説明

印刷画像確認機構を有する用紙断裁装置

【課題】 印刷された大判枚葉紙を数百枚積層した状態で、高精度に、かつ、断裁不良品の発生を最小限に抑えられることのできる用紙断裁装置を提供する。
【解決手段】 積層された大判枚葉紙を断裁する用紙断裁装置において、用紙断裁装置の定盤に積層した大判枚葉紙を載置し、カットライン上の画像をラインセンサにて読み取り、カットライン上に印刷画像が確認された場合や断裁位置が正常でないと判断された場合に用紙断裁装置の刃駆動機構を制御することで、断裁不良による損紙の発生を防止する機構を備えた用紙断裁装置に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷された大判枚葉紙を数百枚積層した状態で、高精度に、かつ、断裁不良品の発生を最小限に抑え断裁するための印刷画像確認機構を備えた用紙断裁装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行券等の製造ラインにおいて、大判枚葉紙に複数面(例えば長手方向に4面×短辺方向に5列)の銀行券が印刷される。印刷された大判枚葉紙は数百枚単位に積層された状態で、用紙断裁装置によって縦横に断裁される。
【0003】
図1、図2に従来の用紙断裁装置の形態を示す。積層された大判枚葉紙(以下、大判用紙束)を用紙断裁装置にて断裁する工程では、突きそろえた1ロットの大判用紙束(5′)を定盤(2′)上に載置し、バックゲージ(3′)に当接すると、バックゲージ(3′)が作動し、大判用紙束(5′)を最初の断裁位置へ押し出す。作業者は大判用紙束(5′)が駐止したことを確認し、ペダル(7′)を踏むことで、クランプ(6′)が下降し、大判用紙束(5′)を高圧で締め付ける。
【0004】
大判用紙束(5′)に締め圧が加わった状態で、断裁スイッチ(8′)を操作すると、クラッチが作動し断裁包丁(4′)が下降し、大判用紙束(5′)は短冊状(長手方向に5面×短辺方向に1列)に断裁される。断裁後、断裁包丁(4′)は最下点で一時停止し元の位置へ上昇すると、クランプ(6′)も上昇し、断裁前と同じ位置で静止し、バックゲージ(3′)は次の断裁位置へ用紙を押し出す。
【0005】
用紙断裁装置にはバックゲージ制御装置(13′)が備わっており、断裁処理順序と各断裁工程でのバックゲージの断裁刃距離等が設定できるため、断裁処理を開始すると、断裁工程に合わせて、バックゲージ(3′)が作動し、大判用紙束(5′)を所定の位置まで押し出す。
【0006】
前述のバックゲージ(3′)作動により、作業者側の短辺の余白部分の断裁から、3列目の断裁を終えるまで、作業者は大判用紙束(5′)が所定の位置で静止したことを確認し、ペダル(7′)を踏み込むことで、短冊状に断裁することが可能である。この間、作業者が大判用紙束(5′)の断裁位置を調整する手作業は発生しない。短冊状に断裁された用紙束は、別の断裁機で更に小切れサイズへと断裁される。
【0007】
しかし、バックゲージ(3′)に当接している4列目の余白を断裁する場合には、この短冊状用紙束を手作業にて180度回転し、余白部分を作業者側へ方向転換させ、再度バックゲージ(3′)に当接し、目視にて位置調整を行った後、断裁スイッチ(8′)を押下し余白部分の断裁を行う。
【0008】
最適な断裁を施すために、クランプ(6′)が大判用紙束(5′)に対し、平均的に任意の圧力を加えることのできる形状を保っていることから、前述したように、4列目の余白部分の断裁時には、用紙束の方向を転換するための手作業が発生する。
【0009】
銀行券等に使用されている用紙は、特殊で非常に繊細であるため、気候や室内環境の影響で状態が微妙に変化することがある。
【0010】
また、貴重製品のため偽造防止等の目的で凹版印刷が施されている。凹版印刷の特徴であるインキの盛り上がりを出すために、印刷時に相当量の印圧がかかるため、用紙が伸縮する場合がある。このような様々な条件に対応する手段として、クランプの形状が高精度の精緻な断裁を可能とする役割を担っている。
【0011】
特許文献1によれば、用紙の辺の断裁順に応じてバックゲージが機械的に位置決めされる断裁機において、用紙の一辺をバックゲージに当接した画像を表示し、断裁ごとに上下を識別するためのできる画像を、断裁機に取り付けた画面上に表示させ、断裁前に用紙の載置状態を確認することで、断裁誤りを大幅に低減することができる断裁順表示装置を備える用紙断裁機が提案されている。
【0012】
