印刷物製造方法及び印刷装置
【課題】記憶すべき画像データを減らしたい。
【解決手段】複数の印刷物を媒体上に印刷する印刷物製造方法であって、印刷対象となる第1画像及び第2画像を含む画像データに基づいて、印刷領域のうちの第1領域に前記第1画像を印刷し、前記印刷領域のうちの第2領域であって前記第1領域よりも搬送方向下流側にある前記第2領域に前記第2画像を印刷する印刷動作と、前記第1領域で印刷された前記第1画像を前記第2領域に搬送する搬送動作と、を交互に繰り返すことによって、前記第1画像上に前記第2画像が印刷された印刷物を製造することを特徴とする。
【解決手段】複数の印刷物を媒体上に印刷する印刷物製造方法であって、印刷対象となる第1画像及び第2画像を含む画像データに基づいて、印刷領域のうちの第1領域に前記第1画像を印刷し、前記印刷領域のうちの第2領域であって前記第1領域よりも搬送方向下流側にある前記第2領域に前記第2画像を印刷する印刷動作と、前記第1領域で印刷された前記第1画像を前記第2領域に搬送する搬送動作と、を交互に繰り返すことによって、前記第1画像上に前記第2画像が印刷された印刷物を製造することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物製造方法及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺状の媒体に多数の印刷物を印刷する印刷装置として、特開2003−118136号公報に記載された印刷装置が知られている。
この印刷装置では、印刷動作と搬送動作とが交互に繰り返されて、媒体上に多数の印刷物が印刷される。なお、印刷動作の際には、印刷領域に複数の画像が印刷される。また、搬送動作の際には、印刷済みの部分が印刷領域外に搬出され、未だ印刷されていない部分が印刷領域に搬送される。
【特許文献1】特開2003−118136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
媒体上に異なる複数の画像を重ねることによって、印刷物を製造したい場合がある。このような場合、印刷動作ごとに異なる画像を印刷することにすると、それぞれの印刷動作ごとに画像データを用意する必要があり、記憶すべき画像データが増えてしまう。
本発明は、記憶すべき画像データの量を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための主たる発明は、複数の印刷物を媒体上に印刷する印刷物製造方法であって、印刷対象となる第1画像及び第2画像を含む画像データに基づいて、印刷領域のうちの第1領域に前記第1画像を印刷し、前記印刷領域のうちの第2領域であって前記第1領域よりも搬送方向下流側にある前記第2領域に前記第2画像を印刷する印刷動作と、前記第1領域で印刷された前記第1画像を前記第2領域に搬送する搬送動作と、を交互に繰り返すことによって、前記第1画像上に前記第2画像が印刷された印刷物を製造することを特徴とする印刷物製造方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0006】
複数の印刷物を媒体上に印刷する印刷物製造方法であって、印刷対象となる第1画像及び第2画像を含む画像データに基づいて、印刷領域のうちの第1領域に前記第1画像を印刷し、前記印刷領域のうちの第2領域であって前記第1領域よりも搬送方向下流側にある前記第2領域に前記第2画像を印刷する印刷動作と、前記第1領域で印刷された前記第1画像を前記第2領域に搬送する搬送動作と、を交互に繰り返すことによって、前記第1画像上に前記第2画像が印刷された印刷物を製造することを特徴とする印刷物製造方法が明らかになる。
このような印刷物製造方法によれば、記憶すべき画像データの量を軽減できる。
【0007】
前記画像データは、前記第1画像及び前記第2画像のうちの少なくとも一方の画像を複数備え、前記印刷動作と前記搬送動作とが交互に繰り返されることによって、前記第1画像上に前記第1画像及び前記第2画像のうちの少なくとも一方の前記画像が印刷され、その上に前記第2画像が印刷された前記印刷物が製造されることが望ましい。これにより、少なくとも一方の画像を厚く形成することができる。
【0008】
前記第1画像及び前記第2画像の一方の画像は、背景用の画像であり、前記第1画像及び前記第2画像の他方の画像は、前記背景用の画像を背景として見るための画像であることが望ましい。背景用の画像があることによって、画像が見やすくなる。
【0009】
前記画像データは、前記第1画像及び前記第2画像とは別の第3画像を更に含み、前記印刷動作の際に、前記印刷領域のうちの第3領域であって前記第2領域よりも搬送方向下流側にある前記第3領域に、前記第3画像が印刷され、前記印刷動作と前記搬送動作とが交互に繰り返されることによって、前記第2画像上に前記第3画像が印刷された前記印刷物が製造されることが望ましい。これにより、少なくとも3層の画像から構成された印刷物を製造できる。
【0010】
前記第2画像は、背景用の画像であり、前記第1画像は、前記媒体の被印刷面側と反対側から見るための画像であることが望ましい。これにより、媒体を反転させずに、両面から画像を見ることができる印刷物を製造できる。
【0011】
前記画像データは、複数の前記第2画像を含み、複数の前記第2画像が印刷された上に前記第3画像が印刷されることが望ましい。これにより、第1画像を見るときに第3画像が透けにくく、第3画像を見るときに第1画像が透けにくい印刷物を製造できる。
【0012】
複数の前記第2画像は、ドットの形成される位置がそれぞれ異なることが望ましい。これにより、印刷時の乾燥時間を短くすることができる。
【0013】
前記画像データにおいて、前記第2画像と前記第3画像との間隔が、前記第1画像と前記第2画像との間隔と異なるが望ましい。これにより、乾燥時間を適宜設定できる。
【0014】
ある搬送動作によって、前記第1画像が、前記第1領域から、前記第1領域と前記第2領域との間の領域まで搬送され、その後の搬送動作によって、前記第1画像が、前記第1領域と前記第2領域との間の領域から、前記第2領域まで搬送されることが望ましい。これにより、第1画像を乾燥させて第2画像を印刷することができる。
【0015】
前記印刷領域よりも前記搬送方向下流側に、前記印刷物を乾燥させる乾燥装置があり、前記乾燥装置は、乾燥範囲を変更できることが望ましい。これにより、省電力化を図ることができる。
【0016】
前記印刷領域において、前記媒体を支持しつつ前記印刷物を加熱する支持部があることが望ましい。これにより、第1画像を印刷してから第2画像を印刷するまでの間の時間を短くできる。
【0017】
(A)印刷対象となる第1画像及び第2画像を含む画像データを記憶するメモリと、(B)前記画像データに基づいて前記媒体に印刷を行う印刷部と、(C)前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、(D)前記印刷部に、前記画像データに基づいて、印刷領域のうちの第1領域に前記第1画像を印刷させるとともに、前記印刷領域のうちの第2領域であって前記第1領域よりも搬送方向下流側にある前記第2領域に前記第2画像を印刷させる印刷動作と、前記搬送部に、前記第1領域で印刷された前記第1画像を前記第2領域に搬送させる搬送動作と、を交互に繰り返させるコントローラと、(E)を備える印刷装置が明らかになる。
このような印刷装置によれば、メモリに記憶すべき画像データの量を軽減できる。
【0018】
===プリンタの構成===
<プリンタの構成について>
図1は、プリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図2は、プリンタ1の全体構成の概略図である。図3は、印刷領域付近の説明図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。
【0019】
プリンタ1は、搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30、ヒータユニット40、検出器群50、及びコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30、ヒータユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0020】
搬送ユニット10は、ロール状の媒体(例えば、ロール紙、ロール状シール用紙など)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送する。この搬送ユニット10は、供給機構11と、搬送ローラ12A〜12Fと、巻取機構13とを有する。搬送ローラ12A〜12Bは、供給機構11から供給される媒体を印刷領域まで搬送し、印刷領域で印刷された媒体を巻取機構13まで搬送する。コントローラ60が不図示の搬送モータを制御することによって、搬送ローラ12A〜12Fの回転量が制御され、媒体の搬送量が制御される。
【0021】
キャリッジユニット20は、ヘッドを移動方向に移動させるものであり、所定の方向(移動方向)に移動するキャリッジ21と、キャリッジ21を移動方向に案内するガイド22とを有する。コントローラ60が不図示のキャリッジモータを制御することによって、キャリッジ21の移動が制御される。なお、本実施形態のプリンタでは、キャリッジ21の移動方向は、搬送ユニット10の媒体の搬送方向と同じ方向である。
【0022】
ヘッドユニット30は、紙にインクを吐出するヘッド31を有する。ヘッド31はキャリッジ21に搭載されているため、キャリッジ21が移動方向に移動すると、ヘッド31も移動方向に移動する。ヘッド31の下面には、媒体幅方向に沿ってノズル列が設けられている。このノズル列は、媒体の幅に相当する長さに亘って設けられている。ヘッド31が移動方向に移動中にインクを吐出することによって、印刷領域で媒体が印刷される。
【0023】
不図示であるが、ヘッド31の下面には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなどのカラーインクを吐出するノズル列が設けられている。更に、ヘッド31の下面には、白インクを吐出するノズル列、定着剤を吐出するノズル列、及び、コーティング剤を吐出するノズル列なども設けられている。
【0024】
ヒータユニット40は、ホットプラテン41と、乾燥機構42とを有する。ホットプラテン41は、印刷領域において媒体を支持するとともに、ヒータを内蔵しており、印刷領域上の媒体を加熱することによって、印刷領域上で印刷画像の乾燥を促進させる。乾燥機構42は、印刷領域よりも下流側に設けられており、印刷領域で印刷された媒体を加熱することによって、印刷領域外で印刷物の乾燥を促進させる。乾燥機構42の最大加熱範囲は、印刷領域に相当する範囲以上である。但し、乾燥機構42の加熱範囲は、コントローラ60によって切り替え可能であり、例えば、3個の領域(例えば図3の領域A〜領域C)に相当する範囲だけで印刷物を加熱することができる。印刷領域(図3の6個の領域)に相当する範囲が加熱される場合と比べて、3個の領域に相当する範囲だけが加熱される場合の方が、乾燥機構42の消費電力は小さい。
なお、ホットプラテン41及び乾燥機構42は、媒体上の印刷画像や印刷物を乾燥させることができる装置であれば良く、例えば温風、赤外線、UV、マイクロ波などの電磁波を媒体に付与するような装置であって良い。
【0025】
検出器群50には、例えばマーク検出センサ51が含まれる。マーク検出センサ51は媒体に印刷されたマークを検出するのに用いられ、この検出結果に基づいて搬送ユニット10による媒体の搬送量が制御される。なお、検出器群50は、他にも、搬送ローラ12A〜12Fの回転量を検出するためのエンコーダや、キャリッジ21の移動方向の位置を検出するためのリニア式エンコーダなども備えている。
【0026】
コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。また、メモリ63には、印刷対象となる画像データが格納される。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御し、後述する印刷処理を実行させる。また、CPU62は、メモリ63に格納された画像データに従ってヘッド31の各ノズル(不図示)からインク等を吐出させることによって、画像データの示す画像を媒体上に印刷する。
【0027】
印刷処理が実行されると、プリンタ1は、搬送ユニット10によって媒体を搬送方向に搬送する搬送動作と、キャリッジユニット20によってヘッド31を移動させつつ画像データに基づいてヘッド31からインクを吐出して媒体に画像を印刷する印刷動作とを交互に繰り返し、媒体に印刷物を等間隔に印刷する。後述するとおり、印刷物は、複数の画像を重ねて印刷される。
【0028】
また、以下の説明では、印刷領域を6個の領域に分けて各領域に画像が印刷される。6個の領域は、搬送方向上流側の領域から順に、領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、領域Fである(図3参照)。
【0029】
なお、印刷領域の分割数は6個に限られるものではない。また、印刷領域の範囲は印刷物の大きさに応じて可変であり、必ずしもプリンタ1の最大印刷可能範囲(キャリッジ21の移動可能範囲)である必要は無い。
【0030】
===第1実施形態===
<第1実施形態の印刷物>
図4は、第1実施形態の印刷物の説明図である。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材(基材)と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良いし、不透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良いし、紙でも良い。
この印刷物は、媒体上に2個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、白インクを塗布することによって形成される矩形の画像(以下、「白画像」)である。また、白画像の上に印刷される画像は、「ABC」との文字画像(以下、「画像ABC」)である。言い換えると、この印刷物は、媒体上に白画像の第1層と、画像ABCの第2層とを重ねて形成することによって得られる。
【0031】
<比較例>
本実施形態の印刷方法について説明する前に、比較例について説明する。図5は、比較例の印刷方法の説明図である。
比較例では、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、6個の白画像を各領域にそれぞれ印刷する。
1回目の印刷動作の後(白画像を印刷した後)、プリンタ1は、媒体上に印刷された白画像が乾燥するまで待機する(待機動作)。白画像が乾燥する前に画像ABCを印刷すると、画像ABCが滲んでしまうためである。
待機動作の後、プリンタ1は、2回目の印刷動作を行う。2回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、6個の画像ABCを各領域にそれぞれ印刷する。各領域には既に白画像が印刷されているため、画像ABCは白画像の上に重ねて印刷される。この2回目の印刷動作によって、印刷領域では、6個の印刷物が完成する。なお、2回目の印刷動作の際に、領域Bにマークも印刷される。
【0032】
2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、6個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。前述の2回目の印刷動作の際に領域Bに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、6個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われたことになる。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が印刷領域に搬送される。このため、待機動作を行わずに、次の印刷動作を行うことができる。
【0033】
搬送動作の後、プリンタ1は、奇数回目(例えば3回目)の印刷動作を行う。奇数回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、6個の白画像を各領域にそれぞれ印刷する。奇数回目の印刷動作の後(白画像を印刷した後)、プリンタ1は、待機動作を行う。待機動作の後、プリンタ1は、偶数回目(例えば4回目)の印刷動作を行う。偶数回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、6個の画像ABCを各領域にそれぞれ印刷する。偶数回目の印刷動作の後、プリンタ1は、6個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する搬送動作を行う。このような動作を繰り返すことによって、媒体上に等間隔で印刷物が印刷される。
【0034】
比較例では、偶数回目の印刷動作のたびに、6個の印刷物が完成することになる。つまり、1回の印刷動作のたびに、平均3個の印刷物が完成することになる。
【0035】
<第1実施形態の印刷方法>
図6は、第1実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第1実施形態では、プリンタは、領域A〜領域Cにそれぞれ白画像を印刷し領域D〜領域Fに画像ABCをそれぞれ印刷する印刷動作と、3個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0036】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域A〜領域Cにそれぞれ白画像を印刷し、領域A〜領域Cよりも搬送方向下流側の領域D〜領域Fにそれぞれ画像ABCを印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Eにマークが印刷される。
【0037】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、3個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。前述の1回目の印刷動作の際に領域Eに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、3個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われたことになる。この搬送動作は、白画像を乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A〜領域Cに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域A〜領域Cで印刷された白画像が領域D〜領域Fに搬送される。
【0038】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域A〜領域Cにそれぞれ白画像を印刷し、領域D〜領域Fにそれぞれ画像ABCを印刷する。但し、2回目の印刷動作では、領域D〜領域Fには1回目の印刷動作で印刷された白画像がある。このため、2回目の印刷動作によって、領域D〜領域Fで3個の印刷物が完成する。
【0039】
2回目の印刷動作の後、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返すことによって、媒体上に等間隔で印刷物が印刷される。なお、2回目以降の印刷動作によって、領域A〜領域Cでは白画像が印刷され、領域D〜領域Fでは3個の印刷物が完成する。また、2回目以降の搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A〜領域Cに搬送され、直前の印刷動作の際に領域A〜領域Cで印刷された白画像が領域D〜領域Fに搬送される。
第1実施形態では、印刷動作のたびに、3個の印刷物が完成することになる。
【0040】
<比較>
図7Aは、比較例の奇数回目の印刷動作のための画像データの説明図である。図7Bは、比較例の偶数回目の印刷動作のための画像データの説明図である。奇数回目の印刷動作のための画像データは、領域A〜領域Fに印刷するための6個の白画像を有する。また、偶数回目の印刷動作のための画像データは、領域A〜領域Fに印刷するための6個の画像ABCを有する。
比較例では、奇数回目の印刷動作と、偶数回目の印刷動作とでは、印刷領域に印刷すべき画像が異なっている。このため、プリンタ1のメモリ63には、2種類の画像データをそれぞれ記憶する必要がある。
図7Cは、第1実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。第1実施形態の印刷動作のための画像データは、領域A〜領域Cに印刷するための3個の白画像と、領域D〜領域Fに印刷するための3個の画像ABCとを有する。また、画像データは、領域Eに印刷するためのマークも有する。
【0041】
第1実施形態では、いずれの印刷動作においても、印刷領域に印刷すべき画像が同じである。このため、プリンタ1のメモリ63には、1種類の画像データを記憶するだけでよい。
つまり、本実施形態では、比較例と比べると、印刷領域に印刷すべき画像のデータ(画像データ)を記憶するための容量を小さくすることができる。
【0042】
次に、比較例と第1実施形態の処理時間・処理速度を比較する。以下の説明では、第1実施形態の搬送動作は比較例の搬送動作よりも搬送量が短いため、第1実施形態の搬送時間は比較例の搬送時間よりも短い。また、白画像を印刷してから画像ABCを印刷するまでに必要な待機時間(乾燥時間)は、比較例も第1実施形態も同じ時間である。
【0043】
図8Aは、比較例の待機時間が比較例の搬送時間よりも短い場合の処理時間の説明図である。この場合、図に示すように、第1実施形態の印刷処理の方が、比較例の印刷処理よりも、短時間で多くの印刷物を印刷できる。
図8Bは、比較例の待機時間と比較例の搬送時間が同じ場合の処理時間の説明図である。この場合、図に示すように、比較例の印刷処理の速度と第1実施形態の印刷処理の速度は同程度である。なお、この図からも、比較例の待機時間が比較例の搬送時間よりも短い場合に、第1実施形態の方が比較例よりも有利であることが理解できる。
図8Cは、比較例の待機時間が比較例の搬送時間よりも長い場合の処理時間の説明図である。この場合、図に示すように、比較例の印刷処理の方が、第1実施形態の印刷処理よりも、短時間で多くの印刷物を印刷できる。
【0044】
以上説明した通り、比較例において待機時間が搬送時間よりも短い場合に、第1実施形態の印刷処理が有効である。本実施形態では、プリンタ1にホットプラテン41を設けることによって、待機時間を搬送時間よりも短くすることを可能にしている。
【0045】
また、第1実施形態の搬送動作の搬送量は、比較例の搬送動作の搬送量の半分である。このため、比較例では、乾燥機構42(図2参照)は印刷領域に相当する範囲において媒体を加熱する必要があるが、第1実施形態では、乾燥機構42は3個の領域(例えば領域A〜領域C)に相当する範囲において媒体を加熱できれば良いので、省電力化を図ることができる。
【0046】
<変形例>
