説明

卵用トレイを安定化させる方法及びシステム

この発明は、トレイ(2)に卵を配置する自動化された方法に関するものであって、トレイのセルにおける卵の有無を自動的に検知し、供給先から卵を持ち上げてトレイの空のセルにそれを配置することを有する。また、この発明は安定化トレイ(2)に卵を配置するシステム及びその方法に関し、トレイは、卵が配置される等間隔に配されたセルを有し、1つ以上のセルに卵がされていないと予期されており、この情報が情報処理ユニットに記憶されているシステムであって、当該システムは、卵ピックアップヘッド(7)を備える、供給トレイ(5)から1個以上の卵を持ち上げ、安定化トレイ(2)の空のセルに配置するように、情報処理ユニットによって駆動されるロボットからなる手段(6)を有している。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、卵用のトレイを安定化させる方法及び自動化システムに関する。
【0002】
〔背景技術〕
家禽産業において、5〜30%の卵が無精卵であるか成長不能であると認識されており、これらはニワトリへの孵化ができない。このような問題を解決するために、有精卵(胚を有する)と無精卵とを区別・除外する技術がいくつか開発されている。現在、最もよく知られている、有精卵か否かを区別する技術解決策としては、仏国特許発明第0512998号に記載されているように、光学または各種光源、特にレーザに基づく区別方法が挙げられる。
【0003】
この卵区別工程は、一般的に「検卵」と呼ばれている。「検卵」を経て、無精卵と識別された卵を除外する工程は一般的に「排除」と呼ばれている。
【0004】
「検卵」および「排除」の工程を組み合わせることにより、孵化してヒヨコが生まれる可能性が高い有精卵を得ることができる。
【0005】
発生学における研究によって、様々な物質を胚に直接または胚の近傍に加えることにより、卵の中のヒヨコに上記物質を加えられるようになった。このような有益な物質を加えることにより、結果として、特に、ヒヨコの著しい発育、病気の防止、孵化する卵の率の増加、または、家禽に係る物理的特性の向上などの効果を得られる場合がある。有精卵に物質を加えることは、一般的に「卵内処理」と呼ばれる。
【0006】
特に、病気予防の場合、さらにワクチン接種の場合は、卵の殻を介して注射することによる「卵内処理」技術が広く用いられている。このような、ワクチン接種による胚への影響を減らしながら卵内処理を行なう注射システムは、仏国特許発明第1505870号に記載されている。
【0007】
経済的理由、そして無精卵の処理に関連する汚染リスク(卵に含まれているアルブミンによる爆発または汚染のリスク)を防止するために、卵内処理は、検卵及び排除工程を経て選択された有精卵に対して行なうことが好ましい。
【0008】
卵内処理の経済的な実現性は、検卵、排除、及び実処理工程のセットを自動化できるかに依存する。これらの工程の一体化及び自動化の技術的な解決策は、仏国特許発明第2873894号にて記載されている。
【0009】
現在、実現可能な、卵の検卵及び排除ステップの自動化された解決手法を行なうには、有精卵がランダムに、プレゼンテーショントレイ全体に広がっている状態を得る必要がある。
【0010】
この特徴を適応するために、特に複雑且つ高コストの、卵内処理用インジェクターが開発されている(例えば、国際公開第06/078499号パンフレットを参照)。
【0011】
または、手動にてプレゼンテーショントレイ上の卵を入れ替えることも考えられ得る。言い換えると、1または複数のオペレーターが、無精卵が排除されたトレイの穴に卵を配置してもよい。この入れ替え工程は一般的に「安定化」と呼ばれている。
【0012】
しかしながら、この手動による「安定化」の選択肢は、自動化された「検卵」、「排除」及び卵内処理にて現在実現されている速度に合わない。
【0013】
本発明の目的は、これらの問題を解決することである。
【0014】
本発明は、有精卵が均一に配置されたトレイを得られるように、「検卵」及び「排除」工程後に、排除された卵を自動的に有精卵に入れ替えることが可能な方法及びシステムに関する。
【0015】
したがって、本発明の目的は、トレイに卵を配置する自動化された方法であって、自動的に、トレイに設けられたセルの中における卵の有無を検知し、供給先から卵を持ち上げ、トレイの空のセルにその持ち上げた卵を配置する工程を含む方法を実現することである。
【0016】
本発明の他の特徴によると、
−卵ピックアップヘッドが、複数個単位の卵を、その複数個の倍数となる数の卵セルを設けた供給トレイまたは安定化トレイから持ち上げる。
【0017】
−前記複数個単位の全ての卵が、供給トレイから別の複数個単位の卵が持ち上げられる前に配置される。
【0018】
−卵ピックアップヘッドが、卵が配置される安定化トレイ上をXおよびY方向に動くことによって、卵が1つずつまたは複数個単位にて配置される。
【0019】
上記方法の他の特徴は、続く卵配置システムの説明において記載されている。
【0020】
また、本発明の目的は、安定化トレイ上に卵を配置するシステムであり、前記トレイは、卵が配置される等間隔に配されたセルを有し、1つ以上のセルに卵が配置されていないと予期されており、この情報が情報処理ユニットに記憶されているシステムであって、卵ピックアップヘッドを備え、供給トレイから1個以上の卵を持ち上げ、安定化トレイの空のセルに配置するように、情報処理ユニットによって駆動されるロボットからなる手段を有するシステムを実現することである。
