説明

印刷装置

【課題】装置を大型化することなく、サーマルヘッド圧の切り替え時間をより高速にすることで更なる高速印刷が可能な印刷装置を提供することを目的とする。
【解決手段】用紙にインクを転写させる印刷装置であって、印刷時には圧接し、用紙戻し時には離間するサーマルヘッド204およびプラテンローラ205と、サーマルヘッド204とプラテンローラ205との圧接状態と離間状態とを切り替える第一の駆動部40と、用紙を搬送するキャプスタン202と、キャプスタン202に対向し用紙を挟持するピンチローラ201と、キャプスタン202を駆動する第二の駆動部30と、第二の駆動部30により駆動され、印刷時のキャプスタン202とピンチローラ201との圧力よりも用紙戻し時のキャプスタン202とピンチローラ201との圧力を低減させる加圧力切替手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものである。特に、サーマルヘッドにより熱転写され画像が形成されるサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラなどで撮影された写真などを印刷するプリンタとしてサーマルヘッドによりインクリボンを昇華させて記録紙に熱転写させるサーマルプリンタが知られている。
サーマルプリンタの印刷動作について図11を参照して説明する。図11は、本発明に関連するサーマルプリンタの構成を示す側断面図である。
印刷開始指示が入力されると、記録紙であるロール紙950と一体的に回転するロール紙ローラ軸900が図中反時計回りに駆動することで、ロール紙950が送り出され、キャプスタン部910に到達する。
【0003】
キャプスタン部910は、ピンチローラ901とキャプスタン902とを備える。キャプスタン902の表面には、円周方向および軸方向に所定の間隔で複数の突起が形成されている。キャプスタン902とピンチローラ901との間にロール紙950を挟持することで、ロール紙950に突起が刺さり、キャプスタン902の回転に従って、高い精度の紙送りが行われる。このとき、ロール紙950が突起から抜けないために強い挟持力が必要となる。そこで、ピンチローラ901には、ピンチローラ901を回動自在に保持し、ピンチレバー921により加圧力が加えられるブッシュ919を介して、ピンチバネ922の弾性力により強い加圧力が付加される。この圧力のことを、以下「ニップ圧」とする。
【0004】
キャプスタン部910に到達したロール紙950は、キャプスタン902が図中時計回りに回転することで印刷開始位置へ搬送され、キャプスタン902による紙送りは停止される。
ロール紙950が印刷開始位置に到達すると、キャプスタン902が図中反時計回りに回転され、ロール紙950が印刷開始位置から印刷終了位置まで搬送される。該搬送中はインクリボン巻取り軸927が図中時計回りに回転することにより、イエローのインクリボン951がインクリボン供給軸928からロール紙950との重畳状態を保ちながら引き出される。このとき、サーマルヘッド904への通電が行われ、ロール紙950へのイエローの印刷が行われる。
【0005】
インクリボン951上に塗布されたインクを精度よくロール紙950に転写させるためには、インクリボン951とロール紙950とを十分に圧接させなければならず、サーマルヘッド904とプラテンローラ905とを適切な圧力で加圧する必要がある。この圧力のことを、以下「サーマルヘッド圧」とする。
【0006】
ロール紙950へのイエローの印刷が完了すると、ブラケット914が回動し、サーマルヘッド904が上昇することでプラテンローラ905から退避する。サーマルヘッド904が退避した後、キャプスタン902が図中時計回りに回転することで、ロール紙950は印刷開始位置へ戻される。このようにしてロール紙950へのイエローの印刷および用紙戻しが行われ、以下、マゼンタ、シアン、オーバーコート層の順に同様の動作が行われる。
【0007】
オーバーコート層の印刷完了後のロール紙950はキャプスタン902が図中時計回りに回転することで排紙方向へ搬送される。ロール紙950は印刷領域と未印刷領域の境界がカッターユニット907の切断位置に到達するまで搬送され、搬送完了後にカット処理が行われる。カット処理により先端部が切断されたロール紙950の残りは、排紙ローラ912が図中時計回りに回転することで排紙される。
【0008】
このようにサーマルプリンタは一枚の画像を形成するために必要な工程が多く、印刷時間が長いという問題がある。なお、サーマルヘッド904の位置変更には用紙搬送モータとは別のモータが用いられる。該モータを、以下「サーマルヘッド圧切替モータ」とする。
【0009】
一方、サーマルプリンタでは、所定の印刷開始位置から印刷終了位置まで複数回の紙送りが行われるため、紙送り量が不安定であると、印刷開始位置がずれ、色ずれが起こる。そのため、紙送りには非常に高い精度が必要とされる。正確な紙送りを行うためにはロール紙950をスリップすることなしに搬送させられるだけのニップ圧が必要である。すなわち、印刷時ではサーマルヘッド904とプラテンローラ905により圧接されているロール紙950をスリップさせないだけのニップ圧が必要となる。一方、用紙戻し時ではサーマルヘッド904とプラテンローラ905より開放されているロール紙950をスリップさせないだけのニップ圧があればよい。
【0010】
しかしながら、図11に示すサーマルプリンタでは印刷時、用紙戻し時共に一定の強いニップ圧でロール紙950が挟持されているため、印刷時のみならず、用紙戻し時でもキャプスタン902の駆動負荷は大きくなり、高速化への障壁となっている。このことに着目し、用紙戻し時のニップ圧と印刷時のニップ圧を切り替える技術が開示されている。
