説明

反射印刷

【課題】張力変化による色レジストレーション変化の少ない画像形成システムを提供する。
【解決手段】画像形成システムにおいて、動いている画像受け取り面に関する速度測定情報を出力する圧盤の開始時に第1場所に位置する第1測定装置60と、第1場所と第2場所との間の媒体受け取り面における張力の増加に関する張力測定情報を出力する圧盤の端部の第2場所に位置する第2測定装置62と、第1マーキング地点と第2マーキング地点とを通信させ、第1測定装置60および第2測定装置62によって提供された情報に基づいて、第1マーキング地点および第2マーキング地点のうちの少なくとも1つの、修正された作動時間を決定するように構成されている、制御システムとを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本例示的な実施形態は、印刷システムにおける画像のレジストレーションに関する。この実施形態では、マーキング地点間の画像受け取り面の位置のばらつきを補償する多色印刷システムのレジストレーションシステムに関する特定の用途を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
画像の正確な印刷を提供するために、多色デジタル・マーキング・システムは、色のレジストレーションに対して適切な色を維持する必要がある。巻取り紙またはベルトといった細長い画像受け取り面を利用するシステムにおいて、受け取り面は、第1マーキング地点に達する。ここでは、例えば、光導電材料に画像を露光したり、あるいは、選択的に撮像された光導電部材にトナー粒子を塗布する吹付けインクジェットによって、第1色のマーキング材料が面に塗布されたりする。受け取り面は、次に、第2マーキング地点に移動する。ここでは、色の数にもよるが、例えば、第2色の画像またはマーキング材料が塗布される。第2マーキング地点の作動のタイミングは、画像受け取り面の速度に応じて制御され得る。これによって、2つのマーキング地点によって塗布された画像を順に重ねてレジストレーションすることができ、合成の多色の画像が形成される。高度のプロセス方向の位置あわせが、反射印刷として通常知られていることを実施することによって達成される。ここで、画像受け取り面の速度または位置は、ある場所において符号器によって測定され、次に、それに応じて画像のタイミングが決められる。例えば、符号器が、駆動ニップローラに使われる。ローラの回転速度は、ニップを通過する画像受け取り面の速度の計算に用いられる。第1、第2、および、続くマーキング地点の作動時間は、次に、駆動ニップローラからマーキング地点の各距離と、画像受け取り面の決められた速度とに基づいて計算される。
【0003】
電子写真式プリンタの場合、各瞬間に光受容体ベルトの正確な速度を測定するために、符号器が光受容体ベルトに設置されていてもよい。次に、この信号からのタイミングを、レーザーラスタ出力スキャナ(ROS)または発光ダイオード(LED)バーの吹付けのタイミングの決定に用いることができる。これにより、光受容体に均一な線の間隔が撮像され、従って、光受容体の速度の規定速度からのいかなる可変性をも補償することができる。多色システムでは、符号器からのタイミングを、色のレジストレーションにおいてよい色を得るために連続的な色画像を吹き付けるための正確な時間の決定に用いることもでき、ここでも、いかなる光受容体の速度の変化をも補償することができる。
【0004】
反射印刷システムの潜在的な想定は、巻取り紙またはベルトの速度を符号器で測定することによって正しいレジストレーションを正確に予測することができるように、ベルトまたは巻取り紙が非常に硬い(つまり、伸びない、あるいは、長さを変えない)ということである。ベルトまたは巻取り紙が任意のかなり大きな量の伸びまたは歪みを示す状況では、反射印刷技術は、未だに、レジストレーションずれの誤差の影響を受けやすい。
【0005】
