの仲間である。いくつかの実施形態において、ヒドロキシアルキルアクリレートは、ヒドロキシ(C〜C12−アルキル)アクリレートである。例えば、ヒドロキシであるエチルアクリレートは、一連のC−アルキルに属する。
【0031】
他の実施形態において、CSSPは無機粒子である。そのような粒子として、シリカ粒子、ガラス粒子、および二酸化チタン粒子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
CSSPは、固形粒子、中空粒子、またはそれらの組合せであってもよい。好適な中空粒子として、孔隙を有するマイクロスフェアが挙げられる。適切なマイクロスフェアの例には、重合、ガラス、およびセラミック・マイクロスフェアが含まれる。重合性マイクロスフェアは、種々のポリマーから作ることが可能である。しかしながら、好ましいマイクロスフェアは、スチレン−アクリル・コポリマーから構成される。マイクロスフェアにより提供される孔隙の寸法は、望ましくは170nmないし360nmであり、孔隙の粒度分布(すなわち、Dw/Dn)は望ましくは1.1以下である。いくつかの実施形態において、マイクロスフェアにより提供される孔隙の寸法は、望ましくは170nmないし360nmであり、孔隙のDw/Dnは望ましく1.1以下である。組成物を強調する本色の好適なマイクロスフェアとして、特許文献1に記載されているものが挙げられ、この特許文献1の記載全体を本明細書中に参照により援用する。
【0033】
いくつかの実施形態において、中空球CSSPの組合せと類似組成の非中空球CSSPとの組み合わせを用いてもよい。CSSP(例えば、CSSPの屈折率と媒質の屈折率との比率が約1.1以下となるように選択された溶媒)の屈折率に一致または略一致する屈折率を有する溶媒媒体の使用に応じて、中空CSSP内の空隙が残り、その一方で球体間の空隙が媒質で満たされる。その結果、中空球CSSPを含んでいる領域の散在特性、したがって色が不変または実質的に不変のままであり、その一方で、非中空球CSSPを含む領域の散在特性、したがって、色が変化する。溶媒の除去または乾燥は、結果として可逆的変化をもたらす。
【0034】
いくつかの実施形態において、CSSPは約1.1以下の粒径分布(すなわち、Dw/Dn)を持つ。これには、CSSPの粒径分布が約1.1以下である実施形態が含まれる。これには、CSSPの粒径分布が約1.01以下である実施形態がさらに含まれる。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約125nmないし約700nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約125nmないし約150nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約150nmないし約175nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約175nmないし約200nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約200nmないし約225nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約225nmないし約250nm、約250nmないし約275nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約275nmないし約300nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約300nmないし約325nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約325nmないし約350nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約350nmないし約375nm、約375nmないし約400nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約400nmないし約425nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約425nmないし約450nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約450nmないし約475nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約475nmないし約500nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約500nmないし約525nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約525nmないし約550nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約550nmないし約575nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約575nmないし約600nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約600nmないし約625nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約625nmないし約650nmである。