説明

双音叉型振動片、振動型センサー素子および振動型センサー

【課題】小型で高い感度を有する双音叉型振動片を提供する。
【解決手段】双音叉型振動片100では、第1振動腕部10は、第1基端部30から第2基端部40に向かう方向に沿って順に並ぶ、第1領域12、第2領域14および第3領域16を有し、第2振動腕部20は、第1基端部30から第2基端部40に向かう方向に沿って順に並ぶ、第4領域22、第5領域24および第6領域26を有し、第1領域12の表裏面、第2領域14の両側面、第3領域16の表裏面、第4領域22の両側面、第5領域24の表裏面、および第6領域26の両側面には、互いに電気的に接続された第1励振電極110が形成され、第1領域12の両側面、第2領域14の表裏面、第3領域16の両側面、第4領域22の表裏面、第5領域24の両側面、および第6領域26の表裏面には、互いに電気的に接続された第2励振電極120が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双音叉型振動片、振動型センサー素子および振動型センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
振動型センサーは、従来から自動車、航空機、ロケットから各種プラントの異常振動環視装置等まで、広く使用されている。中でも双音叉型圧電振動片を用いた振動型センサーは、印加された応力の大きさに比例して双音叉型振動片の周波数が変化し、データ処理が容易であると共に測定精度、測定感度、再現性、温度特性等が優れている。
【0003】
一般的に、双音叉型振動片は、駆動振動する振動腕部の長さが大きいほど、高い素子感度(検出感度)を得ることができ、S/N比(Signal to Noise ratio)を向上させることができる。ここで、特許文献1に開示された双音叉型振動片は、双音叉型振動片の支持部を、2本の振動腕部の間に配置させている。このような双音叉型振動片は、例えばパッケージの面積などによって大きさの制限を受けた場合に、支持部の分だけ振動腕部の長さを大きくすることができる。そのため、素子感度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−5176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、振動型センサーは、いっそうの小型化、高感度化が求められている。それに伴い、双音叉型振動片についても、例えば特許文献1に開示されたような支持部の配置に加え、さらに感度を高めることができる構造が求められている。
【0006】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、小型で高い感度を有する双音叉型振動片を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記双音叉型振動片を有する振動型センサー素子および振動型センサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0008】
[適用例1]
表裏関係にある表面と裏面と、前記表面と裏面とに連結した側面とを有する双音叉型振動片であって、
並列して延在された第1振動腕部および第2振動腕部と、
前記第1振動腕部および前記第2振動腕部の一方側の端部に接続された第1基端部と、
前記第1振動腕部および前記第2振動腕部の他方側の端部に接続された第2基端部と、
前記第1基端部に接続され、前記第1振動腕部と前記第2振動腕部との間に配置された第1支持部と、
前記第2基端部に接続され、前記第1振動腕部と前記第2振動腕部との間に配置された第2支持部と、
を含み、
前記第1振動腕部は、前記第1基端部から前記第2基端部に向かう方向に沿って順に並ぶ、第1領域、第2領域および第3領域を有し、
前記第2振動腕部は、前記第1基端部から前記第2基端部に向かう方向に沿って順に並ぶ、第4領域、第5領域および第6領域を有し、
前記第1領域の表裏面、前記第2領域の両側面、前記第3領域の表裏面、前記第4領域の両側面、前記第5領域の表裏面、および前記第6領域の両側面には、互いに電気的に接続された第1励振電極が形成され、
前記第1領域の両側面、前記第2領域の表裏面、前記第3領域の両側面、前記第4領域の表裏面、前記第5領域の両側面、および前記第6領域の表裏面には、互いに電気的に接続された第2励振電極が形成されている、双音叉型振動片。
【0009】
このような双音叉型振動片によれば、前記第1支持部および前記第2支持部の配置と、前記第1励振電極および前記第2励振電極の配置と、によって、小型で高い感度を有する双音叉型振動片を提供することができる。
【0010】
なお、本発明に係る記載では、「電気的に接続」という文言を、例えば、「特定の部材(以下「A部材」という)に「電気的に接続」された他の特定の部材(以下「B部材」という)」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A部材とB部材とが、直接接して電気的に接続されているような場合と、A部材とB部材とが、他の部材を介して電気的に接続されているような場合とが含まれるものとして、「電気的に接続」という文言を用いている。
【0011】
[適用例2]
適用例1において、
前記第1振動腕部および前記第2振動腕部の隣り合う前記領域の間には、第1引出電極および第2引出電極が形成され、
前記第1引出電極は、
隣り合う前記領域のうちの、一方の前記領域の表面または裏面に形成された前記第1励振電極から延出し、少なくとも二又に分岐して、分岐した一方の電極が他方の前記領域の一方の側面に形成された前記第1励振電極と接続し、分岐した他方の電極が他方の前記領域の他方の側面に形成された前記第1励振電極と接続し、
前記第2引出電極は、
隣り合う前記領域のうちの、一方の前記領域の表面または裏面に形成された前記第2励振電極から延出し、少なくとも二又に分岐して、分岐した一方の電極が他方の前記領域の一方の側面に形成された前記第2励振電極と接続し、分岐した他方の電極が他方の前記領域の他方の側面に形成された前記第2励振電極と接続している、双音叉型振動片。
【0012】
