説明

印刷物の有する色素からなる画像の無色化装置

【課題】印刷物に形成した画像(文字を含む)を、低コストで、容易かつ迅速に消去して記録媒体として再生するための装置を提供すること。
【解決手段】記録媒体の被印刷面に色素により形成された画像を酸化性ガスに接触させてこれを消去して記録媒体を再生するための装置に、被印刷面の画像濃度及び色度を読み取るための手段と、読み取られた画像濃度及び色度を利用して再生処理された記録媒体の分別のための手段とを新たに設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物に形成された画像を無色化して記録媒体として再利用可能とするための無色化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューター、プリンター、複写機、ファクシミリ等の普及に伴い、紙への出力の要求はますます増加している。紙ほど視認性及び携帯性に優れた媒体は現在のところ他になく、情報の電子化、ペーパーレス化が進展した現状においても、紙の需要は増加している。
【0003】
一方、限りある資源の有効利用を図るため、紙の再生・再利用の技術開発の重要性が増大している。従来の紙の再生方法は、回収紙を水で再解膠した後、脱墨工程においてインク部分を浮遊分離し、更に漂白を行い、再生紙として再利用するものである。しかし、この方法では、紙力が低下し、しかも新規に製紙する場合に比べて工程経費が高いという問題がある。よって、再解膠・脱墨工程を経ることなしに、紙を再利用或いは再生する方法が望まれている。
【0004】
このような背景から、近年、発色状態の呈色性化合物を消色状態へ変えることのできる可消色性色素組成物を含む画像形成材料により、紙を印刷する方法について種々検討が行われている。そのような画像形成材料として、印加する熱エネルギーの制御による記録層の可逆的な透明度変化を利用したもの(特許文献1)、電子供与性をもつ発色剤と、電子受容性をもつ顕色剤との分子間相互作用を利用したもの(特許文献2〜4)が報告されている。又、電子線照射により消色する色素を含むインク(特許文献5)、光照射により着色剤を消色させうる作用を持つ添加剤を含有するインク(特許文献6)等が報告されている。
【特許文献1】特開昭63−39377号公報
【特許文献2】特開昭61−237684号公報
【特許文献3】特開平5−124360号公報
【特許文献4】特開2001−105741号公報
【特許文献5】特開平11−116864号公報
【特許文献6】特開2001−49157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜4に記載の方法では、記録媒体、書込−消去装置等の初期コスト、及びランニングコストがいずれも高価であり、実用的ではない。又、特許文献5に記載の方法では、電子線照射を行うため、程度が少ないとはいえ基材が劣化したり、2次X線が発生したりするおそれがある。又特許文献6に記載のインクにおいては、用いる添加剤は具体的には色素系増感剤であり、添加剤を着色剤の含有量に対して質量比で1/10〜10/10と多く添加するため、インクのコストが高いという欠点がある。
【0006】
本発明の目的は、紙等の記録媒体に形成された画像(文字も含む)を、容易かつ迅速に無色化することにある。即ち、印刷物の有するインクの着色成分が付着又は固定された着色部を迅速に無色化し、記録媒体を低コストで再生し、資源の再利用を図ることができる無色化装置を提供することにある。本発明の更なる目的は、印刷物の形成に使用した使用済みの記録媒体の機械的強度を低下させることなく再生できる再生方法に有用な印刷物の着色部の無色化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的に鑑み、鋭意研究の結果、本発明者らは、印刷物上の画像の無色化は、アントラキノン構造又はポリエン構造を有する色素等の色素を酸化性ガスに暴露させると、色素分子が酸化され化学結合の開裂反応が進行することにより達成できることの知見を得た。又、この色素の酸化反応を迅速に行わせるためには、色素分子同士が凝集していないことが重要な条件であるとの知見を得た。即ち、記録媒体に対して多孔質無機顔料を含有させる等の表面処理を施すと、記録媒体に付与したインク中の色素分子が多孔質無機顔料表面の個々の細孔に吸着されることにより分散状態となり、この状態が好ましいとの知見を得た。
【0008】
更に、本発明者らは、暴露処理後の無色化状態をその濃度及び色度を読み取ることで評価し、その評価結果に基づいて、記録媒体として再利用可能な程度まで無色化されたものを分別することにより、効率よい記録媒体の再生が可能であるとの知見を得た。又、本発明者らは、暴露処理後の無色化状態をその濃度及び色度を読み取ることで評価し、その評価結果に基づいて、酸化性ガスへの暴露処理条件を調節することで、より効果的な無色化処理を行うことができるとの知見を得た。更に、上記の分別に際して、再使用可能な記録媒体については消色プロセスに関する識別情報、例えば記録媒体の所有者、消色日時、消色使用回数を記録し、資源の効果的な再利用を図ることが可能であるとの知見を得た。
【0009】
本発明は、上記の本発明者らの知見に基づいてなされたものである、即ち、本発明の印刷物の有する画像の無色化装置は、記録媒体に色素を含むインクを付与して形成した画像を有する印刷物の該画像を無色化して記録媒体として再利用するための無色化装置において、
酸化性ガスに前記印刷物の画像を暴露するための酸化性ガス暴露手段と、
前記被印刷面の画像の濃度及び色度を読み取るための濃度及び色度読取手段と、
前記印刷物の画像の前記酸化性ガス暴露手段による再生処理を経て得られた再生記録媒体の被印刷面の濃度及び色度を、前記濃度及び色度読取手段で読み取り、その読み取りデータに基づいて、前記再生処理記録媒体を評価して分別するための分別手段と、
を備えたことを特徴とする印刷物の有する画像の無色化装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の印刷物の有する着色部の無色化装置によれば、紙等の記録媒体に形成された画像を容易かつ迅速に消去することができる。更に、印刷物の形成に用いた記録媒体の機械的強度の低下を抑制しつつ着色部の迅速かつ容易な無色化が可能であり、記録媒体の低コストでの再生が可能となる。即ち、本発明によれば、使用済み記録媒体の資源としての再利用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明における「無色化」とは、印刷物の有する文字や画像の光学濃度が、無色化処理により記録媒体として再利用可能な程度に減少することをいう。例えば、記録媒体に付与されたインクにより形成された着色部が目視にて全く認識できなくなる場合(以下、「消色」はこの意味を表す)だけではない。記録媒体に形成された着色部の初期の光学濃度に対して、80%等所定の光学濃度に減じる場合(以下、「減色」はこの意味を表す)をも包含するものである。又、光学濃度残率で表す場合には、着色部の最大吸収波長における初期の光学反射率に対して、例えば20%以下の光学反射率に減じる場合である。
【0012】
[記録媒体]
本発明の無色化装置に適用可能な印刷物を形成するための記録媒体としては、消色性インクによる印刷が可能なものであれば、特に制限されるものではない。かかる記録媒体としては、例えば、紙、フィルム、印画紙、シール、ラベル、コンパクトディスク、金属、ガラス、各種プラスチック製品、宅配便の伝票、ICカード、無線自動認識ICタグや、これらの複合物等を挙げることができる。特に、これら記録媒体内に無線自動認識ICチップ/タグや光メモリー等を埋め込み、光や無線等を用いて消色日時や消色回数等無色化に関わる履歴情報を記録できるものであることが望ましい。又、記録媒体上へバーコード印刷やその他マーキングすることにより、消色回数を記録できるものであることが望ましい。
【0013】
上記紙は、酸性紙、中性紙又はアルカリ性紙のいずれでもよく、再利用可能なものを好ましいものとして挙げることができる。このような紙の製法としては、LBKP、NBKP等に代表される化学パルプ及び填料を主体とし、その他内面サイズ剤や抄紙助剤を必要に応じて用い、常法により抄紙する方法を挙げることができる。使用するパルプ材としては、機械パルプや古紙再生パルプを併用したものや、これらを主体とするもの等を挙げることができ、填料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン等を挙げることができる。このようにして得られた紙は、更に親水性バインダー、マット剤、硬膜剤、界面活性剤、ポリマーラテックス、ポリマー媒染剤等を含有するか、又は塗布されていてもよい。紙の坪量は40〜700g/m2であることが好ましい。
【0014】
記録媒体は、インクに含有される色素を分散させる表面処理がなされたものであることが好ましい。記録媒体のインクに含有される色素を分散させる表面処理としては、表面のマット処理等であってもよいが、多孔質無機顔料による処理が好ましい。
【0015】
多孔質無機顔料は、細孔容積が0.2cc/g以上、2.0cc/g以下であることが好ましい。又、この多孔質無機顔料は、分散粒子径が0.01μm以上、0.5μm以下であることが好ましい。更に、これらの2つの条件を共に満たすことが、より好ましい。多孔質無機顔料がこの細孔容積、及び/又は、分散粒子径を有すると、その表面に色素分子粒子を個別に吸着し、記録媒体に固定されるインク中において色素分子の凝集を抑制することができるため好ましい。多孔質無機顔料の細孔容積は、水銀圧入法による水銀ポロシメーターにより測定することができる。一般に、記録媒体と無機顔料の細孔径は異なることから、水銀ポロシメーターにより細孔径に対する細孔容積の分布を調べれば、多孔質無機顔料のみの細孔容積を算出することができる。又、分散粒子径は、走査電子顕微鏡観察により測定することができる。