【0011】
例えば、特許文献1には、サーマルヘッド圧の切り替えと連動させてニップ圧の強弱の切り替えを行う方法が開示されている。具体的には、ニップ圧を変化させるピンチレバーに設けられたピンとサーマルヘッド圧を変化させるヘッドレバーに設けられたピンが二つの切欠き部を有するカムの切欠き部にそれぞれ取付けられる。そして、カムが回転することでニップ圧とサーマルヘッド圧が同時に切り替わる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平6−15852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された技術では、用紙戻し工程から印刷工程へ移行する際に、ニップ圧とサーマルヘッド圧の切り替えが同時になされるため、モータが発生させなければならないトルクが非常に大きくなってしまう。そのため、切り替え時のモータ速度が遅くなり、切り替えに長い時間を要してしまうという課題があった。それに対し、モータが発生させなければならないトルクを小さくするためにモータの減速比を大きくしても、切り替えに長い時間を要してしまう。この方法で切り替え時間の短縮を図るにはモータの大型化やカムの大型化が必要であるが、装置が大型化することにより、消費電力やコスト面で課題がある。
【0014】
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであり、装置を大型化することなく、サーマルヘッド圧の切り替え時間をより高速にすることで更なる高速印刷を可能にした印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の印刷装置は、用紙にインクを転写させる印刷装置であって、印刷時には圧接し、用紙戻し時には離間するサーマルヘッドおよびプラテンローラと、前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとの圧接状態と離間状態とを切り替える第一の駆動部と、用紙を搬送するキャプスタンと、前記キャプスタンに対向し前記用紙を挟持するピンチローラと、前記キャプスタンを駆動する第二の駆動部と、前記第二の駆動部により駆動され、印刷時の前記キャプスタンと前記ピンチローラとの圧力よりも用紙戻し時の前記キャプスタンと前記ピンチローラとの圧力を低減させる加圧力切替手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、装置を大型化することなく、サーマルヘッド圧切り替えの時間を短縮することができ、更なる高速印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】印刷装置およびカートリッジの外観構成を示す図である。
【図2】印刷装置の構成を示す側断面図である。
【図3】印刷装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】印刷装置の駆動機構の構成を示す側面図である。
【図5】印刷装置の駆動機構の構成を示すブロック図である。
【図6】用紙戻し時のニップ圧切替機構を示す図である。
【図7】印刷時のニップ圧切替機構を示す図である。
【図8】ニップ圧切替中のニップ圧切替機構を示す図である。
【図9】印刷処理の全体フローを示すフローチャートである。
【図10】インクリボンのマーカを説明するための図である。
【図11】本発明に関連する印刷装置の構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図では、必要に応じてロール紙の排紙方向を矢印で示している。
図1は、本実施形態に係る印刷装置であるサーマルプリンタ100およびサーマルプリンタ100に用いられるカートリッジ110の外観構成を示す図である。
図1に示すように、サーマルプリンタ100は、その側面が開閉しカートリッジ110を矢印120方向に着脱可能なハウジング101を備え、該ハウジング101の上部には、表示部102と操作部103とが配されている。
【0019】
表示部102は、LCDなどの表示画面から構成され、印刷される画像データを表示したり、印刷に必要な設定データを入力するためのメニューを表示したりする。
操作部103は、サーマルプリンタ100の電源のON/OFFを指示する電源スイッチ104と、表示部102に表示された各種メニューを選択するための選択スイッチ105とを備える。更に、選択スイッチ105の周囲には、表示部102に表示されたカーソルを所望の位置に移動させるための左右キー106と上下キー107とが配されている。
【0020】
カートリッジ110には、インクが塗布されているインクリボンと、記録媒体としてのロール紙とが収納されている。また、カートリッジ110をサーマルプリンタ100に装着する前の状態では、ロール紙はハウジング111により完全に覆われた構成となっており、ユーザがロール紙に直接触れることができない。印刷時にはロール紙がカートリッジ110から引き出され、インクリボンに塗布されたインクをサーマルヘッドによりロール紙に転写して、印刷が行われる。
【0021】
カートリッジ110には、ローラ回転軸112、インクリボンの供給ローラ回転軸113およびインクリボンの巻取りローラ回転軸114を備えている。ローラ回転軸112は、ロール紙が巻き回され、カートリッジ110をサーマルプリンタ100に装着した際には、サーマルプリンタ100が有する用紙搬送モータの回転機構と結合され、サーマルプリンタ100によって回転が制御される。巻取りローラ回転軸114は、カートリッジ110をサーマルプリンタ100に装着した際には、サーマルプリンタ100が有する用紙搬送モータの回転機構と結合され、サーマルプリンタ100によって回転が制御される。
