説明

印刷装置および印刷システム

【課題】追加フォントがある場合でも、フォントリストにブランクが多くならないようにすること。
【解決手段】代表文字コードに対応する文字情報に占めるブランクの割合が1/3以上のシンボルセットが一つでもあるか否かを判定する(S1130)。ブランクの割合が1/3以上のシンボルセットが無いと判定すると(S1130NO)、代表文字コードでフォントリストデータを作成する(S1120・S1125)。ブランクの割合が1/3以上のシンボルセットが一つでもあると判定すると(S1130YES)、ブランクの割合が1/3未満にしつつ共通の文字コードを選択できる場合は(S1150NO)、その文字コードで作成する(S1160・S1125)。さもなくば、代表文字コード又はシンボルセット毎に選択した文字コード数で作成する(S1170〜S2000・S1125)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
印刷装置と、この印刷装置を含む印刷システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置が文字を印刷するためには、文字を特定する情報と、各文字について書体(以下「フォント」と言う。)を特定する情報とが少なくとも必要である。そして印刷装置は、その二つの情報を含んだ印刷指示と、内部に記憶している情報とに基づいて印刷を実行する。内部に記憶している情報とは、複数の文字コードと、その複数の文字コードそれぞれについて対応付けられた文字またはブランクとからなるシンボルセットが、フォント毎に分けられたものである。つまり印刷装置は、印刷指示とフォント毎のシンボルセットとを突き合わせて、印刷すべき文字を決めている。また、印刷装置に記憶されたフォントをユーザが視認するために、シンボルセットを構成する文字またはブランクの一部を抽出して、各フォントを所定の文字群によってサンプル表記したフォントリストを印刷する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−56024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術の課題は、追加フォントがある場合、フォントリストに多くのブランクが発生しやすいことである。追加フォントとは、印刷装置が製品出荷時からデフォルトで記憶しているフォント(以下「デフォルトフォント」と言う)ではなく、ユーザによって新たに追加されたフォントのことである。
【0005】
通常、フォントリストは、同じ文字をフォント間で見比べることができるように、各フォントに共通する文字群をサンプル表記するように作成されることが多い。一方で、各フォントが印刷できる文字はフォント間で同じとは限らず、印刷できる文字はフォント毎に定められている。そうするとフォントリストを印刷しても、その共通の文字群に属する文字全てが各フォントについて印刷されるとは限らず、印刷できないフォントと文字との組み合わせがあると、その文字が印刷されるべき部位はブランクになってしまう。ただし、デフォルトフォントのみの場合、ブランクが多くならないように、フォントリストに使用する共通の文字群が予め設定されていることが多い。(このような共通の文字群に対応する文字コード群を以下「代表文字コード」と言う。)
しかし、その予め定められた共通の文字群を用いると、追加フォントについてブランクがどの位発生するかは場合によりけりで、多く発生することも考えられる。本発明はこの課題に鑑み、追加フォントがある場合でも、フォントリストにブランクが多くならないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するための請求項1の発明は、複数種類のフォントで文字を印刷可能にするために、複数種類のフォントそれぞれについて、複数の文字コードそれぞれに対応付けられた文字情報としての文字画像またはブランクからなるシンボルセットを予め記憶すると共に、新たなフォントについてのシンボルセットを追加記憶可能な記憶手段と、記憶手段によって記憶されたシンボルセットに含まれる文字情報から、シンボルセット毎に所定数の文字情報を抽出して、その抽出した文字情報を提示するためのフォントリストデータを作成する作成手段と、作成手段によって作成されたフォントリストデータに基づいたフォントリストを提示するための処理を行う提示手段とを備え、作成手段は、複数の文字コードの一部として予め定められた所定数と同数の文字コードである代表文字コードに対応する文字情報に占めるブランクが閾値以上のシンボルセットがあるか無いかを判定するブランク判定手段と、ブランクが閾値以上のシンボルセットがあるとブランク判定手段によって判定されると、対応する文字情報に占めるブランクが閾値未満となる所定数と同数の文字コードを、代表文字コードの代わりとして複数の文字コードの中からシンボルセット毎に選択する選択手段とを備えると共に、選択手段によって文字コードが選択されると、その文字コードに対応する文字情報を提示するためのフォントリストデータを作成する一方で、ブランクが閾値以上のシンボルセットが無いとブランク判定手段によって判定されると、シンボルセットそれぞれにおいて代表文字コードに対応する文字情報を提示するためのフォントリストデータを作成することを特徴とする印刷装置である。
