説明

原稿読取装置

【課題】 読取ユニットの内側に異物が侵入し、黒すじなどの画像不良が生じた場合であっても、読取ユニットのメンテナンスが容易で、装置の取り扱いが簡便な原稿読取装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 原稿を読み取るための読取機構を、コンタクトガラス20を有する第1のユニット62と、光源を有する第2のユニット61と、複数のミラー24、25、26、27及びレンズ28、光電変換素子を有する第3のユニット60と、で構成し、第1、第2、第3の各ユニットを連結して読取ユニットとして形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿搬送経路に沿って搬送される原稿を読み取る読取ユニットを備えた原稿読取装置に関し、詳しくは、読取ユニットの構成に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、両面に画像が形成された両面原稿を読み取る原稿読取装置としては、原稿の表裏を反転する反転機構を備え、読取部に原稿を搬送して一方面を読み取った後に原稿の表裏を反転させて、再び読取部に原稿を搬送して他方面を読み取るものや原稿の一方面を読み取る第1の読取部と原稿の他方面を読み取る第2の読取部を備え、第1、第2の読取部で原稿を読み取るものが知られている。
【0003】
後者の原稿読取装置においては、原稿読取装置本体の上面に第1読取部を設け、原稿送り装置に第2読取部を設けている。原稿送り装置に設けられた第2読取部は、第1読取部の上流側または下流側の搬送経路に設けられている。そして、第2読取部は原稿を読み取るための読取ユニットを備えている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0004】
原稿送り装置に設けられた第2の読取部の読取ユニットは、原稿の搬送面を兼ねるコンタクトガラスと、このコンタクトガラス上を介して原稿に光を照射する光源と、原稿からの反射光を所定の方向に導く複数のミラーと、この複数のミラーにより導かれた反射光を収束するレンズと、このレンズにより収束された光を光電変換する光電変換素子(CCD)と、を備えている。さらに、読取ユニットはその大部分をユニットカバーによって覆われ、異物がユニット内部に侵入しないように密閉されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−162775号公報
【特許文献2】特開2005−15100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の読取ユニットは塵、埃、紙粉、ローラの削り粕などの異物が侵入しないように樹脂製のカバーで全体を覆うようにしているため、読取ユニットを組み立てるときや際やカバーの僅かな隙間から異物が侵入した場合、異物の除去などのメンテナンスは困難であり、読取ユニットの全体を交換しなければならないとの問題がある。特に、原稿の搬送面を兼ねるコンタクトガラスの周辺には紙紛やローラの粕が発生するので、コンタクトガラスの内側に紙粉や粕が付着し易くなり、付着した紙粉や粕は読取画像を印刷する際に黒すじとして印刷されるとの問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、読取ユニットの内側に異物が侵入し、黒すじなどの画像不良が生じた場合であっても、読取ユニットのメンテナンスが容易で、装置の取り扱いが簡便な原稿読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために本発明の原稿読取装置は、読取位置が設けられたコンタクトガラスを有する第1のユニットと、コンタクトガラスを介して原稿に光を照射する光源を有する第2のユニットと、原稿の反射光を所定の方向に導く複数のミラーとこの複数のミラーにより導かれた反射光を収束するレンズとこのレンズにより収束された光を光電変換する光電変換素子とを有する第3のユニットと、で読取機構を構成するとともに読取機構を第1、第2、第3のユニットを連結して1つの読取ユニットとし、第1、第2、第3のユニットで構成された読取ユニットを搬送機構に着脱自在に取り付け、搬送機構から取り外された読取ユニットを第2のユニットと第3のユニットが連結した状態で第1のユニットを取り外し可能とした。
【発明の効果】
【0009】