【0021】
本発明の他の特徴によると、
−システムは、トレイのセル内の卵の有無を検知する手段の下を介して、前記トレイを安定化ステーションまで動かすコンベヤーを有する。
【0022】
−前記検知手段は、センサーが嵌め込まれたガントリー形状のものであって、コンベヤーの上に、トレイが検知手段の下を通るように配されている。
【0023】
−前記ロボットからなる手段における前記卵ピックアップヘッドは、複数個単位の卵を持ち上げる手段を有する。
【0024】
−前記ロボットからなる手段は、卵を1個単位または複数個単位で安定化トレイのセルに配置可能に設けられている。
【0025】
−前記ロボットからなる手段は、供給トレイから複数個単位の卵を持ち上げることができるように設けられており、各複数個単位が前記供給トレイ(5)の約数に対応する。また、ピックアップ管理によって供給トレイに配されているすべての卵を順に複数個単位で持ち上げることができる。
【0026】
−前記ロボットからなる手段は、安定化ステーションにおいて前記卵ピックアップヘッドをX及びY方向に動かす手段を有する。
【0027】
−システムは、トレイのセル内の卵の有無を検知する第二検知手段の下を介して、前記供給トレイを安定化ステーションまで動かす第二コンベヤーを有する。
【0028】
−前記第二コンベヤーは、センサーが嵌め込まれた、ガントリー形状のものであって、コンベヤーの上に、トレイが下を通るように配されている。
【0029】
−前記安定化ステーションは、ピックアップ手段における卵の位置を問わず、ロボットからなる手段が安定化トレイの全てのセルに届き、卵が配置可能な大きさを有する。
【0030】
−ピックアップ手段が情報処理部によって制御され、単独または複数で操作可能であり、後者は、ロボット形成手段の位置に応じて、ピックアップ手段の操作範囲内に配置された空のセルに対応して、これらの手段によって運ばれた有精卵を踏まえて複数の卵を同時に配置することが可能である。
【0031】
本発明は、以下に示す、例示及び添付図面を参照した記載によって十分わかるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る安定化システムの上面図である。
【図2】図1の線A−Aによる断面図である。
【0033】
〔発明を実施するための形態〕
図1および図2には、符号1に示される安定化システムが示されており、符号2に示される卵トレイは符号3に示されるコンベヤーまたは他の搬送手段により運ばれ、いかなる適切な構造をも有している。
【0034】
このようなシステムは、上記にて示唆したように、典型的な卵処理機と一体化されてもよい。
【0035】
卵トレイは、安定化システム内に入るとき、図面において符号4に示される、トレイの各セルにおける卵の有無を検知するガントリーの下を通る。
【0036】
これらの検知手段を実行するには、光学的かどうかにかかわらず、様々な方法を用いることができる。
【0037】
検知は、トレイの各セル内における卵の有無を判断するために、トレイの完全なかつ正確な分析を、トレイ全体及びセルごとに行なえるように、トレイの移動速度に典型的なサーボ制御がなされている。
【0038】
あるいは、この検知装置は省いてもよく、卵の有無に関する情報を事前に行なわれる検卵や排除工程から取得してもよい。しかし、この検知装置を設けることにより、この事前工程における動作不良によって卵が排除されないというリスクをなくすことができるため、より有利である。
【0039】
トレイが完全に分析されると、この安定化トレイ2は、符号5に示される安定化トレイまたは供給トレイから置換え用の卵を持ち上げるように構成されたロボットの形態をとる自動化された手段を有する安定化ステーションに到達する。ここで、安定化トレイの空の穴に卵を入れる、すなわち空の穴を埋める。
【0040】
この目的を達成するために、システムは、図面において符号6に示されるロボットからなる手段を有し、この手段は図面において符号7に示される卵ピックアップヘッドをX及びY方向に動かす手段を有し、該卵ピックアップヘッドは、安定化トレイ5上にある複数個の卵を持ち上げて、安定化トレイ2の空のセルに配する手段を有する。安定化トレイ5には、持ち上げられた複数個の卵の数の倍数となるセルの数が設けられている。
【0041】
これらロボットからなる手段は、安定化トレイの空きセルを特定するガントリー4の検知手段と接続されているコンピュータまたは情報処理ユニットによって駆動されている。これらの手段はまた、安定化トレイ5中の複数個の卵を順に検査するように駆動されている。
【0042】
これらの図面に記載されている実施形態では、ピックアップヘッドは、5行×5列に渡って配されている25個の複数個の卵を持ち上げられるピックアップ手段を備え、安定化トレイは25個の卵のまとまりが6つ収まる構造を有する。
【0043】
もちろんのこと、他の様々な実施形態も考えられ得る。
【0044】
例えば、ロボットからなる手段6は、電気モータなどによって作動してもよい。
【0045】