画像作成システムでは、多くの場合、画像または用紙の運搬経路(例えばベルトループ、巻取り紙など)に沿った異なる場所において、多数の画像処理装置が使用される。各画像処理装置は、分離、つまり、特定の場所において画像全体の一部(例えば、特定の色)を生成する。画像処理装置の場所間の運搬システムのモーションクオリティは、分離の位置合わせ(例えば色のレジストレーション)および得られる画像の質を決定する。反射印刷は、画像運搬システムの速度を測定し、画像処理装置のタイミングを調節して、分離を一致させる。二重反射印刷は、張力の変化を補償するために、(例えば、画像形成地点の前および後に)異なる2つの場所における画像運搬システムの速度を測定する。この方法の不都合は、1)この第2の速度測定装置に付加的な費用がかかるということ、および、2)多くの場合、速度測定装置は、画像運搬システムを進ませるいくぶん弾性の(例えば、ゴムによって被覆された)駆動ロールの角速度を測定することである。この測定は、作成された画像の質の低減させてしまう不正確さによって知られている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、下流方向に移動する画像受け取り面と、画像受け取り面に第1画像を塗布する第1マーキング地点と、画像受け取り面に第2画像を塗布する、第1マーキング地点の下流に位置する第2マーキング地点とを含んだ、画像形成システムを提示する。画像形成システムは、さらに、動いている画像受け取り面に関する速度測定情報を出力する、マーキング区域または圧盤の開始時に第1場所に位置する第1測定装置と、第1場所と第2場所との間の媒体受け取り面における張力の増加に関する張力測定情報を出力する、マーキング区域または圧盤の端部の第2場所に位置する第2測定装置と、第1マーキング地点と第2マーキング地点とを通信させ、第1測定装置および第2測定装置によって提供された情報に基づいて、第1マーキング地点および第2マーキング地点のうちの少なくとも1つの、修正された作動時間を決定するように構成されている、制御システムとを含む。
【0007】
本開示は、さらに、下流方向に移動する画像受け取り面と、画像受け取り面に第1画像を塗布する第1マーキング地点と、画像受け取り面に第2画像を塗布する、第1マーキング地点の下流に位置する第2マーキング地点とを含んだ、画像形成システムを提示する。画像形成システムは、さらに、動いている画像受け取り面に関する速度測定情報を出力する、第1場所に位置する第1測定装置と、第1場所と第2場所との間の媒体受け取り面における張力の増加に関する張力測定情報を出力する、第2場所に位置する第2測定装置と、第1マーキング地点と第2マーキング地点とを通信させ、第1測定装置および第2測定装置によって提供された情報に基づいて、第1マーキング地点および第2マーキング地点のうちの少なくとも1つの、修正された作動時間を決定するように構成されている、制御システムとを含む。第2ローラに関連した第2測定装置は、サーボモータを含む。これにより、サーボモータは、第1場所において速度を制御するために、第2場所においてトルクを提供する。
【0008】
本開示は、さらに、画像受け取り面を移動させ、間隔の開いた第1画像塗布位置および第2画像塗布位置において画像受け取り面に画像を塗布し、第1画像塗布位置および第2画像塗布位置から上流に間隔を開けて、第1監視位置において画像受け取り面の速度を監視し、第1画像塗布位置および第2画像塗布位置から下流に間隔を開けて、第2監視位置において画像受け取り面の張力を監視し、画像受け取り面において監視された速度および張力に応じて、第1画像および第2画像の少なくとも1つの塗布のタイミングを制御する、画像のレジストレーション方法を提示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例示的な実施形態の一態様に従った画像形成装置の概略図である。
【図2】図1に従ったベルト・ループ・システムを含む画像形成装置の正面図である。
【図3】図1の画像形成装置のためのベルトの変位図を含んだレジストレーションシステムの概略図である。
【図4】プレナム真空圧力に応じた制御信号を表示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例示的な実施形態の態様は、画像形成装置およびそのレジストレーションシステムに関するものである。画像形成装置は、マーキング地点間でプロセス方向に駆動される画像受け取り面を規定する、巻取り紙またはベルトといった伸張性のある画像受け取り部材を含む。画像受け取り面のプロセス方向の速度は、例えば、画像受け取り部材の伸びまたは歪みの変化に起因して、名目上の規定速度から、画像受け取り面の長さと共に変化する可能性があり、例えば駆動速度のわずかな変化に起因して、時間と共に変化する可能性もある。画像形成面は、従って、受け取り部材の速度およびそれに関連した伸びによって規定された、2つの自由度を有している。
【0011】
