説明

印画紙管理システム、印画紙登録装置、印画紙登録方法、印画紙登録プログラム、印画紙判別装置、印画紙判別方法及び印画紙判別プログラム

【課題】
本発明は、印画紙の正当性を確実に判別できるようにする。
【解決手段】
紙幣管理システム1は、紙幣登録装置3により紙幣BLの紙幣番号NSを認識すると共に認証用紋様パターンPCを抽出し、紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDB上に当該紙幣番号NSに対応付けて当該認証用紋様パターンPCを登録しておき、紙幣判別装置4により判別対象紙幣BLDの紙幣番号NSを認識すると共に比較用紋様パターンPMを抽出し、さらに紙幣情報データベースDBから認証用紋様パターンPC及び盗難有無情報TFを取得した上で、比較用紋様パターンPMと認証用紋様パターンPCとを照合することにより、その照合結果に応じて判別対象紙幣BLDが盗難紙幣であるか否かを確実且つ容易に判別することができ、また盗難有無情報TFに応じて判別対象紙幣BLDが盗難紙幣であるか否かを確実に判別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印画紙管理システム、印画紙登録装置、印画紙登録方法、印画紙登録プログラム、印画紙判別装置、印画紙判別方法及び印画紙判別プログラムに関し、例えば紙幣を管理する紙幣管理システムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣は紙に所定の印画内容が印画された印画紙でなるため、印画技術を利用することにより正当な紙幣を不正に複製した偽造紙幣が製造される可能性があり、実際にこのような偽造紙幣が流通して社会問題となることがあった。
【0003】
特に近年の印画技術の発達に伴い、本物の紙幣と極めて似通った、精巧な偽造紙幣が製造されることがある。この場合、真偽の判別が困難となり、偽造紙幣が正当な紙幣と間違えて使われてしまうこともあった。
【0004】
一方、紙幣には一枚毎に一意に識別し得る紙幣番号が印字されており、例えばこの紙幣番号を用いて紙幣を管理する紙幣管理システムが提案されている。この紙幣管理システムでは、偽造紙幣や盗難された盗難紙幣等の紙幣番号を予め登録しておき、店舗や銀行等で紙幣が流通する毎にこの紙幣番号を読み取り、予め登録された紙幣番号と照合することにより、店舗や銀行等で紙幣が使われた時点で偽造紙幣や盗難紙幣を容易に判別し得るようになされている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−303367公報(第5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる構成の紙幣管理システムでは、登録された紙幣番号と一致した紙幣しか判別することができない。
【0006】
すなわち紙幣管理システムでは、登録済の偽造紙幣から紙幣番号だけ変更された新たな偽造紙幣や盗難された直後の盗難紙幣のように紙幣番号がまだ登録されていない偽造紙幣や盗難紙幣等を判別できない、すなわち紙幣の正当性を判別できないことがあるという問題があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、印画紙の正当性を確実に判別し得る印画紙管理システム、印画紙登録装置、印画紙登録方法、印画紙登録プログラム、印画紙判別装置、印画紙判別方法及び印画紙判別プログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の印画紙管理システムにおいては、一意の管理番号が付された正当印画紙の特徴を表す特徴情報を抽出して所定の管理装置に登録する登録装置と、判別対象印画紙が正当印画紙であるか否かを判別する判別装置とを有する印画紙管理システムであって、登録装置は、正当印画紙に付された管理番号を認識する管理番号認識手段と、正当印画紙が有する紋様に対応した認証用紋様情報を特徴情報として取得する紋様情報取得手段と、管理番号に対応付けて認証用紋様情報を管理装置に登録する登録手段とを具え、判別装置は、判別対象印画紙に付された判別対象管理番号を認識する判別対象管理番号認識手段と、判別対象印画紙が有する紋様に対応した比較用紋様情報を取得する比較用紋様情報取得手段と、管理装置から判別対象管理番号に対応付けられた認証用紋様情報を取得する認証用紋様情報取得手段と、比較用紋様情報と認証用紋様情報とを照合することにより判別対象印画紙が正当印画紙そのものであるか否かを判別する判別手段とを設けるようにした。
【0009】
印画紙判別装置は、判別対象印画紙から認識した判別対象管理番号を基に、予め印画紙登録装置により正当印画紙から抽出され管理装置に登録された認証用紋様情報を取得し、判別対象印画紙から抽出した比較用紋様情報と当該認証用紋様情報とを照合することにより、判別対象印画紙が正当印画紙そのものであるか否かを確実に判別することができる。
【0010】
また本発明においては、一意の管理番号が付された判別対象印画紙から判別対象管理番号を認識し、判別対象印画紙が有する紋様に対応した比較用紋様情報を取得し、正当印画紙が有する紋様に対応した認証用紋様情報が予め管理番号に対応付けられて登録された所定の管理装置から、判別対象管理番号に対応付けられた認証用紋様情報を取得し、比較用紋様情報と認証用紋様情報とを照合することにより判別対象印画紙が正当印画紙そのものであるか否かを判別するようにした。
【0011】
印画紙判別装置は、判別対象印画紙から認識した判別対象管理番号を基に、予め印画紙登録装置により正当印画紙から抽出され管理装置に登録された認証用紋様情報を取得し、判別対象印画紙から抽出した比較用紋様情報と当該認証用紋様情報とを照合することにより、判別対象印画紙が正当印画紙そのものであるか否かを確実に判別することができる。
【0012】
さらに本発明においては、一意の管理番号が付された正当印画紙から当該管理番号を認識し、所定の印画紙判別装置において判別対象印画紙が有する紋様に対応した比較用紋様情報と照合するために、正当印画紙が有する紋様に対応した認証用紋様情報を取得し、印画紙判別装置において判別対象印画紙が正当印画紙そのものであるか否かを判別する際に、当該判別対象印画紙から認識した判別対象管理番号に対応付けて認証用紋様情報を所定の管理装置から取得して比較用紋様情報と照合できるよう、認証用紋様情報を管理番号に対応付けて当該管理装置に登録するようにした。
【0013】
印画紙判別装置は、判別対象印画紙から認識した判別対象管理番号を基に、予め印画紙登録装置により正当印画紙から抽出され管理装置に登録された認証用紋様情報を取得し、判別対象印画紙から抽出した比較用紋様情報と当該認証用紋様情報とを照合することにより、判別対象印画紙が正当印画紙そのものであるか否かを確実に判別することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、印画紙判別装置が、判別対象印画紙から認識した判別対象管理番号を基に、予め印画紙登録装置により正当印画紙から抽出され管理装置に登録された認証用紋様情報を取得し、判別対象印画紙から抽出した比較用紋様情報と当該認証用紋様情報とを照合することにより、判別対象印画紙が正当印画紙そのものであるか否かを確実に判別することができ、かくして印画紙の正当性を確実に判別し得る印画紙判別装置、印画紙登録装置及び印画紙管理システムを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0016】
(1)紙幣管理システムの全体構成
図1において、紙幣管理システム1は、紙幣情報管理装置2、紙幣登録装置3及び紙幣判別装置4がインターネット5を介して接続された構成を有しており、紙幣BLに付された一意の紙幣番号と当該紙幣BLの特徴情報(詳しくは後述する)を基に当該紙幣BLが不正複製された偽造紙幣であるか否かを判別すると共に、当該紙幣番号を基に当該紙幣BLが盗難された盗難紙幣であるか否かを判別し得るようになされている。
【0017】
印画紙登録装置としての紙幣登録装置3は、例えば正当な紙幣BLを製造する紙幣印刷所や製造された紙幣BLを新たに流通させる金融機関等に設置されるようになされており、当該紙幣BLを流通させる前に紙幣BLの特徴情報を抽出すると共に紙幣番号を読み取り、当該特徴情報と紙幣番号とを対応付けてインターネット5を介して紙幣情報管理装置2へ送出する。
【0018】
管理装置としての紙幣情報管理装置2は、紙幣登録装置3から供給された紙幣BLの特徴情報と紙幣番号とを対応付けて紙幣情報データベースDBに登録する。また紙幣情報管理装置2は、紙幣判別装置4から要求があった際には、当該紙幣BLの紙幣番号に対応した特徴情報を当該紙幣判別装置4へ送出するようになされている。
【0019】
印画紙判別装置としての紙幣判別装置4は、一般の店舗や自動販売機内等に設置されるようになされており、例えば顧客が支払った紙幣BLについて、紙幣登録装置3と同様に紙幣BLの特徴情報を抽出すると共に紙幣番号を読み取り、当該紙幣番号を紙幣情報管理装置2へ送出することにより、当該紙幣番号に対応付けられた登録済の特徴情報を取得する。ここで紙幣判別装置4は、新たに抽出した特徴情報と登録済の特徴情報とを照合することにより、当該紙幣BLが偽造紙幣であるか否かを判別する(以下、このように判別対象とする紙幣を判別対象紙幣BLDと呼ぶ)。
【0020】
また紙幣情報管理装置2は、紙幣BLの紙幣番号と対応付けて当該紙幣BLが盗難されたか否かを示す盗難有無情報を紙幣情報データベースDBに登録しておくようになされており、紙幣判別装置4から判別対象紙幣BLDの紙幣番号が送出された際に、紙幣情報データベースDBから当該紙幣番号に対応した盗難有無情報を読み出し、登録済の特徴情報に加えて当該盗難有無情報を当該紙幣判別装置4へ送出する。紙幣判別装置4は、盗難有無情報の内容に応じて判別対象紙幣BLDが盗難紙幣であるか否かを判別する。
【0021】
ちなみに印画紙管理システムとしての紙幣管理システム1においては、実際には紙幣登録装置3が複数の金融機関等に多数設置され、また紙幣判別装置4が各店舗や自動販売機内等に多数設置されて、各装置がインターネット5を介して紙幣情報管理装置2と接続されるようになされているが、説明の都合上、図1において紙幣登録装置3及び紙幣判別装置4をそれぞれ1台のみ示している。
【0022】
(2)本発明の原理
(2−1)紙幣の特徴情報
ところで、図2に示すように、紙幣を含めた紙は一般に繊維の複雑な絡み合いにより構成された固有の模様(以下、これを紋様と呼ぶ)を表面ではなく内部に有しており、この紋様は、光にかざすと視認できることからも分かるように、例えば透過型スキャナ等により画像(以下、これを紋様画像と呼ぶ)として得ることができる。
【0023】
一方この紋様は、紙が製造される際に繊維がランダムに絡み合うことにより構成されるため、紙一枚毎に固有なパターンとなり、またこの紋様のパターンを人為的に作成することは技術的に困難であり、実質的に不可能と考えられる。
【0024】
そこで本実施の形態による紙幣管理システム1においては、この紋様画像に含まれる紋様のパターン(以下、これを紋様パターンと呼ぶ)を抽出し、当該紋様パターンを紙幣の特徴情報として用い当該紙幣が不正に複製されたものであるか否かを判別する。
【0025】
例えば図3(A)に示すように、紙幣管理システム1は、紙幣登録装置3により正当な紙幣BLの紋様画像のうち予め指定された領域(以下、これを指定領域ARと呼ぶ)に有する紋様パターンを紙幣BLの特徴情報として抽出する。
【0026】
また紙幣管理システム1は、紙幣登録装置3により紙幣BLに紙幣番号NSが印画された紙幣番号領域ASを読み取り、所定の文字認識処理により文字としての紙幣番号NSを認識する。
【0027】
そして紙幣管理システム1は、紙幣登録装置3により抽出した紋様パターン(以下、これを認証用紋様パターンPCと呼ぶ)を紙幣番号NSと対応付けて紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDBに登録する。
【0028】
一方、紙幣管理システム1は、図3(B)に示すように、例えば店舗において商品の購入者が紙幣BL(すなわち判別対象紙幣BLD)を支払った場合、紙幣判別装置4により当該判別対象紙幣BLDの紙幣番号領域ASを読み取り紙幣番号NSを認識すると共に、認証用紋様パターンPCとの比較情報として当該判別対象紙幣BLDの指定領域ARに有する紋様パターン(以下、これを比較用紋様パターンPMと呼ぶ)を抽出する。
【0029】
そして紙幣判別装置4は、紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDBから判別対象紙幣BLDの紙幣番号NSに対応した認証用紋様パターンPCを取得し、当該認証用紋様パターンPCと比較用紋様パターンPMとを照合するようにして判別対象紙幣BLDの正当性(不正に複製された偽造紙幣であるか否か)を検証する。
