説明

印刷装置、及び、印刷方法

【課題】トレイに保持されたメディアを正確に特定すること。
【解決手段】プリンタ1の光学センサ46は、メディア3を保持可能にするとともに所定の反射率のマーキング部16を有するトレイ2を走査する。閾値設定手段81は、光学センサ46によるマーキング部16の検出電圧に応じて閾値VRS−Tを設定する。この閾値VRS−Tは、トレイ2によって保持されたメディア3を特定するために光学センサ46の検出信号と比較されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタおよびプリンタ着脱トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、CD−R(Compact Disc−Recordable)ディスクなどのメディアに対して印刷をするプリンタを開示する。このようにCD−Rディスクなどのメディアに対して印刷をする従来のプリンタでは、メディアを、プリンタと着脱可能なトレイに載置し、このトレイごとメディアを移動し、メディアに印刷をする。
【0003】
そのため、従来のプリンタでは、印刷に先立って、プリンタに設けられた光学センサで、トレイに載置されているメディアを走査し、メディアの中心位置などを特定し、印刷位置を調整している。これにより、プリンタは、はみ出したりずれたりしてしまうことなく、メディアに対する印刷を実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−178267号公報(発明を実施するための最良の形態の欄など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術で使用される閾値、すなわち光学センサの検出電圧と比較され、メディアの検出電圧を特定するために使用される閾値は、予め定められた一定の値である。そのため、個々のプリンタに設けられる光学センサの感度によっては、メディアの位置などを正確に検出することができない恐れがある。
【0006】
たとえば、閾値が、光学センサによるメディアの検出電圧と、光学センサによるトレイなどの検出電圧との中間の電位とはならずに、たとえばその一方寄りのレベルとなってしまうと、以下のような問題が生じる。すなわち、プリンタは、光学センサの走査による検出電圧波形の中の、急峻に電圧が変化していない部位において、メディアとその他とを設定された閾値により区別する。その結果、光学センサの走査による検出電圧波形中に、小さなノイズ成分が重畳されてしまうだけで、閾値に基づいて区別されるメディアの範囲や位置が変動してしまう。その結果、メディアの検出位置の信頼性は低下してしまい、印刷ずれが生じ易くなる。
【0007】
また、閾値が、光学センサによるメディアの検出電圧あるいは光学センサによるトレイなどの検出電圧と略同じレベルになってしまうと、プリンタは、その閾値を用いてメディアを特定することができなる。この結果、メディアへの印刷が不適切なものとなってしまう。
【0008】
そのため、このようなトレイ上のメディアの位置などを特定するために使用する光学センサには、個々の感度ばらつきが少ない品質の揃った高額なセンサを用いたり、所定の感度範囲内のものを選択して使用したりしなければならない。
【0009】
本発明は、トレイに保持されるメディアを正確に特定することができるプリンタおよびプリンタ着脱トレイを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るプリンタは、メディアを保持可能にするとともに所定の反射率のマーキング部を有するトレイを走査する光学センサと、光学センサによるマーキング部の検出電圧に応じて、トレイによって保持されたメディアを特定するために光学センサの検出信号と比較される閾値を設定する閾値設定手段と、を有するものである。
【0011】
この構成を採用すれば、光学センサの検出信号と比較される閾値は、その光学センサによる所定のマーキング部の検出電圧に応じて設定される。したがって、たとえばプリンタ毎に設けられる個々の光学センサの感度にばらつきがあったとしても、個々の光学センサの感度に応じた閾値を設定し、その閾値を用いてトレイに保持されるメディアを特定することができる。その結果、トレイに保持されるメディアを正確に特定することができる。
【0012】
本発明に係るプリンタは、上述した発明の構成に加えて、閾値設定手段が、光学センサによるマーキング部の検出電圧に、所定の値を加減算することで閾値を得るものである。
【0013】
この構成を採用すれば、閾値は、光学センサによるマーキング部の検出電圧の増減に応じて増減する。プリンタは、それぞれの光学センサの感度などに応じて増減する閾値を、光学センサの検出信号と比較することになる。その結果、プリンタは、閾値を用いてトレイに保持されるメディアを正確に特定することができる。
【0014】
本発明に係るプリンタは、上述した発明の各構成に加えて、光学センサの検出電圧が、受光光量が多いほど大きく変化するものであり、閾値設定手段が、検出電圧の変化を減らすように、光学センサによるマーキング部の検出電圧に、一定値以上の値を加減算するものである。
【0015】
この構成を採用すれば、閾値と光学センサによるメディアの検出信号との差は、少なくも一定値以上となる。したがって、プリンタは、光学センサの感度が低い場合でも、閾値を用いてトレイに保持されるメディアを正確に特定することができる。
【0016】
本発明に係るプリンタは、上述した発明の各構成に加えて、光学センサによるマーキング部の検出電圧に加減算される値が、光学センサの感度が高くなるほど、大きな値とされるものである。
【0017】
この構成を採用すれば、光学センサの感度が高く、マーキング部の光学センサによる検出電圧が、光学センサの受光光量に追従したレベルとなっていない場合であっても、閾値を、光学センサの受光光量無しの検出電圧と、メディアの検出電圧との間に設定することができる。したがって、プリンタは、光学センサの感度が高い場合でも、閾値を用いてトレイに保持されるメディアを正確に特定することができる。
【0018】
本発明に係るプリンタは、上述した発明の各構成に加えて、光学センサが、トレイに載置されるメディアを光学的に走査する。また、光学センサの走査により得られる検出電圧と、閾値設定手段により設定された閾値との比較に基づいて、トレイに載置されるメディアの位置を検出するメディア位置検出手段を有する。
【0019】
この構成を採用すれば、たとえば個々のプリンタに設けられる光学センサの感度にばらつきがあったとしても、メディア位置検出手段は、それに影響されることなくトレイに載置されるメディアの位置を正確に特定することができる。
【0020】
本発明に係るプリンタ着脱トレイは、印刷されるメディアを保持可能にするトレイ本体と、トレイ本体に保持されるメディアを光学的に検出するときの閾値を設定するための所定の反射率のマーキング部と、を有するものである。
【0021】
この構成を採用すれば、プリンタは、トレイ本体に載置されるメディアを光学的に検出する前に、所定の反射率のマーキング部を光学的に検出し、その所定のマーキング部の検出電圧に応じた閾値を設定することができる。したがって、たとえば個々のプリンタに設けられる光学センサの感度にばらつきがあったとしても、それに影響されることなくプリンタ着脱トレイに保持されるメディアを正確に特定することができる。
【0022】
本発明に係るプリンタ着脱トレイは、上述した発明の構成に加えて、マーキング部が、反射率が65%以上、95%以下であるものである。
【0023】
印刷可能なメディアの反射率は、白色の印刷領域を有するものであっても最低でも約80%程度の反射率を有する。したがって、マーキング部の反射率を65%以上、95%以下とすることで、光学センサによるマーキング部の検出電圧を、光学センサによるメディアの検出電圧と略同じレベルで連動させることができる。その結果、個々のプリンタでは、光学センサによりマーキング部を検出した電圧に、ある値を加算することで閾値を設定し、且つ、その閾値を用いて、トレイに保持されるメディアの検出電圧をその他の電圧から判別することができる。
【0024】
