説明

印刷配線基板

【課題】 光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行う光ピックアップ装置に組み込まれるレーザーダイオードの静電破壊を防止することが出来る印刷配線基板を提供する。
【解決手段】 レーザーダイオード5のアノードに接続されるアノード用パターン6と前記レーザーダイオード5のカソードに接続されるとともに接地されているカソード用パターン7とが近接して配置されている静電破壊防止用パターンP1と、前記レーザーダイオード5のアノードに接続されるアノード用パターン8と前記レーザーダイオード5のカソードに接続されるとともに接地されているカソード用パターン9とが近接して配置され、且つリフロー半田にて両パターンが短絡されるリフロー用静電破壊防止用パターンP2とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録されている信号の読み出し動作をレーザー光によって行う光ピックアップ装置に使用される印刷配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ装置から照射されるレーザー光を光ディスクの信号記録層に照射することによって信号の再生動作や信号の記録動作を行うことが出来る光ディスク装置が普及している。
【0003】
光ディスク装置としては、CDやDVDと呼ばれる光ディスクを使用するものが一般に普及しているが、最近では記録密度を向上させた光ディスク、即ちBlu−ray規格の光ディスクを使用するものが開発されている。
【0004】
光ピックアップ装置は、レーザーダイオードから放射されるレーザー光を対物レンズの集光動作によって光ディスクに設けられている信号記録層に集光させるとともに該信号記録層から反射されるレーザー光である戻り光を光検出器に照射させるように構成されている。
【0005】
また、前述したCD規格の光ディスク、DVD規格の光ディスク及びBlu−ray規格の光ディスクの全ての光ディスクを使用することが出来る光ディスク装置が製品化されており、斯かる光ディスク装置に使用される光ピックアップ装置も全ての光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行うことが出来るように構成されている。
【0006】
斯かる光ピックアップ装置には、異なる波長の第1レーザー光、第2レーザー光及び第3レーザー光を生成放射するレーザーダイオードが組み込まれるが、一般的には、Blu−ray規格の光ディスクに記録されている信号を読み出すためのレーザー光を放射するレーザーダイオード及びCD規格の光ディスクに記録されている信号を読み出すためのレーザー光を放射する第1レーザーダイオードとDVD規格の光ディスクに記録されている信号を読み出すためのレーザー光を放射する第2レーザーダイオードとが1つの筐体に組み込まれている、所謂2波長レーザーダイオードとによって構成されている。
【0007】
光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行うように構成された光ピックアップ装置に組み込まれるレーザーダイオードは静電気によって破壊されるという問題がある。斯かるレーザーダイオードの静電破壊を防止するために光ピックアップ装置に組み込まれる印刷配線基板にレーザーダイオードの電源供給端子と接地端子とを短絡させる短絡用ランドを設け、光ディスク装置に光ピックアップ装置が組み込まれるまでの間、前記電源供給端子と接地端子とを短絡させる方法が一般に行われている。斯かる技術としては、特許文献1に記載されているようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−193921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のレーザーダイオードの静電破壊を防止する技術について、図4を参照して説明する。図4の(A)は印刷配線基板に配線されているパターンとレーザーダイオードとの関係を示す説明図であり、例えばレーザーダイオード1の電源供給端子であるアノードに接続されているアノード用パターン2及びレーザーダイオード1の接地端子であるカソードに接続されているカソード用パターン3が設けられている。
【0010】
