説明

印刷紙葉類の真贋判定用センサー装置及びそのセンサー装置を用いた印刷紙葉類の整理収納装置

【課題】 印刷紙葉類、特に各国の紙幣に関し、そのインクの特性に合わせて反応する特定された波長の光を使用する光学系のセンサー装置は存在していなかったという点、また、特に紙幣に関して、真贋をチェックした後、それを分納して整理する装置は複雑なものとなって部品点数も増え、大型化してしまいその分故障も多く、価格も高騰してしまうという点である。
【解決手段】 相対向して印刷紙葉類の搬送路を形成するガイドの一方に複数の波長を有する発光素子群及び受光素子群を並設し、他方には前記発光素子群からの光を受ける受光素子群及び前記受光素子群に受光させる発光素子群を各々対向して設け、前記発光素子群のうち最内のものは紫外線発光素子とし、外側複数のものは赤色もしくは近赤色等の発光素子とするとともに、前記した紫外線発光素子の波長は370nm〜380nmの範囲内のものとしたこととする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷紙葉類、特に紙幣、それも我が国に限らず、中国、韓国、米国等の外国紙幣の真贋を判定するためのセンサー装置及びそのセンサー装置を組み入れた整理収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動販売機、両替機、その他現金を取扱うシステムにあってはその紙幣の真贋を判定するセンサーが設けられており、このセンサーは紙幣に含有される磁気をチェックするものから、画像をチェックしたり、隠された文字や図柄をチェックするもの等が知られているが、近似は光を用いた光センサーが主流となってきている。
【0003】
上記した光学系のセンサーは種々の波長の光を用いて、紙幣に反射あるいは透過させて、その光を受光して得られるデータを真正のデータと比較するものであるが、近時は紙幣を製作するためのインクも特殊なものが用いられ、特定の波長の光にのみ反応するようになっているケースも多く、この場合、その特定の波長の光を選定し、センサーとして利用することが精度のよい真贋判定には欠かせないものとなっている。
【0004】
しかしながら、上記した特定の波長は贋札の作成を助長させるため一般には発表されるものではなく、繰り返しの実験により探索されるものとなる。加えて、この紙幣を多数枚、真贋をチェックして分納する整理装置は単一種類のものをはじめ、複数混在した状態ではその構成が複雑となり、サイズが大型化してしまい、また、その分故障も多く、製品価格も高騰してしまうものとなっていた。
【特許文献1】出願人は本願発明について、先行する技術文献を調査したが、格別に本願発明と関連し、類似すると思われる文献は発見することができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする問題点は、印刷紙葉類、特に各国の紙幣に関し、そのインクの特性に合わせて反応する特定された波長の光を使用する光学系のセンサー装置は存在していなかったという点である。
【0006】
また、特に紙幣に関して、真贋をチェックした後、それを分納して整理する装置は複雑なものとなって部品点数も増え、大型化してしまいその分故障も多く、価格も高騰してしまうという点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題点を解決するために、本発明に係る印刷紙葉類の真贋判定用センサー装置は相対向して印刷紙葉類の搬送路を形成するガイドの一方に複数の波長を有する発光素子群及び受光素子群を並設し、他方には前記発光素子群からの光を受ける受光素子群及び前記受光素子群に受光させる発光素子群を各々対向して設け、前記発光素子群のうち最内のものは紫外線発光素子とし、外側複数のものは赤色もしくは近赤色等の発光素子とするとともに、前記した紫外線発光素子の波長は370nm〜380nmの範囲内のものとしたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る印刷紙葉類の整理収納装置は印刷紙葉類の搬送路に前記した真贋判定用センサー装置を具備し、前記した搬送路の一次側に、複数枚の印刷紙葉類を重ねて落とし込み、スプリングで附勢された押圧プレートでその印刷紙葉類を抑える受入室を備え、その受入室に続けて前記スプリングの附勢力で印刷紙葉類が移行され、略直角に傾倒可能とした送り出し室を備え、その送り出し室から一枚づつ印刷紙葉類を搬送路へ搬出する手段を備えるとともに、搬送路の端末に真正のものと、不明のものを分離して収