説明

双安定強磁性体を利用する熱機械デバイスによるエネルギー収穫

本発明のエネルギー収穫装置は、熱エネルギー−機械エネルギー−電気エネルギーへと変換する強磁性材料および/または形状記憶合金を含み得る。装置が熱傾斜を受けることにより、梁が曲げられ、圧電材料に歪力/ゆがみが生じるか、または、磁路に磁束が生じる。このプロセスで生じた電荷は、バッテリに転送され得る。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2006年1月25日に出願された米国特許仮出願番号第60/761、789号の優先権を主張し、そのすべての内容は、参照により本願明細書に組み込まれる。
【0002】
米国政府は、本発明のペイドアップ・ライセンス、および、限定された状況における権利を有し、許可番号FA9550−04−1−0067を受けてAFOSRによる資金提供契約で規定されている相応の値段で他者にライセンス供与することを特許所有者に要求する。
【技術分野】
【0003】
本発明の実施形態は、機械的動作を提供する強磁性材料、および、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する、圧電、電気活性、電磁、および/または、磁歪ジェネレータを用いる熱エネルギー収穫(または熱エネルギー獲得)技術に関する。さらに、動作効果を高めるべく、形状記憶合金も用いられ得る。
【背景技術】
【0004】
本願明細書中で参照される論文、公開特許公報、および、特許を含むすべての内容は、参照により本願明細書中に組み込まれる。
【0005】
熱エネルギー収穫(または熱エネルギー獲得)は、例えば、有用な電気エネルギーへの熱の段階的変化を用いた熱エネルギーの変換として定義されるが、これに限定されない。熱の段階的変化は、余熱が油送管、エンジン、および、電気デバイスなどに含まれる場合に見られる。その後、収穫された電気エネルギーは、さまざまな低電力用途の電源として用いられ得る。さまざまな低電力用途は、例えば、これに限定されないが、バッテリなどの他の電源は実用的でない可能性がある無線センサおよび/または通信ノードのネットワークシステムを含み得るリモート用途などである(J.A.Paradiso、T.Starner、IEEE パーベイシブ コンピューティング 1月−3月:18−27(2005)、S.Roundy、E.S.Leland、J.Baker、E.Carleton、E.Reilly、E.Lai、B.Otis、J.M.Rabacy,P.K.WrightによるIEEE パーベイシブ コンピューティング1月−3月:28−35(2005))。これらの理由により、電力収穫の研究は、急速に拡大している(H.A.Sodano、D.J.Inman、G.Park、Shook and Vibration 10 ダイジェスト版 第36巻、197−205(2004))。
【0006】
熱電材料を用いることにより、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することに成功している。これらの材料は、逆ペルチェ効果を用いる。これに伴い、ギャップ全体を通して温度差がある場合に電圧が生じる。熱電デバイスの効率は、
【数1】

により付与される材料の性能指数により決定される。α、ρ、κおよびTは、ゼーベック係数、電気抵抗率、熱伝導率、および、絶対目盛での平均動作温度である。
【0007】
デバイスの効率は、
【数2】

で表される。第1項
【数3】

は、カルノー効率を示し、第2項
【数4】

は、熱電材料による限界効率を示す。これらの材料は、役に立つものの、温度差が小さいとエネルギー効率は低くなる。(J.M.Gordon、Am.J.Phys、第59巻、No.6:551−555(1991))。例えば、最近開発された超格子AgPbSbTe2+m(ZT=T)を用いてさえ、限界効率は、ΔT=100℃およびTc=0℃に対し18.3%であるが、これは、市販のチップ(ZT<1)が11.4%以下の効率を有することを考えれば、楽観的にみるべきだと考えられる(G.Yonghui、X.Jingying、Chem.J、第7巻、No.2:19(2005)(インターネット))。
【0008】