本発明に係るプリンタ着脱トレイは、上述した発明の各構成に加えて、マーキング部が、メディアが載置される面と同一面に形成されているものである。
【0025】
この構成を採用すれば、プリンタは、印刷のためにプリンタ着脱トレイが装着されたら、マーキング部を光学的に検出する処理と、トレイ本体に載置されるメディアを光学的に検出する処理とを、連続して実行することができる。マーキング部を光学的に検出するために、プリンタ着脱トレイを装着し直したりする必要がない。
【0026】
本発明に係るプリンタ着脱トレイは、上述した発明の各構成に加えて、トレイ本体には、マーキング部の内部あるいは外周縁に沿って位置検出孔が形成され、且つ、位置検出孔が、トレイ本体の移動方向に沿った外周縁およびそれに垂直な方向に沿った外周縁の中の少なくとも一方の縁を有する孔形状に形成されるものである。
【0027】
この構成を採用すれば、プリンタは、光学センサによりマーキング部および位置検出孔を走査することで、閾値を設定するためのマーキング部の検出電圧と、プリンタに装着されたプリンタ着脱トレイの位置を検出するための電圧波形とを得ることができる。
【0028】
本発明に係る他のプリンタは、上述した発明に係る各構成のプリンタ着脱トレイを走査する光学センサと、光学センサによるマーキング部の検出電圧に応じて、トレイに保持されるメディアを特定するために光学センサの検出信号と比較される閾値を設定する閾値設定手段と、を有するものである。
【0029】
この構成を採用すれば、個々のプリンタに設けられる光学センサの感度にばらつきがあったとしても、それに影響されることなく閾値を設定し、プリンタ着脱トレイに保持されたメディアを正確に特定することができる。
【0030】
本発明に係るさらに他のプリンタは、上述した発明に係るプリンタ着脱トレイのマーキング部および位置検出孔を走査する光学センサと、光学センサの走査により得られるマーキング部の検出電圧に応じて、トレイに保持されるメディアを特定するために光学センサの検出信号と比較される閾値を設定する閾値設定手段と、光学センサの走査により得られる検出電圧波形中の位置検出孔の検出位置に基づいて、プリンタ着脱トレイの位置を検出するトレイ位置検出手段と、を有するものである。
【0031】
この構成を採用すれば、個々のプリンタに設けられる光学センサの感度にばらつきがあったとしても、それに影響されることなくプリンタ着脱トレイに保持されたメディアを正確に特定することができる。しかも、光学センサによる1回の走査により、閾値を設定し、且つ、プリンタに装着されたトレイの位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態に係るプリンタの主な機構構成を示す構成図である。
【図2】図1のプリンタの主な機構構成を示す透視斜視図である。
【図3】図1中のCDRトレイを示す正面図である。
【図4】図1のプリンタ機構を制御する制御系ハードウェア構成を示す図である。
【図5】図1のプリンタに実現される制御系ブロック図である。
【図6】図1のPWセンサおよびキャリッジの一部拡大分解斜視図である。
【図7】ディスク型メディアに印刷するときの流れを示すフローチャートである。
【図8】PWセンサの検出電圧波形とCDRトレイとの対応関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態に係るプリンタおよびプリンタ着脱トレイを、図面に基づいて説明する。プリンタおよびプリンタ着脱トレイは、CD−Rディスク、DVD−R(Digital Versatile Disk−Recordable)ディスクなどのディスク型のメディアに印刷をする場合を例として説明する。
【0034】
図1は、本発明の実施の形態に係るプリンタ1の主な機構構成を示す構成図である。図2は、図1のプリンタ1の主な機構構成を示す透視斜視図である。このプリンタ1は、紙媒体やフィルム媒体などに対してインクを吐出して印刷をしたり、CD−Rディスク、DVD−Rディスクなどのディスク型メディア3に対して印刷をしたりすることができるものである。
【0035】
図3は、図1中の、プリンタ1で使用するトレイあるいはプリンタ着脱トレイとしてのCDRトレイ2を示す正面図である。CDRトレイ2は、ディスク型メディア3が載置された状態で、プリンタ1に着脱することができるトレイである。
【0036】
CDRトレイ2は、図3に示すように、トレイ本体11を有する。トレイ本体11は、黒色のプラスチック材料を、略長方形の板形状に形成したものである。トレイ本体11の幅は、たとえばプリンタ1が印刷可能な最大サイズの用紙と略同じ幅に形成される。プリンタ1が印刷可能な最大サイズの用紙は、たとえばA4用紙やB4用紙などであることが多い。
【0037】
トレイ本体11の正面中央部には、円形凹部12が形成される。円形凹部12は、たとえば12センチメートルのディスク型メディア3の外周縁(図中の2つの一点鎖線円の中の外側の一点鎖線円)より一回り大きいサイズで形成される。
【0038】
円形凹部12の中央部には、それと同心に、チャック部13が突出して形成される。チャック部13は、円柱形状を有し、トレイ本体11と一体に形成される。チャック部13は、たとえば12センチメートルのディスク型メディア3の中心孔と略同じサイズに形成される。ディスク型メディア3は、その中心孔をチャック部13に嵌め込むことで、トレイ本体11に載置され保持される。
【0039】
また、円形凹部12内には、複数の楕円貫通孔14が形成される。図3では、その複数の楕円貫通孔14の中の8個について図示している。図示する8個の楕円貫通孔14の中の4個については、トレイ本体11に載置された12センチメートルのディスク型メディア3の外周縁と重なる位置に開設される。残りの4個の楕円貫通孔14は、トレイ本体11に載置された8センチメートルのディスク型メディア3の外周縁(図中の2つの一点鎖線円の中の内側の一点鎖線円)と重なる位置に形成される。
【0040】
以下、図3のCDRトレイ2の姿勢において、上下方向をCDRトレイ2の移動方向と呼び、それと垂直な左右方向を後述するキャリッジ32の走査方向と呼ぶ。
【0041】
そして、12センチメートルのディスク型メディア3の外周縁と重なる4つの楕円貫通孔14は、CDRトレイ2の移動方向に沿って配列される2つの楕円貫通孔14と、キャリッジ32の走査方向に沿って配列される2つの楕円貫通孔14との、2つずつの2つのグループに分類することができる。
【0042】
また、8センチメートルのディスク型メディア3の外周縁と重なる4つの楕円貫通孔14は、CDRトレイ2の移動方向に沿って配列される2つの楕円貫通孔14と、キャリッジ32の走査方向に沿って配列される2つの楕円貫通孔14との、2つずつの2つのグループに分類することができる。そして、CDRトレイ2の移動方向に沿って配列される一番目のグループの2つの楕円貫通孔14は、12センチメートルのディスク型メディア3の外周縁と重なるようにCDRトレイ2の移動方向に沿って配列される2つの楕円貫通孔14と、チャック部13とに並べて形成される。また、キャリッジ32の走査方向に沿って配列される二番目のグループの2つの楕円貫通孔14は、12センチメートルのディスク型メディア3の外周縁と重なるようにキャリッジ32の走査方向に沿って配列される2つの楕円貫通孔14と、チャック部13とに並べて形成される。
【0043】
トレイ本体11の図3の左上部位には、位置検出孔15が形成される。位置検出孔15は、長方形の孔形状を有する。位置検出孔15の4つの辺は、トレイ本体11の四角形の外周縁と略並行に形成される。つまり、位置検出孔15の長方形の一方の組となる対向する2辺は、CDRトレイ2の移動方向と略並行に形成される。長方形の他方の組となる対向する2辺は、キャリッジ32の走査方向と略並行に形成される。
【0044】
また、この位置検出孔15は、その中心が、円柱形状のチャック部13の中心と所定の距離関係となるように、精度良く位置決めされてトレイ本体11に設置される。これにより、位置検出孔15の中心と円柱形状のチャック部13の中心までの、キャリッジ32の走査方向の距離xおよびCDRトレイ2の移動方向での距離yとは、所定の距離に精度良く形成される。
【0045】