このような双音叉型振動片によれば、双音叉型振動片が小型化されても、隣り合う前記領域間の表裏面において、前記第1引出電極と前記第2引出電極がショートする心配がない。また、極端に前記第1引出電極および前記第2引出電極の幅を小さくする必要がなく、前記第1引出電極および前記第2引出電極の電気抵抗の増加や断線を抑制することができる。また、前記領域の両側面に形成された励振電極において、どちらか一方の側面電極が断線しても他方の電極で通電を維持することが可能である。なお、このような問題はフォトリソグラフィ技術などにより一層の小型化を行った際に、相対的にフォトマスクのアライメントずれの影響が大きくなることから重大な問題となる。
【0013】
[適用例3]
適用例1において、
前記第1振動腕部および前記第2振動腕部の隣り合う前記領域の間には、第1引出電極および第2引出電極が形成され、
前記第1引出電極は、
隣り合う前記領域のうちの、一方の前記領域の表面または裏面に形成された前記第1励振電極から延出して、他方の前記領域の片方の側面に形成された前記第1励振電極に接続し、
前記第2引出電極は、
隣り合う前記領域のうちの、一方の前記領域の表面または裏面に形成された前記第2励振電極から延出して、他方の前記領域の片方の側面に形成された前記第2励振電極に接続している、双音叉型振動片。
【0014】
このような双音叉型振動片によれば、前記第1引出電極および前記第2引出電極の配置および形状における設計の自由度を高めることができる。
【0015】
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれかにおいて、
前記第1支持部の表裏面には、前記第1励振電極と電気的に接続された第1端子、および前記第2励振電極と電気的に接続された第2端子が形成され、
前記第1支持部の前記第1端子と前記第2端子との間には、環状の開口が形成されている、双音叉型振動片。
【0016】
このような双音叉型振動片によれば、前記第1端子と前記第2端子との間の距離を小さくすることができ、その分、前記第1支持部の面積を小さくすることができる。その結果、前記第1振動腕部と前記第2振動腕部との間の距離を小さくすることができ、双音叉型振動片の小型化を図ることができる。また、高いQ値および小さいCI(クリスタルインピーダンス)値を実現することができる。
【0017】
[適用例5]
適用例1ないし3のいずれかにおいて、
前記第1支持部には、前記第1励振電極と電気的に接続された第1端子、および前記第2励振電極と電気的に接続された第2端子が形成され、
前記第1支持部の表面および前記表面に対する裏面のうち一方の面に、前記第1端子および前記第2端子のうち一方が形成され、
前記第1支持部の前記表面および前記裏面のうち他方の面に、前記第1端子および前記第2端子のうち他方が形成されている、双音叉型振動片。
【0018】
このような双音叉型振動片によれば、前記第1支持部の1つの面に2つの端子が形成されていないので、その分、前記第1支持部の面積を小さくすることができる。その結果、前記第1振動腕部と前記第2振動腕部との間の距離を小さくすることができ、双音叉型振動片の小型化を図ることができる。また、高いQ値および小さいCI値を実現することができる。
【0019】
[適用例6]
適用例1ないし5のいずれかにおいて、
前記第1振動腕部および前記第2振動腕部は、前記領域の表裏面に形成された溝を有し、
前記領域の表裏面に形成された前記第1励振電極および前記第2励振電極は、前記溝の内壁に設けられている、双音叉型振動片。
【0020】
このような双音叉型振動片によれば、電圧印加時に発生する電界を効率よく振動に変換できるため、CI値の増加を抑制することができる。
【0021】
[適用例7]
基部と、
前記基部に連続する弾性部と、
前記弾性部に連続し前記弾性部によって支持された他の基部と、
前記基部および前記他の基部に固定された請求項1ないし6のいずれかに記載の双音叉型振動片と、
を含む、振動型センサー素子。
【0022】
このような振動型センサー素子によれば、小型で高い感度を有する振動型センサー素子を提供することができる。
【0023】
[適用例8]
適用例7に記載の振動型センサー素子と、
前記振動型センサー素子が収容されたパッケージと、
を含む、振動型センサー。
【0024】
このような振動型センサーによれば、小型で高い感度を有する振動型センサーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係る双音叉型振動片の構成を説明するための図。
【図2】本実施形態に係る双音叉型振動片の振動腕部を模式的に示す断面図。
【図3】本実施形態の第1変形例に係る双音叉型振動片の構成を説明するための図。
【図4】本実施形態の第2変形例に係る双音叉型振動片の構成を説明するための図。
【図5】本実施形態の第3変形例に係る双音叉型振動片の構成を説明するための図。
【図6】本実施形態に係る振動型センサー素子を模式的に示す斜視図。
【図7】本実施形態に係る振動型センサーを模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
1. 双音叉型振動片
まず、本実施形態に係る双音叉型振動片100について、図面を参照しながら説明する。双音叉型振動片100は、表裏関係にある第1の主面(一方の主面)および第2の主面(他方の主面)と、第1の主面および第2の主面に連結した側面と、を有する構成である。図1(A)は、双音叉型振動片100を一方の主面(以下、「表面」ともいう。)側から見た平面図であって、双音叉型振動片100の一方の主面(表面)側の構成を説明するための図である。図1(B)は、双音叉型振動片100を一方の主面(表面)側から見た透視図であって、双音叉型振動片100の他方の主面(以下、「裏面」ともいう。)側の構成を説明するための図である。以下、まず双音叉型振動片100の形状等について説明し、次に双音叉型振動片100に形成された励振電極、引出電極、端子の配置等について説明する。
【0028】
1.1. 双音叉型振動片の形状等
双音叉型振動片100は、表面(図1(A)参照)と、裏面(図1(B)参照)と、表面および裏面と接続する側面と、を有する外形形状である。裏面は、後述する図6に示すように、基部502および他の基部としての質量部506に固定される面である。なお、図1(A)に示す面を裏面、すなわち、基部502および質量部506に固定される面とし、図1(B)に示す面を表面とすることもできる。双音叉型振動片100の材質としては、例えば、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの圧電材料が挙げられる。