また、特許文献2においては、用紙断裁装置の操作性及び断裁効率を向上させるために、断裁機に、想定される用紙サイズを複数記憶させ、断裁時にサイズを指定するのみで、簡単に所望のサイズに用紙が得られる装置で、位置設定の手間を省くことで断裁の失敗を抑制する断裁装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−279713号公報
【特許文献2】特開2005−088110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述のように、用紙断裁機においては、クランプは常に最良の断裁ができるための形状を保持していることから、作業者側の余白から断裁をはじめ、最終列(バックゲージ側1列目)の長辺方向の余白を断裁する場合には、作業者は手作業で短冊状用紙(5面×1列)を180度回転させる。この手作業により、バックゲージに当接する位置が微妙にずれてしまい、断裁位置不良による損紙製品の発生につながっていた。
【0015】
また、熟練した作業者でない場合、短冊状用紙束の回転作業を忘れてしまうことがあり、結果、正規の断裁位置と全く異なる位置で断裁してしまうことで、1ロットに対して20%という莫大な量の損紙を発生させる原因となっていた。
【0016】
特許文献1のように、画像を記憶させる手段を備え、複数の画像を記憶させ、断裁前の状態を画面に表示しても、作業者が正しい画像、すなわち断裁の正位置を把握していない場合にはその判断ができず、結局は不正の位置で断裁をしてしまう原因となり、大量の損紙が発生してしまうという課題があった。特に、銀行券等のようにその規格に寸分の狂いも許されない製品の場合、単なる目視での判断は非常に危険である。
【0017】
特許文献2では、得たい用紙のサイズが記憶手段に複数記憶されていることで、サイズの設定が簡易になり、断裁サイズの間違いを抑制することが可能となり、ごく一般的な枚葉印刷物や書籍類を決められた規格に断裁する場合においては効率化が図れるが、銀行券等の貴重品類の場合、全製品の寸法に誤差が許されず、かつ、印刷画像と余白寸法のバランスにも精度が求められる製品に対しては、その機能が十分ではない。
【0018】
本発明は、上述の課題にかんがみ創案されたもので、断裁位置不良又は断裁位置違いによる大量の損紙発生を削減するため、用紙断裁装置に印刷画像確認部を備え、用紙の断裁位置に印刷画像があるか否かを確認し、断裁位置に印刷画像が確認された場合には、断裁包丁を下降させない仕組みを有する用紙断裁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、積層した大判枚葉紙を断裁する用紙断裁装置において、断裁位置に水平に載置された用紙の一辺をバックゲージに当接し、位置決めした用紙の前記一辺と反対側の一辺を用紙押さえ部材により任意の締め圧にて挟持し、断裁包丁によって断裁する刃駆動機構を備える断裁部と、用紙押さえ部材により挟持した用紙の断裁位置の印刷画像を読み取り、印刷画像の有無を断裁制御部へ通知する印刷画像確認機構を備える印刷画像確認部と、各断裁工程におけるバックゲージの位置を設定する設定部と、刃駆動機構を制御する断裁制御機構を備える断裁制御部を有することを特徴とする用紙断裁装置である。
【0020】
本発明の印刷画像確認機構は、積層した大判枚葉紙の断裁位置の画像を読み取る画像読取部と、読み取った画像と記憶した画像を比較照合する画像比較部と、比較照合した結果を判定し、判定結果を判定結果表示装置へ通知する判定処理部を備える画像判定部と、判定処理部において断裁位置に印刷画像が確認された場合、断裁制御部へ判定結果を通知するデータ送信部を有することを特徴とする用紙断裁装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明における印刷画像確認機構を有する用紙断裁機によれば、積層した大判枚葉紙にクランプにて締め圧を加え、断裁包丁が下降する前に、断裁位置の印刷画像の有無を確認し、印刷画像があった場合には、判定結果表示部に印刷画像が確認されたことを知らせる「異常」を表示し、断裁を一時中断することで断裁不良品の発生を防ぐ効果を奏する。
【0022】
本発明における印刷画像確認機構を有する用紙断裁機によれば、断裁位置に印刷画像が確認された場合、断裁包丁の下降を制御することで、断裁ミスによる損紙印刷の発生を低減することができるという効果を奏する。
【0023】
本発明における印刷画像確認機構を有する用紙断裁機によれば、断裁位置の画像データと、印刷画像確認部の画像判定部に記憶させた正常データと比較して判定することで、常に正しい位置で断裁ができるため、断裁不良による損紙の発生を大幅に削減できるという効果を奏する。
【0024】