トレイ本体11の位置検出孔15の周辺部位には、円形凹部12と同一面において、マーキング部としての白マーキング部16(図3では斜線で示す領域)が形成される。白マーキング部16は、たとえば白色の塗料をトレイ本体11に塗布することで形成される。白マーキング部16は、図3に示すように、トレイ本体11の図3上縁から円形凹部12までにかけて形成される。また、白マーキング部16の反射率は、たとえば80%程度の反射率に形成される。
【0046】
図3のCDRトレイ2は、図1および図2に示すように、ディスク型メディア3が載置された上で、プリンタ1に装着される。プリンタ1は、CDRトレイ2を移動させるトレイ移動機構と、インクを吐出するインク吐出機構と、を有する。以下、インクがCDRトレイ2へ吐出される位置を印刷領域と呼ぶ。
【0047】
トレイ移動機構は、プリンタ1に装着されるCDRトレイ2を保持するために、PF(ペーパーフィード)ローラ21、排紙ローラ22などを有する。PFローラ21および排紙ローラ22は、略水平となる位置関係でプリンタ1に配設される。
【0048】
PFローラ21は、略円柱形状のローラである。PFローラ21の上側には、略円柱形状を有する従動ローラ23が配設される。PFローラ21と従動ローラ23とは、CDRトレイ2の厚さあるいはそれより若干狭い幅で離間している。PFローラ21および従動ローラ23は、図1の紙面に略垂直な方向を回転軸として、回転可能に配設される。
【0049】
排紙ローラ22は、PFローラ21と同様に、略円柱形状のローラである。排紙ローラ22の上側には、略円柱形状を有する従動ローラ24が配設される。PFローラ21と従動ローラ24とは、CDRトレイ2の厚さあるいはそれより若干狭い幅で離間している。排紙ローラ22および従動ローラ24は、図1の紙面に略垂直な方向を回転軸として、回転可能に配設される。
【0050】
なお、プリンタ1は、この他にも給紙トレイ26、LD(ロード)ローラ27、用紙ガイド28、プラテン29、排紙トレイ30などを有する。
【0051】
排紙トレイ30は、プリンタ1の上下方向に昇降可能である。図1に示すように、排紙トレイ30が上昇位置にあるとき、図示外のリンク機構により用紙ガイド28、PFローラ21、プラテン29、排紙ローラ22などが降下した位置となる。この状態において、プリンタ1にCDRトレイ2を装着することができる。排紙トレイ30が下降位置にあるとき、用紙ガイド28、PFローラ21、プラテン29、排紙ローラ22などが上昇した位置となり、PFローラ21および排紙ローラ22は、それぞれの従動ローラ23,24と係合する。この状態では、プリンタ1には、CDRトレイ2を装着することができない。プリンタ1は、給紙トレイ26に載置された用紙をLDローラ27およびPFローラ21により印刷領域まで搬送し、印刷領域の用紙を排紙ローラ22により排紙トレイ30へ排出することができる。
【0052】
以上の構成を有するトレイ移動機構の上側には、インク吐出機構が配設される。インク吐出機構は、主に、キャリッジ軸31、キャリッジ32、インクタンク33、記録ヘッド34などを有する。
【0053】
キャリッジ軸31は、円柱形状の軸部材である。キャリッジ軸31は、PFローラ21およびその従動ローラ23の上方において、図1の紙面に略垂直な方向に伸びる向きで配設される。
【0054】
キャリッジ32は、キャリッジ軸31により保持され、プラテン29の上方に位置する。キャリッジ32は、キャリッジ軸31の軸方向に沿って移動可能である。
【0055】
インクタンク33は、液体インクを収容する容器であり、キャリッジ32の上部に着脱可能に配設される。プリンタ1では、一般的に4〜8色のインクを使用する。キャリッジ32の上部には、この色毎のインクタンク33が複数個配設されても、その複数のインクを収容する1つ若しくは複数のインクタンク33が配設されてもよい。
【0056】
記録ヘッド34は、図1に示すように複数のインク吐出ノズル35を有する。各インク吐出ノズル35の内側には、図示外のピエゾ素子が配設される。ピエゾ素子は、所定の電圧パルスが印加されると、変形する。インク吐出ノズル35内に充填されるインクは、ピエゾ素子の変形により押出されて、インク吐出ノズル35から吐出される。また、複数のインク吐出ノズル35内には、インクタンク33からインクが供給される。
【0057】
記録ヘッド34は、キャリッジ32の下面に、プラテン29と対向して配設される。したがって、記録ヘッド34の複数のインク吐出ノズル35は、プラテン29へ向かってインクを吐出する。この記録ヘッド34とプラテン29との間に、図1に示すようにCDRトレイ2が位置するとき、インク吐出ノズル35から吐出されたインクは、CDRトレイ2上のディスク型メディア3に付着する。複数のインク吐出ノズル35とプラテン29との間の領域が、印刷領域となる。
【0058】
図4は、図1のプリンタ機構を制御する制御系の主なハードウェア構成を示す図である。図5は、図1のプリンタ1に実現される制御系のブロック図である。
【0059】
プリンタ1の制御系は、ホストコンピュータ4が接続される外部I/F41を有する。外部I/F41は、たとえばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル、プリンタケーブル、SCSI(Small Computer System Interface)ケーブルなどが接続可能な図示外のコネクタを有する。外部I/F41は、このコネクタを介して、ホストコンピュータ4から、ディスク型メディア3に印刷する印刷データを受信する。なお、外部I/F41は、ブルートゥース、無線LAN(Local Area Network)などにより、ホストコンピュータ4との間で無線通信により接続されるものであってもよい。
【0060】
外部I/F41は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途集積回路)42に接続される。ASIC42は、図示外のCPU(Central rocessing Unit:中央処理装置)、RAM(Random Access Memory)、プログラマブルROM(Read Only Memory)、タイマなどを有するものであり、プログラマブルROMに記憶されたプログラムに基づいて所定の動作するコンピュータである。
【0061】
また、ASIC42は、図示外のI/O(Input/Output:入出力)ポート、ADC(Analog to Digital Converter)、DAC(Digital to Analog Converter)などを有する。I/Oポートは、デジタル信号の入出力に使用される。ADCは、入力信号の波形を所定の周期でサンプリングする。DACは、所定のサンプリング周期で、設定された値に応じたレベルに変化する信号を出力する。
【0062】
ASIC42のI/Oポートには、プリンタ1がCDR印刷モードであるか否かを検出するCDRガイドセンサ44、プリンタ1に装着されたCDRトレイ2を検出するCDRトレイセンサ45、CDRトレイ2を走査する光学センサとしてのPW(ペーパーワイド)センサ46、リニアエンコーダ47、ロータリエンコーダ48が接続される。なお、I/Oポートには、この他にもたとえば、給紙トレイ26から印刷領域へ給紙される用紙などを検出するためのPF(ペーパーフィード)センサなどが接続されてもよい。
【0063】
CDRガイドセンサ44は、排紙トレイ30の近傍に配設される。CDRガイドセンサ44は、排紙トレイ30の昇降に応じて変化する検出信号を、ASIC42へ出力する。
【0064】
CDRトレイセンサ45は、プラテン29および排紙ローラ22の近傍に配設される。CDRトレイセンサ45は、CDRトレイ2のプリンタ1への着脱に応じて変化する検出信号を、ASIC42へ出力する。
【0065】
図6は、図1のPWセンサ46およびキャリッジ32の一部拡大分解斜視図である。図6は、キャリッジ32の下面を、プラテン29側から見上げる斜視図である。図6において、紙面の左上側から右下方向へ向かってトレイは移動する。キャリッジ32は、紙面の略左下方向および右上方向へ移動可能である。
【0066】