【0030】
ここで紙幣判別装置4は、この照合結果として所定の合致率よりも高い合致率が得られた場合には、判別対象紙幣BLDが正当な紙幣BLであると判断し、このことを図示しない会計装置等へ通知することにより所定の会計処理等を行わせる。
【0031】
これに対して紙幣判別装置4は、所定の合致率よりも低い合致率が得られた場合には、判別対象紙幣BLDが正当な紙幣ではなく不正に複製された偽造紙幣であると判別し、警察等の関係各所へ通知する。
【0032】
従ってこの紙幣管理システム1では、仮に紙幣BLが不正に複製された偽造紙幣であった場合、図4に示すように、紙幣番号等の印画内容は複製できるものの、指定領域ARに有する紋様パターンが偽造紙幣に複製されることは無いため、予め紙幣番号NSに対応付けられて紙幣情報データベースDBに登録されている認証用紋様パターンPCと当該偽造紙幣の比較用紋様パターンPMとが一致せず、紙幣判別装置4において当該紙幣BLが偽造紙幣であることを確実に判別することができる。
【0033】
このように紙幣管理システム1においては、紋様パターン(認証用紋様パターンPC又は比較用紋様パターンPM)に基づいて、判別対象紙幣BLDの正当性(紙幣番号NSに対応する紋様パターンの合致率)を検証することにより、偽造紙幣であるか否かを確実に判別するようになされている。
【0034】
(2−2)紙幣認証装置による紙幣の管理
また紙幣管理システム1では、図5(A)に示すように、紙幣判別装置4により判別対象紙幣BLDが正当な紙幣であることが検証された場合に、当該判別対象紙幣BLDの紙幣番号NSと対応付けて当該紙幣判別装置4に固有の判別装置番号NDを紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDBに登録するようになされている。
【0035】
すなわち当該紙幣情報データベースDBでは、紙幣番号NSに対応付けて紙幣判別装置4の判別装置番号NDを随時更新することにより、当該紙幣番号NSの紙幣BLを正当に保有する店舗または自動販売機等の情報を間接的に管理することになる。
【0036】
このため紙幣管理システム1では、仮に紙幣判別装置4が設置された店舗等から紙幣BLが盗難された場合、紙幣情報データベースDB内で当該紙幣判別装置4の判別装置番号NDが対応付けて登録されている紙幣番号NSを抽出することにより、盗難された紙幣BLの紙幣番号NSを特定することができる。
【0037】
さらに紙幣管理システム1では、紙幣BLが盗難された場合、紙幣情報データベースDB上で、盗難された紙幣BLの紙幣番号に対応した盗難有無情報TFを「YES」に登録することにより、当該紙幣BLが盗難紙幣であることを表すようになされている。
【0038】
これにより紙幣管理システム1では、図5(B)に示すように、盗難された紙幣BLが他の店舗等で使用された場合、当該他の店舗に設置された紙幣判別装置4において当該紙幣BLの正当性を検証する際に、紙幣情報データベースDBから取得した当該紙幣BLの盗難有無情報TFが「YES」であることに基づき、当該紙幣BLが盗難紙幣であることを確実に判別することができる。
【0039】
ちなみに紙幣管理システム1では、判別対象紙幣BLDが盗難紙幣ではなかった場合、このことを図示しない会計装置等へ通知することにより所定の会計処理等を行わせ、一方当該判別対象紙幣BLDが盗難紙幣であった場合、上述した偽造紙幣であった場合と同様に、警察等の関係各所へ通知する。
【0040】
このようにして紙幣管理システム1においては、紙幣BLが正当な紙幣であることを最後に検証した紙幣判別装置4の判別装置番号NDを紙幣番号NSに対応付けて登録しておくことにより、当該紙幣BLが盗難等にあった際に、当該判別装置番号NDを基に盗難された紙幣BLの紙幣番号NSを容易に特定することができる。
【0041】
また紙幣管理システム1では、盗難された紙幣BLの紙幣番号NSに対応付けて盗難有無情報TFを「YES」に設定しておくことにより、盗難された紙幣BLが他の紙幣判別装置4で正当性を検証された際に、当該盗難された紙幣BLが盗難紙幣であることを確実に判別することができる。
【0042】
(3)紙幣登録装置
(3−1)紙幣登録装置の構成
図6において、紙幣登録装置3は、当該紙幣登録装置3の制御を司る制御部10に対してバス11を介してスキャナ部12、記憶部13及び通信処理部14が接続された構成を有している。
【0043】
制御部10は、各種演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有しており、当該ROM又は記憶部13から各種プログラムを読み出し当該RAMに展開することにより、各種処理を実行するようになされている。
【0044】
記憶部13には、OS(Operating System)や紙幣登録プログラム等の各種プログラムに加え、紙幣BL(図1)における紙幣番号領域AS及び指定領域ARの位置を表す位置情報LCや、紙幣登録装置3に固有の登録装置番号NR等が記憶されており、制御部10からの要求に応じて当該登録装置番号NR及び当該位置情報LC等を当該制御部10へ送出するようになされている。
【0045】
実際上紙幣登録装置3は、紙幣BLがスキャナ部12の読取台にセットされると、図示しないセンサによりこのことを検出し、これに応じて制御部10から紋様画像読取コマンド及び紙幣番号画像読取コマンドをスキャナ部12へ送出する。
【0046】
スキャナ部12は、透過モード及び反射モードを有しており、制御部10から紋様画像読取コマンドが与えられた場合には透過モード、また紙幣番号画像読取コマンドが与えられた場合には反射モードをそれぞれ実行し、紋様画像又は紙幣番号画像を読み取るようになされている。
【0047】
実際上スキャナ部12は、透過モード時には、読取台にセットされた紙幣BLに対して光を照射し、当該紙幣BLを透過し光学系を介することにより得られる紋様投影光を固体撮像素子に結像する。そしてスキャナ部4は、この固体撮像素子から得られる紋様画像信号に対してA/D(Analog/Digital)変換処理等を施し、この結果得られた紋様画像データD1を制御部10へ送出する。
【0048】
またスキャナ部12は、反射モード時には、読取台にセットされた紙幣BLに対して光を照射し、当該紙幣BLを反射し光学系を介することにより得られる印画内容反射光を固体撮像素子に結像する。そしてスキャナ部12は、この固体撮像素子から得られる印画内容画像信号に対してA/D変換処理等を施し、この結果得られた印画内容画像データD2を制御部10へ送出する。
【0049】
制御部10は、これらコマンドの応答結果として、スキャナ部12から紙幣BLの紋様画像データD1及び印画内容画像データD2を取得する。
【0050】
続いて制御部10は、紋様画像データD1から認証用紋様パターンPCを抽出し、また印画内容画像データD2を基に紙幣番号NSを認識し、この認証用紋様パターンPC及び紙幣番号NSを暗号化することにより暗号化データD3を生成し、これを通信処理部14へ送出する。
【0051】
通信処理部14は、制御部10から与えられた暗号化データD3及び当該暗号化データD3の送信先として指定された紙幣情報管理装置2のアドレス等を基に所定のパケット化処理等を施し、生成されたパケットをインターネット5へ送出する。これに応じてインターネット5は、パケットに設定されたアドレス等を基に、当該パケットを紙幣情報管理装置2へ送出する。
【0052】
これに応じて紙幣情報管理装置2は、暗号化データD3を復号化することにより得た認証用紋様パターン及び紙幣番号NSを紙幣情報データベースDBに登録するようになされている。
【0053】
(3−2)紙幣登録装置の制御部の構成
次に制御部10における処理を説明する。制御部10におけるソフトウェア処理を機能的に分類すると、図7に示すように、紋様画像から低域周波数成分の紋様画像(以下、これを低域紋様画像と呼ぶ)を抽出する低域周波数成分抽出部21と、当該低域紋様画像を高輝度成分の画像(以下、これを白成分紋様画像と呼ぶ)及び低輝度成分の画像(以下、これを黒成分紋様画像と呼ぶ)に分離する画像分離部22と、当該白成分紋様画像及び黒成分紋様画像に有する紋様を複数の領域に区割りする領域区割部23と、当該各領域それぞれの特徴量を算出するようにして紋様パターンを抽出する紋様パターン抽出部24と、印画内容画像から紙幣番号NSを認識する番号認識部25と、当該紋様パターン(各特長量)及び紙幣番号NSを紙幣情報データベースDBに登録する紙幣情報登録部26とに分けることができる。
【0054】
この場合、制御部10は、スキャナ部12から与えられる紋様画像データD1に対して紋様処理部20の低域周波数成分抽出部21、画像分離部22、領域区割部23及び紋様パターン抽出部24を順次介して各種処理を施すことにより認証用紋様パターンPCを生成し、また当該スキャナ部12から与えられる印画内容画像データD2に対する番号認識部25における番号認識処理により紙幣番号NSを取得し、当該認証用紋様パターンPC及び紙幣番号NSに対して紙幣情報登録部26により暗号化処理を施し、この結果得られる暗号化データD3を通信処理部14へ送出する。
【0055】
以下、低域周波数成分抽出部21による低域周波数成分抽出処理、画像分離部22による画像分離処理、領域区割部23による領域区割処理、紋様パターン抽出部24による紋様パターン抽出処理、番号認識部25による番号認識処理及び紙幣情報登録部26による登録処理を詳細に説明する。
【0056】
(3−2−1)低域周波数成分抽出処理
紋様処理部20の低域周波数成分抽出部21は、例えば図8に示すように、紙幣BLの紋様画像から指定領域ARの紋様画像(以下、これを領域紋様画像と呼ぶ)IM1(図8(A))を取得し、この領域紋様画像IM1から低域成分紋様画像IM2(図8(B))を抽出する。
【0057】
具体的に低域周波数成分抽出部21は、記憶部13(図6)に記憶された位置情報LCに基づいて、スキャナ部12から与えられる紋様画像データD1から領域紋様画像IM1のデータを取得し、当該取得した領域紋様画像IM1のデータに対してフーリエ変換処理を施すことにより周波数成分のデータを生成する。
【0058】
そして低域周波数成分抽出部21は、この周波数成分のデータに対して、所定閾値以上の高周波成分のデータ値を「0」とした後に逆フーリエ変換処理を施すことにより低域成分紋様画像IM2のデータ(以下、これを低域紋様画像データと呼ぶ)D11を生成し、これを画像分離部22に送出するようになされている。
【0059】
このようにして低域周波数成分抽出部21は、低域成分紋様画像IM2を抽出することにより、例えばスキャナ部12での固体撮像素子のノイズ等、一般に画像の高周波成分に含まれる各種ノイズ成分を除去することができるようになされている。
【0060】
この結果、低域周波数成分抽出部21は、各種ノイズ成分に起因して紋様パターン抽出部24における紋様パターン(特徴量)の抽出精度が低下することを回避させることができる。
【0061】
(3−2−2)画像分離処理
紋様処理部20の画像分離部22は、例えば図9に示すように、低域周波数成分抽出部21において抽出された低域成分紋様画像IM2(図9(A))を、白成分紋様画像WIM(図9(B))と、黒成分紋様画像BIM(図9(C))とに分離する。
【0062】
具体的に画像分離部22は、低域周波数成分抽出部21から供給される低域紋様画像データD11の低域成分紋様画像IM2の輝度値を画素ごとに順次検出し、当該検出結果が所定の高輝度閾値(以下、これを白閾値と呼ぶ)以上の輝度値でなる全ての画素(以下、これを白画素と呼ぶ)を最も高い輝度レベルに変換して白成分紋様画像WIM(図9(B))を抽出した後、この白成分紋様画像WIMをデータ(以下、これを白成分紋様画像データと呼ぶ)D12として領域区割部23へ送出する。
【0063】
また画像分離部22は、低域成分紋様画像IM2における各画素の輝度値の検出結果が所定の低輝度閾値(以下、これを黒閾値と呼ぶ)以下の輝度値でなる全ての画素(以下、これを黒画素と呼ぶ)を最も低い輝度レベルに変換して黒成分紋様画像BIM(図9(C))を抽出し、この黒成分紋様画像BIMをデータ(以下、これを黒成分紋様画像データと呼ぶ)D13として領域区割部23へ送出する。
【0064】
このようにして画像分離部22は、白成分紋様画像WIM(図9(B))と、黒成分紋様画像BIM(図9(C))とに分離することにより、紋様の複雑さの程度を低減できるようになされている。
【0065】
この結果、画像分離部22は、複雑さの程度が大きいことに起因して紋様パターン抽出部24における紋様パターン(特徴量)の抽出精度が低下することを回避させることができる。
【0066】
かかる構成に加えてこの画像分離部22は、低域成分紋様画像IM2(図9(A))に対する白成分紋様画像WIM(図9(B))及び黒成分紋様画像BIM(図9(C))の面積比がそれぞれ例えば20[%]となるように白閾値及び黒閾値を調整するようになされている。
