説明

印刷管理システム、印刷管理方法及び印刷管理装置

【課題】複数の印刷管理システムに印刷ジョブを適切に振分けることで、製本処理を実行する製本機を有効に活用させ、システム全体としての印刷効率を高めることのできる印刷管理システム、印刷管理方法及び印刷管理装置を提供する。
【解決手段】印刷管理システムは、印刷処理を実行する第1の印刷手段と、製本処理を実行する製本手段と、印刷処理と製本処理とを一連の処理として実行する第2の印刷手段と、第1及び第2の印刷装置に通信可能に接続された印刷管理手段と、を備えている。印刷管理手段は、第1の印刷手段と製本装置とが対応付けられていることを示す対応情報を記憶している。そして、印刷管理手段は、受付けた印刷ジョブに製本指示が含まれている場合は、対応情報を参照することにより、第1の印刷手段と製本手段とが対応付けられていることを特定し、所定条件に基づき第1又は第2の印刷手段のうち何れか一方に印刷ジョブを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷装置のうち一の印刷装置を選択して印刷ジョブを実行させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークに接続された複数の印刷装置のうち一の印刷装置を選択して実行させる技術がある。このような技術によれば、印刷ジョブを複数の印刷装置に分散させることで、システム全体として効率よく印刷処理が行われることになる。
【0003】
そのような技術に関連して、特許文献1には、印刷ジョブの送信先を選択する際、送信先の印刷装置が印刷処理と製本処理とを一連の処理として実行可能か否かに基づいて送信先を決定する印刷システムが開示されている。すなわち、特許文献1に開示された印刷システムは、印刷処理と製本処理とを一連の処理として実行可能な第1の印刷装置と、印刷処理のみを実行可能な第2の印刷装置とがネットワークを介して接続されている。そして、この印刷システムでは、印刷ジョブに製本処理を実行するための製本指示が含まれている場合には、第1の印刷装置で印刷処理及び製本処理を実行する。これに対し、印刷ジョブに製本指示が含まれていない場合には、第2の印刷装置に印刷ジョブを実行させる。特許文献1に開示された印刷システムは、このようにして第1の印刷装置と第2の印刷装置とで印刷ジョブを分散して実行するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−284262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、製本指示が含まれた印刷ジョブは、全て、印刷処理と製本処理とを一連の処理として実行可能な第1の印刷装置に集中してしまう。そのため、製本指示が含まれた印刷ジョブを連続して受付けると、第1の印刷装置では印刷処理の処理待ちが発生してしまうことになる。一方、印刷処理のみを実行可能な第2の印刷装置は、印刷処理のみについては実行可能であるにもかかわらず空き時間を有することになる。
【0006】
このように、従来の印刷システムは、印刷ジョブを振り分ける際に偏りが発生するので、第1の印刷装置では処理待ちが発生している一方で、第2の印刷装置では空き時間が発生するという状態が発生し、結果的に、システム全体としての印刷効率が高められていないという問題がある。
【0007】
本発明は、そのような状況に鑑みてなされたものであり、複数の印刷装置に印刷ジョブを適切に振分けることで、システム全体として印刷効率を高めることのできる印刷管理システム、印刷管理方法及び印刷管理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、入力する印刷ジョブに基づいて印刷処理を実行する第1の印刷手段と、前記第1の印刷手段によって出力される印刷物に対して製本処理を実行する製本手段と、入力する印刷ジョブに基づいて印刷処理と製本処理とを一連の処理として実行する第2の印刷手段と、前記第1の印刷手段と前記第2の印刷手段とにそれぞれ通信可能に接続された印刷管理手段と、を備え、前記印刷管理手段は、前記第1の印刷手段と、前記製本手段とが対応付けられていることを示す対応情報を記憶する記憶手段と、ユーザ端末から印刷処理を実行するための印刷ジョブを受付け、当該印刷ジョブに製本指示が含まれているか否かを判断する受付手段と、前記受付手段によって印刷ジョブに製本指示が含まれていると判断された場合に、前記対応情報を参照して、前記第1の印刷手段と前記製本手段とが対応付けられていることを特定し、前記製本手段に対応付けられた前記第1の印刷手段及び前記第2の印刷手段のいずれか一方を、所定条件に基づいて印刷ジョブの送信先として決定する決定手段と、前記決定手段の決定結果に基づき、前記第1の印刷手段及び第2の印刷手段のいずれか一方に印刷ジョブを送信する実行手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の印刷管理システムにおいて、前記記憶手段は、更に、前記第1の印刷手段によって印刷処理が完了して印刷物が出力されてから前記製本手段が当該印刷物の製本処理を開始するまでに要する準備時間と、前記製本手段によって既に実行されている製本処理が完了するまでに要する製本完了時間と、を予め記憶し、前記第1の印刷手段によって印刷ジョブが実行された場合に要する印刷見積時間を算出すると共に、この印刷見積時間と準備時間との合計時間を製本開始時間として算出する算出手段を更に有し、前記決定手段は、前記記憶手段に記憶される製本完了時間と、前記算出手段によって算出される製本開始時間とを比較し、製本開始時間が製本完了時間よりも長い場合には、前記第1の印刷手段を印刷ジョブの送信先として決定し、製本開始時間が製本完了時間よりも短い場合には、所定の条件に基づき前記第2の印刷手段を印刷ジョブの送信先として決定することを特徴とする構成である。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の印刷管理システムにおいて、前記算出手段は、更に、前記第1の印刷手段によって出力される印刷物を、前記製本手段において製本処理を行う場合に要する製本見積時間を算出し、この製本見積時間と製本開始時間との合計時間を第1の完了時間として算出すると共に、前記第2の印刷手段によって印刷処理と製本処理とが一連に実行された場合に要する第2の完了時間を算出し、前記決定手段は、製本開始時間が製本完了時間よりも短い場合には、更に、前記算出手段によって算出される第1の完了時間と第2の完了時間とを比較し、第1の完了時間が第2の完了時間よりも長い場合には、前記第2の印刷手段を印刷ジョブの送信先として決定し、第1の完了時間が第2の完了時間よりも短い場合には、更に、前記記憶手段に印刷ジョブを記憶させることで当該印刷ジョブを予め設定された設定時間待機させ、前記算出手段は、前記決定手段によって印刷ジョブが待機される場合に、製本開始時間に前記設定時間を加えて新たに製本開始時間として算出すると共に、第1の完了時間に前記設定時間を加えて新たに第1の完了時間として算出し、前記決定手段は、前記設定時間経過後に、製本開始時間と新たに算出された製本完了時間とを比較する比較処理及び第2の完了時間と新たに算出された第1の完了時間とを比較する比較処理を、前記第1の印刷手段及び第2の印刷手段のいずれか一方が送信先として決定されるまで繰り返すことを特徴とする構成である。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2乃至3の何れかに記載の印刷管理システムにおいて、前記印刷見積時間は、前記第1の印刷手段において印刷処理が開始されてから完了されるまでに要する時間と、前記第1の印刷手段によって既に実行されている印刷処理が完了されるまでに要する時間とを含むことを特徴とする構成である。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項2乃至4の何れかに記載の印刷管理システムにおいて、前記第2の完了時間は、前記第2の印刷手段において印刷処理が開始されてから完了されるまでに要する時間と、前記第2の印刷手段によって既に実行されている印刷処理が完了されるまでに要する時間とを含むことを特徴とする構成である。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項2乃至5の何れかに記載の印刷管理システムにおいて、前記決定手段は、前記算出手段によって算出された第2の完了時間が予め設定された所定の閾値より短いか否かを判断し、第2の完了時間が所定の閾値より短い場合には、前記算出手段の他の算出結果に関わらず、前記第2の印刷手段に印刷ジョブを実行させること決定することを特徴とする構成である。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項2乃至6の何れかに記載の印刷管理システムにおいて、前記記憶手段には、更に、前記製本手段が製本処理を実行中か否かを示す実行状態情報が記憶され、前記決定手段は、前記受付手段によって印刷ジョブが受け付けられた場合に、前記実行状態情報を参照することで前記製本手段が製本処理を実行中か否かを判断し、前記製本手段が製本処理を実行していない場合には、前記算出手段の算出結果に関わらず、前記第1の印刷手段に印刷ジョブを実行させること決定することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項8に係る発明は、入力する印刷ジョブに基づいて印刷処理を実行する第1の印刷手段と、入力する印刷ジョブに基づいて印刷処理と製本処理とを一連の処理として実行する第2の印刷手段と、前記第1の印刷手段によって出力される印刷物に対して製本処理を実行する製本手段と、前記第1の印刷手段と前記第2の印刷手段とにそれぞれ通信可能に接続され、前記第1の印刷手段と前記製本手段とが対応付けられていることを示す対応情報を記憶する印刷管理手段と、を備える印刷管理システムで実行される印刷管理方法であって、前記印刷管理手段は、ユーザ端末から印刷処理を実行するための印刷ジョブを受付け、当該印刷ジョブに製本指示が含まれているか否かを判断する受付ステップと、前記受付手段によって印刷ジョブに製本指示が含まれていると判断された場合に、前記対応情報を参照して、前記第1の印刷手段と前記製本手段とが対応付けられていることを特定し、前記製本手段に対応付けられた前記第1の印刷手段及び前記第2の印刷手段のいずれか一方を、所定条件に基づいて印刷ジョブの送信先として決定する決定ステップと、決定ステップと、前記決定手段の決定結果に基づき、前記第1の印刷手段及び第2の印刷手段のいずれか一方に印刷ジョブを送信する実行ステップと、を実行することを特徴とする構成である。
【0016】
請求項9に係る発明は、入力する印刷ジョブに基づいて印刷処理を実行する第1の印刷手段と、入力する印刷ジョブに基づいて印刷処理と製本処理とを一連の処理として実行する第2の印刷手段とのそれぞれに対して印刷ジョブを出力可能な印刷管理装置であって、前記第1の印刷手段と、製本処理を実行する製本手段とが対応付けられていることを示す対応情報を記憶する記憶手段と、ユーザ端末から印刷処理を実行するための印刷ジョブを受付け、当該印刷ジョブに製本指示が含まれているか否かを判断する受付手段と、前記受付手段によって印刷ジョブに製本指示が含まれていると判断された場合に、前記対応情報を参照して、前記第1の印刷手段と前記製本手段とが対応付けられていることを特定し、前記製本手段に対応付けられた前記第1の印刷手段及び前記第2の印刷手段のいずれか一方を、所定条件に基づいて印刷ジョブの送信先として決定する決定手段と、前記決定手段の決定結果に基づき、前記第1の印刷手段又は第2の印刷手段の何れか一方に印刷ジョブを送信する実行手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の印刷装置に印刷ジョブを適切に振分けることで、全体として印刷効率を高めることのできる印刷管理システム、印刷管理方法及び印刷管理装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】印刷管理システムの一構成例を示す図である。
