説明

印刷装置およびそのエラー処理方法

【課題】エラーに対してより適正に対処する。
【解決手段】エラー解除に電源オフが不要な簡易エラーが発生した場合には、ユーザーのボタン操作の受け付けを待たずに、予め定められたキャリッジの移動処理等を実行し(S60)、印刷制御の実行中にCRモーター等が正常に作動しなくなるモーターエラーが発生した場合に紙ジャム可能性条件を含む条件が成立した場合には、ユーザーのボタン操作の受け付けを待って、キャリッジの移動処理等を実行し(S220)、モーターエラーが発生した場合でも紙ジャム可能性条件を含む条件が成立していない場合には、フェイタルエラー用のエラー表示処理を行なう(S140)。これにより、発生したモーターエラーに対して簡易エラー用処理を実行する場合に、ユーザーはボタン操作によりキャリッジの移動処理等を実行する前に、例えば紙ジャムの原因となった用紙を除去するなどを行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置およびそのエラー処理方法に関し、詳しくは、エラー解除に電源オフが必要なフェイタルエラーとエラー解除に電源オフが不要な簡易エラーとを処理可能な印刷装置およびそのエラー処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の印刷装置としては、記録紙のラベルなどの印刷領域への印刷中に、カバーオープンエラーや紙なしエラーなどの第1エラーまたは紙ジャムエラーやメカニカルエラーなどの第2エラーが発生した場合には、エラー解除動作を待って、印刷領域への再印刷を行ない、記録紙の余白領域の紙送り中に、第1エラーまたは第2エラーが発生した場合には、第1エラーに対しては再印刷を行なわず、第2エラーに対してはエラー解除動作を待って再印刷を行なうものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、こうした処理により、記録紙の余白領域の紙送り中に第1エラーが発生した場合、即ち、記録紙の印刷領域や印刷イメージそのものに損傷がないエラーが発生した場合には、再印刷を行なわないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−36440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷装置では、エラー解除に電源オフが必要となる程に致命的なフェイタルエラーや、エラー解除に電源オフが不要な簡易エラーなどのエラーに対して、より適正に対処することが望まれている。例えば、印刷中にフェイタルエラーが発生し、システム上は正常な状態に確実に復帰できるよう再起動による初期化処理が必要と判断された場合に、ユーザーが印刷状況などからそのフェイタルエラーの原因をある程度特定することができるにも拘わらず、電源オフを余儀なくされると、ユーザーは、改めて印刷指示を行なう必要や再起動するのを待つ必要が生じ、不都合に感じることがある。
【0005】
本発明の印刷装置およびそのエラー処理方法は、エラーに対してより適正に対処することを主目的とする。
【0006】
本発明の印刷装置およびそのエラー処理方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の印刷装置は、
エラー解除に電源オフが必要なフェイタルエラーとエラー解除に電源オフが不要な簡易エラーとを処理可能な印刷装置であって、
印刷処理に用いられる駆動モーターと、
ユーザーの指示操作を受け付ける操作受付手段と、
所定のエラー用処理を実行するエラー処理実行手段と、を備え、
前記エラー処理実行手段は、
前記簡易エラーが発生した場合には、前記操作受付手段によるユーザーの指示操作の受け付けを待たずに、予め定められた簡易エラー用処理を実行し、
前記印刷処理の実行中に前記駆動モーターが正常に作動しなくなるモーターエラーが発生した場合に前記モーターエラーに対して前記簡易エラー用処理を実行可能とする所定の処理条件が成立した場合には、前記操作受付手段によるユーザーの指示操作の受け付けを待って、前記簡易エラー用処理を実行し、
前記モーターエラーが発生した場合に前記所定の処理条件が成立していない場合には、予め定められたフェイタルエラー用処理を実行する、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の印刷装置では、エラー解除に電源オフが不要な簡易エラーが発生した場合には、操作受付手段によるユーザーの指示操作の受け付けを待たずに、予め定められた簡易エラー用処理を実行する。また、印刷処理の実行中に駆動モーターが正常に作動しなくなるモーターエラーが発生した場合にモーターエラーに対して簡易エラー用処理を実行可能とする所定の処理条件が成立した場合には、操作受付手段によるユーザーの指示操作の受け付けを待って、簡易エラー用処理を実行する。そして、モーターエラーが発生した場合に所定の処理条件が成立していない場合には、予め定められたフェイタルエラー用処理を実行する。これにより、発生したモーターエラーに対して簡易エラー用処理やフェイタルエラー用処理を実行することができる。さらに、発生したモーターエラーに対して簡易エラー用処理を実行する場合に、ユーザーは指示操作により簡易エラー用処理を実行する前に例えば装置状態の確認や必要な作業などを行なうことができる。また、発生したモーターエラーに対して簡易エラー処理を実行する場合には、ユーザーの指示操作の受け付けを待つのみで、簡易エラーが発生した場合と同様に簡易エラー用処理を実行することができる。したがって、モーターエラーに対してより適正に対処しつつ簡易エラーが発生した場合と共通の処理を実行することができ、エラーに対してより適正に対処することができるものとなる。ここで、フェイタルエラー用処理は、フェイタルエラーに対して実行すべきとして予め定められた処理であり、フェイタルエラーが発生した旨を報知する処理などが含まれる。
