説明

印刷装置

【課題】本発明は割り込み印刷処理を行った後の中断した印刷ジョブの復帰再開処理を短時間で行い、割り込み復帰時のパフォーマンスを向上する。
【解決手段】イメージ描画コマンドとイメージ以外のPDLコマンドを含む印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置であって、上記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換手段と、上記PDLコマンドと内部コマンドを記憶する第1の記憶手段と、上記イメージ描画コマンドのイメージデータ部分を記憶する第2の記憶手段とを有し、割り込み印刷が行われる際、印刷処理中の印刷データの未印刷出力の頁情報を記憶し、上記割り込み印刷の処理後、中断した印刷データの印刷処理を行う際、上記頁情報に従って、第1の記憶手段に記憶したPDLコマンドと内部コマンドのみを読み出し、上記頁情報以降について、更に第1の記憶手段から読み出した内部コマンドに従ったイメージデータ部分を第2の記憶手段から読み出す制御を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割り込み印刷が可能な印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、ホストコンピュータ等のホスト機器(クライアント装置)とプリンタ装置や所謂複合機等の印刷装置がネットワークを介して接続された印刷システムが利用されている。このようなシステムにおいては、あるホスト機器から依頼された印刷ジョブを処理する間に、他のホスト機器からの印刷ジョブが入力する可能性が高い。
【0003】
印刷ジョブが競合した場合、先着の印刷ジョブの印刷処理が終了するまで、他の印刷ジョブの処理を受け付けない制御も可能であるが、この場合、印刷システム全体からみて効率が低下し、使い勝手の悪いシステムとなる。すなわち、印刷終了までに時間を要する印刷ジョブを先に処理する間、印刷時間が短くて済む小容量の印刷ジョブであっても印刷処理を待たされるため、印刷システム全体から考えると、印刷待ちの状態におかれる印刷ジョブの数が増大し、効率の悪いシステムとなる。
また、緊急に印刷を行いたい場合でも、印刷終了までに時間のかかる印刷ジョブが先に処理されると、前の印刷処理が終了するまで、長時間待たされる。
【0004】
上記問題に鑑み、例えば以下のような特許文献1、及び特許文献2が開示されている。何れの特許文献も、印刷処理中のジョブの中断処理、緊急の印刷ジョブの割込み印刷、割込まれた印刷ジョブの復帰機能、再開印刷機能の割込印刷機能を持つ印刷装置の発明である。
【0005】
先ず、特許文献1は、クライアント装置から受信した非ページ独立のページ記述言語(Page Description Languageであり、以降PDLと呼ぶ)で記載された印刷ジョブを記憶し、各ページのイメージを順次生成し、生成したイメージをプリンタ装置に供給して印刷させる通常モードと、プリンタ装置へイメージの供給を行わない非印刷モードとの2つの動作モードを有し、印刷が中断された場合に印刷再開ページを算出し、印刷再開時に印刷再開信号を受信すると、中断された印刷ジョブをジョブ記憶手段により最初から処理し、印刷再開ページに達するまでは非印刷モードで動作し、印刷再開ページ以降は通常モードで動作する印刷制御装置を開示する。
【0006】
また、特許文献2は、割込まれた印刷ジョブを再開する方法として、入力されるジョブデータを保存しておき、再開時には中断された印刷ジョブデータを先頭から解釈し、ページ毎に印刷要求を発行するが、既に印刷されたページに係る印刷要求を無効とし、未印刷のページの印刷要求のみを有効とすることにより、重複印刷を防止する発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-177464号公報
【特許文献2】特開平11-312062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、いずれの装置も、入力された印刷ジョブを保存しておき、割り込み要求が発生した場合、印刷実行中のジョブをページの区切りで中断し、印刷済みのページ番号、又は再開のページ番号を記憶し、印刷ジョブの中断処理を行った後、割り込み印刷を実行するものである。そして、割り込み印刷が終了すると、中断した印刷ジョブの先頭よりコマンド解釈を実行し、既に印刷済みのページについては印刷を行うことなく、未印刷のページから、印刷処理を再開する復帰再開処理を行っている。この印刷ジョブの復帰再開処理は、割り込まれたジョブの先頭より解釈を実行して印刷画像を生成していくため、既に印刷出力されたページについても解釈実行および印刷画像生成が行われ、印刷処理を再開するまで長時間を要する。
【0009】
このため、割込み印刷機能を使用すると、割込まれた先行印刷ジョブの復帰に時間を要し、その結果、割込み印刷機能を使用する際の障害となっている。
さらに、特許文献1に開示された発明では、ハード的に画像を生成するPDLコマンドは動作させないようにしてジョブ復帰時間の短縮を図る手法が開示されているが、この場合回路規模が大きくなりロジック構成も複雑になり、コストアップの原因となる。
【0010】
そこで、本発明は割込み印刷処理を行った後の中断した印刷ジョブの印刷再開までの復帰再開処理を短時間で行い、割り込み復帰時のパフォーマンスを向上する印刷装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は第1の発明によれば、イメージ描画コマンドとイメージ以外のPDLコマンドを含む印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置において、前記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換手段と、前記PDLコマンドと内部コマンドを記憶する第1の記憶手段と、前記イメージ描画コマンドのイメージデータ部分を記憶する第2の記憶手段と、割り込み印刷が行われる際、印刷処理中の印刷データの未印刷出力の頁情報を記憶する再開頁番号記憶手段と、前記割り込み印刷の処理後、中断した印刷データの印刷処理を行う際、前記再開頁番号記憶手段から再開頁番号の情報を読み出し、該再開頁番号まで前記第1の記憶手段に記憶した前記PDLコマンドと内部コマンドのみを読み出し、前記再開頁番号以降について、更に前記第1の記憶手段から読み出した内部コマンドに従ったイメージデータ部分を前記第2の記憶手段から読み出す制御を行う制御手段とを有する印刷装置を提供することによって達成できる。
【0012】
また、上記課題は第2の発明によれば、前記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換手段は、前記イメージ描画コマンドの前記イメージデータ部分を、該イメージデータ部分が記憶された第2の記憶手段の相対アドレス情報と、前記イメージデータ部分の長さ情報に変換する印刷装置を提供することによって達成できる。
