印刷装置、制御方法、プログラム及び記録媒体
【課題】印画物の濃度ムラ及び濃度の減少を低減する。また、ロール紙の紙詰まりの発生を低減する。
【解決手段】ヘッドを降下させ、降下させたヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧することにより、ロール紙に画像を印画する印刷装置であって、ヘッドを降下させる動作、または、ヘッドが押圧する動作をロール紙の残量に応じて制御する。
【解決手段】ヘッドを降下させ、降下させたヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧することにより、ロール紙に画像を印画する印刷装置であって、ヘッドを降下させる動作、または、ヘッドが押圧する動作をロール紙の残量に応じて制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドを動作させることによって印画を行う印刷装置、制御方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、スキャナ等の画像の入力を行う機器の進歩に伴い、画像の出力を行う機器としてサーマルプリンタが注目されてきている。サーマルプリンタは特に、自然画像用のプリンタとしての注目度が高い。
【0003】
これは、サーマルヘッドや用紙材料の性能が向上してきていることにより、銀塩写真にも見劣りしない品質の画像プリントを得ることが可能となってきているためである。
【0004】
サーマルプリンタには、サーマルヘッドで感熱記録紙を加熱して直接発色させる感熱記録方式と、記録紙と重ね合わされたインクリボンをサーマルヘッドで加熱し、記録紙にインクを転写することによって印画を行う熱転写記録方式とがある。熱転写記録方式はさらに、サーマルヘッドの熱でインクを溶かして記録紙に転写する熱溶融転写方式と、インクを気化させて記録紙に転写する昇華型転写方式とに大別される。
【0005】
なお、サーマルヘッドには、セラミック製の基板上に多数の発熱素子(抵抗体)がライン上に形成されており、これらの発熱素子に通電する電力によって発熱量を制御することが可能である。
【0006】
昇華型転写方式においては、サーマルヘッドの発熱量を制御してインクリボンに加える熱量を調節することにより、転写するインクの量を調整することが可能である。そのため、昇華型転写方式は、熱溶融型転写方式と比べて階調表現の点で優れている。
【0007】
熱転写記録方式においてサーマルヘッドは、印刷を行わない時には、退避位置におり、印刷時に、印画を行う位置である印画位置へと降下し、プラテンローラとの間でインクリボン及び記録紙とを押圧する。これにより、記録紙に画像が印画される。
【0008】
サーマルプリンタにおいて、ロール紙を記録紙として用いる場合、カット紙を用いる場合と比較すると、収納の都合上、カールが発生する。このカールが残った状態で印刷を行うと、印画物に濃度ムラ等が発生したり、ロール紙の紙詰まりが発生したりする。なお、ロール紙とは、ローラに巻かれた帯状の記録紙のことである。
【0009】
ここで、印刷装置において、印画物の濃度ムラ等を低減するための技術が例えば、特許文献1に開示されている。
【0010】
特許文献1に開示されている技術では、サーマルヘッドのヘッド基板とヒートシンクとによって形成される隙間にペースト状の物質を充填し、そのペースト状の物質の流動性により、ヘッド基板に作用する押圧力を均一化する。これにより、サーマルヘッドにおける押圧力の分布を均一化し、印画物の濃度ムラ等を低減している。
【0011】
また、印刷装置において、記録紙の紙詰まりの発生を低減するための技術が例えば、特許文献2に開示されている。
【0012】
特許文献2に開示されている技術では、サーマルヘッドとプラテンローラとの距離を記録紙(印画用紙)の厚さに応じて変化させることにより、紙詰まりの発生を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−44126号公報
【特許文献2】特開平06−262822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ロール紙を記録紙として用いた場合、ロール紙の残量が減少するにつれて、ロール径が短くなる。これにより、印画位置に搬送されるロール紙のカール量は大きくなっていく。
【0015】
図21は、印画位置に搬送されたロール紙の状態の一例を示す図であり、(a)はロール紙の残量が少なくなっている場合の状態を示す図、(b)はロール紙の残量が(a)よりも多い場合の状態を示す図である。
【0016】
図21(b)に示す状態では、図21(a)に示す状態よりもロール紙902のカール量が小さい。そのため、ロール紙902は、サーマルヘッド901とプラテンローラ903との間をほぼカールがない状態で搬送される。一方、図21(a)に示す状態では、図21(b)に示す状態よりもロール紙902のカール量が大きい。そのため、ロール紙902は、サーマルヘッド901とプラテンローラ903との間をカールが残った状態のまま搬送される。
【0017】
この結果、ロール紙の残量が少なくなっておりカール量が大きな場合には、サーマルヘッド901によるロール紙902を押圧する際の圧力が、ロール紙902に対して均等に作用しなくなる状態が発生する。この場合、インクリボン等がロール紙902の搬送中に動いてしまい、濃度ムラが発生する。
【0018】
つまり、特許文献1に開示されている技術を利用し、サーマルヘッドにおける押圧力の分布を均一化しても、カール量の大きさによっては、印画物の濃度ムラを低減することができない。
【0019】
また、ロール紙を記録紙として用いた場合、上述したように、ロール紙の残量が減少するにつれて、印画位置に搬送されるロール紙のカール量は大きくなっていく。言い換えると、印刷枚数が増えるにつれて、ロール紙のカール量は大きくなっていくこととなる。これにより、印刷枚数が増えるにつれて、印画物の副走査方向の後端部分で濃度が減少してしまう。
【0020】
図22は、ロール紙を記録紙として用いた場合において、印画物の副走査方向の後端部分における濃度と印刷枚数との関係の一例を示す図である。
【0021】
図22に示すように印刷枚数が増えるにつれて、副走査方向における後端部分で濃度が減少していることが分かる。
【0022】
さらに、ロール紙を記録紙として用いた場合、ロール紙が印画位置へ搬送される際に、ロール紙902の先端部分がサーマルヘッド901に接近する際の角度は、ロール紙902の残量に応じて変化する。
【0023】
図23は、ロール紙の先端部分がサーマルヘッドに接近する際の状態の一例を示す図であり、(a)はロール紙の残量が少なくなっている場合の状態を示す図、(b)はロール紙の残量が(a)よりも多い場合の状態を示す図である。
【0024】
サーマルヘッド901は図23に示すように、円軌道を描きながらロール紙902へ向けて降下していく。そして、ロール紙902の先端部分は、ロール紙902のカール量の大きさに応じた角度でサーマルヘッド901へ接近していく。
【0025】
このとき、ロール紙902の先端部分がサーマルヘッド901に接近する際の角度によっては、ロール紙902は、サーマルヘッド901と接触した際に、弾性によって折れ曲がり、紙詰まりが発生する。
【0026】
つまり、特許文献2に開示されている技術を利用して記録紙の厚さに応じてサーマルヘッドとプラテンローラとの距離を変化させても、カール量の大きさによっては、紙詰まりの発生を低減することができない。
【0027】
本発明の目的は、印画物の濃度ムラ及び濃度の減少を低減することができる印刷装置、制御方法、プログラム及び記録媒体を提供することにある。
【0028】
また、本発明の他の目的は、ロール紙の紙詰まりの発生を低減することができる印刷装置、制御方法、プログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的を達成するために本発明の印刷装置は、ヘッドを退避位置から印画位置へと降下させ、該降下させたヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧することにより、前記ロール紙に画像を印画する印刷装置であって、
前記ヘッドを降下させる動作または前記ヘッドが押圧する動作を前記ロール紙の残量に応じて制御する。
【0030】
また、上記目的を達成するために本発明の制御方法は、ヘッドを退避位置から印画位置へと降下させ、該降下させたヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧することにより、前記ロール紙に画像を印画する印刷装置における制御方法であって、
前記ヘッドを降下させる動作または前記ヘッドが押圧する動作を前記ロール紙の残量に応じて制御する処理を有する。
【0031】
また、上記目的を達成するために本発明のプログラムは、ヘッドを退避位置から印画位置へと降下させ、該降下させたヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧することにより、前記ロール紙に画像を印画する印刷装置に、
前記ヘッドを降下させる動作または前記ヘッドが押圧する動作を前記ロール紙の残量に応じて制御する機能を実現させる。
【0032】
また、上記目的を達成するために本発明の記録媒体は、上記のプログラムを記録した記録媒体である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、ヘッドを退避位置から印画位置へと降下させる動作、または、ヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧する動作がロール紙の残量に応じて制御される。
【0034】
これにより、ロール紙のカール量の大きさに応じてヘッド圧を変化させることが可能となり、印画物の濃度ムラ及び濃度の減少を低減することができる。また、ロール紙のカール量の大きさに応じてヘッド降下速度を変化させることが可能となり、ロール紙の紙詰まりの発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の印刷装置の第1の実施形態の外観と、その印刷装置に装着されるカートリッジの一例の外観とを示す図である。
【図2】図1に示した印刷装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1に示したカートリッジが印刷装置に装着された状態を印刷装置の側面から見た断面図である。
【図4】カートリッジ情報を説明するための図であり、(a)はROMに記憶されたカートリッジ情報の一例を示す図、(b)はカートリッジのカートリッジ情報チップに記憶されたカートリッジ情報の一例を示す図である。
【図5】図1〜図3に示した印刷装置にカートリッジが装着されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1〜図3に示した印刷装置が印刷を行う際に、サーマルヘッドのヘッド圧を変化させる動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図7】図1〜図3に示した印刷装置に装着されるカートリッジの他の例を示す図であり、(a)はカートリッジの外観を示す図、(b)は(a)に示すカートリッジが備えるビットスイッチの一例を示す図である。
【図8】図1〜図3に示した印刷装置のROMに記憶されたカートリッジ情報の他の例を示す図である。
【図9】図1〜図3に示した印刷装置にカートリッジが装着されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図1〜図3に示した印刷装置が印刷を行う際に、サーマルヘッドのヘッド圧を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図11】図2に示したメインコントローラが制御するヘッド圧と残枚数との関係の一例を示す図である。
【図12】図1〜図3に示した印刷装置が印刷を行う際に、サーマルヘッドのヘッド圧を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図13】図2に示したメインコントローラが制御するヘッド圧と残枚数の範囲との関係の一例を示す図である。
【図14】図1〜図3に示した印刷装置が印刷を行う際に、サーマルヘッドのヘッド降下速度を変化させる動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図15】図3に示したロール紙の残量が少なくなっている場合に、ロール紙の先端部分がサーマルヘッドに接近する際の角度である入射角度を説明するための図である。
【図16】図15に示した場合において、ロール紙がサーマルヘッドと接触する際の状態の一例を示す図であり、(a)はヘッド降下速度が任意の速度V1である場合を示す図、(b)はヘッド降下速度がV1よりも速い場合を示す図である。
【図17】図15及び図16に示した場合よりもロール紙の残量が多い場合に、ロール紙の先端部分がサーマルヘッドに接近する際の角度である入射角度を説明するための図である。
【図18】図17に示した場合において、ロール紙がサーマルヘッドと接触する際の状態の一例を示す図であり、(a)はヘッド降下速度が任意の速度V1である場合を示す図、(b)はヘッド降下速度がV1よりも速い場合を示す図である。
【図19】図1〜図3に示した印刷装置が印刷を行う際に、サーマルヘッドのヘッド降下速度を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図20】図1〜図3に示した印刷装置が印刷を行う際に、サーマルヘッドのヘッド降下速度を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図21】印画位置に搬送されたロール紙の状態の一例を示す図であり、(a)はロール紙の残量が少なくなっている場合の状態を示す図、(b)はロール紙の残量が(a)よりも多い場合の状態を示す図である。
【図22】ロール紙を記録紙として用いた場合において、印画物の副走査方向の後端部分における濃度と印刷枚数との関係の一例を示す図である。
【図23】ロール紙の先端部分がサーマルヘッドに接近する際の状態の一例を示す図であり、(a)はロール紙の残量が少なくなっている場合の状態を示す図、(b)はロール紙の残量が(a)よりも多い場合の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、「印刷」とは、ユーザからの印刷の指示に基づいて印画を行い、ロール紙を所定サイズに切断して排紙するまでの一連の動作を指すものとする。また、「印画」とは、印刷の動作のうち、インクリボンに塗布されたインクをロール紙に転写することにより、画像をロール紙に記録する動作を指すものとする。
【0037】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の印刷装置の第1の実施形態の外観と、その印刷装置に装着されるカートリッジの一例の外観とを示す図である。
【0038】
本実施形態の印刷装置100は図1に示すように、側面が開閉するハウジング101を備えている。ハウジング101の側面が開閉することにより、カートリッジ110を矢印120の方向に着脱可能(装着及び取り出しが可能)な構成となっている。また、ハウジング101の上部には、表示部102と操作部103とが配置されている。
【0039】
表示部102は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面から構成され、印刷装置100において印刷される画像データを表示したり、印刷に必要な設定データを入力するための各種メニューを表示したりする。
【0040】
操作部103は、印刷装置100の電源のON/OFFを指示するための電源スイッチ104と、表示部102に表示された画像データや各種メニューを選択するための選択スイッチ105とを備えている。さらに、選択スイッチ105の周囲には、表示部102に表示されたカーソルを所望の位置に移動させるための左右キー106と、上下キー107とが配置されている。
【0041】
カートリッジ110は、ハウジング111と、ローラ回転軸112と、インクリボン供給ローラ回転軸113と、インクリボン巻き取りローラ回転軸114とを備えている。また、カートリッジ110には、インクが塗布されたインクリボンとロール紙とが収納されている。なお、カートリッジ110が印刷装置100に装着される前の状態においてロール紙は、ハウジング111に覆われており、ユーザがロール紙に直接触れることがない構成となっている。また、印刷時には、ロール紙がカートリッジ110から引き出され、インクリボンに塗布されたインクを印刷装置100のサーマルヘッドでロール紙に転写することによって印画が行われる。また、カートリッジ110は、カートリッジ情報を記憶するIC(Integrated Circuit)であるカートリッジ情報チップを備えている。なお、カートリッジ情報については後述する。
【0042】
ローラ回転軸112は、ロール紙が巻かれたローラの回転軸であり、カートリッジ110を印刷装置100に装着した際には、印刷装置100が有する給紙モータの回転機構と結合され、印刷装置100によって回転が制御される。
【0043】
インクリボン供給ローラ回転軸113は、インクリボンの供給ローラの回転軸であり、インクリボン巻き取りローラ回転軸114は、インクリボンの巻き取りローラの回転軸である。インクリボン巻き取りローラ回転軸114は、カートリッジ110を印刷装置100に装着した際には、印刷装置100が有し、インクリボンを巻上げるインクリボン巻上げモータの回転機構と結合され、印刷装置100によって回転が制御される。
【0044】
図2は、図1に示した印刷装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0045】
図1に示した印刷装置100は図2に示すように、印刷装置100の全体を制御するヘッド圧制御部及びヘッド降下速度制御部であるメインコントローラ201を備えている。また、印刷装置100は、残量記憶部であるROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203とを備えている。また、印刷装置100は、インクリボンスピード検出センサ204と、ロール紙検出センサ205と、ロール紙頭出しセンサ206と、インクリボン頭出しセンサ207とを備えている。また、印刷装置100は、環境温度センサ208と、ヘッド圧検出センサ209と、印画範囲識別センサ210と、ヘッド降下速度検出センサ231とを備えている。また、印刷装置100は、ロール紙搬送モータドライバ211と、給紙モータドライバ214と、インクリボン巻上げモータドライバ216と、ヘッドアップダウンモータドライバ218と、カッターモータドライバ220とを備えている。また、印刷装置100は、表示制御部222と、ドライバコントローラ225と、ヘッド駆動回路226と、サーマルヘッド227と、画像データ入力部229と、IC読み書き部230とを備えている。また、印刷装置100は、駆動モータ212,213と、給紙モータ215と、インクリボン巻上げモータ217と、ヘッドアップダウンモータ219と、カッターモータ221とを備えている。なお、上述したヘッドアップダウンモータドライバ218等のドライバ類は、メインコントローラ201から出力される信号を受け付け、受け付けた信号が示す指示に応じてそれぞれに接続されたモータ類を動作させる。
【0046】
サーマルヘッド227は、印画を行う際に、退避位置から印画位置へと降下し、プラテンローラ(不図示)との間でインクリボン及びロール紙(不図示)とを押圧する。そして、サーマルヘッド227は、内蔵された発熱素子(不図示)の発熱により、インクリボンに塗布されたインクを溶融または気化させる。以降、サーマルヘッド227が退避位置から印画位置へと降下する際の速度のことをヘッド降下速度という。また、サーマルヘッド227がプラテンローラとの間でインクリボンとロール紙とを押圧する際の圧力のことをヘッド圧という。
【0047】
ROM202には、印刷装置100を制御するための制御プログラム等が記憶されている。メインコントローラ201は、ROM202に記憶された制御プログラムに従って動作する。また、制御プログラムは、ロール紙の残量を示す値である残量情報と、その残量情報に応じたヘッド圧及びヘッド降下速度とが対応付けられたテーブルを保持している。また、ROM202には、印刷装置100に装着されたカートリッジ110のカートリッジ情報が記憶される。
【0048】
RAM203は、メインコントローラ201の演算処理用のワークメモリとして用いられる。また、RAM203には、操作部103を介して入力された各種の設定データ等も一時的に記憶される。
【0049】
ヘッド駆動回路226は、サーマルヘッド227に内蔵された発熱素子を駆動させる。そして、メインコントローラ201に接続されたドライバコントローラ225が、RAM203にビットマップ形式等で記録された画像データを用いてヘッド駆動回路226を制御することによって印画が行われる。
【0050】
ロール紙搬送モータドライバ211は、駆動モータ212,213の回転を制御する。
【0051】
駆動モータ212,213は、回転機構を介して、後述するカール取りローラやグリップローラ、排紙ローラ、排紙蹴りだしローラ等に結合され、これらのローラを駆動させる。これにより、ロール紙が搬送される。
【0052】
給紙モータドライバ214は、給紙モータ215の回転を制御する。カートリッジ110が装着された状態においては、給紙モータ215によってロール紙が巻かれ、ローラ回転軸112と給紙モータ215とが回転機構を介して結合し、給紙モータドライバ214によってローラ回転軸112の回転が制御される。
【0053】
インクリボン巻上げモータドライバ216は、インクリボン巻上げモータ217の回転を制御する。カートリッジ110が装着された状態においては、インクリボン巻き取りローラ回転軸114とインクリボン巻上げモータ217とが回転機構を介して結合し、インクリボン巻上げモータドライバ216によってインクリボンの巻き取り及び巻き上げが制御される。
【0054】
ヘッドアップダウンモータドライバ218は、サーマルヘッド227の昇降を行うヘッドアップダウンモータ219の回転を制御する。これにより、退避位置と印画位置との間でサーマルヘッド227が移動し、ヘッド圧及びヘッド降下速度が制御される。
【0055】
カッターモータドライバ220は、カッターユニットを構成するカッター刃及びカッター受け刃を駆動するカッターモータ221を制御することにより、ロール紙の切断を行う。