【0067】
具体的に画像分離部22は、低域成分紋様画像IM2における輝度値を画素ごとに順次検出して白成分紋様画像WIM(図9(B))及び黒成分紋様画像BIM(図9(C))を抽出したとき、当該検出結果に基づいて、図10に示すように、低域成分紋様画像IM2における画素ごとの輝度値の分布を輝度ヒストグラムとして生成する。
【0068】
そして画像分離部22は、この輝度ヒストグラムに基づいて、このとき抽出した白成分紋様画像WIM(黒成分紋様画像BIM)における白画素(黒画素)の画素数が、低域成分紋様画像IM2(図9(A))における全画素の20[%](図10における斜線部分)となっているか否かを判断する。
【0069】
ここで画像分離部22は、この判断結果として白画素(黒画素)の画素数が全画素の20[%]となっていなかった場合には白閾値(黒閾値)を変動し、当該変動した白閾値(黒閾値)に基づいて白成分紋様画像WIM(黒成分紋様画像BIM)を再度抽出する。
【0070】
このようにして画像分離部22は、白画素及び黒画素の画素数がそれぞれ低域成分紋様画像IM2(図9(A))における全画素の20[%]となるように白成分紋様画像WIM及び黒成分紋様画像BIMを抽出し、これらをそれぞれ白成分紋様画像データD12及び黒成分紋様画像データD13として領域区割部23へ送出するようになされている。
【0071】
これにより画像分離部22は、低域成分紋様画像IM2(図9(A))の全画素数に基づいて相対的に白成分紋様画像WIM(図9(B))及び黒成分紋様画像BIM(図9(C))を分離することができるため、例えば経年変化等により印画紙(低域成分紋様画像IM2)の色調が変化した場合であっても、当該色調の変化分を除去することができる。
【0072】
この結果、この画像分離部22は、かかる色調の変化に起因して紋様パターン抽出部24における紋様パターン(特徴量)の抽出精度が低下することを回避させることができる。
【0073】
(3−2−3)領域区割処理
紋様処理部20の領域区割部23は、図9に示したように、白成分紋様画像WIM(図9(B))に有する紋様を、隣接する白画素の集合を単位とする領域(以下、これを白ダマと呼ぶ)に区割りすると共に、黒成分紋様画像BIM(図9(C))に有する紋様を、隣接する黒画素の集合を単位とする領域(以下、これを黒ダマと呼ぶ)に区割りする。
【0074】
具体的に領域区割部23は、画像分離部22から供給される白成分紋様画像データD12の白成分紋様画像WIM(図9(B))から全ての白画素を検出した後、任意の注目画素APに隣接する上下左右方向及び斜め方向の計8画素(以下、これを8近傍画素と呼ぶ)の白画素を順次連結して白画素群とし、各白画素群に識別情報を対応付けて白ダマWD1、WD2……、及びWDnを形成する。
【0075】
また領域区割部23は、画像分離部22から供給される黒成分紋様画像データD13の黒成分紋様画像BIM(図9(C))についても白成分紋様画像WIM(図9(B))と同様にして複数の黒ダマBD(BD1〜BDn)を形成するようになされている。
【0076】
このようにして領域区割部23は、白成分紋様画像WIM(図9(B))に有する紋様を複数の白ダマWD(WD1〜WDn)に区割りすると共に、黒成分紋様画像BIM(図9(C))に有する紋様を複数の黒ダマBD(BD1〜BDn)に区割りすることにより、当該紋様を細分化することができるようになされている。
【0077】
この結果、領域区割部23は、白成分紋様画像WIM(図9(B))及び黒成分紋様画像BIM(図9(C))に有する紋様を細かく分析することができるようになるため、紋様パターン抽出部24における紋様パターン(特徴量)の抽出精度を向上させることができる。
【0078】
かかる構成に加えて領域区割部23は、白成分紋様画像WIM(図9(B))に有する紋様を複数の白ダマWD(WD1〜WDn)に区割りした後、当該各白ダマWDから予め規定された連結数以下となる小さいダマ(以下、これを小ダマと呼ぶ)を除去するようになされており、当該除去した結果得られた白ダマWD(WD1〜WDn)をデータ(以下、これを白ダマデータと呼ぶ)D14として紋様パターン抽出部24に送出する。
【0079】
また領域区割部23は、黒ダマBD(BD1〜BDn)についても白ダマWD(WD1〜WDn)と同様にして小ダマを除去し、当該除去した結果得られた黒ダマBD(BD1〜BDn)をデータ(以下、これを黒ダマデータと呼ぶ)D15として紋様パターン抽出部24に送出するようになされている。
【0080】
これにより領域区割部23は、白成分紋様画像WIM(図9(B))及び黒成分紋様画像BIM(図9(C))に有する細かい紋様の影響を排除して当該紋様の特徴部分のみを白ダマWD及び黒ダマBDとして抽出することができるため、紋様パターン抽出部24での紋様パターン(特徴量)の抽出精度をより向上させることができる。
【0081】
(3−2−4)紋様パターン抽出処理
紋様処理部20の紋様パターン抽出部24は、各白ダマWD(WD1〜WDn)及び各黒ダマBD(BD1〜BDn)における形状の特徴量をそれぞれ算出するようにして、紋様パターンを抽出する。
【0082】
この場合、紋様パターン抽出部24においては、白ダマWD及び黒ダマBDそれぞれの形状が複雑であるためその特徴量をそのまま算出するには困難となることから、当該白ダマWD及び黒ダマBDそれぞれを矩形に近似させる。すなわち紋様パターン抽出部14は、図11に示すように、1つ1つのダマ(白ダマWD又は黒ダマBD)における中心座標(xc,yc)、長辺l、短辺w及び長辺lと軸とのなす角度θ(以下、これを矩形情報値と呼ぶ)を特徴量として算出するようになされている。
【0083】
また紋様パターン抽出部24は、領域区割部23から供給される黒ダマデータD15の黒ダマBD(BD1〜BDn)についても白ダマWD(WD1〜WDn)と同様に、当該黒ダマBDごとの特徴量(矩形情報値)をそれぞれ算出するようになされている。
【0084】
かくして算出された白ダマWD(WD1〜WDn)及び黒ダマBD(BD1〜BDn)それぞれの特徴量(以下、これを紋様特徴量と呼ぶ)は、領域紋様画像IM1(図8(A))に有する紋様の特徴的な形状を表した値であるため、当該領域紋様画像IM1に含まれている紋様パターンの抽出結果そのものを意味することとなる。
【0085】
そして紋様パターン抽出部24は、かかる紋様特徴量を所定の符号化方式に従って符号化することにより認証用紋様パターンPC(図7)を生成し、これを紙幣情報登録部26へ送出するようになされている。
【0086】
このように紋様パターン抽出部24は、各白ダマWD及び各黒ダマBDのそれぞれの矩形情報値からなる紋様特徴量を算出するようにして、指定領域AR(図1)に有する紋様パターン(認証用紋様パターン)を抽出できるようになされている。
【0087】
ちなみに1つの白ダマ又は黒ダマBDにおける矩形情報値(中心座標(xc,yc)、長辺l、短辺w及び角度θ)が取り得るデータ範囲として、図12(A)に示すデータ範囲を想定した場合、当該1つの白ダマ又は黒ダマBDにおける矩形情報値のデータサイズは、実験結果よりおよそ9[byte](72[bit])となった。
【0088】
そして、上述の低域周波数成分抽出処理、画像分離処理、領域区割処理及び紋様パターン抽出処理により冗長なデータが削減された結果得られた紋様特徴量(各白ダマWD及び各黒ダマBDそれぞれの矩形情報値)のデータサイズは、図12(B)に示す実験結果からも明らかなように、平均で435[byte]、最大で504[byte]となった。
【0089】
このように紋様処理部20では、紋様画像データD1を基に、低域成分紋様画像IM2を抽出し、これを白成分紋様画像WIMと黒成分紋様画像BIMとに分離し、それぞれを白ダマWD(WD1〜WDn)及び黒ダマBD(BD1〜BDn)に区割りし、さらに白ダマWD及び黒ダマBDのそれぞれを矩形に近似させたときの矩形情報値を紋様特徴量として算出し、これを符号化することにより認証用紋様パターンPCを生成するようになされている。
【0090】
(3−2−5)番号認識処理
番号認識部25は、紙幣BLの印画内容画像から紙幣番号文字列SL(図1)の領域の画像(以下、これを紙幣番号画像と呼ぶ)を取得し、当該紙幣番号画像から紙幣番号NSを認識する。
【0091】
具体的に番号認識部25は、記憶部13(図6)に記憶された位置情報LCに基づいて、スキャナ部12から与えられる印画内容画像データD2から紙幣番号画像を取得し、当該紙幣番号画像に対して所定の文字認識処理を施すことにより、文字列でなる紙幣番号NSを認識し、これを紙幣情報登録部26へ送出するようになされている。
【0092】
(3−2−6)紙幣情報登録処理
紙幣情報登録部26は、番号認識部25から与えられた紙幣番号NS、紋様パターン抽出部24から与えられた認証用紋様パターンPC及び記憶部13から読み出した登録装置番号NRを基に、所定の暗号化処理を施すことにより暗号化データD3を生成し、これを紙幣情報管理装置2へ送出する。
【0093】
具体的に紙幣情報登録部26は、予め通信処理部14を介して紙幣情報管理装置2と通信し、このとき当該紙幣情報管理装置2から時刻により異なる値が設定される時変キーKTを取得しておく。
【0094】
ちなみに紙幣管理システム1では、紙幣情報管理装置2において正当な紙幣登録装置3のみに対して時変キーKTが発行されるようになされている。このため盗難された不正な紙幣登録装置3等からは、当該時変キーKTを取得することができず、紙幣BLの認証用紋様パターンPCを不正に登録できないようになされている。
【0095】
紙幣情報登録部26は、紙幣番号NS、認証用紋様パターンPC及び登録装置番号NRを1つのデータに合成し、当該合成したデータに対して時変キーKTを用いて所定の暗号化処理を施すことにより暗号化データD3を生成し、これを通信処理部14へ送出する。
【0096】
その後暗号化データD3は、通信処理部14からインターネット5を介して紙幣情報管理装置2へ送出される。このとき紙幣情報管理装置2は、取得した暗号化データD3を時変キーKTにより正しく復号化できた場合、当該暗号化データD3として取得した認証用紋様パターンPC等が正当なものであると認識し、当該認証用紋様パターンPC等を紙幣情報データベースDBに登録するようになされている。
【0097】
このように紙幣情報登録部26は、時変キーKTを用いて紙幣番号NS、認証用紋様パターンPC及び登録装置番号NRに対して暗号化処理を施して暗号化データD3を生成することにより、当該紙幣番号NS、認証用紋様パターンPC及び登録装置番号NRを不正に改変されることなく確実に紙幣情報管理装置2へ受け渡し登録させるようになされている。
【0098】
(4)紙幣管理装置
図13において、紙幣情報管理装置2は、当該紙幣情報管理装置2の制御を司る制御部30に対してバス31を介して記憶部32及び通信処理部33が接続された構成を有している。
【0099】
制御部30は、各種演算処理を実行するCPU、基本プログラム等が格納されたROM及びRAM等を有しており、当該ROMから読み出し当該RAMに展開した各種プログラムに従って各種処理を実行するようになされている。
【0100】
記憶部32は、実際上ハードディスクドライブで構成されており、OS、時変キー生成プログラム及び紙幣情報データベース更新プログラム等の各種プログラムが格納され、さらに紙幣BL(図1)に関する各種情報を格納した紙幣情報データベースDBが格納されている。
【0101】
図14に示すように、紙幣情報データベースDBは、紙幣番号NSをキーデータとして、紙幣登録装置3から送出された認証用紋様パターン、当該紙幣登録装置3の登録装置番号、当該紙幣番号NSの紙幣BLを正しく照合した最後の紙幣判別装置4の認証装置番号及びその日時、さらに盗難の有無を表す盗難有無情報TFが登録されるようになされている。
【0102】
この盗難有無情報TFは、通常は盗難されていないことを示す「NO」が設定されるようになされているが、盗難された場合、盗難されたことを示す「YES」が設定されるようになされている。
【0103】
通信処理部33は、所定のパケット化処理及びパケット分解処理等を行うようになされており、制御部30から供給された各種データをパケット化して当該制御部30から指示された宛先へ向けて送出し、またインターネット5(図1)を介して取得したパケットからデータを取り出して制御部30へ供給する。
【0104】
また制御部30は、時変キーKTに関する一連の処理を実行するようになされており、紙幣登録装置3又は紙幣判別装置4(図1)から要求に応じて、その時点における時刻情報を基に時変キーKTを生成して当該紙幣登録装置3及び紙幣判別装置4へ送出すると共に、記憶部32に保存しておく。
【0105】