いくつかの実施形態において、CSSPの重量平均径(Dw)は約650nmないし約700nmである。これらの範囲は、単に例示のみを目的としており、該範囲内に限定されるものでもなく、かつ該範囲が限定を示すものでもない。粒子が他の粒径分布要件に合致する、より幅広い約125nmないし約700nmの範囲内の任意の範囲を示すものであってもよい。本明細書中に使用されるように、「径」という用語は、粒子の最大の内径の長さのことをいう。同時に、CSSPによって散乱する光の色がCSSPの特定サイズに依存する特定ことから、指標因子の色を測定することによって、その指標因子の粒径に関する情報が提供される。
【0035】
CSSPからの光散乱による色変化の一部は、粒径と着色剤の反射率スペクトルとの関係に起因する。したがって、いくつかの実施形態では、CSSPの重量平均径と透過最大波長または着色剤の反射率スペクトルとの比率は、約0.3ないし0.6または約0.4ないし0.5である。
【0036】
CSSPが重合物質から形成される場合、CSSPは付随するガラス転移温度を有する。ガラス転移温度を上回る場合、CSSPは該CSSPの粒子形を変えるとともに、指標因子のCSSPの光錯乱に作用し、かつ変色が現れる。いくつかの実施形態において、重合粒子のガラス転移温度が約0℃ないし約150℃である。いくつかの実施形態において、重合粒子のガラス転移温度が約20℃ないし約120℃である。いくつかの実施形態において、重合粒子のガラス転移温度が約20℃ないし約180℃である。いくつかの実施形態において、重合粒子のガラス転移温度が約40℃ないし約140℃である。狭い粒径分布と明確なガラス転移温度とを有するCSSPは、種々の実施形態において、約±10℃、約±5℃、約±4℃、約±3℃、約±2℃、または約±1℃の正確さで、温度関連情報をコード化することが可能である。
【0037】
いくつかの実施形態において、重合CSPPに対する加熱によってガラス転移温度を超えると、重合体が変形を受ける。本明細書中に使用されるように、「変形(deformation)」という用語は、CSSPがバルク指標因子中で移動することで凝集し、それによって指標因子の散乱特性が変化することを示す。
【0038】
概して指標因子に取り込まれるCSSPは、単に、粒子間の容積を占める媒体である周囲媒体を有する。CSSPと周囲媒体との間で屈折率に十分な差異があることで、色彩的に選択可能な散乱が得られなければならない。概して、二相の屈折率(RI)の比率が少なくとも約1.2であれば、十分である。いくつかの実施形態において、周囲媒体は、樹脂または結合剤を含む重合体であってもよい。他の実施形態において、周囲媒体は、組成物がフィルムに乾燥するとき、粒子間に存在する孔隙に含まれる空気である。さらに他の実施形態において、実際のところ、周囲媒体は粒子の間に空の孔隙(すなわち、真空)によって定義されるものであてもよい。さらに他の実施形態において、周囲媒体は結合剤(例えば重合体または樹脂)と空気とを満たした孔隙、または真空から構成されるものであってもよい。周囲媒体は、水性媒体または溶剤性媒体である場合がある。そのような結合剤(すなわち、媒体)は、当該技術分野で周知である。周囲媒体が空気または真空である場合、組成物が乾燥してフィルムになる場合に空気充填間隙または真空が残存するように、被印刷物上の組成物の塗布および乾燥の過程またはその後で、粒子が完全には凝集するものであってはならない。
【0039】
CSSPを有する指標因子とともに用いられる適当な被印刷物として、最もよく知られている被印刷物または表面が含まれる。典型的な被印刷物として、紙および板紙、ガラス、金属、プラスチックおよびゴム被印刷物を含むが、これらに限定されるものではない。同定および隠蔽用指標因子は、当業者に知られているいかなる手段であっても塗布することが可能である。例えば、指標因子の塗布は、例えばブレード、ドロー・メス、エア・ナイフ、塗料用刷毛、スピンコーティング、カーテンコーティング等のコーティングによって、あるいはレーザジェット、インクジェット、フレキソ印刷、グラビア、輪転グラビア印刷、リソグラフィー印刷またはスクリーン印刷によって、行うことが可能であるが、これらに限定されるものではない。多くの種類のパッケージングと同様に、指標因子を保護層に上塗りすることが可能である。好適な保護層として、プラスチック等の透明または半透明のコーティングまたはラミネーションが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、指標因子を被印刷物の一部分に塗布することが塗布することが可能であり、その後、適当な手段(例えば接着剤、接着剤または圧感接着剤)を用いて、消費者向け包装に接着させることが可能である。
【0040】