PWセンサ46は、発光素子51および受光素子52を有し、それらが樹脂によりモールドされた構造を有する。樹脂によりモールド化されることで、PWセンサ46の発光素子51および受光素子52を、仮にたとえば基板上に半田付けすることでPWセンサ46を形成する場合に比べて、センサの寿命を長くしたり、センサの信頼性を向上したりすることができる。
【0067】
PWセンサ46は、キャリッジ32の裏面に予め固定されたホルダ54に保持されることで、キャリッジ32の裏面に配設される。PWセンサ46の発光素子51および受光素子は、下向きに配設される。受光素子52は、受光光量に応じて変化する受光信号を、本体側コネクタ55を介してASIC42のI/Oポートへ出力する。
【0068】
このようにPWセンサ46は、キャリッジ32の裏面に事前に位置決めされて固定配置されるホルダ54により保持される。これによりPWセンサ46の配設位置のばらつきは、抑制される。また、PWセンサ46の発光素子51および受光素子52は、樹脂モールディングにより一体化されており位置精度は高い。PWセンサ46の検出位置は、設計による検出位置に精度良く一致する。
【0069】
リニアエンコーダ47は、図1および図2に示すように、白黒パターンが長尺方向に沿って繰り返しに印刷された細長い反射プレート47aと、発光素子と受光素子とが並べて配設される反射式光学センサ47bと、を有する。反射プレート47aは、キャリッジ軸31に沿ってプリンタ1に配設され、反射式光学センサ47bは、発光素子と受光素子とが反射プレート47aに対向するように、キャリッジ32に配設される。受光素子は、発光素子の光が反射プレート47aにより反射された光を受光する。受光素子は、キャリッジ32が移動するとき、反射プレート47aの白黒パターンに応じてデジタル的に変化する受光信号を、ASIC42のI/Oポートへ出力する。
【0070】
ロータリエンコーダ48は、外周に沿って複数のスリット48aが形成された円板48bと、発光素子と受光素子とが微小間隔を空けて対向して配設される透過式光学センサ48cと、を有する。円板48bは、PFローラ21と一体的に回転する。ロータリエンコーダ48の受光素子は、発光素子との間にスリット48aが位置するときには光を受光し、円板48bそのもの(スリット48aとスリット48aの間)が位置するときには受光しない。受光素子は、PFローラ21が回転するとき、スリット48aの配設間隔に応じてデジタル的に変化する受光信号を、ASIC42のI/Oポートへ出力する。
【0071】
図4に示すように、ASIC42には、記録ヘッド制御回路61と、CR(キャリッジ)モータドライバ62、PFモータドライバ63などが接続される。記録ヘッド制御回路61は、記録ヘッド34の複数のインク吐出ノズル35内に配設される複数のピエゾ素子に、電圧を印加する。これにより、記録ヘッド34からインクが吐出される。CRモータドライバ62は、CRモータ64を回転駆動する。CRモータ64は、キャリッジ32が固定される回転ベルト66(図2参照)を回転駆動する。CRモータ64が回転すると、キャリッジ32は移動する。PFモータドライバ63は、PFモータ65を回転駆動する。PFモータ65は、LDローラ27、PFローラ21および排紙ローラ22を回転駆動する。なお、CRモータ64およびPFモータ65には、たとえばDCモータ、パルスモータなどを使用すればよい。DCモータ、パルスモータなどは、正逆方向に回転可能である。
【0072】
この他にも、ASIC42には、システムバス71が接続される。システムバス71には、ASIC42とは別体のCPU72、メモリ73、RAM74、時間を計測するタイマ75などが接続される。なお、これらCPU72、メモリ73、RAM74、タイマ75は、それぞれが別々のチップとして形成されていても、1チップ化されていてもよい。
【0073】
メモリ73は、ファームプログラム76、制御用データなどを記憶する。なお、メモリ73に記憶されるファームプログラム76などは、プリンタ1の出荷前にメモリ73に記憶されていても、プリンタ1の出荷後にメモリ73に記憶されていてもよい。プリンタ1の出荷後にメモリ73に記憶されるファームプログラム76などは、たとえばCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んだものや、電気通信回線などの伝送媒体を介してダウンロードされたものであればよい。また、メモリ73に記憶されるファームプログラム76などは、その一部のみがプリンタ1の出荷後に更新記憶されたものであってもよい。
【0074】
制御用データには、たとえば孔位置情報77などがある。孔位置情報77は、CDRトレイ2に形成される位置検出孔15とチャック部13との相対距離を示す情報である。この距離情報は、たとえばキャリッジ32の走査方向における距離情報(図3中の距離xの値)と、トレイの移動方向における距離情報(図3中の距離yの値)とで構成されればよい。
【0075】
CPU72は、メモリ73に記憶されるファームプログラム76をRAM74に読み込んで実行する。これにより、プリンタ1には、図5に示すように、閾値設定手段、メディア位置検出手段およびトレイ位置検出手段としての制御部81が実現される。
【0076】
制御部81は、印刷データに基づく印刷制御を実行する。制御部81は、ASIC42内に実現されるDCユニット82へ各種の制御指示を出力する。
【0077】
DCユニット82は、たとえばASIC42のDAC、I/Oポートなどを有し、記録ヘッド制御回路61、CRモータドライバ62およびPFモータドライバ63への各種の信号を生成する。DCユニット82は、予め定められた所定の短い周期(たとえば数十マイクロ秒)毎に、CRモータドライバ62やPFモータドライバ63などへ出力する信号を更新する。
【0078】
次に、以上の構成を有する実施の形態に係るプリンタ1の動作を説明する。
【0079】
プリンタ1が起動されると、プリンタ1には、図5に示すように、DCユニット82、制御部81が実現される。
【0080】
ディスク型メディア3に印刷をする場合、ユーザは、排紙トレイ30を上昇位置にセットする。これにより、PFローラ21および排紙ローラ22は、それぞれの従動ローラ23,24から離間する。さらに、ユーザは、印刷するディスク型メディア3をCDRトレイ2に装着し、そのCDRトレイ2を排紙ローラ22側からプリンタ1へ装着する。CDRトレイ2は、図1および図2に示すように、排紙ローラ22とその従動ローラ24との間や、PFローラ21とその従動ローラ23との間に挟持されることで、プリンタ1に装着される。この状態では、CDRガイドセンサ44は、排紙トレイ30が上昇した位置にある場合の検出信号をASIC42へ出力し、CDRトレイセンサ45は、CDRトレイ2が装着されている場合の検出信号をASIC42へ出力する。
【0081】
プリンタ1の外部I/F41が、それに接続されるホストコンピュータ4から、ディスク型メディア3に印刷するための印刷データを受信すると、プリンタ1の制御部81は、その印刷データに基づく印刷を開始する。
【0082】
なお、ホストコンピュータ4は、たとえば、所定のディスク型メディア3に所定の画像を印刷するドーナッツ形状のイメージを生成し、その印刷イメージをインク色毎のイメージへ変換し、各インク色のイメージをハーフトーン処理し、複数色のハーフトーンイメージをラスタライズ処理する。ホストコンピュータ4は、このラスタライズ処理後のデータを、ディスク型メディア3に印刷するための印刷データとしてプリンタ1へ送信すればよい。
【0083】
この他にもたとえば、ホストコンピュータ4は、印刷する画像のデータとディスク型メディア3の種類や大きさなどの印刷条件とを、プリンタ1へ送信するようにしてもよい。この場合、プリンタ1では、ASIC42が、受信した画像データおよび印刷条件から、ラスタライズ処理後の印刷データを生成するようにすればよい。
【0084】
制御部81は、印刷準備が完了すると、ASIC42から、PWセンサ46、リニアエンコーダ47、ロータリエンコーダ48などの検出信号に基づいてプリンタ1が印刷可能な状態であるか否かを判断する。制御部81は、また、CDRガイドセンサ44およびCDRトレイセンサ45の検出信号に基づいて、プリンタ1がディスク型メディア3に印刷可能な状態であると判断する。