同図において、アノード用パターン2の斜線を付している部分2Aはレジスト膜、該レジスト膜が付されていない部分2Bが半田付けされるアノード用半田パターンである。同様にカソード用パターン3の斜線を付している部分3Aはレジスト膜、該レジスト膜が付されていない部分3Bが半田付けされるカソード用半田パターンである。
【0011】
前述したような各パターンが配線されている印刷配線基板にレーザーダイオード1等の部品を装着させた状態にて半田付けが行われるが、一般的にはリフローと呼ばれる方法にて行われる。斯かるリフローは、平面実装と呼ばれる印刷配線基板への電子部品の固定方法であり、クリーム半田を塗布した状態で電子部品を設置し、その後高温処理することによって電子部品を印刷配線基板に形成されているパターンに電気的に半田付け固定するように構成されている。
【0012】
図4の(B)はリフロー半田付け作業によって電子部品が印刷配線基板上に固定された状態を示すものであり、4はクリーム半田である。即ち、同図より明らかなようにクリーム半田4によってアノード用半田パターン2Bとカソード用半田パターン3Bとが電気的に接続された状態、即ち短絡された状態にある。斯かるクリーム半田4は短絡用半田として作用することになる。
【0013】
斯かる状態では、レーザーダイオード1の電源供給端子であるアノードと接地端子であるカソードとが短絡された状態にあるため該レーザーダイオード1の静電破壊を防止することが出来る状態にある。
【0014】
斯かる状態において、レーザーダイオードに駆動信号を供給して光ピックアップ装置の調整動作を行う場合や光ディスク装置への組み込み動作を完了させる場合には、レーザーダイオード1のアノードとカソードとの短絡状態を解除する必要がある。斯かる動作は半田コテ等によって前記短絡用半田であるクリーム半田4を溶解させ、図4の(A)に示すようにアノード用半田パターン2Bとカソード用半田パターン3Bとを分離させることによって行われる。
【0015】
光ピックアップ装置においては、図4の(B)に示す短絡状態からクリーム半田4を溶解除去することによって図4の(A)に示す非短絡状態にする短絡解除作業と、図4の(A)に示す非短絡状態からクリーム半田4を溶解付着することによって図4の(B)に示す短絡状態にする短絡作業とを行う必要がある。
【0016】
そして、前記アノード用半田パターン2Bとカソード用半田パターン3Bとの短絡作業及び短絡解除作業は特許文献1に記載されているように光ピックアップ装置の組み立て時、光学調整時及び光ディスク装置への組み込み時の少なくとも3回行われることになる。
【0017】
前記短絡作業及び短絡解除作業は、半田コテ等によって行われるが、斯かる作業を繰り返し行うためには耐熱性が要求されるので、アノード用半田パターン2B及びカソード用半田パターン3Bは、ある程度の大きさが要求される。
【0018】
前記アノード用半田パターン2B及びカソード用半田パターン3Bの形状が大きい場合、リフロー作業にて両パターン間を短絡させるために必要なクリーム半田4の量が多くなり、その結果リフロー半田による短絡ミスが発生するだけでなく製造価格が高くなるという問題がある。
【0019】
本発明は、斯かる問題を解決することが出来る光ピックアップ装置に適した印刷配線基板を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、レーザーダイオードのアノードに接続されるアノード用パターンと前記レーザーダイオードのカソードに接続されるとともに接地されているカソード用パターンとが近接して配置されている静電破壊防止用パターンと、前記レーザーダイオードのアノードに接続されるアノード用パターンと前記レーザーダイオードのカソードに接続されるとともに接地されているカソード用パターンとが近接して配置され、且つリフロー半田にて両パターンが短絡されるリフロー用静電破壊防止用パターンとを設けたことを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明は、第1レーザーダイオードのアノードに接続される第1アノード用パターンと、第2レーザーダイオードのアノードに接続される第2アノード用パターンと、前記第1レーザーダイオードのカソード及び第2レーザーダイオードのカソードに接続されるとともに接地されているカソード用パターンとが近接して配置されている静電破壊防止用パターンと、前記第1レーザーダイオードのアノードに接続されるアノード用パターンと前記第1レーザーダイオードのカソードに接続されるとともに接地されているカソード用パターンとが近接して配置され、且つリフロー半田にて両パターンが短絡される第1リフロー用静電破壊防止用パターンと、前記第2レーザーダイオードのアノードに接続されるアノード用パターンと前記第2レーザーダイオードのカソードに接続されるとともに接地されているカソード用パターンとが近接して配置され、且つリフロー半田にて両パターンが短絡される第2リフロー用静電破壊防止用パターンとを設けたことを特徴とするものである。
