説明

印刷装置およびその制御方法

【課題】搬送ローラーと記録紙との間の滑りによる搬送誤差を解消して精度良く印刷を行うことが可能な印刷装置およびその制御方法を提案すること。
【解決手段】サーマルプリンター1の制御部11は、印刷時の記録紙Pの搬送動作における記録紙Pとプラテンローラー5との滑り量Lを算出する処理を行う滑り量自動算出部13と、直前に算出した滑り量Lに基づき、各印刷領域P1への印刷を行う際の記録紙Pの搬送量を補正する処理を行う搬送量自動補正部14を備える。搬送量自動補正部14は、滑り量Lに応じた長さの非印刷領域dを、元の印刷イメージDの所定位置に一括してもしくは分散させて挿入する処理を行う。あるいは、搬送量自動補正部14は、滑り量Lに応じて各印刷オブジェクトEの展開位置を座標変換する処理を行う。これにより、結果として、印刷終了時までに滑りによる搬送誤差を全て解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置およびその制御方法に関し、特に、記録紙に圧接した搬送ローラーを回転させて記録紙に搬送力を伝達する記録紙搬送機構を有する印刷装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷ヘッドによる印刷位置を経由する搬送経路に沿って記録紙をセットし、この記録紙に圧接した搬送ローラーを回転させ、いわゆるフリクションフィードにより、搬送ローラーの回転量に応じた長さだけ記録紙を搬送するように構成された記録紙搬送機構を有するプリンターが用いられている。この種のプリンターでは、記録紙搬送機構による記録紙の搬送動作と連動させて印刷ヘッドによる印刷動作を行うことにより、記録紙の搬送方向に所定の印刷ピッチで印刷文字列や印刷画素列などを形成することができる。
【0003】
この種のプリンターでは、搬送ローラーの回転や搬送ローラーの回転駆動源であるモーターの出力回転等をエンコーダーによって検出し、検出した回転量に基づいて記録紙の搬送量を制御する。しかしながら、搬送ローラーの回転量は、搬送ローラーと記録紙との間に滑りが生じない場合には記録紙の搬送量に精度良く対応するが、滑りが生じる場合には、滑り分だけ搬送量が少なくなる。特に、台紙の表面にラベルが貼ってあるラベル紙を搬送する場合には、ラベルが貼ってある表側はラベルによる段差などにより、接触するローラーや印刷ヘッドとの間の摩擦負荷が大きくなる傾向にあり、搬送ローラーとの滑りが生じ易い。従って、記録紙の搬送量を搬送ローラーやモーターの回転量のみに基づいて制御する場合には、設定した搬送量よりも滑り分だけ搬送量が不足することになり、精度良く搬送量を制御することができない。このため、意図したピッチよりも狭いピッチで印刷文字列や印刷画素列が形成されてしまう。このような印刷ピッチズレが発生すると、正しい位置に印刷を行うことができないため、印刷品質が低下し、印刷した情報を識別できないなどの問題点が生じる。
【0004】
特許文献1には、剥離紙に粘着テープを貼り付けた長尺のテープを搬送ローラーによって搬送しながら、テープの表面に印刷するプリンターが記載されている。このプリンターでは、印刷結果を実測して滑り量(滑りに起因する搬送量の不足分)を算出し、この滑り量に基づいて、印刷対象のテープに対するピッチ補正データを設定する。具体的には、設定した印刷長さと実測した印刷結果の長さとを比較して、その差分を補正データとして記憶する。そして、次に印刷を行うときには、テープを印刷長さ分だけ搬送するための駆動モーターの駆動ステップ数に、補正データ(すなわち、滑り量)に相当するステップ数を加える補正を行って印刷を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−230266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の補正方法では、ユーザーが手動で設定を行って補正データを作成している。算出された補正データは、テープを収納するカセットに設けられたメモリ部に保持される。従って、一旦補正データをメモリ部に保存した後は、そのテープカセットを装填するだけで補正データを用いた補正を行うことができる。
【0007】
しかしながら、このように手動操作によって補正データを算出してテープカセットのメモリ部に記憶させる方法では、テープカセット毎に補正データの設定を行わなければならない。また、搬送機構の磨耗などによって滑り量が変化する場合に、常に正確な補正を行おうとすると、頻繁に補正操作を行って補正データを更新しなければならない。従って、ユーザーの負担が大きいという問題点がある。
【0008】
また、特許文献1の補正方法では、駆動モーターの駆動ステップ単位で搬送量を補正している。従って、滑り量が小さい場合には滑り量よりも搬送量の補正単位のほうが大きくなってしまい、正確に補正することができない。よって、このような場合には、印刷品質が低下してしまうという問題点がある。特に、バーコードなどの高精度な印刷が必要な印刷物を必要な精度で印刷できず、印刷したバーコードの読み取り不良が発生するという問題点がある。
