印刷装置、印刷方法及び印刷システム
【課題】デジタル放送のデータ放送の印刷において、URLで指定した印刷命令を受け、実行しようとしたが、コンテンツ取得に失敗し、エラーが発生した場合、印刷行為を、ユーザが何回も繰り返すことがない印刷装置を提供することを目的とする。
【解決手段】参照印刷命令で指定された印刷コンテンツの取得に失敗したときに、失敗した原因が参照先外部装置の応答によるものであるか、参照先外部装置に印刷コンテンツが無かったのかを調べ、上記失敗した原因と関連する情報である原因関連情報を保存し、受けた参照印刷命令の中の情報が、保存されている上記失敗した原因関連情報と一致するかどうかを判定し、上記保存されている原因関連情報の中に、参照印刷命令の参照先と一致する参照先があると判定されると、印刷ジョブIDを発行せずに、印刷ジョブをキャンセルする。
【解決手段】参照印刷命令で指定された印刷コンテンツの取得に失敗したときに、失敗した原因が参照先外部装置の応答によるものであるか、参照先外部装置に印刷コンテンツが無かったのかを調べ、上記失敗した原因と関連する情報である原因関連情報を保存し、受けた参照印刷命令の中の情報が、保存されている上記失敗した原因関連情報と一致するかどうかを判定し、上記保存されている原因関連情報の中に、参照印刷命令の参照先と一致する参照先があると判定されると、印刷ジョブIDを発行せずに、印刷ジョブをキャンセルする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル情報制御装置、画像形成装置、デジタル情報制御方法、画像形成方法、デジタル情報制御プログラム、画像形成プログラム、画像形成システムに関する。特に、デジタル情報制御装置が出力した参照情報に基づく印刷命令を、画像形成装置が完了できなかった後に、デジタル情報制御装置が、同じ完了不可の命令を発生させない装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭内における多くの家庭電化製品は、デジタル化が進み、ネットワーク化されている。
【0003】
TV(Television)装置においても、デジタル放送の開始とともに、デジタル情報制御装置、たとえば、DTV(Digital Television、デジタル放送用テレビ)が普及している。このDTVをネットワークに接続し、ネットワークルータを介して、上記DTVをインターネットに接続し、上記DTVのテレビ画面に、WEBの内容を表示する。
【0004】
DTVを取り巻く環境は、デジタル放送系の放送局と番組との拡充、データ放送系のコンテンツの拡充、DTVの各種マルチメディアへの対応、上記DTVのインターネットへの対応等によって、ユーザへ提供される情報量が確実に増加している。そこで、それらの情報を、簡単に印刷出力し、情報を保存する技術が望まれている。
【0005】
ネットワークを介した印刷システムのプロトコルとして、IPP(Internet Printing Protocol)が普及している。このIPPには、印刷ジョブを要求する際に、印刷データを渡す代わりに、印刷データの所在を示すURIを、クライアントホストからネットワークプリンタに渡すPrint−URIリクエストが規定されている。なお、上記URIは、Uniform Resource Identifierである。
【0006】
上記Print−URIリクエストを用いた技術として、次の技術が知られている。つまり、ネットワークプリンタからのPrint−URIリクエストを受け取った印刷制御装置であるIPPサーバが、FTP GETメソッド又はHTTP GETメソッドを用いて、印刷データをネットワークプリンタに送信する技術が存在する。
【0007】
一方、情報家電の普及や、事務機のネットワーク対応に伴い、家庭内や小規模オフィスのネットワーク化が進んでいる。家庭内や小規模オフィス等、管理されないネットワークにおいてネットワーク機器の制御を行うために、UPnP(Universal Plug and Play)が提案されている。このUPnPの標準プリントサービスであるPrint Basicサービスにおいても、印刷データが存在するURIを、ネットワークプリンタに引き渡して行われるPULL印刷が可能である。
【0008】
DTVとプリンタとの間で印刷出力する際、上記技術を利用し、NetTV規格に準拠して、URIの参照印刷を実現する。
【0009】
また、ブラウザにおいてインターネット上のURL情報の取得を試みる場合、取得に失敗すると、取得に失敗したことを、ブラウザ画面を通じて操作者に確実に知らせる。さらに、何らかの理由で取得できないURL指定のコンテンツについて、重複した取得操作をしないように、下記の提案もされている。
【0010】
WWWサーバとウェブブラウザークライアントとにおいて、エラーになったURLをクライアントが記憶する。そして、上記エラーになったURLをリンク情報として含む別のWebページを取得した際に、当該URLはエラーであることを、視覚的に区別できるように表示することが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−14207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
放送データに印刷コンテンツ情報が含まれている場合、DTV視聴中にBMLブラウザ上に印刷ボタンが表示され、このボタンを、テレビリモコンによって選択すると、DTVからプリンタへ、印刷命令が発行される。URIの参照印刷の命令は、NetTV規格において、“CreateURI Job”として規定されている。
【0013】
プリンタが、CreateURI Jobの印刷Jobを受信した後に、DTVが印刷終了を待たずに次の操作を許容する場合、その後に、プリンタが、URIで指定された参照コンテンツを印刷するために、コンテンツサーバに取得動作を実行する。
【0014】
このときに、印刷データを取得できれば、取得した印刷コンテンツをパースし、展開したイメージを印刷する。
【0015】
また、コンテンツ取得に失敗し、エラーが発生すれば、プリンタの動作として、まず、印刷ジョブをキャンセルし、DTVからのイベントの要求を受けていれば、エラーをDTVへ通知する。
【0016】
通知を受けた場合のDTVにおいて、テレビの操作による設定状況や、受信したイベントの内容によって、表示による通知を操作者が必ずしも実行するとは限らない。また、表示されても、一時的な表示であることもある。
【0017】
情報取得ができないコンテンツであるにも係わらず、印刷ジョブをキャンセルした後に、操作者へ確実に通知できない状況下で、対象の印刷ボタンが、依然として操作可能な状態で表示される場合がある。この場合、ユーザは、印刷しようとして、この印刷行為を何回も繰り返すという問題がある。
【0018】
本発明は、デジタル放送のデータ放送の印刷において、URLで指定した印刷命令を受け、実行しようとしたが、コンテンツ取得に失敗し、エラーが発生した場合、印刷行為を、ユーザが何回も繰り返すことがない印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、参照印刷命令を受信する手段と、参照印刷命令で指定された参照先外部装置から、印刷コンテンツを取得する手段と、参照印刷命令で指定された印刷コンテンツの取得に失敗したときに、失敗した原因が参照先外部装置の応答によるものであるか、参照先外部装置に印刷コンテンツが無かったのかを調べる手段と、上記失敗した原因と関連する情報である原因関連情報を保存する手段と、受けた参照印刷命令の中の情報が、保存されている上記失敗した原因関連情報と一致するかどうかを判定する手段と、上記保存する手段に保存されている原因関連情報の中に、参照印刷命令の参照先と一致する参照先があると判定されると、印刷ジョブIDを発行せずに、印刷ジョブをキャンセルする手段とを有することを特徴とする印刷装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、デジタル放送のデータ放送の印刷において、URLで指定した印刷命令を受け実行しようとしたが、コンテンツ取得に失敗し、エラーが発生した場合、印刷行為を、ユーザが何回も繰り返すことがないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1である印刷システムPS1の構成を示す図である。
【図2】実施例1におけるプリンタ102のハードウェア構成を示す図である。
【図3】プリンタ102のソフトウェア構成の概略を示す図である。
【図4】データ放送印刷のプリントファイル方式を説明するフローチャートである。
【図5】データ放送印刷のプリントURI方式を説明するフローチャートである。
【図6】“PrinterStateReasons”項目を示す図である。
【図7】“job−abort−reason”項目を示す図である。
【図8】URI指定コンテンツの取得エラー発生時を示すフローチャートである。
【図9】参照コンテンツ取得エラー発生時の対処を示すフローチャートである。
【図10】参照コンテンツ取得エラー内容によるデータ保存管理を示す図である。
【図11】印刷ジョブ発行判断と重複エラー回避対処とのフローチャートである。
【図12】失敗した原因関連情報の保存期限管理を説明するフローチャートである。
【図13】失敗した原因関連情報の保存期限管理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明を実施するための形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の実施例1である印刷システムPS1を示す図である。印刷システムPS1は、DTV101と、情報処理装置としてのプリンタ102と、DNSサーバ103と、コンテンツサーバ104と、Ethernet(登録商標)105とを有する。
