説明

印影画像処理システム

【課題】印影の公開領域401と非公開領域402を定めるマスク画像データ107aを、機械的な処理により適切に設定できる印鑑検索システム1を提供する。
【解決手段】印鑑検索システム1を、印影画像データ106bの一部を隠蔽するマスク画像データ107aを前記印影画像データ106bに応じて調整するステップS11,S12,S16と、調整したマスク画像データ107aが前記印影画像データ106bに適切か否か評価するステップS13,S17と、該評価により適切であると評価したマスク領域を採用するステップS20とを実行する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば印影を含む帳票から印影画像を読み取って印鑑登録する印鑑登録装置に用いられるような印影画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関は、預金引き出し等の取引業務の際に、本人確認手段として印鑑照合を用いている。このため、口座開設時に印鑑の登録を行っている。
【0003】
従来、登録された印鑑がどれであるかを利用者が識別できるように、通帳に印鑑欄を設けて登録印鑑を押捺している場合が多かった。しかし、通帳が盗難にあった際に印影が偽造される問題があり、通帳の印鑑欄を廃止する方向に向かいつつある。
【0004】
通帳の印鑑欄を廃止した場合、利用者が複数所有する印鑑のうちどれを用いて登録したのかを知らせるために、印影を画面表示もしくは紙に印刷して渡す等して、該利用者に印鑑その場で識別してもらう必要がある。この場合も、通帳に印鑑欄を設けた場合と同様に偽造等される問題に対処することが必要である。このため、画面表示及び紙に印刷する公開領域と非公開領域を分離するためのマスク処理を施す方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−109545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記従来技術は、公開領域と非公開領域を分割する方法について言及されていない。この公開領域は、全ての印影に対して適切に設定されないと、必要以上の情報を公開してしまうこととなり、偽造防止等の本来の目的に合致しないといった問題がある。
【0007】
また一方で、この公開領域を人手によって適切に設定しようとすると、負荷が集中し、登録業務に支障をきたすおそれがある。
【0008】
この発明は、上述した問題に鑑み、印影の公開領域と非公開領域を定めるマスク領域を適切に設定できる印影画像処理システムを提供し、利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、印鑑の印影画像を取得する入力部と、前記印影画像を記憶する記憶部と、前記印影画像の一部をマスク領域として隠蔽した状態のマスク処理印影画像を出力する出力部とを備えた印影画像処理システムであって、前記マスク領域を前記印影画像に応じて調整するマスク領域調整部と、調整したマスク領域が前記印影画像に適切か否か評価するマスク領域評価部と、該マスク領域評価部により適切であると評価したマスク領域を採用するマスク領域決定部とを備えた印影画像処理システムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明により、印影の公開領域と非公開領域を定めるマスク領域を適切に設定することができ、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】印鑑検索システムの構成を示すブロック図。
【図2】マスクパターンの一例を説明する説明図。
【図3】印影画像データ及びマスク画像データの登録処理のフローチャート。
【図4】マスクパターン選択処理の詳細な動作を示すフローチャート。
【図5】マスク画像データの選択を説明する説明図。
【図6】公開領域の評価(突合処理)を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例】
【0013】
先ず、本実施形態に係るシステムの概略構成について図1に基づき説明する。この図1は、印影画像処理システムとしての印鑑検索システム1の構成を示すブロック図である。
印鑑検索システム1は、主に登録用PC102と、表示用PC108と、記憶部としての印影データベース106と、マスクデータベース107とが通信可能に接続されて構成されている。
【0014】
登録用PC102は、表示部103とスキャナ104を有しており、LAN105に接続されている。この登録用PC102は、入力部として機能するスキャナ104により、印影を含む帳票101を読み取る。このスキャナ104は、印影を含む帳票101を画像データとして取り込む光学読取部である。
【0015】
