説明

印刷装置

【課題】本発明は印字ヘッドのシリアル番号等の情報が記憶された第1の回路基板のみの交換を判断し、第2の回路基板に記憶したバックアップデータを容易にリストアできる印刷装置を提供するものである。
【解決手段】ビデオデータを複数の印字ヘッドに出力し、記録媒体に印刷処理を行う印刷装置であって、上記複数の印字ヘッドの特定情報を記憶する第1、第3の記憶手段が配設された第1の回路基板と、前記第1の記憶手段に記憶された情報と同じ情報を記憶する第2の記憶手段が配設された第2の回路基板と、上記第3の記憶手段に記憶された上記印字ヘッドの特定情報に基づいて、上記第1の回路基板のみが交換されたことを判断する判断手段と、該判断手段の判断結果に基づき、上記第2の記憶手段に記憶した印字ヘッドの特定情報を上記第1の記憶手段に記憶させる記憶処理手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ装置等の印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、プリンタ装置等の印刷装置には、印字ヘッドのシリアル番号や、印字ヘッドを構成する印字素子の補正光量情報を記憶し、また出荷後の装置の消耗品や、定期交換部品、その他制御に必要なパラメータを記憶した記憶装置を配設している。このような記憶装置としては、例えばプリンタ制御基板に配設された不揮発メモリが対応している。
【0003】
また、印刷装置には、上記プリンタ制御基板をメイン基板として、このメイン基板とは別のサブ基板が取り付けられ、上記不揮発メモリ等の記憶装置に記憶された上記情報をバックアップするためのバックアップ用の記憶装置が配設されている。
【0004】
一方、特許文献1には操作パネルの操作によって印刷ジョブや装置の固有情報を不揮発メモリに書き込み、その後不揮発メモリに書き込んだ情報をエンジンI/Fを介してエンジン制御基板の不揮発メモリに書き込み、両不揮発メモリに書き込んだ情報を互いに保存し、情報のバックアップを行う発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−047694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記プリンタ制御基板にサブ基板を有する印刷装置では、メイン基板のみが交換された場合でも、サブ基板との関係で何れの基板が交換されたのか判別できない。また、特許文献1の画像処理装置では、両不揮発メモリに書き込んだ情報を互いに保存し、情報のバックアップを行う発明であり、メイン基板、サブ基板の関係ではなく、両不揮発メモリが何れの基板に配設されているかも分からない。
【0007】
そこで、本発明はメイン基板に印字ヘッドのシリアル番号等の情報を記憶し、サブ基板に上記情報のバックアップ用の記憶装置が配設された印刷装置において、メイン基板のみ交換された場合でも容易にメイン基板の交換を知ることができる印刷装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は本発明によれば、印刷制御部の制御に基づいて、ビデオデータを複数の印字ヘッドに出力し、記録媒体に印刷処理を行う印刷装置において、前記複数の印字ヘッドの特定情報を記憶する第1の記憶手段が配設された第1の回路基板と、前記第1の記憶手段に記憶された情報と同じ情報を記憶する第2の記憶手段が配設された第2の回路基板と、前記第1の回路基板に配設された第3の記憶手段に前記印字ヘッドの特定情報を更に記憶し、該第3の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報に基づいて、前記第1の回路基板のみが交換されたことを判断する判断手段と、該判断手段の判断結果に基づき、前記第2の記憶手段に記憶した印字ヘッドの特定情報を前記第1の記憶手段に記憶させる記憶処理手段とを有する印刷装置を提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メイン基板である第1の回路基板に記憶された情報を記憶するサブ基板である第2の回路基板を備えた印刷装置であって、上記第1の回路基板のみが交換された場合、第1の回路基板の交換を容易に判断し、第2の回路基板に記憶したバックアップデータを上記第1の回路基板の記憶部にリストアできる印刷装置を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】プリンタ装置の制御装置を含む回路ブロック図である。
【図2】本実施形態におけるプリンタ装置(印刷装置)の内部構成を説明する断面図である。
