説明

即席穀類の製造方法

【課題】長期保存が可能で、品質の低下が少なく、水分と接触させることによって喫食可能となる即席穀類を製造できる方法を提供する。また、一般に市販されている穀類を用いて即席穀類を製造でき、しかも水分と接触させて復元したときに、食感が良好で、味が炊き立ての穀類と遜色がないか、炊き立て以上に美味しく復元可能な即席穀類を製造できる方法を提供する。
【解決手段】即席穀類を製造するにあたり、穀類をアルファ化する工程、アルファ化した穀類を凍結温度以下まで冷却する工程、凍結温度以下に冷却したアルファ化穀類を解凍した後、乾燥する工程、を含んで操業する。前記凍結温度の前後は、徐冷することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、即席穀類を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本人の主食は米飯であり、日本人にとって米は非常に重要な食物である。生の米は、そのまま食しても消化が悪いため、通常、水に浸漬させた状態で加熱して炊飯することでアルファ化してから食するのが一般的である。
【0003】
ところが、炊飯には時間がかかるし、少量の米を炊飯しても味が悪く、風味が豊かにならないことが知られている。そこで米を炊飯して一度アルファ化した米飯を乾燥させた即席米飯が知られている。この即席米飯は、水分(例えば、冷水や温水など)と接触させることにより米飯に復元するため、短時間で、しかも必要な分量ずつ喫食可能となる。そのため即席米飯は、単身者や一人暮らしのお年寄りのように、一人分の米飯が欲しいときや、或いは米飯が足りなくなったときの補充分として利用される。また、即席米飯は、水分との接触で簡単に喫食可能となるため、登山やハイキングなどのアウトドアでの食料としても利用されている。
【0004】
また、即席米飯は、生の米を一度アルファ化した米飯を乾燥させているため、酵素が失活されて長期保存が可能となる。そのため災害時の緊急食料、或いは備蓄用食料としても有用である。
【0005】
近年では、食生活の多様化により、米飯以外に、パンやパスタなどを喫食する機会が増えてきている。そのため米の需要と供給バランスが崩れており、毎年古米が発生している。しかし古米を炊飯した米飯は、新米を炊飯した米飯と比べると食感が悪く、味も風味も悪くなる。そこで古米となる前に、新米を炊飯してアルファ化し、これを乾燥することで即席米飯として保存しておくことが有効である。
【0006】
一方、即席米飯は、復元したときに、炊き立ての米飯と比べて味が悪くなるという問題があった。また、即席米飯を喫食可能な状態に復元する際には、通常、温水を用いるが、例えば、災害時のように温水を容易に入手できないときには、冷水を用いなければならないため、冷水を用いても速やかに復元して喫食可能となる即席米飯が望まれている。
【0007】
冷水でも比較的短時間で復元し、しかも復元した米飯の食感が良好な乾燥米飯を提供する技術が、特許文献1に提案されている。この特許文献1には、原料の粳米としてアミロース含量が15重量%以下の低アミロース米を用い、この低アミロース米をアルファ化してアルファ化米を得た後、該アルファ化米を乾燥させて乾燥アルファ米を製造することで、冷水復元性が良好で、しかも復元時に粘りが強く、柔らかく復元し、味がよい乾燥米飯を提供できることが記載されている。しかしこの技術では、原料として用いる粳米のアミロース含量が特定されているため、汎用性がない。
【0008】
なお、即席米飯を提供する技術ではないが、特許文献2には、玄米を白米と同様に電気釜やガス釜で容易に炊くことができ、さらに適当な軟らかさの玄米ごはんを得ることができる加工玄米の製造方法が開示されている。具体的には、この特許文献2の技術では、生の玄米を加熱することで表面に僅かな亀裂を生じさせ、この玄米を水に浸漬させることで、玄米に水を吸収させ、次いで含水させた玄米を冷凍することで玄米内に浸漬した水分を凍結させて水の体積を増加させ、玄米の内部から亀裂を生じさせることにより、炊飯したときに水分を容易に浸透させることによって、玄米を白米と同じ条件で炊いても適当な軟らかさの玄米ごはんを得ている。しかしこの特許文献2は、そもそも玄米を白米と同条件で炊くことができる加工玄米を提供する技術に関するものであり、上記特許文献1のように、水分と接触させることで喫食可能な状態となる即席穀類を提供する技術を開示するものではない。