【図2】印刷管理システムの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図3】準備時間情報の一例を示す図である。
【図4】処理速度情報の一例を示す図である。
【図5】設定情報の一例を示す図である。
【図6】対応情報の一例を示す図である。
【図7】後処理情報の一例を示す図である。
【図8】ジョブ情報の一例を示す図である。
【図9】算出結果情報の一例を示す図である。
【図10】処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本実施形態における印刷管理システム1の全体構成の一例を示す図である。この印刷管理システム1は、ユーザによる操作に基づき印刷ジョブを生成するユーザ端末3と、このユーザ端末3からネットワーク15を介して印刷ジョブを受付け、受付けた印刷ジョブを複数の印刷装置のいずれかに振分けて出力する印刷管理装置2と、この印刷管理装置2とネットワーク15を介して通信可能に接続され印刷出力を実行する第1の印刷装置4と、印刷管理装置2とネットワーク15を介して通信可能に接続され印刷処理及び製本処理を一連の処理として実行する第2の印刷装置5と、を有している。ここで、本実施形態では、印刷管理システム1には、第1の印刷装置4とはオフラインになっている製本装置6が含まれている。この製本装置6は、第1の印刷装置4から出力された印刷物の製本処理を実行するためのものである。すなわち、第1の印刷装置4から出力された印刷物は、オペレータによって製本装置6まで運搬され当該製本装置6にセットされることで製本処理が実行される。
【0021】
ユーザ端末3は、ユーザ対して情報を表示するための表示部7と、ユーザによる入力操作を行わせるための操作部8と、を有している。ユーザ端末3は、ユーザに対して表示部7に所定の案内画面を表示しながら、操作部8に対するユーザの入力操作に基づいて印刷指示に関する情報を入力する。そして、ユーザ端末3は、入力した印刷指示に基づき印刷ジョブを生成する。このようにして、ユーザ端末3は、生成された印刷ジョブを印刷管理装置2に対してネットワーク15を介して送信する。ここで、この印刷ジョブには、印刷処理を実行させるための印刷指示と、印刷出力させるべき文書や画像のデータ(以下、「印刷データ」と称する)とが含まれている。更に、本実施形態では、印刷ジョブには、必要に応じて製本処理を実行させるための製本指示も含まれている。この製本指示は、どのような製本態様で製本処理を実行するかを特定するためのものである。例えば、製本態様としては、ステープル留め、パンチ、中綴じ、くるみ製本又はコイル製本などである。
【0022】
印刷管理装置2は、ユーザ端末3から入力した印刷ジョブを、第1及び第2の印刷装置4,5のうちの何れに対して送信すべきかを決定し、その決定結果に基づいて印刷ジョブを振分けて送信する装置である。すなわち、印刷管理装置2は、印刷ジョブを受付けると、その印刷ジョブに含まれる印刷指示や製本指示を解析し、当該印刷ジョブを第1及び第2の印刷装置4,5のいずれか一方へ送信する。この印刷管理装置2は、製本指示を含んだ印刷ジョブを、製本装置6とオフラインになっている印刷装置4へ出力することもある。
【0023】
第1の印刷装置4は、ネットワーク15を介して印刷管理装置2に通信可能に接続されている。第1の印刷装置4は、印刷管理装置2から印刷ジョブを受付けると、受付けた印刷ジョブを実行して印刷出力するようになっている。第1の印刷装置4は、印刷出力された印刷物を排出するための第1の排出口9と、この第1の排出口9から排出された印刷物を保持するための第1の排出トレイ10とを有している。
【0024】
第2の印刷装置5は、第1の印刷装置4と同様に、ネットワーク15を介して印刷管理装置2に通信可能に接続されている。第2の印刷装置5は、印刷管理装置2から印刷ジョブを受付けると、受付けた印刷ジョブを実行して印刷処理を実行すると共に、この印刷処理に連動して製本処理をも実行するようになっている。そして製本出力された製本物を第2の排出口11から排出し、排出された印刷物を第2の排出トレイ12に保持するようになっている。
【0025】
製本装置6は、第1の印刷装置4のように製本機能を有さない印刷装置によって出力される印刷物の製本処理を実行するものである。製本装置6は、印刷物をセットする製本用フィーダ部13と、製本出力された製本物を保持するための製本用排出トレイ14とを有している。ここで、本実施形態では、製本装置6は、第1の印刷装置4とはオフラインになっている。すなわちこの場合、第1の印刷装置4によって印刷出力された印刷物は、オペレータの手作業によって運搬されて製本用フィーダ部13にセットされる。そして、製本装置6は、この製本装置6に設けられた図示しない操作部に対してオペレータによって製本指示が入力された後、その設定された製本指示に基づいて製本処理を実行することで製本物を製本用排出トレイ14に排出する。ただし、これに限定されず、例えば、製本装置6への製本指示の入力は、オペレータが直接入力する以外にも、ユーザ端末3と製本装置6とを通信可能に接続しておき、ユーザ端末3から製本指示を受付けるように構成しても良い。
【0026】
図2は、印刷管理システム1の機能ブロック図の一例を示したものである。この図2に示すように、印刷管理装置2は、この印刷管理装置2の動作を制御する制御部20と、予め設定された情報を記憶する設定情報記憶部21と、ユーザ端末3から受付けた印刷ジョブを管理するためのジョブに関する情報を記憶するジョブ情報記憶部22と、受付部25によって受付けられた印刷ジョブを待機させる場合に、その印刷ジョブを記憶する印刷ジョブ記憶部23とを有している。
【0027】
制御部20は、ユーザ端末3から印刷ジョブや各種設定を受付ける受付部25と、印刷処理や製本処理に要する時間を算出する算出部26と、この算出部26の算出結果に基づいて印刷ジョブの送信先を決定する決定部27と、この決定部27の決定結果に基づき印刷ジョブを振分けて送信する実行部28とを有している。なお、これら制御部20の各機能部25〜28による具体的な処理については後述することとし、それに先立ってまず、設定情報記憶部21、ジョブ情報記憶部22及び印刷ジョブ記憶部23のそれぞれについて説明する。
【0028】
設定情報記憶部21は、準備時間情報30と、処理速度情報31と、設定時間情報32と、対応情報33と、後処理情報34と、を記憶するものである。これらの情報30〜34は例えばユーザやオペレータなどによって予め設定される情報である。ここで、これらの情報30〜34をどのように設定するかについては適宜設計が可能であるが、例えば、印刷管理装置2の図示しない設定画面生成部によってユーザ端末3の表示部7に設定画面を表示させ、ユーザによるこの設定画面への入力操作に基づき、各種の情報30〜34が設定情報記憶部21に記憶されるように構成しても良い。また、印刷管理装置2と通信可能な各印刷装置4,5に関する情報については、各印刷装置4,5に予め設定されている情報を、各印刷装置4,5からダウンロードすることにより、設定情報記憶部21に記憶するように構成しても良い。
【0029】
図3〜図7は、上述した各情報30〜34の一例を具体的に示す図である。以下、これらの図3〜図7を参照しつつ各情報30〜34について説明する。
【0030】
まず、図3に示した準備時間情報30について説明する。準備時間情報30は、ユーザによって予め設定される時間情報であり、第1の印刷装置4によって印刷物が出力されてから、製本装置6が製本処理を開始するまでに要する時間を示す情報である。上述したように、第1の印刷装置4から出力された印刷物は、オペレータによって製本装置6まで運搬される。その後、オペレータによって印刷物が製本用フィーダ部13にセットされると共に、オペレータによる手動操作により製本指示が製本装置6に入力されることで、製本装置6において製本処理が開始される。準備時間30aは、このようなオペレータによる準備時間を含んで予め設定された時間である。
【0031】
本実施形態では、図3に示すように、準備時間情報30として、準備時間30aに「5分」が設定されている。これは、上述したように、第1の印刷装置4から印刷物が出力されてから、オペレータによって印刷物が製本装置6にセットされ、製本装置6によって製本処理が開始されるまでに要する時間が5分であるとして予め設定されていることを示している。
【0032】
図4は、処理速度情報31を示すものである。処理速度情報31は、印刷管理装置2と通信可能な第1及び第2の印刷装置4,5、並びに、オフラインにある製本装置6のそれぞれにおける個別の処理速度を示す情報である。すなわち、この処理速度情報31を参照することで、各印刷装置4,5及び製本装置6においてジョブの実行が行われる場合の処理速度を特定することが可能となる。
【0033】
本実施形態では、処理速度情報31は、図4に示すように、装置種別31a、印刷速度31b、製本速度31cの3項目の情報を有している。装置種別31aには、「第1の印刷装置」、「第2の印刷装置」、「製本装置」の3つの装置が登録されている。そして、処理速度情報31においては、装置種別31aに登録されている装置毎に、印刷速度31bと製本速度31cとが対応付けられて設定されている。図例の場合、印刷速度31bは、「第1の印刷装置」に対しては「60頁/分」が、また、「第2の印刷装置」に対しては「120頁/分」対応付けられている。これは、第1の印刷装置4において印刷ジョブが実行される場合、1分間に60ページの印刷処理が可能であることを示し、第2の印刷装置5において印刷ジョブが実行される場合、1分間に120ページの印刷処理が可能であることを示している。
【0034】
製本速度31cは、「第2の印刷装置」に対しては、「10部/分」が、また、「製本装置」に対しては、「5部/分」が対応付けられている。これは、第2の印刷装置5は、1分間に10部の製本処理が可能であることを示し、製本装置6は、1分間に5部の製本処理が可能であることを示している。なお、印刷速度31bの項目での「製本装置」に対応する欄、製本速度31cの項目での「第1の印刷装置」に対応する欄は、それぞれ、第1の印刷装置4及び製本装置6が該当する処理を実行しないのでブランクになっている。
【0035】
ここで、これらの設定は、上述した設定画面をユーザ端末3の表示部7に表示し、ユーザによって設定画面に設定内容が入力されることで設定されるものであってもよい。また、印刷管理装置2と通信可能な第1及び第2の印刷装置4,5については、第1及び第2の印刷装置4,5のそれぞれに保持されている処理速度情報31に関する情報を、それらの印刷装置4、6からそれぞれダウンロードして取得するように構成しても良い。
【0036】
図5は、設定時間情報32の一例を示す図である。設定時間情報32は、印刷ジョブを第1及び第2の印刷装置4,5のいずれに出力するかを決定するために参照される基準となる時間情報であり、ユーザによって予め適宜に設定される情報である。この図5に示すように、設定時間情報32は、「設定種別」及び「設定時間」の2項目の情報を有している。そして、「設定種別」には、初期設定時間32aと振分設定時間32bとの2種別があり、それぞれに任意の時間が設定されている。以下、具体的に説明する。
【0037】