【0013】
また、上記課題は第3の発明によれば、前記割り込み処理が行われる際、入力ジョブキューの順序を入れ替え、前記印刷処理中の印刷ジョブキューに前記再開頁番号の情報を記憶させ、前記割り込み処理が完了した後、前記中断した印刷データの印刷処理を行う際、前記再開頁番号記憶手段から再開頁番号の情報を読み出して印刷処理に使用する印刷装置を提供することによって達成できる。
【0014】
また、上記課題は第4の発明によれば、前記制御手段は、前記割り込み処理の場合のみならず、前記印刷データに付加された印刷優先度の情報に基づいて、優先印刷処理を行った後、中断した印刷データの印刷処理を行う際、前記再開頁番号記憶手段から再開頁番号の情報を読み出し、該再開頁番号まで前記第1の記憶手段に記憶した前記PDLコマンドと内部コマンドのみを読み出し、前記再開頁番号以降について、更に前記第1の記憶手段から読み出した内部コマンドに従ったイメージデータ部分を前記第2の記憶手段から読み出す制御を行う印刷装置を提供することによって達成できる。
【0015】
また、上記課題は第5の発明によれば、前記印刷データは、ネットワークを介して接続されたホスト機器から送信され、前記PDLコマンドの作成が前記ホスト機器で行われた前記印刷データである印刷装置を提供することによって達成できる。
【0016】
また、上記課題は第6の発明によれば、ホスト機器と印刷装置がネットワークを介して接続された印刷システムにおいて、前記ホスト機器は、イメージ描画コマンドとイメージ以外のPDLコマンドを含む印刷データを作成し、前記印刷装置に出力し、前記印刷装置は、前記印刷データを受信する受信手段と、前記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換手段と、前記PDLコマンドと内部コマンドを記憶する第1の記憶手段と、前記イメージ描画コマンドのイメージデータ部分を記憶する第2の記憶手段と、割り込み印刷が行われる際、印刷処理中の印刷データの未印刷出力の頁情報を記憶する再開頁番号記憶手段と、前記割り込み印刷の処理後、中断した印刷データの印刷処理を行う際、前記再開頁番号記憶手段から再開頁番号の情報を読み出し、該再開頁番号まで前記第1の記憶手段に記憶した前記PDLコマンドと内部コマンドのみを読み出し、前記再開頁番号以降について、更に前記第1の記憶手段から読み出した内部コマンドに従ったイメージデータ部分を前記第2の記憶手段から読み出す制御を行う制御手段と、を有する印刷システムを提供することによって達成できる。
【0017】
また、上記課題は第7の発明によれば、イメージ描画コマンドとイメージ以外のPDLコマンドを含む印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置の制御方法において、前記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換処理と、前記PDLコマンドと内部コマンドを第1の記憶手段に記憶する処理と、前記イメージ描画コマンドのイメージデータ部分を第2の記憶手段に記憶する処理と、割り込み印刷が行われる際、印刷処理中の印刷データの未印刷出力の頁情報を再開頁番号記憶手段に記憶する処理と、前記割り込み印刷の処理後、中断した印刷データの印刷処理を行う際、前記再開頁番号記憶手段から再開頁番号の情報を読み出し、該再開頁番号まで前記第1の記憶手段に記憶した前記PDLコマンドと内部コマンドのみを読み出し、前記再開頁番号以降について、更に前記第1の記憶手段から読み出した内部コマンドに従ったイメージデータ部分を前記第2の記憶手段から読み出す制御を行う制御処理とを行う印刷装置の制御方法を提供することによって達成できる。
【0018】
また、上記課題は第8の発明によれば、前記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換処理は、前記イメージ描画コマンドの前記イメージデータ部分を、該イメージデータ部分が記憶された第2の記憶手段の相対アドレス情報と、前記イメージデータ部分の長さ情報に変換する処理である印刷装置の制御方法を提供することによって達成できる。
【0019】
また、上記課題は第9の発明によれば、イメージ描画コマンドとイメージ以外のPDLコマンドを含む印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置の制御プログラムであって、前記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換処理と、前記PDLコマンドと内部コマンドを第1の記憶手段に記憶する処理と、前記イメージ描画コマンドのイメージデータ部分を第2の記憶手段に記憶する処理と、割り込み印刷が行われる際、印刷処理中の印刷データの未印刷出力の頁情報を再開頁番号記憶手段に記憶する処理と、前記割り込み印刷の処理後、中断した印刷データの印刷処理を行う際、前記再開頁番号記憶手段から再開頁番号の情報を読み出し、該再開頁番号まで前記第1の記憶手段に記憶した前記PDLコマンドと内部コマンドのみを読み出し、前記再開頁番号以降について、更に前記第1の記憶手段から読み出した内部コマンドに従ったイメージデータ部分を前記第2の記憶手段から読み出す制御を行う制御処理とを行う印刷装置の制御プログラムを提供することによって達成できる。
【0020】
また、上記課題は第10の発明によれば、前記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換処理は、前記イメージ描画コマンドの前記イメージデータ部分を、該イメージデータ部分が記憶された第2の記憶手段の相対アドレス情報と、前記イメージデータ部分の長さ情報に変換する処理である印刷装置の制御プログラムを提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、割り込み印刷処理を行った後の中断した印刷ジョブの印刷再開までの復帰再開処理を短時間で行い、割り込み復帰時のパフォーマンスを向上し、コストアップも回避できる印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態の印刷制御部のソフトウエア構成を示す図である。
【図2】本実施形態を説明する印刷装置の概略断面図である。
【図3】プリンタ装置において、印刷制御部のハード構成を示す図である。
【図4】操作パネルの構成を示す図である。
【図5】印刷データのデータフォーマットを示す図である。
【図6】LAN制御部及び入力ジョブ保存部の処理動作を説明するフローチャートである。
【図7】印刷データのデータフォーマットの解析処理を説明する概念図である。
【図8】識別フラグ&レングス記述部に関する処理を詳しく示す図である。