【特許文献1】特開2004−65077号公報
【特許文献2】特開平11−169110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、この様な状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、長期保存が可能で、品質の低下が少なく、水分と接触させることによって喫食可能となる即席穀類を製造できる方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、一般に市販されている穀類を用いて即席穀類を製造でき、しかも水分と接触させて復元したときに、食感が良好で、味が炊き立ての穀類と遜色がないか、炊き立て以上に美味しく復元可能な即席穀類を製造できる方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、温水のみならず、冷水と接触させても比較的短時間で復元できる即席穀類を製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決することのできた本発明に係る即席穀類の製造方法とは、穀類をアルファ化する工程、アルファ化した穀類を凍結温度以下まで冷却する工程、凍結温度以下に冷却したアルファ化穀類を解凍した後、乾燥する工程、をこの順で含む点に要旨を有する。
【0011】
前記凍結温度の前後は、徐冷することが望ましい。前記穀類として、玄米または白米を用いることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、即席穀類を製造するにあたり、穀類をアルファ化した後、アルファ化した穀類を凍結温度以下に冷却する工程と、凍結したアルファ化穀類を解凍した後に乾燥させる工程を含むように操業することで、品質を低下させることなく長期保存が可能で、しかも一般に市販されている穀類を原料穀類として用いることができるようになり、また水分と接触させて復元したときに、食感が良好で、味が炊き立ての穀類と遜色がないか、或いは炊き立て以上に美味しく復元できる即席穀類を製造できる。原料穀類として、特に玄米を用いた場合には、生の玄米を常法に従って炊いたときよりも、本発明の即席穀類に水分を接触させて復元したものの方が、味が良くなる。
【0013】
また、本発明の製法で得られる即席穀類を喫食可能な状態に復元すると、該復元穀類は、炊き立ての穀類と同程度の柔らかさを有し、一粒一粒の形状が潰れて団子状にならず、一粒一粒がバラけやすくなる。本発明の製造方法で得られる即席穀類は、特に、復元ムラがないため、均一に復元され、食感が良好となる。
【0014】
また、本発明の製法で得られる即席穀類は、温水のみならず、冷水と接触させても比較的短時間で復元でき、喫食可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明者らは、一般に市販されている穀類を原料穀類として用いることができ、品質の低下が少なく、長期保存が可能で、しかも水分と接触させて短時間で復元でき、復元したときに、炊き立ての穀類と同程度か、それ以上の味と食感を有する即席穀類を提供するために、鋭意検討を重ねてきた。その結果、生の穀類をアルファ化した穀類(以下、アルファ化穀類とよぶことがある)を、凍結温度以下まで冷却して一旦凍結させた後、これを室温程度に解凍してから乾燥させれば、上記課題を見事解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0016】