納する収納室を備えていることを特徴とし、前記した分離しての収納は、各々スプリングで附勢された真正用、不明用の各受プレート間に双方へ移動可能とされた可動プレートを備えていることを特徴とし、前記した可動プレートの両端は櫛歯状部とされ、その櫛歯状部は前記した受プレートの支持ブラケットに形成されたスリット間を通行することを特徴とし、前記した受プレートは積層されている印刷紙葉類の中間部の撓みを防止するため、各々の収納室側へ向けて膨出されていることを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明に係る印刷紙葉類の整理収納装置は印刷紙葉類の搬送路に前記した真贋判定用センサー装置を具備し、前記した搬送路の端末に振り分け手段を備え、真正の印刷紙葉類は回転するベーン車に送り、そのベーン車から、そのベーン車に対し斜状に配置され、かつ、スプリングで附勢された受板に送るとともに、不明の印刷紙葉類はソレノイドやモータ等の駆動源で摺動する押圧板によりスタッカーへ収容することを特徴とし、前記した搬送路の入口部分にあって搬送路に回転無端ベルトを用いて印刷紙葉類を送り込む機構を備え、その駆動ローラとベルトを掛け回される従動ローラが使用時に搬送路とベルトが直線状に並ぶよう前記した駆動ローラの軸を中心として回転移動可能とすることを特徴としている。
【0010】
そして、本発明に係る印刷紙葉類の整理収納装置は前記した印刷紙葉類の真贋判定用センサーを搬送路に具備した印刷紙葉類の整理収納装置であって、搬送系と収納系を各々別途のブロックとしてそれを相互に組み合わせ、搬送路へ送り込む印刷紙葉類の積層はカバーをオープンとして実施され、真正印刷紙葉類と不明印刷紙類はモータ等によって駆動する振り分けプレートによって各々のスタッカーへ分納されることを特徴とし、前記した真正の印刷紙葉類のスタッカーには収容物の取出し確認用センサーを備え、不明印刷物のスタッカーには入庫確認用センサーを備えていることを特徴とし、前記した印刷紙葉類の整理収納装置であって、搬送路の端末を少なくとも三つに分岐させ、かつ、その分岐によって分納される印刷紙葉類を振り分けプレートで区分し、多種類の各々ごとに真正のものと不明のものを整理収納することを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る印刷紙葉類の整理収納装置は前記した印刷紙葉類を送り込む積層セット部はアジャスターによって幅の調整が可能としてあることを特徴とし、前記したアジャスターは方向性の異なるネジ山をもったネジ棒を底面が分割重合するケースに架け渡され、そのネジ棒の回転でケースの幅を変更するとともに、前記ネジ棒の中間にベルトを掛け回したプーリが備えられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る印刷紙葉類の真贋判定用センサー装置及びそのセンサー装置を用いた印刷紙葉類の整理収納装置は上記のように構成されている。そのため、対象となる印刷紙葉類の搬送時に必要に応じてその両面から特定の波長の光を複数種用いて真贋のチェックを行なうため、特殊インクを用いた印刷紙葉類であっても精度よく、その真贋を判定することができることとなる。
【0013】
また、その印刷紙葉類の整理収納装置もスペースを取らないコンパクトなものとし、しかも部品点数が少なくなって故障も減り、価格も低廉なものとして需要者に供給することができることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面として示し、実施例で説明したように構成することで実現した。
【実施例1】
【0015】
次に、本発明の好ましい実施の例を図面を参照して説明する。図1は印刷紙葉類として特に紙幣、それも中国の元紙幣に対応させた紙幣の整理収納装置の機構を示す図、図2は同じく可動プレートもしくは受プレートの端部を示す部分平面図、図3は同じく噛み合せ状態を示す部分正面図、図4は同じくセンサー装置を示す概念図、図5は同じく第二の機構を示す図、図6は同じく第三の機構を示す図、図7は同じく第四の機構を示す図、図8は同じくアジャスト機構を示す図、図9は同じく第五の機構を示す図である。
【0016】
これらの図にあって1は紙幣の整理収納装置を示している。この整理収納装置1は束ねられた紙幣をセットする受入室2が設けられており、図1に示す場合この受入室2は上部が開口されており、この開口から紙幣束を落とし入れることとなる。この受入室2には一方側にスプリング3で横方向に附勢された押圧板4が備えられ、この押圧板4によってセットされた紙幣束は略ボックス状をした送り出し部5へ押し付けられる。尚、図中スプリング3は一本を示しているが2〜3本のスプリング3を使用すると押圧力を押圧板4に対し、平均的に与えられる。