【図9】割込制御部の処理動作を説明するフローチャートである。
【図10】入力ジョブキュー管理部の処理動作を説明するフローチャートである。
【図11】入力ジョブキューのデータ構成を示す図である。
【図12】表示パネルの表示例を示す図である。
【図13】PDL解釈・実行部の処理動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は本実施形態を説明する印刷装置として、例えば4連タンデム構成の電子写真方式のカラープリンタ装置(以下、プリンタ装置で示す)の例を示す概略断面図である。
同図において、プリンタ装置1のエンジン部は、画像形成部2、記録媒体給紙部3、記録媒体搬送部4で構成されている。画像形成部2はマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各画像形成ユニット2M、2C、2Y、2Kで構成され、用紙搬送方向に沿って所定の間隔を保持して順次で配設されている。
【0024】
各画像形成ユニット2M、2C、2Y、2Kは、それぞれ感光体ドラム5、及び感光体ドラム5の周囲に配設された帯電器5a、印字ヘッド5b、現像器5c、転写器5dを有し、電子写真プロセスに従って用紙に画像形成を行う。尚、電子写真プロセスは、帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程を繰り返して行い、用紙(記録媒体)に画像形成を行うプロセスであり、帯電によって感光体ドラム5の表面に均一な電荷を付与し、露光によって感光体ドラム5の表面に静電潜像を形成し、現像によって静電潜像に従ったトナー像を形成し、転写によってトナー像を用紙に転写し、用紙に転写されたトナー像は定着処理によって用紙に熱定着される。
【0025】
記録媒体給紙部3は、上下に階層して配設された記録媒体給紙部3a〜3eで構成され、記録媒体給紙部3a〜3eの何れかから給紙された用紙は待機ローラ10を介して、記録媒体搬送部4に送られる。記録媒体搬送部4はベルト駆動ローラ11や従動ローラ12、搬送ベルト13等で構成され、搬送ベルト13はベルト駆動ローラ11の駆動力によって回転し、待機ローラ10によってタイミングを合わせて搬送ベルト13に送られた用紙を画像形成部2に送る。
【0026】
画像形成部2に送られた用紙は、前述の画像形成ユニット2M、2C、2Y、2Kによって対応するトナーが順次転写され、用紙に転写されたトナー像は定着器15によって熱定着され、排紙部16に送られる。
【0027】
尚、上記各部は、用紙の材質(例えば、紙、OHPシート)、用紙の坪量(例えば、薄紙、普通紙、厚紙)、用紙の長さ(例えば、長尺紙)等に基づいて、転写スピード(搬送速度)や転写バイアス、定着温度等のプリンタエンジンの動作モードを設定し、それぞれの用紙に最適となる印刷制御を行う。
【0028】
図3は、上記構成のプリンタ装置1において、印刷制御部のハード構成を示す図である。印刷制御部17は、LAN制御回路18、USB制御回路19、CPU20、メモリ21、不揮発性メモリ22、RОM23、エンジン制御回路24、操作パネル制御回路25、ハードディスク制御回路(以下、HDD制御回路で示す)28で構成されている。
【0029】
また、エンジン制御回路24にはプリンタエンジン26が接続され、操作パネル制御回路25には操作パネル27が接続され、HDD制御回路28にはハードディスク29が接続されている。
【0030】
図4は上記操作パネル27の構成を示す図であり、操作パネル27は表示部27aとキー部27bで構成されている。表示部27aには、後述する入力ジョブキューから読み出された印刷実行中又は印刷実行待ちの印刷ジョブ情報等が表示される。また、ユーザ操作に基づくキー部27bからの操作信号は、操作パネル制御回路25を介してCPU20に送信される。
【0031】
一方、図1は上記印刷制御部17のソフトウエア構成を示す図であり、上記図3に示す回路に基づく機能部については関連する番号を使用して説明する。本例のプリンタ装置1(印刷制御部17)はLAN(local area network)を介してパーソナルコンピュータ(PC)等のクライアント装置(ホスト機器)30に接続され、例えばクライアント装置30は、アプリケーションプログラム30a、プリンタドライバ30b、スプーラ30c、及びLAN接続制御部30dで構成されている。
【0032】
クライアント装置30は、アプリケーションプログラム30aによって作成した印刷データをプリンタドライバ30bによって前述のPDLコマンドを含む中間データに変換し、スプーラ30cに保持し、LAN接続制御部30dを介してプリンタ装置1に出力する。
【0033】
クライアント装置30から出力された印刷データは、上記LAN制御回路18(LAN制御部18a)を介してプリンタ装置1に入力する。
プリンタ装置1は上記のように、エンジン制御回路24に対応するエンジン制御部24a、操作パネル制御回路25に対応する操作パネル制御部25a、及びメモリ21に対応する画像メモリ21aで構成され、更にROM23に記憶されたプログラムによってCPU20を制御し、印刷データの解釈、実行を行うPDL解釈・実行部31、入力ジョブ保存処理を行う入力ジョブ保存部32、入力ジョブキューの管理を行う入力ジョブキュー管理部33、割り込み制御を行う割込制御部34で構成されている。
【0034】
また、前述のエンジン制御回路24に対応するエンジン制御部24aはプリンタエンジン26に対してプリンタエンジン動作モード等を設定し、給紙処理、画像メモリ21aからの画像データの転送、排紙処理等の制御を行なう。またエンジン制御部24aは、ある一定間隔で定期的に、エンジン状態の監視、及び給紙口の状態を各給紙口より取得し、各給紙口の状態を監視する。尚、給紙口より取得できる情報は、例えばカセットの装着/未装着や、カセットのセット状態/引出し状態、用紙の有無、及び用紙サイズ等の情報である。
【0035】
また、再開頁番号記憶手段としての入力ジョブキュー35は前述の不揮発性メモリ22またはハードディスク29上に構築されている。尚、図3に示すUSB制御回路19の構成は、特に図1において示していない。
図5はプリンタ装置1に入力する印刷データ(印刷ジョブ)のデータフォーマットを示す図である。印刷データは、先ず識別フラグとレングスが記述された識別フラグ&レングス記述部D1、データ記述エリアD2、識別フラグ&レングス記述部D3、データ記述エリアD4、識別フラグ&レングス記述部D5、データ記述エリアD6、・・・で構成されている。
【0036】
ここで、識別フラグ&レングス記述部D1、D3、D5、・・・に記述される識別フラグは、例えば“0”がイメージ描画コマンド以外のコマンドが次のエリアに記述されていることを示し、“1”がイメージ描画コマンドが次のエリアに記述されていることを示し、“2”がユーザ名及び印刷ジョブ名の情報が次のエリアに記述されていることを示す。また、レングスは次のエリア(D2、D4、D6、・・・)に記述される情報の長さを示す。
