説明

原稿スキャニング装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】原稿スキャニング装置が汚染されることを防止することができ、原稿スキャニング装置の取替えを容易に行うことができる原稿スキャニング装置及びそれを備えた画像形成装置の提供。
【解決手段】原稿をスキャニングする原稿スキャニング装置において、原稿に向けて入射光を照射して原稿から反射した反射光を検知してイメージデータを得るイメージセンサユニットと、イメージセンサユニットを支持する支持体と、イメージセンサユニットをスキャニング位置とキャリブレーション位置との間で移動させる移動ユニットと、イメージセンサユニットと、支持体と、移動ユニットとを収容するハウジングと、入射光と反射光とを透過させる透明板と、透明板の外部に露出した表面に貼り付けられ、キャリブレーション位置を含む領域に配置されるキャリブレーションシートと、ハウジングと結合されてハウジングの内部を密封するハウジングカバーとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿スキャニング装置及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に、汚染物質による汚染を防止することができる原稿スキャニング装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機又は複合機のような画像形成装置は、一般的に原稿をコピーするためにスキャニング装置を備える。また、画像形成装置は、複数枚の原稿を一枚ずつスキャニング装置に供給する装置として、自動原稿給紙装置(ADF)を備え、それにより、ユーザの便宜性が向上する。
最近では、原稿の両面を同時にスキャニングする機能が画像形成装置に提供され、両面スキャニング(duplex scanning)と呼ばれている。
【0003】
両面スキャニング方法には、一つの原稿スキャニング装置を使用する方法と、二つの原稿スキャニング装置を使用する方法とがある。
二つの原稿スキャニング装置を使用する方法は、シングルパス両面スキャニング(single pass duplex scanning)と呼ばれ、原稿が移送される過程で、二つの原稿スキャニング装置が原稿の片面ともう片面をそれぞれスキャニングするものである。
【0004】
一つの原稿スキャニング装置を使用する方法においては、原稿を裏返すために反転パスを必要とするが、シングルパス両面スキャニング方法では、このような反転パスを必要としない。
従って、高速スキャニング作業のためには、シングルパス両面スキャニング方法の方が有利である。
【0005】
シングルパス両面スキャニング方法を用いる画像形成装置において、何れか一方の原稿スキャニング装置は、プラテン(platen)の下に配置され、他方の原稿スキャニング装置は、ADFに配置されるのが一般的である。ADFに配置される原稿スキャニング装置は、外部に露出しており、汚染物質(例えば、空気中の埃や原稿移送過程で生じる紙粉)にさらされるおそれがある。
【0006】
このような汚染物質が、原稿スキャニング装置に付着すると、コピーの品質が低下してしまうため、原稿スキャニング装置の汚染を防止する技術が求められる。
また、原稿スキャニング装置には一定の寿命があるため、一定時間使われた原稿スキャニング装置を取り替える必要がある。しかし、ユーザが直接原稿スキャニング装置を取り替えることは、大変手間のかかる作業であるため、通常、メーカーのアフターサービスを要求せざるを得ないという問題がある。そのため、原稿スキャニング装置の取替えを容易に行なえる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許公開第2007−0050688号公報
【特許文献2】特開平5−191572号公報
【特許文献3】特開平5−43663号公報
【特許文献4】特開2003−315934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の原稿スキャニング装置の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、原稿スキャニング装置が汚染されることを防止することができ、原稿スキャニング装置の取替えが容易に行うことができる原稿スキャニング装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による原稿スキャニング装置は、原稿に向けて入射光を照射して原稿から反射した反射光を検知してイメージデータを得るイメージセンサユニットと、前記イメージセンサユニットを支持する支持体と、前記イメージセンサユニットをスキャニング位置とキャリブレーション位置との間で移動させる移動ユニットと、前記イメージセンサユニットと、前記支持体と、前記移動ユニットとを収容するハウジングと、前記入射光と前記反射光とを透過させる透明板と、前記透明板の外部に露出した表面に貼り付けられ、前記キャリブレーション位置を含む領域に配置されるキャリブレーションシートと、前記ハウジングと結合して前記ハウジングの内部を密封するハウジングカバーとを有することを特徴とする。
【0010】