【0016】
記録媒体の表面処理に用いる多孔質無機顔料の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、クレイ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、サチンホワイト、ケイソウ土及び酸性白土
これらのうちアルミナ、シリカ、又はこれらのいずれかの複合材料が好ましい。
【0017】
多孔質無機顔料を用いた記録媒体の表面処理としては、多孔質無機顔料に水性結着剤を添加した水性塗工液を調製した上で、得られた水性塗工液を紙(原紙)等の記録媒体にコート(塗工)する方法を挙げることができる。水性結着剤としては、以下のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ポリビニルアルコール、カゼイン、スチレンブタジエンラバー、でんぷん、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキサイド等の水溶性高分子化合物
多孔質無機顔料と水性結着剤の質量比(多孔質無機顔料/水性結着剤)は、0.1〜100が好ましく、より好ましくは1〜20である。多孔質無機顔料と水性結着剤の質量比(多孔質無機顔料/水性結着剤)が100以下であれば、記録媒体から多孔質無機顔料の脱落、いわゆる粉落ちを抑制することができる。又、多孔質無機顔料と水性結着剤の質量比(多孔質無機顔料/水性結着剤)が0.1以上であれば、記録媒体に形成されたインクジェット画像の減色性又は消色性を優れたものとすることができる。水性塗工液には、必要に応じて顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、離型剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤等を適宜配合することができる。
【0018】
水性塗工液の記録媒体への塗工方法としては、以下のものが挙げられる。
具体的にロールコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、バーコーター法、スプレーコート法、グラビアコーター法、カーテンコーター法、コンマコーター法等
水性塗工液の記録媒体への塗工量としては、例えば、固形分として0.1〜50g/m2の範囲を挙げることができる。塗工量が0.1g/m2以上であれば、記録媒体においてインクジェット画像を迅速に減色又は消色することができる。一方、塗工量が50g/m2以下であれば、水性塗工液の無駄な消費を免れることができる。
【0019】
水性塗工液の記録媒体への塗工後、湿潤状態の上記水性塗工液に対して、亜鉛、カルシウム、バリウム、マグネシウム又はアルミニウム等の硝酸塩、硫酸塩、蟻酸塩、酢酸塩を含む水溶液を記録媒体の被処理表面に予め塗布する等の処理を行ってもよい。このように処理することで、水性結着剤を凝固させることができる。記録媒体上の水性塗工液の塗工膜を、例えば熱風乾燥炉、熱ドラム等を用いて乾燥し、表面処理を施した記録媒体を得ることができる。記録媒体上の水性塗工液の塗工膜の乾燥に熱ドラムを用いる場合は、加熱した塗工膜を圧着・乾燥して塗工層を得ることができる。又、乾燥後、記録媒体にカレンダー処理を施すことにより、膜はがれや粉落ちのない強固な塗工膜が得られる。
【0020】
[インク]
インクとしては、記録媒体に画像を形成することができる消色性色素を含有するものであれば特に制限はない。画像は、インクジェット方式によるプリンター、複写機、印刷機等を用いた印刷により記録媒体に形成できる。又、ペン等の筆記具を用いて記録媒体に形成できるものであってもよい。かかるインクとして、色素を有機溶媒又は水に、溶解又は分散したものを挙げることができる。
【0021】
(色素)
色素としては、天然色素、合成色素及び顕色剤等の作用により発色するもの等いずれのものであってもよいが、アントラキノン構造又はポリエン構造を有するものが好ましい。ポリエン構造を有する色素としては、アナトー色素やクチナシ黄色素に代表されるカロチノイド等の共役ポリエン等を挙げることができる。アントラキノン系色素としては、以下のものが挙げられる。
アシッドブルー8、アシッドブルー25、アシッドブルー129、アシッドグリーン25、アシッドバイオレット43、モーダントオレンジ14、モーダントレッド2、モーダントレッド4、モーダントレッド11、モーダントレッド45、モーダントバイオレット26、モーダントブルー8、モーダントブルー23、モーダントブルー32、モーダントブルー50、モーダントブラウン42、モーダントブラウン44、コチニール色素、ラック色素、アカネ色素
本発明に用いられる色素はこれらに限定されるものではなく、アントラキノン骨格を持っている化合物を含む色素であれば使用できる。色素としては天然色素、合成色素のいずれを含むものであってもよいが、天然色素を含むものがより好ましい。天然色素としては、微生物により生産される微生物色素、動物/植物等から抽出される抽出色素等を挙げることができる。微生物色素は、微生物の培養により生産され、抽出色素に比べて生産管理が容易であり、安定的かつ大量の生産が可能であり、特に好ましい。
【0022】
微生物色素は、微生物色素を産出する菌株等を使用し、その培養方法も特に限定しない公知の培養法を利用し、通常これらを産出する微生物の培養液から抽出して得ることができる。又、インク特性を保持することができるのであれば、特に抽出・精製をせず、培養液をそのまま濃縮してインクに含有させる色素として用いることもできる。かかる微生物色素の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
紅麹色素、バイオラセイン、メラニン、カロチノイド、クロロフィル、フィコビリン、フラビン、フェナジン、プロディギオシン、バイオラセイン、インジゴ系色素、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン等、公知のもの(Pigment microbiology, P. Z. Margalith著,Chapman & Hall, London(1992))
これらの微生物色素のうち後述する放電処理により発生した酸化性ガスによる消色性に特に優れているのは、紅麹色素、アントラキノン系色素、バイオラセイン、インジゴ系色素である。
【0023】
かかる紅麹色素はモナスカス属の糸状菌(紅麹菌)が生産する色素であり、古くから中国、台湾等で紅酒、食肉等の着色剤として用いられており、その安全性が確認されている。紅麹色素は一般に、オレンジ色系のモナスコルブリン(Monascorubrin、)、黄色系のアンカフラビン(Ankaflavin)、黄色系のモナスシン(Monascin)、赤色系のモナスコルブラミン(Monascorubramin)、ルブロパンクタチン(rubropunctatin)、ルブロパンクタミン(rubropunctamine)のように構造が類似し、置換基が異なる化合物からなる組成物である(J. Ferment. Technol., Vol. 51, p. 407 (1973))。これらの化合物は水に不溶である。但し、モナスコルブリンとルブロパンクタチンは培養液中の水溶性アミノ化合物、例えば水溶性蛋白質、ペプチド、アミノ酸等と反応して水溶性の複合体を形成して赤色系水溶性紅麹色素となることが知られている(Journal of Industrial Microbiology, Vol. 16,pp. 163-170(1996))。
【0024】
紅麹色素を産出する紅麹の菌株はモナスカス属の糸状菌であればよい。モナスカス属の糸状菌としては、例えばモナスカス・パープレウス[Monascus purpureus;例えば独立行政法人製品評価技術基盤機構・生物遺伝資源センター(NBRC)のカタログ番号NBRC 4478]、モナスカス・ピロサス(Monascus pilosus;例えば同カタログ番号NBRC 4480)、モナスカス・ルバー(Monascus ruber;例えば同カタログ番号NBRC 9203)等を挙げることがでる。更にこれらの変種及び変異株も挙げることができる。
【0025】
紅麹色素を産生するための紅麹菌株の培養方法は、固体培地を使用する固体培養法、液体培地を使用する液体培養法等いずれも利用できる。例えば固体培養法からは粉末紅麹色素が得られ、液体培養法からは液体紅麹色素又はその有機溶媒抽出液が得られる。培地は炭素源、窒素源、無機塩類及び微量栄養素を含む公知のものでよい。例えば炭素源としてグルコース、シュークロース等の糖類や酢酸、澱粉の加水分解物を含み、窒素源及び微量栄養素としてペプトン、酵母エキス、麦芽エキス等を含み、無機塩類として硫酸塩、リン酸塩等を適宜含有する培地を利用することができる。
【0026】
紅麹の菌株の培養方法としては、具体的には、紅麹菌をこれら培地に接種し、20〜40℃の温度で、好気的に2〜14日間培養する方法等を例示することができる。通気攪拌培養を行う場合、pHを特にコントロールする必要はない。但し、酸性条件下で培養した場合、上述のモナスコルブリン及びルブロパンクタチンと水溶性アミノ化合物との反応を阻害して、モナスコルブリン及びルブロパンクタチンを多く含む色素を調製することができる(Journal of Industrial Microbiology, Vol. 16,pp. 163-170(1996))。
【0027】
紅麹色素の抽出は、培養液及び菌体画分から有機溶媒により抽出する方法を挙げることができるが、紅麹色素として培養上澄み成分をそのまま乾固したものを用いてもよい。抽出溶媒としては、n−プロピルアルコール、メタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、ジオキサン、クロロホルム等を使用することができる。抽出物の精製には、通常の単離方法、例えばシリカゲルクロマトグラフィー及び逆相の高速液体クロマトグラフィー等により単離する方法を利用することができ、精製により所望の純度の紅麹色素を得ることができる。