【0024】
DTV101は、デジタルテレビ情報化研究会によって策定された規格であるネットTV2.0に準拠したネットTV端末である。ネットTV規格は、DTVをネットワーク対応端末として用いる場合の端末の要求仕様や、ネットTV端末で利用するコンテンツやサービスの運用ガイドライン等を定めた規格である。また、ネットTV端末から要求されたデータの印刷を実行するためのプリンタに対する仕様も、上記ネットTV規格に含まれている。
【0025】
DTV101とプリンタ102とは、Ethernet105によってLAN接続され、通信可能である。LANは、ルータ(不図示)によってインターネットに接続されているので、DTV101とプリンタ102とは、DNSサーバ103とインターネット上のHTTPサーバ(WEBサーバ)としてのコンテンツサーバ104に、アクセス可能である。
【0026】
つまり、DTV101は、通常の放送受信の他に、インターネットを介して、ネットワーク上に存在するコンテンツサーバ104へアクセスし、ネットTVに実装されているネットTV対応のWEBブラウザを介して、WEBページを表示する。なお、ARIB(社団法人 電波産業会)によって定められているデータ放送コンテンツを表示することもできる。さらに、データ放送コンテンツに含まれている印刷用コンテンツや、ネットTV対応の印刷コンテンツを、プリンタ102で印刷することができる。
【0027】
また、DTV101は、データ放送コンテンツに含まれている印刷コンテンツや、ネットTVコンテンツに含まれている印刷コンテンツを印刷する指示を、プリンタ102に発行することができる。DTV101を介したデータ放送印刷形態として、ARIBに定められているものは、主に、(1)PrintFile形式、(2)PrintURI形式、(3)PrintStaticScreen形式の3タイプである。
【0028】
(1)PrintFile形式は、データ放送コンテンツとして、印刷コンテンツの実体ファイルを、DTVに送信する形式である。したがって、DTVは、この印刷コンテンツの実体ファイルをプリンタに送信し、実体ファイルに基づいて、プリンタが印刷する。
【0029】
(2)PrintURI形式は、データ放送コンテンツとして、印刷コンテンツの実体ファイルの在りかを示すURI情報を、DTVに送信する形式である。したがって、DTVは、このURI情報をプリンタに送信し、URIに従って、プリンタが、印刷コンテンツの実体ファイルを取得し、印刷する。
【0030】
(3)PrintStaticScreen形式は、DTVがキャプチャしたデータ放送画面等の静止画像を、プリンタに送信し、プリンタが印刷する形式である。
【0031】
なお、(1)PrintFile形式と(2)PrintURI形式とにおいて、プリンタが取得する印刷コンテンツの実体ファイルは、XHTML−Print文書と称される構造化文書データで記述されている。
【0032】
ただし、ARIBでは、DTVとプリンタとの間の接続や、ネットワーク上のプリンタの発見処理、状態取得処理の詳細等は規定していない。このために、ARIBで規定されていない印刷に関する仕様は、ネットTV2.0規格で定められている。なお、ネットTV規格で規定されているネットTVコンテンツにおける印刷コンテンツも、XHTML−Print文書で構成されている。
【0033】
また、ネットTV規格対応端末としてのDTV101とプリンタ102とは、UPnP PrintEnhanced:1に準拠している。なお、これらの規格の詳細については、各規格を参照するものとし、ここでの説明を省略する。
【0034】
DNSサーバ103は、インターネット上での名前解決を行う。クライアントからのIPアドレスの問い合わせに対して、サーバ名をIPアドレスに変換し、クライアントに対して、IPアドレスを返す。
【0035】
コンテンツサーバ104は、HTML文書や画像等の情報を蓄積し、Webブラウザ等のクライアントソフトウェアからの要求に応じて、要求された情報を、インターネット等のネットワークを通じて送信する。
【0036】
図2は、実施例1におけるプリンタ102のハードウェア構成の概略を示す図である。
【0037】
プリンタ102は、ネットワークコントローラ201と、プリンタコントローラ202と、インクジェットヘッド228と、キャリッジモータ230と、ペーパーフィードモータ232とを有する。
【0038】
ネットワークコントローラ201は、コンテンツデータを取得し、CPU211と、DRAM212と、プログラムROM213と、ネットワーク・インタフェース・コントローラ(NIC)214と、シリアルIO215とを有する。
【0039】
CPU211は、主制御を司る。DRAM212は、取得したコンテンツデータを一時取り込むバッファメモリやワークメモリとして使用する。プログラムROM213には、実行プログラムが書き込まれている。ネットワーク・インタフェース・コントローラ214は、Ethernet105に接続されている機器との間で通信する。シリアルIO215は、プリンタコントローラとの通信に用いられている。上記各ブロックが内部バスによって互いに接続されている。
【0040】
プリンタコントローラ202は、コンテンツデータを解釈して印刷イメージデータを生成し、上記印刷イメージデータに基づいて印刷メディア上に画像を出力する。プリンタコントローラ202は、P−CPU221と、P−DRAM222と、P−ROM223と、フォントROM224と、P−SIO225とを有する。また、プリンタコントローラ202は、エンジンコントローラ226と、ヘッドドライバ227と、モータドライバ229と、モータドライバ231とを有する。
【0041】
P−CPU221は、主制御を司る。P−DRAM222は、取得したコンテンツデータと、URLと、名前解決処理で解決されたサーバ名及び対応するIPアドレスと、取得の成否とを、一時取り込むバッファメモリやワークメモリとして使用する。P−ROM223には、実行プログラムが書き込まれている。フォントROM224には、フォントデータが書き込まれている。P−SIO225は、ネットワークコントローラ201との通信に用いられている。エンジンコントローラ226は、印刷機構部を駆動する。以上の各ブロックが内部バスによって接続されている。
【0042】
ヘッドドライバ227は、エンジンコントローラ226を経由し、印刷機構部のインクジェットヘッド228を駆動する。モータドライバ229は、キャリッジモータ230を駆動する。モータドライバ231は、ペーパーフィードモータ232を駆動する。
【0043】
上記実施例において、P−SIO225は、参照印刷命令を受信する手段であり、参照印刷命令で指定された参照先外部装置から、印刷コンテンツを取得する手段である。P−CPU221は、参照印刷命令で指定された印刷コンテンツの取得に失敗したときに、失敗した原因が参照先外部装置の応答によるものであるか、参照先外部装置に印刷コンテンツが無かったのかを調べる手段とである。P−ROM223は、上記失敗した原因と関連する情報である原因関連情報を保存する手段である。
【0044】
P−CPU221は、受けた参照印刷命令の中の情報が、保存されている上記失敗した原因関連情報と一致するかどうかを判定する手段である。また、P−CPU221は、上記保存する手段に保存されている原因関連情報の中に、参照印刷命令の参照先と一致する参照先があると判定されると、印刷ジョブIDを発行せずに、印刷ジョブをキャンセルする手段である。
【0045】
なお、上記失敗した原因関連情報は、サーバのIPアドレスまたはサーバ名と、参照コンテンツを示すURLとである。そして、上記失敗した原因関連情報を保存する期限を管理する保存期限管理手段を有する。さらに、上記失敗した原因関連情報の保存期限管理手段は、印刷装置の電源の切替または有効時間を利用する保存期限を管理する手段である。
【0046】
図3は、プリンタ102のソフトウェア構成のうちで、本発明に係る部分の概略を示す図である。
【0047】
プリンタ102は、HTML、XHTML、XHTML−Printまたは他の構造化言語で記述されている印刷コンテンツ又は印刷コンテンツの参照先と、印刷指示命令とを送出するDTV101からのデータを受信し、動作する。
【0048】
ネットワークコントローラ201は、送受信手段401を備えている。送受信手段401は、DTV101と、DNSサーバ103と、コンテンツサーバ104との間におけるデータの送受信と、プリンタコントローラ202との間におけるデータの送受信を行う。送受信手段401は、DTV101からの印刷コンテンツの参照先を受信すると、DNSサーバ103に、名前解決要求を送信する。
【0049】
続いて、ネットワークコントローラ201は、DNSサーバ103から返されるIPアドレスに基づいて、コンテンツサーバ104に、コンテンツ取得要求を送信する。そして、ネットワークコントローラ201は、コンテンツを取得すると、URL、コンテンツサーバから取得したコンテンツと、コンテンツ取得するときに名前解決したサーバ名とIPアドレスと、取得の成否とを、プリンタコントローラ202に送信する。また、ネットワークコントローラ201は、プリンタコントローラ202からのオブジェクト取得要求を受信し、コンテンツ取得時と同様に、コンテンツサーバ104に、オブジェクト取得要求を送信する。
【0050】
プリンタコントローラ202は、パース手段402と、レイアウト手段403と、レンダリング手段404と、印刷手段405とを有する。
【0051】
プリンタコントローラ202は、パース手段402において、構造化言語で記述されているコンテンツデータを構文解析する。レイアウト手段403では、パース手段402が解析した構文情報に基づいて、印刷オブジェクトの配置情報データを生成する。レンダリング手段404は、上記配置情報データに基づいて、描画処理を行い、カラー画像の各色成分画素を多値データで構成した印刷用のイメージデータを出力する。なお、パース手段、レイアウト手段、レンダリング手段の何れかが、オブジェクトの取得要求を送受信手段401に送信する。印刷手段405は、印刷機構406を制御し、印刷する。