図9は、第1実施形態の変形例の説明図である。以下に説明する通り、この変形例では、プリンタは、領域Aに白画像を印刷し領域Fに画像ABCを印刷する印刷動作と、1個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0047】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域Aに白画像を印刷し、領域Aよりも搬送方向下流側の領域Fに画像ABCを印刷する。このとき、領域B〜領域Eには何も画像は印刷されない。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、1個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域Aに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Aで印刷された白画像が領域Bに搬送される。
【0048】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに白画像を印刷し、領域Fに画像ABCを印刷する。このときも、領域B〜領域Eには何も画像は印刷されない。2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返す。
そして、6回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに白画像を印刷し、領域Fに画像ABCを印刷する。但し、6回目の印刷動作では、領域Fには1回目の印刷動作で印刷された白画像がある。このため、6回目の印刷動作によって、領域Fで1個の印刷物が完成する。
【0049】
この変形例では、印刷動作のたびに、1個の印刷物が完成することになる。
この変形例では、前述の第1実施形態と同様に、いずれの印刷動作においても、印刷領域に印刷すべき画像が同じである。このため、プリンタ1のメモリ63には、1種類の画像データを記憶するだけでよい。
この変形例では、印刷動作のたびに1個の印刷物が印刷されるので、第1実施形態と比較すると、印刷速度は遅くなるかもしれない。但し、この変形例では、白画像を印刷してから画像ABCを印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で白画像を十分に乾燥させてから画像ABCを印刷することができる。
この変形例の搬送動作の搬送量は、第1実施形態の搬送動作の搬送量よりも短い。このため、変形例では、乾燥機構42は1個の領域(例えば領域A)に相当する範囲において媒体を加熱できれば良いので、省電力化を図ることができる。
【0050】
===第2実施形態===
<第2実施形態の印刷物>
図10Aは、第2実施形態の印刷物の説明図である。第1実施形態の印刷物と比べると、媒体上に印刷される画像の数(層の数)が異なる。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材(基材)と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良いし、不透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良いし、紙でも良い。
この印刷物は、媒体上に3個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、1層目の白画像である。また、1層目の白画像の上に印刷される画像は、2層目の白画像である。また、2層目の白画像の上に印刷される画像は、画像ABCである。言い換えると、この印刷物は、媒体上に、2層の白画像と、画像ABCとを重ねて形成することによって得られる。
第2実施形態では、複数の白画像が重ねて形成されるので、第1実施形態と比較して、白画像の層が厚くなる。このため、第2実施形態では、第1実施形態と比較して、背景用の画像を濃く印刷でき、文字「ABC」が見やすくなる。
【0051】
<第2実施形態の印刷方法>
図10Bは、第2実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域A〜領域Dに印刷するための4個の白画像と、領域E及び領域Fに印刷するための2個の画像ABCとを有する。なお、領域A及び領域Bの白画像は第1層の白画像になり、領域C及び領域Dの白画像は第2層の白画像になる。また、画像データは、領域Fに印刷するためのマークも有する。
【0052】
図11は、第2実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第2実施形態では、プリンタは、図10Bの画像データに基づく印刷動作と、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0053】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域A〜領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域A〜領域Dよりも搬送方向下流側の領域E及び領域Fにそれぞれ画像ABCを印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0054】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。前述の1回目の印刷動作の際に領域Fに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われたことになる。この搬送動作は、白画像や画像ABCを乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域A〜領域Dで印刷された白画像が領域C〜領域Fに搬送される。
【0055】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域A〜領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域E及び領域Fにそれぞれ画像ABCを印刷する。但し、2回目の印刷動作では、領域C〜領域Fには1回目の印刷動作で印刷された白画像がある。このため、2回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは2層目の白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは白画像上に画像ABCが印刷される。
【0056】
2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された1層目の白画像が領域C及び領域Dに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域C及び領域Dで印刷された2層目の白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0057】
3回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目及び2回目の印刷動作と同様に、領域A〜領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域E及び領域Fにそれぞれ画像ABCを印刷する。但し、3回目の印刷動作では、領域C及び領域Dには1層の白画像があり、領域E及び領域Fには2層の白画像がある。このため、3回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは2層目の白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。
【0058】
3回目の印刷動作の後、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返すことによって、媒体上に等間隔で印刷物が印刷される。なお、3回目以降の印刷動作によって、領域A及び領域Bでは1層目の白画像が印刷され、領域C及び領域Dでは2層目の白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。また、3回目以降の搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、直前の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された白画像が領域C及び領域Dに搬送され、直前の印刷動作の際に領域C及び領域Dで印刷された2層目の白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0059】
第2実施形態では、印刷動作のたびに、2個の印刷物が完成することになる。
第2実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ながら、別の印刷物を印刷することができる。
【0060】
===第3実施形態===
<第3実施形態の印刷物>
図12Aは、第3実施形態の印刷物の説明図である。第1実施形態の印刷物と比べると、白画像と画像ABCの順序が異なる。また、これに伴って、画像ABCは鏡像になっている。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良い。
この印刷物は、媒体上に2個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、「ABC」との文字の鏡像の画像(以下、「鏡像ABC」)である。また、鏡像ABCの上に印刷される画像は、白画像である。言い換えると、この印刷物は、鏡像ABCの第1層と、白画像の第2層とを重ねて形成することによって得られる。
【0061】
なお、この印刷物の剥離部材を外し、シール部材の粘着面を例えば室内側から窓に貼れば、室外側からシール部材越しに文字「ABC」を見ることができる(シール部材の被印刷面と反対側から文字「ABC」を見ることができる)。印刷物をこのように使用する場合には、シール部材は透明又は半透明な部材にし、第1層の画像は鏡像にすると良い。
【0062】
<第3実施形態の印刷方法>
図12Bは、第3実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域A〜領域Cに印刷するための3個の鏡像ABCと、領域D〜領域Fに印刷するための3個の白画像とを有する。また、画像データは、領域Eに印刷するためのマークも有する。
【0063】
図13は、第3実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第3実施形態では、プリンタは、図12Bの画像データに基づく印刷動作(領域A〜領域Cにそれぞれ鏡像ABCを印刷し領域D〜領域Fに白画像をそれぞれ印刷する印刷動作)と、3個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0064】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域A〜領域Cにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域A〜領域Cよりも搬送方向下流側の領域D〜領域Fにそれぞれ白画像を印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Eにマークが印刷される。
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、3個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。前述の1回目の印刷動作の際に領域Eに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、3個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われたことになる。この搬送動作は、鏡像ABCを乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A〜領域Cに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域A〜領域Cで印刷された鏡像ABCが領域D〜領域Fに搬送される。
【0065】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域A〜領域Cにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域D〜領域Fにそれぞれ白画像を印刷する。但し、2回目の印刷動作では、領域D〜領域Fには1回目の印刷動作で印刷された鏡像ABCがある。このため、2回目の印刷動作によって、領域D〜領域Fで3個の印刷物が完成する。
2回目の印刷動作の後、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返すことによって、媒体上に等間隔で印刷物が印刷される。なお、2回目以降の印刷動作によって、領域A〜領域Cでは鏡像ABCが印刷され、領域D〜領域Fでは3個の印刷物が完成する。また、2回目以降の搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A〜領域Cに搬送され、直前の印刷動作の際に領域A〜領域Cで印刷された鏡像ABCが領域D〜領域Fに搬送される。
【0066】
第3実施形態では、印刷動作のたびに、3個の印刷物が完成することになる。第3実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ながら、別の印刷物を印刷することができる。
【0067】
===第4実施形態===
<第4実施形態の印刷物>
図14Aは、第4実施形態の印刷物の説明図である。第3実施形態の印刷物と比べると、媒体上に印刷される画像の数(層の数)が異なる。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良い。
この印刷物は、媒体上に3個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、鏡像ABCである。また、鏡像ABCの上に印刷される画像は、2個の白画像である。言い換えると、この印刷物は、鏡像ABCの第1層と、白画像の第2層及び第3層とを重ねて形成することによって得られる。
【0068】
なお、第3実施形態と同様に、この印刷物の剥離部材を外し、シール部材の粘着面を例えば室内側から窓に貼れば、室外側からシール部材越しに文字「ABC」を見ることができる(シール部材の被印刷面と反対側から文字「ABC」を見ることができる)。印刷物をこのように使用する場合には、シール部材は透明又は半透明な部材にし、第1層の画像は鏡像にすると良い。
【0069】
第4実施形態では、複数の白画像が重ねて形成されるので、第3実施形態と比較して、白画像の層が厚くなる。このため、第4実施形態では、第3実施形態と比較して、背景用の画像を濃く印刷でき、文字「ABC」が見やすくなる。
【0070】
<第4実施形態の印刷方法>
図14Bは、第4実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域A及び領域Bに印刷するための2個の鏡像ABCと、領域C〜領域Fに印刷するための4個の白画像とを有する。なお、領域C及び領域Dの白画像は第1層の白画像になり、領域E及び領域Fの白画像は第2層の白画像になる。また、画像データは、領域Fに印刷するためのマークも有する。
【0071】
図15は、第4実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第4実施形態では、プリンタは、図14Bの画像データに基づく印刷動作と、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0072】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域A及び領域Bにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域A及び領域Bよりも搬送方向下流側の領域C〜領域Fにそれぞれ白画像を印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0073】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。前述の1回目の印刷動作の際に領域Fに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われたことになる。この搬送動作は、白画像や画像ABCを乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された鏡像ABCが領域C及び領域Dに搬送され、領域C及び領域Dで印刷された白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0074】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域A及び領域Bにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域C〜領域Fにそれぞれ白画像を印刷する。但し、2回目の印刷動作では、領域C及び領域Dには鏡像ABCがあり、領域E及び領域Fには1回目の印刷動作で印刷された白画像がある。このため、2回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは2層目の白画像が印刷される。
【0075】
2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された鏡像ABCが領域C及び領域Dに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域C及び領域Dで鏡像ABC上に印刷された白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0076】
3回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目及び2回目の印刷動作と同様に、領域A及び領域Bにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域C〜領域Fにそれぞれ白画像を印刷する。但し、3回目の印刷動作では、領域C及び領域Dには鏡像ABCがあり、領域E及び領域Fには鏡像ABC上に印刷された白画像がある。このため、3回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。
【0077】
3回目の印刷動作の後、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返すことによって、媒体上に等間隔で印刷物が印刷される。なお、3回目以降の印刷動作によって、領域A及び領域Bでは鏡像ABCが印刷され、領域C及び領域Dでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。また、3回目以降の搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、直前の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された鏡像ABCが領域C及び領域Dに搬送され、直前の印刷動作の際に領域C及び領域Dで鏡像ABC上に印刷された白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0078】
第4実施形態では、印刷動作のたびに、2個の印刷物が完成することになる。
第4実施形態では、第3実施形態と同様の効果を得ながら、別の印刷物を印刷することができる。
【0079】
===第5実施形態===
<第5実施形態の印刷物>
図16Aは、第5実施形態の印刷物の説明図である。第1実施形態の印刷物と比べると、画像ABCの下の画像は、白画像ではなく、別の画像である。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良いし、不透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良いし、紙でも良い。
この印刷物は、媒体上に2個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、定着剤を塗布することによって形成される矩形の画像(以下、「下地画像」)である。また、下地画像の上に印刷される画像は、画像ABCである。言い換えると、この印刷物は、媒体上に下地画像の第1層と、画像ABCの第2層とを重ねて形成することによって得られる。
定着剤は、インクの吸収を促進する働きがある。このような定着剤によって下地画像を媒体上に印刷することによって、インクを吸収しにくい媒体上に画像(ここでは画像ABC)を印刷し易くなる。なお、他の作用のある定着剤を用いても良い。
【0080】
<第5実施形態の印刷方法>
図16Bは、第5実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域A〜領域Cに印刷するための3個の下地画像と、領域D〜領域Fに印刷するための3個の画像ABCとを有する。また、画像データは、領域Eに印刷するためのマークも有する。
図17は、第5実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第5実施形態では、プリンタは、図16Bの画像データに基づく印刷動作(領域A〜領域Cにそれぞれ下地画像を印刷し領域D〜領域Fに画像ABCをそれぞれ印刷する印刷動作)と、3個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
図17を見れば、もはや第5実施形態の印刷方法は明らかであるため、ここでは説明を省略する。第5実施形態においても、印刷動作のたびに、3個の印刷物が完成することになる。また、第5実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ながら、別の印刷物を印刷することができる。
【0081】
===第6実施形態===
<第6実施形態の印刷物>
図18Aは、第6実施形態の印刷物の説明図である。第1実施形態の印刷物と比べると、媒体上に印刷される画像の数(層の数)が異なる。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良いし、不透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良いし、紙でも良い。
この印刷物は、媒体上に3個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、白画像である。また、白画像の上に印刷される画像は、画像ABCである。また、画像ABCの上に印刷される画像は、コーティング剤を塗布することによって形成される矩形の画像(以下、「コーティング画像」)である。言い換えると、この印刷物は、媒体上に、白画像の第1層と、画像ABCの第2層と、コーティング画像の第3層とを重ねて形成することによって得られる。
コーティング剤は、光沢性を向上させる作用や、耐水性を向上させる作用などがある。すなわち、このようなコーティング剤を第3層として形成することにより、白画像や画像ABCの光沢性を向上させたり、印刷物の耐水性を向上させたりすることができる。なお、その他の作用のあるコーティング剤を用いても良い。
【0082】
<第6実施形態の印刷方法>