【0022】
そして、本発明は、第1レーザーダイオードと第2レーザーダイオードの静電破壊を防止するために設けられている静電破壊防止用パターンを構成するカソード用パターンを第1アノード用パターンと第2アノード用パターンとの間に配置したことを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明は、第1レーザーダイオードと第2レーザーダイオードの静電破壊を防止するために設けられている静電破壊防止用パターンを構成する第1アノード用パターン、第2アノード用パターン及びカソード用パターンの半田付け部分の形状を扇形にし、3つの半田付けパターンを円形状に配置させたことを特徴とするものである。
【0024】
そして、本発明は、静電破壊防止用パターンの半田付けに使用される面積に対してリフロー用静電破壊防止用パターンの半田付けに使用される面積を小さくしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の印刷配線基板は、レーザーダイオードの静電破壊を防止するために静電破壊防止用パターンだけでなくリフロー用静電破壊防止用パターンを設けたので、即ちリフロー半田にて静電破壊を防止する専用のパターンを印刷配線基板に設けたので、リフロー半田にて使用されるクリーム半田の量を少なくすることが出来るだけでなくクリーム半田による短絡動作を確実に行うことが出来る。
【0026】
そして、リフロー半田にて使用されるリフロー用静電破壊用防止パターンの他に静電破壊防止用パターンを設けたので、光学調整や光ディスク装置への組み立て時に行われる短絡作業及び短絡解除作業を容易に行うことが出来る。
【0027】
また、本発明の印刷配線基板は、2波長レーザーダイオードのように各レーザーダイオードのアノードに接続されている第1アノード用パターンと第2アノード用パターンに半田付けされるカソード用パターンを1つのパターンによって兼用するようにしたので、配線パターンが簡単になるという利点を有している。
【0028】
そして、本発明の印刷配線基板は、前記第1アノード用パターン、第2アノード用パターン及びカソード用パターンの形状を扇形にし、3つのパターンを円形状になるように配置したので、中心部を半田することによって全てのパターンを短絡させることが出来、それ故、短絡作用を成す半田の量を少なくすることが出来るとともに短絡解除作業を容易に行うことが出来るという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る印刷配線基板の実施例1を示す説明図である。
【図2】本発明に係る印刷配線基板の実施例2を示す説明図である。
【図3】本発明に係る印刷配線基板の実施例3を示す説明図である。
【図4】従来の印刷配線基板を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
レーザー光を放射するレーザーダイオードの静電破壊を防止するためのアノード用パターンとカソード用パターンが設けられている印刷配線基板に関する。
【実施例1】
【0031】
図1は本発明の光ピックアップ装置に組み込まれる印刷配線基板の実施例1を示す説明図である。
【0032】
図1の(A)は印刷配線基板に配線されているパターンとレーザーダイオードとの関係を示す説明図であり、例えばレーザーダイオード5の電源供給端子であるアノードに接続されているアノード用パターン6及びレーザーダイオード5の接地端子であるカソードに接続されているカソード用パターン7が設けられている。
【0033】
同図において、アノード用パターン6の斜線を付している部分6Aはレジスト膜、該レジスト膜が付されていない部分6Bが半田付けされるアノード用半田パターンである。同様にカソード用パターン7の斜線を付している部分7Aはレジスト膜、該レジスト膜が付されていない部分7Bが半田付けされるカソード用半田パターンである。
【0034】
