説明

印刷装置

【課題】本発明は割込み印刷の指示があった場合、先行する印刷ジョブの残り印刷枚数を判断し、残り印刷枚数が少ない場合、先行して行っている印刷処理を先に処理させ、その後割り込み印刷の処理を行うことによって、効率のよい印刷処理を行う印刷装置を提供するものである。
【解決手段】割り込み印刷が可能な印刷装置であって、印刷データを受信する受信部と、印刷データの印刷ジョブ情報を記憶する印刷ジョブ情報記憶部と、印刷データを画像データに変換する画像データ変換部と、印刷データを画像データに変換する際、印刷データをページ毎に管理する印刷行列情報を生成し記憶する印刷行列記憶部と、割り込み印刷の指示が出力された際、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上である時割り込み印刷を行い、残り印刷枚数が所定枚以上ではない時、先の印刷データの印刷処理を継続する制御部と、上記印刷ジョブ情報と印刷行列情報に従って印刷処理を行う印刷処理部と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は割り込み印刷が可能な印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、ホストコンピュータ等のホスト機器とプリンタ装置等の印刷装置がネットワークを介して接続された印刷システムが使用されている。このようなシステムにおいて、あるホスト機器から依頼された印刷ジョブを処理する間に割り込み印刷の指示がある場合がある。
【0003】
この場合、通常割り込まれた印刷ジョブの印刷処理を一時中断し、割り込みジョブの処理を優先して実行する。このため、割り込まれた印刷ジョブの処理は、割り込みジョブの処理が終了するまで中断する。
【0004】
尚、割り込み処理に関する発明には、例えば特許文献1に開示するように、割り込み印刷ジョブが終了した後、同じ排紙トレイ上に割り込みを行った印刷ジョブと先の印刷ジョブの印刷済み用紙を区別できるようにして、先の印刷ジョブをできるだけ速やかに再開できるように構成した発明も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-175282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、割り込み印刷の指示があった際、先行する印刷ジョブの残り印刷枚数が少ない場合、先行して行っている印刷ジョブを停止し、割り込み印刷を先行させて行うことは効率の悪い印刷処理である。
【0007】
そこで、本発明は割込み印刷の指示があった場合、先行する印刷ジョブの残り印刷枚数を判断し、残り印刷枚数が少ない場合、先行して行っている印刷処理を先に処理させ、その後割り込み印刷の処理を行うことによって、効率のよい印刷処理を行う印刷装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は本発明によれば、印刷データのコマンド解析を行い、前記印刷データを画像データに変換する画像データ変換部と、前記印刷データを画像データに変換する際、前記印刷データをページ毎に管理する印刷行列を生成し記憶する印刷行列記憶部と、割り込み印刷の指示が出力された際、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上であるか判断し、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上であるとき、割り込み印刷を行い、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以下であるとき、先の印刷データの印刷処理を継続する制御部と、とを有する印刷装置を提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、割り込み印刷の指示が出力された際、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上であるか判断し、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上であるとき割り込み印刷を行い、割り込み印刷を実行すると共に、残り印刷枚数が所定枚以下のとき、先の印刷データの印刷処理を継続し、残り少ない印刷処理を先に終了させ、効率のよい印刷処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態を説明するシステム構成図である。
【図2】ジョブテーブルの初期化時におけるデータ構成を示す図である。
【図3】印刷行列状態と印刷行列テーブルの関係を示す概念図である。
【図4】初期時の印刷行列テーブルのデータ構成を示す図である。
【図5】初期時の印刷行列の作成個数、書き込み位置、及び読み出し位置のデータ構成図である。印刷行列テーブルの構成を示す図である。
【図6】印刷動作時のジョブテーブルのデータ構成を示す図である。
【図7】印刷動作時の具体的なデータが記憶された印刷行列テーブルの例を示す図である。
【図8】印刷動作時の印刷行列の作成個数、書き込み位置、及び読み出し位置のデータ構成図である。
【図9】通常印刷時の受信部の処理を説明するフローチャートである。
【図10】通常印刷時の制御部の処理を説明するフローチャートである。
【図11】通常印刷時のRIP部の処理を説明するフローチャートである。
【図12】通常印刷時の転送部の処理を説明するフローチャートである。
【図13】割り込み印刷時の制御部の処理を説明するフローチャートである。
【図14】割り込み印刷時の制御部の処理を説明するフローチャートである。
【図15】割り込み印刷時のRIP部の処理を説明するフローチャートである。
【図16】割り込み印刷時の転送部の処理を説明するフローチャートである。
【図17】表示操作制御部の処理を説明するフローチャートである。
【図18】第2RIP部の処理を説明するフローチャートである。
【図19】割り込み可否判断時の制御部の処理を説明するフローチャートである。
【図20】割り込み可否判断時の制御部の処理を説明するフローチャートである。
【図21】割り込み可否判断時の制御部の処理を説明するフローチャートである。
【図22】割り込み可否判断時の転送部の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本実施形態のシステム構成図である。同図において、プリンタ装置1はLAN(local area network)等のネットワークを介してパーソナルコンピュータ(PC)等のホスト機器2に接続されている。プリンタ装置1は受信部3、制御部4、第1のRIP部(以下、単にRIP部で示す)5、第2RIP部6、転送部7、プリンタエンジン8、受信バッファ9、ハードディスク(HDD)10、割り込み可能残り枚数設定部11、ジョブテーブル12、表示操作制御部13、表示パネル14、操作ボタン15で構成されている。また、RIP部5は印刷データをコマンド解析し、画像データに変換する際、印刷行列を作成し、印刷行列テーブル17に記憶する。また、第2のRIP部6は後述する割り込み印刷の指示があった時、印刷行列テーブルに作成されたデータを退避印刷行列18に退避させ、割り込み印刷の指示があった印刷データのコマンド解析を行う。また、RIP部5及び第2RIP部6によってコマンド解析され、作成された画像データは画像メモリ16に展開される。