いくつかの実施形態において、指標因子に存在する着色剤は、色素または染料である。当業者に知られている広範囲にわたる色素および染料を用いることが可能である。そして、黒色系、青色系、赤色系、緑色系、黄色系とそれらの混合物を含む。いくつかの典型的な色素および染料の簡単なリストには、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、ペリレン黒、アゾ染料(金属アゾ染料、炭素環アゾ染料、およびヘテロ環アゾ色素等)、ポリメチン色素、キノフタロン類、硫化染料、ニトロおよびニトロソ染料、シアニン類、ジアゾカルボシアニン、アントラキノン、ならびに他の色素等が含まれる。
【0041】
指標因子がCSSPを含む場合、種々の濃度でCSSPを添加することが可能である。いくつかの実施形態において、指標因子に含まれるCSSPの濃度は、乾燥コーティングまたはインクの濃度の約50重量部ないし約99.9重量部、あるいは乾燥コーティングまたはインクの約60重量部ないし約99重量部である。当該技術分野で知られていているように、そのような指標因子はインク、塗料、または他のコーティングの形態であってもよい。塗布後に溶媒を蒸発させることで、乾燥したインク、塗料、またはコーティングが得られる。発色現象は、乾燥状態で最もよく見えるようになる。
【0042】
コーティング中に体積する指標因子の量は、エンドユーザまたは塗布工程で求められることに応じて、広範囲にわたって異なるものであってよい。しかし、通常、種々の実施形態に応じて、乾燥コーティングの厚みは、約0.5μmないし約10μm、約1μmないし約5μm、または約2μmないし約5μmの範囲であってもよい。
【0043】
上記したように、1つの態様において、コーティングは、被印刷物(例えばパッケージ)上に印刷または被覆された少なくとも1つの指標因子を含み、かつ少なくとも1つの指標因子は、画像、テキスト、ロゴ、バーコード、または他の模様の全体または一部であってもよい。指標因子は、Dw/Dnが約1.1以下として測定される粒径分布を有する複数のCSSPを含む。環境刺激(例えば熱、圧力および/または溶媒)にさらされるとき、指標因子はCSSPの光散乱の変化により色を変え、それによって、画像、テキスト、ロゴ、バーコードまたは他の模様の形状でコード化可能である情報を明らかにする。他の実施形態において、異なる指標因子の変色は、特定の画像、テキスト、ロゴ、バーコードまたは他の模様を、別の、定義済みであるが異なる、画像、テキスト、ロゴ、バーコード、または他の模様に、切り替える。
【0044】
指標因子は、様々な度合いの同一刺激にも影響されやすいと思われる。例えば、指標因子の2つ以上の異なる領域がl個々に、特定の刺激(すなわち、温度、圧力、または溶媒)に応答するCSSPを有する一方で、異なる領域が異なる温度、異なる圧力で、または異なる溶媒で、色の変化を示す場合もある。したがって、2種類以上の異なる温度、圧力、または溶媒がパッケージの完全な確認に必要とされる場合もある。
【0045】
一実施形態において、指標因子は、偽造に対する品目の真正性または商標設定の指標として、パッケージ被印刷物上に被覆される。そのような指標因子は、ブランド製造者に知られていると思われ、一方で偽造者には知られていない。例えば、ブランド製造業者はバーコードを適用し、この例では単純化という理由から、バーコードは2本のバー、すなわち左側のバーと右側のバーを有する。所定量の熱または圧力を加えること、あるいは一種類の溶媒または複数の溶媒を組み合わせたものを適用することで、一方または両方のバーの色が変化するようにしてもよい。しかし、偽造者が指標因子を印刷し、マークの色および他の識別部分をコピーしようと試みる場合、どちらのバーの色が変化するか、またはバーの色が変化するのかどうかが不明であることから、複製は困難である。さらにまた、所定の複雑なバーコードまたは他の模様もしくは複雑な商標識別パターンを組み込むことが可能であり、またそれらをランダムに、または所定の間隔で変化させることが可能であることから、偽造の企てに対してさらなる複雑さが加わる。1つの実施形態において、視覚的に類似のパターンを、CSSPに基づく切換可能なパターンの次に印刷することが可能である。刺激が与えられると、切換可能なパターンが変化して、切り替え可能ではないパターンに一致することで、真正性を迅速に認証するための手段を提供する。
【0046】
もう一つの実施形態によれば、指標因子が温度センサーとして使われる可能性がある。温度センサーを、パッキングまたは表示の履歴記録(すなわち熱履歴)が要求されるパッケージングまたは表示で用いることが可能である。センサーの温度読み取りを、温度計、テキスト、バーコード、または他の模様もしくは記号の形で、指標因子として被印刷物上に印刷または被覆することが可能である。特定の温度を超えると、指標因子の色が変化することで、特定の温度を上回ったこと、または特定の温度が達成されたという事実が明らかになる。例えば、観察者に知られている特定の温度を超えた場合に、単一の指標因子の色が変えるようにしてもよい。あるいは、温度は数値としての指標因子で、またはコードの形態で、発現されるものであってもよく、指標因子が露出される温度を観察者が決定できるように、該コードは種々の温度で特定のパターンとして、現れる。明確なガラス転移温度を有するCSSPを、いくつかの実施形態では5℃以内、いくつかの実施形態では4℃以内、いくつかの実施形態では3℃以内、いくつかの実施形態では2℃以内、いくつかの実施形態では1℃以内、あるいはさらに他の実施形態では、1℃未満に、温度を決定するように、温度指示指標因子で用いることが可能である。わずかに変化するTgを有する一組の多数の指標因子領域によって、温度センサーをよりいっそう高精度にする(図2)。
