説明

双方向通信システム

【課題】電子機器の操作が苦手な人であっても、双方向通信システムを使用して所望するサービスを簡易な手順で気軽に受けられるようにする。
【解決手段】所定の通信回線網100と、通信回線網100に接続可能なシステム利用者用のディスプレイ付通信端末3a,3b,3c,・・・と、通信回線網100に接続可能なシステム管理者用の管理コンピュータ10Aとを備えて、システム利用者がディスプレイ付通信端末を用いながら通信回線網100を介し管理コンピュータ10Aに接続して入力手段で入力することにより、所望するサービスの提供を受けるものとした双方向通信システム1において、その入力手段が、ディスプレイ付通信端末3a,3b,3c,・・・のディスプレイである画像表示手段25で入力画像とともに形成されたタッチパネルであり、システム利用者がタッチパネルに触れて入力操作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向通信システムに関し、殊に、ディスプレイ付き通信端末を使用して種々のサービスを受けることのできる双方向通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット回線網や地域ケーブルテレビ回線網を利用した双方向通信システムが急速に普及しつつある。例えば、通信端末としてのパソコンにライブカメラとスピーカ及びマイクを付設しインターネット回線網を使用してテレビ電話システムを構築することが周知であり、このようなシステムを使用して独居生活者とその近親者が相手の顔を見ながら会話をしたり、常時接続によるライブ映像を介して高齢者の安否の確認をしたりすることも可能になる。
【0003】
また、特開2002−33845号公報に記載されているように、このようなシステムをさらに発展させて、高齢者や身体障害者が双方向テレビ電話システムを使用して公共サービス機関や社会福祉施設の担当者と連絡をとりながら、必要な時に所望するサービスを的確に受けられるようにしたシステムも知られている。
【0004】
さらに、特開2002−158987号公報に記載されているように、ケーブルテレビ加入者がテレビ表示された入力画面を見ながら入力を行うことにより、商品の注文を行えるようにした双方向通信システムも提案されており、パソコンの操作が苦手でネットショッピングを利用できない人でも、自宅にいながら必要な商品の購入を可能としている。
【0005】
しかしながら、様々なサービスの中からシステム利用者が希望するサービス選んで利用する場合、前者のシステムではテレビ電話の通話相手を介したサービス内容に限定されることに加え、全てのサービスでいちいち通話相手を介して依頼することが必要になるため、利用者が気軽にサービスを受けにくいケースも生じやすい。
【0006】
一方、後者のシステムでは、テレビを入力画面として用いながらサービスの申し込みを行うため、商品の購入を始めとした様々なサービスを気兼ねなく受けることができる。ところが、テレビの入力画面で入力作業を行う際には、パソコンの操作ほどではないものの、複数のボタンがあるテレビリモコン等の入力手段による操作が必要になるため、電子機器の扱いが苦手な高齢者にとっては依然として利用しにくいものである。したがって、電子機器の操作が苦手な人でも所望するサービスを簡易な手順で気軽に受けられる双方向通信システムが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−33845号公報
【特許文献2】特開2002−158987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、電子機器の操作が苦手な人であっても、双方向通信システムを使用して所望するサービスを簡易な手順で気軽に受けられるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するためになされた本発明は、所定の通信回線網と、この通信回線網に接続可能なシステム利用者用のディスプレイ付通信端末と、この通信回線網に接続可能なシステム管理者用の管理コンピュータとを備えて、システム利用者が自己のディスプレイ付通信端末を用いながら通信回線網を介し管理コンピュータに接続して所定の入力手段で入力することにより、所望するサービスの提供を受けるものとした双方向通信システムにおいて、その入力手段は、ディスプレイ付通信端末のディスプレイ画面で入力画像とともに形成されたタッチパネルであり、システム利用者がこのタッチパネルに触れて入力操作を行うこととした。
【0010】