【0009】
本発明の課題は、これらの点に鑑みて、搬送ローラーと記録紙との間の滑りによる搬送誤差を解消でき、精度良く印刷を行うことが可能な印刷装置およびその制御方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、搬送ローラーの回転によって記録紙を搬送しながら、印刷ヘッドにより当該記録紙への印刷を行う印刷装置の制御方法であって、
前記印刷装置は、
前記記録紙上の印刷領域への印刷を行うときには、当該印刷領域の搬送時における前記搬送ローラーと前記記録紙との滑り量を取得する処理を行い、
搬送方向の下流側に位置する次の印刷領域への印刷を行うときには、当該次の印刷領域の搬送時における前記搬送ローラーの駆動量を直近に取得した前記滑り量に応じて補正する処理を行うことを特徴としている。
【0011】
本発明では、このように、各印刷領域への印刷時の当該印刷領域の搬送において、直前の印刷時の搬送における搬送距離の不足量(滑り量)を自動的に反映させた搬送処理を行うことができる。このため、記録紙搬送機構の磨耗等の状態変化を迅速にフィードバックすることができ、常に最適な滑り補正を行って搬送誤差を解消することができる。よって、記録紙の実際の搬送量と、印刷データにおいて指示された搬送量とのずれの発生を抑制でき、印刷品質の低下を効果的に抑制できる。従って、バーコードなどの高い精度が要求される印刷についても高い印刷品質を維持でき、バーコードの読み取り品質の低下を抑制できる。また、ユーザーが手動で補正を行う必要がないため、ユーザーに負担を与えずに高い印刷品質を維持できる。
【0012】
本発明において、前記滑り量に応じた長さの非印刷領域を、前記次の印刷領域に印刷する印刷イメージの所定位置に一括してもしくは分散させて挿入する処理を行うことができる。このようにすると、次の印刷処理における記録紙の目標搬送量(搬送ローラーの駆動量)を滑り量に応じた長さだけ自動的に水増しすることができるため、結果として、水増し分によって印刷の終了までに搬送量の不足を解消でき、印刷データにおいて指示したとおりの寸法分の記録紙を搬送した時点で印刷を終了できる。従って、長尺の記録紙に一定ピッチで印刷領域が一列に配列されている場合などにおいては、次の印刷領域への印刷の開始時点までには確実に搬送量の不足を解消でき、次の印刷領域の先頭に確実に記録紙を位置決めすることができる。また、非印刷領域を適切に分散して挿入した場合には、印刷結果への影響を少なくすることができ、印刷品質の低下を抑制できる。
【0013】
ここで、前記次の印刷領域に、印刷データで指示された印刷イメージを展開して配置し、当該次の印刷領域を前記記録紙の搬送方向に所定ピッチで分割した各分割領域の中から、前記印刷イメージを構成する印刷ドットが配置されていない空白領域を検出し、当該空白領域の少なくとも一部に、前記滑り量に応じた長さの非印刷領域を一括してもしくは分散させて挿入するように構成することができる。このように、印刷ドットが全く配置されていない印刷イメージの箇所に非印刷領域を挿入すると、印刷イメージにおける印刷ドットの集合体の部分には影響を与えることなく印刷イメージ全体の長さを水増しできる。よって、非印刷領域の挿入によって印刷イメージ中に白スジなどが形成されることがない。また、印刷イメージを細かいピッチで多数に分割する場合には、非印刷領域を挿入できる箇所(空白領域)を多数設定できる。このようにすると、非印刷領域を細かく分散させて挿入することが可能となるため、印刷結果への影響が少なくて済む。従って、印刷品質の低下を抑制できる。
【0014】
この場合に、前記滑り量に基づき、前記次の印刷領域に対する前記非印刷領域の挿入量を決定すると共に、当該挿入量を、前記次の印刷領域における前記分割領域の数によって除した値である単位挿入量を算出し、前記次の印刷領域への印刷を行うときには、当該印刷領域の先頭から順に、各分割領域が前記空白領域であるか否かを判定し、前記空白領域であると判定された分割領域に前記非印刷領域を挿入する補正を行い、各空白領域への前記非印刷領域の挿入量を、当該空白領域が前記印刷領域の先頭に位置するか、もしくは、当該空白領域の直前に連続して前記空白領域が配置されているときには、前記単位挿入量に設定し、当該空白領域の直前に連続して前記空白領域が配置されていないときには、当該空白領域の直前における前記空白領域でない前記分割領域の連続数に前記単位挿入量を乗じた長さを、前記単位挿入量に加算した長さに設定するように構成することもできる。このように、一定の長さごとに単位量ずつ非印刷領域を挿入することを原則とし、空白領域がない部分では挿入量を累積して次の空白領域にまとめて挿入すると、印刷イメージの先頭から終端に移動するにつれて、非印刷領域の累積挿入量がおおむね直線的に増加してゆく。従って、非印刷領域の挿入位置の偏りを防止でき、印刷結果への影響が少ない。よって、印刷品質の低下を抑制できる。