【0022】
図2は、本実施形態に係るサーマルプリンタ100を側面から見た断面図である。本実施形態に係るサーマルプリンタ100は後述するニップ圧切替機構(加圧力切替手段)を有する。なお、図2(a)は用紙戻し時の状態を示し、図2(b)は印刷時の状態を示している。図2を用いて、サーマルプリンタ100が印刷処理を行う際に動作する各部の構成について簡単に説明する。
【0023】
図2に示すように、サーマルプリンタ100には、カートリッジ110のローラ回転軸112を回転させるロール紙ローラ軸200が配置されている。また、サーマルプリンタ100内には、ロール紙500が排紙位置まで引き出される場合に通過する搬送路501が形成されている。搬送路501には、ピンチローラ201、キャプスタン202が配置されている。ピンチローラ201にニップ力(加圧力)が加えられることで、ピンチローラ201とキャプスタン202によってロール紙500を挟持する。
ピンチローラ201の上方には、デカール用ガイド203が配置されている。デカール用ガイド203は、ロール紙500のカール方向とは逆の曲率で形成され、印刷時にロール紙500の巻き癖を矯正する。
【0024】
デカール用ガイド203の排紙方向側にはサーマルヘッド204とプラテンローラ205とが配置されている。印刷時には、サーマルヘッド204およびプラテンローラ205は、両者の間でインクリボン510とロール紙500とを重畳させた状態を維持する。一方、用紙戻し時には、サーマルヘッド204は退避位置に移動する。サーマルヘッド204に加えられる力については後述する。
プラテンローラ205の排紙方向側にはペーパーガイド206が配置されている。ロール紙500はペーパーガイド206上を往復する。ペーパーガイド206の排紙方向側にはカッターユニット207が配置されている。カッターユニット207は可動刃208と可動刃208に対向して配置された固定刃209とを備えている。可動刃208が図示しない駆動源により図中鉛直下方に移動することで上下の刃がすり合わされ、ロール紙500が切断される。
カッターユニット207の排紙方向側には排紙ローラユニット210が配置されている。排紙ローラユニット210は、切断後のロール紙500を排紙方向に搬送する。排紙ローラユニット210はロール紙500を介して対向する位置に配される排紙ローラ212と従動ローラ211とを備えている。
【0025】
ここで、ピンチローラ201に加えられるニップ圧について説明する。
ピンチローラ201は、ブッシュ219内で回動可能な状態で保持される。キャプスタン202は、サーマルプリンタ100の図示しないベースフレームに回動可能な状態で保持されている。キャプスタン202は、ロール紙500の搬送方向に対して垂直方向に遊びを有した状態でブッシュ219に挿入されている。ブッシュ219にはピンチレバー221が取付けられている。ピンチレバー221は、軸220を支点として、ピンチレバー221に取付けられたピンチバネ222の弾性力によってブッシュ219に加圧力を付与している。ブッシュ219に加圧力が付与されることで、ピンチローラ201にロール紙500の搬送方向に対して垂直方向の加圧力が付加され、ニップ圧が発生する。ピンチバネ222の一端はピンチレバー221に取付けられ、他端は後述するニップ圧切替機構に取付けられる。ブッシュ219、ピンチレバー221、軸220およびピンチバネ222によって加圧力付加機構(加圧力付加手段)が構成される。
【0026】
また、サーマルプリンタ100は、搬送路501の上方であってサーマルヘッド204を挟んだ前後にインクリボン巻取り軸227とインクリボン供給軸228とが配置されている。インクリボン巻取り軸227とインクリボン供給軸228は、それぞれカートリッジ110の巻取りローラ回転軸114と供給ローラ回転軸113とを回転させる。インクリボン供給軸228とインクリボン巻取り軸227との間にはインクリボン510が配されている。インクリボン510は、インクリボン供給軸228から供給されインクリボン巻取り軸227に巻き取られる。サーマルヘッド204は、サーマルヘッド支持板215によって支持され、更にサーマルヘッド支持板215はブラケット214に取付けられている。ブラケット214は、軸213を回動中心として回動することで、サーマルヘッド204が回動し、図2(a)または図2(b)に示すように昇降する。ブラケット214に近接した位置には、サーマルヘッド204の昇降を行うサーマルヘッド圧切替モータ40(第一の駆動部)が配置されている。また、サーマルヘッド204の上方には回転軸216が配置され、回転軸216の回転によって、サーマルヘッド加圧レバー217が回動する。図2(a)に示すように、サーマルヘッド加圧レバー217がサーマルヘッド204を上方から離間していると、サーマルヘッド204とプラテンローラ205とが離間状態になる。一方、図2(b)に示すように、サーマルヘッド加圧レバー217がサーマルヘッド204を上方から押圧すると、サーマルヘッド204とプラテンローラ205とが圧接する圧接状態になる。
【0027】
図3は、サーマルプリンタ100の機能構成を示すブロック図である。