近年では、熱機械デバイスと電気デバイスとを結合させることにより、熱エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換できるだろうと提案されている。(米国特許仮出願番号第60/554、747、および、米国特許公開公報第2005/0205125を参照されたい。これらの内容のすべては本願明細書中に参照により組み込まれる。圧電材料、および、相数変換による大きい熱歪みを示す熱歪み材料を用いることにより、優れた変換パフォーマンスが得られることを請求する。この中の記載の1つは、高温熱源と低温ヒートシンクとの間にバイモルフを配置することにより生じるバイモルフ効果による屈曲に依存する。
【0009】
機械エネルギーは、圧電材料、電気活性ポリマー、および、電磁誘導を用いて変換され得る。圧電ハーベスタを介し蓄積される電力量は、それを励起する機械的周波数に比例する(H.W.Kim、A.Batra、S.Priya、K.Uchino、D.Markley、R.E.Newnham、H.F.Hofmann著、社団法人応用物理学会、第43巻、9A:6178−6183(2004))。また、圧電材料内で生じる電圧は、歪力/歪みに比例する。したがって、動作周波数を高め、より大きい歪力/歪みをかけることがより高電力へのカギとなる。圧電材料に加え、機械エネルギーを電気活性ポリマー、電磁誘導、および、磁歪材料などの電気エネルギーに変換する他の材料も存在する。PVDFのような電気活性ポリマーは、圧電材料に似た原理を用いて、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する。電磁誘導では、ファラデーの法則に基づき、経路で囲まれた任意の表面を介して磁束に変化が起きたときに電圧が生じる。磁歪材料は、機械的負荷によってその磁性を変化させる。電磁コイルと結合したとき、機械エネルギーは、電気エネルギーに変換され得る。このように、機械エネルギーを電気エネルギーに変えるには何種類もの形式がある。
【0010】
形状記憶材料は、変態点と呼ばれる特定の温度において結晶構造が変えられるものである。変態点を上回ると、材料は、オーステナイト相と呼ばれる1つの結晶構造を有する。また、比較的低い温度を下回ると、材料は、マルテンサイト相と呼ばれる他の相を有するようになる。各層は、ヤング率および降伏強度などの異なる材料特性を有する。これらのタイプの材料は低温構造を有するので、容易に変形し得る。 形状記憶合金はエネルギー密度が高いので(P.Krulevitch、A.P.Lee、P.B.Ramsey、J.C.Trevino、J.Hamilton、M.A.Northrup, J著、Microelectromech.Syst.第4巻、No.5:270−282(1996))、エネルギー収穫システムに付加されることにより、熱循環の間に圧電材料中に生ずる歪力/歪みおよび周波数のどちらも実質的に高めることができる。強磁性材料は、結果としてドメインを形成する磁気モーメントの長期的な秩序を有する。遷移金属である鉄、コバルト、ニッケル、および、ガドリニウムなどの何らかの希土類金属が例に挙げられる。強磁性材料における永久磁気モーメントは、電子スピンによる原子磁気モーメントから生じる。温度の上昇により原子振動がより激しくなると、磁気モーメントはランダム化される傾向がある。飽和磁化は、温度上昇に伴い徐々に低下し、キュリー温度と呼ばれる温度で峻烈にゼロまで下降する。このキュリー温度Tcを上回ると、強磁性およびフェリ磁性材料は、磁気モーメントをごくわずかしか含まない常磁性体となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、利用可能なエネルギーを増大させること、および、動作周波数を高めることへのアプローチを提供することである。利用可能なエネルギーを増大させることは、圧電/電子活性素子、および、ソレノイドの優れた設計により実現し得る。さらに、高磁束密度値および高熱伝導性を有する新しい強磁性材料を用いることにより、より良い効率および電力出力が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
