説明

印刷装置

【課題】本発明は連続する印刷ジョブの印刷枚数や装置のエンジン仕様に基づいて、自動的に適切な印刷速度の切り換え制御を行い、印刷処理時間を短く制御すると共に、印字品質を確保した印刷装置を提供する。
【解決手段】複数の印刷速度の切換えが可能な印刷装置であって、印刷ジョブを複数格納する印刷ジョブ格納手段と、低速及び高速の印刷速度や、低速及び高速の第1頁の印刷速度、低速から高速への印刷速度モード切換え時間を記憶する記憶手段を有し、前記格納手段から読み出され先に印刷処理される先行印刷ジョブが処理される印刷処理速度に基づき後続の印刷ジョブも継続的に印刷処理を行った場合の総印刷処理時間と、先行印刷ジョブの完了後先行印刷ジョブの印刷処理速度とは異なる処理速度に切り換えて印刷処理を行った場合の総印刷処理時間とを予め比較演算し、総印刷処理時間が短くなる方の処理速度により複数印刷ジョブの処理を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷速度を切り替えて印刷処理を行うことが可能な印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置等の印刷装置には複数の印刷速度を切り替えて使用することができる印刷装置が存在する。例えば、高速な印刷速度で印刷処理を行うモード(以下、高速モードで示す)と、低速な印刷速度で印刷処理を行うモード(以下、低速モードで示す)を備えた印刷装置がある。このような印刷装置では、印刷速度だけを比較した場合、高速モードで処理を行う方が好ましい。しかし、低速モードの方が高速モードより優れている点がある。
【0003】
例えば、高速モードより低速モードの方が消費電力が少なく、経済面及び環境面で優れている。また、低速モードの方が印字品質に優れ、駆動音も小さい。さらに、高速モードの場合、用紙サイズや紙種に制約がある。したがって、印刷時間を優先する印刷処理では高速モードによって印刷処理を行い、それ以外の場合には、低速モードによって印刷処理を行うことが有効である。
【0004】
尚、特許文献1に記載された発明は、ホスト機器から供給される印刷データのトナー使用量を計算し、トナー使用量に対応した印刷速度の設定を行い、印字品質を確保しつつ、処理速度を考慮した印刷装置を提案する。また、特許文献2はホストコンピュータから受信した印刷データ毎に印刷速度を指定する命令が付加され、プリンタ装置は指定された印刷速度で印刷処理を行う発明を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−162199号公報
【特許文献2】特開2003−341189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような複数の印刷速度を切り替えて使用する印刷装置において、例えば高速モードの印刷データと低速モードの印刷データが混在する場合があり、この場合、途中で印刷装置の印刷速度を切換える必要がある。低速モードの印刷データの直後に高速モードの印刷データが存在する場合、低速モードの印刷データの全頁が完全に排紙され、エンジンが停止した後に印刷速度のモード切換えを行い、高速モードの印刷データの印刷処理を開始する。しかし、高速モードの印刷データが頁数の少ない印刷物である場合、高速モードの印刷データを低速モードのまま印刷したほうが、結果的に処理時間が短いことがある。
【0007】
例えば、印刷装置のエンジン仕様に予め規定された印刷速度が、低速モードで30ppm(MPOT:2sec/page)、高速モードで60ppm(MPOT:1sec/page)、低速モードから高速モードへの印刷速度のモード切換え時間(MCT)が2secであるプリンタ装置の例を考える(尚、印刷装置のエンジン仕様に規定される前記印刷速度の値は、A4サイズ用紙を短手方向に搬送した場合の処理速度に基づくものである)。例えば、電子写真方式のプリンタの場合、印刷速度を変更すると、熱定着装置の温度を変更したり、或いは、モータ駆動を一旦停止するなどして用紙搬送駆動系の切換えなどを行うなど、準備が整うまでのモード切換え時間が必要となり、本実施例では、この時間を2secと設定する。尚、最初の1頁の印刷時間(以下、ファーストプリント時間(FPOT)で示す)は、用紙貯留部から印刷機構部まで用紙を給紙搬送したり、ホストコンピュータより受信した印刷データから印刷すべき画像データを生成するのに時間を要する為、2頁以降の連続頁印刷処理に要する1頁の印刷時間よりも長い時間がかかり、本実施例の印刷装置の場合には、低速モードの場合6secであり、高速モードの場合5secであるものとする。
上記条件において、例えば印刷装置が処理するジョブDが10ページの低速モード印刷データであり、ジョブEが3ページの高速モード印刷データである場合、ジョブDとジョブEを連続して印刷する場合の印刷時間を計算すると、以下のようになる。以下、図6に示すタイムチャートを基に、複数の印刷ジョブ(D、E)を印刷速度モードを切り換えて、もしくは、切り換えないで処理した場合の印刷処理総時間について説明する。
【0008】
先ず、ジョブDの印刷完了後に、印刷速度モードの切換えを行う場合、ジョブEを高速モードで印刷するため、
《モード》 合計
ジョブDの10ページ目の印刷完了 《低速》-- ジョブD排紙
プリンタ印刷速度モード切換え時間(MCT) 《低⇒高》 2sec
ファーストプリント時間(FPOT) 《高速》 5sec
ジョブEの2、3ページ目の印刷時間 [2頁x1(MPOT)] 《高速》 2sec
したがって、ジョブDの印刷処理の完了からジョブEの印刷処理が完了するまで、9sec必要となる。