サーマルプリンタ100は、装置全体を制御するメインコントローラ701、用紙搬送モータドライバ708、サーマルヘッド圧切替モータドライバ709、カッター駆動モータドライバ710、表示制御部711を有する。また、サーマルプリンタ100は、ROM702、RAM703、終端検知センサ704、ロール紙検出センサ705、ロール紙頭出しセンサ706、リボン頭出しセンサ707を有する。更に、サーマルプリンタ100は、上述した操作部103、画像データ入力部712、IC読み書き部713、ドライバコントローラ715、サーマルヘッド駆動回路716などを有する。ドライバコントローラ715は、各ドライバの他、サーマルヘッド204を駆動するサーマルヘッド駆動回路716をイメージメモリ714Y、714M、714Cの内容に応じて制御する。
【0028】
用紙搬送モータドライバ708は、用紙搬送モータ30(第二の駆動部)を駆動するためのドライバである。用紙搬送モータ30は回転機構を介して、ロール紙ローラ軸200やキャプスタン202、排紙ローラ212などに結合されており、これらのローラを駆動させることによりロール紙500を搬送する。また、用紙搬送モータ30は、回転機構を介してインクリボン巻取り軸227を駆動させ、インクリボン510の巻取りを行う。更に、用紙搬送モータ30は、回転方向に応じてニップ圧の切り替えを行う。
【0029】
サーマルヘッド圧切替モータドライバ709は、サーマルヘッド204の昇降を行うサーマルヘッド圧切替モータ40の回転を制御することで、サーマルヘッド204を印刷位置と退避位置とに移動させる。
カッター駆動モータドライバ710は、カッターユニット207の可動刃208を駆動するカッターモータ50を制御することで、ロール紙500の切断を行う。
終端検知センサ704は、カートリッジ110のロール紙ローラ軸200内に配され、ロール紙500が消費されてロール紙ローラ軸200に巻き回されたロール紙500の残量が、1巻き未満になった場合に、これを検知する。終端が検知されると、表示部102には、ロール紙500の残量が少ない旨のメッセージが表示される。
【0030】
ロール紙頭出しセンサ706は、図2(a)、(b)に示すサーマルヘッド204に対向して設けられるプラテンローラ205とキャプスタン202の間に配される。ロール紙頭出しセンサ706は、印刷開始時にカートリッジ110から引き出されたロール紙500の先端部がキャプスタン202の後方を通過したことを検出する。
リボン頭出しセンサ707は、インクリボン510の各色の先端部に塗布された識別帯を検出する。用紙搬送モータ30によるインクリボン510の巻き取り動作は、リボン頭出しセンサ707の検出結果に基づいて制御される。
【0031】
図4および図5を用いて本実施形態の駆動系について説明する。
図4はサーマルプリンタ100の駆動機構の構成を示す側面図である。図4では、図2とは反対側の側面から見た図であり、排紙方向が図2と異なっている。図5はサーマルプリンタ100の駆動機構の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、用紙搬送モータ30の回転により、ピニオン300が回転し、ピニオン300と噛合する歯車301および歯車308が回転する。歯車301は歯車302に噛合し、歯車302と共にキャプスタン202が回転する。
また、歯車302は歯車303に噛合し、歯車303は歯車304および遊星歯車306に噛合する。歯車304は歯車305に噛合し、歯車305と共にロール紙500のロール紙ローラ軸200が回転する。
【0032】
遊星歯車306はブラケット3032上に取付けられている。ブラケット3032は歯車303の回転に従って軸3031を中心にして回動する。ブラケット3032の回動によって遊星歯車306が歯車307に噛合または歯車307から離間する位置へと回動する。
遊星歯車306は用紙搬送モータ30が図中時計回りに回転するときのみ歯車307に噛合し、歯車307と共にインクリボン巻取り軸227が回転し、インクリボン510の巻取りが行われる。
【0033】
一方、歯車308は歯車309に噛合する。歯車309は歯車310および歯車312に噛合する。歯車310は歯車311に噛合し、歯車311と共に排紙ローラ212が回転する。
また、歯車312は歯車313に噛合し、歯車313は遊星歯車機構の太陽歯車314に噛合する。太陽歯車314は遊星歯車315(第一の遊星歯車)および遊星歯車316(第二の遊星歯車)に噛合する。太陽歯車314の回転方向に従ってブラケット3141が回動し、ブラケット3141に取付けられた遊星歯車315または遊星歯車316の何れかが切欠き付歯車317に噛合し、切欠き付歯車317が回転する。切欠き付歯車317の回転により回転軸223が回転し、ニップ圧が切り替えられる。なお、ニップ圧切替機構については後述する。
【0034】
一方、サーマルヘッド圧切替モータ40の回転により、該モータ40の同軸に取付けられた歯車400が回転する。歯車400は歯車401に噛合し、歯車401は歯車402に噛合する。歯車402は歯車403に噛合し、歯車403はセクタ歯車404に噛合する。セクタ歯車404の回転によりセクタ歯車404が嵌合した回転軸216が回動する。
【0035】
次に、図2(a)、(b)に戻り、サーマルヘッド204に加えられるサーマルヘッド圧について説明する。
セクタ歯車404の回転によって回転軸216が回転し、回転軸216の回転によって、サーマルヘッド加圧レバー217が回動する。印刷時には、図2(a)に示す状態から図2(b)に示すようにサーマルヘッド加圧レバー217が回動して、サーマルヘッド加圧バネ218が縮み、サーマルヘッド加圧バネ218の弾性力によりサーマルヘッド204に加圧力が付与される。
【0036】