【0015】
また、本発明において、前記次の印刷領域に、印刷データで指示された印刷イメージを、座標を用いて展開するにあたって、当該印刷イメージを構成する各印刷オブジェクトの前記印刷領域における展開位置の座標を、少なくとも前記滑り量に基づいて座標変換するように構成してもよい。例えば、前記印刷イメージの元の寸法と前記滑り量によって決まる印刷イメージの縮小率に基づいて座標変換を行うことができる。このようにすると、座標変換後の各印刷オブジェクトが、印刷時の滑りによって結果的に元の印刷イメージにおける印刷位置に印刷されるようにすることができる。従って、結果的に、元の印刷イメージどおりの印刷を行うことができる。よって、滑りが発生していても精度良く印刷を行うことができる。
【0016】
ここで、前記記録紙として、前記印刷領域が一定のピッチで一列に配列された長尺の連続紙、もしくは、長尺の台紙に前記印刷領域を規定するラベルが一定のピッチで一列に貼り付けられたラベル紙を用いる場合には、各印刷領域への印刷を行うときに、前記記録紙を搬送しながら、前記搬送経路上の所定位置において、印刷対象の印刷領域における基準位置の通過を検出し、当該通過検出タイミングから、次の印刷領域における前記基準位置の通過検出タイミングまでの期間における前記搬送ローラーの回転量もしくはその駆動源の駆動量を取得し、当該回転量あるいは当該駆動量と、予め記憶しておいた前記印刷領域の配列ピッチとに基づき、前記滑り量を算出することができる。印刷領域の配列ピッチの長さだけ記録紙を搬送するのに要した搬送ローラーの回転量は、元の配列ピッチに滑り量を加えた量に対応している。従って、この回転量あるいはこれに対応する駆動量と、配列ピッチとの値に基づき、滑り量を自動で算出できる。
【0017】
また、このとき、前記基準位置を、各印刷領域に対応して前記記録紙に付されたマーク、もしくは、前記ラベルの端部とすることができる。マークやラベルの端部は光学式のセンサーによって検出できるため、記録紙の搬送位置を検出するために従来から用いられている紙検出センサーを用いて検出することが可能である。よって、この種のセンサーを用いて通過検出を行うことにより、滑り量を算出できる。
【0018】
次に、本発明は、
印刷ヘッドと、
当該印刷ヘッドによる印刷位置を経由する搬送経路に沿って記録紙を搬送するための搬送ローラーを備える記録紙搬送機構と、
前記記録紙上の印刷領域の搬送時において発生した当該搬送ローラーと前記記録紙との滑り量を算出する処理を行う滑り量自動算出手段と、
直近に取得した前記滑り量に応じて、前記記録紙上の印刷領域の搬送時における前記搬送ローラーの駆動量を補正する処理を行う搬送量自動補正手段とを有し、
上記の印刷装置の制御方法により、前記記録紙上の印刷領域の印刷を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、各印刷領域の搬送において、直前の印刷時の搬送における搬送距離の不足量(滑り量)を自動的に反映させた搬送処理を行うことができる。従って、記録紙搬送機構の磨耗等の状態変化を迅速にフィードバックすることができ、常に最適な滑り補正を行うことができる。よって、記録紙の実際の搬送量と、印刷データにおいて指示された搬送量とのずれの発生を抑制でき、印刷品質の低下を効果的に抑制できる。また、ユーザーが手動で補正を行う必要がないため、ユーザーに負担を与えずに高い印刷品質を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るサーマルプリンターの主要部の概略構成を示す説明図である。
【図2】記録紙の平面図であるである。
【図3】サーマルプリンターの制御系を示す概略ブロック図である。
【図4】搬送量の補正方法を示す説明図である。
【図5】別の搬送量の補正方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(印刷装置)
以下に、図面を参照して本発明を適用した実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るサーマルプリンターの主要部の概略構成を示す説明図である。サーマルプリンター1(印刷装置)は、長尺状の記録紙Pをロール状に巻いたロール紙を収容するためのロール紙収容部2と、ロール紙収容部2内のロール紙から繰り出された記録紙Pをプリンター内部の搬送経路Aに沿って搬送する記録紙搬送機構3と、搬送経路A上の印刷位置Bに発熱部分を向けて配置されたサーマルヘッド4(印刷ヘッド)を備えている。
【0022】