【図3】プリンタ装置において、制御装置の回路基板構成を説明する図である。
【図4】EEPROMに記憶されたデータのバックアップ処理を説明するフローチャートである。
【図5】プリンタ制御メイン基板の交換を判断する処理動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態におけるプリンタ装置(印刷装置)の内部構成を説明する断面図である。同図に示すプリンタ装置1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラープリンタ装置であり、4つの画像形成部2、中間転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、及び両面印刷用搬送ユニット7で構成されている。
【0012】
上記画像形成部2は、転写ベルトユニット3の転写ベルト8の下部走行部表面8aに接して同図の右から左へ4個の現像装置9(9m、9c、9y、9k)を多段式に並設した構成からなる。この画像形成部2は、図2に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能にプリンタ装置1本体のフレームに保持されている。
【0013】
上記4個の現像装置9のうち下流側(図の右側)の3個の現像装置9m、9c、及び9yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、現像装置9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0014】
上記の各現像装置9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)のトナー用の現像装置9kを例にしてその構成を説明する。
【0015】
現像装置9は、最上部に感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0016】
現像器14は、外部を覆う筐体16、内部に設けられた隔壁17、現像ローラ15、第1の攪拌搬送スクリュー18、及び第2の攪拌搬送スクリュー19を備えている。第1及び第2の攪拌搬送スクリュー18及び19は、特には図示しないが、スクリュー軸と、このスクリュー軸と一体に構成されて回転するフィンから成る。
【0017】
この現像器14には、トナー供給部4の詳しくは後述するリザーブタンクから、同図にはM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーが供給される。
【0018】
転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト8と、この転写ベルト8を掛け渡されて転写ベルト8を図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ21と従動ローラ22を備えている。
【0019】
上記の転写ベルト8は、下方を循環移動するベルト表面に、ユニットと一体に組み込まれて転写ベルト8を介して感光体ドラム10に圧接する一次転写ローラ20によりトナー像を直接転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への二次転写部23まで搬送する。
【0020】
この転写ベルトユニット3には、駆動ローラ21に掛け渡されている表面に当接するクリーニングブレードを備えたベルトクリーナ24が配置されている。ベルトクリーナ24の下方には廃トナー回収容器25が着脱自在に配置されている。
【0021】
ベルトクリーナ24は、クリーニングブレードが転写ベルト8の表面に当接して廃トナーを擦り取って除去し、その廃トナーを搬送スクリューにより下方の廃トナー回収容器25に送り込んでいる。
【0022】
トナー供給部4は、転写ベルト8の上部走行部の上方に配置されている4個のリザーブタンク26(26m、26c、26y、26k)と、これらのリザーブタンク26の上にそれぞれ着脱自在に配置されたトナー補充用のトナーカートリッジ27(27m、27c、27y、27k)で構成される。
【0023】
4個のトナーカートリッジ27m、27c、27y、27kは、それぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のトナーを収容し、4個のリザーブタンク26(26m、26c、26y、26k)は、それぞれ上に装着されているトナーカートリッジ27からトナーを補充される。
【0024】
これら4個のリザーブタンク26は、図2では転写ベルトユニット3の向う側に隠れて見えないが、それぞれトナー供給路により対応する現像装置9の現像器14と連結されている。