一方、非印刷時である用紙戻し時には、図2(b)に示す状態から図2(a)に示すようにサーマルヘッド加圧レバー217が回動し、サーマルヘッド204への加圧力が解除される。ここで、サーマルヘッド204を支持しているサーマルヘッド支持板215またはサーマルヘッド支持板215が結合されているブラケット214の何れかにはベースフレームとの間に不図示の弾性体が取付けられている。該弾性体によってサーマルヘッド204がプラテンローラ205から離間する方向に付勢される。したがって、サーマルヘッド加圧レバー217により加圧が行われない用紙戻し時には該弾性力により、軸213を回動中心としてブラケット214が回動することで、サーマルヘッド204が退避位置に移動する。
【0037】
次に、図6から図8を用いてニップ圧切替機構319について説明する。ニップ圧切替機構319は、印刷時にニップ圧を強くし、用紙戻し時にニップ圧を弱くすることができる。なお、印刷時の搬送方向は各図に示す排紙方向の反対方向であり、用紙戻し時の搬送方向は各図に示す排紙方向と同方向である。
図6はニップ圧が弱い場合、すなわち用紙戻し時のニップ圧切替機構319を示す図である。図7はニップ圧が強い場合、すなわち印刷時のニップ圧切替機構319を示す図である。図8はニップ圧が弱い状態から強い状態に切り替わる途中のニップ圧切替機構319を示す図である。なお、図6〜図8のそれぞれ(a)、(b)は、互いに反対側の方向から見た図である。
【0038】
ニップ圧切替機構319は遊星歯車機構の構成要素である太陽歯車314、ブラケット3141、遊星歯車315、316、並びに切欠き付歯車317、回転軸223、カム224、揺動軸225、揺動軸ガイド226を有している。
図6(a)に示すように、切欠き付歯車317は切欠き部318を有しており、遊星歯車315または遊星歯車316が切欠き部318に位置すると、遊星歯車315または遊星歯車316は空転する。回転軸223は切欠き付歯車317に嵌合しており、切欠き付歯車317の回転に従い同期して回転する。また、図6(b)に示すカム224は回転軸223に嵌合しており、回転軸223の回転に従い同期して回転する。
【0039】
図6(b)に示すように、揺動軸225は揺動軸ガイド226の空洞状の規制部229により水平方向が規制され、カム224の外周に沿って鉛直方向にのみ移動する。揺動軸225にはピンチバネ222が取付けられ、常にピンチレバー221を引き上げる方向に弾性力が働いている。カム224の外周上には少なくとも2箇所の凹部230a、230bが形成されており、揺動軸225は凹部230a、230bで保持される。凹部230a、230bはそれぞれ回転軸223からの距離が異なっている。
【0040】
ニップ圧が弱い用紙戻し時におけるニップ圧切替機構319について説明する。
図4に示す方向から見て用紙搬送モータ30が反時計回りに回転すると、キャプスタン202も反時計回りに回転する。したがって、図2に示す方向から見るとキャプスタン202は時計回りに回転するので、ロール紙500は用紙戻し方向に搬送される。一方、図4に示す方向から見て太陽歯車314は時計回りに回転するので、遊星歯車316が切欠き付歯車317と噛合して切欠き付歯車317を回転させた後、図6(a)のように切欠き付歯車317の切欠き部318で空転する。このとき、カム224は切欠き付歯車317に連動して、図6(b)に示す位置(第一の位置)に移動し、揺動軸225はカム224の凹部230aに位置する。凹部230a上の揺動軸225とピンチレバー221との間の距離は近接しているので、ピンチバネ222の伸び量が小さい状態で維持される。
【0041】
ニップ圧が強い印刷時におけるニップ圧切替機構319について説明する。
図4に示す方向から見て用紙搬送モータ30が時計回りに回転すると、キャプスタン202も時計回りに回転する。したがって、図2に示す方向から見るとキャプスタン202は反時計回りに回転するので、ロール紙500は印刷方向に搬送される。一方、図4に示す方向から見て太陽歯車314は反時計回りに回転するので、遊星歯車315が切欠き付歯車317と噛合して切欠き付歯車317を回転させた後、図7(a)のように切欠き付歯車317の切欠き部318で空転する。このとき、カム224は切欠き付歯車317に連動して、図7(b)に示す位置(第二の位置)に移動し、揺動軸225はカム224の凹部230bに位置する。凹部230b上の揺動軸225とピンチレバー221との間の距離は離間しているので、ピンチバネ222の伸び量が大きい状態で維持される。
【0042】
次に、ニップ圧切替機構319の切り替え動作について図6〜図8を用いて説明する。
まず、ニップ圧が強い状態から弱い状態に切り替わるときのニップ圧切替機構319の動作について説明する。
印刷完了後のニップ圧切替機構319は図7に示す状態になっている。サーマルヘッド204が印刷位置から退避位置に移動した後、図4に示す方向から見て用紙搬送モータ30が反時計回りに回転することで、用紙戻しが行われる。図4に示す方向から見て用紙搬送モータ30が反時計回りに回転することで太陽歯車314は時計回りに回転し、ブラケット3141が時計回りに揺動する。ブラケット3141の揺動に従って、遊星歯車315および遊星歯車316も一体的に時計回りに揺動する。図7(a)に示すように、切欠き付歯車317の切欠き部318に位置している遊星歯車315はブラケット3141が時計回りに揺動することにより切欠き付歯車317から離間する。一方、遊星歯車316は切欠き付歯車317に接近し、切欠き付歯車317の歯部に噛合する。ここで、遊星歯車316は反時計回りに回転しているので、切欠き付歯車317が遊星歯車316に噛合することで、切欠き付歯車317は時計回りに回転する。切欠き付歯車317の回転に従って回転軸223も回転し、カム224も同様に回動する。