このように、双方向通信システムにおいてシステム利用者がサービスを受けるために用いる入力手段をディスプレイ画面によるタッチパネル式としたことで、電子機器の操作が苦手な高齢者や主婦であっても、所望するサービスの申し込みを簡易な手順で気兼ねなく行えるようになる。
【0011】
また、この双方向通信システムにおいて、そのディスプレイ付通信端末及び管理コンピュータには、ライブカメラによる動画取得手段と音声取得手段及び音声出力手段が各々付設されており、システム利用者がタッチパネルの入力操作で呼び出したシステム管理者又は他のシステム利用者との間でテレビ電話機能による通信を行えるものとされていることを特徴としたものとすれば、相手の顔を見ながら会話することにより、システム利用者が所望するサービスをさらに的確に依頼しやすくなることに加え、自宅にいながらコミュニケーションの輪を広げやすい。
【0012】
さらに、上述した双方向通信システムにおいて、その通信回線網はインターネット回線網又はケーブルテレビ回線網であり、所定の地域をシステムにおける1つの単位のエリアとして、そのエリア毎に管理コンピュータ及びシステム管理者が配置されていることを特徴としたものとすれば、システム利用者が一人のシステム管理者を介しながら所望するサービスを的確に享受しやすい。
【0013】
さらにまた、上述した双方向通信システムにおいて、そのシステム利用者が利用可能なサービスには、システム利用者同士による動画チャットサービス、独居老人の安否確認サービス、商品購入・宅配サービス、家事代行サービス、介護派遣サービスのうちの1または複数が含まれるものとすれば、画像及び音声を使用した双方向通信システムの利点を最大限に活用できるとともに、システム利用者が行動範囲の狭い高齢者や身体障害者等の場合に、特に便利で有用なものとなる。
【発明の効果】
【0014】
システム利用者の入力手段をディスプレイ画面によるタッチパネル式とした本発明によると、電子機器の操作が苦手な人であっても、双方向通信システムを使用して所望するサービスを簡易な手順で気軽に受けることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明における実施の形態のシステム構成図である。
【図2】図1のシステムにおける管理コンピュータの機能ブロック図である。
【図3】図1のシステムにおけるディスプレイ付通信端末の機能ブロック図である。
【図4】図1のシステムにおけるシステム利用者が利用可能なサービスの一例を説明するための入力用の画面である。
【図5】図4の画面に続くテレビ電話機能による画面である。
【図6】図1のシステムにおけるシステム利用者が利用可能なサービスの一例を説明するための入力用の画面である。
【図7】図6の画面に続く注文確認用の展開画面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態の双方向通信システム1のシステム構成図を示すものであり、この双方向通信システム1は、インターネット回線やケーブルテレビ回線或いはさらに小規模なローカルエリアネットワーク等による通信回線網100と、この通信回線網100に接続可能なシステム利用者用のディスプレイ付通信端末3a,3b,3c,・・・と、通信回線網100に接続可能なシステム管理者用の管理コンピュータ10Aとを備えており、システム利用者が自己のディスプレイ付通信端末3a,・・・を用い、通信回線網100を介して管理コンピュータ10Aに接続して所定の入力手段で入力を行うことにより、所望するサービスを受けることのできる双方向通信システムであり、以上のシステム構成自体は従来例にも見られる周知のものである。
【0018】
そして、従来、このような双方向通信システムを介して所定のサービスを受けるためには比較的複雑な手順を要する電子機器の操作が必要であり、これらの操作が苦手な高齢者等の利用者はそのサービスを利用することが困難であった。そこで、本発明において、そのシステム利用者が用いる入力手段を、ディスプレイ付通信端末3a,・・・のディスプレイによる画像表示手段25とし、この画像表示手段25に表示されたタッチパネル式の入力画面に利用者が触れるだけで入力操作を行えるようにして、電子機器の操作が苦手な人でも所望するサービスを簡単に受けられることが可能になった。
【0019】
また、本実施の形態においては、各ディスプレイ付通信端末3a,・・・及び管理コンピュータ10Aに、ライブカメラによる動画取得手段24,14と、図示しないマイクロホンによる音声取得手段、及びスピーカによる音声出力手段が各々付設されている。これにより、システム利用者がタッチパネルの入力操作で呼び出したシステム管理者や他のシステム利用者との間でテレビ電話による双方向通信が行えるようになっている。
【0020】