【0025】
このトナー供給部4は、特には図示しないが、図2に示す印刷実行時位置から、それより上方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0026】
このトナー供給部4の左方には、ベルトクリーナ24の左方から駆動ローラ21の上方にかけて2つの電装部30が配設されている。電装部30には、詳しくは後述する複数の電子部品からなる制御装置が搭載された回路基盤を備えている。
【0027】
給紙部5は、上下2段に配置された2個の給紙カセット29(29a、29b)を備えている。2個の給紙カセット29の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ31、給送ローラ32、捌きローラ33、待機搬送ローラ対34が配置されている。
【0028】
待機搬送ローラ対34の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト8を介して従動ローラ22に圧接する二次転写ローラ35が配設されて、前述した用紙への二次転写部23を形成している。
【0029】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット6が配置されている。ベルト式熱定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット6から搬出する搬出ローラ対36、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する排紙ローラ対38が配設されている。
【0030】
両面印刷用搬送ユニット7は、外面(図の右方外側面)がプリンタ装置1の内部を側面から外部に開放又は遮蔽する開閉部材を兼ねている。
【0031】
この両面印刷用搬送ユニット7は、排紙ローラ対38の直前から図の右横方向に分岐する開始返送路39a、それから下方に曲がる中間返送路39b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路39cから成る返送路39を備えている。
【0032】
また、返送路39の途中には、5組の返送ローラ対41(41a、41b、41c、41d、41e)が配置されている。上記終端返送路41eの出口は、給紙部5の下方の給紙カセット29bに対応する待機搬送ローラ対34への搬送路に合流している。
図1は、上記プリンタ装置1の制御装置を含む回路ブロック図である。同図に示すように回路ブロックは、CPU(central processing unit)50を中心にして、このCPU50に、それぞれデータバスを介してインターフェイスコントローラ(I/F_CONT)51及びプリンタコントローラ(PR_CONT)52が接続されている。PR_CONT52にはプリンタ印字部53が接続されている。
【0033】
また、CPU50には、ROM(read only memory)54、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)55、本体操作部の操作パネル56、各部に配置されたセンサからの出力が入力されるセンサ部57、及びドットカウンタ58が接続されている。
【0034】
ROM54には、システムプログラムが記憶され、CPU50は、このシステムプログラムに従って各部を制御して処理を行う。
【0035】
すなわち、各部において、先ず、I/F_CONT51は、例えばパーソナルコンピュータ等のホスト機器から供給される印字データをビットマップデータに変換し、フレームメモリ60に展開する。フレームメモリ60は、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)毎に記憶エリアが設定されており、各色のデータが対応するエリアに展開される。
【0036】
フレームメモリ60に展開されたデータはPR_CONT52に出力され、PR_CONT52からプリンタ印字部53に出力される。
【0037】
プリンタ印字部53はエンジン部であり、PR_CONT52の制御の下で、図2に示した感光体ドラム10、一次転写ローラ20等を含む不図示の回転駆動系、帯電ローラ12、光書込ヘッド13等の被駆動部を有する画像形成部、転写ベルトユニット3の上下移動や転写ベルト8の回転を駆動する不図示の駆動部を備えている。
【0038】
そして、PR_CONT52から出力されたブラック(K)、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各色のデータは、プリンタ印字部53からそれぞれ対応する図2に示した光書込ヘッド13に供給される。