【0056】
インクリボンスピード検出センサ204は、インクリボンを巻き取る際の回転速度を検出する。メインコントローラ201は、検出された回転速度から、カートリッジ110に収納されたロール紙の残量を算出する。なお、ロール紙の残量が少なくなった場合、ロール紙の残量が少なくなっていることを示すメッセージが表示部102に表示される。
【0057】
ロール紙検出センサ205は、カートリッジ110に収納されたロール紙が押し出され、ロール紙の先端部分がカートリッジ110の出口から排出されたことを検出する。ロール紙検出センサ205は、カートリッジ110の出口の近傍に、ロール紙の幅方向に対向して設けられており、カートリッジ110の出口から排出されたロール紙の幅方向の右端部分と左端部分とをそれぞれ検出する。メインコントローラ201は、ロール紙検出センサ205によるロール紙の幅方向の右端部分と左端部分との検出タイミングの差により、カートリッジ110の出口から押し出されたロール紙の幅方向の傾きを認識する。
【0058】
ロール紙頭出しセンサ206は、サーマルヘッド227に対向して設けられるプラテンローラの後方に配置され、印刷開始時に、カートリッジ110から引き出されたロール紙の先端部分がプラテンローラの後方を通過したことを検出する。
【0059】
インクリボン頭出しセンサ207は、インクリボンの各色の先端部分に塗布された識別帯を検出する。インクリボン巻上げモータ217によるインクリボンの巻き上げ動作は、リボン頭出しセンサ207の検出結果に基づいて制御される。
【0060】
環境温度センサ208は、印刷装置100が置かれた場所の周囲の温度である雰囲気温度を検出する。メインコントローラ201は、ヘッド駆動回路226によってサーマルヘッド227へ投入される投入エネルギーを、環境温度センサ208の検出結果に基づいて制御する。
【0061】
ヘッド圧検出センサ209は、サーマルヘッド227のヘッド圧を検出する。メインコントローラ201は、ヘッド圧検出センサ209の検出結果と、ROM202に記憶された制御プログラムとに基づき、ヘッド圧をロール紙の残量に応じた圧力に制御する。
【0062】
印画範囲識別センサ210は、カッターユニットの近傍に配され、印画された範囲を識別する。
【0063】
ヘッド降下速度検出センサ231は、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を検出する。メインコントローラ201は、ヘッド降下速度検出センサ231の検出結果と、ROM202に記憶された制御プログラムとに基づき、ヘッド降下速度をロール紙の残量に応じた速度に制御する。
【0064】
表示制御部222は、印刷する画像データや、印刷に必要な設定データを入力するためのメニューを表示部102に表示するための制御を行う。
【0065】
IC読み書き部230は、カートリッジ110が備えるカートリッジ情報チップからのカートリッジ情報の読み取りと、カートリッジ情報チップへのカートリッジ情報の書き込みとを行う。なお、カートリッジ情報チップから読み出されるカートリッジ情報としては例えば、ロール紙のサイズ(幅、厚さ、長さ)やロール紙の特性、ローラ径、インクリボンの製造情報等が挙げられる。また、インクリボンの特性情報、インクリボンの巻き取りローラの径、インクリボンの供給ローラの径等もカートリッジ情報チップから読み出されるカートリッジ情報として挙げられる。また、カートリッジ情報チップへ書き込まれるカートリッジ情報としては例えば、印刷された枚数を示す情報や、印刷に失敗した枚数を示す情報、印刷に失敗した原因を示す情報等が挙げられる。
【0066】
図3は、図1に示したカートリッジ110が印刷装置100に装着された状態を印刷装置100の側面から見た断面図である。
【0067】
印刷装置100が印刷を行う際に動作する各部の構成について、図3を参照しながら説明する。
【0068】
搬送路301は、カートリッジ110に収納されたロール紙313−2が、印画時に印画位置311まで引き出される際に通過する搬送路である。
【0069】
カートリッジ出口302は、ロール紙313−2がカートリッジ110から引き出される出口である。ローラ313−1に巻かれたロール紙313−2は、分離部材314によって引き剥がされることで、カートリッジ出口302からカートリッジ110の外部に引き出され、引き出されたロール紙313−2は搬送路301を通過する。
【0070】
カール取りローラ303−1及びカール取り従動ローラ303−2は、ロール紙313−2のカール(巻き癖)を矯正する。
【0071】
グリップローラ304−1とピンチローラ304−2とは、ロール紙313−2を挟んで対向する位置に配置され、ロール紙313−2の表裏面を挟持する。これらの1対のローラが正転することにより(グリップローラ304−1が図中左回りに回転することにより)、カートリッジ110から引き出されたロール紙313−2が印画位置311へ搬送される。
【0072】
なお、カートリッジ110が印刷装置100に装着された状態において印画位置311では、インクリボン315を覆っていたハウジング111は取り除かれている。そして、インクリボン315がカートリッジ110の外部に露出している。
【0073】
プラテンローラ305は、印画位置311において、サーマルヘッド227との間で、インクリボン315とロール紙313−2とを重ね合わせた状態を維持する。
【0074】
排紙ローラ306は、ロール紙313−2を排紙方向に搬送する。
【0075】
排紙蹴りだしローラ307は、凹凸部を備え、印画されて切断されたロール紙313−2を印刷装置100の外部にある排紙ボックス(不図示)へ搬出する。排紙ローラ306と排紙蹴りだしローラ307とは、ロール紙313−2を挟んで対向する位置に配置され、ロール紙313−2の表裏面を挟持する。
【0076】
ギア列308は、カッターモータ221の動作をカッターユニットに伝達する。
【0077】
カッター刃309とカッター受け刃310とは、カッターユニットを構成し、ロール紙313−2の搬送路を挟んで対向した位置に配置されている。カッター刃309とカッター受け刃310とは、ギア列308によって駆動される。カッター刃309とカッター受け刃310とがすり合わされることにより、ロール紙313−2が切断される。
【0078】
なお、図3では、ロール紙313−2の先端部分が、分離部材314によって引き剥がされ、搬送路301に留まっている状態を示している。但し、印刷装置100では、カートリッジ110を印刷装置100に装着した直後に、このような状態が実現されるわけではない。
【0079】
以下に、上記のように構成された印刷装置100の動作について説明する。
【0080】
まず、図1〜図3に示した印刷装置100にカートリッジ110が装着されたときの動作について説明するが、その前に、カートリッジ情報について説明する。
【0081】
図4は、カートリッジ情報を説明するための図であり、(a)はROM202に記憶されたカートリッジ情報の一例を示す図、(b)はカートリッジ110のカートリッジ情報チップに記憶されたカートリッジ情報の一例を示す図である。
【0082】
図4に示すように、カートリッジ110及びROM202においては、カートリッジ番号と、用紙サイズ情報、印刷状態情報及び残量情報とが対応付けられてカートリッジ情報として記憶されている。なお、カートリッジ番号とはカートリッジを識別するための情報である。また、用紙サイズ情報とはカートリッジに収納されたロール紙のサイズを示す情報である。また、印刷状態情報とはカートリッジ110を前回使用した際に、印刷が正常に終了したかどうかを示す情報のことである。ここでは、印刷状態情報は、「正常」または「異常」を示すものとする。また、残量情報は一例として、ロール紙313−2の残量で印刷できる枚数で表されるものとし、以降、この枚数のことを残枚数という。
【0083】
図5は、図1〜図3に示した印刷装置100にカートリッジ110が装着されたときの動作を説明するためのフローチャートである。なお、印刷装置100にカートリッジ110が装着され、電源が投入された後、図3に示した状態になると、以下に説明する動作が開始される。
【0084】
まず、メインコントローラ201は、図4(b)に示すような形式でカートリッジ110のカートリッジ情報チップに記憶されているカートリッジ情報のうちカートリッジ番号を取得する(ステップS1)。
【0085】
次に、メインコントローラ201は、取得したカートリッジ番号がROM202に記憶されているかどうかを確認する(ステップS2)。
【0086】
ステップS2における確認の結果、取得したカートリッジ番号がROM202に記憶されていない場合、メインコントローラ201は、取得したカートリッジ番号をROM202に記憶させる(ステップS3)。なお、取得したカートリッジ番号がROM202に記憶されていないとは、取得したカートリッジ番号によって識別されるカートリッジが印刷装置100に初めて装着されたということである。
【0087】
次に、メインコントローラ201は、用紙サイズ情報をカートリッジ情報チップから取得する(ステップS4)。
【0088】
一方、ステップS2における確認の結果、取得したカートリッジ番号がROM202に記憶されていた場合には、ステップS4の動作へ遷移する。
【0089】
次に、メインコントローラ201は、印刷状態情報をカートリッジ情報チップから取得する(ステップS5)。
【0090】
次に、メインコントローラ201は、取得した印刷状態情報が正常を示しているかどうかを確認する(ステップS6)。
【0091】
ステップS6における確認の結果、取得した印刷状態情報が異常を示していた場合、メインコントローラ201は、表示部102にエラー表示をさせ(ステップS7)、処理を終了する。
【0092】
一方、ステップS6における確認の結果、取得した印刷状態情報が正常を示していた場合には、メインコントローラ201は、残量情報をカートリッジ情報チップから取得する(ステップS8)。
【0093】
そして、メインコントローラ201は、ステップS8において取得した残量情報から、ロール紙313−2の残量があるかどうかを確認する(ステップS9)。
【0094】
ステップS9における確認の結果、取得した残量情報が、ロール紙313−2の残量がないことを示していた場合、ステップS7の動作へ遷移し、メインコントローラ201は、表示部102にエラー表示をさせて処理を終了する。
【0095】
一方、ステップS9における確認の結果、取得した残量情報が、ロール紙313−2の残量があることを示していた場合には、メインコントローラ201は、取得した用紙サイズ情報、印刷状態情報及び残量情報をROM202に記憶させる(ステップS10)。そして、処理を終了する。
【0096】
なお、ここでは、用紙サイズ情報、印刷状態情報及び残量情報をカートリッジ情報としているが、上述したように、カートリッジ情報はこれらに限定されるものではない。
【0097】
次に、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させる動作について説明する。
【0098】
図6は、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させる動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0099】
まず、ユーザは、操作部103を操作することにより、表示部102に表示された画像データのうち印刷対象とする画像データを選択する。なお、印刷対象として選択することが可能な画像データは1つに限定されず、複数であってもよい。
【0100】
そして、メインコントローラ201は、操作部103を介して画像データの選択を受け付ける(ステップS21)。
【0101】
次に、メインコントローラ201は、ユーザが操作部103を操作することにより、印刷の指示を行ったかどうかを判定する(ステップS22)。
【0102】
ステップS22における判定の結果、印刷の指示があったと判定された場合、メインコントローラ201は、選択された画像データの全てを印刷することが可能かどうかを判定する(ステップS23)。なお、ここでは、選択された画像データの全てを印刷することが可能であるかどうかを、ロール紙313−2の残量に基づいて判定する。ロール紙313−2の残量は、インクリボンスピード検出センサ204によって検出されたインクリボンを巻き取る際の回転速度であるリボンスピードから算出される。
【0103】
ステップS23における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、選択された画像データに基づき、印画データ(描画データ)を色毎に生成する(ステップS24)。
【0104】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に図4(a)で示したように記憶されているカートリッジ情報から、装着されているカートリッジ110の残量情報である残枚数を確認する(ステップS25)。
【0105】
ステップS25において確認された残枚数が所定の枚数(本実施形態では5枚)未満である場合、メインコントローラ201は、ヘッド圧の増加を指示する信号をヘッドアップダウンモータドライバ218へ出力する。そして、ヘッドアップダウンモータドライバ218が、ヘッドアップダウンモータ219の回転を制御することによってカムポジション(不図示)が切り換えられ、サーマルヘッド227のヘッド圧が通常時のヘッド圧よりも増加する(ステップS26)。
【0106】
次に、メインコントローラ201は、ヘッド圧検出センサ209を用いてサーマルヘッド227のヘッド圧を検出する。
【0107】
そして、メインコントローラ201は、検出されたヘッド圧が、ステップS25において確認された残枚数に応じたヘッド圧に達したかどうかを、ROM202に記憶された制御プログラムに基づいて確認する(ステップS27)。
【0108】
ステップS27における確認の結果、検出されたヘッド圧が、ステップS25において確認された残枚数に応じたヘッド圧に達していない場合、ステップS26の動作へ遷移する。これにより、ヘッド圧の増加が継続される。
【0109】
一方、ステップS27における確認の結果、検出されたヘッド圧が、ステップS25において確認された残枚数に応じたヘッド圧に達していた場合には、生成された印画データを用いた印刷処理が行われる(ステップS28)。
【0110】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に記憶されたカートリッジ110の残量情報である残枚数を1つ減算することにより、残量情報を更新する(ステップS29)。
【0111】
そして、メインコントローラ201は、印刷対象として選択された次の画像データがあるかどうかを判定する(ステップS30)。
【0112】
ステップS30における判定の結果、次の画像データがある場合、ステップS24の動作へ遷移する。
【0113】
一方、ステップS30における判定の結果、次の画像データがない場合には、メインコントローラ201は、カートリッジ110のカートリッジ情報チップに記憶されている残量情報を、ROM202に記憶された残量情報で更新する(ステップS31)。
【0114】
その後、終了処理が行われ、印刷装置100は、図3に示したような状態に戻る。具体的には、サーマルヘッド227が退避位置に戻るとともに、ロール紙313−2が巻き上げられ、ロール紙313−2の先端部分が搬送路301に留まった状態になる。これは、後述する実施形態においても同様である。
【0115】
なお、ステップS23における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが不可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、印刷が不可能である旨のメッセージを表示部102に表示させる。そして、ステップS30の動作へ遷移する。
【0116】
また、ステップS25において確認された残枚数が所定の枚数(5枚)以上である場合、メインコントローラ201は、ヘッド圧を増加させることなく、予め決められた通常時のヘッド圧でサーマルヘッド227を動作させる。
【0117】
このように本実施形態においては、サーマルヘッド227がインクリボン315及びロール紙313−2を押圧する動作が、ロール紙313−2の残量に応じて制御される。これにより、ロール紙313−2のカール量の大きさに応じ、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させることが可能となり、印画物の濃度ムラ及び濃度の減少を低減することができる。
【0118】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態においては、カートリッジ110がカートリッジ情報を記憶するカートリッジ情報チップを備えている場合について説明した。本実施形態においてカートリッジは、カートリッジ情報チップを備えておらず、その代わりに、カートリッジ番号を識別するためのビットスイッチを備えている。本実施形態においては、このビットスイッチによって表されるビット値がカートリッジ番号となる。
【0119】
図7は、図1〜図3に示した印刷装置100に装着されるカートリッジの他の例を示す図であり、(a)はカートリッジの外観を示す図、(b)は(a)に示すカートリッジが備えるビットスイッチの一例を示す図である。図7に示すカートリッジ110−1は、ロール紙とインクシートとが一体となっているカートリッジであり、基本的な構成は、上述した第1の実施形態において説明したカートリッジ110と同じである。但し、図7(a)において図中矢印で示した部分に、図7(b)に示すようなビットスイッチが配置されている。
【0120】
なお、図7(b)においては一例として、4ビットを表すビットスイッチを示しているが、ビット数は4に限定されない。
【0121】
また、他の構成については、上述した第1の実施形態で説明したものと同じなので、ここでは、構成の説明は省略する。
【0122】
図8は、図1〜図3に示した印刷装置100のROM202に記憶されたカートリッジ情報の他の例を示す図である。本実施形態においては図8に示すように、ROM202では、ビット値で表されたカートリッジ番号と、用紙サイズ情報、印刷状態情報及び用紙残量とが対応付けられてカートリッジ情報として記憶される。
【0123】
図9は、図1〜図3に示した印刷装置100にカートリッジ110−1が装着されたときの動作を説明するためのフローチャートである。なお、印刷装置100にカートリッジ110−1が装着され、電源が投入された後、図3に示したような状態になると、以下に説明する動作が開始される。
【0124】
まず、メインコントローラ201は、カートリッジ110−1のビットスイッチによって示されるビット値を取得する(ステップS41)。
【0125】
次に、メインコントローラ201は、取得したビット値がカートリッジ番号としてROM202に記憶されているかどうかを確認する(ステップS42)。
【0126】
ステップS42における確認の結果、取得したビット値がカートリッジ番号としてROM202に記憶されていない場合、メインコントローラ201は、取得したビット値をカートリッジ番号としてROM202に記憶させる。それとともに、メインコントローラ201は、図8に示すように、カートリッジ情報をカートリッジ番号と対応付けてROM202に記憶させる(ステップS43)。具体的には、装着されたカートリッジ110−1のビットスイッチによって認識される用紙サイズを示す情報が用紙サイズ情報として記憶される。また、印刷状態情報としては正常を示す情報が記憶される。また、装着されたカートリッジ110−1に応じた最大の枚数が残量情報として記憶される。
【0127】
なお、取得したビット値がカートリッジ番号としてROM202に記憶されていないとは、そのカートリッジ110−1が印刷装置100に初めて装着されたということである。
【0128】
次に、メインコントローラ201は、取得したビット値であるカートリッジ番号に対応する用紙サイズ情報をROM202から取得する(ステップS44)。
【0129】
一方、ステップS42における確認の結果、取得したビット値がカートリッジ番号としてROM202に記憶されていた場合には、ステップS44の動作へ遷移する。
【0130】
次に、メインコントローラ201は、取得したビット値であるカートリッジ番号に対応する印刷状態情報をROM202から取得する(ステップS45)。
【0131】
次に、メインコントローラ201は、取得した印刷状態情報が正常を示しているかどうかを確認する(ステップS46)。
【0132】
ステップS46における確認の結果、取得した印刷状態情報が異常を示していた場合、メインコントローラ201は、表示部102にエラー表示をさせ(ステップS47)、処理を終了する。
【0133】
一方、ステップS46における確認の結果、取得した印刷状態情報が正常を示していた場合には、メインコントローラ201は、取得したビット値であるカートリッジ番号に対応する残量情報をROM202から取得する(ステップS48)。
【0134】
そして、メインコントローラ201は、ステップS48において取得した残量情報から、ロール紙313−2の残量があるかどうかを確認する(ステップS49)。
【0135】
ステップS49における確認の結果、取得した残量情報が、ロール紙313−2の残量がないことを示していた場合、ステップS47の動作へ遷移し、メインコントローラ201は、表示部102にエラー表示をさせて処理を終了する。
【0136】
一方、ステップS49における確認の結果、取得した残量情報が、ロール紙313−2の残量があることを示していた場合には、そのまま処理を終了する。
【0137】
なお、ここでは、用紙サイズ情報、印刷状態情報及び残量情報をカートリッジ情報としているが、上述したように、カートリッジ情報はこれらに限定されるものではない。
【0138】
次に、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させる動作について説明する。ここでは、印刷装置100にはカートリッジ110−1が装着されているものとする。
【0139】
図10は、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0140】
まず、ユーザは、操作部103を操作することにより、表示部102に表示された画像データのうち印刷対象とする画像データを選択する。なお、印刷対象として選択することが可能な画像データは1つに限定されず、複数であってもよい。
