説明

印刷済みの用紙、特に印刷済みの有価証券用紙を個別の文書になるように処理する方法およびシステム

印刷済みの用紙(100)、特に銀行券などの印刷済みの有価証券を個別の文書(150)に処理する方法であって、各印刷済みの用紙(100)は行と列のマトリックスに配置されているインプリントの配列を有しており、この方法は、(i)インプリントの隣接している行または隣接している列の間にスリット(110)を形成するために各印刷済みの用紙(100)に行方向にまたは列方向に部分的にスリットを形成することによって印刷済みの用紙(100)を前処理し、スリットの形成はインプリントの隣接している行または隣接している列がこのように前処理された各印刷済みの用紙(100’)の縁の位置で依然としてくっついているように実施されるステップと、(ii)互いにスタックされる所定の数の前処理済みで印刷済みの用紙(100’)を有している用紙スタック(121、122)を形成するように前処理済みで印刷済みの用紙(100’)をスタックするステップと、(iii)各用紙スタック(121、122)をインプリントの隣接している列または行の間の切断線(115)に沿って列方向または行方向に切断することによって、用紙スタック(121、122)を処理し、切断はスリット(110)の方向に垂直な方向に沿って、そして個別の文書(150)がその結果得られるように実施されるステップと、を有する方法について説明する。この方法を実施するシステムについても説明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷済みの用紙、特に印刷済みの有価証券の用紙を銀行券などの個別の文書になるように処理する方法とシステムとに一般に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行券と同様の有価証券は、行と列とのマトリックスに配置されている複数の個別のインプリントのある連続している個別の用紙または連続しているウェブの一部を処理することによって一般に作成され、個別の文書(つまり券)に切断される前に、それらの用紙またはウェブの一部に対して様々な印刷と処理のステップが行われる。銀行券の製造中に通常実施される印刷と処理のステップには、オフセット印刷、凹版印刷、シルクスクリーン印刷、箔転写、凸版印刷、およびニス引きがある。窓切断、インクジェットマーキング、レーザーマーキング、マイクロ穿孔等など他の処理ステップは、製造中に実施してもよい。いったん完全に印刷されると、用紙または連続ウェブの連続している部分に対していわゆる仕上げ処理が行われ、それによって用紙または連続ウェブの連続している部分は通常束ねられ包装されている個別の文書を構成するように処理される(つまり、切断および配置される)。
【0003】
図1は銀行券などの有価証券を生成する通常の処理の概要を示している。図1に示している製造プロセスは、無駄を最小にして製造効率を最大にできることと番号付けシーケンスを中断せずに束と束の包装との製造を可能にできることにおいて有利である。
【0004】
図1のステップS1は、有価証券の製造中に通常実施される様々な印刷段階を表している。前述のように、これらの様々な印刷段階は、オフセットバックグラウンドを使用して用紙が一方の側または両方の側で印刷されるオフセット印刷段階、用紙が凹版特徴(つまり触れることによって容易に認識可能な浮き出した特徴)を使用して用紙が一方の側または両方の側で印刷される凹版印刷段階、光学可変インク(OVI)から作られている特徴などのシルクスクリーン特徴を使用して用紙が一方の側または両方の側で印刷されるシルクスクリーン印刷段階、および/または箔、特にいわゆる光学可変素子(OVD)、ホログラム、または同様な光学回折構造またはパッチが用紙の一方または両方の側に転写される箔/パッチ転写段階等を特に有している。
【0005】
ステップS1のさまざまな印刷段階の結果、連続している印刷済みの用紙100が製造される。品質管理検査が有価証券の製造中にさまざまな段階で通常実行されるのに対して、最終品質検査はそれらが完全に印刷された後に用紙全体で通常実施される。この用紙全体の品質検査は図1のステップS2によって概要を示している。品質要件に関して用紙の3つのカテゴリがこの用紙全体の品質検査の結果として生成され、それらは(i)正常な用紙(つまり品質要件の観点から全てが十分と見なされる有価証券が印刷された用紙)、(ii)部分的に欠陥のある用紙(つまり品質要件の観点から十分と見なされる有価証券と許容不能な有価証券の両方が印刷された用紙であって、欠陥のある有価証券は明瞭な消印が通常設けられている)、および(iii)許容可能な有価証券のない全体に欠陥がある用紙である。この点以降は、用紙の3つのカテゴリは別個の経路をたどる。より正確には、完全に欠陥のある用紙はステップS10で処分されるのに対して、正常な用紙はステップS3からS5において処理され、部分的に欠陥のある用紙はステップS20からS23において処理される。
【0006】
ステップS3からS5を参照して、正常な用紙はステップS3において通常番号が印刷され、それからステップS4で任意にニス引きされ、ステップS5で最後に切断され、最終的な仕上げ処理が行われる、つまり用紙100のスタックが有価証券の個別の束200に切断され、これらの束200は通常帯で巻かれ(固定バンドによって巻かれ)、それから束210の包みを形成するようにスタックされる。用紙100はステップS3とS4で連続して処理されるのに対して、ステップS5は各々100枚の用紙スタックで通常実施される、それによって各々が100枚の有価証券の連続している券の束200が作られ、券の束200がスタックされ例えば各々が10個の券の束の包み210が形成される。
【0007】
ステップS20からS23を参照すると、部分的に欠陥のある用紙は、まずステップS20において個別の有価証券に切断され、それから、その結果の有価証券はステップS21で(ステップS2で欠陥のある有価証券に付された消印の有無に基づいて)選り分けられ、ステップS10で欠陥のある有価証券は処分され、正常な有価証券がさらにステップS22とS23とにおいて処理される。ステップS22において、個別の有価証券に番号が連続して印刷され、その後、ステップS23で仕上げ処理が行われ、それはステップS5で実施された仕上げ処理と同様である、つまり有価証券の券の束200が形成され、その券の束200は帯で巻かれており、それから束の包み210を構成するようにスタックされる。
【0008】