本発明は、前記アノード用パターン6及びカソード用パターン7より構成された静電破壊防止用パターンP1に加えてリフロー用静電破壊防止用パターンP2を設けたことを特徴とするものである。前記リフロー用静電破壊防止用パターンP2は、前記レーザーダイオード5のアノードに接続されているアノード用パターン8とカソードに接続されているカソード用パターン9とより構成されている。
【0035】
斯かる構成において、リフロー用静電破壊防止用パターンP2の半田付けに使用されるパターンの面積は、静電破壊防止用パターンP1の半田付けに使用されるパターンの面積と比較して小さくなるように設定されている。即ち、前記静電破壊防止用パターンP1の半田付けに使用されるパターンの面積は、半田コテによる短絡解除作業及び短絡作業を容易に行うことが出来る大きさになるように設定され、リフロー用静電破壊防止用パターンP2の半田付けに使用されるパターンの面積は、リフロー半田作業にて確実に半田することが出来る面積になるように設定されている。
【0036】
前述したような各パターンが配線されている印刷配線基板にレーザーダイオード5等の部品を装着させた状態にて半田付けが行われるが、本実施例においてもリフローと呼ばれる方法にて行われる。斯かるリフロー半田は、平面実装と呼ばれる印刷配線基板への電子部品の固定方法であり、クリーム半田を塗布した状態で電子部品を設置し、その後高温処理することによって電子部品を印刷配線基板に形成されているパターンに電気的に半田付け固定するように構成されている。
【0037】
本発明の印刷配線基板では、リフロー用静電破壊防止用パターンP2に対してクリーム半田10が塗布されるが静電破壊防止用パターンP1にはクリーム半田は塗布されることはない。
【0038】
図1の(B)はリフロー半田付け作業によって電子部品が印刷配線基板上に固定された状態を示すものであり、リフロー用静電破壊防止用パターンP2の斜線で示す10がクリーム半田である。即ち、同図より明らかなようにクリーム半田10によってアノード用パターン8とカソード用パターン9とが電気的に接続された状態、即ち短絡された状態にあり、斯かるクリーム半田10は短絡用半田として作用することになる。
【0039】
斯かる状態では、レーザーダイオード5の電源供給端子であるアノードと接地端子であるカソードとが短絡された状態にあるため該レーザーダイオード5の静電破壊を防止することが出来る状態にある。
【0040】
斯かる状態において、レーザーダイオードに駆動信号を供給して光ピックアップ装置の調整動作を行う場合や光ディスク装置への組み込み動作を完了させる場合には、レーザーダイオード5のアノードとカソードとの短絡状態を解除する必要がある。斯かる動作は半田コテ等によって前記リフロー用静電破壊防止用パターンP2を構成するアノード用パターン8とカソード用パターン9とを短絡させた状態にあるクリーム半田10を溶解させ、図1の(A)に示すようにアノード用パターン8とカソード用パターン9とを分離させることによって行われる。
【0041】
図1の(A)に示す状態は非短絡状態であり、斯かる状態でレーザーダイオード5に対して駆動信号を供給することによって光ピックアップ装置の調整動作を行うことが出来る。斯かる光ピックアップ装置の調整動作が完了した後光ピックアップ装置の出荷が行われるが、斯かる出荷を行う場合には再度レーザーダイオード5の静電破壊を防止するための作業が行われる。
【0042】
斯かるレーザーダイオードの静電破壊を防止するための作業は、前記静電破壊防止用パターンP1を構成するアノード用半田パターン6Bとカソード用半田パターン7Bとを半田にて短絡させることによって行われる。斯かる短絡作業は、半田コテにて半田を溶解させることによって行われる。斯かる半田コテによる半田の溶解作業を行うことによってアノード用半田パターン6Bとカソード用半田パターン7Bとを短絡させることが出来るので、レーザーダイオード5の静電破壊を防止した状態にて光ピックアップ装置の出荷を行うことが出来る。
【0043】
静電破壊防止が行われた光ピックアップ装置を光ディスク装置に組み込む場合には、短絡解除作業が行われるが、斯かる短絡解除作業は前記静電破壊防止用パターンP1を構成するアノード用半田パターン6Bとカソード用半田パターン7Bとを短絡させた状態にある半田を半田コテにて溶解させることによって行われる。斯かる半田の溶解作業及び半田の離脱作業を行うことによって前記静電破壊防止用パターンP1を非短絡状態にすることが出来る。
【0044】