【0047】
重合性CSSPが温度センサーで反応する温度は重合物質の化学的性質に関係しており、このことはCSSPに対して観測されるガラス転移温度に寄与する。例えば、特定の重合体は、対応するガラス転移温度(Tg)を有する。しかし、重合体が観察可能な変化を示す速度は、該重合体によって作られた品目の寸法に依存する。粒径分布(PSD)が狭いと、観察可能な変化がよりいっそう均一になり、より拡散するPSDとは反対に、より深いカラーインプレッション(color impression)が可能となる。
【0048】
そのような温度センサーが使われる可能性がある方法は、使用者の想像力だけによって制限される。食物または医薬のような品目は、輸送の間に熱にさらされることで、有害な影響を受け得る。以下の例は、単に説明目的のためのものであり、なんらかの限定を加えるものではない。例えば、ある種の抗生物質は感温性があり、その材料に対する高温の有害作用を回避するために、出荷の間、より冷たい温度が必要とされる。他の医薬もまた、高温にさらされることによって、悪影響を受けていることが知られている。他の例として、ワインの積荷または他の食物の積荷が挙げられ、ここでは所定の温度にさらされることで、風味に変化が生ずる。殺菌および非殺菌食品は、高温にさらされることで悪影響を受ける場合がある。例えば、低温殺菌では、低温殺菌される材料が所定の時間にわたって66℃の温度で加熱されることが必要とされる。現在の指標は、低温殺菌が完全だったという判断を助けることができる。新規な品目は、そのような温度センサーを組み込むことが可能である。そのような温度センサーまたは指標は、出荷パッケージングまたは製品パッキングに関して、製品完全性を確実にするのに用いることが可能である。
【0049】
所定の温度にさらされる内容物を受取人に搬送するためのバルク材のパッケージング、または個々の容器にも、温度センサーを組み込んでもよい。あるいは、「使用不可」または「熱暴露」あるいは「食品はミディアム/ウェルダウン、その他」というメッセージを、温度センサーとして用いることで、内容物が使用目的にはもはや好適ではないことを警告することが可能である。あるいは、所定の温度を上回ったことを、変色によって明確にと示すことが可能である。例えば、変色は色キーに対応するものであってもよく、また変色は温度曝露に影響を受けない同じ色のブロックに対する温度センサーの比較を介するものであってもよい。
【0050】
温度表示を提供することに加えて、被印刷物が所定温度にさらされた延べ時間も決定することが可能である。なぜなら、CSSPを含有する指標因子の変色は、指標因子がある被印刷物がさらされる温度と該露出の延べ時間とを結びつけることから、変色の程度を、所定温度にどれぐらい長くさらされたかを測定するのに用いることが可能である。いくつかの実施形態において、数分の露出から数時間、数週間までの露出は、容易に検出可能と思われ、また該露出を、特定の限界内に露出時間を決定するための基準に、調整することができる。別の実施形態では、低温殺菌および/または殺菌をモニターすることができる。CSSPの正確な時間温度プロフィールでは、各々の用途に対して校正されることが必要となる場合がある。
【0051】
特定の実施形では、同定指標因子は含有されない。CSSPは、被印刷物の一領域に塗布された後、同定指標因子が可視化されないようにして、CSSPを含有する別の指標因子が被印刷物の少なくとも同一領域に塗布される。同定指標因子を表わすために、外部刺激を与える。外部、すなわち環境による刺激は、CSSPの散乱性の変化を引き起こし、したがって下にある識別印を現すことが可能である。いくつかの実施形態において、同定指標因子によって、色が変り、下にある指標因子が現れる。一実施形態では、方法はまた、同定指標因子を観察することも含む。ひとたび同定指標因子が観察されることによって、消費財パッケージの認証が生じることも可能である。
【0052】
方法は、さらに、一つ以上の付加的な同定指標因子を、消費財パッケージ上に、適用することを含むものであってもよい。異なる外部の刺激に影響されやすい同定指標因子の異なる領域を、用いることが可能である。このことによって、種々の刺激または異なる環境下での消費財パッケージの同一性または真正性が見られることを、考慮に入れてもよい。例えば、複数の領域の1つにあるCSSPは、特定の温度範囲の熱の存在下で、散乱性に変化を有するものであってもよく、また他の領域で圧力または溶媒の適用によって、散乱性を変えるものであてもよい。従って、少なくとも2種類の外部の刺激が、消費財パッケージを認証するか、偽の標識のために必要とされる複雑さの程度を増加させるために必要な同定指標因子の十分な量がみられるために必要なことがある。
【0053】