【0043】
すなわち、図7(b)に示す方向から見てカム224が反時計方向に回動するので、カム224の凹部230bで保持されていた揺動軸225は揺動軸ガイド226に規制された状態でカム224によって鉛直方向に移動する。すなわち、揺動軸225が鉛直方向の下方向に移動するので、ピンチバネ222の伸び量が減少していき、ピンチローラ201に付加されるニップ圧が減少する。
図4に示す方向から見て所定の角度だけ切欠き付歯車317が時計回りに回転すると、図6(a)に示すように遊星歯車316が切欠き付歯車317の切欠き部318に位置する。遊星歯車316は切欠き付歯車317の切欠き部318で空転し、切欠き付歯車317の回転は終了する。切欠き付歯車317の回転が終了することにより、ニップ圧の切り替え動作が完了し、図6(b)に示すように揺動軸225がカム224の凹部230aで保持され、ニップ圧が低減された状態で一定となる。
【0044】
次に、ニップ圧が弱い状態から強い状態に切り替わるときのニップ圧切替機構319の動作について説明する。図8はニップ圧が弱い状態から強い状態に切り替わる途中の状態を示した図である。
用紙戻し完了後のニップ圧切替機構319は図6に示す状態になっている。サーマルヘッド204が印刷位置に移動した後、図4に示す方向から見て用紙搬送モータ30が時計回りに回転することで、用紙搬送モータ30の所定の印刷速度への加速動作が開始される。図4に示す方向から見て用紙搬送モータ30が時計回りに回転することで太陽歯車314は反時計回りに回転し、ブラケット3141が反時計回りに揺動する。ブラケット3141の揺動に従って、遊星歯車315および遊星歯車316も一体的に反時計回りに揺動する。図6(a)に示すように、切欠き付歯車317の切欠き部318に位置している遊星歯車316はブラケット3141が反時計回りに揺動することにより切欠き付歯車317から離間する。一方、遊星歯車315は切欠き付歯車317に接近し、切欠き付歯車317の歯部に噛合する。ここで、遊星歯車315は、時計回りに回転しているので、切欠き付歯車317が遊星歯車315に噛合することで、図8(a)に示すように切欠き付歯車317は反時計回りに回転する。切欠き付歯車317の回転に従って回転軸223も回転し、カム224も同様に回動する。
【0045】
すなわち、図6(b)に示す方向から見てカム224が時計方向に回動するので、カム224の凹部230aで保持されていた揺動軸225は揺動軸ガイド226に規制された状態でカム224によって鉛直方向に移動する。すなわち、揺動軸225が鉛直方向の上方向に移動するので、ピンチバネ222の伸び量が増加していき、ピンチローラ201に付加されるニップ圧が増加する。
図4に示す方向から見て所定の角度だけ切欠き付歯車317が反時計回りに回転すると、図7(a)に示すように遊星歯車315が切欠き付歯車317の切欠き部318に位置する。遊星歯車315は切欠き付歯車317の切欠き部318で空転し、切欠き付歯車317の回転は終了する。切欠き付歯車317の回転が終了することにより、ニップ圧の切り替え動作が完了し、図7(b)に示すように揺動軸225がカム224の凹部230bで保持され、ニップ圧が高い状態で一定となる。
【0046】
次に、図9を用いてサーマルプリンタ100における印刷処理の全体フローを説明する。図9は、サーマルプリンタ100における印刷処理の全体フローを示すフローチャートである。サーマルプリンタ100にカートリッジ110が装着され、電源が投入された後、印刷対象となる画像データの取り込みが完了すると、図9に示す処理が開始される。
【0047】
ステップS801では、メインコントローラ701は表示部102に表示された画像データの中から、操作部103を介してユーザにより印刷対象として選択された画像データに関する情報を受け付ける。
ステップS802では、メインコントローラ701は操作部103を介してユーザより印刷指示があったか否かを判定する。ステップS802において印刷指示があったと判定された場合には、ステップS803に進む。
【0048】
ステップS803では、メインコントローラ701は印刷可能か否かを判定する。ここでは、メインコントローラ701はステップS801において選択された画像データ全てが印刷可能であるか否かをロール紙500の残量に基づいて判定する。
ステップS803において印刷可能でないと判定された場合、メインコントローラ701は印刷不可である旨のメッセージを表示部102に表示すると共に、ステップS807に進む。
一方、ステップS803において印刷可能であると判定された場合、ステップS804に進み、メインコントローラ701は選択された画像データに基づいて各色ごとの印画データを生成する。
【0049】
ステップS805では、メインコントローラ701は生成された印画データを用いて印刷処理を行う。なお、印刷処理の詳細は、後述する。
ステップS806では、メインコントローラ701は印刷対象として選択された次の画像データがあるか否かを判定する。ステップS806において、印刷対象として選択された次の画像データがあると判定された場合、ステップS803に戻り、メインコントローラ701は上記処理を繰り返す。
【0050】
一方、ステップS806において、印刷対象として選択された次の画像データがないと判定された場合、またはステップS803において印刷可能でないと判定された場合、ステップS807に進む。
ステップS807ではメインコントローラ701は終了処理を行う。具体的には、メインコントローラ701はロール紙500を巻き上げ、ロール紙500の先端部が搬送路501にくるようにする。