【0037】
例えば、図5に示す例では、最初の識別フラグ&レングス記述部D1の識別フラグが“2”であり、次のデータ記述エリアD2にユーザ名及び印刷ジョブ名が記述され、次の識別フラグ&レングス記述部D3の識別フラグが“0”であり、次のデータ記述エリアD4にイメージ描画以外のコマンドであるPDLコマンドが記述されている。このコマンドは、例えば用紙サイズの情報や、給紙口の情報、解像度や階調設定の情報等のコマンドである。
また、次の識別フラグ&レングス記述部D5の識別フラグが“1”であり、次のデータ記述エリアD6にイメージ描画コマンドが記述されている。
【0038】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
先ず、図6はLAN制御部18a、及び入力ジョブ保存部32の処理動作を説明するフローチャートであり、上記フォーマットの印刷データが入力した際に行う処理を説明するものである。先ず、LAN制御部18aは印刷データを受信すると(ステップ(以下、Sで示す)1)、印刷データを受信バッファにバッファリングする(S2)。尚、受信バッファは、例えば前述のメモリ21の所定エリアに設定されている。
【0039】
次に、LAN制御部18aは印刷データの入力を入力ジョブ保存部32に通知し、入力ジョブ保存部32をウエイクアップする(S3)。
印刷データの受信を待っていた入力ジョブ保存部32は、上記LAN制御18aからの通知により、処理を開始し、受信バッファに格納された印刷データを読み出す(S4、S5)。この処理により、入力ジョブ保存部32には前述のフォーマットの印刷データが読み出され、コマンド解析処理が行われる。
【0040】
図7はこの処理を説明する概念図である。尚、図7に示す印刷データは、前述の図5に示したデータに対応するデータである。また、図8は識別フラグ&レングス記述部D1、D3、及びデータ記述エリアD2、D4に対する処理を詳しく説明する図である。
【0041】
先ず、印刷データの最初の識別フラグ&レングス記述部D1に含まれる識別フラグとレングスの情報を読み出す(S6)。図7に示す例の場合、識別フラグは“2”であり、レングスは“len0”である。この場合、判断(S7)はYESとなり、識別フラグ&レングス記述部D1に続くデータ記述エリアD2に記述されたユーザ名及び印刷ジョブ名の情報をセーブする(S8)。
【0042】
一方、上記判断(S7)において、識別フラグが“2”ではない場合、更に識別フラグが“0”でないか判断する(S9)。図7及び図8に示す例では、次の識別フラグ&レングス記述部D3には識別フラグとして、“0”が設定されており(S7がNO、S9がYES)、識別フラグ&レングス記述部D3に続くデータ記述エリアD4からイメージ描画以外のコマンドであるPDLコマンドを読み出す。すなわち、レングス“len1”分、PDLコマンドを読み出し、印刷ジョブファイル1に当該PDLコマンドを書き込む(S10)。
【0043】
尚、この処理は、図7及び図8に示す処理aである。また、上記印刷ジョブファイル1は、前述のハードディスク29に構築されたファイルであり、上記PDLコマンド及び後述するイメージ描画2コマンド(内部コマンド)を記憶するファイルである。
したがって、上記処理によって印刷ジョブファイル1の所定エリアに、先ずPDLコマンドが書き込まれる(図7及び図8に示すb)。
【0044】
次に、入力ジョブ保存部32は、識別フラグ&レングス記述部D5の情報を読み出し、識別フラグを判断する。図7及び図8に示す例では、この識別フラグは“1”であり、識別フラグ&レングス記述部D5に続くデータ記述エリアD6のイメージ描画コマンドを読み出す(S9がNO)。この場合、イメージ描画コマンドのイメージデータ部分は印刷ジョブファイル2の最後に追記し、コマンドパラメータ部分はイメージ描画2コマンドに置き換えて、印刷ジョブファイル1に書き込む。
先ず印刷ジョブファイル2のファイルサイズを取得し、イメージ描画2コマンドの相対アドレスLoc(ロケーション)とする(S11)。
【0045】
この印刷ジョブファイル2もハードディスク29に構築されたファイルであり、イメージ描画コマンドのイメージデータ部分を記憶するファイルである。すなわち、印刷ジョブファイル2の最後にイメージデータを追記するため、追記する前のファイルサイズが該イメージデータの印刷ジョブファイル2上の相対アドレスLocである。
次に、イメージ描画コマンドのイメージデータ部分を、イメージ描画コマンドのパラメータで指定されるレングス分、印刷ジョブファイル2の最後に記憶する(S12)。すなわち、図7及び図8のcに示すように、印刷ジョブファイル2の相対アドレスLoc位置からイメージデータを追記する。
【0046】
次に、イメージ描画コマンドを、内部コマンドであるイメージ描画2コマンドに置き換え、元のイメージ描画コマンドのパラメータと、イメージデータサイズと、上記印刷ジョブファイル2上の相対アドレスLocをイメージ描画2のコマンドのパラメータとデータとする(S13)。すなわち、図7及び図8のdに示すように、元のイメージ描画コマンドのパラメータである“IM2 ln2 x,yΔx, Δy*”と、イメージデータサイズであるlenと、相対アドレスLocとを、イメージ描画2コマンドのデータとして記憶する。
【0047】
次に、生成したイメージ描画2コマンドを、イメージ描画コマンドの代わりに印刷ジョブファイル1に出力する(S14)。
次に、受信バッファより読み出した印刷データを全て処理したか判断し(S15)、読み出した印刷データを全て処理するまで上記処理を繰り返す(S15がNO、S6〜S15)。そして、全ての処理が完了すると(S15がYES)、更に印刷ジョブが終了したか判断する(S16)。
【0048】
その後、1つの印刷ジョブが終了すると(S16がYES)、入力ジョブ保存部32は割込制御部34に対してジョブ登録要求を出力する(S17)。その際、セーブしているユーザ名と印刷ジョブ名、及びジョブファイル1名とジョブファイル2名を割込制御部34に受け渡す。なお、印刷ジョブファイル1および2の名称については、入力ジョブ保存部32がユニークな名称を自動生成するものである。
【0049】
図9は割込制御部34の処理を説明するフローチャートであり、要求待ち状態(ステップ(以下、STで示す)1)で待機していた割込制御部34に対し、上記入力ジョブ保存部32からジョブ登録要求が有ると(ST2)、上記印刷ジョブ名と印刷ジョブファイル1名、印刷ジョブファイル2名の情報を受け取る(ST3)。そして、入力ジョブキュー管理部33に対して「キューの最後に追加」の要求を出力する(ST4)。この際、前述の入力ジョブ保存部32から受け取った印刷ジョブ名と印刷ジョブファイル1名、ジョブファイル2名等の情報を入力ジョブキュー管理部33に引き渡す。