【0141】
そして、メインコントローラ201は、操作部103を介して画像データの選択を受け付ける(ステップS61)。
【0142】
次に、メインコントローラ201は、ユーザが操作部103を操作することにより、印刷の指示を行ったかどうかを判定する(ステップS62)。
【0143】
ステップS62における判定の結果、印刷の指示があったと判定された場合、メインコントローラ201は、インクリボンスピード検出センサ204を用いてリボンスピードを検出する。
【0144】
次に、メインコントローラ201は、検出されたリボンスピードに基づいてロール紙313−2の残量を算出する(ステップS63)。ここでは、残量は、カートリッジ110−1に収納されたロール紙の残量で印刷できる枚数として算出されるものとする。
【0145】
そして、メインコントローラ201は、ステップS63において算出されたロール紙313−2の枚数と、ROM202に記憶された残量情報である残枚数とが一致するかどうかを確認する(ステップS64)。
【0146】
ステップS64における確認の結果、ステップS63において算出された枚数と残枚数とが一致する場合、メインコントローラ201は、選択された画像データの全てを印刷することが可能であるかどうかを判定する(ステップS65)。
【0147】
一方、ステップS64における確認の結果、ステップS63において算出された枚数と残枚数とが一致しない場合には、メインコントローラ201は、ステップS63において算出された枚数を残枚数としてROM202に記憶させる(ステップS66)。そして、ステップS65の動作へ遷移する。
【0148】
ステップS65における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、選択された画像データに基づき、印画データ(描画データ)を色毎に生成する(ステップS67)。
【0149】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に図8で示したように記憶されているカートリッジ情報から、装着されているカートリッジ110−1の残量情報である残枚数を確認する(ステップS68)。
【0150】
ステップS68において確認された残枚数が所定の枚数(本実施形態では5枚)未満である場合、メインコントローラ201は、ヘッド圧の増加を指示する信号をヘッドアップダウンモータドライバ218へ出力する。そして、ヘッドアップダウンモータドライバ218が、ヘッドアップダウンモータ219の回転を制御することによってカムポジション(不図示)が切り換えられ、サーマルヘッド227のヘッド圧が通常時のヘッド圧よりも増加する(ステップS69)。
【0151】
次に、メインコントローラ201は、ヘッド圧検出センサ209を用いてサーマルヘッド227のヘッド圧を検出する。
【0152】
そして、メインコントローラ201は、検出されたヘッド圧が、ステップS68において確認された残枚数に応じたヘッド圧に達したかどうかを、ROM202に記憶された制御プログラムに基づいて確認する(ステップS70)。
【0153】
ステップS70の確認の結果、検出されたヘッド圧が、ステップS68において確認された残枚数に応じたヘッド圧に達していない場合、ステップS69の動作へ遷移する。これにより、ヘッド圧の増加が継続される。
【0154】
一方、ステップS70における確認の結果、検出されたヘッド圧が、ステップS68において確認された残枚数に応じたヘッド圧に達していた場合には、生成された印画データを用いた印刷処理が行われる(ステップS71)。
【0155】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に記憶されたカートリッジ110−1の残量情報である残枚数を1つ減算することにより、残量情報を更新する(ステップS72)。
【0156】
そして、メインコントローラ201は、印刷対象として選択された次の画像データがあるかどうかを判定する(ステップS73)。
【0157】
ステップS73における判定の結果、次の画像データがある場合、ステップS67の動作へ遷移する。
【0158】
一方、ステップS73における判定の結果、次の画像データがない場合には、処理を終了する。
【0159】
その後、終了処理が行われ、印刷装置100は、図3に示したような状態に戻る。
【0160】
なお、ステップS65における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが不可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、印刷が不可能である旨のメッセージを表示部102に表示させる。そして、ステップS73の動作へ遷移する。
【0161】
また、ステップS68において確認された残枚数が所定の枚数(5枚)以上である場合、メインコントローラ201は、ヘッド圧を増加させることなく、予め決められた通常時のヘッド圧でサーマルヘッド227を動作させる。
【0162】
このように本実施形態においては、サーマルヘッド227がインクリボン315及びロール紙313−2を押圧する動作が、ロール紙313−2の残量に応じて制御される。これにより、ロール紙313−2のカール量の大きさに応じ、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させることが可能となり、印画物の濃度ムラ及び濃度の減少を低減することができる。
【0163】
(第3の実施形態)
上述した第1の実施形態では、残量情報である残枚数が所定の枚数以上かどうかを基準としてサーマルヘッド227のヘッド圧を変化させた。本実施形態においては、確認された残枚数毎に、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させる場合について説明する。つまり、本実施形態においては、残枚数毎に、それぞれの残枚数に対応するヘッド圧が設定されている。
【0164】
図11は、図2に示したメインコントローラ201が制御するヘッド圧と残枚数との関係の一例を示す図である。本実施形態においてROM202に記憶された制御プログラムでは、図11に示すように、残枚数と、それぞれの残枚数に応じたヘッド圧とが対応付けられている。
【0165】
本実施形態においては図11に示すように、残枚数がN枚未満の場合、その残枚数に応じてヘッド圧を0.2[N]単位で増加させている。但し、これは一例であって、これらのヘッド圧は、ヘッドや、ヘッドを組みつけている部品及び部材の特性等によって適宜変更できるものである。
【0166】
なお、本実施形態において印刷装置の基本的な構成等は、上述した第1の実施形態と同様であるため、ここでは、説明を省略する。また、カートリッジ110が印刷装置100に装着されたときの動作も、第1の実施形態で説明したものと同様であるため、ここでは、説明を省略する。
【0167】
また、印刷装置100における印刷時の動作のうち、ユーザから印刷対象の画像データの選択を受け付けてから、印画データを生成するまでの動作も第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0168】
従って、ここでは、印刷装置100において印刷を行う動作のうち、ROM202に記憶された残量情報を確認する動作から説明する。具体的には、ここで説明する動作は、上述した第1の実施形態において説明した図6のフローチャートのステップS25以降の動作に相当する。
【0169】
図12は、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0170】
メインコントローラ201は、ROM202に図4(a)で示したように記憶されているカートリッジ情報から、装着されているカートリッジ110の残量情報である残枚数を確認する(ステップS81)。
【0171】
次に、メインコントローラ201は、ステップS81において確認された残枚数に応じ、ヘッドアップダウンモータドライバ218へ信号を送信することにより、サーマルヘッド227のヘッド圧を制御する(ステップS82)。
【0172】
次に、メインコントローラ201は、ヘッド圧検出センサ209を用いてサーマルヘッド227のヘッド圧を検出する。
【0173】
そして、メインコントローラ201は、検出されたヘッド圧が、ステップS81において確認された残枚数に応じたヘッド圧に設定されているかどうかを、ROM202に記憶された制御プログラムに基づいて確認する(ステップS83)。例えば、ステップS81にて確認された残枚数が「N−2」である場合、図11に示したようにヘッド圧が31.6(N)となっているかどうかを確認する。
【0174】
ステップS83における確認の結果、検出されたヘッド圧が、ステップS81において確認された残枚数に応じたヘッド圧に設定されている場合、生成された印画データを用いた印刷処理が行われる(ステップS84)。
【0175】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に記憶されたカートリッジ110の残量情報である残枚数を1つ減算することにより、残量情報を更新する(ステップS85)。
【0176】
そして、メインコントローラ201は、印刷対象として選択された次の画像データがあるかどうかを判定する(ステップS86)。
【0177】
ステップS86における判定の結果、次の画像データがある場合には、ステップS81の動作へ遷移する。
【0178】
一方、ステップS86における判定の結果、次の画像データがない場合には、メインコントローラ201は、カートリッジ110のカートリッジ情報チップに記憶されている残量情報を、ROM202に記憶された残量情報で更新する(ステップS87)。
【0179】
ここで、ステップS83における確認の結果、検出されたヘッド圧が、残枚数に応じたヘッド圧に設定されていない場合、メインコントローラ201は、ヘッド圧が予め決められた上限値を超えているかどうかを確認する(ステップS88)。
【0180】
ステップS88における確認の結果、検出されたヘッド圧が、予め決められた上限値を超えている場合、表示部102にヘッド圧が異常であるこという旨を表示させ(ステップS89)、ステップS87の動作へ遷移する。
【0181】
一方、ステップS88における確認の結果、検出されたヘッド圧が、予め決められた上限値を超えていない場合には、ステップS82の動作へ遷移する。
【0182】
このように本実施形態においては、サーマルヘッド227がインクリボン315及びロール紙313−2を押圧する動作が、ロール紙313−2の残量に応じて制御される。具体的には、ROM202に記憶された残量情報が所定の値未満である場合、サーマルヘッド227のヘッド圧を、予め決められた所定のヘッド圧よりもその残量情報に応じた増加分だけ増加させる。これにより、ロール紙313−2のカール量の大きさに応じ、サーマルヘッド227のヘッド圧をより詳細に変化させることが可能となり、印画物の濃度ムラ及び濃度の減少をより確実に低減することができる。ここで、残量情報は、残りのロール紙で印刷可能な枚数でもよいし、残りのロール紙の長さでもよい。または、ロール紙のロール径でもよい。
【0183】
なお、上述したように、残枚数毎に、それぞれの残枚数に対応するヘッド圧を設定するのではなく、残枚数の範囲を予め決めておき、その範囲毎にヘッド圧を設定してもよい。
【0184】
図13は、図2に示したメインコントローラ201が制御するヘッド圧と残枚数の範囲との関係の一例を示す図である。なお、図13に示すヘッド圧と残枚数の範囲との関係は一例であり、これに限定されるものではない。
【0185】
この場合、メインコントローラ201は、残枚数の範囲に応じて段階的にヘッド圧を制御する。例えば図13に示すように、残枚数が50枚以上の場合、ヘッド圧をN1とし、残枚数が15枚以上で50枚未満である場合、ヘッド圧をN1よりも増加させたN2とする。また、残枚数が15枚未満である場合、ヘッド圧をN2よりもさらに増加させたN3とする。
【0186】
(第4の実施形態)
上述した第1〜第3の実施形態においては、サーマルヘッド227がインクリボン315及びロール紙313−2を押圧する動作を、ロール紙313−2の残量に応じて制御することにより、印画物の濃度ムラ及び濃度の減少を低減する場合について説明した。
【0187】
本実施形態では、サーマルヘッド227を降下させる動作を、ロール紙313−2の残量に応じて制御する場合について説明する。
【0188】
印刷装置100の構成は、上述した第1〜第3の実施形態において説明したのと同様であるため、ここでは、説明を省略する。
【0189】
また、本実施形態では、上述した第1の実施形態と同様に、カートリッジ情報が、カートリッジ110が備えるカートリッジ情報チップカートリッジに記憶される場合について説明する。なお、カートリッジ110が印刷装置100に装着されるときの動作は、上述した第1の実施形態において図4及び図5を参照しながら説明した動作と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0190】
従って、ここでは、図1〜図3に示した印刷装置100が、装着されたカートリッジ110を用いて印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させる動作について説明する。
【0191】
図14は、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させる動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0192】
まず、ユーザは、操作部103を操作することにより、表示部102に表示された画像データのうち印刷対象とする画像データを選択する。なお、印刷対象として選択することが可能な画像データは1つに限定されず、複数であってもよい。
【0193】
そして、メインコントローラ201は、操作部103を介して画像データの選択を受け付ける(ステップS101)。
【0194】
次に、メインコントローラ201は、ユーザが操作部103を操作することにより、印刷の指示を行ったかどうかを判定する(ステップS102)。
【0195】
ステップS102における判定の結果、印刷の指示があったと判定された場合、メインコントローラ201は、選択された画像データの全てを印刷することが可能かどうかを判定する(ステップS103)。なお、ここでは、選択された画像データの全てを印刷することが可能であるかどうかを、ロール紙313−2の残量に基づいて判定する。ロール紙313−2の残量は、インクリボンスピード検出センサ204によって検出されたリボンスピードから算出される。
【0196】
ステップS103における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、選択された画像データに基づき、印画データ(描画データ)を色毎に生成する(ステップS104)。
【0197】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に図4(a)で示したように記憶されているカートリッジ情報から、装着されているカートリッジ110の残量情報である残枚数を確認する(ステップS105)。
【0198】
ステップS105において確認された残枚数が所定の枚数未満である場合、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度の増加を指示する信号をヘッドアップダウンモータドライバ218へ出力する。そして、ヘッドアップダウンモータドライバ218が、ヘッドアップダウンモータ219の回転を制御することにより、サーマルヘッド227のヘッド降下速度が増加する(ステップS106)。
【0199】
次に、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度検出センサ231を用いてサーマルヘッド227のヘッド降下速度を検出する。
【0200】
そして、メインコントローラ201は、検出されたヘッド降下速度が、ステップS105において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に達したかどうかを、ROM202に記憶された制御プログラムに基づいて確認する(ステップS107)。
【0201】
ステップS107における確認の結果、検出されたヘッド降下速度が、ステップS105において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に達していない場合、ステップS106の動作へ遷移する。これにより、ヘッド降下速度の増加が継続される。
【0202】
一方、ステップS107における確認の結果、検出されたヘッド降下速度が、ステップS105において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に達していた場合には、生成された印画データを用いた印刷処理が行われる(ステップS108)。
【0203】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に記憶されたカートリッジ110の残量情報である残枚数を1つ減算することにより、残量情報を更新する(ステップS109)。
【0204】
そして、メインコントローラ201は、印刷対象として選択された次の画像データがあるかどうかを判定する(ステップS110)。
【0205】
ステップS110における判定の結果、次の画像データがある場合、ステップS104の動作へ遷移する。
【0206】
一方、ステップS110における判定の結果、次の画像データがない場合には、メインコントローラ201は、カートリッジ110のカートリッジ情報チップに記憶されている残量情報を、ROM202に記憶された残量情報で更新する(ステップS111)。
【0207】
その後、終了処理が行われ、印刷装置100は、図3に示したような状態に戻る。
【0208】
なお、ステップS103における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが不可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、印刷が不可能である旨のメッセージを表示部102に表示させる。そして、ステップS110の動作へ遷移する。
【0209】
また、ステップS105において確認された残枚数が所定の枚数以上である場合、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度を増加させることなく、予め決められた所定のヘッド降下速度でサーマルヘッド227を動作させる。
【0210】
ここで、ロール紙313−2の残量とヘッド降下速度との関係について図を参照しながら説明する。
【0211】
まず、ロール紙313−2の残量が少なくなっている場合について説明する。
【0212】
図15は、図3に示したロール紙313−2の残量が少なくなっている場合に、ロール紙313−2の先端部分がサーマルヘッド227に接近する際の角度である入射角度を説明するための図である。入射角度は、サーマルヘッド227の底面であるサーマルヘッド底面227−1に対する角度で表している。なお、サーマルヘッド底面227−1は正確には、サーマルヘッド底面227−1によって押圧されたインクリボン315である。しかし、図15においては、説明をわかりやすくするために、インクリボン315を省略している。
【0213】
図16は、図15に示した場合において、ロール紙313−2がサーマルヘッド227と接触する際の状態の一例を示す図であり、(a)はヘッド降下速度が任意の速度V1である場合を示す図、(b)はヘッド降下速度がV1よりも速い場合を示す図である。なお、正確には、ロール紙313−2が接触するのは、サーマルヘッド底面227−1によって押圧されたインクリボン315であるが、ここでは、説明をわかりやすくするため、「サーマルヘッド底面227−1と接触する」と表現する。また、図16においては、図15と同様に、説明をわかりやすくするために、インクリボン315を省略している。
【0214】
ロール紙313−2の残量が少なくなっている場合、図15に示すようにロール紙313−2は、斜め上方へ搬送される。このとき、入射角度がθ1の範囲となる場合、図16(a)に示すように、ロール紙313−2の先端部分が、サーマルヘッド底面227−1に対して直角に近い状態でサーマルヘッド底面227−1と接触する。この場合、ロール紙313−2は、ロール紙313−2の弾性によって折れ曲がり、紙詰まりが発生する可能性が高くなる。
【0215】
一方、入射角度がθ2の範囲となる場合、すなわち、ヘッド降下速度がV1よりも速い場合、図16(b)に示すように、ロール紙313−2が、サーマルヘッド底面227−1に対して平行に近い状態でサーマルヘッド底面227−1と接触する。この場合、ロール紙313−2は、折れ曲がることなく、サーマルヘッド底面227−1に沿って搬送される。従って、紙詰まりが発生する可能性は低い。
【0216】
次に、ロール紙313−2の残量が、図15及び図16に示した場合よりも多い場合について説明する。
【0217】
図17は、図15及び図16に示した場合よりもロール紙313−2の残量が多い場合に、ロール紙313−2の先端部分がサーマルヘッド227に接近する際の角度である入射角度を説明するための図である。図18は、図17に示した場合において、ロール紙313−2がサーマルヘッド227と接触する際の状態の一例を示す図であり、(a)はヘッド降下速度が任意の速度V1である場合を示す図、(b)はヘッド降下速度がV1よりも速い場合を示す図である。なお、図17及び図18においても、図15及び図16と同様に、インクリボン315を省略している。
【0218】
ロール紙313−2の残量が図15及び図16に示した場合よりも多い場合、図17に示すように、ロール紙313−2は、ほぼ平行な状態で搬送される。このとき、入射角度がθ4の範囲となる場合、図18(a)に示すように、ロール紙313−2が、サーマルヘッド底面227−1に対して平行に近い状態でサーマルヘッド底面227−1と接触する。この場合、ロール紙313−2は、折れ曲がることなく、サーマルヘッド底面227−1に沿って搬送される。従って、紙詰まりが発生する可能性は低い。
【0219】
一方、入射角度がθ3の範囲となる場合、すなわち、ヘッド降下速度がV1よりも速い場合、図18(b)に示すように、ロール紙313−2の先端部分が、サーマルヘッド底面227−1に対して直角に近い状態でサーマルヘッド底面227−1と接触する。この場合、ロール紙313−2は、ロール紙313−2の弾性によって折れ曲がり、紙詰まりが発生する可能性が高くなる。