【0009】
一方、印刷速度モードの切換えを行わない場合、ジョブEを低速モードで印刷されるので、
《モード》 合計
ジョブDの10ページ目の印刷完了 《低速》 -- ジョブD排紙
ジョブEの1〜3ページの印刷時間 [3頁x2(MPOT)] 《低速》 6sec
【0010】
したがって、ジョブDの印刷処理の完了からジョブEの印刷処理の完了するまで、6sec必要となる。したがって、この場合、高速モードの印刷データを低速モードのまま印刷処理したほうが、結果的に処理時間が短くて済む。
上記のようにジョブDとジョブEの印刷枚数やプリンタ装置のエンジン仕様によって印刷処理に要する時間が異なり、単純に低速モードから高速モードに切り換え処理を行った方が、印刷処理時間が短いとは限らない。
【0011】
そこで、本発明は複数の印刷速度で印刷処理を行うことが可能な印刷装置において、連続する印刷ジョブの印刷枚数やプリンタ装置のエンジン仕様に基づいて、自動的に適切な印刷速度の切り換え制御を行い、印刷処理時間を短く制御すると共に、印字品質を確保した印刷装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は本発明によれば、第1又は第1の印刷処理速度とは異なる第2の印刷処理速度を選択的に切換えて印刷処理を行う印刷装置において、前記第1の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の最初の1頁印刷データが印刷完了する迄に要するファーストプリント時間と、前記第1の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の2頁目以降の印刷データを連続して印刷処理した場合の各頁の印刷が順次完了する間隔、及び、前記第2の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の最初の1頁印刷データが印刷完了する迄に要するファーストプリント時間と、前記第2の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の2頁目以降の印刷データを連続して印刷処理した場合の各頁の印刷が順次完了する間隔、更に、前記第1から第2の印刷処理速度に切り換えて後続印刷を開始するのに要する切換時間の各仕様値をそれぞれ記憶する記憶手段と、前記印刷装置に接続される上位装置から送信されてきた印刷ジョブを複数格納する印刷ジョブ格納手段と、を備え、前記印刷ジョブ格納手段に格納された複数の印刷ジョブを連続して印刷処理する際、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記格納手段から読み出され先に印刷処理される先行印刷ジョブが処理される第1の印刷処理速度に基づき後続の印刷ジョブも継続的に印刷処理を行った場合の前記後続印刷ジョブの完了までに要する総印刷処理時間と、前記先行印刷ジョブの完了後前記第2の印刷処理速度に基づいて前記後続する印刷ジョブの印刷処理を行った場合の前記後続印刷ジョブの完了までに要する総印刷処理時間とを演算し、前記両場合の演算値の比較結果に基づき、前記完了までに要する時間が長くない方の印刷処理速度を選択して前記後続の印刷ジョブの印刷処理速度を設定する印刷処理速度選択制御手段とを備えることを特徴とする印刷装置を提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、印刷処理を実行する直前の印刷ジョブの印刷速度モードに応じて、当該印刷ジョブの印刷速度モードを自動的に設定し、最も短い印刷処理時間で印刷処理を行うことができる。また、当該印刷ジョブの直後の印刷ジョブの印刷速度も考慮して自動的に当該印刷ジョブの印刷速度モードを設定でき、印刷処理時間を短く制御すると共に、印字品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態を説明するシステム構成図である。
【図2】ジョブテーブルのデータ構成を示す図である。
【図3】プリンタ情報記憶部の構成を示す図である。
【図4】実施形態1の処理動作を説明するフローチャートである。
【図5】実施形態2の処理動作を説明するフローチャートである。
【図6】(a)複数の印刷ジョブを異なる印刷速度モードで連続して処理した場合の印刷総時間を説明するタイムチャート。(b)複数の印刷ジョブを同じ印刷速度モードで連続して処理した場合の印刷総時間を説明するタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1は本実施形態のシステム構成図である。同図において、プリンタ装置1はLAN(local area network)等のネットワークを介してパーソナルコンピュータ(PC)等のホスト機器2に接続されている。プリンタ装置1は受信部3、制御部4、実行処理部5、転送部6、プリンタエンジン7、受信バッファ8、フレームメモリ9、プリンタ情報記憶部10、ジョブテーブル11、及びタイマ12で構成されている。
【0016】
ホスト機器2は、アプリケーションに従って作成した印刷データをプリンタドライバによって印刷データ(PDL(Page Description Language))データに変換し、プリンタ装置1に送信する。プリンタ装置1の受信部3は、ホスト機器2から入力した印刷データを受信し、受信データに含まれるジョブ名や、印刷速度モード、印刷枚数、印刷する用紙サイズの情報を抽出し、制御部4に通知する。また、受信部3は受信した印刷データを受信バッファ8に順次書き込む。
【0017】