前述したように前記静電破壊防止用パターンP1に対する半田コテによる半田付け作業及び半田離脱作業を行うことによって静電破壊防止のための短絡作業及び短絡解除作業を行うようにしたので、熱によって印刷配線基板上のパターンが損傷したり電子部品に悪影響を与えたりするという問題が発生することはない。
【実施例2】
【0045】
図2は本発明の印刷配線基板を2つのレーザーダイオードが1つの筐体内に設けられている2波長レーザーダイオードに実施した場合の実施例である。
【0046】
図2に示す印刷配線基板において、第1レーザーダイオード11の電源供給端子であるアノードに接続されている第1アノード用パターン12、第2レーザーダイオード13の電源供給端子であるアノードに接続されている第2アノード用パターン14、第1レーザーダイオード11の接地端子であるカソードに接続されているとともに第2レーザーダイオード13の接地端子であるカソードに接続されているカソード用パターン15が設けられている。
【0047】
同図において、第1アノード用パターン12の斜線を付している部分12Aはレジスト膜、該レジスト膜が付されていない部分12Bが半田付けされる第1アノード用半田パターンである。同様に第2アノード用パターン14の斜線を付している部分14Aはレジスト膜、該レジスト膜が付されていない部分14Bが半田付けされる第2アノード用半田パターンである。そして、カソード用パターン15の斜線を付している部分15Aはレジスト膜、該レジスト膜が付されていない部分15Bが半田付けされるカソード用半田パターンである。
【0048】
本発明は、前記第1アノード用パターン12、第2アノード用パターン14及びカソード用パターン15より構成された静電破壊防止用パターンP3に加えて第1リフロー用静電破壊防止用パターンP4及び第2リフロー用静電破壊防止用パターンP5を設けたことを特徴とするものである。前記第1リフロー用静電破壊防止用パターンP4は、前記第1レーザーダイオード11のアノードに接続されているアノード用パターン16とカソードに接続されているカソード用パターン17とより構成されている。また、前記第2リフロー用静電破壊防止用パターンP5は、前記第2レーザーダイオード13のアノードに接続されているアノード用パターン18とカソードに接続されているカソード用パターン19とより構成されている。
【0049】
斯かる構成において、第1リフロー用静電破壊防止用パターンP4及び第2リフロー用静電破壊防止用パターンP5の半田付けに使用されるパターンの面積は、静電破壊防止用パターンP3の半田付けに使用されるパターンの面積と比較して小さくなるように設定されている。即ち、前記静電破壊防止用パターンP3の半田付けに使用されるパターンの面積は、半田コテによる短絡解除作業及び短絡作業を容易に行うことが出来る大きさになるように設定され、第1リフロー用静電破壊防止用パターンP4及び第2リフロー用静電破壊防止用パターンP5の半田付けに使用されるパターンの面積は、リフロー半田作業にて確実に半田することが出来る面積になるように設定されている。
【0050】
前述したような各パターンが配線されている印刷配線基板に2波長レーザーダイオード等の部品を装着させた状態にて半田付けが行われるが、本実施例においてもリフローと呼ばれる方法にて行われる。斯かるリフローは、平面実装と呼ばれる印刷配線基板への電子部品の固定方法であり、クリーム半田を塗布した状態で電子部品を設置し、その後高温処理することによって電子部品を印刷配線基板に形成されているパターンに電気的に半田付け固定するように構成されている。
【0051】
本発明の印刷配線基板では、第1リフロー用静電破壊防止用パターンP4及び第2リフロー用静電破壊防止用パターンP5に対してクリーム半田が塗布されるが、静電破壊防止用パターンP3にはクリーム半田は塗布されることはない。
【0052】
斯かる半田付けが行われると、クリーム半田によって第1リフロー用静電破壊防止用パターンP4を構成するアノード用パターン16とカソード用パターン17及び第2リフロー用静電破壊防止用パターンP5を構成するアノード用パターン18とカソード用パターン19とが電気的に接続された状態、即ち短絡された状態になる。
【0053】
斯かる状態では、第1レーザーダイオード11の電源供給端子であるアノードと接地端子であるカソードとが短絡された状態にあるため該第1レーザーダイオード11の静電破壊を防止することが出来る状態になる。同様に第2レーザーダイオード13の電源供給端子であるアノードと接地端子であるカソードとが短絡された状態にあるため該第2レーザーダイオード13の静電破壊を防止することが出来る状態になる。