【0017】
この送り出し部5はカバーとしても機能するもので、略90度整理収納装置1の外方へ傾倒させ、後述する搬送路と直線状として紙幣を送り出すようにすることもできる。この送り出し部5には紙幣を一枚づつ送り出すための駆動ローラ6が臨まされており、搬出ローラ16、ワンウェイクラッチ7及び一枚づつ捌くための送りローラ8によって紙幣は駆動ローラ6に沿ったガイド9へと送り出されていく。尚、このガイド9の部分には紙幣の通過を確認する光学系のセンサー10、10が備えられている。
【0018】
前記した駆動ローラ6には転接ローラ11が密接されており、ガイド9を通過した紙幣をこの転接ローラ11と駆動ローラ6とで挟持回転して搬送路12へと送り込む。この搬送路12には通過する紙幣を挟むように一対の光学系の真贋判定用センサー装置13が設けられている。
【0019】
このセンサー装置13は上側が発光素子部13a、下側が受光素子部13bとされているもので、各々二列に発光素子と、それに対応する受光素子が並べられたものとなっている。ここで、最もセンター寄りの部分の一列には紫外線の発光素子13c、13c及びその受光素子13d、13dを配置してあり、ここで使用する紫外線の波長は中国の元紙幣に対応する370〜380nmのものを特定独自のものとして使用する。
【0020】
また、本実施例では発光素子及び受光素子はセンターラインを挟んで左右に三個づつ、それを二列の六個づつの配置とされており、その中間の素子は赤色もしくは近赤のもの、最外のものは近赤もしくは赤色のものという構成とし、紙幣のセンターから離れた部位のチェックを行なうものとなっている。即ち、図中13eの発光素子は13fの受光素子と対応する。図4にあって発光素子部13aは180度回転され、受光素子部13bと対向し、その間を紙幣が通過することとなる。また、この図に示す実施例に限らず上側13aに発光素子のみならず、受光素子も並設し、下側13bには上側の受光素子に受光させる発光素子を並設する構成とすることもでき、この場合、各素子の数も増量することができる。かかる構成とすることで、紙幣の表裏左右の四方向での走行に対応でき、しかも、表裏をチェックするため、従来は少なくとも二対のセットとしたセンサー装置をシンプルな一対構成とすることができ、コストも大きくダウンさせることができる。
【0021】
さらに、前記した搬送路12にはセンサー装置13の二次側に二対の送りローラ14、14‥を配置し、真正紙幣と不明紙幣を分納して収納する収納室15へと紙幣を送り込む。ここで、搬送路12の末端はややせり上がった構成として、紙幣の通過に収納室15へ入るに先立ってのブレーキをかけることができるものとしている。
【0022】
この搬送路12の末端は収納室15の全体としての略中央部位へ臨まされており、その収納室15の略中間部位には紙幣を受け入れる一対の支持ブラケット16、16が設けられ、紙幣はこの一対の支持ブラケット16、16の間に搬入される。また、この支持ブラケット16、16はその中央部分が大きく開口され、可動プレート17の通行を許容するものとなっている。
【0023】
収納室15は支持ブラケット16、16及び可動プレート17で仕切られて、本実施例にあって下方が真正の紙幣収納室18、上方が不明の紙幣の収納室19とされている。各収納室18、19には紙幣の受プレート20、20がコイルスプリング21、21で附勢されて備えられており、この受プレート20、20の各端部は初期状態で支持ブラケット16、16と当接したものとされている。
【0024】
送り込まれてくる紙幣は前記したセンサー装置13によって真贋を判定され、支持ブラケット16、16間に入るが、その紙幣の入る前に真正紙幣ならば可動プレート17はやや上方へ移動しており、支持ブラケット16、16間に入った紙幣を下方の真正の紙幣収納室18へ押し下げる。この作業によって紙幣はその両端を支持ブラケット16、16の端縁に擦りながら収納室18へ移行され、受プレート20と支持ブラケット16、16の間に挟持される。この動作を繰り返して、紙幣は積層されていくもので、不明紙幣の場合も収納室19に対して同様の動作がなされ、この場合は下から順次積層されていくこととなる。
【0025】
また、受プレート20、20は積層される紙幣の中間部がへたって、撓んでしまうことを防止するため、スプリング21、21の方向に向けて、中央部分を膨出させた形態としている。