【0007】
この発明によれば、追加フォントがある場合でも、ブランクを少なくすることができる。なぜなら、代表文字コードを用いるとブランクが多くなる場合は、代表文字コードの代わりとして、ブランクが少なくなるような文字コードを選択すると共にフォントリストデータ作成に用いるからである。
【0008】
なお「ブランクが閾値以上」とは例えば、ブランクの数が閾値以上のことや、代表文字コードに対応する文字情報に占めるブランクの割合を示す値が閾値以上のことである。
ところで、シンボルセット毎に異なる文字コードが選択された上で、フォントリストデータが作成されると、フォントリストが見比べにくくなる場合がある。そこで、次のようにすると良い。
【0009】
請求項2の発明は、選択手段は、フォントリストとして提示されるシンボルセット全てについて共通に選択される文字コードであって、ブランクが閾値未満になる所定数と同数の文字コードである共通文字コードが選択可能か否かを判定する選択可能判定手段を備えると共に、共通文字コードが選択可能であると選択可能判定手段によって判定されると、共通文字コードを選択し、共通文字コードが選択不可能であると選択可能判定手段によって判定されると、代表文字コードが選択された場合にブランクが閾値未満となるシンボルセットについては代表文字コードを選択すると共に、代表文字コードが選択された場合にブランクが閾値以上となるシンボルセットについては、ブランクに対応している文字コードよりも、文字画像に対応している文字コードを優先的に選択することを特徴とする請求項1の印刷装置である。
【0010】
この発明によれば、代表文字コードによるとブランクが多くなる場合に、ブランクが少なくなるような共通の文字群によるフォントリストデータが作成できるときは、そのフォントリストデータを作成するので見比べやすくなる。また、そのフォントリストデータが作成できないときも、代表文字コードが選択されることでブランクが閾値未満となるシンボルセットについては代表文字コードを用いるので、少なくともそのシンボルセットに対応するフォント同士については見比べやすい。
【0011】
なお「文字画像に対応している文字コードを優先的に選択する」というのは具体的には、文字画像に対応する文字コードが所定数以下であれば、文字画像に対応する文字コード全てが選択されることになるし、さもなくば、文字画像に対応する文字コードの中から所定数の文字コードが選択されることになる。
【0012】
ところで請求項2の発明は、具体的には次のようにすると良い。請求項3の発明は、選択可能判定手段は、文字コードそれぞれに対応するのが文字画像なのかブランクなのか否かをシンボルセット毎に調べることで、共通文字コードが選択可能か否かを判定することを特徴とする請求項2の印刷装置である。
【0013】
ところで、追加記憶されたフォントが無ければ、代表文字コードによってフォントリストデータを作成すれば、ブランクは閾値未満になるように代表文字コードが定められている場合が多く、その場合はブランク判定手段による判定は不要である。そこで、次のようにすると良い。
【0014】
請求項4の発明は、ブランク判定手段は、記憶手段によって追加記憶されたシンボルセットの有無を判定する有無判定手段を備えると共に、追加記憶されたシンボルセットが無いと有無判定手段によって判定されると、ブランクが閾値以上のシンボルセットが無いと判定することを特徴とする請求項1〜請求項3何れかの印刷装置である。
【0015】
この発明によれば、追加フォントが無ければ、直ちに代表文字コードによってフォントリストデータを作成できる。
ところで、代表文字コードによらずフォントリストデータが作成される場合、ユーザにとって視認しにくい文字によって作成されることもある。そこで次のようにすると良い。
【0016】