静的熱電界でエネルギーを生成するデバイスには、物理的に不安定になる構造を防ぐ双安定機構が用いられ得る。この双安定性を実現すべく、強磁性体がシステムに追加されてよい。本発明のいくつかの実施形態によれば、熱源とエネルギー収穫デバイスとの間に優れた接触を有することにより、動作周波数が向上するという追加のメリットを得ることができる。生成された電力密度を高めるべく、圧電/電子活性材料への歪みを増大させること、および/または、動作周波数を向上させることが考えられる。歪みまたは動作周波数を大きくするためには、NiTi、 NiTiCu、NiTiPt、AuCd、InTi、NiMnGa、および、FePtなどの形状記憶合金がシステムに追加されてよい。周波数を向上させることも熱伝導経路の設計に依存する。すなわち、本発明のいくつかの実施形態によれば、熱経路における材料を最少化/除去する設計を用いるのが望ましい。
【0013】
以下、本発明の特定の実施形態を説明する。エネルギー収穫装置は、熱膨張効果により屈曲可能なバイモルフカンチレバーと、異なるヤング率および形状を有するよう位相変化を受ける形状記憶合金と、バイモルフの屈曲により生じる予め決められた歪みから生じる電荷または電圧を生成することが可能な圧電材料と、特定の温度Tcに達すると強磁性を失う強磁性材料と、磁気高温熱源と、熱伝導プレートを有する低温ヒートシンクとを備える。カンチレバーは、圧電材料および/または形状記憶材料と、強磁性材料とで構成される設計を有する。他の装置は、結合部材のスプリング力により垂直に移動可能な結合部材を有するフラップと、圧電/電気活性材料と、強磁性材料とを備える。圧電/電気活性材料の代わりに、電磁誘導機構が用いられてもよい。圧電材料は、PZT、PLZT、PMNT、PMNZ、および、PFWなどの鉛系セラミックを含む。圧電材料は、PVDFなどの電気活性ポリマー、電磁誘導系、または、コイルを有する磁歪材料と直接置き換えることができる。形状記憶材料は、NiTiおよびNiTiXを含む。Xは、Pt、Pd、および、Cuなどの他の元素、および、NiMnGaを示す。強磁性材料は、これらに限定されないが、Fe、Ni、Co、Dy、Gd、Tb、Ho、Er、および、MnB、NiMnGa、EuO、DyFeなどの合金を含み得る。本発明の複数の実施形態におけるシステムは、上記装置のみならず、電気信号を受信するよう結合される電気デバイスも含み得る。本発明の複数の実施形態は、上記装置を実装する方法も含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下、本発明のさまざまな実施形態の追加の特徴が図面を参照しながら説明される。さらに、本発明の上記および他の効果については、添付の図面と共に詳細な説明を参照することにより、より理解が深まるであろう。
【0015】
【図1−1】本発明の一実施形態における装置の自身の温度に従うサイクルを概略的に示す。
【0016】
【図1−2】本発明の一実施形態における装置の自身の温度に従うサイクルを概略的に示す。
【0017】
【図1−3】本発明の一実施形態における装置の自身の温度に従うサイクルを概略的に示す。
【0018】
【図2−1】本発明の他の実施形態における熱源のない装置の斜視図である。
【0019】
【図2−2】図2−1の装置の温度に従うサイクルを示す側面図である。
【0020】
【図2−3】図2−1の装置の温度に従うサイクルを示す側面図である。
【0021】
【図3−1】圧電エネルギー変換構造の代わりに誘導機構を有すること以外は図2−1の実施形態に似た本発明の他の実施形態におけるエネルギー収穫デバイスの側面図である。
【0022】
【図3−2】圧電エネルギー変換構造の代わりに誘導機構を有すること以外は図2−1の実施形態に似た本発明の他の実施形態におけるエネルギー収穫デバイスの側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の複数の実施形態によれば、温度勾配の小さい熱電デバイスに変わるものとして、効率のよい変換器を生成すべく、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することが提供され得る。以下の詳細な説明は、本発明における例示的実施形態を記載する。これらは、本発明の多くの考えられる実施形態のほんのいくつかに過ぎず、当然そのようなものとして、以下の説明は、代表例の開示とみなされる。他の実施形態は、本発明の理解する上で必要ないので例示しない。他の例では、よく知られる特徴は詳しく説明されていない。他のそのような修正および変更は、本発明の範囲内に含まれると考えられる。本発明のさまざまな実施形態を示す図は、共通の尺度で描かれていない。