制御部4は受信部3からの通知を受けると、ジョブテーブル11にジョブ登録を行い、通知されたジョブ名を設定し、更に通知された印刷速度モード(指定モード)や、印刷枚数、印刷する用紙サイズの情報をジョブテーブル11に記憶する。
【0018】
図2はジョブテーブル11の構成を示す図である。ジョブテーブル11は「指定モード」、「印刷枚数」、「用紙サイズ」、「実行モード」、「印刷完了残り時間」、「更新時刻」の各記憶エリアで構成されている。そして、上記制御部4から送信されたジョブ名、印刷速度モード(指定モード)、及び印刷枚数の情報は、ジョブテーブル11の対応するエリアに記憶される。
【0019】
例えば、図2に示す例では、ジョブAとして、「指定モード」のエリアに低速モードの情報が記憶され、「印刷枚数」のエリアに10枚の情報が記憶され、「実行モード」のエリアに低速モードの情報が記憶され、「印刷完了残り時間(RT)」のエリアに17秒の情報が記憶され、「更新時刻」にエリアに2010/01/20 17:35:06の情報が記憶されている。また、ジョブBとして、「指定モード」のエリアに高速モードの情報が記憶され、「印刷枚数」のエリアに5枚の情報が記憶され、更にジョブCとして、「指定モード」のエリアに低速モードの情報が記憶され、「印刷枚数」のエリアに20枚の情報が記憶されている。尚、ジョブB及びジョブC共に、「実行モード」以降の各エリアは未定である。
【0020】
実行処理部5は、制御部4から実行開始の通知を受けると、受信バッファ8から印刷データを順次読み出し、コマンド解析処理を行い、1ページ単位で画像データを完成させる。また、1ページ分の画像データが完成すると、フレームメモリ9に画像データを展開する。
【0021】
転送部6はフレームメモリ9から画像データを読み出し、プリンタエンジン7に転送する。転送部6はこのデータ転送の際、ジョブテーブル11を参照し、当該ジョブテーブル11の対応する「実行モード」に記録された印刷速度モードをプリンタエンジン7に設定する。プリンタエンジン7は設定された印刷速度モードで用紙への印刷処理を実行する。
尚、本実施形態においては、プリンタエンジン7は、転送部6から転送された画像データに基づいて、発光するLEDアレイからなる露光ヘッドにより、帯電された感光体ドラム表面を露光して静電潜像を形成し、この潜像をトナーで可視像に現像した後、記録用紙に転写し、定着処理して印刷物を出力する電子写真方式のプリンタが用いられるが、この方式に限らず、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ、サーマルプリンタなど、様々な方式のプリンタにも本発明の方法が適用出来る。
【0022】
また、転送部6は、ページ毎の排紙を認識し、ジョブ全ページの排紙が完了したことを認識すると、ジョブテーブル11の当該ジョブを削除する。
尚、ジョブの「印刷完了残り時間(RT)」に未定が設定されている場合、「印刷枚数」、「実行モード」、及びプリンタ情報の印刷速度、ファーストプリント時間の情報から当該ジョブの印刷完了までの時間を算出し、「印刷完了残り時間(RT)」に設定し、同時に現在時刻を常に計時しているタイマ12から現在時刻の情報を読み出し「更新時刻」のエリアに「印刷完了残り時間(RT)」の更新情報を書き込んだ時刻を記憶する。
ここで、本発明における、プリンタ情報の「印刷速度(PPM)」(PPM:Page per minute)、「ファーストプリント時間(FPOT)」(FPOT:First Printout Time)、「連続印刷間隔(MPOT)」(MPOT:Multi Printout Time)の情報とは、以下の内容で定義される。
印刷速度(PPM):連続印刷中の2 ページ目以降の印刷において、1 分間に出力される印刷物のページ数。(1頁の記録用紙排出時間間隔に換算すると(sec/page)即ち、連続印刷間隔(MPOT)の値になる。)
ファーストプリント時間(FPOT):第1 枚目のデータを受信開始してから印刷を終え、用紙をプリンタ装置外に排出完了させるまでに要する時間。
連続印刷間隔(MPOT):連続印刷中の2 ページ目以降の印刷において、記録用紙が排出される間隔(sec/page)。上記印刷速度(PPM)に対応する値。
尚、上記定義から明らかなように、「印刷速度(PPM)」と「連続印刷間隔(MPOT)」とは表現形式(単位)が異なるだけで同義であるため、本発明においては、総称して「印刷速度」と表現する場合がある。
【0023】
図3は上記プリンタ情報記憶部10のデータ構成を説明する図であり、本例のプリンタ装置1の印刷速度の情報、ファーストプリント時間の情報(FPOT)、及び印刷モードの切換え時間の情報(MCT)を記憶する。例えば、印刷速度(PPM)として、低速モードが30ppm(MPOT:2sec/page)、高速モードが60ppm(MPOT:1sec/page)の情報を記憶する。また、ファーストプリント時間(FPOT)の情報として、低速モードが6秒、高速モードが5秒の情報を記憶する。さらに、印刷モードの切換え時間(MCT)の情報として、低速モードから高速モードへの切換え時間が2秒、高速モードから低速モードへの切換え時間が1秒の情報を記憶する。
尚、印刷速度の情報、ファーストプリント時間の情報は、印刷される用紙サイズ(用紙搬送方向に応じたサイズ)に対応した値がプリンタ情報記憶部10にそれぞれ予め設定記憶されており、印刷に要する時間を求める際には、印刷すべき用紙サイズに応じた値が選択され演算処理されるものであるが、説明を簡略化するため用紙のサイズはA4サイズのみの場合を説明する。
【0024】
以上の構成において、以下に本実施形態の処理動作を説明する。