【0009】
こうした本発明の印刷装置において、前記駆動モーターは、インクを吐出する吐出ヘッドを搭載して用紙の領域内を移動すると共に用紙の領域外で前記吐出ヘッドをキャッピング可能なホーム位置に移動するキャリッジを移動させるモーターであり、前記エラー処理実行手段は、前記簡易エラーが発生した場合には、前記操作受付手段によるユーザーの指示操作の受け付けを待たずに、前記駆動モーターにより前記キャリッジを前記ホーム位置に移動させる処理を前記簡易エラー用処理として実行し、前記モーターエラーが発生した場合に前記印刷処理による給排紙中または印刷中に用紙が詰まる紙詰まりが生じた可能性があると判断可能な条件を含む前記所定の処理条件が成立した場合には、前記駆動モーターによる前記キャリッジの移動を停止し、前記操作受付手段によるユーザーの指示操作の受け付けを待って、前記簡易エラー用処理を実行する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、紙詰まりが生じた可能性があると判断してモーターエラーに対して簡易エラー用処理を実行する場合には、キャリッジが停止した状態でユーザーの指示操作の受け付けを待つことができ、ユーザーは例えば用紙を除去するなど紙詰まりの原因に対処することができる。したがって、紙詰まりが生じた可能性があると判断してモーターエラーに対して簡易エラー用処理を実行する場合に、モーターエラーに対してより適正に対処することができる。もとより、簡易エラーが発生した場合には、ユーザーの指示操作の受け付けを待たずにキャリッジをホーム位置に移動させることができ、例えば給排紙や再印刷などの印刷装置の次の動作を実行しやすくすることができる。
【0010】
この駆動モーターによりキャリッジを移動させる態様の本発明の印刷装置において、前記簡易エラー用処理として前記駆動モーターにより前記キャリッジを前記ホーム位置に移動させると共に前記吐出ヘッドをキャッピングする処理を実行する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、吐出ヘッドを乾燥などから保護することができる。
【0011】
また、本発明の印刷装置において、前記エラー処理実行手段は、前記簡易エラーが発生した場合には、前記簡易エラー用処理を実行した後に前記操作受付手段によりユーザーの指示操作を受け付けると共に、該受け付けたユーザーの指示操作と前記簡易エラーが発生したときの前記印刷装置が印刷中か給紙中か排紙中かを含む前記印刷装置の動作状態とに基づいて前記印刷装置が次に実行すべき目標動作を設定し、前記モーターエラーが発生した場合に前記所定の処理条件が成立した場合には、前記簡易エラー用処理を実行する前に前記操作受付手段によりユーザーの指示操作を受け付けると共に、該受け付けたユーザーの指示操作と前記モーターエラーが発生したときの前記印刷装置の動作状態とに基づいて前記印刷装置の目標動作を設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、簡易エラーが発生した場合にもモーターエラーに対して簡易エラー用処理を実行する場合にも、印刷装置の次の動作をより適正に定めることができる。したがって、モーターエラーに対して簡易エラー用処理を実行する場合に、ユーザーの指示操作の受け付けを待つのみで、簡易エラーが発生した場合と同様に簡易エラー用処理と印刷装置の目標動作の設定とを行なう、即ち簡易エラーが発生した場合と共通の処理を実行することができる。
【0012】
本発明の印刷装置のエラー処理方法は、
印刷処理に用いられる駆動モーターとユーザーの指示操作を受け付ける操作受付手段とを備え、エラー解除に電源オフが必要なフェイタルエラーとエラー解除に電源オフが不要な簡易エラーとを処理可能な印刷装置のエラー処理方法であって、
前記簡易エラーが発生した場合には、前記操作受付手段によるユーザーの指示操作の受け付けを待たずに、予め定められた簡易エラー用処理を実行するステップと、
前記印刷処理の実行中に前記駆動モーターが正常に作動しなくなるモーターエラーが発生した場合に前記モーターエラーに対して前記簡易エラー用処理を実行可能とする所定の処理条件が成立した場合には、前記操作受付手段によるユーザーの指示操作の受け付けを待って、前記簡易エラー用処理を実行するステップと、
前記モーターエラーが発生した場合に前記所定の処理条件が成立していない場合には、予め定められたフェイタルエラー用処理を実行するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0013】