即ち、本発明では、即席穀類を製造する際に、穀類をアルファ化する工程(工程1)、アルファ化した穀類を凍結温度以下まで冷却する工程(工程2)、凍結温度以下に冷却したアルファ化穀類を解凍した後、乾燥する工程(工程3)、をこの順で含むように操業すればよい。アルファ化穀類を、一旦凍結温度以下の温度まで冷却して凍結させることで、穀類の粒内の水を凍結させることができ、この凍結したアルファ化穀類を解凍して乾燥すると、得られた即席穀類には、粒内に空孔ができ、この空孔の存在により、即席穀類の吸水性が向上するからである。
【0017】
また、本発明では、上記凍結温度の前後を急冷するのではなく、時間をかけて徐冷することが好ましい。凍結温度前後の温度域を徐冷することで、穀類の粒内の水が徐々に凍結し、結晶粒の大きな氷が生成するため、この凍結したアルファ化穀類を解凍して乾燥することで、粒内に粗大な空孔ができる。そのため得られた即席穀類は、吸水性が一段と良好となり、比較的短時間で復元可能となる。また、凍結温度前後の温度域を徐冷することで、アルファ化穀類を均一に、ムラなく凍結できるので、一粒一粒の形状が潰れて団子状にならず、一粒一粒がバラけやすくなり、最終的に得られる即席穀類を喫食可能な状態に復元したときに、復元ムラがなく、該復元穀類は炊き立ての穀類と同程度の柔らかさを有し、食感が良好となる。
【0018】
以下、本発明の製造方法について、順を追って説明する。
【0019】
(工程1)穀類をアルファ化する工程
工程1では、まず、穀類をアルファ化する。
【0020】
アルファ化とは、穀類を水に浸漬させた状態で加熱することで澱粉分子内に水が入り、膨潤することを意味する。アルファ化は、容器に穀類と水を入れ、電気やガス等の熱により炊きあげることによって行なうことができる。アルファ化は、常圧で行なってもよいし、加圧下で行なってもよい。常圧でアルファ化するときの加熱温度は、100℃程度であり、加圧下でアルファ化するときの加熱温度は、例えば、100〜180℃程度、好ましくは100〜160℃である。圧力は、当該加熱温度における飽和蒸気圧であればよい。
【0021】
アルファ化する前には、上記穀類を水で洗浄するが、洗浄した後は、前処理として水に数時間浸漬させて静置するのがよい。水に浸漬させることで、穀類の含水率が高くなり、炊き上げたときに穀類の中心部に芯が残ることなく、ふっくら炊き上がるからである。
【0022】
穀類を浸漬させるときの条件は特に限定されないが、水温は、例えば、0〜70℃程度とすればよく、浸漬させて静置させるときの時間は、例えば、20分〜12時間程度とすればよい。
【0023】
穀類を水に浸漬させるにあたっては、例えば、2段階に分けて行なってもよい。即ち、例えば、0〜50℃程度の比較的低温の水に20分〜5時間程度浸漬させた後、50〜70℃程度の比較的高温の水に30分〜12時間程度浸漬させてもよい。なお、2段階に限定されず、3段階以上に分けて行なってもよい。また、バッチ式に限定されるものではなく、低温から高温に徐々に加熱しつつ保持してもよい。
【0024】
また、上記穀類として、特に玄米を用いるときには、前処理として、セルラーゼやアミラーゼなどの酵素を添加してもよい。こうした酵素を添加することで、酵素による作用で、玄米の一部が分解され、即席穀類が復元し易くなり、また柔らかくなって食べ易くなる。
【0025】
アルファ化する際には、穀類の粒の表面をコーティングするために、添加物を配合してもよい。添加物を配合することで、凍結時に穀類同士が凝集するのを防止できるため、即席穀類の一粒一粒がバラけ易くなり、加工性が向上する。また、一粒一粒がバラけることで、復元したときに、食べ易くなり、食感も良好となる。添加物としては、例えば、単糖類やオリゴマー、多糖類、たんぱく質、酒類、塩類などを用いることができる。
【0026】
上記多糖類としては、例えば、アルギン酸や海藻類(例えば、海苔、昆布など)等を挙げることができる。多糖類を添加する際には、アルファ化直前の穀類(含水した状態)の質量に対して、例えば、1%程度以下とするのがよい。