図18Bは、第6実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域A及び領域Bに印刷するための2個の白画像と、領域C及び領域Dに印刷するための2個の画像ABCと、領域E及び領域Fに印刷するための2個のコーティング画像とを有する。また、画像データは、領域Fに印刷するためのマークも有する。
図19は、第6実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第6実施形態では、プリンタは、図18Bの画像データに基づく印刷動作と、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0083】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域A及び領域Bにそれぞれ白画像を印刷し、領域A及び領域Bよりも搬送方向下流側の領域C及び領域Dにそれぞれ画像ABCを印刷し、領域C及び領域Dよりも搬送方向下流側の領域E及び領域Fにそれぞれコーティング画像を印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0084】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。前述の1回目の印刷動作の際に領域Fに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われたことになる。この搬送動作は、白画像や画像ABCを乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された白画像が領域C及び領域Dに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域C及び領域Dで印刷された画像ABCが領域E及び領域Fに搬送される。
【0085】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域A及び領域Bにそれぞれ白画像を印刷し、領域C及び領域Dにそれぞれ画像ABCを印刷し、領域E及び領域Fにそれぞれコーティング画像を印刷する。但し、2回目の印刷動作では、領域C及び領域Dには1回目の印刷動作で印刷された白画像があり、領域E及び領域Fには1回目の印刷動作で印刷された画像ABCがある。このため、2回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは白画像上に画像ABCが印刷され、領域E及び領域Fでは画像ABC上にコーティング画像が印刷される。
【0086】
2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された白画像が領域C及び領域Dに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域C及び領域Dで白画像上に印刷された画像ABCが領域E及び領域Fに搬送される。
【0087】
3回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目及び2回目の印刷動作と同様に、領域A及び領域Bにそれぞれ白画像を印刷し、領域C及び領域Dにそれぞれ画像ABCを印刷し、領域E及び領域Fにそれぞれコーティング画像を印刷する。但し、3回目の印刷動作では、領域C及び領域Dには白画像があり、領域E及び領域Fには白画像上に印刷された画像ABCがある。このため、3回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは白画像上に画像ABCが印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。
【0088】
3回目の印刷動作の後、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返すことによって、媒体上に等間隔で印刷物が印刷される。なお、3回目以降の印刷動作によって、領域A及び領域Bでは白画像が印刷され、領域C及び領域Dでは白画像上に画像ABCが印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。また、3回目以降の搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、直前の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された白画像が領域C及び領域Dに搬送され、直前の印刷動作の際に領域C及び領域Dで白画像上に印刷された画像ABCが領域E及び領域Fに搬送される。
【0089】
第6実施形態では、印刷動作のたびに、2個の印刷物が完成することになる。
第6実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ながら、別の印刷物を印刷することができる。
【0090】
<第1変形例>
図20は、第6実施形態の第1変形例の説明図である。以下に説明する通り、この変形例では、プリンタは、領域Aに白画像を印刷し、領域Cに画像ABCを印刷し、領域Eにコーティング画像を印刷する印刷動作と、1個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0091】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域Aに白画像を印刷し、領域Aよりも搬送方向下流側の領域Cに画像ABCを印刷し、領域Cよりも搬送方向下流側の領域Eにコーティング画像を印刷する。このとき、領域B、領域D及び領域Fには何も画像は印刷されない。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0092】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、1個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域Aに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Aで印刷された白画像が領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Cで印刷された画像ABCが領域Dに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Eで印刷されたコーティング画像が領域Fに搬送される。
【0093】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに白画像を印刷し、領域Cに画像ABCを印刷し、領域Eにコーティング画像を印刷する。このときも、領域B、領域D及び領域Fには何も画像は印刷されない。2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返す。
【0094】
そして、5回目以降の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに白画像を印刷し、領域Cに画像ABCを印刷し、領域Eにコーティング画像を印刷する。但し、5回目以降の印刷動作では、領域Cには白画像があり、領域Eには白画像上に印刷された画像ABCがある。このため、5回目以降の印刷動作によって、領域Cでは白画像上に画像ABCが印刷され、領域Eでは1個の印刷物が完成する。
【0095】
この変形例では、印刷動作のたびに、1個の印刷物が完成することになる。
この変形例では、前述の第1実施形態と同様に、いずれの印刷動作においても、印刷領域に印刷すべき画像が同じである。このため、プリンタ1のメモリ63には、1種類の画像データを記憶するだけでよい。
この変形例では、印刷動作のたびに1個の印刷物が印刷されるので、第6実施形態と比較すると、印刷速度は遅くなるかもしれない。但し、この変形例では、白画像を印刷してから画像ABCを印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で白画像を十分に乾燥させてから画像ABCを印刷することができる。また、この変形例では、画像ABCを印刷してからコーティング画像を印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で画像ABCを十分に乾燥させてからコーティング画像を印刷することができる。
この変形例の搬送動作の搬送量は、第6実施形態の搬送動作の搬送量よりも短い。このため、変形例では、乾燥機構42は1個の領域(例えば領域A)に相当する範囲において媒体を加熱できれば良いので、省電力化を図ることができる。
【0096】
<第2変形例>
図21は、第6実施形態の第2変形例の説明図である。第1変形例と比べると、第2変形例では、コーティング画像を印刷する場所が異なる。
【0097】
第2変形例では、コーティング画像を印刷する場所は領域Fである。つまり、コーティング画像を印刷する場所が、第1変形例と比較して、搬送方向下流側の領域である。この結果、第2変形例では、第1変形例と比較して、画像ABCを印刷してからコーティング画像を印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で画像ABCを十分に乾燥させてからコーティング画像を印刷することができる。
【0098】
特に、第6実施形態の印刷物は3個の画像を重ねて印刷するものであり、最初の画像(ここでは白画像)よりも2番目の画像(ここでは画像ABC)の方が乾きにくいため、最初の画像の乾燥時間よりも2番目の画像の乾燥時間を長く設定する必要がある。このような場合に、この第2変形例のように、最初の画像と2番目の画像との間隔よりも、2番目の画像と3番目の画像との間隔を広く設定した画像データを用意すると良い。
【0099】
なお、もし仮に最初の画像の方が2番目の画像よりも乾きにくいのであれば、2番目の画像と3番目の画像との間隔よりも、最初の画像と2番目の画像との間隔を広く設定した画像データを用意すると良い。このように、乾燥時間を要する画像とその下流側に位置する画像との間隔を長く設定すれば、滲みを抑制できる。
【0100】
===第7実施形態===
<第7実施形態の印刷物>
図22Aは、第7実施形態の印刷物の説明図である。第6実施形態と同様に3個の画像を重ねているが、第7実施形態では印刷される画像が異なる。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良い。
【0101】
この印刷物は、媒体上に3個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、鏡像ABCである。また、鏡像ABCの上に印刷される画像は、白画像である。また、白画像の上に印刷される画像は、「XYZ」との文字画像(以下、「画像XYZ」)である。言い換えると、この印刷物は、鏡像ABCの第1層と、白画像の第2層と、画像XYZの第3層とを重ねて形成することによって得られる。
この印刷物の剥離部材を外し、シール部材の粘着面を例えば室内側から窓に貼れば、室内側から文字「XYZ」を見ることができるとともに、室外側からシール部材越しに文字「ABC」を見ることができる(シール部材の被印刷面と反対側から文字「ABC」を見ることができる)。つまり、この印刷物は、両側から画像を見ることができるものである。印刷物をこのように使用する場合には、シール部材は透明又は半透明な部材にし、第1層の画像は鏡像にすると良い。
鏡像ABCと画像XYZの間に白画像が形成されるので、室外側から文字「ABC」を見たときに画像XYZは見えないようになっており、逆に、室内側から文字「XYZ」を見たときに鏡像ABCは見えないようになっている。
【0102】
<第7実施形態の印刷方法>
図22Bは、第7実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域A及び領域Bに印刷するための2個の鏡像ABCと、領域C及び領域Dに印刷するための2個の白画像と、領域E及び領域Fに印刷するための2個の画像XYZとを有する。また、画像データは、領域Fに印刷するためのマークも有する。
図23は、第7実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第7実施形態では、プリンタは、図22Bの画像データに基づく印刷動作と、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0103】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域A及び領域Bにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域A及び領域Bよりも搬送方向下流側の領域C及び領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域C及び領域Dよりも搬送方向下流側の領域E及び領域Fにそれぞれ画像XYZを印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0104】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。前述の1回目の印刷動作の際に領域Fに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われたことになる。この搬送動作は、鏡像ABCや白画像を乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された鏡像ABCが領域C及び領域Dに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域C及び領域Dで印刷された白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0105】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域A及び領域Bにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域C及び領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域E及び領域Fにそれぞれ画像XYZを印刷する。但し、2回目の印刷動作では、領域C及び領域Dには1回目の印刷動作で印刷された鏡像ABCがあり、領域E及び領域Fには1回目の印刷動作で印刷された白画像がある。このため、2回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは白画像上に画像XYZが印刷される。
【0106】
2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された鏡像ABCが領域C及び領域Dに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域C及び領域Dで鏡像ABC上に印刷された白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0107】
3回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目及び2回目の印刷動作と同様に、領域A及び領域Bにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域C及び領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域E及び領域Fにそれぞれ画像XYZを印刷する。但し、3回目の印刷動作では、領域C及び領域Dには鏡像ABCがあり、領域E及び領域Fには鏡像ABC上に印刷された白画像がある。このため、3回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。
【0108】
3回目の印刷動作の後、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返すことによって、媒体上に等間隔で印刷物が印刷される。なお、3回目以降の印刷動作によって、領域A及び領域Bでは鏡像ABCが印刷され、領域C及び領域Dでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。また、3回目以降の搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、直前の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された鏡像ABCが領域C及び領域Dに搬送され、直前の印刷動作の際に領域C及び領域Dで鏡像ABC上に印刷された白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0109】
第7実施形態では、印刷動作のたびに、2個の印刷物が完成することになる。
第7実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ながら、別の印刷物を印刷することができる。
【0110】
<第1変形例>
図24は、第7実施形態の第1変形例の説明図である。以下に説明する通り、この変形例では、プリンタは、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域Cに白画像を印刷し、領域Eに画像XYZを印刷する印刷動作と、1個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0111】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域Aよりも搬送方向下流側の領域Cに白画像を印刷し、領域Cよりも搬送方向下流側の領域Eに画像XYZを印刷する。このとき、領域B、領域D及び領域Fには何も画像は印刷されない。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0112】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、1個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域Aに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Aで印刷された鏡像ABCが領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Cで印刷された白画像が領域Dに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Eで印刷された画像XYZが領域Fに搬送される。
【0113】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域Cに白画像を印刷し、領域Eに画像XYZを印刷する。このときも、領域B、領域D及び領域Fには何も画像は印刷されない。2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返す。
【0114】
そして、5回目以降の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域Cに白画像を印刷し、領域Eに画像XYZを印刷する。但し、5回目以降の印刷動作では、領域Cには鏡像ABCがあり、領域Eには鏡像ABC上に印刷された白画像がある。このため、5回目以降の印刷動作によって、領域Cでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域Eでは1個の印刷物が完成する。
【0115】
この変形例では、印刷動作のたびに、1個の印刷物が完成することになる。
この変形例では、前述の第1実施形態と同様に、いずれの印刷動作においても、印刷領域に印刷すべき画像が同じである。このため、プリンタ1のメモリ63には、1種類の画像データを記憶するだけでよい。
この変形例では、印刷動作のたびに1個の印刷物が印刷されるので、第7実施形態と比較すると、印刷速度は遅くなるかもしれない。但し、この変形例では、鏡像ABCを印刷してから白画像を印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で鏡像ABCを十分に乾燥させてから白画像を印刷することができる。また、この変形例では、白画像を印刷してから画像XYZを印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で白画像を十分に乾燥させてから画像XYZを印刷することができる。
この変形例の搬送動作の搬送量は、第7実施形態の搬送動作の搬送量よりも短い。このため、変形例では、乾燥機構42は1個の領域(例えば領域A)に相当する範囲において媒体を加熱できれば良いので、省電力化を図ることができる。
【0116】
<第2変形例>
図25は、第7実施形態の第2変形例の説明図である。第1変形例と比べると、第2変形例では、画像XYZを印刷する場所が異なる。
第2変形例では、画像XYZを印刷する場所は領域Fである。つまり、画像XYZを印刷する場所が、第1変形例と比較して、搬送方向下流側の領域である。この結果、第2変形例では、第1変形例と比較して、白画像を印刷してから画像XYZを印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で白画像を十分に乾燥させてから画像XYZを印刷することができる。
特に、第7実施形態の印刷物は3個の画像を重ねて印刷するものであり、最初の画像(ここでは鏡像ABC)よりも2番目の画像(ここでは白画像)の方が乾きにくいため、最初の画像の乾燥時間よりも2番目の画像の乾燥時間を長く設定する必要がある。このような場合に、この第2変形例のように、最初の画像と2番目の画像との間隔よりも、2番目の画像と3番目の画像との間隔を広く設定した画像データを用意すると良い。
なお、もし仮に最初の画像の方が2番目の画像よりも乾きにくいのであれば、2番目の画像と3番目の画像との間隔よりも、最初の画像と2番目の画像との間隔を広く設定した画像データを用意すると良い。このように、乾燥時間を要する画像とその下流側に位置する画像との間隔を長く設定すれば、滲みを抑制できる。
【0117】
===第8実施形態===
<第8実施形態の印刷物>
図26Aは、第8実施形態の印刷物の説明図である。第7実施形態の印刷物と比べると、白画像の数が異なっている。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良い。
【0118】
この印刷物は、媒体上に6個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、鏡像ABCである。また、鏡像ABCの上には、4個の白画像が印刷される。また、白画像の上に印刷される画像は、画像XYZである。言い換えると、この印刷物は、鏡像ABCの第1層と、白画像の第2層〜第5層と、画像XYZの第6層とを重ねて形成することによって得られる。
この印刷物の剥離部材を外し、シール部材の粘着面を例えば室内側から窓に貼れば、室内側から文字「XYZ」を見ることができるとともに、室外側からシール部材越しに文字「ABC」を見ることができる(シール部材の被印刷面と反対側から文字「ABC」を見ることができる)。つまり、この印刷物は、両側から画像を見ることができるものである。印刷物をこのように使用する場合には、シール部材は透明又は半透明な部材にし、第1層の画像は鏡像にすると良い。