請求項5の発明は、選択手段は、文字画像が対応付けられた文字コードの数が所定数よりも多いシンボルセットそれぞれについて、その文字画像が対応付けられた文字コードの中から所定数と同数の文字コードを抽出するための情報をユーザからの指示に応じて取得する取得手段を備えると共に、対応する文字情報に占めるブランクが閾値未満となる所定数と同数の文字コードとして、取得手段に取得された情報によって特定される文字コードを選択することを特徴とする請求項1の印刷装置である。この発明によれば、ユーザが視認しやすい文字を指定できる。
【0017】
上記何れかの発明は、具体的には次のようにすると良い。請求項6の発明は、作成手段は、フォントリストデータの作成のための格納領域を備え、フォントリストデータのデータ構造は、所定数と同数の格納領域を各シンボルセットに割り当てていると共に、その格納領域それぞれに一つずつ文字情報を格納できるようになっており、作成手段は、格納領域それぞれに対して一つずつ文字コードの割り付けをして、その後、シンボルセットにおいてその割り付けられた文字コードに対応しているのが文字画像ならその文字画像をその文字コードが割り付けられた格納領域に格納する一方で、ブランクならその格納領域をブランクとすることを、シンボルセット毎に実行することでフォントリストデータを作成するようになっていると共に、閾値未満であるとブランク判定手段によって判定されると、シンボルセット全てについて代表文字コードを割り付けに用いてフォントリストデータを作成する一方で、閾値以上であるとブランク判定手段によって判定されると、選択手段によって選択された文字コードを割り付けに用いてフォントリストデータを作成することを特徴とする請求項1〜請求項5何れかの印刷装置である。
【0018】
請求項7の発明は、印刷装置、及びこの印刷装置と通信可能な表示装置を備える印刷システムであって、印刷装置は、複数種類のフォントで文字を印刷可能にするために、複数種類のフォントそれぞれについて、複数の文字コードそれぞれに対応付けられた文字情報としての文字画像またはブランクからなるシンボルセットを予め記憶すると共に、新たなフォントについてのシンボルセットを追加記憶可能な記憶手段と、記憶手段によって記憶されたシンボルセットに含まれる文字情報から、シンボルセット毎に所定数の文字情報を抽出して、その抽出した文字情報を提示するためのフォントリストデータを作成する作成手段と、作成手段によって作成されたフォントリストデータに基づいたフォントリストデータを表示装置に送信する提示手段と、を備え、表示装置は、提示手段によって送信されたフォントリストデータを取得し、その取得したフォントリストデータに基づいてリストデータを表示する表示手段を備え、作成手段は、複数の文字コードの一部として予め定められた所定数と同数の文字コードである代表文字コードに対応する文字情報に占めるブランクが閾値以上のシンボルセットがあるか無いかを判定するブランク判定手段と、ブランクが閾値以上のシンボルセットがあるとブランク判定手段によって判定されると、対応する文字情報に占めるブランクが閾値未満となる所定数と同数の文字コードを、代表文字コードの代わりとして複数の文字コードの中からシンボルセット毎に選択する選択手段とを備えると共に、選択手段によって文字コードが選択されると、その文字コードに対応する文字情報を提示するためのフォントリストデータを作成する一方で、ブランクが閾値以上のシンボルセットが無いとブランク判定手段によって判定されると、シンボルセットそれぞれにおいて代表文字コードに対応する文字情報を提示するためのフォントリストデータを作成することを特徴とする印刷システムである。
【0019】
この発明によれば、フォントリストデータを印刷しなくても視認できる。表示装置による表示の形態は、画面表示でも虚像表示でもユーザが視認できれば何でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】印刷システムのブロック構成図。
【図2】PC−853のシンボルセットを示す図。
【図3】ISO14のシンボルセットを示す図。
【図4】フォントリストを示す図。
【図5】印刷処理を示すフローチャート。
【図6】作成処理を示すフローチャート。
【図7】手動選択処理を示すフローチャート。
【図8】表示画面に表示される画面を示す図。
【図9】表示処理を示すラダーチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施例を説明する。図1は、印刷システム1を示すブロック構成図である。図に示すように、印刷システム1は、印刷装置5、及び印刷装置5と通信可能なPC(パーソナルコンピュータ)100から成る。印刷装置5は、制御部10・記憶部20・通信I/F30・印刷部40・操作パネル50を備える。制御部10は、印刷装置5の他の構成要素を統括制御するものであり、具体的にはCPU・ROM・RAM等から構成される。記憶部20は、シンボルセット(図2・図3参照)を記憶している。記憶部20は、デフォルトフォント([発明が解決しようとする課題]参照)に対応するシンボルセットと、追加フォント([発明が解決しようとする課題]参照)に対応するシンボルセットとを区別できるように記憶している。