【0027】
上記穀類としては、例えば、玄米や、玄米を精米した白米、もち米を用いることができる。穀類のなかでも玄米の栄養価が高いことは知られているが、本発明の即席穀類の原料穀類として玄米を用いれば、簡単に玄米を摂取可能となる。
【0028】
アルファ化するときの穀類と水との割合(水分比率)は、原料として用いる穀類の種類や、その品種、或いは即席穀類を復元したときの喫食状態に応じて調整すればよい。例えば、喫食状態を炊飯した米飯とする場合や、粥状とする場合では、アルファ化するときの水分比率を変化させる必要がある。
【0029】
喫食状態としては、例えば、白米の米飯、白米の粥、玄米の米飯、玄米の粥があげられるが、もち米に小豆やささげ(大角豆)を1〜2割混ぜて炊いたり、蒸しあげて得られる赤飯、白米に黒豆を混ぜて炊いたり、蒸しあげて得られる黒飯、或いは野菜や魚介類、肉類を混ぜて、味付けして炊いた炊き込みご飯などであってもよい。
【0030】
(工程2)アルファ化した穀類を凍結温度以下まで冷却する工程
アルファ化した穀類は、凍結温度以下まで冷却する。凍結温度以下に冷却することで、上述したように、穀類内部の水分を凍結させることができ、後の工程で、この水分が除去され、穀類内部に空孔を発生させることができ、即席穀類の吸水性を高めることができる。凍結温度とは、穀類の種類によって定まるが、おおよそ−5〜−1℃程度である。
【0031】
アルファ化した穀類を冷却する際には、アルファ化穀類を均一に冷却するために、アルファ化穀類を、例えば、皿やベルトコンベアの上に厚みが均一になるように広げて置けばよい。アルファ化穀類の厚みは、例えば、20mm程度以下とするのが好ましい。
【0032】
本発明では、凍結温度前後の温度域のうち、特に凍結温度を基準として約±1℃の温度域を徐冷することが好ましい。この温度域を徐冷することで、穀類内部の水分を徐々に凍結させることができ、穀類内部に生成する氷の結晶を大きくでき、後の工程でこの氷を溶かして除去することで、穀類の内部に大きな空孔を生じさせることができる。この大きな空孔によって、即席穀類の吸水性が向上する。また、アルファ化穀類の粒同士が多少凝集して塊状になっていたとしても、凍結温度前後の温度域を徐冷することで、塊状の外部と内部の温度差を少なくすることができ、アルファ化穀類をムラなく、均一に冷却して凍結できる。均一に凍結することで、復元ムラが少なくなるため、味が良く、食感も良くなる。
【0033】
凍結温度前後の温度域を徐冷する際には、この温度域の冷却速度を、例えば、2℃/時間以下とすればよい。特に、冷却速度を1℃/時間以下とすることが好ましい。
【0034】
凍結温度以下まで冷却して凍結させた後は、当該凍結温度以下の温度(例えば、−20〜−10℃程度)で保持するのがよい。保持することで、アルファ化穀類が多少凝集して塊状になっていたとしても、塊状の中心部にあるアルファ化穀類の芯部まで完全に凍結させることができ凍結ムラが発生するのを防止できる。凍結温度以下の温度で保持するときの時間は特に限定されないが、30分〜30時間程度でよい。
【0035】
(工程3)凍結温度以下に冷却したアルファ化穀類を解凍した後、乾燥する工程
凍結温度以下で冷却したアルファ化穀類は、解凍した後に乾燥させることが重要である。室温程度(例えば、10〜40℃程度)に解凍してから乾燥すると、凍結乾燥するよりも乾燥し易く、乾燥効率が高くなる。また、解凍してから乾燥すると、乾燥して得られる即席穀類は、一粒一粒の形状が潰れて団子状にならず、一粒一粒がバラけやすくなる。穀類の粒がバラけることで、食感も良好となる。解凍してから乾燥すると、即席穀類が復元されやすくなる。
【0036】
凍結温度以下の温度から解凍するときの条件は特に限定されず、自然解凍してもよいが、適切な条件のもとで加熱解凍すればよい。
【0037】
解凍した後に乾燥するときの条件は特に限定されず、例えば、常圧で温風を吹き付けて乾燥させてもよいし、減圧乾燥してもよい。また、高周波加熱による乾燥を行ってもよい。高周波加熱するときは、減圧しながら行うことが好ましい。