【0119】
第8実施形態では、複数の白画像が重ねて形成されるので、第7実施形態と比較して、白画像の層が厚くなる。このため、第8実施形態では、第7実施形態と比較して、室外側から文字「ABC」を見たときに画像XYZは透けにくくなり、逆に、室内側から文字「XYZ」を見たときに鏡像ABCは透けにくくなる。
【0120】
<第8実施形態の印刷方法>
図26Bは、第8実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域Aに印刷するための鏡像ABCと、領域B〜領域Eに印刷するための4個の白画像と、領域Fに印刷するための画像XYZとを有する。なお、領域Bに印刷する白画像は第2層の白画像になり、領域Cに印刷する白画像は第3層の白画像になり、領域Dに印刷する白画像は第4層の白画像になり、領域Eに印刷する白画像は第5層の白画像になる。また、画像データは、領域Fに印刷するためのマークも有する。
【0121】
図27は、第8実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第8実施形態では、プリンタは、図26Bの画像データに基づく印刷動作と、1個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0122】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域Aよりも搬送方向下流側の領域B〜領域Eにそれぞれ白画像を印刷し、領域B〜領域Eよりも搬送方向下流側の領域Fに画像XYZを印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0123】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、1個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作は、鏡像ABCや白画像を乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域Aに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Aで印刷された鏡像ABCが領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域B〜領域Eで印刷された白画像がそれぞれ搬送方向下流側の隣の領域に搬送される。
【0124】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域B〜領域Eにそれぞれ白画像を印刷し、領域Fに画像XYZを印刷する。但し、2回目の印刷動作では、領域Bには1回目の印刷動作で印刷された鏡像ABCがあり、領域C〜領域Fには1回目の印刷動作で印刷された白画像がある。このため、2回目の印刷動作によって、領域Bでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域C〜領域Eでは白画像上に白画像が印刷され、領域Fでは白画像上に画像XYZが印刷される。2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返す。
【0125】
そして、6回目以降の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域B〜領域Eにそれぞれ白画像を印刷し、領域Fに画像XYZを印刷する。但し、6回目以降の印刷動作では、領域Bには鏡像ABCがあり、領域Cには鏡像ABC上に印刷された1層の白画像があり、領域Dには鏡像ABC上に印刷された2層の白画像があり、領域Eには鏡像ABC上に印刷された3層の白画像があり、領域Fには鏡像ABC上に印刷された4層の白画像がある。このため、6回目以降の印刷動作によって、領域Bでは鏡像ABC上に1層目の白画像が印刷され、領域Cでは鏡像ABC上に2層目の白画像が印刷され、領域Dでは鏡像ABC上に3層目の白画像が印刷され、領域Eでは鏡像ABC上に4層目の白画像が印刷され、領域Fでは1個の印刷物が完成する。
【0126】
第8実施形態では、印刷動作のたびに、1個の印刷物が完成することになる。
第8実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ながら、別の印刷物を印刷することができる。
【0127】
===第9実施形態===
<第9実施形態の印刷物>
図28Aは、第9実施形態の印刷物の説明図である。第8実施形態と比べると、白画像の数が異なる。また、後述するように、白画像の構成も異なっている。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良い。
【0128】
この印刷物は、媒体上に4個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、鏡像ABCである。また、鏡像ABCの上には、2個の白画像が印刷される。また、白画像の上に印刷される画像は、画像XYZである。言い換えると、この印刷物は、鏡像ABCの第1層と、白画像の第2層及び第3層と、画像XYZの第4層とを重ねて形成することによって得られる。
この印刷物の剥離部材を外し、シール部材の粘着面を例えば室内側から窓に貼れば、室内側から文字「XYZ」を見ることができるとともに、室外側からシール部材越しに文字「ABC」を見ることができる(シール部材の被印刷面と反対側から文字「ABC」を見ることができる)。つまり、この印刷物は、両側から画像を見ることができるものである。印刷物をこのように使用する場合には、シール部材は透明又は半透明な部材にし、第1層の画像は鏡像にすると良い。
【0129】
第9実施形態では、複数の白画像が重ねて形成されるので、第7実施形態と比較して、白画像の層が厚くなる。このため、第9実施形態では、第7実施形態と比較して、室外側から文字「ABC」を見たときに画像XYZは透けにくくなり、逆に、室内側から文字「XYZ」を見たときに鏡像ABCは透けにくくなる。
【0130】
<第9実施形態の印刷方法>
図28Bは、第9実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域Aに印刷するための鏡像ABCと、領域C及び領域Dに印刷するための2個の白画像と、領域Fに印刷するための画像XYZとを有する。なお、領域Cに印刷する白画像は第2層の白画像になり、領域Dに印刷する白画像は第3層の白画像になる。また、画像データは、領域Fに印刷するためのマークも有する。
【0131】
図29は、第9実施形態の2個の白画像の構成の説明図である。図中の黒丸は、白インクによるドットを示している。この変形例では、全画素に白インクによるドットを形成するのではなく(いわゆるベタ画像にするのではなく)、市松模様状にドットを形成する。また、一方の白画像ではドットの形成されない画素に他方の白画像のドットが形成されるように、画像データ上の2個の白画像が設定されている。
【0132】
図30は、第9実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第8実施形態では、プリンタは、図28Bの画像データに基づく印刷動作と、1個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0133】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域Aよりも搬送方向下流側の領域C及び領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域C及び領域Dよりも搬送方向下流側の領域Fに画像XYZを印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0134】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、1個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作は、鏡像ABCや白画像を乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域Aに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Aで印刷された鏡像ABCが領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域C及び領域Dで印刷された白画像がそれぞれ搬送方向下流側の隣の領域に搬送される。
【0135】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域C及び領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域Fに画像XYZを印刷する。2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返す。
【0136】
そして、6回目以降の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域B〜領域Eにそれぞれ白画像を印刷し、領域Fに画像XYZを印刷する。但し、6回目以降の印刷動作では、領域Cには鏡像ABCがあり、領域Dには鏡像ABC上に印刷された1層の白画像があり、領域Fには鏡像ABC上に印刷された2層の白画像がある。このため、5回目以降の印刷動作によって、領域Cでは鏡像ABC上に1層目の白画像が印刷され、領域Dでは鏡像ABC上に2層目の白画像が印刷され、領域Fでは1個の印刷物が完成する。
【0137】
第9実施形態では、印刷動作のたびに、1個の印刷物が完成することになる。
第9実施形態では、前述の第1実施形態と同様に、いずれの印刷動作においても、印刷領域に印刷すべき画像が同じである。このため、プリンタ1のメモリ63には、1種類の画像データを記憶するだけでよい。
第9実施形態では、印刷動作のたびに1個の印刷物が印刷されるので、第7実施形態と比較すると、印刷速度は遅くなるかもしれない。但し、第9実施形態では、鏡像ABCを印刷してから白画像を印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で鏡像ABCを十分に乾燥させてから白画像を印刷することができる。また、この変形例では、白画像を印刷してから画像XYZを印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で白画像を十分に乾燥させてから画像XYZを印刷することができる。
【0138】
なお、第9実施形態では、最初の白画像を印刷してから次の白画像を印刷するまでの時間が、鏡像ABCを印刷してから白画像を印刷するまでの時間や、白画像を印刷してから画像XYZを印刷するまでの時間よりも短い。但し、図29に示すように、一方の白画像ではドットの形成されない画素に他方の白画像のドットが形成されるので、乾燥時間が短くなっても、滲みの問題は生じない。また、仮に最初の白画像と次の白画像を構成するドット同士が滲んだとしても、同じ色のインクが混ざるだけなので、画質に影響はない。言い換えると、第9実施形態では、1層目の白画像(領域Cに印刷される白画像)の印刷後にすぐに2層目の白画像(領域Dに印刷される白画像)を印刷できるので、2層目の白画像を印刷してから画像XYZを印刷するまでの時間を長く設定することができたのである。
【0139】
また、第9実施形態では、領域Cに印刷される白画像は、いわゆるベタ画像ではなく、市松模様状のドットから構成されている。つまり、第9実施形態では、領域Cに白画像を印刷する際にヘッドから吐出される白インクの量を減らすことができる。このため、領域Cに白画像を印刷するときに最初の画像(ここでは鏡像ABC)が滲みにくいので、乾燥時間を短くすることができ、印刷速度を高めることができる。
【0140】
第9実施形態の搬送動作の搬送量は、第7実施形態の搬送動作の搬送量よりも短い。このため、第9実施形態では、乾燥機構42は1個の領域(例えば領域A)に相当する範囲において媒体を加熱できれば良いので、省電力化を図ることができる。
【0141】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、記録装置、液体の吐出装置、印刷方法、記録方法、液体の吐出方法、印刷システム、記録システム、コンピュータシステム、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体、印刷物の製造方法、等の開示が含まれていることは言うまでもない。
【0142】
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0143】
<印刷装置について>
前述の実施形態では、画像データをプリンタ1のメモリ63に記憶している。但し、画像データを記憶するメモリは、プリンタ1のメモリ63でなくても良い。例えば、外部のコンピュータ110のメモリ(不図示)に画像データを記憶しても良い。この場合、コンピュータ110とプリンタ1によって印刷装置が構成されることになる。このような形態の場合においても、記憶すべき画像データの量を軽減できるという効果が得られる。
【0144】
<プリンタについて>
前述のプリンタでは、キャリッジを搬送方向に1回移動させることによって、印刷領域の全面に印刷を行うことが可能である。但し、このようなプリンタに限られるものではない。例えば、印刷領域上でキャリッジを2次元的に移動させて、印刷領域に印刷を行うようなプリンタであっても良い。このようなプリンタであれば、前述のプリンタと比べて、印刷動作に時間がかかるものの、ヘッドの大きさを小さくできる。
【0145】
<画像について>
前述の実施形態では、画像ABC、鏡像ABC、画像XYZなどが印刷されている。但し、印刷される画像は文字画像に限られるものではなく、図形などでも良い。
また、前述の実施形態では、画像ABC等を見やすくするための背景用の画像として白画像が印刷されている。但し、背景用の画像は、白画像に限られるものではなく、他の色の画像であっても良い。なお、特に透明な媒体に画像ABCを印刷するような場合には、背景用の画像があることによって、画像ABCが特に視認しやすくなる。
また、前述の実施形態では、白画像・下地画像・コーティング画像は、それぞれ矩形であるが、矩形に限られるものではない。例えば、画像ABCに合わせて、ABCと同様の形状であっても良いし、ABCを縁取るような形状であっても良い。
また、印刷される画像は、いわゆる塗り潰し画像(全ての画素にドットを形成する画像)でなくても良い。
【0146】
<印刷物について>
鏡像ABCと画像XYZが印刷された印刷物の使用例として、窓などに貼ることを説明したが、印刷物の使用方法は、これに限られるものではない。例えば、タグとして使用することもできる。そして、印刷物をタグのように使用することを想定すれば、媒体がシール用紙のように粘着面を有しなくても良いことは理解できるであろう。
【0147】
<乾燥機構について>
前述の実施形態では、乾燥機構42の加熱範囲は、コントローラ60によって切り替え可能であった。但し、加熱範囲を最初から小さい乾燥機構42(例えば3個の領域に相当する加熱範囲の乾燥機構42)を用意してもよい。これにより、省スペース及び低コスト化を図ることができる。
【0148】
<待機動作と搬送動作について>
図8B及び図8Cに示す本実施形態では、待機動作の方が搬送動作よりも長いため、搬送動作の後に待機動作が続けて行われることが図示されている。但し、待機動作中の搬送動作のタイミングは、これに限られるものではない。
例えば、印刷動作後に待機動作を行って、その後に搬送動作を行うことによって、搬送動作の直後に印刷動作が行われても良い。若しくは、搬送動作の前後に待機動作が行われても良い。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】プリンタ1の全体構成のブロック図である。
【図2】プリンタ1の全体構成の概略図である。
【図3】印刷領域付近の説明図である。
【図4】第1実施形態の印刷物の説明図である。
【図5】比較例の印刷方法の説明図である。
【図6】第1実施形態の印刷方法の説明図である。
【図7】図7Aは、比較例の奇数回目の印刷動作のための画像データの説明図である。図7Bは、比較例の偶数回目の印刷動作のための画像データの説明図である。図7Cは、第1実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図8】図8Aは、比較例の待機時間が比較例の搬送時間よりも短い場合の処理時間の説明図である。図8Bは、比較例の待機時間と比較例の搬送時間が同じ場合の処理時間の説明図である。図8Cは、比較例の待機時間が比較例の搬送時間よりも長い場合の処理時間の説明図である。
【図9】第1実施形態の変形例の説明図である。
【図10】図10Aは、第2実施形態の印刷物の説明図である。図10Bは、第2実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図11】第2実施形態の印刷方法の説明図である。
【図12】図12Aは、第3実施形態の印刷物の説明図である。図12Bは、第3実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図13】第3実施形態の印刷方法の説明図である。
【図14】図14Aは、第4実施形態の印刷物の説明図である。図14Bは、第4実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図15】第4実施形態の印刷方法の説明図である。
【図16】図16Aは、第5実施形態の印刷物の説明図である。図16Bは、第5実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図17】第5実施形態の印刷方法の説明図である。
【図18】図18Aは、第6実施形態の印刷物の説明図である。図18Bは、第6実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図19】第6実施形態の印刷方法の説明図である。
【図20】第6実施形態の第1変形例の説明図である。
【図21】第6実施形態の第2変形例の説明図である。
【図22】図22Aは、第7実施形態の印刷物の説明図である。図22Bは、第7実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図23】第7実施形態の印刷方法の説明図である。
【図24】第7実施形態の第1変形例の説明図である。
【図25】第7実施形態の第2変形例の説明図である。
【図26】図26Aは、第8実施形態の印刷物の説明図である。図26Bは、第8実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図27】第8実施形態の印刷方法の説明図である。
【図28】図28Aは、第9実施形態の印刷物の説明図である。図28Bは、第9実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図29】第9実施形態の2個の白画像の構成の説明図である。
【図30】第9実施形態の印刷方法の説明図である。
【符号の説明】
【0150】
1 プリンタ、10 搬送ユニット、11 供給機構、
12A〜12F 搬送ローラ、13 巻取機構、
20 キャリッジユニット、21 キャリッジ、22 ガイド、
30 ヘッドユニット、31 ヘッド、
40 ヒータユニット、41 ホットプラテン、42 乾燥機構、
50 検出器群、51 マーク検出センサ、
110 コンピュータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物製造方法及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺状の媒体に多数の印刷物を印刷する印刷装置として、特開2003−118136号公報に記載された印刷装置が知られている。
この印刷装置では、印刷動作と搬送動作とが交互に繰り返されて、媒体上に多数の印刷物が印刷される。なお、印刷動作の際には、印刷領域に複数の画像が印刷される。また、搬送動作の際には、印刷済みの部分が印刷領域外に搬出され、未だ印刷されていない部分が印刷領域に搬送される。
【特許文献1】特開2003−118136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
媒体上に異なる複数の画像を重ねることによって、印刷物を製造したい場合がある。このような場合、印刷動作ごとに異なる画像を印刷することにすると、それぞれの印刷動作ごとに画像データを用意する必要があり、記憶すべき画像データが増えてしまう。
本発明は、記憶すべき画像データの量を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための主たる発明は、複数の印刷物を媒体上に印刷する印刷物製造方法であって、印刷対象となる第1画像及び第2画像を含む画像データに基づいて、印刷領域のうちの第1領域に前記第1画像を印刷し、前記印刷領域のうちの第2領域であって前記第1領域よりも搬送方向下流側にある前記第2領域に前記第2画像を印刷する印刷動作と、前記第1領域で印刷された前記第1画像を前記第2領域に搬送する搬送動作と、を交互に繰り返すことによって、前記第1画像上に前記第2画像が印刷された印刷物を製造することを特徴とする印刷物製造方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0006】
複数の印刷物を媒体上に印刷する印刷物製造方法であって、印刷対象となる第1画像及び第2画像を含む画像データに基づいて、印刷領域のうちの第1領域に前記第1画像を印刷し、前記印刷領域のうちの第2領域であって前記第1領域よりも搬送方向下流側にある前記第2領域に前記第2画像を印刷する印刷動作と、前記第1領域で印刷された前記第1画像を前記第2領域に搬送する搬送動作と、を交互に繰り返すことによって、前記第1画像上に前記第2画像が印刷された印刷物を製造することを特徴とする印刷物製造方法が明らかになる。
このような印刷物製造方法によれば、記憶すべき画像データの量を軽減できる。
【0007】
前記画像データは、前記第1画像及び前記第2画像のうちの少なくとも一方の画像を複数備え、前記印刷動作と前記搬送動作とが交互に繰り返されることによって、前記第1画像上に前記第1画像及び前記第2画像のうちの少なくとも一方の前記画像が印刷され、その上に前記第2画像が印刷された前記印刷物が製造されることが望ましい。これにより、少なくとも一方の画像を厚く形成することができる。
【0008】
前記第1画像及び前記第2画像の一方の画像は、背景用の画像であり、前記第1画像及び前記第2画像の他方の画像は、前記背景用の画像を背景として見るための画像であることが望ましい。背景用の画像があることによって、画像が見やすくなる。
【0009】
前記画像データは、前記第1画像及び前記第2画像とは別の第3画像を更に含み、前記印刷動作の際に、前記印刷領域のうちの第3領域であって前記第2領域よりも搬送方向下流側にある前記第3領域に、前記第3画像が印刷され、前記印刷動作と前記搬送動作とが交互に繰り返されることによって、前記第2画像上に前記第3画像が印刷された前記印刷物が製造されることが望ましい。これにより、少なくとも3層の画像から構成された印刷物を製造できる。
【0010】
前記第2画像は、背景用の画像であり、前記第1画像は、前記媒体の被印刷面側と反対側から見るための画像であることが望ましい。これにより、媒体を反転させずに、両面から画像を見ることができる印刷物を製造できる。