図10は入力ジョブキュー管理部33の処理を説明するフローチャートであり、要求待ち状態(ステップ(以下、STPで示す)1)で待機していた入力ジョブキュー管理部33に対し、上記割込制御部34から「キューの最後に追加」の要求があると(STP6がYES)、印刷ジョブ名、印刷ジョブファイル1名と印刷ジョブファイル2名等を受け取り、新規にキューデータを作成し、受け取った印刷ジョブ名等の情報をキューデータにセットし、そのキューデータを入力ジョブキューの最後に追加する(STP7)。
【0050】
続いて割込制御部34は、入力ジョブキュー管理部33に対して「先頭キューデータを取得」要求を出力し(ST5)、入力ジョブキュー35の先頭に上記印刷ジョブ名等の情報が追加されたか判断する(ST6)。この判断は入力ジョブキュー管理部33からの応答によって行われ、図10に示す入力ジョブキュー管理部33の処理に基づく。
【0051】
すなわち、入力ジョブキュー管理部33は、上記割込制御部34から先頭キューデータの取得要求が有ると(STP2がYES)、入力ジョブキュー35の先頭にキューデータが有るか確認する(STP3)。ここで、先頭にキューデータが有る場合(STP3がYES)、先頭のキューデータの内容を応答する(STP4)。一方、先頭キューデータが無い場合(STP3がNO)、先頭にキューデータが無い旨の応答を割込制御部34に対して行う(STP5)。
【0052】
したがって、割込制御部34は上記応答によって、応答された入力ジョブキュー35の先頭のキューデータの内容が該登録要求が出された印刷ジョブで今回登録した印刷ジョブであれば、入力ジョブキュー35の先頭に上記印刷ジョブ名と印刷ジョブファイル1名、2名の情報を追加したものと判断し(ST6がYES)、つまり現在印刷している印刷ジョブはないことを意味し、該登録要求が出された印刷ジョブを実行する為に、割込制御部34はPDL解釈・実行部31に対して印刷ジョブの実行を指示する(ST7)。この際、割込制御部34はPDL解釈・実行部31に対して、印刷ジョブ名と印刷ジョブファイル1名、印刷ジョブファイル2名の情報等を受け渡す。
【0053】
一方、入力ジョブキュー35の先頭のキューデータの内容が今回登録した印刷ジョブでないならば、現在ほかの印刷ジョブを印刷中であることを意味し、新たな印刷ジョブの情報は入力ジョブキュー35の最後に追加されたものである。
図11は入力ジョブキュー35のデータ構成を示し、スタートポインタは最初の印刷ジョブ情報35−1にリンクし、最初の印刷ジョブ情報35−1のネクストポインタは次の印刷ジョブ情報35−2を指示し、以後順次ネクストポインタの指示に従って次の印刷ジョブ情報35−nが指示される。尚、各印刷ジョブ情報35−1〜35−nには前述のユーザ名と印刷ジョブ名、印刷ジョブファイル1名及び印刷ジョブファイル2名が記憶される。
【0054】
また、後述する割り込み処理が行われた場合、先頭の印刷ジョブ情報35−1のフラグエリアには、割込中を示すフラグがセットされ、再開頁番号のエリアには割り込み処理によって中断する最初の頁を示す再開頁の情報が記憶される。
【0055】
また、上記入力ジョブキュー35に登録された印刷ジョブ情報は操作パネル制御部25aの制御によって操作パネル27に表示される。図12は入力ジョブキュー35に記憶された印刷ジョブ情報が操作パネル27に表示される例を示す。同図に示すように、操作パネル27には印刷実行中の印刷ジョブ名とユーザ名、及び印刷実行待ちの印刷ジョブ名とユーザ名が表示される。また、操作パネル27には割込印刷が可能な状態の場合には割り込み印刷可能状態を表す「割込印刷」マーク27cが表示される。
【0056】
尚、上記表示は、例えば図10に示す入力ジョブキュー管理部33の処理によって行われ、ユーザ名、印刷ジョブ名リスト取得要求があると(STP23がYES)、入力ジョブキュー35の先頭のキューデータより、キューデータを辿り、入力ジョブキュー35内のユーザ名及び印刷ジョブ名を取り出し、リストを作成する(STP24)。そして、上記リストの応答を行い(STP25)、例えば操作パネル27に出力し、上記表示を行なう。
【0057】
一方、上記図12に示す表示状態において、割込キー27d(図4に示す右矢印キー(>)で代替え)を押下すると、同図に示すように、印刷実行待ちの印刷ジョブ名とユーザ名の表示が反転され、前述の図4に示す上下矢印キー(∧、∨)を押下することによって、割り込み印刷を行う印刷ジョブを選択することができる。また、選択した印刷ジョブの決定は、前述の図4に示すキー部27bにある決定キーを押下することによって行なうことができる。
【0058】
上記操作によって割り込み印刷が指示されると、操作パネル27から操作信号が操作パネル制御部25aの制御に従って、割込要求として割込制御部34に通知される。割込制御部34は上記割込要求が通知されると(ST1、ST2がNO、ST8がNO、ST9がNO、ST10がYES)、割り込み処理を行う印刷ジョブ名の情報を受け取り、入力ジョブキュー管理部33に対して「印刷ジョブ名のサーチ」要求を出力する(ST11)。
【0059】
入力ジョブキュー管理部33は、上記割込制御部34から印刷ジョブ名のサーチ要求が有ると(STP2がNO、STP6がNO、STP8〜STP10がNO、STP11がYES)、割込制御部34から受け渡された印刷ジョブ名で入力ジョブキュー35をサーチし(STP12)、印刷ジョブ名が入力ジョブキュー35にあれば(STP13がYES)、見つかったキューデータの内容を割込制御部34に応答する(STP14)。さらに、見つかったキューデータが先頭のキューデータであるか判断し(STP15)、見つかったキューデータが先頭のキューデータである場合(STP15がYES)、先頭のキューデータである旨の応答も行なう(STP16)。
【0060】
尚、割り込み印刷の指定が行なわれた印刷ジョブ名が入力ジョブキュー35に存在しない場合(STP13がNO)、入力ジョブキュー管理部33は割込制御部34に対して「キューデータ無し」の応答を行う(STP17)。
【0061】
したがって、割込制御部34は上記応答によって、割り込み印刷の指定が行なわれた印刷ジョブ名が入力ジョブキュー35に存在するか判断でき、存在しない場合(ST12がNO)、操作パネルに「指定のジョブは既に印刷終了しました」と表示する(ST31)。割り込み指示が行われた印刷ジョブ名のキューデータが存在する場合(ST12がYES)、当該印刷ジョブ名のキューが先頭のキューデータであるかの判断を行う(ST13)。この判断も上記入力ジョブキュー管理部33からの応答によって判断でき、当該印刷ジョブ名のキューデータが先頭であれば(ST13がYES)、現在印刷中であるため操作パネルに「指定のジョブは現在印刷中」と表示し、以後特別に割り込み処理を行う必要がないので、現在の印刷をそのまま継続する(ST32)。
【0062】