この本発明の印刷装置のエラー処理方法では、発生したモーターエラーに対して簡易エラー用処理やフェイタルエラー用処理を実行することができる。さらに、発生したモーターエラーに対して簡易エラー用処理を実行する場合に、ユーザーは指示操作により簡易エラー用処理を実行する前に例えば装置状態の確認や必要な作業などを行なうことができる。また、発生したモーターエラーに対して簡易エラー処理を実行する場合には、ユーザーの指示操作の受け付けを待つのみで、簡易エラーが発生した場合と同様に簡易エラー用処理を実行することができる。したがって、モーターエラーに対してより適正に対処しつつ簡易エラーが発生した場合と共通の処理を実行することができ、エラーに対してより適正に対処することができるものとなる。ここで、フェイタルエラー用処理は、フェイタルエラーに対して実行すべきとして予め定められた処理であり、フェイタルエラーが発生した旨を報知する処理などが含まれる。なお、この印刷装置のエラー処理方法において、上述した印刷装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した印刷装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】インクジェットプリンター20の構成の概略を示す構成図。
【図2】インクジェットプリンター20の外観と搬送機構40の構成を示す説明図。
【図3】エラー処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図4】フェイタルエラーおよび簡易エラーの例を示す説明図。
【図5】給排紙印刷要求の設定内容の一例を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるインクジェットプリンター20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、インクジェットプリンター20の外観と印刷用紙を搬送する搬送機構40を中心とした構成の概略とを示す説明図である。本実施形態のインクジェットプリンター20は、図1に示すように、プラテン36上を搬送される用紙Pに対してキャリッジ22の下部に設けられた印刷ヘッド24のノズル23からインク滴を吐出して印刷処理を行なうプリンター機構21と、プラテン36の右端付近に配置され印刷ヘッド24のノズル23が形成されたノズル形成面を封止するキャッピングを行なうと共に必要に応じてノズル23内のインクを吸引してクリーニングを行なうキャッピング装置38と、複数種類の印刷用紙の1つを給紙しプリンター機構21に用紙Pとして搬送する搬送機構40と、装置全体をコントロールするコントローラー50と、ユーザーの操作により装置全体の電源をオンオフする電源ボタン62や印刷処理などの各種処理のスタートを指示するスタートボタン64,各種処理のキャンセルを指示するキャンセルボタン66などの複数の操作ボタンおよびディスプレイ68が配置された操作パネル60と、を備える。図2に示すように、プリンター機構21やキャッピング装置38,搬送機構40の主要部,コントローラー50は、筐体70に収納されており、操作パネル60は、筐体70を覆うカバー80(図2は開かれている状態)が閉じられている状態でもユーザーが開口部82から操作できるように、開口部82に対応する筐体70の上面右側に配置されている。
【0016】
プリンター機構21は、図1に示すように、搬送モーター48により駆動されて用紙Pをプラテン36上に図中奥から手前に搬送する紙送りローラー35と、キャリッジベルト32に取り付けられガイド28に沿って用紙Pの幅方向である左右方向(主走査方向)に往復動するキャリッジ22と、キャリッジ22を駆動するキャリッジモーター(以下、CRモーターという)34と、キャリッジ22に搭載され複数色のインクを貯留する交換可能なインクカートリッジ26と、インクカートリッジ26から供給されたインクを加圧してインク滴を吐出する複数のノズル23が形成された印刷ヘッド24と、を備える。印刷ヘッド24は、圧電素子に電圧を印加することによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式を採用することができる他、発熱抵抗体(例えばヒーターなど)に電圧を印加することによりインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用することもできる。
【0017】
キャッピング装置38は、印刷ヘッド24を用紙Pの幅方向外部でキャッピング装置38上の位置(以下、ホームポジションという)に移動させた状態でクリーニングを実行したり、印刷休止中に印刷ヘッド24のキャッピングを行なってノズル23内のインクの増粘(乾燥)を抑制したりするのに用いられるものである。このキャッピング装置38は、印刷ヘッド24がキャリッジ22と共にホームポジションまで移動したときに、コントローラー50からの制御信号により印刷ヘッド24のノズル形成面を覆うように作動し、必要に応じて、印刷ヘッド24のノズル形成面に図示しない吸引ポンプの負圧を作用させてノズル23に詰まったインクを吸引排出することできるようになっている。なお、吸引排出された廃インクは、図示しない廃液タンクに溜められる。
【0018】