上述の構成によって、読取ユニットとしてユニット化された読取機構を搬送機構から取り外した後に、読取ユニットにおける第3のユニットと第2のユニットとを連結した状態で、第2のユニットから第1のユニットを取り外すことができるので、第1、第2のユニット間に入り込んだ異物を容易に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る原稿読取装置本体及び原稿搬送装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る第2の読取ユニットを示す拡大断面図である。
【図3】本発明に係る読取ユニットの取り外し状態を示す模式図である。
【図4】本発明に係る第2の読取ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図5】本発明に係る光学ユニットにおける各部品の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図6】本発明に係る光学ユニットにおける各部品の取り付け状態を示す状態斜視図である。
【図7】本発明に係る光源ユニットの主要部の構造を示す拡大斜視図である。
【図8】本発明に係る光源ユニットの主要部の構造を示す分解斜視図である。
【図9】本発明に係るガラスユニットの構造を示す分解斜視図である。
【図10】本発明に係る光源ユニットとガラスユニットとを連結させる連結構造を示す断面図である。
【図11】本発明に係るガラスユニットの移動状態を示す模式図である。
【図12】本発明に係る第3のコンタクトガラスのクリーニング状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る原稿搬送装置を備える原稿読取装置を説明する。図1は原稿読取装置本体及び原稿搬送装置の全体構成を示す断面図である。
【0012】
図1に示すように原稿読取装置は、原稿読取装置本体Hと原稿を搬送する搬送機構としての原稿搬送装置Aで構成されており、原稿搬送装置Aは原稿読取装置本体Hに図示しないヒンジを介して取り付けられている。なお、前記ヒンジは原稿読取装置本体Hの上面に対して原稿搬送装置Aを開閉自在に支持する。
【0013】
原稿読取装置本体Hには、原稿搬送装置Aによってコンタクトガラス1a上面を搬送される原稿の片面を読み取るための第1の読取ユニット2が設けられている。また、原稿搬送装置Aには本体Hのコンタクトガラス1a上面を通過した原稿の他面を読み取るための読取機構をユニット化した第2の読取ユニット3が設けられている。
【0014】
そして、原稿搬送装置Aは、原稿読取装置本体Hの上面を開放するように本体Hに対して開閉自在に取り付けられており、本体Hのコンタクトガラス1bに載置された原稿を第1の読取ユニット2を移動させて読み取るように構成されている。
【0015】
原稿読取装置本体Hに設けられた第1の読取ユニット2は、光源、複数のミラー、レンズ、光電変換素子(CCD)を含む光電変換手段が一体化されたユニットとなっている。そして、第1のコンタクトガラス1aを介して光源からの光を搬送される原稿に照射し、その反射光をミラーで反射させてレンズを介してCCDを含む光電変換手段により光電変換して原稿画像を読み取る。また、第1の読取ユニット2は、副走査方向に移動することによって、原稿搬送装置Aを開閉してコンタクトガラス1b上に載置されたブック物等の厚い原稿画像を読み取る。
【0016】
原稿給紙装置Aは、図1に示すように複数枚の原稿が載置可能な給紙トレイ10と、給紙トレイの下方に配置され、読み取られた原稿を収納する排紙トレイ11と、原稿を搬送する搬送部を備えられている。
【0017】
原稿搬送装置Aの搬送部には、給紙トレイ10から排紙トレイ11に至るU字状の原稿搬送経路12と、原稿に当接して原稿を繰り出すための繰出ローラ13と、繰り出された原稿を給送する給紙ローラ14と、給紙ローラ14に圧接して原稿を1枚に分離する分離ローラ15と、1枚に分離されて給送される原稿の先端を突き当てて整合した後に下流側に送るレジストローラ対16と、第1のコンタクトガラス1aの上流側に配置された第1の搬送ローラ対17と、第1のコンタクトガラス1aの下流側に配置された第2の搬送ローラ対18と、第2の搬送ローラ対18の下流側に配置されて排紙トレイ11に原稿を排紙する排紙ローラ対19と、が設けられている。
【0018】
原稿搬送装置Aには、第1の読取ユニット2で読み取られる原稿面と反対側の原稿面を読み取るための第2の読取ユニット3が設けられている。この第2の読取ユニット3はU字状の原稿搬送経路12の内側の排紙方向に向かって徐々に狭くなる空間に配置されている。そして、第2の読取ユニット3には、その排紙方向の端部に第3のコンタクトガラス20が設けられている。第3のコンタクトガラス20は、第2の搬送ローラ対18の排紙ローラ対19との間に配置されて原稿搬送路のガイドの一部として機能し、第3のコンタクトガラス20面を通過する原稿を第2の読取ユニットで読み取るように構成されている。
【0019】
このような構成によって、給紙トレイ10上の原稿を繰出ローラ13で繰り出し、給紙ローラ14及び分離ローラ15によって1枚に分離する。そして、1枚に分離された原稿をレイジトローラ対16で整合した後に第1の搬送ローラ対17にて第1のコンタクトガラス1aに搬送する。その後、第1のコンタクトガラス1aを通過した原稿を第2の搬送ローラ対18にて第3のコンタクトガラス20に搬送し、排紙ローラ19で排紙トレイ11に排紙する。この原稿を搬送する過程において、原稿が第1のコンタクトガラス1aを通過するときに第1の読取ユニット2によって原稿の表面が読み取られ、原稿が第3のコンタクトガラス20を通過するときに第2の読取ユニット3によって原稿の裏面が読み取られる。
【0020】
次に、第2の読取ユニット3について詳細に説明する。図2は第2の読取ユニット3を示す拡大断面図である。第2の読取ユニット3はコンタクトガラス20を搬送される原稿に光を照射するためのLED21及び導光体22からなる光源と、原稿からの反射光を所定の方向に導く複数のミラー24、25、26、27と、複数のミラー24、25、26、27により導かれた反射光を収束するレンズ28と、レンズ28により収束された光を光電変換するCCD(光電変換素子)29とを備えている。
【0021】
そして、第3のコンタクトガラス20を介して光源から発せられる光を原稿に照射し、その反射光を複数のミラー24、25、26、27で反射させ、レンズ28を介してCCD29により光電変換して原稿画像を読み取る。
【0022】
このように、上記の原稿送り装置Aでは、第1のコンタクトガラス1aを通過する原稿の表面の画像を第1の読取ユニット2で読み取り、第3のコンタクトガラス20を通過する原稿の裏面の画像を第2の読取ユニット3で読み取るので、両面原稿の画像読取時間を大幅に短縮することができる。
【0023】
ここで、第2の読取ユニット3は、メンテナンスのために原稿搬送装置Aに対して着脱自在に取り付けられている。図3は、第2の読取ユニット3の取り外し状態を示す模式図である。第2の読取ユニットは原稿搬送装置Aに設けられた支持片73にビス74で取り付けられている。
【0024】
そして、第2の読取ユニット3のメンテナンスを行う場合は、図3に示すように繰出ローラ13、給紙ローラ14、レジスト駆動ローラ16a、搬送経路12の上流側に一部を形成する上ガイド71が取り付けられた装置カバー70を、ガイド71の下流側に設けられた軸70aを支点として図中反時計回り方向に回転させ、分離ローラ15、レジスト従動ローラ16bが取り付けられて搬送経路12の上流側に一部を形成する下ガイド72を取り外す。これによって、第2の読取ユニット3が露出するので、第2の読取ユニット3と支持片73を連結するビス74を緩めて第2の読取ユニット3を原稿搬送装置Aの搬送機構部より取り外す。
【0025】
メンテナンスが終了すると、第2のユニット3をビス74で再び支持片73に取り付け、その後に下ガイド72を取り付ける。そして、装置カバー70を図中時計廻り方向に回転させ、原稿搬送装置Aを第2の読取ユニット3を取り外す前の状態に戻す。
【0026】
次に、第2の読取ユニット3について詳細に説明する。図4は、第2の読取ユニット3をユニット毎に分解した斜視図である。この図4及び図2に示すように第2の読取ユニット3は、4つのミラー24、25、26、27及びレンズ28、CCD29が設けられた光学ユニット60(第3のユニット)と、LED21、導光体22が設けられた光源ユニット61(第2のユニット)と、第3のコンタクトガラス20が設けられたガラスユニット62(第1のユニット)で構成されている。
【0027】
光学ユニット60、光源ユニット61、ガラスユニット62はこの順に連結し、第2の読取ユニット3を形成している。すなわち、光学ユニット60と光源ユニット61をビスなどの連結部材よって連結し、光源ユニット61とガラスユニット62をビスなどの連結部材によって連結している。
【0028】
このように構成することによって、光源ユニット61とガラスユニット62を連結した状態で光学ユニット60のみを取り外し、光学ユニット60と光源ユニット61との間に入り込んだ塵、埃、粕やゴミのなどの異物を取り除くことができ、また複数のミラー24、25、26、27のメンテナンスが容易にできる。さらに、光学ユニット60と光源ユニット61を連結した状態でレンズユニット62のみを取り外し、光源ユニット61とレンズユニット62との間に入り込んだ塵、埃、粕やゴミなどの異物を容易に取り除く際のメンテナンスが容易に行える。
【0029】
光学ユニット60は、第2の読取ユニット3の外装カバーを兼ねる樹脂形成された断面略L字状の第1フレーム30と、原稿搬送方向に対して直交する原稿幅方向に向って延設された4つのミラー24、25、26、27と、レンズ28と、CCD29が実装されたCCD基板31から構成されている。図4に示すように樹脂形成された第1フレーム30の内側には各ミラー24、25、26、27が取り付けられる複数のミラー取付部30a(一部のみを図示する)が形成されている。この各ミラー24、25、26、27はその両端部をコ字状の板バネ35で挟んでそれぞれのミラー取付部30aに取り付けられている。
【0030】
図5、図6は、光学ユニット60におけるレンズ28及びCCD29が実装されるCCD基板31を取り付ける状態を説明するための説明図であり、図5はレンズ28、CCD基板31を第1フレーム30に取り付けるための各部品を分解した分解斜視図、図6はレンズ28、CCD基板31の取り付け状態を示す状態斜視図である。
【0031】
レンズ28は、レンズホルダー28aによって保持されている。レンズホルダー28aは、図5に示すように第1フレーム30の外側に形成された凹状のレンズ取付部30bに嵌合するように配置されている。また、第1フレーム30にはレンズホルダー28aを位置決めし、保持するための第1金属板32が取り付けられている。第1金属板32には、レンズホルダー28aに設けられた2つのピン28b及び2つのボス28cに対応する貫通孔32a及び嵌合孔32bが設けられている。そして、レンズホルダー28aに設けられた2つのピン28b及び2つのボス28cを第1金属板32の孔32a、32bに貫通及び嵌合し、第1金属板32を図6に示すように第1フレーム30にビス37によって固定することで、レンズホルダー28aが第1金属板32によって位置決め及び保持される。
【0032】
CCD基板31は図6に示すように第2金属板33に取り付けられ、第2金属板33は第1の金属板32にビス38によって固定される。なお、第2金属板33のビス38が貫通するビス孔は長孔33aに形成されており、ビス38を弛めた状態で第2金属板33を長孔33aに沿って移動してCCD29とレンズ28との距離を調整した後にビス38を締めて第2金属板33を固定する。また、第1金属板32のビス37が貫通するビス孔も長孔32cに形成されており、ビス37を弛めた状態で第1フレーム30に対して第1金属板32を移動させ、第4ミラー27とレンズ28の距離を調整した後にビス37を締めて第1金属板32を固定する。
【0033】
このように、レンズホルダー28a及びCCD基板31を金属板で固定保持しているので、光学ユニット60の周辺の環境が変化してもレンズホルダー28a及びCCD基板31の位置がずれることがない。また、レンズホルダー28a及びCCD基板31を第1フレーム30の外側に取り付け、第1、第2金属板32、33で位置調整できるようにしたので、3つの各ユニット60、61、62を連結して第2の読取ユニット3を構成した状態でレンズ28、CCD29の位置を調整できる。さらに、第1、第2金属板32、33によってレンズホルダー28aとCCD基板31の位置をそれぞれ調整できるようにしたので、調整作業が容易となる。
【0034】
なお、図5における符号39は、第1フレーム30おける第1、第2金属板32、33の部分を覆うように取り付けられた黒色のフィルム部材である。これによって、第1フレーム30の内側、すなわち第2の読取ユニット3の内部に塵、埃、ゴミなどの異物が侵入しないようにしている。また、符号36は、CCD基板31と第1フレーム30の間に設けられた弾性変形可能なスポンジ部材である。このスポンジ部材36はCCD基板31と第1フレーム30との隙間を埋めて光源ユニット3の内部に塵、埃、ゴミなどの異物が侵入しないようにしている。
【0035】
光源ユニット61は、各ミラー24、25、26、27が取り付けられた第1フレーム30の内部を覆うように第1フレーム30に取り付けられる第2フレーム40と、この第2フレーム40の一面側に取り付けられて原稿搬送方向に対して直交する原稿幅方向に延設する2つの導光体22と、この導光体22の原稿幅方向の一端側に配置されて導光体22に入射される光を発光するチップ状のLED21及びLED21が実装されるLED基板41と、LED21の熱を放散するための放熱器43で構成される。
【0036】
図7は光源ユニット31のLEDが取り付けられている側の端部を拡大した拡大斜視図、図8は光源ユニットの各部品を分解した分解斜視図である。第2フレーム40は樹脂で形成されており、図7、図8に示すように導光体22が取り付けられる凹部40aと、この凹部40aに取り付けられた2つの導光体22の間で原稿の反射光を光学ユニット30内の第1ミラー24に導くためのスリット40bが形成されている。また、第2フレーム40の長手方向の側部にはLED基板41が取り付けられるLED基板取付部40cが形成され、LED基板取付部40cには導光体22が貫通する大きな開口40dが形成されている。
【0037】
LED基板41は熱伝導率の優れる銅板からなる金属基板であり、半導体(チップ状のLEDなど)が発生する熱を基板に逃がす。またLED基板41にはLED21の廻りを囲むように配置されたリフレクター42が取り付けられている。このリフレクター42は、LED基板41と導光体22の長手方向の一側面との間に設けられ、LED21から発光された光を外部に洩れることなく導光体22に入射させる。なお、本実施の形態においては、1つの導光体22に対して2つのLED21を用いており、リフレクター42は隣り合う2つのLED21の廻りを取り囲むように配置される。
【0038】
導光体22は、光透過性の高い非晶質のアクリル樹脂からなる。導光体22の長手方向の一端側の2箇所には突出片22aが設けられている。導光体22の突出片22aは、第2フレーム40におけるLED基板取付部40cの開口40dから外側に貫通しており、図7に示すようにリフレクター42と第2フレーム40の規制部40eが突出片22aを挟むことによって、導光体22を所定位置に保持するように構成されている。また、導光体22の両端側には、導光体22が第2フレーム40の凹部40aから抜け出ないようにするためのフィルム部材46が設けられている。このフィルム部材46は第2フレーム40に両面テープなどで取り付けられており、導光体22を第2フレーム40の凹部40a内に保持する。
【0039】
放熱器43はLED21及びLED基板41の熱を放散することによって温度を下げる。本実施の形態では、その性能を向上させるために熱が伝導しやすいアルミニウムを材料とし、表面積が広くなるフィン形状からなる放熱器を採用している。また、LED基板41と放熱器43の間には熱伝導率の大きい弾性部材44が設けられている。この弾性部材44はLED基板41及び放熱器43の表面に微小な起伏などがある場合でも両表面の形状に沿って変形する。これによって、LED基板41の熱が効率良く放熱器43に伝導することができる。本実施の形態においては、熱伝導性が優れた弾性部材44としてシリコーンポリマーとセラミックスの混合材を用いている。
【0040】
なお、放熱器43はビス45によって第2フレーム40に取り付けられており、放熱器43は第2フレーム40との間でLED基板41、弾性部材44を挟んで保持する。これによって、リフレクター42が導光体22の側面及び突出片22aに当接し、導光体22に対してLED21が位置決めされる。また、弾性部材44には、LED基板41及び放熱器43の表面に沿って変形するための適度な押圧力が付与される。
【0041】
図9はガラスユニット62の構造を示す分解斜視図である。図1、図2及び図9に基づきガラスユニット62を説明する。ガラスユニット62は、樹脂で形成された第3フレーム50と、この第3フレーム50に形成された読取開口50aに取り付けられた第3のコンタクトガラス20と、で構成されている。
【0042】
第3のコンタクトガラス20は、その一方面が原稿搬送経路12の一部となっており、原稿を読み取るための読取位置Xに配置されている。また、第3のコンタクトガラス20の原稿搬送面にはシェーディング補正用白基準データを得るためのシート状の白色板51が取り付けられている。白色板51は第3のコンタクトガラス20の原稿搬送方向上流側の一部に長手方向に沿って取り付けられている。本実施の形態では、白色板51を覆う白色シート56を設けており、この白色シート56は第3のコンタクトガラス20の原稿搬送方向上流側端部を越えた第3フレーム50から前記白色板51及び第3のコンタクトガラスの略半分を覆うように取り付けられている。
【0043】
ガラスユニット62は光源ユニット61の導光体22の部分を覆うように配置され、ガラスユニット62は白色板51を読取位置Xとその読取位置Xから退避した位置に移動させるようにコンタクトガラス20の短手方向に往復移動可能に構成されている。
【0044】
図10はガラスユニット62を光源ユニット61に連結させるための連結構造を示す断面図である。第3フレーム50の長手方向の両側部には、図9に示すように光源ユニット61にガラスユニット62を取り付けるための取付部50bが形成されている。この取付部50bには、図10に示すように貫通孔50cが形成され、また光源ユニット61の第2フレーム40にも貫通孔40fが形成されている。そして、第2フレーム40の貫通孔40fと第3フレーム50の貫通孔50cに円柱状の支持部材52を貫通させ、この支持部材52の両端にE形の止め輪を嵌め込み、ガラスユニット62と光源ユニット61とを連結している。
【0045】
ここで、ガラスユニット62を移動させる構成について説明すると、光源ユニット3にはガラスユニット62を一方向に付勢する圧縮バネ53が設けられ、原稿搬送装置Aの側板(図示せず)にはガラスユニット62を他方向に移動させるためのソレノイド54及びリンク部材55が設けられている。圧縮バネ53は、支持部材52における第2フレーム40の貫通孔40fと第3フレーム50の貫通孔50cとの間には取り付けられており、この圧縮バネ53の付勢力によってガラスユニット62を図10(a)に示す原稿搬送方向上流側の位置に移動させる。一方、ソレノイド54はその吸引動作によってプランジャーに取り付けられたリンク部材55を移動させる。このリンク部材55の当接部55aが第3フレーム50の突出部50dに当接し、圧縮バネ53の付勢力に抗してガラスユニット62を図10(b)に示す原稿搬送方向下流側の位置に移動させる。
【0046】
図11(a)(b)は、ガラスユニット62の移動による第3のコンタククトガラス20と読取位置との関係を示す模式図である。この図11に基づき上述の移動構成について具体的に説明する。初期状態(ソレノイド54がOFFの状態)において、ガラスユニット62は圧縮バネ53の付勢力によって図11(a)に示すように図中の実線で示す矢印方向に付勢され、取付部50bの端部が第2フレーム40の貫通孔40fが形成された部分に当接した状態で停止している。このとき、白色板51は読取位置Xから退避した退避位置にある状態となっている。
【0047】
この状態、すなわち退避位置にある白色板51を読取位置Xに移動させる場合、ソレノイド54をON(通電)にする。ソレノイド54をONすると、プランジャーが吸引されてリンク部材55が図11(b)に示すように図中の破線で示す矢印方向に移動する。これによって、リンク部材55の先端側に形成された当接部55aが第3フレーム50の突出部50dに当接し、リンク部材55は圧縮バネ53の付勢力に抗して図中の破線で示す矢印方向にガラスユニット62を移動する。そして、ソレノイド54の吸引動作が終了するとガラスユニット62は停止する。これによって、白色板51が退避位置から読取位置Xに移動する。
【0048】
白色板51を読取位置Xから再び退避位置に移動させる場合、ソレノイド54をOFF(非通電)にする。これによって、プランジャーの吸引が解除され、プランジャー及びリンク部材55がフリー状態となり、ガラスユニット62は圧縮バネ53の付勢力によって図11(a)に示すように図中の実線で示す矢印方向に付勢されて移動する。この移動によって白色板51が退避位置に移動する。
【0049】
次に、図4に示すように第1フレーム30及び第2フレーム40には、第3のコンタクトガラス20の原稿搬送面の背面をクリーニングするためのクリーニング開口65、66がそれぞれ設けられている。この第1フレーム30のクリーニング開口65は、原稿搬送方向端部に第1フレーム30の長手方向に沿って形成しており、通常時は異物が入り込まないようにフィルム部材で塞がれ、クリーニングのときにのみフィルム部材を取り外すようになっている。第2フレーム40のクリーニング開口66は、第1フレーム30のクリーニング開口65に対応した位置、すなわち原稿搬送方向において第1フレーム30のクリーニング開口65と同一位置に第2フレーム40の長手方向に沿って形成されている。
【0050】
そして、図12に示すように第1フレーム30のクリーニング開口65、第2フレーム40のクリーニング開口66は第3のフレーム50の第3のコンタクトガラス20の背面まで貫通されており、このクリーニング開口65、66に綿棒などのクリーニング部材67を差し込んで、第3のコンタクトガラス20の背面をクリーニングする。このとき、クリーニング開口65、66から第3のコンタクトガラス20の背面が見える位置までレンズユニット62を移動させてクリーニングする。
【0051】
これによって、ガラスユニット62と光源ユニット61との間に入り込んだ塵や埃、粕などの異物が第3のコンタクトガラス20の背面に付着しても容易に取り除くことができる。なお、クリーニング開口65、66に綿棒などのクリーニング部材で容易に異物が取り除けない場合や付着した異物が発見し難い場合は、前述したように光学ユニット60と光源ユニット61を連結した状態でガラスユニット62を光源ユニット61から取り外し、クリーニング液などを用いてクリーニングを行う。
【0052】
図1、図2に基づき第2の読取ユニット3の光路について説明する。LED21から放射した光は、透明な樹脂からなる導光体22の端面から入射され、導光体22の長手方向に亘って導光体22内の反射面の間を反射しながら進み、そのうちの一部の光が導光体22の長手方向に延びる出射面から外部に出射される。出射した光は、第3のコンタクトガラス20を介して搬送経路12を送られる原稿に照射される。
【0053】
原稿に照射された光は、図2に示すように原稿面から反射して第3のコンタクトガラス20を介して第2の読取ユニット3内に導かれる。そして、第2の読取ユニット3内に入射した光は第2フレーム40のスリット40bから第1ミラー24で反射された後に第2ミラー25、第3ミラー26の順に反射される。第3ミラー26で反射された反射光は再び第2ミラー25で反射された後に最終の第4ミラー27に入射される。そして、第4ミラー27で反射された光をレンズ28で集光し、この集光した光をCCD29上に結像して原稿画像を読み取る。なお、第2ミラー25は第1ミラー24からの光を第3ミラー26に向けて反射する第1反射面25aと第3ミラー26からの光を第4ミラー27に向けて反射する第2反射面25bを有する。
【0054】
ここで、前述したU字状の原稿搬送経路12は、図1に示すように給紙トレイ10上の原稿が繰り出される給紙口12aからレジストローラ対16に至る上流側の経路は略直線で形成され、レジストローラ対16から第1のコンタクトガラス1に至る経路は湾曲状に形成され、第1のコンタクトガラス1aから排紙ローラ対19の位置する排紙口12bに至る下流側の経路は給紙口側に向って上方に傾斜して形成されている。そして、第2の読取ユニット3は、U字状の原稿搬送経路12の内側の領域に配置されており、第2の読取ユニット3が配置されるU字状の原稿搬送経路12の内側の領域(スペース)は、排紙トレイ11側に向って徐々に狭くなっている。
【0055】
光源ユニット3の外形の輪郭は、長方形の1つの隅の一部を切り欠いたような形状となっており、図1に示すように光源ユニット3の全体の外形は給紙ローラ13からレジストローラ対16に至る直線状の経路の下方の第1面3aと、U字状の経路の湾曲側にある第2面3bと、第1のコンタクトガラス1の上方にある第3面3cと、第2の搬送ローラ対18から排紙ローラ対19に至る経路に沿って傾斜し、上述の1つの隅の一部を切り欠いた部分に相当する第4面3dと、排紙トレイ11側で、第2面3bに対向した第5面3eと、で構成されている。つまり、本実施の形態における第2の読取ユニットの外形は原稿搬送経路12に沿って形成されており、排紙トレイ11側に向って高さ方向の寸法を徐々に小さくしている。これによって、装置全体が小型化を図っている。
【0056】
そして、第2の読取ユニット3は、その一端側の部分に原稿を読み取るための読取位置Xを設けている。すなわち、第2の読取ユニット3は第5面3e側(排紙トレイ11側)の端部に第3のコンタクトガラス20、2つ導光体22、第1ミラー24を配置している。また、第2、第3、第4ミラー25、26、27及びレンズ28、CCD29が実装されたCCD基板31は、第1ミラー24よりも第2面3b側(排紙トレイ11側とは異なる側)に配置している。つまり、第2の読取ユニット3では、そのユニット3内における第5面3e側のスペースが狭い部分から原稿の反射光を取り込み、取り込んだ光をスペースが広い側で複数回反射させて光路長を確保している。
【0057】
具体的には、第1ミラー24は最も第5面3eに近い側で、かつ第2フレーム40のスリット40bに近接し、スリット40bを通過した光を直ちに第3ミラー26と第4ミラー27との間に向って反射させるように配置されている。第2ミラー25は、第1ミラー24の反射面24aよりも下方で、かつ第2面20b側の広いスペースに配置されおり、第1ミラー24からの反射光を第3のミラー25に向けて反射する。第3のミラー26は、第1ミラー24の反射面24aよりも下方で、かつ導光体22が保持するために形成された第2フレーム40の凹部40aの外側の側部に隣接したスペースに配置しており、第2ミラー25からの反射光を再び第2のミラー26に向けて反射する。第4ミラー27は第1ミラー24の反射面24aよりも上方で、かつ第1ミラー24に隣接して配置しており、第2ミラー25からの反射光をレンズ28に向けて反射する。レンズ28は、第1ミラー24よりも上方で、かつ第2面20b側の広いスペースで第2ミラー25の真上に配置されおり、CCD基板31は最も第2面20bに近い位置で第2面20bに沿って配置されている。このように、スペースが狭い一端部から入射した光をスペースが広い側で複数回反射させるように各光学部品を最適にレイアウトし、所定の光路長を確保しつつ第2の読取ユニット3の小型化を図っている。
【0058】