前記イメージセンサユニットは、前記透明板に密着した状態で、前記スキャニング位置と前記キャリブレーション位置との間を移動することが好ましい。
【0011】
前記原稿スキャニング装置は、前記イメージセンサユニットを前記透明板側に加圧する弾性部材を更に有することが好ましい。
前記弾性部材は、一端が前記支持体に接続し、他端が前記イメージセンサユニットに接続される少なくとも一つのバネを有することが好ましい。
【0012】
前記透明板は、前記ハウジングカバーに形成されることが好ましい。
前記移動ユニットは、駆動力を提供するモーターと、前記モーターが提供した駆動力を、前記イメージセンサユニットを支持する前記支持体に伝達する伝動装置とを含むことが好ましい。
【0013】
前記伝動装置は、前記モーターの回転軸に形成されるワームと、前記ワームとかみ合うワームホイールと、前記ワームホイールとかみ合い前記支持体に形成されたラックとを含むことが好ましい。
前記ハウジングには、前記イメージセンサユニットの移動をガイドするガイドシャフトが形成され、前記支持体には前記ガイドシャフトに移動自在にかみ合うガイドホルダーが形成されていることが好ましい。
【0014】
前記モーターは、前記ハウジングの一端に配置され、前記ガイドシャフトは前記ハウジングの他端に配置されていることが好ましい。
前記原稿スキャニング装置は、前記透明板の外部に露出した前記表面に貼り付けられ、前記スキャニング位置を含む領域に配置された透明シートを更に有することが好ましい。
【0015】
前記キャリブレーションシートと前記透明シートとの厚さは、同一であることが好ましい。
前記キャリブレーションシートは、前記原稿の移送方向を基準に前記透明シートの上流に配置され、前記キャリブレーションシートの厚さは、前記透明シートの厚さより厚いことが好ましい。
前記透明シートは、前記原稿の移送方向を基準に前記キャリブレーションシートの上流に配置され、前記透明シートの厚さは前記キャリブレーションシートの厚さより厚いことが好ましい。
【0016】
前記原稿スキャニング装置は、前記キャリブレーションシート上に貼り付けられ、前記キャリブレーションシートを保護する保護フィルムを更に含むことが好ましい。
前記保護フィルムの摩擦係数は、前記キャリブレーションシートの摩擦係数より低いことが好ましい。
【0017】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による画像形成装置は、原稿を移送パスに沿って移送する自動原稿給紙装置と、前記移送パスに沿って移送される前記原稿の一方の片面をスキャニングする第1原稿スキャニング装置と、前記移送パスに沿って移送される前記原稿の他方の片面をスキャニングする請求項1ないし15のうち何れか一項に記載の第2原稿スキャニング装置と、前記第1原稿スキャニング装置及び第2原稿スキャニング装置から受信したイメージデータに従って印刷媒体に画像を形成する画像形成ユニットと、を有することを特徴とする。
【0018】
前記第2原稿スキャニング装置は、前記自動原稿給紙装置に着脱自在に装着されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る原稿スキャニング装置及びそれを備えた画像形成装置によれば、汚染物質による汚染を防止することができる効果がある。
また、本発明に係る原稿スキャニング装置及びそれを備えた画像形成装置によれば、原稿スキャニング装置が寿命に達している場合に、原稿スキャニング装置を容易に取り替えることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による画像形成装置の概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるスキャニングモジュールの概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるスキャニングモジュールの概略断面図である。
【図4】図3の一部を拡大して示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態においてADFカバーが取り外された様子を示す概略斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態において第2原稿スキャニング装置の概略斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態においてハウジングカバーが取り外された第2原稿スキャニング装置の概略斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態においてイメージセンサユニットが原稿をスキャニングするスキャニング位置にある場合を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態において基準イメージデータを得るためにイメージセンサユニットがキャリブレーション位置にある場合を示す図である。
【図10】図7のX−X線に沿った概略断面図である。
【図11】図7のA領域を拡大して示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態の概略図である。
【図13】本発明の他の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の原稿スキャニング装置及びそれを備えた画像形成装置を実施するための形態の具体例を、詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による画像形成装置1の概略斜視図である。
このような画像形成装置1は、コピーできるコピー機や複合機などであり、スキャニングモジュール2と印刷モジュール3とを有する。
【0023】
スキャニングモジュール2は、原稿をスキャニングしてイメージデータを生成し、印刷モジュール3は、スキャニングモジュール2からイメージデータを受信して印刷媒体に画像を形成する。
また、スキャニングモジュール2は、IIT(Image Input Terminal)と称してもよく、印刷モジュール3は、IOT(Image Output Terminal)と称してもよい。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態におけるスキャニングモジュール2の概略斜視図であり、図3は、スキャニングモジュール2の概略断面図であり、図4は、図3の一部を拡大して示す図である。
図2及び図3に示すように、本実施形態に係るスキャニングモジュール2は、自動原稿給紙装置(ADF)10と、第1原稿スキャニング装置100と、第2原稿スキャニング装置200とを有している。
【0025】
ユーザは、ADF10を用いて原稿を自動的にコピーすることができるが、ADF10を用いることなく、原稿を手動でコピーすることもできる。
先ず、ユーザが手動で原稿をコピーする場合について説明し、その後にユーザが自動的に原稿をコピーする場合について説明する。
【0026】
図2〜図4では、ADF10がメインプラテン20に被さった状態を示しているが、ADF10は、メインプラテン20が露出するように持ち上げることができる。
ユーザがADF10を用いずに、一枚の原稿や本などを手動でコピーする場合、ユーザはADF10を持ち上げた後、コピーする原稿や本をメインプラテン20上に載せる。そうすることにより、第1原稿スキャニング装置100は、メインプラテン20上に置かれた原稿や本をスキャニングすることができる。
【0027】
第1原稿スキャニング装置100は、光源110と、第1ミラー121、第2ミラー122、第3ミラー123及びイメージセンサ130を有している。
光源110と第1ミラー121は、光源キャリア140によって支持されており、第2ミラー122、第3ミラー123は、ミラーキャリア150によって支持されている。
【0028】
光源キャリア140とミラーキャリア150は、図示していない駆動手段によって、ガイドレール160に沿って移動することができる。
光源キャリア140がガイドレール160に沿って移動する間に、光源110は、メインプラテン20に向けて光を照射する。
光源110から照射された光は、メインプラテン20上に置かれた原稿から反射される。
【0029】
メインプラテン20上に置かれた原稿から反射した反射光は、第1ミラー121、第2ミラー122及び第3ミラー123を介してイメージセンサ130に向かう。
イメージセンサ130は、このような反射光から所定のイメージデータを生成し、生成されたイメージデータは、印刷モジュール3の画像形成ユニット300に伝達される。
【0030】
画像形成ユニット300は、第1原稿スキャニング装置100から受信されたイメージデータに従って、印刷媒体に画像を形成する。
画像形成ユニット300は、例えば、電子写真方式を用いる。電子写真方式では、帯電工程、露光工程、現像工程、伝写工程、定着工程などが行なわれて、印刷媒体に画像が形成される。 画像形成ユニット300の具体的な構成は、当該分野において通常の知識を有する者であれば容易に理解できるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0031】
次に、ユーザがADF10を用いて原稿を自動的にコピーする場合について説明する。
ユーザは、図2〜4に示すように、ADF10を第1原稿スキャニング装置100の真上に配置し、コピーする原稿を第1トレー11の上に置く。
ADF10は、複数のローラ12を用いて、第1トレー11上に置かれた原稿を移送パス30に沿って移送する。移送される原稿は、第1スキャニング地点31と、第1スキャニング地点31の下流にある第2スキャニング地点32を通過する。
【0032】
第1原稿スキャニング装置100は、第1スキャニング地点31から移送パス30に沿って移送された原稿の片面をスキャニングして、所定の印刷データを生成する。
この場合、第1原稿スキャニング装置100の光源110が第1スキャニング地点31に位置することに注意すべきである。
即ち、図3において、光源キャリア140とミラーキャリア150が左側に移動し、光源110は第1スキャニング地点31に位置するようになる。
【0033】
第1スキャニング地点31には、補助プラテン25が配置されており、光源110は、補助プラテン25に向けて光を照射する。