【0054】
斯かる状態において、第1レーザーダイオード11及び第2レーザーダイオード13に駆動信号を供給して光ピックアップ装置の調整動作を行う場合や光ディスク装置への組み込み動作を完了させる場合には、第1レーザーダイオード11及び第2レーザーダイオード13のアノードとカソードとの短絡状態を解除する必要がある。斯かる短絡状態解除動作は半田コテ等によって第1リフロー用静電破壊防止用パターンP4を構成するアノード用パターン16とカソード用パターン17とを短絡した状態にあるクリーム半田を溶解させることによってアノード用パターン16とカソード用パターン17の短絡状態を解除する動作及び第2リフロー用静電破壊防止用パターンP5を構成するアノード用パターン18とカソード用パターン19とを短絡した状態にあるクリーム半田を溶解させることによってアノード用パターン18とカソード用パターン19の短絡状態を解除する動作を行うことによって行われる。
【0055】
前述した短絡状態の解除動作が行われた状態において、第1レーザーダイオード11及び第2レーザーダイオード13に対して駆動信号を供給することによって光ピックアップ装置の調整動作を行うことが出来る。斯かる光ピックアップ装置の調整動作が完了した後光ピックアップ装置の出荷が行われるが、斯かる出荷を行う場合には再度第1レーザーダイオード11及び第2レーザーダイオード13の静電破壊を防止するための作業が行われる。
【0056】
斯かる第1レーザーダイオード11及び第2レーザーダイオード13の静電破壊を防止するための作業は、前記静電破壊防止用パターンP3を構成する第1アノード用半田パターン12Bとカソード用半田パターン15Bとを半田にて短絡させることによって行われるとともに第2アノード用半田パターン14Bとカソード用半田パターン15Bとを半田にて短絡させることによって行われる。
【0057】
斯かる短絡作業は、半田コテにて半田を溶解させることによって行われるが、斯かる半田コテによる半田の溶解作業を行うことによって第1アノード用半田パターン12Bとカソード用半田パターン15Bとを短絡させることが出来るとともに第2アノード用半田パターン14Bとカソード用半田パターン15Bとを短絡させることが出来るので、第1レーザーダイオード11及び第2レーザーダイオード13の静電破壊を防止した状態にて光ピックアップ装置の出荷を行うことが出来る。
【0058】
静電破壊防止が行われた光ピックアップ装置を光ディスク装置に組み込む場合には、短絡解除作業が行われるが、斯かる短絡解除作業は前記静電破壊防止用パターンP3を構成する第1アノード用半田パターン12Bとカソード用半田パターン15Bとを短絡させた状態にある半田を半田コテにて溶解させることによって行われるとともに第2アノード用半田パターン14Bとカソード用半田パターン15Bとを短絡させた状態にある半田を半田コテにて溶解させることによって行われる。斯かる半田の溶解作業及び半田の離脱作業を行うことによって前記静電破壊防止用パターンP3を非短絡状態にすることが出来る。
【0059】
前述したように前記静電破壊防止用パターンP3に対する半田コテによる半田付け作業及び半田離脱作業を行うことによって静電破壊防止のための短絡作業及び短絡解除作業を行うようにしたので、熱によって印刷配線基板上のパターンが損傷したり電子部品に悪影響を与えたりするという問題が発生することはない。
【0060】
本実施例では、第1アノード用半田パターン12Bと第2アノード用半田パターン14Bとの間にカソード用半田パターン15Bを配置したので、該カソード用半田パターン15Bを両ダイオードの静電破壊防止用のパターンとして兼用することが出来るという利点がある。
【実施例3】
【0061】
図3は本発明の印刷配線基板を2つのレーザーダイオードが1つの筐体内に設けられている2波長レーザーダイオードに実施した場合の他の実施例である。尚、実施例2と同一の部材には同一の符号を付している。
【0062】
実施例3は、図示したように第1アノード用パターン12の第1アノード用半田パターン12B、第2アノード用パターン14の第2アノード用半田パターン14B及びカソード用パターン15のカソード用半田パターン15Bの形状を扇形にし、且つこれらの第1アノード用半田パターン12B、第2アノード用半田パターン14B及びカソード用半田パターン15Bを円形状に配置したことを特徴とするものである。
【0063】