【0022】
操作パネル50は、ユーザインタフェースであり、ユーザが操作情報を入力するためのボタンと、種々の情報を表示するための表示画面とから成る。そして、ボタンを通じて入力された情報は、制御部10に伝達される。また、表示される画面は、制御部10の制御に基づく。
【0023】
印刷部40は、印刷を実行するために必要なハードウェア資源(例えば、原稿の自動搬送機(ADF)や、トナーを紙に転写するためのドラム等)のことであり、制御部10の制御に基づいて動作する。通信I/F30は、PC100と通信するためのインタフェースである。
【0024】
一方、PC100は、制御部110・ディスプレイ120・通信I/F130・入力装置140を備える。制御部110は、PC100の他の構成要素を統括制御する。ディスプレイ120は、制御部110の制御に基づいて、画面を表示する。通信I/F130は、印刷装置5と通信するためのものである。入力装置140は、具体的には、キーボードやマウス等であり、ユーザが操作情報を入力するためのものである。
【0025】
図2及び図3は、記憶部20に記憶されたシンボルセットを示した図である。図2がPC−853、図3がISO14という名前のシンボルセットに対応するものである。両フォントは、デフォルトフォントである。フォントにはFontNo(フォントナンバー)が割り振られている。FontNoには、1つまたは複数のシンボルセットが対応付けられている。図2に示すようにPC−853のFontNoはI034、図3に示すようにISO14のFontNoはI035である。各シンボルセットは、256個の文字情報で構成されている。そして、図に示すように、各文字情報は、文字コードと呼ばれる0〜255の10進数の数に対応付けられている。(以下では、文字コードを<>内に表記する。例えば文字コード0なら<0>と表記する。)また、文字情報とは、文字画像およびブランクの総称である。文字画像とは、文字(数字や符号、記号等を含むもの)を対応するフォントで示した画像のことである。
【0026】
例えば図2においては、<0>と<32>と<255>とに対応する文字情報はブランクであり、その他は文字画像が対応付けられている。また、図3においては、<0>〜<32>と<128>〜<255>とに対応する文字情報はブランクであり、その他は文字画像が対応付けられている。このようなシンボルセットは、図2及び図3に示されていない他の複数のフォントについても記憶部20によって記憶されている。そして、制御部10は、印刷部40に文字を印刷させる際に、[背景技術]で述べたようにしてシンボルセットを用いる。なお、制御部10は、図に示したようなシンボルセットを、印刷部40に印刷させることができるようになっている。
【0027】
図4は、フォントリストを示した図である。フォントリストとは、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、シンボルセットを構成する文字情報の一部を抽出して、各フォントを所定の文字群によってサンプル表記するものである。図4は、PC−853とISO14とが、<33>〜<55>に対応する23個の文字情報によってサンプル表記されている様子を示している。(実際には、図の「・」の部位に他のフォントについても表記される。)なお、この実施例では<33>〜<55>が代表文字コード([発明が解決しようとする課題]参照)である。
【0028】
このフォントリストは、フォントリストデータを基に印刷される。ここでフォントリストデータの作成について簡単に説明する。制御部10は、フォントリストデータの作成のための格納領域を備えている。そして、フォントリストデータのデータ構造は、23個の格納領域を各シンボルセットに割り当てていると共に、その格納領域それぞれに一つずつ文字情報を格納できるようになっている。
【0029】
その格納に先立ち、制御部10は、それら格納領域それぞれに対して一つずつ文字コードの割り付けをする。その後、シンボルセットにおいてその割り付けられた文字コードに対応しているのが文字画像なら、その文字画像をその文字コードが割り付けられた格納領域に格納する。その一方で、その割り付けられた文字コードに対応しているのがブランクなら、その格納領域をブランクとする。この動作を、シンボルセット毎に実行することでフォントリストデータを作成する。
【0030】