図4は本実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。実行処理部5はジョブテーブル11に記録された情報に従って、例えば図2に示すジョブAを実行しており、同図に示すように「指定モード」は低速モードであり、「印刷枚数」は10枚である。また、「実行モード」は低速モードに設定されており、プリンタエンジン7は低速モードでジョブAの印刷処理を行っている。尚、「更新時刻」におけるジョブAの印刷完了までの残り時間(RT:Remain Time)は23秒である。
【0025】
この状態において、次の印刷データがホスト機器2から送信され、受信バッファ8に格納されると、制御部4は入力する印刷データのジョブ名、印刷速度、印刷用紙サイズ、及び印刷枚数の情報を読み出し、ジョブテーブル11に記録する。図2に示す例では、次の印刷データのジョブ名はBであり、印刷速度の情報は高速であり、印刷枚数の情報は5枚である。
【0026】
したがって、上記情報はジョブテーブル11に記録され、その後「実行モード」のエリアに「指定モード」に記録された情報が設定される(ステップ(以下、Sで示す)1)。この場合、最初ジョブBの「実行モード」のエリアに高速の設定が行われる。
【0027】
次に、直前ジョブ情報があるか判断する(S2)。すなわち、ジョブテーブル11を参照し、ジョブBの前に印刷処理を行っているジョブがあるか判断し、図2に示す例ではジョブBの直前にジョブAがあり、判断(S2)はYESである。尚、ジョブBの直前にジョブが無ければ(S2がNO)、指定された高速の印刷処理を行う。
尚、「直前」とは、前のジョブの印刷処理が既に完了してしまったものは、直前ジョブの対象として考慮されない。
【0028】
一方、上記のようにジョブBの直前にジョブが有ると(S2がYES)、「指定モード」が高速モードであるか判断し(S3)、上記のようにジョブBは高速モードであるので、判断(S3)はYESである。したがって、次に制御部4は直前ジョブの指定モードが高速モードであるか判断する(S4)。
【0029】
上記のように、直前ジョブ(ジョブA)の指定モードは低速モードであり、判断(S4)はNOである。したがって、この場合印刷モード切り換え処理を行った時の当該ジョブBの印刷完了時間を算出する(S5)。また、印刷モード切り換え処理を行わない時の当該ジョブBの印刷完了時間も算出する(S6)。
【0030】
そして、印刷モードを切り換えた方が印刷完了が早い場合(S7がYES)、実行モードに低速モードを設定する(S8)。したがって、この場合、図2に示すジョブBの「実行モード」のエリアを高速から低速に切り換え、この印刷速度によってプリンタエンジン7を駆動する。一方、印刷モードを切り換えない方が印刷完了が早い場合(S7がNO)、実行モードを高速モードのままとし、この印刷速度によってプリンタエンジン7を駆動する。
尚、上記条件が整わない場合(S3がNO、S4がNO)、指定された高速の印刷処理を行う。また、印刷データに「指定モード」が指定されていない場合には、自動的に高速モードで印刷処理が行われる。
【0031】
次に、上記印刷モード切り換え時の当該ジョブBの印刷完了時間の算出(S5)と、印刷モード切り換え無し時の当該ジョブBの印刷完了時間(S6)の算出方法を、以下に具体的な数値を使用して説明する。
尚、上記計算を行う際、図3に示すプリンタ情報記憶部10に記憶された前述の印刷速度(PPM)の情報、即ち、連続印刷間隔(MPOT)の情報、ファーストプリント時間(FPOT)の情報、及び印刷モードの切換え時間(MCT)の情報を参照して行う。
【0032】
先ず、処理(S5)の場合、ジョブBの印刷完了は、直前ジョブの印刷完了残り時間(RT)の17秒と、低速モードから高速モードへの印刷速度モード切換え時間(MCT)2秒と、高速時のファーストプリント時間(FPOT)5秒と、残り全ページの印刷時間4秒(高速(MPOT)1秒/page×4枚)の合計28秒と算出される。
【0033】
次に、処理(S6)の場合、ジョブBの印刷完了は、直前ジョブの印刷完了残り時間(RT)の17秒と、低速時のファーストプリント時間(FPOT)2秒と、残り全ページの印刷時間8秒(低速(MPOT) 2秒/page×4枚)の合計27秒と算出される。
【0034】
したがって、図2に示す例の場合、処理(S6)で演算した、印刷モード切り換え無し時のジョブBの印刷完了時間の方が短時間で済むので、ジョブBの印刷処理を行う際、印刷モードを切り替えることなく、低速モードによってジョブBの印刷処理を行うことになる。このように処理することによって、印刷処理時間が短く、かつ印字品質も優れた印刷出力を行うことができる。
【0035】
但し、ジョブBの1ページ目を印刷する時間(FPOT)は、直前ジョブ(ジョブA)の印刷完了残り時間(RT)(調整済み)が、低速のFPOT値6秒より短い場合には、この低速FPOT時間を適用する。例えば、ジョブBの印刷枚数が5枚、直前ジョブの印刷完了残り時間(RT)が2秒の場合、直前ジョブの印刷完了は低速のファーストプリント時間(FPOT)より短く、このファーストプリント時間(FPOT)6秒と、残り全ページの印刷時間8秒(2sec×4枚)の合計14秒を使用して算出する。
【0036】
尚、上記印刷完了残り時間(RT) (調整済み)は、タイマ12から読み出した現在時刻と、ジョブテーブル11の「更新時刻」に記録された時刻の差分を加味し、ジョブテーブル11の「印刷完了残り時間(RT)」を調整した時間である。
【0037】
