説明

印刷条件設定装置、プリンタードライバープログラム

【課題】 様々なアプリケーションプログラムから印刷を要求する際、少ない操作で最適な印刷条件を設定できるようにする。
【解決手段】 アプリケーションプログラムごとに、当該アプリケーションプログラムの要求に応じて印刷を実行する際の印刷条件について最適化された設定値を定めるプリセット情報のデータベースを管理し、印刷を要求されると、印刷を要求するアプリケーションプログラムに対応する前記プリセット情報を前記データベースから取得し、取得した前記プリセット情報が定める設定値を提示するする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷条件設定装置、プリンタードライバープログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタードライバーが提供するGUI(Graphical User Interface)において、印刷条件の設定値群が対応付けられた複数のシンボル(アイコン)を提示し、ユーザーがその中のいずれかのシンボルを選択すると、当該シンボルに対応付けられた印刷条件の設定値が適用される技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−182871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、印刷条件の大部分の設定値に関しては全てのアプリケーションプログラムに共通の設定値を適用したいが、特定の設定値に関しては、印刷を要求するアプリケーションプログラムに応じて異なる設定値を適用したいという場合がある。特許文献1では、異なるアプリケーションプログラムから印刷を要求しても、同一のシンボルを選択すると一通りの設定値の組み合わせしか印刷条件として自動設定できず、アプリケーションプログラムに固有の設定値を設定する印刷条件については手動で設定しなければならない。
【0005】
様々なアプリケーションプログラムから印刷を要求する際、少ない操作で最適な印刷条件を設定できるようにすることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するための印刷条件設定装置は、アプリケーションプログラムごとに、当該アプリケーションプログラムの要求に応じて印刷を実行する際の印刷条件について最適化された設定値を定めるプリセット情報のデータベースを管理するプリセット情報管理手段と、印刷を要求されると、印刷を要求するアプリケーションプログラムに対応する前記プリセット情報を前記データベースから取得し、取得した前記プリセット情報が定める設定値を提示する提示手段と、を備える。
【0007】
本発明によると、印刷を要求したアプリケーションプログラムに応じて、当該アプリケーションプログラムに最適化された設定値を、ユーザーに提示することができる。本明細書において、プリセット情報は、複数の設定項目(例えば、用紙サイズや用紙種類、カラー/白黒など)のそれぞれに対して最適化された設定値の集合体を指す。それら設定値の組み合わせで印刷条件が決定される。
【0008】
(2)上記目的を達成するための印刷条件設定装置において、前記プリセット情報管理手段は、アプリケーションプログラムごとに、印刷対象データの属性を示すドキュメントタイプ別に前記プリセット情報を管理し、前記提示手段は、印刷を要求するアプリケーションプログラムに対応付けられた複数の前記ドキュメントタイプを提示し、当該アプリケーションプログラムとユーザーが選択した前記ドキュメントタイプとに対応した前記プリセット情報が定める設定値を提示してもよい。
【0009】
本発明によると、同一のアプリケーションプログラムであっても選択されたドキュメントタイプによって異なるプリセット情報を提示することができる。また、異なるアプリケーションプログラムから印刷を要求する際に、ユーザーが同一のドキュメントタイプを選択したとしても、全く同じプリセット情報を提示するのではなくて、アプリケーションプログラムに応じたプリセット情報を提示することができる。ドキュメントタイプとは、印刷対象データをその属性に応じて分類する識別子としての分類名で例えば、「写真」、「文書」、「ハガキ」などと考えることができる。同じドキュメントタイプを選択するということは、印刷条件の設定値に共通点が多いことを示唆している。しかしながら、同じドキュメントタイプを選択したとしても、印刷対象データを編集しているアプリケーションプログラムに応じて、最適な設定値が異なる設定項目も存在しうる。本発明によると、アプリケーションプログラムによらず最適設定値が共通である設定項目も、アプリケーションプログラムごとに最適設定値が共通でない設定項目も、ドキュメントタイプを選択することにより一度に設定可能である。従って、従来技術のように複数のアプリケーションプログラムについて最適な設定値が共通でない設定項目に関してユーザーが個別に手動で値を設定する必要はなく、少ない操作で最適な印刷条件を設定することができる。
