説明

印字検査装置

【課題】既設の包装機に簡単に取付けができて、しかも低価格の印字検査装置を提供すること。
【解決手段】包装機1で包装袋の所定箇所に賞味期限などが印字された後に、該包装袋が搬送されて該印字状態の良否を判定する印字検査装置10であって、この印字検査装置10は、包装機の搬送手段4と連接して包装袋を印字検査装置側へ搬送する繋ぎ搬送手段11及び包装機に取付ける固定手段13を有する装置本体12を備えている。装置本体12には、繋ぎ搬送手段11の搬送経路に連接して包装袋の印字領域に接触して該印字領域の皺を伸ばす皺伸ばし手段15と、この皺伸ばし手段との間で所定の距離をあけて対向して配置された撮像カメラ19と、この撮像カメラからのデータ信号と予め記憶した基準データとを比較して包装袋の印字の良否を判別すると共にその良否の判別信号を出力する判定手段を有する制御装置とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字検査装置に係り、さらに詳しくは加工食品などが袋詰めされた包装袋に印字された製造年月日や賞味期限などの印字状態を検査する印字検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの小売店の店頭では、お菓子やおつまみなどの加工食品が袋詰めされて大量に販売されている。近年、これらの袋詰め商品は、その包装袋の袋体に製造年月日や賞味期限などが印字されて、この年月日が消費者の購入を左右する重要な情報源の一つとなってきている。このような印字は、通常、包装袋の開口部をシールするシール手段を備えた包装機に印字装置が一体に組込まれて、この印字装置によって付されている。ところが、印字装置の故障或いはテープ(なお、このテープはインクリボンとも言われている)切れ、また、作業者の作業ミスなどで袋体に印字がされず、或いは印字されても不正確又は不鮮明なものになっていることがある。このような印字無し或いは不正確・不鮮明な印字がなされると、消費者がその商品に不安を抱き、また製造元への不信の原因となり、ときに製造メーカの責任問題にも進展することがある。そこで、このような問題を解消するために、賞味期限などの所要の印字状態を袋毎に自動的に検査し、その印字不良の袋を用いた商品の生産を中止するなどの処置を講じることができる印字検査装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
図7を参照して、下記特許文献1に開示された包装機における印字検査装置を説明する。なお、図7は下記特許文献1に記載された包装機における印字検査装置の概略斜視図である。
【0004】
この印字検査装置Mは、包装機に一体に組込まれている。印字検査装置Mは、印字検査ステーションに停止した袋の印字部分を撮影する小型監視カメラ50と、この印字部分を照明するストロボ51、52と、小型監視カメラからのデータ信号を処理して袋の印字の良否を判別すると共にその良否の判別信号を包装機の充填装置及びシール装置側に出力する検査制御装置とを備えた構成となっている。
【0005】
以下に、この印字検査装置Mの動作を説明する。グリップ対gにより支持された袋aが印字検査ステーションに停止すると、最初にマスク装置の小形シリンダが作動して袋aの製造年月日・賞味期限等の印字部分bの周囲がマスクプレート53により押さえられる。これと同時に、その印字部分bにストロボ51、52からストロボ光が発せられると共に、その印字状態が小型監視カメラ50により自動的に撮影される。その撮影されたデータ信号は、検査制御装置54により処理されて袋の印字の良否が判別される。その印字の良否・印字画像等の情報は、モニター55により視覚的に表示される。また、印字位置のズレ、日付の入れ間違い等についても、検査制御装置54により検査されてモニター55で表示される。その印字位置のズレは目視により確認することもできるが、この場合には、作業者が前工程の印字装置の印字ヘッドを適正位置に補正する処置をとる。さらに、検査制御装置54により検査された印字部分bの良否の判別信号は、後工程の充填装置及びシール装置側に出力される。しかして、印字不良の袋については、内容物の充填及びシールを施さずに機外に排出するように処理することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−109033号公報(段落〔0010〕〜〔0013〕、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に開示された印字検査装置によれば、賞味期限などの所要の印字状態を自動的に袋毎に検査して印字の良否を判別し、印字位置のズレ、日付の入れ間違いなどの検査データをモニターで表示・確認することができ、印字不良の場合には適宜処置をとることが可能になる。
【0008】
しかしながら、この印字検査装置には、いくつかの課題が内在していることが判明した。その一つは、印字検査装置が包装機に一体に組込まれていることである。すなわち、製造年月日や賞味期限などが消費者の購入を左右する重要な情報源になってきたのはごく最近のことであり、それ以前はその重要性が必ずしも高くなかった。そのために、これまでの包装機は、印字装置を備えているがその印字を検査する検査装置が無いものが殆どとなっている。この印字検査の重要性に鑑みて、最近、精度の高い検査装置を組込んだ包装機が製品化されているが、その価格が高価なものとなっている。袋詰め加工業者などは、既設の包装機に代えて印字検査装置が組込まれた新しい包装機を購入しなければならなくなるが、そうすると、既設の包装機を廃棄し、高価な包装機を購入するために設備投資の費用が嵩み、その費用を回収するために袋詰め商品への価格転嫁を余儀なくさせられることがある。この状況から、既設の包装機に簡単に装着でき、しかも低価格の印字検査装置の提供が要望されている。
【0009】
また、他の課題は、上記の印字検査装置は、袋の印字箇所のブレを小型シリンダを用いて防止しているが、この小型シリンダを用いると、このシリンダを制御する制御手段及び制御機構などが必要となり、この機構が概ね可動機構となるので故障が発生し易くなることである。さらに、他の課題は、小型監視カメラが固定式となっているので、包装袋の種類が変更されると監視がし難くなる恐れがある。
【0010】
さらにまた、最近、包装袋は、例えば緑、赤、青などのカラフルな色材のフィルムシート素材で作製されて、その色素材の上に例えば黒色の印字がなされるので、素材の色との関係で印字が識別し難くなっているが、上記の印字検査装置はこの対策が講じられていない。また、上記の印字検査装置は、印字を反射光によって監視、すなわち読取っているが、包装袋が透明素材で作製されていると、この読取り方法ではその読取り検知が困難になる。
【0011】
そこで、本発明はこのような従来技術が抱える課題を解決し、しかもユーザの要望を受けてなされたもので、本発明の目的は、既設の包装機に簡単に取付けができて、しかも低価格の印字検査装置を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、包装機のシール工程などで袋体に皺が形成されても、それに影響されることなく印字を正確に読取ることができて、正確に印字状態の良否を判定できる印字検査装置を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の目的は、包装袋の素材色に影響されることなく印字を正確に読取ることができて、正確に印字状態の良否を判定できる印字検査装置を提供することにある。
【0014】
本発明のまた他の目的は、印字不良の袋詰め商品を正常な搬送ルートから排除する排除機構を備えた印字検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は、以下の構成によって達成される。すなわち、この発明は、包装機で包装袋の所定箇所に賞味期限などが印字された後に、該包装袋が搬送されて該印字状態の良否を検査する印字検査装置において、前記包装機の搬送手段と連接して前記包装袋を印字検査装置側へ搬送する繋ぎ搬送手段及び前記包装機と取付け可能な固定手段を設けた装置本体を備え、前記装置本体に、前記繋ぎ搬送手段の搬送経路に連接して前記包装袋の印字領域に接触して該印字領域の皺を伸ばす皺伸ばし手段と、前記皺伸ばし手段と対向して配置された撮像カメラと、前記撮像カメラからのデータ信号と予め記憶した基準データと比較して前記包装袋の印字の良否を判別すると共にその良否の判別信号を出力する判定手段を有する制御装置とを設けた構成を有している。
【0016】
この印字検査装置において、前記繋ぎ搬送手段は、前記包装機の搬送手段に搬送ベルトを用い、該搬送ベルトを所定長さ延長して、印字検査装置側に設けた回転ローラに懸架したもので構成されることが好ましい。
【0017】
また、この印字検査装置において、前記繋ぎ搬送手段は、所定の間隔をあけて対向する一対の回転ローラと、前記一対の回転ローラ間に懸架された一対の無端ベルトと、前記回転ローラを駆動する駆動装置で構成されることが好ましい。
【0018】
さらに、この印字検査装置においては、前記皺伸ばし手段は、前記印字領域を支持する支持プレートと、前記支持プレートとの間に所定の隙間をあけて前記包装袋の印刷された面を接触させて皺を伸ばすマスクプレートとで構成されることが好ましい。
【0019】
さらにまた、この印字検査装置において、前記マスクプレートは、前記包装袋の色と前記印字色との関係で、印字色を鮮明にするフィルター機能を有する色部材で形成されることが好ましい。
【0020】
さらにまた、この印字検査装置において、前記マスクプレートは、印字領域を露出させる大きさの開口を設けたものが好ましい。
【0021】
さらにまた、この印字検査装置において、前記支持プレートおよび前記マスクプレートは、それぞれ透明材料で形成され、前記支持プレートを照射するバックライトが設けられることが好ましい。
【0022】
さらにまた、この印字検査装置において、前記撮像カメラは、前記印字領域に対する該撮像カメラの距離及び角度を調節可能な距離・角度調節機構を設けたカメラ支持部材に固定されて、前記カメラ支持部材は水平方向及び該水平方向と直交する前後方向へ移動可能な可動基台に取付けた構成にすることが好ましい。
【0023】
さらにまた、前記制御装置の判定手段で印字不良と判定されたときに、印字不良の包装袋を通常の搬送ルートから排除する排除機構が前記装置本体に付設されることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、上記構成を備えることにより、以下の優れた効果を奏する。すなわち、この発明によれば、包装機と印字検査装置とが繋ぎ搬送手段を介して連接されるので、包装機、特に既設の包装機に印字検査装置を取付けることが可能となり、この印字検査装置により包装機で印字した印字状態の良否を判定できる。しかも、この印字検査装置は包装機と別体のユニット体で構成されるので安価に作製できる。
【0025】
また、繋ぎ搬送手段が、包装機の搬送手段に搬送ベルトを用い、該搬送ベルトを所定長さ延長して、印字検査装置側に設けた回転ローラに懸架したものであるので、既設の包装機の改造を少なくして、既設の包装機の搬送手段に簡単に連接させることができる。しかも、改造が少ないので価格も低減できる。
【0026】
また、繋ぎ搬送手段が所定の間隔をあけて対向する一対の回転ローラと、一対の回転ローラ間に懸架した一対の無端ベルトと、回転ローラを駆動する駆動装置で構成されるので、既設の包装機を改造することなく、また、新たな包装機に簡単に組込むことが可能になる。
【0027】
さらにまた、皺伸ばし手段が印字領域を支持する支持プレートと、支持プレートとの間に所定の隙間をあけて包装袋の印刷された面を接触させて皺を伸ばすマスクプレートとで構成されているので、簡単な構成で皺伸ばしができて、撮像カメラでの撮像が正確になり、しかも可動部分がないので故障を皆無にできる。
【0028】
さらにまた、マスクプレートが包装袋の色と印字色との関係で、印字色を鮮明にするフィルター機能を有する色部材で形成されているで、印字が鮮明になり、撮像カメラでの撮像が正確になる。
【0029】
さらにまた、マスクプレートに印字領域を露出させる大きさの開口が設けられているので、マスクプレートの汚れを気にすることなく使用できる。
【0030】
さらにまた、支持プレートおよびマスクプレートがそれぞれ透明材料で形成され、前記支持プレートを照射するバックライトが設けられているので、包装袋が透明体であっても、印字を鮮明にして撮像できる。
【0031】
さらにまた、撮像カメラを支持するカメラ支持部材に距離及び角度の調節可能な距離・角度調節機構が設けられているので、包装袋の種類、色に対してカメラ位置を変更して正確な撮像が可能になる。
【0032】
さらにまた、制御装置の判定手段で印字不良と判定されたときに、印字不良の包装袋を通常の搬送ルートから排除する排除機構が装置本体に付設されているので、印字不良品の選別が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る印字検査装置を公知の包装機に取付けた状態の側面図である。
【図2】図2は図1の印字検査装置の側面図である。
【図3】図3は図2の印字検査装置の撮像カメラ部分を拡大した拡大側面図である。
【図4】図4は図2、図3の撮像カメラを支持する支持部材の一側面図である。
【図5】図5は図2の印字検査装置に付設した排除機構の拡大側面図である。
【図6】図6は印字検査装置を制御する制御装置の制御ブロック図である。
【図7】図7は従来技術の包装機における印字検査装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための印字検査装置を例示するものであって、本発明をこの印字検査装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。なお、図1は、本発明の実施形態に係る印字検査装置を公知の包装機に取付けた状態の側面図、図2は図1の印字検査装置の側面図、図3は図2の印字検査装置の撮像カメラ部分を拡大した拡大側面図、図4は図2、図3の撮像カメラを支持する支持部材の一側面図である。
【0035】
図1、図2を参照して、本発明の実施形態に係る印字検査装置を既設の包装機に取付けた状態を説明する。
【0036】
印字検査装置10は、シール手段および印字手段を備えた包装機1に付設できる構成となっている。包装機1は、フィルムシート素材で作製された所定大きさの包装袋(図示省略)の開口部をシールするシール手段2と、このシール手段でシールされた包装袋の袋体の一部に製造年月日や賞味期限などを印字する印字装置3と、包装袋に加工食品などを所定量詰め込んだ後にシール手段2を経て印字装置3へ該包装袋を自動的に搬送する搬送手段4などを備えている。シール手段2には、包装袋の開口部を熱溶着してシールするシール装置が使用され、また、印字装置3は、インクリボンを用い袋体の一部に熱転写するプリンタなどで構成されている。搬送手段4は、包装機1の一端、すなわち図1の右端側1Aに設けた一対の回転ローラ5A、5Bと、印字装置3側に設けた一対の回転ローラ(なお、これらのローラは印字検査装置側へ移設されているので図示されていない。)と、両回転ローラ間にそれぞれ懸架された搬送ベルト6A、6Bとを有し、両回転ローラ5A、5Bに、これらの回転ローラを回転させる駆動装置(図示省略)が連結された構成となっている。なお、図1、図2において、印字装置3側に設けた一対の回転ローラ14A、14Bは、印字検査装置側へ移設されたものとなっている。また、搬送ベルト6A、6Bは、一対の回転ローラを移設する前のベルトを所定長さ延長した延長搬送ベルトとなっている。搬送ベルトには無端ベルトが使用されている。包装袋は、内部に所定量の加工食品などが詰められた後に、その端部が包装機の一端1A側から両搬送ベルト6A、6B間に挟持されて、シール手段2を経て印字装置3側へ自動的に搬送される。なお、この構成の包装機は、既に公知であるので詳細な説明を省略する。
【0037】
この包装機1は、印字検査装置10を取付けるためにいくつかの改造がなされている。その改造箇所は、印字装置3側に設ける一対の回転ローラを印字検査装置側へ移設して、この移設に伴い改造前の搬送ベルトをその長さを所定長さ延長した延長搬送ベルト6A、6Bとなっている。この改造は大掛かりなものでなく、回転ローラの移設及び搬送ベルトの延長のみとなるので簡単にできる。移設した一対の回転ローラ及び延長搬送ベルトの延長部分が包装機1と印字検査装置10とを連接する繋ぎ搬送手段11となっている。この実施形態では、印字装置3側の回転ローラを印字検査装置側に移設し、この移設に伴い延長搬送ベルトを使用したが、回転ローラを移設することなく、包装機と印字検査装置との間に、包装機の搬送手段と連接する中継搬送手段を設けた構成にしてもよい。この中継搬送手段は、後述する中継搬送機構24のようなものである。また、既設包装機の改造の際に、印字装置3には、インクリボンの状態、例えばインクリボン切れなどを検知するセンサを付設して、このセンサでインクリボンの状態を検知するのが好ましい。なお、この実施形態では、印字検査装置を既設の包装機に付設しているが、新らに開発する包装機に一体に組込んでもよい。
【0038】
印字検査装置10は、図2、図3に示すように、包装機1の搬送手段に連接して包装袋を印字検査装置側へ搬送する繋ぎ搬送手段11及びこの包装機と取付け可能な固定手段13を設けた装置本体12を備えている。装置本体12は、制御装置を収容し操作盤などを取付けた箱型の制御ボックス12Aと、この制御ボックスの上方壁面に配設した基台12Bと、この基台から上方へ立設した支持板12Cと有し、支持板12Cに一対の回転ローラ14A、14Bが移設して設けられている。なお、一対の回転ローラは移設することなく新規の回転ローラを用いてもよい。これらの回転ローラ14A、14Bには、包装機1の回転ローラとの間で延長搬送ベルト6A、6Bが懸架される。繋ぎ搬送手段11は、移設した一対の回転ローラ14A、14B及び延長搬送ベルト6A、6Bの延長部分となっている。装置本体12は、制御ボックス12Aの一側壁面に固定手段13が設けられ、この固定手段によって、印字検査装置10が包装機1の機器本体に固定される。なお、固定手段は、着脱自在な公知の手段が使用される。また、この制御ボックス12Aには、装置を操作する操作盤及び他の側壁面に回収ボックス31などが設けられている。
【0039】
この装置本体12には、これらの延長搬送ベルト6A、6Bの移動経路に連接して、印字された印字領域を位置決めし該印字領域に接触して皺を伸ばす皺伸ばし手段15、この皺伸ばし手段との間に所定の距離をあけて対向して配置される撮像カメラ19、印字領域に対するこの撮像カメラの距離及び角度を調節可能な距離・角度調節機構を設けたカメラ支持部材21、このカメラ支持部材を水平方向及び該水平方向と直交する前後方向へ移動可能な可動台22、撮像カメラ19からのデータ信号と予め記憶した基準データとを比較して包装袋の印字の良否を判別すると共にその良否の判別信号を出力する判定手段を有する制御装置、この判定手段で印字不良と判定されたときに不良包装袋体を通常の搬送ラインから排除する排除機構28およびこの判定手段での判定結果を表示する表示灯23などが取付けられている。制御装置は、制御ボックス12Aの内部に収納されている。以下、個々の構成を詳述する。
【0040】
皺伸ばし手段15は、図3に示すように、袋体の印字領域を支持する支持プレート16と、この支持プレートとの間に所定の隙間をあけて包装袋の印字された面が接触されて皺を伸ばすマスクプレート18とを有している。支持プレート16は、搬送された袋体の印字領域が載置される面積及び所定距離搬送ガイドをする長さを有する平坦な板状体で形成されている。この支持プレート16は、その一端が所定の高さを有する固定台17の頂部に固定されて、略水平に固定されている。固定台17は、図3に示す状態で上下方向へ高さを調節できる調節手段17Aが設けられている。この調節手段17Aにより、マスクプレート18との隙間Gが調節される。この支持プレート16は、任意の材料、例えば、合成樹脂材、ガラス材或いは金属材料で形成される。しかしながら、包装袋によっては、その材料が透明材料で作製されて黒色で印字されるものがあるので、このような包装袋に対しては、支持プレートは透明材料で形成したものを使用する。この支持プレートの下方にはバックライトLを設けて、透明材料からなる包装袋を下方から照射、すなわち、照明光を透過させて撮像カメラで読取る。なお、透明以外の色物の包装袋に対しては、撮像カメラに設けた照明手段によって印字領域を照射して、その反射光を利用して撮像カメラで読取る。したがって、支持プレート16及びマスクプレート18は、包装袋の素材によって使い分けるので、交換自在な固定手段により、固定台或いは装置本体に固定されている。この固定手段は、公知のものを使用するので、詳細な説明は省略する。
【0041】
マスクプレート18は、包装袋の印字された面に接触して、印字領域の皺伸ばしを行い、印字状態を見やすく、すなわち撮像カメラ19により撮像を容易にする働きをする機能を有し、支持プレート16との間で包装袋の印字領域を圧接接触させる隙間Gをあけて配設される。このマスクプレート18は、包装袋の印字領域を支持プレート16に押し当てる大きさを有し、装置本体12に着脱自在な固定手段により交換自在に固定されている。このマスクプレート18は、支持プレート16より若干小型になっている。すなわち、支持プレート16は包装袋の印字領域が押し当てられた状態で所定距離搬送されるので、マスクプレート18より若干大型になっている。このマスクプレート18は、また、包装機1側の端部が図3の状態で右上りの傾斜面に形成するのが好ましい。この傾斜面により、包装袋の搬送がスムーズになる。
【0042】
このマスクプレート18は、包装袋の素材色に合わせて、印字を読取り易くするために、複数枚のプレートを用意して置き、包装袋の色に合わせて、交換して使用される。すなわち、包装袋は、例えば緑、赤、青などのカラフルな色材のフィルムシート素材で作製されて、その色素材の上に賞味期限などの印字がなされるので、素材の色との関係で印字が読取り難くなるので、包装袋の色に合わせマスクプレートを交換して印字を読取り易くする。
このマスクプレートは、包装袋の色と同じか略同じ色で光を透過する素材のプレートを使用する。例えば、包装袋の色が赤であると赤色のマスクプレートを使用する。これにより、通常、印字が黒色であるので、赤色のマスクプレートを使用することにより、印字が鮮明になり、読取りが正確且つ容易になる。したがって、このようなマスクプレートは、包装袋の色と印字色との関係で、印字色を鮮明にするフィルター機能を有するものとなっている。なお、この実施形態では、マスクプレートは着色したものを使用したが、印字領域を露出させる大きさの開口を設けてもよい。皺伸ばし手段15は、支持プレートとマスクプレートとで構成されるので、従来技術のようにシリンダ及びこのシリンダを作動させる機構などが不要になり、しかも可動機構がないので故障などが発生し難くなる。なお、皺伸ばし手段は、上記の皺伸ばし部材に限定されるものでなく他の部材を用いて構成してもよい。
【0043】
マスクプレート18の上方には、図3に示すように、所定距離H離して撮像カメラ19が固定される。この撮像カメラには照明装置付きの市販の文字認識センサ付きカメラが使用される。この撮像カメラ19は、装置本体12の基台12Bから立設した所定高さの支持部材21の一端に移動自在に固定される。
【0044】
支持部材21は、図4に示すように、一端に可動台への固定部21aと、この取付け部から所定長さ略「く字」状に湾曲して延設された湾曲部21bと、他端に撮像カメラを取付ける取付け部21cとを有し、全体がバナナ状をなし、所定の肉厚のある金属板材で形成されている。支持部材21には、撮像カメラ19の高さ及び角度を調節する形状の細溝21が形成されている。この細溝は、支持部材の形状に沿って略「く字」状に湾曲した形状になっている。この形状の細溝21に撮像カメラ19の側壁面に設けた取付け部を挿入してホルダー20で固定する。
【0045】
この取付けにより、撮像カメラ19は、マスクプレート18の真上、及び所定角度θ(略45°)の範囲で移動可能になると共に、所定の角度移動させることによって、マスクプレートとの距離も調節される。撮像カメラ19は、その取付け位置によって、印字領域との調整がされる。すなわち、マスクプレート18の真上の位置では、支持プレート下のバックライトLを点灯させて透過光を利用して印字を撮像し、また、それぞれの角度では撮像カメラに設けた照明装置を点灯させて、その反射光を利用して印字を撮像する。所定の角度で印字領域を照射し、撮像するので、適確な撮像が可能になる。この実施形態では、支持部材を「く字」状に湾曲した部材を使用したが、この部材に限定されるものでなく、上記の機能を有すれば、任意の形状の部材で形成してもよい。
【0046】
この支持部材21は、可動台22に固定されて、図3の水平方向の左右及び前後へ移動される。可動台22は、水平方向へ移動可能な水平移動部材と、この水平移動部材に固定されて該水平方向と直交する前後方向へ移動可能な前後移動部材とで構成されている。
【0047】
図5を参照して、中継搬送機構及び排除機構を説明する。なお、図5は、図2の印字検査装置の中継搬送機構および排除機構を拡大した拡大側面図である。
【0048】
印字検査された包装袋は、図1の右方向から左方向へ搬送される。制御装置で印字不良が判定されると、排除機構で正常の搬送ルートから排除されて回収ボックス31へ収容される。このとき、印字状態を検査する機構と排除機構とは、中継搬送機構24で連結される。この中継搬送機構24は、所定の間隔をあけて離して配設された回転ローラ25A、25Bと、これらの回転ローラに懸架された搬送ベルト26とからなるユニット体で構成されている。このユニット体の長さは、検査機構と排除機構と間の間隔を考慮して決められる。また、このユニット体は、排除機構28へ包装袋をスムーズに搬送するために位置合わせが必要となるので、図5の状態で上下方向へ移動させる調節手段27が設けられている。この調節手段には、調節つまみ27Aが設けられて、このつまみによって、ユニット体が上下動される。
【0049】
排除機構28は、所定の長さを有し一端が互いに回転可能に連結された一対のリンクバー29A、29Bと、一方のリンクバー29Aの他端29A'に当接されて印字不良の包装袋の搬送をブロックする排除羽根30を有している。連結された両リンクバー29A、29Bは、他方のリンクバー29Bの他端29B'が装置本体12に回転可能に固定されて、他方のリンクバー29Aの端部との間に不図示の圧縮ばねが装着されている。排除羽根30は、装置本体12に固定された排除羽根取付バー30Aに、羽根軸30Bによって回転可能に結合されている。正常の搬送状態では、両リンクバーの連結部29ABが図5に示すように、上方へ持ち上がった状態に保持されている。この状態では、排除羽根30は一方のリンクバー29Aの一側壁面に当接されて、包装袋の搬送の支障にならないようになっている。制御装置の判定手段で印字不良が判定されると、両リンクバーの連結部29AB部分が圧縮ばねを伸張させて下方のF方向へ引下げられると共にリンクバー29Aの他端29A'が持ち上げられる。これにより、排除羽根30が羽根軸30Bを中心に上方へ回動して持上げられて、包装袋の搬送をブロックして回収ボックス31内へ落下させる。
【0050】
制御装置Cは、図6に示すように、撮像カメラからの信号を処理する画像処理部を備えている。この画像処理部は、マイクロコンピュータCPU、記憶装置(ROM、RAM)及びカウンタなどで構成されている。この制御装置Cは、入力側に賞味期限などの年月日をインプットする入力手段が接続される。出力側に判定結果を表示する表示灯23、排除機構28などが接続されている。また、記憶装置には、作業工程に合わせて所定の製造年月日及び/又は賞味期限などが記憶される。
【0051】
図1〜図6を参照して、包装機への印字検査装置の取付け、及び印字検査装置の動作を説明する。
【0052】
印字検査装置10は、固定手段13で装置本体12を包装機1の印字装置の近傍に取付ける。なお、この固定手段は、包装機の機種によって異なることがあるので、予め用意した固定手段が適合しないときは、その包装機の固定箇所の状態に合わせて、適当な機材を用いて固定する。延長搬送ベルト6A、6Bを包装機1と印字検査装置10との間に懸架する。これにより、包装機1への取付けが終了する。
【0053】
印字状態の検査は、以下のように行われる。まず、包装機1および印字検査装置10の電源を投入して、包装機の図1の右端側1Aから、包装袋に所定量の加工食品などを詰めて、作業者が搬送ベルト6A、6B間に挟み込む。この挟み込みにより、包装袋はシール手段2で開口部がシールされて印字装置3へ搬送される。印字装置3では、搬送ベルト6A、6Bが一時停止されて、包装袋の所定箇所に賞味期限などの年月日が印字される。印字された包装袋は印字検査装置10へ送られて、印字領域が皺伸ばし手段15、すなわち、支持プレート16とマスクプレート18との隙間Gに入り込む。このとき、シール手段2で開口が熱溶着されたときに、袋体に皺ができていても、この皺伸ばし手段15で皺伸ばしされて印字が見え易くなる。支持プレート16及びマスクプレート18は、包装袋の種類に適合するプレートを作業開始前に選定して取付けて置く。この状態で撮像カメラを作動させて印字領域を撮像して、その撮像データが制御装置Cへ伝送される。なお、この撮像は、搬送手段を一時停止させて行う。したがって、搬送手段4は、印字及び撮像の際に一時停止されるので、間歇的に移動されることになる。
【0054】
制御装置Cでは、撮像データと予め入力された基準となるデータとを比較して、合致しているときは、そのまま運転を継続する。この状態を表示灯に青ランプなどを点灯させて表示するのが好ましい。不一致のときは、印字なし、或いは印字されても位置ズレ、不正確などであるので、この不一致信号を出力する。すなわち、表示灯23に赤ランプなどを点灯して警告すると共に、排除機構28を作動させて、不良品を回収ボックス31へ収容する。
【0055】
この実施形態に係る印字検査装置は、上記の構成を備えることによって、以下の特徴を有している。すなわち、包装機と印字検査装置とが繋ぎ搬送手段を介して連接されるので、包装機、特に既設の包装機に印字検査装置を取付けることが可能となり、この印字検査装置により包装機で印字した印字状態の良否を判定できる。しかも、この印字検査装置は包装機と別体のユニット体で構成されるので安価に作製できる。
【0056】
また、個々の構成では、繋ぎ搬送手段が包装機の搬送手段に搬送ベルトを用い、該搬送ベルトを所定長さ延長して、印字検査装置側に設けた回転ローラに懸架したものであるので、既設の包装機の改造を少なくして、既設の包装機の搬送手段に簡単に連接させることができる。しかも、改造が少ないので価格も低減できる。なお、繋ぎ搬送手段は所定の間隔をあけて対向する一対の回転ローラと、一対の回転ローラ間に懸架した一対の無端ベルトと、回転ローラを駆動する駆動装置で構成されてもよく、この構成をとると既設の包装機を改造することなく、また、新たな包装機に簡単に組込むことが可能になる。さらにまた、皺伸ばし手段が印字領域を支持する支持プレートと、支持プレートとの間に所定の隙間をあけて印刷された面を接触させて皺を伸ばすマスクプレートとで構成されているので、簡単な構成で皺伸ばしができて、撮像カメラでの撮像が正確になり、しかも可動部分がないので故障を皆無にできる。さらにまた、マスクプレートが包装袋の色と印字色との関係で、印字色を鮮明にするフィルター機能を有する色部材で形成されているで、印字が鮮明になり、撮像カメラでの撮像が正確になる。さらにまた、マスクプレートが印字領域を露出させる大きさの開口が設けられているので、マスクプレートの汚れを気にすることなく使用できる。さらにまた、支持プレートおよびマスクプレートがそれぞれ透明材料で形成され、前記支持プレートを照射するバックライトが設けられているので、包装袋が透明体であっても、印字を鮮明にして撮像できる。さらにまた、撮像カメラを支持するカメラ支持部材に距離及び角度の調節可能な距離・角度調節機構が設けられているので、包装袋の種類、色に対してカメラ位置を変更して正確な撮像が可能になる。さらにまた、制御装置の判定手段で印字不良と判定されたときに、印字不良の包装袋を通常の搬送ルートから排除する排除機構が装置本体に付設されているので、印字不良品の選別が容易になる。
【符号の説明】
【0057】
1 包装機
2 シール手段
3 印字装置
4 搬送手段
5A、5B 回転ローラ
6A、6B 搬送ベルト
10 印字検査装置
11 繋ぎ搬送手段
12 装置本体
12A 制御ボックス
12B 基台
12C 支持板
13 固定手段
14A、14B 回転ローラ
15 皺伸ばし手段
16 支持プレート
18 マスクプレート
19 撮像カメラ
21 支持部材
22 可動台
23 表示灯
24 中継搬送機構
28 排除機構
29A、29B リンクバー
30 排除羽根
31 回収ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装機で包装袋の所定箇所に賞味期限などが印字された後に、該包装袋が搬送されて該印字状態の良否を検査する印字検査装置において、
前記包装機の搬送手段と連接して前記包装袋を印字検査装置側へ搬送する繋ぎ搬送手段及び前記包装機と取付け可能な固定手段を設けた装置本体を備え、
前記装置本体に、前記繋ぎ搬送手段の搬送経路に連接して前記包装袋の印字領域に接触して該印字領域の皺を伸ばす皺伸ばし手段と、前記皺伸ばし手段と対向して配置された撮像カメラと、前記撮像カメラからのデータ信号と予め記憶した基準データと比較して前記包装袋の印字の良否を判別すると共にその良否の判別信号を出力する判定手段を有する制御装置とを設けたことを特徴とする印字検査装置。
【請求項2】
前記繋ぎ搬送手段は、前記包装機の搬送手段に搬送ベルトを用い、該搬送ベルトを所定長さ延長して、印字検査装置側に設けた回転ローラに懸架したものであることを特徴とする請求項1に記載の印字検査装置。
【請求項3】
前記繋ぎ搬送手段は、所定の間隔をあけて対向する一対の回転ローラと、前記一対の回転ローラ間に懸架された一対の無端ベルトと、前記回転ローラを駆動する駆動装置で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の印字検査装置。
【請求項4】
前記皺伸ばし手段は、前記印字領域を支持する支持プレートと、前記支持プレートとの間に所定の隙間をあけて前記包装袋の印刷された面を接触させて皺を伸ばすマスクプレートとで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の印字検査装置。
【請求項5】
前記マスクプレートは、前記包装袋の色と前記印字色との関係で、印字色を鮮明にするフィルター機能を有する色部材で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の印字検査装置。
【請求項6】
前記マスクプレートは、印字領域を露出させる大きさの開口が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の印字検査装置。
【請求項7】
前記支持プレートおよび前記マスクプレートは、それぞれ透明材料で形成され、前記支持プレートを照射するバックライトが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の印字検査装置。
【請求項8】
前記撮像カメラは、前記印字領域に対する該撮像カメラの距離及び角度を調節可能な距離・角度調節機構を設けたカメラ支持部材に固定されて、前記カメラ支持部材は水平方向及び該水平方向と直交する前後方向へ移動可能な可動基台に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の印字検査装置。
【請求項9】
前記制御装置の判定手段で印字不良と判定されたときに、印字不良の包装袋を通常の搬送ルートから排除する排除機構が前記装置本体に付設されていることを特徴とする請求項1に記載の印字検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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