【0039】
また、ドットカウンタ58は、光書込ヘッド13に供給される各色のデータに基づく光書込ヘッド13による感光体ドラム10への露光面積に基づいて印字に使用されるトナーの量を算出する。
【0040】
図3は上記構成のプリンタ装置1において、上記回路を搭載した回路基板構成を説明する図である。前述のI/F_CONT51はインターフェイス制御基板(以下、I/F制御基板で示す)65に配設され、PR_CONT52はプリンタ制御メイン基板66及びプリンタ制御サブ基板67に配設されている。
【0041】
また、図3に示すKヘッドはブラック(K)の印字を行う光書込ヘッド13であり、Cヘッドはシアン(C)の印字を行う光書込ヘッド13であり、Mヘッドはマゼンタ(M)の印字を行う光書込ヘッド13であり、Yヘッドはイエロー(Y)の印字を行う光書込ヘッド13である。上記Kヘッド、Cヘッド、Mヘッド、及びYヘッドは、前述のプリンタ印字部53に配設されている。
【0042】
また、上記I/F制御基板65には、CPU65a、ROM65b、RAM65c等の回路が内蔵され、前述のようにホスト機器から供給される印字データをビデオデータに変換し、例えばRAM65cに構築される前述のフレームメモリ60に展開する。また、上記CPU65a、及びROM65bは、前述の図1に示すCPU50、及びROM54に含まれる。また、I/F制御基板65には前述の操作パネル56から操作信号が入力する。
【0043】
プリンタ制御メイン基板66には、CPU66a、ROM66b、RAM66c、及びEEPROM66dが内蔵され、I/F_CONT51(I/F制御基板65)のフレームメモリ60から供給されるビデオデータをKヘッド、Cヘッド、Mヘッド、Yヘッドに送信する。また、上記CPU66a、及びROM66bは、前述の図1に示すCPU50、及びROM54に含まれる。さらに、EEPROM66dは、図1に示すEEPROM55に含まれる。
【0044】
Kヘッド、Cヘッド、Mヘッド、及びYヘッドは、それぞれEEPROMを内蔵し、このEEPROMにシリアルNO、及び光量補正データ等の情報を記憶する。例えば、KヘッドのEEPROM70Kには当該KヘッドのシリアルNO、及びKヘッドの光量補正データを記憶する。また、CヘッドのEEPROM70Cには当該CヘッドのシリアルNO、及びCヘッドの光量補正データを記憶する。同様に、MヘッドのEEPROM70Mには当該MヘッドのシリアルNO、及びMヘッドの光量補正データを記憶し、YヘッドのEEPROM70Yには当該YヘッドのシリアルNO、及びYヘッドの光量補正データを記憶する。
【0045】
プリンタ制御サブ基板67には、CPU67a、ROM(プログラム)67b、RAM67c、及びデータフラッシュ67dが内蔵され、データフラッシュ67dには上記プリンタ制御メイン基板66のEEPROM66dに記憶されたデータのバックアップデータが記憶される。また、上記CPU67a、及びROM67bは、前述の図1に示すCPU50、及びROM54に含まれる。
【0046】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
図4は本例の処理動作を説明するフローチャートであり、前述のEEPROM66dに記憶されたデータのバックアップ処理を説明するものである。尚、EEPROM66dには、前述のように光書込ヘッド13(Kヘッド、Cヘッド、Mヘッド、及びYヘッド)のシリアル番号や光量補正データを記憶し、また出荷後のプリンタ装置1の消耗品や、定期交換部品、その他制御に必要なパラメータを記憶している。
【0047】
先ず、バックアップ処理の要求が有るか判断する(ステップ(以下、Sで示す)1)。ここで、バックアップ処理の要求が有れば(S1がYES)、バックアップ処理に移行するが、バックアップ処理には後述する実施条件が必要であり、この条件を満たしていない場合(S1がNO)、バックアップ処理の実施条件の判断を行う(S2)。
【0048】
ここで、バックアップ処理の実施条件は、例えば以下のような場合である。例えば、過去に有効なバックアップデータがプリンタ制御サブ基板67のデータフラッシュ67dに記憶されていない場合である。また、前回転処理や自動調整処理(例えば、印字濃度調整処理)のためのイニシャル回転動作が実施された場合である。また、EEPROM66dに記憶された設定値、例えば前述の制御に必要なパラメータの変更指定が行われた場合である。また、前回のバックアップ処理からある程度の印刷処理(例えば、100枚の印刷処理)を実施した場合である。さらに、前回のバックアップ処理からある程度の定着回転処理が行われた場合である。したがって、上記実施条件に対応する場合(S2がYES)、バックアップ要求を行う(S3)。