例えば、ジョブテーブルの「印刷完了残り時間(RT)」のエリアに23秒が記憶され、ジョブテーブル11の「更新時刻」が2011/01/20 17:35:06である場合、タイマ12から読み出した現在時刻が2011/01/20 17:35:27であれば、現在時刻と更新時刻の差分21秒(2011/01/20 17:35:27 - 2011/01/20 17:35:06 = 21秒)を算出し、印刷完了残り時間(RT)から減算し(23 - 21 = 2秒)、印刷完了残り時間(RT) (調整済み)として2秒を算出する。
【0038】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。本実施形態についても、基本的に図1に示すシステムを使用し、プリンタ装置1はLAN等のネットワークを介してパーソナルコンピュータ(PC)等のホスト機器2に接続され、プリンタ装置1は受信部3、制御部4、実行処理部5、転送部6、プリンタエンジン7、受信バッファ8、フレームメモリ9、プリンタ情報記憶部10、ジョブテーブル11、及びタイマ12で構成されている。
【0039】
前述の実施形態1では、直前ジョブと連続して印刷するケースにおいて、当該ジョブの印刷完了が早い方を選択する制御について説明したが、本実施形態2では、当該ジョブの後ろに後続ジョブがある場合の制御を説明するものである。
【0040】
図5は本例のプリンタ装置1の処理動作を説明するフローチャートである。
先ず、印刷処理を行おうとするジョブ(ジョブB)の後ろにジョブ情報が有るか判断する(ステップ(以下、STで示す)1)。ここで、ジョブBの後ろにジョブ情報が無ければ(ST1がNO)、前述の実施形態1と同じ処理を行う(ST2)。
【0041】
一方、ジョブBの後ろにジョブ情報があると(ST1がYES)、ジョブテーブル11の「実行モード」のエリアに「指定モード」に記録された情報を設定する(S3)。例えば、図2に示す例では、「実行モード」のエリアに高速の情報を設定する。
【0042】
次に、「指定モード」は高速モードであるか判断する(ST4)。この時、上記のように「指定モード」は高速モードに設定されており(ST4がYES)、更に直前ジョブ情報が高速モードであるか判断する(ST5)。図2に示す例では、ジョブBの直前のジョブAは低速モードであるので、判断(ST5)はNOである。
【0043】
したがって、この場合印刷モード切り換え時の直後のジョブCの印刷完了時間を算出する(ST6)。さらに、印刷モード切り換え無し時の直後のジョブCの印刷完了時間も算出する(ST7)。
【0044】
そして、印刷モードを切り換えた方が印刷完了が早い場合(ST8がYES)、前述と同様、実行モードに低速モードを設定する(ST9)。このようにして設定された印刷速度によってプリンタエンジン7を駆動する。したがって、このように処理することにより、不要な印刷モードを切り替え処理を行うことなく、低速モードによって印刷処理を行うことによって、印刷処理時間が短く、かつ印字品質も優れた印刷出力を行うことができる。
【0045】
以下、ジョブA、ジョブB、更にジョブCを連続して印刷する場合の印刷時間を具体的な数値を使用して説明する。
(1)ケース1
印刷ジョブ
・ジョブA(低速モード印刷データ)10ページ(6sec(FPOT)+9頁×2sec(MPOT)=24sec)
・ジョブB(高速モード印刷データ)3ページ
・ジョブC(低速モード印刷データ)10ページ
(1)−1 ジョブAの印刷処理完了後、印刷速度モードの切換えを行う場合
《モード》 合計
ジョブA 10ページ目印刷完了 《低速》 ------- ジョブA排紙
プリンター印刷速度モード切換え(MCT) 《低⇒高》 2sec
ファーストプリント(FPOT) 《高速》 5sec
ジョブB 2,3ページ印刷 [2頁x1(MPOT)] 《高速》 2sec 9sec ジョブB排紙
プリンター印刷速度モード切換え(MCT) 《高⇒低》 1sec
ファーストプリント (FPOT) 《低速》 6sec
ジョブC 2〜10ページ印刷 [9頁x2(MPOT)] 《低速》 18sec 34sec ジョブC排紙

(1)−2 ジョブAの印刷処理完了後、印刷速度モードの切換えを行わない場合
《モード》 合計
ジョブA 10ページ目印刷完了 《低速》 ------ -- ジョブA排紙
ジョブB 1〜3ページ印刷 [3頁x2(MPOT)] 《低速》 6sec 6sec-- ジョブB排紙ジョブC 1〜10ページ印刷 [10頁x2(MPOT)]《低速》 20sec 26sec-- ジョブC排紙
上記計算結果から、このケース1では、ジョブBの印刷処理の完了も、ジョブCの印刷処理の完了も印刷速度モードの切換えを行わない場合((1)−2)の方が早くなる。
【0046】
(2)ケース2
印刷ジョブ
・ジョブA(低速モード印刷データ)10ページ(6sec(FPOT)+9頁×2sec(MPOT)=24sec)
・ジョブB(高速モード印刷データ) 3ページ
・ジョブC(低速モード印刷データ)10ページ
(2)−1 ジョブAの印刷処理完了後、印刷速度モードの切換えを行う場合
《モード》 合計
ジョブA 10ページ目印刷完了 《低速》 ---- -- ジョブA排紙
プリンタ印刷速度モード切換え(MCT) 《低⇒高》 2sec
ファーストプリント(FPOT) 《高速》 5sec
ジョブB 2、3ページ印刷 [2頁x1(MPOT)] 《高速》 2sec 9sec- ジョブB排紙
ジョブC 1〜10ページ印刷 [10頁x1(MPOT)] 《高速》 10sec 19sec- ジョブC排紙
(2)−2 ジョブAの印刷処理完了後、印刷速度モードの切換えを行わない場合
《モード》 合計
ジョブA 10ページ目印刷完了 《低速》 -------- ジョブA排紙