画像形成装置は、複写機、レーザープリンタ、製本機械、ファクシミリ装置、または、複合機といった、活字媒体の画像をレンダリングするための任意の装置を含むことができる。それらの全てを、通常、プリンタと呼んで差し支えない。例えば、図形、テキスト、写真などの活字媒体に画像を塗布する操作を、本願では通常印刷またはマーキングと呼ぶ。
【0012】
画像受け取り部材は、その幅よりも、および、第1マーキング地点と第2マーキング地点との間の距離よりも大幅に長い活字媒体の途切れのない巻取り紙などの、活字媒体の巻取り紙であり得る。活字媒体は、紙、プラスチック、または、画像用の他の適切な物理的な活字媒体基材であってよい。あるいは、画像受け取り部材は、光受容体ベルトループといった、たわみやすいベルトであってよい。第1マーキング地点および第2マーキング地点においてベルトに塗布された画像は、転写地点において活字媒体シートに転写される。一般的には、活字媒体の巻取り紙、または、ベルトは、巻取り紙の張力の差によって第1印刷地点および第2印刷地点によって塗布された画像のレジストレーションずれが生じてしまうプロセス方向に、十分な伸張性を有するものである。画像受け取り部材について、紙からなる巻取り紙に関してここに記載することが多いが、他の画像受け取り部材も想定されるということを理解されたい。
【0013】
本願で使用されるように、画像が、インクまたはトナーといった塗布されるマーキング媒体のパターンを含むことができる。あるいは、画像は、トナーといったマーキング媒体が続いて塗布される、例えば光受容体ベルト面の部分を露光する(例えば、放電する)ことによって形成されてもよい潜像を含んでもよい。
【0014】
図1を参照しながら、多色デジタル・マーキング・システム10の第1実施形態を、インクジェット印刷システムの形式で図示する。システム10は、巻取りローラ(図示せず)といった、上流端部16と下流端部20との間の、通常矢印Aによって示されたプロセス方向に用紙搬送路に沿って紙からなる巻取り紙14を搬送するコンベヤシステム12を含む。印刷システム10は、複数のマーキング地点22、24、26、28を含む。マーキング地点は、塗布されるインクの色、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックのそれぞれに対して1つずつ割り当てられている。マーキング地点22、24、26、28は、用紙搬送路に沿って間隔の開いた場所に配置されている。各マーキング地点22、24、26、28は、それぞれ、紙の片面によって規定される画像形成面38にマーキング媒体(図示した実施形態ではインク)を塗布する、印字ヘッド(図示せず)を含む。印字ヘッド30、32、34、36は、制御信号40によって制御されている。制御信号は、第2マーキング地点24(および、続くマーキング地点26、28)によって生成された画像が、第1マーキング地点22によって塗布された画像の上に重ねられるように、印字ヘッドからの吹付けを制御する。制御信号40は、吹付け時間を生成するための/印字ヘッドを調節するための付随したメモリに格納された命令を実行する、中央処理装置(CPU)を含んでもよいし、あるいは、制御信号は、もう1つの適切なコンピュータ制御装置であってよい。一実施形態では、制御信号40は、マーキング地点に画像データも提供する、画像形成装置10の制御システム全体のうちの一部を形成し得る。
【0015】
図示したコンベヤシステム12は、通常は巻取り紙と接触することによってマーキング地点を通り過ぎた巻取り紙14を誘導する、ローラといった複数の誘導部材を含む。ローラ42のうちの少なくとも1つは、モータまたは他の適切な駆動システム(図示せず)によってプロセス方向に駆動される駆動ローラである。駆動ローラ42は、一対のローラを含むことができ、それらの間には、駆動ニップが形成される。駆動ローラ42は、ニップを通り抜けるとき、巻取り紙に駆動力を加える。駆動モータは、前もって規定されたほぼ一定の速度で、駆動ローラ42および従って巻取り紙14を駆動するように構成されている。しかし、駆動ローラ42の速度は、時間と共に変動する可能性があり、つまり、ニップを通過する巻取り紙の速度も、時間と共にわずかに変動するように、駆動ローラの前もって規定された速度と異なる可能性がある。の図示した実施形態では、印字ヘッド22、24、26、28は、ニップから上流で、用紙搬送路に沿って様々な距離で間隔を開けている。
【0016】