【0049】
次に、上記バックアップ要求が有ると(S1がYES)、先ず現在モータ回転中か否か(S4)、及び接続デバイス制御中であるか判断し(S5)、モータ回転中ではなく(S4がNO)、また接続デバイス制御中でもない場合(S5がNO)、バックアップ処理を行う(S6)。すなわち、モータがイニシャル回転動作や、自動調整、定着ウオームアップのための回転動作を行っていない場合や、EEPROMの書き込み動作等を行っていない場合、バックアップ処理を行う(S6)。
【0050】
このバックアップ処理は、前述のEEPROM66dに記憶されたデータをプリンタ制御サブ基板67のデータフラッシュ67dに記憶する(バックアップする)処理である。したがって、この処理によって、EEPROM66dに記憶された光書込ヘッド13(Kヘッド、Cヘッド、Mヘッド、及びYヘッド)のシリアル番号や光量補正データ、出荷後のプリンタ装置1の消耗品や、定期交換部品、その他制御に必要なパラメータ等のデータは、データフラッシュ67dにも記憶される(バックアップされる)。
【0051】
次に、上記処理によってデータフラッシュ67dに記憶されたデータは、プリンタ制御メイン基板66の交換作業が行われた際、リストアされる。このため、プリンタ制御メイン基板66の交換が行われたことを判断する必要がある。図5に示すフローチャートは、プリンタ制御メイン基板66の交換を判断する処理動作を説明するものである。
【0052】
この処理は各種イニシャライズ処理において実行され(ステップ(以下、STで示す)1)、このイニシャライズ処理において、例えば光書込ヘッド13の情報チェック、及びEEPROMリストア確認を行う際に実行される。
【0053】
先ず、未接続等のヘッド異常を判断する(ST2)。例えば、光書込ヘッド13(Kヘッド、Cヘッド、Mヘッド、及びYヘッド)が装置本体に接続されていない場合には未接続であり、ヘッド異常であると判断する(ST2がYES)。この場合、ヘッド異常サービスコールを発生し(ST3)、オペレータに通知する。
【0054】
一方、ヘッド異常ではない場合(ST2がNO)、接続されている光書込ヘッド13からデータを読み出し、ROM(フラッシュメモリ)66bに記憶されたデータとの一致を判断する(ST4)。すなわち、KヘッドのEEPROM70KからシリアルNo.のデータを読み出し、CヘッドのEEPROM70CからシリアルNo.のデータを読み出し、MヘッドのEEPROM70MからシリアルNo.のデータを読み出し、YヘッドのEEPROM70YからシリアルNo.のデータを読み出し、それぞれのシリアルNo.のデータとROM(フラッシュメモリ)66bに記憶されたシリアルNo.のデータとの一致判断を行う。
【0055】
ここで、Kヘッド、Cヘッド、Mヘッド、及びYヘッドの全てのシリアルNo.が一致していれば(ST4がYES)、プリンタ制御メイン基板66及び光書込ヘッド13の何れの交換も行われていないと判断でき、通常動作フローを実行する(ST5)。
【0056】
一方、全てのヘッドのシリアルNo.が一致していなければ(ST4がNO)、以後プリンタ制御メイン基板66、プリンタ制御サブ基板67、又は光書込ヘッド13(Kヘッド、Cヘッド、Mヘッド、及びYヘッド)の何れかが交換されたものと判断して以下の処理を行う。
【0057】
先ず、4本の光書込ヘッド13(Kヘッド、Cヘッド、Mヘッド、及びYヘッド)のシリアルNo.のデータとROM(フラッシュメモリ)66bに記憶されたシリアルNo.のデータの何れかが一致しているか判断する(ST6)。ここで、何れか1つでもシリアルNo.のデータが一致していれば(ST6がYES)、個別ヘッドの交換が行われたものと判断する。例えば、Kヘッドのみ交換、又はKヘッドとCヘッドの交換等の判断が行われ、プリンタ制御メイン基板66の交換が行われたものではないと判断する。
【0058】
次に、上記判断において、何れのシリアルNo.のデータも一致しなければ(ST6がNO)、ROM(フラッシュメモリ)66bに記憶されたシリアルNo.のデータとEEPROM66dに記憶されたシリアルNo.のデータのどれかが一致するか判断する(ST7)。ここで、何れかのシリアルNo.のデータが一致すれば(ST7がYES)、ROM(フラッシュメモリ)66bのデータのみが変化したものと判断し、プリンタ制御メイン基板66が交換されたものではないと判断する。
【0059】