【0029】
双音叉型振動片100は、図1に示すように、第1振動腕部10と、第2振動腕部20と、第1基端部30と、第2基端部40と、第1支持部50と、第2支持部60と、を含む。
【0030】
(1) 第1振動腕部および第2振動腕部
第1振動腕部10および第2振動腕部20は、四角柱形状であって、並列して第1基端部30から第2基端部40まで延在している。振動腕部10,20は、互いに対向する側面である内側面(支持部50,60側の側面)と、内側面とは反対側の側面である外側面と、を有する。振動腕部10,20は、互いに離間しており、双音叉型振動片100の中心軸(第1基端部30から第2基端部40に向かう方向(Y軸方向)に延びる中心軸、図示せず)に関して対称に配置されていることができる。
【0031】
第1振動腕部10は、第1基端部30から第2基端部40に向かう方向に沿って順に並ぶ、第1領域12、第2領域14および第3領域16を有する。第2振動腕部20は、第1基端部30から第2基端部40に向かう方向に沿って順に並ぶ、第4領域22、第5領域24および第6領域26を有する。図示の例では、第1領域12および第4領域22は、第1基端部30に隣接している。また、第3領域16および第6領域26は、第2基端部40に隣接している。第1領域12、第3領域16、第4領域22および第6領域26は、振動腕部10,20の端部に設けられた領域ともいる。第2領域14および第5領域24は、振動腕部10,20の中央部に設けられた領域ともいえる。図示の例では、第2領域14および第5領域24の長さ(Y軸方向の長さ)は、第1領域12、第3領域16、第4領域22および第6領域26の長さより大きい。各領域12,14,16,22,24,26には、励振電極110,120が形成されている。振動腕部10,20は、励振電極110,120に印加された電圧によって、屈曲振動することができる。
【0032】
ここで、図2は、振動腕部10,20を模式的に示す図1のII−II線断面図である。振動腕部10,20は、図2に示すように、溝15を有していてもよい。溝15は、各領域12,14,16,22,24,26の表裏面に形成されていることができる。溝15の断面形状は、図示の例では矩形であるが、特にこれに限定されるものではない。溝15によって、振動腕部10,20は、H型の断面形状を有することができる。溝15の内壁には、第1励振電極110または第2励振電極120が形成されている。これにより、電圧印加時の振動損失が低減されるため、双音叉型振動片100は、CI値の増加を抑制することができる。なお、図1では、便宜上、溝15の図示を省略している。
【0033】
(2) 第1基端部および第2基端部
第1基端部30は、図1に示すように、第1振動腕部10および第2振動腕部20の一方側の端部に接続されている。第2基端部40は、第1振動腕部10および第2振動腕部20の他方側の端部に接続されている。すなわち、基端部30,40は、振動腕部10,20を挟持しているともいえる。
【0034】
図1に示すように、第1基端部30に2つの突起部32が接続され、第2基端部40に2つの突起部42が接続されていてもよい。突起部32は、第1基端部30から第2基端部40に向かって延出し、振動腕部10,20を挟んで配置されている。突起部42は、第2基端部40から第1基端部30に向かって延出し、振動腕部10,20を挟んで配置されている。突起部32,42によって、双音叉型振動片100は、不要な振動を防止することができ、CI値の増加を抑制することができる。
【0035】
(3) 第1支持部および第2支持部
第1支持部50は、第1基端部30に接続され、第1振動腕部10と第2振動腕部20との間に配置されている。第2支持部60は、第2基端部40に接続され、第1振動腕部10と第2振動腕部20との間に配置されている。すなわち、第1支持部50は、第1基端部30から第2基端部40に(−Y軸方向に)向けて延出し、第2支持部60は、第2基端部40から第1基端部30に(+Y軸方向に)向けて延出している。これにより、例えば、第1支持部が第1基端部から+Y軸方向に向けて延出し、第2支持部が第2基端部から−Y軸方向に向けて延出している場合に比べて、双音叉型振動片100のY軸方向の長さを小さくすることができる。すなわち、双音叉型振動片100の小型化を図ることができる。
【0036】
支持部50,60の裏面は、後述する図6に示すように、基部502および質量部506に固定されることができる。すなわち、双音叉型振動片100は、第1支持部50および第2支持部60の2箇所によって支持される。そのため、例えば3箇所以上で支持される双音叉型振動片に比べて、支持箇所が少ない分、支持状態(例えば、接着剤の量、固着状態など)のバラつきを小さくすることができる。支持状態のバラつきが大きいと、例えば振動型センサーに適用した場合に、外乱の影響(温度や接着剤の材質変化による周波数変化など)を受けやすくなる。すなわち、S/N比のNが大きくなり高精度な測定ができない。よって、支持状態を厳密に管理する必要があり、コストが高くなる場合がある。双音叉型振動片100では、2箇所によって支持されるため、支持状態のバラつきによる性能低下を防止することができる。また、必要以上にコストが高くなることがない。
【0037】
1.2. 励振電極、引出電極、端子の配置等
双音叉型振動片100には、図1に示すように、第1励振電極110と、第2励振電極120と、第1引出電極112と、第2引出電極122と、第1端子114と、第2端子124と、が形成されている。なお、便宜上、図1において、第1励振電極110、第1引出電極112および第1端子114を右下斜線で示し、第2例振電極120、第2引出電極122および第2端子124をクロス斜線で示している。このことは、後述する図3〜5についても同様である。
【0038】
(1) 第1励振電極および第2励振電極