【0220】
このように本実施形態においては、退避位置から印画位置へとサーマルヘッド227を降下させる動作が、ロール紙313−2の残量に応じて制御される。これにより、ロール紙313−2のカール量の大きさに応じ、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させることが可能となり、ロール紙の紙詰まりの発生を低減することができる。
【0221】
(第5の実施形態)
上述した第4の実施形態においては、カートリッジ110がカートリッジ情報を記憶するカートリッジ情報チップを備えている場合について説明した。本実施形態におけるカートリッジは、上述した第2の実施形態と同様に、カートリッジ情報チップを備えておらず、その代わりに、カートリッジ番号を示すためのビットスイッチを備えたカートリッジ110−1である。そして、カートリッジ情報は、ビットスイッチによって示されるカートリッジ番号に対応付けられて印刷装置100のROM202に記憶される。
【0222】
なお、カートリッジ110−1が印刷装置100に装着されるときの動作は、上述した第2の実施形態において図8及び図9を参照しながら説明した動作と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0223】
従って、ここでは、図1〜図3に示した印刷装置100が、装着されたカートリッジ110−1を用いて印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させる動作について説明する。
【0224】
図19は、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0225】
まず、ユーザは、操作部103を操作することにより、表示部102に表示された画像データのうち印刷対象とする画像データを選択する。なお、印刷対象として選択することが可能な画像データは1つに限定されず、複数であってもよい。
【0226】
そして、メインコントローラ201は、操作部103を介して画像データの選択を受け付ける(ステップS121)。
【0227】
次に、メインコントローラ201は、ユーザが操作部103を操作することにより、印刷の指示を行ったかどうかを判定する(ステップS122)。
【0228】
ステップS122における判定の結果、印刷の指示があったと判定された場合、メインコントローラ201は、インクリボンスピード検出センサ204を用いてリボンスピードを検出する。
【0229】
次に、メインコントローラ201は、検出されたリボンスピードに基づいてロール紙313−2の残量を算出する(ステップS123)。ここでは、残量は、カートリッジ110−1に収納されたロール紙の残量で印刷できる枚数として算出されるものとする。
【0230】
そして、メインコントローラ201は、ステップS123において算出されたロール紙313−2の枚数と、ROM202に記憶された残量情報である残枚数とが一致するかどうかを確認する(ステップS124)。
【0231】
ステップS124における確認の結果、ステップS123において算出された枚数と残枚数とが一致する場合、メインコントローラ201は、選択された画像データの全てを印刷することが可能であるかどうかを判定する(ステップS125)。
【0232】
一方、ステップS124における確認の結果、ステップS123において算出された枚数と残枚数とが一致しない場合には、メインコントローラ201は、ステップS123において算出された枚数を残枚数としてROM202に記憶させる(ステップS126)。そして、ステップS125の動作へ遷移する。
【0233】
ステップS125における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、選択された画像データに基づき、印画データ(描画データ)を色毎に生成する(ステップS127)。
【0234】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に図8で示したように記憶されているカートリッジ情報から、装着されているカートリッジ110−1の残量情報である残枚数を確認する(ステップS128)。
【0235】
ステップS128において確認された残枚数が所定の枚数未満である場合、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度の増加を指示する信号をヘッドアップダウンモータドライバ218へ出力する。そして、ヘッドアップダウンモータドライバ218が、ヘッドアップダウンモータ219の回転を制御することにより、サーマルヘッド227のヘッド降下速度が増加する(ステップS129)。
【0236】
次に、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度検出センサ231を用いてサーマルヘッド227のヘッド降下速度を検出する。
【0237】
そして、メインコントローラ201は、検出されたヘッド降下速度が、ステップS128において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に達したかどうかを、ROM202に記憶された制御プログラムに基づいて確認する(ステップS130)。
【0238】
ステップS130の確認の結果、検出されたヘッド降下速度が、ステップS128において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に達していない場合、ステップS129の動作へ遷移する。これにより、ヘッド降下速度の増加が継続される。
【0239】
一方、ステップS130における確認の結果、検出されたヘッド降下速度が、ステップS128において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に達していた場合には、生成された印画データを用いた印刷処理が行われる(ステップS131)。
【0240】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に記憶されたカートリッジ110−1の残量情報である残枚数を1つ減算することにより、残量情報を更新する(ステップS132)。
【0241】
そして、メインコントローラ201は、印刷対象として選択された次の画像データがあるかどうかを判定する(ステップS133)。
【0242】
ステップS133における判定の結果、次の画像データがある場合、ステップS127の動作へ遷移する。
【0243】
一方、ステップS133における判定の結果、次の画像データがない場合には、処理を終了する。
【0244】
その後、終了処理が行われ、印刷装置100は、図3に示したような状態に戻る。
【0245】
なお、ステップS125における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが不可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、印刷が不可能である旨のメッセージを表示部102に表示させる。そして、ステップS133の動作へ遷移する。
【0246】
また、ステップS128において確認された残枚数が所定の枚数以上である場合、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度を増加させることなく、予め決められた所定のヘッド降下速度でサーマルヘッド227を動作させる。
【0247】
このように本実施形態においては、退避位置から印画位置へとサーマルヘッド227を降下させる動作が、ロール紙313−2の残量に応じて制御される。これにより、ロール紙313−2のカール量の大きさに応じ、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させることが可能となり、ロール紙の紙詰まりの発生を低減することができる。
【0248】
(第6の実施形態)
上述した第4の実施形態では、残量情報である残枚数が所定の枚数以上かどうかを基準としてサーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させた。本実施形態においては、確認された残枚数毎に、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させる場合について説明する。
【0249】
本実施形態においては、上述した第3の実施形態において示した図11のように、残枚数毎に、それぞれの残枚数に対応するヘッド降下速度が設定されている。つまり、本実施形態においてROM202に記憶された制御プログラムでは、残量情報である残枚数と、それぞれの残枚数に応じたヘッド降下速度とが対応付けられている。
【0250】
なお、本実施形態において印刷装置の基本的な構成等は、上述した第4の実施形態と同様であるため、ここでは、説明を省略する。また、カートリッジ110が印刷装置100に装着されたときの動作も、第1の実施形態で説明したものと同様であるため、ここでは、説明を省略する。
【0251】
また、印刷装置100において印刷を行う動作のうち、ユーザから印刷対象の画像データの選択を受け付けてから印画データを生成するまでの動作も第4の実施形態で説明したものと同様である。
【0252】
従って、ここでは、印刷装置100において印刷を行う動作のうち、ROM202に記憶された残量情報を確認する動作から説明する。具体的には、ここで説明する動作は、上述した第4の実施形態において説明した図14のフローチャートのステップS105以降の動作に相当する。
【0253】
図20は、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0254】
メインコントローラ201は、ROM202に図4(a)で示したように記憶されているカートリッジ情報から、装着されているカートリッジ110の残量情報である残枚数を確認する(ステップS141)。
【0255】
次に、メインコントローラ201は、ステップS141において確認された残枚数に応じ、ヘッドアップダウンモータドライバ218へ信号を送信することにより、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を制御する(ステップS142)。
【0256】
次に、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度検出センサ231を用いてサーマルヘッド227のヘッド降下速度を検出する。
【0257】
そして、メインコントローラ201は、検出されたヘッド降下速度が、ステップS141において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に設定されているかどうかを、ROM202に記憶された制御プログラムに基づいて確認する(ステップS143)。
【0258】
ステップS143における確認の結果、検出されたヘッド降下速度が、ステップS141において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に設定されている場合、生成された印画データを用いた印刷処理が行われる(ステップS144)。
【0259】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に記憶されたカートリッジ110の残量情報である残枚数を1つ減算することにより、残量情報を更新する(ステップS145)。
【0260】
そして、メインコントローラ201は、印刷対象として選択された次の画像データがあるかどうかを判定する(ステップS146)。
【0261】
ステップS146における判定の結果、次の画像データがある場合には、ステップS141の動作へ遷移する。
【0262】
一方、ステップS146における判定の結果、次の画像データがない場合には、メインコントローラ201は、カートリッジ110のカートリッジ情報チップに記憶されている残量情報を、ROM202に記憶された残量情報で更新する(ステップS147)。
【0263】
ここで、ステップS143における確認の結果、検出されたヘッド降下速度が残枚数に応じたヘッド降下速度に設定されていない場合、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度が予め決められた上限値を超えているかどうかを確認する(ステップS148)。
【0264】
ステップS148における確認の結果、検出されたヘッド降下速度が、予め決められた上限値を超えている場合、表示部102にヘッド降下速度が異常であるこという旨を表示させ(ステップS149)、ステップS147の動作へ遷移する。
【0265】
一方、ステップS148における確認の結果、検出されたヘッド降下速度が、予め決められた上限値を超えていない場合には、ステップS142の動作へ遷移する。
【0266】
このように本実施形態においては、退避位置から印画位置へとサーマルヘッド227を降下させる動作が、ロール紙313−2の残量に応じて制御される。具体的には、ROM202に記憶された残量情報が所定の値未満である場合、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を、予め決められた所定のヘッド降下速度よりもその残量情報に応じた増加分だけ増加させる。これにより、ロール紙313−2のカール量の大きさに応じ、サーマルヘッド227のヘッド降下速度をより詳細に変化させることが可能となり、ロール紙の紙詰まりの発生をより確実に低減することができる。
【0267】
なお、本実施形態においても、上述した第3の実施形態において図13を用いて説明したのと同様に、残量情報である残枚数の範囲を予め決めておき、その範囲毎にヘッド降下速度を設定してもよい。
【0268】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。また、ここでは、第1〜第6の実施形態に分けて説明したが、第1〜第6の実施形態を適宜組み合わせて1つの装置において実施してもよい。
【0269】
また、上述した第1〜第6の実施形態では、カートリッジに備えられているチップに記録されている残量情報を用いて、ヘッドの動作を制御した。しかし、残量情報はどのように取得しても良く、例えば、残量検出用のセンサを設け、ロール紙の径を検出して、残量を判断してもよい。また、一定スピードでロール紙を引き出すときのロール紙の回転速度から、ロール紙の残量を判断しても良い。
【0270】
また、本発明の目的は、上述した第1〜第6の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給するよう構成することによっても達成されることはいうまでもない。
【0271】
この場合、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(または、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit))が記録媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行する。これにより、上述した機能が実現されることとなる。なお、この場合、そのプログラムコードを記憶した記録媒体は本発明を構成することとなる。
【0272】
プログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0273】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現される場合に限られない。例えば、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(Operating System)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0274】
さらに、記録媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、上述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。つまり、プログラムコードがメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって実現される場合も含まれる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドを動作させることによって印画を行う印刷装置、制御方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、スキャナ等の画像の入力を行う機器の進歩に伴い、画像の出力を行う機器としてサーマルプリンタが注目されてきている。サーマルプリンタは特に、自然画像用のプリンタとしての注目度が高い。
【0003】
これは、サーマルヘッドや用紙材料の性能が向上してきていることにより、銀塩写真にも見劣りしない品質の画像プリントを得ることが可能となってきているためである。
【0004】
サーマルプリンタには、サーマルヘッドで感熱記録紙を加熱して直接発色させる感熱記録方式と、記録紙と重ね合わされたインクリボンをサーマルヘッドで加熱し、記録紙にインクを転写することによって印画を行う熱転写記録方式とがある。熱転写記録方式はさらに、サーマルヘッドの熱でインクを溶かして記録紙に転写する熱溶融転写方式と、インクを気化させて記録紙に転写する昇華型転写方式とに大別される。
【0005】
なお、サーマルヘッドには、セラミック製の基板上に多数の発熱素子(抵抗体)がライン上に形成されており、これらの発熱素子に通電する電力によって発熱量を制御することが可能である。
【0006】
昇華型転写方式においては、サーマルヘッドの発熱量を制御してインクリボンに加える熱量を調節することにより、転写するインクの量を調整することが可能である。そのため、昇華型転写方式は、熱溶融型転写方式と比べて階調表現の点で優れている。
【0007】
熱転写記録方式においてサーマルヘッドは、印刷を行わない時には、退避位置におり、印刷時に、印画を行う位置である印画位置へと降下し、プラテンローラとの間でインクリボン及び記録紙とを押圧する。これにより、記録紙に画像が印画される。
【0008】
サーマルプリンタにおいて、ロール紙を記録紙として用いる場合、カット紙を用いる場合と比較すると、収納の都合上、カールが発生する。このカールが残った状態で印刷を行うと、印画物に濃度ムラ等が発生したり、ロール紙の紙詰まりが発生したりする。なお、ロール紙とは、ローラに巻かれた帯状の記録紙のことである。
【0009】
ここで、印刷装置において、印画物の濃度ムラ等を低減するための技術が例えば、特許文献1に開示されている。
【0010】
特許文献1に開示されている技術では、サーマルヘッドのヘッド基板とヒートシンクとによって形成される隙間にペースト状の物質を充填し、そのペースト状の物質の流動性により、ヘッド基板に作用する押圧力を均一化する。これにより、サーマルヘッドにおける押圧力の分布を均一化し、印画物の濃度ムラ等を低減している。
【0011】
また、印刷装置において、記録紙の紙詰まりの発生を低減するための技術が例えば、特許文献2に開示されている。
【0012】
特許文献2に開示されている技術では、サーマルヘッドとプラテンローラとの距離を記録紙(印画用紙)の厚さに応じて変化させることにより、紙詰まりの発生を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−44126号公報
【特許文献2】特開平06−262822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ロール紙を記録紙として用いた場合、ロール紙の残量が減少するにつれて、ロール径が短くなる。これにより、印画位置に搬送されるロール紙のカール量は大きくなっていく。
【0015】
図21は、印画位置に搬送されたロール紙の状態の一例を示す図であり、(a)はロール紙の残量が少なくなっている場合の状態を示す図、(b)はロール紙の残量が(a)よりも多い場合の状態を示す図である。
【0016】
図21(b)に示す状態では、図21(a)に示す状態よりもロール紙902のカール量が小さい。そのため、ロール紙902は、サーマルヘッド901とプラテンローラ903との間をほぼカールがない状態で搬送される。一方、図21(a)に示す状態では、図21(b)に示す状態よりもロール紙902のカール量が大きい。そのため、ロール紙902は、サーマルヘッド901とプラテンローラ903との間をカールが残った状態のまま搬送される。
【0017】
この結果、ロール紙の残量が少なくなっておりカール量が大きな場合には、サーマルヘッド901によるロール紙902を押圧する際の圧力が、ロール紙902に対して均等に作用しなくなる状態が発生する。この場合、インクリボン等がロール紙902の搬送中に動いてしまい、濃度ムラが発生する。
【0018】
つまり、特許文献1に開示されている技術を利用し、サーマルヘッドにおける押圧力の分布を均一化しても、カール量の大きさによっては、印画物の濃度ムラを低減することができない。
【0019】
また、ロール紙を記録紙として用いた場合、上述したように、ロール紙の残量が減少するにつれて、印画位置に搬送されるロール紙のカール量は大きくなっていく。言い換えると、印刷枚数が増えるにつれて、ロール紙のカール量は大きくなっていくこととなる。これにより、印刷枚数が増えるにつれて、印画物の副走査方向の後端部分で濃度が減少してしまう。
【0020】
図22は、ロール紙を記録紙として用いた場合において、印画物の副走査方向の後端部分における濃度と印刷枚数との関係の一例を示す図である。
【0021】
図22に示すように印刷枚数が増えるにつれて、副走査方向における後端部分で濃度が減少していることが分かる。
【0022】
さらに、ロール紙を記録紙として用いた場合、ロール紙が印画位置へ搬送される際に、ロール紙902の先端部分がサーマルヘッド901に接近する際の角度は、ロール紙902の残量に応じて変化する。
【0023】
図23は、ロール紙の先端部分がサーマルヘッドに接近する際の状態の一例を示す図であり、(a)はロール紙の残量が少なくなっている場合の状態を示す図、(b)はロール紙の残量が(a)よりも多い場合の状態を示す図である。
【0024】
サーマルヘッド901は図23に示すように、円軌道を描きながらロール紙902へ向けて降下していく。そして、ロール紙902の先端部分は、ロール紙902のカール量の大きさに応じた角度でサーマルヘッド901へ接近していく。