【0028】
このようにして得られる紅麹色素は、水不溶成分と水溶性成分との混合物である。水不溶成分は、モナスコルブリン、ルブロパンクタチン、アンカフラビン、モナスシン、モナスコルブラミン及びルブロパンクタミン等であり、水溶性成分は、培養中にモナスコルブリン又はルプブロパンクタチンと、水溶性アミノ化合物とが結合したものである。
【0029】
上記培養により得られた紅麹色素をインクに含有される色素として用いるには、上述のように培養上澄み液又はその抽出物をそのまま適用することもできるが、これらに更に水溶性アミノ化合物を添加したものが好ましい。培養上澄み液又はその抽出物に水溶性アミノ化合物を添加すると、モナスコルブリン又はルブロパンクタチンと水溶性アミノ化合物とが結合した水溶性の複合体の生成を促進させることができる。この方法は、色素中の水溶性成分が増加し、本発明におけるインクの減色性/消色性を向上させることができるため、好ましい。
【0030】
例えば、以下の方法により、培養により得られた紅麹色素に水溶性アミノ化合物を添加して、色素中の水溶性成分を増加させることができる。まず、酸性条件下で紅麹菌を培養する。この酸性条件での培養は、例えば、pH調整剤として酢酸を用い、フィードしつつ培養することにより行うことができる。この酸性条件での培養により、モナスコルブリン又はルブロパンクタチンと水溶性アミノ化合物との反応を抑制し、水に不溶なモナスコルブリン及びルブロパンクタチンを多量に含有する色素を生成する。この培養液に水溶性アミノ化合物を過剰に添加し、pHを中性に調整した後、遠心分離又はろ過等により菌体を除去し、水溶性成分が増加した色素を得ることができる。又、酸性条件下で培養した後、培養液からモナスコルブリン、ルブロパンクタチンを含む色素を有機溶媒で抽出し、これを水溶性アミノ化合物と反応させる方法を用いることもできる。この方法によれば、色素以外の不純物の含有量が低減され、しかも限定された色素の混合物として紅麹色素が得られ、本発明の無色化装置での無色化に適用した際の消色性又は減色性が向上するため、好ましい。この培養液から色素を抽出するのに用いる抽出溶媒としては、酢酸エチル、アセトン、ブタノール、エタノール、メタノール等を挙げることができる。これらのうち、抽出液として酢酸エチルを用いた後、抽出液の洗浄液として水を用いることが本発明における無色化の効果を向上させることができるため、好ましい。
【0031】
又、培養により得られた紅麹色素に添加する水溶性アミノ化合物としては、アミノ酸、水溶性蛋白質、ペプチド及び核酸化合物からなる群から選ばれた一種又はこれらの混合物が、本発明における優れた消色効果が得られるため好ましい。又、色素を抽出してこれに水溶性アミノ化合物を添加する場合、使用する溶媒としてはいずれのものであってもよいが、50質量%エタノール水溶液、50質量%メタノール水溶液、50質量%アセトニトリル水溶液等を用いることが好ましい。
【0032】
天然色素としてのバイオラセインは、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属、ヤンチノバクテリウム(Janthinobacterium)属、又はアルテロモナス(Alteromonas)属に属する微生物である。更にこれらの変種又は変異株の菌体内に保有されるものも挙げることができる。
【0033】
かかるバイオラセインを得るには、特にヤンチノバクテリウム・リビダム(Janthinobacterium lividum;例えば理化学研究所微生物系統保存施設のカタログ番号JCM9045)を用いることが好ましい。ヤンチノバクテリウム・リビダムは、培地の種類によって青紫色素の産生量が著しく異なるので、産生量が多いマンニットYE培地やジャガイモ半合成培地等を用い、温度5〜30℃、pH6.0〜8.0に維持して培養することが好ましい。得られた菌体から色素を溶媒抽出により抽出することができる。色素の抽出溶媒としては、n−プロピルアルコール、メタノール、エタノール、ジオキサン、クロロホルム等を使用することができる。抽出物の精製は、通常の単離方法、例えば、シリカゲルクロマトグラフィー及び逆相の高速液体クロマトグラフィー等によることができ、所望の純度のバイオラセインを得ることができる。抽出物を濃縮し、そのまま用いることもできる。
【0034】
天然色素としての抽出色素は、いずれのものも使用することができる。かかる抽出色素の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
ウコン色素、クチナシ色素、カロチン、ベニバナ色素、アナトー色素、トウガラシ色素、シソ色素、ブドウ果汁色素、赤大根色素、アカキャベツ色素、ムラサキイモ色素、クロロフィル色素、カカオ色素、インジゴ系色素等の植物から抽出した色素や、ラック色素、コチニール色素、イカ墨色素等動物性色素等
これらのうち、特にインジゴ色素、クチナシ色素又はトウガラシ色素を好ましいものとして挙げることができる。
【0035】
又、合成色素としては、いずれのものも使用することができ、具体的に、アントラキノン系、トリフェニルメタン系、フタロシアニン系、ポリエン系、インジゴ系等を挙げることができる。
【0036】
(溶媒)
インクの液媒体成分であり、色素を溶解又は分散する有機溶媒としては、例えば、インクジェットインクに使用される有機溶媒を挙げることができる。具体的には、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、脂肪酸エステル、ケトン、エーテル、炭化水素系溶媒、極性溶媒等を挙げることができる。これらのうち、特に好ましい有機溶媒としては以下のものが挙げられる。
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール又はt−ブチルアルコール等のアルコール類
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール及びチオジグリコール等のグリコール類
これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いても二種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。例えば、アルコールと極性溶媒、グリコールと極性溶媒、アルコールとグリコールと極性溶媒の組合せを具体的に挙げることができる。かかる極性溶媒としては、以下のものが挙げられる。
2−ピロリドン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル又はアセトン等
又、有機溶媒が水溶性であれば、これらに水を添加した混合溶媒も用いることができる。その場合のインク中の水の含有量は、インク全質量に対し30〜95質量%の範囲とすることが好ましい。
【0037】
これらの溶媒に無色化可能な色素を分散、溶解する方法としては、単に溶媒に色素を添加して溶解する方法が挙げられる。又、必要に応じて、分散機を用いて微粒子化し、適当な分散剤(界面活性剤)を用いて分散させる方法によることができる。分散機としては、以下のものが挙げられる。
ボールミル、サンドミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、ジェットミル、オングミル等
使用する界面活性剤としては陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれのものも用いることができる。
【0038】
色素の含有量はインクの全質量に対して0.01〜90質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましい。インク中の色素の含有量がこの範囲であると、記録媒体に良好な画像を形成することができる。
【0039】
インクには必要に応じて結合剤、pH調整剤、粘度調整剤、浸透材、表面張力調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防かび剤等を含有させることができる。
【0040】
[被印刷面の画像濃度及び色を読み取る手段]
印刷物又はその酸化性ガス暴露処理物(再生記録媒体)の被印刷面の画像濃度及び色度を読み取る手段としては、例えばCCDセンサの様な光素子を単独又はカラーフィルタを介して配置した構成の装置が利用できる。この装置によって、印刷物又は印刷物から得られる再生記録媒体上の被印刷面における画像濃度測定及び色の識別(色度の測定)を行えばよい。画像濃度は、印刷物又は印刷物から得られる再生記録媒体上の被印刷面の画像中の最高濃度を判定対象とする。色の識別は、例えばJISに準じた色度座標値から判定を行い、黒色以外の印刷物又は印刷物から得られる再生記録媒体について次の無色化工程を行うものとする。即ち、印刷物又は印刷物から得られる再生記録媒体上の被印刷面の画像濃度及び色度を読み取った結果に基づいて、黒以外の印刷物についてのみ少なくとも以下の(1)の処理を行うことが可能となる。なお、被印刷面は酸化性ガスによる暴露処理前には無色化の対象としての画像が形成されている面である。
(1)印刷物に対して酸化性ガスへの暴露処理を行って得られた再生記録媒体の被印刷面の画像濃度の値が、再生記録媒体を記録媒体として再利用可能な程度に低いかどうかを評価して、低い場合を再利用可能な再生記録媒体として分別する。
【0041】
更に、読み取った画像濃度及び色度のデータを用いて以下の処理をすることができる。
(2)色度の違いにより消色可能な印刷物とそうではない印刷物を暴露処理前に分別する。
(3)暴露処理を経て得られるの再生記録媒体の被印刷面から得られる画像濃度の大小から消色可能な印刷物を酸化性ガスに暴露させる時間及び酸化性ガスを発生させる光あるいは放電のエネルギーに関する条件をフィードバックして調整する。このようにすことで、更に効率良い消去プロセスを可能とする。