【0012】
ホスト機器2は、アプリケーションに従って作成した印刷データをプリンタドライバによって印刷データ(PDL(Page Description Language)データ)に変換し、プリンタ装置1に送信する。プリンタ装置1の受信部3は、ホスト機器2から供給された印刷データの受信し、印刷データに含まれるジョブIDや文書名、総印刷枚数等の情報を制御部4に通知する。尚、印刷データには上記情報の他、例えばカラー印刷/モノクロ印刷の別、両面印刷/片面印刷の別等の情報も含まれる。また、受信部3は受信した印刷データを受信バッファ9に順次書き込む。
【0013】
制御部4は受信部3からの通知を受けると、ジョブテーブル12に上記情報を記憶する。図2はジョブテーブル12の初期時におけるデータ構成を示す図である。ジョブテーブル12は「ジョブID」、「文書名」、「総印刷枚数」、「残り印刷枚数」、「受信バッファアドレス」、「ジョブ状態」、「割り込み」の各記憶エリアで構成されている。そして、上記ジョブID、文書名、総印刷枚数の情報を対応する記憶エリアに記憶する。
【0014】
ここで、「ジョブID」の記憶エリアには印刷ジョブ毎に付加された、例えば識別コードが記憶され、「文書名」の記憶エリアには当該ジョブIDの文書名の情報が記憶され、「総印刷枚数」の記憶エリアには、当該印刷データの総ページ数が登録される。また、「残り印刷枚数」の記憶エリアには、対応する印刷データの総印刷枚数から印刷処理が完了した枚数を減算した印刷枚数が記憶される。
【0015】
また、「受信バッファアドレス」の記憶エリアには、対応する印刷データが格納された受信バッファ9のアドレス情報が記憶される。また、「ジョブ状態」の記憶エリアには、対応する印刷ジョブの処理の状態が記憶され、例えば受信中や、印刷中、又はRIP中のジョブ状態が記憶される。さらに、「割り込み」の記憶エリアには、対応する印刷データが割り込みを行った印刷ジョブである場合、割込中のフラグがセットされる。
【0016】
尚、ジョブテーブル12の初期時においては、図2に示すように、「ジョブID」の記憶エリアは全て“空き”状態にリセットされ、「文書名」の記憶エリアは全て“なし”状態にリセットされ、「総印刷枚数」の記憶エリアは全て“0”にリセットされ、「残り印刷枚数」の記憶エリアは全て“−1”にリセットされ、「受信バッファアドレス」の記憶エリアも全てアドレス“0”リセットされ、更に「ジョブ状態」の記憶エリア及び「割り込み」の記憶エリアも全て“なし”状態にリセットされている。
【0017】
制御部4は受信部3から受信開始信号を受信すると、上記ジョブテーブル12のレコード番号1から順次検索し、「ジョブID」の記憶エリアが“空き”状態である最初のレコード番号の記憶エリアにジョブID、文書名、及び当該印刷データの総印刷枚数の情報を書き込む。
【0018】
RIP部5は制御部4の指示に従って受信バッファ9から印刷データを読み出し、コマンド解析を行い、画像データに変換する。RIP部5によって変換された画像データは画像メモリ16に展開される。また、この時作成する印刷行列を印刷行列テーブル17に記憶する。図3はその概念図であり、図4は印刷行列テーブル17のデータ構成を示す図である。
【0019】
印刷行列テーブル17はレコード番号毎に「ジョブID」、「現在ページ番号」、「画像メモリアドレス」、「描画状態」、「退避ファイル名」の各記憶エリアで構成されている。
【0020】
「ジョブID」の記憶エリアには前述と同様、印刷ジョブ毎に付加された、例えば識別コードが記憶される。また、「現在ページ番号」の記憶エリアには、対応する印刷データの中でRIP処理を行っているページ番号を記憶する。また、「画像メモリアドレス」の記憶エリアには、対応するページの画像データが展開された画像メモリ16のアドレス情報が記憶される。
【0021】
また、「描画状態」の記憶エリアには、対応する印刷データの描画処理の経過が記憶され、例えば描画中、又は描画完了の情報が記憶される。さらに、「退避ファイル名」の記憶エリアには、割り込み印刷の指示があった際、割り込まれた印刷データの描画処理によって作成された印刷行列の情報が退避する際のファイル名が記憶される。
【0022】
尚、図4に示すように、初期時において印刷行列テーブル17の「ジョブID」の記憶エリアは全て“空き”状態にリセットされ、「現在ページ番号」及び「画像メモリアドレス」の記憶エリアは全て“0”にリセットされ、「描画状態」及び「退避ファイル名」の記憶エリアは全て“なし”にリセットされている。
【0023】
したがって、初期時において、図5に示すように、作成された印刷行列の個数は“0”であり、新たな印刷行列の書き込み位置は“1”(レコード番号1)であり、印刷行列の読み出し位置も“1”(レコード番号1)である。
【0024】
尚、転送部7は画像メモリ16から画像データを読み出し、プリンタエンジン8に転送する。プリンタエンジン8では転送部7から転送される画像データに基づいて記憶媒体(例えば、用紙)に画像データを印刷する。
【0025】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
尚、本例の処理動作を説明する際、前述のジョブテーブル12には既に図6に示す情報が記憶されているものとする。例えば、レコード番号1の記憶エリアには「ジョブID」が“J0004”であり、「文書名」が“Price List”である「総印刷枚数」が“9”(9枚)の印刷ジョブの情報が記憶されている。この印刷ジョブの「ジョブ状態」は現在“印刷中”であり、既にRIP部5による画像データへの変換処理が終了しており、「残り印刷枚数」は“7”(7枚)である。
【0026】
また、レコード番号2の記憶エリアには「ジョブID」が“J0005”であり、「文書名」が“レイアウト図”である「総印刷枚数」が“1”(1枚)の印刷ジョブの情報が記憶されている。この印刷ジョブの「ジョブ状態」も“印刷中”であり、既にRIP部5による画像データへの変換処理が終了しており、「残り印刷枚数」は“−1”であり、未だ印刷出力がされていない。
【0027】
一方、レコード番号3の記憶エリアには「ジョブID」が“J0006”であり、「文書名」が“会議資料”である「総印刷枚数」が“14”(14枚)の印刷ジョブの情報が記憶されている。この印刷ジョブの「ジョブ状態」は“RIP中”であり、既にRIP部5による画像データへの変換処理が開始された状態であり、当該印刷データが受信バッファ9に残っている。具体的には「受信バッファアドレス」に記憶された“0x8000A064”のアドレスを開始アドレスとして受信バッファ9に格納されている。