光源110から照射された光は、第1スキャニング地点31を通過する原稿から反射され、第1スキャニング地点31を通過した原稿から反射された反射光は、第1ミラー121、第2ミラー122、及び第3ミラー123を介してイメージセンサ130に向かう。
イメージセンサ130は、この反射光から所定のイメージデータを生成する。
【0034】
第2原稿スキャニング装置200は、第2スキャニング地点32から移送パス20に沿って移送された原稿のもう一方の片面をスキャニングして、所定のイメージデータを生成する。
第2原稿スキャニング装置200については、以下でより詳細に説明する。
【0035】
移送パス20を通過した原稿は、第2トレー15上に積まれる。
第1原稿スキャニング装置100と第2原稿スキャニング装置200が生成したイメージデータは、印刷モジュール3の画像形成ユニット300に伝達され、画像形成ユニット300は、第1原稿スキャニング装置100と第2原稿スキャニング装置200から受信したイメージデータに従って、印刷媒体に画像を形成する。
このように、本実施形態に係るスキャニングモジュール2には、二つの原稿スキャニング装置を用いたシングルパス両面スキャニング(single pass duplex scanning)方式が適用されている。
【0036】
以下、図4〜図11を参照して、第2原稿スキャニング装置200について詳細に説明する。
図5は、本発明の一実施形態においてADFカバー16が取り外された様子を示す概略斜視図であり、図6は、本発明の一実施形態における第2原稿スキャニング装置200の概略斜視図であり、図7は、本発明の一実施形態においてハウジングカバー210が取り外された第2原稿スキャニング装置の概略斜視図である。
【0037】
イメージセンサユニット220は、第2スキャニング地点32を通過する原稿に向けて入射光を照射し、この原稿から反射された反射光を検知してイメージデータを生成する(図4及び図7を参考)。
イメージセンサユニット220は、光源と、レンズと、イメージセンサを有している。このようなイメージセンサユニット220は、例えば、CIS(Contact Image Sensor)である。
また、イメージセンサユニット220は、用紙をスキャニングできるように細長い形状を有する。
【0038】
透明板230は、光を透過させることができる材質で形成され、イメージセンサユニット220が照射した入射光と原稿から反射した反射光は、透明板230を透過する。本実施形態では、透明板230は、ハウジングカバー210に形成される。
【0039】
図4に示すように、透明板230に隣接した位置に、ローラ35が配置される。
第2スキャニング地点32に向かう用紙は、ローラ35によって透明板230に密着した状態で、第2スキャニング地点32を通過する。それにより、第2原稿スキャニング装置200は、イメージセンサユニット220の用紙を正確にスキャニングできるようになる。
支持体240は、イメージセンサユニット220を支持する。イメージセンサユニット220の支持ができれば、支持体240の形状は、多様に変形することができる。
【0040】
弾性部材245は、イメージセンサユニット220を透明板230側に加圧する役割を果たす。このような弾性部材245は、例えば、一端が支持体240に接続され、他端がイメージセンサユニット220に接続されるバネである。
【0041】
図4では、一つのバネのみを示しているが、イメージセンサユニット220の長さ方向に沿って複数のバネが配置されてもよい。
弾性部材245により、イメージセンサユニット220は、透明板に密着し、それにより、第2スキャニング地点32を通過する原稿を正確にスキャニングすることができる。
【0042】
本実施形態では、イメージセンサユニット220と支持体240とが別の部材であるとして説明したが、イメージセンサユニット220と支持体240は、一体的に形成されてもよい。
【0043】
キャリブレーションシート(Calibration sheet)250は、透明板230の外部に露出した表面231(図8、図9を参照)に貼り付けられる。
キャリブレーションシート250は、例えば、両面テープを用いて透明板230に貼り付けられるが、他にも、多様な方式を用いてキャリブレーションシート250の透明板230に貼り付けることが可能である。
【0044】
イメージセンサユニット220が生成したイメージデータを校正する作業は、キャリブレーションと称され、原稿にあるイメージをより正確に反映するイメージデータを作るためのものである。
【0045】
例えば、同じ原稿をスキャニングするとしても、イメージセンサユニット220が生成するイメージデータは、周りの環境及びイメージセンサユニット220の状態によって違ってくる。
このような原因の一つは、イメージセンサユニット220内にある光源が長時間使われることにより、光源から発せられる光の特性が変わってくるためである。光源から発せられる光の特性が変わることにより、イメージセンサユニット220の生成するイメージデータも変化する。
【0046】
イメージデータを校正するためには、校正の基準となる基準イメージデータが必要であり、これはキャリブレーションシート250によって得られる。
正確なイメージデータの校正ができるように、キャリブレーションシート250は、変色が生じにくい材質で作られるのが望ましい。例えば、このようなキャリブレーションシート250は、日本のYUPO社製の製品名FB−200で作ることができる。
【0047】
図8及び図9を参照しながら、イメージデータを校正する方法をより詳細に説明する。
図8は、本発明の一実施形態においてイメージセンサユニット220が原稿をスキャニングするスキャニング位置41にある場合を示す図であり、図9は、基準イメージデータを得るためにイメージセンサユニット220がキャリブレーション位置42にある場合を示す図である。
【0048】
図9に示すように、キャリブレーションシート250は、キャリブレーション位置42を含む領域に配置される。
イメージセンサユニット220がキャリブレーション位置42にあると、イメージセンサユニット220は、キャリブレーションシート250に向けて入射光を照射し、キャリブレーションシート250から反射した反射光を検知してイメージデータを生成する。
この時のイメージデータが基準イメージデータとなる。
また、ほとんどの原稿の色は白であるため、キャリブレーションシート250の色は白色であることが望ましい。
【0049】
基準イメージデータを得た後、図8に示すように、イメージセンサユニット220は、スキャニング位置41に移動して原稿をスキャニングする。
原稿をスキャニングして得られたイメージデータは、基準イメージデータと比較して適切に校正される。
イメージデータを校正する具体的な工程については、当該分野において通常の知識を有する者であれば容易に理解できるため、その具体的な内容は省略する。
【0050】
キャリブレーション作業は、毎回原稿をスキャニングする度に行なう必要はなく、一定の周期で行なえばよい。例えば、一つの印刷ジョブを行なう前に、キャリブレーション作業を行なうようにする。
【0051】
ここで、注目すべきことは、イメージセンサユニット220が、スキャニング位置41にある場合においても、キャリブレーション位置42にある場合においても、イメージセンサユニット220から発せられる光が反射する位置、即ち、透明板230の外部に露出した表面231の位置が同一であることである。
【0052】
即ち、これはイメージセンサユニット220がスキャニング作業を行なう場合とキャリブレーション作業を行なう場合のどちらの場合においても、イメージセンサユニット220の検知する光の光学的距離が同じであることを意味する。
従って、イメージデータと基準イメージデータは、どちらも同一の光学的環境から得られたものであり、それにより正確なイメージデータ校正が可能となる。
【0053】
なお、キャリブレーションシート250が透明板230に密着しているため、キャリブレーション作業時に光が反射するキャリブレーションシート250の片面、即ち、透明板230と接する面が汚染される現象が防止され、それにより正確なイメージデータ校正が可能となる。
【0054】
図8及び図9では、キャリブレーション位置42が原稿の移送方向を基準にスキャニング位置41の上流に配置されるものとして示したが、キャリブレーション位置42は、原稿の移送方向を基準にスキャニング位置41の下流に配置することも可能である。
【0055】
これまでは、第2原稿スキャニング装置200のキャリブレーション作業のみについて説明してきた。
図4を参照すると、第1原稿スキャニング装置100のキャリブレーション作業のために、また別のキャリブレーションシート250が提供される。
第1原稿スキャニング装置100のキャリブレーション作業については、実質的に上述した説明の内容と変わらないため、その詳細な説明は省略する。
【0056】
図8及び図9に示すように、イメージセンサユニット220の移動は、移動ユニット260によって行なわれる。
以下、図10を参照して、移動ユニット260について詳細に説明する。
図10は、図7のX−X線に対する断面図である。
【0057】
移動ユニット260は、イメージセンサユニット220をスキャニング位置41とキャリブレーション位置42との間で移動させる。
また、移動ユニット260は、モーター261と伝動装置265とを有している。
【0058】
モーター261は、イメージセンサユニット220の移動のための駆動力を提供する。
第2原稿スキャニング装置200がADF10に取り付けられると、図示していないコネクタを介して画像形成装置1内の電源とモーター261が電気的に接続される。
それにより、モーター261の作動に必要な電力がモーター261に供給される。
【0059】
伝動装置265は、モーター261が提供した駆動力を、イメージセンサユニット220を支持する支持体240に伝達する。
図10に示すように、伝動装置265は、ワーム(worm)266、ワームホイール(worm wheel)267、及びラック(rack)268を有している。
【0060】
ワーム266は、モーター261の回転軸に形成され、ワームホイール267は、ワーム266及びラック268とかみ合い、ラック268は、支持体240に形成されている。
モーター261の回転軸が回転することで、互いにかみ合ったワーム266、ワームホイール267及びラック268を介して、支持体240が移動し、それにより、イメージセンサユニット220も移動する。