【0025】
このとき、ロール紙902の先端部分がサーマルヘッド901に接近する際の角度によっては、ロール紙902は、サーマルヘッド901と接触した際に、弾性によって折れ曲がり、紙詰まりが発生する。
【0026】
つまり、特許文献2に開示されている技術を利用して記録紙の厚さに応じてサーマルヘッドとプラテンローラとの距離を変化させても、カール量の大きさによっては、紙詰まりの発生を低減することができない。
【0027】
本発明の目的は、印画物の濃度ムラ及び濃度の減少を低減することができる印刷装置、制御方法、プログラム及び記録媒体を提供することにある。
【0028】
また、本発明の他の目的は、ロール紙の紙詰まりの発生を低減することができる印刷装置、制御方法、プログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的を達成するために本発明の印刷装置は、ヘッドを退避位置から印画位置へと降下させ、該降下させたヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧することにより、前記ロール紙に画像を印画する印刷装置であって、
前記ヘッドを降下させる動作または前記ヘッドが押圧する動作を前記ロール紙の残量に応じて制御する。
【0030】
また、上記目的を達成するために本発明の制御方法は、ヘッドを退避位置から印画位置へと降下させ、該降下させたヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧することにより、前記ロール紙に画像を印画する印刷装置における制御方法であって、
前記ヘッドを降下させる動作または前記ヘッドが押圧する動作を前記ロール紙の残量に応じて制御する処理を有する。
【0031】
また、上記目的を達成するために本発明のプログラムは、ヘッドを退避位置から印画位置へと降下させ、該降下させたヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧することにより、前記ロール紙に画像を印画する印刷装置に、
前記ヘッドを降下させる動作または前記ヘッドが押圧する動作を前記ロール紙の残量に応じて制御する機能を実現させる。
【0032】
また、上記目的を達成するために本発明の記録媒体は、上記のプログラムを記録した記録媒体である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、ヘッドを退避位置から印画位置へと降下させる動作、または、ヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧する動作がロール紙の残量に応じて制御される。
【0034】
これにより、ロール紙のカール量の大きさに応じてヘッド圧を変化させることが可能となり、印画物の濃度ムラ及び濃度の減少を低減することができる。また、ロール紙のカール量の大きさに応じてヘッド降下速度を変化させることが可能となり、ロール紙の紙詰まりの発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の印刷装置の第1の実施形態の外観と、その印刷装置に装着されるカートリッジの一例の外観とを示す図である。
【図2】図1に示した印刷装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1に示したカートリッジが印刷装置に装着された状態を印刷装置の側面から見た断面図である。
【図4】カートリッジ情報を説明するための図であり、(a)はROMに記憶されたカートリッジ情報の一例を示す図、(b)はカートリッジのカートリッジ情報チップに記憶されたカートリッジ情報の一例を示す図である。
【図5】図1〜図3に示した印刷装置にカートリッジが装着されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1〜図3に示した印刷装置が印刷を行う際に、サーマルヘッドのヘッド圧を変化させる動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図7】図1〜図3に示した印刷装置に装着されるカートリッジの他の例を示す図であり、(a)はカートリッジの外観を示す図、(b)は(a)に示すカートリッジが備えるビットスイッチの一例を示す図である。
【図8】図1〜図3に示した印刷装置のROMに記憶されたカートリッジ情報の他の例を示す図である。
【図9】図1〜図3に示した印刷装置にカートリッジが装着されたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図1〜図3に示した印刷装置が印刷を行う際に、サーマルヘッドのヘッド圧を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図11】図2に示したメインコントローラが制御するヘッド圧と残枚数との関係の一例を示す図である。
【図12】図1〜図3に示した印刷装置が印刷を行う際に、サーマルヘッドのヘッド圧を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図13】図2に示したメインコントローラが制御するヘッド圧と残枚数の範囲との関係の一例を示す図である。
【図14】図1〜図3に示した印刷装置が印刷を行う際に、サーマルヘッドのヘッド降下速度を変化させる動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図15】図3に示したロール紙の残量が少なくなっている場合に、ロール紙の先端部分がサーマルヘッドに接近する際の角度である入射角度を説明するための図である。
【図16】図15に示した場合において、ロール紙がサーマルヘッドと接触する際の状態の一例を示す図であり、(a)はヘッド降下速度が任意の速度V1である場合を示す図、(b)はヘッド降下速度がV1よりも速い場合を示す図である。
【図17】図15及び図16に示した場合よりもロール紙の残量が多い場合に、ロール紙の先端部分がサーマルヘッドに接近する際の角度である入射角度を説明するための図である。
【図18】図17に示した場合において、ロール紙がサーマルヘッドと接触する際の状態の一例を示す図であり、(a)はヘッド降下速度が任意の速度V1である場合を示す図、(b)はヘッド降下速度がV1よりも速い場合を示す図である。
【図19】図1〜図3に示した印刷装置が印刷を行う際に、サーマルヘッドのヘッド降下速度を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図20】図1〜図3に示した印刷装置が印刷を行う際に、サーマルヘッドのヘッド降下速度を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図21】印画位置に搬送されたロール紙の状態の一例を示す図であり、(a)はロール紙の残量が少なくなっている場合の状態を示す図、(b)はロール紙の残量が(a)よりも多い場合の状態を示す図である。
【図22】ロール紙を記録紙として用いた場合において、印画物の副走査方向の後端部分における濃度と印刷枚数との関係の一例を示す図である。
【図23】ロール紙の先端部分がサーマルヘッドに接近する際の状態の一例を示す図であり、(a)はロール紙の残量が少なくなっている場合の状態を示す図、(b)はロール紙の残量が(a)よりも多い場合の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、「印刷」とは、ユーザからの印刷の指示に基づいて印画を行い、ロール紙を所定サイズに切断して排紙するまでの一連の動作を指すものとする。また、「印画」とは、印刷の動作のうち、インクリボンに塗布されたインクをロール紙に転写することにより、画像をロール紙に記録する動作を指すものとする。
【0037】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の印刷装置の第1の実施形態の外観と、その印刷装置に装着されるカートリッジの一例の外観とを示す図である。
【0038】
本実施形態の印刷装置100は図1に示すように、側面が開閉するハウジング101を備えている。ハウジング101の側面が開閉することにより、カートリッジ110を矢印120の方向に着脱可能(装着及び取り出しが可能)な構成となっている。また、ハウジング101の上部には、表示部102と操作部103とが配置されている。
【0039】
表示部102は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面から構成され、印刷装置100において印刷される画像データを表示したり、印刷に必要な設定データを入力するための各種メニューを表示したりする。
【0040】
操作部103は、印刷装置100の電源のON/OFFを指示するための電源スイッチ104と、表示部102に表示された画像データや各種メニューを選択するための選択スイッチ105とを備えている。さらに、選択スイッチ105の周囲には、表示部102に表示されたカーソルを所望の位置に移動させるための左右キー106と、上下キー107とが配置されている。
【0041】
カートリッジ110は、ハウジング111と、ローラ回転軸112と、インクリボン供給ローラ回転軸113と、インクリボン巻き取りローラ回転軸114とを備えている。また、カートリッジ110には、インクが塗布されたインクリボンとロール紙とが収納されている。なお、カートリッジ110が印刷装置100に装着される前の状態においてロール紙は、ハウジング111に覆われており、ユーザがロール紙に直接触れることがない構成となっている。また、印刷時には、ロール紙がカートリッジ110から引き出され、インクリボンに塗布されたインクを印刷装置100のサーマルヘッドでロール紙に転写することによって印画が行われる。また、カートリッジ110は、カートリッジ情報を記憶するIC(Integrated Circuit)であるカートリッジ情報チップを備えている。なお、カートリッジ情報については後述する。
【0042】
ローラ回転軸112は、ロール紙が巻かれたローラの回転軸であり、カートリッジ110を印刷装置100に装着した際には、印刷装置100が有する給紙モータの回転機構と結合され、印刷装置100によって回転が制御される。
【0043】
インクリボン供給ローラ回転軸113は、インクリボンの供給ローラの回転軸であり、インクリボン巻き取りローラ回転軸114は、インクリボンの巻き取りローラの回転軸である。インクリボン巻き取りローラ回転軸114は、カートリッジ110を印刷装置100に装着した際には、印刷装置100が有し、インクリボンを巻上げるインクリボン巻上げモータの回転機構と結合され、印刷装置100によって回転が制御される。
【0044】
図2は、図1に示した印刷装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0045】
図1に示した印刷装置100は図2に示すように、印刷装置100の全体を制御するヘッド圧制御部及びヘッド降下速度制御部であるメインコントローラ201を備えている。また、印刷装置100は、残量記憶部であるROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203とを備えている。また、印刷装置100は、インクリボンスピード検出センサ204と、ロール紙検出センサ205と、ロール紙頭出しセンサ206と、インクリボン頭出しセンサ207とを備えている。また、印刷装置100は、環境温度センサ208と、ヘッド圧検出センサ209と、印画範囲識別センサ210と、ヘッド降下速度検出センサ231とを備えている。また、印刷装置100は、ロール紙搬送モータドライバ211と、給紙モータドライバ214と、インクリボン巻上げモータドライバ216と、ヘッドアップダウンモータドライバ218と、カッターモータドライバ220とを備えている。また、印刷装置100は、表示制御部222と、ドライバコントローラ225と、ヘッド駆動回路226と、サーマルヘッド227と、画像データ入力部229と、IC読み書き部230とを備えている。また、印刷装置100は、駆動モータ212,213と、給紙モータ215と、インクリボン巻上げモータ217と、ヘッドアップダウンモータ219と、カッターモータ221とを備えている。なお、上述したヘッドアップダウンモータドライバ218等のドライバ類は、メインコントローラ201から出力される信号を受け付け、受け付けた信号が示す指示に応じてそれぞれに接続されたモータ類を動作させる。
【0046】
サーマルヘッド227は、印画を行う際に、退避位置から印画位置へと降下し、プラテンローラ(不図示)との間でインクリボン及びロール紙(不図示)とを押圧する。そして、サーマルヘッド227は、内蔵された発熱素子(不図示)の発熱により、インクリボンに塗布されたインクを溶融または気化させる。以降、サーマルヘッド227が退避位置から印画位置へと降下する際の速度のことをヘッド降下速度という。また、サーマルヘッド227がプラテンローラとの間でインクリボンとロール紙とを押圧する際の圧力のことをヘッド圧という。
【0047】
ROM202には、印刷装置100を制御するための制御プログラム等が記憶されている。メインコントローラ201は、ROM202に記憶された制御プログラムに従って動作する。また、制御プログラムは、ロール紙の残量を示す値である残量情報と、その残量情報に応じたヘッド圧及びヘッド降下速度とが対応付けられたテーブルを保持している。また、ROM202には、印刷装置100に装着されたカートリッジ110のカートリッジ情報が記憶される。
【0048】
RAM203は、メインコントローラ201の演算処理用のワークメモリとして用いられる。また、RAM203には、操作部103を介して入力された各種の設定データ等も一時的に記憶される。
【0049】
ヘッド駆動回路226は、サーマルヘッド227に内蔵された発熱素子を駆動させる。そして、メインコントローラ201に接続されたドライバコントローラ225が、RAM203にビットマップ形式等で記録された画像データを用いてヘッド駆動回路226を制御することによって印画が行われる。
【0050】
ロール紙搬送モータドライバ211は、駆動モータ212,213の回転を制御する。
【0051】
駆動モータ212,213は、回転機構を介して、後述するカール取りローラやグリップローラ、排紙ローラ、排紙蹴りだしローラ等に結合され、これらのローラを駆動させる。これにより、ロール紙が搬送される。
【0052】
給紙モータドライバ214は、給紙モータ215の回転を制御する。カートリッジ110が装着された状態においては、給紙モータ215によってロール紙が巻かれ、ローラ回転軸112と給紙モータ215とが回転機構を介して結合し、給紙モータドライバ214によってローラ回転軸112の回転が制御される。
【0053】
インクリボン巻上げモータドライバ216は、インクリボン巻上げモータ217の回転を制御する。カートリッジ110が装着された状態においては、インクリボン巻き取りローラ回転軸114とインクリボン巻上げモータ217とが回転機構を介して結合し、インクリボン巻上げモータドライバ216によってインクリボンの巻き取り及び巻き上げが制御される。
【0054】
ヘッドアップダウンモータドライバ218は、サーマルヘッド227の昇降を行うヘッドアップダウンモータ219の回転を制御する。これにより、退避位置と印画位置との間でサーマルヘッド227が移動し、ヘッド圧及びヘッド降下速度が制御される。
【0055】
カッターモータドライバ220は、カッターユニットを構成するカッター刃及びカッター受け刃を駆動するカッターモータ221を制御することにより、ロール紙の切断を行う。
【0056】
インクリボンスピード検出センサ204は、インクリボンを巻き取る際の回転速度を検出する。メインコントローラ201は、検出された回転速度から、カートリッジ110に収納されたロール紙の残量を算出する。なお、ロール紙の残量が少なくなった場合、ロール紙の残量が少なくなっていることを示すメッセージが表示部102に表示される。
【0057】
ロール紙検出センサ205は、カートリッジ110に収納されたロール紙が押し出され、ロール紙の先端部分がカートリッジ110の出口から排出されたことを検出する。ロール紙検出センサ205は、カートリッジ110の出口の近傍に、ロール紙の幅方向に対向して設けられており、カートリッジ110の出口から排出されたロール紙の幅方向の右端部分と左端部分とをそれぞれ検出する。メインコントローラ201は、ロール紙検出センサ205によるロール紙の幅方向の右端部分と左端部分との検出タイミングの差により、カートリッジ110の出口から押し出されたロール紙の幅方向の傾きを認識する。
【0058】
ロール紙頭出しセンサ206は、サーマルヘッド227に対向して設けられるプラテンローラの後方に配置され、印刷開始時に、カートリッジ110から引き出されたロール紙の先端部分がプラテンローラの後方を通過したことを検出する。
【0059】
インクリボン頭出しセンサ207は、インクリボンの各色の先端部分に塗布された識別帯を検出する。インクリボン巻上げモータ217によるインクリボンの巻き上げ動作は、リボン頭出しセンサ207の検出結果に基づいて制御される。
【0060】
環境温度センサ208は、印刷装置100が置かれた場所の周囲の温度である雰囲気温度を検出する。メインコントローラ201は、ヘッド駆動回路226によってサーマルヘッド227へ投入される投入エネルギーを、環境温度センサ208の検出結果に基づいて制御する。
【0061】
ヘッド圧検出センサ209は、サーマルヘッド227のヘッド圧を検出する。メインコントローラ201は、ヘッド圧検出センサ209の検出結果と、ROM202に記憶された制御プログラムとに基づき、ヘッド圧をロール紙の残量に応じた圧力に制御する。
【0062】
印画範囲識別センサ210は、カッターユニットの近傍に配され、印画された範囲を識別する。
【0063】
ヘッド降下速度検出センサ231は、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を検出する。メインコントローラ201は、ヘッド降下速度検出センサ231の検出結果と、ROM202に記憶された制御プログラムとに基づき、ヘッド降下速度をロール紙の残量に応じた速度に制御する。
【0064】
表示制御部222は、印刷する画像データや、印刷に必要な設定データを入力するためのメニューを表示部102に表示するための制御を行う。
【0065】
IC読み書き部230は、カートリッジ110が備えるカートリッジ情報チップからのカートリッジ情報の読み取りと、カートリッジ情報チップへのカートリッジ情報の書き込みとを行う。なお、カートリッジ情報チップから読み出されるカートリッジ情報としては例えば、ロール紙のサイズ(幅、厚さ、長さ)やロール紙の特性、ローラ径、インクリボンの製造情報等が挙げられる。また、インクリボンの特性情報、インクリボンの巻き取りローラの径、インクリボンの供給ローラの径等もカートリッジ情報チップから読み出されるカートリッジ情報として挙げられる。また、カートリッジ情報チップへ書き込まれるカートリッジ情報としては例えば、印刷された枚数を示す情報や、印刷に失敗した枚数を示す情報、印刷に失敗した原因を示す情報等が挙げられる。
【0066】
図3は、図1に示したカートリッジ110が印刷装置100に装着された状態を印刷装置100の側面から見た断面図である。
【0067】
印刷装置100が印刷を行う際に動作する各部の構成について、図3を参照しながら説明する。
【0068】
搬送路301は、カートリッジ110に収納されたロール紙313−2が、印画時に印画位置311まで引き出される際に通過する搬送路である。
【0069】
カートリッジ出口302は、ロール紙313−2がカートリッジ110から引き出される出口である。ローラ313−1に巻かれたロール紙313−2は、分離部材314によって引き剥がされることで、カートリッジ出口302からカートリッジ110の外部に引き出され、引き出されたロール紙313−2は搬送路301を通過する。
【0070】
カール取りローラ303−1及びカール取り従動ローラ303−2は、ロール紙313−2のカール(巻き癖)を矯正する。
【0071】
グリップローラ304−1とピンチローラ304−2とは、ロール紙313−2を挟んで対向する位置に配置され、ロール紙313−2の表裏面を挟持する。これらの1対のローラが正転することにより(グリップローラ304−1が図中左回りに回転することにより)、カートリッジ110から引き出されたロール紙313−2が印画位置311へ搬送される。
【0072】
なお、カートリッジ110が印刷装置100に装着された状態において印画位置311では、インクリボン315を覆っていたハウジング111は取り除かれている。そして、インクリボン315がカートリッジ110の外部に露出している。
【0073】
プラテンローラ305は、印画位置311において、サーマルヘッド227との間で、インクリボン315とロール紙313−2とを重ね合わせた状態を維持する。
【0074】
排紙ローラ306は、ロール紙313−2を排紙方向に搬送する。
【0075】
排紙蹴りだしローラ307は、凹凸部を備え、印画されて切断されたロール紙313−2を印刷装置100の外部にある排紙ボックス(不図示)へ搬出する。排紙ローラ306と排紙蹴りだしローラ307とは、ロール紙313−2を挟んで対向する位置に配置され、ロール紙313−2の表裏面を挟持する。
【0076】
ギア列308は、カッターモータ221の動作をカッターユニットに伝達する。
【0077】
カッター刃309とカッター受け刃310とは、カッターユニットを構成し、ロール紙313−2の搬送路を挟んで対向した位置に配置されている。カッター刃309とカッター受け刃310とは、ギア列308によって駆動される。カッター刃309とカッター受け刃310とがすり合わされることにより、ロール紙313−2が切断される。
【0078】
なお、図3では、ロール紙313−2の先端部分が、分離部材314によって引き剥がされ、搬送路301に留まっている状態を示している。但し、印刷装置100では、カートリッジ110を印刷装置100に装着した直後に、このような状態が実現されるわけではない。
【0079】
以下に、上記のように構成された印刷装置100の動作について説明する。
【0080】
まず、図1〜図3に示した印刷装置100にカートリッジ110が装着されたときの動作について説明するが、その前に、カートリッジ情報について説明する。
【0081】
図4は、カートリッジ情報を説明するための図であり、(a)はROM202に記憶されたカートリッジ情報の一例を示す図、(b)はカートリッジ110のカートリッジ情報チップに記憶されたカートリッジ情報の一例を示す図である。