個別の用紙上での有価証券の製造の場合において図1を説明したが、当然同じ原理が連続しているウェブ上での有価証券の製造に当てはまる。その場合、ステップS1、S2、S3、およびS4は印刷材料の連続しているウェブを処理することによって実施可能で、連続しているウェブは最終的に個別の有価証券に切断される。
【0009】
ニス引き作業については、図1はそのようなニス引きはステップS3の用紙全体での番号印刷の後でステップS4において用紙全体で通常実施されるように示している。ニス引きステップは好ましいが、それ自体は必要ではない。ニス引きは、例えばステップS2の用紙全体の検査の前または直後など製造の異なる段階でさらに実施してもよい(このような他の解決策は番号印刷がニス引きの後で実施されることを意味する)。
【0010】
番号印刷の順序を連続した束200の有価証券を通して維持する必要のない場合、部分的に欠陥のある用紙は正常な用紙と幾分似ている経路を通り、つまり用紙全体の番号印刷ステップが行われ(それによって正常な有価証券と欠陥のある有価証券の両方に番号を印刷し)それから、個別の有価証券に切断される前に用紙全体のニス引きが行われ、欠陥のある有価証券を抽出して処分し、それから束と束の包みを構成するように最終的な仕上げ処理が行われる(この場合、単独の券の番号印刷は必要ない)。そのような代替の製造プロセスを図2Aに示している。
【0011】
図2AのステップS1は図1のステップS1と同様である、つまり連続している用紙100が製造される、つまり連続してオフセット印刷、凹版印刷、シルクスクリーン印刷、箔/パッチ転写等が行われる。図2AのステップS2は図1のステップS3と同様である、つまり用紙全体に適切な番号印刷機によって番号が印刷される。しかし、当然、この場合、正常な用紙と欠陥のある用紙の両方に番号が印刷される。それから、ステップS4で個別の券に切断される前に、ステップS3で番号が印刷された用紙が任意にニス引きされる。
【0012】
ステップS5で、単独の券の検査が実施される、つまり個別の券が品質の観点から検査され、欠陥のある券がこの処理で選り分けられ、これらの欠陥のある券はステップS7で処分される。他方、正常な券に対してステップS6で最終的な仕上げ作業が行われる、つまり個別の券の束200が構成され、これらの券の束200がスタックされて束200の包み210、つまり10個の束の包みを構成する。
【0013】
図2Aの製造プロセスの変形例によれば、番号印刷を、ステップS5の単独の券の検査と選り分けの前か後に、単独の券の番号印刷プロセスにおいて実行可能である。そのような変形例を図2Bに示している。ステップS1**、S2**、S3**、S4**、S6**、およびS7**はそれぞれ図2AのステップS1、S3、S4、S5、S6、およびS7に対応しており、再度説明する必要はない。図2Bの変形例においては、図2Aのプロセスと比較して、用紙全体の番号印刷が、ステップS4**の単独の券の検査と選り分けに続く単独の券の番号印刷プロセス(ステップS5**)に置き換えられている。言い換えると、ステップS4**の後で選り分けられている正常な券に、好ましくはステップS6**で束にされ包装される前に連続して番号が印刷される。
【0014】
完全性のために、図1のステップS2を実施する考え得る用紙全体の品質検査機械の概要については特許文献1、2、3、4、および5を参照することができる。特に興味深いのは、用紙全体の品質検査と用紙全体の番号印刷とを組み合わせている特許文献1、2、3、および4に開示されている機械である(したがって、これらの機械はステップS2とS3の作業を1つのパスで実施できる)。用紙全体の検査機械は、Nota Check(登録商標)という商品名で出願人によって販売されているのに対して、用紙全体の検査と番号印刷を組み合わせた機械は、Super Check Numerota(登録商標)という商品名で出願人によって販売されている。
【0015】
興味のある読者は、図1のステップS5の実施に適しているさまざまな切断と仕上げの機械の説明については、すべてが本出願人名義の特許文献6〜13をさらに参照することができる。そのような機械は、例えば、CutPak(登録商標)という商品名で本出願人によって販売されている。これらの機械は、図1のステップS20、図2AのステップS4、および図2BのステップS3**で用紙を個別の券に切断するためだけに容易に適合可能である。
【0016】
用紙全体の番号印刷のより特定の問題については、特許文献14と15とが興味深い。特許文献15で説明している番号印刷と仕上げの原理は、この状況で特に興味深いが、それは有価証券の束が複雑な束の照合システムの必要なしに仕上げプロセスの最後に連続しており中断のない番号の順序で製造されるように用紙の番号印刷を行うからである。用紙全体の番号印刷を実施する番号印刷機械はたとえばSuperNumerota(登録商標)という商品名と前述のSuper Check Numerota(登録商標)という商品名で出願人によって販売されている。
【0017】
図1のステップS21とS22において行われる単独の券の選り分けと番号印刷の状況において、特許文献16〜18を参照することができる。単独の券の選り分けと番号印刷(とオプションで結束と包装)の機能を組み合わせた機械がNotaNumber(登録商標)という商品名で出願人によって販売されている。そのような機械は、例えば、図1(ステップS21からS23)と図2B(ステップS4**からS6**)の単独の券の選り分け、番号印刷、および仕上げを実施するために使用可能である。
【0018】
図2AのプロセスにおけるステップS5と図2BのプロセスにおけるステップS4**を実行する単独の券の検査と選り分けのシステムもそれ自体が当該技術分野で公知である。
【0019】
図2Aと2Bに示している両製造原理について、以下で説明するように、図1に示している製造原理の製造効率と同等の製造効率に到達するには5〜6個の単独の処理ステーションを並列に設置する必要がある。
【0020】
用紙供給製造ラインの従来の製造速度は、1時間あたり10,000から12,000用紙程度である、ウェブ供給製造ラインについても同様である。用紙の配置に依存して、そのような製造速度は1時間あたり400,000から720,000券の券出力に通常該当している(ただし各用紙には40から60の券が通常ある)。単独の券の処理システムは物理の自然法則によって1時間あたり約120000券に限定されている。
【0021】