【0042】
上記の(3)の処理においては、再生記録媒体の被印刷面の画像濃度が大きい場合は、被印刷面になお多くの色素分子が存在するため、それらの分子の開裂反応を進める上で多量の酸化性ガスが必要となる。しかしながら、例えば放電により酸化性ガスを発生させる場合、長時間放電を持続させると生成オゾン量が数百ppm以上と非常に高濃度になってしまう。その状態では、生成オゾンによる記録媒体の再生への甚大なる負荷がかかることに加え、効率のよい無色化を行うことができない。したがって、生成オゾンによる記録媒体の再生への影響をできるだけ低減して色素の無色化を行うには、放電のエネルギーを上げ短時間で処理する方がよい。このようにして生成オゾン量を最小限に抑えた消色プロセスが可能となる。
【0043】
[酸化性ガスの暴露]
印刷物の酸化性ガスの暴露に使用する酸化性ガスとしては、印刷物の被印刷面の表面又は表面近傍に存在する色素に対し、酸化作用を有する常温で気体のものを使用することができる。色素の酸化を酸化性ガスにより行うことにより、被印刷面上に余剰の酸性物質が残留することがない。その結果、無色化された色素を含む被印刷面に、新たなインクにより印刷を行っても、新たに付与された色素が酸性物質により減色されることがなく、記録媒体としての再利用が可能となる。このような酸化作用を有する気体としては、例えば、酸素、二酸化炭素、オゾン、過酸化水素、NOx、SOx、臭素、ヨウ素のうち少なくとも一種類又はこれらの混合物を挙げることができ、これらの気体を含有する溶液からの揮発により発生させることができる。又、酸化性ガスの発生装置としては、紫外線ランプ、エキシマランプのような光源や、コロナ放電や沿面放電、誘電体バリア放電により得られる電離/解離ガス(プラズマ)や、又はその二次生成物を挙げることができる。
【0044】
光源としては、紫外線ランプ、特にエキシマランプによるものであることが好ましい。又、その光の照度は10mW/cm2以上、1000mW/cm2以下であることが好ましい。光の照度が1000mW/cm2を超えてしまうと、例えば紙の繊維にダメージを与えやすくなる。紫外線ランプとしては、例えば低圧水銀灯、蛍光ランプ、LED、ハロゲンランプ等が挙げられる。エキシマランプは、ランプ内の封入ガス種により色々な波長のエキシマ光を発光させることが可能である。例えば、Xe、Kr、Arを用いた場合、発光中心波長はそれぞれ172nm、146nm、126nmであり、Kr或いはXeに塩素を混合させたガスを用いた場合の発光中心波長はそれぞれ、222nm、308nmとなる。このようなエキシマランプを用いた場合は、ランプと記録媒体(インク)間において空気中のガスが効率良くイオン化されるため、ヒドロキシルラジカル、オゾン、炭酸イオン、NOx等の酸化性ガスが多量に発生する。したがって、エキシマランプを光源として用いる場合には、放電ノイズを嫌う、ICカード、ICタグ等電子デバイスを組み込んだ印刷物の無色化に適している。
【0045】
コロナ放電は、密閉系でも開放系でも行うことができ、密閉系で行う場合は、印刷物の酸化性ガスへの暴露も密閉系で行うことができる。コロナ放電により酸化性ガスを発生させるには、放電電極と、これに対向する対向電極との間に、交流電圧又は直流電圧、又はこれらを重畳して印加して放電を発生させ、プラズマやその二次生成物を生成させる。コロナ放電を開放系で行う場合は、生成する電離/解離ガスや、又はその二次生成物として、例えば、オゾン、炭酸イオン、ヒドロキシルラジカル、窒素酸化物等を例示することができる。この放電電極と対向電極間に印加する電圧は、直流電圧を印加する場合の極性はマイナスであることが好ましい。電極間に印加する放電電圧は、酸化性ガスと記録媒体との接触効率、酸化性ガスの組成、色素の種類、濃度、組成、記録媒体の種類等の条件により、暴露時間と調整を図って適宜選択することができ、−0.5kV〜−20.0kV等とすることができる。又酸化性ガスの記録媒体への暴露時間は、1秒〜10分が好ましい。放電は対向電極を接地した状態で発生させるのが好ましい。放電電極としては、ワイヤー状、ロール状、プレート状、ブラシ状、針状又はバー状等いずれの形状であってもよいが、対向電極と記録媒体の少なくとも一部とが接触した形状が好ましい。又、放電電極と印刷物の被印刷面(画像面)の距離は30mm以下(これらが接触している場合についての0mmを含む)とすることが好ましい。印刷物の被印刷面と酸化性ガスとの接触は、放電電極と対向電極との間の放電領域に記録媒体を静置して行うことができる。あるいは、エンドレスベルト搬送、ロール搬送若しくはドラム搬送等の搬送手段を用いて、放電電極と対向電極との間の放電領域内に印刷物を走行させることにより行うことができる。又、前記搬送手段を導電性を有するものとし、これをもって対向電極とすることもできる。
【0046】
酸化性ガスの発生に使用する沿面放電においては、誘電体により隔てられた一対の電極間に交流電圧を印加し、誘電体に沿って放電を発生させ、電離/解離ガスや、その二次生成物を発生させることができる。電極間に印加する放電電圧としては、酸化性ガスと記録媒体との接触効率、酸化性ガスの組成、色素の種類、濃度、組成、記録媒体の種類等の条件により、暴露時間と調整を図って適宜選択することができる。電圧値(Vpp)は1kV〜20kV、周波数は100Hz〜5MHz、電圧波形は方形波、三角波、正弦波、パルス波から任意に選択することができる。又、酸化性ガスの記録媒体への暴露時間は、1秒〜10分が好ましい。印刷物の被印刷面と酸化性ガスとの接触は、沿面放電の放電領域内、又は近傍に記録媒体を静置して行うことができる。又はエンドレスベルト搬送、ロール搬送、若しくはドラム搬送等の搬送手段を用いて、沿面放電の放電領域内、又は近傍で記録媒体を走行させることにより行うことができる。
【0047】
酸化性ガスの発生に使用する誘電体バリア放電としては、誘電体で被覆した第一の電極と、該第一の電極と隔てられた第二の電極の間に電圧を印加する放電であることが好ましい。第一の電極と第二の電極の間に印加する電圧は、電圧Vppが1〜50kVであり、周波数が10Hz〜50kHzである交流電圧であることが好ましく、より好ましくは電圧Vppが1〜30kV、周波数が20Hz〜20kHzである。このような交流電圧を印加することにより、効率のよいインクの無色化を行うことができる。印加する交流電圧の波形としては、正弦波、三角波、矩形波、パルス波形のほか、これらの波形を組み合わせたものであってもよい。このようなバリア放電により発生したプラズマに記録媒体に固定されたインクを暴露するには、放電領域の内部又は近傍に記録媒体を配置することが、酸化性ガスを効率よく用いて画像の無色化を行うことができるため、好ましい。第一の電極を被覆した誘電体とインクを固定した面を対向して平行に配置することが好ましく、誘電体と記録媒体間の距離が、0〜100mmであることが好ましい。又、誘電体で被覆した電極面は、記録媒体と同等若しくはより大きい面積を有することが、効率のよいインクの無色化を行うことができるため、好ましい。このような誘電体バリア放電により発生した酸化性ガスに印刷物を暴露するには、印刷物を静置して行ってもよい。あるいは、放電領域又はその近傍に印刷物を走行させて行うことができる。印刷物を走行させる手段としては、公知の搬送手段を用いることができ、例えば、エンドレスベルト搬送、ロール搬送、ドラム搬送を挙げることができる。このような印刷物の搬送手段は導電性であることを必要とするものではないが、導電性とし第二の電極として機能させてもよい。又、印刷物を第一の電極を被覆した誘電体と第二の電極の間に浮かせた状態で静止又は搬送させれば、シート状の印刷物の両面上の画像を無色化することも可能である。酸化性ガスの印刷物への暴露時間としては、印刷物と誘電体間との距離、印加電圧の大きさにより適宜選択することができるが、1秒〜10分が好ましい。又、誘電体及び電極材料として透明又は半透明の材料用い、透明電極側にラインセンサーやイメージセンサーを配置して印刷物上のインク濃度を測定すれば、インク濃度に応じて放電時間を変えることができ、いずれの濃度でも均一な無色化が達成できる。透明又は半透明の材料としては、例えばガラスやITO等が挙げられる。
【0048】
又、本発明において用い得るリモートプラズマ法は、被処理表面はプラズマ領域とは離れた位置に置いて処理することを本質的な特徴としている。従来のプラズマ処理では、プラズマ領域(プラズマ空間)内、もしくはこの領域に実質的に接する状態で各種固体の表面をプラズマにさらして処理しているが、リモートプラズマ法の場合にはこれらとは本質的に異なっている。リモートプラズマ法によれば、印刷物はプラズマに直接的に曝されることなく、即ちプラズマ領域の影響を直接受けることなく酸化性ガスと接触することができる。要するに、印刷物との接触領域へのプラズマ領域に存在するイオン種や電子という荷電性種の直接的影響を制御して、酸化性ガスをこの接触領域に導入することで、プラズマ領域で発生した酸化性ガス種の積極的、もしくは選択的な作用を可能としているのである。このように、本発明においては、従来のプラズマ処理とは異なり、プラズマ中の酸化性ガス種を積極的に表面処理に利用する。そして、このように酸化性ガス種をその他のイオン種や電子と分離して利用するために、被処理表面をプラズマ領域から離れた位置に配置する。この被処理表面をプラズマ領域から離れた位置に配置して表面処理を行うことを、本発明者らは、「リモートプラズマ」と呼ぶものである。即ち、本発明においては、外部からリモートプラズマ装置内に反応性ガスを流し、プラズマ領域で生成した酸化性ガス種のうち、オゾン、ヒドロキシラジカル、炭酸イオン及び窒素酸化物から選ばれた少なくとも一種を積極的に色素の無色化反応に関与させる。このことによって無色化のための化学反応が促進される。しかも、生成されたオゾン等の酸化性ガス種は、全て印刷物の有する着色部の無色化に使用されるため、オゾン等の酸化性ガスの生成量を必要最小限に抑えた無色化処理プロセスが可能となる。更に、リモートプラズマ装置を用いる場合には、印刷物の処理表面をプラズマ領域とは離れた位置に置いて処理することを本質的な特徴としているため、ICカード、ICタグ等電子デバイスを組み込んだ印刷物の無色化に適している。このような新しいリモートプラズマによる表面処理方法では、そのプラズマの生成については、従来から知られている各種放電手段が適宜に使用できる。たとえばコロナ放電、沿面放電、共面放電、誘電体バリア放電等の放電プラズマの生成手段、そしてリモートプラズマ装置への空気、酸素、窒素、二酸化炭素、水蒸気やこれら気体の2種類以上の組合せによる反応性ガスの導入手段が適宜に採用される。