初期設定時間32aは、印刷管理装置2に接続された第1及び第2の印刷装置4,5のうち印刷ジョブを第2の印刷装置5に優先的に送信するか否かを決定するための基準となる情報である。すなわち、受付部25によって受付けられた印刷ジョブが第2の印刷装置5によって実行される場合の所要時間と、既に第2の印刷装置5で実行中の印刷ジョブの所要時間との合計時間(後述する第2の完了時間)が、初期設定時間32aに設定された時間以内である場合には、算出部26による他の算出結果に関わらず、決定部27によって第2の印刷装置5が印刷ジョブの送信先として決定される。
【0038】
本実施形態では、初期設定時間32aの「設定時間」は「20分」となっている。これは、後述する第2の完了時間が20分以下である場合には、算出部26による他の算出結果に関わらず、決定部27によって第2の印刷装置5が印刷ジョブの送信先として決定されることを示している。ここで、このような初期設定時間32aが設定されている理由は以下の通りである。
【0039】
すなわち、ユーザにとっては、第1の印刷装置4に印刷ジョブを実行させるよりは、ある程度の時間内で済むのであれば、寧ろ、第2の印刷装置5で印刷処理と製本処理とを一連の処理として実行させた方が好ましい場合もある。例えば、第1の印刷装置4と製本装置6とで別々に処理をさせた方が製本完了までの時間は短くて済むが、第1の印刷装置4によって印刷出力された印刷物を製本装置6まで搬送したりセットしたりする手間をユーザ自身がかけたくないか、或いはオペレータにかけさせたくない場合などには、ユーザは、多少時間がかかっても第2の印刷装置5での処理を望むことがあると考えられる。その一方で、第2の印刷装置5で既に実行中の他の印刷ジョブが、完了までに比較的長い時間を要する場合など、第2の印刷装置5で印刷ジョブを実行した場合の所要時間が所定の時間よりも長時間となる場合には、ユーザは、第1の印刷装置4と製本装置6とで別々に処理を実行させて早期に製本された印刷物を得ることを望むとも考えられる。そこで、本実施形態では、ユーザにとっての印刷物の搬送作業を省きつつ、第2の印刷装置5での処理時間としてユーザの待つことの出来る時間が予め初期設定時間32aに設定されている。
【0040】
振分設定時間32bは、製本装置6で製本待ちが発生しないように印刷ジョブを待機させるための待機時間を示す情報である。この振分設定時間32bは、以下のような場合を想定して設定されるものである。すなわち、第1の印刷装置4で印刷ジョブが完了すると、オペレータは、製本装置6まで印刷物を運搬することになるが、このとき、製本装置6では、未だ他の印刷ジョブの製本処理が実行中の場合もあると考えられる。この場合、オペレータは、印刷物を製本装置6まで搬送してきても、製本用フィーダ部13には製本待ちの印刷物が未だ残っておりセットすることができない。この場合、オペレータは、一旦、別の場所に印刷物を載置して待機させた状態とし、先に実行中の印刷処理が終了してから改めてその待機させておいた印刷物を運搬してセットすることになる。このような状況は、オペレータにとって二度手間となるし、また、印刷物を一時保管する必要もでてくるので、印刷物を載置するためのスペースの問題や、第三者に印刷物を読まれないようにするためのセキュリティ上の問題も発生する。すなわち、第1の印刷装置4と製本装置6とで印刷ジョブを別々に実行しようとすると、上記のように好ましくない状況が発生することになる。
【0041】
そこで、本実施形態では、製本装置6で製本待ちが発生しないように、振分設定時間32bを予め設定しておくことで、一旦、印刷ジョブを待機させ、振分設定時間32bの経過後に、再び、製本待ちが発生するか否かを判断して、製本待ちが発生しなくなるタイミングに合わせて第1の印刷装置4に印刷ジョブを送信するようになっている。これにより、オペレータにとっては二度手間になることを防止できるし、上述したスペース的な問題やセキュリティ上の問題も生じなくなるというメリットも生じる。
【0042】
本実施形態では、振分設定時間32bは、「設定時間」には、「1分」が対応付けられて設定されている。これは、製本装置6で製本待ちが発生するような状態である場合には、決定部27によって印刷ジョブを1分待機させた後に、再び、製本待ちが発生するか否かが判断されることを示している。
【0043】
図6は、対応情報33について示したものである。対応情報33は、印刷装置4,5と製本装置6との対応関係を特定するために予め設定されている情報である。すなわち、この対応情報33を参照することにより、どの印刷装置で印刷出力された印刷物がどの製本装置で製本処理されるのかを特定することが可能となる。この図6に示すように、本実施形態では、対応情報33は、印刷装置種別33aと、製本機能有無33bと、オフライン種別33cとの3項目の情報を有している。
【0044】
印刷装置種別33aには、印刷管理装置2と通信可能な第1及び第2印刷装置4,5が登録されている。この情報を参照することにより、印刷管理装置2は、第1の印刷装置4と第2の印刷装置5のそれぞれと通信可能に接続されていることを把握することができる。
【0045】
製本機能有無33bは、印刷装置種別33aに登録されている各印刷装置が製本機能を有しているか否かを示す情報である。本実施形態では、製本機能有無33bは、「第1の印刷装置」には「無」が対応付けられ、「第2の印刷装置」には「有」が対応付けられている。これにより、第1の印刷装置4は製本機能を有していないことが判別可能となり、また第2の印刷装置は製本機能を有していることが判別可能となる。
【0046】
オフライン種別33cは、印刷装置種別33aに登録されている各印刷装置から印刷出力される印刷物をどの製本装置で製本処理するかを定義した情報である。本実施形態では、オフライン種別33cにおいて「第1の印刷装置」に「製本装置」が対応付けられている。これは、第1の印刷装置4によって印刷出力された印刷物が製本装置6によって製本処理されることを示すものである。このオフライン種別33cを参照することにより、どの印刷装置から印刷出力された印刷物をどの製本装置で製本処理するかを判別できるので、製本指示を含んだ印刷ジョブの送信先が、製本機能を有していない第1の印刷装置4に決定されることもある。例えば、本実施形態では、第1の印刷装置4は、製本機能を有していないが、対応情報33を参照することにより、第1の印刷装置4に製本装置6が対応付けられていることを特定できるので、製本指示を含んだ印刷ジョブを第1の印刷装置4に対して送信することが可能となっている。
【0047】
ここで、図6に示すように、本実施形態では、オフライン種別33cの「第2の印刷装置」は、ブランクとなっている。これは、第2の印刷装置5は、製本機能を有しているので製本装置が対応付けられていないことを示している。ただし、オフライン種別33cは、一の印刷装置に対して複数の製本装置を対応付けても良いし、第2の印刷装置5のように製本機能を有している印刷装置であっても、製本装置を対応付けてもよい。この場合は、ユーザ端末3の表示部7に製本装置を選択するための選択画面を表示させ、ユーザによる当該選択画面への入力結果に基づき何れの製本装置に製本処理を実行させるかを決定するように構成すればよい。
【0048】
図7は、後処理情報34について示したものである。後処理情報34は、各印刷装置4,5及び製本装置6のそれぞれによって実行可能に構成されている後処理の態様を示す情報である。この図7に示すように、後処理情報34は、装置種別34a、ステープル34b、パンチ34c、中綴じ34d、くるみ製本34e及びコイル製本34fの6項目を有している。
【0049】
装置種別34aは、印刷管理装置2と通信可能な第1及び第2の印刷装置4,5、並びに、これら第1及び第2の印刷装置4,5とオフライン状態にある製本装置6が登録された情報である。
【0050】
ステープル34b、パンチ34c、中綴じ34d、くるみ製本34e及びコイル製本34fは、何れも各装置で実行可能な後処理の態様であり、各印刷装置4,5又は製本装置6が実行可能であれば「○」が、そうでなければ「×」が設定されている。本実施形態では、「第1の印刷装置」は、ステープル34b、パンチ34c、中綴じ34d、くるみ製本34e及びコイル製本34fに対応する欄には全て「×」が設定されている。これは、第1の印刷装置4が何れの製本態様も処理不可能であることを示している。「第2の印刷装置」は、ステープル34b、パンチ34c、中綴じ34d及びくるみ製本34eに対応する欄に「○」が設定されコイル製本34fに対応する欄には「×」が設定されている。これは、第2の印刷装置5が、ステープル、パンチ、中綴じ、及びくるみ製本を処理可能に構成され、コイル製本については処理不可能であることを示している。「製本装置」は、ステープル34b、パンチ34c、中綴じ34dに対応する欄に「○」が設定され、くるみ製本34e及びコイル製本34fに対応する欄には「×」が設定されている。これは、製本装置6は、ステープル、パンチ、中綴じを処理可能に構成され、くるみ製本及びコイル製本については処理不可能であることを示している。
【0051】
ここで、これらの設定は、上述した設定画面をユーザ端末3の表示部7に表示し、ユーザによって表示画面に設定内容が入力されることで設定されるものであってもよい。また、印刷管理装置2と通信可能な第1及び第2の印刷装置4,5に関する情報ついては、予め第1及び第2の印刷装置4,5のそれぞれに保持されている後処理情報34に関する情報を、それら第1及び第2の印刷装置4、6からダウンロードして取得するように構成しても良い。
【0052】
図2に戻って、ジョブ情報記憶部22は、受付部25によって受付けられる印刷ジョブに関するジョブ情報35を記憶すると共に、このジョブ情報35に基づき算出部26によって算出される算出結果を算出結果情報36として記憶するものである。図8、図9は、ジョブ情報35、算出結果情報36のそれぞれの一例を示す図である。以下、これら図8、図9を参照しつつ、ジョブ情報35、算出結果情報36について説明する。
【0053】
図8は、ジョブ情報35の一例を示す図である。ジョブ情報35は、受付部25によって受付けられた印刷ジョブを管理するためのテーブルである。例えば、このジョブ情報35は、ジョブ番号35a、全ページ数35b、全部数35c、製本条件35d、実行状態35e及び残り時間35fの6項目からなる情報で構成される。以下、各項目について説明する。
【0054】
ジョブ番号35aは、受付部25によって受付けられた印刷ジョブを個別に管理するための識別情報である。本実施形態では、ジョブ番号35aは、「A」〜「D」の4種別を有している。このジョブ番号35aは、受付部25が印刷ジョブを受付けた場合に、当該受付けた印刷ジョブに固有の番号が関連づけられて記録されたものである。すなわち、このジョブ番号35aを参照することで、受付部25が受付けた全ての印刷ジョブを個別に特定することが可能となる。ここで、以下、説明の便宜上、ジョブ番号が「A」の印刷ジョブのことを「印刷ジョブA」と称する。同様に、ジョブ番号が「B」〜「D」の印刷ジョブについても、それぞれ、「印刷ジョブB」〜「印刷ジョブD」と称する。
【0055】
尚、図8において、印刷ジョブA〜Dは、受付部25によって受け付けられた順序が、印刷ジョブD、印刷ジョブC、印刷ジョブB、印刷ジョブAの順序となっており、印刷ジョブAが直近に受け付けられたジョブであり、他の印刷ジョブB,C,Dがそれ以前に受け付けられている場合を例示するものである。
【0056】