図1の製造原理の状況においては、前述の制限は重大ではないが、それは単独の券の処理システムは、部分的に欠陥のある用紙の処理にステップS21とS22で使用されるだけで、部分的に欠陥のある用紙は製造量のわずかな部分(例えば<10%)に過ぎないためである。それに対して、図2Aと2Bの製造原理の状況では、全製造量が単独の券の処理システムでステップS5とS6、S4**からS6**でそれぞれ処理される。言い換えると、用紙供給製造ラインのより高い製造速度に対応するために、通常4個か5個の単独の券の処理ステーションが全製造量を並列に処理するために実際には使用される。これを、同様に技術を示しており、図2Aの製造原理を実施するための可能な実装を示している図3を参照して説明する。
【0022】
図3において、参照番号300は用紙供給製造ライン(または用紙供給製造システム)を示しており、この例では7つの連続した用紙供給印刷または処理ステーション301〜307、例えば、オフセット印刷機301、シルクスクリーン印刷機302、箔転写機303、凹版印刷機304、番号印刷機305、オプションのニス引き機306、および切断機307を備えている。ステーション301〜304は図2AのステップS1によって未印刷の用紙100の用紙全体の印刷を実施し、それによって一式の印刷済みの用紙100を製造し、それらはステーション305で番号が印刷され、それからステーション306でニス引きされ、それからステーション307で個別の文書つまり券150に切断される(つまり、図2AのステップS2、S3、およびS4によって用紙は連続して処理される)。
【0023】
図3に示しているように、用紙供給処理装置300は、束200および束200の包み210を製造するために個別の文書150を処理するように用紙印刷および処理ライン300の出力に結合されている複数の単独の券の処理ステーションSNPS 1〜SNPS 4(参照番号401〜404によっても示されている)を有している単独の券の処理システム400に結合されている(各ステーション401〜404は図2の少なくともステップS5とS6を実施する)。
【0024】
説明の便宜上、図3の状況において各印刷済み用紙は50枚の券を有しており、それは、1時間あたり10,000用紙の用紙処理速度では、用紙供給製造ラインの製造能力が、1時間あたり500,000券となることを意味している。この場合、そして1時間あたり120000券の単独の券の処理速度を考慮すると、図3に示している場合のように、用紙供給処理システム300の製造速度に最適に対応するには4つの単独の券の処理システムが必要になる。
【0025】
図2Bの製造原理を実装するには、図3に示しているのと同様の製造施設を使用することができる。唯一の違いは、番号印刷機305が取り除かれ、各単独の処理ステーションSNPS 1〜SNPS 4に、図2BのステップS5**の単独番号印刷プロセスを実行する自身の番号印刷機能が設けられていることである。
【0026】
図2Aまたは2Bの製造原理を実施するための改善されている解決策は本出願人名義の特許文献19で説明されている。
【0027】
印刷済みの用紙を個別の文書となるように処理するように構成されている方法論には関係なく、用紙に対して仕上げプロセスが実施され、図1のステップS5とS20、図2AのステップS4、または図2BのステップS3**に関連して説明したように、個別の文書となるように用紙はスタックされて切断される。これには用紙を正確に切断するために適している切断と仕上げの機械が必要である。
【0028】
前述のようにそのような切断と仕上げの機械(例えば図3の参照番号307が付されているような)は当該技術では、たとえば全てが本出願人名義の特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13のように公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】PCT特許出願公開明細書第01/85457 A1号
【特許文献2】PCT特許出願公開明細書第01/85586 A1号
【特許文献3】PCT特許出願公開明細書第2005/008605 A1号
【特許文献4】PCT特許出願公開明細書第2005/008606 A1号
【特許文献5】PCT特許出願公開明細書第2005/04045 A2号
【特許文献6】米国特許明細書第3,939,621号
【特許文献7】米国特許明細書第4,045,944号
【特許文献8】米国特許明細書第4,453,707号
【特許文献9】米国特許明細書第4,558,557号
【特許文献10】欧州特許出願公開明細書第0 656 309 A1号
【特許文献11】欧州特許出願公開明細書第1,607,355 A1号
【特許文献12】PCT特許出願公開明細書第01/49464 A1号
【特許文献13】PCT特許出願公開明細書第2008/010125 A2/A3号
【特許文献14】欧州特許出願公開明細書第0 598 679 A1号
【特許文献15】PCT特許出願公開明細書第2004/016433 A1号
【特許文献16】米国特許明細書第3,412,993号
【特許文献17】米国特許明細書第4,299,325号
【特許文献18】米国特許明細書第4,915,371号
【特許文献19】PCT特許出願公開明細書第2008/126005 A1号
【特許文献20】PCT特許出願公開明細書第2005/085070 A1号
【特許文献21】PCT特許出願公開明細書第99/33735 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
これらの公知の機械によって、用紙の所定の数(たとえば100枚)が互いにスタックされた状態で行方向と列方向とに切断される。しかし、使用される被印刷体の種類、有価証券の種類と位置の特徴およびさまざまな他のプロセス関連または構成関連の問題に依存して、用紙スタックは、図5に模式的に示しているように、用紙スタックの実質的に全体のたるみΔHにつながり、Hは用紙スタックの高さを示しているのに対して、LとWとはそれぞれ用紙の長さと幅とを示している(図4も参照)。特に、用紙スタックの下部の用紙は実質的に平坦であるのに対して、たるみは用紙スタック内の上側の用紙になるほど増加する。用紙スタックの全高にわたって一定ではないこのたるみは、切断精度に行方向および/または列方向の悪影響を与え、切断の誤差につながることがある。たるみが特にX軸に沿って存在している図5の模式図において、このたるみはY切断、つまりY軸に沿った切断のΔXの切断誤差につながることがある。さらに、たるみは用紙スタック内で上の用紙になるほど増加するので、用紙スタックからの行方向と列方向の文書切断の有効な大きさは、用紙スタックの下部の用紙と上部の用紙との間で変化し、個別の用紙の大きさが変化することになり、それは好ましくない。
【0031】
そのため、印刷済みの用紙を個別の文書にする処理の改善された解決策が必要である。
【0032】
したがって、本発明の目的はそのような改善された解決策を提供することである。