駆動ローラ42の下流および/または上流の1つ以上のローラ(図示せず)が、テンションローラであってもよい。テンションローラは、駆動力を加えることなく、巻取り紙14において一定の張力を維持しようとする。テンションローラでは、テンションローラが印刷システム10を移動するとき、巻取り紙をピンと張った状態にするために巻取り紙に少量の張力を作り出すように、巻取り紙14に対してバイアスがかけられてもよい。巻取り紙に加えられた張力により、巻取り紙はプロセス方向にわずかに伸びる。張力の変化は、時間と共に生じる可能性がある。結果として、印字ヘッドにおける巻取り紙の速度は、ニップでの速度から、時間と共に変化する(より高いか、あるいは、より低い)可能性がある。
【0017】
巻取り紙速度と巻取り紙の張力との両方を連続的な印字ヘッドのそれに関連した吹付け時間に因数分解することができる、用紙搬送路に沿った2つの間隔の開いた監視位置で、巻取り紙14に関する情報が得られる。一実施形態では、全ての印字ヘッドの下流にある第1巻取り紙位置、および、全ての印字ヘッドの上流にある第2巻取り紙位置において、情報が得られる。しかし、第1位置および第2位置の場所は、ヘッドに隣接している用紙搬送路における巻取り紙の速度および張力に関する情報が得られる用紙搬送路に沿ういずれの場所でもよい。駆動ニップがヘッドの上流にある他のシステムでは、下流の情報が有益であってもよい。
【0018】
本願の以下に詳述するように、装置が、機械的障害を予期したヘッド作動信号を生成する画像の生成を調節することにより、印刷プロセス中の機械的障害を補償することができる。装置は、プリンタの回転画像受け取り装置を備えた構成要素の移動を調整するために信号を生成するための、および、回転画像受け取り装置と構成要素との相互作用から生じるプロセス障害、および、プロセス障害のために予測される時間、を識別するデータを生成するための、プリンタ制御装置と、のプロセス障害識別タイミングデータに相当するプロセス障害補償信号を生成するためのプロセス障害補償器と、プロセス障害補償信号と共に画像の生成ヘッド作動信号を調節するための画像の生成ヘッド制御装置とを含むことができる。
【0019】
典型的なレジストレーションシステムは、第1測定装置60および第2測定装置62を含む。第1測定装置60および第2測定装置62は、巻取り紙に関連した時間変化情報および張力変化情報を提供することができる。情報から、例えば、巻取り紙のプロセス方向の速度および/または巻取り紙14の張力を、それが時間と共に変化するときに、得て監視することができる。第1測定装置60は、第1監視位置にあってよく、第2測定装置62は、巻取り紙14の第1間隔位置および第2間隔位置において巻取り紙14に関する情報を提供するために、プロセス方向の第1位置から間隔の開いた第2監視位置にあってよい。第1測定装置60は、第2測定装置62の上流にあってもよい。一般的には、第1測定装置60および第2測定装置62のうちの一方は、マーキング地点のうちの少なくとも1つの上流に位置しており、第1測定装置60および第2測定装置62のうちのもう一方は、マーキング地点のうちの少なくとも1つの下流に位置している。
【0020】
本願の以下に詳述するように、媒体運搬システムの一区域において媒体基材の張力の変化に起因する位置の誤差を補償するための装置および方法が提供される。方法は、1つの速度測定装置および1つの張力測定装置に用いることができる。速度測定装置および張力測定装置を、媒体運搬システムの一区域の反対端部(例えば、画像形成域の前および後)に位置付けることができる。サーボ制御ループが、第1場所において速度を測定することができ、サーボ駆動システムが、第1場所において速度を制御するために、第2場所において駆動ロールにトルクを提供する。運搬システムにおける抗力または外力の増加により、伸びおよび得られる位置誤差が生じる。サーボ駆動システムにおける制御装置の信号の増加は、第1場所と第2場所との間の媒体基材の張力の増加にほぼ比例している。従って、の知られている制御装置の信号は、伸びに起因する媒体変位機能であり、特定の場所において媒体基材の到着を正確に予測するために(速度測定装置と共に)用いられることができる。
【0021】