【0085】
図7は、図5中の制御部81が、ディスク型メディア3に印刷するときに実行する印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【0086】
プリンタ1がディスク型メディア3に印刷可能な状態である場合、制御部81は、まず、CDRトレイ2の中心位置の検出処理を開始する(ステップST1)。
【0087】
CDRトレイ2の中心位置とは、図3に示すように、円柱形状のチャック部13の中心の位置である。ディスク型メディア3は、その中心孔をチャック部13に嵌め込むことで、CDRトレイ2に載置される。したがって、チャック部13の中心は、一般的に、ディスク型メディア3の中心と略一致する。
【0088】
トレイ中心位置検出処理において、制御部81は、まず、DCユニット82にCRモータ64の駆動を指示する。DCユニット82およびCRモータドライバ62は、CRモータ64を回転駆動する。CRモータ64の回転にしたがって、キャリッジ32は、走査方向へ移動する。以下、このキャリッジ32の移動方向を主走査方向と記載し、トレイの移動方向を副走査方向と記載する。DCユニット82およびCRモータドライバ62は、予め設定された移動量になったら、CRモータ64を停止する。これにより、PWセンサ46は、図3および図5中に「A」として示すCDRトレイ2の位置検出孔15の中心と副走査方向において略一直線上に並ぶ位置にくる。
【0089】
このようにPWセンサ46の主走査方向の位置を「A」に位置決めした後、制御部81は、DCユニット82にPFモータ65の逆転駆動を指示する。DCユニット82およびPFモータドライバ63は、PFモータ65を逆転駆動する。PFモータ65の逆回転にしたがって、PFローラ21、排紙ローラ22は、逆転する。排紙ローラ22とその従動ローラ24とにより挟持されるCDRトレイ2は、排紙ローラ22側からPFローラ21側に向かって、プリンタ1内へ吸い込まれるように移動する。
【0090】
制御部81は、また、DCユニット82にPFモータ65の逆転駆動を指示するとともに、ASIC42からPWセンサ46の検出電圧の読み込みを開始する。制御部81は、順次読み込む検出電圧を、RAM74に保存する。これにより、RAM74には、CDRトレイ2をプリンタ1内へ吸い込む最中の、PWセンサ46による連続的な複数の検出電圧が蓄積される。RAM74には、図5に示すように、PWセンサ46による連続的な複数の検出電圧を有する検出電圧データ群86が記憶される。
【0091】
図8は、図5のRAM74中に蓄積される検出電圧データ群86による検出電圧波形の一例を示す電圧波形図である。図8では、電圧波形図と対応付けて、電圧波形の上に、PWセンサ46によるCDRトレイ2の検出部位が記載されている。
【0092】
なお、図8中には、3つの検出電圧波形が示されている。図8の最も上側の検出電圧波形は、PWセンサ46の感度がばらつきの最小(minimum)である場合のものであり、真中の検出電圧波形は、PWセンサ46の感度がばらつきの標準(typical)である場合のものであり、最も下側の検出電圧波形は、PWセンサ46の感度がばらつきの最大(maximum)である場合のものである。このように、PWセンサ46の検出電圧波形は、PWセンサ46の感度に応じて大きく変化してしまうことがある。
【0093】
キャリッジ32のPWセンサ46を図3の主走査方向「A」に位置決めした状態でCDRトレイ2を逆送りした場合、PWセンサ46は、図8に示すように、CDRトレイ2の白マーキング部16、位置検出孔15、白マーキング部16、トレイ本体11、ディスク型メディア3を順番に検出する。PWセンサ46の検出電圧は、図8に示すように、CDRトレイ2を検出していないときの高い電圧から、白マーキング部16による低い電圧、位置検出孔15による高い電圧、白マーキング部16による低い電圧、トレイ本体11による中間的な電圧、ディスク型メディア3による低い電圧に変化する。
【0094】
PWセンサ46の検出電圧を蓄積した後、制御部81は、DCユニット82に対して、CDRトレイ2の位置検出孔15がPWセンサ46と主走査方向に関して一直線上に並ぶようにCDRトレイ2の副走査方向の位置を位置決めする指示を出力する。その後、制御部81は、キャリッジ32を主走査方向に移動させる指示を出力する。また、制御部81は、キャリッジ32を主走査方向に移動させる指示をするとともに、ASIC42から順番に読み込むPWセンサ46の複数の検出電圧をRAM74に蓄積する。これにより、RAM74には、CDRトレイ2の位置検出孔15を、副走査方向および主走査方向において検出した検出電圧データ群86が記憶される。
【0095】
PWセンサ46により位置検出孔15を副走査方向および主走査方向において走査した検出電圧データ群86がRAM74に記憶されると、制御部81は、それらの検出電圧に基づいて、CDRトレイ2の中心位置を演算により求める。
【0096】
CDRトレイ2の中心位置演算において、制御部81は、まず、RAM74に蓄積された副走査方向の検出電圧波形から、位置検出孔15の副走査方向の中心位置を特定する。具体的には、制御部81は、位置検出孔15の副走査方向の2つの縁の位置を、検出電圧波形中の急峻な電圧変化点により特定し、その特定した2つの電圧変化点の中点位置を、位置検出孔15の副走査方向の中心位置として求める。制御部81は、CDRトレイ2の主走査方向の中心位置についても、RAM74に蓄積された主走査方向の検出電圧電圧波形を用いた同様の処理により求める。
【0097】
位置検出孔15の中心位置を特定した後、制御部81は、メモリ73から孔位置情報77を読み込み、求めた位置検出孔15の中心位置に加算する。孔位置情報77のキャリッジ32の走査方向における距離情報(図3中の距離xの値)は、位置検出孔15の主走査方向の中心位置に加算される。トレイの移動方向における距離情報(図3中の距離yの値)は、位置検出孔15の副走査方向の中心位置に加算される。
【0098】
これにより、プリンタ1に装着されたCDRトレイ2の副走査方向および主走査方向の中心位置が求まる。
【0099】
なお、以上の一連のトレイ中心位置検出処理において、PWセンサ46は、まず主走査方向を走査し、次に副走査方向を走査するようにしてもよい。また、制御部81は、主走査方向および副走査方向毎に、位置検出孔15の中心位置の特定処理およびCDRトレイ2の中心位置の演算処理を実行するようにしてもよい。
【0100】
トレイ中心位置検出処理が完了すると、制御部81は、次に、CDR判別閾値の演算処理を開始する(ステップST2)。
【0101】
RAM74には、PWセンサ46により白マーキング部16を検出した電圧が記憶されている。図8のPWセンサ46の検出電圧波形に示すように、ディスク型メディア3のPWセンサ46による検出電圧は、PWセンサ46の感度に応じて変動する。特に、PWセンサ46の感度が低いときは、PWセンサ46の感度が標準や高いときに比べて大きく変動し、ディスク型メディア3の検出電圧に、1V程度の検出電圧変動が生じている。
【0102】
ディスク型メディア3の縁の検出精度を高めるためには、CDR判別閾値は、ディスク型メディア3のPWセンサ46による検出電圧と、楕円貫通孔14のPWセンサ46による検出電圧との略中央の電位にすることが望ましい。このようにCDR判別閾値が設定されると、PWセンサ46の検出電圧波形が急峻に変化する位置により、ディスク型メディア3の縁の位置を正確に検出することができる。ノイズなどにより、ディスク型メディア3の縁として判断されるデータ上の位置が、大きく変動してしまうことはない。
【0103】
CDR判別閾値の演算では、制御部81は、まず、RAM74に蓄積したPWセンサ46の検出電圧波形の中から、白マーキング部16による検出電圧を選択する。制御部81は、たとえば、RAM74に蓄積されている検出電圧波形の中の、白マーキング部16による最大の検出電圧を選択すればよい。図8において、PWセンサ46の感度が最小である場合、この白マーキング部16による検出電圧は、たとえば2.02ボルトとなる。PWセンサ46の感度が最大である場合、この白マーキング部16による検出電圧は、たとえば0.09ボルトとなる。
【0104】
