説明

印刷物

【課題】本発明によれば、視覚的に立体的な意匠感を有する印刷物を提供すること。
【解決手段】基材の表面上に、該基材の表面よりも高い艶を有するインキ組成物を用いて基材の表面上に部分的に設けられた絵柄を印刷してなる高艶絵柄印刷層、及び該高艶絵柄印刷層に用いるインキ組成物よりも低い艶を有するインキ組成物を用いて該高艶絵柄印刷層の絵柄の少なくとも一部と重なるように絵柄を印刷してなる低艶絵柄印刷層を有する印刷物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は視覚的に立体的な意匠感を有する印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
壁紙、家具、机の天板、各種カウンターやドアーなどの住宅機器および内装材に用いられる建材としては、絵柄を印刷した印刷物、またはこの印刷物と木質系材料、無機系材料、合成樹脂系材料、鋼板などの金属系材料などと、前記化粧シートとを接着剤で貼り合わせた構造のものが幅広く用いられている。化粧シートの絵柄としては、木目模様、大理石模様等の石目模様、布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等が用いられてきた。
近年、消費者の嗜好の多様化により、従来用いられてきた模様以外のこれまでにない意匠感を有する内装材が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような状況下で、視覚的に立体的な意匠感を有する印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、異なる艶をなすインキ組成物を用いて絵柄を印刷することで、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)基材の表面上に、該基材の表面よりも高い艶をなすインキ組成物を用いて基材の表面上に部分的に設けられた模様を印刷してなる高艶絵柄印刷層、及び該高艶絵柄印刷層よりも低い艶をなすインキ組成物を用いて、該高艶絵柄印刷層の模様の少なくとも一部に部分的にもしくは全体に重なるように絵柄を印刷してなる低艶絵柄印刷層を有する印刷物、
(2)前記基材が透明又は半透明であり、かつ該基材の裏面に、ベタ印刷層を有する前記(1)に記載の印刷物、
(3)前記基材の表面に、前記高艶絵柄印刷層よりも低い艶をなすインキ組成物を用いて全面に被覆するように印刷してなる低艶ベタ印刷層を有する前記(1)に記載の印刷物、及び
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の印刷物を基板に貼付した化粧版、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、視覚的に立体的な意匠感を有する印刷物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の印刷物は、基材の表面上に、該基材の表面よりも高い艶をなすインキ組成物を用いて基材の表面上に部分的に設けられた模様を印刷してなる高艶絵柄印刷層、及び該高艶絵柄印刷層よりも低い艶をなすインキ組成物を用いて、該高艶絵柄印刷層の模様の少なくとも一部に部分的にもしくは全体に重なるように絵柄を印刷してなる低艶絵柄印刷層を有する印刷物である。
本発明の印刷物の構造について、図1及び2を用いて説明する。図1及び2は本発明の印刷物1の断面を示す模式図である。図1に示す例では、基材2上に高艶絵柄印刷層3及び低艶絵柄印刷層4が存在するものである。図2に示す例では、基材2の裏面に必要に応じて設けられるベタ印刷層5を有し、基材2上に必要に応じて設けられる全面に被覆する低艶ベタ印刷層6の上に、高艶絵柄印刷層3及び低艶絵柄印刷層4が存在するものである。
本発明の印刷物は、基材表面、高艶絵柄印刷層、低艶絵柄印刷層、及び低艶ベタ印刷層が有する艶の差を利用することで、見る者の目に錯覚を起こさせることができるので、視覚的に立体的な意匠感を有する印刷物となるものである。
【0008】
以下、基材及び各層の構成について詳細に説明する。
[基材2]
本発明で用いられる基材2は、通常化粧材の基材として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、プラスチックシート等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体、プラスチックフィルム又はプラスチックシート同士の複合体、紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
【0009】
基材として用いられる各種の紙類としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙などが使用できる。これらの紙基材は、紙基材の繊維間ないしは他層と紙基材との層間強度を強化したり、ケバ立ち防止のため、これら紙基材に、更に、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を添加(抄造後樹脂含浸、又は抄造時に内填)させたものでもよい。例えば、紙間強化紙、樹脂含浸紙等である。
【0010】