【0011】
前記画像データは、複数の前記第2画像を含み、複数の前記第2画像が印刷された上に前記第3画像が印刷されることが望ましい。これにより、第1画像を見るときに第3画像が透けにくく、第3画像を見るときに第1画像が透けにくい印刷物を製造できる。
【0012】
複数の前記第2画像は、ドットの形成される位置がそれぞれ異なることが望ましい。これにより、印刷時の乾燥時間を短くすることができる。
【0013】
前記画像データにおいて、前記第2画像と前記第3画像との間隔が、前記第1画像と前記第2画像との間隔と異なるが望ましい。これにより、乾燥時間を適宜設定できる。
【0014】
ある搬送動作によって、前記第1画像が、前記第1領域から、前記第1領域と前記第2領域との間の領域まで搬送され、その後の搬送動作によって、前記第1画像が、前記第1領域と前記第2領域との間の領域から、前記第2領域まで搬送されることが望ましい。これにより、第1画像を乾燥させて第2画像を印刷することができる。
【0015】
前記印刷領域よりも前記搬送方向下流側に、前記印刷物を乾燥させる乾燥装置があり、前記乾燥装置は、乾燥範囲を変更できることが望ましい。これにより、省電力化を図ることができる。
【0016】
前記印刷領域において、前記媒体を支持しつつ前記印刷物を加熱する支持部があることが望ましい。これにより、第1画像を印刷してから第2画像を印刷するまでの間の時間を短くできる。
【0017】
(A)印刷対象となる第1画像及び第2画像を含む画像データを記憶するメモリと、(B)前記画像データに基づいて前記媒体に印刷を行う印刷部と、(C)前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、(D)前記印刷部に、前記画像データに基づいて、印刷領域のうちの第1領域に前記第1画像を印刷させるとともに、前記印刷領域のうちの第2領域であって前記第1領域よりも搬送方向下流側にある前記第2領域に前記第2画像を印刷させる印刷動作と、前記搬送部に、前記第1領域で印刷された前記第1画像を前記第2領域に搬送させる搬送動作と、を交互に繰り返させるコントローラと、(E)を備える印刷装置が明らかになる。
このような印刷装置によれば、メモリに記憶すべき画像データの量を軽減できる。
【0018】
===プリンタの構成===
<プリンタの構成について>
図1は、プリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図2は、プリンタ1の全体構成の概略図である。図3は、印刷領域付近の説明図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。
【0019】
プリンタ1は、搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30、ヒータユニット40、検出器群50、及びコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30、ヒータユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0020】
搬送ユニット10は、ロール状の媒体(例えば、ロール紙、ロール状シール用紙など)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送する。この搬送ユニット10は、供給機構11と、搬送ローラ12A〜12Fと、巻取機構13とを有する。搬送ローラ12A〜12Bは、供給機構11から供給される媒体を印刷領域まで搬送し、印刷領域で印刷された媒体を巻取機構13まで搬送する。コントローラ60が不図示の搬送モータを制御することによって、搬送ローラ12A〜12Fの回転量が制御され、媒体の搬送量が制御される。
【0021】
キャリッジユニット20は、ヘッドを移動方向に移動させるものであり、所定の方向(移動方向)に移動するキャリッジ21と、キャリッジ21を移動方向に案内するガイド22とを有する。コントローラ60が不図示のキャリッジモータを制御することによって、キャリッジ21の移動が制御される。なお、本実施形態のプリンタでは、キャリッジ21の移動方向は、搬送ユニット10の媒体の搬送方向と同じ方向である。
【0022】
ヘッドユニット30は、紙にインクを吐出するヘッド31を有する。ヘッド31はキャリッジ21に搭載されているため、キャリッジ21が移動方向に移動すると、ヘッド31も移動方向に移動する。ヘッド31の下面には、媒体幅方向に沿ってノズル列が設けられている。このノズル列は、媒体の幅に相当する長さに亘って設けられている。ヘッド31が移動方向に移動中にインクを吐出することによって、印刷領域で媒体が印刷される。
【0023】
不図示であるが、ヘッド31の下面には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなどのカラーインクを吐出するノズル列が設けられている。更に、ヘッド31の下面には、白インクを吐出するノズル列、定着剤を吐出するノズル列、及び、コーティング剤を吐出するノズル列なども設けられている。
【0024】
ヒータユニット40は、ホットプラテン41と、乾燥機構42とを有する。ホットプラテン41は、印刷領域において媒体を支持するとともに、ヒータを内蔵しており、印刷領域上の媒体を加熱することによって、印刷領域上で印刷画像の乾燥を促進させる。乾燥機構42は、印刷領域よりも下流側に設けられており、印刷領域で印刷された媒体を加熱することによって、印刷領域外で印刷物の乾燥を促進させる。乾燥機構42の最大加熱範囲は、印刷領域に相当する範囲以上である。但し、乾燥機構42の加熱範囲は、コントローラ60によって切り替え可能であり、例えば、3個の領域(例えば図3の領域A〜領域C)に相当する範囲だけで印刷物を加熱することができる。印刷領域(図3の6個の領域)に相当する範囲が加熱される場合と比べて、3個の領域に相当する範囲だけが加熱される場合の方が、乾燥機構42の消費電力は小さい。
なお、ホットプラテン41及び乾燥機構42は、媒体上の印刷画像や印刷物を乾燥させることができる装置であれば良く、例えば温風、赤外線、UV、マイクロ波などの電磁波を媒体に付与するような装置であって良い。
【0025】
検出器群50には、例えばマーク検出センサ51が含まれる。マーク検出センサ51は媒体に印刷されたマークを検出するのに用いられ、この検出結果に基づいて搬送ユニット10による媒体の搬送量が制御される。なお、検出器群50は、他にも、搬送ローラ12A〜12Fの回転量を検出するためのエンコーダや、キャリッジ21の移動方向の位置を検出するためのリニア式エンコーダなども備えている。
【0026】
コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。また、メモリ63には、印刷対象となる画像データが格納される。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御し、後述する印刷処理を実行させる。また、CPU62は、メモリ63に格納された画像データに従ってヘッド31の各ノズル(不図示)からインク等を吐出させることによって、画像データの示す画像を媒体上に印刷する。
【0027】
印刷処理が実行されると、プリンタ1は、搬送ユニット10によって媒体を搬送方向に搬送する搬送動作と、キャリッジユニット20によってヘッド31を移動させつつ画像データに基づいてヘッド31からインクを吐出して媒体に画像を印刷する印刷動作とを交互に繰り返し、媒体に印刷物を等間隔に印刷する。後述するとおり、印刷物は、複数の画像を重ねて印刷される。
【0028】
また、以下の説明では、印刷領域を6個の領域に分けて各領域に画像が印刷される。6個の領域は、搬送方向上流側の領域から順に、領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、領域Fである(図3参照)。
【0029】
なお、印刷領域の分割数は6個に限られるものではない。また、印刷領域の範囲は印刷物の大きさに応じて可変であり、必ずしもプリンタ1の最大印刷可能範囲(キャリッジ21の移動可能範囲)である必要は無い。
【0030】
===第1実施形態===
<第1実施形態の印刷物>
図4は、第1実施形態の印刷物の説明図である。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材(基材)と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良いし、不透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良いし、紙でも良い。
この印刷物は、媒体上に2個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、白インクを塗布することによって形成される矩形の画像(以下、「白画像」)である。また、白画像の上に印刷される画像は、「ABC」との文字画像(以下、「画像ABC」)である。言い換えると、この印刷物は、媒体上に白画像の第1層と、画像ABCの第2層とを重ねて形成することによって得られる。
【0031】
<比較例>
本実施形態の印刷方法について説明する前に、比較例について説明する。図5は、比較例の印刷方法の説明図である。
比較例では、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、6個の白画像を各領域にそれぞれ印刷する。
1回目の印刷動作の後(白画像を印刷した後)、プリンタ1は、媒体上に印刷された白画像が乾燥するまで待機する(待機動作)。白画像が乾燥する前に画像ABCを印刷すると、画像ABCが滲んでしまうためである。
待機動作の後、プリンタ1は、2回目の印刷動作を行う。2回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、6個の画像ABCを各領域にそれぞれ印刷する。各領域には既に白画像が印刷されているため、画像ABCは白画像の上に重ねて印刷される。この2回目の印刷動作によって、印刷領域では、6個の印刷物が完成する。なお、2回目の印刷動作の際に、領域Bにマークも印刷される。
【0032】
2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、6個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。前述の2回目の印刷動作の際に領域Bに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、6個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われたことになる。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が印刷領域に搬送される。このため、待機動作を行わずに、次の印刷動作を行うことができる。
【0033】
搬送動作の後、プリンタ1は、奇数回目(例えば3回目)の印刷動作を行う。奇数回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、6個の白画像を各領域にそれぞれ印刷する。奇数回目の印刷動作の後(白画像を印刷した後)、プリンタ1は、待機動作を行う。待機動作の後、プリンタ1は、偶数回目(例えば4回目)の印刷動作を行う。偶数回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、6個の画像ABCを各領域にそれぞれ印刷する。偶数回目の印刷動作の後、プリンタ1は、6個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する搬送動作を行う。このような動作を繰り返すことによって、媒体上に等間隔で印刷物が印刷される。
【0034】
比較例では、偶数回目の印刷動作のたびに、6個の印刷物が完成することになる。つまり、1回の印刷動作のたびに、平均3個の印刷物が完成することになる。
【0035】
<第1実施形態の印刷方法>
図6は、第1実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第1実施形態では、プリンタは、領域A〜領域Cにそれぞれ白画像を印刷し領域D〜領域Fに画像ABCをそれぞれ印刷する印刷動作と、3個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0036】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域A〜領域Cにそれぞれ白画像を印刷し、領域A〜領域Cよりも搬送方向下流側の領域D〜領域Fにそれぞれ画像ABCを印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Eにマークが印刷される。
【0037】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、3個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。前述の1回目の印刷動作の際に領域Eに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、3個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われたことになる。この搬送動作は、白画像を乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A〜領域Cに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域A〜領域Cで印刷された白画像が領域D〜領域Fに搬送される。
【0038】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域A〜領域Cにそれぞれ白画像を印刷し、領域D〜領域Fにそれぞれ画像ABCを印刷する。但し、2回目の印刷動作では、領域D〜領域Fには1回目の印刷動作で印刷された白画像がある。このため、2回目の印刷動作によって、領域D〜領域Fで3個の印刷物が完成する。
【0039】
2回目の印刷動作の後、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返すことによって、媒体上に等間隔で印刷物が印刷される。なお、2回目以降の印刷動作によって、領域A〜領域Cでは白画像が印刷され、領域D〜領域Fでは3個の印刷物が完成する。また、2回目以降の搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A〜領域Cに搬送され、直前の印刷動作の際に領域A〜領域Cで印刷された白画像が領域D〜領域Fに搬送される。
第1実施形態では、印刷動作のたびに、3個の印刷物が完成することになる。
【0040】
<比較>
図7Aは、比較例の奇数回目の印刷動作のための画像データの説明図である。図7Bは、比較例の偶数回目の印刷動作のための画像データの説明図である。奇数回目の印刷動作のための画像データは、領域A〜領域Fに印刷するための6個の白画像を有する。また、偶数回目の印刷動作のための画像データは、領域A〜領域Fに印刷するための6個の画像ABCを有する。
比較例では、奇数回目の印刷動作と、偶数回目の印刷動作とでは、印刷領域に印刷すべき画像が異なっている。このため、プリンタ1のメモリ63には、2種類の画像データをそれぞれ記憶する必要がある。
図7Cは、第1実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。第1実施形態の印刷動作のための画像データは、領域A〜領域Cに印刷するための3個の白画像と、領域D〜領域Fに印刷するための3個の画像ABCとを有する。また、画像データは、領域Eに印刷するためのマークも有する。
【0041】
第1実施形態では、いずれの印刷動作においても、印刷領域に印刷すべき画像が同じである。このため、プリンタ1のメモリ63には、1種類の画像データを記憶するだけでよい。
つまり、本実施形態では、比較例と比べると、印刷領域に印刷すべき画像のデータ(画像データ)を記憶するための容量を小さくすることができる。
【0042】
次に、比較例と第1実施形態の処理時間・処理速度を比較する。以下の説明では、第1実施形態の搬送動作は比較例の搬送動作よりも搬送量が短いため、第1実施形態の搬送時間は比較例の搬送時間よりも短い。また、白画像を印刷してから画像ABCを印刷するまでに必要な待機時間(乾燥時間)は、比較例も第1実施形態も同じ時間である。
【0043】
図8Aは、比較例の待機時間が比較例の搬送時間よりも短い場合の処理時間の説明図である。この場合、図に示すように、第1実施形態の印刷処理の方が、比較例の印刷処理よりも、短時間で多くの印刷物を印刷できる。
図8Bは、比較例の待機時間と比較例の搬送時間が同じ場合の処理時間の説明図である。この場合、図に示すように、比較例の印刷処理の速度と第1実施形態の印刷処理の速度は同程度である。なお、この図からも、比較例の待機時間が比較例の搬送時間よりも短い場合に、第1実施形態の方が比較例よりも有利であることが理解できる。
図8Cは、比較例の待機時間が比較例の搬送時間よりも長い場合の処理時間の説明図である。この場合、図に示すように、比較例の印刷処理の方が、第1実施形態の印刷処理よりも、短時間で多くの印刷物を印刷できる。
【0044】
以上説明した通り、比較例において待機時間が搬送時間よりも短い場合に、第1実施形態の印刷処理が有効である。本実施形態では、プリンタ1にホットプラテン41を設けることによって、待機時間を搬送時間よりも短くすることを可能にしている。
【0045】
また、第1実施形態の搬送動作の搬送量は、比較例の搬送動作の搬送量の半分である。このため、比較例では、乾燥機構42(図2参照)は印刷領域に相当する範囲において媒体を加熱する必要があるが、第1実施形態では、乾燥機構42は3個の領域(例えば領域A〜領域C)に相当する範囲において媒体を加熱できれば良いので、省電力化を図ることができる。
【0046】
<変形例>
図9は、第1実施形態の変形例の説明図である。以下に説明する通り、この変形例では、プリンタは、領域Aに白画像を印刷し領域Fに画像ABCを印刷する印刷動作と、1個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0047】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域Aに白画像を印刷し、領域Aよりも搬送方向下流側の領域Fに画像ABCを印刷する。このとき、領域B〜領域Eには何も画像は印刷されない。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、1個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域Aに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Aで印刷された白画像が領域Bに搬送される。
【0048】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに白画像を印刷し、領域Fに画像ABCを印刷する。このときも、領域B〜領域Eには何も画像は印刷されない。2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返す。
そして、6回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに白画像を印刷し、領域Fに画像ABCを印刷する。但し、6回目の印刷動作では、領域Fには1回目の印刷動作で印刷された白画像がある。このため、6回目の印刷動作によって、領域Fで1個の印刷物が完成する。
【0049】
この変形例では、印刷動作のたびに、1個の印刷物が完成することになる。
この変形例では、前述の第1実施形態と同様に、いずれの印刷動作においても、印刷領域に印刷すべき画像が同じである。このため、プリンタ1のメモリ63には、1種類の画像データを記憶するだけでよい。
この変形例では、印刷動作のたびに1個の印刷物が印刷されるので、第1実施形態と比較すると、印刷速度は遅くなるかもしれない。但し、この変形例では、白画像を印刷してから画像ABCを印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で白画像を十分に乾燥させてから画像ABCを印刷することができる。
この変形例の搬送動作の搬送量は、第1実施形態の搬送動作の搬送量よりも短い。このため、変形例では、乾燥機構42は1個の領域(例えば領域A)に相当する範囲において媒体を加熱できれば良いので、省電力化を図ることができる。
【0050】
===第2実施形態===
<第2実施形態の印刷物>
図10Aは、第2実施形態の印刷物の説明図である。第1実施形態の印刷物と比べると、媒体上に印刷される画像の数(層の数)が異なる。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材(基材)と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良いし、不透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良いし、紙でも良い。
この印刷物は、媒体上に3個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、1層目の白画像である。また、1層目の白画像の上に印刷される画像は、2層目の白画像である。また、2層目の白画像の上に印刷される画像は、画像ABCである。言い換えると、この印刷物は、媒体上に、2層の白画像と、画像ABCとを重ねて形成することによって得られる。
第2実施形態では、複数の白画像が重ねて形成されるので、第1実施形態と比較して、白画像の層が厚くなる。このため、第2実施形態では、第1実施形態と比較して、背景用の画像を濃く印刷でき、文字「ABC」が見やすくなる。
【0051】
<第2実施形態の印刷方法>
図10Bは、第2実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域A〜領域Dに印刷するための4個の白画像と、領域E及び領域Fに印刷するための2個の画像ABCとを有する。なお、領域A及び領域Bの白画像は第1層の白画像になり、領域C及び領域Dの白画像は第2層の白画像になる。また、画像データは、領域Fに印刷するためのマークも有する。
【0052】
図11は、第2実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第2実施形態では、プリンタは、図10Bの画像データに基づく印刷動作と、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0053】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域A〜領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域A〜領域Dよりも搬送方向下流側の領域E及び領域Fにそれぞれ画像ABCを印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0054】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。前述の1回目の印刷動作の際に領域Fに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われたことになる。この搬送動作は、白画像や画像ABCを乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域A〜領域Dで印刷された白画像が領域C〜領域Fに搬送される。
【0055】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域A〜領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域E及び領域Fにそれぞれ画像ABCを印刷する。但し、2回目の印刷動作では、領域C〜領域Fには1回目の印刷動作で印刷された白画像がある。このため、2回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは2層目の白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは白画像上に画像ABCが印刷される。
【0056】
2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された1層目の白画像が領域C及び領域Dに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域C及び領域Dで印刷された2層目の白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0057】
3回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目及び2回目の印刷動作と同様に、領域A〜領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域E及び領域Fにそれぞれ画像ABCを印刷する。但し、3回目の印刷動作では、領域C及び領域Dには1層の白画像があり、領域E及び領域Fには2層の白画像がある。このため、3回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは2層目の白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。
【0058】
3回目の印刷動作の後、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返すことによって、媒体上に等間隔で印刷物が印刷される。なお、3回目以降の印刷動作によって、領域A及び領域Bでは1層目の白画像が印刷され、領域C及び領域Dでは2層目の白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。また、3回目以降の搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、直前の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された白画像が領域C及び領域Dに搬送され、直前の印刷動作の際に領域C及び領域Dで印刷された2層目の白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0059】
第2実施形態では、印刷動作のたびに、2個の印刷物が完成することになる。
第2実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ながら、別の印刷物を印刷することができる。
【0060】
===第3実施形態===
<第3実施形態の印刷物>
図12Aは、第3実施形態の印刷物の説明図である。第1実施形態の印刷物と比べると、白画像と画像ABCの順序が異なる。また、これに伴って、画像ABCは鏡像になっている。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良い。
この印刷物は、媒体上に2個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、「ABC」との文字の鏡像の画像(以下、「鏡像ABC」)である。また、鏡像ABCの上に印刷される画像は、白画像である。言い換えると、この印刷物は、鏡像ABCの第1層と、白画像の第2層とを重ねて形成することによって得られる。
【0061】
なお、この印刷物の剥離部材を外し、シール部材の粘着面を例えば室内側から窓に貼れば、室外側からシール部材越しに文字「ABC」を見ることができる(シール部材の被印刷面と反対側から文字「ABC」を見ることができる)。印刷物をこのように使用する場合には、シール部材は透明又は半透明な部材にし、第1層の画像は鏡像にすると良い。
【0062】
<第3実施形態の印刷方法>
図12Bは、第3実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域A〜領域Cに印刷するための3個の鏡像ABCと、領域D〜領域Fに印刷するための3個の白画像とを有する。また、画像データは、領域Eに印刷するためのマークも有する。
【0063】
図13は、第3実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第3実施形態では、プリンタは、図12Bの画像データに基づく印刷動作(領域A〜領域Cにそれぞれ鏡像ABCを印刷し領域D〜領域Fに白画像をそれぞれ印刷する印刷動作)と、3個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0064】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域A〜領域Cにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域A〜領域Cよりも搬送方向下流側の領域D〜領域Fにそれぞれ白画像を印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Eにマークが印刷される。
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、3個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。前述の1回目の印刷動作の際に領域Eに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、3個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われたことになる。この搬送動作は、鏡像ABCを乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A〜領域Cに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域A〜領域Cで印刷された鏡像ABCが領域D〜領域Fに搬送される。
【0065】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域A〜領域Cにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域D〜領域Fにそれぞれ白画像を印刷する。但し、2回目の印刷動作では、領域D〜領域Fには1回目の印刷動作で印刷された鏡像ABCがある。このため、2回目の印刷動作によって、領域D〜領域Fで3個の印刷物が完成する。
2回目の印刷動作の後、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返すことによって、媒体上に等間隔で印刷物が印刷される。なお、2回目以降の印刷動作によって、領域A〜領域Cでは鏡像ABCが印刷され、領域D〜領域Fでは3個の印刷物が完成する。また、2回目以降の搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A〜領域Cに搬送され、直前の印刷動作の際に領域A〜領域Cで印刷された鏡像ABCが領域D〜領域Fに搬送される。
【0066】
第3実施形態では、印刷動作のたびに、3個の印刷物が完成することになる。第3実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ながら、別の印刷物を印刷することができる。
【0067】
===第4実施形態===
<第4実施形態の印刷物>
図14Aは、第4実施形態の印刷物の説明図である。第3実施形態の印刷物と比べると、媒体上に印刷される画像の数(層の数)が異なる。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良い。
この印刷物は、媒体上に3個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、鏡像ABCである。また、鏡像ABCの上に印刷される画像は、2個の白画像である。言い換えると、この印刷物は、鏡像ABCの第1層と、白画像の第2層及び第3層とを重ねて形成することによって得られる。
【0068】
なお、第3実施形態と同様に、この印刷物の剥離部材を外し、シール部材の粘着面を例えば室内側から窓に貼れば、室外側からシール部材越しに文字「ABC」を見ることができる(シール部材の被印刷面と反対側から文字「ABC」を見ることができる)。印刷物をこのように使用する場合には、シール部材は透明又は半透明な部材にし、第1層の画像は鏡像にすると良い。
【0069】
第4実施形態では、複数の白画像が重ねて形成されるので、第3実施形態と比較して、白画像の層が厚くなる。このため、第4実施形態では、第3実施形態と比較して、背景用の画像を濃く印刷でき、文字「ABC」が見やすくなる。
【0070】
<第4実施形態の印刷方法>
図14Bは、第4実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域A及び領域Bに印刷するための2個の鏡像ABCと、領域C〜領域Fに印刷するための4個の白画像とを有する。なお、領域C及び領域Dの白画像は第1層の白画像になり、領域E及び領域Fの白画像は第2層の白画像になる。また、画像データは、領域Fに印刷するためのマークも有する。
【0071】
図15は、第4実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第4実施形態では、プリンタは、図14Bの画像データに基づく印刷動作と、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0072】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域A及び領域Bにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域A及び領域Bよりも搬送方向下流側の領域C〜領域Fにそれぞれ白画像を印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0073】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。前述の1回目の印刷動作の際に領域Fに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われたことになる。この搬送動作は、白画像や画像ABCを乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された鏡像ABCが領域C及び領域Dに搬送され、領域C及び領域Dで印刷された白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0074】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域A及び領域Bにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域C〜領域Fにそれぞれ白画像を印刷する。但し、2回目の印刷動作では、領域C及び領域Dには鏡像ABCがあり、領域E及び領域Fには1回目の印刷動作で印刷された白画像がある。このため、2回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは2層目の白画像が印刷される。
【0075】
2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された鏡像ABCが領域C及び領域Dに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域C及び領域Dで鏡像ABC上に印刷された白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0076】
3回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目及び2回目の印刷動作と同様に、領域A及び領域Bにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域C〜領域Fにそれぞれ白画像を印刷する。但し、3回目の印刷動作では、領域C及び領域Dには鏡像ABCがあり、領域E及び領域Fには鏡像ABC上に印刷された白画像がある。このため、3回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。
【0077】
3回目の印刷動作の後、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返すことによって、媒体上に等間隔で印刷物が印刷される。なお、3回目以降の印刷動作によって、領域A及び領域Bでは鏡像ABCが印刷され、領域C及び領域Dでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。また、3回目以降の搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、直前の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された鏡像ABCが領域C及び領域Dに搬送され、直前の印刷動作の際に領域C及び領域Dで鏡像ABC上に印刷された白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0078】
第4実施形態では、印刷動作のたびに、2個の印刷物が完成することになる。
第4実施形態では、第3実施形態と同様の効果を得ながら、別の印刷物を印刷することができる。
【0079】
===第5実施形態===
<第5実施形態の印刷物>
図16Aは、第5実施形態の印刷物の説明図である。第1実施形態の印刷物と比べると、画像ABCの下の画像は、白画像ではなく、別の画像である。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良いし、不透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良いし、紙でも良い。
この印刷物は、媒体上に2個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、定着剤を塗布することによって形成される矩形の画像(以下、「下地画像」)である。また、下地画像の上に印刷される画像は、画像ABCである。言い換えると、この印刷物は、媒体上に下地画像の第1層と、画像ABCの第2層とを重ねて形成することによって得られる。
定着剤は、インクの吸収を促進する働きがある。このような定着剤によって下地画像を媒体上に印刷することによって、インクを吸収しにくい媒体上に画像(ここでは画像ABC)を印刷し易くなる。なお、他の作用のある定着剤を用いても良い。
【0080】
<第5実施形態の印刷方法>
図16Bは、第5実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域A〜領域Cに印刷するための3個の下地画像と、領域D〜領域Fに印刷するための3個の画像ABCとを有する。また、画像データは、領域Eに印刷するためのマークも有する。
図17は、第5実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第5実施形態では、プリンタは、図16Bの画像データに基づく印刷動作(領域A〜領域Cにそれぞれ下地画像を印刷し領域D〜領域Fに画像ABCをそれぞれ印刷する印刷動作)と、3個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
図17を見れば、もはや第5実施形態の印刷方法は明らかであるため、ここでは説明を省略する。第5実施形態においても、印刷動作のたびに、3個の印刷物が完成することになる。また、第5実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ながら、別の印刷物を印刷することができる。
【0081】
===第6実施形態===
<第6実施形態の印刷物>
図18Aは、第6実施形態の印刷物の説明図である。第1実施形態の印刷物と比べると、媒体上に印刷される画像の数(層の数)が異なる。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良いし、不透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良いし、紙でも良い。
この印刷物は、媒体上に3個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、白画像である。また、白画像の上に印刷される画像は、画像ABCである。また、画像ABCの上に印刷される画像は、コーティング剤を塗布することによって形成される矩形の画像(以下、「コーティング画像」)である。言い換えると、この印刷物は、媒体上に、白画像の第1層と、画像ABCの第2層と、コーティング画像の第3層とを重ねて形成することによって得られる。
コーティング剤は、光沢性を向上させる作用や、耐水性を向上させる作用などがある。すなわち、このようなコーティング剤を第3層として形成することにより、白画像や画像ABCの光沢性を向上させたり、印刷物の耐水性を向上させたりすることができる。なお、その他の作用のあるコーティング剤を用いても良い。
【0082】
<第6実施形態の印刷方法>
図18Bは、第6実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域A及び領域Bに印刷するための2個の白画像と、領域C及び領域Dに印刷するための2個の画像ABCと、領域E及び領域Fに印刷するための2個のコーティング画像とを有する。また、画像データは、領域Fに印刷するためのマークも有する。
図19は、第6実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第6実施形態では、プリンタは、図18Bの画像データに基づく印刷動作と、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0083】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域A及び領域Bにそれぞれ白画像を印刷し、領域A及び領域Bよりも搬送方向下流側の領域C及び領域Dにそれぞれ画像ABCを印刷し、領域C及び領域Dよりも搬送方向下流側の領域E及び領域Fにそれぞれコーティング画像を印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0084】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。前述の1回目の印刷動作の際に領域Fに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われたことになる。この搬送動作は、白画像や画像ABCを乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された白画像が領域C及び領域Dに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域C及び領域Dで印刷された画像ABCが領域E及び領域Fに搬送される。
【0085】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域A及び領域Bにそれぞれ白画像を印刷し、領域C及び領域Dにそれぞれ画像ABCを印刷し、領域E及び領域Fにそれぞれコーティング画像を印刷する。但し、2回目の印刷動作では、領域C及び領域Dには1回目の印刷動作で印刷された白画像があり、領域E及び領域Fには1回目の印刷動作で印刷された画像ABCがある。このため、2回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは白画像上に画像ABCが印刷され、領域E及び領域Fでは画像ABC上にコーティング画像が印刷される。
【0086】
2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された白画像が領域C及び領域Dに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域C及び領域Dで白画像上に印刷された画像ABCが領域E及び領域Fに搬送される。
【0087】
3回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目及び2回目の印刷動作と同様に、領域A及び領域Bにそれぞれ白画像を印刷し、領域C及び領域Dにそれぞれ画像ABCを印刷し、領域E及び領域Fにそれぞれコーティング画像を印刷する。但し、3回目の印刷動作では、領域C及び領域Dには白画像があり、領域E及び領域Fには白画像上に印刷された画像ABCがある。このため、3回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは白画像上に画像ABCが印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。
【0088】
3回目の印刷動作の後、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返すことによって、媒体上に等間隔で印刷物が印刷される。なお、3回目以降の印刷動作によって、領域A及び領域Bでは白画像が印刷され、領域C及び領域Dでは白画像上に画像ABCが印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。また、3回目以降の搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、直前の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された白画像が領域C及び領域Dに搬送され、直前の印刷動作の際に領域C及び領域Dで白画像上に印刷された画像ABCが領域E及び領域Fに搬送される。
【0089】
第6実施形態では、印刷動作のたびに、2個の印刷物が完成することになる。
第6実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ながら、別の印刷物を印刷することができる。
【0090】
<第1変形例>
図20は、第6実施形態の第1変形例の説明図である。以下に説明する通り、この変形例では、プリンタは、領域Aに白画像を印刷し、領域Cに画像ABCを印刷し、領域Eにコーティング画像を印刷する印刷動作と、1個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0091】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域Aに白画像を印刷し、領域Aよりも搬送方向下流側の領域Cに画像ABCを印刷し、領域Cよりも搬送方向下流側の領域Eにコーティング画像を印刷する。このとき、領域B、領域D及び領域Fには何も画像は印刷されない。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0092】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、1個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域Aに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Aで印刷された白画像が領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Cで印刷された画像ABCが領域Dに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Eで印刷されたコーティング画像が領域Fに搬送される。
【0093】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに白画像を印刷し、領域Cに画像ABCを印刷し、領域Eにコーティング画像を印刷する。このときも、領域B、領域D及び領域Fには何も画像は印刷されない。2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返す。
【0094】
そして、5回目以降の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに白画像を印刷し、領域Cに画像ABCを印刷し、領域Eにコーティング画像を印刷する。但し、5回目以降の印刷動作では、領域Cには白画像があり、領域Eには白画像上に印刷された画像ABCがある。このため、5回目以降の印刷動作によって、領域Cでは白画像上に画像ABCが印刷され、領域Eでは1個の印刷物が完成する。
【0095】
この変形例では、印刷動作のたびに、1個の印刷物が完成することになる。
この変形例では、前述の第1実施形態と同様に、いずれの印刷動作においても、印刷領域に印刷すべき画像が同じである。このため、プリンタ1のメモリ63には、1種類の画像データを記憶するだけでよい。
この変形例では、印刷動作のたびに1個の印刷物が印刷されるので、第6実施形態と比較すると、印刷速度は遅くなるかもしれない。但し、この変形例では、白画像を印刷してから画像ABCを印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で白画像を十分に乾燥させてから画像ABCを印刷することができる。また、この変形例では、画像ABCを印刷してからコーティング画像を印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で画像ABCを十分に乾燥させてからコーティング画像を印刷することができる。
この変形例の搬送動作の搬送量は、第6実施形態の搬送動作の搬送量よりも短い。このため、変形例では、乾燥機構42は1個の領域(例えば領域A)に相当する範囲において媒体を加熱できれば良いので、省電力化を図ることができる。
【0096】
<第2変形例>
図21は、第6実施形態の第2変形例の説明図である。第1変形例と比べると、第2変形例では、コーティング画像を印刷する場所が異なる。
【0097】
第2変形例では、コーティング画像を印刷する場所は領域Fである。つまり、コーティング画像を印刷する場所が、第1変形例と比較して、搬送方向下流側の領域である。この結果、第2変形例では、第1変形例と比較して、画像ABCを印刷してからコーティング画像を印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で画像ABCを十分に乾燥させてからコーティング画像を印刷することができる。
【0098】
特に、第6実施形態の印刷物は3個の画像を重ねて印刷するものであり、最初の画像(ここでは白画像)よりも2番目の画像(ここでは画像ABC)の方が乾きにくいため、最初の画像の乾燥時間よりも2番目の画像の乾燥時間を長く設定する必要がある。このような場合に、この第2変形例のように、最初の画像と2番目の画像との間隔よりも、2番目の画像と3番目の画像との間隔を広く設定した画像データを用意すると良い。
【0099】
なお、もし仮に最初の画像の方が2番目の画像よりも乾きにくいのであれば、2番目の画像と3番目の画像との間隔よりも、最初の画像と2番目の画像との間隔を広く設定した画像データを用意すると良い。このように、乾燥時間を要する画像とその下流側に位置する画像との間隔を長く設定すれば、滲みを抑制できる。
【0100】
===第7実施形態===
<第7実施形態の印刷物>
図22Aは、第7実施形態の印刷物の説明図である。第6実施形態と同様に3個の画像を重ねているが、第7実施形態では印刷される画像が異なる。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良い。
【0101】
この印刷物は、媒体上に3個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、鏡像ABCである。また、鏡像ABCの上に印刷される画像は、白画像である。また、白画像の上に印刷される画像は、「XYZ」との文字画像(以下、「画像XYZ」)である。言い換えると、この印刷物は、鏡像ABCの第1層と、白画像の第2層と、画像XYZの第3層とを重ねて形成することによって得られる。
この印刷物の剥離部材を外し、シール部材の粘着面を例えば室内側から窓に貼れば、室内側から文字「XYZ」を見ることができるとともに、室外側からシール部材越しに文字「ABC」を見ることができる(シール部材の被印刷面と反対側から文字「ABC」を見ることができる)。つまり、この印刷物は、両側から画像を見ることができるものである。印刷物をこのように使用する場合には、シール部材は透明又は半透明な部材にし、第1層の画像は鏡像にすると良い。
鏡像ABCと画像XYZの間に白画像が形成されるので、室外側から文字「ABC」を見たときに画像XYZは見えないようになっており、逆に、室内側から文字「XYZ」を見たときに鏡像ABCは見えないようになっている。
【0102】
<第7実施形態の印刷方法>
図22Bは、第7実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域A及び領域Bに印刷するための2個の鏡像ABCと、領域C及び領域Dに印刷するための2個の白画像と、領域E及び領域Fに印刷するための2個の画像XYZとを有する。また、画像データは、領域Fに印刷するためのマークも有する。
図23は、第7実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第7実施形態では、プリンタは、図22Bの画像データに基づく印刷動作と、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0103】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域A及び領域Bにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域A及び領域Bよりも搬送方向下流側の領域C及び領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域C及び領域Dよりも搬送方向下流側の領域E及び領域Fにそれぞれ画像XYZを印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0104】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。前述の1回目の印刷動作の際に領域Fに印刷されたマークをセンサが検出するまで媒体を搬送すれば、2個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作が行われたことになる。この搬送動作は、鏡像ABCや白画像を乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された鏡像ABCが領域C及び領域Dに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域C及び領域Dで印刷された白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0105】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域A及び領域Bにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域C及び領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域E及び領域Fにそれぞれ画像XYZを印刷する。但し、2回目の印刷動作では、領域C及び領域Dには1回目の印刷動作で印刷された鏡像ABCがあり、領域E及び領域Fには1回目の印刷動作で印刷された白画像がある。このため、2回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは白画像上に画像XYZが印刷される。
【0106】
2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、2個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された鏡像ABCが領域C及び領域Dに搬送され、2回目の印刷動作の際に領域C及び領域Dで鏡像ABC上に印刷された白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0107】
3回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目及び2回目の印刷動作と同様に、領域A及び領域Bにそれぞれ鏡像ABCを印刷し、領域C及び領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域E及び領域Fにそれぞれ画像XYZを印刷する。但し、3回目の印刷動作では、領域C及び領域Dには鏡像ABCがあり、領域E及び領域Fには鏡像ABC上に印刷された白画像がある。このため、3回目の印刷動作によって、領域C及び領域Dでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。
【0108】
3回目の印刷動作の後、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返すことによって、媒体上に等間隔で印刷物が印刷される。なお、3回目以降の印刷動作によって、領域A及び領域Bでは鏡像ABCが印刷され、領域C及び領域Dでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域E及び領域Fでは2個の印刷物が完成する。また、3回目以降の搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域A及び領域Bに搬送され、直前の印刷動作の際に領域A及び領域Bで印刷された鏡像ABCが領域C及び領域Dに搬送され、直前の印刷動作の際に領域C及び領域Dで鏡像ABC上に印刷された白画像が領域E及び領域Fに搬送される。
【0109】
第7実施形態では、印刷動作のたびに、2個の印刷物が完成することになる。
第7実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ながら、別の印刷物を印刷することができる。
【0110】
<第1変形例>
図24は、第7実施形態の第1変形例の説明図である。以下に説明する通り、この変形例では、プリンタは、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域Cに白画像を印刷し、領域Eに画像XYZを印刷する印刷動作と、1個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0111】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域Aよりも搬送方向下流側の領域Cに白画像を印刷し、領域Cよりも搬送方向下流側の領域Eに画像XYZを印刷する。このとき、領域B、領域D及び領域Fには何も画像は印刷されない。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0112】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、1個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域Aに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Aで印刷された鏡像ABCが領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Cで印刷された白画像が領域Dに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Eで印刷された画像XYZが領域Fに搬送される。
【0113】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域Cに白画像を印刷し、領域Eに画像XYZを印刷する。このときも、領域B、領域D及び領域Fには何も画像は印刷されない。2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返す。
【0114】
そして、5回目以降の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域Cに白画像を印刷し、領域Eに画像XYZを印刷する。但し、5回目以降の印刷動作では、領域Cには鏡像ABCがあり、領域Eには鏡像ABC上に印刷された白画像がある。このため、5回目以降の印刷動作によって、領域Cでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域Eでは1個の印刷物が完成する。
【0115】
この変形例では、印刷動作のたびに、1個の印刷物が完成することになる。
この変形例では、前述の第1実施形態と同様に、いずれの印刷動作においても、印刷領域に印刷すべき画像が同じである。このため、プリンタ1のメモリ63には、1種類の画像データを記憶するだけでよい。
この変形例では、印刷動作のたびに1個の印刷物が印刷されるので、第7実施形態と比較すると、印刷速度は遅くなるかもしれない。但し、この変形例では、鏡像ABCを印刷してから白画像を印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で鏡像ABCを十分に乾燥させてから白画像を印刷することができる。また、この変形例では、白画像を印刷してから画像XYZを印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で白画像を十分に乾燥させてから画像XYZを印刷することができる。
この変形例の搬送動作の搬送量は、第7実施形態の搬送動作の搬送量よりも短い。このため、変形例では、乾燥機構42は1個の領域(例えば領域A)に相当する範囲において媒体を加熱できれば良いので、省電力化を図ることができる。
【0116】
<第2変形例>
図25は、第7実施形態の第2変形例の説明図である。第1変形例と比べると、第2変形例では、画像XYZを印刷する場所が異なる。
第2変形例では、画像XYZを印刷する場所は領域Fである。つまり、画像XYZを印刷する場所が、第1変形例と比較して、搬送方向下流側の領域である。この結果、第2変形例では、第1変形例と比較して、白画像を印刷してから画像XYZを印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で白画像を十分に乾燥させてから画像XYZを印刷することができる。
特に、第7実施形態の印刷物は3個の画像を重ねて印刷するものであり、最初の画像(ここでは鏡像ABC)よりも2番目の画像(ここでは白画像)の方が乾きにくいため、最初の画像の乾燥時間よりも2番目の画像の乾燥時間を長く設定する必要がある。このような場合に、この第2変形例のように、最初の画像と2番目の画像との間隔よりも、2番目の画像と3番目の画像との間隔を広く設定した画像データを用意すると良い。
なお、もし仮に最初の画像の方が2番目の画像よりも乾きにくいのであれば、2番目の画像と3番目の画像との間隔よりも、最初の画像と2番目の画像との間隔を広く設定した画像データを用意すると良い。このように、乾燥時間を要する画像とその下流側に位置する画像との間隔を長く設定すれば、滲みを抑制できる。
【0117】
===第8実施形態===
<第8実施形態の印刷物>
図26Aは、第8実施形態の印刷物の説明図である。第7実施形態の印刷物と比べると、白画像の数が異なっている。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良い。
【0118】
この印刷物は、媒体上に6個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、鏡像ABCである。また、鏡像ABCの上には、4個の白画像が印刷される。また、白画像の上に印刷される画像は、画像XYZである。言い換えると、この印刷物は、鏡像ABCの第1層と、白画像の第2層〜第5層と、画像XYZの第6層とを重ねて形成することによって得られる。
この印刷物の剥離部材を外し、シール部材の粘着面を例えば室内側から窓に貼れば、室内側から文字「XYZ」を見ることができるとともに、室外側からシール部材越しに文字「ABC」を見ることができる(シール部材の被印刷面と反対側から文字「ABC」を見ることができる)。つまり、この印刷物は、両側から画像を見ることができるものである。印刷物をこのように使用する場合には、シール部材は透明又は半透明な部材にし、第1層の画像は鏡像にすると良い。
【0119】
第8実施形態では、複数の白画像が重ねて形成されるので、第7実施形態と比較して、白画像の層が厚くなる。このため、第8実施形態では、第7実施形態と比較して、室外側から文字「ABC」を見たときに画像XYZは透けにくくなり、逆に、室内側から文字「XYZ」を見たときに鏡像ABCは透けにくくなる。
【0120】
<第8実施形態の印刷方法>
図26Bは、第8実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域Aに印刷するための鏡像ABCと、領域B〜領域Eに印刷するための4個の白画像と、領域Fに印刷するための画像XYZとを有する。なお、領域Bに印刷する白画像は第2層の白画像になり、領域Cに印刷する白画像は第3層の白画像になり、領域Dに印刷する白画像は第4層の白画像になり、領域Eに印刷する白画像は第5層の白画像になる。また、画像データは、領域Fに印刷するためのマークも有する。
【0121】
図27は、第8実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第8実施形態では、プリンタは、図26Bの画像データに基づく印刷動作と、1個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0122】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域Aよりも搬送方向下流側の領域B〜領域Eにそれぞれ白画像を印刷し、領域B〜領域Eよりも搬送方向下流側の領域Fに画像XYZを印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0123】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、1個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作は、鏡像ABCや白画像を乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域Aに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Aで印刷された鏡像ABCが領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域B〜領域Eで印刷された白画像がそれぞれ搬送方向下流側の隣の領域に搬送される。
【0124】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域B〜領域Eにそれぞれ白画像を印刷し、領域Fに画像XYZを印刷する。但し、2回目の印刷動作では、領域Bには1回目の印刷動作で印刷された鏡像ABCがあり、領域C〜領域Fには1回目の印刷動作で印刷された白画像がある。このため、2回目の印刷動作によって、領域Bでは鏡像ABC上に白画像が印刷され、領域C〜領域Eでは白画像上に白画像が印刷され、領域Fでは白画像上に画像XYZが印刷される。2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返す。
【0125】
そして、6回目以降の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域B〜領域Eにそれぞれ白画像を印刷し、領域Fに画像XYZを印刷する。但し、6回目以降の印刷動作では、領域Bには鏡像ABCがあり、領域Cには鏡像ABC上に印刷された1層の白画像があり、領域Dには鏡像ABC上に印刷された2層の白画像があり、領域Eには鏡像ABC上に印刷された3層の白画像があり、領域Fには鏡像ABC上に印刷された4層の白画像がある。このため、6回目以降の印刷動作によって、領域Bでは鏡像ABC上に1層目の白画像が印刷され、領域Cでは鏡像ABC上に2層目の白画像が印刷され、領域Dでは鏡像ABC上に3層目の白画像が印刷され、領域Eでは鏡像ABC上に4層目の白画像が印刷され、領域Fでは1個の印刷物が完成する。
【0126】
第8実施形態では、印刷動作のたびに、1個の印刷物が完成することになる。
第8実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ながら、別の印刷物を印刷することができる。
【0127】
===第9実施形態===
<第9実施形態の印刷物>
図28Aは、第9実施形態の印刷物の説明図である。第8実施形態と比べると、白画像の数が異なる。また、後述するように、白画像の構成も異なっている。
媒体は、一方が被印刷面であり他方が粘着面であるシール部材と、シール部材の粘着面を覆う剥離部材とから構成されている。シール部材は透明なフィルムから構成されている。但し、シール部材は透明である必要は無く、半透明な部材でも良い。また、媒体は、シール用紙でなくても良く、粘着面の無い透明フィルムであっても良い。
【0128】
この印刷物は、媒体上に4個の画像を重ねて印刷することによって得られる。媒体上に最初に印刷される画像は、鏡像ABCである。また、鏡像ABCの上には、2個の白画像が印刷される。また、白画像の上に印刷される画像は、画像XYZである。言い換えると、この印刷物は、鏡像ABCの第1層と、白画像の第2層及び第3層と、画像XYZの第4層とを重ねて形成することによって得られる。