【0028】
また、レコード番号4の記憶エリアには「ジョブID」が“J0007”であり、「文書名」が“予算案”である「総印刷枚数」が“5”(5枚)の印刷ジョブの情報が記憶されている。この印刷ジョブの「ジョブ状態」は“受信中”であり、受信部3による受信処理が行われている状態である。具体的には「受信バッファアドレス」に記憶された“0x8000CB18”のアドレスを開始アドレスとして受信バッファ9に格納中である。
尚、本例の処理を開始する時点では、ジョブテーブル12の他のレコード(レコード番号5)は初期状態のまま維持されている。
【0029】
また、上記ジョブテーブル12と同様、印刷行列テーブル17にも既に図7に示すデータが記憶されているものとする。例えば、レコード番号1の記憶エリアには「ジョブID」が“J0004”である9ページ目(「現在ページ番号」“9”)の情報が記憶され、当該9ページ目の画像データは「描画状態」の情報から描画処理が完了しており、「画像メモリアドレス」の情報から“0x8081012C”を開始アドレスとして画像メモリ16に展開されている。
【0030】
また、例えばレコード番号2の記憶エリアには「ジョブID」が“J0005”である1ページ目(「現在ページ番号」“1”)の情報が記憶され、「描画状態」の情報から描画処理が完了しており、「画像メモリアドレス」の情報から“0x80C10140”を開始アドレスとして画像メモリ16に展開されている。
【0031】
また、例えばレコード番号3〜7の記憶エリアには「ジョブID」が“J0006”である1〜5ページ目(「現在ページ番号」“1”、“2”、・・“5”)の情報が記憶され、「描画状態」の情報から1〜4ページ目までは描画処理が完了しており、5ページ目は現在描画中である。また、「画像メモリアドレス」の情報から“0x81010154” を開始アドレスとして画像メモリ16に展開されている。
【0032】
尚、レコード番号8及び9の記憶エリアは空き領域であり、レコード番号10の記憶エリアには前述の「ジョブID」が“J0004”である8ページ目(「現在ページ番号」“8”)の情報が記憶され、「描画状態」の情報から描画処理が完了しており、「画像メモリアドレス」の情報から“0x80400118” を開始アドレスとして画像メモリ16に展開されている。
【0033】
また、上記印刷行列テーブル17の状態において、図8に示すように、使用する印刷行列の個数は“8”であり、次の書き込み位置は“7”(レコード番号7)であり、次の読み出し位置は“10”(レコード番号10)である。
【0034】
上記ジョブテーブル12、及び印刷行列テーブル17の状態において、先ず通常の印刷処理について説明する。図9は受信部3の処理動作を説明するフローチャートであり、図10は制御部4の処理動作を説明するフローチャートであり、図11はRIP部5の処理動作を説明するフローチャートであり、図12は転送部7の処理動作を説明するフローチャートである。
【0035】
先ず、受信部3は図9に示すフローチャートに従って、ネットワークに接続されたホスト機器2から印刷データを受信したか判断する(ステップ(以下、Sで示す)1)。受信部3は印刷データを受信するまで待ち(S1がNO)、印刷データを受信すると(S1がYES)、印刷データに含まれるジョブ情報を抽出する(S2)。この処理は前述のジョブIDや、文書名、総印刷枚数等の情報を抽出する処理である。
【0036】
次に、制御部4に印刷データの受信開始を通知する(S3)。すなわち、受信部3は制御部4に受信開始の許可を受けるため受信開始の通知を出力し、制御部4からの受信開始許可の応答を待つ(S4)。
【0037】
制御部4は受信部3から上記受信開始通知を受信すると、図10に示すフローチャートに従って処理を開始し、先ず外部から通知があるか判断する(S5)。この場合、受信開始通知を受信しており(S5がYES)、受信バッファ9を確保し(S6)、ジョブテーブル12に登録を行う(S7)。すなわち、当該印刷データの格納領域を受信バッファ9に確保し、上記印刷データから抽出したジョブ情報をジョブテーブル12に登録する。
【0038】
その後、制御部4は受信部3に対して受信開始許可の応答を行う(S8)。受信部3は制御部4から受信開始許可の応答を受信すると(S4がYES)、印刷データの受信を開始し、入力する印刷データを順次受信バッファ9に格納する(S9)。
【0039】
制御部4は受信部3に上記受信開始許可の応答を行った後、RIP処理が可能であるか判断する(S10)。この判断は、図6に示すジョブテーブル12の「ジョブ状態」の記憶エリアを参照して行ない、例えばレコード番号3に“RIP中”の情報が記憶されている場合、新たな印刷データのRIP処理は行わない(S10がNO)。一方、何れのレコード番号の「ジョブ状態」の記憶エリアにも“RIP中”の情報が記憶されていなければ、ジョブテーブル12の更新を行い(S11)、RIP部5にRIP処理開始の通知を行う(S12)。この場合、RIP処理を開始するレコード番号の「ジョブ状態」の記憶エリアに“RIP中”の情報を記憶する。
【0040】
RIP部5は制御部4からRIP処理開始の通知があると(S13がYES)、「現在ページ」を1にセットし(S14)、未RIPデータがあるか判断する(S15)。具体的には、読み出し処理を行っていないデータ(未RIPデータ)があるか判断する。ここで、未RIPデータがない場合には(S15がNO)、制御部4にRIP処理の完了を通知する(S16)。一方、未RIPデータがあれば(S15がYES)、印刷行列を確保する(S17)。
【0041】
図6に示す例では、レコード番号4に記憶された印刷ジョブが受信中であり、印刷行列を確保し、更に画像メモリ16を確保し(S18)、印刷行列テーブル17を更新し(S19)、印刷データを受信バッファ9から読み出し、RIP処理を開始する(S20)。そして、1ページ分の画像データが完成したか判断し(S21)、1ページ分の画像データが完成していなければ(S21がNO)、上記RIP処理を繰り返す(S20、S21)。
【0042】
その後、1ページ分の画像データが完成すると(S21がYES)、印刷行列テーブル17の状態を更新し(S22)、「現在ページ」をインクリメント(+1)する(S23)。そして、未RIPデータがあるか判断し(S15)、未RIPデータがあれば(S15がYES)、上記処理を繰り返し(S17〜S23)、受信バッファ9に残る印刷データが無くなると(S15がNO)、制御部4にRIP処理の完了を通知する(S16)。
【0043】