【0052】
次に、データ放送印刷形態におけるDTV101とプリンタ102との間における印刷処理の流れについて説明する。
【0053】
図4は、データ放送印刷のプリントファイル方式を説明するフローチャートである。
【0054】
DTV101は、印刷用コンテンツデータの実体を、データ放送用データから取得し、印刷準備ができると、印刷コンテンツを印刷するための印刷ボタンを表示する。操作者がリモコンで印刷ボタンを選択すると、プリンタ102に印刷要求(Create Job v2コマンド)を発行する。プリンタ102は、印刷要求(Create Job v2コマンド)を受信すると、印刷用コンテンツデータの受付が可能であれば、ジョブIDを発行し、印刷用コンテンツデータ受信用のデータシンク領域を設定する。そして、データシンクの情報とともに、印刷可能であるというレスポンスであるステータス情報を、DTV101に返送する。
【0055】
DTV101は、印刷可能である旨の情報を受信し、印刷用コンテンツデータをプリンタ102に転送する。なお、印刷用コンテンツデータの転送は、HTTPのPOST処理で行われる。
【0056】
プリンタ102は、受信した印刷用コンテンツデータをデータシンク領域に格納し、印刷用コンテンツデータを用いた印刷処理を開始する。プリンタ102は、印刷用コンテンツデータを全て受信した後に、DTV101にレスポンスを返す。DTV101は、レスポンスを受け、テレビの表示画面上に、印刷の正常終了を表示し、操作者に明示する。
【0057】
図5は、印刷システムPS1におけるデータ放送印刷のプリントURI方式を説明するフローチャートである。
【0058】
プリントURI方式において、DTV101は、印刷用コンテンツデータの実体を取得せずに、印刷用コンテンツデータの保存先を示すアドレス情報を、データ放送用データから取得する。上記アドレス情報は、URI(Uniform Resource Identifier)である。
【0059】
印刷準備ができると、印刷コンテンツを印刷するための印刷ボタンを表示する。操作者がリモコンで上記印刷ボタンを選択すると、DTV101は、取得したURI情報を、印刷要求(Create URI Jobコマンド)として、プリンタ102に送信する。プリンタ102が、印刷要求(Create URI Jobコマンド)を受信すると、プリンタ102は、印刷可能状態であれば、ジョブIDを発行し、レスポンスをDTV101に返送する。
【0060】
DTV101は、レスポンスを受け、テレビの表示画面上に、印刷の正常受付を表示し、操作者に明示する場合がある。実施例1では、レスポンスを受けた後に、プリンタ102の動作を確認するために、イベント状況要求(Event subscribeコマンド)を、プリンタ102に発行する。
【0061】
さらに、プリンタ102は、URI情報に基づいて、URIで示された印刷用コンテンツデータの実体を取得するために、URIからDNSによって特定した対象のコンテンツサーバ104に、指定のURLへの“HTTP GET”処理を実行させる。なお、上記印刷用コンテンツデータの実体は、構造化文書データや付属するモノメディアデータである。
【0062】
コンテンツデータの実体を、プリンタ102が取得すると、プリンタ102は、印刷処理を開始する。プリンタ102は、印刷を終了すると、DTV101から既に受けたイベント状況要求(Event subscribeコマンド)に対応するジョブエンドのイベントレスポンスを、DTV101へ返す。
【0063】
DTV101は、テレビの操作状況やメーカの実装状況に応じて、ジョブエンドに対して、テレビの表示画面上に、印刷の正常終了を表示することを保証される状況ではない。
【0064】
ここで、NetTV2.0規格によって提示されているステータスについて紹介する。
【0065】
図6は、“PrinterStateReasons”項目を示す図である。この項目は、プリンタの基本的なステータスを知らせるものであり、この状況を知らせないと、プリンタ102の正常動作を保証できないので、規格としては、全ての項目について対応が必須である。この場合、DTV101においてブラウザが起動している状態であれば、テレビ画面に表示することができる。
【0066】
図7は、実施例1におけるNetTV規格の“JobAbortState”の“job−abort−reason”項目を示す図である。この項目は、何らかの理由で、実行中の印刷の中断を余儀なくされた場合におけるステータス応答項目である。規格としては、全ての項目について対応が必須ではないので、このステータスは、DTV101とプリンタ102とが共にサポートしているときにのみ、通信が可能である。また、その状態でも、DTV101の作りこみによっては、ステータスをテレビ画面に表示することができない場合がある。上記説明は、正常な印刷動作が完結するまでの流れについての説明である。
【0067】
次に、プリントURI方式において、何らかの原因で、コンテンツ取得に失敗した流れについて説明する。
【0068】
図8は、データ放送印刷のプリントURI(参照印刷)方式において、URI指定コンテンツの取得エラー発生時における動作を示すフローチャートである。DTV101は、印刷用コンテンツデータの保存先を示すアドレス情報(URI)をデータ放送用データから取得する。印刷準備ができると、印刷コンテンツを印刷するための印刷ボタンを表示し、操作者がリモコンで上記印刷ボタンを選択すると、DTV101は、取得したURI情報を印刷要求(Create URI Job コマンド)として、プリンタ102に送信する。
【0069】
印刷要求(Create URI Job コマンド)を受信したプリンタ102は、印刷可能状態であれば、ジョブIDを発行し、レスポンスをDTV101に返送する。DTV101は、レスポンスを受け、テレビの表示画面上に、印刷の正常受付を表示し、操作者に明示する場合もある。実施例1では、レスポンスを受けた後に、プリンタ102の動作を確認するために、イベント状況要求(Event subscribeコマンド)を、プリンタ102に発行する。
【0070】
さらに、プリンタ102は、URI情報に基づいてURIで示された印刷用コンテンツデータの実体を取得するために、URIから、DNSによって特定した対象のコンテンツサーバ104に、指定のURLへ“HTTP GET”処理を実行する。なお、上記印刷用コンテンツデータの実体は、構造化文書データや付属するモノメディアデータである。
【0071】
ここで、要求した印刷用コンテンツデータを、コンテンツサーバ104から取得できない事象が発生することがあり、この要因は、次の3つである。
(1)コンテンツサーバ104自体が見つからないエラー、
(2)コンテンツサーバ104とは応答できたが、所定の場所にコンテンツが見つからないエラー、
(3)取得動作には入ったが、タイムアウトによる時間切れエラー、
受信に失敗したプリンタ102は、印刷ジョブをキャンセルし、この状態を、DTV101から受けたイベント状況要求(Event subscribeコマンド)のレスポンスとして通信する。DTV101は、エラーイベントを受け取る。その後、図7に関する上記説明によって、ステータスをテレビ画面に表示することができない場合がある。
【0072】
ただし、大半の製品実装として、DTV101は、印刷要求(Create URI Jobコマンド)発行へのレスポンスを受けた時点で、テレビ画面を開放する。
【0073】
したがって、状況によっては、DTV101が印刷命令を発行し、正常受付を表示した後に、プリンタ102はコンテンツを取得できず、印刷ジョブがキャンセルされたにもかかわらず、DTV101から操作者に通知されない。しかも、テレビ画面は開放されている。よって、印刷命令を出した場合と同じ画面である印刷ボタンが表示され、操作可能な状態にある。操作者は、印刷が始まらないので、印刷ボタンを再度選択する操作を重複することが考えられる。
【0074】
実施例1では、プリンタ102が、コンテンツサーバ104に、指定のURLの“HTTP GET”処理を実行した後のエラーを受けた後に、その原因分析と保存とを実行する。
【0075】
この制御の詳細について、フローチャートを用いて説明する。
【0076】
図9は、実施例1において、参照コンテンツ取得エラー発生時におけるエラー原因別対処を示すフローチャートである。
【0077】
プリンタ102が、コンテンツサーバ104に対して指定のURLの“HTTP GET”処理を実行し、エラーを受けた後に、内部処理として、エラーの原因を解析する(S501)。
【0078】
まず、DTV101から受けた印刷関数が、PrintURI形式のURI印刷要求(Create URI Jobコマンド)であるかどうかを判定する(S502)。つまり、URI印刷要求(Create URI Jobコマンド)以外の印刷命令である場合、命令受信後の印刷実行の範疇は、プリンタ102自体だけである。この場合のエラーは、図6で説明した必須で対応すべきステータスの範疇であるので、操作者への通知は、サポートされている。
【0079】
問題があるのは、URI印刷要求(Create URI Jobコマンド)に対してプリンタ102内部のエラー要因ではない場合のエラーであり、具体的には、図7で明示したようなコンテンツサーバ104からのコンテンツ取得エラーへの対処である。ここで、印刷命令の種類が、URI印刷要求(Create URI Jobコマンド)ではないと判定された場合、図2に示すエラーステータスを返すエラー処理を実施する(S503)。
【0080】
印刷命令の種類がURI印刷要求(Create URI Jobコマンド)であると判定されると、コンテンツサーバ104のIPアドレスのサブネットアドレスが、プリンタ102自体のサブネットアドレスと一致するかどうかを判定する(S504)。