ジョブB 1〜3ページ印刷 [3頁x2(MPOT)] 《低速》 6sec 6sec- ジョブB排紙
ジョブC 1〜10ページ印刷 [10頁x2(MPOT)] 《低速》20sec 26sec- ジョブC排紙
【0047】
上記計算結果から、このケース2では、ジョブBの印刷処理の完了は印刷速度モードの切換えを行わない場合((2)−2)の方が早くなるが、ジョブCの印刷処理の完了は印刷速度モードの切換えを行う場合((2)−1)の方が早くなる。
【0048】
(3)ケース3
印刷ジョブ
・ジョブA(低速モード印刷データ)10ページ(6sec(FPOT)+9頁×2sec(MPOT)=24sec)
・ジョブB(高速モード印刷データ)10ページ
・ジョブC(低速モード印刷データ)10ページ
(3)−1 ジョブAの印刷処理完了後、印刷速度モードの切換えを行う場合
《モード》 合計
ジョブA 10ページ目印刷完了 《低速》 -------- - ジョブA排紙
プリンタ印刷速度モード切換え(MCT) 《低⇒高》 2sec
ファーストプリント (FPOT) 《高速》 5sec
ジョブB 2〜10ページ印刷 [9頁x1(MPOT)] 《高速》 9sec 16sec ジョブB排紙
プリンタ印刷速度モード切換え(MCT) 《高⇒低》 1sec
ファーストプリント (FPOT) 《低速》 6sec
ジョブC 2〜10ページ印刷 [9頁x2(MPOT)]《低速》18sec 41sec ジョブC排紙
(3)−2 ジョブAの印刷処理完了後、印刷速度モードの切換えを行わない場合
《モード》 合計
ジョブA 10ページ目印刷完了 《低速》 --------- ジョブA排紙
ジョブB 1〜10ページ印刷 [10頁x2(MPOT)]《低速》20sec 20sec ジョブB排紙
ジョブC 1〜10ページ印刷 [10頁x2(MPOT)]《低速》20sec 40sec ジョブC排紙
【0049】
上記計算結果から、このケース3では、ジョブBの印刷処理の完了は印刷速度モードの切換えを行う場合((3)−1)の方が早くなるが、ジョブCの印刷処理の完了は印刷速度モードの切換えを行わない場合((3)−2)の方が早くなる。
【0050】
(4)ケース4
印刷ジョブ
・ジョブA(低速モード印刷データ)10ページ(6sec(FPOT)+9頁×2sec(MPOT)=24sec)
・ジョブB(高速モード印刷データ)20ページ
・ジョブC(低速モード印刷データ)10ページ
(4)−1 ジョブAの印刷処理完了後、印刷速度モードの切換えを行う場合
《モード》 合計
ジョブA 10ページ目印刷完了 《低速》 ---------- ジョブA排紙
プリンタ印刷速度モード切換え(MCT) 《低⇒高》 2sec
ファーストプリント(FPOT) 《高速》 5sec
ジョブB 2〜20ページ印刷 [19頁x1(MPOT)] 《高速》 19sec 26sec ジョブB排紙
プリンタ印刷速度モード切換え(MCT) 《高⇒低》 1sec
ファーストプリント(FPOT) 《低速》 6sec
ジョブC 2〜10ページ印刷 [9頁x2(MPOT)] 《低速》 18sec 51sec ジョブC排紙
(4)−2 ジョブAの印刷処理完了後、印刷速度モードの切換えを行わない場合
《モード》 合計
ジョブA 10ページ目印刷完了 《低速》 ----------- ジョブA排紙
ジョブB 1〜20ページ印刷 [20頁x2(MPOT)] 《低速》 40sec 40sec ジョブB排紙
ジョブC 1〜10ページ印刷 [10頁x2(MPOT)] 《低速》 20sec 60sec ジョブC排紙
上記計算結果から、このケース4では、ジョブBの印刷処理の完了も、ジョブCの印刷処理の完了も印刷速度モードの切換えを行う場合((4)−1)の方が早くなる。
【0051】
尚、上記実施形態1及び2の説明において、ジョブの印刷完了残り時間(RT)が未定の場合、印刷完了残り時間(RT)を算出し設定するのもとしたが、紙なしや紙詰まりで印刷処理が停止した場合における、印刷完了残り時間(RT)を変更する必要がある場合に備えて、印刷残り枚数を管理の上、当該事象発生、印刷再開時に、印刷完了残り時間(RT)を再算出し、印刷完了残り時間(RT)に再設定するようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態1及び2の説明では、印刷データを印刷ジョブ単位で管理したが、印刷ジョブとは別に、印刷速度モードが同じである連続する印刷ジョブを1つのまとまりとして管理し、印刷速度の切換え制御を行うようにしてもよい。例えば、対象となるジョブが高速モードであり、かつ直後のジョブも高速モードである場合、これらを1つのまとまりとし、印刷枚数を合算させて制御してもよい。さらに、直後のジョブが高速モードであり、更に後続の印刷ジョブも高速モードである場合、それらの印刷枚数も合算して制御してもよい。
【0053】
本発明はいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下、本件特許出願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0054】
付記1
第1又は第1の印刷処理速度とは異なる第2の印刷処理速度を選択的に切換えて印刷処理を行う印刷装置において、