全ページ数35bは、印刷ジョブに含まれる印刷データの全ページ数を示す情報である。すなわち、この全ページ数35bを参照することにより、印刷データの全ページ数を特定することが可能となる。ユーザ端末3から送信される印刷ジョブには、予めこの全ページ数35bに関する情報が含まれており、受付部25は、その情報を判別することで全ページ数35bを特定し、ジョブ番号35aに記録する。図例の場合、ジョブ番号35aと全ページ数35bとの対応関係は以下の通りである。すなわち、印刷ジョブAには、「12」が対応付けられ、印刷ジョブBには、「85」が対応付けられ、印刷ジョブCには、「90」が対応付けられ、印刷ジョブDには、「20」が対応付けられている。
【0057】
全部数35cは、印刷データの全印刷部数を特定するための情報である。ユーザ端末3から送信される印刷ジョブには、この全部数35cに関する情報が含まれており、受付部25がこの情報を特定することで当該受付部25によって全部数35cが特定されてジョブ番号35aに関連づけて記録される。本実施形態では、印刷ジョブAには、「50」が対応付けられ、印刷ジョブBには、「10」が対応付けられ、印刷ジョブCには、「65」が対応付けられ、印刷ジョブDには、「150」が対応付けられている。
【0058】
製本条件35dは、当該印刷ジョブにおいて、印刷物に対する後処理の内容(例えば製本態様など)が指定された情報である。すなわち、この製本条件35dを参照することにより、どのような製本態様で製本処理を実行すればよいかを特定することが可能となる。ここで、ユーザ端末3から送信される印刷ジョブには、製本条件35dに関する情報が含まれており、受付部25によって印刷ジョブが受付けられると、その情報に基づいて製本条件35dが特定される。そして特定された製本条件35dがジョブ番号35aに関連づけて記録される。図例では、印刷ジョブAには、「パンチ+中綴じ」が対応付けられている。また、印刷ジョブBについては、該当する欄はブランクになっている。これは、印刷ジョブには製本指示が含まれておらず、印刷指示のみが含まれていることを示している。印刷ジョブCには、「くるみ製本」が対応付けられ、印刷ジョブDには、「パンチ+中綴じ」が対応付けられている。
【0059】
実行状態35eは、受付部25によって新規な印刷ジョブが受け付けられたとき、その新規な印刷ジョブと、それ以前に既に受け付けられている他の印刷ジョブのそれぞれの実行状況を示す情報である。上述したように、この例では、印刷ジョブAが直近に受け付けられるため、この印刷ジョブAが受け付けられたタイミング(以下、「受付時刻」という)では、印刷ジョブAは実行待ちの状態となる。これに対し、印刷ジョブAが受け付けられたタイミングでは、それ以前に受け付けられた他の印刷ジョブB,C,Dは既に第1又は第2の印刷装置4,5で印刷処理が実行中であったり、又は、製本装置6で製本処理中であったりする。そのため、このような各印刷ジョブについての実行状況が、実行状態35eに格納される。このような実行状況35eは、受付部25によって新規な印刷ジョブが受け付けられる都度、更新されるようになっている。
【0060】
図例では、印刷ジョブAが受け付けられたタイミングでのジョブ情報35を示しているため、印刷ジョブAに対応する実行状態35eに、「待ち」が対応付けられる。これは、印刷ジョブAが受付時刻で実行待ちの状態であることを示している。印刷ジョブBには、「第1の印刷装置」が対応付けられている。これは、印刷ジョブAが受け付けられたタイミング(受付時刻)で、印刷ジョブBが既に第1の印刷装置4によって実行されていることを示している。また印刷ジョブCには、「第2の印刷装置」が対応付けられている。これは、印刷ジョブAが受け付けられたタイミング(受付時刻)で、印刷ジョブCが既に第2の印刷装置5によって実行されていることを示している。さらに印刷ジョブDには、「製本装置」が対応付けられている。これは、印刷ジョブAが受け付けられたタイミング(受付時刻)で、印刷ジョブDが既に製本装置6によって製本処理が実行されていることを示している。
【0061】
ここで、印刷ジョブA〜Dが実行中か否かをどのように判断するかについては、例えば、第1及び第2の印刷装置4,5から、印刷ジョブが実行中であることを示す確認信号を定期的に受付けたり、或いは、第1又は第2の印刷装置4,5によって印刷ジョブが完了した場合に、当該印刷ジョブを完了したことを示す完了通知を受付けたりすることで実行中か否かを判断するようにしてもよい。
【0062】
なお、第1の印刷装置4とはオフライン状態にある製本装置6が製本処理を実行中か否かをどのように判断するかについては、例えば次のような方法がある。例えば、第1の印刷装置4によって印刷処理の実行が完了されたことを示す完了通知を受付部25が受付けた場合に、受付部25は、準備時間情報30の準備時間30a(図3)を特定する。そして、受付部25は、第1の印刷装置4からの完了通知を受信してから準備時間30aが経過したときが製本装置6によって製本処理が開始されるタイミングであるので、そのタイミングを計測することによって、ジョブ情報35における実行状態35eの欄を「製本装置」と更新するようにしてもよい。また、受付部25は、製本装置6によって製本処理が完了するまでに要する時間である第1の完了時間(後述する)が経過した場合に、実行状態35eの欄を「完了」と更新するようにしても良い。
【0063】
残り時間35fは、印刷ジョブAが受け付けられたタイミングで、既に実行中である他の印刷ジョブB,C,Dの印刷処理又は製本処理が、直近の印刷ジョブAの受付時刻から完了するまでに要する時間を示す情報である。この残り時間35fは、受付部25によって新規な印刷ジョブが受付けられる毎に、算出部26によって、既に実行中である印刷ジョブの残りページ数又は残り部数と、処理速度情報31に設定された各印刷装置4,5又は製本装置6の処理速度とに基づき算出される。そして、算出部26による算出結果が該当するジョブ番号35aに関連づけられて当該算出部26によって残り時間35fとして更新される。
【0064】
図例の場合、印刷ジョブAが受け付けられたタイミングでの、他の印刷ジョブB,C,Dの残り時間35fは、印刷ジョブBについては「10分」であり、また、印刷ジョブCについては「40分」であり、そして、印刷ジョブDについては、「30分」となっている。なお、印刷ジョブAについては、未だ送信先が決定されていない状態であるので、残り時間35fの欄はブランクになっている。すなわち、この印刷ジョブAの残り時間35fは、決定部27によって送信先が決定され、更に、新たに印刷ジョブが受付部25によって受付けられたときに、当該送信先である印刷装置の処理速度に基づいて算出され、当該算出結果が残り時間として記録される。
【0065】
図9は、算出結果情報36の一例を示す図である。この算出結果情報36は、算出部26によって算出されジョブ情報記憶部22に記憶される情報である。また、この算出結果情報36は、決定部27によって送信先を決定するための基準となる。以下、この図9を参照しつつ、各算出結果情報36について説明する。
【0066】
算出結果情報36は、「算出結果種別」と「算出結果」との2項目からなる情報を有している。「算出時間種別」は、算出部26によって算出される各種の時間の種別を示すものである。図例では、「算出時間種別」として、印刷見積時間36a、製本見積時間36b、製本開始時間36c、製本完了時間36d、第1の完了時間36e及び第2の完了時間36fの6種の時間が設定されている。そして、各「算出結果種別」に対応する算出結果が算出部26によって「算出結果」の欄に記録される。以下、各算出結果情報36a〜fについて説明する。
【0067】
印刷見積時間36aは、直近で受付けられた印刷ジョブAが仮に第1の印刷装置4によって実行された場合に、その印刷処理が完了するまでに要する時間の算出結果である。例えば、図8に示したジョブ情報35の場合について説明すると、算出部26は、受付部25によって印刷ジョブAが受付けられジョブ情報35に印刷ジョブAに関する情報が記録されると、ジョブ情報35を参照して、印刷ジョブAの全ページ数35bが「12」であり、また、全部数35cが「50」であることを特定する。
【0068】
そして、算出部26は、設定情報記憶部21から処理速度情報31を参照して、装置種別31aでの「第1の印刷装置」に対応する印刷速度31bを特定する。すなわち、図4の例では、第1の印刷装置4の処理速度は、「60頁/分」である。そして、算出部26は、全ページ数である12ページと全部数である50部を乗じて合計ページ数が全600ページであることを算出する。そして、算出部26は、この全600ページを処理速度である60頁/分で除すことで、実行所要時間が10分であることを算出する。算出部26は、この実行所要時間である10分に、図8で示した、既に第1の印刷装置4で実行されている印刷ジョブBの残り時間35fである「10分」を加えることで、合計時間である20分を印刷見積時間36aとして算出する。本実施形態では、算出部26は、このように算出した印刷見積時間36aを算出結果情報36に記録する。
【0069】
ここで、本実施形態においては、上記のように、印刷ジョブAの実行所要時間と、印刷ジョブBの残り時間35fとを合計して印刷見積時間36aとして算出するようになっている。この理由は以下の通りである。すなわち、実際には、第1の印刷装置4では、直近である印刷ジョブAが受付けられたときに、印刷ジョブBのように、既に第1の印刷装置4で他の印刷ジョブが実行中の場合もある。このような場合に、単に印刷ジョブAの実行所要時間のみを印刷見積時間36aとして算出してしまうと、既に実行されている印刷ジョブBが完了するまでに要する時間が長い場合には、算出結果と実際に印刷ジョブAの印刷処理が完了するまでに要する時間とに差が生じてしまう。印刷見積時間36aは、決定部27によって印刷ジョブAの送信先を決定する際の基準となるので、算出結果と実際に印刷ジョブAの印刷処理が完了するまでに要する時間とに差が生じてしまうと、適切に送信先を決定できない場合も生じ得る。そこで、本実施形態では、印刷ジョブAの印刷見積時間に、既に第1の印刷装置4で実行中である印刷ジョブBの残り時間35fを加えて、印刷見積時間36aとして算出している。ただし、上記のように、受付けた印刷ジョブの実行所要時間に、既に印刷装置で実行中の印刷ジョブの残り時間35fを加えるか否かは、適宜設計が可能である。
【0070】
製本見積時間36bは、直近で受付けた印刷ジョブに含まれる製本指示を仮に製本装置6が実行した場合に、製本処理が完了するまでに要する時間を予想した算出結果である。例えば、図8に示したジョブ情報35の場合について説明すると、算出部26は、受付部25によって印刷ジョブAが受付けられジョブ情報35に印刷ジョブAに関する情報が記録されると、ジョブ情報35を参照して、印刷ジョブAの全部数35cが「50」であることを特定する。そして、算出部26は、設定情報記憶部21から処理速度情報31を読出して、装置種別31aでの「製本装置」の製本速度31cを特定する。すなわち、図4の例では、製本装置6の製本速度は、「5部/分」である。そして、算出部26は、全部数である50部を製本速度である5部/分で除すことで、実行所要時間が10分であることを算出する。算出部26は、このようにして算出した算出結果を製本見積時間36bとして算出結果情報36に記録する。
【0071】
製本開始時間36cは、上述した印刷見積時間36aと、準備時間30a(図3)との合計時間である。すなわち、製本開始時間36cは、第1の印刷装置4が直近で受付けた印刷ジョブAを実行するのに要する印刷見積時間36aと、第1の印刷装置4から印刷出力される印刷物がオペレータによって運搬され製本装置6に当該印刷物がセットされるまでの準備時間30aとの合計時間である。すなわち、この製本開始時間36cを参照することで、直近で受付けた印刷ジョブAの印刷処理が第1の印刷装置4により開始されてから、最終的に、製本装置6で製本処理が開始可能になるまでに要する時間を特定することが出来る。本実施形態では、製本開始時間36cは、印刷見積時間36aである20分と、準備時間30aである「5分」との合計時間であり、算出結果の欄には「25分」と記録されている。すなわち、本実施形態では、第1の印刷装置4によって印刷ジョブAが実行される場合には、当該第1の印刷装置4による実行開始から、最終的に、製本装置6によって製本処理が開始されるまでに要する時間が25分であることが予想されている。