図2は記録紙Pの平面図である。本実施形態では、記録紙Pとして長尺の連続紙が用いられており、記録紙Pの表面には感熱発色層が設けられている。記録紙Pの裏面には、記録紙Pの長手方向(搬送方向)に沿って一定間隔でブラックマークBM(マーク)が付されている。各ブラックマークBMから次のブラックマークBMまでの領域が1つの印刷領域P1となっている。すなわち、記録紙Pの表面には、印刷領域P1が一定の配列ピッチTで1列に配列されており、各印刷領域P1の先頭に配置されたブラックマークBMは、各印刷領域P1の先頭(基準位置)を示す位置指標として用いられる。
【0023】
図1に示すように、記録紙搬送機構3は、サーマルヘッド4に対向配置されたプラテンローラー5(搬送ローラー)と、このプラテンローラー5を駆動する搬送モーター5a(図3参照)などを備えている。ロール紙から繰り出された記録紙Pは、サーマルヘッド4とプラテンローラー5の間を通るように装填されており、この記録紙Pに当接しているプラテンローラー5の回転に伴って記録紙Pが搬送される。サーマルヘッド4におけるプラテンローラー5に対向している部分には、記録紙Pの幅方向に配列した複数の発熱素子が設けられている。サーマルヘッド4とプラテンローラー5の間に挟み込んだ記録紙Pの表面に各発熱素子を圧接し、この状態で各発熱素子に所定の電圧を印加して発熱させると、各発熱素子に当接した記録紙Pの感熱発色層の部分が加熱されて発色し、記録紙Pの表面に印刷ドットが形成される。
【0024】
プラテンローラー5による紙送りと同期してサーマルヘッド4を駆動することにより、印刷位置Bを通過する記録紙Pの表面に順次印刷ドット列が形成され、印刷が行われる。搬送経路Aの下流端はサーマルプリンター1のプリンターケース6に設けられた記録紙排出口7まで延びている。記録紙排出口7の近傍には、記録紙切断用のオートカッター8が設けられている。印刷済みの印刷領域P1が記録紙排出口7の外側に排出された状態で搬送を停止させ、この状態でオートカッター8によって記録紙Pを切断することにより、印刷済みの記録紙片が発行される。
【0025】
搬送経路Aにおける印刷位置Bの上流側には、記録紙Pの搬送位置を検出するための紙検出器9が配置されている。紙検出器9は、搬送経路A上の記録紙Pの裏面に対峙するように配置された発光素子と、記録紙Pの裏面で反射された反射光を検出するための受光素子を備える反射型フォトセンサーである。記録紙Pの裏面に設けられたブラックマークBMが紙検出器9による検出位置Cを通過するときの受光素子の出力変化に基づき、ブラックマークBMの通過を検出することができる。
【0026】
(制御系)
図3はサーマルプリンター1の制御系を示す概略ブロック図である。サーマルプリンター1の制御系は、CPUおよびROM、RAMなどの記憶部10を備えた制御部11を中心に構成されている。記憶部10には、制御に用いる値や制御プログラムなどを記憶させておくことができる。制御部11の出力側には、図示しないヘッドドライバーを介してサーマルヘッド4が接続されると共に、図示しないモータードライバーを介して記録紙搬送機構3の搬送モーター5aが接続されている。更に、図示しないモータードライバーを介してオートカッター8のカッターモーター8aが接続されている。また、制御部11の入力側には、上述した紙検出器9が接続されると共に、通信回線などを介してホスト装置12が接続されている
【0027】
制御部11は、ホスト装置12から受信した印刷データやコマンドに基づき、ROM内に格納されている制御プログラムを実行し、サーマルプリンター1の各部の駆動を制御して記録紙Pの搬送・位置決め動作、印刷動作等を実行する。記録紙Pの搬送・位置決め動作においては、制御部11は、モータードライバーを介して、搬送モーター5aによって駆動されるプラテンローラー5による記録紙Pの搬送を制御する。このとき、制御部11は、搬送モーター5aの駆動ステップ数あるいは出力回転量などの駆動量をカウントし、このカウント値に基づいてプラテンローラー5の回転量を取得し、記録紙Pの搬送量を制御する。また、記録紙Pへの印刷動作においては、制御部11は、記録紙Pの搬送制御と共にヘッドドライバーを介してサーマルヘッド4を駆動して、ホスト装置12側から供給された印刷データに従い、記録紙Pの表面に印刷ドットの集合体である印刷イメージを形成する。更に、制御部11は、モータードライバーを介してカッターモーター8aを駆動制御して、オートカッター8による記録紙Pの切断動作を行う。
【0028】
制御部11は、記録紙搬送機構3による記録紙Pの搬送中に紙検出器9の受光素子の出力変化を監視しており、搬送経路A上の検出位置CをブラックマークBMが通過した場合に、このことを検出する。そして、ブラックマークBMの通過検出のタイミングと、上述した搬送モーター5aの駆動ステップ数あるいは回転量のカウント値に基づき、記録紙Pの搬送位置を取得する。これにより、記録紙Pの所望の部位を印刷位置Bに位置決めすることができる。
【0029】