搬送機構40は、図2に示すように、筐体70の底部に配置された給紙カセット41と、プリンター機構21の背面から給紙可能な背面トレイ43と、給紙カセット41,背面トレイ43からの給紙をそれぞれ行なう給紙ローラー44,46と、給紙ローラー44,46のいずれかにより給紙された印刷用紙をプリンター機構21の紙送りローラー35に向けて搬送する給紙ローラー47と、図示しないギヤ機構を介して紙送りローラー35と給紙ローラー44,46,47とのうち1以上の任意のローラーを駆動可能な搬送モーター(以下、PFモーターという)48と、を備える。搬送機構40では、PFモーター48をコントローラー50からの信号により制御することによって、給紙カセット41と背面トレイ43とのうち選択した1つに収容された印刷用紙の一枚を図示しない搬送路を経て用紙Pとしてプリンター機構21に搬送することができるようになっている。プリンター機構21による用紙Pへの印刷処理が終了すると、用紙Pは排紙トレイ74に排紙される。図1では省略したが、紙送りローラー35と給紙ローラー47とにはそれぞれペアとなる従動ローラー35a,47aが配置されている。なお、搬送機構40の給紙ローラー47からプリンター機構21の紙送りローラー35への搬送経路上には、例えば反射型フォトセンサーなどの印刷用紙の有無を検出する用紙検出センサー39が設けられている。
【0019】
コントローラー50は、CPU52を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種制御プログラムや各種データを記憶したROM53と、一時的にデータを記憶するRAM54と、外部機器との情報のやり取りを行うインターフェース(I/F)56と、図示しない入出力ポートとを備える。RAM54には、印刷バッファー領域が設けられており、この印刷バッファー領域にユーザーPC90からI/F56を介して送られてきた印刷データが記憶される。コントローラー50には、キャリッジ22の位置を検出するリニア式エンコーダー25からの位置検出信号や、用紙検出センサー39からの用紙検出信号、電源ボタン62からのオンオフ信号、スタートボタン64からの操作信号、キャンセルボタン66からの操作信号、筐体70に取り付けられたカバー80が開かれているか閉じられているかを検出する開閉状態検出センサー76(図2参照)からの開閉状態検出信号などが入力ポートを介して入力される他、ユーザーPC90から印刷ジョブなどがI/F56を介して入力される。また、コントローラー50からは、印刷ヘッド24への駆動信号や、キャッピング装置38への制御信号、CRモーター34やPFモーター48への制御信号、ディスプレイ68への表示信号などが出力ポートを介して出力される他、印刷ステータス情報などがI/F56を介してユーザーPC90へ出力される。
【0020】
こうして構成されたインクジェットプリンター20では、ユーザーPC90からI/F56を介して印刷設定や印刷データと共に印刷指令を入力すると、コントローラー50により以下に説明する印刷制御を実行する。印刷制御では、コントローラー50のCPU52は、まず、印刷設定に指定された印刷用紙の一枚がプラテン36上に給紙されるようにPFモーター38を制御する給紙処理を実行し、キャリッジ22が主走査方向に移動するようCRモーター34を制御すると共に印刷データに応じてインクが吐出されるよう印刷ヘッド24を駆動する1パス分の印刷処理を実行する。続いて、次パスの印刷データがあるうちは1パス分の印刷処理を繰り返し、次パスの印刷データがなくなったときには、キャリッジ22がホームポジションに移動するようCRモーター34を制御すると共に、紙送りローラー35の回転により用紙Pが排紙トレイ74に排紙されるようPFモーター48を制御する排紙処理を実行して、印刷用紙の一枚分の制御を終了する。そして、印刷を終了した現在ページに続く次ページの印刷データがある場合には、現在ページの排紙処理に続けて次ページの給紙処理を実行すると共に、印刷処理と排紙処理とを実行して、印刷用紙の次の一枚分の制御を終了する。印刷制御では、こうして次ページの印刷データがなくなるまで同様の制御を繰り返す。
【0021】
次に、こうして構成されたインクジェットプリンター20の動作、特にエラーが発生した際の動作について説明する。図3は、コントローラー50のCPU52により実行されるエラー処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ROM53に記憶され、印刷制御を実行している最中に図示しないエラー検出ルーチンによりエラーの発生が検出されたときにCPU52により実行される。実施形態では、エラーの種類としては、エラー解除に電源再投入(電源オフして再び電源オンする操作)が必要なフェイタルエラーと、エラー解除に電源再投入が不要な簡易エラーとの2種類のエラーが用意されているものとするが、詳細は次に説明する。
【0022】
エラー処理ルーチンが実行されると、コントローラー50のCPU52は、まず、CRモーター34やPFモーター38を駆動停止するなどして印刷制御を中断し(ステップS100)、初期値としては値0が設定されフェイタルエラーが発生したときに値1が設定されるフェイタルフラグFaや、初期値としては値0が設定されフェイタルエラーが発生しているが印刷用紙が装置内で詰まる紙ジャムの可能性があると判定されたときに値1が設定される紙ジャムフェイタルフラグFp,用紙検出センサー39からのオンオフ信号としての用紙検出信号,インクジェットプリンター20の状態などエラー処理に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS110)。インクジェットプリンター20の状態は、実施形態では、印刷処理の実行中(印刷中),給紙処理の実行中(給紙中),排紙処理の実行中(排紙中),これら以外の待機中などの状態を表すインクジェットプリンター20の動作状態を入力するものとした。ここで、フェイタルエラーや簡易エラーについて説明する。