【0024】
図1−1は、本発明の一実施形態におけるエネルギー収穫デバイス100の概略図である。図1−1では、バイモルフ片持ち梁102は、熱源110とヒートシンク112との間に配置された圧電層104、形状記憶合金層106、および、強磁性層108で構成され得る。形状記憶合金(SMA)106は、変態点、すなわち、高温Tで生じるオーステナイト変態点と、低温で生じるマルテンサイト相変態点TMとを有する。SMA106は、T>Tのとき高ヤング率を有し、T<Tのとき低ヤング率を有する。ヤング率は、温度が特定の温度に基づきTA>T>TMの間にあるときの2相の混合として表される。強磁性材料108は、温度Tcを有し、その場合、材料は強磁性でなくなり、ほぼTである。梁102の温度がTMを下回ると、梁102を撓ませるのに必要なSMAのスプリング力は、SMA106のヤング率により低くなる。また、強磁性材料108の温度がTcより低い場合、強磁性材料108とマグネット114との間の磁力は、梁102のスプリング力より強くなる。磁力は、δの逆数に比例する。δは、梁102と高温熱源110との間の距離なので、梁が高温熱源のほうに曲がるにつれて力は大きくなる。したがって、この温度で梁102は高温熱源110と完全に接触する。
【0025】
図1−2は、片持ち梁102の温度が上昇し始めた後でも、なお熱源110に付着していることを示す。この段階では、梁102の温度は、TとTとの間にあり、まだTより低い。SMA106のヤング率が高くなることと、本来備わっている形状記憶効果のせいでSMA106によるスプリング力は、向上する(すなわち、SMAは、低温ソースと接触するよう熱形成される)。TC=TAに近い臨界温度では、磁力は、高温側110に梁を拘束するには不十分である。図1−3は、強磁性材料108の常磁性動作に加えて、片持ち梁102および本来備わっている形状記憶効果108の両方の剛性により梁102が移動して低温ヒートシンク112に接触することを示す(すなわち、磁力が失われる)。熱源および低温ヒートシンクからの梁の移動は、圧電層104における歪力/歪みを生じる。この段階で生成される電荷は、バッテリおよびコンデンサなどの電気ストレージデバイスに転送され得る。この段階において、梁102の温度はTおよびTより高くなっており、SMA106により生じたスプリング力を向上させ、磁力を実質的に消滅させる。スプリング力は磁力に勝るので、バイモルフは、安定した構成に留まる。
【0026】
梁102が低温シンク112に接触すると、梁102の温度は下がり始める。温度がTより下がり始めると、曲率が減少し、よってδは小さくなる。プレートの機能は、δが変化しても熱伝導を有することである。冷却が続けられる場合、梁102の温度はTに近くなるので、δはさらに小さくなり、その間に、強磁性材料108の温度がTCを下回って磁力が向上し、その後にスプリング力を上回り、梁を熱源およびマグネット114の方へ移動させる。
【0027】
図2−1は、本発明におけるエネルギー収穫デバイス200の第2の実施形態を示す。図2−1において、装置200は、動作を垂直方向のみに制限する結合部材(204、206、208、210)を有するフラップ202と、結合部材に取り付けられ、歪力/歪みが生じる圧電層(212、214、216、218)と、フラップ202上の強磁性層220により構成される。この設計は、低熱伝導係数を有する圧電材料を介した熱移動をなくすことにより、周波数をより速くすることを可能にする。さらに、この設計は、SMAを含まず、回復力のために結合部材を曲げることに依存する。この設計は、効率の点では、いかなる熱電デバイスにも勝ると思われる。最高の研究レベルの超格子熱電材料の限界効率は、ΔT<100Kに対し20%を下回る。一方、本発明の限界効率は、25%を上回る可能性も秘めており、
【数5】

として計算される。Mは飽和磁化、μは真空における透磁率、Cは比熱、ρは濃度、Tは温度、kは圧電係数である。分子は、磁気ポテンシャルエネルギーと等しく、分母は、磁気エネルギーの差をもたらす熱エネルギーと等しく、第2項は、機械から電気への変換率と等しい。強磁性体を支持する層の厚みがごくわずかである場合、熱は、強磁性体に転送される必要がある。強磁性材料にDyを用い、圧電材料にはPMZTを用いる場合(M=2800emu/cm、Cp=170J/kg−K、ρ=8540kg/m、および、ΔT=10K、k33=90%)、限界効率は、27.5%に達する。より高い飽和磁化値を有する強磁性材料によってさらに高い効果が得られることに注目されたい。
【0028】
図2−2では、強磁性層上に磁気材料でできた高温熱源222が配置され、フラップ202の下に低温ヒートシンク224が配置される。この段階では、梁の温度は、Tより低く、加熱中である。
【0029】
図2−3では、温度がTより高くなると、結合部材のスプリング力が磁力に勝る。するとフラップ202は、低温ヒートシンク224に留まる。この段階では、結合部材(204、206、208、210)内に歪力/歪みが生じ、電気ストレージデバイスへと転送される電圧が生成される。梁が十分冷却されると、磁力がスプリング力に勝るようになるので、留まった状態は解消されて前の段階に戻る。
【0030】
図3−1は、本発明におけるエネルギー収穫デバイス300の第3の実施形態を示す。図3−1では、装置300は、ハードマグネット302を有する熱源、冷却面304、垂直方向のみに動作が制限された強磁性材料306、第2のハードマグネット308、および、磁路312の回りに巻きつけられる電磁誘導コイル310により構成される。この設計は、余分な材料による熱移動をなくすことにより、周波数をより速くすることができる。また、デバイスコストを削減することもできる。この段階では、強磁性材料306の温度は、Tより低いので、強磁性材料は、熱源302に付着する。磁路は、この状況では開いていると考えられる。
【0031】
図3−2では、スプリング機構または重力により、強磁性材料は冷却面304の上にある。この段階では、強磁性材料の温度は、Tを上回り、冷却中である。磁路が閉じると、コイル310内部に磁束変化が起きてシステムへの電流/電圧を生じる。
【0032】
本発明の上記実施形態は、多くの態様で展開し得る。典型的な態様は、低電力の電気システムが熱傾斜のある環境で電力を供給されるようになることである。例えば、このような環境で遠隔感知および/または通信デバイスが配置されてよく(例えば、基準振動を生じる機械類または他のプラットフォームに取り付けられる)、本発明のシステムの実施形態は、このようなデバイスに、バッテリや配線された電源を用いることなく電力を供給するよう用いられ得る。
【0033】
これまでさまざまな実施形態に関連して本発明を詳細に説明してきたが、当業者にとり、本発明のより広い側面において本発明から逸脱せずに変更および修正がなされうることは上記から明らかであろう。したがって、請求項の範囲で定義された本発明は、そのような変更および修正のすべてを本発明の真の趣旨の範囲内に納まるものとして含むものと意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源とヒートシンクとの間に配置されるのに適した強磁性要素と、
前記強磁性要素が前記熱源と熱接触する第1の配置と、前記強磁性要素が前記ヒートシンクと熱接触する第2の配置とにおいて前記強磁性要素を支持する機械アセンブリと、
を備え、
前記機械アセンブリは、第1および第2の状態を満たす前記強磁性要素による運動の過渡状態を有し、すなわち、第1の状態は、前記強磁性要素の強磁性材料の温度TがTCより低い場合であり、第2の状態は、前記強磁性要素の強磁性材料の温度TがTCより高い場合であり、
前記機械アセンブリは、電気機械変換器を含み、前記電気機械変換器は、前記機械アセンブリが前記第1の配置と前記第2の配置との間の前記運動の過渡状態にある間に電力を生成するよう配置される、エネルギー収穫デバイス。
【請求項2】
前記強磁性要素は、前記熱源の温度より低いキュリー温度を有する強磁性材料を含む、請求項1に記載のエネルギー収穫デバイス。
【請求項3】
前記機械アセンブリは、前記強磁性要素の温度が前記キュリー温度より高くなった後、前記強磁性要素を前記第2の状態に回復させるよう配置されるスプリング構造を含む、請求項2に記載のエネルギー収穫デバイス。
【請求項4】
前記機械アセンブリは、形状記憶要素を含む、請求項2に記載のエネルギー収穫デバイス。
【請求項5】
前記形状記憶要素の材料は、前記強磁性材料の前記キュリー温度より高いオーステナイト相変態点を有する形状記憶合金を含み、前記形状記憶要素は、前記第1の配置において少なくとも前記オーステナイト相変態点まで加熱された後、前記第2の配置までの前記過渡状態の間に前記機械アセンブリを前記強磁性要素へと移動させる、請求項4に記載のエネルギー収穫デバイス。
【請求項6】
エネルギーハーベスタと、
前記エネルギーハーベスタに電気的に接続されて前記エネルギーハーベスタから電気エネルギーを受け取る電気的に動作可能なシステムと、を備え、
前記エネルギーハーベスタは、
熱源とヒートシンクとの間に配置されるのに適した強磁性要素と、
前記強磁性要素が前記熱源と熱接触する第1の配置と、前記強磁性要素が前記ヒートシンクと熱接触する第2の配置とにおいて前記強磁性要素を支持する機械アセンブリと、
を備え、
前記機械アセンブリは、前記第1の配置と前記第2の配置との間に運動の過渡状態を有し、
前記機械アセンブリは、電気機械変換器を含み、前記電気機械変換器は、前記機械アセンブリが前記第1の配置と前記第2の配置との間の前記運動の過渡状態にある間に電力を生成するよう配置される、
電気デバイス。
【請求項7】
前記エネルギーハーベスタおよび前記電気的に動作可能なシステムと少なくとも選択的に電気的に接続される電気エネルギーストレージユニットをさらに備え、前記電気エネルギーストレージユニットは、前記エネルギーハーベスタから電気エネルギーを受け取って蓄積し、前記電気的に動作可能なシステムに電気エネルギーを供給する、請求項6に記載の電気デバイス。
【請求項8】
前記電気的に動作可能なシステムは、電子部品を含む、請求項6に記載の電気デバイス。
【請求項9】
前記電気的に動作可能なシステムは、センサを含む、請求項6に記載の電気デバイス。
【請求項10】
前記電気的に動作可能なシステムは、通信ユニットを含む、請求項8に記載の電気デバイス。
【請求項11】
前記電気エネルギーストレージユニットは、バッテリを含む、請求項7に記載の電気デバイス。
【請求項12】
前記電気エネルギーストレージユニットは、コンデンサを含む、請求項7に記載の電気デバイス。
【請求項13】
エネルギーを収穫する方法であって、
熱源とヒートシンクとの間に強磁性要素を有するエネルギーハーベスタを配置することと、
前記エネルギーハーベスタから出力される電気エネルギーを受け取ることと、
を含み、
前記強磁性要素は、機械アセンブリに接続され、前記機械アセンブリは、前記強磁性要素が前記熱源と熱接触する第1の配置と、前記強磁性要素が前記ヒートシンクと熱接触する第2の配置と、前記第1の配置と前記第2の配置との間の運動過渡状態とを有し、
前記機械アセンブリは、電気機械変換器を含み、前記電気機械変換器は、前記機械アセンブリが前記第1の配置と前記第2の配置との間の前記運動の過渡状態にある間に電力を生成するよう配置される、
方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【公表番号】特表2009−524935(P2009−524935A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552402(P2008−552402)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/002005
【国際公開番号】WO2007/087383
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(506064119)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ カリフォルニア (15)