【0033】
特に、本発明の目的は、公知の方法とシステムの制限を克服する印刷済みの用紙を個別の文書となるように処理する方法とシステムとを提供することである。
【0034】
これらの目的は、特許請求の範囲で定められている方法とシステムとによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明によれば、印刷済みの用紙、特に銀行券などの印刷済みの有価証券を個別の文書となるように処理する方法が提供され、各印刷済みの用紙は行と列のマトリックスに配置されているインプリントの配列を有している。この方法は、
インプリントの隣接している行または隣接している列の間にスリットを形成するために各印刷済みの用紙に行方向にまたは列方向に部分的にスリットを形成することによって印刷済みの用紙を前処理し、スリットの形成はインプリントの隣接している行または隣接している列がこのように前処理された各印刷済みの用紙の縁の位置で依然としてくっついているように実施されるステップと、
互いにスタックされている所定の数の前処理済みで印刷済みの用紙を有している用紙スタックを形成するように前処理済みで印刷済みの用紙をスタックするステップと、
各用紙スタックをインプリントの隣接している列または行の間の切断線に沿って列方向または行方向に切断することによって、用紙スタックを処理し、切断はスリットの方向に垂直な方向に沿って、そして個別の文書がその結果得られるように実施されるステップと、
を有している。
【0036】
同様に、印刷済みの用紙、特に銀行券などの印刷済みの有価証券を個別の文書となるように処理するシステムが提供され、各印刷済みの用紙は行と列のマトリックスに配置されているインプリントの配列を有しており、システムは、
インプリントの隣接している行または隣接している列の間にスリットを形成するために各印刷済みの用紙に行方向にまたは列方向に部分的にスリットを形成することによって印刷済みの用紙を前処理し、スリットの形成はインプリントの隣接している行または隣接している列がこのように前処理された各印刷済みの用紙の縁の位置で依然としてくっついているように実施されるスリット形成ユニットと、
互いにスタックされている所定の数の前処理済みで印刷済みの用紙を有している用紙スタックを形成するように前処理済みで印刷済みの用紙をスタックするスタックユニットと、
各用紙スタックをインプリントの隣接している列または行の間の切断線に沿って列方向または行方向に切断することによって、用紙スタックを処理し、切断はスリットの方向に垂直な方向に沿って、そして個別の文書がその結果得られるように実施される切断ユニットと、
を有している。
【0037】
これらの方法とシステムの好ましい実施態様によれば、印刷済みの用紙を前処理するステップは各印刷済みの用紙の縁を整えるステップであって、用紙の縁はスリットに平行なステップをさらに有している。同様に、これらの方法とシステムの他の好ましい実施態様よれば、用紙スタックを処理するステップは、用紙スタックの各前処理済みで印刷済みの用紙の縁を整えるステップであって、用紙の縁は切断線に並行であるステップをさらに有している。
【0038】
印刷済みの用紙にスリットを形成するステップ、および印刷済みの用紙の縁を整える任意のステップはレーザ切断ユニットまたはロータリナイフシステムを使用して実施されることが有利である。
【0039】
いったん個別の文書となるように処理されると、個別の文書は、図1から3を参照して既に説明したように検査および/または選り分けユニットを使用して便利に検査するおよび/または選り分けることができる。
【0040】
この方法は、用紙スタックを処理するステップの後で、少なくとも1つの英数字の番号または符号を個別の文書の少なくとも一部または全部、または印刷済みの用紙の前処理前に印刷済みの用紙の少なくともいくつかのインプリントの少なくとも一部または全部に設けるステップをさらに有してもよい。その状況では、それらの前処理前に印刷済みの用紙に番号を印刷する用紙番号印刷機またはそのグループ、あるいは印刷済みの用紙の処理に続いて個別の用紙に番号を印刷する単独の券番号印刷機またはそのグループなどの少なくとも1つの英数字または符号を設ける適切な番号印刷ユニットを設けてもよい。
【0041】
個別の文書は、個別の束を形成するために最終的に束にされ、個別の束の周囲に少なくとも1つの固定バンドを任意に設けることができる。
【0042】
有利な実施態様によれば、印刷済みの用紙には、印刷済みの用紙の上または中を行方向または列方向に延びているセキュリティスレッドなどの少なくとも1つのセキュリティ要素があり、印刷済みの用紙にスリットを形成するステップは、セキュリティ要素に平行な方向に沿って実施される。
【0043】
この特定の状況において、またセキュリティ要素は印刷済みの用紙が互いにパイルつまりスタックされたときに用紙のパイルつまりスタックの全体のたるみに影響があると仮定すると、前処理済みで印刷済みの用紙をスタックするステップは、セキュリティ要素の結果として得られる用紙パイルつまりスタックの全体のたるみに対する影響を最小にするようにスリットの方向に垂直な方向に沿っている交互の態様で前処理済みの刷済みの用紙をパイルするステップを有する。
【0044】
前述の方法とシステムのおかげで、特に処理される印刷済みの用紙がプロセスに関連しているおよび/または構成に関連している相当なたるみを示している場合に切断精度を改善することができる。特に、インプリントの行または列の間で用紙の部分的な行方向または列方向のスリット形成を実行することによって、このように前処理された用紙が互いにスタックされてさらに処理可能な用紙スタックを構成可能なこと、つまり個別の文書を形成するようにスリットに垂直な切断線に沿って切断可能なことが保証された状態で、XまたはY方向の正確な切断を達成可能で、そのようなスタックの処理は高い製造速度を保証する。
【0045】
本発明の他の特徴と利点は非限定的な例としてのみ示しており、添付の図面に図示している本発明の実施形態の以下の詳細な説明を読むことでより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】製造のわずかな部分だけに単独の券の処理が実施される有価証券の券を製造する公知のプロセスの流れ図である。
【図2A】製造の全てに単独の券の処理が実施される有価証券の券を製造する公知の代替のプロセスの流れ図である。
【図2B】製造の全てに単独の券の処理が実施される有価証券の券を製造する図2Aのプロセスの変形例を示している流れ図である。
【図3】図2Aの製造プロセスの公知の実装による製造設備の模式図である。