【0023】
図4はフェイタルエラーおよび簡易エラーの例を示す説明図である。フェイタルエラーとしては、例えば、CPU52やROM53,RAM54,I/F56の各状態に基づいてコントローラー50が正常に作動しない可能性が生じたときに検出されるコントローラーエラーや、印刷ヘッド24が駆動信号に応じて正常に駆動されない可能性が生じたときに検出されるヘッドエラー、印刷制御の実行中にCRモーター34とPFモーター38とのいずれかが制御信号に応じて正常に作動しない可能性が生じたときに検出されるモーターエラーなどがある。簡易エラーとしては、用紙検出センサー39からオン信号(またはオフ信号)が所定時間を超えて入力される用紙検出オンエラー(または用紙検出オフエラー)や、開閉状態検出センサー76から開放状態を示す開閉状態検出信号が所定時間を超えて入力されるカバーオープンエラー、印刷制御を実行する際に印刷設定に指定された給紙カセット41または背面トレイ43に印刷用紙がない状態を示す図示しない用紙検出センサーからのオフ信号が入力されたときに検出される用紙切れエラーなどがある。また、モーターエラーが検出されると共に予め定められた紙ジャム可能性条件およびモーターの暴走チェッククリア条件の両条件が成立したときには、電源再投入が必要なフェイタルエラーが発生しているものの、ユーザーが装置状態を確認したり用紙を除去するなど紙ジャムの原因に対処すれば電源再投入しなくても印刷制御を再開してよいと判断し、即ち紙ジャムフェイタルエラーが発生したに過ぎないと判定し、簡易エラーとして処理する。紙ジャム可能性条件は、例えば、印刷中,給紙中,排紙中,待機中などの状態を表すインクジェットプリンター20の動作状態と用紙検出センサー39からの用紙検出信号とに基づく条件などを用いることができる。また、暴走チェッククリア条件は、例えば、CRモーター34とPFモーター38との各モーターが印刷制御を中断する前に駆動していた方向とは逆方向に指令通り僅かに駆動することが確認されたときに成立する条件などを用いることができる。したがって、いずれかのフェイタルエラーの発生が検出されたときにはフェイタルフラグFaに値1が設定されるが、発生したフェイタルエラーが紙ジャムフェイタルエラーであると判定されたときには紙ジャムフェイタルフラグFpにも値1が設定されることになる。なお、フェイタルエラーの発生と簡易エラーの発生とが同時に検出された場合には、フェイタルエラーとして処理することを優先する。
【0024】
こうしてデータを入力すると、入力したフェイタルフラグFaと紙ジャムフェイタルフラグFpとを調べ(ステップS120,S130)、フェイタルフラグFaが値1で紙ジャムフェイタルフラグFpが値0のときには、紙ジャムフェイタルエラーではないフェイタルエラーが発生していると判断し、ディスプレイ68にフェイタルエラー用のエラー表示を行なって(ステップS140)、エラー処理ルーチンを終了する。フェイタルエラー用のエラー表示としては、フェイタルエラー(更にエラーの種別など)が発生した旨や電源再投入が必要である旨を表す文字表示、コード表示、両表示の組み合わせなどを行なうことができる。なお、ユーザーによる電源ボタン62の操作によって電源再投入が行なわれると、システム起動時の予め定められた初期化処理が行なわれ、印刷可能な状態となるか、場合によってはフェイタルエラーの発生が再び検出される。
【0025】
フェイタルフラグFaが値0のときには、簡易エラーが発生していると判断し、ディスプレイ68に簡易エラー用のエラー表示を行ない(ステップS150)、キャリッジ22がホームポジションに移動するようCRモーター34を制御すると共に印刷ヘッド24のキャンピングが行なわれるようキャッピング装置38を制御する(ステップS160)。ここで、簡易エラー用のエラー表示としては、簡易エラー(更にエラーの種別など)が発生した旨を表す文字表示、コード表示、両表示の組み合わせなどを行なうことができる。また、キャリッジ22をホームポジションに移動させることにより、例えば給排紙や再印刷などの次の動作を行ないやすくすることができる。さらに、印刷ヘッド24のキャッピングを行なうことにより、印刷ヘッド24を乾燥などから保護することができる。
【0026】