【0049】
コロナ放電、沿面放電、誘電体バリア放電及びリモートプラズマ法において、上記1対の電極を備えた放電器を複数用いることが記録媒体上の画像の減色又は消色を迅速に行うことができるため好ましい。
【0050】
[記録媒体の加熱手段]
本発明の印刷物の無色化装置において、例えば記録媒体が紙の場合、同一記録媒体への印刷及び無色化処理回数が増加するにつれて、紙のよれや折れ等が生じるため、再生記録媒体の分別前に加熱処理を施すことが好ましい。加熱温度は、100℃以上200℃以下が好ましい。又、このような加熱処理により、酸化性ガスを脱離させ、再生記録媒体上に残留させないことができる。このため、無色化された色素上に再度、色素を含有するインクを固定しても、色素分子において開裂反応が進行せず、有色状態を維持することができ、記録媒体の再利用を可能とすることができる。再生記録媒体への加熱手段としては、複写機等で用いられている定着器と同様の方法、例えばローラ加熱定着装置、フィルム加熱定着装置等が挙げられる。又、このような加熱手段を有した装置は、本発明の色素以外に、例えばロイコ色素のような感熱タイプの色素を含有するインクが固定された記録媒体の消去も可能となる。
【0051】
[再生記録媒体上に無色化処理に関わる識別情報を記録する手段]
記録媒体としてICカードを用いる場合や記録媒体内に無線自動認識ICチップ/タグを埋め込んだ場合は、無線リーダライタ等を用いて、記録媒体の所有者、消色日時、消色回数等無色化に関わる履歴情報を記録(書き込み/読み出し)することが好ましい。又、インクジェットプリンターや熱転写リボンを用いて、記録媒体上へバーコード印刷やその他マーキングすることにより、消色回数を記録することが望ましい。
【0052】
[印刷物の無色化装置]
本発明の無色化装置は、記録媒体の被印刷面の画像の濃度及び色度読取手段と、印刷物の酸化性ガス暴露手段と、酸化性ガスの暴露後に記録媒体の被印刷面の画像濃度を読み取り、所定の基準に従って再生された記録媒体を分別する手段とを備えたものである。再生記録媒体を分別する際に再生記録媒体に消色回数等の識別情報を記録する手段、及び/又は再生記録媒体への加熱手段とを更に備えたものであることが好ましい。このような構成の装置を用いて印刷物の無色化方法を実施することができる。以下、本発明の無色化装置の実施の態様について、図面を参照して説明する。
【0053】
(光)
本発明の無色化装置の一実施態様として、酸化性ガスの発生にエキシマランプを利用した実施態様について、図1の概略構成図を参照して説明する。図1に示す無色化装置は、以下の動作を行うための構成を有する。
(1)カラーフィルタ62を有するCCDセンサ61により印刷物1の画像濃度及び色度を読み取る。
(2)エキシマランプ2により発生させた酸化性ガスに印刷物1を暴露させる。
(3)印刷物1への酸化性ガスの暴露後に再生記録媒体の被印刷面の画像濃度をCCDセンサ61にて読み取る。
(4)再生記録媒体を再利用可能なものとして分別する前に無線により再生記録媒体内に埋め込まれているRFタグに例えば無線リーダライタを用い消色日時や消色回数を記録した後、再利用可能な再生記録媒体として分別する。
【0054】
エキシマランプ2と搬送ベルト51間の距離としては、エキシマランプ2と印刷物1の表面(画像や文字が形成されている被印刷面)との間の距離が0mm以上(これらが接触している0mmの場合を含む)100mm以下であることが好ましい。エキシマランプ2と印刷物との距離がこの範囲であると、両者の空間内で酸化性ガスが効率よく生成し、印刷物上のインクの無色化を効率よく行うことができる。印刷物1の酸化性ガスへの暴露は、印刷物1を酸化性ガス発生領域に対して移動させて行うことも、又ローラ52の回転を停止し、静止させて行うこともできる。又、このような無色化装置は、ICカード、ICタグ等電子デバイスを組み込んだ記録媒体を用いて形成した印刷物の無色化に適している。
【0055】
この構成の無色化装置においては、印刷物1の被印刷面の画像濃度及び色度を読み取り、色度の違いにより消色可能な記録媒体とそうではない記録媒体を分別することができる。又、画像濃度の大小から消色可能な印刷物をその画像濃度に応じてエキシマランプで発生させた酸化性ガスに暴露させる時間を変化させて画像を迅速に無色化することが可能となる。更に、酸化性ガスの暴露後に被印刷面の画像濃度をCCDセンサ61で読み取り、例えば、図6に示すフローチャートに従い、再使用可能な記録媒体11とそうではない記録媒体12とに分別フラッパー10等を用い自動分別する。そして、再使用可能な記録媒体については無線リードライター82にて使用回数を記録して資源の再利用化が行われる。
【0056】
(コロナ放電)
本発明の無色化装置の一実施態様として、酸化性ガスの発生にコロナ放電を利用した実施態様について、図2の概略構成図を参照して説明する。図2に示す本発明の無色化装置は、以下の動作を行うための構成を有する。
(1)カラーフィルタ62を有するCCDセンサ61により印刷物1の画像濃度及び色度を読み取る。
(2)放電器4により発生させた酸化性ガスに印刷物1を暴露させる。
(3)印刷物1への酸化性ガスの暴露後に再生記録媒体の被印刷面の画像濃度をCCDセンサ61にて読み取る。
(4)再利用可能な再生記録媒体として分別し得るものをローラ加熱定着装置71で加熱する。
(5)加熱処理した再生記録媒体を再利用可能なものとして分別する前にインクジェット式ヘッドにより付与したインクにより再生記録媒体上に消色回数を記録した後、再利用可能な再生記録媒体として分別する。
【0057】
図2に示す本発明の無色化装置では、放電器4はワイヤー状のコロナ放電電極41と対向電極42からなり、導電性プレート53も対向電極として機能する。コロナ放電器4と導電性プレート53間の距離としては、コロナ放電電極4と印刷物の被印刷面(画像面)との間の距離が30mm以下(これらが接触している0mmの場合を含む)であることが好ましい。コロナ放電電極4と印刷物との距離がこの範囲であると、放電で生成した酸化性ガスが色素に効率よく接触し、印刷物上の画像の無色化を効率よく行うことができる。導電性プレート53は基準電位点に接続されて設けられることが、発生した酸化性ガスが印刷物の被印刷面へ効率よく飛来させることができるため好ましい。コロナ放電電極4は放電電極41に直流又は交流、あるいはこれらを重畳した電圧を印加する直流電源31を介して基準電位点に接続されている。又放電電極41を覆う対向電極42が、放電電極41から距離4mm〜20mmに、基準電位点に接続されて設けられる。放電電極41や、対向電極42を構成する材料としては、Al、Cr、Au、Ni、Ti、W、Te、Mo、Fe、Co、Pt等を挙げることができ、これらは合金でも、酸化物であってもよい。コロナ放電電極41の形状としては、ワイヤー状の他に、ロール状、ブレード状、プレート状、ブラシ状、針状、バー状等公知の形状を挙げることができるが、ワイヤー状が放電効率が優れるため好ましい。又、コロナ放電電極41を覆う対向電極42の形状としては、有底円筒状、有底角柱状、半球状等いずれの形状であってもよく、材質としては、ステンレス等を挙げることができる。上記の無色化装置は密閉系、開放系のいずれであってもよく、目的に応じて適宜選択することができるが、密閉系であることが酸化性ガスの漏出防止のため好ましい。更に、酸化性ガスの漏出防止のため吸着フィルターを設けることができる。このようなインクの無色化装置において、印刷物を暴露するための酸化性ガスを発生させるために上記コロナ放電電極41に印加する電圧としては、マイナス極性の直流電圧がインクの無色化に優れているため、好ましい。これはマイナス極性の直流電圧がコロナ放電電極に印加された場合、電離/解離ガスや二次生成物の酸化性ガスが効率よく生成され、これらのガス組成が印刷物の被印刷面上の画像の無色化に適切であると考えられる。コロナ放電は所定の閾値電圧(放電開始電圧)以上の電圧を印加することによって放電が開始されるが、放電電極に印加する直流電圧としては、−0.5kV〜−20.0kV、好ましくは−0.5kV〜−10.0kVである。
【0058】
この構成の無色化装置においても、印刷物1の被印刷面の画像濃度及び色度を読み取り、色度の違いにより消色可能な記録媒体とそうではない記録媒体を分別することができる。又、画像濃度の大小から消色可能な印刷物をその画像濃度に応じて酸化性ガスを発生させるコロナ放電のエネルギーを変化させて画像を迅速に無色化することが可能となる。更に、酸化性ガスの暴露後に被印刷面の画像濃度を読み取り、前記光の項で述べたような工程を経て、再使用可能な記録媒体とそうではない記録媒体とに自動分別して、再使用可能な記録媒体については使用回数を記録して資源の再利用化が行われる。
【0059】
(沿面放電)
本発明の無色化装置として、酸化性ガスの発生に沿面放電を利用した一実施態様を、図3の概略構成図を参照して説明する。図3に示す本発明のインクの無色化装置は、以下の動作を行うための構成を有する。
(1)カラーフィルタ62を有するCCDセンサ61により印刷物1の画像濃度及び色度を読み取る。
(2)放電器4により発生させた酸化性ガスに印刷物1を暴露させる。
(3)印刷物1への酸化性ガスの暴露を経て得られる再生記録媒体の被印刷面の画像濃度をCCDセンサ61にて読み取る。