制御部4はRIP部5から上記RIP処理の完了通知を受信すると(S5がYES)、受信バッファ9を解放し(S24)、ジョブテーブル12の更新を行う(S25)。例えば、図6に示す例では、レコード番号3の「ジョブID」“J0006”のRIP処理が完了通知を受信すると、当該印刷ジョブの印刷データが格納されていた受信バッファ9の記憶領域を解放し、「ジョブ状態」を“印刷中”に更新する。また、レコード番号4の「ジョブID」“J0007”のRIP処理が完了通知を受信すると、当該印刷ジョブの印刷データが格納されていた受信バッファ9の記憶領域を解放し、「ジョブ状態」を“RIP中”、“印刷中”に順次更新する。
【0044】
次に、受信中の印刷ジョブがあるか判断し(S26)、受信中の印刷ジョブがあれば(S26がYES)、ジョブテーブル12の更新を行い(S27)、RIP部5にRIP処理開始の通知を行う(S28)。例えば、図6に示す例では、新たに印刷データがホスト機器2から入力し、レコード番号5の空き領域に新たな印刷ジョブの情報が入力すると、ジョブテーブル12に新たな印刷ジョブの情報を書き込み、RIP部5にRIP処理開始の通知を行う。
【0045】
転送部7は印刷行列テーブル17に印刷情報が作成され、1以上の印刷行列が作成されると(S29がYES)、図7に示す印刷行列テーブルの「描画状態」の記憶エリアを参照し、“描画完了”となっているか判断する(S30)。例えば、図7に示す例では、レコード番号1〜6、及び10の「描画状態」の記憶エリアが“描画完了”となっており(S30がYES)、画像メモリ16に展開された印刷データをプリンタエンジン8に転送し(S31)、画像データに基づく用紙への印刷出力をプリンタエンジン8に行わせる。
【0046】
その後、転送部7は対応する画像データが展開されていた画像メモリを解放し(S32)、印刷行列テーブルを更新し(S33)、印刷行列状態更新を行う(S34)。例えば、レコード番号10に記憶された“J0004”の8ページの画像データの転送処理が完了したとき、レコード番号10の記憶領域に記憶されていたデータをクリアする。その後、制御部4に転送完了の通知を行う(S35)。
【0047】
制御部4は転送部7から転送完了通知を受信すると(S5がYES)、残り枚数を算出する(S36)。この処理は対応する印刷ジョブの残り印刷枚数を計算する処理であり、前述の図6に示す「残り印刷枚数」のデータをデクリメント(−1)し、対応する「残り印刷枚数」の記憶エリアのデータを更新する(S37)。例えば、図6に示す「ジョブID」が“J0004”の印刷データの場合、現在の「残り印刷枚数」の記憶エリアのデータを−1し、現在の“7”から“6”に更新する。
【0048】
その後、上記処理によって残り枚数が0枚になったか判断し(S38)、対応する「残り印刷枚数」の記憶エリアのデータが“0”になれば(S38がYES)、対応するレコード番号の印刷ジョブを削除する(S39)。例えば、図6に示す「ジョブID」が“J0004”の印刷データの転送処理が更に行われ、「残り印刷枚数」の記憶エリアのデータが“0”になると、レコード番号1の印刷ジョブのデータが削除される。
【0049】
以上の処理が通常印刷の場合であり、次に割り込み印刷が途中で発生する印刷処理について説明する。
図13及び図14は制御部4の処理動作を説明するフローチャートであり、図15はRIP部5の処理動作を説明するフローチャートであり、図16は転送部7の処理動作を説明するフローチャートである。
尚、この場合もジョブテーブル12には図6に示す印刷ジョブ情報が記憶され、印刷行列テーブル17には図7に示す印刷行列が作成されているものとする。
【0050】
前述と同様、受信部3はネットワークに接続されたホスト機器2から印刷データの受信を待ち、印刷データを受信すると印刷データに含まれるジョブ情報を抽出し、制御部4に受信開始の通知を行い、制御部4からの受信開始の許可を待つ。
【0051】
制御部4は受信部3から上記受信開始の通知を受信すると、図13に示すフローチャートに従って、先ず外部から通知があるか判断する(ステップ(以下、STで示す)1)。このとき、上記受信開始の通知を受けており、前述と同様、受信バッファ9を確保し(ST2)、ジョブテーブル12に登録を行う(ST3)。すなわち、当該印刷データの格納領域を受信バッファ9に確保し、上記印刷データから抽出したジョブ情報をジョブテーブル12に登録する。
【0052】
その後、制御部4は受信部3に対して受信開始許可の応答を行う(ST4)。受信部3は制御部4からの受信開始許可の応答を受信すると印刷データを受信バッファ9に順次格納する。
【0053】
制御部4は受信部3に上記受信開始許可の応答を行った後、RIP処理が可能であるか判断する(ST5)。この判断も前述と同様、図3に示すジョブテーブル12の「ジョブ状態」の記憶エリアを参照し、例えばレコード番号3に“RIP中”の情報が登録されている場合、新たな印刷データのRIP処理は行われない(ST5がNO)。一方、何れのレコード番号の「ジョブ状態」の記憶エリアにも“RIP中”のデータが記憶されていなければ、ジョブテーブル12の更新を行い(ST6)、RIP部5にRIP処理開始の通知を行う(ST7)。
【0054】
RIP部5は制御部4からRIP停止通知があるか判断し(ST8)、RIP停止通知があると(ST8がYES)、制御部4にRIP停止完了の通知を行う(ST9)。このRIP停止の通知は、後述する割り込み印刷の指示があった場合、制御部4から出力され、RIP処理を停止し、RIP停止解除の通知を待つ(ST10)一連の処理である。
【0055】
したがって、割り込み印刷の指示がなければ、前述と同様、制御部4からRIP処理開始の通知を待ち(ST11)、RIP処理開始の通知があると(S11がYES)、「現在ページ」を1に設定し(ST12)、未RIPデータがあるか判断する(S13)。ここで、未RIPデータがある場合(ST13がYES)、再度割り込み印刷の指示があった場合のRIP停止通知の判断を行い(ST14〜ST16)、RIP停止通知が無いことを確認し、印刷行列テーブル17を確保し(ST17)、画像メモリ16の展開領域を確保し(ST18)、印刷行列テーブル17を更新し(ST19)、印刷データを受信バッファ9から読み出し、RIP処理を開始する(ST20)。
【0056】
そして、1ページ分の画像データが完成したか判断し(ST21)、1ページ分の画像データが完成すると(ST21がYES)、印刷行列状態を更新し(ST22)、「現在ページ」をインクリメント(+1)し(ST23)、未RIPデータが残っていれば(S13がYES)、上記処理を繰り返し(ST14〜ST23)、未RIPデータが全て画像データに変換されると(S13がNO)、制御部4にRIP処理完了を通知する(ST24)。尚、上記処理は割り込み印刷の指示がない場合、前述の図11の処理と同様であり、図6のジョブテーブル12、及び図7の印刷行列テーブル17の具体例を使用した説明は前述と通りである。
【0057】