【0010】
(3)上記目的を達成するための印刷条件設定装置において、前記プリセット情報管理手段は、前記複数のドキュメントタイプに関して、アプリケーションプログラムごとに最適化された提示優先度順を管理してもよい。その場合、前記提示手段は、印刷を要求するアプリケーションプログラムに対応する前記提示優先度順に前記ドキュメントタイプを提示してもよい。
【0011】
最適化された提示優先度順とは、例えば、あるアプリケーションプログラムに関して選択される頻度が高い順(当該アプリケーションプログラムが扱う印刷対象データの属性であって扱う回数が多い順)を想定してよい。アプリケーションプログラムごとに最適化された提示優先度順にドキュメントタイプを提示することによって、そのアプリケーションプログラムにおいて最もよく印刷される属性の印刷対象データを印刷しようとするとき、選択すべきドキュメントタイプを選択しやすくすることができる。
【0012】
(4)上記目的を達成するための印刷条件設定装置において、前記プリセット情報管理手段は、印刷を要求するアプリケーションプログラムに対応する前記プリセット情報が前記データベースに保持されていない場合は、通信回線を介してサーバーデータベースから当該アプリケーションプログラムに対応する前記プリセット情報を取得してもよい。
本発明によると、アプリケーションプログラムに対応するプリセット情報がデータベースに保持されていない場合であっても、通信回線を介して当該プリセット情報を取得することができるので、ユーザーによる印刷条件の設定操作の手間を軽減することができる。
【0013】
(5)上記目的を達成するための印刷条件設定装置においては、前記アプリケーションプログラムごとに、設定項目の表示優先度が最適化されたUI構成情報を管理するUI構成情報管理手段を備えてもよい。その場合、前記提示手段は、印刷を要求したアプリケーションプログラムに対応するUI構成情報に基づいて、前記アプリケーションプログラムに最適化されたプリセット情報が定める設定値を提示してもよい。
【0014】
印刷を要求するアプリケーションプログラムの違いによって、あるいはさらにユーザーが印刷対象データのドキュメントタイプを選択することによって、自動的に当該印刷対象データを印刷する際に最適とされる設定値がまとめて設定されるが、場合によっては設定済みの設定値の微修正も必要になることがある。例えば、ドキュメントタイプを選択することによって自動的に設定された設定項目の一部を別の設定値に変更したい場合や、ドキュメントタイプを選択することによって自動的に設定されない設定項目(プリセット情報に含まれない設定項目)についてユーザーが個別に設定したい場合等である。また、印刷条件がどのように設定されているか印刷を実行する前に目で確認したいという要望があることも考えられる。本発明によると、アプリケーションプログラムごとに最適化された表示優先度に従って印刷条件設定メニューを提示することができるため、上記のような場合に設定値を変更したり新たに設定したりする頻度の高い印刷条件に対応するメニューや、ユーザーが設定値を確認したいと考えるであろう設定項目に対応するメニューを優先的に提示することができる。設定変更したり新たに設定したり、あるいは設定値がどのようになっているかユーザーが確認したいと考える設定項目が優先的に表示されていると、ユーザーにとって使い勝手がよい。
【0015】
さらに、本発明のように、アプリケーションプログラムごとに、当該アプリケーションプログラムの要求に応じて印刷を実行する際の印刷条件について最適化された設定値を定めるプリセット情報のデータベースを管理し、印刷を要求されると、印刷を要求するアプリケーションプログラムに対応する前記プリセット情報を前記データベースから取得し、取得した前記プリセット情報が定める設定値を提示する手法は、この手法を実施するプログラムや方法の発明として適用可能である。また、以上のような手法を実施する印刷条件設定装置は、単独の装置によって実現される場合もあれば、複数の装置を組み合わせることによって実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、そのソフトウェアプログラムを記録する記録媒体としても発明は成立する。むろん、その記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】印刷条件設定装置の構成を示すブロック図。
【図2】プリセット情報データベースを説明するための図。
【図3】印刷条件設定処理の流れを示すフローチャート。
【図4】(4A)〜(4C)は印刷条件設定ウィンドウの構成を示す模式図。
【図5】(5A)〜(5C)は印刷条件設定ウィンドウの構成を示す模式図。