1つの実施形態によれば、CSSPを含む同定指標因子を、温度センサーに組み込んでもよい。温度センサーを、パッキングまたは表示の履歴記録が要求されるパッケージングまたは表示に用いることが可能である。センサーの計測温度を、指標因子として被印刷物の上に印刷または被覆することが可能である。コーティングの温度依存特性は、CSSPのコーティングへの取り込みによって付与される。
【0054】
温度指示指標因子が温度目盛である場合、同定指標因子の複数の領域を用いて、個々の温度に対応する尺度で温度を現すことが可能である。複数の領域の各々は、その領域のCSSPが変形する対応温度を個々に有する。複数の指標因子領域によって確認される温度尺度を有する被印刷物が加えられた温度にさらされるとき、対応CSSPが加えられた温度未満である温度で変形する全ての同定指標因子領域は、下にある温度表示を変形させて現す。
【0055】
二部コーティングを、同定または固有識別方式に組み込むことも可能である。同定システムを、パッケージングまたは表示で用いてもよい。同定システムは、隠蔽用指標因子の一つ以上の領域の近傍に隠蔽される同定指標因子の一つ以上の領域を使用するものであってもよい。隠蔽用指標因子の各領域は、粒径分布が狭い複数のCSSPと着色剤とを含む。
【0056】
同定指標因子を、被印刷物上に印刷または被覆してもよい。同定指標因子は、記号、一つ以上の語、バーコード、着色した指標因子、またはそれらのいずれか二個以上の組合せであってもよい。同定指標因子によって、何らかの意味または識別表示が観察者に伝わる。例えば、被印刷物は、識別印を必要とするパッケージングまたは表示であってもよい。表示が必要となる、または特定の事象で引き起こされる時間まで、印を隠しておくことが必要な場合もある。そのような点で、同定指標因子の少なくとも一部分のCSSPが、下にある同定指標因子を変形させて明らかにする、第1の外部刺激を適用することが可能である。
【0057】
1つの実施形態においては、同定指標因子は、その周囲の領域と同一色で色づけられている。外部の刺激の使用に応じて、指標因子が周囲の領域より異なる色であるように、同定指標因子のCSSPで色の変化のため下にある指標因子が現れる。他の実施形態においては、同定指標因子は、その周囲の領域のそれとは異なる色である。外部の刺激の使用に応じて同定指標因子のCSSPは、周囲の媒体の色に一致するために同定指標因子の見かけ上の色を変えることで、それを偽装して観察されないようにする。
【0058】
同定指標因子の複数の領域を被印刷物に適用してもよく、同定指標因子の各領域を、異なる外部の刺激に対して異なる反応を示すものとしてもよい。例えば、刺激が熱であって、第1の温度が適用される場合、識別表示指標因子CSSPのわずか1つが変形して指標因子を現してもよい。次に、より高い温度である第2の温度を適用することで、他の領域にあるCSSPを変形させてもよい。そのような複数のシステムを用いることが可能である。同様に、領域を個々に調製して、異なる温度、異なる溶媒、もしくは異なる圧力、あるいはこれらのいずれかの組み合わせと反応するようにしてもよい。
【0059】
この明細書中で言及される、刊行物、特許出願、公布された特許、および他の文献のすべを、あたかも、個々の刊行物、特許出願、成立特許、または他の書類を、具体的に、かつ個々に、その全体を参照により援用されるものとして、本明細書中に参照し援用する。参照により援用される文章に含まれる定義は、この開示における定義を否定する範囲のものは除外される。
【0060】
したがって、本実施例は、以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるように、概ね記載され、実例として提供されるもので、いかなる形態であれ、本発明の技術を制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0061】
略語:
次の略号が本明細書全般で使用されている。
APSは、過硫酸アンモニウム;
CSSPは、色彩的に選択可能な散乱粒子;
DI水は、脱イオン水;
は、個数平均径;
は、重量平均径:
EHAは、2‐エチルヘキシルアクリラート;
HEAは、アクリル酸‐2‐ヒドロキシエチル;
MAAは、メタアクリル酸;
STは、スチレン;
および、Tはガラス転移温度である。
測定と器材:
【0062】
エマルジョン類の粘度を、Brookfield Model DV-II+粘度計で測定した。これらの測定に使われる主軸径およびRPMを提供する。エマルジョン類の粒径を、Matec Instruments社のCapillary Hydrodynamic Fractionation (CHDF)モデル2000を用いて測定した。Dn値およびDw値を報告する。エマルジョン類の非揮発性含有量を、145℃で30分間、オーブンで加熱した約1g寸法の試料の減少量から、測定した。pHメータを用いてpHの測定を行った。
【0063】
特に明記しない限り、下表に示す量は、グラム(g)である。
【0064】
実施例1:シードラテックス(Seed Latex)。
容器内で、単量体混合物を、MAA(23.9g)、HEA(26.4g)、EHA(83.8g)、ST(703.5g)、75重量%ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム水溶液(Aerosol OT-75)(10.9g)、およびDI水(249.9g)を混合することで、調製した。