白マーキング部16による検出電圧を選択した後、制御部81は、下記式1および式2に基づいて、CDR判別閾値を演算する。下記式1および式2において、VRHは、選択した白マーキング部16の検出電圧であり、VRS−Tは、CDR判別閾値である。
【0105】
M = −0.25×VRH+0.9 (VRH≦2のとき) /
= 0.4 (VRH>2のとき) ・・・式1
VRS−T = VRH+M ・・・式2
【0106】
たとえば、PWセンサ46の感度が最小である場合、白マーキング部16による検出電圧は約2.02ボルトとなる。このとき、制御部81は、式1からM=0.4を演算し、式2からCDR判別閾値VRS−Tとして2.42ボルトを演算する。PWセンサ46の感度が最小である場合のPWセンサ46による楕円貫通孔14の検出電圧は、図8に示す位置検出孔15の検出電圧と同様に約3.2ボルトである。また、ディスク型メディア3の検出電圧は、約1.4ボルトである。CDR判別閾値VRS−Tは、これらの電圧の略中央の電位となる。
【0107】
この他にもたとえば、PWセンサ46の感度が標準である場合、白マーキング部16による検出電圧は約0.12ボルトとなる。このとき、制御部81は、式1からM=0.87を演算し、式2からCDR判別閾値VRS−Tとして0.99ボルトを演算する。PWセンサ46の感度が標準である場合のPWセンサ46による楕円貫通孔14の検出電圧は、図8に示す位置検出孔15の検出電圧と同様に約3.0ボルトである。また、ディスク型メディア3の検出電圧は、約0.1ボルトである。CDR判別閾値VRS−Tは、これらの電圧の中央に近い電位となる。
【0108】
この他にもたとえば、PWセンサ46の感度が最大である場合、白マーキング部16による検出電圧は約0.09ボルトとなる。このとき、制御部81は、式1からM=0.8775を演算し、式2からCDR判別閾値VRS−Tとして0.9675ボルトを演算する。PWセンサ46の感度が最大である場合のPWセンサ46による楕円貫通孔14の検出電圧は、図8に示す位置検出孔15の検出電圧と同様に約2.8ボルトである。また、ディスク型メディア3の検出電圧は、約0.08ボルトである。CDR判別閾値VRS−Tは、これらの電圧の中央に近い電位となる。
【0109】
以上のように、上記式1および式2を用いて、CDR判別閾値VRS−Tを求めることで、CDR判別閾値は、ディスク型メディア3のPWセンサ46による検出電圧と、楕円貫通孔14のPWセンサ46による検出電圧との略中央に近い電位とすることができる。
【0110】
CDR判別閾値の演算処理が完了すると、制御部81は、次に、そのCDR判別閾値を用いたメディアの中心位置の検出処理を開始する(ステップST3)。
【0111】
メディアの中心位置とは、プリンタ1に装着されたディスク型メディア3自体の中心の位置である。
【0112】
メディアの中心位置の検出処理において、制御部81は、まず、DCユニット82にCRモータ64の駆動を指示する。DCユニット82およびCRモータドライバ62は、PWセンサ46の主走査方向の位置が図3および図5中の「B」の位置となるように、CRモータ64を駆動する。なお、この指示において、制御部81は、トレイ中心検出にて検出したCDRトレイ2の主走査方向の中心位置を、PWセンサ46の設定位置として指定すればよい。
【0113】
このようにPWセンサ46を図3および図5中の主走査方向「B」の位置に位置決めした後、制御部81は、DCユニット82にPFモータ65の駆動を指示するとともに、PWセンサ46の検出電圧をRAM74に保存する。これにより、RAM74には、図3での最も上側の楕円貫通孔14から最も下側の楕円貫通孔14までをPWセンサ46により走査した検出電圧波形が保存される。
【0114】
たとえば円形凹部12内に12センチメートルのディスク型メディア3が載置されている場合、PWセンサ46の検出電圧は、図3中央の最も上の楕円貫通孔14による高い電圧から、ディスク型メディア3による低い電圧、チャック部13による電圧、ディスク型メディア3による低い電圧、図3中央の最も下の楕円貫通孔14による高い電圧へと変化する。
【0115】
PWセンサ46により検出した図3中央の検出電圧波形をRAM74に保存した後、制御部81は、ディスク型メディア3の外周縁の位置を検出する。具体的には、制御部81は、蓄積した検出電圧波形とCDR判別閾値を比較し、CDR判別閾値の電圧以下となる範囲の両端を、ディスク型メディア3の外周縁の位置として検出する。その後、制御部81は、検出したその2つの外周縁の位置の中央位置を演算し、その中央位置を、プリンタ1に装着されたディスク型メディア2の副走査方向の中心位置とする。
【0116】
ディスク型メディア3の副走査方向の中心位置を特定した後、制御部81は、次に、DCユニット82にPFモータ65の駆動を指示する。PWセンサ46は、DCユニット82およびPFモータドライバ63は、CDRトレイ2の副走査方向の位置(図3中の「C」の位置)がPWセンサ46の検出位置(図1を参照)となるように、PFモータ65を駆動する。なお、この指示において、制御部81は、トレイ中心検出にて検出したCDRトレイ2の副走査方向の中心位置(図3中の「C」の位置)がPWセンサ46の検出位置(図1を参照)となるように、CDRトレイ2の設定位置を指定すればよい。
【0117】
このように図3中の副走査方向「C」の位置がPWセンサ46の検出位置となるようにCDRトレイ2を位置決めした後、制御部81は、DCユニット82にCRモータ64の駆動を指示するとともに、PWセンサ46の検出電圧をRAM74に保存する。これにより、RAM74には、図3での最も左側の楕円貫通孔14から最も右側の楕円貫通孔14までをPWセンサ46により走査した検出電圧波形が保存される。
【0118】
たとえば円形凹部12内に12センチメートルのディスク型メディア3が載置されている場合、PWセンサ46の検出電圧は、図3の最も右側の楕円貫通孔14による高い電圧から、ディスク型メディア3による低い電圧、チャック部13による電圧、ディスク型メディア3による低い電圧、図3の最も左側の楕円貫通孔14による高い電圧へと変化する。
【0119】
PWセンサ46により検出した主走査方向の検出電圧波形をRAM74に保存した後、制御部81は、ディスク型メディア3の外周縁の位置を検出する。具体的には、制御部81は、検出電圧波形とCDR判別閾値を比較し、CDR判別閾値の電圧以下となる範囲の両端を、ディスク型メディア3の外周縁の位置として検出する。その後、制御部81は、検出したその2つの外周縁の位置の中央位置を演算し、その中央位置を、プリンタ1に装着されたディスク型メディア2の主走査方向の中心位置とする。
【0120】
以上の一連の制御により、CDRトレイ2を用いてプリンタ1に装着されたディスク型メディア3の主走査方向および副走査方向の中心位置が求められる。
【0121】
メディアの中心位置検出処理が完了すると、制御部81は、次に、トレイの中心位置と、メディアの中心位置との距離を演算する(ステップST4)。そして、制御部81は、その距離の長さに応じて、トレイの中心位置とメディアの中心位置との中の一方を、印刷制御に使用するディスクの中心位置として選択する(ステップST5)。
【0122】
ディスク型メディア3には、上述した12センチメートル径や8センチメートル径などの円板形状のものの他に、円板の両端を平行に切り落とした名紙サイズのものなどがある。また、ディスク型メディア3にはその一部に印刷面が形成されていたり、ディスク型メディア3の印刷面に製造メーカの文字や図形などが印刷されていたりすることがある。
【0123】
このような各種形状およびデザインのディスク型メディア3を上述したようにPWセンサ46で光学的に走査し、その光学的な検出電圧の波形とCDR判別閾値との比較に基づいてメディアの中心位置を特定する場合、メディアの中心位置は、トレイの中心位置から大きくずれてしまうことがある。そして、そのようにずれたメディアの中心位置を基準として印刷位置などを調整した場合、印刷される画像がディスク型メディア3から大きくずれてはみ出したりしてしまうことになる。
【0124】
