説明

印刷画像検知方法及びその使用。

【課題】後加工により断裁しなくてもよく、単色印刷で多数のウエブ(印刷紙)を必要としない印刷物において、印刷時の不良を速やかにかつ簡単に検知し、損紙を抑制する。
【解決手段】印刷方向に対して垂直方向の印刷バランスの管理に使用する方法であって、印刷画像には印刷方向に対して垂直方向に任意に細線を配し、該細線に対応する検知装置により、印刷された細線を測定して得られた細線情報から印刷画像の状態を検知する方法であり、該細線は後加工により断裁されない印刷部にあることを特徴とする印刷画像検知方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷品質を検査するために、印刷画像の状態を検知する方法とその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷品質を検査するためには、特許文献1のように印刷紙面内にコントロールストリップを入れて、そのコントロールストリップのパッチの濃度を測定することによって得られたデータに基づいて、不良を検知する方法が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、印刷紙面nライン×mコラムで分割した画素毎に反射光量を検出して得られたデータと基準値とを比較することにより、不良を検知する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1のようなコントロールストリップを入れる方法は、濃度を測定するためのある程度の面積を持ったK,C,M,Yの各単色の100%ベタパッチやある範囲の平網パッチを印刷紙面の余白部分などに配置しなければならず、後加工により断裁されない折込チラシのような印刷物では利用できなかった。
【0005】
また、特許文献2のように印刷紙面全体をnライン×mコラムで分割した画素毎に反射光量を検出する方法では、光源部とラインのn数分セルを付帯したラインセンサが必要となることと、1紙面分を検出したかを判定する処理装置が必要であった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−001378号公報
【特許文献2】特開平7−323527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、単色印刷では上記のようなコントロールストリップを入れる方法はほとんど使われることはないが、余白部分に100%ベタのパッチなどを配置し、印刷時にそのベタのパッチの濃度を測定して印刷不良を認識しようとする方法も試みられている。
【0008】
しかし、この場合も100%ベタのパッチ部分は後加工により断裁する必要があることから、折込チラシのように後加工により断裁しない印刷物には利用できない問題があった。
【0009】
また、各色ごとに調整する必要のある4色印刷や多数(例えば、3本以上)のウエブ(印刷紙)があるような新聞印刷などでは、不良があった場合、オペレータの作業負担が多くかつ不良箇所を短時間で取り除かなければならないことから、印刷紙面全体をnライン×mコラムで分割した画素毎に反射光量を検出する方法は、有効であるが、単色印刷でかつ多数のウエブ(印刷紙)を必要としない印刷物では、オペレータの作業負担も少なく、コスト面を考えると印刷面全体を検出する装置を使う効果は低かった。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、印刷の後加工により断裁しなくてもよく、単色印刷で多数のウエブ(印刷紙)を必要としない印刷物において、印刷方向に対して垂直方向における印字濃度のムラ、バラツキを速やかにかつ簡単に発見し、損紙を少なくする方法とこの方法を用いて印刷した印刷物と、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の発明は、印刷方向に対して垂直方向の印刷バランスの管理に使用する方法であって、印刷画像には印刷方向に対して垂直方向に任意に細線を配し、該細線に対応する検知装置により、印刷された細線を測定して得られた細線情報から印刷画像の状態を検知する方法であり、該細線は後加工により断裁されない印刷部にあることを特徴とする印刷画像検知方法である。
【0012】
本発明の第2の発明は、印刷方向に対して垂直方向の印刷バランスの管理に使用する方法であって、印刷画像には印刷方向に対して垂直方向に任意に細線を配し、該細線に対応するように検知装置を設置して、印刷された細線を測定して得られた細線情報から印刷画像の状態を検知する方法であり、該細線は後加工により断裁されない印刷部にあることを特徴とする印刷画像検知方法である。
【0013】
本発明の第3の発明は、細線が図柄の一部である本発明の第1または第2の発明である印刷画像検知方法である。
【0014】
本発明の第4の発明は、細線が文字の一部である本発明の第1または第2の発明である印刷画像検知方法である。
【0015】
本発明の第5の発明は、細線が記号の一部である本発明の第1または第2の発明である印刷画像検知方法である。
【0016】
本発明の第6の発明は、細線が多重線である本発明の第1または第2の発明である印刷画像検知方法である。
【0017】
本発明の第7の発明は、細線が一直線上にある本発明の第1または第2の発明である印刷画像検知方法である。
【0018】
本発明の第8の発明は、本発明の第1〜第7のいずれかの発明である印刷画像検知方法を用いた印刷方法による印刷物である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、印刷画像の印刷方向に対して垂直方向に任意に配置された細線に対応する検知装置により、印刷された細線の測定を行い、細線情報を得ることにより、濃度の過多あるいは過少を検査あるいは認識することができる。即ち、細線幅が太くなった部分は濃度過多であり、細くなった部分は濃度過少となる。この情報により、印刷作業の修正が速やかに実施でき、損紙発生を抑えることができるという効果を奏す。
【0020】
また、該細線は後加工により断裁されない印刷部とすることで、折込チラシのような後加工で断裁しない印刷物にもデザインの一部として適用できるという効果を奏す。
【0021】