【0051】
次に、ステップS805の印刷処理におけるサーマルプリンタ100の動作について説明する。
始めに行われるインクリボン510の頭出しについて図10を用いて説明する。
インクリボン510にはイエローのインクリボンY512、マゼンタのインクリボンM513、シアンのインクリボンC514、オーバーコート層515の各面の頭出し位置に識別帯としてのマーカ511が塗布されている。マーカ511は黒色の線であり、リボン頭出しセンサ707によって、マーカ511を検知するようになっている。インクリボンY512のインク面の先頭部分にはマーカ511が2本塗布されており、他の色の先頭部分と区別されている。これらの区別は、リボン頭出しセンサ707において識別され、最初に印刷するインクリボンY512の頭出しを行う。
【0052】
以下、図2を用いて印刷動作の説明を行う。まず、インクリボン510の頭出しが完了した後に行われる給紙動作について説明する。図4に示す方向から見て用紙搬送モータ30が反時計回りに回転することで、ロール紙500と一体的に回転するロール紙ローラ軸200は、図2(a)に示す方向から見て反時計回りに回転することで、ロール紙500が回転する。ロール紙500が回転することで、ロール紙500はカートリッジ110から送り出され、キャプスタン202まで搬送される。キャプスタン202によりグリップされたロール紙500は、図2(a)に示す方向から見て時計回りに回転するキャプスタン202により更に搬送され、離間状態になっているサーマルヘッド204とプラテンローラ205との間を通過する。
【0053】
キャプスタン202の排紙方向側には不図示のロール紙頭出しセンサ707が配されており、ロール紙500の先端部がロール紙頭出しセンサ707を通過すると、ロール紙頭出しセンサ707がOFFからONに切り替わる。
ロール紙頭出しセンサ707のON信号をトリガとして、印刷サイズに応じてロール紙500が搬送された後、停止する。このとき、印刷時の印刷速度への加速に必要な距離を考慮して、印刷開始位置よりも余分に用紙搬送され、待機位置に到達する。
【0054】
ロール紙500が待機位置に到達すると、サーマルヘッド圧切替モータ40が駆動し、ブラケット214を回動させ、ブラケット214と一体的に固定されているサーマルヘッド204を所定の印刷位置に移動させる。
サーマルヘッド204が所定の印刷位置に移動した後、図4に示す方向から見て用紙搬送モータ30を時計回りに回転させて所定の印刷速度への加速が行われる。用紙搬送モータ30の加速中にニップ圧切替機構319によりニップ圧が弱い状態から強い状態に切り替えられる。加速が完了すると、ロール紙500は印刷開始位置に到達する。
【0055】
ロール紙500が印刷開始位置に到達した後、印刷終了位置まで搬送されるまでの間、サーマルヘッド204への通電が行われる。該搬送中はインクリボン巻取り軸227が回転することにより、インクリボンY512がインクリボン供給軸228からロール紙500との重畳状態を保ちながら引き出され、ロール紙500へのイエローの印刷が行われる。
【0056】
ロール紙500へのイエローの印刷が完了すると、サーマルヘッド圧切替モータ40が駆動し、ブラケット214を回動させ、ブラケット214と一体的に固定されているサーマルヘッド204を所定の退避位置に移動させる。
サーマルヘッド204の所定の退避位置への移動が完了した後、キャプスタン202を駆動することでロール紙500は待機位置へ戻される。ロール紙500を退避位置へ戻す過程でニップ圧切替機構319によりニップ圧が強い状態から弱い状態へと戻される。
【0057】
このようにしてロール紙500へのイエローの印刷および用紙戻しが行われ、以下、マゼンタ、シアン、オーバーコート層の順に同様の動作が行われる。
オーバーコート層の印刷が完了すると、サーマルヘッド圧切替モータ40が駆動し、ブラケット214を回動させ、ブラケット214と一体的に固定されているサーマルヘッド204を所定の退避位置に移動させる。
【0058】
サーマルヘッド204の所定の退避位置への移動が完了した後、ロール紙500は排紙方向へ搬送される。このとき、ロール紙500は印刷領域と未印刷領域の境界がカッターユニット207の切断位置にくるように搬送される。キャプスタン202により所定量の搬送が行われた後、カッターユニット207によりロール紙500が切断される。
【0059】
カット処理により先端部が切断されたロール紙500の残りは、排紙ローラ212によりグリップされた状態にある。この状態から、排紙ローラ212が図2(a)に示す方向から見て時計回りに回転し、ロール紙500は排紙方向に搬送される。ここで、カートリッジ110側のロール紙500の先端は排紙時の紙送りと同時に排紙方向に搬送される。この結果、印刷済みのロール紙500は排紙ローラ212により排紙方向に搬送された後、上流側から来た未印刷のロール紙500の先端に押出されサーマルプリンタ100外に排出される。
【0060】
次に図9のステップS806およびステップS807における印刷処理時のサーマルプリンタ100の動作について説明する。
排紙動作完了後、ロール紙500は引き出された状態になっている。次の印刷を行わない場合は、ロール紙500がカートリッジ110内に完全に収納されてカートリッジ110が着脱可能な状態になっていなければならない。そのため、ロール紙500の巻取り動作を行う。