前述したような各パターンが配線されている印刷配線基板に2波長レーザーダイオード等の部品を装着させた状態にて半田付けが行われるが、本実施例においてもリフローと呼ばれる方法にて行われる。
【0064】
また、本発明の印刷配線基板では、第1リフロー用静電破壊防止用パターンP4及び第2リフロー用静電破壊防止用パターンP5に対してクリーム半田が塗布されるが、静電破壊防止用パターンP3にはクリーム半田は塗布されることはない。
【0065】
斯かるリフローによる半田付けが行われると、クリーム半田によって第1リフロー用静電破壊防止用パターンP4を構成するアノード用パターン16とカソード用パターン17及び第2リフロー用静電破壊防止用パターンP5を構成するアノード用パターン18とカソード用パターン19とが電気的に接続された状態、即ち短絡された状態になる。
【0066】
斯かる状態では、第1レーザーダイオード11の電源供給端子であるアノードと接地端子であるカソードとが短絡された状態にあるため該第1レーザーダイオード11の静電破壊を防止することが出来る状態になる。同様に第2レーザーダイオード13の電源供給端子であるアノードと接地端子であるカソードとが短絡された状態にあるため該第2レーザーダイオード13の静電破壊を防止することが出来る状態になる。
【0067】
斯かる状態において、第1レーザーダイオード11及び第2レーザーダイオード13に駆動信号を供給して光ピックアップ装置の調整動作を行う場合や光ディスク装置への組み込み動作を完了させる場合には、第1レーザーダイオード11及び第2レーザーダイオード13のアノードとカソードとの短絡状態を解除する必要がある。斯かる短絡状態解除動作は半田コテ等によって第1リフロー用静電破壊防止用パターンP4を構成するアノード用パターン16とカソード用パターン17とを短絡した状態にあるクリーム半田を溶解させることによってアノード用パターン16とカソード用パターン17の短絡状態を解除する動作及び第2リフロー用静電破壊防止用パターンP5を構成するアノード用パターン18とカソード用パターン19とを短絡した状態にあるクリーム半田を溶解させることによってアノード用パターン18とカソード用パターン19の短絡状態を解除する動作を行うことによって行われる。
【0068】
前述した短絡状態の解除動作が行われた状態において、第1レーザーダイオード11及び第2レーザーダイオード13に対して駆動信号を供給することによって光ピックアップ装置の調整動作を行うことが出来る。斯かる光ピックアップ装置の調整動作が完了した後光ピックアップ装置の出荷が行われるが、斯かる出荷を行う場合には再度第1レーザーダイオード11及び第2レーザーダイオード13の静電破壊を防止するための作業が行われる。
【0069】
斯かる第1レーザーダイオード11及び第2レーザーダイオード13の静電破壊を防止するための作業は、前記静電破壊防止用パターンP3を構成する第1アノード用半田パターン12Bとカソード用半田パターン15Bとを半田にて短絡させることによって行われるとともに第2アノード用半田パターン14Bとカソード用半田パターン15Bとを半田にて短絡させることによって行われる。
【0070】
斯かる短絡作業は、半田コテにて半田を溶解させることによって行われるが、斯かる半田コテによる半田の溶解作業を行うことによって第1アノード用半田パターン12Bとカソード用半田パターン15Bとを短絡させることが出来るとともに第2アノード用半田パターン14Bとカソード用半田パターン15Bとを短絡させることが出来るので、第1レーザーダイオード11及び第2レーザーダイオード13の静電破壊を防止した状態にて光ピックアップ装置の出荷を行うことが出来る。
【0071】
静電破壊防止が行われた光ピックアップ装置を光ディスク装置に組み込む場合には、短絡解除作業が行われるが、斯かる短絡解除作業は前記静電破壊防止用パターンP3を構成する第1アノード用半田パターン12Bとカソード用半田パターン15Bとを短絡させた状態にある半田を半田コテにて溶解させることによって行われるとともに第2アノード用半田パターン14Bとカソード用半田パターン15Bとを短絡させた状態にある半田を半田コテにて溶解させることによって行われる。斯かる半田の溶解作業及び半田の離脱作業を行うことによって前記静電破壊防止用パターンP3を非短絡状態にすることが出来る。
【0072】
前述したように前記静電破壊防止用パターンP3に対する半田コテによる半田付け作業及び半田離脱作業を行うことによって静電破壊防止のための短絡作業及び短絡解除作業を行うようにしたので、熱によって印刷配線基板上のパターンが損傷したり電子部品に悪影響を与えたりするという問題が発生することはない。
