説明

反射型スクリーン、反射型スクリーン装置、及び反射型スクリーンの製造方法

【課題】界面活性剤を用いずに帯電防止が行える反射型スクリーン、反射型スクリーン装置、及び反射型スクリーンの製造方法を提供する。
【解決手段】反射型スクリーン2は、投射光Lpを反射する反射型スクリーン2であって、投射光Lpを反射する側となる第1面(基材表面21A)と、第1面と反対側の第2面(基材裏面21B)とを有すると共に、可撓性を有するシート状のスクリーン基材21と、基材裏面21Bに形成され、導電性を有する導電性膜22と、を備えている。また、反射型スクリーン装置1は、反射型スクリーン2と、反射型スクリーン2を収容する筐体3と、を備え、筐体3は、導電性膜22と接続する導電性を有する接続部6を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型スクリーン、反射型スクリーン装置、及び反射型スクリーンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクター等の投射型表示装置から射出された投射光を反射して画像を表示する反射型スクリーンが知られている。この反射型スクリーンは、シート状の合成樹脂製の基材が用いられているため、静電気が帯電しやすい。静電気が反射型スクリーンに帯電することにより、反射面に塵埃等が付着して汚染され、反射面の反射率が低下する。
【0003】
特許文献1では、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤を、多孔質シートに、塗布、スプレーする等して含浸させ、シート内の多孔に含有保持させるようにすることで、帯電を防止することが開示されている。
【0004】
反射型スクリーンの製造方法に関して、特許文献2では、観察面に複数の凹部または凸部が形成された基材(スクリーン基板)に、観察面に対して斜めからアルミニウム等の材料を蒸着させ、凹部または凸部の表面の一部に反射膜を形成させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−73131号公報
【特許文献2】特開2009−15196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シート基材の一方の面に、例えばアルミニウムを蒸着して投射光を反射させる反射膜を形成し、他方の面に特許文献1に開示する帯電防止剤を塗布した反射型スクリーンの場合、その反射型スクリーンを巻き取って収容する場合には、反射膜と帯電防止剤とが接触する。この接触により、帯電防止剤の影響で反射膜の表面が劣化し、反射率が低下するという課題があった。また、シート基材メーカーから、界面活性剤が塗布されたシート基材を購入する場合、シート基材がロール状に巻かれた状態で納入される。この場合、ロール状に巻かれたシート基材は、界面活性剤を塗布した他方の面と、一方の面のシート基材とが接触した状態となっている。このような状態では、界面活性剤の機能を一方の面のシート基材も有するようになる。界面活性剤の機能を有したシート基材の一方の面に、例えばアルミニウムを蒸着して反射膜を形成した場合、シート基材とアルミニウムとの密着度が低下するという課題があった。
従って、界面活性剤を用いずに帯電防止が行える反射型スクリーン、反射型スクリーン装置、及び反射型スクリーンの製造方法が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
(適用例1)本適用例に係る反射型スクリーンは、投射光を反射する反射型スクリーンであって、投射光を反射する側となる第1面と、第1面と反対側の第2面とを有すると共に、可撓性を有するシート状の基材と、第2面に形成され、導電性を有する導電性膜と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
このような反射型スクリーンによれば、基材の第2面に導電性を有する導電性膜を備えているため、例えば、反射型スクリーンを巻き取って収容する場合にも、基材の摩擦などによる静電気が基材に帯電し難くなる。従って、界面活性剤を用いずに帯電防止が行える反射型スクリーンを実現できる。
【0010】
(適用例2)上記適用例に係る反射型スクリーンにおいて、第1面に形成される複数の凹部または複数の凸部と、複数の凹部または複数の凸部に選択的に形成されて投射光を反射する反射膜と、を備えていることが好ましい。
【0011】
このような反射型スクリーンによれば、第2面に導電性を有する導電性膜を備えることで、帯電防止を行うことができると共に、第1面に形成される複数の凹部または複数の凸部に選択的に反射膜を備えることで、入射する投射光を観察者側に効率よく反射させることができる反射型スクリーンを実現できる。