【0038】
乾燥して得られる即席穀類の水分率は、15質量%以下とするのがよい。水分率が高いと、カビが生えて腐敗しやすくなり、長期保存できないからである。即席穀類の水分率は、例えば、120℃で1時間加熱保持して水分を除去し、加熱前後における質量変化から算出すればよい。
【0039】
上記製法で得られる即席穀類は、復元力が高いため、少量の水分と接触するだけで喫食可能となる。そのため、即席穀類に直接、例えば、カレーのルーをかけるだけでもルーに含まれる水分で復元でき、喫食可能となる。また、本発明の即席穀類は、復元力が高いため、調理素材としても用いることができる。例えば、本発明の即席穀類を野菜や肉と一緒に炒めるだけでも、喫食可能となる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0041】
[実施例1]
復元したときの状態が白米の米飯になるように即席穀類を作製した。この白米の凍結温度は、−3℃である。
【0042】
玄米を精米して得られた白米300g(乾燥質量)を水で洗浄した後、10℃の水に浸漬し、1時間静置した。静置後、白米を水中から取り出し、ある程度水分を切った後、質量を測定したところ410gであった。
【0043】
次いでこの白米を60℃の湯に浸漬させて、3時間静置した。静置後、白米を水中から取り出し、ある程度水分を切った後、質量を測定したところ420gであった。白米の吸水率は、40%であった。
【0044】
次に、この白米420gに水130gを加え、飽和蒸気圧で、125℃で1時間加熱してアルファ化(炊飯)して白米の米飯を得た。
【0045】
炊飯して得られた米飯を、皿の上に厚みが約20mmとなるように広げて置き、放冷して3時間かけて凍結温度以下まで冷却した。但し、凍結温度前後の温度域(即ち、−2〜−4℃)の冷却速度は、外気温度を調整して1℃/時間となるように制御して徐冷した。−4℃まで徐冷した後は、更に−10℃まで冷却し、この温度で24時間保持した。
【0046】
24時間放置後、凍結したアルファ化穀類に常温(21℃)の風を吹き付けて解凍し、常温(21℃)とした後、減圧乾燥して即席穀類を得た。得られた即席穀類の含水率は12%であった。
【0047】
得られた即席穀類について、次の評価を行なった。
【0048】
[味と食感と復元の均一性]
即席穀類(白米の米飯)100gに95℃の湯を200g加え、5分静置した後、余分な水分を除去して復元穀類を得た。得られた復元穀類と、常法に従って作製した白米の米飯をパネラー(20代〜60代の男女;10人)に喫食してもらい、復元したものと常法で作製した米飯と比較し、味と食感と復元の均一性を比べた。
【0049】
復元穀類の味は、パネラー10人全員が、常法に従って作製した白米の米飯と遜色がない程度に美味しかったと評価した。
【0050】
復元穀類の食感については、パネラー10人全員が、常法に従って作製した白米の米飯と比べて柔らかさが同程度で、粒の潰れも発生しておらず、個々の粒がバラけやすい状態になっており、食感が良好であると評価した。
【0051】
復元の均一性については、復元穀類を食したときに、復元ムラがなく、個々の粒の堅さが同程度である場合を合格として評価した。その結果、パネラー10人全員が、復元ムラがなく、個々の粒の堅さも同程度で、復元の均一性に優れていると評価した。
【0052】
[実施例2]
復元したときの状態が白米の粥状になるように即席穀類を作製した。この白米の凍結温度は、−3℃である。
【0053】
上記実施例1と同じ手順で含水させた白米420gに、水230gを加え、飽和蒸気圧で、125℃で1時間加熱して粥を作製した。
【0054】
得られた粥を上記実施例1と同じ条件で3時間かけて凍結温度以下まで冷却すると共に、凍結温度前後の温度域(即ち、−2〜−4℃)の冷却速度は、外気温度を調整して1℃/時間となるように制御して徐冷した。−4℃まで徐冷した後は、更に−10℃まで冷却し、この温度で24時間保持した。得られた即席穀類の含水率は10%であった。