第1励振電極110および第2例振電極120は、第1振動腕部10および第2振動腕部20に形成されている。より具体的には、第1励振電極110は、第1領域12の表面および裏面(以下、「表裏面」ともいう。)、第2領域14の内側面および外側面(以下、「両側面」ともいう。)、第3領域16の表裏面、第4領域22の両側面、第5領域24の表裏面、および第6領域26の両側面に形成されている。領域12,14,16,22,24,26に形成された第1励振電極110は、第1引出電極112によって互いに電気的に接続されている。また、第2励振電極120は、第1領域12の両側面、第2領域14の表裏面、第3領域16の両側面、第4領域22の表裏面、第5領域24の両側面、および第6領域26の表裏面に形成されている。領域12,14,16,22,24,26に形成された第2励振電極120は、第2引出電極122によって電気的に接続されている。
【0039】
第1励振電極110および第2励振電極120は、互いに異なる電位を有することができる。すなわち、領域12,14,16,22,24,26の各々において、表裏面と両側面とには、互いに異なる電位の励振電極が形成されている。そして、振動腕部10,20の表裏面には、互いに異なる電位の励振電極110,120が交互に形成されている。また、振動腕部の両側面には、互いに異なる電位の励振電極110,120が交互に形成されている。図示の例では、励振電極110,120は、双音叉型振動片100のY軸方向に沿う中心線(図示せず)に関して、対称となるように配置されている。このような励振電極110,120の配置によって、振動腕部10,20は、双音叉型振動片100のY軸方向に沿う中心線に関して対称となるように、効率よく屈曲振動することができる。
【0040】
図2に示すように、振動腕部10,20が溝15を有する場合は、領域12,14,16,22,24,26の表裏面に形成された励振電極110,120は、溝15の内壁に形成されている。また、領域12,14,16,22,24,26の両側面に形成された励振電極110,120は、図2に示すように、その一部が表裏面にまで延出していてもよい。
【0041】
励振電極110,120の材質としては、例えば、双音叉型振動片100側からクロム、金の順序で積層したものなどを用いることができる。励振電極110,120は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法などにより形成されることができる。
【0042】
(2) 第1引出電極および第2引出電極
第1引出電極112および第2引出電極122は、図1に示すように、第1振動腕部10および第2振動腕部20の隣り合う領域の間に形成されている。より具体的には、第1引出電極112は、隣り合う領域のうちの、一方の領域の表面または裏面に形成された第1励振電極110から延出し、二又に分岐して、他方の領域の両側面に形成された第1励振電極110に接続している。また、第2引出電極122は、隣り合う領域のうちの、一方の領域の表面または裏面に形成された第2励振電極120から延出し、二又に分岐して、他方の領域の両側面に形成された第2励振電極120に接続している。以下、引出電極112,122の配置について、より詳細に説明する。
【0043】
図1(A)に示すように、第1領域12と第2領域14との間に位置する第1振動腕部10の表面には、第1引出電極112が形成されている。該第1引出電極112は、第1領域12の表面に形成された第1励振電極110から、第2領域14に向けて延出し、二又に分岐して第1振動腕部10の両側面に至っている。そして、第2領域14の両側面に形成された第1励振電極110に接続している。
【0044】
同様に、第2領域14と第3領域16との間には第2引出電極122が形成され、第2領域14の表面に形成された第2励振電極120と、第3領域16の両側面に形成された第2励振電極120と、を接続している。また、第4領域22と第5領域24との間には第2引出電極122が形成され、第4領域22の表面に形成された第2励振電極120と、第5領域24の両側面に形成された第2励振電極120と、を接続している。また、第5領域24と第6領域26との間には第1引出電極112が形成され、第5領域24の表面に形成された第1励振電極110と、第6領域26の両側面に形成された第1励振電極110と、を接続している。
【0045】
図1(B)に示すように、第1領域12と第2領域14との間に位置する第1振動腕部10の裏面には、第2引出電極122が形成されている。該第2引出電極122は、第2領域14の裏面に形成された第2励振電極120から、第1領域12に向けて延出し、二又に分岐して第1振動腕部10の両側面に至っている。そして、第1領域12の両側面に形成された第2励振電極120に接続している。
【0046】
同様に、第2領域14と第3領域16との間には第1引出電極112が形成され、第2領域14の両側面に形成された第1励振電極110と、第3領域16の裏面に形成された第1励振電極110と、を接続している。また、第4領域22と第5領域24との間には第1引出電極112が形成され、第4領域22の両側面に形成された第1励振電極110と、第5領域24の裏面に形成された第1励振電極110と、を接続している。また、第5領域24と第6領域26との間には第2引出電極122が形成され、第5領域24の両側面に形成された第2励振電極120と、第6領域26の裏面に形成された第2励振電極120と、を接続している。
【0047】
以上のとおり、振動腕部10,20の隣り合う領域間の表面には、第1引出電極112または第2引出電極122のいずれか一方のみが形成されている。同様に、振動腕部10,20の隣り合う領域間の裏面には、第1引出電極112または第2引出電極122のいずれか一方のみが形成されている。
【0048】
なお、引出電極112,122の材質および製造方法としては、例えば、励振電極110,120の説明で列挙した材質および製造方法が適用できる。
【0049】
(3) 第1端子および第2端子
第1端子114および第2端子124は、図1に示すように、第1支持部50の表裏面および側面に形成されている。図示はしないが、端子114,124は、第2支持部60に形成されていてもよい。端子114,124は、互いに離間して形成されており、その形状は特に限定されない。図示の例では、第1支持部50の表面に形成された第1端子114と第2端子124とは、同じ(ほぼ同じ)面積を有している。同様に、第1支持部50の裏面に形成された第1端子114と第2端子124とは、同じ(ほぼ同じ)面積を有している。
【0050】