【0026】
さらに、支持ブラケット16の内側端縁及び可動プレート17の端縁は相互に位置をずらせた櫛歯状に構成されているもので、可動プレート17の端縁突起17a、17a‥は支持ブラケット16の突起16a、16aによって形成されるスリット間を通行し、相互の衝突なく可動プレート17が上下動することができるものとしている。また、この突起16a、17aはともに下方に向けて屈曲されているもので、その噛合状態で紙幣はその上をスムーズに通行できるものとしている。
【0027】
そして、収納室15の上方には表示部22が設けられている。この表示部22には、真正紙幣の収納枚数表示部23a、不明紙幣の収納枚数表示部23b及びその合計枚数の表示部23cが設けられている。
【0028】
また、その各表示部の下方にはパワースイッチ24a、スタートスイッチ24bのほか、リセットスイッチ24c及びプリンター25の起動スイッチ24dが設けられ、それらのスイッチと隣接して、対象となる紙幣の選択をするセレクトスイッチ26a、26b、26c、26dが設けられ、例えば中国の元紙幣ならば100元、50元、20元、10元と対応させてセレクトすることができる。なお、このセレクトはボタンスイッチのみならずメモリーカード等の使用も可能となり、このセレクトによって前記した受入室2の幅を紙幣に合わせて後述するアジャスト機構によってアジャストすることができるものとなっている。
【0029】
一方、図5として示すのは紙幣の整理収納装置としての第二の例であり、この場合は縦型のものとなっている。上部に設けられた受入室2にセットされた紙幣Bは下方に向けて形成された搬送路12に駆動ローラ6及びワンウェイクラッチ27によって一枚づつ送られていく。この搬送路12には前記したと同様のセンサー装置13が設けられるが、本実施例の場合、このセンサー装置13は左右に対向することとなる。
【0030】
搬送路12にはセンサー装置13の二次側に一対の送りローラ14、14が設けられ紙幣Bを一枚づつ搬送する。また、この搬送路12の末端には振り分け板28が備えられており、センサー装置によって真贋を判定された紙幣をその判定結果によって左右方向へ振り分ける。真正と判定された紙幣Bは振り分け板28の二次側に設けられた転接する大小の送りローラ29a、29bに挟持されて、回転するベーン車30の各ベーン間の隙間へ搬入される。ベーン車30の各ベーンは中心ドラムの外周にその接線方向に設けられているもので、紙幣Bがそのベーン車30の下方へ巻き込まれて送られた位置で外方へ放出される。
【0031】
前記したベーン車30の下方には受板31がスプリング32で上方へ向けて附勢されて備えられている。この受板31はベーン車30に対し斜めに、換言すると紙幣Bを放出するベーンの向きと平行となるよう配置され、この受板31上に放出された紙幣Bが順次一枚づつ回転するベーンによって押え付けられて積層されていくこととなる。
【0032】
また、センサー装置13によって不明と判定された紙幣Bは振り分け板28によって方向を変えられ、不明紙幣用の収納室33の上部へと導かれる。この収納室33の上部には不明紙幣Bを受け入れる開口34aを形成した仕切板34が設けられており、この開口34aに対し、ソレノイドあるいはモータ等の駆動源35によって上下に可動する押圧板36が出入自在に備えられている。不明紙幣Bは初期状態で仕切板34より上方に位置される押圧板36と仕切板34の間へ入れられ、押圧板36の下降によって収納室33内へ落下されることとなる。
【0033】
次に、図6として示すのは前記したベーン車30を用いた機構を横方向にした場合のものである。この場合の受入室2はカバーを傾倒させて形成することも、予め設定されたタイプでもよい。駆動ローラ(プーリ)6には従動プーリ37との間で無端ベルト38が掛け回され、やや屈曲されて積層された受入室2内の紙幣Bは最下端のものから、この無端ベルト38に乗せられ、搬送路12へと搬送される。前記した従動プーリ37は無端ベルト38とともに、駆動ローラ36を中心として回動され、不使用時には収納できるようにすることもできる。
【0034】
搬送路12には前記したセンサー装置13が具備され、そのセンサー装置13の二次側には二対の搬送ローラ14、14‥が備えられている。搬送路12の末端はストレートにベーン車30に臨まされているが、この搬送路12の末端には振り分け板28が備えられている。この振り分け板28はベーン車30に沿う弧状に形成されているもので、その後端部をソレノイドあるいはモータ等の駆動源35で駆動され、スプリング39を巻装された操作子40で操作され、通常はその前端を想像線で示すように持ち上げた状態とされている。