【図6】(6A)・(6B)は印刷条件設定ウィンドウの構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)印刷条件設定装置の構成:
(2)印刷条件設定処理:
(3)他の実施形態:
【0018】
(1)印刷条件設定装置の構成:
図1は、本発明にかかる印刷条件設定装置としてのコンピューター10の構成を示すブロック図である。コンピューター10は、RAM,ROM,CPU等を有する制御部20を備えており、ROMやハードディスク30に保存されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、制御部20は各種のアプリケーションプログラム21(以降、APPという)とプリンタードライバープログラム22(以降、DRVという)を実行可能である。
【0019】
コンピューター10は、図示しないインターフェースを介して、マウス、キーボードなどの入力機器を含む操作部40と、ディスプレイ41と電気的に接続されている。また、コンピューター10は図示しないインターフェースを介してプリンター42と電気的に接続されている。プリンター42は例えば、インクジェット式のプリンターで構成される。その他の方式で印刷を実行するプリンターであってももちろんよい。プリンター42のドライバープログラムが前述のDRV22である。
【0020】
ユーザーが操作部40を操作して、コンピューター10にインストールされている各種のAPP21から印刷を要求すると、DRV22が起動され、DRV22を実行する制御部20は印刷条件の設定操作を受け付けるための印刷条件設定ウィンドウをディスプレイ41に表示する。印刷条件設定ウィンドウにてユーザーが印刷条件を設定したあと印刷実行を指示すると、設定された印刷条件に基づいてDRV22は、APP21から取得した印刷対象データを、プリンター42が印刷を実行するための形式の印刷データに変換し、プリンター42に送信する。プリンター42はコンピューター10から印刷データを受信すると、キャリッジおよび搬送部を駆動して印刷媒体に画像を形成する。
【0021】
本実施形態のDRV22は、上述のような一般的な機能の他に、様々なAPP21にそれぞれ割り当てられたドキュメントタイプごとに、印刷条件を決定する設定項目について最適化された設定値群(プリセット情報)とUI構成情報とを管理し、印刷が要求されると、UI構成情報に基づいてプリセット情報が定める設定値をユーザーに提示する機能を備えている。DRV22は、この機能を実現するために、プリセット情報管理部22aとUI画面構成情報管理部22bと提示部22cとを備えている。
【0022】
プリセット情報管理部22aは、APP21ごとに、さらにドキュメントタイプごとに、プリセット情報を管理する機能を制御部20に実現させるモジュールである。プリセット情報とは、複数の設定項目のそれぞれに対してAPPとドキュメントタイプごとに最適化された設定値群を意味する。設定値の組み合わせで印刷条件が決定される。設定項目としては例えば、「用紙サイズ」、「用紙種類」、「印字領域」、「給紙方法」、「カラー」、「印刷品質」、「色調整」などがある。設定値として、例えば「用紙サイズ」の設定項目については、A4、はがきといった用紙サイズを指し示す値などがあり、「用紙種類」の設定項目については普通紙、写真紙などのような用紙種類を指し示す値がある。設定項目にはその他のオプションが含まれていてもよい。プリセット情報は、APPごと、さらにドキュメントタイプごとにプリセット情報DB30aとして管理され、ハードディスク30に記憶されている。
【0023】
本実施形態においてドキュメントタイプとは、印刷対象データをその属性に応じて分類する識別子としての分類名である。ドキュメントタイプとして、本実施形態では、「写真」、「文書」、「ハガキ」、「CD/DVDレーベル」、「Webサイト」を規定する。「写真」とは例えばディジタルカメラによって作成された画像データが主要なコンテンツとして想定されている印刷対象データである。「文書」とは例えば文字データが主要なコンテンツとして想定されている印刷対象データである。「ハガキ」はハガキまたはハガキサイズの印刷媒体に印刷することが想定されている印刷対象データであり、「CD/DVDレーベル」はCDやDVDの表面に印刷することが想定されている印刷対象データである。このようなドキュメントタイプは、印刷条件設定ウィンドウにおいて提示され、ユーザーは提示されているそれらのドキュメントタイプのうちのいずれかを選択することができる。ドキュメントタイプ毎にプリセット情報を提示し選択させるので、ユーザーは直感的に複数の項目に最適化された設定値の組み合わせを、個々の設定値がもたらす効果や影響や機能について詳細に理解していなくても、選択することができる。ユーザーは自分が印刷しようとしている印刷対象データが属する分類を、表示されたドキュメントタイプから連想することが容易であるし、ドキュメントタイプを選択すればその属する分類に最適化された設定値が自動設定されるとユーザーにとって便利である。そのために、互いに大部分の最適設定値が異なる複数の印刷対象データグループを想定し、想定した印刷対象データグループ毎にそれらを連想できる名前を付け、それをドキュメントタイプとし、各グループに最適な設定値をプリセット情報として管理する。
【0024】
UI構成情報管理部22bは、APP21ごとに、さらにドキュメントタイプごとに、設定項目の表示組み合わせの態様が最適化されたUI構成情報をUI構成情報DB30bで管理する機能を制御部20に実現させるモジュールである。
【0025】
UI構成情報は、印刷条件設定ウィンドウでユーザーに提示する各種の設定項目の表示優先度情報を含み、各設定項目に対応するGUIウィジェットの種類・配置・大きさ・操作時のアクションなどを定義した情報を含んでいる。本実施形態では、APP21ごとでかつドキュメントタイプごとに、UI構成情報が対応付けられている。また、本実施形態では、印刷条件設定ウィンドウでユーザーに提示する各種の設定項目の表示優先度情報は、印刷条件設定ウィンドウ内の複数のタブのそれぞれへの設定項目の割り当て(組み合わせ)や、タブ内での設定項目の配列順を示している。
【0026】
提示部22cは、印刷を要求されると、印刷を要求するAPP21に対応し、かつユーザーが選択したドキュメントタイプに対応するプリセット情報が定める設定値を提示する機能を制御部20に実現させるモジュールである。またこのとき、印刷を要求するAPP21およびユーザーが選択したドキュメントタイプに対応するUI構成情報に基づいて、各設定項目の設定値を印刷条件設定ウィンドウに提示する機能を有している。
【0027】
コンピューター10の制御部20は、通信回線を介してサーバー50のハードディスク51に記憶されているプリセット情報DB51aおよびUI構成情報DB51bにアクセスすることができる。プリセット情報管理部22aとUI構成情報管理部22bは、上述の機能に加え、通信回線を介してプリセット情報DB51aおよびUI構成情報DB51bから必要な情報を取得する機能を有している。サーバー50のプリセット情報DB51aおよびUI構成情報DB51bは、予めユーザー環境情報の収集に協力することを承諾した複数のユーザーのコンピューターから通信回線を経由してユーザー環境情報を収集し、収集したユーザー環境情報に基づいて作成されている。
【0028】
より具体的には、OS、印刷に使用されたAPP、当該APPから印刷された回数、当該APPから印刷されたときに設定されていた印刷条件の設定値(用紙サイズ、印字領域、メディア、印刷品質、その他)、プリンター製品名、プリンターとの接続方法、DRVバージョン、などのユーザー環境情報が、所定のタイミングでサーバー50に送信される。そのタイミングは例えば、ユーザーがコンピューターから印刷を実行するごとである。あるいは、APPを終了するタイミングなどであってもよい。
【0029】
サーバー50に送信された、複数のユーザーからのユーザー環境情報に基づいて、プリセット情報DB51aおよびUI構成情報DB51bが生成され、更新される。プリセット情報DB51aおよびUI構成情報DB51bの生成および更新は、収集されたユーザー環境情報を用いてDRV開発者によって実施される。より具体的には、DRV開発者によって、ユーザー環境情報を基に、APPごとにAPPに対応するドキュメントタイプが規定され、さらにドキュメントタイプごとにプリセット情報が決定されていく。図2はこのようにして構築されたプリセット情報DB51aの例を示している。UI構成情報DB51bは、前述したUI構成情報の集合体であり、プリセット情報DB51aと同様にAPPおよびドキュメントタイプごとに管理されている。サーバー50のプリセット情報DB51aおよびUI構成情報DB51bは、複数のユーザーのコンピューターから送信されてきたユーザー環境情報によって新規に追加されたり、変更されたりする。
【0030】
プリンターDRV22のインストールデータを記録した記録媒体には、その時点におけるプリセット情報DB51aおよびUI構成情報DB51bと同等のデータが記録されており、ユーザーがコンピューター10にプリンターDRV22をインストールする際に、プリセット情報DB30aおよびUI構成情報DB30bがハードディスク30に生成される。あるいは、インストールする際に、通信回線を介してサーバー50からプリセット情報DBおよびUI構成情報DBを取得する形態でもよい。
【0031】
(2)印刷条件設定処理:
図3は、コンピューター10にインストールされている任意のAPP21から印刷を実行する際に制御部20によって実行される印刷条件設定処理のフローチャートである。APP21から印刷条件の設定を要求されると、印刷条件設定ウィンドウをディスプレイ41の画面に表示するためのDRV22の処理が制御部20により実行される。まず、制御部20は、印刷条件設定ウィンドウを開くことを要求するAPP21の名称を取得し(ステップS100)、当該APP21に対応するプリセット情報がプリセットDB30aに含まれているか否かを当該APP21の名称をキーとして判定する(ステップS105)。当該APP21に対応するプリセット情報がプリセット情報DB30aに含まれている場合は、プリセット情報DB30aから当該APP21に対応するドキュメントタイプを取得し、印刷条件設定ウィンドウにプリセット情報DB30aから取得したドキュメントタイプを提示する(ステップS110)。例えば図4Aの「ドキュメントタイプ」メニューm0に示すようにドキュメントタイプとして「文書」、「はがき」、「Webサイト」を選択可能に提示し、ユーザーに選択させる。ドキュメントタイプには予め提示優先度が決められており、デフォルトでは提示優先度が最も高いドキュメントタイプが選択された状態で表示される。ドキュメントタイプの提示優先度の詳細については後述する。
【0032】
提示されたドキュメントタイプの中から、ユーザーがいずれかのドキュメントタイプを選択する操作を行うと、制御部20はユーザーによって選択されたドキュメントタイプを取得し、続いて当該ドキュメントタイプに対応するプリセット情報とUI構成情報をプリセット情報DB30aおよびUI構成情報DB30bから取得し、印刷条件設定ウィンドウにおいてそのプリセット情報が反映された状態で表示する(ステップS115)。すなわち、プリセット情報には、任意の設定項目についてその最適な設定値が登録されており、ステップS115では、プリセット情報で規定されている各設定項目に最適な設定値が設定された状態で印刷条件設定ウィンドウの表示がなされるということである。例えば、印刷を要求するAPP21が「A社製ワードプロセッサ」であり、ユーザーが選択したドキュメントタイプが「文書」である場合は、プリセット情報DB30a(図2参照)の「A社製ワードプロセッサ」・「文書」ドキュメントタイプに対応するプリセット情報が定める設定項目の最適設定値が選択された状態で印刷条件設定ウィンドウに表示される(図4B参照)。なお、図4Aにおいてユーザーが「ハガキ」や「Webサイト」を選択すれば、そのドキュメントタイプに対応するプリセット情報が定める設定項目の最適設定値が選択された状態で提示される。すなわち、同一のAPP21から印刷を要求する場合であっても、選択されたドキュメントタイプによって異なる設定値を提示することができる。
【0033】
ユーザーが印刷条件設定ウィンドウの印刷実行ボタンb1を押すと、制御部20は、設定されている印刷条件で印刷実行する(ステップS120)。具体的には、設定されている印刷条件に従って印刷対象データをレンダリングし、解像度変換、色変換、並べ換えの処理を施し、処理後のデータをプリンター42に送信する。
【0034】
なお、印刷条件設定ウィンドウを開くことを要求しているAPP21が、例えば図2に示す「B社製テキストエディタ」であるとすると、「B社製テキストエディタ」に対応付けられているドキュメントタイプは「文書」のみであるので、図5Aに示すように「文書」ドキュメントタイプが提示されると同時に「文書」ドキュメントタイプがデフォルト選択された状態となる。図2に示すように、ドキュメントタイプが「文書」と同じであっても、前述の「A社製ワードプロセッサ」の「文書」ドキュメントタイプと、「B社製テキストエディタ」の「文書」ドキュメントタイプとでは、プリセット情報の内容が異なっている。そのため図5Bに示すように、図4Bとは異なる設定値が設定された状態で表示される。
【0035】
すなわち、図4Bに示すように「A社製ワードプロセッサ」の「文書」ドキュメントタイプの場合「カラー」メニューm6は「カラー」に設定されているが、図5Cに示すように「B社テキストエディタ」の「文書」ドキュメントタイプの場合は「グレースケール」が設定されている。すなわち、異なるAPPから印刷を要求する際に、ユーザーが同一のドキュメントタイプを選択したとしても、全く同じプリセット情報を提示するのではなくて、APPに応じたプリセット情報を提示することができる。
【0036】
また、図4Bと図5B、図4Cと図5Cを比較すると見て取れるように、「基本」タブt2で表示されるメニューと、「その他」タブt3で表示されるメニューとは、それぞれ異なっている。具体的には、図5Bに示す「基本」タブt2には、図4Cに示す「その他」タブt3で表示していた「自動両面印刷」メニューm10や「白紙節約」メニューm11が表示されている。その代わりに、図5Bに示す「基本」タブt2には、図4Bに示す「基本」タブt2で表示していた「カラー」メニューm6や「色調整」メニューm8が図5Cに示す「その他」タブt3に移動している。
【0037】