また、このような伝動装置265は、例示的なものであり、伝動装置265は、多様に変形されて実施できるということを理解すべきである。
【0061】
図11は、図7のA領域を拡大して示した図である。但し、図11では、図7に示したイメージセンサユニット220は省略している。
図7に示すように、ハウジング270の一端にはモーター261が配置され、ハウジング270の他端にはガイドシャフト271が配置される。
ガイドシャフト71は、イメージセンサユニット220の移動をガイドする。
【0062】
図11に示すように、支持体240には、ガイドシャフト271に移動自在にかみ合うガイドホルダー241が形成される。
ガイドシャフト271は、イメージセンサユニット220の安定的な移動を可能とする。
なお、弾性部材245により、イメージセンサユニット220は、透明板230に密着した状態で、スキャニング位置41とキャリブレーション位置42との間を移動することができる。
【0063】
ハウジング270は、イメージセンサユニット220と支持体240と移動ユニット260を収容し、ハウジングカバー210は、ハウジング270と結合しているので、ハウジング270の内部を密封することができる。
それにより、ハウジング270内にあるイメージセンサユニット220が汚染される現象を防止することができる。
また、第2原稿スキャニング装置200を製造する過程で、ハウジング270の内部に汚染物質が入り込むことを防ぐために、第2原稿スキャニング装置200は、クリーンルームで製造されることが望ましい。
【0064】
ここで注目すべきことは、第2原稿スキャニング装置200がモジュール化されており、第2原稿スキャニング装置200がADF10に着脱自在に装着できるということである。
即ち、ハウジング270内には、イメージセンサユニット220とイメージセンサユニット220を移動させる移動ユニット260とが全て組み込まれている。
【0065】
従って、イメージセンサユニット220が寿命に達していたり、イメージセンサユニット220と移動ユニット260で故障が生じていた場合、ユーザは、既存の第2原稿スキャニング装置200を新たな原稿スキャニング装置に容易に取り替えることができる。
例えば、図5に示すように、ユーザはADFカバー16を開放した後に、第2原稿スキャニング装置200の取り替え作業を容易に行なうことができる。
【0066】
図12及び図13は、本発明の他の実施形態の概略図である。
これらの図において、上述の実施形態と同様に機能する構成要素については、同様の参照符号を付し、以下での詳細な説明は省略する。
【0067】
図12に示す実施形態では、保護フィルム251がキャリブレーションシート250上に貼り付けられ、保護フィルム251は、キャリブレーションシート250を保護する役割を果たす。
移送パス30に沿って移送される原稿に加えられる摩擦力を軽減するため、保護フィルム251の摩擦係数は、キャリブレーションシート250の摩擦係数より低いことが望ましく、これより、原稿はよりスムーズに移送パス30に沿って移送される。
【0068】
図13に示す実施形態では、透明シート255が透明板230の外部に露出した表面231に貼り付けられる。
即ち、透明シート255は、スキャニング位置41を含む第1領域51に配置され、キャリブレーションシート250は、キャリブレーション位置42を含む第2領域52に配置される。
【0069】
図13では、キャリブレーションシート250が透明シート255の上流に配置されているが、キャリブレーション位置42が変わる場合には、キャリブレーションシート250が透明シート255の下流に配置されてもよい。
なお、図12に示すような実施形態のように、キャリブレーションシート250上に保護フィルム251を貼り付けることもできる。
【0070】
図13に示す変形例では、キャリブレーションシート250と透明シート255との厚さが同じであったが、キャリブレーションシート250と透明シート255との厚さを異なるようにすることも可能である。
但し、移送される原稿の進行を妨げないように、原稿の移送方向の上流に配置されるシートの厚さが移送方向の下流に配置されるシートの厚さより厚いことが望ましい。
例えば、図13においては、キャリブレーションシート250が原稿の移送方向を基準に透明シート255の上流に配置されるため、キャリブレーションシート250の厚さは透明シート255の厚さより厚いことが望ましい。
【0071】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 画像形成装置
2 スキャニングモジュール
10 自動原稿給紙装置(ADF)
15 第2トレー
16 ADFカバー
20 メインプラテン
25 補助プラテン
30 移送パス
31 第1スキャニング地点
32 第2スキャニング地点
35 ローラ
41 スキャニング位置
42 キャリブレーション位置
51 第1領域
52 第2領域
100 第1原稿スキャニング装置
110 光源
121 第1ミラー
122 第2ミラー
123 第3ミラー
130 イメージセンサ
140 光源キャリア
150 ミラーキャリア
160 ガイドレール
200 第2原稿スキャニング装置
210 ハウジングカバー
220 イメージセンサユニット
230 透明板