【0035】
センサー装置13によって真正な紙幣と判定されると、振り分け板28はその後端を操作子40で押され、前端を持ち上げ、搬送路12の末端を開放して、その真正の紙幣Bをベーン車30のベーン間に送り込む。ベーン車30は矢印方向に回転し、スプリング32で附勢された受板31上に順次一枚づつ積層されていくこととなる。
【0036】
また、センサー装置13によって不明と判定されると、操作子40が引き上げられ、振り分け板28は送りローラ29の一次側に設けられている断面L字状をしたガード部41にその先端を入れる状態に回動下降される。この状態で不明の紙幣Bは振り分け板28の上面へガイドされていき、再び振り分け板28の先端が持ち上げられる回動動作によって収納室33内へ送り込まれることとなる。また、ガード部41の存在によって不明紙幣が振り分け板28の下方に誤って入ってしまうことが防止される。
【0037】
また、図7として示すのは紙幣の搬送系と収納系を独立ブロックとしてユニットとして組み合わせすることもできる例である。受入室2は使用時にカバーをオープンして設定されるもので、この例にあっては設定の完了を示すパイロットランプとしてLED42が設けられている。この例でも駆動ローラ(プーリ)6には従動プーリ37との間で無端ベルト38が掛け回されており、不使用時にはこの従動プーリ37は無端ベルト38と共に回動してケーシング内に収容されるようになっている。尚、この例にあって43として示すスペースはプリント回路基板等の収容部とされている。
【0038】
一方、収納室15は第一例と同様に下方が真正の紙幣用収納室18、上方が不明の紙幣の収納室19とされ、上方に表示部22が設けられているが、この例ではさらに5元用のセレクトスイッチ26eも設け、さらに、そのセレクトスイッチ自体もしくは対応するLEDを設け、何が選択されているかを示す照光を設けることができるものとしている。
【0039】
収納室15の略中間位置には一対の支持ブラケット44a、44bが設けられ、搬送路12を搬送されてきた紙幣はこの一対の支持ブラケット44a、44b間に導入される。支持ブラケット44a、44bは各々中央部が開口されているもので、その開口間をモータ駆動される振り分け板45が上下動して通行するようになっている。また、各収納室18、19内には各々スプリング21、21で支持ブラケット44a、44b方向へ附勢された受プレート20、20が設けられ各受プレート20、20の端部は初期状態で支持ブラケット44a、44bと当接するものとなっている。
【0040】
前記した振り分け板45はセンサー装置13による判定に応じて上下のいずれかに動くもので、紙幣は各々受プレート20と支持ブラケット44aもしくは44bとの間に挟持され順次積層されていく。なお、支持ブラケット44aには収納された真正紙幣の取り出し確認、即ち空になったことを確認するセンサー46が、支持ブラケット44bには不明の紙幣が入庫したことを確認するセンサー47が具備されている。
【0041】
さらに、図9として示すのは、受入室2に複数の紙幣を混在させ、その一枚づつの真贋判定を行い、各金種ごとに真贋に分納する場合である。従って、この例にあっては受入室2には複数の金種が混在された状態での紙幣がセットされることとなる。この例にあっても受入室2のカバーをオープンさせることで使用される構成となっており、駆動ローラ(プーリ)6は従動プーリ37との間で無端ベルト38が掛け回され、不使用時にはケーシング内に従動プーリ37と無端ベルト38は収容される構成となっている。
【0042】
搬送路12には前記したセンサー装置13が具備されているが、この例にあってセンサー装置13は上側となる13aと下側となる13bに各々発光素子と受光素子とを市松状に備え、搬送される紙幣の表裏におけるチェック及び真贋に加え、金種のチェックを行なうことができる構成としてある。また、この場合紙幣を長手方向のみならず短手方向で送ることも可能で、短手方向で送った場合、表裏及び左右入変の4方向におけるチェックを可能としている。
【0043】
また、この例における搬送路には末端近傍が本実施例にあっては該搬送路12がストレートに延設された搬路に加え、二つの分岐路48a、48bを備え、計三つに分岐された構成となっている。そして、この各分岐路48a、48b及びストレートな搬送路12の延長に対する金種別の誘導は複数個のソレノイドあるいはモータによって実行される。
【0044】