さらに、特許文献1のような濃度を測定するためにベタのパッチを入れなければならない方法よりも、細線であることから、インキ消費量は少なくなり、コスト低下となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、印刷画像40の印刷状態を認識するために細線10a、10b、10c、10d、10eを配置した例である。また、検知装置4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4hを8ヶ所に設置した例である。各細線の印刷状態は、細線それぞれの印刷方向における印刷濃度を代表している。
【0024】
検知装置は公知の測定装置あるいは撮像装置などを用いることができ、検知装置により検出された反射光量から細線情報を得ることができる。
【0025】
さらに、印刷画像状態が変化し、印刷不良が発生したときの制御装置あるいはアラーム装置は好適に選択して良い。あるいはアラーム信号を印刷機に送出することにより、印刷機自体で制御する構成としても良い。
【0026】
また、資金面で負担になるなどのため、上記のような装置を設備することができない場合でも、印刷時における抜き取りサンプルで、本発明を実施することができる。この場合、ハンディ型の測定器、例えばテシコン社製のスペクトロプレートや日本平版機材社製のTri−PMCなどを利用して細線情報を得ることができる。
【0027】
図2は、印刷画像40のデザインとして矩形図柄12a、12b、12c、12dと三角形図柄13が配置され、各図柄に含まれる細線10f、10g、10h、10i、10jを配置した例である。
【0028】
図3は、印刷画像40のデザインとして一直線の直線上に細線10k、10lを配置した例である。
【0029】
図4は、印刷画像40のデザインとして細線10n、10s及び矩形図柄12e、12f、12g、12h、12iが配置され、各図柄に含まれる細線10m、10o、10p、10q、10rを配置した例である。
【0030】
図5は、印刷良品の例として印刷部とその部分に対応する細線正常部30の線幅の状態を示しており、印刷正常部20を形成していることを表した印刷画像例である。
【0031】
図6は、印刷不良品の例として印刷部とその部分に対応する細線正常部30及び細線不良部31の線幅の状態を示しており、印刷方向に対して垂直方向に延びた細線の線幅が太くなった細線不良部31に対応して、印刷画像40の印刷部の濃度が濃くなり、印刷不良部21が形成していることを表した印刷画像例である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の例で、印刷画像には細線が任意に配され、該細線に対応するように検知装置が設置されていることを表した模式図である。この例では、検知装置は8ヶ所に設置してある。
【図2】本発明の例で、印刷画像にはデザインとして図柄があり、細線はその図柄の一部として配置されていることを表した印刷画像例である。
【図3】本発明の例で、細線が一直線上にあることを表した印刷画像例である。
【図4】本発明の例で、印刷画像には細線及び図柄の一部に含まれた細線がデザインとして配置されていることを表した印刷画像例である。
【図5】印刷良品の場合の印刷正常部とその部分に対応する細線の状態を表した印刷画像例である。
【図6】印刷不良品の場合の印刷正常部及び印刷不良部とその部分に対応する細線の状態を表した印刷画像例である。
【符号の説明】
【0033】
1 くわえ尻側部
2 くわえ側部
4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h 検知装置
10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h,10i,10j,10k,10l,10m,10n,10o,10p,10q,10r,10s 細線
12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h,12i 矩形図柄
13 三角形図柄
20 印刷正常部
21 印刷不良部
30 細線正常部
31 細線不良部
40 印刷画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷方向に対して垂直方向の印刷バランスの管理に使用する方法であって、印刷画像には印刷方向に対して垂直方向に任意に細線を配し、該細線に対応する検知装置により、印刷された細線を測定して得られた細線情報から印刷画像の状態を検知する方法であり、該細線は後加工により断裁されない印刷部にあることを特徴とする印刷画像検知方法。
【請求項2】
印刷方向に対して垂直方向の印刷バランスの管理に使用する方法であって、印刷画像には印刷方向に対して垂直方向に任意に細線を配し、該細線に対応するように検知装置を設置して、印刷された細線を測定して得られた細線情報から印刷画像の状態を検知する方法であり、該細線は後加工により断裁されない印刷部にあることを特徴とする印刷画像検知方法。
【請求項3】
細線が図柄の一部分である請求項1または2に記載の印刷画像検知方法。
【請求項4】
細線が文字の一部分である請求項1または2に記載の印刷画像検知方法。
【請求項5】
細線が記号の一部分である請求項1または2に記載の印刷画像検知方法。
【請求項6】
細線が多重線である請求項1または2に記載の印刷画像検知方法。
【請求項7】
細線が一直線上に配置された請求項1〜6のいずれかに記載の印刷画像検知方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の印刷画像検知方法を用いた印刷方法を利用した印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−286086(P2009−286086A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144048(P2008−144048)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000219912)東京インキ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】