続いて、ユーザーによる操作パネル60のボタン操作によってオン信号としての操作信号が入力されるのを待つ(ステップS170,S180)。スタートボタン64からのオン信号またはキャンセルボタン66からのオン信号が入力されたときには、ユーザーによる指示操作を受け付けたと判断し、先に入力したインクジェットプリンター20の動作状態と用紙検出センサー39からの用紙検出信号といま入力した操作信号とに基づいて、インクジェットプリンター20の次の動作として要求される給排紙印刷要求(次に実行すべき目標動作)を設定する(ステップS230)。ここで、給排紙印刷要求の設定は、エラーが発生したときのインクジェットプリンター20の動作状態および用紙検出信号と操作信号の種類(スタートボタン64,キャンセルボタン66)と給排紙印刷要求との関係を給排紙印刷要求設定用テーブルとして予め定めてROM53に記憶しておき、インクジェットプリンター20の動作状態と用紙検出信号と操作信号の種類とが与えられると記憶したテーブルから対応する給排紙印刷要求を導出して設定するものとした。図5に給排紙印刷要求の設定内容の一例を示す。図示するように、実施形態では、スタートボタン64が操作された場合には、エラー発生時のインクジェットプリンター20の動作状態および用紙検出信号のオンオフとに応じて複数パターンの要求が設定され、キャンセルボタン66が操作された場合には、エラーが発生したときの状態に拘わらず、排紙要求が設定されるものとした。排紙要求が設定されると、本ルーチンの終了後に排紙処理が実行され、エラーが発生したために中断した印刷制御は再開されない。スタートボタン64が操作された場合、エラー発生時に給紙中で用紙検出信号がオンの場合には排紙処理を実行してから印刷制御を中断したときに処理中であった現在ページの給紙処理と印刷処理とが実行されるよう要求が設定され、エラー発生時に印刷中で用紙検出信号がオンの場合には排紙処理を実行してから印刷制御を中断したときに処理中であった現在ページの次のページの給紙処理と印刷処理とが実行されよう要求が設定され、エラー発生時に排紙中で用紙検出信号がオンの場合には排紙処理を実行してから印刷制御を中断したときに処理中であった現在ページの次のページの給紙処理と印刷処理とが実行されるよう要求が設定されるものとした。また、スタートボタン64が操作された場合、エラー発生時に給紙中で用紙検出信号がオフの場合には、排紙の必要がないため、現在ページの給紙処理と印刷処理とが実行されるよう要求が設定されるものとした。なお、エラー発生時に印刷中や排紙中で用紙検出信号がオフの場合は、実施形態のインクジェットプリンター20では想定されない。したがって、スタートボタン64が操作された場合には、本ルーチンの終了後に要求に応じて印刷制御が再開(リスタート)される。
【0027】
こうして給排紙印刷要求が設定されると、簡易エラー用のエラー表示を解除して(ステップS240)、エラー処理ルーチンを終了する。エラー処理ルーチンが終了すると、設定せれた給排紙印刷要求に応じて排紙処理が実行されたり印刷制御が再開されたりするが、印刷制御が再開されてもカバー80が閉じられていない場合や印刷用紙が補充されていない場合などには、簡易エラーの発生が再び検出される。
【0028】
ステップS120,S130でフェイタルエラーフラグFaが値1で紙ジャムフェイタルエラーFpが値1のときには、発生したフェイタルエラーが紙ジャムフェイタルエラーであるために簡易エラーとして処理すると判断し、簡易エラー用のエラー表示を行ない(ステップS190)、ユーザーによる操作パネル60のボタン操作によってオン信号としての操作信号が入力されるのを待ち(ステップS170,S180)、その後にキャリッジ22をホームポジションに移動させると共に印刷ヘッド24のキャンピングを行ない(ステップS190)、給排紙印刷要求を設定してエラー表示を解除し(ステップS230,S240)、エラー処理ルーチンを終了する。エラー処理ルーチンが終了すると、設定された給排紙印刷要求に応じて排紙処理が実行されたり印刷制御が再開されたりするが、実施形態のインクジェットプリンター20では、こうして紙ジャムフェイタルエラーに対してキャリッジ22をホームポジションに移動させる簡易エラー用の処理を実行する場合には、単に簡易エラーが発生した場合とは異なり、ユーザーによるボタン操作の受け付けを待って、エラー発生時に停止した位置からキャリッジ22を移動させる。このため、ユーザーは、キャリッジ22を移動させる前に、例えば紙ジャムの原因となった用紙を除去したり用紙を正しい位置にセットし直すなど、紙ジャムの原因に対処する時間を確保することができる。これにより、紙ジャム可能性条件および暴走チェッククリア条件の両条件の成立を伴うモーターエラーである紙ジャムフェイタルエラーに対して簡易エラー用の処理を実行する場合、ユーザーは、フェイタルエラー発生時に必要な電源再投入に伴う不都合(改めて印刷指示を行なう必要や再起動するのを待つ必要など)が生じるのを回避することができる。しかも、紙ジャムフェイタルエラーに対して簡易エラー用の処理を実行する場合、ユーザーの指示操作の受け付けを待つのみで、キャリッジ22の移動や印刷ヘッド24のキャッピング,エラー発生時のプリンター動作状態と用紙検出信号のオンオフとボタン操作の種類とに基づく次の動作の設定などの一連の処理を、簡易エラーが発生した場合と共通の処理として実行することができる。これにより、紙ジャムフェイタルエラーに対して簡易エラー用の処理を実行する場合、エラー処理を複雑化することなく、簡易に処理することができる。なお、紙ジャムフェイタルエラーに対して簡易エラー用の処理を実行する場合に、ユーザーが紙ジャムに対処せず、排紙処理を開始したときや印刷制御を再開したときに紙ジャムの原因が残存しており、排紙処理や印刷制御を適正に実行できない場合などには、紙ジャムフェイタルエラーの発生を再び検出することなく、フェイタルエラーの発生のみが検出されるものとした。