【0012】
(適用例3)本適用例に係る反射型スクリーン装置は、上述したいずれかの反射型スクリーンと、反射型スクリーンを収容する筐体と、を備え、筐体は、導電性膜と接続する導電性を有する接続部を備えていることを特徴とする。
【0013】
このような反射型スクリーン装置によれば、反射型スクリーンに帯電した静電気を、筐体に備える接続部を介して逃がすことができる。従って、帯電防止が行える反射型スクリーン装置を実現できる。
【0014】
(適用例4)上記適用例に係る反射型スクリーン装置において、筐体は、接続部と接続する導電性を有する導電部を備えていることが好ましい。
【0015】
このような反射型スクリーン装置によれば、筐体に備える導電部に、接続部を介して反射型スクリーンの導電性膜を接続することにより、反射型スクリーンに帯電した静電気を、接続部を介して導電部に逃がすことができる。従って、帯電防止が行える反射型スクリーン装置を実現できる。
【0016】
(適用例5)上記適用例に係る反射型スクリーン装置において、筐体は、接続部および導電部の少なくとも一方を接地する接地部材を備えていることが好ましい。
【0017】
このような反射型スクリーン装置によれば、上述した接続部または導電部の少なくとも一方から接地部材を介して静電気を短絡させることができる。従って、帯電防止が行える反射型スクリーン装置を実現できる。
【0018】
(適用例6)本適用例に係る反射型スクリーンの製造方法は、投射光を反射する反射型スクリーンの製造方法であって、投射光を反射する側となる第1面と、第1面と反対側の第2面とを有すると共に、可撓性を有するシート状の基材に対し、第2面に導電性を有する導電性膜を形成する導電性膜形成工程を備えていることを特徴とする。
【0019】
このような反射型スクリーンの製造方法によれば、導電性膜形成工程により、基材の第2面に導電性を有する導電性膜を形成することで、基材に静電気を帯電し難くさせることができる。従って、界面活性剤を用いずに帯電防止が行える反射型スクリーンを製造することができる。
【0020】
(適用例7)上記適用例に係る反射型スクリーンの製造方法において、導電性膜形成工程は、導電性部材を蒸着する蒸着工程、または導電性部材をスパッタするスパッタ工程のいずれかを含むことが好ましい。
【0021】
このような反射型スクリーンの製造方法によれば、蒸着工程またはスパッタ工程により、導電性膜が形成されることにより、印刷等で形成される場合に比較して、薄く、ムラがなく、膜厚を均一に形成することができる。従って、基材に対する帯電防止性能を向上させることができると共に、遮光性を向上させる反射型スクリーンを製造することができる。
【0022】
(適用例8)上記適用例に係る反射型スクリーンの製造方法において、導電性膜形成工程は、導電性部材を含む塗料を塗布する塗膜形成工程を含むことが好ましい。
【0023】
このような反射型スクリーンの製造方法によれば、小規模な装置によって導電性膜を形成することができる。また、導電性材料の種類を変更することや、導電性材料の含有率を調整することが容易に行える。従って、使用環境に対応させた導電性膜を有する反射型スクリーンを製造することが可能となる。
【0024】
(適用例9)上記適用例に係る反射型スクリーンの製造方法において、第1面に複数の凹部または複数の凸部を有するように基材を変形させる基材変形工程を備えていることが好ましい。
【0025】
このような反射型スクリーンの製造方法によれば、基材変形工程により、第1面に複数の凹部または複数の凸部を容易に形成できる。そして、例えば、この基材変形工程以降の工程において、複数の凹部または複数の凸部を利用した反射膜を形成することで、入射する投射光を観察者側に効率よく反射させる反射型スクリーンを製造することができる。
【0026】
(適用例10)上記適用例に係る反射型スクリーンの製造方法において、基材変形工程は、加熱しながら型を押し付ける転写装置を用いて基材を変形させる転写工程を含み、転写工程は、導電性膜を転写装置と基材との密着防止部材として使用することが好ましい。
【0027】
従来の基材変形工程では、転写装置が基材を押し付ける際、基材と転写装置との間に、転写の際に基材に圧力を均等にかけるための緩衝部材と、緩衝部材が基材の溶融等により密着することを防止する密着防止部材と、を備えていた。これに対して、本適用例の反射型スクリーンの製造方法によれば、導電性膜を転写装置と基材との密着防止部材として使用することにより、従来の密着防止部材が不要となるため、基材変形工程に掛かるコストを低減することができる。
【0028】
(適用例11)上記適用例に係る反射型スクリーンの製造方法において、複数の凹部または複数の凸部に投射光を反射する反射膜を選択的に形成する反射膜形成工程を備えていることが好ましい。