この印刷物の剥離部材を外し、シール部材の粘着面を例えば室内側から窓に貼れば、室内側から文字「XYZ」を見ることができるとともに、室外側からシール部材越しに文字「ABC」を見ることができる(シール部材の被印刷面と反対側から文字「ABC」を見ることができる)。つまり、この印刷物は、両側から画像を見ることができるものである。印刷物をこのように使用する場合には、シール部材は透明又は半透明な部材にし、第1層の画像は鏡像にすると良い。
【0129】
第9実施形態では、複数の白画像が重ねて形成されるので、第7実施形態と比較して、白画像の層が厚くなる。このため、第9実施形態では、第7実施形態と比較して、室外側から文字「ABC」を見たときに画像XYZは透けにくくなり、逆に、室内側から文字「XYZ」を見たときに鏡像ABCは透けにくくなる。
【0130】
<第9実施形態の印刷方法>
図28Bは、第9実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。図に示す通り、画像データは、領域Aに印刷するための鏡像ABCと、領域C及び領域Dに印刷するための2個の白画像と、領域Fに印刷するための画像XYZとを有する。なお、領域Cに印刷する白画像は第2層の白画像になり、領域Dに印刷する白画像は第3層の白画像になる。また、画像データは、領域Fに印刷するためのマークも有する。
【0131】
図29は、第9実施形態の2個の白画像の構成の説明図である。図中の黒丸は、白インクによるドットを示している。この変形例では、全画素に白インクによるドットを形成するのではなく(いわゆるベタ画像にするのではなく)、市松模様状にドットを形成する。また、一方の白画像ではドットの形成されない画素に他方の白画像のドットが形成されるように、画像データ上の2個の白画像が設定されている。
【0132】
図30は、第9実施形態の印刷方法の説明図である。以下に説明する通り、第8実施形態では、プリンタは、図28Bの画像データに基づく印刷動作と、1個の印刷物の長さに相当する搬送量の搬送動作とを繰り返す。
【0133】
まず、1回目の印刷動作の際に、プリンタ1は、ヘッド31を移動方向に移動させながら、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域Aよりも搬送方向下流側の領域C及び領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域C及び領域Dよりも搬送方向下流側の領域Fに画像XYZを印刷する。なお、1回目の印刷動作の際に、領域Fにマークが印刷される。
【0134】
1回目の印刷動作の後、プリンタ1は、1個の印刷物の長さに相当する搬送量で媒体を搬送する(搬送動作)。この搬送動作は、鏡像ABCや白画像を乾燥させるための待機動作も兼ねている。この搬送動作によって、未だ画像の印刷されていない媒体が領域Aに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域Aで印刷された鏡像ABCが領域Bに搬送され、1回目の印刷動作の際に領域C及び領域Dで印刷された白画像がそれぞれ搬送方向下流側の隣の領域に搬送される。
【0135】
2回目の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域C及び領域Dにそれぞれ白画像を印刷し、領域Fに画像XYZを印刷する。2回目の印刷動作の後、プリンタ1は、同様の搬送動作と印刷動作とを交互に繰り返す。
【0136】
そして、6回目以降の印刷動作においても、プリンタ1は、1回目の印刷動作と同様に、領域Aに鏡像ABCを印刷し、領域B〜領域Eにそれぞれ白画像を印刷し、領域Fに画像XYZを印刷する。但し、6回目以降の印刷動作では、領域Cには鏡像ABCがあり、領域Dには鏡像ABC上に印刷された1層の白画像があり、領域Fには鏡像ABC上に印刷された2層の白画像がある。このため、5回目以降の印刷動作によって、領域Cでは鏡像ABC上に1層目の白画像が印刷され、領域Dでは鏡像ABC上に2層目の白画像が印刷され、領域Fでは1個の印刷物が完成する。
【0137】
第9実施形態では、印刷動作のたびに、1個の印刷物が完成することになる。
第9実施形態では、前述の第1実施形態と同様に、いずれの印刷動作においても、印刷領域に印刷すべき画像が同じである。このため、プリンタ1のメモリ63には、1種類の画像データを記憶するだけでよい。
第9実施形態では、印刷動作のたびに1個の印刷物が印刷されるので、第7実施形態と比較すると、印刷速度は遅くなるかもしれない。但し、第9実施形態では、鏡像ABCを印刷してから白画像を印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で鏡像ABCを十分に乾燥させてから白画像を印刷することができる。また、この変形例では、白画像を印刷してから画像XYZを印刷するまでの時間が長くなるので、ホットプラテン41の上で白画像を十分に乾燥させてから画像XYZを印刷することができる。
【0138】
なお、第9実施形態では、最初の白画像を印刷してから次の白画像を印刷するまでの時間が、鏡像ABCを印刷してから白画像を印刷するまでの時間や、白画像を印刷してから画像XYZを印刷するまでの時間よりも短い。但し、図29に示すように、一方の白画像ではドットの形成されない画素に他方の白画像のドットが形成されるので、乾燥時間が短くなっても、滲みの問題は生じない。また、仮に最初の白画像と次の白画像を構成するドット同士が滲んだとしても、同じ色のインクが混ざるだけなので、画質に影響はない。言い換えると、第9実施形態では、1層目の白画像(領域Cに印刷される白画像)の印刷後にすぐに2層目の白画像(領域Dに印刷される白画像)を印刷できるので、2層目の白画像を印刷してから画像XYZを印刷するまでの時間を長く設定することができたのである。
【0139】
また、第9実施形態では、領域Cに印刷される白画像は、いわゆるベタ画像ではなく、市松模様状のドットから構成されている。つまり、第9実施形態では、領域Cに白画像を印刷する際にヘッドから吐出される白インクの量を減らすことができる。このため、領域Cに白画像を印刷するときに最初の画像(ここでは鏡像ABC)が滲みにくいので、乾燥時間を短くすることができ、印刷速度を高めることができる。
【0140】
第9実施形態の搬送動作の搬送量は、第7実施形態の搬送動作の搬送量よりも短い。このため、第9実施形態では、乾燥機構42は1個の領域(例えば領域A)に相当する範囲において媒体を加熱できれば良いので、省電力化を図ることができる。
【0141】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、記録装置、液体の吐出装置、印刷方法、記録方法、液体の吐出方法、印刷システム、記録システム、コンピュータシステム、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体、印刷物の製造方法、等の開示が含まれていることは言うまでもない。
【0142】
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0143】
<印刷装置について>
前述の実施形態では、画像データをプリンタ1のメモリ63に記憶している。但し、画像データを記憶するメモリは、プリンタ1のメモリ63でなくても良い。例えば、外部のコンピュータ110のメモリ(不図示)に画像データを記憶しても良い。この場合、コンピュータ110とプリンタ1によって印刷装置が構成されることになる。このような形態の場合においても、記憶すべき画像データの量を軽減できるという効果が得られる。
【0144】
<プリンタについて>
前述のプリンタでは、キャリッジを搬送方向に1回移動させることによって、印刷領域の全面に印刷を行うことが可能である。但し、このようなプリンタに限られるものではない。例えば、印刷領域上でキャリッジを2次元的に移動させて、印刷領域に印刷を行うようなプリンタであっても良い。このようなプリンタであれば、前述のプリンタと比べて、印刷動作に時間がかかるものの、ヘッドの大きさを小さくできる。
【0145】
<画像について>
前述の実施形態では、画像ABC、鏡像ABC、画像XYZなどが印刷されている。但し、印刷される画像は文字画像に限られるものではなく、図形などでも良い。
また、前述の実施形態では、画像ABC等を見やすくするための背景用の画像として白画像が印刷されている。但し、背景用の画像は、白画像に限られるものではなく、他の色の画像であっても良い。なお、特に透明な媒体に画像ABCを印刷するような場合には、背景用の画像があることによって、画像ABCが特に視認しやすくなる。
また、前述の実施形態では、白画像・下地画像・コーティング画像は、それぞれ矩形であるが、矩形に限られるものではない。例えば、画像ABCに合わせて、ABCと同様の形状であっても良いし、ABCを縁取るような形状であっても良い。
また、印刷される画像は、いわゆる塗り潰し画像(全ての画素にドットを形成する画像)でなくても良い。
【0146】
<印刷物について>
鏡像ABCと画像XYZが印刷された印刷物の使用例として、窓などに貼ることを説明したが、印刷物の使用方法は、これに限られるものではない。例えば、タグとして使用することもできる。そして、印刷物をタグのように使用することを想定すれば、媒体がシール用紙のように粘着面を有しなくても良いことは理解できるであろう。
【0147】
<乾燥機構について>
前述の実施形態では、乾燥機構42の加熱範囲は、コントローラ60によって切り替え可能であった。但し、加熱範囲を最初から小さい乾燥機構42(例えば3個の領域に相当する加熱範囲の乾燥機構42)を用意してもよい。これにより、省スペース及び低コスト化を図ることができる。
【0148】
<待機動作と搬送動作について>
図8B及び図8Cに示す本実施形態では、待機動作の方が搬送動作よりも長いため、搬送動作の後に待機動作が続けて行われることが図示されている。但し、待機動作中の搬送動作のタイミングは、これに限られるものではない。
例えば、印刷動作後に待機動作を行って、その後に搬送動作を行うことによって、搬送動作の直後に印刷動作が行われても良い。若しくは、搬送動作の前後に待機動作が行われても良い。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】プリンタ1の全体構成のブロック図である。
【図2】プリンタ1の全体構成の概略図である。
【図3】印刷領域付近の説明図である。
【図4】第1実施形態の印刷物の説明図である。
【図5】比較例の印刷方法の説明図である。
【図6】第1実施形態の印刷方法の説明図である。
【図7】図7Aは、比較例の奇数回目の印刷動作のための画像データの説明図である。図7Bは、比較例の偶数回目の印刷動作のための画像データの説明図である。図7Cは、第1実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図8】図8Aは、比較例の待機時間が比較例の搬送時間よりも短い場合の処理時間の説明図である。図8Bは、比較例の待機時間と比較例の搬送時間が同じ場合の処理時間の説明図である。図8Cは、比較例の待機時間が比較例の搬送時間よりも長い場合の処理時間の説明図である。
【図9】第1実施形態の変形例の説明図である。
【図10】図10Aは、第2実施形態の印刷物の説明図である。図10Bは、第2実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図11】第2実施形態の印刷方法の説明図である。
【図12】図12Aは、第3実施形態の印刷物の説明図である。図12Bは、第3実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図13】第3実施形態の印刷方法の説明図である。
【図14】図14Aは、第4実施形態の印刷物の説明図である。図14Bは、第4実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図15】第4実施形態の印刷方法の説明図である。
【図16】図16Aは、第5実施形態の印刷物の説明図である。図16Bは、第5実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図17】第5実施形態の印刷方法の説明図である。
【図18】図18Aは、第6実施形態の印刷物の説明図である。図18Bは、第6実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図19】第6実施形態の印刷方法の説明図である。
【図20】第6実施形態の第1変形例の説明図である。
【図21】第6実施形態の第2変形例の説明図である。
【図22】図22Aは、第7実施形態の印刷物の説明図である。図22Bは、第7実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図23】第7実施形態の印刷方法の説明図である。
【図24】第7実施形態の第1変形例の説明図である。
【図25】第7実施形態の第2変形例の説明図である。
【図26】図26Aは、第8実施形態の印刷物の説明図である。図26Bは、第8実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図27】第8実施形態の印刷方法の説明図である。
【図28】図28Aは、第9実施形態の印刷物の説明図である。図28Bは、第9実施形態の印刷動作のための画像データの説明図である。
【図29】第9実施形態の2個の白画像の構成の説明図である。
【図30】第9実施形態の印刷方法の説明図である。
【符号の説明】
【0150】
1 プリンタ、10 搬送ユニット、11 供給機構、
12A〜12F 搬送ローラ、13 巻取機構、
20 キャリッジユニット、21 キャリッジ、22 ガイド、
30 ヘッドユニット、31 ヘッド、
40 ヒータユニット、41 ホットプラテン、42 乾燥機構、
50 検出器群、51 マーク検出センサ、
110 コンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷物を媒体上に印刷する印刷物製造方法であって、
印刷対象となる第1画像及び第2画像を含む画像データに基づいて、印刷領域のうちの第1領域に前記第1画像を印刷し、前記印刷領域のうちの第2領域であって前記第1領域よりも搬送方向下流側にある前記第2領域に前記第2画像を印刷する印刷動作と、
前記第1領域で印刷された前記第1画像を前記第2領域に搬送する搬送動作と、
を交互に繰り返すことによって、前記第1画像上に前記第2画像が印刷された印刷物を製造することを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷物製造方法であって、
前記画像データは、前記第1画像及び前記第2画像のうちの少なくとも一方の画像を複数備え、
前記印刷動作と前記搬送動作とが交互に繰り返されることによって、前記第1画像上に前記第1画像及び前記第2画像のうちの少なくとも一方の前記画像が印刷され、その上に前記第2画像が印刷された前記印刷物が製造される
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷物製造方法であって、
前記第1画像及び前記第2画像の一方の画像は、背景用の画像であり、
前記第1画像及び前記第2画像の他方の画像は、前記背景用の画像を背景として見るための画像である
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の印刷物製造方法であって、
前記画像データは、前記第1画像及び前記第2画像とは別の第3画像を更に含み、
前記印刷動作の際に、前記印刷領域のうちの第3領域であって前記第2領域よりも搬送方向下流側にある前記第3領域に、前記第3画像が印刷され、
前記印刷動作と前記搬送動作とが交互に繰り返されることによって、前記第2画像上に前記第3画像が印刷された前記印刷物が製造される
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷物製造方法であって、
前記画像データは、複数の前記第2画像を含み、
複数の前記第2画像が印刷された上に前記第3画像が印刷される
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷物製造方法であって、
複数の前記第2画像は、ドットの形成される位置がそれぞれ異なる
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載の印刷物製造方法であって、
前記画像データにおいて、前記第2画像と前記第3画像との間隔が、前記第1画像と前記第2画像との間隔と異なる
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の印刷物製造方法であって、
ある搬送動作によって、前記第1画像が、前記第1領域から、前記第1領域と前記第2領域との間の領域まで搬送され、
その後の搬送動作によって、前記第1画像が、前記第1領域と前記第2領域との間の領域から、前記第2領域まで搬送される
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の印刷物製造方法であって、
前記印刷領域よりも前記搬送方向下流側に、前記印刷物を乾燥させる乾燥装置があり、
前記乾燥装置は、乾燥範囲を変更できる
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の印刷物製造方法であって、
前記印刷領域において、前記媒体を支持しつつ前記印刷物を乾燥させる支持部がある
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項11】
(A)印刷対象となる第1画像及び第2画像を含む画像データを記憶するメモリと、
(B)前記画像データに基づいて前記媒体に印刷を行う印刷部と、
(C)前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
(D)前記印刷部に、前記画像データに基づいて、印刷領域のうちの第1領域に前記第1画像を印刷させるとともに、前記印刷領域のうちの第2領域であって前記第1領域よりも搬送方向下流側にある前記第2領域に前記第2画像を印刷させる印刷動作と、
前記搬送部に、前記第1領域で印刷された前記第1画像を前記第2領域に搬送させる搬送動作と、
を交互に繰り返させるコントローラと、
(E)を備える印刷装置。
【請求項1】
複数の印刷物を媒体上に印刷する印刷物製造方法であって、
印刷対象となる第1画像及び第2画像を含む画像データに基づいて、印刷領域のうちの第1領域に前記第1画像を印刷し、前記印刷領域のうちの第2領域であって前記第1領域よりも搬送方向下流側にある前記第2領域に前記第2画像を印刷する印刷動作と、
前記第1領域で印刷された前記第1画像を前記第2領域に搬送する搬送動作と、
を交互に繰り返すことによって、前記第1画像上に前記第2画像が印刷された印刷物を製造することを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷物製造方法であって、
前記画像データは、前記第1画像及び前記第2画像のうちの少なくとも一方の画像を複数備え、
前記印刷動作と前記搬送動作とが交互に繰り返されることによって、前記第1画像上に前記第1画像及び前記第2画像のうちの少なくとも一方の前記画像が印刷され、その上に前記第2画像が印刷された前記印刷物が製造される
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷物製造方法であって、
前記第1画像及び前記第2画像の一方の画像は、背景用の画像であり、
前記第1画像及び前記第2画像の他方の画像は、前記背景用の画像を背景として見るための画像である
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の印刷物製造方法であって、
前記画像データは、前記第1画像及び前記第2画像とは別の第3画像を更に含み、
前記印刷動作の際に、前記印刷領域のうちの第3領域であって前記第2領域よりも搬送方向下流側にある前記第3領域に、前記第3画像が印刷され、
前記印刷動作と前記搬送動作とが交互に繰り返されることによって、前記第2画像上に前記第3画像が印刷された前記印刷物が製造される
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷物製造方法であって、
前記画像データは、複数の前記第2画像を含み、
複数の前記第2画像が印刷された上に前記第3画像が印刷される
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷物製造方法であって、
複数の前記第2画像は、ドットの形成される位置がそれぞれ異なる
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載の印刷物製造方法であって、
前記画像データにおいて、前記第2画像と前記第3画像との間隔が、前記第1画像と前記第2画像との間隔と異なる
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の印刷物製造方法であって、
ある搬送動作によって、前記第1画像が、前記第1領域から、前記第1領域と前記第2領域との間の領域まで搬送され、
その後の搬送動作によって、前記第1画像が、前記第1領域と前記第2領域との間の領域から、前記第2領域まで搬送される
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の印刷物製造方法であって、
前記印刷領域よりも前記搬送方向下流側に、前記印刷物を乾燥させる乾燥装置があり、
前記乾燥装置は、乾燥範囲を変更できる
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の印刷物製造方法であって、
前記印刷領域において、前記媒体を支持しつつ前記印刷物を乾燥させる支持部がある
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項11】
(A)印刷対象となる第1画像及び第2画像を含む画像データを記憶するメモリと、
(B)前記画像データに基づいて前記媒体に印刷を行う印刷部と、
(C)前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
(D)前記印刷部に、前記画像データに基づいて、印刷領域のうちの第1領域に前記第1画像を印刷させるとともに、前記印刷領域のうちの第2領域であって前記第1領域よりも搬送方向下流側にある前記第2領域に前記第2画像を印刷させる印刷動作と、
前記搬送部に、前記第1領域で印刷された前記第1画像を前記第2領域に搬送させる搬送動作と、
を交互に繰り返させるコントローラと、
(E)を備える印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2009−248331(P2009−248331A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95260(P2008−95260)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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