さらに、図中49は本例に紙幣の収納ボックスで、この収納ボックス49は内部が二枚の仕切板50、50によって三つの収納室49a、49b、49cに分割されている。そして、前記した分岐路48a、48b等はこの各収納室49a、49b、49cに対し、各々連通されている。また、収納ボックス49はユニットとして搬送系とジョイントしてもよいし、当初より一体型のものであってもよい。
【0045】
各収納室49a、49b、49c内には図9では格別に図示していないが、図7で示したと同様に各々支持ブラケット44a、44b及びスプリングで附勢された受プレートが設けられ、各々導入されてきた紙幣を振り分ける振り分け板45が備えられている。
【0046】
即ち、三つの収納室49a、49b、49cはさらにその内部で二種に分納することができるため、計六種類の金種を分納することができ、中国紙幣や米国のドル紙幣等に適応することができ、四種の紙幣を分納する場合、そのうちの二種を真正のものと不明のものとに分け整理収納するようにすることもできる。
【0047】
さらに、前記した受入室2における各紙幣に対応しての幅のアジャストは例えば図8として示すような構成で実行することができる。受入室2は底面が上下に重合して拡縮を可能としたケーシング51によって形成されており、そのケーシング51の対向する側壁に中央部分で方向が変更されるネジ山をもったネジ棒52が架設されており、そのネジ棒52の中央に従動プーリ37が取り付けられている。この従動プーリ37には前記したように無端ベルト38が駆動ローラ(プーリ)6との間で掛け回されている。
【0048】
ここで、対象とする金種のセレクトがなされると、そのセレクトに応じてネジ棒52が回転し、ケーシング51を拡げたりもしくは縮めたりすることで、該金種紙幣の幅に対応してケーシング51の幅をアジャストし、受入室2内において紙幣の密なセットを行なうことができるものとしている。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る印刷紙葉類の真贋判定用センサー装置及びそのセンサー装置を用いた印刷紙葉類の整理収納装置は上記のように構成されている。実施例にあっては対象とする印刷紙葉類は外国紙幣としたがこれにこだわるものではなく日本国紙幣やその他商品券、チケット類、宝くじ券等の印刷紙葉類に対しても幅広く応用実施をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】印刷紙葉類として特に紙幣、それも中国の元紙幣に対応させた紙幣の整理収納装置の機構を示す図である。
【図2】可動プレートもしくは受プレートの端部を示す部分平面図である。
【図3】噛み合せ状態を示す部分正面図である。
【図4】センサー装置を示す概念図である。
【図5】第二の機構を示す図である。
【図6】第三の機構を示す図である。
【図7】第四の機構を示す図である。
【図8】アジャスト機構を示す図である。
【図9】第五の機構を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 紙幣の整理収納装置
2 受入室
3 スプリング
4 押圧板
5 送り出し部
6 駆動ローラ(プーリ)
7 ワンウェイクラッチ
8 送りローラ
9 ガイド
10 センサー
11 転接ローラ
12 搬送路
13 センサー装置
14 送りローラ
15 収納室
16 支持ブラケット
17 可動プレート
18 収納室
19 収納室
20 受プレート
21 スプリング
22 表示部
23a 真正紙幣の収納枚数表示部
23b 不明紙幣の収納枚数表示部
23c 合計枚数表示部
24a パワースイッチ
24b スタートスイッチ
24c リセットスイッチ
24d プリンタースイッチ
25 プリンター
26a セレクトスイッチ
26b セレクトスイッチ
26c セレクトスイッチ
26d セレクトスイッチ
26e セレクトスイッチ
27 ワンウェイクラッチ
28 振り分け板
29a 送りローラ
29b 送りローラ
30 ベーン車
31 受板
32 スプリング
33 収納室
34 仕切板
35 駆動源
36 押圧板
37 従動プーリ
38 無端ベルト
39 スプリング
40 操作子
41 ガード部
42 LED
43 収容部
44a 支持ブラケット
44b 支持ブラケット
45 振り分け板
46 センサー
47 センサー
48a 分岐路
48b 分岐路
49 収納ボックス
49a 収納室
49b 収納室
49c 収納室
50 仕切板
51 ケーシング
52 ネジ棒