【図4】「列」、「行」、「用紙の長さ」、および「用紙の幅」の概念を示している用紙のレイアウトの模式図である。
【図5】互いにスタックされている複数の用紙を有している用紙スタックの模式的な透視図であって、用紙スタックの全体のたるみが切断精度にどのように影響するかも示している図である。
【図6A】本発明の前処理ステップ(つまりスリット形成)を示している図である。
【図6B】本発明の処理ステップ(つまり切断)を示している図である。
【図7】スリット形成と印刷済みの用紙の用紙縁を整える任意の処理を実行するだけでなく、そのように前処理された印刷済みの用紙をスタックする処理システムの模式図である。
【図8】好ましい実施形態による本発明の方法を実行するシステムの模式図である。
【図9】図5の用紙スタックの模式的な透視図であって、印刷済みの用紙が印刷済みの用紙の被印刷体の中を列方向に延びている少なくとも1つのセキュリティスレッドなどのセキュリティ要素であって、用紙スタックの全体のたるみに影響するセキュリティ要素があることを示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の範囲において、また明確さのために、図4に示しているように、用語「列」は、以降では「用紙長さL」と呼ぶ用紙の第1の次元に沿って互いに隣接しているインプリントの配置を指すのに対して、用語「行」は、以降では「用紙の幅W」と呼ぶ用紙の他方の次元に沿って互いに隣接している証券の印刷の配置を指す。厳密に言えば、用語「列」/「行」と「用紙幅」/「用紙長さ」は互換性がある。前述の定義によれば、用紙長さLは、印刷機または印刷作業を実施するために使用されるプレスを通した用紙(または連続しているウェブ)の搬送方向(図の軸Y)に平行な用紙(またはウェブの部分)の寸法に該当するのに対して、用紙幅は用紙または連続しているウェブの搬送方向を横切る(図の軸X)用紙の寸法に該当する。用紙の幅Wは通常用紙の長さLよりも長い。
【0048】
当該技術分野で一般的なように、寸法は(用紙供給印刷機で処理される個別の用紙であるかウェブ供給印刷機で処理される連続しているウェブの部分であるかに関わらず)例えば長さが700mmあたり幅が820mmであってもよい(つまり820×700mm)。そのような用紙の寸法によって、例えば10(N=10)行あたり6(M=6)列の130×65mmの有価証券の印刷が用紙上で行われる。740×680mmの用紙の寸法では、例えば7(N=7)行あたり4(M=4)列の180×90mmの有価証券の印刷が用紙に行われる。例えば420×400mmのより小さい紙の寸法では、例えば100×60mmの有価証券の印刷の6(N=6)行あたり4(M=4)列が用紙に行われる。前述の例はもちろん、説明のためのみである。
【0049】
前述のように、印刷済みの用紙を個別の文書となるように処理する本発明の方法は基本的に以下のステップを有している。
【0050】
インプリントの隣接している行または隣接している列の間にスリットを形成するために各印刷済みの用紙に行方向にまたは列方向に部分的にスリットを形成することによって印刷済みの用紙を前処理し、スリットの形成はインプリントの隣接している行または隣接している列がこのように前処理された各印刷済みの用紙の縁の位置で依然としてくっついているように実施されるステップ
互いに積み重ねられている所定の数の前処理済みで印刷済みの用紙を有している用紙スタックを形成するように前処理済みで印刷済みの用紙を積み重ねるステップ
各用紙スタックをインプリントの隣接している列または行の間の切断線に沿って列方向または行方向に切断することによって、用紙スタックを処理し、切断はスリットの方向に垂直な方向に沿って、そして個別の文書がその結果得られるように実施されるステップ
【0051】
前述の前処理のステップを図6Aに示している。説明の便宜上、以下では、図5に示しているようにたるみはX軸に沿って特に目立っており、各印刷済みの用紙にはN=6行あたりM=4列のインプリントがある。それに応じて、そしてたるみに対応するために、印刷済みの用紙100は、インプリントの隣接している列の間にスリット110を形成するように各印刷済みの用紙100に列方向にスリットを設けることによって図6Aに示しているように前処理される。この例ではインプリントの4つの列の間に3本のスリット110が形成される。言うまでもなく、たるみがY軸に沿って存在している場合、印刷済みの用紙100はインプリントの隣接している行の間に行方向にスリットを設けることによって前処理されることになる。
【0052】
スリット形成は、インプリントの隣接している列がこのように前処理された印刷済みの各用紙の縁の位置で互いにくっついているように用紙の長さ方向に沿って部分的に実施される。これは、図6Aにおいて、用紙の全長に沿って延びていないが、インプリントによって実質的に印刷されている印刷済みの用紙の領域の長さ方向に沿って延びている破線110によって図示しており、用紙上には、仕上げプロセスで破棄される、最終的な文書上に最終的に存在している情報のない残りの縁(つまり余白)が通常存在する。ただし、本例では、各スリット110はインプリントが印刷されている領域の一方の端部から他方の端部に連続して延びており、余白で止まっている。
【0053】
図6Aはこのスリット110に平行に延びており、参照番号105が付されている2つの用紙の縁を示している。印刷済みの用紙100の前処理は、廃棄物として排除されるこれらの用紙の縁105を整えるステップをさらに有していることが好ましい。スリット形成作業とは対照的に、用紙の縁105を整えるステップには、用紙を図6Aで参照番号112を付している切断線に沿ってその全長にわたって切断するステップが含まれている。
【0054】
図6Aにおいて、スリット110と切断112とは、Y軸に平行な方向に沿って実施されるという意味で、併せて「Y切断」と呼ぶことができる。言い換えると、図6Aの例では、全部で5つのY切断、つまり3つのスリット110と2つの側部切断112が平行に実施される。
【0055】
前述のその次の処理のステップを図6Bに示している。この図は、参照番号100’が付されている前処理された印刷済みの用紙を示しており、印刷済みの用紙は、つまり、用紙の縁105が切断され、スリット110がY軸に沿って設けられている印刷済みの用紙は、図6Aに関連して前述した前処理ステップの結果として得られている。したがって、図6Bにおいて、前処理済みで印刷済みの用紙100’の左側と右側の縁は、図6Aの切断線112に対応している。
【0056】