(4)再利用可能な再生記録媒体として分別し得るものをフィルム加熱定着装置72で加熱する。
(5)加熱処理した再生記録媒体を再利用可能なものとして分別する前にインクジェット式ヘッドにより付与したインクにより再生記録媒体上に消色回数を記録した後、再生記録媒体として分別する。
【0060】
沿面放電手段には、1対の電極41、42が設けられる。一方の電極42が誘電体43に埋設され、他方の電極41が誘電体43の底面に固定されることにより、1対の電極41、42が誘電体により隔てられて互いに対向して配置される。電極41、42は、1μm以上の距離を隔てて配置されることが好ましく、3〜200μmを隔てて配置されることがより好ましい。1対の電極41、42は交流電源32を介して接続され、電極41、42間に交流電圧、例えば、Vppで0.5〜15.0kVを印加することにより、誘電体43の底面に固定される電極41近傍に放電領域が形成される。そして、この放電領域において気体の電離/解離、その二次生成物の酸化性ガスが発生する。1対の電極の形状としてはいずれのものであってもいいが、例えば、誘電体に埋設された電極42を板状とし、誘電体の底面に固定される電極41をワイヤー状としたものを挙げることができる。沿面放電電極の電極41、42の材料は、前記コロナ放電器の電極材料と同様のものを、例示することができる。誘電体43はセラミック又はガラスで構成されることが好ましい。誘電体43を構成するセラミック又はガラスとしては、具体的に、シリカ、マグネシア、アルミナ等の金属酸化物や、窒化シリコーン、窒化アルミニウム等の窒化物を挙げることができる。又、誘電体43中にヒータ用電極(図示せず)を埋設し、誘電体全体に温度調節を行い、酸化性ガスの発生量の制御を行うことができるようにしたものであってもよい。
【0061】
エンドレスベルト51は、放電領域の近傍又は内部を通過するように設置され、非導電性であってもよい。あるいは、エンドレスベルト51を導電性とし、接地、又は正若しくは負の電圧を印加することが、放電領域を広範囲にすることができ、印刷物1と酸化性ガスとの接触効率を向上することができるため好ましい。エンドレスベルトの搬送速度は、例えば1.0〜1000mm/秒とすることができるが、印刷物1を酸化性ガスに暴露する際に、適宜静止することも選択することができる。
【0062】
ここで、印刷物の搬送手段としては、エンドレスベルトの他、例えば、ロール搬送、ドラム搬送であってもよく、これらの搬送手段は同様に導電性物質で構成することが好ましいが、必要に応じて非導電性物質で構成することができる。搬送手段を構成する導電性物質としては、沿面放電電極の電極を構成する材料と同様のものを具体的に挙げることができる。
【0063】
上記の無色化装置は密閉系、開放系のいずれであってもよく、目的に応じて適宜選択することができるが、密閉系であることが酸化性ガスの漏出防止のため好ましい。更に、酸化性ガスの漏出防止のため吸着フィルターを設けることができる。
【0064】
この構成の無色化装置においても、印刷物1の被印刷面の画像濃度及び色度を読み取り、色度の違いにより消色可能な記録媒体とそうではない記録媒体を分別することができる。又、画像濃度の大小から消色可能な印刷物をその画像濃度に応じて酸化性ガスを発生させる沿面放電のエネルギーを変化させて画像を迅速に無色化することが可能となる。更に、酸化性ガスの暴露後に被印刷面の画像濃度を読み取り、前記光の項で述べたような工程を経て、再使用可能な記録媒体とそうではない記録媒体とに自動分別して、再使用可能な記録媒体については使用回数を記録して資源の再利用化が行われる。
【0065】
(誘電体バリア放電)
本発明の無色化装置として、酸化性ガスの発生に誘電体バリア放電を利用した一実施態様を、図4の概略構成図を参照して説明する。図4に示す本発明の無色化装置は、以下の動作を行うための構成を有する。
(1)カラーフィルタ62を有するCCDセンサ61により印刷物1の画像濃度及び色度を読み取る。
(2)放電器4により発生させた酸化性ガスに印刷物1を暴露させる。
(3)印刷物1への酸化性ガスの暴露を経て得られる再生記録媒体の被印刷面の画像濃度をCCDセンサ61にて読み取る。
(4)再利用可能な再生記録媒体として分別し得るものをフィルム加熱定着装置72で加熱する。
(5)加熱処理した再生記録媒体を再利用可能なものとして分別する前にインクジェット式ヘッドにより付与したインクにより再生記録媒体上に消色回数を記録した後、再生記録媒体として分別する。
【0066】
図4の概略側面図に示すように、誘電体43により隔てられ、相互に対向して設けられる第一の電極41と第二の電極として作用する導電性プレート53が設けられる。誘電体43は第一の電極41に密着して設けられ、第二の電極は導電性プレート53であり、印刷物1の支持部として機能する。第一の電極41は交流電源32を介して基準電位点に接続され、交流電源32により電圧が印加されると、基準電位点に接続される第二の電極である導電性プレート53と誘電体43間の放電領域に酸化性ガスが発生する。印刷物1が誘電体43と第二の電極の間(中空)を通過するため放電領域が拡張され、酸化性ガスを広範囲に亘って発生させることができる。このような場合は、シート状の印刷物の両面にわたり酸化性ガスの暴露を効率よく行うことができるため、印刷物両面の画像の無色化が可能となる。第二の電極である導電性プレート53には正或いは負の直流電圧を印加することもできる。バリア放電電極41に印加する交流電圧Vppは、1〜50kVであるのが好ましく、周波数は10Hz〜50kHzであるのが好ましく、Vppが1〜30kV、周波数が20Hz〜20kHzであることがより好ましい。印加交流電圧波形は、正弦波、三角波、矩形波、パルス波形や、これらの波形を組み合わせたものであってもよい。誘電体43(或いは導電性プレート53)と記録媒体1との間の距離は、100mm以下、0mmを超える範囲が好ましい。又、誘電体で被覆した電極面は、印刷物と同等若しくはより大きい面積を有することが、効率のよいインクの無色化を行うことができるため、好ましい。誘電体バリア放電の電極材料としては、Sn、In、Al、Cr、Au、Ni、Ti、W、Te、Mo、Fe、Co及びPt等の金属やそれらの合金、ITO,ZnO等の酸化物のほか、導電性粒子を分散したポリマーシートやゴムベルト等を挙げることができる。電極の形状としては、板状、メッシュ状、ベルト状、ドラム状、線状等とすることができ、両電極が異なる形状を有していてもよい。電極を被覆する誘電体材料としては、カーボン化合物やセラミック、ガラス、強誘電体材料、ポリマー等の放電材料を用いることができる。具体例には、以下のものを挙げることができる。
ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボンやシリカ、マグネシア、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物、窒化シリコーン、窒化アルミニウム等の窒化物や、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸チタン酸鉛や、ポリエチレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン等
誘電体はこのような材料をシート状にして電極に張り合わせたり、誘電体表面に電極をイオンプレーティング法を用いて真空製膜したり、これらの材料をバインダーに分散した複合体として適用することができる。印刷物1の酸化性ガスへの暴露は、印刷物を放電領域に対して移動させて行うことも、又ロール52の回転を停止し、導電性プレート53上に静止させて行うこともできる。印刷物を走行させる手段としては、公知の搬送手段を用いることができ、例えば、エンドレスベルト搬送、ロール搬送、ドラム搬送を挙げることができる。このような印刷物の搬送手段は導電性であることを必要とするものではないが、導電性とし第二の電極として機能させてもよい。又、シート状の印刷物を第一の電極を被覆した誘電体と第二の電極の間に浮かせた状態で静止又は搬送させれば、シート状の印刷物の両面上のインクを無色化することも可能である。印刷物の搬送速度は、電極に印加する電圧Vpp、周波数、誘電体と印刷物間の距離により適宜選択することができる。例えば上記電圧Vpp、周波数、誘電体と記録媒体間の距離の範囲であれば、2000cm/min以下とするのが好ましい。印刷物1の酸化性ガスへの暴露は、目的に応じて密閉系で行うか、開放系で行うか選択することができる。但し、酸化性ガスが装置から漏出しないように密閉系で行うことが好ましく、酸化性ガス漏出防止のための吸着フィルター等を設けるのが好ましい。
【0067】
この構成の無色化装置においても、印刷物1の被印刷面の画像濃度及び色度を読み取り、色度の違いにより消色可能な記録媒体とそうではない記録媒体を分別することができる。又、画像濃度の大小から消色可能な印刷物をその画像濃度に応じて酸化性ガスを発生させる誘電体バリア放電のエネルギーを変化させて画像を迅速に無色化することが可能となる。更に、酸化性ガスの暴露後に被印刷面の画像濃度を読み取り、前記光の項で述べたような工程を経て、再使用可能な記録媒体とそうではない記録媒体とに自動分別して、再使用可能な記録媒体については使用回数を記録して資源の再利用化が行われる。
【0068】
(リモートプラズマ法)
本発明の無色化装置として、酸化性ガスの発生にリモートプラズマ法を利用した一実施態様を、図5の概略構成図を参照して説明する。図5に示す本発明の無色化装置は、以下の動作を行うための構成を有する。
(1)カラーフィルタ62を有するCCDセンサ61により印刷物1の画像濃度及び色度を読み取る。
(2)放電器4により発生させた酸化性ガスに印刷物1を暴露させる。
(3)印刷物1への酸化性ガスの暴露を経て得られる再生記録媒体の被印刷面の画像濃度をCCDセンサ61にて読み取る。