【0072】
製本完了時間36dは、既に製本装置6で実行されている印刷ジョブの製本処理の開始から完了までに要する時間である。図8の例では、既に製本装置6によって実行されている印刷ジョブDの開始から完了までに要する時間を示している。すなわち、算出部26は、受付部25によって印刷ジョブAが受付けられジョブ情報35に印刷ジョブAに関する情報が記録されると、ジョブ情報35を参照して、既に製本装置6によって実行されている印刷ジョブDの全部数35cが「150部」であることを特定する。そして、算出部26は、処理速度情報31を参照して製本装置6の製本速度31cが「5部/分」であることを特定する。そして、算出部26は、全部数である150部を製本速度である5部/分で除することで算出した「30分」を製本完了時間36dとして算出結果情報36に記録する。
【0073】
第1の完了時間36eは、製本見積時間36bと製本開始時間36cとの合計時間である。すなわち、第1の完了時間は、第1の印刷装置4が直近で受付けた印刷ジョブAを実行するのに要する印刷見積時間36aと、第1の印刷装置4から印刷出力される印刷物がオペレータによって運搬され製本装置6にその印刷物がセットされるまでの準備時間30aと、直近で受付けられた印刷ジョブAに含まれる製本指示が仮に製本装置6によって実行された場合に、当該製本装置6によって製本処理が開始されてから完了するまでに要する製本見積時間36bとの合計時間である。要するにこの時間は、印刷ジョブAが受付けられてから、仮に第1の印刷装置4が印刷ジョブAを実行したとすると、最終的に製本装置6によって製本処理が完了するまでに何分かかるかを予想した時間である。図9の例では、製本見積時間36bは、10分であり、また、製本開始時間36cは、25分である。すなわち、算出部26は、これらの時間を合計して算出した「35分」を第1の完了時間36eとして算出結果情報36に記録する。
【0074】
第2の完了時間36fは、直近で受付けた印刷ジョブAを仮に第2の印刷装置5で実行した場合に、その第2の印刷装置5によって印刷処理が開始されてから最終的に製本処理が完了するまでに要すると予想される時間である。図8の例では、算出部26は、印刷ジョブAの全ページ数35bが「12」であり、また、全部数35cが「50」であることを特定する。そして、算出部26は、設定情報記憶部21から処理速度情報31を読出して、装置種別31aでの「第2の印刷装置」の印刷速度31bを特定する。すなわち、図4の例では、第2の印刷装置5の印刷速度31bは、「120頁/分」である。そして、算出部26は、全ページ数である12ページと全部数である50部を乗じて合計ページ数が全600ページであることを算出すると共に、この全600ページを印刷速度31bである120頁/分で除すことで、印刷ジョブAの印刷処理を開始してから完了するまでに要する時間が5分であることを算出する。
【0075】
ここで、算出部26は、第1及び第2の完了時間を算出する際、対応情報33を参照して第1及び第2の印刷装置4,5が製本機能を有しているか否かを判断する。本実施形態では、受付部25は、第2の印刷装置5が製本機能を有していることを特定する(図6)。この場合、算出部26は、更に、設定情報記憶部21から処理速度情報31を参照して、装置種別31aでの「第2の印刷装置」の製本速度31cを特定する。すなわち、図4の例では、第2の印刷装置5の製本速度31cは、「10部/分」である。そして、算出部26は、全部数である50部を製本速度である10部/分で除すことで、製本処理を開始してから完了するまでに要する時間が5分であることを算出する。そして、上述した、印刷処理に要する時間と製本処理に要する時間とを比較して何れか長い方を第2の印刷装置5での実行所要時間として特定する。本実施形態では、第2の製本装置6で印刷ジョブAを実行した場合の印刷処理と製本処理とは何れも5分であるので、算出部26は、第2の製本装置6での印刷ジョブAの実行所要時間は5分であることを特定する。
【0076】
そして、算出部26は、この実行所要時間である5分に、図8で示した印刷ジョブCの残り時間35fである「40分」を加えることで、合計時間である45分を第2の完了時間36fとして算出する。本実施形態では、算出部26は、このように算出した算出結果を第2の完了時間36fとして算出結果情報36に記録する。
【0077】
ここで、本実施形態においては、上記のように、印刷ジョブAの実行所要時間と、印刷ジョブCの残り時間35fとを合計して印刷見積時間36aとして算出するようになっている。この理由は、上述した印刷見積時間36aと同様である。すなわち、実際には、第2の印刷装置5では、直近である印刷ジョブAを受付けた時に、図8に示した印刷ジョブCのように、既に第2の印刷装置5で他の印刷ジョブが実行中である場合もある。このような場合に、単に印刷ジョブAの実行所要時間のみを第2の完了時間36fとして算出してしまうと、既に実行されている印刷ジョブCが完了するまでに要する時間が長い場合には、算出結果と実際に印刷ジョブAの印刷処理及び製本処理を完了するまでに要する時間とに差が生じてしまう。第2の完了時間36fは、印刷見積時間36aと同様に、印刷ジョブAの送信先を決定する際の基準となるので、算出結果と実際に印刷ジョブAの印刷処理が完了するまでに要する時間とに差が生じてしまうと、適切に送信先を決定できない場合も生じ得る。そこで、本実施形態では、印刷ジョブAに、既に第2の印刷装置5で実行中である印刷ジョブCの残り時間35fを加えて、第2の完了時間36fとして算出している。ただし、上記のように、受付けた印刷ジョブの所要時間に、既に第2の印刷装置5で実行中の印刷ジョブの残り時間35fを加えるか否かは、適宜設計が可能である。
【0078】
ところで、実際には、第2の印刷装置5で印刷処理及び製本処理が実行される場合には、当該印刷処理が開始されてから製本処理が開始されるまでの第1タイムラグと、第2の印刷装置5で印刷処理が完了してから製本処理が完了するまでの第2のタイムラグとが発生することになるので、それらのタイムラグを予め設定情報記憶部21に記憶しておき、算出部26が第2の完了時間を算出する際に、当該算出部26によって第1、第2のタイムラグの何れか一方が読出されて適宜第2の完了時間に含められるようにしても良い。例えば、印刷処理に要する時間が製本処理に要する時間よりも長い場合には、第2のタイムラグを第2の完了時間に含めるようにしたり、逆に、印刷処理に要する時間が製本処理に要する時間よりも短い場合には、第1のタイムラグを第2の完了時間に含めるようにしたりしてもよい。
【0079】
印刷ジョブ記憶部23は、決定部27によって印刷ジョブを待機させることが決定された場合に、当該印刷ジョブを一時的に記憶するものである。本実施形態では、図2に示すように、印刷ジョブAが記憶されている。ここで、印刷ジョブ記憶部23に記憶された印刷ジョブは、決定部27によって印刷ジョブの送信先が決定された場合に、実行部28によって読出されて、その決定先の印刷装置4又は5に送信される。
【0080】
次に、図2に示した制御部20について具体的に説明する。ここで、制御部20に含まれる、受付部25、算出部26、決定部27、実行部28は、具体的には、図示しない記憶領域に記憶された制御プログラムがCPUによって適宜メモリ上に読み出されて実行されることで、各機能を奏するようになっている。
【0081】
受付部25は、ユーザ端末3から印刷ジョブを受付ける。そして、受付部25は、受付けた印刷ジョブにジョブ番号35aを付与すると共に、当該印刷ジョブに含まれる情報に基づいて、全ページ数35b、全部数35c、製本条件35dを特定して、ジョブ番号35aに関連づけてジョブ情報記憶部22に記憶させる。また、受付部25は、ユーザによって設定画面に入力された入力結果を受付け、受付けた入力結果に基づき設定内容を特定して設定情報記憶部21に記憶させる。更に、受付部25は、決定部27が印刷ジョブを待機させることを決定した場合には、ジョブ情報記憶部22に、受付けた印刷ジョブを記憶させる。
【0082】
また、受付部25は、ジョブ情報35の実行状態35eを更新する。例えば、受付部25は、送信先の未だ決定されていない印刷ジョブについては、実行状態35eを「待ち」と記録する。そして、受付部25は、印刷ジョブの送信先が決定したとき、又は、第1及び第2の印刷装置4,5から、特定の印刷ジョブが実行中であることを示す確認信号を受付けた場合には、該当するジョブ番号35aに対応する実行状態35eの欄に実行中の印刷装置の種別を記録して更新する。また、受付部25は、第1又は第2の印刷装置4,5によって特定の印刷ジョブが完了し、当該印刷ジョブを完了したことを示す完了通知を受付けた場合には、該当するジョブ番号35aに対応する実行状態35eの欄を「完了」と更新するか、又はジョブ情報35から、該当するジョブ番号35aに対応する全ての情報を削除する。
【0083】
ここで、受付部25は、第1の印刷装置4とはオフライン状態にある製本装置6についてはジョブ情報35の更新を以下のように処理する。すなわち、図8に示した印刷ジョブDを例に挙げて説明すると、受付部25は、第1の印刷装置4が印刷ジョブDの実行を完了したことを示す完了通知を受付けた場合に、ジョブ情報35を参照して印刷ジョブAの製本条件35dがブランクになっていないことを確認する。すなわち、印刷ジョブAに製本指示が含まれていることを確認する。次に、受付部25は、対応情報33を参照して、第1の印刷装置4に対応する製本装置が製本装置6であることを特定する。そして、受付部25は、準備時間情報30を参照し準備時間30aを特定する。次に、受付部25は、特定した準備時間30aが経過するまで待機し、準備時間30aが経過したときに、実行状態35eの欄を、特定した製本装置6を示す「製本装置」と更新する。そして、第1の完了時間36eが経過した場合に、実行状態35eの欄を「完了」と更新するか、印刷ジョブDに関する他の情報と共に削除する。
【0084】
算出部26は、受付部25によって印刷ジョブAが受付けられた場合に、既に実行中の他の印刷ジョブB,C,Dの実行完了までの残り時間を算出してジョブ情報35の残り時間35fを更新する。また、算出部26は、ジョブ情報35を参照して、印刷見積時間36a、製本見積時間36b、製本開始時間36c、製本完了時間36d、第1の完了時間36e及び第2の完了時間36fをそれぞれ算出して、ジョブ情報記憶部22の算出結果情報36を記録する。上述したように、この算出部26によって算出された各算出結果は、決定部27が印刷ジョブの送信先を決定するための基準となる。なお、算出結果情報36を算出するための具体的な処理内容については、既に説明してあるので省略する。
【0085】
決定部27は、上述した算出部26によって算出された算出結果に基づいて、直近で受付けた印刷ジョブの送信先を各印刷装置に振分けるための決定を行うものである。図8の例では、決定部27は、第1の印刷装置4又は第2の印刷装置5の何れかを印刷ジョブAの送信先として決定する。図10には、算出部26と決定部27とで実行される、印刷ジョブの送信先を決定するための比較処理を示したフローチャートが示してある。以下、このフローチャートを参照しつつ、決定部27の具体的な処理内容について説明する。
【0086】