登録用PC102は、帳票101から印影イメージデータを読み取る読取処理を行い、読み取った印影イメージデータを印影画像データ106aとして印影データベース106に登録する。詳述すると、この読取処理の際、登録用PC102は、スキャナ104で取り込んだ画像データを2値化する2値化処理部として機能し、さらに、この2値化した画像データから印影領域を抽出する印影領域抽出部としても機能する。また、印影データベース106に印影画像データ106aを登録する際、口座情報や氏名情報などの帳票データもあわせて登録する。
【0016】
LAN105には、印影データベース106とマスクデータベース107が接続されている。この印影データベース106とマスクデータベース107は、異なるサーバに別々に設けられる構成として図示しているが、1つのサーバに両方設けられる構成としてもよい。
【0017】
印影データベース106は、印影画像データ106aを、帳票101から読み取る氏名データや口座番号データなどの帳票データと共に記憶している。
マスクデータベース107は、マスク画像データ107aを、印影データベース106と関連付けられる口座番号データなどの識別データとともに記憶している。
【0018】
表示用PC108は、オペレータ用表示部109と、出力部としてのエンドユーザ用表示部110およびプリンタ111とを有している。
登録された印影画像データ106aを利用する場合、表示用PC108は、印影画像データ106a及びマスク画像データ107aを用いて、印影画像データ106aをマスク処理したマスク処理印影画像110aをエンドユーザ用表示部110に表示することや、プリンタ111からマスク処理したマスク処理印影画像112aを印刷した印影帳票112を出力することを実行する。
【0019】
マスク処理では、マスクデータベース107に印影画像データ106a毎に登録されているマスク画像データ107aを参照し、このマスク画像データ107aで印影画像データ106aをマスクして、公開領域と非公開領域に分けて公開領域のみ表示または印刷可能とする。
なお、マスク処理を行う表示用PC108は、マスク画像データ107aを適用して出力するマスク適用部として機能する。
【0020】
図2は、マスクパターンの一例を説明する説明図であり、主な印鑑の外形サイズを示す印鑑外形400を用いて、マスクパターンの変更も含めて表の(A)〜(D)により説明している。
本例のマスクパターンは、表の(A)に示すように、印鑑外形400の中心を通る半径線となる基準境界線407(第1ガイドライン)と移動境界線408(第2ガイドライン)とにより、公開領域401と非公開領域402(マスク領域)に分割して構成されている。公開領域401は、印影画像データ106aのうち公開領域401に該当する箇所を画面に表示したり印刷できるようにするものである。本例では公開領域401と非公開領域402を示すために、図示扇形の角度α°を公開角度403とし、水平線を基準とした傾きβ°を基準角度404としている。このαとβを調整すること、すなわち基準境界線407と移動境界線408を、表の(B)〜(D)に示すように変動させることで、マスクパターン(非公開領域402)を変更することができる。
【0021】
図3は、登録用PC102の制御部が印影画像データ106a及びマスク画像データ107aを登録する登録処理のフローチャートである。
登録用PC102の制御部は、スキャナ104から帳票101を読み込む帳票読込み処理を行い(ステップS1)、読み込んだ帳票101の画像から、印影部や口座番号、氏名、住所等の記載領域の切り出しを行う(ステップS2)。
【0022】
登録用PC102の制御部は、切り出した氏名領域に対して氏名読取りを実施する(ステップS3)。氏名読取りにより当該帳票101の印鑑の持ち主の氏名を読み取り、この氏名をキーとし、印鑑データベースにその氏名が登録されていれば(ステップS4:Yes)、その登録されている印影画像データ106aを抽出する。なお、氏名が読み取れなかった場合、口座番号等で印影データベース106から同等の情報が得ることもできる場合も、同様の処理とする。
【0023】
次に、登録用PC102の制御部は、ステップS2の領域切り出しの処理によって切り出された印影部の印影画像データ106b(図5参照)との突合せ処理時に適切なマスクパターンを選択する処理を行う(ステップS5)。
【0024】
その結果選択されたマスクパターンを、登録用PC102の制御部は、マスク画像データ107aとしてマスクデータベース107に登録する(ステップS7)。
【0025】
前記ステップS4の際、比較する印影がない印影画像データ106bについては、初期マスクパターン設定処理として、通常は基本となる半円のマスクパターン(例えば、公開角度403が180°、基準角度404が90°)を設定し(ステップS6)、登録する(ステップS7)。
【0026】
図4は、マスクパターン選択処理の詳細な動作を示すフローチャートである。