一方、当該印刷ジョブ名のキューデータが入力ジョブキュー35の先頭でなければ(ST13がNO)、ジョブの中断・停止要求フラグをオンし(ST14)、割込制御部34は印刷処理中の印刷処理の中断処理を行う。
【0063】
上記ジョブの中断・停止要求フラグのオンによって、プリンタ装置1によって実行中の印刷ジョブの処理が停止される。この処理は、後述する図13に示すPDL解釈・実行部31の処理実行中、上記中断・停止要求フラグのオンを判断し(ステップ(以下、Wで示す)21)、PDL解釈・実行部31の内部状態を初期化してジョブの中断処理を行うことによって実行される(W24)。また、PDL解釈・実行部31は割込制御部34に対して、処理を中断停止する旨の通知を行い、再開頁番号の情報を割込制御部34に引き渡す(W25)。
割込制御部34は、PDL解釈・実行部31からジョブを中断停止した旨の通知があると(ST9がYES)、ジョブの中断・停止要求フラグをオフし(ST15)、再開頁番号の情報と割込中断中を示すフラグを受け取る(ST16)。尚、この再開頁番号は、未だ印刷出力していない最初の頁番号である。
【0064】
次に、割込制御部34は入力ジョブキュー管理部33に対して「先頭のキューデータの内容更新」要求を出力する(ST17)。その際、上記再開頁番号の情報と中断中のフラグを受け渡す。入力ジョブキュー管理部33は上記指示に従って(STP9がYES)、受け渡された再開頁番号の情報と中断中を示すフラグを入力ジョブキュー35の先頭のキューデータにセットする(STP18)。例えば、この処理によって、前述の図11に示す最初の印刷ジョブ情報35−1に上記再開頁番号の情報と中断中を示すフラグがセットされる。
【0065】
次に、割込制御部34は入力ジョブキュー管理部33に対して、「先頭キューデータへ移動」要求を出力する(ST18)。その際、割込制御部34は入力ジョブキュー管理部33に割り込み要求の印刷ジョブ名の情報を引き渡す。入力ジョブキュー管理部33は上記指示に従って(STP10がYES)、受け渡された印刷ジョブ名に基づいて入力ジョブキュー35内をサーチし(STP19)、上記印刷ジョブ名のキューデータがあれば(STP20がYES)、見つかったキューデータを入力ジョブキュー35より一旦外し、入力ジョブキュー35の先頭に挿入する(STP21)。この処理によって、例えば前述の図11に示す印刷ジョブ情報35−nが入力ジョブキュー35の先頭に挿入される。
【0066】
次に、割込制御部34は入力ジョブキュー管理部33に「先頭キューデータの取得」要求を出力する(ST19)。そして、割込み印刷中フラグをオンし(ST20)、前述の処理(ST7)により、割込み印刷の指示を行う。
【0067】
図13はPDL解釈・実行部31の処理を説明するフローチャートであり、要求待ち状態(W1)で待機していたPDL解釈・実行部31に印刷ジョブの実行指示が有ると(W2がYES)、頁カウンタを初期化し(0に設定し)、印刷処理を実行する印刷ジョブファイル1名と印刷ジョブファイル2名の情報を受け取る(W3、W4)。
【0068】
次に、PDL解釈・実行部31は、先ず印刷ジョブファイル1の情報を読み出す(W5)。そして、読み出しデータがあるか判断する(W6)。最初のこの判断では、印刷ジョブファイル1に読み出しデータはあり(W6がYES)、印刷ジョブファイル1に記憶されたPDLコマンドの解析を行う(W7)。前述のように、印刷ジョブファイル1には印刷処理を行う際に必要な給紙口の情報や解像度、階調値の情報等のPDLコマンドが含まれており、そのままコマンド処理を行う。
【0069】
また、イメージ描画2コマンドについては、後述する再開中を示すフラグが設定されている場合には再開頁番号と頁カウンタの比較処理を行うが、現在割り込み印刷を行っており(W9がNO)、イメージ描画2コマンドの相対アドレスLocとレングスlenの情報を取り出し(W11)、印刷ジョブファイル2の相対アドレスLocの位置から上記レングスlen分のデータを読み出す(W12)。このデータは、前述の処理によってハードディスク29の印刷ジョブファイル2に記憶されたイメージデータ部分であり、このイメージデータ部分の情報が読み出され、読み出したイメージデータに基づいて画像データが生成される(W13)。
【0070】
また、その他の画像データを生成するコマンドの場合も同様であり、再開中を示すフラグが設定されている場合には再開頁番号と頁カウンタの比較処理を行うが、現在割り込み印刷中であり(W14がNO)、判断(W15)を実行することなく、対応するPDLコマンドの処理を行う(W16)。さらに、改ページコマンドの場合も、再開中を示すフラグが設定されている場合には再開頁番号と頁カウンタの比較処理を行うが、現在割り込み印刷を行っており(W17がNO)、判断(W18)を実行することなく、処理(W19)を実行し、頁カウンタを加算(+1)する(W20)。
【0071】
尚、上記処理(W19)は、画像メモリ21aに生成中の画像データを印刷データとして確定し、エンジン制御部24aに印刷処理を指示し、同時に上記給紙口の情報や解像度、階調値の情報をパラメータとして受け渡す処理であり、この指示及び処理に従ってエンジン制御部24aはプリンタエンジン26を駆動し、割り込み指示のあった印刷ジョブの印刷出力を行う。
【0072】
また、PDL解釈・実行部31はジョブ中断・停止フラグがオンされているか判断し(W21)、この場合ジョブ中断・停止フラグはオフであり(W21がNO)、読み出したデータを全て解釈したか判断し、上記処理を繰り返す(W22がNO、W7〜W22)。
【0073】
その後、読み出したデータを全て解釈すると(W22がYES、W6がNO)、割込制御部34に対して印刷ジョブの終了を通知する(W23)。
割込制御部34は、PDL解釈・実行部31から印刷ジョブの終了通知を受信すると(ST8がYES)、終了した印刷ジョブの印刷ジョブファイル1と印刷ジョブファイル2を削除する(ST21)。また、ジョブ復帰再開中フラグをオフし、割込印刷中フラグをオフする(W22)。さらに、入力ジョブキュー管理部33に対して、「先頭のキューデータ削除」要求を出力する(STP24)。この指示に従って、入力ジョブキュー管理部33は入力ジョブキューの先頭のキューデータを取り外し、次のキューデータを先頭に移動する(STP8がYES、STP22)。
【0074】
また、割込制御部34は入力ジョブキュー管理部33に「先頭のキューデータを取得」要求を出力する(ST24)。この指示に従って、入力ジョブキュー管理部33は前述と同様、入力ジョブキューに先頭のキューデータがあるか否かを応答し(STP2〜STP4)、割込制御部34は上記応答結果に基づいて、入力ジョブキューが先頭にあれば(ST25がYES)、更に先頭キューデータのフラグが中断中を示すフラグがオンであるか判断する(ST26)。
【0075】