前記第1の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の最初の1頁印刷データが印刷完了する迄に要するファーストプリント時間と、前記第1の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の2頁目以降の印刷データを連続して印刷処理した場合の各頁の印刷が順次完了する間隔、及び、前記第2の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の最初の1頁印刷データが印刷完了する迄に要するファーストプリント時間と、前記第2の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の2頁目以降の印刷データを連続して印刷処理した場合の各頁の印刷が順次完了する間隔、更に、前記第1から第2の印刷処理速度に切り換えて後続印刷を開始するのに要する切換時間の各仕様値をそれぞれ記憶する記憶手段と、
前記印刷装置に接続される上位装置から送信されてきた印刷ジョブを複数格納する印刷ジョブ格納手段と、を備え、
前記印刷ジョブ格納手段に格納された複数の印刷ジョブを連続して印刷処理する際、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて、
前記格納手段から読み出され先に印刷処理される先行印刷ジョブが処理される第1の印刷処理速度に基づき後続の印刷ジョブも継続的に印刷処理を行った場合の前記後続印刷ジョブの完了までに要する総印刷処理時間と、
前記先行印刷ジョブの完了後前記第2の印刷処理速度に基づいて前記後続する印刷ジョブの印刷処理を行った場合の前記後続印刷ジョブの完了までに要する総印刷処理時間とを演算し、
前記両場合の演算値の比較結果に基づき、前記完了までに要する時間が長くない方の印刷処理速度を選択して前記後続の印刷ジョブの印刷処理速度を設定する印刷処理速度選択制御手段とを備えることを特徴とする印刷装置。
【0055】
付記2
前記印刷処理速度選択制御手段は、連続する複数ジョブの総印刷処理時間を、前記記憶手段に記憶されている前記仕様値を基に前記先行の印刷ジョブの印刷処理が完了する以前に演算することにより印刷速度を切り換えるか否か判断することを特徴とする付記1記載の印刷装置。
【0056】
付記3
前記第1の印刷処理速度は前記第2の印刷処理速度より低速であることを特徴とする付記1または2記載の印刷装置。
【0057】
付記4
前記第1の印刷処理速度は前記第2の印刷処理速度より高速であることを特徴とする付記1または2記載の印刷装置。
【0058】
付記5
前記上位装置から後続印刷ジョブに対して予め印刷処理速度が指定されている場合には、前記印刷処理速度選択制御手段は、前記指定された印刷処理速度で、後続の印刷ジョブを印刷処理することを特徴とする前記付記1乃至4記載の印刷装置。
付記6
【0059】
前記印刷装置は、印刷速度を変更する際に印刷処理の準備を整えるための切換時間を要することを特徴とする前記付記1記載の印刷装置。
付記7
【0060】
第1又は第1の印刷処理速度とは異なる第2の印刷処理速度を選択的に切換えて印刷処理を行う印刷装置において、
前記第1の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の最初の1頁印刷データが印刷完了する迄に要するファーストプリント時間と、前記第1の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の2頁目以降の印刷データを連続して印刷処理した場合の各頁の印刷が順次完了する間隔、及び、前記第2の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の最初の1頁印刷データが印刷完了する迄に要するファーストプリント時間と、前記第2の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の2頁目以降の印刷データを連続して印刷処理した場合の各頁の印刷が順次完了する間隔、更に、前記第1から第2の印刷処理速度に切り換えて後続印刷を開始するのに要する切換時間の各仕様値をそれぞれ記憶手段に予め記憶する記憶処理と、
前記印刷装置に接続される上位装置から送信されてきた印刷ジョブを複数格納する印刷ジョブ格納処理と、
前記印刷ジョブ格納処理により格納された複数の印刷ジョブを連続して印刷処理する際、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて、
前記格納手段から読み出され先に印刷処理される先行印刷ジョブが処理される第1の印刷処理速度に基づき後続の印刷ジョブも継続的に印刷処理を行った場合の前記後続印刷ジョブの完了までに要する総印刷処理時間と、
前記先行印刷ジョブの完了後前記第2の印刷処理速度に基づいて前記後続する印刷ジョブの印刷処理を行った場合の前記後続印刷ジョブの完了までに要する総印刷処理時間とを演算し、
前記両場合の演算値の比較結果に基づき、前記完了までに要する時間が長くない方の印刷処理速度を選択して前記後続の印刷ジョブの印刷処理速度を設定する印刷処理速度選択制御処理とを行うことを特徴とする印刷装置。
【符号の説明】
【0061】
1・・・プリンタ装置
2・・・ホスト機器
3・・・受信部
4・・・制御部
5・・・実行処理部
6・・・転送部
7・・・プリンタエンジン
8・・・受信バッファ
9・・・フレームメモリ
10・・プリンタ情報記憶部
11・・ジョブテーブル
12・・タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1又は第1の印刷処理速度とは異なる第2の印刷処理速度を選択的に切換えて印刷処理を行う印刷装置において、