B 紙幣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向して印刷紙葉類の搬送路を形成するガイドの一方に複数の波長を有する発光素子群及び受光素子群を並設し、他方には前記発光素子群からの光を受ける受光素子群及び前記受光素子群に受光させる発光素子群を各々対向して設け、前記発光素子群のうち最内のものは紫外線発光素子とし、外側複数のものは赤色もしくは近赤色等の発光素子とするとともに、前記した紫外線発光素子の波長は370nm〜380nmの範囲内のものとしたことを特徴とする印刷紙葉類の真贋判定用センサー装置。
【請求項2】
印刷紙葉類の搬送路に前記した真贋判定用センサー装置を具備し、前記した搬送路の一次側に、複数枚の印刷紙葉類を重ねて落とし込み、スプリングで附勢された押圧プレートでその印刷紙葉類を抑える受入室を備え、その受入室に続けて前記スプリングの附勢力で印刷紙葉類が移行され、略直角に傾倒可能とした送り出し室を備え、その送り出し室から一枚づつ印刷紙葉類を搬送路へ搬出する手段を備えるとともに、搬送路の端末に真正のものと、不明のものを分離して収納する収納室を備えていることを特徴とする印刷紙葉類の整理収納装置。
【請求項3】
前記した分離しての収納は、各々スプリングで附勢された真正用、不明用の各受プレート間に双方へ移動可能とされた可動プレートを備えていることを特徴とする請求項2に記載の印刷紙葉類の整理収納装置。
【請求項4】
前記した可動プレートの両端は櫛歯状部とされ、その櫛歯状部は前記した受プレートの支持ブラケットに形成されたスリット間を通行することを特徴とする請求項3に記載の印刷紙葉類の整理収納装置。
【請求項5】
前記した受プレートは積層されている印刷紙葉類の中間部の撓みを防止するため、各々の収納室側へ向けて膨出されていることを特徴とする請求項2、請求項3または請求項4に記載の印刷紙葉類の整理収納装置。
【請求項6】
印刷紙葉類の搬送路に前記した真贋判定用センサー装置を具備し、前記した搬送路の端末に振り分け手段を備え、真正の印刷紙葉類は回転するベーン車に送り、そのベーン車から、そのベーン車に対し斜状に配置され、かつ、スプリングで附勢された受板に送るとともに、不明の印刷紙葉類はソレノイドやモータ等の駆動源で摺動する押圧板によりスタッカーへ収容することを特徴とする印刷紙葉類の整理収納装置。
【請求項7】
前記した搬送路の入口部分にあって搬送路に回転無端ベルトを用いて印刷紙葉類を送り込む機構を備え、その駆動ローラとベルトを掛け回される従動ローラが使用時に搬送路とベルトが直線状に並ぶよう前記した駆動ローラの軸を中心として回転移動可能とすることを特徴とする請求項6に記載の印刷紙葉類の整理収納装置。
【請求項8】
前記した印刷紙葉類の真贋判定用センサーを搬送路に具備した印刷紙葉類の整理収納装置であって、搬送系と収納系を各々別途のブロックとしてそれを相互に組み合わせ、搬送路へ送り込む印刷紙葉類の積層はカバーをオープンとして実施され、真正印刷紙葉類と不明印刷紙類はモータ等によって駆動する振り分けプレートによって各々のスタッカーへ分納されることを特徴とする印刷紙葉類の整理収納装置。
【請求項9】
前記した真正の印刷紙葉類のスタッカーには収容物の取出し確認用センサーを備え、不明印刷物のスタッカーには入庫確認用センサーを備えていることを特徴とする請求項8に記載の印刷紙葉類の整理収納装置。
【請求項10】
前記した印刷紙葉類の整理収納装置であって、搬送路の端末を少なくとも三つに分岐させ、かつ、その分岐によって分納される印刷紙葉類を振り分けプレートで区分し、多種類の各々ごとに真正のものと不明のものを整理収納することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の印刷紙葉類の整理収納装置。
【請求項11】
前記した印刷紙葉類を送り込む積層セット部はアジャスターによって幅の調整が可能としてあることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9または請求項10に記載の印刷紙葉類の整理収納装置。
【請求項12】
前記したアジャスターは方向性の異なるネジ山をもったネジ棒を底面が分割重合するケースに架け渡され、そのネジ棒の回転でケースの幅を変更するとともに、前記ネジ棒の中間にベルトを掛け回したプーリが備えられていることを特徴とする請求項11に記載の印刷紙葉類の整理収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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