(4)再利用可能な再生記録媒体として分別し得るものをフィルム加熱定着装置72で加熱する。
(5)加熱処理した再生記録媒体を再利用可能なものとして分別する前にインクジェット式ヘッドにより付与したインクにより再生記録媒体上に消色回数を記録した後、再生記録媒体として分別する。
【0069】
このリモートプラズマ装置は、コロナ放電、沿面放電、共面放電、誘電体バリア放電のいずれかの放電手段を用いて酸化性ガスを生成する手段と、印刷物を酸化性ガスに暴露可能に配置する支持手段とを備えたものであれば、特に限定されるものではない。
【0070】
図5は、共面放電を用いたリモートプラズマ装置により印刷物の画像消去のための本発明に係る装置の一実施例を示す概略側面図である。共面放電の場合は、誘電体により隔てられた一対の電極間に交流電圧を印加することにより、誘電体に沿って放電を発生させ、酸化性ガスを発生させる。又、印刷物の支持手段を、印刷物を酸化性ガスとの接触領域の所定位置に対して搬出入を行う搬送手段を含む構成としてもよい。即ち、印刷物を走行させるためには、エンドレスベルト搬送、ロール搬送及びドラム搬送からなる群から選ばれた少なくとも一種の搬送手段を用いるのが好ましい。又、走行は、一定方向への走行、往復走行、更にはこれらの組合せを用いることができる。空気中で沿面放電を行うことにより発生する酸化性ガスは、電離/解離ガス及びその二次生成物であり、例えばオゾン、炭酸イオン、窒素酸化物等である。図5において、共面放電の為の放電電極41は、誘電体43により隔てられ、かつ互いに対向した一対の放電電極41及び対向電極42を含む。電極41、42の材料は、コロナ放電で用いられた電極材料と同じものを選択して用いることができる。誘電体43は、共面放電を生じさせることのできる面を構成できる材料からなる。その例には、セラミックやガラスが含まれる。誘電体43を構成するセラミックやガラスの具体例としては、シリカ、マグネシア、アルミナ等の金属酸化物や、窒化シリコーン、窒化アルミニウム等の窒化物が挙げられる。放電電極41、対向電極42同士の距離は1μm以上であるのが好ましく、3〜200μmであるのがより好ましい。放電電極41に印加する交流電圧(Vpp)は、1〜20kVであるのが好ましく、周波数は100Hz〜5MHzであるのが好ましく、特には、Vppを1〜10kV、周波数を1kHz〜2MHzとすることが更に好ましい。これらの条件を採用することで、酸化性ガスの生成を一層効率的に行うことができるので好ましい。この場合の画像の減色/消色方法は、リモートプラズマ装置4の後方より反応性ガス9を導入し、放電電極と対向電極との間の放電空間で発生させた酸化性ガスを走行又は静置した記録媒体に吹き付けることが好ましい。印刷面と該装置のガスの噴出し面(中心)の距離は0mmより大きく100mm以下が効率的な消色反応を行うことができ好ましい。又、反応性ガスは、リモートプラズマ装置の後方より風速0.1m/s〜5m/sで導入し、放電電極と対向電極との間の放電空間で発生させた酸化性ガスを走行又は静置した印刷物に吹き付けることが好ましい。
【0071】
この構成の無色化装置においても、印刷物1の被印刷面の画像濃度及び色度を読み取り、色度の違いにより消色可能な記録媒体とそうではない記録媒体を分別することができる。又、画像濃度の大小から消色可能な印刷物をその画像濃度に応じて酸化性ガスを発生させるリモートプラズマ装置の放電エネルギーを変化させて画像を迅速に無色化することが可能となる。更に、酸化性ガスの暴露後に被印刷面の画像濃度を読み取り、前記光の項で述べたような工程を経て、再使用可能な記録媒体とそうではない記録媒体とに自動分別して、再使用可能な記録媒体については使用回数を記録して資源の再利用化が行われる。
【0072】
[記録媒体の再生方法]
本発明の印刷物の画像の無色化装置を用いることで、効率よい記録媒体の再生を行うことができる。本発明の無色化装置を用いた無色化処理によれば、印刷物の画像を形成している色素に対して開裂反応を進行させるのに酸化性ガスを使用するため、色素を効率よく、容易且つ迅速に無色化することができる。更に、定着器等により加熱処理を施す構成を付加しておくことで、色素を酸化させるガスが再生記録媒体上に残留することを防止できる。このため、無色化された被印刷面に含まれる色素上に、再度、新たに色素を含有するインクを固定しても、新たに付与された色素分子において開裂反応が進行せず、有色状態を維持することができ、記録媒体の再利用を可能とすることができる。加えて酸化性ガスの暴露後に暴露処理物としての再生記録媒体の被印刷面の画像濃度を読み取り、無色化の程度が悪い記録媒体を分別するプロセスを加えるこができる。又、無色化した再生記録媒体を分別する際に再生記録媒体上に消色回数等の識別情報を記録するプロセスを加えることもできる。これらのプロセスの少なくとも1つを用いることで、更に高度な記録媒体の再利用化が達成できる。
【実施例】
【0073】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0074】
[記録媒体の作製例1〜10]
表1に示す粒子径が異なる各種コロイダルシリカ微粉末とポリビニルアルコール(商品名「SMR-10HH」、信越化学工業(株)製)を質量比で85/15となるように混合し、固形分比が20%となるように水を加えて攪拌した。これをRFタグ(商品名「ミューチップ、日立製作所(株)製」)を埋め込んだA4普通紙上に、乾燥後の質量が35g/m2となるように塗工し、110℃で10分間乾燥して、シリカコート紙(記録媒体1〜5)を作成した。又、RFタグを埋め込んでいないA4普通紙上に同様の塗工条件で作成したシリカコート紙を記録媒体6〜10とした。
【0075】
【表1】

【0076】
[インクの調製]
5Lの坂口フラスコに、以下のものを投入した。
・100mLのイーストモルト(YM)培地[グルコース 1質量%
・酵母エキス(Difco Laboratories, Inc.製)0.3質量%
・麦芽エキス(Difco Laboratories, Inc.製)0.3質量%
・バクトペプトン(Difco Laboratories, Inc.製)0.5質量%
・残部純水
そして、pH6.5に調節した後、120℃で20分間加圧滅菌を行った。培地を冷却後、YM寒天培地で斜面培養した紅麹菌[モナスカス・パープレウス(IFO4478)]を一白金耳接種し、30℃で2日間振盪培養を行い、種菌液を得た。
【0077】
一方、1Lガラスジャーに、上記と同じYM培地450mLを入れ、120℃で20分間加圧滅菌を行い、冷却後、上記種菌液を10%(v/v)植菌した。pH調整剤として酢酸を使用し、培養開始時から培養液のpHを4.0に保ちながら、30℃で7日間通気攪拌培養を行った。本培養終了後、培養液を遠心分離機にかけて(9000rpm、10min)、上澄み液と菌体に分離した。得られた色素含有湿菌体を凍結乾燥して水分量を求めたところ、75.6質量%であった。
【0078】
得られた湿菌体400gに酢酸エチル10Lを加え、1時間攪拌した後ろ紙でろ過してろ液と菌体に分離した。ろ液から水層を除去して酢酸エチル層を得た。得られた酢酸エチル抽出液に等量の水を加え、2回洗浄した。洗浄後の酢酸エチル抽出液を濃縮乾固し、モナスコルブリン及びルブロパンクタチンを含有する赤橙色色素を得た。
【0079】
得られた赤橙色色素10.8gにアセトニトリルを添加し、2095mLの赤橙色色素含有アセトニトリル溶液を得た。これに等量のグルタミン酸1ナトリウム水溶液(30mg/mL)を添加して攪拌しながら室温で3日間反応させた後、濃縮乾固して水溶性色素を得た。この色素を用い、色素/グリセリン/ジエチレングリコール/アセチレノール/水=2.5/7.5/7.5/0.1/82.4となるように混合し、十分攪拌して溶解した。その後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター[商品名:住友電工(株)製]により加圧ろ過し、インクジェットインクを調製した。
【0080】
グルタミン酸1ナトリウム添加による水溶性色素生成反応の後、逆相HPLCで反応液中のモナスコルブリン及びルブロパンクタチンの分析を行ったが、モナスコルブリン及びルブロパンクタチンは検出されなかった。又反応液を蒸留水で100分の1に希釈した液について500nmでの吸光度を測定したところ0.68であった。
【0081】
[印刷物の作製]
得られた前述のインクを用い、上記紙にベタ印字を行い、実施例用の印刷物1〜5を作成した。印刷品位は「はやい」とした。画像形成装置としては、発熱素子をインクの吐出エネルギー源として利用したオンデマンド型インクジェットプリンター(商品名「バブルジェットプリンターPIXUS iP3100、キヤノン(株)製」を用いた。更に、印刷品位は「きれい」とした以外は実施例用の印刷物1〜5と同様の方法で上記紙(記録媒体1〜5)にベタ印字し、実施例用の印刷物6〜10を作成した。又、比較例用の印刷物として、ブラックインク(商品名「BCI−3eBK、キヤノン(株)製」)と前述の得られたインクをシリカコート層のないA4普通紙に同様のプリンターで印刷品位は「はやい」でベタ印字したものを比較例1、2用の印刷物とした。
【0082】
次いで、印字する紙として記録媒体6〜10を用いた以外は、実施例用の印刷物1〜5と同様の方法で、印刷品位は「はやい」としてベタ印字し、実施例用の印刷物11〜15を作成した。
【0083】
[減色性/消色性の評価]
[実施例1〜10、比較例1〜2]