【0081】
サブネットアドレスが一致していると判定されると、エラー要因であるコンテンツサーバ104自体が、ローカルネットワーク上にあると判断する。たとえば、ホームネットワークのメディアサーバのようなもので、自分自身で電源の入れ直し等、対処が可能であると考えられるので、通常のエラー処理を実施する(S503)。
【0082】
サブネットアドレスが不一致であると判定されると、エラー要因が、タイムアウトによる時間切れエラーであったかどうかを判定する(S505)。
【0083】
タイムアウトによるエラーである場合、ネットワーク上のトラフィックの混雑等、一時的な要因で取得に失敗したと考えられるので、リトライである重複した印刷命令の発行は有効な手段と考えられる。したがって、操作者へ伝えるリトライコメント“ネットワークが混雑しています。時間を置いて再度印刷実行して下さい。”を作成する(S508)。その後に、通常のエラー処理を実施する(S503)。
【0084】
タイムアウトによるエラーでなければ、下記(1)、(2)のどちらのエラーに起因するかを判定する(S506)。
(1)コンテンツサーバ104自体が見つからないエラー、
(2)コンテンツサーバ104とは応答できたが、所定の場所にコンテンツが見つからないエラー、
上記「(1)コンテンツサーバ104自体が見つからないエラー」である場合、サーバのIPアドレスまたはサーバ名と、エラー発生時間と、エラージャンルがサーバエラーであることとを関連付けて保存する(S507)。
【0085】
上記「(2)コンテンツサーバ104とは応答できたが、所定の場所にコンテンツが見つからないエラー」の場合、URLと、エラー発生時間と、エラージャンルがURLで示したコンテンツが見つからないエラーであることとを関連付けて保存する(S509)。
【0086】
図10は、実施例1において、参照コンテンツ取得エラーの内容によるデータ保存管理を示す図である。
【0087】
図10に示す例では、3つのエラーが保存されている状態で、1番目のエラーと2番目のエラーとは、指定されたURLにコンテンツが見つからなかった状態を示し、エラー理由と、URLと、エラー発生時間とがセットで管理されている。
【0088】
3番目のエラーは、コンテンツサーバ104自体が見つからなかったエラーを示し、この場合も、エラー理由と、サーバのIPアドレスと、エラー発生時間とがセットで管理されている。
【0089】
エラー原因を分類し、関連付けして保存した後に、通常のエラー処理を実施する(S503)。
【0090】
次に、印刷命令受信後の制御について説明する。
【0091】
図11は、実施例1において、新規印刷命令を受信したときにおける印刷ジョブ発行判断と重複エラー回避対処との動作を示すフローチャートである。
【0092】
DTV101から入力された印刷命令は、ジョブIDを発行する前に、まず印刷命令が“Create URI Jobコマンド”であるかどうかを判定する(S601)。
【0093】
“Create URI Jobコマンド”でなければ、図5に示すフローチャートに沿って、印刷ジョブIDを発行し、レスポンスとして応答し、印刷動作を継続する(S602)。“Create URI Jobコマンド”であれば、図10に示すエラー保存データと比較する(S603)。
【0094】
同一のURLに一致した場合だけに限らず、サーバエラーの場合、同一URLではなくても、同じサーバを指定する場合、サーバと接続エラーとが既に実績としてあるので、接続は不可能であると判断する。
【0095】
したがって、エラー保存データと一致すれば、印刷ジョブIDを発行せずに、印刷命令をキャンセルし、印刷要求のレスポンスを実行する(S604)。このようにすることによって、印刷ジョブを受け付けない対応が実行され、印刷要求元であるDTV101において、印刷要求が受け付けられなかったことを、テレビ画面上に確実に表示させることができる。
【0096】
S603でエラー保存データと一致しないと判断されれば、印刷ジョブIDを発行し、レスポンスとして応答し、印刷動作を継続する(S602)。
【0097】
また、エラー状態が恒久的に続くことは考えづらく、コンテンツサーバ104が応答しない場合等、時間経過後に復旧する場合もあり、また、URLで示す印刷コンテンツは、恒久的に提供されてはいない。したがって、保存エラーとして登録されている保存エラー判定用管理データは、適正な運用を行うに当たって、保存期間を管理する必要がある。
【0098】
図12は、実施例1において、失敗した原因関連情報の保存期限管理を説明するフローチャートである。図13は、実施例1において、失敗した原因関連情報の保存期限管理を説明するフローチャートである。
【0099】
まず、プリンタ102の電源が立ち上がっているかどうかを判定する(S1001)。電源が立ち上がっていなければ、保存エラー管理データを更新しない。電源が立ち上がっていれば、保存エラー管理データを、無効なものとし、全て削除する(S1002)。
【0100】
実施例1において、S1101で、エラー発生からの経過時間による判定をする。たとえば12時間を越えた保存エラー管理データは、S1102で、無効なものとし、全て削除する。保存期間を、一律とするのでなく、エラーの種類や、URLの特性に応じて、個別にきめ細かく設定するようにしてもよい。また、重複エラー検出回数の多いエラーについては、設定時間を延ばすようにしてもよい。
【0101】
また、上記各手段を工程に置き換えれば、上記実施例を印刷方法の発明として把握することができる。
【0102】
さらに、印刷システムPS1は、デジタルデータ放送に含まれているコンテンツデータの印刷を制御するデジタル情報制御装置と、上記デジタル情報制御装置から参照コンテンツデータの印刷命令を受信し、印刷する印刷装置と、外部装置とを具備する。上記外部装置は、印刷コンテンツを保持する。そして、上記デジタル情報制御装置は、受信するデジタルデータ放送のデータの中に設けられているコンテンツ指定情報を利用する印刷命令を発行する印刷命令発行手段を有する。また、上記参照先外部装置は、http get要求に対して、指定された印刷コンテンツを送出する手段を有する。
【符号の説明】
【0103】
101…DTV、
102…プリンタ、
104…コンテンツサーバ、
201…ネットワークコントローラ、
202…プリンタコントローラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル情報制御装置、画像形成装置、デジタル情報制御方法、画像形成方法、デジタル情報制御プログラム、画像形成プログラム、画像形成システムに関する。特に、デジタル情報制御装置が出力した参照情報に基づく印刷命令を、画像形成装置が完了できなかった後に、デジタル情報制御装置が、同じ完了不可の命令を発生させない装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭内における多くの家庭電化製品は、デジタル化が進み、ネットワーク化されている。
【0003】
TV(Television)装置においても、デジタル放送の開始とともに、デジタル情報制御装置、たとえば、DTV(Digital Television、デジタル放送用テレビ)が普及している。このDTVをネットワークに接続し、ネットワークルータを介して、上記DTVをインターネットに接続し、上記DTVのテレビ画面に、WEBの内容を表示する。
【0004】
DTVを取り巻く環境は、デジタル放送系の放送局と番組との拡充、データ放送系のコンテンツの拡充、DTVの各種マルチメディアへの対応、上記DTVのインターネットへの対応等によって、ユーザへ提供される情報量が確実に増加している。そこで、それらの情報を、簡単に印刷出力し、情報を保存する技術が望まれている。
【0005】
ネットワークを介した印刷システムのプロトコルとして、IPP(Internet Printing Protocol)が普及している。このIPPには、印刷ジョブを要求する際に、印刷データを渡す代わりに、印刷データの所在を示すURIを、クライアントホストからネットワークプリンタに渡すPrint−URIリクエストが規定されている。なお、上記URIは、Uniform Resource Identifierである。
【0006】
上記Print−URIリクエストを用いた技術として、次の技術が知られている。つまり、ネットワークプリンタからのPrint−URIリクエストを受け取った印刷制御装置であるIPPサーバが、FTP GETメソッド又はHTTP GETメソッドを用いて、印刷データをネットワークプリンタに送信する技術が存在する。
【0007】
一方、情報家電の普及や、事務機のネットワーク対応に伴い、家庭内や小規模オフィスのネットワーク化が進んでいる。家庭内や小規模オフィス等、管理されないネットワークにおいてネットワーク機器の制御を行うために、UPnP(Universal Plug and Play)が提案されている。このUPnPの標準プリントサービスであるPrint Basicサービスにおいても、印刷データが存在するURIを、ネットワークプリンタに引き渡して行われるPULL印刷が可能である。
【0008】
DTVとプリンタとの間で印刷出力する際、上記技術を利用し、NetTV規格に準拠して、URIの参照印刷を実現する。
【0009】
また、ブラウザにおいてインターネット上のURL情報の取得を試みる場合、取得に失敗すると、取得に失敗したことを、ブラウザ画面を通じて操作者に確実に知らせる。さらに、何らかの理由で取得できないURL指定のコンテンツについて、重複した取得操作をしないように、下記の提案もされている。
【0010】