第1端子114は、第1基端部30に形成された第1配線116を介して、第1領域12の表裏面に形成された第1励振電極110、および第4領域22の内側面に形成された第1励振電極110と接続されている。第2端子124は、第1基端部30に形成された第2配線126を介して、第1領域12の内側面に形成された第2励振電極120、および第4領域22の表裏面に形成された第2励振電極120と接続されている。
【0051】
双音叉型振動片100では、第1端子114と第2端子124との間に駆動信号を印加することで、各領域12,14,16,22,24,26に形成された第1励振電極110と第2励振電極120との間に電界を生じさせ、第1振動腕部10および第2振動腕部20を屈曲振動させることができる。
【0052】
なお、端子114,124の材質および製造方法としては、例えば、励振電極110,120の説明で列挙した材質および製造方法が適用できる。
【0053】
本実施形態に係る双音叉型振動片100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0054】
双音叉型振動片100によれば、第1支持部50および第2支持部60は、第1振動腕部10と第2振動腕部20との間に配置されている。そのため、例えばパッケージの面積などによって大きさの制限を受けている場合において、支持部50,60の分だけ振動腕部50,60の長さを大きくすることができる。そのため、双音叉型振動片100は、高い感度を有することができる。また、振動腕10,20の延出方向(Y軸方向)の長さを小さくすることができ、双音叉型振動片100の小型化を図ることができる。さらに、双音叉型振動片100によれば、領域12,14,16,22,24,26の各々において、表裏面と両側面とに、励振電極110,120が形成されている。このような励振電極110,120の配置によって、双音叉型振動片100は、例えば、振動腕部の両端の領域にのみ励振電極が設けられている場合や、振動腕部の中央の領域にのみ励振電極が設けられている場合に比べて、高いQ値および小さいCI値を実現することができる。すなわち、振動特性が向上し、共振周波数が安定する。外力による共振周波数の変化を検出する振動型センサーに応用した場合、S/N比のNを小さくすることができることから、高精度な測定が可能となる。以上のように、双音叉型振動片100は、支持部50,60の配置、および励振電極110,120の配置によって、小型で高い感度を有することができ、高精度なセンサーを実現できる。
【0055】
双音叉型振動片100によれば、第1引出電極112は、隣り合う領域のうちの、一方の領域の表面または裏面に形成された第1励振電極110から延出し、二又に分岐して、他方の領域の両側面に形成された第1励振電極110に接続している。第2引出電極122についても、第1引出電極112の説明と同様の内容が適用できる。すなわち、振動腕部10,20の隣り合う領域間の表裏面には、第1引出電極112または第2引出電極122のいずれか一方のみが形成されている。そのため、双音叉型振動片の小型化に伴い、振動腕部10,20の幅(Y軸方向の長さ)が小さくなった場合でも、隣り合う領域間の表裏面において、第1引出電極112と第2引出電極122とがショートする心配がない。また、極端に引出電極112,122の幅を小さくする必要がなく、引出電極112,122の電気抵抗の増加や断線を抑制することができる。
【0056】
双音叉型振動片100によれば、励振電極110,120は、溝15の内壁に形成されていることができる。これにより、電圧印加時に発生する電界を効率よく振動に変換できるため、双音叉型振動片100は、CI値の増加を抑制することができる。
【0057】
2. 双音叉型振動片の第1変形例
次に、本実施形態の第1変形例に係る双音叉型振動片200について、図面を参照しながら説明する。図3(A)は、双音叉型振動片200を一方の主面(表面)側から見た平面図であって、双音叉型振動片200の一方の主面(表面)側の構成を説明するための図である。図3(B)は、双音叉型振動片200を一方の主面(表面)側から見た透視図であって、双音叉型振動片200の他方の主面(裏面)側の構成を説明するための図である。以下、本実施形態の第1変形例に係る双音叉型振動片200において、本実施形態に係る双音叉型振動片100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0058】
双音叉型振動片100の例では、第1引出電極112は、隣り合う領域のうちの、一方の領域の表面または裏面に形成された第1励振電極110から延出し、二又に分岐して、他方の領域の両側面に形成された第1励振電極110に接続していた。第2引出電極122についても、第1引出電極112の説明と同様の内容が適用できた。
【0059】
双音叉型振動片200では、図3に示すように、第1引出電極112は、隣り合う領域のうちの、一方の領域の表面または裏面に形成された第1励振電極110から延出し、他方の領域の片方の側面に形成された第1励振電極110に接続している。また、第2引出電極122は、隣り合う領域のうちの、一方の領域の表面または裏面に形成された第2励振電極120から延出し、他方の領域の片方の側面に形成された第2励振電極120に接続している。
【0060】
より具体的には、図3(A)に示すように、第1領域12と第2領域14との間に位置する第1振動腕部10の表面には、第1引出電極112および第2引出電極122が形成されている。第1引出電極112は、第1領域12の表面に形成された第1励振電極110から第2領域14に向けて延出し、第1振動腕部10の外側面に至る。そして、第2領域14の外側面に形成された第1励振電極110に接続している。第2引出電極122は、第2領域14の表面に形成された第2励振電極120から第1領域12に向けて延出し、第1振動腕部10の内側面に至る。そして、第1領域12の内側面に形成された第2励振電極120に接続している。
【0061】
また、図3(B)に示すように、第1領域12と第2領域14との間に位置する第1振動腕部10の裏面には、第1引出電極112および第2引出電極122が形成されている。第1引出電極112は、第1領域12の裏面に形成された第1励振電極110から第2領域14に向けて延出し、第1振動腕部10の内側面に至る。そして、第2領域14の内側面に形成された第1励振電極110に接続している。第2引出電極122は、第2領域14の裏面に形成された第2励振電極120から第1領域12に向けて延出し、第1振動腕部10の外側面に至る。そして、第1領域12の外側面に形成された第2励振電極120に接続している。