【0029】
このような反射型スクリーンの製造方法によれば、入射する投射光を観察者側に効率よく反射させる反射膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る反射型スクリーン装置が設置された状態を示す模式図。
【図2】反射型スクリーンの製造工程を示す模式図。
【図3】基材変形工程における転写工程を示す模式図。
【図4】基材変形工程後のスクリーン基材の基材表面を見た模式図。
【図5】反射膜形成工程における蒸着工程を示す模式図。
【図6】反射型スクリーン装置の構成を模式的に示す概断面図。
【図7】第2実施形態に係る反射型スクリーン装置の一部を模式的に示す概断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
【0032】
図1は、第1実施形態に係る反射型スクリーン装置1が設置された状態を示す模式図である。図1を参照して、反射型スクリーン装置1の概構成と動作に関して簡単に説明する。
【0033】
本実施形態の反射型スクリーン装置1は、床面F等に載置するタイプである。反射型スクリーン装置1は、直方体状の箱型に形成される筐体3の内部から上方(床面Fに対して略垂直な方向)に向かって反射型スクリーン2が繰り出される。そして、反射型スクリーン2は、床面Fに対して起立して、使用可能な状態となる。なお、反射型スクリーン2は、反射型スクリーン装置1の近傍で机上面D(又は床面F)等に載置されたプロジェクターPJから射出された投射光Lpを観察者側に反射する。なお、反射型スクリーン装置1の詳細は、図6を用いて後述する。
【0034】
図1を含む以降の図面では、各構成要素を図面上で認識される程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜異ならせて示している。また、図1を含む以降の図面では、説明の便宜上、床面Fに対して垂直方向をY方向(起立した状態の反射型スクリーン2の床面F側を−Y方向)、起立した反射型スクリーン2のスクリーン基材21面に平行で、Y方向に直交する方向をX方向、Y方向及びX方向に直交する方向をZ方向として、XYZ直交座標系で記載する。また、重力方向を基準として、重力方向を下方向、逆方向を上方向とする。
【0035】
図2は、反射型スクリーン2の製造工程100を示す模式図であり、図2(a)は、導電性膜形成工程110を示す模式図であり、図2(b)は、基材変形工程120を示す模式図であり、図2(c)は、反射膜形成工程130を示す模式図である。図2を参照して、反射型スクリーン2の製造工程100を説明する。
【0036】
本実施形態の反射型スクリーン2は、可撓性を有するシート状の基材(以降、スクリーン基材21と称す)を用いている。スクリーン基材21は、本実施形態では、黒色の塩化ビニル樹脂で形成されている。黒色としているのは、不要な入射光を吸収しやすくさせることができるためである。
【0037】
なお、図2に示す製造工程100は、長さ数百mのスクリーン基材がロール状に巻かれた状態で行われる、いわゆるロール・ツー・ロール方式により実施される。従って、本実施形態のスクリーン基材21は、反射型スクリーン装置1として反射型スクリーン2(スクリーン基材21)が起立した場合の上下方向が長尺状に繋がって形成される。図2は、工程毎に実施された結果を、要部の断面として拡大して示している。
【0038】
本実施形態の製造工程100は、導電性膜形成工程110と基材変形工程120と反射膜形成工程130とを備えている。また、製造工程100は、導電性膜形成工程110、基材変形工程120、反射膜形成工程130の順番で行われる。なお、各工程には、図示省略する搬送装置が備えられ、ロール状に巻かれたスクリーン基材21を、1枚分のスクリーン基材21の長さ毎に、順次引き出し、また、巻き取ることで加工が行われる。
【0039】
図2(a)に示すように、導電性膜形成工程110は、導電性膜22を形成する工程である。導電性膜形成工程110は、本実施形態では、蒸着工程111を含んで構成されている。本実施形態では、この蒸着工程111により、導電性を有するアルミニウムの膜を、スクリーン基材21の第2面としての基材裏面21Bに形成している。また、導電性膜22は基材裏面21Bの略全領域に渡って形成される。
【0040】
なお、図示省略するが、蒸着工程111は、ロール状に巻き取られたスクリーン基材21を、基材裏面21Bが蒸着材料の上方に相対し、水平となるように引き出し、先端を巻き取り側のロール部材に取り付ける。次に、基材裏面21Bの下方から蒸着材料(本実施形態ではアルミニウム)を基材裏面21Bに蒸着させて導電性膜22を形成する。なお、導電性膜22を蒸着法により形成することで、スプレーコート方法、印刷方法などにより導電性膜を形成するよりも、均一で薄く高品位な導電性膜22を形成することができる。