一方、制御部4はRIP部5から上記RIP処理完了の通知を受信すると(ST1がYES)、受信バッファ9を解放し(ST25)、ジョブテーブル12の更新を行う(ST26)。その後、受信中の印刷ジョブがあるか判断し(ST27)、受信中の印刷ジョブがあれば(ST27がYES)、ジョブテーブル12の更新を行い(ST28)、RIP部5にRIP処理開始の通知を行う(ST29)。
【0058】
転送部7は制御部4から印刷停止通知があるか判断し(ST30)、印刷停止通知があると(ST30がYES)、制御部4に印刷停止の完了通知を行い(ST31)、制御部4からの印刷停止解除の通知を待つ(ST32)。この印刷停止通知も、後述する割り込み印刷の指示があった場合の処理であり、上記印刷停止の通知がない場合には、前述と同様、印刷行列テーブル17に印刷情報が作成され、1以上の印刷行列が作成されると(ST33がYES)、再度制御部4から印刷停止通知があるか判断し(ST34〜ST36)、印刷停止通知が無いことを確認し、図7に示す「描画状態」の記憶エリアを参照して“描画完了”が設定されているか判断する(ST37)。
【0059】
例えば、図7に示す例では、レコード番号1〜6、及び10の「描画状態」の記憶エリアに“描画完了”が設定されており、画像メモリ16に展開された印刷データをプリンタエンジン8に転送し(ST38)、対応する画像データが展開されていた画像メモリを解放し(ST39)、印刷行列のテーブル17を更新し(ST40)、印刷行列状態の更新を行い(ST41)、制御部4に転送完了通知を行う(ST42)。
【0060】
制御部4は転送部7から転送完了通知を受信すると(ST1がYES)、前述と同様、残り枚数を算出し(ST43)、ジョブテーブル12を更新し(ST44)、残り印刷枚数が0枚であるか判断する(ST45)。そして、対応する「残り印刷枚数」の記憶エリアのデータが“0”であれば(ST45がYES)、割り込み印刷の指示を判断し(ST46)、割り込み印刷の指示が無ければ(ST46がNO)、対応するレコード番号の印刷ジョブを削除する(ST47)。
【0061】
一方、上記処理を行う間、利用者が割り込み印刷の指示を行うべく操作ボタン15を操作すると、操作信号が表示操作制御部13に送られる。
【0062】
図17は表示操作制御部13の処理を説明するフローチャートである。先ず、表示操作制御部13は割り込み印刷開始の操作を認識する(ステップ(以下、図17においてSTPで示す)1)。すなわち、表示操作制御部13は上記操作ボタン15からの操作信号に基づいて割り込み印刷開始を認識し、制御部4に割り込み印刷開始の指示を行う(STP2)。
【0063】
その後、表示操作制御部13は制御部4からの確認通知を待ち(STP3)、制御部4から確認通知があると(STP3がYES)、割り込み印刷が有効であれば表示パネル14に文書名一覧表示を行う(STP4)。この処理は、制御部4が割り込み印刷開始の通知を受信した際(図13のST1がYES)、印刷ジョブ数が2以上であるか判断し(図14のST48)、印刷ジョブ数が2以上である場合、割り込み印刷が有効であると判断し、文書名一覧表示を行う。したがって、割り込み印刷の指示があった際、印刷ジョブ数が2以上でない場合(ST48がNO)、即ち印刷ジョブ数が1である場合、割り込み印刷を行う必要がないので、表示操作制御部13に割り込み印刷無効を通知する(ST49)。この場合、表示操作制御部13は割り込み印刷無効の表示を行う(STP5)。
【0064】
一方、印刷ジョブ数が2以上である場合、上記のように表示パネル14に文書名一覧表示を行い(STP4)、文書名の選択を待つ(STP6)。その後、操作ボタン15が操作され、文書名が選択されると(STP6がYES)、表示操作制御部13は制御部4に割り込み印刷実行の通知を行う(STP7)。
【0065】
制御部4は上記割り込み印刷の実行通知があると、RIP部5にRIP処理の停止を通知し、転送部7に印刷停止通知を行う(ST50)。RIP部5はRIP停止通知を受信すると(ST8がYES、又はST14がYES)、それまでのRIP処理を停止し、制御部4にRIP停止の完了通知を行う(ST9、又はST15)。その後、制御部4からのRIP停止解除の通知を待つ(ST10、又はST16)。
【0066】
また、転送部7は制御部4から印刷停止通知があると(ST30がYES、又はST34がYES)、画像データの転送処理を停止し、制御部4に印刷停止の完了通知を行う(ST31、又はST35)。その後、制御部4からの印刷停止解除の通知を待つ(ST32、又はST36)。
【0067】
一方、制御部4はRIP部5からRIP停止完了の応答があり、転送部7から印刷停止完了の応答があると(ST51がYES)、再度印刷ジョブ数が2以上であるか判断し(ST52)、印刷ジョブ数が2以上である場合(ST52がYES)、ジョブテーブル12を更新し(ST53)、表示操作制御部13に割り込み印刷が有効であることを通知する(ST54)。
【0068】
その後、表示操作制御部13から前述の割り込み印刷実行の通知があると(ST55)、制御部4は第2RIP部6に、印刷行列の退避を通知する(ST56)。図18は第2RIP部6の処理を説明するフローチャートであり、制御部4から印刷行列退避の通知があると(ステップ(以下、Wで示す)1)、印刷行列の退避処理を行う(W2)。
【0069】
この処理は、上記割り込み印刷の指示があるまでRIP部5のRIP処理によって作成された印刷行列テーブル17のデータを退避印刷行列18に退避させる処理であり、具体的にはそれまでに作成された図7に示す印刷行列テーブル17のデータをそのまま退避印刷行列18に退避させる。そして、この印刷行列の退避処理が完了すると、第2RIP部6は制御部4に印刷行列退避完了を応答する(W3)。
【0070】
制御部4は第2RIP部6から上記印刷行列退避完了の応答を受信すると(ST57がYES)、ジョブテーブル12の更新処理を行い(ST58)、第2RIP部6に印刷行列の復帰を通知する(ST59)。
【0071】
例えば、割り込み印刷の指示があった印刷ジョブが図6に示す「ジョブID」(“J0006”)の“会議資料”であれば、図7に示す印刷行列テーブル17の中にRIP中のデータが含まれており、第2RIP部6は退避印刷行列18に退避させた印刷行列の中で対応するデータを印刷行列テーブル17に復帰させる(W4)。上記印刷ジョブの場合、退避印刷行列18に退避させた印刷行列の中のレコード番号3〜7に記憶されたデータを印刷行列テーブル17に復帰させる。第2RIP部6は対応する印刷行列の復帰処理が完了すると、制御部4に印刷行列の復帰を通知する(W5)。
【0072】
制御部4は第2RIP部6から印刷行列の復帰通知を受信すると(ST60)、割り込み印刷のジョブ状態を判断する(ST61)。上記例の場合、割り込み印刷の指示があった「ジョブID」は“J0006”(“会議資料”)の印刷ジョブであり、この「ジョブ状態」の記憶エリアには“RIP中”が記憶されており、RIP部5にRIP停止解除を通知し(ST62)、転送部7に印刷停止解除の通知を行う(ST63)。すなわち、制御部4は図6に示すジョブテーブル12を参照し、「ジョブ状態」を確認し、割り込み印刷の指示があった印刷ジョブが「ジョブID」(“J0006”)の文書名“会議資料”の印刷データであることが分かり、当該文書名の印刷ジョブの「割り込み」の記憶エリアに“あり”のフラグをセットし、RIP部5に当該印刷データのRIP停止解除の通知を行う。
【0073】
したがって、RIP部5は前述のRIP停止通知によって停止していたRIP処理を再開し(ST10がYES、又はST16がYES)、以後割り込み印刷中、上記文書名“会議資料”の印刷データのRIP処理を継続し、画像メモリ16に画像データを展開する(ST12〜ST13、ST17〜ST23)。
【0074】
また、転送部7は上記印刷停止解除の通知を受信し、上記印刷停止通知によって停止していた転送処理を再開し(ST32がYES、又はST36がYES)、以後割り込み印刷中、上記文書名“会議資料”の印刷データの転送処理を行い、プリンタエンジン8に画像データの転送を行う(ST33、ST37〜ST42)。このように処理することによって、RIP処理中の印刷ジョブが割り込み印刷の対象である場合でも、対応する印刷データを印刷行列テーブル17に復帰させ、RIP処理を継続することによって割り込み印刷を実行することができる。
【0075】
一方、割り込み印刷を行った印刷ジョブが受信中の印刷データである場合、ジョブテーブル12の更新処理を行い(ST64)、第2RIP部6にRIP処理開始を通知し(ST65)、転送部7に印刷停止解除の通知を行う(ST63)。すなわち、制御部4は図6に示すジョブテーブル12を参照し、「ジョブ状態」を確認し、受信中の印刷ジョブが「ジョブID」(“J0007”)の文書名“予算案”の印刷データであることを知り、文書名“予算案”の印刷ジョブの「割り込み」の記憶エリアに“あり”のフラグをセットし、第2RIP部6に当該印刷データのRIP処理の開始を指示する。したがって、第2RIP部6は以後割り込み印刷中、受信バッファ9から上記文書名“予算案”の印刷データのRIP処理を行い、画像メモリ16に画像データを展開し(W6)、RIP処理が完了すると制御部4にRIP処理の完了を通知する(W7)。
【0076】
また、転送部7は印刷停止解除の通知を受信し、上記と同様、印刷停止通知によって停止していた転送処理を再開し、以後割り込み印刷中、上記文書名“予算案”の印刷データの転送処理を行い、プリンタエンジン8に画像データの転送を行う。このように処理することによって、受信中の印刷ジョブが割り込み印刷の対象である場合でも、対応する印刷データを印刷行列テーブル17に復帰させ、RIP処理を継続することによって割り込み印刷を実行することができる。
【0077】
一方、割り込み印刷を行った印刷ジョブが印刷中の印刷データである場合、直ちに転送部7に印刷停止解除の通知を行う(ST63)。すなわち、制御部4は図6に示すジョブテーブル12を参照し、「ジョブ状態」を確認し、印刷中の印刷ジョブが「ジョブID」(“J0005”)の文書名“レイアウト図”の印刷データであることを知り、当該文書名の印刷ジョブの「割り込み」の記憶エリアに“あり”のフラグをセットし、転送部7に当該印刷データの印刷停止解除の通知を行う。したがって、転送部7は前述の印刷停止通知によって停止していた転送処理を再開し、以後割り込み印刷中、上記文書名“レイアウト図”の印刷データの転送処理を行い、プリンタエンジン8に画像データの転送を行う。
【0078】
上記割り込み印刷が完了し、第2RIP部6から前述のRIP処理の完了通知があると(ST1がYES)、受信バッファを開放し(ST66)、ジョブテーブル12の更新処理を行う(ST67)。また、転送部7からの転送完了通知によって、転送完了通知後の「残り印刷枚数」が“0”になると、割り込み印刷のレコード番号のデータを削除する(ST47)。
【0079】
その後、制御部4は転送部7に印刷処理の停止を通知し(ST68)、第2RIP部6に印刷行列の復帰を通知する(ST69)。この通知によって、第2RIP部6は印刷行列の復帰処理を行い、退避印刷行列18に退避していた印刷行列のデータを全て印刷行列テーブル17に転送し、印刷行列テーブル17に復帰させる(W8)。そして、第2RIP部6は全印刷行列の復帰を制御部4に通知する(W9)。
【0080】
制御部4では全印刷行列の復帰通知を受信すると(ST70)、RIP部5にRIP停止解除の通知を行い(ST71)、転送部7に印刷停止解除の通知を行い(ST72)、対応するレコード番号の削除を行う(ST47)。このように処理することによって、印刷処理中の印刷ジョブが割り込み印刷の対象である場合でも、対応する印刷データの割り込み印刷を実行することができる。
【0081】
以上の処理が割り込み印刷を含む印刷処理の場合であり、次に割り込み印刷の指示が行われた場合においても、先に印刷ジョブの処理状態を確認して以後の先の印刷ジョブ、及び割り込み印刷の処理を行う場合を説明する。
【0082】
図19乃至図21は制御部4の処理動作を説明するフローチャートであり、図22は転送部7の処理動作を説明するフローチャートである。尚、図19に示すフローチャートは前述の図13に示すフローチャートと基本的に同じであり、図20に示すフローチャートは前述の図14に示すフローチャートと基本的に同じであり、図22に示すフローチャートは前述の図16に示すフローチャートに本処理の部分を追加した処理であり、従って図19、図20、及び図22において前述の処理と同じ処理には同じ番号を使用して、説明を省略する。
【0083】
前述のように、操作ボタン15が操作され、表示操作制御部13に操作信号が入力すると、表示操作制御部13は上記操作ボタン15からの操作信号に基づいて割り込み印刷開始を認識し、制御部4に割り込み印刷開始の指示を行う。
【0084】
その後、表示操作制御部13は制御部4からの確認通知を待ち、制御部4から確認通知があると、割り込み印刷が有効であれば表示パネル14に文書名一覧表示を行い、文書名の選択を待つ。その後、操作ボタン15が操作され、文書名が選択されると、表示操作制御部13は制御部4に割り込み印刷実行の通知を行う。
【0085】
本例の説明では、印刷ジョブ数が2以上あったものと判断し(ST48がYES)、制御部4は印刷中のジョブがあるか判断する(ステップ(以下、図21、図22においてVで示す)1)。尚、このステップVは上記図21と図22において、追加した処理を示す。
上記判断(V1)は、前述のジョブテーブル12の「ジョブ状態」の記憶エリアを参照して判断し、例えば図6に示すジョブテーブル12には“印刷中”のジョブがあり(V1がYES)、前述の割り込み可能残り枚数設定部11に設定された基準となる枚数値を読み出し、“印刷中”のジョブの残り印刷枚数のデータと比較する(V2)。