本開示の装置および方法は、画像作成システムに限定されていない。装置および方法を、特定の場所において媒体基材の位置の正確な予測を必要とする、任意の装置または任意のシステムに用いることができる。再び図1を参照すると、運搬媒体14、(場所1近傍の)媒体運搬速度測定装置41、(場所2近傍の)運搬駆動システム42、サーボ制御装置70、および、画像の生成または他の機能が生じてもよい場所1と場所2との間の区域を含んだ運搬システムの構成要素の一区域が、図の中に表示されている。運搬媒体の例として、紙、プラスチック、または、他の材料からなる巻取り紙14、あるいは、光受容材料、中間材、プラスチック、または、他の材料からなるベルトループ、あるいは、紙シートまたは他の材料を運搬する巻取り紙またはベルトループ、が挙げられる。シートは、真空、静電気力、グリッパーバー、または、他の方法によって巻取り紙またはベルトループと接触してもよい。
【0022】
媒体運搬速度測定装置41は、ローラに取り付けられた回転符号器、および/または、レーザードップラー表面測定装置または他の装置を含むことができる。運搬駆動システム42は、DCモータ、ACモータ、ステッピングモータ、油圧駆動、または、他の作動装置(ギアベルトまたは他の伝動装置)を含むことができ、電力増幅器72は、の低電力制御信号の増幅(変換の場合もある)を介して作動装置用の作動電力を提供する。サーボ制御装置70は、電力増幅器への制御信号の出力によって運搬信号の速度を制御することができる。図1の図表は、CMYK22、24、26、28(つまり色画像の画像分離)をそれぞれ生成することができる4つの画像形成地点を示している。また、乾式複写、インクジェット、または、他の画像形成方法を用いることができる。運搬媒体を、圧盤またはマーキング区域80(真空)、バッカーバー、または、画像運搬システムにおいて著しい抗力を働かせる他の支持構造に対して、支持または維持することができる。場所1と場所2との間の区域において、機械装置からの他の力も加えることができる。
【0023】
媒体基材の位置を計算する装置(つまり、媒体基材位置計算器90)およびその方法を、以下に記載する。典型的な一構成では、計算器90は、サーボ制御装置70から出力された制御信号から計算された1つの速度測定装置および1つの張力測定装置を使用することができる。場所1と場所2との間の力は、媒体基材の張力を変える。媒体基材の弾性によって、等価変位が生じ、その大きさは、媒体基材の弾性係数によって決められることができる。この媒体基材の変位によって、誤差のある(例えば色のレジストレーション誤差を引き起こす)媒体基材の同じ点に、連続的な操作(例えば画像の生成)を行うことができる。
【0024】
場所1と場所2との間の力は、さらに、画像運搬駆動システムによって働いた必要な力も変えることができる。従来のシステムでは、この力は、駆動ロール2を介して媒体基材に送られる。力が十分であるとき、滑り止めの駆動ロールの摩擦係数を増やすために、被覆ゴムを駆動ロールに塗布してもよい。被覆ゴムの弾性は、駆動ロールの角速度に対する基材面の速度の比率を変える。従って、駆動ロールの角速度測定の使用に依存した速度測定方法では、誤差がもたらされてしまう。
【0025】
図2を参照しながら、本開示を適用することができるベルト・ループ・システム全体を、ここに示す。穴部を有する運搬ベルトループ100は、真空プレナム102の上を進むことができる。ステアリングロール104近傍のベルトの上に、シートが供給され得る。真空は、シートをベルト100と密接に接触させ、ベルト100をプレナム面102と密接に接触させる。プレナムの上が、画像地点(図示せず)である。駆動モータ108は、ゴム被覆ローラ112を介して運搬ベルト100を進ませる。ステアリングローラ104に、符号器を取り付けることができる。ベルト100とプレナム102とを密接に接触させる真空力は、十分であり得る。従って、ベルト100の抗力は大きい可能性がある。の概略的な表現を図3に示す。
【0026】
従来の反射印刷システムでは、プロセス方向の巻取り紙の速度が、単一の符号器から決められている。従来のシステムでは、符号器から間隔の開いた印字ヘッドにおける巻取り紙の速度が、符号器における巻取り紙の速度と同じであると仮定する。次に、各色のヘッドは、それぞれ、の決められた速度に基づいて、規定の数の符号器のパルスを個別に順次吹き付ける。巻取り紙の伸びがないとき、色のレジストレーションによる色は、この方法によって通常補償される必要がある。しかし、巻取り紙の張力の、時間の変化による変化に起因して、この想定は、印刷の間中、正確なレジストレーションを提供できない。
【0027】
例えば紙は、極めて伸縮自在の媒体である。1平方メートル当たり75グラムの(gsm)紙は、通常、通常の1インチ当たり1ポンド(ほぼ0.18kg/cm)の巻取り紙の張力によって、巻取り紙が約0.1%だけ伸びるようなヤング率を有している。印字ヘッド間の0.8mの分離を有するシステムでは、このような伸びは、約800μmの位置の差を示すことができる。従来のシステムでは、第2印字ヘッドの吹付けが位置合わせされて、第1印字ヘッドおよび第2印字ヘッドによって作成された線が調節されるまで、吹付けを調節することによって試験印刷が得られる時点で、巻取り紙の伸びを反射する。しかし、巻取り紙の張力は、時間と共に変化する可能性がある。20%の張力の変化によって、例えば、従来の単一の反射レジストレーション制御装置を用いて約160μmのレジストレーションずれが生じてもよい。1インチにつき600線で操作する印刷システムでは、例えば、線同士は、約42μm離れている。結果的に、160μmのレジストレーションずれは著しく、通常、画像を検査する観測者の肉眼で顕著である。例示的な実施形態では、レジストレーションずれが走査線の幅未満に保たれるように、レジストレーションずれを、通常、低減することができ、理論的には、完全に補償することができる。
【0028】
典型的な一構成では、ベルトの抗力を、補助圧盤またはマーキング区域80に沿って一定にすることができ、他のどの場所でもゼロにすることができる。この場合、ベルトの張力(T)は、図3の点線120で示したように、距離によって直線的に変化する。抗力に起因したベルトの変位(y)は、図3の曲線124に示したようになる。ベルトの変位(y)は、圧盤の開始(x=0)まではゼロであり、圧盤の終り(x=a)までは二次式である。弾性係数E[N/m]と加えられた抗力F[N/m]とを有するベルトに関して、ベルトの変位(y)の方程式は、
【数1】


ここでx<a
である。
【0029】
場所1での速度測定装置の方程式および積分は、特定の場所でのベルトの任意の点Zの到着を予測する。画像形成がこの特定の点において生じると、次に、点Zに関連のある画像値を、正しい場所に保存することができる。
【0030】
方程式が既知の抗力Fを含むことに留意されたい。駆動モータ108は、抗力を克服するために、トルクを供給することができる。そうするために、サーボ制御装置70は、電力増幅器72に制御信号40を供給することによって、十分なモータ電流を提供することができる。制御信号の増加は、抗力の増加の一機能である。多くの場合、この関係は、ほぼ線形である。
【0031】
図4は、実験200の結果を示している。実験では、プレナムにおける真空圧力は、2水柱インチずつ徐々に増やしていく方法で、0水柱インチから8水柱インチに増加した。用いられた制御信号は、0.02525のステップにおいて0.26から0.37に増加した。制御信号におけるこの変化は、抗力Fおよびベルトの張力(T)に比例している。比例定数を、電力増幅器72から計算することができ、モータトルク定数および駆動伝動比率を、較正によって得ることができる。
【0032】
圧盤の長さを越えた一定の抵抗プロファイルを想定する。区域における他の構成要素は、ベルトに、異なる長手方向の力プロファイルを示してもよい。変位の計算を、計算と同様になすことができる。
【0033】
上述したように、第1場所と第2場所との間にプロセス方向力プロファイルが加えられる運搬区域が、提供される。第1場所において運搬速度を制御するために、運搬速度は、第1場所において測定され、サーボモータが、第2場所にトルクを提供する。第1場所における速度測定装置を用いることによって、運搬媒体のプロセス位置を予測することができ、サーボ制御装置の制御信号は、第2場所においてモータの電力増幅器に加えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下流方向に移動する画像受け取り面と、
前記画像受け取り面に第1画像を塗布する第1マーキング地点と、
前記画像受け取り面に第2画像を塗布する、前記第1マーキング地点の下流である第2マーキング地点と、
前記動いている画像受け取り面に関する速度測定情報を出力する、マーキング区域の開始時に第1場所に位置する第1測定装置と、
前記第1場所と前記第2場所との間の前記媒体受け取り面における張力の増加に関する張力測定情報を出力する、前記マーキング区域の端部の第2場所に位置する第2測定装置と、