図6Bのその次の処理を実行する前に、前処理済みで印刷済みの用紙100’は、たとえば100枚の所定の数の互いにスタックされた前処理済みで印刷済みの用紙100’を有している用紙スタックを構成するようにスタックされる。そのような用紙スタックがいったん形成されると、各用紙スタックに対して図6Bに示しているように処理ステップが実施される。したがって、図6Bの状況において、処理ステップには用紙スタック全体の切断が伴う。
【0057】
図6Bの例において、スリット110は列方向に、つまりY軸に沿って形成されているので、各用紙スタックの切断はインプリントの隣接している行の間の切断線に沿って行方向に実施される。そのような切断線をX軸に平行な破線で図6Bに示しており、参照番号115が付されている。そのような切断線は用紙の全幅にわたって伸びている。
【0058】
さらに、用紙スタックの処理は、用紙スタック内の前処理済みで印刷済みの各用紙100’の縁106を整えるステップをさらに有していることが好ましく、用紙の縁106は切断線115に平行に延びており、同様に廃棄物として排除される。そのため用紙スタックの切断は図6Bに示しているように用紙スタックを2つの追加の切断線117に沿って切断するステップをさらに有している。
【0059】
図6Bにおいて、切断115、117は、X軸に平行な方向に沿って実施されるという意味で、併せて「X切断」と呼ぶことができる。言い換えると、図6Aの例では、全部で7つのX切断、つまり5つの切断115と2つの側部切断117が平行に実施される。
【0060】
前述の処理ステップの結果、各用紙スタックはそのように切断され、個別の文書の複数の集合に分離される。図6Aと6Bの例において、各用紙スタックは100枚の用紙から構成されていることを考慮して、各用紙スタックの処理によって、100枚の個別の文書の24セット、つまり2400枚の個別の文書が生成する。
【0061】
それから、これらの個別の文書がさらに適切な態様で処理され、集められ、および/またはまとめられる。これは、例えば、好ましい品質要件を満たしていない欠陥のある文書を破棄するために、個別の文書の検査および/または選り分けを特に含んでいる。
【0062】
さらなる処理は、図1のステップS22または適切な単独の券番号印刷システムを使用して図2BのステップS5**に関連して前述したように用紙スタックの処理後に、少なくとも1つの英数字番号または符号を個部の文書の少なくとも一部または全部に設けるステップをさらに有していてもよい。
【0063】
各個別の文書の番号印刷(または符号印刷)に関する限り、図1のステップS3または図2AのステップS2に関連して前述したように適切な番号印刷機を使用する代替の解決策は、少なくとも1つの英数字番号または符号を、前処理、つまり用紙またはウェブのプロセスの前に印刷済みの用紙100の少なくともいくつかの少なくとも一部または全部のインプリントに設けるステップに存していてもよい。
【0064】
いったん、用紙スタックが完全に処理されると、つまり個別の文書に切断されると、そのような個別の文書はさらに束ねられて個別の束を構成し、少なくとも1つの固定バンドが個別の束の周囲に任意に設けられてもよい。そのようなバンドでの固定は、それ自体が当該技術分野で公知であって、適切なバンド固定システムが例えば、本出願人の名義で特許文献20で開示されている。
【0065】
図7は、図6Aを参照して説明したようにスリット形成と印刷済みの用紙100の用紙縁を整える任意の処理を実行するだけでなく、そのように前処理された印刷済みの用紙100’をスタックする処理システム10を模式的に示している。
【0066】
この処理システム10は、連続した印刷済みの用紙100が順番に供給される用紙供給テーブル1を有しており、各印刷済みの用紙100は印刷済みの用紙を下流に位置している処理シリンダ3に転送する搬送シリンダ2に供給される。この例では、レーザ切断ユニット4が印刷済みの用紙100のスリット形成と整える処理用に設けられており、このレーザ切断ユニット4は1つまたは2つ以上のレーザビーム40を処理シリンダ3によって支持されている印刷済みの用紙100の表面に向けるように構成されている。
【0067】
レーザ切断ユニット4のタイミングは、図6Aを参照して説明したように印刷済みの用紙100のスリット形成と整える処理とをY軸(Y軸は図7の印刷済みの用紙の変位の方向に対応している)に沿って行うように制御される。いったん前処理されると、印刷済みの用紙は、少なくとも1つの配送パイルユニット51、52にスタックするために、処理シリンダ3から下流に位置している搬送システム5(当該技術分野で公知のように分離されているグリッパバーを備えているチェーンコンベアなど)まで搬送され、図7のシステムでは2つのそのようなユニットが設けられている。所定の数(例えば100枚)のそのように前処理済みで印刷済みの用紙100’が配送パイルユニット51、52において連続してスタックされ、前処理済みで印刷済みの用紙100’は一方の配送パイルユニット内にスタックされるのに対して、他方は空にされている。このように、対応している用紙スタック121、122が各配送パイルユニット51、52内で形成される。2つを超える数の配送パイルユニットを設けることができるのは明らかである。
【0068】
その代わりに、処理システム10は既存の印刷機または処理プレスの一部であってもよい。そのような場合、用紙を上流に位置している印刷機の印刷または処理ユニットのシリンダつまりドラムから処理シリンダ3まで転送してもよい(それによって、図7の供給テーブル1が必要なくなる)。処理システム10は、特に用紙番号印刷機の一部とし、配送パイルユニット51、52への配送前に、用紙全体の番号印刷が実施される番号印刷グループの下流に配置するのが便利である。
【0069】
印刷済みの用紙100のスリット形成と任意の整える処理との代替の解決策は、レーザ切断ユニット4の代わりのロータリナイフシステムの使用に存していてもよい。そのようなロータリナイフシステムは、例えば、用紙を用紙の搬送方向に対して横断方向または長さ方向に切断する横断方向および長さ方向の両方のロータリナイフシステムを開示している同様に本出願人名義の特許文献21のように、それ自体が当該技術で公知である。そのようなシステムは、用紙を完全に切断しないように、しかしその全長(または全幅)の一部にだけスリットを形成するようにロータリナイフシステムを構成することによって前述のスリット形成作業を実施するように構成されていてもよい。
【0070】
図7を参照して説明したスリット形成システムは、スタンドアローンユニットとして構成されていてもよいし、好ましくは印刷機または処理プレスの追加のユニットとして一体化されていてもよい。スリット形成および/または整える作業の精度をチェックし制御するために検査手段をさらに設けてもよい。