231 外部に露出した表面
240 支持体
245 弾性部材
250 キャリブレーションシート
251 保護フィルム
255 透明シート
260 移動ユニット
261 モーター
265 伝動装置
266 ワーム
267 ワームホイール
268 ラック
270 ハウジング
271 ガイドシャフト
300 画像形成ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿をスキャニングする原稿スキャニング装置において、
前記原稿に向けて入射光を照射して、前記原稿から反射した反射光を検知してイメージデータを得るイメージセンサユニットと、
前記イメージセンサユニットを支持する支持体と、
前記イメージセンサユニットをスキャニング位置とキャリブレーション位置との間で移動させる移動ユニットと、
前記イメージセンサユニットと、前記支持体と、前記移動ユニットとを収容するハウジングと、
前記入射光と前記反射光とを透過させる透明板と、
前記透明板の外部に露出した表面に貼り付けられ、前記キャリブレーション位置を含む領域に配置されるキャリブレーションシートと、
前記ハウジングと結合して、前記ハウジングの内部を密封するハウジングカバーと、
を有することを特徴とする原稿スキャニング装置。
【請求項2】
前記イメージセンサユニットは、前記透明板に密着した状態で、前記スキャニング位置と前記キャリブレーション位置との間を移動することを特徴とする請求項1に記載の原稿スキャニング装置。
【請求項3】
前記イメージセンサユニットを前記透明板側に加圧する弾性部材を更に有することを特徴とする請求項2に記載の原稿スキャニング装置。
【請求項4】
前記弾性部材は、一端が前記支持体に接続し、他端が前記イメージセンサユニットに接続される少なくとも一つのバネを含むことを特徴とする請求項3に記載の原稿スキャニング装置。
【請求項5】
前記透明板は、前記ハウジングカバーに形成されることを特徴とする請求項1に記載の原稿スキャニング装置。
【請求項6】
前記移動ユニットは、
駆動力を提供するためのモーターと、
前記モーターの提供した駆動力を、前記イメージセンサユニットを支持する前記支持体に伝達する伝動装置と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の原稿スキャニング装置。
【請求項7】
前記伝動装置は、
前記モーターの回転軸に形成されるワームと、
前記ワームとかみ合うワームホイールと、
前記ワームホイールとかみ合い、前記支持体に形成されるラックと、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の原稿スキャニング装置。
【請求項8】
前記ハウジングには、前記イメージセンサユニットの移動をガイドするガイドシャフトが形成され、
前記支持体には、前記ガイドシャフトに移動自在にかみ合うガイドホルダーが形成されることを特徴とする請求項6に記載の原稿スキャニング装置。
【請求項9】
前記透明板の外部に露出した前記表面に貼り付けられ、前記スキャニング位置を含む領域に配置される透明シートを更に有することを特徴とする請求項1に記載の原稿スキャニング装置。
【請求項10】
前記キャリブレーションシートと前記透明シートとの厚さは、同一であることを特徴とする請求項9に記載の原稿スキャニング装置。
【請求項11】
前記キャリブレーションシートは、前記原稿の移送方向を基準に前記透明シートの上流に配置され、
前記キャリブレーションシートの厚さは、前記透明シートの厚さより厚いことを特徴とする請求項9に記載の原稿スキャニング装置。
【請求項12】
前記透明シートは、前記原稿の移送方向を基準に前記キャリブレーションシートの上流に配置され、
前記透明シートの厚さは、前記キャリブレーションシートの厚さより厚いことを特徴とする請求項9に記載の原稿スキャニング装置。
【請求項13】
前記キャリブレーションシート上に貼り付けられ、前記キャリブレーションシートを保護する保護フィルムを更に有することを特徴とする請求項1に記載の原稿スキャニング装置。
【請求項14】
原稿を移送パスに沿って移送させる自動原稿給紙装置(ADF)と、
前記移送パスに沿って移送される前記原稿の一方の片面をスキャニングする第1原稿スキャニング装置と、
前記移送パスに沿って移送される前記原稿の他方の片面をスキャニングする請求項1乃至13のうち何れか一項に記載の第2原稿スキャニング装置と、
前記第1、2原稿スキャニング装置から受信したイメージデータに基づいて印刷媒体に画像を形成するための画像形成ユニットと、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
前記第2原稿スキャニング装置は、前記自動原稿給紙装置に着脱自在に装着されることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−120175(P2012−120175A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260993(P2011−260993)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】