図10に示すように、まず、決定部27は、製本開始時間36cと製本完了時間36dとを比較する(ステップS1)。そして、決定部27は、製本開始時間36cが製本完了時間36dよりも長い場合には(ステップS2のNO)、第1の印刷装置4を印刷ジョブAの送信先として決定する(ステップS3)。この場合は、仮に第1の印刷装置4に印刷ジョブAを送信したとすると、第1の印刷装置4において印刷出力された印刷物がオペレータによって製本装置6にセットされる前に、既に製本装置6では印刷ジョブDの製本処理が完了している場合である。言い換えると、この場合に、仮に第1の印刷装置4に印刷ジョブAを実行させても当該第1の印刷装置4で印刷出力された印刷物が製本装置6で製本待ちになることはない。本実施形態では、図9に示したように、製本開始時間36cは「25分」であり、一方、製本完了時間36dは、「30分」である。すなわち、本実施形態では、製本開始時間36cが製本完了時間36dよりも短いので、印刷ジョブAを第1の印刷装置4で実行させると製本装置6で製本待ちが発生することになる。従って、決定部27は、この時点では、第1の印刷装置4を送信先に決定しない。
【0087】
決定部27は、本実施形態のように製本開始時間36cが製本完了時間36dよりも短い場合には(ステップS2のYES)、次に、第1の完了時間36eと第2の完了時間36fとを比較する(ステップS4)。そして、決定部27は、第1の完了時間36eが第2の完了時間36fよりも長い場合には(ステップS5のNO)、第2の印刷装置5を印刷ジョブAの送信先として決定する(ステップS6)。この場合は、最終的に製本処理が完了するまでの時間が、第2の印刷装置5で処理を実行させた方が、第1の印刷装置4と製本装置6とで別々に処理を実行させるよりも早い場合であるので、当該第2の印刷装置5に印刷ジョブAを送信する。
【0088】
本実施形態では、図9に示したように、第1の完了時間36eは、「35分」であり、一方、第2の完了時間36fは、「45分」である。すなわち、本実施形態では、第1の完了時間36eが第2の完了時間36fよりも短い。この場合(ステップS5のYES)、決定部27は、印刷ジョブAを待機させることを決定する(ステップS7)。そして、決定部27は、印刷ジョブAを待機させることを決定すると、印刷ジョブを印刷ジョブ記憶部23に記憶させると共に、設定情報記憶部21から設定時間情報32を読出す。そして、決定部27は、振分設定時間32bを特定して、特定された時間待機する(ステップS10)。本実施形態の場合は、図5に示したように、振分設定時間32bは、「1分」となっている。すなわち、この場合、決定部27は、印刷ジョブAを待機させることを決定した後、1分間待機する。
【0089】
ここで、ステップS8,9に示すように、算出部26は、決定部27によって印刷ジョブAを待機させることが決定された場合(ステップS7)、印刷見積時間36aに振分設定時間32bを加えて新たに印刷見積時間36aとして算出し(ステップS8)、この新たに算出された印刷見積時間36aを算出結果情報36に上書きすることで更新する。そして、それに伴い、印刷見積時間36aが含まれる製本開始時間36c及び第1の完了時間36eについても、更新された印刷見積時間36aに基づいて算出して更新する。このようにして、決定部27は、算出結果情報36を更新する(ステップS9)。
【0090】
本実施形態の場合は、図5に示したように、振分設定時間32bは、「1分」となっている。すなわち、この場合、算出部26は、印刷見積時間36aである20分に振分設定時間32bである「1分」を加えて「21分」として、印刷見積時間36aを更新する。更に、算出部26は、製本開始時間36c及び第1の完了時間36eについても、それぞれ、振分設定時間32bである「1分」を加えて「26分」、「36分」として更新する。
【0091】
決定部27は、振分設定時間32bである1分間が経過するまで待機し(ステップS10)、当該1分が経過したとき(ステップS11のYES)、再び、製本開始時間36cと製本完了時間36dとを比較する(ステップS1まで戻る)。そして、決定部27は、ステップS2とステップS5のうち、何れかが早くNOになるまで、繰り返し、算出結果情報36を更新して待機するという処理を行う。すなわち、決定部27は、印刷ジョブAを第1の印刷装置4と製本装置6とで別々に処理を実行させた方が第2の印刷装置5で実行させるより早く完了する場合であり、且つ、製本装置6で製本処理待ちが発生しなくなるタイミング(ステップS2)と、印刷ジョブAを第1の印刷装置4と製本装置6とで別々に処理を実行させるよりも第2の印刷装置5で実行させた方が早くなるタイミング(ステップS5)とを、振分設定時間32bに設定された時間毎に繰り返す。そして、決定部27は、何れかのタイミングが早く到来した方の印刷装置を送信先として決定する。
【0092】
本実施形態では、最終的に、算出部26によって、算出結果情報36の製本開始時間36cが6分後である「31分」まで更新されると、当該製本開始時間36cが製本完了時間36dである「30分」よりも長くなる(ステップS2のNO)。この場合、決定部27は、印刷ジョブAの送信先を第1の印刷装置4として決定する(ステップS3)。なお、この場合は、上述した、印刷ジョブAを第1の印刷装置4と製本装置6とで別々に処理を実行させた方が第2の印刷装置5で実行させるより早く完了する場合であり、且つ、製本装置6で製本処理待ちが発生しなくなるタイミングの方が早く到来するパターンである。すなわち、第1の完了時間36eの6分後は、「41分」であり、第2の完了時間36fである「45分」よりも短い状態である(ステップS5のNO)ので、第2の印刷装置5が印刷ジョブAの送信先として決定されることはない。
【0093】
次に、再び図2に戻って、実行部28について説明する。実行部28は、上記のように決定された決定部27の決定結果に基づいて第1又は第2の印刷装置4、6の何れか一方に対して印刷ジョブを送信する。本実施形態では、実行部28は、決定部27によって送信先が第1の印刷装置4に決定されると、決定された印刷ジョブAのジョブ番号35aを特定して、特定したジョブ番号35aに基づき印刷ジョブ記憶部23から印刷ジョブAを読出す。そして、読出した印刷ジョブAを第1の印刷装置4に対して送信する。このようにして、印刷ジョブAを受付けた第1の印刷装置4は、印刷ジョブAの実行を開始する。なお、印刷ジョブを待機させない場合には、実行部28は、受付部25から印刷ジョブを受取り、決定部27によって決定された送信先に印刷ジョブを送信する。
【0094】
図11は、上記のように構成される印刷管理システム1において実行される全体的な処理手順を示したフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しつつ処理手順について説明する。
【0095】
まず、受付部25は、ユーザ端末3から印刷ジョブAを受け付けると(ステップS21)、受付けた印刷ジョブAから全ページ数35b、全部数35c及び製本条件35dを特定する。そして、受付部25は、特定した全ページ数35b、全部数35c及び製本条件35dをジョブ情報35に記録する(ステップS22)。このようにして、ジョブ情報35では、直近の印刷ジョブとして印刷ジョブAが記録される。
【0096】
また、算出部26は、受付部25によって印刷ジョブAが受付けられると、ジョブ情報35の実行状態35eを参照し、実行状態35eが「待ち」以外であるジョブ番号「B」〜「D」を特定して、それぞれの残り時間35fを算出する。そして、算出結果をジョブ情報35に上書きすることで更新する(ステップS23)。また、算出部26は、設定情報記憶部21から準備時間情報30を読出す。そして、準備時間情報30に示された準備時間30aを特定する。更に、算出部26は、ジョブ情報35を読出して、直近の印刷ジョブである印刷ジョブAの全ページ数35b、全部数35cを読出すと共に、処理速度情報31を読出して、印刷速度31b、製本速度31cを読出す。そして、算出部26は、読出したこれらの情報に基づき、印刷見積時間36a、製本見積時間36b、製本開始時間36c、製本完了時間36d、第1の完了時間36e及び第2の完了時間36fをそれぞれ算出して、算出結果情報36に各算出結果を記録する(ステップS24)。
【0097】
決定部27は、受付部25によって印刷ジョブが受付けられると、以下に説明するように、当該印刷ジョブを実行することが可能な印刷装置を特定するための処理を開始する(ステップS25)。すなわち、本実施形態では、決定部27は、設定情報記憶部21からジョブ情報35を読出して印刷ジョブAの製本条件35dを特定する。また、決定部27は、設定情報記憶部21から対応情報33を読出し印刷装置種別33aを参照して、印刷管理装置2に通信可能な印刷装置の種別を特定する。本実施形態では、決定部27は、印刷管理装置2に通信可能な印刷装置の種別は、第1の印刷装置4と第2の印刷装置5であることを特定する(図6)。そして、決定部27は、製本機能有無33bを参照して、第1の印刷装置4と第2の印刷装置5に製本機能があるか否かを判断する。そして、本実施形態では、決定部27は、第1の印刷装置4には製本機能が無く、一方、第2の印刷装置5には製本機能があることを特定する。また、このとき、決定部27は、更に、オフライン種別33cを参照して、第1の印刷装置4には製本装置6が対応付けられており、第2の印刷装置5には、対応する製本装置がないことを特定する。
【0098】
次に、決定部27は、設定情報記憶部21から後処理情報34を読出し、第1の印刷装置4、第2の印刷装置5及び製本装置6のそれぞれについて、どのような製本態様が実行可能であるかを特定する。そして、決定部27は、この特定結果と、印刷ジョブAの製本条件とを比較して、どの印刷装置又は製本装置が印刷ジョブAに含まれる製本条件を満たすかを判断する。本実施形態では、図8に示すように、製本条件35dは、「パンチ+中綴じ」である。決定部27は、図7に示した後処理情報34を参照して、「パンチ」及び「中綴じ」の製本態様で製本処理を実行可能なものは、第2の印刷装置5と、製本装置6とであることを特定する。
【0099】
そして、決定部27は、第1の印刷装置4と、この第1の印刷装置4に対応づけられた製本装置6とで印刷ジョブAの印刷処理と製本処理とが実行可能であることを特定すると共に、第2の印刷装置5でも印刷ジョブAの印刷処理と製本処理とが実行可能であることを特定する。このようにして、決定部27は、第1又は第2の印刷装置4、6の何れかに印刷ジョブが振分可能であると判断する。
【0100】
次に、決定部27は、設定情報記憶部21から設定時間情報32の初期設定時間32aを読出し、読出した初期設定時間32aと第2の完了時間36fとを比較する(ステップS26)。そして、決定部27は、初期設定時間32aが第2の完了時間よりも長い場合には(ステップS26のNO)、算出部26による他の算出結果に関わらず、第2の印刷装置5を印刷ジョブAの送信先として決定する(ステップS28)。一方、決定部27は、初期設定時間32aが第2の完了時間よりも短い場合には(ステップS26のYES)、第1の印刷装置4と第2の印刷装置5との何れを印刷ジョブAの送信先とすべきかの比較処理を開始する(ステップS27)。ここで、この比較処理については、既に図10を参照して説明したので説明を省略する。
【0101】
次に、実行部28は、上記決定部27によって印刷ジョブの送信先が決定されると(ステップS28)、当該決定に従って、第1の印刷装置4と第2の印刷装置5とのうち何れか一方に対して印刷ジョブAを送信する(ステップS29)。
【0102】
このようにして、第1の印刷装置4が印刷ジョブAを受付けた場合には、第1の印刷装置4は、印刷ジョブAの印刷処理を実行する。そして、印刷出力された印刷物は、オペレータによって印刷物が製本装置6にセットされ製本処理が開始される。この場合は、既に印刷ジョブDの製本処理は全て完了しているので、製本装置6において製本待ちが発生することはない。そして、製本装置6によって全ての印刷物の製本処理が完了することで全ての処理が終了する。