【0086】
図6に示す例の場合、“印刷中”のジョブは、例えば「ジョブID」(“J0004”)の“会議資料”の印刷ジョブであり、「残り印刷枚数」の記憶エリアには“7”(7枚)が記憶されている。ここで、例えば割り込み可能残り枚数設定部11に設定される基準となる枚数値が“5”に設定されていた場合、上記のように「ジョブID」(“J0004”)の“会議資料”の残り印刷枚数は7枚であり、判断(V2)はNOとなる。この場合、先の印刷ジョブである“会議資料”の印刷データの残り印刷枚数が多いと判断し、前述した割り込み印刷の処理を行う。
【0087】
一方、“印刷中”のジョブが、例えば「ジョブID」(“J0005”)の“レイアウト図”の印刷ジョブのみである場合、「残り印刷枚数」の記憶エリアには“1”(1枚)が記憶されており、基準となる枚数値が上記“5”であれば、判断(V2)はYESとなる。この場合、先の印刷ジョブである“レイアウト図”の印刷データの残り印刷枚数が少なく、前述した割り込み印刷の処理を先の印刷ジョブ“レイアウト図”の印刷出力の終了後に行う。
【0088】
このため、先ず転送部7に割り込み待機の通知を行い(V3)、転送部7からの転送完了通知を待つ(V4)。一方、転送部7では制御部4から割り込み待機の通知があると(図22に示すV5がYES)、割り込み待機状態に設定し(V6)、制御部4からの割り込み待機解除の通知を判断する(V7)。先の印刷ジョブが、例えば“レイアウト図”の印刷ジョブのみの場合、転写部7は上記割り込み待機状態に設定した後、現在の“レイアウト図”の印刷データの転送処理を継続し(V9がNO)、割り込み待機状態を維持し(V8がNO)、前述の転送処理を行う(ST30〜ST41)。そして、転送処理が完了すると、制御部4に転送完了通知を送信する(ST42)。
【0089】
制御部4は上記転送完了通知を受信すると(V4がYES)、残り印刷枚数が0枚であか判断する(V10)。この判断は、上記“レイアウト図”の印刷ジョブの「残り印刷枚数」の記憶エリアを参照して行い、“レイアウト図”の印刷ジョブの総印刷枚数は1枚であるので、判断(V10)はYESとなる。この場合、ジョブテーブル12の対応するレコード番号の記憶エリアを削除し(V11)、転送部7に前述の割り込み待機解除の通知を行う(V12)。
【0090】
尚、上記印刷ジョブが“レイアウト図”の場合、総印刷枚数は1枚であるので、1ページの印刷データの転送処理が完了することによって、先の印刷ジョブの処理が終了したが、例えば2ページ以上の残り印刷枚数が残る印刷ジョブの場合、上記判断(V10)は最初NOであり、この場合制御部4は転送部7に次ページ印刷継続の応答を行う(V13)。そして、転送部7はこの通知を受信すると(V14がYES)、次のページの転送処理を行う(ST30〜ST41)。そして、転送処理が完了すると、制御部4に転送完了通知を送信し(ST42)、当該先の印刷データの残り印刷枚数が0枚になるまで上記転送処理を繰り返す。
【0091】
以上のように処理することによって、割り込み印刷の指示があった時、先の印刷ジョブの残り印刷枚数が割り込み可能残り枚数設定部11に設定された基準となる枚数値より少ない場合、先の印刷ジョブの処理を継続し、ユーザにとって使い勝手のよいプリンタ装置とすると共に、プリンタ装置全体として効率のよい印刷処理を行う。
【0092】
尚、上記割り込み可能残り枚数設定部11に設定する基準である枚数値は前述の5枚に限るわけではなく、他の枚数に設定してもよい。また、ジョブテーブル12や印刷行列テーブル17に設定された各数値は一例であり、他の数値を使用できることは勿論である。
【0093】
本発明はいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下、本件特許出願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0094】
付記1
印刷データのコマンド解析を行い、前記印刷データを画像データに変換する画像データ変換部と、
前記印刷データを画像データに変換する際、前記印刷データをページ毎に管理する印刷行列を生成し記憶する印刷行列記憶部と、
割り込み印刷の指示が出力された際、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上であるか判断し、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上であるとき、割り込み印刷を行い、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上ではないとき、先の印刷データの印刷処理を継続する制御部と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【0095】
付記2
前記印刷装置は、
印刷データを受信する受信部と、
該受信部から入力する印刷データの印刷ジョブ情報を記憶する印刷ジョブ情報記憶部と、
前記印刷ジョブ情報記憶部に記憶された印刷ジョブ情報と、前記印刷行列記憶部に記憶された印刷行列情報に従って印刷処理を行う印刷処理部と、を有し、
前記割り込み印刷の指示が行われた際、指示された印刷ジョブが受信中である時、前記印刷行列記憶部に記憶された印刷行列の情報を退避部に退避させ、前記割り込み印刷の指示が行われた印刷データを画像データに変換する処理を行う際、空き状態の前記印刷行列記憶部を使用して行うことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0096】
付記3
前記指示された印刷データを画像データに変換する処理を行う際、前記画像データ変換部と異なる第2の画像データ変換部によって行うことを特徴とする付記2に記載の印刷装置。
【0097】
付記4
前記割り込み印刷の指示が行われた際、指示された印刷ジョブの印刷データが画像データへの変換処理中である時、該画像データへの変換処理を継続させることを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0098】
付記5
前記割り込み印刷の指示が行われた際、指示された印刷ジョブの印刷データが画像データへの変換処理中である時、該画像データへの変換処理を一旦停止させた場合、直ちに停止解除指示を行い、前記画像データへの変換処理を再開させることを特徴とする付記4に記載の印刷装置。
【0099】
付記6
前記割り込み印刷の指示が行われた際、指示された印刷ジョブの印刷データが画像データをプリンタエンジンへの転送中である時、該画像データの転送処理を継続させることを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0100】
付記7