【0062】
上記の第1領域12−第2領域14間の引出電極の説明内容は、その他の領域間の引出電極について、適用することができる。
【0063】
双音叉型振動片200によれば、双音叉型振動片100の例で示した引出電極112,122の配置および形状に係らず、第1例振電極110同士を接続し、また第2励振電極120同士を接続することができる。すなわち、引出電極112,122の配置および形状における設計の自由度を高めることができる。
【0064】
3. 双音叉型振動片の第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係る双音叉型振動片300について、図面を参照しながら説明する。図4(A)は、双音叉型振動片300を一方の主面(表面)側から見た平面図であって、双音叉型振動片300の一方の主面(表面)側の構成を説明するための図である。図4(B)は、双音叉型振動片300を一方の主面(表面)側から見た透視図であって、双音叉型振動片300の他方の主面(裏面)側の構成を説明するための図である。以下、本実施形態の第2変形例に係る双音叉型振動片300において、本実施形態に係る双音叉型振動片100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0065】
双音叉型振動片300では、図4に示すように、第1支持部50の第1端子114と第2端子124との間に、開口350が形成されている。図示はしないが、例えば、第2支持部60に第1端子114と第2端子124とが形成されている場合は、第2支持部60の第1端子114と第2端子124と間に、開口350が形成されていてもよい。開口350は、平面視において、第1支持部50の外周と離間して形成されている。開口350の平面形状は、環状であるともいえ、図示の例では矩形である。開口350は、表面から裏面まで貫通している貫通孔でもよいし、貫通せずに底面を有する溝形状でもよい。なお、開口350を貫通孔として形成する場合は、双音叉型振動片300の外形形状をエッチング等によって形成する際に、同時に開口350を形成することができる。すなわち、製造工程を増やすことなく、開口350を形成することができる。
【0066】
双音叉型振動片300によれば、上述のとおり、第1支持部50には、開口350が形成されていることができる。開口350内は、例えば第1支持部50を構成する水晶より誘電率の小さい空気(または真空)などが設けられている。そのため、第1端子114と第2端子124との間の結合容量を小さくすることができる。これにより、第1端子114と第2端子124との間の距離を小さくすることができ、その分、第1支持部50の面積を小さくすることができる。その結果、第1振動腕部10と第2振動腕部20との間の距離を小さくすることができ、双音叉型振動片300の小型化を図ることができる。また、一般的に双音叉型振動片は、2つの振動腕部の距離が小さいほど振動エネルギーの結合が大きくなることが知られている。そのため、双音叉型振動片300によれば、高いQ値および小さいCI値を実現することができる。
【0067】
また、双音叉型振動片300によれば、例えば後述する図6に示すように、第1支持部50を基部502に接合するために接着剤を用いる場合において、余分な接着剤を開口350内に逃がすことができる。これにより、接着剤が第1支持部50の外周から流出すること抑制でき、信頼性を高めることができる。
【0068】
また、双音叉型振動片300によれば、開口350は、平面視において、第1支持部50の外周と離間している。例えば第1支持部の外周と接続し、第1支持部を分断するように開口が設けられていると、実質的に、双音叉型振動片を支持する箇所が増えることになる。上述のとおり、支持箇所が多いと支持状態のバラつきが大きくなり、双音叉型振動片の感度が低下する場合がある。双音叉型振動片300では、必要以上に支持箇所を増やすことなく、開口350を設けることができる。
【0069】
4. 双音叉型振動片の第3変形例
次に、本実施形態の第3変形例に係る双音叉型振動片400について、図面を参照しながら説明する。図5(A)は、双音叉型振動片400を一方の主面(表面)側から見た平面図であって、双音叉型振動片400の一方の主面(表面)側の構成を説明するための図である。図5(B)は、双音叉型振動片400を一方の主面(表面)側から見た透視図であって、双音叉型振動片400の他方の主面(裏面)側の構成を説明するための図である。以下、本実施形態の第3変形例に係る双音叉型振動片400において、本実施形態に係る双音叉型振動片100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0070】
双音叉型振動片100の例では、第1支持部50の表面には、第1端子114および第2端子124が形成されていた。同様に、第1支持部50の裏面には、第1端子114および第2端子124が形成されていた。
【0071】
双音叉型振動片400では、図5(A)に示すように、第1支持部50の表面には、第1端子114のみが形成され、第2端子124は形成されていない。図5(A)の例では、第1支持部50の側面に、第2端子124が形成されている。また、図5(B)に示すように、第1支持部50の裏面には、第2端子124のみが形成され、第1端子114は形成されていない。図5(B)の例では、第1支持部50の側面に、第1端子114が形成されている。なお、図示はしないが、第1支持部50の表面に第2端子124のみが形成され、第1支持部50の裏面に第1端子114のみが形成されていてもよい。
【0072】
双音叉型振動片400によれば、上述のとおり、第1支持部50の表裏面のうちの一方の面に1つの端子を形成することができる。すなわち、例えば双音叉型振動片100のように、第1支持部50の1つの面に2つの端子が形成されていない。したがって、その分、第1支持部50の面積を小さくすることができる。その結果、第1振動腕部10と第2振動腕部20との間の距離を小さくすることができ、双音叉型振動片400の小型化を図ることができる。また、双音叉型振動片400によれば、高いQ値および小さいCI値を実現することができる。
【0073】
5. 振動型センサー素子