【0082】
図4に示すように、カートリッジ110及びROM202においては、カートリッジ番号と、用紙サイズ情報、印刷状態情報及び残量情報とが対応付けられてカートリッジ情報として記憶されている。なお、カートリッジ番号とはカートリッジを識別するための情報である。また、用紙サイズ情報とはカートリッジに収納されたロール紙のサイズを示す情報である。また、印刷状態情報とはカートリッジ110を前回使用した際に、印刷が正常に終了したかどうかを示す情報のことである。ここでは、印刷状態情報は、「正常」または「異常」を示すものとする。また、残量情報は一例として、ロール紙313−2の残量で印刷できる枚数で表されるものとし、以降、この枚数のことを残枚数という。
【0083】
図5は、図1〜図3に示した印刷装置100にカートリッジ110が装着されたときの動作を説明するためのフローチャートである。なお、印刷装置100にカートリッジ110が装着され、電源が投入された後、図3に示した状態になると、以下に説明する動作が開始される。
【0084】
まず、メインコントローラ201は、図4(b)に示すような形式でカートリッジ110のカートリッジ情報チップに記憶されているカートリッジ情報のうちカートリッジ番号を取得する(ステップS1)。
【0085】
次に、メインコントローラ201は、取得したカートリッジ番号がROM202に記憶されているかどうかを確認する(ステップS2)。
【0086】
ステップS2における確認の結果、取得したカートリッジ番号がROM202に記憶されていない場合、メインコントローラ201は、取得したカートリッジ番号をROM202に記憶させる(ステップS3)。なお、取得したカートリッジ番号がROM202に記憶されていないとは、取得したカートリッジ番号によって識別されるカートリッジが印刷装置100に初めて装着されたということである。
【0087】
次に、メインコントローラ201は、用紙サイズ情報をカートリッジ情報チップから取得する(ステップS4)。
【0088】
一方、ステップS2における確認の結果、取得したカートリッジ番号がROM202に記憶されていた場合には、ステップS4の動作へ遷移する。
【0089】
次に、メインコントローラ201は、印刷状態情報をカートリッジ情報チップから取得する(ステップS5)。
【0090】
次に、メインコントローラ201は、取得した印刷状態情報が正常を示しているかどうかを確認する(ステップS6)。
【0091】
ステップS6における確認の結果、取得した印刷状態情報が異常を示していた場合、メインコントローラ201は、表示部102にエラー表示をさせ(ステップS7)、処理を終了する。
【0092】
一方、ステップS6における確認の結果、取得した印刷状態情報が正常を示していた場合には、メインコントローラ201は、残量情報をカートリッジ情報チップから取得する(ステップS8)。
【0093】
そして、メインコントローラ201は、ステップS8において取得した残量情報から、ロール紙313−2の残量があるかどうかを確認する(ステップS9)。
【0094】
ステップS9における確認の結果、取得した残量情報が、ロール紙313−2の残量がないことを示していた場合、ステップS7の動作へ遷移し、メインコントローラ201は、表示部102にエラー表示をさせて処理を終了する。
【0095】
一方、ステップS9における確認の結果、取得した残量情報が、ロール紙313−2の残量があることを示していた場合には、メインコントローラ201は、取得した用紙サイズ情報、印刷状態情報及び残量情報をROM202に記憶させる(ステップS10)。そして、処理を終了する。
【0096】
なお、ここでは、用紙サイズ情報、印刷状態情報及び残量情報をカートリッジ情報としているが、上述したように、カートリッジ情報はこれらに限定されるものではない。
【0097】
次に、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させる動作について説明する。
【0098】
図6は、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させる動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0099】
まず、ユーザは、操作部103を操作することにより、表示部102に表示された画像データのうち印刷対象とする画像データを選択する。なお、印刷対象として選択することが可能な画像データは1つに限定されず、複数であってもよい。
【0100】
そして、メインコントローラ201は、操作部103を介して画像データの選択を受け付ける(ステップS21)。
【0101】
次に、メインコントローラ201は、ユーザが操作部103を操作することにより、印刷の指示を行ったかどうかを判定する(ステップS22)。
【0102】
ステップS22における判定の結果、印刷の指示があったと判定された場合、メインコントローラ201は、選択された画像データの全てを印刷することが可能かどうかを判定する(ステップS23)。なお、ここでは、選択された画像データの全てを印刷することが可能であるかどうかを、ロール紙313−2の残量に基づいて判定する。ロール紙313−2の残量は、インクリボンスピード検出センサ204によって検出されたインクリボンを巻き取る際の回転速度であるリボンスピードから算出される。
【0103】
ステップS23における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、選択された画像データに基づき、印画データ(描画データ)を色毎に生成する(ステップS24)。
【0104】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に図4(a)で示したように記憶されているカートリッジ情報から、装着されているカートリッジ110の残量情報である残枚数を確認する(ステップS25)。
【0105】
ステップS25において確認された残枚数が所定の枚数(本実施形態では5枚)未満である場合、メインコントローラ201は、ヘッド圧の増加を指示する信号をヘッドアップダウンモータドライバ218へ出力する。そして、ヘッドアップダウンモータドライバ218が、ヘッドアップダウンモータ219の回転を制御することによってカムポジション(不図示)が切り換えられ、サーマルヘッド227のヘッド圧が通常時のヘッド圧よりも増加する(ステップS26)。
【0106】
次に、メインコントローラ201は、ヘッド圧検出センサ209を用いてサーマルヘッド227のヘッド圧を検出する。
【0107】
そして、メインコントローラ201は、検出されたヘッド圧が、ステップS25において確認された残枚数に応じたヘッド圧に達したかどうかを、ROM202に記憶された制御プログラムに基づいて確認する(ステップS27)。
【0108】
ステップS27における確認の結果、検出されたヘッド圧が、ステップS25において確認された残枚数に応じたヘッド圧に達していない場合、ステップS26の動作へ遷移する。これにより、ヘッド圧の増加が継続される。
【0109】
一方、ステップS27における確認の結果、検出されたヘッド圧が、ステップS25において確認された残枚数に応じたヘッド圧に達していた場合には、生成された印画データを用いた印刷処理が行われる(ステップS28)。
【0110】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に記憶されたカートリッジ110の残量情報である残枚数を1つ減算することにより、残量情報を更新する(ステップS29)。
【0111】
そして、メインコントローラ201は、印刷対象として選択された次の画像データがあるかどうかを判定する(ステップS30)。
【0112】
ステップS30における判定の結果、次の画像データがある場合、ステップS24の動作へ遷移する。
【0113】
一方、ステップS30における判定の結果、次の画像データがない場合には、メインコントローラ201は、カートリッジ110のカートリッジ情報チップに記憶されている残量情報を、ROM202に記憶された残量情報で更新する(ステップS31)。
【0114】
その後、終了処理が行われ、印刷装置100は、図3に示したような状態に戻る。具体的には、サーマルヘッド227が退避位置に戻るとともに、ロール紙313−2が巻き上げられ、ロール紙313−2の先端部分が搬送路301に留まった状態になる。これは、後述する実施形態においても同様である。
【0115】
なお、ステップS23における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが不可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、印刷が不可能である旨のメッセージを表示部102に表示させる。そして、ステップS30の動作へ遷移する。
【0116】
また、ステップS25において確認された残枚数が所定の枚数(5枚)以上である場合、メインコントローラ201は、ヘッド圧を増加させることなく、予め決められた通常時のヘッド圧でサーマルヘッド227を動作させる。
【0117】
このように本実施形態においては、サーマルヘッド227がインクリボン315及びロール紙313−2を押圧する動作が、ロール紙313−2の残量に応じて制御される。これにより、ロール紙313−2のカール量の大きさに応じ、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させることが可能となり、印画物の濃度ムラ及び濃度の減少を低減することができる。
【0118】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態においては、カートリッジ110がカートリッジ情報を記憶するカートリッジ情報チップを備えている場合について説明した。本実施形態においてカートリッジは、カートリッジ情報チップを備えておらず、その代わりに、カートリッジ番号を識別するためのビットスイッチを備えている。本実施形態においては、このビットスイッチによって表されるビット値がカートリッジ番号となる。
【0119】
図7は、図1〜図3に示した印刷装置100に装着されるカートリッジの他の例を示す図であり、(a)はカートリッジの外観を示す図、(b)は(a)に示すカートリッジが備えるビットスイッチの一例を示す図である。図7に示すカートリッジ110−1は、ロール紙とインクシートとが一体となっているカートリッジであり、基本的な構成は、上述した第1の実施形態において説明したカートリッジ110と同じである。但し、図7(a)において図中矢印で示した部分に、図7(b)に示すようなビットスイッチが配置されている。
【0120】
なお、図7(b)においては一例として、4ビットを表すビットスイッチを示しているが、ビット数は4に限定されない。
【0121】
また、他の構成については、上述した第1の実施形態で説明したものと同じなので、ここでは、構成の説明は省略する。
【0122】
図8は、図1〜図3に示した印刷装置100のROM202に記憶されたカートリッジ情報の他の例を示す図である。本実施形態においては図8に示すように、ROM202では、ビット値で表されたカートリッジ番号と、用紙サイズ情報、印刷状態情報及び用紙残量とが対応付けられてカートリッジ情報として記憶される。
【0123】
図9は、図1〜図3に示した印刷装置100にカートリッジ110−1が装着されたときの動作を説明するためのフローチャートである。なお、印刷装置100にカートリッジ110−1が装着され、電源が投入された後、図3に示したような状態になると、以下に説明する動作が開始される。
【0124】
まず、メインコントローラ201は、カートリッジ110−1のビットスイッチによって示されるビット値を取得する(ステップS41)。
【0125】
次に、メインコントローラ201は、取得したビット値がカートリッジ番号としてROM202に記憶されているかどうかを確認する(ステップS42)。
【0126】
ステップS42における確認の結果、取得したビット値がカートリッジ番号としてROM202に記憶されていない場合、メインコントローラ201は、取得したビット値をカートリッジ番号としてROM202に記憶させる。それとともに、メインコントローラ201は、図8に示すように、カートリッジ情報をカートリッジ番号と対応付けてROM202に記憶させる(ステップS43)。具体的には、装着されたカートリッジ110−1のビットスイッチによって認識される用紙サイズを示す情報が用紙サイズ情報として記憶される。また、印刷状態情報としては正常を示す情報が記憶される。また、装着されたカートリッジ110−1に応じた最大の枚数が残量情報として記憶される。
【0127】
なお、取得したビット値がカートリッジ番号としてROM202に記憶されていないとは、そのカートリッジ110−1が印刷装置100に初めて装着されたということである。
【0128】
次に、メインコントローラ201は、取得したビット値であるカートリッジ番号に対応する用紙サイズ情報をROM202から取得する(ステップS44)。
【0129】
一方、ステップS42における確認の結果、取得したビット値がカートリッジ番号としてROM202に記憶されていた場合には、ステップS44の動作へ遷移する。
【0130】
次に、メインコントローラ201は、取得したビット値であるカートリッジ番号に対応する印刷状態情報をROM202から取得する(ステップS45)。
【0131】
次に、メインコントローラ201は、取得した印刷状態情報が正常を示しているかどうかを確認する(ステップS46)。
【0132】
ステップS46における確認の結果、取得した印刷状態情報が異常を示していた場合、メインコントローラ201は、表示部102にエラー表示をさせ(ステップS47)、処理を終了する。
【0133】
一方、ステップS46における確認の結果、取得した印刷状態情報が正常を示していた場合には、メインコントローラ201は、取得したビット値であるカートリッジ番号に対応する残量情報をROM202から取得する(ステップS48)。
【0134】
そして、メインコントローラ201は、ステップS48において取得した残量情報から、ロール紙313−2の残量があるかどうかを確認する(ステップS49)。
【0135】
ステップS49における確認の結果、取得した残量情報が、ロール紙313−2の残量がないことを示していた場合、ステップS47の動作へ遷移し、メインコントローラ201は、表示部102にエラー表示をさせて処理を終了する。
【0136】
一方、ステップS49における確認の結果、取得した残量情報が、ロール紙313−2の残量があることを示していた場合には、そのまま処理を終了する。
【0137】
なお、ここでは、用紙サイズ情報、印刷状態情報及び残量情報をカートリッジ情報としているが、上述したように、カートリッジ情報はこれらに限定されるものではない。
【0138】
次に、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させる動作について説明する。ここでは、印刷装置100にはカートリッジ110−1が装着されているものとする。
【0139】
図10は、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0140】
まず、ユーザは、操作部103を操作することにより、表示部102に表示された画像データのうち印刷対象とする画像データを選択する。なお、印刷対象として選択することが可能な画像データは1つに限定されず、複数であってもよい。
【0141】
そして、メインコントローラ201は、操作部103を介して画像データの選択を受け付ける(ステップS61)。
【0142】
次に、メインコントローラ201は、ユーザが操作部103を操作することにより、印刷の指示を行ったかどうかを判定する(ステップS62)。
【0143】
ステップS62における判定の結果、印刷の指示があったと判定された場合、メインコントローラ201は、インクリボンスピード検出センサ204を用いてリボンスピードを検出する。
【0144】
次に、メインコントローラ201は、検出されたリボンスピードに基づいてロール紙313−2の残量を算出する(ステップS63)。ここでは、残量は、カートリッジ110−1に収納されたロール紙の残量で印刷できる枚数として算出されるものとする。
【0145】
そして、メインコントローラ201は、ステップS63において算出されたロール紙313−2の枚数と、ROM202に記憶された残量情報である残枚数とが一致するかどうかを確認する(ステップS64)。
【0146】
ステップS64における確認の結果、ステップS63において算出された枚数と残枚数とが一致する場合、メインコントローラ201は、選択された画像データの全てを印刷することが可能であるかどうかを判定する(ステップS65)。
【0147】
一方、ステップS64における確認の結果、ステップS63において算出された枚数と残枚数とが一致しない場合には、メインコントローラ201は、ステップS63において算出された枚数を残枚数としてROM202に記憶させる(ステップS66)。そして、ステップS65の動作へ遷移する。
【0148】
ステップS65における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、選択された画像データに基づき、印画データ(描画データ)を色毎に生成する(ステップS67)。
【0149】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に図8で示したように記憶されているカートリッジ情報から、装着されているカートリッジ110−1の残量情報である残枚数を確認する(ステップS68)。
【0150】
ステップS68において確認された残枚数が所定の枚数(本実施形態では5枚)未満である場合、メインコントローラ201は、ヘッド圧の増加を指示する信号をヘッドアップダウンモータドライバ218へ出力する。そして、ヘッドアップダウンモータドライバ218が、ヘッドアップダウンモータ219の回転を制御することによってカムポジション(不図示)が切り換えられ、サーマルヘッド227のヘッド圧が通常時のヘッド圧よりも増加する(ステップS69)。
【0151】
次に、メインコントローラ201は、ヘッド圧検出センサ209を用いてサーマルヘッド227のヘッド圧を検出する。
【0152】
そして、メインコントローラ201は、検出されたヘッド圧が、ステップS68において確認された残枚数に応じたヘッド圧に達したかどうかを、ROM202に記憶された制御プログラムに基づいて確認する(ステップS70)。
【0153】
ステップS70の確認の結果、検出されたヘッド圧が、ステップS68において確認された残枚数に応じたヘッド圧に達していない場合、ステップS69の動作へ遷移する。これにより、ヘッド圧の増加が継続される。
【0154】
一方、ステップS70における確認の結果、検出されたヘッド圧が、ステップS68において確認された残枚数に応じたヘッド圧に達していた場合には、生成された印画データを用いた印刷処理が行われる(ステップS71)。
【0155】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に記憶されたカートリッジ110−1の残量情報である残枚数を1つ減算することにより、残量情報を更新する(ステップS72)。
【0156】
そして、メインコントローラ201は、印刷対象として選択された次の画像データがあるかどうかを判定する(ステップS73)。
【0157】
ステップS73における判定の結果、次の画像データがある場合、ステップS67の動作へ遷移する。
【0158】
一方、ステップS73における判定の結果、次の画像データがない場合には、処理を終了する。
【0159】
その後、終了処理が行われ、印刷装置100は、図3に示したような状態に戻る。
【0160】
なお、ステップS65における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが不可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、印刷が不可能である旨のメッセージを表示部102に表示させる。そして、ステップS73の動作へ遷移する。
【0161】
また、ステップS68において確認された残枚数が所定の枚数(5枚)以上である場合、メインコントローラ201は、ヘッド圧を増加させることなく、予め決められた通常時のヘッド圧でサーマルヘッド227を動作させる。
【0162】
このように本実施形態においては、サーマルヘッド227がインクリボン315及びロール紙313−2を押圧する動作が、ロール紙313−2の残量に応じて制御される。これにより、ロール紙313−2のカール量の大きさに応じ、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させることが可能となり、印画物の濃度ムラ及び濃度の減少を低減することができる。
【0163】
(第3の実施形態)
上述した第1の実施形態では、残量情報である残枚数が所定の枚数以上かどうかを基準としてサーマルヘッド227のヘッド圧を変化させた。本実施形態においては、確認された残枚数毎に、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させる場合について説明する。つまり、本実施形態においては、残枚数毎に、それぞれの残枚数に対応するヘッド圧が設定されている。
【0164】
図11は、図2に示したメインコントローラ201が制御するヘッド圧と残枚数との関係の一例を示す図である。本実施形態においてROM202に記憶された制御プログラムでは、図11に示すように、残枚数と、それぞれの残枚数に応じたヘッド圧とが対応付けられている。
【0165】
本実施形態においては図11に示すように、残枚数がN枚未満の場合、その残枚数に応じてヘッド圧を0.2[N]単位で増加させている。但し、これは一例であって、これらのヘッド圧は、ヘッドや、ヘッドを組みつけている部品及び部材の特性等によって適宜変更できるものである。
【0166】
なお、本実施形態において印刷装置の基本的な構成等は、上述した第1の実施形態と同様であるため、ここでは、説明を省略する。また、カートリッジ110が印刷装置100に装着されたときの動作も、第1の実施形態で説明したものと同様であるため、ここでは、説明を省略する。
【0167】