ステップS115で実行される提示部22cの処理を具体的に説明する。まず制御部20は、APP21およびドキュメントタイプに対応するUI構成情報を参照する。UI構成情報には、タブに表示する設定項目(メニュー)の組み合わせや配列順序を規定する表示優先度情報が含まれている。制御部20はその表示優先度情報に従ってメニューを配置し、各メニューにおいてはプリセット情報において定められている最適設定値がデフォルト値として設定された状態で表示する。その結果、図4B,図4C,図5B,図5Cを用いて説明したように、APP21およびドキュメントタイプごとに表示態様を最適化することができる。例えば、APP21やドキュメントタイプによって頻繁に設定値が変更されるであろうメニューをある一つのタブにまとめて表示し、さほど頻繁に変更も参照もされないであろうメニューを別のタブに表示するなどのようにすることができる。その結果、ユーザーの使い勝手を向上させることができる。
【0038】
また、プリセット情報DB30aには、APP21ごとにドキュメントタイプの提示優先度を示す情報が含まれている。例えば、図2を用いて説明すると、ドキュメントタイプのそれぞれの右の数字が低いほど提示優先度が高いことを示している。本実施形態では、提示優先度は「ドキュメントタイプ」メニューm0に提示するドキュメントタイプの列挙順と等しい。図2によると「A社製ワードプロセッサ」のドキュメントタイプの提示優先度は、「文書」「ハガキ」「Webサイト」の順であり、「C社製フォトレタッチ」のドキュメントタイプの提示優先度は、「写真」「CD/DVDレーベル」「文書」の順である。この提示優先度に従ってドキュメントタイプを提示すると、図4Aおよび図6Aに示すように提示優先度順にドキュメントタイプを列挙することができる。この提示優先度は、例えば、対象とするあるAPPに関して、選択される頻度が高いドキュメントタイプの順番(当該アプリケーションプログラムが扱う印刷対象データの属性であって扱う回数が多い順)とすることができる。これは、サーバー50に収集されたユーザー環境情報に基づいてDRV開発者が設定した順番である。このようにAPPごとに最適化された提示優先度順にドキュメントタイプを提示することによって、そのAPPにおいて最も頻繁に印刷される属性の印刷対象データを印刷しようとするとき、選択すべきドキュメントタイプを見つけやすく、選択しやすくすることができる。
【0039】
ステップS105で印刷条件設定ウィンドウを開くAPP21に関する情報がプリセットDB30aに含まれていないと判定された場合は、制御部20は、通信回線を介して、当該APP21に関する情報がサーバー50のプリセットDB51aに保持されているか否かの問い合わせを行い(ステップS125)、サーバー50のプリセットDB51aに含まれている場合は、サーバー50から当該APP21に対応する全てのドキュメントタイプのプリセット情報およびUI構成情報を抽出してダウンロードし、コンピューター10のプリセットDB30aおよびUI構成情報DB30bに追加更新する(ステップS130)。
【0040】
なお、このとき、当該APPに対応する全てのドキュメントタイプのプリセット情報およびUI構成情報だけをダウンロードするのではなくて、サーバー50のプリセット情報DB51aおよびUI構成情報DB51bに、コンピューター10のプリセット情報DB30aおよびUI構成情報DB30bを完全に同期させるようにしてもよい。このように本実施形態によると、コンピューター10にインストールされているある特定のAPP21に対して最適化されたプリセット情報がプリセット情報DB30aに保持されていない場合であっても、通信回線を介してサーバー50から当該プリセット情報やUI構成情報を取得することができるので、ユーザーによる印刷条件設定操作の手間を軽減することができる。
【0041】
サーバー50のプリセットDB51aに保持されていない場合は、予めデフォルトのタイプとして決めておいたドキュメントタイプを選択して(ステップS135)ステップS115の処理に進む。例えば、「A社製ワードプロセッサ」の「文書」ドキュメントタイプをデフォルトとして選択する。
以上説明したように、本実施形態によると、APPの性質の違いや、印刷対象データの属性の違いによって細かく設定値が異なる設定項目を、ユーザーの設定操作の手間を増やすことなく、容易に設定することができる。
【0042】
(3)他の実施形態:
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、図4〜図6に示したウィンドウのレイアウトや内容は一例であって、これらに限定されるものではない。
【0043】