制御部11は、印刷時の記録紙Pの搬送動作における記録紙Pとプラテンローラー5との滑り量L(図4参照)を算出する処理を行う滑り量自動算出部13(滑り量自動算出手段)を備えている。滑り量自動算出部13は、紙検出器9の検出出力に基づいて各ブラックマークBMの通過を検出したタイミングから、搬送モーター5aの駆動ステップ数あるいは出力回転量の積算を開始し、次のブラックマークBMの通過が検出されたタイミングまでの積算値を求める。そして、この積算値と、滑りが全く生じないと仮定した場合の単位ステップ数あるいは単位回転量あたりの記録紙Pの搬送量(単位搬送量)とを乗じた値(実際の搬送量)を算出する。この値からブラックマークBMの配列ピッチTを減算した値が滑り量Lである。滑り量自動算出部13は、記憶部10に予め記憶させておいた配列ピッチTの値を読み出すことにより、これらの2つのブラックマークBM間にある印刷領域P1への印刷を行ったときの滑り量Lを算出する。
【0030】
なお、搬送モーター5aの駆動量の代わりにプラテンローラー5の回転量をロータリーエンコーダーなどで直接取得して、滑り量Lを算出してもよい。また、予め記憶させておいた配列ピッチTの値の代わりに、印刷データで指示された搬送量の目標値(搬送モーター5aの駆動量の設定値など)を、実際の駆動量の積算値やこの積算値から算出した実際の搬送量と比較して、滑り量Lを算出することも可能である。
【0031】
また、制御部11は、直前に算出した滑り量Lに基づき、印刷データに基づいて各印刷領域P1への印刷を行う際の記録紙Pの搬送量を補正する処理を行う搬送量自動補正部14(搬送量自動補正手段)を備えている。滑りが発生する場合には、各印刷領域P1への印刷を行う際に印刷データで指示されたとおりの搬送制御を行うと、滑り量Lの分だけ搬送量が不足してしまう。そこで、本実施形態では、このことを考慮して、搬送量自動補正部14が、各印刷領域P1への印刷データにおいて設定されている記録紙Pの搬送量を、直近に算出された滑り量Lの分だけ増大させるように、印刷時の処理内容を変更する。これにより、印刷を実行したときに、搬送量の増大量(補正量)と滑り量Lとを相殺させ、結果的に、元の印刷データで指示された搬送量と、実際の搬送量との誤差を解消させるようにしている。以下、搬送量自動補正部14により実行させるための各種の補正方法について説明する。
【0032】
(滑り量に応じた寸法の非印刷領域の挿入による搬送量の補正方法)
図4は搬送量の補正方法を示す説明図であり、図4(a)は非印刷領域を一括して挿入する補正方法の説明図、図4(b)は非印刷領域を分割して挿入する補正方法の説明図である。この補正方法を実行するにあたって、まず、前提として、各印刷領域P1への印刷を行う毎に、滑り量自動算出部13によって滑り量Lを算出し、算出した値を、記憶部10に記憶保持させる処理を行うものとしている。記憶させた滑り量Lは、次の印刷によって新たな滑り量Lが算出されるごとに更新される。
【0033】
(非印刷領域を一括挿入する補正方法)
図4(a)に示すように、この補正方法では、印刷データで指示された内容に従って、印刷領域P1への元の印刷イメージDをイメージバッファに展開した後、搬送量自動補正部14が、この印刷イメージDの後端に、直前の印刷において算出された滑り量L(記憶部10から読み出した滑り量L)と同一長さの非印刷領域dを挿入する補正を行う。そして、補正後の印刷イメージD1を印刷領域P1の先頭から印刷するように、サーマルプリンター1の各部を制御する。
【0034】
このようにすると、印刷領域P1への印刷の開始から印刷の終了までの記録紙Pの搬送量は、元の印刷データで指示された搬送量に滑り量Lを加えた長さとなる。しかしながら、印刷を実行したときに実際に搬送される記録紙Pの長さは、設定された搬送量よりも滑り量Lの分だけ短くなり、結果として、元の印刷データで指示されたとおりの寸法だけ記録紙Pを搬送することができる。このため、印刷終了時までに滑りによる搬送誤差を全て解消することができ、そのまま次の印刷を開始することができる。
【0035】
ここで、図4(a)の例では、非印刷領域dの挿入位置を印刷イメージDの後端に設定しているが、他の位置に挿入することもできる。例えば、印刷イメージDの後端にフッターが配置されている場合には、このフッターの直前に非印刷領域dを挿入してもよい。このようにすると、滑りに起因するフッターの印刷位置のずれを解消できる。あるいは、印刷イメージの前端にヘッダーがあり、その後に本文や画像が配置されている場合には、ヘッダーと本文や画像との間に非印刷領域dを挿入することも考えられる。これ以外にも、予め設定した各種の位置に、非印刷領域dを一括して挿入するように設定することが可能である。また、後述するように記録紙Pとしてラベル紙を用いる場合には、ラベルとラベルの間の台紙の位置に挿入してもよい。
【0036】
(非印刷領域を分割挿入する補正方法)