よって、フォントリストデータを作成するには、シンボルセット毎に23個の文字コードが定まっていなければならない。従来は、それら文字コードを、常に代表文字コードとしていた。それに対して本発明は、それら文字コードを定めるために、文字コードを改めて選択する場合がある点に特徴がある。次から説明するフローチャートと共に、その選択について具体的に説明していく。
【0031】
図5は、印刷処理を示すフローチャートである。この処理は、フォントリストを印刷するために、制御部10が主体となって実行する処理である。また、この処理は、操作パネル50を通じて処理の実行指示が入力されたことを契機に開始される。まず、作成処理を実行する(S1100)。
【0032】
図6は、作成処理を示すフローチャートである。作成処理は、フォントリストデータを作成するためのものである。まず、追加フォントに対応するシンボルセットが記憶部20に記憶されているか否かを判定する(S1110)。追加フォントに対応するシンボルセットが記憶されていないと判定すると(S1110NO)、全シンボルセットについて、代表文字コードを選択する(S1120)。そして、選択した文字コードを用いて先述した手順でフォントリストデータを作成して(S1125)、作成処理を終える。
【0033】
なお、このようにしてフォントリストデータによってフォントリストを印刷すれば、フォントリストにおけるブランクが少なくなる(具体的にはブランクが1/3未満になる)ように、代表文字コードは定められている。(図4に示すように、先に例示した二つのフォントの場合だと、ブランクは無い。)
一方、追加フォントに対応するシンボルセットが記憶部20に記憶されていると判定すると(S1110YES)、代表文字コードに対応する文字情報に占めるブランクの割合が1/3(つまりブランクの数が8個)以上のシンボルセットが一つでもあるか否かを判定する(S1130)。先述したように、デフォルトフォントに対応するシンボルセットには、ブランクの割合が1/3以上になるものは無い。よって、実際には追加フォントに対応するシンボルセットのみが判定対象である。そして、ブランクの割合が1/3以上のシンボルセットが無いと判定すると(S1130NO)、S1120に進む。
【0034】
一方、ブランクの割合が1/3以上のシンボルセットが一つでもあると判定すると(S1130YES)、ブランクが少ない文字コードを23個(=代表文字コードに属する文字コード数)抽出する(S1140)。具体的には、全てのシンボルセットのうち、文字コード一つずつについて、ブランクを対応付けているシンボルセットが何個あるかを調べる。そして、ブランクを対応付けているシンボルセットが少ない文字コード上位23個を抽出する。
【0035】
そして、その抽出した23個の文字コードに対応する文字情報に占めるブランクの割合をシンボルセット毎に調べて、ブランクの割合が1/3以上のシンボルセットが一つでもあるか否かを判定する(S1150)。ブランクの割合が1/3以上のシンボルセットが無いと判定すると(S1150NO)、その抽出した23個の文字コードを選択し(S1160)、S1125に進む。
【0036】
一方、ブランクの割合が1/3以上のシンボルセットがあると判定すると(S1150YES)、文字コードを手動選択するか否かについて操作パネル50を通じてユーザに問いかけると共に、返答を操作パネル50を通じて取得する(S1170)。自動選択という返答だと(S1170NO)、代表文字コードを用いた場合にブランクの割合が1/3以上になるシンボルセットを対象にして、文字コードを選択し直す(S1180)。具体的には、対象のシンボルセット毎に、文字画像が割り当てられた文字コードを、番号が若い順に選択していく。文字画像が23個に満たないシンボルセットについては、ブランクが割り当てられた文字コードを番号が若い順に選択することで、その満たない分を補う。そして、デフォルトフォント、及び追加フォントの中で代表文字コードによってブランクの割合が1/3未満になるシンボルセットについては、代表文字コードを選択する(S1190)。そして、S1125に進んで、その後に作成処理を終える。
【0037】
一方、手動選択という返答だと(S1170YES)、手動選択処理を実行する(S2000)。図7に移る。図7は、手動選択処理を示すフローチャートである。この処理は、ユーザの意向を反映させて文字コードを選択するために、S1180の代わりとして実行する処理である。まず、代表文字コードによってブランクの割合が1/3以上になるシンボルセットのうち、選択の余地が無いシンボルセットについて、自動で文字コードを選択する(S2005)。選択の余地が無いシンボルセットとは、文字画像の数が代表文字コードに属する文字コード数(23個)以下のシンボルセットのことである。選択の具体的方法は、まず、文字画像に対応する文字コードを全て選択する。そして、その選択した文字コード数が23個ぴったりでなければ、不足分として更に、ブランクに対応する文字コードを番号が若い順に選択する。