【0073】
本実施例は、図示したように第1アノード用パターン12の第1アノード用半田パターン12B、第2アノード用パターン14の第2アノード用半田パターン14B及びカソード用パターン15のカソード用半田パターン15Bの形状を扇形にし、且つこれらの第1アノード用半田パターン12B、第2アノード用半田パターン14B及びカソード用半田パターン15Bを円形状に配置したので中心部に対して半田コテによる半田付け作業及び溶解離脱作業を行うことによって第1アノード用半田パターン12B、第2アノード用半田パターン14B及びカソード用半田パターン15B間の短絡作業及び短絡解除作業を効率よく容易に行うことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の実施例では、レジスト膜が塗布されない半田パターンの形状を半円状にしたが、その形状は種々変更することは出来る。また、レーザーダイオードの静電破壊を防止する印刷配線基板について説明したが、他の静電破壊の恐れのある電子部品に対して実施することも出来る。
【符号の説明】
【0075】
5 レーザーダイオード
6 アノード用パターン
7 カソード用パターン
8 アノード用パターン
9 カソード用パターン
10 クリーム半田
11 第1レーザーダイオード
12 第1アノード用パターン
13 第2レーザーダイオード
14 第2アノード用パターン
15 カソード用パターン
16 アノード用パターン
17 カソード用パターン
18 アノード用パターン
19 カソード用パターン
P1 静電破壊防止用パターン
P2 リフロー用静電破壊防止用パターン
P3 静電破壊防止用パターン
P4 第1リフロー用静電破壊防止用パターン
P5 第2リフロー用静電破壊防止用パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーダイオードのアノードに接続されるアノード用パターンと前記レーザーダイオードのカソードに接続されるとともに接地されているカソード用パターンとが近接して配置されている静電破壊防止用パターンと、前記レーザーダイオードのアノードに接続されるアノード用パターンと前記レーザーダイオードのカソードに接続されるとともに接地されているカソード用パターンとが近接して配置され、且つリフロー半田にて両パターンが短絡されるリフロー用静電破壊防止用パターンとを設けたことを特徴とする印刷配線基板。
【請求項2】
第1レーザーダイオードのアノードに接続される第1アノード用パターンと、第2レーザーダイオードのアノードに接続される第2アノード用パターンと、前記第1レーザーダイオードのカソード及び第2レーザーダイオードのカソードに接続されるとともに接地されているカソード用パターンとが近接して配置されている静電破壊防止用パターンと、前記第1レーザーダイオードのアノードに接続されるアノード用パターンと前記第1レーザーダイオードのカソードに接続されるとともに接地されているカソード用パターンとが近接して配置され、且つリフロー半田にて両パターンが短絡される第1リフロー用静電破壊防止用パターンと、前記第2レーザーダイオードのアノードに接続されるアノード用パターンと前記第2レーザーダイオードのカソードに接続されるとともに接地されているカソード用パターンとが近接して配置され、且つリフロー半田にて両パターンが短絡される第2リフロー用静電破壊防止用パターンとを設けたことを特徴とする印刷配線基板。
【請求項3】
静電破壊防止用パターンを構成するカソード用パターンを第1アノード用パターンと第2アノード用パターンとの間に配置したことを特徴とする請求項2に記載の印刷配線基板。
【請求項4】
静電破壊防止用パターンを構成する第1アノード用パターン、第2アノード用パターン及びカソード用パターンの半田付け部分の形状を扇形にし、3つの半田付けパターンを円形状に配置させたことを特徴とする請求項2に記載の印刷配線基板。
【請求項5】
静電破壊防止用パターンの半田付けに使用される面積に対してリフロー用静電破壊防止用パターンの半田付けに使用される面積を小さくしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷配線基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate