説明

原反の供給装置、シート貼付装置及び貼付方法

【課題】原反の供給を行う際に、折り畳まれた原反の積層崩れを防止することのできる供給装置と、この供給装置を用いたシート貼付装置及び貼付方法を提供する。
【解決手段】帯状の剥離シートRLにラベルLが仮着されるとともに、所定間隔で折り畳まれることで積層状態とされた原反Rを供給する供給装置11を備えてシート貼付装置10が構成されている。この供給装置11は、カセットホルダ20と、積層状態にある原反Rを収容するカセット21とを含んで構成されている。カセット21はカセットホルダ20に着脱自在に設けられている。また、カセットホルダ20は、カセット21内の原反Rが少なくなったときの当該原反Rを仮置きするスライド板28を仮置き手段として備えており、このスライド板28に使用中の原反Rを仮置きして次に用いる原反Rを新たなカセット21に収容したまま接続して供給できるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定間隔で折り畳まれることで積層状態とされた帯状原反の供給装置、シート貼付装置及び貼付方法に係り、特に、剥離シートに接着シートが仮着されるとともに、所定間隔で折り畳まれることで積層状態とされた原反を供給する際に、原反の積層崩れを防止することのできる原反の供給装置、シート貼付装置及び貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、帯状の剥離シートの一方の面にラベル等の接着シートが仮着された帯状の原反を用い、当該原反を繰り出す途中で剥離シートからラベルを剥離しつつ被着体に貼付することのできるシート貼付装置が知られている(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3013520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシート貼付装置は、前記原反のロールを供給装置に適用する他、所定長さごとに交互に折り畳んで積層状とした原反を供給装置に適用する構成も示唆されている。
しかしながら、折り畳んだ状態の原反を使用する場合、オペレータが原反供給する際に、当該原反の積層崩れが生じてしまう、という不都合がある。特に産業用に用いられるシート貼付装置は、自動で搬送される被着体周辺に設置されるため、これら搬送用機器によってオペレータがバランスを崩しやすく、上記不都合が多発する。
【0005】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、折り畳まれた原反を用いる場合において、原反供給時に当該原反の積層崩れを防止することのできる供給装置と、この供給装置を用いたシート貼付装置及び貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、所定間隔で折り畳まれることで積層状態とされた帯状の原反を供給可能とする原反の供給装置において、
前記折り畳まれた原反を収容するカセットと、当該カセットを支持するカセットホルダとを含み、前記カセットホルダは、前記カセット内の原反が少なくなったときの当該原反を仮置きする仮置き手段を備え、前記カセットホルダに支持されたカセットを、次に用いる原反を収容したカセットと交換可能に設けられる、という構成を採っている。
【0007】
また、本発明は、帯状の剥離シートに所定間隔をおいて接着シートが仮着されるとともに、所定間隔で折り畳まれることで積層状態とされた原反を供給する供給装置と、前記原反に繰出力を付与する繰出手段と、前記剥離シートから接着シートを剥離する剥離手段と、剥離された接着シートを被着体に貼付する押圧手段とを備えたシート貼付装置において、
前記供給装置は、前記原反を収容するカセットと、当該カセットを支持するカセットホルダとを含み、前記カセットは前記カセットホルダに着脱自在に設けられる、という構成を採っている。
【0008】
前記供給装置におけるカセットホルダは、前記カセット内の原反が少なくなったときの当該原反を仮置きする仮置き手段を備え、前記カセットホルダに支持されたカセットを、次に用いる原反を収容した新たなカセットと交換可能に設けられている。
【0009】
また、前記シート貼付装置は、前記接着シートに印字を行うプリンタを更に含んで構成することができる。
【0010】
更に、本発明は、帯状の剥離シートに所定間隔をおいて接着シートが仮着された原反を用い、当該原反を繰り出す途中で前記剥離シートから接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付方法において、
前記原反を折り畳んだ状態で収容するカセットと、当該カセットを着脱自在に収容するカセットホルダとを用い、
前記カセットをカセットホルダによって支持して原反を供給可能に設けておき、原反の残量が少なくなったときに当該原反を仮置き手段に仮置きした後、前記カセットホルダに支持されたカセットを、次に用いる原反を収容したカセットと交換するとともに、次に用いられる原反のリード端を前記仮置きされた原反の終端部に接続する、という手法を採っている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定間隔で折り畳まれることで積層状態とされた原反をカセットに収容した状態で、当該カセットがカセットホルダに着脱自在に設けられているため、カセットが原反の積層状態を常に安定した状態で維持することとなる。従って、オペレータが原反供給する際に、積層崩れが生じるような不都合は生じない。
特に、前記カセットホルダに原反の仮置き手段を設けた構成によれば、カセットホルダ内にある空のカセットを除去し、次に使用される原反のカセットをカセットホルダに装着した状態で、使用中の原反の終端部と次に使用される原反のリード端とを接続することもできる。
また、接着シートに印字を行うプリンタを含んでシート貼付装置を構成した場合には、接着シートに印字されるべき情報を可変として汎用的に利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1には、本発明の実施形態に係るシート貼付装置の概略斜視図が示され、図2には、その詳細構造を表した正面図が示されている。これらの図において、シート貼付装置10は、帯状の剥離シートRLに接着シートとしてのラベルLが仮着された原反Rを対象とし、所定間隔で折り畳まれることで積層状態とされた原反Rを供給する供給装置11と、前記原反Rに繰出力を付与する繰出手段12と、ラベルLに印字を行うプリンタ13と、前記剥離シートRLからラベルLを剥離する剥離手段14と、剥離されたラベルLを被着体Wに貼付する押圧手段15と、剥離シートRLを巻き取る巻取手段16とを備えて構成されている。ここで、前記繰出手段12、プリンタ13及び剥離手段14は、図示しない操作盤等を前面側に備えたケース17内に配置されており、当該ケース17は、図2に示されるように、供給装置11からの原反Rの導入口17Aと、ラベルLの排出口17Bとを備えて構成されている。
【0014】
前記供給装置11は、カセットホルダ20と、前記積層状態の原反Rを収容するとともに、前記カセットホルダ20に着脱自在に設けられたカセット21とを含む。カセットホルダ20は、上下一対の支持アーム23を介して前記ケース17の側面に支持されている。このカセットホルダ20は、カセット21を下方と左方から支えるとともに、前記支持アーム23に固定された正面視略L字状の規制板25と、補助側板26とからなる。本実施形態では、前記カセット21を規制板25上に載置したときに、カセット21の上部に位置して原反Rの仮置き手段を構成するスライド板28が図2中左右方向に移動可能に設けられている。
【0015】
前記カセット21は、図3に示されるように、所定間隔で折り畳まれて積層状態とされた原反Rを下部で支持する底板30と、原反Rの左方を規制する起立板31と、これら底板30及び起立板31に連なる一対の側板33とからなる。側板33は、図2中右側上部が斜めに切除された形状に設けられているとともに、一部が前記補助側板26の右側端部から露出する大きさに設けられ、これにより、カセット21がカセットホルダ20に対して容易に出し入れできるようになっている。
なお、ここでは図示省略しているが、供給装置11は、カセット21に収容された原反Rの残量の検知手段を含んで構成されている。
【0016】
前記繰出手段12は、モータMと、当該モータの出力軸に連結された駆動ローラ35と、この駆動ローラ35との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ36とにより構成されている。
【0017】
前記プリンタ13は、ラベルLの面に相対するプリンタヘッド38と、このプリンタヘッド38との間に原反Rを通紙可能に挟み込むプラテンローラ39と、インキリボン40を支持する支持ローラ42と、図示しないモータによってインキリボン40を巻き取る巻取ローラ43とからなる。
【0018】
前記剥離手段14は、ピールプレート45により構成され、当該ピールプレート45は、その先端が前記ケース17の排出口17Bに臨むように配置されている。従って、剥離シートRLの繰出方向をピールプレート45の先端で転向させることで、当該剥離シートRLから剥離されるラベルLは前記排出口17Bから外部に排出される。
【0019】
前記押圧手段15は、前記ケース17の外側面に固定されたシリンダ47と、当該シリンダ47のピストンロッド48の先端に固定されたバキュームグリッド49とからなる。このバキュームグリッド49は、前記排出口17Bから排出されるラベルLを吸着するとともに、ピストンロッド48の伸長によって、下方の搬送路50上を搬送されてくる被着体Wの上面にラベルLを押圧して貼付するようになっている。
【0020】
前記巻取手段16は、巻取ローラ52により構成されている。この巻取ローラ52は、図示しないモータを介して駆動可能に設けられる。
【0021】
次に、本実施形態に係るシート貼付装置10の動作及び原反Rの接続要領について、図4をも参照しながら説明する。
【0022】
図2に示されるように、所定間隔で折り畳まれて積層状態の原反Rは、カセット21を介してカセットホルダ20内に収容され、所定長さ引き出されるとともに、前記導入口17Aを通じてケース17内に導入される。そして、原反Rは、プリンタヘッド38及びプラテンローラ39間に通紙され、ピールプレート45に掛け回された後、駆動ローラ35とピンチローラ36との間を通ってリード端が巻取ローラ52に固定される。この際、スライド板28は、図1に示されるように、ケース17側に突出した退避位置に保たれる。
【0023】
電源投入により、モータMが駆動して駆動ローラ35が回転することにより、原反Rの繰り出しが開始され、同時に、ラベルLへの印字及び剥離シートRLの巻き取りが行われる。ピールプレート45上の所定位置に印字済みのラベルLが到達したことを図示しないセンサが検出すると、モータMの駆動が一時的に停止して原反Rの繰り出しを停止する。そして、被着体Wが搬送路50上の所定位置に搬送されてきたことを図示しないセンサにより検出されたときに、前記モータM及び駆動ローラ35が駆動して原反Rの繰り出しが再び開始され、ピールプレート45の先端でラベルLを剥離シートRLから剥離してケース17の排出口17Bから排出する。排出されたラベルLはバキュームグリッド49に吸着保持され、図2中二点鎖線で示される位置にバキュームグリッド49が下降することでラベルLが被着体Wに貼付される。なお、被着体Wは、ラベル貼付動作中は図示しないストッパによって所定の位置で停止しており、ラベル貼付が完了すると搬送路50に沿って搬送される。
【0024】
原反Rの消費が進み、カセット21内の残存量が少なくなったことが図示しないセンサにより検出されると、所定のアラームが報知され、オペレータが次の原反Rの供給作業を行う。
【0025】
この供給は、図4に示されるように、前記退避位置(二点鎖線位置参照)にあったスライド板28を実線位置に引き出し、使用中の原反をカセット21内から取り出してスライド板28上に仮置きする。そして、空になったカセット21を排除し、新たな原反Rが収容されたカセット21をカセットホルダ20内に収容する。なお、カセット21は、排除されたものを使い回してもよいし、別のものを用意してもよい。次に、カセット21内の原反Rのリード端を前記仮置きされている原反Rの終端部に連結する。なお、原反Rの終端部には、図示しない剥離材でカバーされた粘着剤層が設けられており、これを利用して次に供給される原反Rのリード端に貼り付けることで原反Rの接続を行うことができる。次いで、スライド板28を退避位置に再び移動させるとともに、仮置きされた原反Rを新たな原反Rの上部に載せればよい。これにより、以後同様の作業を行うことで、ラベルLの連続的な貼付が可能となる。
【0026】
従って、このような実施形態によれば、オペレータによる原反Rの供給に際して、原反Rはカセット21によって安定した状態で維持されるため、積層崩れが生じることがなくなる。また、使用中の原反Rに、次に使用する原反Rを接続する際にも、次に使用する原反Rをカセット21内に収容した状態で行うことができるため、積層された原反Rが崩れてしまうような不都合を回避することができ、供給作業を容易に行うことができる、という効果を得る。
【0027】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
【0028】
例えば、ラベルLは、繰り出しの途中で印字される構成としたが、予め印字されたラベルLを対象としたものであってもよく、この場合には、プリンタ13を省略することができる。
【0029】
更に、前記実施形態では、シート貼付装置10に供給装置11が適用された場合を図示、説明したが、帯状をなす原反を供給して所定処理を行うように構成された装置一般に適用することを妨げない。
【0030】
また、前記カセットホルダ20及びカセット21の形状は図示例に限定されるものではない。要するに本発明は、折り畳まれた原反Rを供給する際に、積層崩れが発生すことがないように構成される限り、種々の形状等、任意に設計変更を行うことができる。
【0031】
更に、接着シートはラベルLに限定されることなく、半導体ウエハ等に貼付してその回路面を保護する保護シートや、リングフレームに半導体ウエハをマウントするマウントシートやダイシングシート等であってよい。
【0032】
更に、被着体Wを半導体ウエハとし、接着シートによってリングフレームと一体化したり、回路面に保護シートを貼付するシート貼付装置としても使用できる。このような場合、原反Rは、リングクレームの形状や、半導体ウエハの形状に沿った接着シートが剥離シートRL上に仮着されたものを使用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係るシート貼付装置の概略斜視図。
【図2】ケース内の構造を表したシート貼付装置の全体構成を示す概略正面図。
【図3】供給装置の分解斜視図。
【図4】原反の接続を行って供給作業を行う状態を示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0034】
10 シート貼付装置
11 供給装置
12 繰出手段
13 プリンタ
14 剥離手段
15 押圧手段
20 カセットホルダ
21 カセット
28 スライド板(仮置き手段)
L ラベル(接着シート)
R 原反
RL 剥離シート
W 被着体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で折り畳まれることで積層状態とされた帯状の原反を供給可能とする原反の供給装置において、
前記折り畳まれた原反を収容するカセットと、当該カセットを支持するカセットホルダとを含み、前記カセットホルダは、前記カセット内の原反が少なくなったときの当該原反を仮置きする仮置き手段を備え、前記カセットホルダに支持されたカセットを、次に用いる原反を収容したカセットと交換可能に設けられていることを特徴とする原反の供給装置。
【請求項2】
帯状の剥離シートに所定間隔をおいて接着シートが仮着されるとともに、所定間隔で折り畳まれることで積層状態とされた原反を供給する供給装置と、前記原反に繰出力を付与する繰出手段と、前記剥離シートから接着シートを剥離する剥離手段と、剥離された接着シートを被着体に貼付する押圧手段とを備えたシート貼付装置において、
前記供給装置は、前記原反を収容するカセットと、当該カセットを支持するカセットホルダとを含み、前記カセットは前記カセットホルダに着脱自在に設けられていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項3】
前記カセットホルダは、前記カセット内の原反が少なくなったときの当該原反を仮置きする仮置き手段を備え、前記カセットホルダに支持されたカセットを、次に用いる原反を収容したカセットと交換可能に設けられていることを特徴とする請求項2記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記接着シートに印字を行うプリンタを更に含むことを特徴とする請求項2又は3記載のシート貼付装置。
【請求項5】
帯状の剥離シートに所定間隔をおいて接着シートが仮着された原反を用い、当該原反を繰り出す途中で前記剥離シートから接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付方法において、
前記原反を折り畳んだ状態で収容するカセットと、当該カセットを着脱自在に収容するカセットホルダとを用い、
前記カセットをカセットホルダによって支持して原反を供給可能に設けておき、原反の残量が少なくなったときに当該原反を仮置き手段に仮置きした後、前記カセットホルダに支持されたカセットを、次に用いる原反を収容したカセットと交換するとともに、次に用いられる原反のリード端を前記仮置きされた原反の終端部に接続することを特徴とするシート貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−45827(P2009−45827A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213770(P2007−213770)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】