WWWサーバとウェブブラウザークライアントとにおいて、エラーになったURLをクライアントが記憶する。そして、上記エラーになったURLをリンク情報として含む別のWebページを取得した際に、当該URLはエラーであることを、視覚的に区別できるように表示することが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−14207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
放送データに印刷コンテンツ情報が含まれている場合、DTV視聴中にBMLブラウザ上に印刷ボタンが表示され、このボタンを、テレビリモコンによって選択すると、DTVからプリンタへ、印刷命令が発行される。URIの参照印刷の命令は、NetTV規格において、“CreateURI Job”として規定されている。
【0013】
プリンタが、CreateURI Jobの印刷Jobを受信した後に、DTVが印刷終了を待たずに次の操作を許容する場合、その後に、プリンタが、URIで指定された参照コンテンツを印刷するために、コンテンツサーバに取得動作を実行する。
【0014】
このときに、印刷データを取得できれば、取得した印刷コンテンツをパースし、展開したイメージを印刷する。
【0015】
また、コンテンツ取得に失敗し、エラーが発生すれば、プリンタの動作として、まず、印刷ジョブをキャンセルし、DTVからのイベントの要求を受けていれば、エラーをDTVへ通知する。
【0016】
通知を受けた場合のDTVにおいて、テレビの操作による設定状況や、受信したイベントの内容によって、表示による通知を操作者が必ずしも実行するとは限らない。また、表示されても、一時的な表示であることもある。
【0017】
情報取得ができないコンテンツであるにも係わらず、印刷ジョブをキャンセルした後に、操作者へ確実に通知できない状況下で、対象の印刷ボタンが、依然として操作可能な状態で表示される場合がある。この場合、ユーザは、印刷しようとして、この印刷行為を何回も繰り返すという問題がある。
【0018】
本発明は、デジタル放送のデータ放送の印刷において、URLで指定した印刷命令を受け、実行しようとしたが、コンテンツ取得に失敗し、エラーが発生した場合、印刷行為を、ユーザが何回も繰り返すことがない印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、参照印刷命令を受信する手段と、参照印刷命令で指定された参照先外部装置から、印刷コンテンツを取得する手段と、参照印刷命令で指定された印刷コンテンツの取得に失敗したときに、失敗した原因が参照先外部装置の応答によるものであるか、参照先外部装置に印刷コンテンツが無かったのかを調べる手段と、上記失敗した原因と関連する情報である原因関連情報を保存する手段と、受けた参照印刷命令の中の情報が、保存されている上記失敗した原因関連情報と一致するかどうかを判定する手段と、上記保存する手段に保存されている原因関連情報の中に、参照印刷命令の参照先と一致する参照先があると判定されると、印刷ジョブIDを発行せずに、印刷ジョブをキャンセルする手段とを有することを特徴とする印刷装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、デジタル放送のデータ放送の印刷において、URLで指定した印刷命令を受け実行しようとしたが、コンテンツ取得に失敗し、エラーが発生した場合、印刷行為を、ユーザが何回も繰り返すことがないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1である印刷システムPS1の構成を示す図である。
【図2】実施例1におけるプリンタ102のハードウェア構成を示す図である。
【図3】プリンタ102のソフトウェア構成の概略を示す図である。
【図4】データ放送印刷のプリントファイル方式を説明するフローチャートである。
【図5】データ放送印刷のプリントURI方式を説明するフローチャートである。
【図6】“PrinterStateReasons”項目を示す図である。
【図7】“job−abort−reason”項目を示す図である。
【図8】URI指定コンテンツの取得エラー発生時を示すフローチャートである。
【図9】参照コンテンツ取得エラー発生時の対処を示すフローチャートである。
【図10】参照コンテンツ取得エラー内容によるデータ保存管理を示す図である。
【図11】印刷ジョブ発行判断と重複エラー回避対処とのフローチャートである。
【図12】失敗した原因関連情報の保存期限管理を説明するフローチャートである。
【図13】失敗した原因関連情報の保存期限管理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明を実施するための形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の実施例1である印刷システムPS1を示す図である。印刷システムPS1は、DTV101と、情報処理装置としてのプリンタ102と、DNSサーバ103と、コンテンツサーバ104と、Ethernet(登録商標)105とを有する。
【0024】
DTV101は、デジタルテレビ情報化研究会によって策定された規格であるネットTV2.0に準拠したネットTV端末である。ネットTV規格は、DTVをネットワーク対応端末として用いる場合の端末の要求仕様や、ネットTV端末で利用するコンテンツやサービスの運用ガイドライン等を定めた規格である。また、ネットTV端末から要求されたデータの印刷を実行するためのプリンタに対する仕様も、上記ネットTV規格に含まれている。
【0025】
DTV101とプリンタ102とは、Ethernet105によってLAN接続され、通信可能である。LANは、ルータ(不図示)によってインターネットに接続されているので、DTV101とプリンタ102とは、DNSサーバ103とインターネット上のHTTPサーバ(WEBサーバ)としてのコンテンツサーバ104に、アクセス可能である。
【0026】
つまり、DTV101は、通常の放送受信の他に、インターネットを介して、ネットワーク上に存在するコンテンツサーバ104へアクセスし、ネットTVに実装されているネットTV対応のWEBブラウザを介して、WEBページを表示する。なお、ARIB(社団法人 電波産業会)によって定められているデータ放送コンテンツを表示することもできる。さらに、データ放送コンテンツに含まれている印刷用コンテンツや、ネットTV対応の印刷コンテンツを、プリンタ102で印刷することができる。
【0027】
また、DTV101は、データ放送コンテンツに含まれている印刷コンテンツや、ネットTVコンテンツに含まれている印刷コンテンツを印刷する指示を、プリンタ102に発行することができる。DTV101を介したデータ放送印刷形態として、ARIBに定められているものは、主に、(1)PrintFile形式、(2)PrintURI形式、(3)PrintStaticScreen形式の3タイプである。
【0028】
(1)PrintFile形式は、データ放送コンテンツとして、印刷コンテンツの実体ファイルを、DTVに送信する形式である。したがって、DTVは、この印刷コンテンツの実体ファイルをプリンタに送信し、実体ファイルに基づいて、プリンタが印刷する。
【0029】
(2)PrintURI形式は、データ放送コンテンツとして、印刷コンテンツの実体ファイルの在りかを示すURI情報を、DTVに送信する形式である。したがって、DTVは、このURI情報をプリンタに送信し、URIに従って、プリンタが、印刷コンテンツの実体ファイルを取得し、印刷する。
【0030】
(3)PrintStaticScreen形式は、DTVがキャプチャしたデータ放送画面等の静止画像を、プリンタに送信し、プリンタが印刷する形式である。
【0031】
なお、(1)PrintFile形式と(2)PrintURI形式とにおいて、プリンタが取得する印刷コンテンツの実体ファイルは、XHTML−Print文書と称される構造化文書データで記述されている。
【0032】
ただし、ARIBでは、DTVとプリンタとの間の接続や、ネットワーク上のプリンタの発見処理、状態取得処理の詳細等は規定していない。このために、ARIBで規定されていない印刷に関する仕様は、ネットTV2.0規格で定められている。なお、ネットTV規格で規定されているネットTVコンテンツにおける印刷コンテンツも、XHTML−Print文書で構成されている。
【0033】
また、ネットTV規格対応端末としてのDTV101とプリンタ102とは、UPnP PrintEnhanced:1に準拠している。なお、これらの規格の詳細については、各規格を参照するものとし、ここでの説明を省略する。
【0034】
DNSサーバ103は、インターネット上での名前解決を行う。クライアントからのIPアドレスの問い合わせに対して、サーバ名をIPアドレスに変換し、クライアントに対して、IPアドレスを返す。
【0035】
コンテンツサーバ104は、HTML文書や画像等の情報を蓄積し、Webブラウザ等のクライアントソフトウェアからの要求に応じて、要求された情報を、インターネット等のネットワークを通じて送信する。
【0036】
図2は、実施例1におけるプリンタ102のハードウェア構成の概略を示す図である。
【0037】
プリンタ102は、ネットワークコントローラ201と、プリンタコントローラ202と、インクジェットヘッド228と、キャリッジモータ230と、ペーパーフィードモータ232とを有する。
【0038】
ネットワークコントローラ201は、コンテンツデータを取得し、CPU211と、DRAM212と、プログラムROM213と、ネットワーク・インタフェース・コントローラ(NIC)214と、シリアルIO215とを有する。
【0039】