さらに、この双方向通信システム1は、例えば半径800m程度の地域をシステムにおける1つの単位のエリアとして、エリア毎に管理コンピュータ10A及びシステム管理者を配置することにより、的確できめ細かなサービスを提供できるようにすることを想定したものとなっている。
【0021】
尚、図1のシステム構成図においてディスプレイ付通信端末3fの所有者はエリア内の商店店主であり、後述する商品購入・宅配サービスにおける商品の販売店を兼ねている。また、この双方向通信システム1においては、業者用コンピュータ4a,4bも通信回線網100を介して接続可能となっており、商品購入・宅配サービスにおける商品の販売店(ショッピングモールサービス)や介護派遣サービスの提供施設を構成している。
【0022】
図2は、本実施の形態におけるシステム管理者用の管理コンピュータ10Aの機能ブロック図を示している。管理コンピュータ10Aは、送受信手段13を介して通信回線網100に接続可能となっており、その管理・制御部11には、システム利用者のディスプレイ付通信端末3a,・・の画像表示手段25に表示させるシステム用画面等を形成・更新するための画面形成・更新手段11a、システム利用者間の動画によるチャットを構成するためのチャット構成手段11b、会員であるシステム利用者の登録・管理を行うための登録・管理手段11cを備えている。
【0023】
また、この管理コンピュータ10Aには、システム利用者に関するあらゆる情報を格納した会員情報ファイル12を備えているとともに、動画取得手段14(ライブカメラ)、画像表示手段15(ディスプレイ)、音声取得手段16(マイクロホン)、音声出力手段
17(スピーカ)、入力操作手段18(キーボード)を備えている。尚、この管理コンピュータ10Aはウェブサーバとして機能するものであるが、管理サーバは別に設けてこれにシステム管理者が操作用として用いるコンピュータを接続する構成としても良い。
【0024】
図3は、本実施の形態におけるディスプレイ付通信端末3aの機能ブロック図を示している。このディスプレイ付通信端末3aも、基本的には画像取得手段24(ライブカメラ)、画像表示手段25(ディスプレイ)、音声取得手段26(マイクロホン)、音声出力手段27(スピーカ)を付設した簡易型パーソナルコンピュータであり、送受信手段23を介し通信回線網100に接続して管理コンピュータ10Aによるデータを入力し、制御部21の画面形成手段21aでシステム用の画面を形成するものであるが、その入力手段が、制御部21のタッチパネル入力画像形成手段21bで画像表示手段(ディスプレイ)25にタッチパネル画面を形成させることにより構成される。
【0025】
以下に、本実施の形態の双方向通信システム1による機能の詳細を説明する。尚、本実施の形態では、電子機器の操作が苦手な高齢者や専業主婦などの利用者が、自宅にいながらにしてディスプレイの画面を介し簡単に情報のやりとりを行う双方向通信機能により様々なサービスを享受可能としたことを特徴としており、そのためにシステムの会員登録を要するとともに専用のディスプレイ付通信端末を購入またはレンタルにて配設してあることを前提として、サービスを受けられるようになっている。
【0026】
本実施の形態の双方向通信システム1において、そのシステムによる機能の特徴を活用できるサービスの例としては、ウェブブラウザ機能によるインターネットサービス、テレビ電話機能を活用して利用者が抱える様々な相談事に応える各種相談サービス、双方向通信機能を活用したシステム利用者同士のチャット動画サービス、ライブカメラ機能を活用した独居老人の安否確認サービス、タッチパネル入力機能を活用した商品購入・宅配サービス、家事代行サービス、介護派遣サービス等が想定される。
【0027】
図4は、前述した相談サービスの一例としての「何でも相談サービス」において、様々な相談項目から自己が欲する項目を選択して申し込むための入力画面70Aを示している。この入力画面70Aは、前述したようにタッチパネル式となっており、システム利用者が所望する相談サービスの項目を指で触れるだけで、入力されて管理コンピュータ10Aに送信される。
【0028】
例えば「お話相手 お話を聴きます」の項目をタッチすると、テレビ電話機能が作動して図5のようにシステム管理者が画面70Bにライブで写りながらシステム利用者と会話することができる。この場合、システム管理者は会員情報ファイルを用いてシステム利用者(会員)の中から依頼者の話し相手として最適な人を選び、管理コンピュータ10Aを操作して依頼者チャット動画を介し選択した人とコンタクトがとれるように手配する。
【0029】