【0038】
次に、選択画面(図8参照)を操作パネル50の表示画面に表示させる(S2010)。図8は、選択画面を概念的に示す図である。図8(a)は操作パネル50の表示画面が低解像度の場合、図8(b)は高解像度の場合である。図8(a)は、画面左半分にFontNo、画面右半分に文字コードを示す数字が示されているのを表している。一方、図8(b)は、画面左にFontNo、画面中央に文字コードを示す数字、画面右に現在表示されているFontNoと文字コードとによって特定される文字画像が表示されているのを表している。図8(b)の場合のみ文字画像を表示する理由は、低解像度だと、ユーザがフォントを正しく視認できるように文字画像を表示することが難しいからである。これら選択画面は、操作パネル50を通じて、文字コードに対応する数字をユーザが入力することを支援するためのものである。
【0039】
図7に戻る。次に、特定のFontNoの中で、アルファベット順(アルファベットが同じなら数字順)で最も早いものを選択画面に表示する(S2020)。特定のFontNoとは、代表文字コードに対応する文字情報に占めるブランクの割合が1/3以上のシンボルセットであって、文字画像の数が代表文字コードに属する文字コード数(23個)を超えるシンボルセットに対応するFontNoである。つまり、S1180を実行していたなら、文字コード選択の対象となっていたシンボルセットに対応するFontNoである。ただし、以下で説明するステップを実行することで既に文字コードが選択されたシンボルセット、及び上記選択の余地が無いシンボルセットは除く。
【0040】
次に、操作パネル50を通じて文字コードの入力を受け付けて、その文字コードを選択画面に表示する(S2030)。そして、現在表示されているFontNoと、入力された文字コードとによって特定される文字情報がブランクか否かを判定する(S2040)。ブランクと判定すると(S2040YES)、選択不可であることを操作パネル50を通じて警告して(S2050)、S2030に戻る。一方、文字画像であると判定すると(S2040NO)、入力された文字コードを選択し、高解像度パネルの場合は更に、その文字画像を選択画面に表示する(S2055)。そして、現在表示されているFontNoに対応するシンボルセットについて、選択された文字コード数が23個になったか否かを判定する(S2060)。23個未満と判定すると(S2060NO)S2030に戻る。
【0041】
一方、23個になったと判定すると(S2060YES)、そのシンボルセットについての選択を終える旨を操作パネル50の画面に表示させる(S2070)。そして、文字コードを未選択のシンボルセットがあるか否かを判定する(S2080)。未選択のものがあると判定すると(S2080YES)、S2020に戻る。一方、全て選択したと判定すると(S2080NO)、手動選択処理を終え、作成処理のS1190に進む。
【0042】
図5に戻る。作成処理を終えると、作成処理において作成したフォントリストデータに基づいて、印刷部40にフォントリストを印刷させて(S1200)、印刷処理を終える。
【0043】
なお、フォントリストを印刷する代わりに、ディスプレイに表示してもよい。図9は、表示処理を示すラダーチャートである。この処理は、フォントリストをPC100のディスプレイ120に表示させるためのものである。また、印刷装置5の制御部10と、PC100の制御部110とが主体となって実行する処理である。そして、この処理は、PC100の入力装置140を通じて実行指示が入力されたことを契機に開始される。
【0044】
まず、PC100の制御部110が通信I/F130を通じて、印刷装置5にフォントリストデータを要求する(S210)。その要求を通信I/F30を通じて受け取った印刷装置5の制御部10は、図6で説明した作成処理を実行してフォントリストデータを作成する(S1100)。ただし、作成処理(手動選択処理を含む)中の「操作パネル50」を「入力装置140」又は「ディスプレイ120」に適宜、読み替える必要がある。
【0045】
そして、制御部10は作成したフォントリストデータを通信I/F30を通じてPC100に送信する(S220)。フォントリストデータを通信I/F130を通じて受け取ったPC100の制御部110は、そのフォントリストデータに基づいて、ディスプレイ120にフォントリストを表示させて(S230)、表示処理を終える。ここで表示するのは、フォントリストデータの印刷プレビューに相当する。