一方、上記判断において、何れかのシリアルNo.のデータも一致していなければ(ST7がNO)、更にプリンタ制御サブ基板67のデータフラッシュ67dに記憶されたシリアルNo.のデータと何れかが一致しているか判断する(ST8)。ここで、データフラッシュ67dに記憶されたデータは前述のバックアップデータである。したがって、何れかのシリアルNo.のデータが一致している場合(ST8がYES)、データフラッシュ67dのデータは正規のデータであり、プリンタ制御メイン基板66が交換されたものと判断できる。
【0060】
一方、上記判断において何れのシリアルNo.のデータも一致しない場合(ST8がNO)、以下の場合が考えられる。例えば、全ての光書込ヘッド13(Kヘッド、Cヘッド、Mヘッド、及びYヘッド)が同時に交換された場合である。また、プリンタ制御メイン基板66とプリンタ制御サブ基板67が同時に交換された場合や、プリンタ制御メイン基板66と全ての光書込ヘッド13(Kヘッド、Cヘッド、Mヘッド、及びYヘッド)が同時に交換された場合や、プリンタ制御サブ基板67と全ての光書込ヘッド13が同時に交換された場合である。さらに、プリンタ制御メイン基板66とプリンタ制御サブ基板67と全ての光書込ヘッド13が交換された場合である。
【0061】
すなわち、上記各場合において、プリンタ制御メイン基板66のみが交換されたと判断することはできない。したがってこの場合、プリンタ制御メイン基板66のみが交換されたとは判断できず、データフラッシュ67dに記憶されたバックアップデータのリストア処理を行わない。
【0062】
したがって、上記のように、何れかのシリアルNo.のデータが一致している場合(ST8がYES)、プリンタ制御メイン基板66が交換されたものと判断し、データフラッシュ67dに記憶されたバックアップデータをプリンタ制御メイン基板66のEEPROM66dにリストアする(ST9)。
【0063】
その後、新しいヘッド情報をプリンタ制御メイン基板66のROM(フラッシュメモリ)66bに格納し(ST10)、ROM(フラッシュメモリ)66bの異常を判断し(ST11)、処理を終了する。尚、この判断において異常であると判断した場合には、メモリ異常のサービスコールを行う(ST11がYES、ST12)。
以上のように本実施形態によれば、プリンタ制御メイン基板66のみが交換されたことを一定間隔で行うイニシャル処理において容易に判断でき、従ってプリンタ制御メイン基板66が交換された時、プリンタ制御メイン基板66のEEPROM66dに対して確実にバックアップデータのリストア処理を行うことができる。
【0064】
尚、本実施形態の説明においては、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)のビデオデータに対応するKヘッド、Cヘッド、Mヘッド、及びYヘッドの光書込ヘッド13について説明したが、上記4色の光書込ヘッドに限定されるものではなく、例えば2色、又は4色以上の光書込ヘッドを使用する印刷装置においても本発明を実施することができる。このように構成することにより、より汎用性のある印刷装置を実現することができる。
【0065】
本発明はいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下、本件特許出願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0066】
付記1
印刷制御部の制御に基づいて、ビデオデータを複数の印字ヘッドに出力し、記録媒体に印刷処理を行う印刷装置において、
前記複数の印字ヘッドの特定情報を記憶する第1の記憶手段が配設された第1の回路基板と、
前記第1の記憶手段に記憶された情報と同じ情報を記憶する第2の記憶手段が配設された第2の回路基板と、
前記第1の回路基板に配設された第3の記憶手段に前記印字ヘッドの特定情報を更に記憶し、該第3の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報に基づいて、前記第1の回路基板のみが交換されたことを判断する判断手段と、
該判断手段の判断結果に基づき、前記第2の記憶手段に記憶した印字ヘッドの特定情報を前記第1の記憶手段に記憶させる記憶処理手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【0067】
付記2
前記判断手段は、先ず複数の印字ヘッドに記憶された印字ヘッドの特定情報と第3の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報との一致を判断し、少なくとも何れか1つの印字ヘッドの特定情報が一致しない時、前記第1の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報との一致判断を行い、何れの印字ヘッドの特定情報とも一致しない時、更に第2の記憶手段に記憶した印字ヘッドの特定情報との一致を判断し、何れかの印字ヘッドの特定情報が一致している時、前記第1の回路基板のみが交換されたと判断することを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0068】