先頭のキューデータの中断中フラグがオンの場合(ST26がYES)、ジョブ復帰再開フラグをオンし、再開頁番号の情報を共有メモリにセットする(ST27)。すなわち、この場合入力ジョブキュー35の先頭に位置するキューデータは、割り込み印刷によって中断した印刷ジョブであり、この印刷ジョブ情報には再開頁番号の情報が記憶されており、この情報を共有メモリに記憶する。
【0076】
その後、割込制御部34はPDL解釈・実行部31に対して印刷ジョブの実行を指示する(ST7)。この際、前述と同様、割込制御部34はPDL解釈・実行部31に対して、印刷ジョブ名と印刷ジョブファイル1名、印刷ジョブファイル2名の情報を受け渡す。
【0077】
以後、PDL解釈・実行部31は前述と同様、先ずジョブファイル1の情報を読み出し(W5)、ジョブファイル1に記憶されたPDLコマンドの解析を行う(W6、W7)。前述のように、印刷ジョブファイル1には印刷処理を行う際に必要な給紙口の情報や解像度、階調値の情報等のPDLコマンドが含まれており、そのままコマンド処理を行う(W8)。
【0078】
一方、イメージ描画2コマンドについては、現在ジョブ復帰再開中フラグがオンであり、再開頁番号と頁カウンタの比較処理を行う(W9がYES、W10)。すなわち、割り込み指示が行なわれた際、印刷処理中であった印刷ジョブについては、既に印刷出力された頁に関しては印刷処理を再度行なう必要がない。このため、再開頁番号が頁カウンタのカウンタ値より大きい場合(W10がYES)、対応する頁のデータを読み飛ばすため、前述のイメージ描画2コマンドの相対アドレスLocとレングスlenの情報を取り出す処理(W11)や、印刷ジョブファイル2からイメージデータを読み出す処理(W12)、及び読み出したイメージデータに基づいて画像データを生成する処理(W13)を実行しない。
【0079】
また、その他の画像データを生成するコマンドの場合も同様であり、ジョブ復帰再開中フラグがオンであり、再開頁番号と頁カウンタの比較処理を行う(W14がYES、W15)。そして、再開頁番号が頁カウンタのカウンタ値より大きい場合(W15がYES)、対応するコマンドの処理(W16)を行なわない。さらに、改ページコマンドの場合も、再開頁番号と頁カウンタの比較処理を行い(W17がYES、W18)、再開頁番号が頁カウンタのカウンタ値より大きい場合(W18がYES)、エンジン制御部24aへの印刷処理の指示等の処理(W19)を実行しない。
【0080】
以上のように処理することによって、一旦中断した印刷ジョブの復帰再開処理において、再開頁番号と頁カウンタの比較処理を行い、再開頁番号より前の頁データに関しては、PDLコマンドを除いて読み飛ばすことができる。したがって、印刷ジョブに含まれ、特にデータ量の大きいデータであり、印刷ジョブファイル2に記憶されたイメージデータ部については、再開頁番号以前の部分について読み出し処理(つまり、ハードディスクのアクセス)を行うことがなく、中断した印刷ジョブの復帰処理ができる。つまり割込み印刷処理後のジョブ復帰再開処理を効率よく、短時間で行なうことができる。すなわち、印刷ジョブの復帰処理を高速化し、割込復帰のパフォーマンスを格段に改善することができる。
【0081】
尚、頁カウンタのカウンタ値が再開頁番号を超えた場合(W10がNO、W15がNO、W17がNO)、前述と同様ジョブファイル2から対応するイメージデータを読み出し、以後の頁に対して印刷処理を実行することは前述の説明と同様である。
また、本実施形態では、操作パネル27を操作し、割り込み処理を行なう印刷ジョブを指定したが、受信する印刷ジョブ自身に優先度を持たせても良い。例えば、至急/通常のような優先度の指定、又は優先順位の特定等を行ない、上記と同様な処理を行なってもよい。
【0082】
この場合、優先度を認識できるように印刷ジョブの先頭に優先度に関する記述を行い、入力ジョブ保存部32では、この優先度を認識し、印刷ジョブを保存した後、優先度が高い印刷ジョブに対して、割込制御部34に割込印刷の登録要求を出力する。割込制御部34では、割込印刷の登録要求を受け付けると、解釈・実行中の印刷ジョブの中断・停止を行い、割込印刷の登録要求の印刷ジョブを入力ジョブキューの先頭に挿入し、この印刷ジョブの解釈・実行を行なうように制御する。
【0083】
また、上記本実施形態の説明では、イメージ描画コマンドか、又はそれ以外のPDLコマンドかを区別するため、ホスト機器のプリンタドライバで、識別フラグとレングスを付加するようにしたが、付加しないで実現しても良い。この場合、入力ジョブ保存部で、PDLコマンドの処理は行なわないが、PDLコマンドの解析を行い、PDLコマンドは印刷ジョブファイル1に、イメージデータは印刷ジョブファイル2に記憶する。イメージ描画コマンドは、イメージ描画2コマンドに置換する。
【0084】
また、識別フラグとレングスの代りに、識別フラグとレングスをパラメータとして持つ専用のPDLコマンドとしても良い。
また、上記実施形態の説明では印刷装置としてカラープリンタの例で説明したが、例えばMFP等の複合機であっても同様に実施できる。
【符号の説明】
【0085】
1・・・プリンタ装置
2・・・画像形成部
2M、2C、2Y、2K・・画像形成ユニット
3、3a〜3e・・記録媒体給紙部
4・・・記録媒体搬送部
5・・・感光体ドラム
5a・・帯電器
5b・・LEDヘッド
5c・・現像器
5d・・転写器
10・・待機ローラ
11・・ベルト駆動ローラ
12・・従動ローラ
13・・搬送ベルト
16・・排紙部
17・・印刷制御部
18・・LAN制御回路
19・・USB制御回路
20・・CPU
21・・メモリ
22・・不揮発性メモリ
23・・RОM
24・・エンジン制御回路
25・・操作パネル制御回路
26・・プリンタエンジン
27・・操作パネル
27a・・表示部
27b・・キー部
28・・ハードディスク制御回路
29・・ハードディスク
30・・クライアント装置
30a・・アプリケーションプログラム
30b・・プリンタドライバ
30c・・スプーラ
30d・・LAN接続制御部
31・・PDL解釈・実行部
32・・入力ジョブ保存部
33・・入力ジョブキュー管理部
34・・割込制御部
35・・入力ジョブキュー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージ描画コマンドとイメージ以外のPDLコマンドを含む印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置において、
前記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換手段と、
前記PDLコマンドと内部コマンドを記憶する第1の記憶手段と、
前記イメージ描画コマンドのイメージデータ部分を記憶する第2の記憶手段と、
割り込み印刷が行われる際、印刷処理中の印刷データの未印刷出力の頁情報を記憶する再開頁番号記憶手段と、
