説明

印字装置

【課題】 予め記憶手段に複数の調合物、その調合物に使用する各材料及びその調合物の各材料の調合比率を格納しておき、調合物名、調合物を注入する容器の容積を示す情報及び材料セット数を示す情報を入力することにより、容器の底部を基準として容器の高さ方向に各材料とその分量を明示させるラベルを印刷する印字装置を提供する。
【解決手段】 印字装置は、各材料が調合されて生成される調合物において各材料の分量を明示する明示線を印字する明示線付き印字物を作成する印字装置であって、記憶手段と、前記調合物及び該調合物のセット数を設定する調合物設定入力手段と、容器容積算出手段と、各材料分量算出手段と、明示線印刷位置抽出手段と、所定位置に前記調合物名及び該調合物の各材料名を印字させる印字手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調合物の材料と調合比率を明示した調合ラベルを作成する印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ部材を収納したテープカセットを装置内にセットし、そのテープ部材の印字テープに対して、キーボード等の入力手段から入力された或いは他の機器から出力された文字等を任意に印字することで、固有のラベルを作成できる装置として印字装置がある。
【0003】
このような印字装置で作成されたラベルの用途が拡大されてきている。例えば、料理の調合物における材料の調合比率等のレシピを印字したラベルを作成して台所や冷蔵庫等に貼っておき、料理時に参照する場合がある。
【0004】
また、特許文献1には、目盛線及び目盛線に付随する目盛数字を合せて印刷して印字物を作成する印字装置が開示されている。この印字装置で作成された印字物は、地図に縮小倍率を表記したり、顕微鏡写真等に拡大倍率を表記したり、柱や壁に貼って身長測定に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6―155864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1の印字装置は、長さや寸法を測定するための目盛線を印刷した印字物を作成しているに過ぎなかった。
【0007】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、容器の底部を基準として容器の高さ方向に調合物の各材料名とその分量を明示させる明示線を印刷して調合ラベルを作成する印字装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る印字装置は、各材料が調合されて生成される調合物において各材料の分量を明示する明示線を印字した調合ラベルを作成する印字装置であって、予め複数の前記調合物の各材料と調合物の各材料の単位分量のデータを記憶する記憶手段と、前記調合物及び該調合物の総分量を設定入力する調合物設定入力手段と、容器の容積を算出する容器容積算出手段と、前記調合物設定入力手段により設定入力された前記調合物及び前記調合物の総分量による前記調合物の前記各材料の分量を算出する各材料分量算出手段と、前記容器に前記各材料を注入させるための各明示線の印刷位置を算出する明示線印刷位置算出手段と、前記明示線印刷位置算出手段で算出された位置に前記明示線を印字させるとともに、所定位置に前記調合物名及び該調合物の各材料名を印字させる印字手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容器の底部を基準として容器の高さ方向に調合物の各材料名とその分量を明示させる明示線を印刷して調合ラベルを作成する印字装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るテープ印字装置の平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るテープ印字装置の内部拡大図及びテープカセットの斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るテープ印字装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係るテープ印字装置の記憶手段に記憶される調合物の各材料と所定量調合物の各材料の分量の表である。
【図5】本発明の実施形態に係るテープ印字装置の記憶手段に記憶される調合物の各材料と各材料の調合比率の表である。
【図6】本発明の実施形態に係る調合物及び人数分を示す情報を設定するまでの流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る各明示線の印刷位置を抽出するまでの流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る調合物の材料と調合比率を明示した明示線付き印字物を作成するまでの流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係るテープ印字装置の各設定画面に関する説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係るテープ印字装置による明示線付き印字物の作成例と容器に貼付した明示線付き印字物の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の実施形態に係る印字装置であるテープ印字装置1の平面図であり、図2は、このテープ印字装置1に使用するテープカセット21の外観及びテープ印字装置1の内部構造の一部を示す斜視図である。テープ印字装置1は、表面に印刷面を備え裏面が粘着面とされた印刷テープ層と、粘着面に貼付される剥離テープ層と、が積層されて形成された印刷テープ31に文字や模様等を印刷する装置である。
【0012】
このテープ印字装置1は、図1に示すように、筐体2の上面にキーボード入力部3、表示部4及びカセット収容部8を塞ぐ開閉蓋5が形成されている。また、図示しないが、筐体2には、パーソナルコンピュータ等の外部機器やUSBメモリと接続するためのUSB端子等の入力端子、電源コードが接続される電源端子、SDカード等の記憶媒体が挿入される挿入口等も形成されている。
【0013】
キーボード入力部3は、文字データを入力する文字入力キー、印刷開始を指示する印刷キー、表示部4の表示画面上のカーソルを移動操作するカーソルキー、印刷モードの設定や各種設定処理を行なう種々の制御キーによって構成されている。また、表示部4は、液晶表示装置等であり、入力されたデータに関する画像、各種の設定のための選択メニュー、各種の処理に関するメッセージ等が表示される。なお、テープ印字装置1に、入力部及び表示部4の両機能を備えたタッチパネルを配置することもできる。
【0014】
そして、開閉蓋5の内側には、図2に示すように、印刷テープ31及びインクリボン35を収容したテープカセット21を装填するためのカセット収容部8が形成されている。また、カセット収容部8内には、テープ印刷機構45と、テープカセット21を所定の位置に支持するためのカセット受部15と、が形成されている。このテープ印刷機構45は、縦方向に配列された印刷素子と、印刷ヘッドとされるサーマルヘッド11と、サーマルヘッド11との間で印刷テープ31及びインクリボン35を挟み込んでこれを搬送するプラテンローラ12と、テープカセット21に係合して位置決めする位置合わせ軸20と、印刷に使用したインクリボン35をテープカセット21内に巻取るリボン巻取軸13と、を備える。
【0015】
また、カセット収容部8の一端部に筐体2の外に通じるテープ繰出部7が形成されており、このテープ繰出部7には、印刷テープ31の印刷テープ層及び剥離テープ層を幅方向にカットするフルカット手段としてのフルカット機構17と、印刷テープ31の印刷テープ層のみをカットするハーフカット手段としてのハーフカット機構18が組み込まれている。
【0016】
さらに、テープカセット21は、カセットケース22を備え、このカセットケース22の内部には、印刷テープ31が巻装されたテープコア23、未使用のインクリボン35が巻装されたリボン供給コア24、使用済みのインクリボン35を巻取るリボン巻取コア25が夫々収納されている。また、テープカセット21のカセットケース22には、カセット収容部8内にテープカセット21を装填した場合にサーマルヘッド11が位置するヘッド配置部27が形成されている。
【0017】
また、カセットケース22の隅部には、カセット収容部8のカセット受部15と係合し、このカセット受部15によって支持される被係合部29が形成されている。また、このカセットケース22の被係合部29には、図示しないがテープカセット21の種類に応じたカセット識別情報としての所定の凹凸が形成されており、カセット収容部8のカセット受部15には、テープカセット21が装填された場合にカセットケース22の被係合部29に形成された凹凸を判別するカセット種別検出手段である所定のテープ種別検出スイッチ16が形成されている。
【0018】
そして、テープ印字装置1は、カセットケース22がカセット収容部8に装填されると、カセットケース22の被係合部29とカセット収容部8のカセット受部15に形成されたテープ種別検出スイッチ16の幾つか或いは全部が係合し、係合したテープ種別検出スイッチ16が押下されて、このオン状態となったテープ種別検出スイッチ16の組み合わせによってテープカセット21のテープ幅等を判別できるようになっている。
【0019】
このテープ印字装置1は、印刷の指示がされると、印刷テープ31及びインクリボン35がテープカセット21から繰り出され、プラテンローラ12とサーマルヘッド11の間にこれらの印刷テープ31及びインクリボン35が重ね合わされた状態で挟み込まれて搬送される。
【0020】
そして、サーマルヘッド11が印刷データに基づいて発熱駆動され、インクリボン35のインクが印刷テープ31に熱転写されて印刷テープ31に印刷が行なわれ、印刷が終了すると設定によりフルカット機構17又はハーフカット機構18が作動して印刷テープ31が幅方向に切断され、1枚のテープ状の印字物が作成される。
【0021】
次に、テープ印字装置1の回路構成について述べる。このテープ印字装置1は、図3に示すように、制御部40を備える。そして、この制御部40には、記憶手段としてのROM41及びRAM42が接続されている。また、制御部40には、使用者のキー操作を受けて文字データ等を入力するキー入力手段としてのキーボード入力部3と、入力された情報などの種々の情報を表示する表示手段である表示部4と、が接続されている。
【0022】
さらに、制御部40には、サーマルヘッド11を駆動する印刷手段駆動回路51と、搬送モータ46を駆動する搬送手段駆動回路52と、カッターモータ48a、48bを駆動する切断手段駆動回路53と、が接続されている。そして、制御部40には、パーソナルコンピュータ等の外部機器やUSBメモリと接続するためのUSB端子等の入力端子やSDカード等の記録媒体とのインターフェース端子からなるI/0インターフェース部43が接続されている。
【0023】
制御部40はCPUであって、キーボード入力部3からのキー入力信号、又は、自動でROM41に予め記憶されているシステムプログラム、メモリカードに記憶された制御プログラム、外部機器から読み込まれた制御プログラムなどを起動させ、RAM42をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0024】
ROM41には、設定された文字列データ等を表示し印字するためのプログラムや印刷フォント、塗り潰しに使用される斜線や網目、ドット模様等が記憶され、制御部40で読み取り可能なプログラムが記憶された記録媒体としても機能する。
【0025】
RAM42には、入力された印刷情報が展開された印刷パターンデータが記憶される印字データメモリ領域や表示部4に表示させるパターンデータが記憶される表示データメモリ領域などが確保されており、印字処理などに必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタなども設けられている。
【0026】
印刷手段駆動回路51は、印刷情報や書式設定の情報に従って印字手段であるサーマルヘッド11を制御し、印刷テープ31に印刷を実行させる。搬送手段駆動回路52は、搬送手段を駆動させる回路であって、プラテンローラ12やリボン巻取軸13を回転させるステッピングモータ等の搬送モータ46を制御し、所定の速度で長手方向に印刷テープ31を搬送する。切断手段駆動回路53は、フルカット手段及びハーフカット手段等の切断手段を制御する駆動回路であり、フルカット機構17で使用されるカッターモータ48aとしてのステッピングモータやハーフカット機構18で使用されるカッターモータ48bとしてのDCモータ等を制御する。
【0027】
そして、テープ印字装置1は、制御部40が印刷手段駆動回路51、搬送手段駆動回路52及び切断手段駆動回路53等を制御することにより、文字列をテープ部材31に印字し、その印字部分を切断することでラベルを作成することができる。
【0028】
また、本発明において制御部40は、表示部4を制御して調合ラベル作成モードに遷移させるメニューを表示させ、ユーザにより調合ラベル作成モードに選択されてモードに遷移すると、ユーザに調合物及び調合物の何人分等を示す総分量を設定させるメニューを表示部4に表示させる調合物設定入力手段として機能する。
【0029】
また、制御部40は、表示部4を制御して明示線付き印字物を貼付する容器の容積を算出するためのメニューを表示させて、ユーザに容器の形状を示すパラメータを入力させて容器の容積を算出する容器容積算出手段として機能する。
【0030】
さらに、制御部40は、調合物設定入力手段として設定入力した調合物及び調合物の総分量による調合物の各材料の分量を算出する各材料分量算出手段として機能する。
【0031】
そして、制御部40は、各材料分量算出手段として、調合物の各材料の分量を算出し、容器に各材料を注入させるための各明示線の印刷位置を抽出する明示線印刷位置抽出手段として機能する。
【0032】
そして、本発明においてROM41は、予め複数の調合物の各材料と、単位分量として1人分の調合物の各材料の分量とを記憶する記憶手段でもある。例えば、ROM41には、料理の調合物として、図4の表に示すように料理として「うなぎ」、「天丼」、「かつ丼」及び「牛丼」等の丼たれや、「かけそば」、「冷やしそば」及び「ざるそば」等のそばつゆの1人分の調合物の各材料の単位分量が記憶されている。
【0033】
1人分のうなぎの丼たれであれば、材料Aとして「醤油40cc」、材料Bとして「みりん16cc」、材料Cとして「酒12cc」の3種類の材料の単位分量が記憶されている。また、1人分のかけそばのそばつゆであれば、材料Aとして「だし汁222cc」、材料Bとして「かえし28cc」の2種類の材料の一人分の調合物の単位分量が記憶されている。そして、各材料の単位分量は、単位分量の多い順に材料AからB、C、Dの順で記憶されている。
【0034】
また、ROM41には、予め複数の調合物の各材料と単位分量として1人分の調合物の各材料の単位分量と併せて調合比率も記憶されている。例えば、ROM41には、図5の表に示すようにうなぎの丼たれであれば、「醤油:みりん:酒=10:4:3」とする調合比率が記憶されている。
【0035】
そして、サーマルヘッド11は、制御部40に制御されて、明示線印刷位置抽出手段で抽出された位置に明示線を印字させるとともに、所定位置に調合物名及び各材料名を印字させる。
【0036】
なお、サーマルヘッド11は、制御部40に制御されて、各材料分量算出手段が算出した単位分量の倍数の数字や調合物が何人分かを示す総分量を印字物に印字するようにしても構わない。
【0037】
また、印字手段であるサーマルヘッド11は、制御部40に制御されて、所定位置に各材料の調合比率を印字するようにしても構わない。
【0038】
なお、予め複数の調合物の各材料と単位分量として1人分の調合物の各材料の単位分量や調合比率を記憶する記憶手段を、電気的にプログラム書き換え可能なフラッシュメモリ等のROM41とすることにより、調合物のレパートリーが将来増えた場合に、ファームアップ等により調合物のレパートリーを追加、変更等のためのデータ更新を行って対応可能とすることができる。
【0039】
また、上述したようなプログラムは、SDカード等のメモリカードやCD−ROM、DVD、或いは光磁気ディスク等の記録媒体に記録させて配布又は販売等を行っても良い。或いは、公衆網等で用いられる伝送媒体を介して、そのプログラムの一部、若しくは全部を配信するようにしても良い。そのようにした場合には、ユーザはプログラムを取得してテープ印字装置1のI/Oインターフェース部43を介してロードすることにより、そのテープ印字装置1に本発明を適用させることができる。したがって、記録媒体は、テープ印字装置1がアクセスできるものであれば良い。
【0040】
ここで、本発明のテープ印字装置1において調合物の材料と調合比率を明示した明示線付き印字物を作成する一連の流れについて図を用いて詳細に説明する。図6は、テープ印字装置1において調合物の材料と調合比率を明示した明示線付き印字物を作成するにあたって、調合物及び総分量として人数分を示す情報を設定するまでの流れを示すフローチャートである。図7は、容器の注入する各材料の高さを算出して指定された容器に各材料を注入させるための各明示線の印刷位置を抽出するまでの流れを示すフローチャートである。図8は、調合物の各材料の総分量を算出し、容器に注入する各材料の高さを算出した上で、調合物の材料と調合比率を明示した明示線付き印字物を作成するまでの流れを示すフローチャートである。また、図9は、テープ印字装置1において、ユーザ入力を行う各設定画面に関する説明図である。そして、図10は、テープ印字装置1による明示線付き印字物の作成例と指定された容器に貼付した明示線付き印字物の説明図である。
【0041】
ユーザによるラベル作成モード設定を指示する操作により、制御部40は、図9(a)に示す「通常印刷」又は「調合ラベル印刷」を選択可能なメニューを表示部4に表示させるラベル作成モード設定処理(ステップS10)を実行する。そして、制御部40は、ユーザ操作により「調合ラベル印刷」が選択されると調合ラベル印刷モード処理(ステップS15)を実行する。
【0042】
調合ラベル印刷モード処理(ステップS15)として、制御部40は、調合物設定入力手段として、ユーザに調合物を選択させるために、例えば、図9(b)に示すように「丼たれ」の中で「1.うな丼」、「2.天丼」、「3.かつ丼」、「4.牛丼」を選択可能なメニューを表示部4に表示させる調合物選択画面表示処理(ステップS20)を実行する。
【0043】
そして、制御部40は、ユーザ操作により何れの調合物が選択されたかを判断する選択調合物判断処理(ステップS25)を実行する。選択調合物判断処理(ステップS25)において「1.うな丼」が選択されると、制御部40は、選択された「1.うな丼」の調合物のデータをROM41から読み込みRAM42に展開するうな丼調合物データ読込み処理(ステップS30)を実行する。先述のとおりROM41には、予め「1.うな丼」の丼たれ(調合物)のデータとして、材料A「醤油40cc」、材料B「みりん16cc」、材料C「酒12cc」の3種類の材料の単位分量が記憶されている。
【0044】
また、選択調合物判断処理(ステップS25)において「2.天丼」が選択されると、制御部40は、選択された「2.天丼」の調合物のデータをROM41から読み込みRAM42に展開する天丼調合物データ読込み処理(ステップS35)を実行する。先述のとおりROM41には、予め「2.天丼」の丼たれ(調合物)のデータとして、材料A「みりん45cc」、材料B「醤油15cc」、材料C「だしの素3cc」の3種類の材料の単位分量が記憶されている。
【0045】
そして、選択調合物判断処理(ステップS25)において「3.かつ丼」が選択されると、制御部40は、選択された「3.かつ丼」の調合物のデータをROM41から読み込みRAM42に展開するかつ丼調合物データ読込み処理(ステップS40)を実行する。先述のとおりROM41には、予め「3.かつ丼」の丼たれ(調合物)のデータとして、材料A「醤油30cc」、材料B「みりん30cc」、材料C「だし又は水15cc」の3種類の材料の単位分量が記憶されている。
【0046】
なお、テープ印字装置1は、ユーザ操作により何れの調合物が選択されたか判断するにあたって、「丼たれ」、「そばつゆ」、「調味料」、「ドレッシング」等の複数の種別の中から選択可能なようにメニューを有する。したがって、制御部40は、選択調合物判断処理(ステップS25)において、上述の「1.うな丼」、「2.天丼」、「3.かつ丼」等に限定されず、その他の調合物が選択されれば、選択に応じた調合物のデータをROM41から読み込む処理を実行する。
【0047】
選択された調合物のデータを読みこむと、制御部40は、調合物設定入力手段として、ユーザに調合物の総分量を入力させるために、例えば、図9(c)に示すような「分量設定何人分?」と総分量を示す人数分を入力させるメニューを表示部4に表示させるセット数入力画面表示処理(ステップS45)を実行する。
【0048】
そして、制御部40は、ユーザ操作により人数分が入力されると、各材料分量算出手段として、調合物の各材料の分量を算出する材料分量算出処理(ステップS50)を実行する。
【0049】
例えば、ユーザ操作により「うな丼の丼たれ」5人分と設定されると、制御部40は、材料A「醤油40cc×5人分=200cc」、材料B「みりん16cc×5人分=80cc」、材料C「酒12cc×5人分=60cc」のように調合物の各材料の分量を算出する。
【0050】
調合物の各材料の分量を算出すると、図7に示すフローチャートのAに進む。制御部40は、ユーザに調合物を注入する容器の形状種別を選択させるように図9(d)に示すような「容器設定メニュー」を表示させる容器選択画面表示処理(ステップS55)を実行する。
【0051】
制御部40は、ユーザ操作により何れの容器形状が選択されたかを判断する容器形状判断処理(ステップS60)を実行する。容器形状判断処理(ステップS60)において「コップ(円柱形状)」が選択されると、制御部40は、選択された「コップ(円柱形状)」の容積を算出するために、容器容積算出手段として、ユーザに容器底部の内径(直径)を入力させるための図9(d)に示したメニューの「内径?」部分をハイライト表示させる画面表示処理(ステップS63)を実行する。
【0052】
また、容器形状判断処理(ステップS60)において「コップ(正四角柱形状)」が選択されると、制御部40は、選択された「コップ(正四角柱形状)」の容積を算出するために、容器容積算出手段として、ユーザに容器底部の一辺の長さを入力させるための「一辺の長さ?」等のメニューを表示させる画面表示処理(ステップS65)を実行する。
【0053】
さらに、容器形状判断処理(ステップS60)において「その他形状選択」が選択されると、制御部40は、「コップ(円錐、四角錐等)」を選択可能な入力画面を表示させる特殊容器形状選択処理(ステップS67)を実行する。そして、選択された形状に基づいて、容器の容積を算出するための形状を示すパラメータを入力させるための画面表示処理(ステップS69)を実行する。
【0054】
なお、容器の形状は円柱、正四角柱、円錐及び四角錐形状に限定されることなく、例えば、直線的な傾斜により上部が底部に比べて面積の大きい容器などでも構わず、この場合には、上部の面積及び底部の面積を算出可能なパラメータと高さを入力するメニューにより容器の容積を算出するようにすればよい。
【0055】
そして、制御部40は、既に算出された調合物の各材料の分量と容器の容積とから、明示線印刷位置抽出手段として容器底部から各材料を注入させるための各明示線の印刷位置を抽出する。制御部40は、先ず材料Aの指定容器におけるラベル長さを抽出する材料A長さ抽出処理(ステップS72)を実行する。
【0056】
例えば、うな丼の丼たれ5人分の場合であれば、制御部40は、先述のとおり材料A「醤油40cc×5人分=200cc」、材料B「みりん16cc×5人分=80cc」、材料C「酒12cc×5人分=60cc」のように調合物の各材料の分量を算出する。そして、制御部40は指定された容器が図10(b)に示すような円柱形状で内径6cmであれば、底部の面積は約28平方cmと算出する。
【0057】
したがって、この場合、材料Aの醤油は、分量が200ccであるから、この容器に注入される高さが200/28≒7.1(cm)である。
【0058】
このようにして、材料Aの指定容器におけるラベル長さを抽出すると、制御部40は、次に材料Bの指定容器におけるラベル長さを抽出する材料B長さ抽出処理(ステップS75)を実行する。材料Bのみりんは、分量が80ccであるから、この容器に注入される高さが80/28≒2.8(cm)である。
【0059】
制御部40は、材料B長さ抽出処理(ステップS75)が完了すると、指定された調合物における使用材料が材料A、材料B以外にあるか否かを判断する材料確認判断(ステップS77)を実行する。
【0060】
制御部40は、RAM42に展開した「1.うな丼」の丼たれ(調合物)のデータの材料A「醤油40cc」、材料B「みりん16cc」、材料C「酒12cc」の3種類の材料のデータから「1.うな丼」の丼たれには幾種類の材料を有するかを判断することができる。
【0061】
制御部40は、材料確認判断(ステップS77)において、材料Cがあると判断すると、材料Cの指定容器におけるラベル長さを抽出する長さ抽出処理(ステップS79)を実行する。材料Cの酒は、分量が60ccであるから、この容器に注入される高さが60/28≒2.1(cm)である。
【0062】
長さ抽出処理(ステップS79)を完了すると、使用材料が他にあるかを確認する材料確認判断(ステップS77)を行う。材料確認判断(ステップS77)において、他に使用材料がないと判断すると、図8に示すフローチャートのBに進む。
【0063】
制御部40は、ユーザにより調合ラベルの印刷開始を示す印刷キーが押下されたか否かを判定する印刷開始判定処理(ステップS80)を実行する。印刷開始判定処理(ステップS80)は、印刷キーが押下されるまでの待機処理である。
【0064】
印刷開始判定処理(ステップS80)において、印刷キーが押下されたと判断すると、制御部40は、所定位置にタイトルを印字するために印刷テープ31を所定量送るヘッダ処理(ステップS82)を実行する。
【0065】
次に、制御部40は、作成するラベルのタイトルとして例えば、「うな丼の丼たれ」又は「たれ」等を印字するタイトル印字処理(ステップS84)を実行する。
【0066】
そして、制御部40はタイトルの次に、材料Aの上限線の明示線として両端矢印線を印刷する材料A上限線印刷処理(ステップS86)を実行するとともに、材料Aの上限線印刷位置を基点とする材料Aテープ送り管理処理を開始する。この材料Aテープ送り管理処理は、先述のとおり材料Aの醤油を容器に注入する高さを7.1(cm)とするために、テープ送りを管理する処理である。
【0067】
制御部40は、材料A上限線印刷処理(ステップS86)を完了すると、材料Aテープ送り管理処理を行いながらテープ送りを実行し、所定量テープを送ると材料Aの材料名である「醤油」を印刷する材料名印刷処理(ステップS88)を実行する。
【0068】
制御部40は、材料名印刷処理(ステップS88)が完了し、材料Aテープ送り管理処理によるテープ送り量が、材料Aの醤油を容器に注入するための高さ7.1(cm)に達すると、その達した位置を材料Bの上限線として両端矢印線を印刷する材料B上限線印刷処理(ステップS90)を実行するとともに、材料Bの上限線印刷位置を基点とする材料Bテープ送り管理処理を開始する。
【0069】
制御部40は、材料B上限線印刷処理(ステップS90)を完了すると、材料Bテープ送り管理処理を行いながらテープ送りを実行し、所定量テープを送ると材料Bの材料名である「みりん」を印刷する材料名印刷処理(ステップS92)を実行する。
【0070】
制御部40は、材料名印刷処理(ステップS92)が完了すると、図7に示す材料確認判断(ステップS77)同様に、指定された調合物における使用材料が材料A、材料B以外にあるか否かを確認する材料確認判断(ステップS94)を実行する。
【0071】
制御部40は、RAM42に展開された「1.うな丼」の丼たれ(調合物)のデータから何れの材料を有するかを判断する。
【0072】
したがって、制御部40は、材料確認判断(ステップS94)により、材料C「酒12cc」を検出すると、材料Bテープ送り管理処理を行いながらテープ送りを実行する。制御部40は、材料Aテープ送り管理処理によるテープ送り量が、材料Bのみりんを容器に注入するための高さ2.8(cm)に達すると、その達した位置を材料Cの上限線として両端矢印線を印刷する材料C上限線印刷処理(ステップS97)を実行するとともに、材料Cの上限線印刷位置を基点とする材料Cテープ送り管理処理を開始する。
【0073】
また、制御部40は、材料確認判断(ステップS94)により、使用する材料がないと判断すれば、最終テープ送り完了処理(ステップS95)を実行する。
【0074】
制御部40は、材料C上限線印刷処理(ステップS97)を完了すると、材料Cテープ送り管理処理を行いながらテープ送りを実行し、所定量テープを送ると材料Cの材料名である「酒」を印刷する材料名印刷処理(ステップS99)を実行する。材料名印刷処理(ステップS99)が完了すると、材料確認判断(ステップS94)に戻って、制御部40は、指定された調合物における使用材料がその他にあるか否かを判断する。
【0075】
制御部40は、材料確認判断(ステップS94)により、材料A、材料B、材料Cと印字し、その他に使用する材料がないと判断すれば、最終テープ送り完了処理(ステップS95)を実行する。
【0076】
制御部40は、事前の材料Cテープ送り管理処理によるテープ送りを実行し、テープ送り量が、材料Cの酒を容器に注入するための高さ2.1(cm)に達すると、その達した位置を印刷テープ31のカット位置とする最終テープ送り完了処理(ステップS95)を実行し、図10(a)に示すようなうな丼の丼たれ用の調合ラベルを作成し、処理を終了する。
【0077】
作成した調合ラベルは、指定した容器の内部底部から上方に向けて垂直に貼付させることにより、ユーザは、図10(b)に示したようにうな丼の丼たれを調合するときに明示線に合せて、酒、みりん、醤油のように分量の少ない順に注入して調合すれば適正な丼たれを作ることができる。
【0078】
なお、調合ラベルには、所定位置に各材料名を印字させるとともに、調合物の総分量、各材料の単位分量の倍数の数値、又は調合比率等を印字させるようにしても構わず、上述の調合物名印刷処理や材料名印刷処理の中で総分量、各材料の単位分量の倍数の数値又は調合比率等を印字させればよい。
【0079】
そして、調合ラベルは、料理用途として、丼つゆやそばつゆだけでなく、ドレッシングや調味料用に作成することができる。
【0080】
さらに、調合ラベルは、料理用途に限定されず、例えば、園芸用途として鉢植えを容器とする土、肥料等の配合や、建築用途としてドラム缶を容器とするペンキ、セメント等の配合にも応用可能である。さらに、調合ラベルは、利用範囲として、薬品、塗料等の配合にも応用可能である。即ち、液体や粉体などの素材、基材料から、目的の混合物や調合物を得るための案内用テープを作成する調合ラベルの作成に対応可能である。
【0081】
以上のように、本発明の実施形態によれば、容器の底部を基準として容器の高さ方向に調合物の各材料名とその分量を明示させる明示線を印刷して調合ラベルを作成する印字装置を提供することができる。
【0082】
また、本発明の実施形態によれば、印字手段が各材料分量算出手段が算出した単位分量の倍数の数字や前記調合物の前記総分量を印字するようにすれば、調合物の各材料の必要数を明確にすることができる。
【0083】
さらに、本発明の実施形態によれば、印字手段が所定位置に各材料の調合比率を印字するようにすれば、調合物の各材料の調合比率を明確にすることができる。
【0084】
そして、本発明の実施形態によれば、記憶手段を電気的に書き換え可能なROM41とすることにより、調合物のレパートリーが将来的に増えた場合に、ファームアップ等により調合物のレパートリー追加、変更等のためのデータ更新を行って対応可能とすることができる。
【0085】
さらに、本発明の実施形態によれば、上述したようなプログラムは、SDカード等のメモリカードやCD−ROM、DVD、或いは光磁気ディスク等の記録媒体に記録させて配布したり、或いは、公衆網等で用いられる伝送媒体を介して、そのプログラムの一部、若しくは全部を配信するようにしても良く、これにより、レパートリーとして追加された調合物のラベルを簡単に作成することができる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0087】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]各材料が調合されて生成される調合物において各材料の分量を明示する明示線を印字した調合ラベルを作成する印字装置であって、
予め複数の前記調合物の各材料と調合物の各材料の単位分量のデータを記憶する記憶手段と、
前記調合物及び該調合物の総分量を設定入力する調合物設定入力手段と、
容器の容積を算出する容器容積算出手段と、
前記調合物設定入力手段により設定入力された前記調合物及び前記調合物の総分量による前記調合物の前記各材料の分量を算出する各材料分量算出手段と、
前記容器に前記各材料を注入させるための各明示線の印刷位置を算出する明示線印刷位置算出手段と、
前記明示線印刷位置算出手段で算出された位置に前記明示線を印字させるとともに、所定位置に前記調合物名及び該調合物の各材料名を印字させる印字手段と、
を備えることを特徴とする印字装置。
[2]前記印字手段は、前記各材料分量算出手段が算出した単位分量の倍数の数字や前記調合物の前記総分量を印字させることを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
[3]前記印字手段が、各材料名の近傍に調合比率を印字させることを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
[4]前記記憶手段が、フラッシュメモリであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の印字装置。
[5]予め複数の前記調合物の各材料と調合物の各材料の単位分量のデータを記憶するSDカード等のメモリカードやCD−ROM、DVD、或いは光磁気ディスク等の記録媒体とアクセス可能とするI/Oインターフェース部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の印字装置。
【符号の説明】
【0088】
1 テープ印字装置 2 筐体
3 キーボード入力部 4 表示部
5 開閉蓋 7 テープ繰出部
8 カセット収容部 11 サーマルヘッド
12 プラテンローラ 13 リボン巻取軸
15 カセット受部 16 テープ種別検出スイッチ
17 フルカット機構 18 ハーフカット機構
20 位置合わせ軸
21 テープカセット 22 カセットケース
23 テープコア 24 リボン供給コア
25 リボン巻取コア 27 ヘッド配置部
29 被係合部 31 印刷テープ
35 インクリボン 40 制御部
41 ROM 42 RAM
43 I/Oインターフェース部 45 テープ印字機構
46 搬送モータ 48a、48b カッターモータ
51 印刷手段駆動回路 52 搬送手段駆動回路
53 切断手段駆動回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
各材料が調合されて生成される調合物において各材料の分量を明示する明示線を印字した調合ラベルを作成する印字装置であって、
予め複数の前記調合物の各材料と調合物の各材料の単位分量のデータを記憶する記憶手段と、
前記調合物及び該調合物の総分量を設定入力する調合物設定入力手段と、
容器の容積を算出する容器容積算出手段と、
前記調合物設定入力手段により設定入力された前記調合物及び前記調合物の総分量による前記調合物の前記各材料の分量を算出する各材料分量算出手段と、
前記容器に前記各材料を注入させるための各明示線の印刷位置を算出する明示線印刷位置算出手段と、
前記明示線印刷位置算出手段で算出された位置に前記明示線を印字させるとともに、所定位置に前記調合物名及び該調合物の各材料名を印字させる印字手段と、
を備えることを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記印字手段は、前記各材料分量算出手段が算出した単位分量の倍数の数字や前記調合物の前記総分量を印字させることを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記印字手段が、各材料名の近傍に調合比率を印字させることを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項4】
前記記憶手段が、フラッシュメモリであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の印字装置。
【請求項5】
予め複数の前記調合物の各材料と調合物の各材料の単位分量のデータを記憶するSDカード等のメモリカードやCD−ROM、DVD、或いは光磁気ディスク等の記録媒体とアクセス可能とするI/Oインターフェース部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の印字装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−166358(P2012−166358A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26807(P2011−26807)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】