プラスチックフィルム又はプラスチックシートとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル樹脂等のアクリル樹脂;ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂;酢酸セルロース樹脂、セロファン等のセルロース系樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂);ポリスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂;又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0011】
これらのうち、基材2としては、耐熱性と寸法安定性に優れた材質が好ましく、中でもプラスチックフィルム及びプラスチックシートが好ましく、アクリル樹脂からなるものが特に好ましい。これらの基材の中でも、マット処理されているものを好ましく用いることができる。マット処理の方法は特に制限なく、例えば合成樹脂にアクリルゴム等のマット材を練りこむ方法、基材表面をシリカ等のマット材を含有する樹脂でコーティングする方法等が挙げられる。
また、上記のように、これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、基材はプラスチックフィルム又はプラスチックシート同士の複合体、プラスチックフィルムとプラスチックシートとの複合体等でもよく、アクリル樹脂とABS樹脂、アクリル樹脂とポリプロピレン樹脂との組合せを好ましく使用することができる。
【0012】
基材2の厚さについては特に制限はないが、プラスチックを素材とするシートを用いる場合には、厚さは、通常20〜600μm程度、好ましくは50〜500μmの範囲であり、紙基材を用いる場合には、坪量は、通常20〜150g/m2程度、好ましくは30〜100g/m2の範囲である。
【0013】
[高艶絵柄印刷層3]
図1及び2に示される高艶絵柄印刷層3は、基材2上に直接又は必要に応じて設けられる低艶ベタ印刷層6上に設けられる層である。高艶絵柄印刷層3は、基材2表面、低艶ベタ印刷層6及び低艶絵柄印刷層4よりも高いグロス値を有するインキ組成物を用いて印刷される。ここで、グロス値の高低は、相対的な高低を示す。
【0014】
高艶絵柄印刷層3の形成に用いられるインキ組成物としては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
【0015】
上記の他、高艶絵柄印刷層3を形成するインキ組成物のバインダーとして、ウレタン樹脂を好適に挙げることができる。
ウレタン樹脂としては、ポリオール成分として、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールとイソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート等の脂肪族ないしは脂環式イソシアネート等のイソシアネートとを反応させてなるウレタン樹脂が挙げられる。通常ポリオール1分子中の水酸基数及びイソシアネート1分子中のイソシアネート基はそれぞれ平均2である。またウレタン樹脂の平均分子量は10,000〜50,000程度であり、ガラス転移温度(Tg)は−70〜60℃程度のものが耐油性、耐スクラッチ性のために好ましい。
【0016】
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
【0017】
図1に示される高艶絵柄印刷層3は、種々の模様をインキ組成物と印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、正方形、長方形、円、楕円、三角形、及びこれらを任意に用いた抽象柄模様、パターン調の柄模様等がある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
また、この高艶絵柄印刷層3の厚さは、視覚的に立体的な意匠感を得るために、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましく、1〜3μmがさらに好ましい。
【0018】
[低艶絵柄印刷層4]
本発明の印刷物における低艶絵柄印刷層4は、前記の高艶絵柄印刷層3に用いるインキ組成物よりも低い艶を有するインキ組成物を用いて、高艶絵柄印刷層3の絵柄の少なくとも一部と重なるように絵柄を印刷してなる層である。
低艶絵柄印刷層4における模様は、高艶絵柄印刷層の模様の少なくとも一部に部分的にもしくは全体に重なるように印刷されることを要する。低艶絵柄模様層の模様は、高艶絵柄印刷層の模様に部分的にもしくは全体に重なるように印刷されるが、本発明の効果の点から、部分的に重なることが好ましい。また、低艶絵柄印刷層の模様は、本発明の効果を妨げない範囲において、基材上又は低艶ベタ印刷層上に直接印刷されてもよい。一方、高艶絵柄印刷層の模様は、低艶絵柄印刷層の模様と部分的にもしくは重なっていても良いし、重なっていなくても良いが、本発明の効果の点から、重なっていることが好ましい。このような低艶絵柄印刷層及び高艶絵柄印刷層の模様の態様は、図3に示される。
