説明

印刷装置

【課題】プロセッサーを複数備える印刷装置において、プロセッサーの過度な温度上昇を抑制する。
【解決手段】印刷装置のコントローラーは、複数のプロセッサーの制御モードとして、複数のプロセッサーによって複数ページ分の画像処理を実行する期間内に、複数のプロセッサーの少なくとも1つに、画像処理の休止期間が設けられない第1の制御モードと、複数のプロセッサーのそれぞれに、画像処理の休止期間が設けられる第2の制御モードと、を有する。そして、コントローラーは、複数のプロセッサーの温度が予め設定された閾値以下である場合に、第1の制御モードを実行し、複数のプロセッサーの温度が閾値よりも高い場合に、第2の制御モードを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷装置は、入力された画像データ(例えば、JPEG画像データ)に対して、例えば、色変換処理や、ハーフトーン処理等の各種画像処理を行うことによって、印刷データ(ドットのON/OFFデータ)を生成し、画像の印刷を実行する。画像処理は、印刷装置が備えるCPU(Central Processing Unit)によって行われる。そして、従来、印刷装置に複数のCPUを備えるようにして、これら複数のCPUで処理を分担することによって、画像処理を高速に行う技術が提案されている(例えば、下記特許文献参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−326307号公報
【特許文献2】特開平8−44678号公報
【特許文献3】特開2006−187906号公報
【特許文献4】特開平2−108567号公報
【特許文献5】特開2000−33744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献に記載された技術では、CPU(以下、プロセッサーとも言う)に画像処理による負荷が掛かり続けて、CPUの温度が過度に上昇するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、プロセッサーを複数備える印刷装置において、プロセッサーの過度な温度上昇を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]画像データを所定データサイズ毎に処理して印刷データに変換する画像処理部と、前記印刷データに従い印刷を実行する印刷部と、前記画像処理部および前記印刷部を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、複数のプロセッサーからなり、前記所定データサイズ毎に細分化された前記画像データを前記印刷データに変換から前記印刷部における印刷までに、常時前記複数のプロセッサー全てを用いて制御を行う第1の制御モードと、前記所定データサイズ毎に細分化された前記画像データを前記印刷データに変換から前記印刷部における印刷までに、前記複数のプロセッサーのうち少なくとも1つのプロセッサーは、1回以上の稼働動作と、1回以上の停止動作を含む制御を行う第2の制御モードと、が有り、所定温度範囲では前記第1の制御モードで制御を行い、前記所定温度範囲以上では前記第2の制御モードで制御を行うことを特徴する印刷装置。
適用例1の印刷装置では、プロセッサーの温度が所定温度範囲以上の場合に、第2の制御モードで制御を行うことによって、プロセッサーを冷却することができる。したがって、プロセッサーの過度な温度上昇を抑制することができる。
【0008】
[適用例2]適用例1記載の印刷装置であって、前記所定温度範囲は−20度から80度までの温度範囲を指すことを特徴する温度検出手段を有することを特徴する印刷装置。
【0009】
[適用例3]適用例1記載の印刷装置であって、前記複数のプロセッサーの温度を検出する温度検出手段を有することを特徴する印刷装置。
【0010】
[適用例4]適用例1ないし3のいずれかに記載の印刷装置であって、前記第2の制御モードは、前記複数のプロセッサーのすべてを並列に動作させ、前記画像処理を分担して行わせて、前記画像処理に要する時間を短縮することによって、前記複数のプロセッサーのそれぞれに画像処理の休止期間が設けられる、印刷装置。
適用例4の印刷装置では、複数のプロセッサーのすべてを並列に動作させることによって、1回(例えば、1印刷ページ)あたりの画像処理に要する時間を、1つのプロセッサーしか動作させない場合よりも短縮し、この処理時間の短縮によって発生した次回の画像処理の開始までの待ち時間を休止期間とすることができる。
【0011】
[適用例5]適用例1ないし3のいずれかに記載の印刷装置であって、前記第2の制御モードは、前記複数のプロセッサーを交互に動作させることによって、前記複数のプロセッサーのそれぞれに画像処理の休止期間が交互に設けられる、印刷装置。
適用例5の印刷装置では、複数のプロセッサーを交互に動作させることによって、画像処理の休止期間を交互に設けることができる。
【0012】
[適用例6]適用例1ないし5のいずれかに記載の印刷装置であって、前記制御部は、前記第2の制御モードの実行時に、前記複数のプロセッサーの駆動周波数を、前記第1の制御モードの実行時よりも低くする、印刷装置。
適用例6の印刷装置では、第2の制御モードの実行時に、プロセッサーにおける発熱を抑制することができる。したがって、プロセッサーの過度な温度上昇をさらに効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明は、上述した種々の特徴を必ずしも全て備えている必要はなく、その一部を省略したり、適宜、組み合わせたりして構成することができる。また、本発明は、上述の印刷装置としての構成の他、印刷装置の制御方法の発明として構成することもできる。また、これらを実現するコンピュータープログラム、およびそのプログラムを記録した記録媒体、そのプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など種々の態様で実現することが可能である。なお、それぞれの態様において、先に示した種々の付加的要素を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施例としての印刷装置100の概略構成を示す説明図である。