また、印刷装置100における印刷時の動作のうち、ユーザから印刷対象の画像データの選択を受け付けてから、印画データを生成するまでの動作も第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0168】
従って、ここでは、印刷装置100において印刷を行う動作のうち、ROM202に記憶された残量情報を確認する動作から説明する。具体的には、ここで説明する動作は、上述した第1の実施形態において説明した図6のフローチャートのステップS25以降の動作に相当する。
【0169】
図12は、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド圧を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0170】
メインコントローラ201は、ROM202に図4(a)で示したように記憶されているカートリッジ情報から、装着されているカートリッジ110の残量情報である残枚数を確認する(ステップS81)。
【0171】
次に、メインコントローラ201は、ステップS81において確認された残枚数に応じ、ヘッドアップダウンモータドライバ218へ信号を送信することにより、サーマルヘッド227のヘッド圧を制御する(ステップS82)。
【0172】
次に、メインコントローラ201は、ヘッド圧検出センサ209を用いてサーマルヘッド227のヘッド圧を検出する。
【0173】
そして、メインコントローラ201は、検出されたヘッド圧が、ステップS81において確認された残枚数に応じたヘッド圧に設定されているかどうかを、ROM202に記憶された制御プログラムに基づいて確認する(ステップS83)。例えば、ステップS81にて確認された残枚数が「N−2」である場合、図11に示したようにヘッド圧が31.6(N)となっているかどうかを確認する。
【0174】
ステップS83における確認の結果、検出されたヘッド圧が、ステップS81において確認された残枚数に応じたヘッド圧に設定されている場合、生成された印画データを用いた印刷処理が行われる(ステップS84)。
【0175】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に記憶されたカートリッジ110の残量情報である残枚数を1つ減算することにより、残量情報を更新する(ステップS85)。
【0176】
そして、メインコントローラ201は、印刷対象として選択された次の画像データがあるかどうかを判定する(ステップS86)。
【0177】
ステップS86における判定の結果、次の画像データがある場合には、ステップS81の動作へ遷移する。
【0178】
一方、ステップS86における判定の結果、次の画像データがない場合には、メインコントローラ201は、カートリッジ110のカートリッジ情報チップに記憶されている残量情報を、ROM202に記憶された残量情報で更新する(ステップS87)。
【0179】
ここで、ステップS83における確認の結果、検出されたヘッド圧が、残枚数に応じたヘッド圧に設定されていない場合、メインコントローラ201は、ヘッド圧が予め決められた上限値を超えているかどうかを確認する(ステップS88)。
【0180】
ステップS88における確認の結果、検出されたヘッド圧が、予め決められた上限値を超えている場合、表示部102にヘッド圧が異常であるこという旨を表示させ(ステップS89)、ステップS87の動作へ遷移する。
【0181】
一方、ステップS88における確認の結果、検出されたヘッド圧が、予め決められた上限値を超えていない場合には、ステップS82の動作へ遷移する。
【0182】
このように本実施形態においては、サーマルヘッド227がインクリボン315及びロール紙313−2を押圧する動作が、ロール紙313−2の残量に応じて制御される。具体的には、ROM202に記憶された残量情報が所定の値未満である場合、サーマルヘッド227のヘッド圧を、予め決められた所定のヘッド圧よりもその残量情報に応じた増加分だけ増加させる。これにより、ロール紙313−2のカール量の大きさに応じ、サーマルヘッド227のヘッド圧をより詳細に変化させることが可能となり、印画物の濃度ムラ及び濃度の減少をより確実に低減することができる。ここで、残量情報は、残りのロール紙で印刷可能な枚数でもよいし、残りのロール紙の長さでもよい。または、ロール紙のロール径でもよい。
【0183】
なお、上述したように、残枚数毎に、それぞれの残枚数に対応するヘッド圧を設定するのではなく、残枚数の範囲を予め決めておき、その範囲毎にヘッド圧を設定してもよい。
【0184】
図13は、図2に示したメインコントローラ201が制御するヘッド圧と残枚数の範囲との関係の一例を示す図である。なお、図13に示すヘッド圧と残枚数の範囲との関係は一例であり、これに限定されるものではない。
【0185】
この場合、メインコントローラ201は、残枚数の範囲に応じて段階的にヘッド圧を制御する。例えば図13に示すように、残枚数が50枚以上の場合、ヘッド圧をN1とし、残枚数が15枚以上で50枚未満である場合、ヘッド圧をN1よりも増加させたN2とする。また、残枚数が15枚未満である場合、ヘッド圧をN2よりもさらに増加させたN3とする。
【0186】
(第4の実施形態)
上述した第1〜第3の実施形態においては、サーマルヘッド227がインクリボン315及びロール紙313−2を押圧する動作を、ロール紙313−2の残量に応じて制御することにより、印画物の濃度ムラ及び濃度の減少を低減する場合について説明した。
【0187】
本実施形態では、サーマルヘッド227を降下させる動作を、ロール紙313−2の残量に応じて制御する場合について説明する。
【0188】
印刷装置100の構成は、上述した第1〜第3の実施形態において説明したのと同様であるため、ここでは、説明を省略する。
【0189】
また、本実施形態では、上述した第1の実施形態と同様に、カートリッジ情報が、カートリッジ110が備えるカートリッジ情報チップカートリッジに記憶される場合について説明する。なお、カートリッジ110が印刷装置100に装着されるときの動作は、上述した第1の実施形態において図4及び図5を参照しながら説明した動作と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0190】
従って、ここでは、図1〜図3に示した印刷装置100が、装着されたカートリッジ110を用いて印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させる動作について説明する。
【0191】
図14は、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させる動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0192】
まず、ユーザは、操作部103を操作することにより、表示部102に表示された画像データのうち印刷対象とする画像データを選択する。なお、印刷対象として選択することが可能な画像データは1つに限定されず、複数であってもよい。
【0193】
そして、メインコントローラ201は、操作部103を介して画像データの選択を受け付ける(ステップS101)。
【0194】
次に、メインコントローラ201は、ユーザが操作部103を操作することにより、印刷の指示を行ったかどうかを判定する(ステップS102)。
【0195】
ステップS102における判定の結果、印刷の指示があったと判定された場合、メインコントローラ201は、選択された画像データの全てを印刷することが可能かどうかを判定する(ステップS103)。なお、ここでは、選択された画像データの全てを印刷することが可能であるかどうかを、ロール紙313−2の残量に基づいて判定する。ロール紙313−2の残量は、インクリボンスピード検出センサ204によって検出されたリボンスピードから算出される。
【0196】
ステップS103における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、選択された画像データに基づき、印画データ(描画データ)を色毎に生成する(ステップS104)。
【0197】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に図4(a)で示したように記憶されているカートリッジ情報から、装着されているカートリッジ110の残量情報である残枚数を確認する(ステップS105)。
【0198】
ステップS105において確認された残枚数が所定の枚数未満である場合、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度の増加を指示する信号をヘッドアップダウンモータドライバ218へ出力する。そして、ヘッドアップダウンモータドライバ218が、ヘッドアップダウンモータ219の回転を制御することにより、サーマルヘッド227のヘッド降下速度が増加する(ステップS106)。
【0199】
次に、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度検出センサ231を用いてサーマルヘッド227のヘッド降下速度を検出する。
【0200】
そして、メインコントローラ201は、検出されたヘッド降下速度が、ステップS105において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に達したかどうかを、ROM202に記憶された制御プログラムに基づいて確認する(ステップS107)。
【0201】
ステップS107における確認の結果、検出されたヘッド降下速度が、ステップS105において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に達していない場合、ステップS106の動作へ遷移する。これにより、ヘッド降下速度の増加が継続される。
【0202】
一方、ステップS107における確認の結果、検出されたヘッド降下速度が、ステップS105において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に達していた場合には、生成された印画データを用いた印刷処理が行われる(ステップS108)。
【0203】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に記憶されたカートリッジ110の残量情報である残枚数を1つ減算することにより、残量情報を更新する(ステップS109)。
【0204】
そして、メインコントローラ201は、印刷対象として選択された次の画像データがあるかどうかを判定する(ステップS110)。
【0205】
ステップS110における判定の結果、次の画像データがある場合、ステップS104の動作へ遷移する。
【0206】
一方、ステップS110における判定の結果、次の画像データがない場合には、メインコントローラ201は、カートリッジ110のカートリッジ情報チップに記憶されている残量情報を、ROM202に記憶された残量情報で更新する(ステップS111)。
【0207】
その後、終了処理が行われ、印刷装置100は、図3に示したような状態に戻る。
【0208】
なお、ステップS103における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが不可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、印刷が不可能である旨のメッセージを表示部102に表示させる。そして、ステップS110の動作へ遷移する。
【0209】
また、ステップS105において確認された残枚数が所定の枚数以上である場合、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度を増加させることなく、予め決められた所定のヘッド降下速度でサーマルヘッド227を動作させる。
【0210】
ここで、ロール紙313−2の残量とヘッド降下速度との関係について図を参照しながら説明する。
【0211】
まず、ロール紙313−2の残量が少なくなっている場合について説明する。
【0212】
図15は、図3に示したロール紙313−2の残量が少なくなっている場合に、ロール紙313−2の先端部分がサーマルヘッド227に接近する際の角度である入射角度を説明するための図である。入射角度は、サーマルヘッド227の底面であるサーマルヘッド底面227−1に対する角度で表している。なお、サーマルヘッド底面227−1は正確には、サーマルヘッド底面227−1によって押圧されたインクリボン315である。しかし、図15においては、説明をわかりやすくするために、インクリボン315を省略している。
【0213】
図16は、図15に示した場合において、ロール紙313−2がサーマルヘッド227と接触する際の状態の一例を示す図であり、(a)はヘッド降下速度が任意の速度V1である場合を示す図、(b)はヘッド降下速度がV1よりも速い場合を示す図である。なお、正確には、ロール紙313−2が接触するのは、サーマルヘッド底面227−1によって押圧されたインクリボン315であるが、ここでは、説明をわかりやすくするため、「サーマルヘッド底面227−1と接触する」と表現する。また、図16においては、図15と同様に、説明をわかりやすくするために、インクリボン315を省略している。
【0214】
ロール紙313−2の残量が少なくなっている場合、図15に示すようにロール紙313−2は、斜め上方へ搬送される。このとき、入射角度がθ1の範囲となる場合、図16(a)に示すように、ロール紙313−2の先端部分が、サーマルヘッド底面227−1に対して直角に近い状態でサーマルヘッド底面227−1と接触する。この場合、ロール紙313−2は、ロール紙313−2の弾性によって折れ曲がり、紙詰まりが発生する可能性が高くなる。
【0215】
一方、入射角度がθ2の範囲となる場合、すなわち、ヘッド降下速度がV1よりも速い場合、図16(b)に示すように、ロール紙313−2が、サーマルヘッド底面227−1に対して平行に近い状態でサーマルヘッド底面227−1と接触する。この場合、ロール紙313−2は、折れ曲がることなく、サーマルヘッド底面227−1に沿って搬送される。従って、紙詰まりが発生する可能性は低い。
【0216】
次に、ロール紙313−2の残量が、図15及び図16に示した場合よりも多い場合について説明する。
【0217】
図17は、図15及び図16に示した場合よりもロール紙313−2の残量が多い場合に、ロール紙313−2の先端部分がサーマルヘッド227に接近する際の角度である入射角度を説明するための図である。図18は、図17に示した場合において、ロール紙313−2がサーマルヘッド227と接触する際の状態の一例を示す図であり、(a)はヘッド降下速度が任意の速度V1である場合を示す図、(b)はヘッド降下速度がV1よりも速い場合を示す図である。なお、図17及び図18においても、図15及び図16と同様に、インクリボン315を省略している。
【0218】
ロール紙313−2の残量が図15及び図16に示した場合よりも多い場合、図17に示すように、ロール紙313−2は、ほぼ平行な状態で搬送される。このとき、入射角度がθ4の範囲となる場合、図18(a)に示すように、ロール紙313−2が、サーマルヘッド底面227−1に対して平行に近い状態でサーマルヘッド底面227−1と接触する。この場合、ロール紙313−2は、折れ曲がることなく、サーマルヘッド底面227−1に沿って搬送される。従って、紙詰まりが発生する可能性は低い。
【0219】
一方、入射角度がθ3の範囲となる場合、すなわち、ヘッド降下速度がV1よりも速い場合、図18(b)に示すように、ロール紙313−2の先端部分が、サーマルヘッド底面227−1に対して直角に近い状態でサーマルヘッド底面227−1と接触する。この場合、ロール紙313−2は、ロール紙313−2の弾性によって折れ曲がり、紙詰まりが発生する可能性が高くなる。
【0220】
このように本実施形態においては、退避位置から印画位置へとサーマルヘッド227を降下させる動作が、ロール紙313−2の残量に応じて制御される。これにより、ロール紙313−2のカール量の大きさに応じ、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させることが可能となり、ロール紙の紙詰まりの発生を低減することができる。
【0221】
(第5の実施形態)
上述した第4の実施形態においては、カートリッジ110がカートリッジ情報を記憶するカートリッジ情報チップを備えている場合について説明した。本実施形態におけるカートリッジは、上述した第2の実施形態と同様に、カートリッジ情報チップを備えておらず、その代わりに、カートリッジ番号を示すためのビットスイッチを備えたカートリッジ110−1である。そして、カートリッジ情報は、ビットスイッチによって示されるカートリッジ番号に対応付けられて印刷装置100のROM202に記憶される。
【0222】
なお、カートリッジ110−1が印刷装置100に装着されるときの動作は、上述した第2の実施形態において図8及び図9を参照しながら説明した動作と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0223】
従って、ここでは、図1〜図3に示した印刷装置100が、装着されたカートリッジ110−1を用いて印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させる動作について説明する。
【0224】
図19は、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0225】
まず、ユーザは、操作部103を操作することにより、表示部102に表示された画像データのうち印刷対象とする画像データを選択する。なお、印刷対象として選択することが可能な画像データは1つに限定されず、複数であってもよい。
【0226】
そして、メインコントローラ201は、操作部103を介して画像データの選択を受け付ける(ステップS121)。
【0227】
次に、メインコントローラ201は、ユーザが操作部103を操作することにより、印刷の指示を行ったかどうかを判定する(ステップS122)。
【0228】
ステップS122における判定の結果、印刷の指示があったと判定された場合、メインコントローラ201は、インクリボンスピード検出センサ204を用いてリボンスピードを検出する。
【0229】
次に、メインコントローラ201は、検出されたリボンスピードに基づいてロール紙313−2の残量を算出する(ステップS123)。ここでは、残量は、カートリッジ110−1に収納されたロール紙の残量で印刷できる枚数として算出されるものとする。
【0230】
そして、メインコントローラ201は、ステップS123において算出されたロール紙313−2の枚数と、ROM202に記憶された残量情報である残枚数とが一致するかどうかを確認する(ステップS124)。
【0231】
ステップS124における確認の結果、ステップS123において算出された枚数と残枚数とが一致する場合、メインコントローラ201は、選択された画像データの全てを印刷することが可能であるかどうかを判定する(ステップS125)。
【0232】
一方、ステップS124における確認の結果、ステップS123において算出された枚数と残枚数とが一致しない場合には、メインコントローラ201は、ステップS123において算出された枚数を残枚数としてROM202に記憶させる(ステップS126)。そして、ステップS125の動作へ遷移する。
【0233】
ステップS125における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、選択された画像データに基づき、印画データ(描画データ)を色毎に生成する(ステップS127)。
【0234】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に図8で示したように記憶されているカートリッジ情報から、装着されているカートリッジ110−1の残量情報である残枚数を確認する(ステップS128)。
【0235】
ステップS128において確認された残枚数が所定の枚数未満である場合、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度の増加を指示する信号をヘッドアップダウンモータドライバ218へ出力する。そして、ヘッドアップダウンモータドライバ218が、ヘッドアップダウンモータ219の回転を制御することにより、サーマルヘッド227のヘッド降下速度が増加する(ステップS129)。
【0236】
次に、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度検出センサ231を用いてサーマルヘッド227のヘッド降下速度を検出する。
【0237】
そして、メインコントローラ201は、検出されたヘッド降下速度が、ステップS128において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に達したかどうかを、ROM202に記憶された制御プログラムに基づいて確認する(ステップS130)。
【0238】
ステップS130の確認の結果、検出されたヘッド降下速度が、ステップS128において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に達していない場合、ステップS129の動作へ遷移する。これにより、ヘッド降下速度の増加が継続される。
【0239】
一方、ステップS130における確認の結果、検出されたヘッド降下速度が、ステップS128において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に達していた場合には、生成された印画データを用いた印刷処理が行われる(ステップS131)。
【0240】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に記憶されたカートリッジ110−1の残量情報である残枚数を1つ減算することにより、残量情報を更新する(ステップS132)。
【0241】
そして、メインコントローラ201は、印刷対象として選択された次の画像データがあるかどうかを判定する(ステップS133)。
【0242】
ステップS133における判定の結果、次の画像データがある場合、ステップS127の動作へ遷移する。
【0243】
一方、ステップS133における判定の結果、次の画像データがない場合には、処理を終了する。
【0244】
その後、終了処理が行われ、印刷装置100は、図3に示したような状態に戻る。
【0245】