付記3
前記複数の印字ヘッドに記憶された印字ヘッドの特定情報と第3の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報との一致の判断において、全ての印字ヘッドの特定情報が一致せず、少なくとも何れか1つの印字ヘッドの特定情報が一致する時、前記複数の印字ヘッドの何れかが交換されたものと判断することを特徴とする付記2に記載の印刷装置。
【0069】
付記4
前記複数の印字ヘッドは、色毎に前記ビデオデータを入力し、前記記録媒体に対応する色の印字を行う光書込ヘッドであることを特徴とする付記1、2、又は3に記載の印刷装置。
【0070】
付記5
第1の回路基板と第2の回路基板を備え、印刷制御部の制御に基づいて、ビデオデータを複数の印字ヘッドに出力し、記録媒体に印刷処理を行う印刷装置の制御方法において、
前記複数の印字ヘッドの特定情報を前記第1の回路基板に配設された第1の記憶手段に記憶する処理と、
前記第1の記憶手段に記憶された情報と同じ情報を前記第2の回路基板に配設された第2の記憶手段に記憶する処理と、
前記第1の回路基板に配設された第3の記憶手段に前記印字ヘッドの特定情報を更に記憶し、該第3の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報に基づいて、前記第1の回路基板のみが交換されたことを判断する判断処理と、
該判断結果に基づき、前記第2の記憶手段に記憶した印字ヘッドの特定情報を前記第1の記憶手段に記憶させる記憶処理と、
を行うことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【0071】
付記6
前記判断処理は、先ず前記複数の印字ヘッドに記憶された印字ヘッドの特定情報と前記第3の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報との一致を判断し、少なくとも何れか1つの印字ヘッドの特定情報が一致しない時、前記第1の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報との一致判断を行い、何れの印字ヘッドの特定情報とも一致しない時、更に第2の記憶手段に記憶した印字ヘッドの特定情報との一致を判断し、何れかの印字ヘッドの特定情報が一致している時、前記第1の回路基板のみが交換されたと判断することを特徴とする付記5に記載の印刷装置の制御方法。
【符号の説明】
【0072】
1 フルカラー画像形成装置(プリンタ)
2 画像形成部
3 転写ベルトユニット
4 トナー供給部
5 給紙部
6 ベルト式定着ユニット
7 両面印刷用搬送ユニット
8 転写ベルト
8a 下部走行部表面
9(9m、9c、9y、9k) 現像装置
10 感光体ドラム
11 クリーナ
12 帯電ローラ
13 光書込ヘッド
14 現像器
15 現像ローラ
16 筐体
17 隔壁
15 現像ローラ
18 第1の攪拌搬送スクリュー
19 第2の攪拌搬送スクリュー
20 一次転写ローラ
21 駆動ローラ
22 従動ローラ
23 二次転写部
24 ベルトクリーナ
25 廃トナー回収容器
26(26m、26c、26y、26k) リザーブタンク
27(27m、27c、27y、27k) トナーカートリッジ
29(29a、29b) 給紙カセット
30 電装部
31 用紙取出ローラ
32 給送ローラ
33 捌きローラ
34 待機搬送ローラ対
35 二次転写ローラ
36 搬出ローラ対
37 排紙トレー
38 排紙ローラ対
39 返送路
39a 開始返送路
39b 中間返送路
39c 終端返送路
41(41a、41b、41c、41d、41e) 返送ローラ対
50 CPU
51 インターフェイスコントローラ(I/F_CONT)
52 プリンタコントローラ(PR_CONT)
53 プリンタ印字部
54 ROM
55 EEPROM
56 操作パネル
57 センサ部
58 ドットカウンタ
60 フレームメモリ
65 I/F制御基板
65a CPU
65b ROM
65c RAM
66 プリンタ制御メイン基板
66a CPU
66b ROM
66c RAM
66d EEPROM
67 プリンタ制御サブ基板
67a CPU
67b ROM(プログラム)
67c RAM
67d データフラッシュ