前記第1の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の最初の1頁印刷データが印刷完了する迄に要するファーストプリント時間と、前記第1の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の2頁目以降の印刷データを連続して印刷処理した場合の各頁の印刷が順次完了する間隔、及び、前記第2の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の最初の1頁印刷データが印刷完了する迄に要するファーストプリント時間と、前記第2の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の2頁目以降の印刷データを連続して印刷処理した場合の各頁の印刷が順次完了する間隔、更に、前記第1から第2の印刷処理速度に切り換えて後続印刷を開始するのに要する切換時間の各仕様値をそれぞれ記憶する記憶手段と、
前記印刷装置に接続される上位装置から送信されてきた印刷ジョブを複数格納する印刷ジョブ格納手段と、を備え、
前記印刷ジョブ格納手段に格納された複数の印刷ジョブを連続して印刷処理する際、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて、
前記格納手段から読み出され先に印刷処理される先行印刷ジョブが処理される第1の印刷処理速度に基づき後続の印刷ジョブも継続的に印刷処理を行った場合の前記後続印刷ジョブの完了までに要する総印刷処理時間と、
前記先行印刷ジョブの完了後前記第2の印刷処理速度に基づいて前記後続する印刷ジョブの印刷処理を行った場合の前記後続印刷ジョブの完了までに要する総印刷処理時間とを演算し、
前記両場合の演算値の比較結果に基づき、前記完了までに要する時間が長くない方の印刷処理速度を選択して前記後続の印刷ジョブの印刷処理速度を設定する印刷処理速度選択制御手段とを備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷処理速度選択制御手段は、連続する複数ジョブの総印刷処理時間を、前記記憶手段に記憶されている前記仕様値を基に前記先行の印刷ジョブの印刷処理が完了する以前に演算することにより印刷速度を切り換えるか否か判断することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1の印刷処理速度は前記第2の印刷処理速度より低速であることを特徴とする請求項1または2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1の印刷処理速度は前記第2の印刷処理速度より高速であることを特徴とする請求項1または2記載の印刷装置。
【請求項5】
前記上位装置から後続印刷ジョブに対して予め印刷処理速度が指定されている場合には、前記印刷処理速度選択制御手段は、前記指定された印刷処理速度で、後続の印刷ジョブを印刷処理することを特徴とする前記請求項1乃至4記載の印刷装置。
【請求項6】
前記印刷装置は、印刷速度を変更する際に印刷処理の準備を整えるための切換時間を要することを特徴とする前記請求項1記載の印刷装置。
【請求項7】
第1又は第1の印刷処理速度とは異なる第2の印刷処理速度を選択的に切換えて印刷処理を行う印刷装置において、
前記第1の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の最初の1頁印刷データが印刷完了する迄に要するファーストプリント時間と、前記第1の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の2頁目以降の印刷データを連続して印刷処理した場合の各頁の印刷が順次完了する間隔、及び、前記第2の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の最初の1頁印刷データが印刷完了する迄に要するファーストプリント時間と、前記第2の印刷処理速度により印刷処理を行った場合の2頁目以降の印刷データを連続して印刷処理した場合の各頁の印刷が順次完了する間隔、更に、前記第1から第2の印刷処理速度に切り換えて後続印刷を開始するのに要する切換時間の各仕様値をそれぞれ記憶手段に予め記憶する記憶処理と、
前記印刷装置に接続される上位装置から送信されてきた印刷ジョブを複数格納する印刷ジョブ格納処理と、
前記印刷ジョブ格納処理により格納された複数の印刷ジョブを連続して印刷処理する際、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて、
前記格納手段から読み出され先に印刷処理される先行印刷ジョブが処理される第1の印刷処理速度に基づき後続の印刷ジョブも継続的に印刷処理を行った場合の前記後続印刷ジョブの完了までに要する総印刷処理時間と、
前記先行印刷ジョブの完了後前記第2の印刷処理速度に基づいて前記後続する印刷ジョブの印刷処理を行った場合の前記後続印刷ジョブの完了までに要する総印刷処理時間とを演算し、
前記両場合の演算値の比較結果に基づき、前記完了までに要する時間が長くない方の印刷処理速度を選択して前記後続の印刷ジョブの印刷処理速度を設定する印刷処理速度選択制御処理とを行うことを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−245649(P2012−245649A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117390(P2011−117390)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】