【0046】
効果を述べる。印刷処理で印刷されるフォントリスト又は表示処理で表示されるフォントリストは、追加フォントがある場合でも、ブランクの割合が少なくなっている。また、ブランクの割合を1/3未満にしつつ、一定の条件下で可能な限り共通の文字で表示したり、ユーザに文字を選択させたりすることで、フォントリストを見やすくすることができる。
【0047】
また、追加フォントが無ければ従来通り、代表文字コードによって直ちにフォントリストデータを作成するので、制御部10が余分な処理をすることを避けている。また、表示処理によれば、印刷しなくてもフォントリストを見せることができるので便利である。
【0048】
実施例と特許請求の範囲との関係を述べる。作成処理が作成手段、手動選択処理が取得手段、S1110/S1130がブランク判定手段、S1110が有無判定手段、S1140〜S2000が選択手段、S1140/S1150が選択可能判定手段、S120/S220が提示手段、のソフトウェアに相当する。また、記憶部20が記憶手段のハードウェア資源に相当する。
【符号の説明】
【0049】
1…印刷システム、5…印刷装置、10、110…制御部、20…記憶部、30、130…通信I/F、40…印刷部、50…操作パネル、120…ディスプレイ、140…入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のフォントで文字を印刷可能にするために、前記複数種類のフォントそれぞれについて、複数の文字コードそれぞれに対応付けられた文字情報としての文字画像またはブランクからなるシンボルセットを予め記憶すると共に、新たなフォントについての前記シンボルセットを追加記憶可能な記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶されたシンボルセットに含まれる文字情報から、前記シンボルセット毎に所定数の文字情報を抽出して、その抽出した文字情報を提示するためのフォントリストデータを作成する作成手段と、
前記作成手段によって作成されたフォントリストデータに基づいたフォントリストを提示するための処理を行う提示手段とを備え、
前記作成手段は、
前記複数の文字コードの一部として予め定められた前記所定数と同数の文字コードである代表文字コードに対応する文字情報に占めるブランクが閾値以上のシンボルセットがあるか無いかを判定するブランク判定手段と、
前記ブランクが閾値以上のシンボルセットがあると前記ブランク判定手段によって判定されると、対応する文字情報に占めるブランクが前記閾値未満となる前記所定数と同数の文字コードを、前記代表文字コードの代わりとして前記複数の文字コードの中から前記シンボルセット毎に選択する選択手段とを備えると共に、
前記選択手段によって文字コードが選択されると、その文字コードに対応する文字情報を提示するためのフォントリストデータを作成する一方で、
前記ブランクが閾値以上のシンボルセットが無いと前記ブランク判定手段によって判定されると、前記シンボルセットそれぞれにおいて前記代表文字コードに対応する文字情報を提示するためのフォントリストデータを作成する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記選択手段は、
前記フォントリストとして提示されるシンボルセット全てについて共通に選択される文字コードであって、ブランクが前記閾値未満になる前記所定数と同数の文字コードである共通文字コードが選択可能か否かを判定する選択可能判定手段を備えると共に、
前記共通文字コードが選択可能であると前記選択可能判定手段によって判定されると、前記共通文字コードを選択し、
前記共通文字コードが選択不可能であると前記選択可能判定手段によって判定されると、前記代表文字コードが選択された場合にブランクが閾値未満となるシンボルセットについては前記代表文字コードを選択すると共に、前記代表文字コードが選択された場合にブランクが閾値以上となるシンボルセットについては、ブランクに対応している文字コードよりも、文字画像に対応している文字コードを優先的に選択する
ことを特徴とする請求項1の印刷装置。
【請求項3】
前記選択可能判定手段は、前記文字コードそれぞれに対応するのが文字画像なのかブランクなのか否かを前記シンボルセット毎に調べることで、前記共通文字コードが選択可能か否かを判定する
ことを特徴とする請求項2の印刷装置。
【請求項4】
前記ブランク判定手段は、
前記記憶手段によって追加記憶されたシンボルセットの有無を判定する有無判定手段を備えると共に、