図1に示す装置を用い、カラーフィルタを備えたCCDセンサで画像濃度及び色度を読み取ったところ、比較例1用の印刷物(ブラック)は実施例用印刷物1〜10及び比較例2用の印刷物とは色度が異なるため、無色化工程前に分別された。又、実施例用印刷物1〜5及び比較例2用の印刷物と実施例用印刷物6〜10は画像濃度が異なるため、酸化性ガスに暴露する時間を次のように変化させた。実施例用印刷物1〜5及び比較例2用の印刷物はエキシマランプ(波長172nm、照度50mW/cm2)と印刷物の距離5mmで10秒間酸化性ガス雰囲気中に暴露した(実施例1〜5)。又、実施例用印刷物6〜10の印刷物は実施例1〜5と同じ条件で20秒間酸化性ガス雰囲気中に暴露した(実施例6〜10)。その後、記録媒体1〜10及び比較例2よりなる印刷物について、CCDセンサで画像濃度を読み取った。無色化工程前に読み取った画像中の最高濃度(光学濃度残率)に対して、光学濃度残率が小さい(即ち、画像濃度が大きい)比較例2の印刷物が分別された。そして、記録媒体1〜10の印刷物については、無線リーダライタによって記録媒体内に埋設されているICタグに記録媒体の所有者、消色日時、消色回数が記録された。表2に処理前の光学濃度に対する処理後の光学濃度(光学濃度残率)の結果を示す。
[実施例11〜15]
図3に示す装置を用い、沿面放電器(誘電体:アルミナセラミック、誘電体に埋設された電極:タングステン、誘電体の底面下に設けられた電極:タングステン)6本を保持した。沿面放電器の放電電極に周波数8kHz、印加電圧Vpp8kVの交流電圧を印加した状態で、記録媒体6〜10よりなる印刷物を沿面放電器と印刷物の距離6mmで600mm/分のスピードで搬送した(実施例11〜15)。その後、記録媒体6〜10よりなる印刷物については、CCDセンサで画像濃度を読み取り、フィルム加熱定着装置で加熱処理が施されて、インクジェット装置によりバーコード(消色回数等)が印刷された。表3に処理前の光学濃度に対する処理後の光学濃度(光学濃度残率)の結果を示す。
【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

[記録媒体の作製例11〜15]
表4に示す、異なる細孔容積を有する各種アルミナ微粉末とポリビニルアルコール(商品名「SMR-10HH」、信越化学工業(株)製)を質量比で85/15となるように混合し、固形分比が20%となるように水を加えて攪拌した。これをA4普通紙の両面に、それぞれ乾燥後の質量が35g/m2となるように塗工し、110℃で10分間乾燥して、アルミナコート紙(記録媒体11〜15)を作成した。
【0086】
【表4】

[インクの調製]
下記表5に示す各成分を混合し、十分攪拌して溶解した後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター[商品名:住友電工(株)製]により加圧ろ過し、インクを調整した。なお、アシッドグリーン25はキリヤ化学(株)製のものを、アセチレノールEHは川研ファインケミカル(株)社製のものを用いた。
【0087】
【表5】

[印刷物の作製]
得られたインクを用い、上記紙(記録媒体11〜15)の両面にベタ印字を行い、実施例用の印刷物16〜20を作成した。印刷品位は「はやい」とした。画像形成装置としては、発熱素子をインクの吐出エネルギー源として利用したオンデマンド型インクジェットプリンター(商品名「バブルジェットプリンターPIXUS iP3100、キヤノン(株)製」を用いた。更に、印刷品位は「きれい」とした以外は実施例用の印刷物16〜20と同様の方法で上記紙(記録媒体11〜15)の両面にベタ印字し、実施例用の印刷物21〜25を作成した。又、比較例用の印刷物として、得られたインクをシリカコート層のないA4普通紙の両面に同様のプリンターを用い、印刷品位は「はやい」でベタ印字したものを比較例3用の印刷物とした。
【0088】
[減色性/消色性の評価]
[実施例16〜25、比較例3]
図4に示す装置を用い、誘電体バリア放電器(誘電体:ソーダガラス、230×120×厚さ1mm、放電電極:ITO、210×100×厚さ120nm)を保持した。又、カラーフィルタを備えたCCDセンサで画像濃度及び色度を読み取った結果、実施例用印刷物16〜20及び比較例3用の印刷物と実施例用印刷物21〜25は画像濃度が異なるため、酸化性ガスを発生させる放電器のパワーを次のように変化させた。誘電体バリア放電器のITO電極に周波数1kHz、印加電圧Vpp18kVの交流電圧を印加した。その状態で、記録媒体16〜20及び比較例3よりなる印刷物を誘電体(ソーダガラス)と印刷物の距離0.8mm、印刷物と導電性プレートの距離0.8mmで900mm/分のスピードで搬送した(実施例16〜20及び比較例3)。又、記録媒体21〜25よりなる印刷物は、誘電体バリア放電器のITO電極に周波数2kHz、印加電圧Vpp22kVの交流電圧を印加した以外は、実施例16〜20と同じ条件で酸化性ガスに暴露させた(実施例21〜25)。記録媒体16〜25及び比較例3よりなる印刷物について、CCDセンサで画像濃度を読み取り、無色化工程前に読み取った画像中の最高濃度(光学濃度残率)に対して、光学濃度残率が小さい(即ち、画像濃度が大きい)比較例3の印刷物が分別された。そして、記録媒体16〜25の印刷物のみがフィルム加熱定着装置で加熱処理が施された後、インクジェット装置によって記録媒体両面に消色回数を表すマークが印刷された。又、これら記録媒体16〜25の両面における退色性の程度についてはほとんど差が見られなかった。表6に処理前の光学濃度に対する処理後の光学濃度(光学濃度残率)の結果を示す。
【0089】
【表6】

以上の結果から明らかなように、ポリエン構造やアントラキノン構造よりなる色素を含むインクジェットインクにより印字された印刷物は、光又は放電により発生した酸化性ガスに暴露することにより非常に速い速度で減色/消色を達成することができる。
【0090】
又、処理前後において画像濃度や色度を読み取る手段を施すことにより、消色可能な印刷物の分別が可能になる。更に、印刷物を酸化性ガスに暴露させる時間や放電パワーを調節して、より効率的な減色/消色プロセスを達成することができる。更に暴露処理により得られる再生記録媒体に対する加熱処理や消色回数等の記録を施すことにより、高度な記録媒体の再利用化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明のインクの無色化装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】本発明のインクの無色化装置の他の実施例を示す概略構成図である。
【図3】本発明のインクの無色化装置の他の実施例を示す概略構成図である。
【図4】本発明のインクの無色化装置の他の実施例を示す概略構成図である。
【図5】本発明のインクの無色化装置の他の実施例を示す概略構成図である。
【図6】再使用可能な記録媒体を自動分別するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
1・・・記録媒体
2・・・エキシマランプ
3・・・電源
31・・・直流電源
32・・・交流電源
4・・・放電器
41・・・放電電極
42・・・対向電極
43・・・誘電体
5・・・搬送手段
51・・・ベルト
52・・・ロール
53・・・プレート
6・・・画像濃度及び色読み取り手段
61・・・CCDセンサ
62・・・カラーフィルタ
7・・・加熱手段
71・・・ローラ加熱定着装置
72・・・フィルム加熱定着装置
8・・・書き込み手段
81・・・インクジェットヘッド
82・・・無線リードライター
9・・・酸化性ガス噴出し
10・・・分別フラッパー
11・・・再利用可能な記録媒体
12・・・再利用不可能な記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の被印刷面に色素を含むインクを付与して形成した画像を有する印刷物の該画像を無色化して記録媒体として再利用するための無色化装置において、
酸化性ガスに前記印刷物の画像を暴露するための酸化性ガス暴露手段と、
前記被印刷面の画像の濃度及び色度を読み取るための濃度及び色度読取手段と、
前記印刷物の画像の前記酸化性ガス暴露手段による再生処理を経て得られた再生記録媒体の被印刷面の濃度及び色度を、前記濃度及び色度読取手段で読み取り、その読み取りデータに基づいて、前記再生処理記録媒体を評価して分別するための分別手段と、
を備えたことを特徴とする印刷物の有する画像の無色化装置。
【請求項2】
前記酸化性ガス暴露手段が、酸化性ガス発生手段として、光及び放電の少なくとも一つ以上を利用する酸化性ガス発生手段を有する請求項1に記載の無色化装置。
【請求項3】
前記光を利用する酸化性ガス発生手段の光発生手段が、エキシマランプである請求項2に記載の無色化装置。
【請求項4】
前記放電を利用する酸化性ガス発生手段が、コロナ放電、沿面放電、共面放電、誘電体バリア放電又はリモートプラズマ法のいずれかによる放電発生手段を有する請求項2に記載の無色化装置。
【請求項5】
前記再生記録媒体の画像濃度及び色を読み取った結果を基に、酸化性ガスに画像を暴露させる時間、又は酸化性ガスを発生させる光あるいは放電のエネルギーを調整する手段を備えた請求項1〜4のいずれかに記載の無色化装置。
【請求項6】
前記再生記録媒体を分別する際に再利用可能と評価された再生記録媒体に消色プロセスに関する識別情報を記録する手段を更に備えた請求項1〜5のいずれかに記載の無色化装置。
【請求項7】
前記印刷物の加熱手段と更に備えた請求項1〜6のいずれかに記載の無色化装置。
【請求項8】
前記インクに含有される色素が、アントラキノン構造又はポリエン構造を有する請求項1〜7のいずれかに記載の無色化装置。
【請求項9】
前記記録媒体が、インクに含有される色素を分散させる表面処理がなされたものである請求項1〜8のいずれかに記載の無色化装置。
【請求項10】
前記表面処理が、多孔質無機顔料による処理である請求項9に記載の無色化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−98232(P2007−98232A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289103(P2005−289103)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】