CPU211は、主制御を司る。DRAM212は、取得したコンテンツデータを一時取り込むバッファメモリやワークメモリとして使用する。プログラムROM213には、実行プログラムが書き込まれている。ネットワーク・インタフェース・コントローラ214は、Ethernet105に接続されている機器との間で通信する。シリアルIO215は、プリンタコントローラとの通信に用いられている。上記各ブロックが内部バスによって互いに接続されている。
【0040】
プリンタコントローラ202は、コンテンツデータを解釈して印刷イメージデータを生成し、上記印刷イメージデータに基づいて印刷メディア上に画像を出力する。プリンタコントローラ202は、P−CPU221と、P−DRAM222と、P−ROM223と、フォントROM224と、P−SIO225とを有する。また、プリンタコントローラ202は、エンジンコントローラ226と、ヘッドドライバ227と、モータドライバ229と、モータドライバ231とを有する。
【0041】
P−CPU221は、主制御を司る。P−DRAM222は、取得したコンテンツデータと、URLと、名前解決処理で解決されたサーバ名及び対応するIPアドレスと、取得の成否とを、一時取り込むバッファメモリやワークメモリとして使用する。P−ROM223には、実行プログラムが書き込まれている。フォントROM224には、フォントデータが書き込まれている。P−SIO225は、ネットワークコントローラ201との通信に用いられている。エンジンコントローラ226は、印刷機構部を駆動する。以上の各ブロックが内部バスによって接続されている。
【0042】
ヘッドドライバ227は、エンジンコントローラ226を経由し、印刷機構部のインクジェットヘッド228を駆動する。モータドライバ229は、キャリッジモータ230を駆動する。モータドライバ231は、ペーパーフィードモータ232を駆動する。
【0043】
上記実施例において、P−SIO225は、参照印刷命令を受信する手段であり、参照印刷命令で指定された参照先外部装置から、印刷コンテンツを取得する手段である。P−CPU221は、参照印刷命令で指定された印刷コンテンツの取得に失敗したときに、失敗した原因が参照先外部装置の応答によるものであるか、参照先外部装置に印刷コンテンツが無かったのかを調べる手段とである。P−ROM223は、上記失敗した原因と関連する情報である原因関連情報を保存する手段である。
【0044】
P−CPU221は、受けた参照印刷命令の中の情報が、保存されている上記失敗した原因関連情報と一致するかどうかを判定する手段である。また、P−CPU221は、上記保存する手段に保存されている原因関連情報の中に、参照印刷命令の参照先と一致する参照先があると判定されると、印刷ジョブIDを発行せずに、印刷ジョブをキャンセルする手段である。
【0045】
なお、上記失敗した原因関連情報は、サーバのIPアドレスまたはサーバ名と、参照コンテンツを示すURLとである。そして、上記失敗した原因関連情報を保存する期限を管理する保存期限管理手段を有する。さらに、上記失敗した原因関連情報の保存期限管理手段は、印刷装置の電源の切替または有効時間を利用する保存期限を管理する手段である。
【0046】
図3は、プリンタ102のソフトウェア構成のうちで、本発明に係る部分の概略を示す図である。
【0047】
プリンタ102は、HTML、XHTML、XHTML−Printまたは他の構造化言語で記述されている印刷コンテンツ又は印刷コンテンツの参照先と、印刷指示命令とを送出するDTV101からのデータを受信し、動作する。
【0048】
ネットワークコントローラ201は、送受信手段401を備えている。送受信手段401は、DTV101と、DNSサーバ103と、コンテンツサーバ104との間におけるデータの送受信と、プリンタコントローラ202との間におけるデータの送受信を行う。送受信手段401は、DTV101からの印刷コンテンツの参照先を受信すると、DNSサーバ103に、名前解決要求を送信する。
【0049】
続いて、ネットワークコントローラ201は、DNSサーバ103から返されるIPアドレスに基づいて、コンテンツサーバ104に、コンテンツ取得要求を送信する。そして、ネットワークコントローラ201は、コンテンツを取得すると、URL、コンテンツサーバから取得したコンテンツと、コンテンツ取得するときに名前解決したサーバ名とIPアドレスと、取得の成否とを、プリンタコントローラ202に送信する。また、ネットワークコントローラ201は、プリンタコントローラ202からのオブジェクト取得要求を受信し、コンテンツ取得時と同様に、コンテンツサーバ104に、オブジェクト取得要求を送信する。
【0050】
プリンタコントローラ202は、パース手段402と、レイアウト手段403と、レンダリング手段404と、印刷手段405とを有する。
【0051】
プリンタコントローラ202は、パース手段402において、構造化言語で記述されているコンテンツデータを構文解析する。レイアウト手段403では、パース手段402が解析した構文情報に基づいて、印刷オブジェクトの配置情報データを生成する。レンダリング手段404は、上記配置情報データに基づいて、描画処理を行い、カラー画像の各色成分画素を多値データで構成した印刷用のイメージデータを出力する。なお、パース手段、レイアウト手段、レンダリング手段の何れかが、オブジェクトの取得要求を送受信手段401に送信する。印刷手段405は、印刷機構406を制御し、印刷する。
【0052】
次に、データ放送印刷形態におけるDTV101とプリンタ102との間における印刷処理の流れについて説明する。
【0053】
図4は、データ放送印刷のプリントファイル方式を説明するフローチャートである。
【0054】
DTV101は、印刷用コンテンツデータの実体を、データ放送用データから取得し、印刷準備ができると、印刷コンテンツを印刷するための印刷ボタンを表示する。操作者がリモコンで印刷ボタンを選択すると、プリンタ102に印刷要求(Create Job v2コマンド)を発行する。プリンタ102は、印刷要求(Create Job v2コマンド)を受信すると、印刷用コンテンツデータの受付が可能であれば、ジョブIDを発行し、印刷用コンテンツデータ受信用のデータシンク領域を設定する。そして、データシンクの情報とともに、印刷可能であるというレスポンスであるステータス情報を、DTV101に返送する。
【0055】
DTV101は、印刷可能である旨の情報を受信し、印刷用コンテンツデータをプリンタ102に転送する。なお、印刷用コンテンツデータの転送は、HTTPのPOST処理で行われる。
【0056】
プリンタ102は、受信した印刷用コンテンツデータをデータシンク領域に格納し、印刷用コンテンツデータを用いた印刷処理を開始する。プリンタ102は、印刷用コンテンツデータを全て受信した後に、DTV101にレスポンスを返す。DTV101は、レスポンスを受け、テレビの表示画面上に、印刷の正常終了を表示し、操作者に明示する。
【0057】
図5は、印刷システムPS1におけるデータ放送印刷のプリントURI方式を説明するフローチャートである。
【0058】
プリントURI方式において、DTV101は、印刷用コンテンツデータの実体を取得せずに、印刷用コンテンツデータの保存先を示すアドレス情報を、データ放送用データから取得する。上記アドレス情報は、URI(Uniform Resource Identifier)である。
【0059】
印刷準備ができると、印刷コンテンツを印刷するための印刷ボタンを表示する。操作者がリモコンで上記印刷ボタンを選択すると、DTV101は、取得したURI情報を、印刷要求(Create URI Jobコマンド)として、プリンタ102に送信する。プリンタ102が、印刷要求(Create URI Jobコマンド)を受信すると、プリンタ102は、印刷可能状態であれば、ジョブIDを発行し、レスポンスをDTV101に返送する。
【0060】
DTV101は、レスポンスを受け、テレビの表示画面上に、印刷の正常受付を表示し、操作者に明示する場合がある。実施例1では、レスポンスを受けた後に、プリンタ102の動作を確認するために、イベント状況要求(Event subscribeコマンド)を、プリンタ102に発行する。
【0061】
さらに、プリンタ102は、URI情報に基づいて、URIで示された印刷用コンテンツデータの実体を取得するために、URIからDNSによって特定した対象のコンテンツサーバ104に、指定のURLへの“HTTP GET”処理を実行させる。なお、上記印刷用コンテンツデータの実体は、構造化文書データや付属するモノメディアデータである。
【0062】
コンテンツデータの実体を、プリンタ102が取得すると、プリンタ102は、印刷処理を開始する。プリンタ102は、印刷を終了すると、DTV101から既に受けたイベント状況要求(Event subscribeコマンド)に対応するジョブエンドのイベントレスポンスを、DTV101へ返す。
【0063】
DTV101は、テレビの操作状況やメーカの実装状況に応じて、ジョブエンドに対して、テレビの表示画面上に、印刷の正常終了を表示することを保証される状況ではない。
【0064】
ここで、NetTV2.0規格によって提示されているステータスについて紹介する。
【0065】
図6は、“PrinterStateReasons”項目を示す図である。この項目は、プリンタの基本的なステータスを知らせるものであり、この状況を知らせないと、プリンタ102の正常動作を保証できないので、規格としては、全ての項目について対応が必須である。この場合、DTV101においてブラウザが起動している状態であれば、テレビ画面に表示することができる。
【0066】
図7は、実施例1におけるNetTV規格の“JobAbortState”の“job−abort−reason”項目を示す図である。この項目は、何らかの理由で、実行中の印刷の中断を余儀なくされた場合におけるステータス応答項目である。規格としては、全ての項目について対応が必須ではないので、このステータスは、DTV101とプリンタ102とが共にサポートしているときにのみ、通信が可能である。また、その状態でも、DTV101の作りこみによっては、ステータスをテレビ画面に表示することができない場合がある。上記説明は、正常な印刷動作が完結するまでの流れについての説明である。