【0071】
図8は、好ましい実施形態による本発明の方法を実行するシステムの模式図である。参照番号10は、前述のように各印刷済み用紙100に部分的にスリットを形成(および任意に整える処理)することによって印刷済みの用紙を前処理する前処理およびスタックシステム10(図7を参照して前述したような)を併せて表しており、システム10は各々が所定の数(例えば100)の前処理済みで印刷済みの用紙100’を有している連続している用紙スタック121、122を配送する。
【0072】
それから、前処理済みの用紙100’の用紙スタック121、122は切断線115(図6Bを参照)に沿って切断を行う切断ユニット20に連続して供給され、切断は図示のようにスリット110の方向に垂直な方向に沿って実施される。用紙の縁106も切断され廃棄物として排除されることが有利である。このように、個別の文書150(この場合各々が100枚の個別の文書を有している24セット)がその結果得られる。切断ユニット20の動作は、詳述する必要はないが、それはそのような切断ユニット20が仕上げの技術において一般的なためである。
【0073】
図示のように、それから、これらの個別の文書150は、検査、選り分け、番号印刷および/または帯で巻くユニットなどの下流に位置しているユニット30においてさらに処理することができる。図示の例では、銀行券が特に束にされて、例えば100枚の文書の個別の束200となり、その束200には少なくとも1つの固定帯が周囲に設けられ、それから束の包み210に包装されることが有利である。
【0074】
図9は特定の状況で特に有利な本発明のさらなる改善を模式的に示している。図9は、図5のような用紙スタックの模式的な透視図であって、印刷済みの用紙100には被印刷体の平面に沿って列方向(またはその代わりに行方向に)に延びている少なくとも1つのセキュリティ要素160がある。この模式的な例において、セキュリティ要素160は被印刷体材料内に埋め込まれているスレッドのような要素である。
【0075】
通常、セキュリティスレッドは、用紙製造の時点で紙パルプ内に埋め込まれ、セキュリティスレッドが用紙のパイルつまりスタックの全体のたるみに影響しすぎないようにその位置は銀行券の位置および/または用紙ごとに意図的に変更されている。これは、セキュリティスレッドの寸法(特に幅と厚さ)が小さい限り効果的である。しかし、より大きなおよび/またはより太いセキュリティスレッドを有価証券に組み込む傾向が強くなっており、そのため、製造環境において用紙パイルとスタックの結果として発生するたるみに対応するのがはるかに困難になる。そのような傾向の最近の例は、2006年3月15日にRiksbank(http://www.riksbank.se/)によって発行されたスエーデンの新しい1000クローナ紙幣であり、いわゆるMotion(登録商標)セキュリティスレッド(Motion(登録商標)はCrane & Co.Inc.、30 South Street、Dalton、MA 01226、米国の登録商標)が組み込まれている。
【0076】
そのようなセキュリティ要素の寸法のせいで、印刷済みの用紙が互いにパイルされたつまりスタックされたときに用紙パイルつまりスタックの全体のたるみに相当な影響がある。この状況に対応するために、前処理済みで印刷済みの用紙100’を図9の右下に示しているようにスリット110の方向に垂直な方向に不規則に互いにパイルしてもよい(この場合、図示されていないスリット110はY方向に沿って延びており、用紙は図示のようにX方向に沿って不規則に配置されている)。このように、完成した用紙パイルのたるみに対するセキュリティ要素160の影響を最小にすることで、より簡単に取り扱い、保存、および/または搬送が可能なより一様な用紙のパイルとなる。前処理済みで印刷済みの用紙100’がスリット110の方向に垂直な方向に沿って不規則に配置される限り、これは切断の精度には(この場合Y方向に沿って)影響せず、前処理済みで印刷済みの用紙100’の以降の処理、つまりスリット110の方向に垂直な方向に沿った(図9の方向Xに沿った)切断を前処理済みで印刷済みの用紙100’の不規則に配置されているパイル上で直接実施することができる。
【0077】
当業者には、添付の特許請求の範囲に定められている発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな修正および/または改善を前述の実施形態に対して行うことができるのは明らかである。
【0078】
たとえば、連続したスリットを形成するように用紙のスリット形成を実施することが好ましいが、例えばX切断とY切断とが交差する位置で、インプリントの行または列の間に残りの切断されていない部分が残るように用紙のスリット形成を実施することも考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷済みの用紙(100)、特に銀行券などの個別の文書(150)に印刷された有価証券を処理する方法であって、各前記印刷済みの用紙(100)は行と列のマトリックスに配置されているインプリントの配列を有しており、
前記インプリントの隣接している行または隣接している列の間にスリット(110)を形成するために各印刷済みの用紙(100)に行方向にまたは列方向に部分的にスリットを形成することによって前記印刷済みの用紙(100)を前処理し、前記スリットの形成は前記インプリントの前記隣接している行または前記隣接している列がこのように前処理された各印刷済みの用紙(100’)の縁の位置で依然としてくっついているように実施されるステップと、
互いにスタックされている所定の数の前記前処理済みで印刷済みの用紙(100’)を有している用紙スタック(121、122)を形成するように前記前処理済みで印刷済みの用紙(100’)をスタックするステップと、
各前記用紙スタック(121、122)を前記インプリントの隣接している列または行の間の切断線(115)に沿って列方向または行方向に切断することによって、前記用紙スタック(121、122)を処理し、前記切断は前記スリット(110)の方向に垂直な方向に沿って、そして個別の前記文書(150)がその結果得られるように実施されるステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記印刷済みの用紙(100)を前処理する前記ステップは各前記印刷済みの用紙(100)の用紙の縁(105)を整えるステップであって、前記用紙の縁(105)は前記スリット(110)に平行なステップをさらに有している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記用紙スタック(121、122)を処理する前記ステップは、前記用紙スタック(121、122)の各前記前処理済みで印刷済みの用紙(100’)の用紙の縁(106)を整えるステップであって、前記用紙の縁(106)は前記切断線(115)に並行であるステップをさらに有している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