一方、システム利用者が「家事代行」の項目を選んだ場合、図5の場合と同様にシステム管理者がテレビ電話機能でシステム利用者と会話をしながら、所望する家事の内容を詳細に聴き、システムの別のサービスである「お仕事紹介サービス」を介し家事内容の代行の仕事をエントリーしている会員の中から適当な人を選び、前記同様に管理コンピュータ10Aを操作して依頼者がチャット動画を介し選択した人とコンタクトをとれるように手配する。
【0030】
図6は、前述した商品購入・宅配サービスの一例としての「簡単お買い物サービス」において、本システムで先にショッピングモールサービスを利用して出店している図1の八百×にて野菜を購入する場合の注文用の入力画面80Aを示しており、その店にて現在購入することのできる野菜の写真がアイコン状に並べられている。
【0031】
システム利用者は、この入力画面80Aにおいて購入したい野菜の写真をタッチして選択することにより、図7の購入リスト表示用の画面80Bが表示され、次に各野菜の単価と個数から算出した合計金額(配達料含む)表示用の画面80Cが表示され、注文用の画面80Dで注文「する」のボタンに触れることにより、受注確認用の画面80Eが表示され、この注文が確定することによりシステム管理者(またはその代理者)が八百×で商品を受け取って、注文したシステム利用者の自宅に配達(宅配)する。
【0032】
このように、本実施の形態の双方向通信システム1では、パソコン等の電子機器の操作が苦手なシステム利用者であっても、ディスプレイに表示されたタッチパネルに触るだけの簡易な手順で気兼ねなく様々なサービスを受けることができる。また、テレビ電話機能を用いてシステム管理者と直接話をしながら詳細に依頼することもできるため、自己の欲するサービスを詳細に伝えてこれを的確に享受しやすい利点もある。
【0033】
以上、述べたように、電子機器の操作が苦手な利用者であっても、本発明により、双方向通信システムを使用して所望するサービスを簡易な手順で気軽に受けることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 双方向通信システム、3a,3b,3c,3d,3e,3f ディスプレイ付通信端末、10A 管理コンピュータ、14,24 動画取得手段、15,25 画像表示手段、70A,80A 入力画面、70B,80B,80C,80D,80E 画面、100 通信回線網


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信回線網と、該通信回線網に接続可能なシステム利用者用のディスプレイ付通信端末と、前記通信回線網に接続可能なシステム管理者用の管理コンピュータとを備えて、システム利用者が前記ディスプレイ付通信端末を用いながら前記通信回線網を介し前記管理コンピュータに接続して所定の入力手段で入力することにより、所望するサービスの提供を受けることができる双方向通信システムにおいて、前記入力手段は、前記ディスプレイ付通信端末のディスプレイ画面で画像とともに形成されたタッチパネルであり、前記システム利用者が前記タッチパネルに触れて入力操作を行うことを特徴とする双方向通信システム。
【請求項2】
前記ディスプレイ付通信端末及び前記管理コンピュータには、ライブカメラによる動画取得手段と音声取得手段及び音声出力手段が各々付設されており、前記システム利用者が前記タッチパネルの入力操作で呼び出したシステム管理者又は他のシステム利用者との間でテレビ電話機能による通信を行えることを特徴とする請求項1に記載した双方向通信システム。
【請求項3】
前記通信回線網はインターネット回線網又はケーブルテレビ回線網であり、所定の地域をシステムにおける1つの単位のエリアとして、そのエリア毎に前記管理コンピュータ及び前記システム管理者が配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載した双方向通信システム。
【請求項4】
前記システム利用者が利用可能なサービスとして、前記システム利用者同士による動画チャットサービス、独居老人の安否確認サービス、商品購入・宅配サービス、家事代行サービス、介護派遣サービスのうちの1または複数が含まれる、ことを特徴とする請求項1,2または3に記載した双方向通信システム。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−23682(P2012−23682A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162135(P2010−162135)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(510197667)
【出願人】(510197678)
【Fターム(参考)】