【0067】
次に、プリントURI方式において、何らかの原因で、コンテンツ取得に失敗した流れについて説明する。
【0068】
図8は、データ放送印刷のプリントURI(参照印刷)方式において、URI指定コンテンツの取得エラー発生時における動作を示すフローチャートである。DTV101は、印刷用コンテンツデータの保存先を示すアドレス情報(URI)をデータ放送用データから取得する。印刷準備ができると、印刷コンテンツを印刷するための印刷ボタンを表示し、操作者がリモコンで上記印刷ボタンを選択すると、DTV101は、取得したURI情報を印刷要求(Create URI Job コマンド)として、プリンタ102に送信する。
【0069】
印刷要求(Create URI Job コマンド)を受信したプリンタ102は、印刷可能状態であれば、ジョブIDを発行し、レスポンスをDTV101に返送する。DTV101は、レスポンスを受け、テレビの表示画面上に、印刷の正常受付を表示し、操作者に明示する場合もある。実施例1では、レスポンスを受けた後に、プリンタ102の動作を確認するために、イベント状況要求(Event subscribeコマンド)を、プリンタ102に発行する。
【0070】
さらに、プリンタ102は、URI情報に基づいてURIで示された印刷用コンテンツデータの実体を取得するために、URIから、DNSによって特定した対象のコンテンツサーバ104に、指定のURLへ“HTTP GET”処理を実行する。なお、上記印刷用コンテンツデータの実体は、構造化文書データや付属するモノメディアデータである。
【0071】
ここで、要求した印刷用コンテンツデータを、コンテンツサーバ104から取得できない事象が発生することがあり、この要因は、次の3つである。
(1)コンテンツサーバ104自体が見つからないエラー、
(2)コンテンツサーバ104とは応答できたが、所定の場所にコンテンツが見つからないエラー、
(3)取得動作には入ったが、タイムアウトによる時間切れエラー、
受信に失敗したプリンタ102は、印刷ジョブをキャンセルし、この状態を、DTV101から受けたイベント状況要求(Event subscribeコマンド)のレスポンスとして通信する。DTV101は、エラーイベントを受け取る。その後、図7に関する上記説明によって、ステータスをテレビ画面に表示することができない場合がある。
【0072】
ただし、大半の製品実装として、DTV101は、印刷要求(Create URI Jobコマンド)発行へのレスポンスを受けた時点で、テレビ画面を開放する。
【0073】
したがって、状況によっては、DTV101が印刷命令を発行し、正常受付を表示した後に、プリンタ102はコンテンツを取得できず、印刷ジョブがキャンセルされたにもかかわらず、DTV101から操作者に通知されない。しかも、テレビ画面は開放されている。よって、印刷命令を出した場合と同じ画面である印刷ボタンが表示され、操作可能な状態にある。操作者は、印刷が始まらないので、印刷ボタンを再度選択する操作を重複することが考えられる。
【0074】
実施例1では、プリンタ102が、コンテンツサーバ104に、指定のURLの“HTTP GET”処理を実行した後のエラーを受けた後に、その原因分析と保存とを実行する。
【0075】
この制御の詳細について、フローチャートを用いて説明する。
【0076】
図9は、実施例1において、参照コンテンツ取得エラー発生時におけるエラー原因別対処を示すフローチャートである。
【0077】
プリンタ102が、コンテンツサーバ104に対して指定のURLの“HTTP GET”処理を実行し、エラーを受けた後に、内部処理として、エラーの原因を解析する(S501)。
【0078】
まず、DTV101から受けた印刷関数が、PrintURI形式のURI印刷要求(Create URI Jobコマンド)であるかどうかを判定する(S502)。つまり、URI印刷要求(Create URI Jobコマンド)以外の印刷命令である場合、命令受信後の印刷実行の範疇は、プリンタ102自体だけである。この場合のエラーは、図6で説明した必須で対応すべきステータスの範疇であるので、操作者への通知は、サポートされている。
【0079】
問題があるのは、URI印刷要求(Create URI Jobコマンド)に対してプリンタ102内部のエラー要因ではない場合のエラーであり、具体的には、図7で明示したようなコンテンツサーバ104からのコンテンツ取得エラーへの対処である。ここで、印刷命令の種類が、URI印刷要求(Create URI Jobコマンド)ではないと判定された場合、図2に示すエラーステータスを返すエラー処理を実施する(S503)。
【0080】
印刷命令の種類がURI印刷要求(Create URI Jobコマンド)であると判定されると、コンテンツサーバ104のIPアドレスのサブネットアドレスが、プリンタ102自体のサブネットアドレスと一致するかどうかを判定する(S504)。
【0081】
サブネットアドレスが一致していると判定されると、エラー要因であるコンテンツサーバ104自体が、ローカルネットワーク上にあると判断する。たとえば、ホームネットワークのメディアサーバのようなもので、自分自身で電源の入れ直し等、対処が可能であると考えられるので、通常のエラー処理を実施する(S503)。
【0082】
サブネットアドレスが不一致であると判定されると、エラー要因が、タイムアウトによる時間切れエラーであったかどうかを判定する(S505)。
【0083】
タイムアウトによるエラーである場合、ネットワーク上のトラフィックの混雑等、一時的な要因で取得に失敗したと考えられるので、リトライである重複した印刷命令の発行は有効な手段と考えられる。したがって、操作者へ伝えるリトライコメント“ネットワークが混雑しています。時間を置いて再度印刷実行して下さい。”を作成する(S508)。その後に、通常のエラー処理を実施する(S503)。
【0084】
タイムアウトによるエラーでなければ、下記(1)、(2)のどちらのエラーに起因するかを判定する(S506)。
(1)コンテンツサーバ104自体が見つからないエラー、
(2)コンテンツサーバ104とは応答できたが、所定の場所にコンテンツが見つからないエラー、
上記「(1)コンテンツサーバ104自体が見つからないエラー」である場合、サーバのIPアドレスまたはサーバ名と、エラー発生時間と、エラージャンルがサーバエラーであることとを関連付けて保存する(S507)。
【0085】
上記「(2)コンテンツサーバ104とは応答できたが、所定の場所にコンテンツが見つからないエラー」の場合、URLと、エラー発生時間と、エラージャンルがURLで示したコンテンツが見つからないエラーであることとを関連付けて保存する(S509)。
【0086】
図10は、実施例1において、参照コンテンツ取得エラーの内容によるデータ保存管理を示す図である。
【0087】
図10に示す例では、3つのエラーが保存されている状態で、1番目のエラーと2番目のエラーとは、指定されたURLにコンテンツが見つからなかった状態を示し、エラー理由と、URLと、エラー発生時間とがセットで管理されている。
【0088】
3番目のエラーは、コンテンツサーバ104自体が見つからなかったエラーを示し、この場合も、エラー理由と、サーバのIPアドレスと、エラー発生時間とがセットで管理されている。
【0089】
エラー原因を分類し、関連付けして保存した後に、通常のエラー処理を実施する(S503)。
【0090】
次に、印刷命令受信後の制御について説明する。
【0091】
図11は、実施例1において、新規印刷命令を受信したときにおける印刷ジョブ発行判断と重複エラー回避対処との動作を示すフローチャートである。
【0092】
DTV101から入力された印刷命令は、ジョブIDを発行する前に、まず印刷命令が“Create URI Jobコマンド”であるかどうかを判定する(S601)。
【0093】
“Create URI Jobコマンド”でなければ、図5に示すフローチャートに沿って、印刷ジョブIDを発行し、レスポンスとして応答し、印刷動作を継続する(S602)。“Create URI Jobコマンド”であれば、図10に示すエラー保存データと比較する(S603)。
【0094】
同一のURLに一致した場合だけに限らず、サーバエラーの場合、同一URLではなくても、同じサーバを指定する場合、サーバと接続エラーとが既に実績としてあるので、接続は不可能であると判断する。
【0095】
したがって、エラー保存データと一致すれば、印刷ジョブIDを発行せずに、印刷命令をキャンセルし、印刷要求のレスポンスを実行する(S604)。このようにすることによって、印刷ジョブを受け付けない対応が実行され、印刷要求元であるDTV101において、印刷要求が受け付けられなかったことを、テレビ画面上に確実に表示させることができる。
【0096】
S603でエラー保存データと一致しないと判断されれば、印刷ジョブIDを発行し、レスポンスとして応答し、印刷動作を継続する(S602)。
【0097】
また、エラー状態が恒久的に続くことは考えづらく、コンテンツサーバ104が応答しない場合等、時間経過後に復旧する場合もあり、また、URLで示す印刷コンテンツは、恒久的に提供されてはいない。したがって、保存エラーとして登録されている保存エラー判定用管理データは、適正な運用を行うに当たって、保存期間を管理する必要がある。
【0098】
図12は、実施例1において、失敗した原因関連情報の保存期限管理を説明するフローチャートである。図13は、実施例1において、失敗した原因関連情報の保存期限管理を説明するフローチャートである。
【0099】