その後制御部30は、当該紙幣登録装置3又は紙幣判別装置4から暗号化データD3(図7)等の暗号化されたデータを取得すると、記憶部32に保存しておいた時変キーKTを用いて復号化を試み、正しく復号化できた場合、当該受信したデータが正当なものであると認識するようになされている。
【0106】
このとき制御部30は、紙幣登録装置3から正当に紙幣番号NS、認証用紋様パターンPC及び登録装置番号NRを取得した場合、これらを記憶部32の紙幣情報データベースDBに登録するようになされている。また制御部30は、紙幣判別装置4から正当な紙幣情報の更新要求を取得した場合、取得した紙幣番号NSに対応付けて当該紙幣判別装置4の判別装置番号ND及びそのときの日時(すなわち更新日時)を記憶部32の紙幣情報データベースDBに登録するようになされている。
【0107】
(5)紙幣認証装置
(5−1)紙幣認証装置の構成
図6との対応部分に同一符号を付した図15において、紙幣判別装置4は、当該紙幣判別装置4の制御を司る制御部40に対してバス41を介してスキャナ部42、記憶部43及び通信処理部44が接続された構成を有している。
【0108】
制御部40は、制御部10と同様、各種演算処理を実行するCPU、ROM及びRAM等を有しており、当該ROM又は記憶部43から各種プログラムを読み出し当該RAMに展開することにより、各種処理を実行するようになされている。
【0109】
記憶部43には、OSや紙幣認証プログラム等の各種プログラムに加え、紙幣BL(図1)における紙幣番号領域AS及び指定領域ARの位置を表す位置情報LCや、紙幣判別装置4に固有の判別装置番号ND等が記憶されており、制御部40からの要求に応じて当該判別装置番号ND及び当該位置情報LC等を当該制御部40へ送出するようになされている。
【0110】
実際上紙幣判別装置4は、紙幣登録装置3と同様、判別対象紙幣BLDがスキャナ部42の読取台にセットされると、図示しないセンサによりこのことを検出し、これに応じて制御部40から紋様画像読取コマンド及び紙幣番号画像読取コマンドをスキャナ部42へ送出する。
【0111】
制御部40は、これらコマンドの応答結果として、スキャナ部42から判別対象紙幣BLDの紋様画像データD1及び印画内容画像データD2を取得する。
【0112】
続いて制御部40は、紋様画像データD1から比較用紋様パターンPMを抽出すると共に、印画内容画像データD2を基に紙幣番号NSを認識し、当該紙幣番号NSを紙幣情報管理装置2(図1)へ送出することにより、当該紙幣情報管理装置2から当該紙幣番号NSに対応した認証用紋様パターンPCを取得する。そして制御部40は、比較用紋様パターンPMを認証用紋様パターンPCと照合することにより、判別対象紙幣BLDの正当性を検証するようになされている。
【0113】
また制御部40は、通信処理部44を介して紙幣情報管理装置2から紙幣番号NSに応じた盗難有無情報TFを取得し、当該盗難有無情報TFに基づいて判別対象紙幣BLDが盗難された紙幣(以下、これを盗難紙幣と呼ぶ)であるか否かを判定するようになされている。
【0114】
なお、この紙幣判別装置4のスキャナ部42及び通信処理部44については、紙幣登録装置3のスキャナ部12及び通信処理部14(図6)とそれぞれ同様であるため、その説明は省略する。
【0115】
(5−2)紙幣認証装置の制御部の構成
次に、制御部40における処理を説明する。制御部40におけるソフトウェア処理を機能的に分類すると、図7との対応部分に同一符号を付した図16に示すように、紋様画像を基に比較用紋様パターンPMを抽出する紋様処理部50と、印画内容画像から紙幣番号NSを認識する番号認識部55と、紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDBから認証用紋様パターンPC及び盗難有無情報TFを取得する紙幣情報取得部56と、当該紋様パターン(各特長量)を照合することにより偽造紙幣を判別する偽造判別部57と、盗難有無情報TFを基に盗難紙幣を判別する盗難判別部58と、紙幣情報データベースDBを更新する紙幣情報更新部59と、関係各局へ通知する通知部60とに分けることができる。
【0116】
この場合、制御部40は、スキャナ部42から与えられる紋様画像データD1に対して紋様処理部20の低域周波数成分抽出部21、画像分離部22、領域区割部23及び紋様パターン抽出部24を順次介して各種処理を施すことにより比較用紋様パターンPMを生成し、また当該スキャナ部42から与えられる印画内容画像データD2に対する番号認識部25における番号認識処理により紙幣番号NSを取得し、また紙幣情報取得部56により当該紙幣番号NSに対応した認証用紋様パターンPC及び盗難有無情報TFを紙幣情報データベースDBから取得する。
【0117】
さらに制御部40は、偽造判別部57により当該比較用紋様パターンPMと認証用紋様パターンPCとを照合し、一致した場合には正当な紙幣であると判別し、一方一致しなかった場合には偽造紙幣であると判別する。また制御部40は、盗難判別部58により盗難有無情報TFが「YES」であった場合には盗難紙幣であると判別し、一方盗難有無情報TFが「NO」であった場合には盗難されていない通常紙幣であると判別する。さらに制御部40は、偽造紙幣で無く且つ盗難紙幣でも無かった場合には紙幣情報更新部59により紙幣情報データベースDBに登録されている判別装置番号NDを更新し、一方、偽造紙幣又は盗難紙幣のいずれかであった場合には通知部60により関係各局へ通知する。
【0118】
ここで、紋様処理部50の低域周波数成分抽出部21、画像分離部22、領域区割部23及び紋様パターン抽出部24については、抽出した紋様パターンを認証用紋様パターンPCではなく比較用紋様パターンPMとする点以外は上述した紙幣登録装置3における紋様処理部20(図7)と同様であるため、その説明を省略する。また、番号認識部55についても、上述した紙幣登録装置3の番号認識部25と同様であるため、その説明を省略する。
【0119】
以下、紙幣情報取得部56による紙幣情報取得処理、偽造判別部57による偽造紙幣判別処理、盗難判別部58による盗難紙幣判別処理、紙幣情報更新部59による紙幣情報更新処理及び通知部60による通知処理を詳細に説明する。
【0120】
(5−2−1)紙幣情報取得処理
紙幣情報取得部56は、番号認識部25において認識した紙幣番号NSを紙幣情報管理装置2へ送出することにより、当該紙幣番号NSに応じた認証用紋様パターンPCと盗難有無情報TFとを取得し、当該認証用紋様パターンPCを偽造判別部57へ送出すると共に、盗難有無情報TFを盗難判別部58へ送出する。
【0121】
具体的に紙幣情報取得部56は、紙幣番号NSに所定の暗号化処理を施した暗号化データD4を、通信処理部14(図15)を介して紙幣情報管理装置2へ送出する。
【0122】
これに応じて紙幣情報管理装置2は、紙幣判別装置4から送出された暗号化データD4を復号化して得た紙幣番号NSを基に、紙幣情報データベースDBにおいて当該紙幣番号NSに対応付けて登録されている認証用紋様パターンPC及び盗難有無情報TFを読み出し、これらに所定の暗号化処理を施した暗号化データD5を当該紙幣判別装置4へ送出する。
【0123】
紙幣判別装置4の紙幣情報取得部56は、通信処理部14を介して紙幣情報管理装置2から送出された暗号化データD5を取得し、所定の復号化処理を施すことにより元の認証用紋様パターンPC及び盗難有無情報TFを取り出す。
【0124】
ちなみに紙幣情報取得部56は、紙幣登録装置3の紙幣情報登録部26(図7)と同様、予め紙幣情報管理装置2から時変キーKTを取得し、当該時変キーKTを用いた暗号化処理及び復号化処理を施すことにより、認証用紋様パターンPC及び盗難有無情報TFを第三者に不正に取得されることが無いようになされている。
【0125】
(5−2−2)偽造紙幣判別処理
偽造判別部57は、図3(B)に示したように、紙幣BLから抽出された比較用紋様パターンPMと、紙幣情報データベースDBに登録されている認証用紋様パターンPCとを照合することにより、当該紙幣BLが偽造紙幣であるか否かを判別する。
【0126】
実際上、偽造判別部57は、紋様パターン抽出部24から供給される比較用紋様パターンPMの紋様特徴量(矩形情報値)によって表される白ダマWD及び黒ダマBD(以下、これを比較用ダマと呼ぶ)それぞれを、紙幣情報取得部56から与えられる認証用紋様パターンPCの紋様特徴量(矩形情報値)によって表される白ダマWD及び黒ダマBD(以下、これを認証用ダマと呼ぶ)と順次照合する。
【0127】
ここで偽造判別部57による具体的な照合処理を図17を用いて説明するが、説明の便宜上、ここではある1つの認証用ダマと、比較用ダマとの照合処理について説明する。
【0128】
この図17は、矩形情報値(中心座標(x,y)、長辺l、短辺w及び長辺lと軸とのなす角度θ)によって表される矩形の位置関係を示したものであり、Rは認証用ダマの矩形(破線)、Sは認証用ダマの長辺l及び短辺wによって表される面積、gは認証用ダマの中心座標(x,y)によって表される中心、Rは比較用ダマの矩形(実線)、Sは比較用ダマの長辺l及び短辺wによって表される面積、gは比較用ダマの中心座標(x´,y´)によって表される中心をそれぞれ示したものである。
【0129】
またdは、認証用ダマ及び比較用ダマの中心g、g間における距離(以下、これを中心間距離と呼ぶ)を示し、θ´は、認証用ダマにおける長辺lと軸とのなす角度θと比較用ダマにおける長辺lと軸とのなす角度θとの差、即ち矩形R及び矩形R間における傾きの差(以下、これを矩形間傾き差と呼ぶ)を示し、図中の楕円は、比較用ダマを示したものである。
【0130】
この図17において、偽造判別部57は、認証用ダマ及び比較用ダマ双方の矩形情報値に基づいて、認証用ダマの中心gが比較用ダマの矩形R内に存在し、かつ比較用ダマの中心gが認証用ダマの矩形Rr内に存在するか否かを判断する。
【0131】
そして偽造判別部57は、双方の中心g、gが互いの矩形R、R内に存在する場合には、中心間距離d、矩形間傾き差θ´及び認証用ダマの面積Sと比較用ダマの面積Sとの差(以下、これをダマ面積差と呼ぶ)がそれぞれ所定の閾値以下であるか否かを順次判断する。
【0132】
ここで偽造判別部57は、いずれも閾値以下であった場合には、認証用ダマと比較用ダマとは同一のダマであると判断し、これに対していずれか1つでも閾値以上であった場合には、認証用ダマと比較用ダマとは同一のダマではないと判断するようになされている。
【0133】
但し、図17との対応部分に同一符号を付した図18に示すように、認証用ダマ及び比較用ダマ双方の矩形R、Rがともに正方形に近い場合、矩形間傾き差θ´が略90度となるため、同一のダマであるにも係わらず異なるダマであると判断されるといった事態が起こり得る。
【0134】
従って、偽造判別部57は、かかる誤判断を防止する対処策として、認証用ダマの長辺lと短辺wとの比及び比較用ダマの長辺lと短辺wとの比がともに「1」に近い場合には、矩形間傾き差θ−θ(即ち、図17におけるθ´)が閾値以上であっても、ダマ面積差が閾値以下であれば、認証用ダマと比較用ダマとが同一のダマであると判断するようになされている。
【0135】
このようにして偽造判別部57は、紙幣BLから抽出された比較用紋様パターンPM(すなわち紋様特徴量(矩形情報値)によって表される各比較用ダマ)と、紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDBに登録された認証用紋様パターンPC(すなわち紋様特徴量(矩形情報値)によって表される各認証用ダマ)とを照合するようになされている。
【0136】
ところで、紙幣BLが正当な紙幣であるにも拘わらず、認証用紋様パターンPCに基づく認証用ダマに対する比較用紋様パターンPMに基づく比較用ダマの合致率が低くなるといった事態を想定し得る。
【0137】
これは、紙幣登録装置3(図6)において紙幣BLから認証用紋様パターンPCを取得したときに比して、スキャナ部12の読取台に載置した紙幣BLの位置や固体撮像素子に発生するノイズ等の変化あるいは紙幣BLの経年変化(以下、これらの変化を撮像状態時変化と呼ぶ)によって、認証用ダマに同一となるはずの比較用ダマが異なる状態で区割りされてしまうからである。
【0138】
かかる代表的な区割例として、例えば図19に示すように、紙幣登録装置3により1つの認証用ダマとして区割りされたものが、紙幣判別装置4により互いに異なる2つの比較用ダマとして区割りされてしまう場合と、この場合とは逆に、紙幣登録装置3により区割りされていた2つの認証用ダマが、紙幣判別装置4により1つの比較用ダマとして区割りされてしまう場合とがある。これらの場合には、認証用ダマに対応するはずの比較用ダマの形状(矩形情報値)が異なり、この結果、比較用ダマの合致率が低くなるといった事態を引き起こすこととなる。
【0139】
そこで偽造判別部57は、かかる事態の対処策として、上述の照合処理結果として所定の合致率よりも低い合致率が得られた場合に、当該合致しなかった比較用ダマごとに結合照合処理及び分離照合処理を順次実行する。