図4(b)に示す補正方法では、印刷データで指示された内容に従って、印刷領域P1への元の印刷イメージDをイメージバッファに展開した後、搬送量自動補正部14が、この印刷イメージDを、先頭から後端に向かって所定の分割ピッチで分割する。これにより、元の印刷イメージDは、同一長さの多数の分割領域ΔDに分割される。続いて、搬送量自動補正部14は、各分割領域ΔD内に印刷ドット(印刷要素)が配置されているか否かを判別し、印刷ドットが配置されていない空白の分割領域ΔDである空白領域ΔDaを検出する。そして、検出された空白領域ΔDaに非印刷領域dを挿入する。例えば、元の印刷イメージDが文書である場合には、行ピッチ単位で印刷イメージDを分割して、空白行に非印刷領域dを挿入する。また、行方向の文字と文字の間の空白領域でもよい。
【0037】
図4(b)では、空白領域ΔDaが多数検出されており、これらの全ての空白領域ΔDaに、非印刷領域dを分割したものを分散させて挿入している。搬送量自動補正部14は、各空白領域ΔDaへの非印刷領域dの挿入を、以下のような方法で行う。まず、滑り量Lを分割領域ΔDの数nで除した値である単位挿入量L/nを算出する。次に、印刷領域P1の先頭から順に、各分割領域ΔDが空白領域ΔDaであるか否かの判別を行う。先頭の分割領域ΔDが空白領域ΔDaであった場合には、この空白領域ΔDaに単位挿入量L/nの長さ分の非印刷領域dを挿入する。これにより、この空白領域ΔDaの長さが単位挿入量L/nだけ延びると共に、その後方の分割領域ΔDが単位挿入量L/n挿入量だけ後方にずらされる。
【0038】
先頭の分割領域ΔDが空白領域ΔDaでなかった場合には、この分割領域ΔDを印刷データで指示されたとおりに印刷するものとし、次の分割領域ΔDの判別に進む。そして、空白領域ΔDaが現れるまで判別を続け、空白領域ΔDaでない分割領域ΔDはそのままとする。空白領域ΔDaが現れたときには、その直前における空白領域ΔDaでない分割領域ΔDの連続数に単位挿入量L/nを乗じた長さを算出し、この値を単位挿入量L/nに加算した長さの非印刷領域dを挿入する。
【0039】
空白領域ΔDaの直後の分割領域ΔDが、続けて空白領域ΔDaであった場合には、当該連続した空白領域ΔDaには、単位挿入量L/nの長さ分の非印刷領域dを挿入する。一方、空白領域ΔDaの直後に分割領域ΔDが1つもしくは連続して所定数配置され、その後が空白領域ΔDaであった場合には、上述したように、当該空白領域ΔDaの直前における空白領域ΔDaでない分割領域ΔDの連続数に単位挿入量L/nを乗じた長さを算出し、この値を単位挿入量L/nに加算した長さの非印刷領域dを挿入する。
【0040】
つまり、この挿入方法は、空白領域ΔDaが現れたら原則として単位挿入量L/nの非印刷領域dを挿入するものとし、但し、空白領域ΔDaが現れない場合には、空白領域ΔDaが現れるまで非印刷領域dの挿入量を単位挿入量L/nずつ累積して空白領域ΔDaが現れるまで持ち越し、空白領域ΔDaが現れたら累積分を単位挿入量L/nに加算してまとめて挿入するものである。このようにすると、おおむね、印刷領域P1の先頭から後端に向かって非印刷領域dの累積挿入量が一定の増加率で増加してゆくことになる。従って、印刷ドットの集合体には影響を与えることなく、印刷イメージ中に非印刷領域dを適宜分散して挿入することができる。従って、印刷イメージを全体として滑り量Lの長さ分だけ拡大することができ、搬送誤差を解消できる。また、印刷イメージ中に白スジなどが形成されることがなく、印刷品質の低下を抑制できる。更に、分割数を多くすれば、非印刷領域dを細かく分散させて挿入できるため、印刷結果への影響が少なく見映えがよい。なお、空白領域ΔDaの一部のみに非印刷領域dを挿入するように設定してもよい。
【0041】
(滑り量に応じて印刷要素の展開位置を座標変換する搬送量の補正方法)
図5は別の搬送量の補正方法を示す説明図である。この補正方法においても、補正に用いる滑り量Lを、各印刷領域P1への印刷を行う毎に更新することを前提としている。また、この補正方法では、印刷データに基づいて印刷イメージをイメージバッファに展開するにあたって、文字、画像などの印刷オブジェクト単位で印刷の起点となる座標が設定されており、この座標に従って、各印刷オブジェクトを印刷領域P1上に配置して印刷イメージを展開することを前提としている。このように、イメージバッファを座標により規定される1枚のページとして構成し、印刷オブジェクトの座標を指定して配置する展開モードをページモードという。これに対し、上述の図4のように行単位で印刷イメージを展開するモードを通常モードという。
【0042】