【0029】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のCRモーター34が本発明の「駆動モーター」に相当し、スタートボタン64とキャンセルボタン66とが「操作受付手段」に相当し、簡易エラーが発生した場合にはキャリッジ22を移動してからユーザーのボタン操作を受け付けて給排紙印刷要求を設定したり紙ジャムフェイタルエラーに対して簡易エラー用の処理を実行する場合にはユーザーのボタン操作を受け付けてからキャリッジ22を移動して給排紙要求を設定したり、フェイタルエラーに対してフェイタルエラー用のエラー表示を行なう図3のエラー処理ルーチンを実行するコントローラー50が「エラー処理実行手段」に相当する。なお、本実施形態では、印刷装置の動作を説明することにより本発明の印刷装置のエラー処理方法の一例も明らかにしている。
【0030】
以上説明した実施形態のインクジェットプリンター20によれば、エラー解除に電源オフが不要な簡易エラーが発生した場合には、ユーザーのボタン操作の受け付けを待たずに、予め定められたキャリッジ22の移動処理等を実行し、印刷制御の実行中にCRモーター34等が正常に作動しなくなるモーターエラーが発生した場合に紙ジャム可能性条件と暴走チェッククリア条件との両条件が成立した場合には、ユーザーのボタン操作の受け付けを待って、キャリッジ22の移動処理等の簡易エラー用の処理を実行し、モーターエラーが発生した場合に両条件の一方でも成立していない場合には、フェイタルエラー用のエラー表示処理を行なう。これにより、発生したモーターエラーに対して簡易エラー用の処理やフェイタルエラー用の処理を行なうことができる。さらに、発生したモーターエラーに対してキャリッジ22の移動処理等の簡易エラー用の処理を実行する場合に、ユーザーはボタン操作によりキャリッジ22の移動処理等を実行する前に、例えば紙ジャムの原因となった用紙を除去するなどを行なうことができる。また、発生したモーターエラーに対して簡易エラー用の処理を実行する場合には、ユーザーのボタン操作の受け付けを待つのみで、簡易エラーが発生した場合と同様に簡易エラー用の処理を実行することができる。したがって、モーターエラーに対してより適正に対処しつつ簡易エラーが発生した場合と共通の処理を実行することができ、エラーに対してより適正に対処することができるものとなる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0032】
上述した実施形態では、給排紙印刷要求の設定を、エラー発生時のプリンター状態および用紙検出信号のオンオフと操作信号の種類とに基づいて行なうものとしたが、エラー発生時のプリンター状態に拘わらず同じ要求を設定してもよいし、エラー発生時の用紙検出信号のオンオフに拘わらず同じ要求を設定してもよいし、スタートボタン64やキャンセルボタン66といった操作信号の種類に拘わらず同じ要求を設定するものとしてもよい。
【0033】
上述した実施形態では、簡易エラーが発生した場合や紙ジャムフェイタルエラーに対して簡易エラー用の処理を実行する場合にキャリッジ22をホームポジション移動させると共に印刷ヘッド24のキャッピングを行なうものとしたが、印刷ヘッド24のキャッピングについては行なわないものとしてもよい。
【0034】
上述した実施形態では、フェイタルエラーの1つであるモーターエラーが検出されると共に紙ジャム可能性条件およびモーターの暴走チェッククリア条件の両条件が成立したときには紙ジャムフェイタルエラーが発生していると判定し、この紙ジャムフェイタルエラーに対してキャリッジ22の移動処理等の簡易エラー用の処理を実行するものとしたが、例えば、発生したフェイタルエラーの原因がいずれかのモーターの過熱であると判定された場合に、この過熱によるエラーに対して簡易エラー用の処理を実行するなどとしてもよい。この場合、ユーザーのボタン操作の受け付けを待つと共に過熱が収まるのに必要な所定時間が経過するのを待って、各モーターの駆動を許可するものとしてもよい。
【0035】
上述した実施形態では、搬送機構40は給紙カセット41と背面トレイ43とを備えるものとしたが、給紙カセットは2つ以上であっても備えないものとしてもよいし、背面トレイは備えないものとしても構わない。
【0036】
上述した実施形態では、印刷ヘッド24を搭載しCRモーター34が駆動するキャリッジ22は、用紙Pの幅方向である左右方向(主走査方向)に往復動するものとしたが、用紙Pの搬送方向に移動するなど、用紙Pの領域内を如何なる方向に移動するキャリッジを備えるものとしてもよい。
【0037】
上述した実施形態では、本発明をインクジェットプリンター20に適用して説明したが、エラー解除に電源オフが必要なフェイタルエラーとエラー解除に電源オフが不要な簡易エラーとを処理可能な印刷装置であれば、如何なるタイプのプリンターに適用してもよいし、ファクシミリ装置やスキャナー装置などと印刷装置とが一体となった機器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0038】