本実施の形態によれば、第2の読取ユニット3を光学ユニット60、光源ユニット61、ガラスユニット62をこの順に連結して構成し、光源ユニット61とガラスユニット62を連結した状態で光学ユニット60を取り外し、光学ユニット60と光源ユニット61を連結した状態でレンズユニット62を取り外しできるようにしたので、光学ユニット60、光源ユニット61、ガラスユニット62の各ユニット間に入り込んだ異物を容易に取り除くことができる。また各ユニット間に配置した部品のメンテナンスが容易となる。特に、原稿の搬送面を兼ねる第3のコンタクトガラス20の周辺には紙紛やローラの粕が発生するので、第3のコンタクトガラス20の内側に紙粉や粕が付着した場合には、光源ユニット61からレンズユニット62を取り外して容易に第3のコンタクトガラス20をクリーニングできる。
【符号の説明】
【0059】
A 原稿搬送装置
H 原稿読取装置本体
1a 第1のコンタクトガラス
2 第1の読取ユニット
3 第2の読取ユニット(読取ユニット)
12 原稿搬送経路
20 第3のコンタクトガラス
21 LED
22 導光体
24 第1ミラー
25 第2ミラー
26 第3ミラー
27 第4ミラー
28 レンズ
29 CCD(光電変換素子)
60 光学ユニット(第3のユニット)
61 光源ユニット(第2のユニット)
62 ガラスユニット(第1のユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る読取位置に原稿を案内する搬送経路に沿って原稿を搬送する搬送機構と、前記読取位置を搬送される原稿を読み取る読取機構と、を備えた原稿読取装置において、
前記読取位置が設けられたコンタクトガラスを有する第1のユニットと、前記コンタクトガラスを介して原稿に光を照射する光源を有する第2のユニットと、原稿の反射光を所定の方向に導く複数のミラーとこの複数のミラーにより導かれた反射光を収束するレンズとこのレンズにより収束された光を光電変換する光電変換素子とを有する第3のユニットと、で前記読取機構を構成するとともに前記読取機構を前記第1、第2、第3のユニットを連結して1つの読取ユニットとし、
前記第1、第2、第3のユニットで構成された前記読取ユニットを前記搬送機構に着脱自在に取り付け、前記搬送機構から取り外された前記読取ユニットを前記第2のユニットと前記第3のユニットが連結した状態で前記第1のユニットを取り外し可能としたことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
前記光源は、光を発光する半導体素子と、原稿幅方向に延設され、前記半導体素子の光を原稿面に向けて射出する導光体と、からなり、
前記第2のユニットは、前記半導体が実装された基板、及び半導体の発熱を抑える放熱器を備えることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記第2のユニットは、その一面側に前記導光体を取り付ける凹部と原稿から反射光を前記第3のユニットのミラーに導くスリットとが形成され、その側面側に前記基板を取り付ける取付部が形成された樹脂フレームを備えることを特徴とする請求項2に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
第3のユニットは、その一面側に複数のミラーを取り付けるミラー取付部と、他面側にレンズを取り付けるレンズ取付部が形成された樹脂フレームを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記第1ユニットは、前記第2ユニットに対して原稿搬送方向に移動可能に連結されたことを特徴すると請求項1〜4に記載の原稿読取手段。
【請求項6】
前記読取ユニットの外部から前記第1のユニットの前記コンタクトガラスの原稿搬送面に対する背面側に通じる開口を前記第3のユニット及び第2のユニットのそれぞれに設けたことを特徴とする請求項5に記載の原稿読取装置。
【請求項7】
前記第1のユニットは、シェーディング補正データを得るための白色シートを有し、前記白色シートは前記コンタクトガラスの原稿搬送方向の一部を覆うように取り付けられたことを特徴とする請求項5に記載の原稿読取装置。
【請求項8】
前記第3のユニットは前記第1のユニットと第2のユニットが連結した状態で第2のユニットに対して取り外し可能であることを特徴とする請求項1の原稿読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−58959(P2013−58959A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196800(P2011−196800)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】