70K、70M,70C,70Y EEPROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷制御部の制御に基づいて、ビデオデータを複数の印字ヘッドに出力し、記録媒体に印刷処理を行う印刷装置において、
前記複数の印字ヘッドの特定情報を記憶する第1の記憶手段が配設された第1の回路基板と、
前記第1の記憶手段に記憶された情報と同じ情報を記憶する第2の記憶手段が配設された第2の回路基板と、
前記第1の回路基板に配設された第3の記憶手段に前記印字ヘッドの特定情報を更に記憶し、該第3の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報に基づいて、前記第1の回路基板のみが交換されたことを判断する判断手段と、
該判断手段の判断結果に基づき、前記第2の記憶手段に記憶した印字ヘッドの特定情報を前記第1の記憶手段に記憶させる記憶処理手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記判断手段は、先ず複数の印字ヘッドに記憶された印字ヘッドの特定情報と第3の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報との一致を判断し、少なくとも何れか1つの印字ヘッドの特定情報が一致しない時、前記第1の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報との一致判断を行い、何れの印字ヘッドの特定情報とも一致しない時、更に第2の記憶手段に記憶した印字ヘッドの特定情報との一致を判断し、何れかの印字ヘッドの特定情報が一致している時、前記第1の回路基板のみが交換されたと判断することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記複数の印字ヘッドに記憶された印字ヘッドの特定情報と第3の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報との一致の判断において、全ての印字ヘッドの特定情報が一致せず、少なくとも何れか1つの印字ヘッドの特定情報が一致する時、前記複数の印字ヘッドの何れかが交換されたものと判断することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記複数の印字ヘッドは、色毎に前記ビデオデータを入力し、前記記録媒体に対応する色の印字を行う光書込ヘッドであることを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の印刷装置。
【請求項5】
第1の回路基板と第2の回路基板を備え、印刷制御部の制御に基づいて、ビデオデータを複数の印字ヘッドに出力し、記録媒体に印刷処理を行う印刷装置の制御方法において、
前記複数の印字ヘッドの特定情報を前記第1の回路基板に配設された第1の記憶手段に記憶する処理と、
前記第1の記憶手段に記憶された情報と同じ情報を前記第2の回路基板に配設された第2の記憶手段に記憶する処理と、
前記第1の回路基板に配設された第3の記憶手段に前記印字ヘッドの特定情報を更に記憶し、該第3の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報に基づいて、前記第1の回路 基板のみが交換されたことを判断する判断処理と、
該判断結果に基づき、前記第2の記憶手段に記憶した印字ヘッドの特定情報を前記第1の記憶手段に記憶させる記憶処理と、
を行うことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項6】
前記判断処理は、先ず前記複数の印字ヘッドに記憶された印字ヘッドの特定情報と前記第3の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報との一致を判断し、少なくとも何れか1つの印字ヘッドの特定情報が一致しない時、前記第1の記憶手段に記憶された印字ヘッドの特定情報との一致判断を行い、何れの印字ヘッドの特定情報とも一致しない時、更に第2の記憶手段に記憶した印字ヘッドの特定情報との一致を判断し、何れかの印字ヘッドの特定情報が一致している時、前記第1の回路基板のみが交換されたと判断することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−171341(P2012−171341A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38793(P2011−38793)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】