登録用PC102の制御部は、基準境界線407の変更を行う(ステップS11)。この基準境界線407の変更は、印影の中心を回転軸として時計周りまたは反時計回りの一方向へ所定角度ずつ変更するとよい。最初の時点では、図2(A)に示したように、この変更処理によって基準角度404が90°となるように、すなわち基準角度404が印鑑外形400の中心からまっすぐ上方に位置するようにするとよい。
【0027】
登録用PC102の制御部は、移動境界線408の変更を行う(ステップS12)。この移動境界線408の変更は、図2(B)に示したように、印影の中心を回転軸として公開角度403を狭める方向へ所定角度ずつ変更するとよい。最初の時点では、この変更処理によって公開角度403が180°となるように、すなわち公開角度403が印鑑外形400の中心からまっすぐ下方に位置するようにするとよい(図2(A)参照)。
【0028】
登録用PC102の制御部は、変更後の公開角度403が適切か否か評価する(ステップS13)。この評価は、ステップS3で読み取っていた氏名をもとに、印影データベース106から同姓の印影画像データ106aを抽出し、この抽出した印影画像データ106aと処理対象の印影画像データ106b(図5参照)とを比較して公開領域401での差が所定値以上であれば適切と評価する突合処理により行う。抽出した同姓の印影画像データ106aが複数ある場合には、これら抽出した各印影画像データ106aと処理対象の印影画像データ106bとの公開領域401での差を個別評価し、個別評価した結果の平均値が所定値以上であれば適切と評価する。抽出した同姓の印影画像データ106aが多すぎる場合には、ランダムで所定個数(例えば10個)に絞り込んで処理する。
【0029】
評価結果がOKであれば(ステップS14:Yes)、登録用PC102の制御部は、ステップS12へ処理を戻し、公開角度403を狭める方向へ移動境界線408を変更して再評価する。これを繰り返すことにより、公開領域401を必要最小限の狭い領域にしようとしている。
【0030】
評価結果がNGであれば(ステップS14:No)、登録用PC102の制御部は、ステップS11とS12の変更がいずれも一回目か否か判定する(ステップS15)。
【0031】
一回目であれば(ステップS15:Yes)、公開領域401を狭める前に評価NGとなったのであるから、登録用PC102の制御部は、図2(C)に示したように公開角度403を広げる方向に移動境界線408を変更する(ステップS16)。
【0032】
登録用PC102の制御部は、ステップS13と同じ公開領域401の評価を行い(ステップS17)、評価NGであれば(ステップS18:No)、ステップS16へ処理を戻し、公開角度403を広げる方向へ移動境界線408を変更して再評価する。この繰り返しにより、公開領域401を必要最小限の範囲で適切な広さまで広げようとしている。
【0033】
評価OKであれば(ステップS18:Yes)、登録用PC102の制御部は、予め定められた全ての範囲での評価が終了したか否か判定し、終了するまで(ステップS19:No)、ステップS11に処理を戻し、図2(D)に示したように基準境界線407を予め定めた所定角度だけ変更してこれまでの処理を繰り返す。
【0034】
これにより、基準境界線407を予め定めた所定角度ずつ変更して評価を行い、全ての角度あるいは予め定められた範囲の角度で評価を行うことができる。なお、基準境界線407の角度を変更した際、移動境界線408の角度を定める公開角度403は図2(D)に示したように180°として開始する。
【0035】
このステップS19までの一連の処理により、その処理の基準境界線407での最適な公開領域401(公開角度403および基準角度404によって定められる領域)が定まる。すなわち、処理中の基準角度404に対して、ステップS14でNGとなった1つ手前の公開角度403か、あるいはステップS18でYESとなったときの公開角度403(ステップS14でYesが1度も無い場合に採用される)が、他の印影と比較可能でかつ公開面積が少ない公開角度403となる。
【0036】
予め定められた全ての範囲での評価が終了すれば(ステップS19:Yes)、登録用PC102の制御部は、最終評価を行う(ステップS20)。この最終評価は、処理を実行した全ての基準角度404について、それぞれの最適な公開角度403のときの公開領域401を比較し、公開領域401が最も少ない基準角度404とその公開角度403を最適であるとして評価する。この最終評価を行う登録用PC102の制御部は、マスク領域決定部として機能する。
【0037】
登録用PC102の制御部は、最適であるとして定めた基準角度404と公開角度403で定められる非公開領域402を、マスク画像データ107aとしてマスクデータベース107に登録し(ステップS21)、処理を終了する。
【0038】
なお、上述したステップS11,S12,S16を実行する登録用PC102の制御部は、マスク領域調整部として機能する。また、ステップS13,S17,S20を実行する登録用PC102の制御部は、マスク領域評価部として機能する。