また、上記実施形態では、APP21およびドキュメントタイプに応じて、プリセット情報やUI構成情報が管理されている形態を説明したが、単にAPP21のみに応じてそれらが管理されていてもよい。そしてAPP21の違いに応じて、異なるプリセット情報を異なるUI構成でユーザーに提示するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、設定項目の表示優先度は、印刷条件設定ウィンドウ内の複数のタブのそれぞれへの設定項目の割り当て(組み合わせ)や、タブ内での設定項目の配列順である例を説明したが、他にも次のようなものであってもよい。例えば、階層構造を有するように設計されたダイアログに関して、より上位階層のダイアログボックスに表示優先度が高い設定項目のメニューを表示させ、より下位階層のダイアログボックス(例えば「詳細設定」ダイアログボックス)には表示優先度が低い設定項目のメニューを表示させるようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、印刷条件設定装置としてコンピューター10を挙げて実施形態を説明したが、印刷条件設定装置はプリンター42であってもよい。図3に示した印刷条件設定処理はプリンター42にて実行されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10:コンピューター、20:制御部、21:アプリケーションプログラム(APP)、22:プリンタードライバープログラム(DRV)、22a:プリセット情報管理部、22b:UI構成情報管理部、22c:提示部、30:ハードディスク、30a:プリセット情報、30b:UI構成情報、40:操作部、41:ディスプレイ、42:プリンター、50:サーバー、51:ハードディスク、51a:プリセット情報DB、52b:UI構成情報DB、b1:印刷実行ボタン、t1〜t3:タブ、m0:ドキュメントタイプメニュー、m1〜m11:印刷条件設定メニュー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションプログラムごとに、当該アプリケーションプログラムの要求に応じて印刷を実行する際の印刷条件について最適化された設定値を定めるプリセット情報のデータベースを管理するプリセット情報管理手段と、
印刷を要求されると、印刷を要求するアプリケーションプログラムに対応する前記プリセット情報を前記データベースから取得し、取得した前記プリセット情報が定める設定値を提示する提示手段と、
を備える印刷条件設定装置。
【請求項2】
前記プリセット情報管理手段は、アプリケーションプログラムごとに、印刷対象データの属性を示すドキュメントタイプ別に前記プリセット情報を管理し、
前記提示手段は、印刷を要求するアプリケーションプログラムに対応付けられた複数の前記ドキュメントタイプを提示し、当該アプリケーションプログラムとユーザーが選択した前記ドキュメントタイプとに対応した前記プリセット情報が定める設定値を提示する、
請求項1に記載の印刷条件設定装置。
【請求項3】
前記プリセット情報管理手段は、前記複数のドキュメントタイプに関して、アプリケーションプログラムごとに最適化された提示優先度順を管理し、
前記提示手段は、印刷を要求するアプリケーションプログラムに対応する前記提示優先度順に前記ドキュメントタイプを提示する、
請求項2に記載の印刷条件設定装置。
【請求項4】
前記プリセット情報管理手段は、印刷を要求するアプリケーションプログラムに対応する前記プリセット情報が前記データベースに保持されていない場合は、通信回線を介してサーバーデータベースから当該アプリケーションプログラムに対応する前記プリセット情報を取得する、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷条件設定装置。
【請求項5】
前記アプリケーションプログラムごとに、設定項目の表示優先度が最適化されたUI構成情報を管理するUI構成情報管理手段を備え、
前記提示手段は、印刷を要求したアプリケーションプログラムに対応するUI構成情報に基づいて、前記アプリケーションプログラムに最適化されたプリセット情報が定める設定値を提示する、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷条件設定装置。
【請求項6】
アプリケーションプログラムごとに、当該アプリケーションプログラムの要求に応じて印刷を実行する際の印刷条件について最適化された設定値を定めるプリセット情報のデータベースを管理するプリセット情報管理機能と、
印刷を要求されると、印刷を要求するアプリケーションプログラムに対応する前記プリセット情報を前記データベースから取得し、取得した前記プリセット情報が定める設定値を提示する提示機能と、
をコンピューターに実現させるプリンタードライバープログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−211667(P2010−211667A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59056(P2009−59056)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】