前記割り込み印刷の指示が行われた際、指示された印刷ジョブの印刷データが画像データをプリンタエンジンへの転送中である時、該画像データの転送処理を一旦停止させた場合、直ちに停止解除指示を行い、該画像データの転送処理を再開させることを特徴とする付記6に記載の印刷装置。
【0101】
付記8
前記割り込み印刷の指示は、装置のパネル操作部を操作することによって行われ、前記パネル操作部の操作によって指定された印刷ジョブの割り込み印刷を行うことを特徴とする付記1、2、3、4、5、6、又は7に記載の印刷装置。
【0102】
付記9
印刷データを受信する処理と、
該処理によって入力する印刷データの印刷ジョブ情報を記憶する処理と、
前記印刷データのコマンド解析を行い、前記印刷データを画像データに変換する処理と、
前記印刷データを画像データに変換する際、前記印刷データをページ毎に管理する印刷行列を生成する処理と、
割り込み印刷の指示が出力された際、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上であるか判断し、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上であるとき、割り込み印刷を行い、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上ではないとき、先の印刷データの印刷処理を継続する制御と、
前記印刷ジョブ情報と、前記印刷行列情報に従って記憶媒体に印刷出力を行う処理と、
を実行することを特徴とする印刷方法。
【符号の説明】
【0103】
1・・・プリンタ装置
2・・・ホスト機器
3・・・受信部
4・・・制御部
5・・・RIP部
6・・・第2のRIP部
7・・・転送部
8・・・プリンタエンジン
9・・・受信バッファ
10・・ハードディスク(HDD)
11・・割り込み可能残り枚数設定部
12・・ジョブテーブル
13・・表示操作制御部
14・・操作ボタン
15・・表示パネル
16・・画像メモリ
17・・印刷行列テーブル
18・・退避印刷行列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データのコマンド解析を行い、前記印刷データを画像データに変換する画像データ変換部と、
前記印刷データを画像データに変換する際、前記印刷データをページ毎に管理する印刷行列を生成し記憶する印刷行列記憶部と、
割り込み印刷の指示が出力された際、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上であるか判断し、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上であるとき、割り込み印刷を行い、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上ではないとき、先の印刷データの印刷処理を継続する制御部と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷装置は、
印刷データを受信する受信部と、
該受信部から入力する印刷データの印刷ジョブ情報を記憶する印刷ジョブ情報記憶部と、
前記印刷ジョブ情報記憶部に記憶された印刷ジョブ情報と、前記印刷行列記憶部に記憶された印刷行列情報に従って印刷処理を行う印刷処理部と、を有し、
前記割り込み印刷の指示が行われた際、指示された印刷ジョブが受信中である時、前記印刷行列記憶部に記憶された印刷行列の情報を退避部に退避させ、前記割り込み印刷の指示が行われた印刷データを画像データに変換する処理を行う際、空き状態の前記印刷行列記憶部を使用して行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記指示された印刷データを画像データに変換する処理を行う際、前記画像データ変換部と異なる第2の画像データ変換部によって行うことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記割り込み印刷の指示が行われた際、指示された印刷ジョブの印刷データが画像データへの変換処理中である時、該画像データへの変換処理を継続させることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記割り込み印刷の指示が行われた際、指示された印刷ジョブの印刷データが画像データへの変換処理中である時、該画像データへの変換処理を一旦停止させた場合、直ちに停止解除指示を行い、前記画像データへの変換処理を再開させることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記割り込み印刷の指示が行われた際、指示された印刷ジョブの画像データをプリンタエンジンへの転送中である時、該画像データの転送処理を継続させることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記割り込み印刷の指示が行われた際、指示された印刷ジョブの画像データをプリンタエンジンへの転送中である時、該画像データの転送処理を一旦停止させた場合、直ちに停止解除指示を行い、該画像データの転送処理を再開させることを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記割り込み印刷の指示は、装置のパネル操作部を操作することによって行われ、前記パネル操作部の操作によって指定された印刷ジョブの割り込み印刷を行うことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、又は7に記載の印刷装置。
【請求項9】
印刷データを受信する処理と、
該処理によって入力する印刷データの印刷ジョブ情報を記憶する処理と、
前記印刷データのコマンド解析を行い、前記印刷データを画像データに変換する処理と、
前記印刷データを画像データに変換する際、前記印刷データをページ毎に管理する印刷行列情報を生成する処理と、
割り込み印刷の指示が出力された際、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上であるか判断し、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上であるとき、割り込み印刷を行い、先の印刷データの残り印刷枚数が所定枚以上ではないとき、先の印刷データの印刷処理を継続する制御と、
前記印刷ジョブ情報と、前記印刷行列情報に従って記憶媒体に印刷出力を行う処理と、
を実行することを特徴とする印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−71265(P2013−71265A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209972(P2011−209972)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】