【0039】
図5は、以上の動作を行う印鑑検索システム1によるマスク画像データ107aの選択を説明する説明図である。
この説明図に示すように、スキャナ104(図1参照)で読み取った帳票101から、予め定義情報302に登録された位置情報を用いて、氏名情報101a及び印影101bの領域抽出を行う。
【0040】
氏名画像303は、氏名情報101aを記載したエリアを抽出した画像であり、これを文字列認識することで、少なくとも氏を含む文字列305(氏情報)を得ることができる。例えば“日立太郎”であった場合、印影データベース106から口座に登録されている氏名のうち氏の“日立”に該当する印影画像データ106aを抽出することができる。これは単数に限らず、複数存在すれば複数抽出することができる。
【0041】
一方、印影画像データ106bは、帳票101から印影101bを記載したエリアを抽出した印影イメージデータである。この印影画像データ106bと前述の印影画像データ106aとマスク画像データ107aを突合処理部309で突合処理し、この結果として適切なマスク画像データ107aを選択した上で、マスクデータベース107に登録し、マスク画像ナンバー107bを取得する。
【0042】
このようにして今回抽出した印影画像データ106bを、登録用PC102の制御部は、口座番号等の情報とマスク画像ナンバー107bとともに印影データベース106に登録する。
【0043】
図6は、公開領域401の評価(突合処理)を説明する説明図である。
登録帳票101から切り出した印影画像データ106bと、印影データベース106から比較対象として抽出した印影画像データ106aを重ね合わせした処理結果である重ね合わせ画像503に対し、非公開領域402を重ね合わせたときに得られるイメージデータが公開領域重ね合わせ画像505である。公開領域重ね合わせ画像505の表示エリアについて、登録用PC102の制御部は、印影画像データ106bと印影画像データ106aの画素の重なり度を評価結果値として求める。マスクパターンの調整値である公開角度403と基準角度404を用いて作成した別の非公開領域402についても同様に評価結果値を求め、パラメータとして与えられた基準値以上を満たすもののうち、最も表示エリアが小さい非公開領域402を最適なマスク画像データ107aとして選定する。なお、表示エリアの最小は、例えばα=45°といったように公開角度403を所定角度以上とするように設定することもできる。
【0044】
以上に説明した構成および動作により、印影の公開領域401と非公開領域402を定めるマスク領域(非公開領域402)を印影毎に適切に設定することができる。
【0045】
これにより、印影毎に最適なマスク画像データ107aを自動的に設定することができるため、印影画像データ106b全体のうち必要な印影部分のみを利用者に提供することができ、かつセキュリティを保持することができる。また、マスク画像データ107aの登録者の負荷をさげることができる。
【0046】
登録された印影の公開領域401/非公開領域402を決定するマスク画像データ107aを、印影画像データ106bに応じて適切に自動設定することができ、適切な公開領域401を決定してセキュリティレベルを高めることができる。
【0047】
また、このようにセキュリティレベルを高めた状態で、登録された印鑑がどれであるかを利用者が識別できるように登録印の印影画像データ106bをエンドユーザ用表示部110に表示する、またはプリンタ111により紙に印刷することができる。
【0048】
公開領域401は、移動境界線408を変更しつつ適切さを評価し、さらに基準境界線407も変更して適切さを評価するため、必要最小限の小さな領域で、かつ他の同一氏名の印影との違いを目視で認識し得る適切な広さの領域にすることができる。つまり、最小限の公開領域401で、利用者は多数所有する自己の印鑑のうちどの印鑑で登録したのかを認識することができる。
【0049】
移動境界線408の変更や基準境界線407を自動的に実行して評価する構成であるため、短時間で多種類の公開領域401の候補を作成でき、そこから最適な公開領域401を定めてマスク画像データ107aを決定することができる。
【0050】
また、移動境界線408と基準境界線407をそれぞれ回転させて定めるため、より印影画像データ106aの氏(または氏名)に合ったマスク画像データ107aを定めることができる。
【0051】
また、移動境界線408の変更を、公開角度403が180°の状態から狭める方向へ変更して評価し、狭められなければ広げる方向へ変更して評価するため、効率よく短時間に最も狭い公開角度403を定めることができる。
【0052】