本発明における印刷画像確認機構を有する用紙断裁機によれば、熟練した作業者でない場合においても、断裁位置の異常を的確に把握でき、ヒューマンエラーによる損紙の発生を未然に防ぐという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の用紙断裁装置の全体正面の概略図
【図2】従来の用紙断裁装置の全体側面の概略図
【図3】用紙断裁装置の全体正面の概略図
【図4】用紙断裁装置の全体側面の概略図
【図5】大判用紙束の断裁順序
【図6】印刷画像確認部の概略図
【図7】印刷画像確認結果の表示例
【図8】刃駆動機構、印刷画像確認機構及び断裁制御機構の処理を示すブロック図
【図9】断裁処理工程のフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな形態が実施可能である。
【0027】
図1は、従来の用紙断裁装置の全体正面の概略図であり、図2において、従来の用紙断裁装置の全体側面の概略図を示す。
【0028】
図3は、本発明における用紙断裁装置の全体正面の概略図であり、図4は用紙断裁装置の全体側面の概略図である。用紙断裁装置は、用紙断裁装置フレーム(1)内に、定盤(2)、バックゲージ(3)、断裁包丁(4)、クランプ(6)、クランプペダル(7)、断裁スイッチ(8)からなり刃駆動機構(100)を備える断裁部と、断裁する大判用紙束の断裁位置の画像を読み取るラインセンサ(9)、読み取りを補助する照明装置(10)と判定結果を表示する判定結果表示装置(12)からなり印刷画像確認機構(200)を備える印刷画像確認部と、バックゲージの停止位置と断裁部の作動を制御する断裁制御機構(300)を備える断裁制御部により概略構成されている。
【0029】
断裁部の定盤(2)上に、突きそろえた大判用紙束(5)を載置し、大判用紙束の一辺をバックゲージ(3)に当接した状態で、クランプペダル(7)を踏み込むと、クランプ(6)が下降し、大判用紙束(5)を圧下する。両手で断裁スイッチ(8)を操作すると断裁包丁(4)が下降し断裁処理が実行される。
【0030】
断裁包丁(4)が最下点で一時停止し断裁前の位置まで上昇し、クランプ(6)も下降前と同じ位置まで上昇し駐止すると、バックゲージ(3)が前進し、次工程の断裁位置へ大判用紙束(5)を押し出す。
【0031】
クランプ(6)は、断裁対象の用紙又は用紙束に接する箇所に、うら板と呼ばれる横幅1,140(mm)奥行70(mm)の鉄板が取付けられている。うら板は用紙又は用紙束の断裁を精密に実施するため、均一な締め圧を与える役割を担っている。
【0032】
図5に、大判用紙束(5)の断裁順序を示す。印刷された大判枚葉紙を数百枚積層し、1ロットとした大判用紙束(5)は、5回の断裁工程で4つの短冊状用紙束に断裁される。第1断裁工程において、バックゲージ当接部と異なる短辺の余白から断裁し、第2断裁工程では1列目(5面×1列)、第3断裁工程では2列目(5面×1列)、第4断裁工では3列目(5面×1列)と順次短冊状に断裁し、最後に第5断裁工程で4列目の余白部分を断裁する。断裁された短冊状の用紙束(14)は、別の断裁機において、更に小切れへと断裁される。
【0033】
ただし、上述したようにクランプ(6)の形状が横幅1,140(mm)奥行70(mm)であることから、第5断裁工程で4列目の余白部分を断裁する際、第1断裁工程から4断裁工程と同じ方向でバックゲージに用紙束が当接していると、クランプが下降し用紙束に締め圧を加えた場合、断裁位置がクランプの下に隠れてしまうため、正常な位置を断裁することができないことから、手作業により短冊状用紙束(14)を180度回転し、当接方向の転換を行う必要がある。
【0034】
図6に、印刷画像確認部(11)の構成を示す。定盤上に積載した用紙の断裁位置の画像を読み取るラインセンサ(9)と、照明装置(10)及び断裁位置の印刷画像の有無を確認し、断裁処理が可能か否かを表示する判定結果表示装置(12)からなる。
【0035】
図7に、読み取った画像を判定し、結果を判定結果表示装置(12)に表示した例を示す。実施の形態では、断裁位置に画像が確認されず断裁が可能な場合を「○(正常)」(12−1)、断裁位置に印刷画像画が確認され断裁処理を停止する場合を「×(異常)」(12−2)とし例示しているが、特に限定されるものではない。
【0036】
図8は、断裁部の刃駆動機構(100)、印刷画像確認部の印刷画像確認機構(200)、断裁制御部の断裁制御機構(300)の処理を示すブロック図である。
【0037】
断裁部の刃駆動機構(100)は、クランプペダル(7)及び断裁スイッチ(8)の操作に従いクランプ(6)及び断裁包丁(4)を作動させる断裁操作部(100−1)と、印刷確認機構(200)のデータ送信部(200−3)より断裁停止の連絡を受けた場合、断裁処理が可能であるとの通知がされるまで、刃駆動機構の作動を管理する断裁制御部(100−2)からなる。