【図2】画像処理制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】第1実施例の印刷装置100における制御モードを示す説明図である。
【図4】第2実施例の印刷装置における制御モードを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき説明する。
A.第1実施例:
A1.印刷装置の構成:
図1は、本発明の第1実施例としての印刷装置100の概略構成を示す説明図である。本実施例では、印刷装置100は、いわゆるラインヘッドプリンターであるものとした。この印刷装置100は、毎分60ページ以上の高速印刷が可能である。印刷装置100は、コントローラー10と、CPUチップ20と、温度センサー30と、冷却ファン40と、印刷部50と、を備えている。CPUチップ20は、第1プロセッサー22と、第2プロセッサー24と、を内蔵しており、印刷部50によって印刷すべき画像を表す画像データ(例えば、JPEG画像データ)に対して、例えば、色変換処理や、ハーフトーン処理等の各種画像処理を実行し、印刷データ(ドットのON/OFFデータ)を生成する。
【0016】
温度センサー30は、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の温度を検出する。本実施例では、温度センサー30は、CPUチップ20に備えられ、CPUチップ20の温度を検出することによって、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の温度を近似的に検出するものとした。温度センサー30としては、例えば、ダイオードや、サーミスタや、CPUへ流れる電流量を基に温度を算出する温度算出回路等を用いることができる。
【0017】
冷却ファン40は、コントローラー10からの指示に従って、CPUチップ20、すなわち、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24を冷却する。
【0018】
コントローラー10は、CPU、RAM、ROM等を備えており、ROMに記憶されたプログラムに従って、印刷装置100の動作を制御する。例えば、コントローラー10は、画像データが入力されたときに、画像処理制御処理を実行する。すなわち、コントローラー10は、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の制御モードとして、第1の制御モードと、第2の制御モードと、を有している。そして、コントローラー10は、後述するように、温度センサー30によって検出された温度に基づいて、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の制御モードを切り換えて、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24による画像処理を制御する。画像処理制御処理、および、制御モードについては、後から詳しく説明する。
【0019】
印刷部50は、図示しないラインヘッド型の印刷ヘッドや、印刷ヘッドの駆動回路や、印刷用紙の搬送機構等を備えており、CPUチップ20によって生成された印刷データに基づいて、画像の印刷を実行する。
【0020】
A2.画像処理制御処理:
図2は、画像処理制御処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、画像データが入力されたときに、コントローラー10が実行する処理である。
【0021】
まず、コントローラー10は、温度センサー30によって検出されたCPUチップ20の温度(チップ温度T)を取得する(ステップS100)。そして、コントローラー10は、チップ温度Tが閾値Tth以下であるか否かを判断する(ステップS110)。なお、この閾値Tthは、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24において、故障が発生する程度の過度な温度上昇が生じない範囲内で設定されている。具体的な温度の範囲としては−20℃から80℃までの範囲を指す。
【0022】
チップ温度Tが閾値Tth以下である場合には(ステップS110:YES)、コントローラー10は、後述する第1の制御モードを実行する(ステップS120)。なお、第1の制御モードの実行中のすべての期間、コントローラー10は、冷却ファン40を停止した状態とする。第1の制御モードの実行中は、チップ温度Tが比較的低いため、第1の制御モードの実行中に、冷却ファン40を動作させなくても、チップ温度Tの上昇に起因する不具合は生じない。
【0023】
一方、チップ温度Tが閾値Tthよりも高い場合には(ステップS110:NO)、コントローラー10は、後述する第2の制御モードを実行する(ステップS130)。そして、コントローラー10は、冷却ファン40を駆動する(ステップS140)。本実施例では、題2の制御モードの実行中のすべての期間、冷却ファン40を駆動するものとした。
【0024】
A3.制御モード:
図3は、第1実施例の印刷装置100における制御モードを示す説明図である。図3では、3ページ分の画像処理を行いつつ、連続的に印刷を実行する場合のCPUチップ20(第1プロセッサー22、第2プロセッサー24)、および、印刷部50の動作について示した。図3(a)に、第1の制御モードを模式的に示した。また、図3(b)に、第2の制御モードを模式的に示した。図3において、各白抜き矢印の長さは、画像処理、または、印刷に要する時間を表している。なお、本実施例の印刷装置100では、1印刷ページ分の画像処理が完了する前に、画像処理が完了した分から、そのページの画像の印刷が開始される。これは、後述する第2実施例の印刷装置においても同様である。
【0025】
第1の制御モードでは、コントローラー10は、図3(a)に示したように、複数のプロセッサー22を用いて、3ページ分の画像処理(画像処理(1)、画像処理(2)、画像処理(3))を行う。ここで、「画像処理(1)」、「画像処理(2)」、「画像処理(3)」は、それぞれ、1〜3ページに対応する画像処理を表している。この記載形式は、後述する第2実施例についても同様である。印刷部50は、3ページ分の画像処理(画像処理(1)、画像処理(2)、画像処理(3))によって生成された印刷データに基づいて、3ページ分の画像の印刷(画像(1)印刷、画像(2)印刷、画像(3)印刷)を連続的に実行する。ここで、「画像(1)印刷」、「画像(2)印刷」、「画像(3)印刷」は、それぞれ、1〜3ページに対応する画像の印刷を表している。この記載形式は、後述する第2実施例についても同様である。
【0026】
図示した例では、第1の制御モードにおいて、1印刷ページ分の画像処理に要する時間と、1印刷ページ分の印刷に要する時間とが同じであるものとした。1印刷ページ分の画像処理に要する時間が、1印刷ページ分の印刷に要する時間よりも短いものとしてもよい。第1の制御モードでは、複数ページ分の画像処理を実行する期間内に、第1プロセッサー22には、画像処理の休止期間は設けられない。
【0027】
なお、本明細書において、「画像処理の休止期間」とは、1つのプロセッサーのみで画像処理を実行する場合の画像処理に要する時間が、印刷に要する時間と同じ、または、印刷に要する時間よりも短い場合であっても、複数のプロセッサーに画像処理を分担して行わせて、これによって発生する次回の画像処理の開始までの待ち時間を意味している。換言すれば、本明細書における「画像処理の休止期間」とは、1つのプロセッサーのみで画像処理を実行しても、ページごとの画像の印刷の間に、画像処理による待ち時間が発生しない場合であっても、複数のプロセッサーに画像処理を分担して行わせて、これによって発生する次回の画像処理の開始までの待ち時間を意味している。したがって、1つのプロセッサーのみで画像処理を実行する場合の画像処理に要する時間が、印刷に要する時間よりも短い場合に、複数のプロセッサーに画像処理を分担して行わせなくても自ずと発生する次回の画像処理の開始までの待ち時間は、「画像処理の休止期間」には含まれない。
【0028】
一方、第2の制御モードでは、コントローラー10は、次ページの印刷開始までに、第1プロセッサー22、または、第2プロセッサー24のみを用いて画像処理を行うことができる場合であっても、図3(b)に示したように、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24を並列に動作させる。そして、コントローラー10は、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24に、3ページ分の画像処理(画像処理(1)、画像処理(2)、画像処理(3))をそれぞれ分担して行わせる。図3(b)において、「画像処理(1)−1」、「画像処理(1)−2」は、図3(a)における「画像処理(1)」が、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24に分担されていることを表している。これは、「画像処理(2)−1」、「画像処理(2)−2」、および、「画像処理(3)−1」、「画像処理(3)−2」についても同様である。この記載形式は、後述する第2実施例についても同様である。なお、画像処理の分担は、周知の種々の態様を採用することができる。本実施例では、1ページ分の画像を2つの領域に分割して、各領域についての画像処理を、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24で分担して行うものとした。
【0029】
第2の制御モードでは、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24を並列に動作させて、画像処理を分担して行わせることによって、1印刷ページあたりの画像処理に要する時間を、第1の制御モードの実行時よりも短くし、次の画像処理までの停止期間を、画像処理の休止期間としている。すなわち、第2の制御モードでは、複数ページ分の画像処理を実行する期間内に、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24のそれぞれに、画像処理の休止期間が積極的に設けられている。また、第1実施例では、コントローラー10は、第2の制御モードの実行時に、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の駆動周波数を、第1の制御モードの実行時よりも低くしている。
【0030】
以上説明した第1実施例の印刷装置100では、CPUチップ20の温度Tが閾値Tthよりも高い場合に、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24のそれぞれに、画像処理の休止期間が積極的に設けられる。このため、この画像処理の休止期間中に、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24を冷却することができる。したがって、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の過度な温度上昇を抑制することができる。なお、本実施例においてはプロセッサー毎に割り当てる処理単位をページ単位で説明したが、本発明の効果は、処理単位をページ単位に限定したものではなく、バンド単位でも、ラスタ単位でも、パケットデータ単位でも如何なる処理単位でも構わない。これは、後述する第2実施例および変形例についても同様である。