なお、ステップS125における判定の結果、選択された画像データの全てを印刷することが不可能であると判定された場合、メインコントローラ201は、印刷が不可能である旨のメッセージを表示部102に表示させる。そして、ステップS133の動作へ遷移する。
【0246】
また、ステップS128において確認された残枚数が所定の枚数以上である場合、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度を増加させることなく、予め決められた所定のヘッド降下速度でサーマルヘッド227を動作させる。
【0247】
このように本実施形態においては、退避位置から印画位置へとサーマルヘッド227を降下させる動作が、ロール紙313−2の残量に応じて制御される。これにより、ロール紙313−2のカール量の大きさに応じ、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させることが可能となり、ロール紙の紙詰まりの発生を低減することができる。
【0248】
(第6の実施形態)
上述した第4の実施形態では、残量情報である残枚数が所定の枚数以上かどうかを基準としてサーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させた。本実施形態においては、確認された残枚数毎に、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させる場合について説明する。
【0249】
本実施形態においては、上述した第3の実施形態において示した図11のように、残枚数毎に、それぞれの残枚数に対応するヘッド降下速度が設定されている。つまり、本実施形態においてROM202に記憶された制御プログラムでは、残量情報である残枚数と、それぞれの残枚数に応じたヘッド降下速度とが対応付けられている。
【0250】
なお、本実施形態において印刷装置の基本的な構成等は、上述した第4の実施形態と同様であるため、ここでは、説明を省略する。また、カートリッジ110が印刷装置100に装着されたときの動作も、第1の実施形態で説明したものと同様であるため、ここでは、説明を省略する。
【0251】
また、印刷装置100において印刷を行う動作のうち、ユーザから印刷対象の画像データの選択を受け付けてから印画データを生成するまでの動作も第4の実施形態で説明したものと同様である。
【0252】
従って、ここでは、印刷装置100において印刷を行う動作のうち、ROM202に記憶された残量情報を確認する動作から説明する。具体的には、ここで説明する動作は、上述した第4の実施形態において説明した図14のフローチャートのステップS105以降の動作に相当する。
【0253】
図20は、図1〜図3に示した印刷装置100が印刷を行う際に、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を変化させる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0254】
メインコントローラ201は、ROM202に図4(a)で示したように記憶されているカートリッジ情報から、装着されているカートリッジ110の残量情報である残枚数を確認する(ステップS141)。
【0255】
次に、メインコントローラ201は、ステップS141において確認された残枚数に応じ、ヘッドアップダウンモータドライバ218へ信号を送信することにより、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を制御する(ステップS142)。
【0256】
次に、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度検出センサ231を用いてサーマルヘッド227のヘッド降下速度を検出する。
【0257】
そして、メインコントローラ201は、検出されたヘッド降下速度が、ステップS141において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に設定されているかどうかを、ROM202に記憶された制御プログラムに基づいて確認する(ステップS143)。
【0258】
ステップS143における確認の結果、検出されたヘッド降下速度が、ステップS141において確認された残枚数に応じたヘッド降下速度に設定されている場合、生成された印画データを用いた印刷処理が行われる(ステップS144)。
【0259】
次に、メインコントローラ201は、ROM202に記憶されたカートリッジ110の残量情報である残枚数を1つ減算することにより、残量情報を更新する(ステップS145)。
【0260】
そして、メインコントローラ201は、印刷対象として選択された次の画像データがあるかどうかを判定する(ステップS146)。
【0261】
ステップS146における判定の結果、次の画像データがある場合には、ステップS141の動作へ遷移する。
【0262】
一方、ステップS146における判定の結果、次の画像データがない場合には、メインコントローラ201は、カートリッジ110のカートリッジ情報チップに記憶されている残量情報を、ROM202に記憶された残量情報で更新する(ステップS147)。
【0263】
ここで、ステップS143における確認の結果、検出されたヘッド降下速度が残枚数に応じたヘッド降下速度に設定されていない場合、メインコントローラ201は、ヘッド降下速度が予め決められた上限値を超えているかどうかを確認する(ステップS148)。
【0264】
ステップS148における確認の結果、検出されたヘッド降下速度が、予め決められた上限値を超えている場合、表示部102にヘッド降下速度が異常であるこという旨を表示させ(ステップS149)、ステップS147の動作へ遷移する。
【0265】
一方、ステップS148における確認の結果、検出されたヘッド降下速度が、予め決められた上限値を超えていない場合には、ステップS142の動作へ遷移する。
【0266】
このように本実施形態においては、退避位置から印画位置へとサーマルヘッド227を降下させる動作が、ロール紙313−2の残量に応じて制御される。具体的には、ROM202に記憶された残量情報が所定の値未満である場合、サーマルヘッド227のヘッド降下速度を、予め決められた所定のヘッド降下速度よりもその残量情報に応じた増加分だけ増加させる。これにより、ロール紙313−2のカール量の大きさに応じ、サーマルヘッド227のヘッド降下速度をより詳細に変化させることが可能となり、ロール紙の紙詰まりの発生をより確実に低減することができる。
【0267】
なお、本実施形態においても、上述した第3の実施形態において図13を用いて説明したのと同様に、残量情報である残枚数の範囲を予め決めておき、その範囲毎にヘッド降下速度を設定してもよい。
【0268】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。また、ここでは、第1〜第6の実施形態に分けて説明したが、第1〜第6の実施形態を適宜組み合わせて1つの装置において実施してもよい。
【0269】
また、上述した第1〜第6の実施形態では、カートリッジに備えられているチップに記録されている残量情報を用いて、ヘッドの動作を制御した。しかし、残量情報はどのように取得しても良く、例えば、残量検出用のセンサを設け、ロール紙の径を検出して、残量を判断してもよい。また、一定スピードでロール紙を引き出すときのロール紙の回転速度から、ロール紙の残量を判断しても良い。
【0270】
また、本発明の目的は、上述した第1〜第6の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給するよう構成することによっても達成されることはいうまでもない。
【0271】
この場合、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(または、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit))が記録媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行する。これにより、上述した機能が実現されることとなる。なお、この場合、そのプログラムコードを記憶した記録媒体は本発明を構成することとなる。
【0272】
プログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0273】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現される場合に限られない。例えば、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(Operating System)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0274】
さらに、記録媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、上述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。つまり、プログラムコードがメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって実現される場合も含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドを退避位置から印画位置へと降下させ、該降下させたヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧することにより、前記ロール紙に画像を印画する印刷装置であって、
前記ヘッドを降下させる動作または前記ヘッドが押圧する動作を前記ロール紙の残量に応じて制御する印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記降下させたヘッドが前記インクリボン及び前記ロール紙を押圧する際の圧力であるヘッド圧を、前記ロール紙の残量に応じて変化させるヘッド圧制御部を有する印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置において、
前記ヘッド圧制御部は、前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド圧を、予め決められた所定のヘッド圧よりも増加させる印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置において、
前記ヘッド圧制御部は、前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド圧を、前記所定のヘッド圧よりも当該ロール紙の残量に応じた増加分だけ増加させる印刷装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記ヘッドを降下させる速度であるヘッド降下速度を、前記ロール紙の残量に応じて変化させるヘッド降下速度制御部を有する印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷装置において、
前記ヘッド降下速度制御部は、前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド降下速度を、予め決められた所定のヘッド降下速度よりも増加させる印刷装置。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷装置において、
前記ヘッド降下速度制御部は、前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド降下速度を、前記所定のヘッド降下速度よりも当該ロール紙の残量に応じた増加分だけ増加させる印刷装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記ロール紙の残量を示す残量情報を記憶する残量記憶部を有する印刷装置。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷装置において、
前記ロール紙は、前記印刷装置に対して着脱可能に装着されるカートリッジに収納され、
前記残量記憶部は、前記印刷装置に装着されたカートリッジに収納された前記ロール紙の残量を示す情報を前記残量情報として記憶する印刷装置。
【請求項10】
ヘッドを退避位置から印画位置へと降下させ、該降下させたヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧することにより、前記ロール紙に画像を印画する印刷装置における制御方法であって、
前記ヘッドを降下させる動作または前記ヘッドが押圧する動作を前記ロール紙の残量に応じて制御する処理を有する制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載の制御方法において、
前記降下させたヘッドが前記インクリボン及び前記ロール紙を押圧する際の圧力であるヘッド圧を、前記ロール紙の残量に応じて変化させる処理を有する制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の制御方法において、
前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド圧を、予め決められた所定のヘッド圧よりも増加させる処理を有する制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の制御方法において、
前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド圧を、前記所定のヘッド圧よりも当該ロール紙の残量に応じた増加分だけ増加させる処理を有する制御方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか1項に記載の制御方法において、
前記ヘッドを降下させる速度であるヘッド降下速度を、前記ロール紙の残量に応じて変化させる処理を有する制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載の制御方法において、
前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド降下速度を、予め決められた所定のヘッド降下速度よりも増加させる処理を有する制御方法。
【請求項16】
請求項15に記載の制御方法において、
前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド降下速度を、前記所定のヘッド降下速度よりも当該ロール紙の残量に応じた増加分だけ増加させる処理を有する制御方法。
【請求項17】
請求項10乃至16のいずれか1項に記載の制御方法において、
前記ロール紙の残量を示す残量情報を記憶する処理を有する制御方法。
【請求項18】
請求項17に記載の制御方法において、
前記ロール紙は、前記印刷装置に対して着脱可能に装着されるカートリッジに収納され、
前記印刷装置に装着されたカートリッジに収納された前記ロール紙の残量を示す情報を前記残量情報として記憶する処理を有する制御方法。
【請求項19】
ヘッドを退避位置から印画位置へと降下させ、該降下させたヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧することにより、前記ロール紙に画像を印画する印刷装置に、
前記ヘッドを降下させる動作または前記ヘッドが押圧する動作を前記ロール紙の残量に応じて制御する機能を実現させるためのプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のプログラムを記録した記録媒体。
【請求項1】
ヘッドを退避位置から印画位置へと降下させ、該降下させたヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧することにより、前記ロール紙に画像を印画する印刷装置であって、
前記ヘッドを降下させる動作または前記ヘッドが押圧する動作を前記ロール紙の残量に応じて制御する印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記降下させたヘッドが前記インクリボン及び前記ロール紙を押圧する際の圧力であるヘッド圧を、前記ロール紙の残量に応じて変化させるヘッド圧制御部を有する印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置において、
前記ヘッド圧制御部は、前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド圧を、予め決められた所定のヘッド圧よりも増加させる印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置において、
前記ヘッド圧制御部は、前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド圧を、前記所定のヘッド圧よりも当該ロール紙の残量に応じた増加分だけ増加させる印刷装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記ヘッドを降下させる速度であるヘッド降下速度を、前記ロール紙の残量に応じて変化させるヘッド降下速度制御部を有する印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷装置において、
前記ヘッド降下速度制御部は、前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド降下速度を、予め決められた所定のヘッド降下速度よりも増加させる印刷装置。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷装置において、
前記ヘッド降下速度制御部は、前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド降下速度を、前記所定のヘッド降下速度よりも当該ロール紙の残量に応じた増加分だけ増加させる印刷装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記ロール紙の残量を示す残量情報を記憶する残量記憶部を有する印刷装置。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷装置において、
前記ロール紙は、前記印刷装置に対して着脱可能に装着されるカートリッジに収納され、
前記残量記憶部は、前記印刷装置に装着されたカートリッジに収納された前記ロール紙の残量を示す情報を前記残量情報として記憶する印刷装置。
【請求項10】
ヘッドを退避位置から印画位置へと降下させ、該降下させたヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧することにより、前記ロール紙に画像を印画する印刷装置における制御方法であって、
前記ヘッドを降下させる動作または前記ヘッドが押圧する動作を前記ロール紙の残量に応じて制御する処理を有する制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載の制御方法において、
前記降下させたヘッドが前記インクリボン及び前記ロール紙を押圧する際の圧力であるヘッド圧を、前記ロール紙の残量に応じて変化させる処理を有する制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の制御方法において、
前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド圧を、予め決められた所定のヘッド圧よりも増加させる処理を有する制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の制御方法において、
前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド圧を、前記所定のヘッド圧よりも当該ロール紙の残量に応じた増加分だけ増加させる処理を有する制御方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか1項に記載の制御方法において、
前記ヘッドを降下させる速度であるヘッド降下速度を、前記ロール紙の残量に応じて変化させる処理を有する制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載の制御方法において、
前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド降下速度を、予め決められた所定のヘッド降下速度よりも増加させる処理を有する制御方法。
【請求項16】
請求項15に記載の制御方法において、
前記ロール紙の残量が所定の残量よりも少ない場合、前記ヘッド降下速度を、前記所定のヘッド降下速度よりも当該ロール紙の残量に応じた増加分だけ増加させる処理を有する制御方法。
【請求項17】
請求項10乃至16のいずれか1項に記載の制御方法において、
前記ロール紙の残量を示す残量情報を記憶する処理を有する制御方法。
【請求項18】
請求項17に記載の制御方法において、
前記ロール紙は、前記印刷装置に対して着脱可能に装着されるカートリッジに収納され、
前記印刷装置に装着されたカートリッジに収納された前記ロール紙の残量を示す情報を前記残量情報として記憶する処理を有する制御方法。
【請求項19】
ヘッドを退避位置から印画位置へと降下させ、該降下させたヘッドがインクリボン及びロール紙を押圧することにより、前記ロール紙に画像を印画する印刷装置に、
前記ヘッドを降下させる動作または前記ヘッドが押圧する動作を前記ロール紙の残量に応じて制御する機能を実現させるためのプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のプログラムを記録した記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−168001(P2011−168001A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35823(P2010−35823)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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