【0038】
断裁制御部(100−2)は断裁位置に印刷画像が確認された通知を受けた場合、断裁スイッチ(8)を無効とし、作業者が誤って断裁スイッチ(8)を押してしまった場合でも、クランプ(6)や断裁包丁(4)が作動しないため、新たな損紙の発生を防ぐことが可能である。
【0039】
印刷画像確認機構(200)は、大判用紙束の断裁位置の画像を読み取る画像読取部(200−1)と、読み取った画像を記憶している画像を比較し、判定結果を判定結果表示装置に表示する画像判定部(200−2)及び断裁位置に印刷画像が確認された場合、断裁制御機構の断裁制御部(100−2)へ断裁を停止するよう通知するデータ送信部(200−3)からなる。
【0040】
画像読取部(200−1)は断裁スイッチ(8)を押すと同時に、ラインセンサ(9)がカットライン上の画像を光学的に読み取り、画像データを生成し、画像判定部(200−2)へ送る。
【0041】
ラインセンサ(9)は、定盤上の対象物すなわち大判用紙束(5)に対し、スキャンする動き方向に、垂直に位置することが重要であるため、本発明の実施の形態においては、最良の解像度を得るため、数台のラインセンサを横に並べた形態で設置し、撮影を行っている。
【0042】
機械や装置の構成から対象物の動き方向に垂直に設置することが困難な場合は、ソフトウェア上で補正が可能であるものを選定する必要がある。また、印刷画像の有無を確認できる手段であれば、磁気判定や、ポインタで指定したいくつかの場所を確認する等、前述の方法に限定されるものではなく、撮影の要求に合わせ選定することが望ましい。
【0043】
画像比較部(200−2′)では、取得した画像データと記憶されている画像データとを比較照合し、判定処理部(200−2″)で判定を行い判定結果表示装置に判定結果を表示する。判定結果が異常であった場合、データ送信部(200−3)より断裁制御機構の駆動制御部(300−2)へ断裁停止の命令を出す。
【0044】
断裁制御機構の設定部(300−1)には、断裁対象の仕上げサイズに応じた断裁工程数、各断裁工程でのバックゲージの停止位置、用紙に接するバックゲージの角度等が設定されている。駆動制御部(300−2)は、印刷画像確認機構から断裁停止の命令を受けた場合、刃駆動機構の断裁制御部(100−2)へ断裁処理操作を無効にする命令を出す。
【0045】
図9には、本発明の一実施例における大判用紙束(5)の断裁方法のフローチャート図を示す。
【0046】
以下、前述の発明を実施するための最良の形態に従って、実施例について詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0047】
本発明の実施例について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0048】
S001では、銀行券は券種によって寸法が異なるため、断裁制御機構の設定部(300−1)に各券種の寸法に対応した各断裁工程でのバックゲージ位置と、断裁寸法及び用紙に当接するバックゲージの角度等が設定・保存が可能である。保存された各券種の保存データにはそれぞれ番号が登録でき、断裁対象の券種に対応した番号を選択することで、設定データに従って断裁処理が実行される。
【0049】
S002では、用紙断裁装置の定盤(2)の指定の位置に突き揃えた大判用紙束(5)を載置する。
【0050】
S003では、大判用紙束(5)をバックゲージ(3)に当接すると、バックゲージ(3)が設定された第1断裁工程の所定の位置へ移動する。
【0051】
S004では、大判用紙束(5)が所定の位置に駐止したことを確認し、クランプペダル(7)を足で踏み込むと、S005でクランプ(6)が作動し、断裁対象の券種に応じた任意の締め圧が加わる。
【0052】
S006では、クランプ(6)によって大判用紙束(5)に締め圧が加わると、照明装置(10)がカットラインを照らし、ラインセンサ(9)が断裁位置の画像を読み取る。
【0053】
読み取られた画像は、印刷画像確認機構(200)の画像読取部(200−1)で画像データに変換され、画像判定部(200−2)において、データベースに登録されている正常時(断裁可能時)の画像データと比較照合され判定される。
【0054】
S007では、判定結果を判定結果表示装置に表示する。
【0055】