【0031】
また、第1実施例の印刷装置100では、コントローラー10は、第2の制御モードの実行中に、冷却ファン40によって、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24を冷却することができる。したがって、冷却ファン40を備えない場合よりも、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の過度な温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0032】
また、第1実施例の印刷装置100では、コントローラー10は、第1の制御モードの実行中に、冷却ファン40の動作を停止する。したがって、冷却ファン40を動作させることによる消費電力の増加を抑制することができる。
【0033】
また、第1実施例の印刷装置100では、CPUチップ20に1つの温度センサー30が設けられる。したがって、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24のそれぞれに温度センサーが設けられる場合と比較して、構成を簡略化することができる。
【0034】
また、第1実施例の印刷装置100では、第2の制御モードの実行時に、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の駆動周波数を、第1の制御モードの実行時よりも低くする。したがって、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24における発熱を抑制し、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の過度な温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0035】
B.第2実施例:
第2実施例の印刷装置の構成は、第1実施例の印刷装置100の構成と同じである(図1参照)。また、コントローラー10が実行する画像処理制御処理も、第1実施例の印刷装置100と同じである(図2参照)。ただし、第2実施例の印刷装置では、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の制御モードが、第1実施例の印刷装置100と異なっている。以下、第2実施例の印刷装置における制御モードについて説明する。
【0036】
図4は、第2実施例の印刷装置における制御モードを示す説明図である。図4においても、図3と同様に、3ページ分の画像処理を行いつつ、連続的に印刷を実行する場合のCPUチップ20(第1プロセッサー22、第2プロセッサー24)、および、印刷部50の動作について示した。図4(a)に、第1の制御モードを模式的に示した。また、図4(b)に、第2の制御モードを模式的に示した。
【0037】
第1の制御モードは、第1実施例の印刷装置100と同じである。一方、第2の制御モードでは、コントローラー10は、次ページの印刷開始までに、第1プロセッサー22、または、第2プロセッサー24のみを用いて画像処理を行うことができる場合であっても、図4(b)に示したように、1印刷ページ分ごとに、第1プロセッサー22と、第2プロセッサー24とを交互に動作させる。そして、コントローラー10は、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24に、3ページ分の画像処理(画像処理(1)、画像処理(2)、画像処理(3))を分担して行わせる。つまり、第2の制御モードでは、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24を交互に動作させることによって、複数ページ分の画像処理を実行する期間内に、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24のそれぞれに、画像処理の休止期間が積極的に設けられている。なお、第2実施例では、第2の制御モードの実行時の第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の駆動周波数は、第1の制御モードの実行時と同じであるものとした。
【0038】
以上説明した第2実施例の印刷装置によっても、第1実施例の印刷装置100と同様に、CPUチップ20の温度Tが閾値Tthよりも高い場合に、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24のそれぞれに、画像処理の休止期間が積極的に設けられる。このため、この休止期間中に、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24を冷却することができる。したがって、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の過度な温度上昇を抑制することができる。
【0039】
C.変形例:
以上、本発明のいくつかの実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、以下のような変形が可能である。
【0040】
C1.変形例1:
上記実施例の印刷装置100では、CPUチップ20は、第1プロセッサー22と、第2プロセッサー24と、を備えるものとしたが、本発明は、これに限られない。CPUチップ20は、3つ以上のプロセッサーを備えるものとしてもよい。
【0041】
C2.変形例2:
上記実施例の印刷装置100では、1つのCPUチップ20に、第1プロセッサー22と、第2プロセッサー24とが内蔵されるものとしたが、本発明は、これに限られない。第1プロセッサー22と、第2プロセッサー24とが、異なるチップに内蔵されるようにしてもよい。この場合、各チップに、温度センサーを備えるようにしてもよい。
【0042】
C3.変形例3:
上記実施例の印刷装置100では、冷却ファン40を備えるものとしたが、本発明は、これに限られない。印刷装置100において、冷却ファン40を省略してもよい。
【0043】
C4.変形例4:
上記実施例の印刷装置100では、冷却ファン40を備えるものとしたが、本発明は、これに限られない。印刷装置100は、冷却ファン40の代わりに、例えば、水冷システム等を備えるようにしてもよい。
【0044】
C5.変形例5:
上記実施例の印刷装置100では、コントローラー10は、第2の制御モードの実行中のすべての期間、冷却ファン40を駆動するものとしたが、本発明は、これに限られない。第2の制御モードの実行中における冷却ファン40の動作期間は、第2の制御モードの実行中の間欠的な期間であってもよい。また、第2の制御モードの実行中における冷却ファン40の動作期間は、CPUチップ20による画像処理が実行されている期間であってもよいし、画像処理が停止している期間であってもよい。
【0045】
C6.変形例6:
上記第1実施例の印刷装置100では、コントローラー10は、第2の制御モードの実行中に、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の駆動周波数を、第1の制御モードの実行時よりも低くするものとしたが、本発明は、これに限られない。コントローラー10は、第1の制御モードの実行時、および、第2の制御モードの実行時において、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の駆動周波数を同一としてもよい。
【0046】
また、上記第2実施例の印刷装置では、コントローラー10は、第1の制御モードの実行時、および、第2の制御モードの実行時において、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の駆動周波数を同一としたが、本発明は、これに限られない。コントローラー10は、第2の制御モードの実行中に、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の駆動周波数を、第1の制御モードの実行時よりも低くするものとしてもよい。ただし、印刷速度の向上の観点から、第1プロセッサー22、および、第2プロセッサー24の駆動周波数は、ページごとの画像の印刷の間に、画像処理による待ち時間が発生しない範囲内で低くすることが好ましい。
【符号の説明】
【0047】
10…コントローラー,20…CPUチップ,22…第1プロセッサー,24…第2プロセッサー,30…温度センサー,40…冷却ファン,50…印刷部,100…印刷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを所定データサイズ毎に処理して印刷データに変換する画像処理部と、
前記印刷データに従い印刷を実行する印刷部と、
前記画像処理部および前記印刷部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、複数のプロセッサーからなり、
前記所定データサイズ毎に細分化された前記画像データを前記印刷データに変換から前記印刷部における印刷までに、常時前記複数のプロセッサー全てを用いて制御を行う第1の制御モードと、
前記所定データサイズ毎に細分化された前記画像データを前記印刷データに変換から前記印刷部における印刷までに、前記複数のプロセッサーのうち少なくとも1つのプロセッサーは、1回以上の稼働動作と、1回以上の停止動作を含む制御を行う第2の制御モードと、
が有り、所定温度範囲では前記第1の制御モードで制御を行い、前記所定温度範囲以上では前記第2の制御モードで制御を行うことを特徴する
印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置であって、
前記所定温度範囲は−20度から80度までの温度範囲を指すことを特徴する温度検出手段を有することを特徴する印刷装置。
【請求項3】
請求項1記載の印刷装置であって、
前記複数のプロセッサーの温度を検出する温度検出手段を有することを特徴する印刷装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記第2の制御モードは、前記複数のプロセッサーのすべてを並列に動作させ、前記画像処理を分担して行わせて、前記画像処理に要する時間を短縮することによって、前記複数のプロセッサーのそれぞれに画像処理の休止期間が設けられる、
印刷装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記第2の制御モードは、前記複数のプロセッサーを交互に動作させることによって、前記複数のプロセッサーのそれぞれに画像処理の休止期間が交互に設けられる、
印刷装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記第2の制御モードの実行時に、前記複数のプロセッサーの駆動周波数を、前記第1の制御モードの実行時よりも低くする、
印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−86404(P2013−86404A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230403(P2011−230403)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】