そのため、制御部81は、トレイの中心位置とメディアの中心位置との距離が所定の距離以上である場合には、特殊形状のディスクなどであると判断し、上述したずれを防止するために、トレイの中心位置を印刷制御に使用するディスクの中心位置として選択する。逆に、トレイの中心位置とメディアの中心位置との距離が所定の距離より小さい場合には、制御部81は、実際に印刷をするディスク型メディア3の中心であるメディアの中心位置を、印刷制御に使用するディスクの中心位置として選択する。これにより、印刷される画像は、可能な限りディスク型メディア3に正確に位置決めされて印刷される。そして、印刷される画像がディスク型メディア3から大きくずれてはみ出してしまうことは、防止される。
【0125】
印刷制御に使用するディスクの中心位置を選択すると、制御部81は、通信I/Fがホストコンピュータ4から受信したディスク型メディア3に印刷する印刷データを用いて、印刷処理を開始する。制御部81は、印刷データによる画像の中心が、選択した中心位置と一致するように調整した印刷制御を、DCユニット82に対して指示する(ステップST6)。
【0126】
DCユニット82およびPFモータドライバ63は、PFモータ65を駆動し、CDRトレイ2上のディスク型メディア3の副走査方向の一端部を印刷領域に位置決めする。このとき、DCユニット82およびPFモータドライバ63は、ディスクの中心の副走査方向の位置に基づいて停止位置を調整する。
【0127】
その後、DCユニット82およびCRモータドライバ62は、CRモータ64を駆動し、キャリッジ32を定速で移動させる。DCユニット82および記録ヘッド制御回路61は、ディスクの中心の主走査方向の位置に基づいて吐出タイミングを調整して、記録ヘッド34の複数のインク吐出ノズル35から、印刷データに応じてインクを吐出させる。
【0128】
これにより、印刷領域へ供給されるディスク型メディア3には、キャリッジ32の1走査幅分のインクが付着する。ディスク型メディア3には、たとえば複数のインク吐出ノズル35の副走査方向の幅に相当する幅で部分的にインクが付着する。
【0129】
また、印刷領域に位置決めされた部位に対するインク吐出制御が完了すると、DCユニット82およびPFモータドライバ63は、PFモータ65を駆動してディスク型メディア3を副走査方向へ所定量にて送る。DCユニット82および記録ヘッド制御回路61は、DCユニット82およびCRモータドライバ62によりキャリッジ32が定速制御されている状態で、ディスクの中心の主走査方向の位置に基づいて吐出タイミングを調整しながら、記録ヘッド34の複数のインク吐出ノズル35から、印刷データに応じてインクを吐出させる。
【0130】
DCユニット82、PFモータドライバ63、CRモータドライバ62および記録ヘッド制御回路61は、印刷データが終了するまで、ディスクの中心位置に基づいて停止位置を調整したディスク型メディア3の副走査方向への送り制御と、ディスクの中心位置に基づいてインクの吐出タイミングを調整したインク吐出制御とを繰り返し実行する。印刷データが終了すると、DCユニット82およびPFモータドライバ63は、ディスク型メディア3を、CDRトレイ2とともに排紙トレイ30側へ排出する。
【0131】
以上の印刷処理により、プリンタ1は、CDRトレイ2上のディスク型メディア3に対して、印刷データに基づく画像などを印刷する。特に、制御部81は、CDRトレイ2上のディスク型メディア3の中心位置を特定し、その特定したディスクの中心位置に、印刷データに基づく画像の中心が一致するように調整して印刷を実行する。したがって、CDRトレイ2とともにプリンタ1に装着されるディスク型メディア3の印刷領域には、印刷データに基づく画像などがずれたりはみ出したりすることなく正確に位置決めされて印刷される。
【0132】
また、この実施の形態では、CDRトレイ2に、80%程度の反射率の白マーキング部16を設け、プリンタ1のPWセンサ46がディスク型メディア3の中心位置検出に先立ってこの白マーキング部16を走査し、制御部81がその所定の白マーキング部16の検出電圧に応じてCDR判別閾値を設定する。したがって、個々のプリンタ1に設けられるPWセンサ46の感度にばらつきがあったとしても、それに影響されることなくディスク型メディア3の周縁を正確に特定することができる。
【0133】
また、この実施の形態では、白マーキング部16の反射率は、約80%である。CDRトレイ2に載置されて印刷されるディスク型メディア3の印刷領域の反射率は、つや消しの白色のものであっても、多くのものは80%程度以上の反射率を有する。したがって、PWセンサ46による白マーキング部16の検出電圧は、PWセンサ46によるディスク型メディア3の検出電圧と略同じレベルで連動する。この実施の形態では、PWセンサ46の検出電圧は、受光光量が多いほど大きく低下する。なお、この白マーキング部16の反射率は、たとえば少なくとも65%以上、95%以下であれば、ディスク型メディア3の検出電圧と略同じレベルで連動することになる。
【0134】
また、制御部81は、PWセンサ46により白マーキング部16を検出した電圧に、0.4ボルト以上の値を加算することでCDR判別閾値を設定し、且つ、そのCDR判別閾値を用いて、PWセンサ46の受光光量無しの検出電圧と、メディアの検出電圧とを判別する。
【0135】
したがって、CDR判別閾値は、PWセンサ46による白マーキング部16の検出電圧の増減に応じて増減する。その結果、プリンタ1は、個々のプリンタ1に設けられるPWセンサ46の感度にばらつきがあったとしても、CDR判別閾値を用いてCDRトレイ2の楕円貫通孔14の検出電圧と、ディスク型メディア3の検出電圧とを判別し、ディスク型メディア3の位置や範囲を特定することかできる。
【0136】
また、0.4ボルトを加算することで、CDR判別閾値とPWセンサ46によるディスク型メディア3の検出信号との差は、少なくも0.4ボルト以上に広がる。その結果、プリンタ1は、PWセンサ46の感度が低く、ディスク型メディア3の検出電圧と楕円貫通孔14の検出電圧との間に広い電位差が無いとしても、必要にして十分な最低限の差を有するCDR判別閾値を用いてCDRトレイ2上のディスク型メディア3を特定することができる。
【0137】
また、制御部81は、PWセンサ46による白マーキング部16の検出電圧が2ボルト以下であるときには、0.4ボルトよりも大きい値を、PWセンサ46による白マーキング部16の検出電圧に加算する。具体的には最大で0.9ボルトを加算する。PWセンサ46による白マーキング部16の検出電圧に加算される値は、PWセンサ46の感度が高くなるほど、大きな値とされる。したがって、PWセンサ46の感度が高く、白マーキング部16のPWセンサ46による検出電圧が、ローレベルに張り付いてしまい、PWセンサ46の受光光量に追従して変化したレベルとならない場合であっても、CDR判別閾値は、楕円貫通孔14の検出電圧と、メディアの検出電圧との間に好適に設定される。
【0138】
また、白マーキング部16は、CDRトレイ2の円形凹部12と同じ側の面に形成される。PWセンサ46は、印刷の際にプリンタ1に装着されたCDRトレイ2の白マーキング部16を光学的に検出し、それに続くディスク型メディア3の中心位置を光学的に検出する処理を連続して実行する。したがって、ユーザは、白マーキング部16を光学的に検出するために、CDRトレイ2を裏返しに装着し直したりする必要がない。
【0139】
また、CDRトレイ2の円形凹部12と同じ側の面に形成される白マーキング部16の中心には、チャック部13との相対位置が精度良くされた長方形の位置検出孔15が形成される。長方形の一方の組の対向する2辺は、CDRトレイ2の移動方向と略並行に形成される。長方形の他方の組の対向する2辺は、キャリッジ32の走査方向と略並行に形成される。制御部81は、PWセンサ46の走査による検出電圧波形においてこの位置検出孔15の4辺の位置を選択し、その4辺の位置から中心位置を特定し、さらに、その位置検出孔15の中心位置に孔位置情報77を加算してCDRトレイ2の中心位置を求めることができる。
【0140】