【0055】
得られた即席穀類について、次の評価を行なった。
【0056】
[味と食感と復元の均一性]
即席穀類(白米の粥)100gに95℃の湯を400g加え、5分静置して復元穀類を得た。得られた復元穀類と、常法に従って作製した白米の粥をパネラー(20代〜60代の男女;10人)に喫食してもらい、復元したものと常法で作製した粥と比較し、味と食感と復元の均一性を比べた。
【0057】
復元穀類の味は、パネラー10人全員が、常法に従って作製した白米の粥と遜色がない程度に美味しかったと評価した。
【0058】
復元穀類の食感については、パネラー10人全員が、常法に従って作製した白米の粥と比べて柔らかさが同程度で、粒の潰れも発生しておらず、個々の粒がバラけやすい状態になっており、食感が良好であると評価した。
【0059】
復元の均一性については、復元穀類を食したときに、復元ムラがなく、個々の粒の堅さが同程度である場合を合格として評価した。その結果、パネラー10人全員が、復元ムラがなく、個々の粒の堅さも同程度で、復元の均一性に優れていると評価した。
【0060】
[実施例3]
復元したときの状態が玄米の米飯になるように即席穀類を作製した。この玄米の凍結温度は、−3℃である。
【0061】
玄米300g(乾燥質量)を水で洗浄した後、10℃の水に浸漬し、1時間静置した。静置後、玄米を水中から取り出し、ある程度水分を切った後、質量を測定したところ360gであった。
【0062】
次いでこの玄米を60℃の湯に浸漬させて、5時間静置した。静置後、玄米を水中から取り出し、ある程度水分を切った後、質量を測定したところ370gであった。玄米の吸水率は、23.3%であった。
【0063】
次に、この玄米370gに水190gを加え、飽和蒸気圧で、125℃で1時間加熱してアルファ化(炊飯)して玄米の米飯を得た。
【0064】
炊飯して得られた米飯を、皿の上に厚みが約20mmとなるように広げて置き、放冷して3時間かけて凍結温度以下まで冷却した。但し、凍結温度前後の温度域(即ち、−2〜−4℃)の冷却速度は、外気温度を調整して1℃/時間となるように制御して徐冷した。−4℃まで徐冷した後は、更に−10℃まで冷却し、この温度で24時間保持した。
【0065】
24時間放置後、凍結したアルファ化穀類に常温(21℃)の風を吹き付けて解凍し、常温(21℃)とした後、減圧乾燥して即席穀類を得た。得られた即席穀類の含水率は12%であった。
【0066】
得られた即席穀類について、次の評価を行なった。
【0067】
[味と食感と復元の均一性]
即席穀類(玄米の米飯)100gに95℃の湯を200g加え、5分静置した後、余分な水分を除去して復元穀類を得た。得られた復元穀類と、常法に従って作製した玄米の米飯をパネラー(20代〜60代の男女;10人)に喫食してもらい、復元したものと常法で作製した米飯と比較し、味と食感と復元の均一性を比べた。
【0068】
復元穀類の味は、パネラー10人全員が、常法に従って作製した玄米の米飯と遜色がない程度に美味しかったと評価した。
【0069】
復元穀類の食感については、パネラー10人全員が、常法に従って作製した玄米の米飯と比べて柔らかさが同程度で、粒の潰れも発生しておらず、個々の粒がバラけやすい状態になっており、食感が良好であると評価した。
【0070】
復元の均一性については、復元穀類を食したときに、復元ムラがなく、個々の粒の堅さが同程度である場合を合格として評価した。その結果、パネラー10人全員が、復元ムラがなく、個々の粒の堅さも同程度で、復元の均一性に優れていると評価した。
【0071】
[実施例4]
復元したときの状態が玄米の粥状になるように即席穀類を作製した。この玄米の凍結温度は、−3℃である。
【0072】
上記実施例3と同じ手順で含水させた玄米370gに、水290gを加え、飽和蒸気圧で、125℃で1時間加熱して粥を作製した。
【0073】