ロール紙500の巻取り動作はキャプスタン202を図2に示す方向から見て反時計回りに、ロール紙ローラ軸200を時計回りに回転させることで行う。ロール紙500の巻取り中にはロール紙頭出しで使用したロール紙頭出しセンサ707を使用する。ロール紙有りの状態から無しの状態に変わるところを起点に所定量キャプスタン202とロール紙ローラ軸200を追加駆動することで精度よくロール紙500をカートリッジ110に収納することができる。以上のようにして、一枚の印刷が行われる。
【0061】
このように本実施形態のサーマルプリンタ100によれば、用紙戻し終了から印刷開始までの間に一回以上行われるサーマルヘッド圧の切り替えの際にサーマルヘッド圧切替モータ40が発生させなければならない力が小さくなる。したがって、本実施形態のサーマルプリンタ100によれば、サーマルプリンタ100を大型化することなく、サーマルヘッド圧切り替えの時間を短縮することができ、更なる高速印刷を行うことができる。
【0062】
なお、本実施形態では、記録紙としてロール紙500を用いるサーマルプリンタ100について説明したが、記録紙としてカット紙を用いても良い。
また、本実施形態において、ニップ圧切替機構319として用紙搬送モータ30の回転方向と太陽歯車314の回転方向が逆方向である場合について説明したが、太陽歯車314の回転方向は用紙搬送モータ30の回転方向と同じ方向でも良い。
【0063】
また、本実施形態において、歯車の数や構成は任意であり、必ずしも本実施形態と同じである必要はない。
また、本実施形態において、インクリボンの巻き上げを用紙搬送モータ30により行う構成としたが、その他のモータまたはインクリボン巻き上げ用のモータを用いて行っても良い。
また、本実施形態においては、ピンチローラに加圧力を加えることでニップ圧を調整したが、ピンチローラではなくキャプスタンローラ側を加圧することにより、ニップ圧を調整する構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
100:サーマルプリンタ 201:ピンチローラ 202:キャプスタン 204:サーマルヘッド 205:プラテンローラ 207:カッターユニット 212:排紙ローラ 214:ブラケット 215:サーマルヘッド支持板 217:サーマルヘッド加圧レバー 218:サーマルヘッド加圧バネ 219:ブッシュ 221:ピンチレバー 222:ピンチバネ 223:回転軸 224:カム 225:揺動軸 226:揺動軸ガイド 30:用紙搬送モータ 314:太陽歯車 3141:ブラケット 315:遊星歯車 316:遊星歯車 317:切欠き付歯車 40:サーマルヘッド圧切替モータ 500:ロール紙 501:搬送路 510:インクリボン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙にインクを転写させる印刷装置であって、
印刷時には圧接し、用紙戻し時には離間するサーマルヘッドおよびプラテンローラと、
前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとの圧接状態と離間状態とを切り替える第一の駆動部と、
用紙を搬送するキャプスタンと、
前記キャプスタンに対向し前記用紙を挟持するピンチローラと、
前記キャプスタンを駆動する第二の駆動部と、
前記第二の駆動部により駆動され、印刷時の前記キャプスタンと前記ピンチローラとの圧力よりも用紙戻し時の前記キャプスタンと前記ピンチローラとの圧力を低減させる加圧力切替手段とを有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記加圧力切替手段は、前記キャプスタンまたは前記ピンチローラに加圧力を付加する加圧力付加手段による加圧力を切り替えることにより、印刷時と用紙戻し時とで前記キャプスタンと前記ピンチローラとの加圧力を変えることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記加圧力切替手段は、
第一の遊星歯車と第二の遊星歯車とを有する遊星歯車機構と、
切欠き部を有し前記第一の遊星歯車および前記第二の遊星歯車と噛合する切欠き付歯車と、
前記切欠き付歯車の回動に連動して駆動されるカムとを有することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記カムは少なくとも二つの位置に移動し、
前記加圧力切替手段は、前記カムの第一の位置と第二の位置で加圧力の切り替えを行うことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記キャプスタンの回転方向に従って、前記第一の遊星歯車および前記第二の遊星歯車の何れかが前記切欠き付歯車を回転させ、加圧力の切り替えが行われることを特徴とする請求項3または4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第一の遊星歯車または前記第二の遊星歯車が前記切欠き歯車の前記切欠き部で空転することにより、前記切欠き歯車の回動が停止し、前記カムが前記第一の位置または前記第二の位置に保持されることを特徴とする請求項4または5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記サーマルヘッドによる印刷は、前記加圧力切替手段による加圧力の切り替えが完了した後に行われることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−192613(P2012−192613A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57935(P2011−57935)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】