前記第1マーキング地点と前記第2マーキング地点とを通信させ、前記第1測定装置および前記第2測定装置によって提供された情報に基づいて、前記第1マーキング地点および第2マーキング地点のうちの少なくとも1つの、修正された作動時間を決定するように構成されている制御システムと、を含む、画像形成システム。
【請求項2】
前記第1マーキング地点と第2マーキング地点との間に前記画像受け取り面を移動させるための駆動部材をさらに含み、前記第2測定装置は、前記駆動部材に関連する、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1測定装置は、前記第1マーキング地点および第2マーキング地点の上流にあり、前記第2測定装置は、前記第1マーキング地点および第2マーキング地点の下流にある、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第1測定装置は、符号器およびレーザードップラー表面測定装置からなる群から選択される、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第2測定装置は、
【数1】


ここで、
Fは、加えられる抗力であり、
Eは、前記画像受け取り面の弾性係数であり、
aは、前記マーキング区域の端部における位置であり、
xは、前記第1場所からの距離である、
に従って、抗力(F)に基づいた画像受け取り面の変位(Y)を計算する、請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
下流方向に移動する画像受け取り面と、
前記画像受け取り面に第1画像を塗布する第1マーキング地点と、
前記画像受け取り面に第2画像を塗布する、前記第1マーキング地点の下流の第2マーキング地点と、
前記移動する画像受け取り面に関する速度測定情報を出力する、第1場所に位置する第1測定装置と、
前記第1場所と第2場所との間の前記媒体受け取り面における張力の増加に関する張力測定情報を出力する、第2場所に位置する第2測定装置と、
前記第1マーキング地点と第2マーキング地点とを通信させ、前記第1測定装置および第2測定装置によって提供された情報に基づいて、前記第1マーキング地点および第2マーキング地点のうちの少なくとも1つの、修正された作動時間を決定するように構成されている制御システムとを含み、
第2ローラと関連した前記第2測定装置は、サーボモータを含んでおり、これにより、前記サーボモータは、前記第1場所において速度を制御するために、前記第2場所においてトルクを提供する、画像形成システム。
【請求項7】
画像受け取り面を移動させるステップと、
間隔の開いた第1画像塗布位置および第2画像塗布位置において前記画像受け取り面に画像を塗布するステップと、
前記第1画像塗布位置および第2画像塗布位置から上流に間隔を開けて、第1監視位置において前記画像受け取り面の速度を監視するステップと、
前記第1画像塗布位置および第2画像塗布位置から下流に間隔を開けて、第2監視位置において前記画像受け取り面の張力を監視するステップと、
前記画像受け取り面において前記監視された速度および張力に応じて、前記第1画像および第2画像の少なくとも1つの前記塗布のタイミングを制御するステップとを含む、画像のレジストレーション方法。
【請求項8】
前記張力を監視するステップは、画像受け取り面の変位に相当する前記画像受け取り面の抗力を測定するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
プロセス方向力プロファイルが、前記第1監視位置と前記第2監視位置との間に加えられる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記抗力(F)に起因した前記画像受け取り面の変位(Y)が、
【数1】


ここで
Fは、加えられる抗力であり、
Eは、前記画像受け取り面の弾性係数であり、
aは、マーキング区域または圧盤の端部における位置であり、
xは、前記第1場所からの距離である、
に従って計算される、請求項8に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−61855(P2012−61855A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201151(P2011−201151)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】