説明

原稿読取装置

【課題】簡単な構成で、読み取る原稿の厚さ毎に設置することなく、単に、原稿を一対の搬送ローラ間に食い込ませるのみで原稿を読み取ることができる原稿読取装置を提供する。
【解決手段】読取部100は、蓋部20に設けられるとともに、複数のイメージセンサ110を千鳥状に配置して、主走査方向に隣接するイメージセンサ110を互いに重複させて構成し、さらに、原稿Pと対向する面にはプラテンガラスが設けられ、本体部は、イメージセンサ110と対向する面に、原稿P導入部700が配置され、原稿導入部700は、現行の先端を読取部100に導入しやすいようにカマボコ状に形成されるとともに、原稿Pがプラテンガラス800に当接させる付勢手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿に記載されたデータを読み取る原稿読取装置として特許文献1のようなものがある。この構成は、画像読取装置は、原稿押圧部のべ−ス部材上に載置する押圧ブロックを有し、その中央部分に貫通孔と、溝部を形成する。
【0003】
この孔部はガイドとその頭頂部がその内側部分で接触しないような十分な大きさを有し、また、溝部はガイドの頭頂部と同等或いはそれよりも多少大きな幅で形成する。
【0004】
例えば、原稿に対する画像読み取り部への押圧力が小さい方がよい場合、操作者は先ず押圧ブロックの孔部に原稿押圧部材に固定したガイドおよびその頭頂部を嵌挿して、べ−ス上に載置するものである。
【特許文献1】特開2003−125159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この構成は、原稿の厚み、原稿のコシ等の特性により、押圧ブロックまたは原稿押圧部材で押圧力を調整する必要があり、連続して異なる特性の原稿を読み込ませることはできないという課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、原稿に記載されたデータを読み取る読取部と、該原稿を該読取部に繰り出す搬送手段と、該原稿のデータを該読取部で読み取った後、外部に該原稿を排出する排出手段とを備え、搬送手段と排出手段とにより、本体部と該本体部の一端を支点として開閉可能に設けられた蓋部との間に原稿を通過させ、原稿のデータを読み取る原稿読取装置において、読取部は、蓋部に設けられるとともに、複数のイメージセンサ110を千鳥状に配置して、主走査方向に隣接するイメージセンサ110を互いに重複させて構成し、さらに、原稿と対向する面にはプラテンガラスが設けられ、本体部は、イメージセンサ110と対向する面に、原稿導入部が配置され、原稿導入部は、現行の先端を読取部に導入しやすいようにカマボコ状に形成されるとともに、原稿がプラテンガラスに密着させる付勢手段が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、原稿の先端を原稿導入部に突き当て、原稿の先端を読取部により読み取ることにより、原稿の幅を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記構成により、本発明によれば、簡単な構成で、厚さ、種類、腰の強さ等の原稿の特性に応じて、原稿を押圧する部材を調整することなく、原稿をプラテンガラスに密着させることができる。
【0009】
また、原稿導入部700をイメージセンサ110の対向する位置に配置することで、原稿の先端が原稿導入部に突き当たった時に、イメージセンサ110で原稿の幅を検知することにより、原稿の幅のみを検知するセンサをなくすことができ、装置自体のコストを下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の形態を、図を参照して説明する。図1に本発明の画像読取装置の概略図を示す。この装置は、例えばA0サイズまでの大判用紙サイズの原稿Pを読み取るLEDプリンタ等の印字出力装置に接続可能なイメージスキャナであり、スキャナ部とプリンタ部が一体となった複写機においても利用される。
【0011】
このイメージスキャナは、図1に本発明の画像読取装置の構成は、本体部600と蓋部20とからなり、搬送口10から原稿Pを挿入して搬送手段200に突き当てた後、搬送手段200により原稿Pを読取部100へ搬送し、原稿Pに記載されたデータを読取部100で読み取った後、排出手段300により外部に排出する構成となっている。なお、原稿Pに記載されたデータとは、イメージや文字、またはこれらが含まれたものをさす。
【0012】
搬送手段200は、一対のローラであり、搬送駆動ローラ210と搬送従動ローラ220とからなる。さらに、排出手段300は、搬送手段200と同様に、一対のローラであり、排出駆動ローラ310と排出従動ローラ320とからなる。
【0013】
図2に示すように、本体部600は、搬送駆動ローラ210と排出駆動ローラ310と原稿導入部700とを備える。搬送駆動ローラ210は、第一駆動軸230に軸支されている。
【0014】
さらに、搬送駆動ローラ210は第一駆動軸230に二つ以上配置されている。また、第一駆動軸230は図示しない駆動源に連結され、第一駆動軸230をこの駆動源の駆動力を伝達し、搬送従動ローラ220を回転させる。
【0015】
排出駆動ローラ310は、第二駆動軸330に軸支されている。排出駆動ローラ310は、搬送駆動ローラ210と同様に、第二駆動軸330に二つ以上配置されている。また、第二駆動軸330は図示しない駆動源に連結され、第二駆動軸330をこの駆動源の駆動力を伝達し、排出駆動ローラ310を回転させる。
【0016】
原稿導入部700は、搬送手段200から繰り出される原稿Pを読取部100に密接させるものであり、読取部100と対向する位置、つまり、本実施の形態では、千鳥状に配置されている。
【0017】
また、再び、図1に戻るが、原稿導入部700の両側(原稿の先端が接触する端縁)は、原稿の先端が接触する端が曲面となり、カマボコ状に形成されている。この構成により、原稿の先端が、原稿導入部の頂部に導入しやすくなる。
【0018】
さらに、原稿導入部700には、原稿導入部700が蓋部20側に付勢するようにバネや弾性体等からなる付勢手段400が設けられている。この付勢力により、厚さ、種類、腰の強さ等の原稿の特性が変更されても、所定圧で、後に述べるプラテンガラス800側に原稿Pが押圧され、正確に、読取部100で、原稿Pに記載されたデータの読み取りができる。
【0019】
次に、蓋部20は、読取部100と搬送従動ローラ220と排出従動ローラ320とを備える。読取部100は、原稿Pに記載されたデータを読むものであり、CCDまたはCISが千鳥状に配置され、原稿Pを読み取る時には、原稿導入部700と対向する位置となる。
【0020】
読取部100は、具体的には、CCD(Chage Coupled Device:CCDセンサ方式)、またはCIS(Contact Image Sensor:密着イメージセンサ方式)が適用される。
【0021】
また、原稿導入部700と対向する面にはプラテンガラス800が設けられている。これにより、先に述べたが、原稿Pが読取部100を通過するときに、付勢手段400の付勢力の作用により、原稿導入部700が、所定圧で、原稿導入部700の端縁に突き当たった後、原稿Pがプラテンガラス800に密着し、正確に、原稿Pに記載されたデータの読み取りができる。
【0022】
さらに、プラテンガラス800の原稿Pの挿入側には、原稿Pが読取部100側に搬送やすいようにガイド部810が設けられている。このガイド部810は、搬送方向に徐々に幅が狭くなるように形成され、一定以上の厚みがある原稿Pの搬送を規制している。
【0023】
搬送従動ローラ220と排出従動ローラ320は、読取部100の両側に位置し、搬送駆動ローラ210と排出駆動ローラ310と協働して原稿Pの搬送を行うものである。搬送従動ローラ220は、第一従動軸240に軸支されている。
【0024】
さらに、搬送従動ローラ220は、図2に示された搬送駆動ローラ210と同様に、第一従動軸240に二つ以上配置されている。各搬送従動ローラ220は、原稿Pを介して搬送駆動ローラ210、または、直接、搬送駆動ローラ210の回転に追従して回転する。
【0025】
排出従動ローラ320は、図2に示された搬送従動ローラ220と同様に、第二従動軸340に二つ以上配置されている。各排出従動ローラ320は、搬送従動ローラ220と同様に、原稿Pを介して排出駆動ローラ310、または、直接、排出駆動ローラ310の回転に追従して回転する。
【0026】
なお、原稿Pの厚さに対応した搬送駆動ローラ210と搬送従動ローラ220の隙間S、および排出駆動ローラ310と排出従動ローラ320の隙間Sの調整は、図示しないリンク機構により行われる。また、搬送従動ローラ220および排出従動ローラ320は、ばね、弾性体900等により原稿P側に付勢力が作用されている。
【0027】