【0140】
この結合照合処理では、隣接する比較用ダマ同士が結合され、当該結合されたダマ(以下、これを比較用結合ダマと呼ぶ)と対応部分の認証用ダマとが照合され、一方、分離照合処理では、比較用ダマが分離され、当該分離された複数のダマ(以下、これを比較用分離ダマと呼ぶ)と対応部分の認証用ダマとが照合される。
【0141】
これら結合照合処理及び分離照合処理のうち、まず、図20を用いて結合照合処理を具体的に説明するが、説明の便宜上、ここでは隣り合う2つの比較用ダマ同士を結合した比較用結合ダマと、認証用ダマとの結合照合処理について説明する。
【0142】
この図20は、図17の場合と同様に矩形情報値(中心座標(x,y)、長辺l、短辺w及び長辺lと軸とのなす角度θ)によって表される矩形の位置関係を示したものであり、R、Rは比較用ダマの矩形(破線で示す)、g、gは比較用ダマの中心座標(x,y)によって表される中心、R(R)は比較用結合ダマ(認証用ダマ)の矩形(実線で示す)、gは認証用ダマの中心座標(x,y)によって表される中心をそれぞれ示したものである。
【0143】
またGは比較用結合ダマの重心(x、y)を示し、dは比較用結合ダマの重心及び認証用ダマの中心間における中心間距離を示し、図中の楕円は、分離していた比較用ダマと、これらを結合した比較用結合ダマとを示したものである。
【0144】
この図20において、偽造判別部57は、結合しようとする比較用ダマそれぞれの中心g、gが認証用ダマの矩形R(即ち、結合された比較用結合ダマの矩形R)内に存在するか否かを判断し、当該矩形R内に中心g、gが存在する場合には、これら比較用ダマを結合結果となる比較用結合ダマにおける重心G(x、y)を求め、この重心Gと認証用ダマの中心gとの間における中心間距離dを求める。
【0145】
そして偽造判別部57は、この中心間距離dが所定の閾値以下であった場合には、分離していた比較用ダマの結合結果である比較用結合ダマと、認証用ダマとが同一のダマであると判断する。
【0146】
このようにして偽造判別部57は、照合処理により合致しなかった比較用ダマ同士を結合し、当該結合された比較用結合ダマを再度認証用ダマと照合するようになされている。
【0147】
次に、図21を用いて分離照合処理を具体的に説明するが、説明の便宜上、ここでは2つの比較用分離ダマからなる比較用ダマと、認証用ダマとの分離照合処理について説明する。
【0148】
この図21は、図17の場合と同様に矩形情報値(中心座標(x,y)、長辺l、短辺w及び長辺lと軸とのなす角度θ)によって表される矩形の位置関係を示したものであり、Rは比較用ダマの矩形(破線で示す)、gは比較用ダマの中心座標(x,y)によって表される中心、RS1、RS2(Rr1、Rr2)は比較用分離ダマ(認証用ダマ)の矩形(実線で示す)、gr1、gr2は認証用ダマの中心座標(x,y)によって表される中心をそれぞれ示したものである。
【0149】
またGは比較用分離ダマの重心G(x、y)を示し、dは比較用分離ダマの重心G及び比較用ダマの中心g間における中心間距離を示し、図中の楕円は、結合していた比較用ダマと、これらを分離した比較用分離ダマとを示したものである。
【0150】
この図21において、偽造判別部57は、認証用ダマの中心gr1、gr2が分離前の比較用ダマの矩形R内に存在するか否かを判断し、当該矩形R内に中心gr1、gr2が存在する場合には、比較用ダマの分離結果となる比較用分離ダマにおける重心G(x、y)を求め、この重心Gと比較用ダマの中心gとの間における中心間距離dを求める。
【0151】
そして偽造判別部57は、この中心間距離dが所定の閾値以下であった場合には、結合していた比較用ダマを分離してなる2つの比較用分離ダマと、認証用ダマとが同一のダマであると判断する。
【0152】
このように偽造判別部57は、照合処理により合致しなかった比較用ダマを分離し、当該分離された比較用分離ダマを再度認証用ダマと照合するようになされている。
【0153】
このように偽造判別部57は、互いに隣り合うダマ同士を結合又は分離するようにしてダマを補正した後に再度照合することにより、撮像状態時変化による影響を排除することができるため、照合結果の信頼性を格段に向上させることができるようになされている。
【0154】
次に、照合処理の実験結果を図22に示す。この図22は、結合照合処理及び分離照合処理を実行しなかった場合(「処理1」)、結合照合処理のみを実行した場合(「処理2」)、結合照合処理及び分離照合処理をそれぞれ10回ずつ実行した場合(「処理3」)における結果を白ダマと黒ダマとに分けて示したものである。
【0155】
この図22からも明らかなように、偽造判別部57は、結合照合処理及び分離照合処理をそれぞれ実行することにより照合結果の信頼性を格段に向上できることが分かる。
【0156】
そして偽造判別部57は、この照合結果として所定の合致率よりも高い合致率が得られた場合には、判別対象紙幣BLDが偽造紙幣では無く正当な紙幣であると判別し、非偽造情報UFを紙幣情報更新部59へ送出する。
【0157】
一方偽造判別部57は、この照合結果として所定の合致率よりも低い合致率が得られた場合には、判別対象紙幣BLDが不正に複製された偽造紙幣であると判断し、紙幣番号NSを通知部60へ送出する。
【0158】
このように偽造判別部57は、比較用紋様パターンPMの紋様特徴量によって表される比較用ダマと認証用紋様パターンPCの紋様特徴量によって表される認証用ダマとを順次照合し、このときの合致率に応じて判別対象紙幣BLDが偽造紙幣であるか否かを判別し、当該判別対象紙幣BLDが正当な紙幣である場合には非偽造情報UFを紙幣情報更新部59へ送出し、一方当該判別対象紙幣BLDが偽造紙幣である場合には紙幣番号NSを通知部60へ送出するようになされている。
【0159】
(5−2−3)盗難判別処理
盗難判別部58は、図5(B)に示したように、紙幣情報取得部56から与えられた盗難有無情報TFを基に、紙幣BLが盗難紙幣であるか否かを判別する。
【0160】
具体的に盗難判別部58は、紙幣情報取得部56により紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDBから読み出した紙幣番号NSに対応付けられた盗難有無情報TFの供給を受け、当該盗難有無情報TFが「YES」又は「NO」のいずれであるかを判別する。
【0161】
盗難判別部58は、盗難有無情報TFが「NO」であった場合、判別対象紙幣BLDが盗難紙幣では無く通常の紙幣であると判別し、当該判別対象紙幣BLDが盗難紙幣では無かったことを示す非盗難有無情報UTを紙幣情報更新部59へ送出する。
【0162】
一方盗難判別部58は、盗難有無情報TFが「YES」であった場合、判別対象紙幣BLDが盗難紙幣であると判別し、関係各局への通知などを行うべく紙幣番号NSを通知部60へ送出する。
【0163】
このように盗難判別部58は、紙幣情報取得部56から与えられた盗難有無情報TFが「YES」又は「NO」のいずれであるかに応じて判別対象紙幣BLDが盗難紙幣であるか否かを判別し、その判別結果に応じて非盗難有無情報UTを紙幣情報更新部59へ送出するか、又は紙幣番号NSを通知部60へ送出するようになされている。
【0164】
(5−2−4)紙幣情報更新処理
紙幣情報更新部59は、偽造判別部57から取得した非偽造情報UF及び紙幣番号NSと、盗難判別部58から取得した非盗難有無情報UTとを基に、紙幣情報管理装置2(図1)のデータベースDBに登録されている判別装置番号NDを更新する。
【0165】
具体的に紙幣情報更新部59は、まず偽造判別部57から非偽造情報UFを取得し且つ盗難判別部58から非盗難有無情報UTを取得したか否か、すなわち現在スキャナ部12にセットされている紙幣BLが偽造紙幣及び盗難紙幣のいずれでも無い正当な紙幣であるか否かを判定する。
【0166】
紙幣情報更新部59は、判別対象紙幣BLDが偽造紙幣及び盗難紙幣のいずれでも無い正当な紙幣である場合、紙幣登録装置3の紙幣情報登録部26(図7)と同様、予め紙幣情報管理装置2から時変キーKTを取得しておき、当該時変キーKTを用いて紙幣番号NS、判別装置番号ND及び紙幣情報の更新要求に対して所定の暗号化処理を施すことにより暗号化データD6を生成し、紙幣情報の更新要求として当該暗号化データD6を通信処理部14へ送出する。その後暗号化データD6は、通信処理部14からインターネット5を介して紙幣情報管理装置2へ送出される。
【0167】
これに応じて紙幣情報管理装置2は、取得した暗号化データD6を時変キーKTを用いて復号化することにより、紙幣番号NS及び判別装置番号NDと共に紙幣情報の更新要求を得、紙幣情報データベースDBにおける当該紙幣番号NSに対応した認証装置番号を当該判別装置番号NDに更新し、さらにその更新日時についても当該紙幣情報データベースDBに記録しておくようになされている。
【0168】
一方紙幣情報更新部59は、非偽造情報UF及び非盗難有無情報UTの少なくとも一方を取得しなかった、すなわち判別対象紙幣BLDが偽造紙幣又は盗難紙幣のいずれかであった場合、紙幣情報管理装置2のデータベースDBの情報を更新しないようになされている。
【0169】
このように紙幣情報更新部59は、判別対象紙幣BLDが盗難紙幣又は偽造紙幣のいずれでもない正当な紙幣であった場合、紙幣番号NS及び判別装置番号NDを暗号化して紙幣情報管理装置2へ送出することにより、紙幣情報データベースDBの紙幣番号NSに対応付けられている判別装置番号を更新させるようになされている。
【0170】
この結果、紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDBは、判別対象紙幣BLDが正当な紙幣であることを最後に判別した紙幣判別装置4の判別装置番号NDが紙幣番号NSと対応付けて登録されるため、すなわち紙幣判別装置4が設置された店舗や自動販売機等が正当に保有する紙幣BLを紙幣番号NSによって管理することになる。
【0171】
ちなみに紙幣判別装置4は、上述したように一般の店舗や自動販売機内等に設置され、例えば顧客が支払った紙幣(すなわち判別対象紙幣BLD)について偽造紙幣又は盗難紙幣であるか否かを判別するため、当該判別対象紙幣BLDが盗難紙幣又は偽造紙幣のいずれでもない正当な紙幣であった場合、当該判別対象紙幣BLDが正常に入金されたとみなし、図示しない会計処理装置等に対して所定の会計処理等を継続させるようになされている。
【0172】
(5−2−5)通知処理
通知部60は、判別対象紙幣BLDが盗難紙幣又は偽造紙幣のいずれかであった場合、関係各局に盗難紙幣又は偽造紙幣を判別した旨と当該紙幣BLの紙幣番号NSを通知するようになされている。
【0173】
具体的に通知部60は、偽造判別部57から紙幣番号NSを取得した場合、判別対象紙幣BLDが偽造紙幣であることを認識し、また盗難判別部58から紙幣番号NSを取得した場合、当該判別対象紙幣BLDが盗難紙幣であることを認識する。
【0174】
通知部60は、判別対象紙幣BLDが偽造紙幣又は盗難紙幣であった場合、当該紙幣BLが偽造紙幣又は盗難紙幣である旨と当該判別対象紙幣BLDの紙幣番号NSとを警察等の関係各局に通知する。
【0175】
ちなみに紙幣判別装置4は、例えば店頭で顧客が支払った紙幣(判別対象紙幣BLD)について偽造紙幣又は盗難紙幣であるか否かを判別するため、当該判別対象紙幣BLDが盗難紙幣又は偽造紙幣であった場合、会計処理を中断し、警察等の関係各所に通知することにより紙幣の盗難又は偽造といった不正に対して適切に対処するようになされている。
【0176】
(6)処理手順
(6−1)紙幣情報登録処理
次に、紙幣登録装置3及び紙幣情報管理装置2により紙幣情報データベースDBに認証用紋様パターンPC等を登録する際の紙幣情報登録処理手順について、図23のフローチャートを用いて説明する。
【0177】
紙幣登録装置3は、紙幣BLがスキャナ部12(図6)の読取台にセットされセンサ(図示せず)によりこのことを検出すると、これに応じて制御部10により紙幣情報登録処理手順RT1を開始し、まず紋様情報生成処理サブルーチンSRT1へ移る。
【0178】
このとき紙幣登録装置3の制御部10は、図24に示す紋様情報生成処理手順を開始し、ステップSP11へ移る。ステップSP11において制御部10は、スキャナ部4を制御して紙幣BLの紋様画像データD1及び印画内容画像データD2を取得し、次のステップSP12へ移る。
【0179】
ステップSP12において紙幣登録装置3の制御部10は、紋様画像データD1に対して低域周波数成分抽出処理を施すことにより低域成分紋様画像IM2(図8(A))を表す低域紋様画像データD11を生成し、次のステップSP13へ移る。
【0180】