ピックアップヘッド7及び卵ピックアップ手段は、最高技術水準においてこのような種の卵を扱うことが公知であり、吸引手段を備えた吸着カップ持ち上げ/降ろし手段としてジャックが設けられたいかなる適切な構造を有していてもよい。
【0046】
安定化トレイが一杯になると、処理装置の別のステーションに運ばれてきてもよい。つまり、例えばこれらの卵にワクチン接種をするためのステーションに運ばれてきてもよい。
【0047】
安定化トレイを取得する方法としては、様々な方法が考えられる。
【0048】
例えば、手動で補充されたり、ガントリー4の検知手段の下を第一トレイが通る間に取得されたりしてもよい。
【0049】
なお、例えば、埋めるべき穴の数によって、安定化トレイが止まったり、配置がずれたりすることがある。
【0050】
したがって、このようなシステムが、卵処理速度に関していくつもの利点を有することは理解し得るであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイ(2)に卵を配置する、自動化された方法であって、
自動的な手法によって、トレイに設けられたセルの中における卵の有無を検知し、供給先から卵を持ち上げ、トレイの空のセルに持ち上げた卵を配置することを含む方法。
【請求項2】
卵ピックアップヘッド(7)が、複数個単位の卵を、上記複数個単位の倍数となる数の卵セルを設けた供給トレイ(5)から持ち上げることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数個単位の全ての卵が、供給トレイ(5)から別の複数個単位の卵が持ち上げられる前に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記卵ピックアップヘッド(7)が、卵が配置される安定化トレイ(2)上をXおよびY方向に動くことによって、卵が1個単位または複数個単位にて配置されることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
安定化トレイ(2)上に卵を配置するシステムであり、
前記トレイ(2)は、卵が配置される等間隔に配されたセルを有し、1つ以上のセルに卵が配置されていないと予期されており、この情報が情報処理ユニットに記憶されているシステムであって、
卵ピックアップヘッド(7)を備え、供給トレイ(5)から1個以上の卵を持ち上げ、安定化トレイ(2)の空のセルに配置するように、情報処理ユニットによって駆動されるロボット(6)からなる手段を有するシステム。
【請求項6】
トレイ(2)のセル内の卵の有無を検知する手段の下を介して、前記トレイを安定化ステーションまで動かすコンベヤー(3)を有することを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記検知手段(4)は、コンベヤーの上方で、かつ、トレイ(2)が下方を移動する位置にセンサーが取り付けられたガントリー形状となっていることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ロボットからなる手段における前記卵ピックアップヘッド(7)は、複数個単位の卵を持ち上げる手段を有することを特徴とする、請求項5〜7の何れか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記ロボットからなる手段は、卵を1個単位または複数個単位で安定化トレイのセルに配置可能に設けられていることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ロボットからなる手段は、供給トレイ(5)から複数個単位の卵を持ち上げることができるように設けられており、各複数個単位が前記供給トレイ(5)の約数に対応することを特徴とする、請求項8または9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ロボットからなる手段は、安定化ステーションにおいて前記卵ピックアップヘッド(7)をX及びY方向に動かす手段を有することを特徴とする、請求項5〜10の何れか1項に記載のシステム。
【請求項12】
トレイ(5)のセル内の卵の有無を検知する第二検知手段の下を介して、前記供給トレイ(5)を安定化ステーションまで動かす第二コンベヤーを有することを特徴とする、請求項5〜10の何れか1項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−519136(P2010−519136A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549462(P2009−549462)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050259
【国際公開番号】WO2008/110729
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(509230425)エッグ チック オートメイテッド テクノロジーズ (3)
【氏名又は名称原語表記】EGG CHICK AUTOMATED TECHNOLOGIES
【住所又は居所原語表記】14,rue Bonnets Rouge,F−35740 Pace,France
【Fターム(参考)】