次に、本実施形態に係る振動型センサー素子500について、図面を参照しながら説明する。図6は、振動型センサー素子500を模式的に示す斜視図である。振動型センサー素子500は、本発明に係る双音叉型振動片を含む。本実施形態では、本発明に係る双音叉型振動片として、双音叉型振動片100を用いた例について説明する。以下、本実施形態に係る振動型センサー素子500において、本実施形態に係る双音叉型振動片100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、便宜上、図6において、励振電極110,120、引出電極112,122、端子114,124および配線116,126の図示を省略している。
【0074】
振動型センサー素子500は、図6に示すように、基部502と、基部502に連続する弾性部504と、弾性部504に連続し弾性部504によって支持された他の基部としての質量部506と、基部502および前記質量部506に固定された双音叉型振動片500と、を含む。基部502、弾性部504および質量部506の材質としては、例えば、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの圧電材料、真鍮、アルミニウム、燐青銅などの金属材料などが挙げられる。
【0075】
基部502は、振動型センサー素子500を、例えば、自動車、航空機、ロケットなどの装置に搭載するときに、該装置に機械的に固定される部位である。基部502の形状は限定されない。基部502の機能としては、弾性部504を介して質量部506を支持すること、および、振動型センサー素子500に加速度等の物理量が入力されたときに生じる弾性部504の変位に対する基準となること、などが挙げられる。
【0076】
弾性部504は、基部502および質量部506を連結し、基部502が質量部506を支持するようにさせる部位である。図示はしないが、弾性部504は、複数設けられてもよい。弾性部504の形状としては、例えば、板バネ状、弦巻バネ(コイル)状、屈曲形状などが挙げられる。図示の例では、弾性部504は、基部502および質量部506に比べて厚みの小さい部分(断面視における厚みのくびれている部分)が相当する。弾性部504は、弾性を有する。すなわち、弾性部504は、質量部506が受力部となり力を受けて基部502に対して変位したときに、質量部506を変位する前の位置に戻そうとする復元力を有する。
【0077】
質量部506は、弾性部504に連続し、弾性部504によって支持された部位である。質量部506の形状は特に限定されない。質量部506が支持される形態としては、例えば、片持ち梁状、両持ち梁状、弾性部504によって懸下される形態などが挙げられる。質量部506は、振動型センサー素子500に加速度等が印加されたときに、慣性抵抗(質量)となる。そのため、バネ・錐振動系に慣性力が生じると、質量部506の作用によって弾性部504に歪みを生じさせることができる。また、振動型センサー素子500に加速度等が印加されたとき、質量部506の慣性によって、質量部506の基部502に対する相対的な位置が変化する。したがって、振動型センサー素子500は、質量部506の基部502に対する相対的な位置の変化を検知することにより、印加された加速度等を測定することができる。図示の例では、質量部506は、弾性部504に連続し、片持ち梁状の形状で保持されている。図示の例では、振動型センサー素子500にY軸方向の加速度が印加されることによって、弾性部504に歪みが生じ、質量部506の基部502に対する位置が変化する。
【0078】
双音叉型振動片100は、基部502および質量部506に固定されている。図示の例では、第1支持部50が基部502に固定され、第2支持部60が質量部506に固定されている。図示はしないが、第2支持部60が基部502に固定され、第1支持部50が質量部506に固定されていてもよい。支持部50,60は、例えば導電性接着剤によって、基部502および質量部506に固定されることができる。これにより、例えば、第1支持部50の裏面に形成された端子114,124と、基部502に形成された配線(図示せず)と、を電気的に接続することができる。なお、第1支持部50の表面に形成された端子114,124を、例えばワイヤー(図示せず)によって、外部と電気的に接続させることも可能である。
【0079】
振動型センサー素子500によれば、上述のとおり、基部502および質量部506に、小型で感度の高い双音叉型振動片100が固定されている。したがって、小型で高い感度を有する振動型センサー素子500を提供することができる。
【0080】
6. 振動型センサー
次に、本実施形態に係る振動型センサー600について、図面を参照しながら説明する。図7は、振動型センサー600を模式的に示す断面図である。振動型センサー600は、本発明に係る振動型センサー素子を含む。本実施形態では、本発明に係る振動型センサー素子として、振動型センサー素子500を用いた例について説明する。以下、本実施形態に係る振動型センサー600において、本実施形態に係る振動型センサー素子500の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0081】
振動型センサー600は、図7に示すように、パッケージ602と、パッケージ602内に収容されたICチップ602および振動型センサー素子500と、を含む。
【0082】
パッケージ602としては、セラミックスのパッケージベース(容器)にリッド(蓋)が設けられたもの等が挙げられる。パッケージ602によって、振動型センサー素子500を減圧空間内に封止することができる。これにより、双音叉型振動片100のQ値を高め、熱雑音や部材の劣化を抑えることができる。
【0083】
ICチップ604は、例えばろう材(図示せず)によって、パッケージ602の内側底面に接合されている。ICチップ604は、双音叉型振動片100の駆動腕部10,20を振動させるための駆動回路と、双音叉型振動片100に生じた物理量を検出するための検出回路と、を有する。ICチップ604は、例えばワイヤー(図示せず)により、センサー素子500(双音叉型振動片100)と電気的に接続されている。
【0084】
振動型センサー素子500は、例えばろう材によって、基部502がパッケージ602の内側底面に接合されている。質量部506は、パッケージ602の内側底面と離間している。すなわち、振動型センサー素子500は、片持ち梁状の状態でパッケージ602内に収容されている。