ステップSP13において紙幣登録装置3の制御部10は、低域紋様画像データD11に対して画像分離処理を施すことにより白成分紋様画像WIM(図9(B))を表す白成分紋様画像データD12と黒成分紋様画像BIM(図9(C))を表す黒成分紋様画像データD13とを生成し、次のステップSP14へ移る。
【0181】
ステップSP14において紙幣登録装置3の制御部10は、白成分紋様画像データD12及び黒成分紋様画像データD13に対してそれぞれ領域区割処理を施すことにより、複数の白ダマWD(WD〜WD)を表す白ダマデータD14及び複数の黒ダマBD(BD〜BD)を表す黒ダマデータD15を生成し、次のステップSP15へ移る。
【0182】
ステップSP15において紙幣登録装置3の制御部10は、白ダマデータD14に基づく各白ダマWDと黒ダマデータD15に基づく各黒ダマBDそれぞれを矩形に近似して矩形情報値を算出し、当該矩形情報値を符号化することにより認証用紋様パターンPCを生成して、次のステップSP16へ移る。
【0183】
ステップSP16において紙幣登録装置3の制御部10は、印画内容画像データD2に対して所定の文字認識処理を施すことにより紙幣番号NSを認識し、次のステップSP17へ移ってこの紋様情報生成処理サブルーチンSRT1を終了すると共に元の紙幣情報登録処理手順RT1(図23)へ戻って次のステップSP1へ移る。
【0184】
ステップSP1において紙幣登録装置3の制御部10は、当該紙幣登録装置3の登録装置番号NRを紙幣情報管理装置2へ送信し時変キーを要求する。
【0185】
一方紙幣情報管理装置2の制御部30は、電源が投入されOSが起動した時点でデータベース登録処理手順RT2を開始するようになされており、紙幣登録装置3からの通信を待ち受ける。
【0186】
紙幣情報管理装置2の制御部30は、紙幣登録装置3から登録装置番号NRと共に時変キーの要求を受信するとステップSP21へ移り、その時点における日付及び時刻といった日時情報及び受信した登録装置番号NRに応じた時変キーKTを生成し、これを紙幣登録装置3へ送信する。
【0187】
これに応じて紙幣登録装置3の制御部10は、この時変キーKTを取得するとステップSP2へ移り、取得した時変キーKTを用いて紙幣番号NS、認証用紋様パターンPC及び登録装置番号NRを暗号化することにより暗号化データD3を生成してこれを紙幣情報管理装置2へ送出し、次のステップSP3へ移って紙幣情報登録処理手順RT1を終了する。
【0188】
これに応じて紙幣情報管理装置2の制御部30は、暗号化データD3を受信するとステップSP22へ移り、当該暗号化データD3を復号化することにより元の紙幣番号NS、認証用紋様パターンPC及び登録装置番号NRを取り出し、紙幣情報データベースDB上で当該紙幣番号NSに対応付けて認証用紋様パターンPC及び登録装置番号NRを登録する。その後紙幣情報管理装置2の制御部30は、再度ステップSP21へ戻り、紙幣登録装置3から送信される認証用紋様パターンPC等の登録処理を繰り返す。
【0189】
(6−2)紙幣判別処理
次に、紙幣判別装置4及び紙幣情報管理装置2により盗難紙幣及び偽造紙幣を判別する際の紙幣判別処理手順について、図25のフローチャートを用いて説明する。
【0190】
紙幣判別装置4は、判別対象紙幣BLDがスキャナ部12(図6)の読取台にセットされセンサ(図示せず)によりこのことを検出すると、これに応じて制御部40により紙幣判別処理手順RT3を開始し、まず紋様情報生成処理サブルーチンSRT1へ移る。
【0191】
紋様情報生成処理サブルーチンSRT1において紙幣判別装置4の制御部40は、上述した一連の紋様情報生成処理(図24)を実行することにより、紙幣番号NSを認識すると共に比較用紋様パターンPMを生成し、次のステップSP31へ移る。
【0192】
ステップSP31において紙幣判別装置4の制御部40は、当該紙幣判別装置4の判別装置番号NDと共に時変キーの要求を紙幣情報管理装置2へ送信する。
【0193】
一方紙幣情報管理装置2の制御部30は、電源が投入されOSが起動した時点でデータベース更新処理手順RT4を開始し、紙幣判別装置4からの通信を待ち受けるようになされている。
【0194】
紙幣情報管理装置2の制御部30は、紙幣判別装置4から紙幣装置番号NDと共に時変キーの要求を受信するとステップSP41へ移り、受信した紙幣装置番号NDに応じた時変キーKTを生成し、これを紙幣判別装置4へ送信する。
【0195】
これに応じて紙幣判別装置4の制御部40は、この時変キーKTを取得するとステップSP42へ移り、当該時変キーKTを用いて紙幣番号NSを暗号化することにより暗号化データD4(図16)を生成し、これを認証用紋様パターンPC及び盗難有無情報TFの要求と共に紙幣情報管理装置2へ送信する。
【0196】
紙幣情報管理装置2の制御部30は、紙幣判別装置4から暗号化データD4と共に認証用紋様パターンPC及び盗難有無情報TFの要求を取得すると、当該暗号化データD4を復号化することにより紙幣番号NSを得た上でステップSP42へ移り、紙幣情報データベースDBから当該紙幣番号NSに対応した認証用紋様パターンPC及び盗難有無情報TFを読み出し、これらを暗号化することにより暗号化データD5を生成し、これを紙幣判別装置4へ送信する。
【0197】
これに応じて紙幣判別装置4の制御部40は、取得した暗号化データD5を復号化することにより認証用紋様パターンPC及び盗難有無情報TFを得ると、ステップSP33へ移り、盗難有無情報TFに基づき判別対象紙幣BLDが盗難紙幣であるか否かを判別する。ここで否定結果が得られると、このことは紙幣BLが盗難紙幣ではないことを表しており、このとき紙幣判別装置4の制御部40は、次のステップSP34へ移る。
【0198】
ステップSP34において紙幣判別装置4の制御部40は、比較用紋様パターンPMを認証用紋様パターンPCと照合することにより、判別対象紙幣BLDが偽造紙幣であるか否かを判別する。ここで否定結果が得られると、このことは判別対象紙幣BLDが盗難紙幣でないことに加えて偽造紙幣でもなく正当な紙幣であることを表しており、このとき紙幣判別装置4の制御部40は、次のステップSP35へ移る。
【0199】
ステップSP35において紙幣判別装置4の制御部40は、時変キーKTを用いて紙幣番号NS及び当該紙幣判別装置4の判別装置番号NDを暗号化することにより暗号化データD6を生成し、これを紙幣情報管理装置2へ送信した後、次のステップSP37へ移って紙幣判別処理手順RT3を終了する。
【0200】
これに応じて紙幣情報管理装置2の制御部30は、暗号化データD6を受信するとステップSP43へ移り、当該暗号化データD6を復号化することにより元の紙幣番号NS及び判別装置番号NDを取り出し、紙幣情報データベースDB上で当該紙幣番号NSに対応付けて判別装置番号の欄を判別装置番号NDに更新し、さらにこのときの日時を更新日時として登録する。その後紙幣情報管理装置2の制御部30は、再度ステップSP41へ戻り、判別装置番号NDの更新処理を繰り返す。
【0201】
一方、ステップSP33において肯定結果が得られると、このことは当該判別対象紙幣BLDが盗難紙幣であることを示しており、このとき紙幣判別装置4の制御部40は、ステップSP36へ移る。また、ステップSP34において肯定結果が得られると、このことは判別対象紙幣BLDが偽造紙幣であることを示しており、このとき紙幣判別装置4の制御部40は、ステップSP36へ移る。
【0202】
ステップSP36において紙幣判別装置4の制御部40は、盗難紙幣又は偽造紙幣を判別したことを紙幣番号NSと共に警察等の関係各所へ通知し、次のステップSP37へ移って紙幣判別処理手順RT3を終了する。
【0203】
(7)動作及び効果
以上の構成において、紙幣管理システム1では、まず紙幣登録装置3により紙幣BLの紙幣番号NSを認識すると共に認証用紋様パターンPCを抽出し、紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDB上に当該紙幣番号NSに対応付けて当該認証用紋様パターンPCを登録しておく。
【0204】
次に紙幣管理システム1では、紙幣判別装置4により判別対象紙幣BLDの紙幣番号NSを認識すると共に比較用紋様パターンPMを抽出し、さらに紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDBから当該紙幣番号NSに対応した認証用紋様パターンPC及び盗難有無情報TFを取得する。このとき紙幣判別装置4は、比較用紋様パターンPMと認証用紋様パターンPCとを照合した際の合致率が所定値以上であった場合には判別対象紙幣BLDを正当な紙幣と判別し、一方所定値未満であった場合には判別対象紙幣BLDを偽造紙幣と判別する。
【0205】
従って紙幣管理システム1では、紙幣判別装置4により判別対象紙幣BLDの紙幣番号NSを認識し比較用紋様パターンPMを抽出して、当該比較用紋様パターンPMと紙幣情報データベースDBの当該紙幣番号NSに対応した認証用紋様パターンPCとを照合するだけで、当該判別対象紙幣BLDが偽造紙幣であるか否かを確実且つ容易に判別することができる。
【0206】
すなわち、仮に判別対象紙幣BLDが元の紙幣BLの印画内容を精巧に複製されたものであっても、当該元の紙幣BLにおける指定領域AR(図1)の紋様パターンを複製することは事実上不可能であるため、印画内容の精巧さ等に影響されることなく、紙幣判別装置4により比較用紋様パターンPMと認証用紋様パターンPCとを照合した段階で判別対象紙幣BLDが偽造紙幣であることを確実に判別することができる。
【0207】
このとき紙幣判別装置4は、紙が一枚毎に固有の紋様パターンを有することを利用しているため、特殊紙等を用いること無く紙幣BLを紋様パターンによって一枚ずつ識別することができ、当該特殊紙等を製造するための手間や費用をかけること無く、他の紙幣BLと誤認識するといった不具合が生じる可能性を低減することができる。
【0208】
また認証用紋様パターンPCは、予め紙幣登録装置3により紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDBに登録されているため、第三者から不正に改竄される可能性が極めて低く、情報としての信頼性が高い。このため比較用紋様パターンPMと認証用紋様パターンPCとの照合結果の信頼性も高いものとすることができる。
【0209】
さらに紙幣管理システム1では、紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDBに紙幣番号NSと対応付けて盗難有無情報TFを登録しておき、紙幣識別装置4が紙幣番号NSに対応する認証用紋様パターンPCを取得する際に同時に当該盗難有無情報TFを取得することにより、判別対象紙幣BLDが盗難紙幣であるか否かを確実に判別することができる。
【0210】
そのうえ紙幣管理システム1では、紙幣判別装置4が判別対象紙幣BLDを偽造紙幣又は盗難紙幣のいずれでもない正当な紙幣と判別した場合、紙幣情報データベースDB上で当該紙幣番号NSに対応する判別装置番号を判別装置番号NDに更新することにより、当該紙幣番号NSの紙幣を最後に判別した紙幣判別装置4の判別装置番号NDを当該紙幣情報データベースDBに登録しておくことができる。
【0211】
これはすなわち、紙幣判別装置4が設置された店舗や自動販売機等において、顧客から入金された全ての紙幣BLについて紙幣番号NSを紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDBに随時登録し更新することになる。
【0212】
このため紙幣管理システム1では、仮に紙幣判別装置4が設置された店舗や自動販売機から紙幣BLが盗難されたとしても、当該紙幣判別装置4の判別装置番号NDを基に、紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDB上で盗難された紙幣BLの紙幣番号NSを抽出することができる。
【0213】
すなわち紙幣管理システム1では、店舗や自動販売機等で入金された紙幣BLの紙幣番号NSを別途管理する必要なく、盗難された紙幣BLの紙幣番号NSを全て特定することができる。
【0214】
さらに紙幣管理システム1では、盗難された紙幣BLの紙幣番号NSについて紙幣情報データベースDBの盗難有無情報TFに「YES」を登録しておくことにより、例えばある店舗から盗難された紙幣BLが他の店舗や自動販売機で使用された場合でも、当該他の店舗や自動販売機に設置された紙幣判別装置4において紙幣番号NSに対応付けられた盗難有無情報TFを基に、当該盗難された紙幣BLを確実に盗難紙幣として判別することができる。
【0215】
すなわち紙幣管理システム1では、仮に紙幣BLが盗難されたとしても、当該盗難された紙幣BLの紙幣番号NSが確実に判明し、また当該紙幣BLが他の店舗等で使用された時点で当該紙幣BLが盗難紙幣であることを確実に判別することができる。このため紙幣管理システム1では、紙幣BLを盗難しても当該紙幣BLを使用した時点で確実に発覚してしまうため、盗難の発覚を恐れる犯罪者に対して盗難犯罪を抑制する効果を有することになる。