したがって、PWセンサ46による白マーキング部16の1回の走査により、CDR判別閾値を設定するための白マーキング部16の検出電圧と、プリンタ1に装着されたCDRトレイ2の位置を検出するための電圧波形とを得ることができる。その結果、PWセンサ46による1回の走査に基づいて、CDR判別閾値を設定し、且つ、プリンタ1に装着されたCDRトレイ2の位置を検出することができる。なお、位置検出孔15は、白マーキング部16の内部ではなく、たとえば白マーキング部16の外周縁に沿って形成されていてもよい。
【0141】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
【0142】
たとえば上記実施の形態では、制御部81は、PWセンサ46による白マーキング部16の検出電圧から、上述した式1および式2を用いて、CDR判別閾値を演算している。この他にもたとえば、制御部81は、PWセンサ46による白マーキング部16の検出電圧に、たとえば「2」などの所定の乗数を乗算し、CDR判別閾値を演算するようにしてもよい。また、所定の乗数に替えて、PWセンサ46による白マーキング部16の検出電圧に応じた乗数を乗算するようにしてもよい。さらに他にもたとえば、制御部81は、PWセンサ46による白マーキング部16の検出電圧と、CDR判別閾値との対応テーブルに基づいて、使用するCDR判別閾値を得るようにしてもよい。
【0143】
上記実施の形態では、CDR判別閾値を演算するために、CDRトレイ2に所定の反射率の白マーキング部16を形成している。この他にもたとえば、CDRトレイ2には、銀色、黄色などの色のマーキング部を形成するようにしてもよい。
【0144】
上記実施の形態では、白マーキング部16は、CDRトレイ2の搬送方向の一端部に形成されている。この他にもたとえば、白マーキング部16は、ディスク型メディア3が載置される部位以外であれば、CDRトレイ2のチャック部13などに形成されてもよい。
【0145】
上記実施の形態では、白マーキング部16は、トレイ中心位置を検出するためのマーキングとしても利用されている。この他にもたとえば、白マーキング部16は、CDRトレイ2上にチャック部13の中心位置を基準として対称となる位置に複数形成され、それら複数の白マーキング部16を検出することで、トレイ中心位置の検出用に兼用されるようにしてもよい。
【0146】
上記実施の形態では、制御部81は、トレイ中心位置と、メディア中心位置との2つの中心位置を検出し、その中の一方を印刷位置を調整するためのメディア中心位置として選択している。この他にもたとえば、制御部81は、トレイ中心位置およびメディア中心位置の中の一方のみを検出し、それを用いて印刷位置を調整するようにしてもよい。
【0147】
上記実施の形態では、着脱可能なCDRトレイ2にディスク型メディア3を載置し、このディスク型メディア3に印刷をしている。この他にもたとえば、着脱可能なCDRトレイ2には、円板の両端を平行に切り落とした名紙サイズのメディアや、四角形のメディアなどの様々な外形形状のメディアを載置し、印刷するようにしてもよい。また、CDRトレイ2にディスク型メディア3を水平に載置しているが、CDRトレイ2を垂直に配置するようにしてもよい。さらには、トレイを袋状とし、その中にディスク型メディア3を入れることで、メディアを保持可能にするようにしてもよい。
【0148】
上記実施の形態では、ディスク型メディア3にインクを吐出している。プリンタ1は、インクジェット方式のプリンタである。この他にもたとえば、プリンタ1は、たとえばレーザ方式のプリンタ、写真印刷機、印刷装置などであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明は、たとえばCD−Rなどのメディアに印刷をするプリンタなどに利用することができる。
【符号の説明】
【0150】
1 プリンタ、2 CDRトレイ(トレイ、プリンタ着脱トレイ)、3 ディスク型メディア(メディア)、11 トレイ本体、15 位置検出孔、16 白マーキング部16(マーキング部)、46 PWセンサ(光学センサ)、81 制御部(閾値設定手段、メディア位置検出手段、トレイ位置検出手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアを保持可能にするとともに所定の反射率のマーキング部を有するトレイを走査する光学センサと、
上記光学センサによる上記マーキング部の検出電圧に応じて、上記トレイによって保持されたメディアを特定するために上記光学センサの検出信号と比較される閾値を設定する閾値設定手段と、
を有することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記閾値設定手段は、前記光学センサによる前記マーキング部の検出電圧に、所定の値を加減算することで閾値を得ることを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記光学センサの検出電圧は、受光光量が多いほど大きく変化するものであり、
前記閾値設定手段は、上記検出電圧の変化を減らすように、前記光学センサによる前記マーキング部の検出電圧に、一定値以上の値を加減算することを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記光学センサによる前記マーキング部の検出電圧に加減算される値は、前記光学センサの感度が高くなるほど、大きな値とされることを特徴とする請求項2または3記載のプリンタ。
【請求項5】
前記光学センサは、前記トレイに載置される前記メディアを光学的に走査し、
前記光学センサの走査により得られる検出電圧と、前記閾値設定手段により設定された閾値との比較に基づいて、前記トレイに載置されるメディアの位置を検出するメディア位置検出手段を有すること、
を特徴とする請求項1から4の中のいずれか1項記載のプリンタ。
【請求項6】
印刷されるメディアを保持可能にするトレイ本体と、
上記トレイ本体に保持される前記メディアを光学的に検出するときの閾値を設定するための所定の反射率のマーキング部と、
を有することを特徴とするプリンタ着脱トレイ。
【請求項7】
前記マーキング部は、反射率が65%以上、95%以下であることを特徴とする請求項6記載のプリンタ着脱トレイ。
【請求項8】
前記マーキング部は、前記メディアが載置される面と同一面に形成されていることを特徴とする請求項6または7記載のプリンタ着脱トレイ。
【請求項9】
前記トレイ本体には、前記マーキング部の内部あるいは外周縁に沿って位置検出孔が形成され、且つ、上記位置検出孔は、前記トレイ本体の移動方向に沿った外周縁およびそれに垂直な方向に沿った外周縁の中の少なくとも一方の縁を有する孔形状に形成されることを特徴とする請求項6から8の中のいずれか1項記載のプリンタ着脱トレイ。
【請求項10】
請求項6から9の中のいずれか1項記載のプリンタ着脱トレイを走査する光学センサと、
上記光学センサによる前記マーキング部の検出電圧に応じて、前記トレイに保持される前記メディアを特定するために前記光学センサの検出信号と比較される閾値を設定する閾値設定手段と、
を有することを特徴とするプリンタ。
【請求項11】
請求項9記載のプリンタ着脱トレイの前記マーキング部および前記位置検出孔を走査する光学センサと、
前記光学センサの走査により得られる上記マーキング部の検出電圧に応じて、上記トレイに保持される前記メディアを特定するために上記光学センサの検出信号と比較される閾値を設定する閾値設定手段と、
前記光学センサの走査により得られる検出電圧波形中の前記位置検出孔の検出位置に基づいて、前記プリンタ着脱トレイの位置を検出するトレイ位置検出手段と、
を有することを特徴とするプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−136567(P2011−136567A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16269(P2011−16269)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【分割の表示】特願2005−332447(P2005−332447)の分割
【原出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】