【0103】
一方、第2の印刷装置5が印刷ジョブを受付けた場合には、第2の印刷装置5は、当該受付けた印刷ジョブの印刷処理と製本処理とを一連の処理として実行する。そして、第2の印刷装置5によって全ての製本処理が完了することで全ての処理が終了する。
【0104】
以上のように、本実施形態の印刷管理システム1は、印刷処理を実行する第1の印刷装置4と、印刷処理と製本処理とを一連の処理として実行する第2の印刷装置5と、第1及び第2の印刷装置4、6に通信可能に接続された印刷管理装置2と、を備えている。また、印刷管理装置2は、第1の印刷装置4に製本装置6が対応付けられていることを示す対応情報33を記憶する記憶手段を有している。そして、印刷管理装置2の決定部27は、受付部25によって印刷ジョブが受付けられると、対応情報33を参照して、第1の印刷装置4と製本装置6とが対応付けられていることを特定することで第1の印刷装置4と第2の印刷装置5とに当該印刷ジョブを振分可能と判断する。このようにして振分可能と判断された前記第1の印刷装置又は第2の印刷装置のうち、決定部27は、所定条件に基づき何れか一方を印刷ジョブの送信先として決定する。実行部28は、決定手段の決定結果に基づき、第1の印刷装置4又は第2の印刷装置5の何れか一方に印刷ジョブを送信する構成を有している。
【0105】
このような構成によれば、印刷管理システム1は、対応情報33を参照することで、印刷ジョブに製本指示が含まれている場合であっても製本処理を実行可能に構成されていない第1の印刷装置4に対しても印刷ジョブを送信できるようになるので、第2の印刷装置5に印刷ジョブが集中してしまうことを防止できる。このことにより、印刷管理システム1は、印刷ジョブを偏りなく分散できるので、一印刷装置では処理待ちが発生している一方で、他の印刷装置は空き時間を有していることもなくすことが出来る。その結果、印刷管理システム1は、複数の印刷装置に印刷ジョブを適切に振分けることで、システム全体として印刷効率を高めることが可能となっている。
【0106】
また、本実施形態では、設定情報記憶部21には、準備時間情報30が記憶されているので、オペレータによる製本の準備時間を特定できるようになっている。そのため、第1の印刷装置4で印刷処理が開始されてから、最終的に、製本装置で製本処理が開始可能になるまでの時間を製本開始時間36cとして特定できるようになる。また、設定情報記憶部21には、製本装置6によって既に実行されている製本処理が完了するまでに要する製本完了時間36dも記憶されている。そのため、製本開始時間36cと製本完了時間36dとを比較することにより、製本装置6で製本待ちが発生するか否かを判断することが可能となっている。そして、決定部27は、製本開始時間36cが製本完了時間36dよりも長い場合には、第1の印刷装置4を印刷ジョブの送信先として決定する。
【0107】
このような構成によれば、印刷管理システム1は、決定部27によって製本開始時間36cと製本完了時間36dとを比較し製本開始時間36cが製本完了時間36dより長い場合にのみ第1の印刷装置4に印刷ジョブAを送信先として決定するので、製本装置6で製本待ちが発生しない場合にのみ、第1の印刷装置4で印刷ジョブAを実行させることが可能となる。すなわち、この場合、オペレータにとっては、第1の印刷装置4によって印刷された印刷物を、一旦、別の場所に印刷物を移動するという二度手間を生じさせることがなくなるので、オペレータの労力を軽減させることが出来る。また、印刷物を保管するためのスペース的な問題や、印刷物を放置することにより第三者に読まれてしまう危険性があるというセキュリティ上の問題も生じなくなるというメリットも生じる。さらに、上記のような構成によれば、決定部27は、製本待ちが発生しない場合には、直ちに第1の印刷装置4に印刷ジョブAを送信先として決定するので、第1の印刷装置4の稼働時間が最大限確保され印刷効率が図られる。
【0108】
また、本実施形態では、決定部27は、製本開始時間36cと製本完了時間36dとを比較する場合、製本開始時間36cが製本完了時間36dよりも長い場合には、第1の印刷装置4を印刷ジョブの送信先として決定する。一方、製本開始時間36cが製本完了時間36dよりも短い場合には、決定部27は、更に、算出部26によって算出された第1の完了時間と第2の完了時間36fとを比較し、第1の完了時間36eが第2の完了時間36fよりも長い場合には、前記第2の印刷装置5を印刷ジョブの送信先として決定する。そして、第1の完了時間36eが第2の完了時間36fよりも短い場合には、決定部27は、印刷ジョブを待機させることを決定し、振分設定時間32bに設定された時間、印刷ジョブを印刷ジョブ記憶部23に記憶させることで待機させる。ここで、算出部26は、決定部27によって印刷ジョブが待機されることが決定された場合には、製本開始時間36cに振分設定時間32bを加えて新たに製本開始時間36cとして算出すると共に、第1の完了時間36eにも振分設定時間32bを加えて新たに第1の完了時間36eとして算出する。そして、決定部27は、振分設定時間32bの経過後に、再び、製本開始時間36cと製本完了時間36dとを比較する比較処理を、第1の印刷装置4又は第2の印刷装置5の何れか一方が送信先として決定されるまで繰り返す構成を有している。
【0109】
上記のような構成によれば、決定部27は、製本装置6で製本待ちが発生しないと判断した場合には、第1の印刷装置4を印刷ジョブの送信先として決定し、そうでない場合には、第1の完了時間36eと第2の完了時間36fとを比較するようになっている。そして、決定部27は、第1の完了時間36eが第2の完了時間36fよりも長い場合に第2の印刷装置5を印刷ジョブの送信先として決定するようになっている。すなわち、この場合、決定部27は、製本装置6で製本待ちが発生すると判断した場合には、直ちに第2の印刷装置5に印刷ジョブAを送信するのではなく、第1の完了時間36eと第2の完了時間36fとを比較して第1の完了時間36eが第2の完了時間36fよりも長い場合にのみ、第2の印刷装置5を印刷ジョブの送信先として決定する。すなわち、この場合、決定部27は、第1の印刷装置4と製本装置6とで別々に印刷ジョブAを実行するよりも、第2の印刷装置5で印刷処理と製本処理とを一連の処理として実行した方が早い場合にのみ、第2の印刷装置5に印刷ジョブAを実行させるので、システム全体としての処理の効率化が図られている。
【0110】
また、本実施形態では、印刷見積時間36aには、第1の印刷装置4が印刷ジョブを実行して印刷処理が開始されてから完了するまでに要する時間と、第1の印刷装置4によって既に実行されている他の印刷ジョブの印刷処理が完了するまでに要する時間とが含まれている。そのため、決定部27は、実際の第1の印刷装置4の実行状態に応じてより正確に送信先を決定することが出来る。
【0111】
また、本実施形態では、第2の完了時間36fには、第2の印刷装置5が印刷ジョブを実行して印刷処理が開始されてから完了するまでに要する時間と、前記第2の印刷手段によって既に実行されている印刷処理が完了するまでに要する時間とが含まれている。そのため、決定部27は、実際の第2の印刷装置5の実行状態に応じてより正確に送信先を決定することが出来る。
【0112】
また、本実施形態では、決定部27は、算出部26によって算出された第2の完了時間36fが初期設定時間32aより短いか否かを判断し、第2の完了時間36fが初期設定時間より短い場合には、算出部26による他の算出結果に関わらず、第2の印刷装置5を印刷ジョブの送信先として決定する。このことにより、ユーザの待つことの出来る許容時間以内の印刷ジョブは全て第2の印刷装置5に実行させることにより、第1の印刷装置4で印刷出力された印刷物を製本装置6に運搬する手間が省けるのでオペレータにとっては都合がよい。
【0113】
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0114】
例えば、上述した説明では、優先的に第2の印刷装置5に印刷ジョブを実行させるための初期設定時間32aが設定されていたが、逆に、第1の印刷装置4を優先的に印刷ジョブの送信先として決定するように構成してもよい。例えば、決定部27は、受付部25によって印刷ジョブが受付けられた場合に、まず、ジョブ情報記憶部22からジョブ情報35を読出し、ジョブ情報35の実行状態35eを参照して、第1の印刷装置4が実行中か否かを判断する。具体的には、ジョブ情報35に「第1の印刷装置」が記録されていないことを特定する。そして、決定部27は、第1の印刷装置4が実行中でないことを特定した場合には、製本条件35dと製本装置6の後処理情報34とがマッチすることを条件として、他の算出結果に関わらず、第1の印刷装置4を印刷ジョブの送信先として決定する。
【0115】
ただし、上述したように、本実施形態では、受付部25によって受付けられた印刷ジョブの第2の完了時間36fが初期設定時間32aよりも短い場合には、優先的に第2の印刷装置5を送信先として決定するように構成されている(図11のステップS26、S28)。すなわち、第1の印刷装置4が実行中でない場合であって、かつ、初期設定時間32aが第2の完了時間36fよりも長い場合には、第1の印刷装置4を優先すべき条件と第2の印刷装置5を優先すべき条件とを何れも満たすことになってしまう。そこで、この場合には、予め、何れか一方の印刷装置を優先的に印刷ジョブの送信先として決定するように設定しておけばよい。
【0116】
このような構成によれば、決定部27は、製本装置6が製本処理を実行中か否かを判断し、製本装置6が製本処理を実行していないと判断した場合には、算出部26の算出結果に関わらず、第1の印刷装置5に印刷ジョブを実行させるので、第1の印刷装置4の稼働時間を最大限確保することが可能となる。その結果、システム全体としての印刷効率が高められる。
【0117】
更に、本実施形態では、製本開始時間36cと製本完了時間36dとの比較結果に基づき直ちに第1又は第2の印刷装置4、6の何れか一方を印刷ジョブの送信先に決定していたが、これに限られない。すなわち、実際に印刷装置で印刷する場合を想定すると、印刷中の印刷装置では、紙詰まりや用紙不足によるエラーが発生することもある。この場合に、エラーが発生している印刷装置を印刷ジョブの送信先として決定すると印刷効率の面で好ましくないとも考えられる。
【0118】
そこで、各印刷装置4、6には、更に、エラーが発生した場合に、エラー通知を生成して印刷管理装置2に対して送信するエラー通知部を備えておく。例えばこの場合、第1の印刷装置4は、第1のエラー通知部、一方、第2の印刷装置5は、第2のエラー通知部をそれぞれ有し、第1及び第2のエラー通知部からのエラー通知はネットワーク15を介して受付部25によって受付けられるように構成する。そして、決定部27は、図10のステップS1で示した、製本開始時間36cと製本完了時間36dとの比較処理において、製本開始時間36cが製本完了時間36dよりも長い場合(図10のステップS2のNO)、直ちには、第1の印刷装置4を印刷ジョブの送信先とは決定せず、受付部25に対して第1のエラー通知部からのエラー通知が受付けられているか否かを問い合せる。そして、受付部25からの応答がエラー通知を受付けていることを示す場合には、決定部27は、第1の印刷装置4を印刷ジョブの送信先とは決定せず、第1の完了時間36eと第2の完了時間36fとの比較処理に移行する(図10のステップS4)。
【0119】