まず、プリンタ102の電源が立ち上がっているかどうかを判定する(S1001)。電源が立ち上がっていなければ、保存エラー管理データを更新しない。電源が立ち上がっていれば、保存エラー管理データを、無効なものとし、全て削除する(S1002)。
【0100】
実施例1において、S1101で、エラー発生からの経過時間による判定をする。たとえば12時間を越えた保存エラー管理データは、S1102で、無効なものとし、全て削除する。保存期間を、一律とするのでなく、エラーの種類や、URLの特性に応じて、個別にきめ細かく設定するようにしてもよい。また、重複エラー検出回数の多いエラーについては、設定時間を延ばすようにしてもよい。
【0101】
また、上記各手段を工程に置き換えれば、上記実施例を印刷方法の発明として把握することができる。
【0102】
さらに、印刷システムPS1は、デジタルデータ放送に含まれているコンテンツデータの印刷を制御するデジタル情報制御装置と、上記デジタル情報制御装置から参照コンテンツデータの印刷命令を受信し、印刷する印刷装置と、外部装置とを具備する。上記外部装置は、印刷コンテンツを保持する。そして、上記デジタル情報制御装置は、受信するデジタルデータ放送のデータの中に設けられているコンテンツ指定情報を利用する印刷命令を発行する印刷命令発行手段を有する。また、上記参照先外部装置は、http get要求に対して、指定された印刷コンテンツを送出する手段を有する。
【符号の説明】
【0103】
101…DTV、
102…プリンタ、
104…コンテンツサーバ、
201…ネットワークコントローラ、
202…プリンタコントローラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
参照印刷命令を受信する手段と;
参照印刷命令で指定された参照先外部装置から、印刷コンテンツを取得する手段と;
参照印刷命令で指定された印刷コンテンツの取得に失敗したときに、失敗した原因が参照先外部装置の応答によるものであるか、参照先外部装置に印刷コンテンツが無かったのかを調べる手段と;
上記失敗した原因と関連する情報である原因関連情報を保存する手段と;
受けた参照印刷命令の中の情報が、保存されている上記失敗した原因関連情報と一致するかどうかを判定する手段と;
上記保存する手段に保存されている原因関連情報の中に、参照印刷命令の参照先と一致する参照先があると判定されると、印刷ジョブIDを発行せずに、印刷ジョブをキャンセルする手段と;
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1であって、
上記失敗した原因関連情報は、サーバのIPアドレスまたはサーバ名と、参照コンテンツを示すURLとであることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2であって、
上記失敗した原因関連情報を保存する期限を管理する保存期限管理手段を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3であって、
上記失敗した原因関連情報の保存期限管理手段は、印刷装置の電源の切替または有効時間を利用する保存期限を管理する手段であることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
参照印刷命令を受信する工程と;
参照印刷命令で指定された参照先外部装置から、印刷コンテンツを取得する工程と;
参照印刷命令で指定された印刷コンテンツの取得に失敗したときに、失敗した原因が参照先外部装置の応答によるものであるか、参照先外部装置に印刷コンテンツが無かったのかを調べる工程と;
上記失敗した原因と関連する情報である原因関連情報を保存する工程と;
印刷命令を受けたときに、参照印刷命令であれば、受信した原因関連情報が、保存されている上記失敗した原因関連情報と一致するかどうかを判定する工程と;
上記保存する工程で保存された原因関連情報の中に、参照印刷命令の参照先と一致する参照先があると判定されると、印刷ジョブIDを発行せずに、印刷ジョブをキャンセルする工程と;
を有することを特徴とする印刷方法。
【請求項6】
デジタルデータ放送に含まれているコンテンツデータの印刷を制御するデジタル情報制御装置と、上記デジタル情報制御装置から参照コンテンツデータの印刷命令を受信し、印刷する印刷装置と、印刷コンテンツを保持する外部装置とを具備する印刷システムであって、
上記デジタル情報制御装置は、
受信するデジタルデータ放送のデータの中に設けられているコンテンツ指定情報を利用する印刷命令を発行する印刷命令発行手段を有し、
上記印刷装置は、
参照印刷命令を受信する手段と;
参照印刷命令で指定された参照先外部装置から、印刷コンテンツを取得する手段と;
参照印刷命令で指定された印刷コンテンツの取得に失敗したときに、失敗した原因が参照先外部装置の応答によるものであるか、参照先外部装置に印刷コンテンツが無かったのかを調べる手段と;
上記失敗した原因と関連する情報である原因関連情報を保存する手段と;
受けた参照印刷命令の中の情報が、保存されている上記失敗した原因関連情報と一致するかどうかを判定する手段と;
上記保存する手段に保存されている原因関連情報の中に、参照印刷命令の参照先と一致する参照先があると判定されると、印刷ジョブIDを発行せずに、印刷ジョブをキャンセルする手段と;
を有し、
上記参照先外部装置は、http get要求に対して、指定された印刷コンテンツを送出する手段を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項1】
参照印刷命令を受信する手段と;
参照印刷命令で指定された参照先外部装置から、印刷コンテンツを取得する手段と;
参照印刷命令で指定された印刷コンテンツの取得に失敗したときに、失敗した原因が参照先外部装置の応答によるものであるか、参照先外部装置に印刷コンテンツが無かったのかを調べる手段と;
上記失敗した原因と関連する情報である原因関連情報を保存する手段と;
受けた参照印刷命令の中の情報が、保存されている上記失敗した原因関連情報と一致するかどうかを判定する手段と;
上記保存する手段に保存されている原因関連情報の中に、参照印刷命令の参照先と一致する参照先があると判定されると、印刷ジョブIDを発行せずに、印刷ジョブをキャンセルする手段と;
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1であって、
上記失敗した原因関連情報は、サーバのIPアドレスまたはサーバ名と、参照コンテンツを示すURLとであることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2であって、
上記失敗した原因関連情報を保存する期限を管理する保存期限管理手段を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3であって、
上記失敗した原因関連情報の保存期限管理手段は、印刷装置の電源の切替または有効時間を利用する保存期限を管理する手段であることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
参照印刷命令を受信する工程と;
参照印刷命令で指定された参照先外部装置から、印刷コンテンツを取得する工程と;
参照印刷命令で指定された印刷コンテンツの取得に失敗したときに、失敗した原因が参照先外部装置の応答によるものであるか、参照先外部装置に印刷コンテンツが無かったのかを調べる工程と;
上記失敗した原因と関連する情報である原因関連情報を保存する工程と;
印刷命令を受けたときに、参照印刷命令であれば、受信した原因関連情報が、保存されている上記失敗した原因関連情報と一致するかどうかを判定する工程と;
上記保存する工程で保存された原因関連情報の中に、参照印刷命令の参照先と一致する参照先があると判定されると、印刷ジョブIDを発行せずに、印刷ジョブをキャンセルする工程と;
を有することを特徴とする印刷方法。
【請求項6】
デジタルデータ放送に含まれているコンテンツデータの印刷を制御するデジタル情報制御装置と、上記デジタル情報制御装置から参照コンテンツデータの印刷命令を受信し、印刷する印刷装置と、印刷コンテンツを保持する外部装置とを具備する印刷システムであって、
上記デジタル情報制御装置は、
受信するデジタルデータ放送のデータの中に設けられているコンテンツ指定情報を利用する印刷命令を発行する印刷命令発行手段を有し、
上記印刷装置は、
参照印刷命令を受信する手段と;
参照印刷命令で指定された参照先外部装置から、印刷コンテンツを取得する手段と;
参照印刷命令で指定された印刷コンテンツの取得に失敗したときに、失敗した原因が参照先外部装置の応答によるものであるか、参照先外部装置に印刷コンテンツが無かったのかを調べる手段と;
上記失敗した原因と関連する情報である原因関連情報を保存する手段と;
受けた参照印刷命令の中の情報が、保存されている上記失敗した原因関連情報と一致するかどうかを判定する手段と;
上記保存する手段に保存されている原因関連情報の中に、参照印刷命令の参照先と一致する参照先があると判定されると、印刷ジョブIDを発行せずに、印刷ジョブをキャンセルする手段と;
を有し、
上記参照先外部装置は、http get要求に対して、指定された印刷コンテンツを送出する手段を有することを特徴とする印刷システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−18528(P2012−18528A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155020(P2010−155020)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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