【0085】
振動型センサー600によれば、上述のとおり、パッケージ602内に、小型で感度の高い振動型センサー素子500が収容されている。したがって、小型で高い感度を有する振動型センサー600を提供することができる。
【0086】
なお、上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0087】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0088】
10 第1振動腕部、15 溝、20 第2振動腕部、30 第1基端部、
32 突起部、40 第2基端部、42 突起部、50 第1支持部、
60 第2支持部、100 双音叉型振動片、110 第1励振電極、
112 第1引出電極、114 第1端子、116 第1配線、120 第2励振電極、
122 第2引出電極、124 第2端子、126 第2配線、
200 双音叉型振動片、300 双音叉型振動片、350 開口、
400 双音叉型振動片、500 振動型センサー素子、502 基部、
504 弾性部、506 質量部、600 振動型センサー、602 パッケージ、
604 ICチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏関係にある表面と裏面と、前記表面と裏面とに連結した側面とを有する双音叉型振動片であって、
並列して延在された第1振動腕部および第2振動腕部と、
前記第1振動腕部および前記第2振動腕部の一方側の端部に接続された第1基端部と、
前記第1振動腕部および前記第2振動腕部の他方側の端部に接続された第2基端部と、
前記第1基端部に接続され、前記第1振動腕部と前記第2振動腕部との間に配置された第1支持部と、
前記第2基端部に接続され、前記第1振動腕部と前記第2振動腕部との間に配置された第2支持部と、
を含み、
前記第1振動腕部は、前記第1基端部から前記第2基端部に向かう方向に沿って順に並ぶ、第1領域、第2領域および第3領域を有し、
前記第2振動腕部は、前記第1基端部から前記第2基端部に向かう方向に沿って順に並ぶ、第4領域、第5領域および第6領域を有し、
前記第1領域の表裏面、前記第2領域の両側面、前記第3領域の表裏面、前記第4領域の両側面、前記第5領域の表裏面、および前記第6領域の両側面には、互いに電気的に接続された第1励振電極が形成され、
前記第1領域の両側面、前記第2領域の表裏面、前記第3領域の両側面、前記第4領域の表裏面、前記第5領域の両側面、および前記第6領域の表裏面には、互いに電気的に接続された第2励振電極が形成されている、双音叉型振動片。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1振動腕部および前記第2振動腕部の隣り合う前記領域の間には、第1引出電極および第2引出電極が形成され、
前記第1引出電極は、
隣り合う前記領域のうちの、一方の前記領域の表面または裏面に形成された前記第1励振電極から延出し、少なくとも二又に分岐して、分岐した一方の電極が他方の前記領域の一方の側面に形成された前記第1励振電極と接続し、分岐した他方の電極が他方の前記領域の他方の側面に形成された前記第1励振電極と接続し、
前記第2引出電極は、
隣り合う前記領域のうちの、一方の前記領域の表面または裏面に形成された前記第2励振電極から延出し、少なくとも二又に分岐して、分岐した一方の電極が他方の前記領域の一方の側面に形成された前記第2励振電極と接続し、分岐した他方の電極が他方の前記領域の他方の側面に形成された前記第2励振電極と接続している、双音叉型振動片。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1振動腕部および前記第2振動腕部の隣り合う前記領域の間には、第1引出電極および第2引出電極が形成され、
前記第1引出電極は、
隣り合う前記領域のうちの、一方の前記領域の表面または裏面に形成された前記第1励振電極から延出して、他方の前記領域の片方の側面に形成された前記第1励振電極に接続し、
前記第2引出電極は、
隣り合う前記領域のうちの、一方の前記領域の表面または裏面に形成された前記第2励振電極から延出して、他方の前記領域の片方の側面に形成された前記第2励振電極に接続している、双音叉型振動片。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記第1支持部の表裏面には、前記第1励振電極と電気的に接続された第1端子、および前記第2励振電極と電気的に接続された第2端子が形成され、
前記第1支持部の前記第1端子と前記第2端子との間には、環状の開口が形成されている、双音叉型振動片。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記第1支持部には、前記第1励振電極と電気的に接続された第1端子、および前記第2励振電極と電気的に接続された第2端子が形成され、
前記第1支持部の表面および前記表面に対する裏面のうち一方の面に、前記第1端子および前記第2端子のうち一方が形成され、
前記第1支持部の前記表面および前記裏面のうち他方の面に、前記第1端子および前記第2端子のうち他方が形成されている、双音叉型振動片。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、
前記第1振動腕部および前記第2振動腕部は、前記領域の表裏面に形成された溝を有し、
前記領域の表裏面に形成された前記第1励振電極および前記第2励振電極は、前記溝の内壁に設けられている、双音叉型振動片。
【請求項7】
基部と、
前記基部に連続する弾性部と、
前記弾性部に連続し前記弾性部によって支持された他の基部と、
前記基部および前記他の基部に固定された請求項1ないし6のいずれかに記載の双音叉型振動片と、
を含む、振動型センサー素子。
【請求項8】
請求項7に記載の振動型センサー素子と、
前記振動型センサー素子が収容されたパッケージと、
を含む、振動型センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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