低艶絵柄印刷層4の模様は、高艶絵柄印刷層3の模様と同じでも、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。また、低艶絵柄印刷層4の模様の大きさは、高艶絵柄印刷層3の模様の大きさと同じでも、異なっていてもよいが、小さいことが好ましい。ここで、模様の大小は、表面積で判断する。そして、本発明の効果の点から、高艶絵柄印刷層及び低艶絵柄印刷層の模様によって、基材2又は後述する低艶ベタ印刷層6の全面を遮蔽しないことが好ましい。
【0019】
低艶絵柄印刷層4の形成に用いられるインキ組成物としては、高艶絵柄印刷層3で用いられるインキ組成物よりも艶の低ければ特に制限はないが、上記の高艶絵柄印刷層3で用いられるインキ組成物の中から選んで用いることができる。また、艶消剤を用いて、インキ組成物の艶を低くすることもできる。
【0020】
上記艶消剤は、無機微粒子及び有機微粒子のいずれであってもよく、例えば無機粒子として、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、カオリナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラスなどの粒子を挙げることができ、有機微粒子として、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物などの粒子を挙げることができる。
これらの艶消剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、材料設計の自由度が高く、塗工安定性に優れる点で、シリカ粒子が好適である。粒径としては、2〜5μmの範囲が好ましく、添加量としては、インキ組成物中に1〜5質量%の範囲が好ましい。
また、この低艶絵柄印刷層4の厚さは、視覚的に立体的な意匠感を得るために、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましく、1〜3μmがさらに好ましい。
【0021】
[ベタ印刷層5]
本発明の印刷物におけるベタ印刷層5は、前記の基材2が透明又は半透明の場合に、該基材2の高艶絵柄印刷層3等を設ける面の裏側、すなわち基材2の裏面に、必要に応じて設けられる層であり、例えば、本発明の印刷物を木質系材料と貼り合わせて用いる際に、木質系材料が見えないように遮蔽する目的で設けられるものである。なお、基材2が複合体の場合は、基材の表面側にある基材の裏面に設けることが好ましい。
ベタ印刷層5に用いるインキ組成物としては、特に制限はなく、例えば前記の高艶絵柄印刷層3を形成するインキ組成物等を用いることができる。ベタ印刷層5の厚さは、上記目的を満足すれば特に制限はないが、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましく、0.5〜2μmがさらに好ましい。
【0022】
[低艶ベタ印刷層6]
本発明の印刷物における低艶ベタ印刷層6は、前記の基材2の表面に、前記の高艶絵柄印刷層3で用いるインキ組成物よりも低い艶を有するインキ組成物を用いて全面に被覆するように印刷してなる層であり、必要に応じて設けられる層である。
低艶ベタ印刷層6の形成に用いられるインキ組成物としては、高艶絵柄印刷層3で用いられるインキ組成物よりも艶の低ければ特に制限はないが、上記の高艶絵柄印刷層3で用いられるインキ組成物の中から選んで用いることができる。また、艶消剤を用いて、インキ組成物の艶を低くすることもできる。艶消剤としては、上記に挙げたものを用いることができる。
また、ベタ印刷層5の厚さは、上記目的を満足すれば特に制限はないが、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましく、0.5〜2μmがさらに好ましい。
【0023】
基材2の表面及び必要に応じて設けられる低艶ベタ印刷層6を形成するインキ組成物の艶と、低艶絵柄印刷層4を形成するインキ組成物の艶は、高艶絵柄印刷層3より低ければ特に制限はなく、そのいずれが大きくても小さくてもよい。インキ組成物の艶は、グロスメーターを用い、入射角75度の条件で測定された値であり、数値が高いほど高艶であることを示し、数値が低いほど低艶であることを示す。
【0024】
[化粧版]
本発明の印刷物1は、各種基板に貼着して化粧版として使用することができる。基板に接着剤層を介して印刷物1を貼着するものである。
被着体となる基板は、特に限定されず、木材などの木質系の板、窯業系素材、金属板等を用途に応じて適宜選択することができる。
【0025】
金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等からなるものを用いることができ、またこれらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。
木質系の板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材等が挙げられる。これらは単独で、または積層して用いることもできる。なお、木質系の板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、補強され強度を有する紙類も包含される。
窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル、火山灰を主原料とした板等が例示される。
これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基板として使用できる。
【0026】
接着剤はスプレー、スプレッダー、バーコーター等の塗布装置を用いて塗布する。この接着剤には、酢酸ビニル樹脂系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、イソシアネート系等の接着剤を、単独であるいは任意混合した混合型接着剤として用いられる。接着剤には、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、クレー、チタン白等の無機質粉末、小麦粉、木粉、プラスチック粉、着色剤、防虫剤、防カビ剤等を添加混合して用いることができる。一般に、接着剤は固形分を35〜80質量%とし、塗布量50〜300g/m2の範囲で基板表面に塗布される。
印刷物1の基板上への貼着は、通常、本発明の印刷物1の裏面に接着剤層を形成し、基板を貼着するか基板の上に接着剤を塗布し、印刷物1を貼着する等の方法による。
【0027】
以上のようにして製造される建材は、また、該建材を任意切断し、表面や木口部にルーター、カッター等の切削加工機を用いて溝加工、面取加工等の任意加飾を施すことができる。そして種々の用途、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装または外装材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の表面化粧板、キッチン、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装、外装等に用いることができる。
また、本発明の印刷物は、単独で包装紙等の用途に用いることもできる。
【実施例】
【0028】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
各実施例で得られた印刷物について、以下の方法で評価した。
(1)艶の評価
グロスメーター(村上色彩技術研究所製「GMX−203」)を用い、入射角60度の条件で、高艶絵柄印刷層の模様、低艶絵柄印刷層の模様及び基材表面又は低艶ベタ印刷層のグロス値を測定した。
【0029】
実施例1
既にマット処理されたアクリルフィルム(厚み:125μm)の裏面に、アクリル樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂をバインダーとし、アルミ顔料を着色剤とするシルバー色のインキ組成物を用いて、塗工量2g/m2のベタ印刷層をグラビア印刷にて施した。次に、ウレタン樹脂をバインダーとし、カーボンブラック及び酸化チタンを着色剤とするグレーのインキ組成物を用いて、厚みが3μmとなるようにシルクスクリーン印刷にて直径10mmの円模様を印刷して、高艶絵柄印刷層とした。さらに、ウレタン樹脂をバインダーとし、カーボンブラック、フタロシアニンブルー及び酸化チタンを着色剤とし、平均粒径5μmのシリカ粒子をインキ組成物に対して7質量%となるように加えて水色のインキ組成物を調製した。このインキ組成物を用いて、厚みが3μmとなるようにシルクスクリーン印刷にて直径7mmの円模様を印刷して、低艶絵柄印刷層とした。このようにして得られた印刷物は、図4のようになった。また、基材、高艶絵柄印刷層、及び低艶絵柄印刷層のグロス値は、各々40%、80%、50%であった。
図4に示される実施例1により得られた印刷物は、視覚的に立体的な意匠感を有するものとなった。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、視覚的に立体的な意匠感を有する印刷物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の印刷物の断面を示す模式図である。
【図2】本発明の印刷物の断面を示す模式図である。
【図3】本発明の印刷物の平面を示す模式図である。
【符号の説明】
【0032】
1.印刷物
2.基材
3.高艶絵柄印刷層
4.低艶絵柄印刷層
5.ベタ印刷層
6.低艶ベタ印刷層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面上に、該基材の表面よりも高い艶をなすインキ組成物を用いて基材の表面上に部分的に設けられた模様を印刷してなる高艶絵柄印刷層、及び該高艶絵柄印刷層よりも低い艶をなすインキ組成物を用いて、該高艶絵柄印刷層の模様の少なくとも一部に部分的にもしくは全体に重なるように絵柄を印刷してなる低艶絵柄印刷層を有する印刷物。
【請求項2】
前記基材が透明又は半透明であり、かつ該基材の裏面に、ベタ印刷層を有する請求項1に記載の印刷物。
【請求項3】
前記基材の表面に、前記高艶絵柄印刷層よりも低い艶をなすインキ組成物を用いて全面に被覆するように印刷してなる低艶ベタ印刷層を有する請求項1に記載の印刷物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の印刷物を基板に貼付した化粧版。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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