また、印影画像データ106a,106bは、利用者の氏あるいは氏名を表していることを利用し、帳票101に表記されている氏名を読み取った氏名画像303から文字列305を作成し、それによって氏あるいは氏名を認識する構成であるから、印影登録時の印影文字の入力負担を軽減することができる。すなわち、適切な公開領域401となるマスク画像データ107aを求めるために、登録対象である印影画像データ106aと同じ文字が刻印されている既登録の印影画像データ106bを抽出することが必要になるが、このための文字を氏名画像303から自動抽出することができる。
【0053】
また、公開角度403が所定角度以上であることを公開領域401の下限とすることで、コンピュータが違いを認識できても人間が違いを認識できないほどに公開領域401が小さな領域となることを防止することができる。
【0054】
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0055】
例えば、上述した実施例では、印影の登録時に公開領域401を定めてマスク画像データ107aを登録する構成としたが、これに限らず、印影を出力(画面表示や印刷)して利用者に提示する毎に公開領域401を定める構成にしてもよい。この場合、出力する都度に公開領域401を設定すればよいため、マスクデータベース107を省略することができる。
【0056】
また、基準境界線407と移動境界線408を変更して公開領域401および非公開領域402を調整する構成としたが、これに限らず、他の方法で公開領域401および非公開領域402を調整する構成としてもよい。例えば、公開領域401の面積や位置が異なる複数種類のマスク画像データ107aを予め準備しておき、この複数のマスク画像データ107aについて適切か否か順番に評価し、適切と評価できるもので最も面積が小さいマスク画像データ107aを採用する構成とすることができる。この場合でも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。
【0057】
また、例えば、図2に示したマスク画像データ107aは、公開角度403と基準角度404のパラメータにより決定されるパターンとしたが、ガウスフィルターのようなボカシ処理のマスクパターンだけとする、またはこれらの組合せのマスクパターンも利用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
この発明は、印影を利用して認証する様々なシステムについて、印影を必要最小限の範囲で利用者に見せる場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1…印鑑検索システム、101b…印影、102…登録用PC、106…印影データベース、106a,106b…印影画像データ、108…表示用PC、110…エンドユーザ用表示部、110a,112a…マスク処理印影画像、111…プリンタ、305…文字列、407…基準境界線、408…移動境界線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印鑑の印影画像を取得する入力部と、
前記印影画像を記憶する記憶部と、
前記印影画像の一部をマスク領域として隠蔽した状態のマスク処理印影画像を出力する出力部とを備えた印影画像処理システムであって、
前記マスク領域を前記印影画像に応じて調整するマスク領域調整部と、
調整したマスク領域が前記印影画像に適切か否か評価するマスク領域評価部と、
該マスク領域評価部により適切であると評価したマスク領域を採用するマスク領域決定部とを備えた
印影画像処理システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記印影画像を氏情報と共に記憶する構成であり、
前記マスク領域評価部は、
前記出力部での出力対象である前記印影画像と氏情報が一致する他の印影画像を前記記憶部から抽出し、
該抽出した他の印影画像と出力対象の前記印影画像とを、両画像の前記マスク領域がマスクされた状態で比較して、所定値以上の差があれば適切であると評価する構成である
請求項1記載の印影画像処理システム。
【請求項3】
前記マスク領域は、
前記印影画像の中心と外周とを結ぶ2つのガイドラインの間の領域であり、
前記マスク領域調整部は、前記中心を回転軸として前記ガイドラインを回転させることで前記マスク領域を調整する構成である
請求項1または2記載の印影画像処理システム。
【請求項4】
前記2つのガイドラインは、第1ガイドラインと第2ガイドラインで構成され、
前記マスク領域調整部は、前記第1ガイドラインと前記第2ガイドラインをそれぞれ別個に回動させて調整する構成である
請求項3記載の印影画像処理システム。
【請求項5】
前記マスク領域調整部は、
前記マスク領域を狭める方向へ前記ガイドラインを回動させ、
該回動が不適切であれば、該ガイドラインを逆方向となる広げる方向へ回動させる構成である
請求項4記載の印影画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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