【0216】
そのうえ紙幣管理システム1では、盗難有無情報TFに基づいた盗難紙幣の判別と、紋様パターンの照合に基づいた偽造紙幣の判別とを組み合わせているため、仮に盗難された紙幣BLが不正に複製されたとしても、元の紙幣BLと複製された紙幣とを明確に識別することができる。これにより、例えば犯罪捜査時に元の紙幣BLの流通経路を辿るといったことが可能となる。
【0217】
また紙幣管理システム1では、紙幣登録装置3と紙幣情報管理装置2との間で通信するデータ、及び紙幣判別装置4と紙幣情報管理装置2との間で通信するデータについて、時変キーKTを用いて暗号化処理を施すことにより、当該データが第三者により不正に解読される可能性を極めて低く抑えることができる。
【0218】
さらに紙幣管理システム1では、通信時に紙幣登録装置3の登録装置番号NR及び紙幣判別装置4の判別装置番号NDをデータに含めているため、仮に紙幣登録装置3又は紙幣判別装置4が盗難され不正に使用されたとしても、紙幣情報管理装置2において当該盗難された紙幣登録装置3の登録装置番号NR又は当該盗難された紙幣判別装置4の判別装置番号NDとの通信を拒否することにより、認証用紋様パターンPCの不正登録や紙幣番号NSに対応付ける判別装置番号NDの不正登録を未然に防止することができる。
【0219】
そのうえ紙幣管理システム1では、当該登録装置番号NR及び判別装置番号NDを紙幣情報データベースDBに登録しているため、紙幣登録装置3又は紙幣判別装置4の不正使用が後から発覚した場合であっても、紙幣情報データベースDB上で当該不正に使用された紙幣登録装置3の登録装置番号NR又は当該不正に使用された紙幣判別装置4の判別装置番号NDに対応付けられた紙幣情報を無効化することにより、当該紙幣情報データベースDBの正常な紙幣情報を引き続き利用することができ、当該紙幣管理システム1全体の機能を維持することができる。
【0220】
以上の構成によれば、紙幣管理システム1は、紙幣登録装置3により紙幣BLの紙幣番号NSを認識すると共に認証用紋様パターンPCを抽出し、紙幣情報管理装置2の紙幣情報データベースDB上に当該紙幣番号NSに対応付けて当該認証用紋様パターンPCを登録しておき、紙幣判別装置4により判別対象紙幣BLDの紙幣番号NSを認識すると共に比較用紋様パターンPMを抽出し、さらに紙幣情報データベースDBから認証用紋様パターンPC及び盗難有無情報TFを取得した上で、比較用紋様パターンPMと認証用紋様パターンPCとを照合することにより、その照合結果に応じて判別対象紙幣BLDが盗難紙幣であるか否かを確実且つ容易に判別することができ、また盗難有無情報TFに応じて判別対象紙幣BLDが盗難紙幣であるか否かを確実に判別することができる。
【0221】
(8)他の実施の形態
なお上述した実施の形態においては、紙幣登録装置3と紙幣情報管理装置2との間で通信するデータ及び紙幣判別装置4と紙幣情報管理装置2との間で通信するデータについて、時変キーKTを用いて暗号化処理を施すようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、固定された暗号化キーを用いるようにしたり、又は所定のパスワードを作業者にキー入力させるようにしても良い。
【0222】
例えば、紙幣管理システム1においてインターネット5(図1)に代えて専用線等を用いた専用のネットワークを利用する場合に、当該専用のネットワークを利用することによりある程度のセキュリティ強度が確保されるため時変キーKTまでは必要なく固定された暗号化キーで十分であると判断されれば、時変キーKTの生成や送受信が不要となるため、紙幣情報管理装置2、紙幣登録装置3及び紙幣判別装置4における処理負荷を軽減することができる。さらには、暗号化も不要であると判断された場合には、送受信するデータを暗号化せずに平文のまま送受信するようにしても良く、これにより各装置において暗号化及び復号化の処理を省略でき一段と処理負荷を軽減することができる。
【0223】
また上述した実施の形態においては、紙幣登録装置3の制御部10における紋様パターン抽出部24(図7)及び紙幣判別装置4の制御部40における紋様パターン抽出部24(図16)において、図11に示したように白ダマWD及び黒ダマBDそれぞれを矩形に近似させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば白ダマWD及び黒ダマBDそれぞれを楕円に近似し、その中心座標、長径、短径及び水平軸とのなす角度を紋様特徴量としたり、または白ダマWD及び黒ダマBDそれぞれを円に近似し、その中心座標及び半径を紋様特徴量とする等、種々の形状に近似させるようにしても良い。あるいは、白ダマWD及び黒ダマBDそれぞれの形状をベジエ曲線により表し、その制御点列を紋様特徴量とするようにしても良い。
【0224】
このような紋様特徴量の抽出手法の違いにより、紋様特徴量を算出する際の演算量を低減でき、または紋様パターンの照合精度の向上を図ることができる。実際上紙幣管理システム1では、処理速度や照合精度の必要性に応じて、かかる紋様特徴量の抽出手法を適宜選択すれば良い。さらには、紙幣登録装置3及び紙幣判別装置4においてそれぞれ複数の抽出手法に対応し得るようにしておき、随時切り換えるようにしても良い。
【0225】
さらに上述した実施の形態においては、紙幣登録装置3の制御部10における紋様処理部20(図7)及び紙幣判別装置4の制御部40における紋様処理部20(図16)において、紋様画像をダマとして細分化し、当該ダマ個々の特徴量を紋様パターンとして抽出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば紋様画像を細分化せずに、当該紋様画像を全体的に捉えて紋様パターンを抽出するようにしても良い。
【0226】
例えば図26に示すように、低域成分紋様画像IM2(図8(B))において、まず最低輝度値でなる画素(以下、これを極小点と呼ぶ)PS(PS〜PS)と、当該曲面上において最高輝度値でなる画素(以下、これを極大点と呼ぶ)PL(PL〜PL)とを検出する。ここで低域成分紋様画像IM2の横方向をx軸、縦方向をy軸、輝度値をz軸とおいた場合、図27(A)〜(C)に示すような3次元曲面となる。なお図27(A)は正面の空間状態、図27(B)は側面の空間状態、図27(C)は斜面の空間状態をそれぞれ示している。
【0227】
ここで、極小点PS(図26中の黒丸)は、所定の低輝度値以下でなる画素(以下、これを白画素と呼ぶ)のうち、互いに隣接する白画素の集合を単位とする領域の略中心に存在し、また極大点PL(図26中の黒三角)は、所定の高輝度値以下でなる画素(以下、これを黒画素と呼ぶ)のうち、互いに隣接する黒画素の集合を単位とする領域の略中心に存在しており、これら極小点PS及び極大点PLが低域成分紋様画像IM2に有する紋様の特徴的な点を表していることになる。
【0228】
すなわち紙幣登録装置3の紋様処理部20は、低域成分紋様画像IM2における極小点PS及び極大点PLを検出すると共に輝度平均を算出し、これら極小点PS及び極大点PLにおける位置、輝度値と、輝度平均とを所定方式で符号化することにより紋様パターンとすればよい。
【0229】
また紙幣判別装置4の紋様処理部50は、この紋様パターンを用いて照合処理を行う際、図28(A)に示すようにこの紋様パターンにより表される指定領域AR内の離散した点(すなわち極小点PS及び極大点PL)を基に、図28(B)に示すように当該指定領域ARをボロノイ分割(すなわち基準点(極小点PS及び極大点PL)を除く指定領域ARの全ての画素を、当該画素から最も近い距離に存在する基準点に属するものとしてそれぞれ分割すること)により複数の小領域に分割し、紋様パターンの輝度値を基に、各小領域の輝度状態を決定することにより、図28(C)に示すような再構成低輝度紋様画像RIMを生成し、これと比較用の低域成分紋様画像IM2(図8(B))とに対して相互相関演算処理を施し、合致率を算出すれば良い。
【0230】
さらにこの場合、極小点PS及び極大点PLの両方を用いる以外にも、極小値PSのみを用いるようにしたり、あるいは極大値PLのみを用いるようにしても良い。
【0231】
さらに上述した実施の形態においては、紙幣登録装置3の制御部10における画像分離部22(図7)及び紙幣判別装置4の制御部40における画像分離部22(図16)において、白画素及び黒画素の画素数がそれぞれ低域成分紋様画像IM2(図8(A))における全画素の20[%]となるように白成分紋様画像WIM及び黒成分紋様画像BIMを分離するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図29(A)に示すように、輝度ヒストグラムにおける輝度範囲の中心の輝度値を決定し、当該決定した輝度値から一定の輝度値以下(以上)の画素を白成分紋様画像WIMまたは黒成分紋様画像BIMとして分離するようにしても良い。この場合、中心の輝度値は、例えば最も画素の多い輝度値としたり、図29(B)に示すように、輝度ヒストグラムを任意の度数(画素数)上におけるヒストグラム曲線との2点間における中心の輝度値としても良い。
【0232】
またこの画像分離処理として図29(C)に示すように、低域成分紋様画像IM2(図8(B))における全画素の輝度値の平均輝度値を求め、当該求めた平均輝度値から一定の輝度値以下(以上)の画素を白成分紋様画像WIM(黒成分紋様画像BIM)として分離するようにしても良い。
【0233】
さらに上述した実施の形態においては、紙幣判別装置4が紙幣情報管理装置2から認証用紋様パターンPCを取得して比較用紋様パターンPMと照合することにより偽造紙幣を判別するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば紙幣情報管理装置2が紙幣判別装置4から比較用紋様パターンPMを取得して紙幣情報データベースDBの認証用紋様パターンPCと照合し、その照合結果を当該紙幣判別装置4へ送出するようにしても良い。これにより、紙幣判別装置4の処理負荷を軽減することができ、構成の簡易化やコストの削減を図ることができる。
【0234】
さらに上述した実施の形態においては、紙幣情報データベースDBに登録された盗難有無情報TFによって紙幣BLが盗難された紙幣であるか否かを表すようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば当該盗難有無情報TFとは別に、偽造紙幣として知られている紙幣番号NSと対応付けて偽造紙幣情報を紙幣情報データベースDBに登録しておき、紙幣判別装置4において判別対象紙幣BLDの紙幣番号NSを基に偽造紙幣を判別するようにしても良い。
【0235】
この場合、紙幣判別装置4は、認証用紋様パターンPCと比較用紋様パターンPMとの照合処理を行うことなく偽造紙幣を判別することができるので、処理負荷を軽減することができる。
【0236】
さらに上述した実施の形態においては、紙幣BLを管理する紙幣管理システム1に本発明を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、一意の管理番号が付された紙を管理対象とする紙管理システムに適用することができる。この場合の管理対象の紙としては、例えば商品券やギフト券等の各種金券類、チケット、回数券、小切手や有価証券等の金銭的価値を有する紙に加え、各種免許証やパスポート、登記簿等の各種証明書類等、種々のものを適用できる。
【0237】
さらに上述した実施の形態においては、紙幣管理システム1が1種類の紙幣BLを管理するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該紙幣管理システム1が複数種類の紙幣BLを管理するようにしても良い。この場合、紙幣登録装置3及び紙幣判別装置4は、紙幣BLの種類を識別するようにし、紙幣情報管理装置2は、紙幣BLの種類毎に紙幣情報データベースDBを設けるようにすればよい。また、紙幣管理システム1が紙幣BLに加えて、商品券やギフト券等を合わせて管理するようにしても良い。さらにこの場合、紙幣情報管理装置2を複数用意し、管理対象となる紙幣BLや商品券等の種類毎に対応する紙幣情報管理装置2を分けるようにしても良い。
【0238】
さらに上述した実施の形態においては、紙幣登録装置3の制御部10における各機能ブロック(図7)により紙幣情報登録処理の各機能をソフトウェアにより処理するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば制御部10において図7の各機能ブロックをそれぞれハードウェアにより構成し、ハードウェア構成でなる機能ブロックにより紙幣情報登録処理を実行するようにしても良い。同様に紙幣判別装置4についても、制御部40の各機能ブロック(図16)をソフトウェアにより構成する代わりにハードウェアにより構成し、ハードウェア構成でなる機能ブロックにより紙幣判別処理を実行するようにしても良い。