図5(a)は元の印刷データどおりに印刷イメージDを展開した状態の説明図、図5(b)は補正を行った印刷イメージD1を展開した状態の説明図である。図5(a)に示すように、元の印刷イメージDを構成する印刷オブジェクトE(E1、E2・・・En)は、印刷データで指示された展開座標(x1、y1)、(x2、y2)・・・(xn、yn)に配置されている。しかしながら、この印刷イメージDに従って印刷を行うと、実際には全体として滑り量Lの長さ分だけ印刷結果が縮小される。このとき、各印刷オブジェクトEの実際の印刷座標は、滑りに起因する記録紙搬送方向への印刷結果の縮小率に従って座標変換された場所に移動する。記録紙搬送方向の印刷結果の縮小率は、印刷領域P1の配列ピッチTおよび滑り量に基づき、(T−L)/Tとして求められる。すなわち、実際の各印刷オブジェクトEの印刷座標は、(x1、y1×(T−L)/T)、(x2、y2×(T−L)/T)・・・(xn、yn×(T−L)/T)となる。
【0043】
そこで、搬送量自動補正部14は、滑りによって印刷イメージが縮小されたときに、結果として元の展開座標(x1、y1)、(x2、y2)・・・(xn、yn)と一致するように、各印刷オブジェクトEの展開座標を補正する。このため、例えば、図5(b)に示すように、補正後の展開座標におけるy座標(記録紙搬送方向の座標)を、縮小率の逆数倍する補正を行う。補正後の展開座標は、(x1、y1×T/(T−L))、(x2、y2×T/(T−L))・・・(xn、yn×T/(T−L))となる。このようにすると、印刷結果は、各印刷オブジェクトEが、それぞれ、滑りによって印刷データで指示されたとおりの位置に印刷されたものとなる。従って、結果的に、元の印刷イメージどおりの印刷を行うことができる。よって、滑りが発生していても精度良く印刷を行うことができる。
【0044】
以上のように、上記の各補正方法によれば、直前の印刷における滑り量L(搬送距離の不足量)に基づき、記録紙Pの搬送量を補正した印刷処理を行うことができるため、記録紙搬送機構3におけるプラテンローラー5の磨耗等の状態変化を迅速にフィードバックすることができ、常に最適な滑り補正を行うことができる。よって、記録紙Pの実際の搬送量と、印刷データにおいて指示された搬送量とのずれの発生を抑制でき、印刷品質の低下を効果的に抑制できる。また、ユーザーが手動で補正を行う必要がないため、ユーザーに負担を与えずに高い印刷品質を維持できる。特に、バーコードなどの高い精度が要求される印刷についても高い印刷品質を維持でき、バーコードの読み取り品質の低下を抑制できる。
【0045】
また、上記の各補正方法によれば、搬送モーター5aによる搬送量の制御ピッチとは無関係に各印刷要素の印刷位置を調整できる。従って、滑りによる印刷位置のずれを精度良く解消でき、印刷品質の低下を抑制できる。
【0046】
(改変例)
(1)上記各補正方法は、記録紙Pとして長尺の連続紙を用いるものであったが、本発明は、他の記録媒体にも適用することができる。例えば、長尺状の台紙の上に感熱紙のラベルを一定ピッチで貼り付けたラベル紙の台紙の裏面に各ラベルの位置基準となるブラックマークBMが付されたものに対しても、同様の搬送量の補正を行うことが可能である。また、記録紙Pとして、長尺の連続紙でなく、所定長さの定型紙を用いることも可能である。この場合には、1枚の定型紙に印刷する毎に滑り量Lを取得し、次の定型紙への印刷時に搬送量の補正を行う。これにより、各定型紙への印刷品質の低下を抑制できる。
【0047】
(2)記録紙Pとしてラベル紙を用いる場合には、紙検出器9として、反射型フォトセンサーでなく透過型フォトセンサーを用いることが可能である。この場合には、ラベルの端部を検出して搬送位置を取得し、これによって滑り量Lを取得できるため、ブラックマークBMを設ける必要がない。
【0048】
(3)上記実施形態はサーマルプリンター1に本発明を適用したものであったが、インクジェット式の印刷ヘッドを用いるプリンターにも適用することができる。この場合には、搬送経路Aの所定位置において記録紙Pを挟みこんで搬送する搬送ローラー対の駆動ローラーの駆動量に基づいて滑り量Lを取得し、搬送量の補正を行うことができる。
【符号の説明】
【0049】
1…サーマルプリンター(印刷装置)、2…ロール紙収容部、3…記録紙搬送機構、4…サーマルヘッド(印刷ヘッド)、5…プラテンローラー(搬送ローラー)、5a…搬送モーター、6…プリンターケース、7…記録紙排出口、8…オートカッター、8a…カッターモーター、9…紙検出器、10…記憶部、11…制御部、12…ホスト装置、13…滑り量自動算出部(滑り量自動算出手段)、14…搬送量自動補正部(搬送量自動補正手段)、A…搬送経路、B…印刷位置、BM…ブラックマーク(マーク)、C…検出位置、D…印刷イメージ、D1…印刷イメージ、d…非印刷領域、ΔD…分割領域、ΔDa…空白領域、E…印刷オブジェクト、L…滑り量、P…記録紙、P1…印刷領域、T…配列ピッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ローラーの回転によって記録紙を搬送しながら、印刷ヘッドにより当該記録紙への印刷を行う印刷装置の制御方法であって、