前記割り込み印刷の処理後、中断した印刷データの印刷処理を行う際、前記再開頁番号記憶手段から再開頁番号の情報を読み出し、該再開頁番号まで前記第1の記憶手段に記憶した前記PDLコマンドと内部コマンドのみを読み出し、前記再開頁番号以降について、更に前記第1の記憶手段から読み出した内部コマンドに従ったイメージデータ部分を前記第2の記憶手段から読み出す制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換手段は、前記イメージ描画コマンドの前記イメージデータ部分を、該イメージデータ部分が記憶された第2の記憶手段の相対アドレス情報と、前記イメージデータ部分の長さ情報に変換する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記割り込み処理が行われる際、入力ジョブキューの順序を入れ替え、前記印刷処理中の印刷ジョブキューに前記再開頁番号の情報を記憶させ、前記割り込み処理が完了した後、前記中断した印刷データの印刷処理を行う際、前記再開頁番号記憶手段から再開頁番号の情報を読み出して印刷処理に使用することを特徴とする請求項1、又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記割り込み処理の場合のみならず、前記印刷データに付加された印刷優先度の情報に基づいて、優先印刷処理を行った後、中断した印刷データの印刷処理を行う際、前記再開頁番号記憶手段から再開頁番号の情報を読み出し、該再開頁番号まで前記第1の記憶手段に記憶した前記PDLコマンドと内部コマンドのみを読み出し、前記再開頁番号以降について、更に前記第1の記憶手段から読み出した内部コマンドに従ったイメージデータ部分を前記第2の記憶手段から読み出す制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷データは、ネットワークを介して接続されたホスト機器から送信され、前記PDLコマンドの作成が前記ホスト機器で行われた前記印刷データであることを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載の印刷装置。
【請求項6】
ホスト機器と印刷装置がネットワークを介して接続された印刷システムにおいて、
前記ホスト機器は、
イメージ描画コマンドとイメージ以外のPDLコマンドを含む印刷データを作成し、前記印刷装置に出力し、
前記印刷装置は、
前記印刷データを受信する受信手段と、
前記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換手段と、
前記PDLコマンドと内部コマンドを記憶する第1の記憶手段と、
前記イメージ描画コマンドのイメージデータ部分を記憶する第2の記憶手段と、
割り込み印刷が行われる際、印刷処理中の印刷データの未印刷出力の頁情報を記憶する再開頁番号記憶手段と、
前記割り込み印刷の処理後、中断した印刷データの印刷処理を行う際、前記再開頁番号記憶手段から再開頁番号の情報を読み出し、該再開頁番号まで前記第1の記憶手段に記憶した前記PDLコマンドと内部コマンドのみを読み出し、前記再開頁番号以降について、更に前記第1の記憶手段から読み出した内部コマンドに従ったイメージデータ部分を前記第2の記憶手段から読み出す制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
イメージ描画コマンドとイメージ以外のPDLコマンドを含む印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置の制御方法において、
前記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換処理と、
前記PDLコマンドと内部コマンドを第1の記憶手段に記憶する処理と、
前記イメージ描画コマンドのイメージデータ部分を第2の記憶手段に記憶する処理と、
割り込み印刷が行われる際、印刷処理中の印刷データの未印刷出力の頁情報を再開頁番号記憶手段に記憶する処理と、
前記割り込み印刷の処理後、中断した印刷データの印刷処理を行う際、前記再開頁番号記憶手段から再開頁番号の情報を読み出し、該再開頁番号まで前記第1の記憶手段に記憶した前記PDLコマンドと内部コマンドのみを読み出し、前記再開頁番号以降について、更に前記第1の記憶手段から読み出した内部コマンドに従ったイメージデータ部分を前記第2の記憶手段から読み出す制御を行う制御処理と、
を行うことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項8】
前記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換処理は、前記イメージ描画コマンドの前記イメージデータ部分を、該イメージデータ部分が記憶された第2の記憶手段の相対アドレス情報と、前記イメージデータ部分の長さ情報に変換する処理であることを特徴とする請求項7に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項9】
イメージ描画コマンドとイメージ以外のPDLコマンドを含む印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置の制御プログラムであって、
前記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換処理と、
前記PDLコマンドと内部コマンドを第1の記憶手段に記憶する処理と、
前記イメージ描画コマンドのイメージデータ部分を第2の記憶手段に記憶する処理と、
割り込み印刷が行われる際、印刷処理中の印刷データの未印刷出力の頁情報を再開頁番号記憶手段に記憶する処理と、
前記割り込み印刷の処理後、中断した印刷データの印刷処理を行う際、前記再開頁番号記憶手段から再開頁番号の情報を読み出し、該再開頁番号まで前記第1の記憶手段に記憶した前記PDLコマンドと内部コマンドのみを読み出し、前記再開頁番号以降について、更に前記第1の記憶手段から読み出した内部コマンドに従ったイメージデータ部分を前記第2の記憶手段から読み出す制御を行う制御処理と、
を行うことを特徴とする印刷装置の制御プログラム。
【請求項10】
前記イメージ描画コマンドのコマンド部分を内部コマンドに変換する変換処理は、前記イメージ描画コマンドの前記イメージデータ部分を、該イメージデータ部分が記憶された第2の記憶手段の相対アドレス情報と、前記イメージデータ部分の長さ情報に変換する処理であることを特徴とする請求項9に記載の印刷装置の制御プログラム。


【図3】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−61752(P2012−61752A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208221(P2010−208221)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】