【0239】
さらに上述した実施の形態においては、管理番号認識手段としての番号認識部25と、紋様情報取得手段としての紋様処理部20と、登録手段としての紙幣情報登録部26とによって印画紙登録装置としての紙幣登録装置3を構成し、また判別対象管理番号認識手段としての番号認識部55と、比較用紋様情報取得手段としての紋様処理部50と、認証用紋様情報取得手段としての紙幣情報取得部56と、判別手段としての偽造判別部57及び盗難判別部58とによって印画紙判別装置としての紙幣判別装置4を構成することにより印画紙管理システムとしての紙幣管理システム1を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の回路構成でなる管理番号認識手段と、紋様情報取得手段と、登録手段とによって印画紙登録装置を構成し、また判別対象管理番号認識手段と、比較用紋様情報取得手段と、認証用紋様情報取得手段と、判別手段とによって印画紙判別装置を構成することにより印画紙管理システムを構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0240】
本発明は、紙幣や商品券等を管理する管理システムでも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0241】
【図1】本発明の一実施形態による紙幣情報管理システムの全体構成を示す略線図である。
【図2】紙の紋様の説明に供する略線図である。
【図3】紋様パターンの登録及び照合の説明に供する略線図である。
【図4】コピーによる紋様の不一致の説明に供する略線図である。
【図5】判別装置番号の登録及び盗難有無情報の確認の説明に供する略線図である。
【図6】紙幣登録装置の構成を示すブロック図である。
【図7】紙幣登録装置における制御部の処理を示すブロック図である。
【図8】低域周波数成分の抽出の説明に供する略線図である。
【図9】画像の分離の説明に供する略線図である。
【図10】輝度ヒストグラムを示す略線図である。
【図11】特徴量の算出の説明に供する略線図である。
【図12】紋様特徴量算出の実験結果を示す略線図である。
【図13】紙幣情報管理装置の構成を示すブロック図である。
【図14】紙幣情報データベースの構成を示す略線図である。
【図15】紙幣判別装置の構成を示すブロック図である。
【図16】紙幣判別装置における制御部の処理を示すブロック図である。
【図17】ダマの照合の説明(1)に供する略線図である。
【図18】ダマの照合の説明(2)に供する略線図である。
【図19】ダマの結合または分離の説明に供する略線図である。
【図20】ダマの結合の説明に供する略線図である。
【図21】ダマの分離の説明に供する略線図である。
【図22】ダマ合致率算出の実験結果を示す略線図である。
【図23】紙幣情報登録処理手順を示すフローチャートである。
【図24】紋様情報生成処理手順を示すフローチャートである。
【図25】紙幣判別処理手順を示すフローチャートである。
【図26】他の実施の形態による紋様パターンの抽出の説明に供する略線図である。
【図27】他の実施の形態による極小点と極大点の検出の説明に供する略線図である。
【図28】他の実施の形態による紋様パターンを用いた画像再構成の説明に供する略線図である。
【図29】他の実施の形態による輝度ヒストグラムに基づく画像処理の説明に供する略線図である。
【符号の説明】
【0242】
1……紙幣管理システム、2……紙幣情報管理装置、3……紙幣登録装置、4……紙幣判別装置、10、30、40……制御部、12……スキャナ部、13、32、43……記憶部、14……通信処理部、20……紋様処理部、25、55……番号認識部、26……紙幣情報登録部、56……紙幣情報取得部、57……偽造判別部、58……盗難判別部、59……紙幣情報更新部、60……通知部、BL……紙幣、BLD……判別対象紙幣、AR……指定領域、AS……紙幣番号領域、NR……登録装置番号、ND……判別装置番号、NS……紙幣番号、PC……認証用紋様パターン、PM……比較用紋様パターン、TF……盗難有無情報、KT……時変キー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一意の管理番号が付された正当印画紙の特徴を表す特徴情報を抽出して所定の管理装置に登録する印画紙登録装置と、判別対象印画紙が上記正当印画紙であるか否かを判別する印画紙判別装置とを有する印画紙管理システムであって、
上記印画紙登録装置は、
上記正当印画紙に付された上記管理番号を認識する管理番号認識手段と、
上記正当印画紙が有する紋様に対応した認証用紋様情報を上記特徴情報として取得する紋様情報取得手段と、
上記管理番号に対応付けて上記認証用紋様情報を上記管理装置に登録する登録手段と
を具え、
上記印画紙判別装置は、
上記判別対象印画紙に付された判別対象管理番号を認識する判別対象管理番号認識手段と、
上記判別対象印画紙が有する紋様に対応した比較用紋様情報を取得する比較用紋様情報取得手段と、
上記管理装置から上記判別対象管理番号に対応付けられた上記認証用紋様情報を取得する認証用紋様情報取得手段と、
上記比較用紋様情報と上記認証用紋様情報とを照合することにより上記判別対象印画紙が上記正当印画紙そのものであるか否かを判別する判別手段と
を具えることを特徴とする印画紙管理システム。
【請求項2】
上記管理装置は、
上記管理番号に対応付けて上記認証用紋様情報と共に上記正当印画紙の盗難有無情報が登録され、
上記印画紙判別装置の上記判別手段は、
上記判別対象印画紙に付された判別対象管理番号に対応付けて登録されている認証用紋様情報と共に上記盗難有無情報を上記管理装置から取得し、上記比較用紋様情報と当該認証用紋様情報とを照合することにより当該判別対象印画紙が上記正当印画紙であるか否かを判別すると共に、当該盗難有無情報に基づいて当該判別対象の印画紙が盗難されたものであるか否かを判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の印画紙管理システム。
【請求項3】
上記印画紙判別装置は、
当該印画紙判別装置を示す一意の判別装置番号が記憶された判別装置番号記憶手段と、
上記判別手段において上記判別対象の印画紙が上記正当な印画紙であると判別された場合に上記判別装置番号を上記管理番号に対応付けて上記管理装置に登録する判別装置番号登録手段と
を具えることを特徴とする請求項1に記載の印画紙管理システム。
【請求項4】
上記管理装置は、
上記印画紙判別装置からの要求に応じて平文でなる上記認証用紋様情報を暗号化した暗号化データを上記判別装置へ送信し、
上記印画紙判別装置の上記認証用紋様情報取得手段は、
上記管理装置から送信された暗号化データを受信して復号化することにより上記認証用紋様情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の印画紙管理システム。
【請求項5】
上記登録装置の上記登録手段は、
上記認証用紋様情報を上記管理番号に対応付けて上記管理装置に対して登録する際、当該認証用紋様情報を所定の暗号化した暗号化データを当該管理装置へ送信し、
上記印画紙管理装置は、
上記印画紙登録装置から送信された暗号化データを復号化することにより上記認証用紋様情報を取得し登録する
ことを特徴とする請求項1に記載の印画紙管理システム。
【請求項6】
上記印画紙登録装置は、
当該印画紙登録装置を示す一意の登録装置番号が記憶された登録装置番号記憶手段
を具え、
上記登録手段は、
上記管理番号に対応付けて上記認証用紋様情報及び上記登録装置番号を上記管理装置に登録する
ことを特徴とする請求項1に記載の印画紙管理システム。
【請求項7】
一意の管理番号が付された判別対象印画紙から判別対象管理番号を認識する判別対象管理番号認識手段と、
上記判別対象印画紙が有する紋様に対応した比較用紋様情報を取得する比較用紋様情報取得手段と、
正当印画紙が有する紋様に対応した認証用紋様情報が予め上記管理番号に対応付けられて登録された所定の管理装置から、上記判別対象管理番号に対応付けられた認証用紋様情報を取得する認証用紋様情報取得手段と、
上記比較用紋様情報と上記認証用紋様情報とを照合することにより上記判別対象印画紙が上記正当印画紙そのものであるか否かを判別する判別手段と
を具えることを特徴とする印画紙判別装置。
【請求項8】
一意の管理番号が付された判別対象印画紙から判別対象管理番号を認識する判別対象番号認識ステップと、
上記判別対象印画紙が有する紋様に対応した比較用紋様情報を取得する比較用紋様情報取得ステップと、
正当印画紙が有する紋様に対応した認証用紋様情報が予め上記管理番号に対応付けられて登録された所定の管理装置から、上記判別対象管理番号に対応付けられた認証用紋様情報を取得する認証用紋様情報取得ステップと、
上記比較用紋様情報と上記認証用紋様情報とを照合することにより上記判別対象印画紙が上記正当印画紙そのものであるか否かを判別する判別ステップと
を具えることを特徴とする印画紙判別方法。
【請求項9】
印画紙判別装置に対して、
一意の管理番号が付された判別対象印画紙から判別対象管理番号を認識する判別対象番号認識ステップと、
上記判別対象印画紙が有する紋様に対応した比較用紋様情報を取得する比較用紋様情報取得ステップと、
正当印画紙が有する紋様に対応した認証用紋様情報が予め上記管理番号に対応付けられて登録された所定の管理装置から、上記判別対象管理番号に対応付けられた認証用紋様情報を取得する認証用紋様情報取得ステップと、
上記比較用紋様情報と上記認証用紋様情報とを照合することにより上記判別対象印画紙が上記正当印画紙そのものであるか否かを判別する判別ステップと
を実行させることを特徴とする印画紙判別プログラム。
【請求項10】
一意の管理番号が付された正当印画紙から当該管理番号を認識する管理番号認識手段と、
所定の印画紙判別装置において判別対象印画紙が有する紋様に対応した比較用紋様情報と照合するために、上記正当印画紙が有する紋様に対応した認証用紋様情報を取得する認証用紋様情報取得手段と、
上記印画紙判別装置において判別対象印画紙が上記正当印画紙そのものであるか否かを判別する際に、当該判別対象印画紙から認識した判別対象管理番号に対応付けて上記認証用紋様情報を所定の管理装置から取得して上記比較用紋様情報と照合できるよう、上記認証用紋様情報を上記管理番号に対応付けて当該管理装置に登録する登録手段と
を具えることを特徴とする印画紙登録装置。
【請求項11】
一意の管理番号が付された正当印画紙から当該管理番号を認識する管理番号認識ステップと、
所定の印画紙判別装置において判別対象印画紙が有する紋様に対応した比較用紋様情報と照合するために、上記正当印画紙が有する紋様に対応した認証用紋様情報を取得する認証用紋様情報取得ステップと、
上記印画紙判別装置において判別対象印画紙が上記正当印画紙そのものであるか否かを判別する際に、当該判別対象印画紙から認識した判別対象管理番号に対応付けて上記認証用紋様情報を所定の管理装置から取得して上記比較用紋様情報と照合できるよう、上記認証用紋様情報を上記管理番号に対応付けて当該管理装置に登録する登録ステップと
を具えることを特徴とする印画紙登録方法。
【請求項12】
印画紙登録装置に対して、
一意の管理番号が付された正当印画紙から当該管理番号を認識する管理番号認識ステップと、
所定の印画紙判別装置において判別対象印画紙が有する紋様に対応した比較用紋様情報と照合するために、上記正当印画紙が有する紋様に対応した認証用紋様情報を取得する認証用紋様情報取得ステップと、
上記印画紙判別装置において判別対象印画紙が上記正当印画紙そのものであるか否かを判別する際に、当該判別対象印画紙から認識した判別対象管理番号に対応付けて上記認証用紋様情報を所定の管理装置から取得して上記比較用紋様情報と照合できるよう、上記認証用紋様情報を上記管理番号に対応付けて当該管理装置に登録する登録ステップと
を実行させることを特徴とする印画紙登録プログラム。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図29】
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【図2】
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【図8】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2006−338548(P2006−338548A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164651(P2005−164651)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】