前記印刷装置は、
前記記録紙上の印刷領域への印刷を行うときには、当該印刷領域の搬送時における前記搬送ローラーと前記記録紙との滑り量を取得する処理を行い、
搬送方向の下流側に位置する次の印刷領域への印刷を行うときには、当該次の印刷領域の搬送時における前記搬送ローラーの駆動量を直近に取得した前記滑り量に応じて補正する処理を行うことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記次の印刷領域への印刷を行うときには、
前記滑り量に応じた長さの非印刷領域を、前記次の印刷領域に印刷する印刷イメージの所定位置に一括してもしくは分散させて挿入する処理を行うことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記次の印刷領域に、印刷データで指示された印刷イメージを展開して配置し、
当該次の印刷領域を前記記録紙の搬送方向に所定ピッチで分割した各分割領域の中から、前記印刷イメージを構成する印刷ドットが配置されていない空白領域を検出し、
当該空白領域の少なくとも一部に、前記滑り量に応じた長さの非印刷領域を一括してもしくは分散させて挿入することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記滑り量に基づき、前記次の印刷領域に対する前記非印刷領域の挿入量を決定すると共に、当該挿入量を、前記次の印刷領域における前記分割領域の数によって除した値である単位挿入量を算出し、
前記次の印刷領域への印刷を行うときには、
当該印刷領域の先頭から順に、各分割領域が前記空白領域であるか否かを判定し、前記空白領域であると判定された分割領域に前記非印刷領域を挿入する補正を行い、
各空白領域への前記非印刷領域の挿入量を、
当該空白領域が前記印刷領域の先頭に位置するか、もしくは、当該空白領域の直前に連続して前記空白領域が配置されているときには、前記単位挿入量に設定し、
当該空白領域の直前に連続して前記空白領域が配置されていないときには、当該空白領域の直前における前記空白領域でない前記分割領域の連続数に前記単位挿入量を乗じた長さを、前記単位挿入量に加算した長さに設定することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項5】
請求項1において、
前記次の印刷領域に、印刷データで指示された印刷イメージを、座標を用いて展開するにあたって、
当該印刷イメージを構成する各印刷オブジェクトの前記印刷領域における展開位置の座標を、少なくとも前記滑り量に基づいて座標変換することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかの項において、
前記記録紙は、前記印刷領域が一定のピッチで一列に配列された長尺の連続紙、もしくは、長尺の台紙に前記印刷領域を規定するラベルが一定のピッチで一列に貼り付けられたラベル紙であり、
各印刷領域への印刷を行うときには、
前記記録紙を搬送しながら、前記搬送経路上の所定位置において、印刷対象の印刷領域における基準位置の通過を検出し、当該通過検出タイミングから、次の印刷領域における前記基準位置の通過検出タイミングまでの期間における前記搬送ローラーの回転量もしくはその駆動源の駆動量を取得し、
当該回転量あるいは当該駆動量と、予め記憶しておいた前記印刷領域の配列ピッチとに基づき、前記滑り量を算出することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記基準位置は、各印刷領域に対応して前記記録紙に付されたマーク、もしくは、前記ラベルの端部であることを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項8】
印刷ヘッドと、
当該印刷ヘッドによる印刷位置を経由する搬送経路に沿って記録紙を搬送するための搬送ローラーを備える記録紙搬送機構と、
前記記録紙上の印刷領域の搬送時において発生した前記搬送ローラーと前記記録紙との滑り量を算出する処理を行う滑り量自動算出手段と、
直近に算出した前記滑り量に応じて、前記記録紙上の印刷領域の搬送時における前記搬送ローラーの駆動量を補正する処理を行う搬送量自動補正手段とを有し、
請求項1ないし7のいずれかの印刷装置の制御方法により、前記記録紙上の印刷領域の搬送を行うことを特徴とする印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−116133(P2012−116133A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269071(P2010−269071)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】