得られた粥を上記実施例3と同じ条件で3時間かけて凍結温度以下まで冷却すると共に、凍結温度前後の温度域(即ち、−2〜−4℃)の冷却速度は、外気温度を調整して1℃/時間となるように制御して徐冷した。−4℃まで徐冷した後は、更に−10℃まで冷却し、この温度で24時間保持した。得られた即席穀類の含水率は10%であった。
【0074】
得られた即席穀類について、次の評価を行なった。
【0075】
[味と食感と復元の均一性]
即席穀類(玄米の粥)100gに95℃の湯を400g加え、5分静置して復元穀類を得た。得られた復元穀類と、常法に従って作製した玄米の粥をパネラー(20代〜60代の男女;10人)に喫食してもらい、復元したものと常法で作製した粥と比較し、味と食感と復元の均一性を比べた。
【0076】
復元穀類の味は、パネラー10人全員が、常法に従って作製した玄米の粥と遜色がない程度に美味しかったと評価した。
【0077】
復元穀類の食感については、パネラー10人全員が、常法に従って作製した玄米の粥と比べて柔らかさが同程度で、粒の潰れも発生しておらず、個々の粒がバラけやすい状態になっており、食感が良好であると評価した。
【0078】
復元の均一性については、復元穀類を食したときに、復元ムラがなく、個々の粒の堅さが同程度である場合を合格として評価した。その結果、パネラー10人全員が、復元ムラがなく、個々の粒の堅さも同程度で、復元の均一性に優れていると評価した。
【0079】
[比較例]
復元したときの状態が白米の米飯になるように即席穀類を作製した。
【0080】
上記実施例1と同じ条件で炊飯して得られた米飯を、皿の上に厚みが約20mmとなるように広げて置き、放冷して3時間かけて常温(21℃)まで冷却した。冷却後、減圧乾燥して即席穀類を得た。得られた即席穀類の含水率は8%であった。
【0081】
得られた即席穀類について、次の評価を行なった。
【0082】
[味と食感と復元の均一性]
即席穀類(白米の米飯)100gに95℃の湯を200g加え、5分静置した後、余分な水分を除去して復元穀類を得た。得られた復元穀類と、常法に従って作製した白米の米飯をパネラー(20代〜60代の男女;10人)に喫食してもらい、復元したものと常法で作製した米飯と比較し、味と食感と復元の均一性を比べた。
【0083】
復元穀類の味は、パネラー10人全員が、常法に従って作製した白米の米飯より悪く、劣っていると評価した。
【0084】
復元穀類の食感については、パネラー10人全員が、常法に従って作製した白米の米飯と比べて硬く、粒が潰れており、個々の粒が凝集して団子状になっており、食感が不良であると評価した。
【0085】
復元の均一性については、復元穀類を食したときに、復元ムラがなく、個々の粒の堅さが同程度である場合を合格として評価した。その結果、パネラー10人全員が、復元ムラがあり、柔らかい粒と硬い粒が混在し、復元の均一性に劣っていると評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
即席穀類を製造する方法であって、
穀類をアルファ化する工程、
アルファ化した穀類を凍結温度以下まで冷却する工程、
凍結温度以下に冷却したアルファ化穀類を解凍した後、乾燥する工程、
をこの順で含むことを特徴とする即席穀類の製造方法。
【請求項2】
前記凍結温度の前後を徐冷する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記穀類として、玄米または白米を用いる請求項1または2に記載の製造方法。

【公開番号】特開2009−39029(P2009−39029A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207144(P2007−207144)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000134637)株式会社ナード研究所 (31)
【出願人】(302010840)有限会社 丹頂の舞本舗 (2)
【Fターム(参考)】