説明

原稿照明装置、画像読取装置および画像形成装置

【課題】小型化を図りつつ、熱膨張に起因した遮光部材の撓みを抑制することにより遮光部材がコンタクトガラスや周辺部材に接触することを防止することができる原稿照明装置、画像読取装置および画像形成装置を提供すること。
【解決手段】複数のLEDが主走査方向に配列されたLED基板と、LEDの光を原稿面の照射領域に導く導光部材と、光源基板および導光部材を出射方向の前方側から覆うとともに導光部材の出射面を露出させる開口部81を有するカバー部材80とを備えた原稿照明装置において、カバー部材80は、開口部81を挟んで上下に配置され、光源基板の出射方向の後方側に配置された受け台に固定される突起部83および第3の締結部84を有し、突起部83および第3の締結部84は、それぞれ主走査方向に所定間隔で複数配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿照明装置、画像読取装置および画像形成装置に関し、例えば、原稿に光を照射する原稿照明装置、この原稿照明装置を備えた複写機、ファクシミリ装置、スキャナ装置等に使用される画像読取装置およびこの画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファクシミリ装置、複写機および複合機等に設けられたスキャナ装置等の画像読取装置では、光源の立ち上がりのスピード、省エネルギー化、長寿命化等の要望があり、光源として点光源であるLED(発光ダイオード)を用いた原稿照明装置が採用されている。
【0003】
ところが、点光源と見なせるほど小さい発光面を備える発光ダイオードだけで照明系を構成すると、光量が低下するほか副走査方向に均一な照度分布形状が得られないことになる。このため、発光ダイオードを光源として用いる原稿照明装置にあっては、発光ダイオードからの光を導く導光部材を採用する場合がある。そして、モノクロ、フルカラー、MFP等のデジタル複写機、汎用スキャナ等の高画質を要求している画像読取装置、アナログ複写機においては、LED等の光源と導光部材の最適化を図り、光を効率よく集め、かつ均一な照度分布を得る必要がある。
【0004】
特に、均一な照度分布を得るためには、所望の照射領域以外の範囲を照明しないことが望まれる。例えば、原稿面の照射領域以外の範囲、特に所望の照射領域に対して副走査方向にずれた範囲を照明してしまう不要な照明光があると、これに起因して照度分布のピーク値が不要な照明光の存在する側に移動してしまい、副走査方向に均一な照度分布を得ることができない。不要な照明光には、例えば原稿面からの反射光が導光部材内に入射した後、導光部材内で再反射して再度原稿面の照射領域に向かう、いわゆるフレア光も含まれる。
【0005】
従来、このような不具合を防止するため、コンタクトガラス上の原稿面に対する不要な照明光を遮る遮光部材を、導光部材とコンタクトガラスとの間に設けた原稿照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、近年では、所望の照射領域に向かう光以外の光が導光部材から漏出して不要な照明光となるのを防止するため、導光部材を外部から覆う遮光部材を備えた原稿照明装置も提案されている。
【0007】
これら従来の原稿照明装置では、スキャナ装置等の画像読取装置の小型化を図るため、画像読取装置の高さ方向の寸法を小さくして、薄型化を図ることが望まれている。画像読取装置の薄型化を図る方法としては、例えば導光部材をコンタクトガラスに可能な限り接近させる方法などがとられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の原稿照明装置にあっては、近年の生産性向上(読取スピード向上)などの要求により、さらに高い照度が求められており、これに伴ってLEDへの供給電流を増加させたり、あるいはLED集積個数を多くするといった対応が取られている。これらの対応により、LEDからの発熱量は、従来と比較して多くなっている。このようなLEDからの発熱は、LEDの近傍に配置された遮光部材の熱膨張を引き起こし、遮光部材に撓みを生じさせる要因となり得る。
【0009】
このため、従来の原稿照明装置においては、上述の熱膨張による撓みが原因で遮光部材がコンタクトガラスや周辺部材に接触するおそれがあるという問題があった。このような問題は、上述したように画像読取装置の小型化が図られると、より顕著となる。
【0010】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、小型化を図りつつ、熱膨張に起因した遮光部材の撓みを抑制することにより遮光部材がコンタクトガラスや周辺部材に接触することを防止することができる原稿照明装置、画像読取装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る原稿照明装置は、上記目的を達成するため、複数の点光源が第1の方向に配列された光源基板と、前記点光源から出射された光の出射方向の前方に配置され、前記点光源から出射された光を原稿の照射領域に導く導光部材と、前記光源基板および前記導光部材を前記出射方向の前方側から覆うとともに前記導光部材の出射面を露出させる開口部を有する遮光部材とを備えた原稿照明装置であって、前記遮光部材は、前記開口部を挟んで配置され、前記光源基板の前記出射方向の後方側に配置された支持部材に固定される第1の固定部および第2の固定部を有し、前記第1の固定部および前記第2の固定部は、それぞれ前記第1の方向に所定間隔で複数配置される構成を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、小型化を図りつつ、熱膨張に起因した遮光部材の撓みを抑制することにより遮光部材がコンタクトガラスや周辺部材に接触することを防止することができる原稿照明装置、画像読取装置および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像読取部の概略側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る原稿照明装置が搭載された第1キャリッジの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る原稿照明装置が搭載された第1キャリッジの側面図である。
【図5】(a)は、本発明の実施の形態に係る原稿照明装置が搭載された第1キャリッジの平面図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る原稿照明装置の分解斜視図である。
【図7】(a)は、LEDの光の出射方向正面から見た原稿照明装置の正面図であり、(b)は、(a)におけるB−B断面図である。
【図8】(a)は、LEDの光の出射方向正面から見たLED基板の正面図であり、(b)は、LED基板の側面図である。
【図9】(a)は、LEDの光の出射方向正面から見た導光部材の正面図であり、(b)は、(a)におけるC−C断面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る導光部材の一部拡大平面図である。
【図11】(a)は、LEDの光の出射方向正面から見たカバー部材の正面図であり、(b)は、(a)におけるD−D断面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る突起部と貫通孔との関係を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る原稿照明装置を備えた画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像形成装置を電子写真方式の複写機1に適用した例を示している。複写機としては、例えば、一般的な静電作像方法を用いて画像を形成するフルカラーの複写機やモノクロ画像を形成する複写機などが挙げられる。また、作像方式としては、電子写真方式以外にも、例えばインクジェット方式等を用いることも可能である。
【0016】
図1に示すように、複写機1は、自動原稿搬送装置(以下、単にADFという)2と、給紙部3と、画像読取装置としての画像読取部4と、画像形成手段としての画像形成部5とを含んで構成されている。
【0017】
ADF2は、原稿載置台としての原稿トレイ11と、各種ローラ等からなる搬送部13とを備えている。ADF2は、搬送部13により原稿トレイ11に載置された原稿をスリットガラス7上に搬送し、スリットガラス7を介して画像読取部4により読み取りが終了した原稿を、スリットガラス7上を通過させた後、排紙トレイ12に排紙するようになっている。また、ADF2は、画像読取部4に対して図示しない開閉機構を介して開閉自在に取り付けられている。
【0018】
給紙部3は、用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット3a、3bと、給紙カセット3a、3bに収納された記録媒体としての記録紙(シート)Pをそれぞれピックアップして給紙する給紙装置21、22と、これら給紙装置21、22から給紙された記録紙Pを画像形成部5の所定の画像形成位置まで搬送する各種ローラからなる搬送手段23とを有している。
【0019】
画像読取部4は、光源およびミラー部材を搭載した第1キャリッジ25と、ミラー部材を搭載した第2キャリッジ26と、結像レンズ27と、読取手段としての撮像部28とを備えている。画像読取部4は、詳しくは後述するが、ADF2により搬送される原稿の画像を読み取る場合には、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26をスリットガラス7の直下の図1中、Hで示す位置に移動し、その位置で停止させる。そして、第1キャリッジ25に搭載された光源によりスリットガラス7上を通過中の原稿に光を照射し、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26に搭載された各ミラー部材により原稿からの反射光を折り返させ、その反射光を結像レンズ27により結像して撮像部28で読み取らせるようになっている。一方で、コンタクトガラス8上に載置された原稿を読み取る場合には、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26を図1中、左右方向(副走査方向)に移動させる。そして、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26を移動させる過程で、光源により原稿に光を照射し、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26に搭載された各ミラー部材により原稿からの反射光を折り返させ、その反射光を結像レンズ27により結像して撮像部28で読み取らせるようになっている。
【0020】
画像形成部5は、露光装置31と、複数の感光体ドラム32と、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックとそれぞれ異なる色のトナーが充填された現像装置33と、転写ベルト34と、定着装置35とを備えている。画像形成部5は、撮像部28に読み取られた読取画像に基づいて、露光装置31により各感光体ドラム32を露光して各感光体ドラム32に潜像を形成し、各現像装置33により各感光体ドラム32にそれぞれ異なる色のトナーを供給して現像するようになっている。そして、画像形成部5は、転写ベルト34により各感光体ドラム32に現像された像を給紙部3から供給された記録紙Pに転写した後、定着装置35により記録紙Pに転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録紙Pにカラー画像を定着するようになっている。これにより、記録紙Pにフルカラー画像が形成される。
【0021】
次に、図2を参照して、画像読取部4の詳細な構成について説明する。
【0022】
図2に示すように、画像読取部4は、上述した通り、第1キャリッジ25と、第2キャリッジ26と、結像レンズ27と、撮像部28とを備えており、これらの各構成部材は画像読取部4の本体フレーム4aの内部にそれぞれ配置されている。また、本体フレーム4aの内部には、図示しない第1レールおよび第2レールが副走査方向(図2中、左右方向)に延在するよう設けられている。第1レールは、副走査方向と直交する主走査方向に所定の間隔をあけて配置された2本のレールからなる。第2レールについても、第1レールと同様、主走査方向に所定の間隔をあけて配置された2本のレールからなる。
【0023】
第1キャリッジ25は、第1レールに摺動自在に取り付けられ、図示しない駆動モータにより図示しない第1キャリッジ用駆動ワイヤを介して副走査方向に図2中、実線で示す位置と破線で示す位置との間で往復移動可能に構成されている。また、第2キャリッジ26は、第2レールに摺動自在に取り付けられ、図示しない駆動モータにより図示しない第2キャリッジ用駆動ワイヤを介して副走査方向に図2中、実線で示す位置と破線で示す位置との間で往復移動可能に構成されている。ここで、これら第1キャリッジ25および第2キャリッジ26は、2:1の速度比で副走査方向に移動するようになっている。このような移動速度の関係により、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26の移動があっても、原稿面から結像レンズ27までの光の光路長が変化しないようになっている。
【0024】
第1キャリッジ25には、後述する原稿照明装置50と、第1ミラー部材25aとが設けられている。また、第2キャリッジ26には、第2ミラー部材26aと、第3ミラー部材26bとが設けられている。
【0025】
結像レンズ27は、各ミラー部材を介して入射された原稿からの反射光を撮像部28に集光結像するようになっている。撮像部28は、CCD等の撮像素子で構成され、結像レンズ27を介して結像された原稿の反射光像を光電変換して読取画像であるアナログ画像信号を出力するようになっている。
【0026】
次に、図3〜図5(a)、(b)を参照して、第1キャリッジ25について説明する。
【0027】
図3および図4に示すように、第1キャリッジ25は、板金からなるベース40と、ベース40の下面に垂下された一対の側板41と、ベース40の上面に固定部材29を介して取り付けられた受け台42とを含んで構成されている。
【0028】
ベース40は、前端部40a(図4中、左側)が上方に折り曲げられたフランジを形成し、この前端部40aの上端部の所定箇所には、ベース40に対して所定の角度で傾斜するよう折り曲げられた傾斜部40bが設けられている。ここで、上記所定箇所は、前端部40aのうち、原稿照明装置50に対向する主走査方向(図3中、Y方向)の所定領域である。また、上記傾斜部40bには、原稿照明装置50から照射された光を反射させて原稿面での照度分布を良好なものにするための対向反射板、いわゆるリフレクタ44が取り付けられている。また、リフレクタ44は、原稿照明装置50から照射された光を反射させることにより、例えば切り貼り原稿を読み取った際に、原稿の凹凸により発生する影を無くすことができる。
【0029】
一対の側板41は、主走査方向に互いに離隔して設けられ、主走査方向に長尺な第1ミラー部材25aを保持するようになっている。
【0030】
受け台42は、板金からなり、ベース40に対する取付面を有する取付部42aと、この取付部42aに対して所定の角度で傾斜するよう上方に折り曲げられた折り曲げ片部42bとを有する。また、受け台42は、図6に示すように、後述するLED基板60の出射方向Lの後方側に配置されている。本実施の形態に係る受け台42は、本発明における支持部材を構成する。
【0031】
取付部42aは、図5(a)に示すように、受け台42の主走査方向(図中、左右方向)の両端部に形成され、固定部材29によりベース40に取り付けられる。
【0032】
折り曲げ片部42bは、主走査方向に延在するとともに取付部42aと連続的に形成された部分を除いて、図5(b)に示すように、下端部がベース40の下方まで延在している。すなわち、折り曲げ片部42bのうち、原稿照明装置50が取り付けられる領域部分についてのみ、その下端部がベース40の下方まで延在している。なお、図5(b)においては、図中、上下方向が副走査方向であり、図中、左側が上方、図中、右側が下方を示す。また、この折り曲げ片部42bの下方側には、締結ネジ46が螺合する螺合孔42cが形成されている。螺合孔42cは、図示していないが、主走査方向に所定間隔で複数、例えば5つ形成されている。また、折り曲げ片部42bの傾斜角度は、原稿照明装置50が折り曲げ片部42bに取り付けられた際に、後述する導光体71から出射される光の照度分布が良効となるような角度に設定される。
【0033】
この折り曲げ片部42bには、上述した締結ネジ46を介して原稿照明手段としての原稿照明装置50が取り付けられている。
【0034】
また、図6に示すように、折り曲げ片部42bには、主走査方向に沿って所定間隔で複数(本実施の形態では3つ)の貫通孔42dが形成されている。この貫通孔42dには、後述するカバー部材80が受け台42に固定される際、突起部83が貫通するようになっている。貫通孔42dは、主走査方向に長い長孔で構成されている。
【0035】
図6および図7(a)、(b)に示すように、原稿照明装置50は、光源基板としてのLED基板60と、導光部材70と、遮光部材としてのカバー部材80と含んで構成されている。これらLED基板60、導光部材70およびカバー部材80は、共通の締結部材としての締結ネジ46により一体化され、一のユニットとして構成される。さらに、これらLED基板60、導光部材70およびカバー部材80は、締結ネジ46を介して受け台42に締結されるようになっている。なお、図6中、矢印Lで示す方向は、後述するLED61から出射された光のうち、光強度が最も強い方向(以下、出射方向Lという)を指す。
【0036】
図8(a)に示すように、LED基板60には、発光素子としてトップビュータイプの発光ダイオード(以下、LEDという)61が第1の方向である主走査方向(図中、左右方向)に沿って直線状に複数個配列されている。また、LED基板60には、各LED61に電力を供給するための図示しない配線パターンや各種回路素子が形成されている。さらに、LED基板60の主走査方向の一方の端部には、図示しない制御部に電気的に接続するための接続端子62が設けられている。本実施の形態におけるLED61は、本発明に係る点光源を構成する。
【0037】
図8(b)に示すように、LED61は、LED基板60の駆動によって、LED基板60の実装面と平行な照射面61a(図中、左端面)から図中、左方向(図6に示す出射方向L)、すなわち導光部材70に向けて光を出射するようになっている。
【0038】
また、図8(a)に示すように、LED基板60の下方端部には、主走査方向に沿って略等間隔で第1の締結部64が5つ設けられている。各第1の締結部64は、その一部がLED基板60の下端から下方に突出する突出形状となっている。各第1の締結部64には、締結ネジ46(図6参照)を通すための締結孔64aがそれぞれ形成されている。
【0039】
さらに、LED基板60の主走査方向の両端部には、所定の位置決め孔60a、60bが形成されている。原稿照明装置50の組立時には、この位置決め孔60a、60bを図示しない冶具の凸形状に嵌めることによりLED基板60の位置決めを行うようになっている。
【0040】
図7(b)に示すように、導光部材70は、LED基板60に支持され、LED61から出射された光を原稿面の照射領域E(図4参照)に導くようになっている。
【0041】
具体的には、図9(a)、(b)に示すように、導光部材70は、図9(b)中、左方向(図6に示す出射方向L)の前方に配置された導光体71と、導光体71と一体形成された導光体支持片72とを含んで構成されている。
【0042】
導光体71は、LED61の照射面61a(図7(b)参照)に対向し、LED61から出射された光が入射される入射面71aと、入射面71aから入射された光を原稿面の照射領域E(図4参照)に向けて出射する出射面71bとを有している。また、導光体71は、アクリル等の透過率の高い樹脂等により形成されている。出射面71bには、例えばサンドブラストやエッチング等の表面粗し処理が施され、出射面71bから出射される光が拡散されるようになっている。
【0043】
さらに、図9(b)に示すように、導光体71は、光を導光する出射方向L(図6参照)に沿って鉛直方向に切断したときの切断面が出射方向L(図6参照)に十分な長さを有する台形形状となるよう形成されている。すなわち、導光体71は、入射面71a側から出射面71b側に向かうに従い、厚み(図中、上下幅)が徐々に大きくなるよう多少の角度がつけられた形状である。これにより、入射面71aから入射され、導光体71の厚み方向(図9(b)中、上下方向)の両側面、すなわち上面および下面に到達した光の多くを透過させずに内部反射させることができる。このため、より多くの光を導光体71の内部で全反射させることができ、出射面71bから出射させることができる。したがって、導光体71に入射した光は、内部で全反射しながら進行する間に適正な照度分布の光となる。
【0044】
導光体71の形状は、上述したような断面台形形状に限らず、全反射に適した形状であればいずれの形状であってもよく、例えば主走査方向(図9(a)中、左右方向)に扁平な略直方体として形成してもよい。
【0045】
導光体支持片72は、導光体71と同様、アクリル等の樹脂等で形成され、主走査方向(図9(a)中、左右方向)に沿って所定間隔で複数(本実施の形態では5つ)設けられている。
【0046】
導光体支持片72は、平板状に形成された平板部72aと、平板部72aと導光体71との間に設けられ支持部72bとを含んで構成されている。これら導光体71、平板部72aおよび支持部72bは、一体形成されている。
【0047】
各平板部72aの下方端部には、それぞれ第2の締結部74が設けられている。各第2の締結部74は、その一部が平板部72aの下端から下方に突出する突出形状となっている。各第2の締結部74は、図6に示すように、LED基板60の対応する各第1の締結部64に対して出射方向Lと同一方向に位置するよう、それぞれ配置されている。
【0048】
また、図9(a)に示すように、各第2の締結部74には、締結ネジ46(図6参照)を通すための締結孔74aがそれぞれ形成されている。ここで、図6に示すように、LED基板60の各締結孔64aの中心を通り出射方向Lと平行な線を仮想線Sとすると、各締結孔74aは、その中心が各仮想線S上に位置するよう配置されている。
【0049】
また、図9(a)に示すように、5つの導光体支持片72のうち、主走査方向の両端側に位置する導光体支持片72の平板部72aには、所定の位置決め孔70a、70bが形成されている。原稿照明装置50の組立時には、この位置決め孔70a、70bを図示しない冶具の凸形状に嵌めることにより、先に冶具に装着済みのLED基板60(図6参照)に対して導光部材70が位置決めされるようになっている。当然、導光部材70が冶具により位置決めされたときには、上記各締結孔74aは、LED基板60の対応する各締結孔64a(図6参照)に一致するようになっている。
【0050】
支持部72bは、主走査方向の両端側に位置する導光体支持片72では1つ、それ以外の導光体支持片72では主走査方向に離隔して2つ設けられている。したがって、支持部72bは、主走査方向に沿って所定間隔で複数設けられることとなる。ただし、前述した所定間隔は、同一の導光体支持片72に設けられた一対の支持部72b間の間隔よりも、異なる導光体支持片72に設けられた隣り合う2つの支持部72b間の間隔が大きくとられている。
【0051】
図9(b)に示すように、支持部72bは、平板部72aの上端側で出射方向L(図6参照)にL字状に屈曲し、さらに屈曲した出射方向先端部で導光体71の入射面71aと平行な方向にL字状に屈曲した形状を有している。これにより、導光体71の入射面71aと平板部72aのLED基板側側面(図9(b)中、右側面)との間に所定の隙間Dが形成されるよう、平板部72aと導光体71との間に段差が形成される。このため、図7(b)に示すように、導光部材70とLED基板60とが組付けられた際にも、LED61が上記隙間D(図9(b)参照)内に配置可能となる。また、隙間D(図9(b)参照)は、導光部材70とLED基板60とが組付けられた際、LED61の照射面61aと導光体71の入射面71aとの間に所定のクリアランスを確保できる程度の隙間とされる。このように、LED61の照射面61aと導光体71の入射面71aとを所定のクリアランスを介して離間させることにより、例えばLED61自体のばらつきやLED61の実装時の組付け誤差等によるばらつきからLED61と導光体71とが接触、損傷するのを回避している。
【0052】
また、図9(a)に示すように、各導光体支持片72には、各第2の締結部74に対応して5つの切欠部72cが形成されている。具体的には、主走査方向の両端側に位置する導光体支持片72においては支持部72bの主走査方向の両端側に、またそれ以外の導光体支持片72においては一対の支持部72bの間に、それぞれ切欠部72cが形成されている。この各切欠部72cには、原稿照明装置50(図6参照)の組付時に、後述するカバー部材80の第3の締結部84(図11(a)参照)が嵌まるようになっている。
【0053】
さらに、図9(b)および図10に示すように、導光体71の主走査方向の両端には、一対の側壁72dが形成されている。この側壁72dは、導光体71が導光体支持片72に片持支持されていることで、例えば装置運搬時や第1キャリッジ25(図2参照)の移動時等に図9(b)中、矢印Mで示す方向に導光体71が倒れ込むことを防止するために設けられたものである。この側壁72dがあることで、導光体71の倒れ込みが防止され、LED61の照射面61aと導光体71の入射面71aとの間の位置関係を良好に保つことができる。
【0054】
図7(b)に示すように、カバー部材80は、LED基板60および導光部材70よりも図中、左方向前方(図6に示す出射方向L)に配置され、これらLED基板60および導光部材70を出射方向L(図6参照)の前方側から覆うようになっている。
【0055】
具体的には、図11(a)、(b)に示すように、カバー部材80は、例えば、黒色のカーボンを含むポリエステルフィルムやPET材質等のように光密度が高く光を透過し難い樹脂等で構成されている。このため、LED61(図7(b)参照)により照射された光が外部に漏出するのを防止することができる。また、カバー部材80は、反射率の比較的低い黒色の表面を有しているため、導光体71(図7(b)参照)から出射され原稿面で反射した光がカバー部材80の表面で反射して再度原稿面の照射領域E(図4参照)に向かう、いわゆるフレア光の進行を抑制することができる。なお、フレア光の進行を抑制するためのカバー部材80の表面処理としては、上記のように黒色とする以外に、例えば表面を粗くしたり反射防止コーティングを施したりする等、光の反射を抑制する加工を行うことも可能である。このように、カバー部材80は、光が外部に漏出するのを防止する遮光部材としての機能と、フレア光の進行を抑制する規制部材としての機能を兼ね備えている。これにより、部品点数を削減することができ、コスト削減や原稿照明装置50(図6参照)の小型化を図ることができる。
【0056】
また、カバー部材80は、図7(b)に示すように、LED基板60、導光部材70およびカバー部材80が一体化された際に導光体71の出射面71bを外部に対して露出させる開口部81を有している。開口部81は、図11(a)に示すように、導光体71(図6参照)の主走査方向の長さに応じた長さだけ、主走査方向(図中、左右方向)に延在している。ただし、図7(b)に示すように、開口部81の開口面積は、導光体71の出射面71bの面積よりも僅かに大きく設定されている。したがって、導光体71と開口部81との間には、所定のクリアランスが形成される。また、これ以外の部分においても、導光体71とカバー部材80との間には、所定のクリアランスが形成されている。好ましくは、導光体71は、カバー部材80に限らず、いずれの部材とも接触しないことが望ましい。これにより、導光体71とカバー部材80等の他の部材とは、非接触とされるので、導光体71の内部で全反射されながら導光される光が導光体71と接触するカバー部材80等の他の部材に吸収されてしまうことを防止することができる。
【0057】
さらに、カバー部材80には、開口部81が形成された前方外面(図7(b)中、左側面)に対して所定の角度で傾斜した斜面部82が形成されている。この斜面部82の傾斜角度は、図4に示すように、原稿照明装置50が第1キャリッジ25に設置された際に斜面部82がコンタクトガラス8に対して平行となる角度とされる。これにより、原稿照明装置50をコンタクトガラス8に近づけた構成であっても、カバー部材80とコンタクトガラス8との接触を回避することができる。
【0058】
ここで、上述のように原稿照明装置50をコンタクトガラス8に近づける構成をとった場合、後述するような突起部83をカバー部材80に設けていないと、次のような問題が生じるおそれがある。なお、以下においては、カバー部材80の開口部81の上部(図11(a)中、上側部分)を、カバー上部80Aとして説明を行う。
【0059】
すなわち、LED61からの発熱によりカバー部材80に熱膨張が生じると、固定あるいは規制されていないカバー上部80Aが主走査方向に膨張する。これにより、カバー上部80Aの主走査方向の中央部には、コンタクトガラス側に浮き上がるような力が作用する。このため、カバー上部80Aにコンタクトガラス側に変形する撓みが生ずる。この結果、後述する突起部83を設けていないカバー部材80では、カバー上部80Aの主走査方向の中央部がコンタクトガラス8に接触するおそれがある。
【0060】
そこで、本実施の形態では、カバー部材80、特にカバー上部80Aの撓みを抑制するため、第3の締結部84に加えて突起部83をカバー部材80に設けた。
【0061】
図11(a)、(b)に示すように、突起部83および第3の締結部84は、開口部81を挟んで図中、上下に配置されている。これら突起部83および第3の締結部84は、受け台42に固定されるようになっている。本実施の形態に係る突起部83は、本発明に係る第1の固定部を構成し、第3の締結部84は、本発明に係る第2の固定部を構成する。
【0062】
具体的には、突起部83は、コンタクトガラス8上の原稿(図4参照)と対向するよう配置されるとともに、主走査方向に所定間隔で複数(本実施の形態では3つ)配置されている。突起部83の数は、3つに限らず、1つ〜2つあるいは4つ以上であってもよい。各突起部83は、図11(b)に示すように、斜面部82に対して図中、下方に凹状に切欠かれた箇所から、受け台42の貫通孔42d側(図中、右側)に向けて突出している。これにより、各突起部83は、カバー部材80が受け台42に取り付けられる際、対応する各貫通孔42dを貫通するようになっている。
【0063】
また、各突起部83の先端には、爪部83aが形成されている。爪部83aは、出射方向L(図6参照)と直交する方向であって原稿側、すなわちコンタクトガラス側(図中、上側)に突出するよう形成されている。爪部83aは、図7(b)に示すように、突起部83が貫通孔42dを貫通した状態で、折り曲げ片部42bの出射方向Lの後方側側面に引っ掛かるようになっている。これにより、突起部83は、貫通孔42dを貫通することにより受け台42に固定される。
【0064】
また、爪部83aがコンタクトガラス側に突出しているので、熱膨張によりカバー上部80Aがコンタクトガラス側に撓んだ場合には、爪部83aが確実に貫通孔42dの上部の折り曲げ片部42bに引っ掛かることとなる。このため、カバー上部80Aの撓みを防止するばかりでなく、熱膨張によりカバー上部80Aが出射方向Lの前方にせり出してしまうことも防止することができる。したがって、カバー上部80Aが出射方向Lの前方にせり出すことにより導光体71から出射される光が遮られるといった不具合も防止できる。
【0065】
また、図12に示すように、突起部83は、原稿と対向する側、すなわちコンタクトガラス8(図4参照)と対向する側(図中、上側)に対向面83bを有する。この対向面83bは、略平面状に形成され、突起部83が折り曲げ片部42b(図7(b)参照)に固定された際、貫通孔42dとの間に隙間Gを形成するようになっている。なお、隙間Gは、カバー部材80が熱膨張していない常温時において形成されるのが好ましい。つまり隙間Gは、カバー部材80が熱膨張した際に、対向面83bが貫通孔42dに接触する程度の隙間とされる。仮に、隙間Gが形成されておらず、対向面83bと貫通孔42dとが常温時において密着した状態であると、カバー部材80が熱膨張した際に対向面83bがコンタクトガラス側(図中、上側)に移動できず、導光体71側(図中、下側)に移動してしまう。このため、カバー上部80Aの内側が導光体71に接触してしまうおそれがある。これに対して、本実施の形態では、対向面83bと貫通孔42dとの間に隙間Gを形成したので、カバー部材80が熱膨張しても対向面83bのコンタクトガラス側への移動を許容できる。これにより、上述したように、カバー上部80Aの内側が導光体71に接触するおそれがなく、カバー上部80Aと導光体71との間のクリアランスを良好に保つことができる。
【0066】
さらに、突起部83の主走査方向の幅は、貫通孔42dの主走査方向の幅よりも小さく設定されている。このため、突起部83と貫通孔42dとの間には、主走査方向に所定の隙間が形成される。これにより、熱膨張に起因したカバー上部80Aの主走査方向への変形を許容することが可能となる。この結果、熱膨張によりカバー上部80Aが主走査方向に変形しても、突起部83と貫通孔42dとの間に過度な力が作用することがなく、カバー上部80Aがコンタクトガラス側に変形してしまうことを防止することができる。
【0067】
また、図11(b)に示すように、カバー部材80の折り曲げ片部42b側の端面80cは、折り曲げ片部42b(図7(b)参照)に面接触するよう平面状に形成されている。
【0068】
図11(a)に示すように、第3の締結部84は、カバー部材80の下方端部、すなわち開口部81の下部に配置されており、主走査方向に沿って略等間隔で5つ設けられている。各第3の締結部84は、その一部がカバー部材80の下端から下方に突出する突出形状となっている。各第3の締結部84は、図6に示すように、対応する各第1の締結部64および各第2の締結部74に対して出射方向Lと同一方向に位置するよう、それぞれ配置されている。
【0069】
また、図11(b)に示すように、各第3の締結部84は、カバー部材80の前方外面(図11(b)中、左側面)に対して導光部材側(同図中、右側)に凹状に彫り込まれ、かつ導光部材70の各第2の締結部74(図9参照)と面接触するよう平板状に形成されている。この各第3の締結部84は、図7(b)に示すように、原稿照明装置50が組付けられた際には、導光部材70の切欠部72cに嵌まることとなる。これにより、限られたスペース内で各第3の締結部84を各第2の締結部74に突き合わすことができる。
【0070】
さらに、図11(a)に示すように、各第3の締結部84には、締結ネジ46(図6参照)を通すための締結孔84aがそれぞれ形成されている。ここで、図6に示すように、各締結孔84aは、その中心が各仮想線S上に位置するよう配置されている。第3の締結部84は、第1の締結部64および第2の締結部74とともに、締結ネジ46を介して受け台42の折り曲げ片部42bに固定されるようになっている。
【0071】
また、図11(a)に示すように、カバー部材80の主走査方向の両端部には、所定の位置決め孔80a、80bが形成されている。原稿照明装置50の組立時には、この位置決め孔80a、80bを図示しない冶具の凸形状に嵌めることにより、先に冶具に装着済みのLED基板60および導光部材70に対してカバー部材80が位置決めされるようになっている。当然、カバー部材80が冶具により位置決めされたときには、上記各締結孔84aは、対応する各締結孔64aおよび各締結孔74aに一致するようになっている。
【0072】
次に、図6、図7(b)を参照して、原稿照明装置50の組付工程について説明する。
【0073】
図6に示すように、まず、図示しない冶具の2箇所の凸形状にLED基板60の位置決め孔60a、60bをそれぞれ嵌め合わせ、LED基板60を冶具に位置決め固定する。次いで、LED基板60を冶具に位置決め固定した状態で、位置決め孔60a、60bに嵌まっている上記2箇所の凸形状に、導光部材70の位置決め孔70a、70bをそれぞれ嵌め合わせる。これにより、導光部材70をLED基板60に対して位置決めする。その後、位置決め孔60a、60bおよび位置決め孔70a、70bに嵌まっている上記2箇所の凸形状に、カバー部材80の位置決め孔80a、80bをそれぞれ嵌め合わせる。これにより、LED基板60および導光部材70に対してカバー部材80を位置決めする。以上により、LED基板60、導光部材70およびカバー部材80が互いに位置決めされる。すなわち、導光部材70の導光体支持片72をLED基板60とカバー部材80とにより挟み込んだ状態で位置決めする。
【0074】
そして、この状態で、各第1の締結部64ないし各第3の締結部84に共通の締結ネジ46を取り付ける。具体的には、各締結孔64a、74a、84aに各締結ネジ46をそれぞれ通してLED基板60、導光部材70およびカバー部材80を互いに位置決めし、一体化させる。すなわち、LED基板60、導光部材70およびカバー部材80は、締結ネジ46を介して互いに位置決めされた状態で原稿照明装置50として一体化される。次いで、一体化された原稿照明装置50は、図7(b)に示すように、各締結ネジ46を受け台42の螺合孔42cに螺合することにより、受け台42に締結固定され、原稿照明装置50の組付が完了する。このため、一体化したLED基板60、導光部材70およびカバー部材80を一度の締結作業で受け台42に取り付けることができ、作業効率が向上する。
【0075】
なお、原稿照明装置50を一体化させる他の構成として、例えば、LED基板60の締結孔64aを締結ネジ46が螺合する螺合孔とし、LED基板60、導光部材70およびカバー部材80が冶具に位置決めされた状態で締結孔74a、84aに締結ネジ46を通して締結孔64aに螺合させることによりLED基板60、導光部材70およびカバー部材80を締結固定するようにしてもよい。
【0076】
また、本実施の形態では、冶具を用いてLED基板60、導光部材70およびカバー部材80を位置決めおよび一体化を行う構成としたが、これに限らず、例えば受け台42(図4参照)に位置決め用のピンを形成し、冶具を用いず、このピンに直接、位置決め孔60a、60b、位置決め孔70a、70bおよび位置決め孔80a、80bを嵌め合わせるよう構成してもよい。これにより、原稿照明装置50を冶具で一体化させた後、受け台42に移動させて組付ける工程と比較して、一体化させた原稿照明装置50を受け台42に移動させる工程を減らすことができ、組立作業が効率化される。
【0077】
次に、複写機1(図1参照)の画像読取動作について説明する。
【0078】
図2、図7(b)に示すように、複写機1(図1参照)は、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26(図2参照)を副走査方向(図中、左右方向)に移動させることにより、LED61から導光体71を透してコンタクトガラス8上の原稿に光を照射する。このとき、図4に示すように、導光体71から出射された光は、図4中、細一点鎖線で示すように直接、原稿面の照射領域Eに照射されるとともに、その光の一部がリフレクタ44によって原稿面の照射領域Eに反射される。この結果、照射領域Eで示す範囲で原稿面に光が照射される。
【0079】
次いで、原稿からの反射光は、図4中、太一点鎖線で示すように第1ミラー部材25aにより第2ミラー部材26a(図2参照)に向かって反射される。第1ミラー部材25aで反射された反射光は、図2に示すように、第2ミラー部材26aおよび第3ミラー部材26bの順に折り返された後、結像レンズ27に入射される。そして、結像レンズ27に入射された反射光は、結像レンズ27により焦点面に置かれた撮像部28に集光結像される。これにより、撮像部28は、結像された原稿の反射光像を光電変換して読取画像であるアナログ画像信号を出力する。そして、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26が図2中、点線で示す位置まで移動したら原稿の画像読取を終了し、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26を図2中、実線で示す位置までリターン移動させる。このリターン移動では、原稿の画像読取速度の影響を受けないので、原稿の読取生産性を上げるため、高速度で移動させるのが好ましい。
【0080】
なお、撮像部28から出力されたアナログ画像信号は、A/D変換器によりデジタル画像信号に変換され、画像処理回路を搭載した回路基板において各々の画像処理(例えば、2値化、多値化、階調処理、変倍処理あるいは編集処理等)が施される。
【0081】
以上のように、本実施の形態に係る原稿照明装置50は、カバー部材80が受け台42の折り曲げ片部42bに固定される突起部83および第3の締結部84を有している。また、これら突起部83および第3の締結部84は、主走査方向に所定間隔で複数配置されている。さらに、突起部83は、受け台42の貫通孔42dを貫通するよう貫通孔42d側に突出するとともに先端に爪部83aが形成されている。これにより、突起部83は、貫通孔42dを貫通することによって折り曲げ片部42bに固定される。一方、第3の締結部84は、締結ネジ46を通す締結孔84aを有し、締結ネジ46を介して折り曲げ片部42bに固定される。
【0082】
このため、カバー部材80は、熱膨張時に各突起部83および各第3の締結部84により規制されるため、特にカバー上部80Aがコンタクトガラス側に撓むことを防止することができる。したがって、画像読取装置等の小型化(薄型化)を図るべく原稿照明装置50をコンタクトガラス8に接近させた構成であっても、カバー上部80Aが撓んでコンタクトガラス8に接触してしまうことを防止することができる。
【0083】
また、上述したように、突起部83の対向面83bと貫通孔42dとの間に隙間Gを形成したので、熱膨張によりカバー上部80Aが導光体71側に撓むことを防止することができる。これにより、カバー上部80Aの内側が導光体71に接触することを防止することができる。
【0084】
このように、本実施の形態に係る原稿照明装置50は、小型化を図りつつ、熱膨張に起因したカバー部材80の撓みを抑制することによりカバー部材80がコンタクトガラス8や導光体71などの周辺部材に接触することを防止することができる。
【0085】
また、本実施の形態では、第1ないし第3の締結部64、74、84を主走査方向に略等間隔で5つ設けたが、締結部の数は、5つに限らず、例えば原稿照明装置50の主走査方向の長さや各構成部材の材質等に応じて適宜変更される。また、各締結部間の主走査方向の間隔は、等間隔に限らず、例えば原稿照明装置50の主走査方向の長さや各構成部材の材質等に応じて、主走査方向の中心に向かうに従い間隔を狭めてもよいし、これとは逆に中心に向かうに従い間隔を広げるようにしてもよい。
【0086】
また、LED基板60には、図8における左右方向に直線状にLED61が配列されるものに限らず、図8における上下方向に交互または所定個数ごとにずれて配列されるものでもよく、さらに複数列配列されるものでもよい。さらに、LED61は、トップビュータイプの発光ダイオードに限らず、サイドビュータイプ(側面に照射面を備えるもの)でも構わない。その場合、導光部材70の入射面71aをサイドビュータイプの発光面と対向する形状に変更するとともに導光部材70の出射面71bの向きを適宜変更すれば本発明の構成を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 複写機(画像形成装置)
4 画像読取部(画像読取装置)
5 画像形成部(画像形成手段)
8 コンタクトガラス
28 撮像部(読取手段)
42 受け台(支持部材)
42b 折り曲げ片部
42d 貫通孔
46 締結ネジ(締結部材)
50 原稿照明装置(原稿照明手段)
60 LED基板(光源基板)
61 LED(点光源)
70 導光部材
80 カバー部材(遮光部材)
80A カバー上部
81 開口部
83 突起部(第1の固定部、突起)
83a 爪部
83b 対向面
84 第3の締結部(第2の固定部)
84a 締結孔
E 照射領域
L 出射方向
G 隙間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】特開2004−361425号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の点光源が第1の方向に配列された光源基板と、前記点光源から出射された光の出射方向の前方に配置され、前記点光源から出射された光を原稿の照射領域に導く導光部材と、前記光源基板および前記導光部材を前記出射方向の前方側から覆うとともに前記導光部材の出射面を露出させる開口部を有する遮光部材とを備えた原稿照明装置であって、
前記遮光部材は、前記開口部を挟んで配置され、前記光源基板の前記出射方向の後方側に配置された支持部材に固定される第1の固定部および第2の固定部を有し、
前記第1の固定部および前記第2の固定部は、それぞれ前記第1の方向に所定間隔で複数配置されることを特徴とする原稿照明装置。
【請求項2】
前記第1の固定部は、前記支持部材に形成された貫通孔を貫通するよう前記貫通孔側に突出するとともに先端に爪部が形成された突起で構成され、前記突起が前記貫通孔を貫通することにより前記支持部材に固定され、
前記第2の固定部は、締結部材を通す締結孔を有し、前記締結部材を介して前記支持部材に固定されることを特徴とする請求項1に記載の原稿照明装置。
【請求項3】
前記第1の固定部は、前記原稿と対向して配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の原稿照明装置。
【請求項4】
前記爪部は、前記出射方向と直交する方向であって前記原稿側に突出していることを特徴とする請求項2または3に記載の原稿照明装置。
【請求項5】
前記突起は、前記原稿と対向する側に対向面を有し、
前記第1の固定部が前記支持部材に固定された際、前記対向面と前記貫通孔との間に隙間が形成されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の原稿照明装置。
【請求項6】
前記突起の前記第1の方向の幅は、前記貫通孔の前記第1の方向の幅よりも小さいことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の原稿照明装置。
【請求項7】
原稿の照射領域に光を照射する原稿照明手段と、
前記原稿の照射領域で反射された反射光を受光して原稿の画像情報を読み取る読取手段と、を備え、
前記原稿照明手段として、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の原稿照明装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置により読み取られた画像をシートに形成する画像形成手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−249093(P2012−249093A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119422(P2011−119422)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】