個別の前記文書(150)を検査するおよび/または選り分けるステップをさらに有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記用紙スタック(121、122)を処理する前記ステップの後で、少なくとも1つの英数字の番号または符号を個別の前記文書(150)の少なくとも一部または全部、または前記印刷済みの用紙(100)の前記前処理前に前記印刷済みの用紙(100)の少なくともいくつかの前記インプリントの少なくとも一部または全部に設けるステップをさらに有する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
個別の束(200)を形成するように個別の前記文書(150)を束ね、個別の前記束(200)の周囲に少なくとも1つの固定バンドを任意に設けるステップをさらに有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記印刷済みの用紙(100)には、前記印刷済みの用紙(100)の上または中を行方向または列方向に延びているセキュリティスレッドなどの少なくとも1つのセキュリティ要素(160)があり、前記印刷済みの用紙(100)にスリットを形成する前記ステップは、前記セキュリティ要素(160)に平行な方向に沿って実施される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記セキュリティ要素(160)は前記印刷済みの用紙が互いにパイルつまりスタックされたときに用紙のパイルつまりスタック全体のたるみに影響し、
前記前処理済みで印刷済みの用紙(100’)をスタックする前記ステップは、前記セキュリティ要素(160)の前記結果として得られる用紙パイルつまりスタックの前記全体のたるみに対する前記影響を最小にするように前記スリット(110)の方向に垂直な方向に沿っている交互の態様(図9)で前記前処理済みの前記印刷済みの用紙(100’)をパイルするステップを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スリットを形成するステップはレーザ切断ユニット(4)またはロータリナイフシステムを使用して実施される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
印刷済みの用紙(100)、特に銀行券などの印刷された有価証券を個別の文書(150)に処理するシステムであって、各前記印刷済みの用紙(100)は行と列のマトリックスに配置されているインプリントの配列を有しており、
インプリントの隣接している行または隣接している列の間にスリット(110)を形成するために各印刷済みの用紙(100)に行方向にまたは列方向に部分的にスリットを形成することによって前記印刷済みの用紙(100)を前処理し、スリットの形成は前記インプリントの前記隣接している行または前記隣接している列がこのように前処理された各印刷済みの用紙(100’)の縁の位置で依然としてくっついているように実施されるスリット形成ユニット(3、4)と、
互いにスタックされている所定の数の前記前処理済みで印刷済みの用紙(100’)を有している用紙スタック(121、122)を形成するように前記前処理済みで印刷済みの用紙(100’)をスタックするスタックユニット(5、51、52)と、
各前記用紙スタック(121、122)を前記インプリントの隣接している列または行の間の切断線(115)に沿って列方向または行方向に切断することによって、前記用紙スタック(121、122)を処理し、前記切断は前記スリット(110)の方向に垂直な方向に沿って、そして個別の前記文書(150)がその結果得られるように実施される切断ユニット(20)と、
を有する、システム。
【請求項11】
前記スリット形成ユニット(3、4)は各印刷済み用紙の縁(105)を整えるようにさらに構成されており、前記用紙の縁(105)は前記スリット(110)に並行であって、スリットを形成するレーザ切断ユニット(4)またはロータリナイフシステムを有することが好ましく、前記印刷済み用紙の前記用紙の縁(105)を任意で整える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記切断ユニット(20)は、前記用紙スタック(121、122)の各前記前処理済みで印刷済みの用紙(100’)の用紙の縁(106)を整えるようにさらに構成されており、前記用紙の縁(106)は前記切断線(115)に並行である、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
個別の前記文書(150)を検査するおよび/または選り分けるための、検査および/または選り分けユニット(30)をさらに有する、請求項10から12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
方法の請求項5によって少なくとも英数字の番号または符号を設ける番号印刷ユニットをさらに有する、請求項10から13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記スリットを形成するユニット(3、4)と前記スタックユニット(5、51、52)は請求項7と8によって動作するように構成されている、請求項10から14のいずれか1項に記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−509210(P2012−509210A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536988(P2011−536988)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055164
【国際公開番号】WO2010/058359
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(591031371)カーベーアー−ノタシ ソシエテ アノニム (54)
【Fターム(参考)】