【0065】
次に、単量体混合物(219.7g)のアリコートを、75℃でDI水(783g)を含有する加熱した別個の3リットル反応器に、添加した。ASP(3.0g)を、別個にDI水(12.0g)中に溶解し、反応器に添加し、その後さらにDI水(38.3g)を追加し、混合物を撹拌した。
【0066】
反応器温度を、80℃直下に維持した。20分間撹拌した後、上記のように調製された単量体混合物の残部を、100分間にわたって一定速度で、反応器に供給した。単量体の供給が完了した後、反応物を60℃に保持し、その後、反応物を冷却し、DI水(75g)を添加することで、エマルジョンを形成した。
【0067】
結果として生ずるエマルジョンは、非揮発性含有量が42%であり、pHが2.0であった。エマルジョン重合体の粒径をCHDF装置で測定したところ、Dn=116nmおよびDw=120mmを有することが判明した。
【0068】
品目
実施例2〜5:Tgを変えた種ラテックスより作られた赤色および青色のモノ分散スチレン−アクリル・エマルジョン・ラテックス。CSSPを、製品識別アプリケーションのためのシードされたプロセスを用いて、作製した。調整方法を表1に示す。
【表1】

【0069】
実施例2〜5の各々に対して、以下のプロセスを用いた。表1の品目Aを、温度が制御され、かつ撹拌された1リットル反応器に添加し、表1の設定温度に加熱した。次に、混合物Bを別個に調製し、約10%の混合物Bを反応器に添加し、その後、品目Cを添加した。混合物Dもまた、別個調製し、反応器に添加した。添加が完了した後、反応器内容物を指定温度に15分間保持した。その後、混合物Bの残部を表1に規定した時間にわたって添加した。
【0070】
次に、品目EおよびFを添加し、反応を5分間保った。次に、混合物Gを3分間ないし20分間にわたって徐々に添加した。さらに5分間保持した後、反応を55℃以下に冷やした。次に、混合物H、I、およびJを順番に添加した。実施例2〜5の物理的特性を表2に示す。
【表2】

【0071】
実施例6〜9。次に、実施例2〜5を用いたインク試料を調製した。インク試料を、カーボンブラック分散を用いて処方し、量を表3に示す。ドローダウンは、#12巻き線型ロッドを用いて、インク試料の各々で、実施した。乾燥後、次に、インク試料を、白色およびクラフト製紙原料の両方にわたって、白色について試験した。試料に対して、色に影響を及ぼす熱処理を行った。結果を表4に示す。
【表3】

【表4】

【0072】
色の色度および明度によって、色を特徴付けることが可能である。色を指定かつ分類する最も広く使われているシステムは、Commission Internationale de l’Eclairage (CIE)によって、1931年に採用された。1976年に改訂されたCIEシステムでは、3次元”L”、”a”、および”b”チャートを用いる。ここで、”a”および”bは、互いに直角の平面色度座標であり、“L”は色度座標を含む平面に対して直角の明度座標である。このチャートでは、”+a”値は、赤色色相に対応し、正反対の端の”−a”値は、緑色色相に対応し、”+b”値は、黄色色相に対応し、さらに、正反対の端の”−b”値は、青色色相に対応する。色の明度は、”L”軸に沿って測定される。それによって、より高い、”L”値は、高輝度の光に対応し、より低い、”L”値は、低輝度の光に対応する。低または負の、”L”値は、より灰色に対応しており、黒色が含まれる。一方、高または正の、”L”は、より明るく、白(色)に対応する。このように、このチャートを用いて、どんな色でも、その色度と明度によって三次元的に特徴づけられる。例えば、より高い”b”値はより黄色がかった色とより少ない青っぽい色を表し、低い”b”値はより青っぽい色とより少なく黄色がかった色を表す。
【0073】
表4では、10分間、80度後の白色用紙上の実施例6〜9のΔE値は、それぞれ19.08、19.34、0.10、および0.02である。
【0074】
実施例10:写真分析。実施例6−〜9をクラフト用紙上に縮小し、空気乾燥した。この用紙を4つの部分に切断し、その後、並べて分析するためにテープでつなぎ合わせる前に、熱処理を施した。熱処理後の用紙およびインク試料の写真を図3に示す。図3において、熱処理を以下のように行った。(1)中央右側に見られるように、加熱なし:(2)奥右側切片に見られるように、55℃で10分間:(3)中央左側に見られるように、75℃で7分間、(4)奥左側に見られるように、170℃で30分間。Tgが低い2種類のCSSインクは、75℃処理によって、黒色への顕著な色変化が起こることが判明したが、他の2種類のインクの色は変色しなかった。試料が配置されたオーブンは、強制換気付きであった。
【0075】
実施例11:ΔE対時間測定。実施例8を、金属箔を裏打ちしたクラフト用紙上に縮小し、空気乾燥した。材料を切断して複数の小片にし、被印刷物に触れないように、かつ巻取を予防するために、固定した。小片を、種々の時間にわたって75℃で、無送風式恒温器内に置いた。小片を、間をおいて引き抜き、携帯デンシメータを用いて色を測定した。結果は以下の通りである。実施例8および表4に関して上記したように、ΔEによって表現される最終変色は約19である。実施例13:60℃で、すなわち、15時間以上の曝露でなんら変化が見られなかった。すなわち、ΔE=0。