以上、述べた、原稿導入部700、搬送駆動ローラ210と排出駆動ローラ310の組、搬送従動ローラ220と排出従動ローラ320の組、第一駆動軸230と第一従動軸240と第二駆動軸330と第二従動軸340の組は、同じ構成であり、部品の共通化を図って、製造原価のコストを削減することができる。
【0028】
次に、動作について述べる。以上の構成のもと、原稿Pの先端を挿入口(符号なし)に挿入すると、原稿Pの厚さ分だけ、搬送駆動ローラ210と搬送従動ローラ220の隙間Sが形成される。この時、付勢手段400により、搬送従動ローラ220が原稿P(下方)側に付勢されるため、所定圧で原稿Pが搬送される。
【0029】
これに伴い、リンク機構500により、搬送駆動ローラ210と搬送従動ローラ220の隙間Sの分だけ、排出従動ローラ320が上方にシフトする。
【0030】
さらに、搬送手段200により原稿Pが繰り出されると、原稿Pの先端がガラスプラテンのガイド部に突き当たり、原稿Pの先端が矯正されて、プラテンガラス800と原稿導入部700との間に搬送される。
【0031】
この時、原稿Pは、付勢手段400により原稿導入部700が上方に付勢され、所定圧でプラテンガラス800に押圧された状態になる。この結果、原稿Pの読み取り不良となる皺やカールなどが確実に矯正され、読取部100で原稿Pに記載されたデータを正確に読み取ることができる。
【0032】
また、原稿Pが原稿導入部700の端縁に突き当たった時、読取部100で原稿Pの両端を検知して、原稿Pの幅を検知する。これにより、別の原稿Pの幅を検知するセンサを設ける必要がなく、装置の小型化や、装置の製造コストを抑えることができる。
【0033】
さらに、繰り出された原稿Pは、排出手段300を通過するときに、付勢手段400により従動排出ローラが、原稿P(下方)側に付勢され、排出駆動ローラ310に対して、所定圧で押圧し、良好な搬送力で原稿Pを繰り出すことができる。排出手段300を通過した原稿Pは装置外へと排出される。
【0034】
このように、簡単な構成で、厚さ、種類、腰の強さ等の原稿の特性に応じて、原稿を押圧する部材を調整することなく、原稿をプラテンガラスに密着させることができる。
【0035】
また、原稿導入部をイメージセンサの対向する位置に配置することで、原稿の先端が原稿導入部に突き当たった時に、イメージセンサで原稿の幅を検知することにより、原稿の幅のみを検知するセンサをなくすことができ、装置自体のコストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の画像読取装置の概略図。
【図2】本体部の上面図。
【符号の説明】
【0037】
20 蓋部
100 読取部
200 搬送手段
300 排出手段
400 付勢手段
700 原稿導入部
800 プラテンガラス
P 原稿
S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に記載されたデータを読み取る読取部と、該原稿を該読取部に繰り出す搬送手段と、該原稿のデータを該読取部で読み取った後、外部に該原稿を排出する排出手段とを備え、
前記搬送手段と前記排出手段とにより、本体部と該本体部の一端を支点として開閉可能に設けられた蓋部との間に原稿を通過させ、前記原稿のデータを読み取る原稿読取装置において、
前記読取部は、前記蓋部に設けられるとともに、複数のイメージセンサを千鳥状に配置して、主走査方向に隣接するイメージセンサを互いに重複させて構成し、さらに、前記原稿と対向する面にはプラテンガラスが設けられ、
前記本体部は、前記イメージセンサと対向する面に、原稿導入部が配置され、
前記原稿導入部は、前記現行の先端を前記読取部に導入しやすいようにカマボコ状に形成されるとともに、前記原稿が前記プラテンガラスに当接させる付勢手段が設けられていることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
前記原稿の先端を前記原稿導入部に突き当て、前記原稿の先端を前記読取部により読み取ることにより、前記原稿の幅を検知することを特徴とする請求項1記載の原稿読取装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−98639(P2013−98639A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237597(P2011−237597)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000165136)桂川電機株式会社 (66)
【Fターム(参考)】