次に、決定部27は、第1の完了時間36eと第2の完了時間36fとを比較し(図10のステップS4)、第1の完了時間36eが第2の完了時間36fよりも長い場合には(図10のステップS5のNO)、直ちには、第2の印刷装置5を印刷ジョブの送信先とは決定せず、受付部25に対して第2のエラー通知部からのエラー通知が受付けられているか否かを問い合せる。そして、受付部25からの応答がエラー通知を受付けていることを示す場合には、決定部27は、第2の印刷装置5を印刷ジョブの送信先とは決定せず、図10のステップS8に移行する。このような処理を繰り返し、決定部27は、第1又は第2のエラー通知部からのエラー通知のうち、先に、受付部25からの応答がエラー通知を受け付けなくなったことを示す方の印刷装置を印刷ジョブの送信先と決定するようにしてもよい。
【0120】
更なる変形例として、本実施形態では、決定部27は、図10のステップS10、S11において、振分設定時間後に、更新後の製本開始時間36cと製本完了時間とを比較する(ステップS1)という処理を繰り返す処理を実行していたが、振分設定時間後に比較処理をするのではなく、印刷ジョブを待機することを決定した場合に、ステップS2とステップS5のうち、あとどの位の時間経過により何れの条件が早く満たされることになるのかを予想することによって、直ちに送信先を決定するようにしても良い。例えば、本実施形態では、上述したように、算出結果情報36の製本開始時間36cが6分後である「31分」まで更新されると、当該製本開始時間36cが製本完了時間36dである「30分」よりも長くなる。この場合、決定部27は、実際に1分ごとに比較処理を実行するのではなく、印刷ジョブを待機することを決定した場合に、あと6分後にステップS2の条件が早く満たされることを予想して判別し判別結果を記憶しておく。そして、実行部28が、判別結果に基づき6分後に印刷ジョブAを印刷ジョブ記憶部23から読出して第1の印刷装置4に送信するようにしてもよい。
【0121】
また、上述した実施形態では、製本完了時間36dは、製本装置6が既に実行中の製本処理を開始してから完了するまでの時間である「30分」を固定的に用いていたがこれに限定されない。例えば、製本完了時間36dを、図8で示したジョブ情報35のジョブ番号Dの残り時間36fである「20分」を用いるようにしてもよい。更にこの場合、振分設定時間32bの経過後に、当該振分設定時間32bに設定された時間を残り時間36fから差し引くことで、新たに製本完了時間36dとして算出して算出結果情報36を更新する。そして、決定部27は、更新後の製本完了時間36dを更新後の製本開始時間36cと比較するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 印刷管理システム
2 印刷管理装置(印刷管理手段)
3 ユーザ端末
4 第1の印刷装置(第1の製本手段)
5 第2の印刷装置(第2の印刷手段)
6 製本装置(製本手段)
7 モニタ
8 操作部
9 第1の排出口
10 第2の排出トレイ
11 第2の排出口
12 第2の排出トレイ
13 製本用フィーダ部
14 製本用排出口
15 ネットワーク
20 制御部
21 設定情報記憶部(記憶手段)
22 ジョブ情報記憶部
23 印刷ジョブ記憶部(記憶手段)
25 受付手段(受付部)
26 算出手段(算出部)
27 決定手段(決定部)
28 実行部(実行手段)
30 準備時間情報
31 処理速度情報
32 設定時間情報
33 対応情報
34 後処理情報
35 ジョブ情報
36 算出結果情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力する印刷ジョブに基づいて印刷処理を実行する第1の印刷手段と、
前記第1の印刷手段によって出力される印刷物に対して製本処理を実行する製本手段と、
入力する印刷ジョブに基づいて印刷処理と製本処理とを一連の処理として実行する第2の印刷手段と、
前記第1の印刷手段と前記第2の印刷手段とにそれぞれ通信可能に接続された印刷管理手段と、を備え、
前記印刷管理手段は、
前記第1の印刷手段と、前記製本手段とが対応付けられていることを示す対応情報を記憶する記憶手段と、
ユーザ端末から印刷処理を実行するための印刷ジョブを受付け、当該印刷ジョブに製本指示が含まれているか否かを判断する受付手段と、
前記受付手段によって印刷ジョブに製本指示が含まれていると判断された場合に、前記対応情報を参照して、前記第1の印刷手段と前記製本手段とが対応付けられていることを特定し、前記製本手段に対応付けられた前記第1の印刷手段及び前記第2の印刷手段のいずれか一方を、所定条件に基づいて印刷ジョブの送信先として決定する決定手段と、
前記決定手段の決定結果に基づき、前記第1の印刷手段及び第2の印刷手段のいずれか一方に印刷ジョブを送信する実行手段と、
を備えることを特徴とする印刷管理システム。
【請求項2】
前記記憶手段は、更に、前記第1の印刷手段によって印刷処理が完了して印刷物が出力されてから前記製本手段が当該印刷物の製本処理を開始するまでに要する準備時間と、前記製本手段によって既に実行されている製本処理が完了するまでに要する製本完了時間と、を予め記憶し、
前記第1の印刷手段によって印刷ジョブが実行された場合に要する印刷見積時間を算出すると共に、この印刷見積時間と準備時間との合計時間を製本開始時間として算出する算出手段を更に有し、
前記決定手段は、前記記憶手段に記憶される製本完了時間と、前記算出手段によって算出される製本開始時間とを比較し、製本開始時間が製本完了時間よりも長い場合には、前記第1の印刷手段を印刷ジョブの送信先として決定し、製本開始時間が製本完了時間よりも短い場合には、所定の条件に基づき前記第2の印刷手段を印刷ジョブの送信先として決定することを特徴とする請求項1に記載の印刷管理システム。
【請求項3】
前記算出手段は、更に、前記第1の印刷手段によって出力される印刷物を、前記製本手段において製本処理を行う場合に要する製本見積時間を算出し、この製本見積時間と製本開始時間との合計時間を第1の完了時間として算出すると共に、前記第2の印刷手段によって印刷処理と製本処理とが一連に実行された場合に要する第2の完了時間を算出し、
前記決定手段は、製本開始時間が製本完了時間よりも短い場合には、更に、前記算出手段によって算出される第1の完了時間と第2の完了時間とを比較し、第1の完了時間が第2の完了時間よりも長い場合には、前記第2の印刷手段を印刷ジョブの送信先として決定し、第1の完了時間が第2の完了時間よりも短い場合には、更に、前記記憶手段に印刷ジョブを記憶させることで当該印刷ジョブを予め設定された設定時間待機させ、
前記算出手段は、前記決定手段によって印刷ジョブが待機される場合に、製本開始時間に前記設定時間を加えて新たに製本開始時間として算出すると共に、第1の完了時間に前記設定時間を加えて新たに第1の完了時間として算出し、
前記決定手段は、前記設定時間経過後に、製本開始時間と新たに算出された製本完了時間とを比較する比較処理及び第2の完了時間と新たに算出された第1の完了時間とを比較する比較処理を、前記第1の印刷手段及び第2の印刷手段のいずれか一方が送信先として決定されるまで繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の印刷管理システム。
【請求項4】
前記印刷見積時間は、前記第1の印刷手段において印刷処理が開始されてから完了されるまでに要する時間と、前記第1の印刷手段によって既に実行されている印刷処理が完了されるまでに要する時間とを含むことを特徴とする請求項2乃至3の何れかに記載の印刷管理システム。
【請求項5】
前記第2の完了時間は、前記第2の印刷手段において印刷処理が開始されてから完了されるまでに要する時間と、前記第2の印刷手段によって既に実行されている印刷処理が完了されるまでに要する時間とを含むことを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の印刷管理システム。
【請求項6】
前記決定手段は、前記算出手段によって算出された第2の完了時間が予め設定された所定の閾値より短いか否かを判断し、第2の完了時間が所定の閾値より短い場合には、前記算出手段の他の算出結果に関わらず、前記第2の印刷手段に印刷ジョブを実行させること決定することを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の印刷管理システム。
【請求項7】
前記記憶手段には、更に、前記製本手段が製本処理を実行中か否かを示す実行状態情報が記憶され、
前記決定手段は、前記受付手段によって印刷ジョブが受け付けられた場合に、前記実行状態情報を参照することで前記製本手段が製本処理を実行中か否かを判断し、前記製本手段が製本処理を実行していない場合には、前記算出手段の算出結果に関わらず、前記第1の印刷手段に印刷ジョブを実行させること決定することを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の印刷管理システム。
【請求項8】
入力する印刷ジョブに基づいて印刷処理を実行する第1の印刷手段と、入力する印刷ジョブに基づいて印刷処理と製本処理とを一連の処理として実行する第2の印刷手段と、前記第1の印刷手段によって出力される印刷物に対して製本処理を実行する製本手段と、前記第1の印刷手段と前記第2の印刷手段とにそれぞれ通信可能に接続され、前記第1の印刷手段と前記製本手段とが対応付けられていることを示す対応情報を記憶する印刷管理手段と、を備える印刷管理システムで実行される印刷管理方法であって、
前記印刷管理手段は、
ユーザ端末から印刷処理を実行するための印刷ジョブを受付け、当該印刷ジョブに製本指示が含まれているか否かを判断する受付ステップと、
前記受付手段によって印刷ジョブに製本指示が含まれていると判断された場合に、前記対応情報を参照して、前記第1の印刷手段と前記製本手段とが対応付けられていることを特定し、前記製本手段に対応付けられた前記第1の印刷手段及び前記第2の印刷手段のいずれか一方を、所定条件に基づいて印刷ジョブの送信先として決定する決定ステップと、
決定ステップと、
前記決定手段の決定結果に基づき、前記第1の印刷手段及び第2の印刷手段のいずれか一方に印刷ジョブを送信する実行ステップと、
を実行することを特徴とする印刷管理方法。
【請求項9】
入力する印刷ジョブに基づいて印刷処理を実行する第1の印刷手段と、入力する印刷ジョブに基づいて印刷処理と製本処理とを一連の処理として実行する第2の印刷手段とのそれぞれに対して印刷ジョブを出力可能な印刷管理装置であって、
前記第1の印刷手段と、製本処理を実行する製本手段とが対応付けられていることを示す対応情報を記憶する記憶手段と、
ユーザ端末から印刷処理を実行するための印刷ジョブを受付け、当該印刷ジョブに製本指示が含まれているか否かを判断する受付手段と、
前記受付手段によって印刷ジョブに製本指示が含まれていると判断された場合に、前記対応情報を参照して、前記第1の印刷手段と前記製本手段とが対応付けられていることを特定し、前記製本手段に対応付けられた前記第1の印刷手段及び前記第2の印刷手段のいずれか一方を、所定条件に基づいて印刷ジョブの送信先として決定する決定手段と、
前記決定手段の決定結果に基づき、前記第1の印刷手段又は第2の印刷手段の何れか一方に印刷ジョブを送信する実行手段と、
を備えることを特徴とする印刷管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−108727(P2012−108727A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256983(P2010−256983)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】