20 インクジェットプリンター、21 プリンター機構、22 キャリッジ、23 ノズル、24 印刷ヘッド、25 リニア式エンコーダー、26 インクカートリッジ、28 ガイド、32 キャリッジベルト、34 キャリッジモーター(CRモーター)、35 紙送りローラー、35a,47a 従動ローラー、36 プラテン、38 キャッピング装置、40 搬送機構、41 給紙カセット、43 背面トレイ、44,46,47 給紙ローラー、48 搬送モーター(PFモーター)、50 コントローラー、52 CPU、53 ROM、54 RAM、56 インターフェース(I/F)、60 操作パネル、62 電源ボタン、64 スタートボタン、66 キャンセルボタン、68 ディスプレイ、70 筐体、74 排紙トレイ、76 開閉状態検出センサー、80 カバー、82 開口部、90 ユーザーPC。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラー解除に電源オフが必要なフェイタルエラーとエラー解除に電源オフが不要な簡易エラーとを処理可能な印刷装置であって、
印刷処理に用いられる駆動モーターと、
ユーザーの指示操作を受け付ける操作受付手段と、
所定のエラー用処理を実行するエラー処理実行手段と、を備え、
前記エラー処理実行手段は、
前記簡易エラーが発生した場合には、前記操作受付手段によるユーザーの指示操作の受け付けを待たずに、予め定められた簡易エラー用処理を実行し、
前記印刷処理の実行中に前記駆動モーターが正常に作動しなくなるモーターエラーが発生した場合に前記モーターエラーに対して前記簡易エラー用処理を実行可能とする所定の処理条件が成立した場合には、前記操作受付手段によるユーザーの指示操作の受け付けを待って、前記簡易エラー用処理を実行し、
前記モーターエラーが発生した場合に前記所定の処理条件が成立していない場合には、予め定められたフェイタルエラー用処理を実行する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置であって、
前記駆動モーターは、インクを吐出する吐出ヘッドを搭載して用紙の領域内を移動すると共に用紙の領域外で前記吐出ヘッドをキャッピング可能なホーム位置に移動するキャリッジを移動させるモーターであり、
前記エラー処理実行手段は、
前記簡易エラーが発生した場合には、前記操作受付手段によるユーザーの指示操作の受け付けを待たずに、前記駆動モーターにより前記キャリッジを前記ホーム位置に移動させる処理を前記簡易エラー用処理として実行し、
前記モーターエラーが発生した場合に前記印刷処理による給排紙中または印刷中に用紙が詰まる紙詰まりが生じた可能性があると判断可能な条件を含む前記所定の処理条件が成立した場合には、前記駆動モーターによる前記キャリッジの移動を停止し、
前記操作受付手段によるユーザーの指示操作の受け付けを待って、前記簡易エラー用処理を実行する手段である、
印刷装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷装置であって、
前記エラー処理実行手段は、前記簡易エラー用処理として前記駆動モーターにより前記キャリッジを前記ホーム位置に移動させると共に前記吐出ヘッドをキャッピングする処理を実行する手段である、
印刷装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の印刷装置であって、
前記エラー処理実行手段は、
前記簡易エラーが発生した場合には、前記簡易エラー用処理を実行した後に前記操作受付手段によりユーザーの指示操作を受け付けると共に、該受け付けたユーザーの指示操作と前記簡易エラーが発生したときの前記印刷装置が印刷中か給紙中か排紙中かを含む前記印刷装置の動作状態とに基づいて前記印刷装置が次に実行すべき目標動作を設定し、
前記モーターエラーが発生した場合に前記所定の処理条件が成立した場合には、前記簡易エラー用処理を実行する前に前記操作受付手段によりユーザーの指示操作を受け付けると共に、該受け付けたユーザーの指示操作と前記モーターエラーが発生したときの前記印刷装置の動作状態とに基づいて前記印刷装置の目標動作を設定する手段である、
印刷装置。
【請求項5】
印刷処理に用いられる駆動モーターとユーザーの指示操作を受け付ける操作受付手段とを備え、エラー解除に電源オフが必要なフェイタルエラーとエラー解除に電源オフが不要な簡易エラーとを処理可能な印刷装置のエラー処理方法であって、
前記簡易エラーが発生した場合には、前記操作受付手段によるユーザーの指示操作の受け付けを待たずに、予め定められた簡易エラー用処理を実行するステップと、
前記印刷処理の実行中に前記駆動モーターが正常に作動しなくなるモーターエラーが発生した場合に前記モーターエラーに対して前記簡易エラー用処理を実行可能とする所定の処理条件が成立した場合には、前記操作受付手段によるユーザーの指示操作の受け付けを待って、前記簡易エラー用処理を実行するステップと、
前記モーターエラーが発生した場合に前記所定の処理条件が成立していない場合には、予め定められたフェイタルエラー用処理を実行するステップと、
を含む印刷装置のエラー処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−213964(P2012−213964A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81688(P2011−81688)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】