前記追加記憶されたシンボルセットが無いと前記有無判定手段によって判定されると、前記ブランクが閾値以上のシンボルセットが無いと判定する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3何れかの印刷装置。
【請求項5】
前記選択手段は、
前記文字画像が対応付けられた文字コードの数が前記所定数よりも多いシンボルセットそれぞれについて、その文字画像が対応付けられた文字コードの中から前記所定数と同数の文字コードを抽出するための情報をユーザからの指示に応じて取得する取得手段を備えると共に、
前記対応する文字情報に占めるブランクが前記閾値未満となる前記所定数と同数の文字コードとして、前記取得手段に取得された情報によって特定される文字コードを選択する
ことを特徴とする請求項1の印刷装置。
【請求項6】
前記作成手段は、前記フォントリストデータの作成のための格納領域を備え、
前記フォントリストデータのデータ構造は、前記所定数と同数の前記格納領域を各シンボルセットに割り当てていると共に、その格納領域それぞれに一つずつ前記文字情報を格納できるようになっており、
前記作成手段は、
前記格納領域それぞれに対して一つずつ前記文字コードの割り付けをして、その後、前記シンボルセットにおいてその割り付けられた文字コードに対応しているのが文字画像ならその文字画像をその文字コードが割り付けられた格納領域に格納する一方で、ブランクならその格納領域をブランクとすることを、前記シンボルセット毎に実行することで前記フォントリストデータを作成するようになっていると共に、
前記閾値未満であると前記ブランク判定手段によって判定されると、前記シンボルセット全てについて前記代表文字コードを前記割り付けに用いて前記フォントリストデータを作成する一方で、
前記閾値以上であると前記ブランク判定手段によって判定されると、前記選択手段によって選択された文字コードを前記割り付けに用いて前記フォントリストデータを作成する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5何れかの印刷装置。
【請求項7】
印刷装置、及びこの印刷装置と通信可能な表示装置を備える印刷システムであって、
前記印刷装置は、
複数種類のフォントで文字を印刷可能にするために、前記複数種類のフォントそれぞれについて、複数の文字コードそれぞれに対応付けられた文字情報としての文字画像またはブランクからなるシンボルセットを予め記憶すると共に、新たなフォントについての前記シンボルセットを追加記憶可能な記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶されたシンボルセットに含まれる文字情報から、前記シンボルセット毎に所定数の文字情報を抽出して、その抽出した文字情報を提示するためのフォントリストデータを作成する作成手段と、
前記作成手段によって作成されたフォントリストデータに基づいたフォントリストデータを前記表示装置に送信する提示手段と、を備え、
前記表示装置は、
前記提示手段によって送信されたフォントリストデータを取得し、その取得したフォントリストデータに基づいてリストデータを表示する表示手段を備え、
前記作成手段は、
前記複数の文字コードの一部として予め定められた前記所定数と同数の文字コードである代表文字コードに対応する文字情報に占めるブランクが閾値以上のシンボルセットがあるか無いかを判定するブランク判定手段と、
前記ブランクが閾値以上のシンボルセットがあると前記ブランク判定手段によって判定されると、対応する文字情報に占めるブランクが前記閾値未満となる前記所定数と同数の文字コードを、前記代表文字コードの代わりとして前記複数の文字コードの中から前記シンボルセット毎に選択する選択手段とを備えると共に、
前記選択手段によって文字コードが選択されると、その文字コードに対応する文字情報を提示するためのフォントリストデータを作成する一方で、
前記ブランクが閾値以上のシンボルセットが無いと前記ブランク判定手段によって判定されると、前記シンボルセットそれぞれにおいて前記代表文字コードに対応する文字情報を提示するためのフォントリストデータを作成する
ことを特徴とする印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−253815(P2010−253815A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106912(P2009−106912)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】