【0076】
実施例12:実施例11と同様に、実施例8を、金属箔を裏打ちしたクラフト用紙上に縮小し、空気乾燥した。材料を切断して複数の小片にし、被印刷物に触れないように、かつ巻取を予防するために、固定した。小片を、種々の時間にわたって60℃で、無送風式恒温器内に置いた。小片を、間をおいて引き抜き、携帯デンシメータを用いて色を測定した。60℃では、ΔEは、恒温器内に置かれてから15時間後、ゼロに等しかった。
【0077】
本開示は、この出願で説明される特定の実施形態に限定されるものではない。多くの修正変更を、その精神および範囲(当業者にとって明らかである)を逸脱しない範囲で行うことができる。開示の範囲内の機能的に等価の方法、処方、および装置は、この本明細書に列挙されるものに加えて、前述の説明から当業者にとって明らかである。そのような修正変更は、添付の請求の範囲内になることを目的とする。現在の開示は、添付した特許請求の範囲の用語のみによって制限されるものではなく、そのような請求項が与えられる等価物の完全な範囲を伴う。この開示が、変更可能な特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物学的システム(もちろん、これらは変化する)に限定されるものではない。本明細素中の用語が特定の実施形態だけを述べるためにあって、制限することを目的としないとも理解される。
【0078】
加えて、開示の特徴または態様がマーカッシュ群により記載された場合、当業者は、開示がマーカッシュ群の個々の要素でもまたは従属群の要素に関してもそれによって記述されることを認識するであろう。
【0079】
すべての目的のために、特に明細書を提供する観点から、当業者によって理解されるように、本明細書中に開示されるすべての範囲は、すべての可能性がある部分範囲とその部分範囲の組合せを含む。提示された範囲のいずれも、少なくとも等半分、三分の一、四分の一、五分の一、十分の一等に分割された同一範囲を十分に説明および可能にするものとして、容易に認識され得る。非限定的な例として、この中で検討される各範囲は、下側の三分の一、中央三分の一、および上側三分の一などに直ちに分類されることができる。当業者によっても理解されるように、例えば、「超過」、「少なくとも」、「上回る」、「未満」、その他等のすべての言語には、列挙かつ範囲に言及した数が含まれ、その後、これらの数を上記のように部分範囲に分類することができる。最後に、当業者によって理解されるように、範囲には、個々の要素が含まれる。このように、例えば、1〜3個のセルを有する基は、1つ、2つまたは、3つのセルを有する基のことをいう。同様に、1〜5個のセルがある基は、1、2、3、4または5つのセルを有する基のことをいうといったようになる。
【0080】
本発明を記載する文脈内の(特に、以下のクレームの文脈)を記述する用語「1つの」(「a」、「an」)および「前記」(「the」)ならびに類似の指示対象を用いる場合、単数および複数の両方を包括する構成となっており、さもなければ、文脈によって明確に拒否される。用語「から構成される」、「有する」、「含む」、および「含有する」は、特に明記しない限り、非限定語句として、構成される(すなわち、「限定されるものではないが、〜を含む」。本明細書中の値の範囲の説明は、特に明記しに限り、範囲に入る各々の別の値を個々に言及する短くする、省略法として、機能することを言い、また、個々に本明細書中に援用されるように、各々の別個の値が明細書に取り込まれる。本明細書中に記載されるすべての方法は、特に本明細書中に明記していない限り、あるいは明確に否定されない限り、任意の適当な順番で実施される。任意かつ全ての実施例の使用、または本明細書中で提供される典型的な言語(例えば、「such ...as」)は、請求されない限り、すべての例の使用またはここに提供されている典型的な言語(例えば、「例えば」)は単によりよく発明を照らすだけのことを目的として、発明の範囲に対する制限を加えるというわけではない。明細書の言語は、請求されない構成要素が発明の実行にとって本質的であるようには構成されるべきではない。
【0081】
本明細書中に使用されるように、「約(about)」は、当業者によって理解されて、それが使われる文脈によって、ある程度変化する。当業者に自明ではなく、それが使われる文脈を与えられる用語を使う自由がある場合、「約」は、特定の用語の最大プラス/マイナス10%を意味する。
【0082】
さまざまな態様と実施形態が本明細書中に開示される一方で、他の態様と実施形態は当業者にとって明らかである。本明細書中に開示される全ての態様および実施形態は、以下の特許請求の範囲によって示される範囲および精神によって、説明のためのものであって、限定することを意図したものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境刺激に対する被印刷物質の曝露を明らかにする方法であって、
前記被印刷物を前記環境刺激にさらすことを含み;