判定結果が正常であれば、作業者は両手で断裁スイッチ(8)を押し、断裁包丁(4)を作動させ、大判用紙束(5)を短冊状用紙束(14)に断裁する。断裁された短冊状用紙束は、別の断裁機において更に小切れへと断裁され、銀行券の最終製造工程へ移送される。
【0056】
判定結果が異常となった場合、データ送信部(200−3)から断裁制御機構の駆動制御部(300−2)へ通知され、駆動制御部(300−2)から断裁制御部(100−2)へ断裁が可能であると通知されるまで、刃駆動機構の処理を制御するよう命令が流れる。
【0057】
S201では、断裁位置に印刷画像が確認された場合、作業者は停止ボタンを押し、締め圧を加えているクランプ(6)を解除し、クランプ(6)が下降前の位置へ戻ったことを確認し、短冊状用紙束(14)の方向転換又は断裁位置の微調整を行う。再度クランプペダル(7)を踏み込むとS004からの断裁処理が再開される。
【0058】
断裁制御機構(300)には、図5に示した各工程でのバックゲージ(3)の位置が設定されているので、第1断裁工程から第4断裁工程の間、S003からS008を繰り返すことになる。よって、作業者が手作業によって位置調整するなどの作業は発生しない。
【0059】
しかし、第4断裁工程の処理を終えると、バックゲージ(3)が第5断裁工程の位置へ移動する。この位置は、前述したクランプ(6)の特徴から、第4断裁工程処理後の短冊状用紙束から余白部分を裁ち落とすための位置に設定されているため、作業者が短冊状用紙束を手作業にて180度反転させ、かつ、断裁位置の微調整を行いS004からの断裁処理を行う。
【0060】
S007での判定結果が異常となる原因は、S100での用紙束の反転処理がなされなかった場合又は反転したが、バックゲージ(3)に当接した位置がずれてしまった場合等が想定できる。
【0061】
反転処理がなされない大きな要因としては、熟練した作業者でない場合や、繁忙期で作業に集中するあまり反転作業を忘れてしまった等の事例が挙げられる。このため、判定結果を見逃し、誤って断裁スイッチ(8)のボタンを操作してしまうことを避けるため、異常の判定がされた場合には、断裁包丁(4)を稼働させないことで、ヒューマンエラーによる断裁不良品の発生にも対応した。
【0062】
以上のように、断裁前に断裁位置の印刷画像の有無を判断することで、1ロット当たり最大20%発生していた断裁不良品の発生を限りなくゼロに近づけることに成功し、業務の効率と無駄な損紙の発生を防ぐことが可能となった。
【符号の説明】
【0063】
1、1′ 用紙断裁装置フレーム
2、2′ 定盤
3、3′ バックゲージ
4、4′ 断裁包丁
5、5′ 大判用紙束(積層された大判枚葉紙)
6、6′ クランプ
7、7′ クランプペダル
8、8′ 断裁スイッチ
9 ラインセンサ
10 照明装置
11 印刷画像確認部
12 判定結果表示装置
12−1 「正常」の判定結果例
12−2 「異常」の判定結果例
13 制御装置
14 短冊状用紙束
15 断裁部
100 刃駆動機構
100−1 断裁操作部
100−2 断裁制御部
200 印刷画像確認機構
200−1 画像読取部
200−2 画像判定部
200−2′ 画像比較部
200−2″ 判定処理部
200−3 画像データ送信部
300 断裁制御機構
300−1 設定部
300−2 駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層した大判枚葉紙を断裁する用紙断裁装置において、
断裁位置に水平に載置された用紙の一辺をバックゲージに当接し、位置決めした用紙の前記一辺と反対側の一辺を用紙押さえ部材により任意の締め圧にて挟持し、断裁包丁によって断裁する刃駆動機構を備える断裁部と、
前記用紙押さえ部材により挟持した用紙の断裁位置の印刷画像を読み取り、印刷画像の有無を断裁制御部へ通知する印刷画像確認機構を備える印刷画像確認部と
各断裁工程におけるバックゲージの位置を設定する設定部と、
前記刃駆動機構を制御する断裁制御機構を備える断裁制御部を有することを特徴とする用紙断裁装置。
【請求項2】
前記印刷画像確認機構は、
積層した大判枚葉紙の断裁位置の画像を読み取る画像読取部と、
前記読み取った画像と記憶した画像を比較照合する画像比較部と、
前記比較照合した結果を判定し、判定結果を判定結果表示装置へ通知する判定処理部を備える画像判定部と、
前記判定処理部において断裁位置に印刷画像が確認された場合に前記断裁制御部へ判定結果を通知するデータ送信部を有することを特徴とする請求項1記載の用紙断裁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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