ここで:
前記被印刷物は、少なくとも1つの指標因子を含み、該少なくとも1つの指標因子の各々が、(重量平均径)/(個数平均径)が約1.1以下と測定される粒径分布を有する複数の色彩的に選択可能な散乱粒子と、着色剤とを含み;
さらに、前記少なくとも1つの指標因子は、前記環境刺激に反応して色の変化を示す、方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、前記環境刺激が熱、圧力、液体、または蒸気である、方法。
【請求項3】
請求項1の方法であって、前記色彩的に選択可能な散乱粒子が重合体粒子を含む、方法。
【請求項4】
請求項3の方法であって、前記重合体粒子のガラス転移温度が約20℃ないし約180℃である、方法。
【請求項5】
請求項4の方法であって、前記ガラス転移温度が約40℃ないし約140℃である、方法。
【請求項6】
請求項1の方法であって、前記着色剤が染料または色素である、方法。
【請求項7】
請求項1の方法であって、前記着色剤がカーボンブラックである、方法。
【請求項8】
請求項1の方法であって、前記被印刷物が、紙、板紙、プラスチックフィルム、またはフォイルである、方法。
【請求項9】
請求項1の方法であって、前記少なくとも1つの指標因子が、模様、ロゴ、画像、またはテキストである、方法。
【請求項10】
請求項1の方法であって、前記少なくとも1つの指標因子が前記環境刺激に関する情報を提供するように構成される、方法。
【請求項11】
請求項1の方法であって、前記少なくとも1つの指標因子が、少なくとも第1の指標因子および第2の指標因子であること;および
前記第1の指標因子に含まれる色彩的に選択可能な散乱粒子のガラス転移温度が、前記第2の指標因子に含まれる前記色彩的に選択可能な散乱粒子のガラス転移温度と異なる、方法。
【請求項12】
請求項11の方法であって、前記色の変化の観察にもとづいて、前記被印刷物を含む製品の熱履歴を同定することを、さらに含む、方法。
【請求項13】
請求項11の方法であって、前記色の変化の観察にもとづいて、前記被印刷物を含む偽造製品を同定することを、さらに含む、方法。
【請求項14】
請求項1の方法であって、前記色彩的に選択可能な散乱粒子が乳化重合体または他のタイプの重合体コロイドを含む、方法。
【請求項15】
請求項1の方法であって、前記色彩的に選択可能な散乱粒子の前記重量平均径が、約125nmないし約700nm、約125nmないし約150nm、約150nmないし約175nm、約175nmないし約200nm、約200nmないし約225nm、約225nmないし約250nm、約250nmないし約275nm、約275nmないし約300nm、約300nmないし約325nm、約325nmないし約350nm、約350nmないし約375nm、約375nmないし約400nm、約400nmないし約425nm、約425nmないし約450nm、約450nmないし約475nm、約475nmないし約500nm、約500nmないし約525nm、約525nmないし約550nm、約550nmないし約575nm、約575nmないし約600nm、約600nmないし約625nm、約625nmないし約650nm、または約650nmないし約700nmである、方法。
【請求項16】
請求項1の方法であって、前記色彩的に選択可能な散乱粒子が、ビニル芳香族モノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、および(メタ)アクリレートモノマー、あるいはこれらの混合物から重合される重合体粒子を含む、方法。
【請求項17】
請求項1の方法であって、前記色彩的に選択可能な散乱粒子が、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸‐2‐ヒドロキシエチル、2−エチルヘキシルアクリラート、あるいはこれらの2種以上の混合物から重合される重合体粒子を含む、方法。
【請求項18】
請求項1の方法であって、前記色彩的に選択可能な散乱粒子が、シリカ粒子、ガラス粒子、および二酸化チタン粒子からなる群から選択される無機粒子を含む、方法。
【請求項19】
請求項1の方法であって、前記色彩的に選択可能な散乱粒子が固形状の球粒子と中空状の球粒子との混合物である、方法。
【請求項20】
請求項1の方法であって、前記色彩的に選択可能な散乱粒子と周囲媒体との屈折率の比率が少なくとも約1.2である、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−526908(P2012−526908A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510967(P2012−510967)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/034483
【国際公開番号】WO2010/132528
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(510021029)バスフ コーポレーション (5)
【氏名又は名称原語表記】BASF CORPORATION
【Fターム(参考)】