【0041】
導電性膜22を形成した後は、導電性膜22が形成されたスクリーン基材21を巻き取る。そして、導電性膜22が形成されていないスクリーン基材21を引き出し、1枚分のスクリーン基材21の長さ毎に、連続的に導電性膜22を形成する。
【0042】
図2(b)に示すように、基材変形工程120は、スクリーン基材21を変形させる工程である。基材変形工程120は、本実施形態では、転写工程121を含んで構成されている。本実施形態では、この転写工程121により、スクリーン基材21を変形させ、複数の凹部23をスクリーン基材21の第1面としての基材表(おもて)面21Aに形成している。また、転写工程121は、加熱しながら型を押し付ける転写装置として、エンボス加工装置122を用いて実施される。
【0043】
図3は、基材変形工程120における転写工程121を示す模式図であり、図3(a)は、エンボス加工装置122の構成、及びスクリーン基材21を示す概断面図であり、図3(b)は、エンボス加工装置122が動作した状態を示す概断面図である。図3を参照して、転写工程121(エンボス加工装置122の構成と動作)を説明する。
【0044】
エンボス加工装置122は、形成させる形状とは逆形状に形成された金型を加熱しながら、スクリーン基材21を上下方向から高圧力で押し付け、スクリーン基材21を金型形状に沿わせて熱変形(転写)させて、必要な形状を形成させる装置である。
【0045】
図3(a)に示すように、エンボス加工装置122は、スクリーン基材21の下側に、下側金型ベース123と、下側金型ベース123の上部には凸状に形成された凸部124Aを有する金型124とを備えて構成される。また、エンボス加工装置122は、スクリーン基材21の上側に、上側金型ベース125を備えて構成される。上側金型ベース125のスクリーン基材21側は、平面を有して形成されている。また、エンボス加工装置122は、上側金型ベース125とスクリーン基材21との間に、押し付ける際にスクリーン基材21に圧力を均等にかけるための緩衝部材を備えている。緩衝部材として本実施形態では、フェルト部材126を用いている。
【0046】
転写工程121は、最初に、エンボス加工装置122に対して、ロール状のスクリーン基材21をセットする。詳細には、図3(a)に示すように、スクリーン基材21の基材表面21Aが金型124に相対し、基材裏面21Bがフェルト部材126に相対するようにセットする。次に、エンボス加工装置122を動作させる。この場合、下側金型ベース123と上側金型ベース125は加熱されている。エンボス加工装置122が動作する場合、下側金型ベース123は固定されており、上側金型ベース125が下降することで、スクリーン基材21を押し付ける。
【0047】
図3(b)に示すように、エンボス加工装置122が、スクリーン基材21を、下側金型ベース123と上側金型ベース125とで押し付けることにより、基材変形工程120が行われる。これにより、基材表面21Aは、金型124の凸部124Aに沿って熱変形して転写される。これにより、図2(b)に示すように凹部23が形成される。
【0048】
押し付ける際、フェルト部材126は、スクリーン基材21に形成された導電性膜22によりスクリーン基材21と直接接触しない。これにより、溶融したスクリーン基材21はフェルト部材126と密着することがない。言い換えると、スクリーン基材21に形成した導電性膜22は、密着防止部材として動作し、スクリーン基材21とフェルト部材126との密着を防止している。
【0049】
なお、従来の転写装置では、スクリーン基材が溶融して緩衝部材(フェルト部材等)と密着するため、緩衝部材とスクリーン基材との間に、密着防止部材を備えていた。また、従来は、密着防止部材として、テフロン(登録商標)樹脂等のシート部材を使用していた。また、この密着防止部材は劣化するため、所定使用回数毎に密着防止部材を交換する等のメンテナンスが必要であった。
【0050】
図4は、基材変形工程120後のスクリーン基材21の基材表面21Aを見た模式図である。なお、図4は、1枚分のスクリーン基材21を見た図である。図4を参照して、凹部23の構成に関して説明する。
【0051】
凹部23は、基材表面21Aの略全領域に渡って形成される。凹部23は、X方向において、反射型スクリーン2のX方向の中心線Yc上の所定の位置を中心とする円弧状に配列し、Y方向において、この中心を同心とする同心円状に配列するように形成される。本実施形態の凹部23は、ピッチ300μm程度、深さ185μm程度の略半球状となるように形成される。
【0052】
なお、基材変形工程120も導電性膜形成工程110と同様に、ロール・ツー・ロール方式で、引き出された1枚分のスクリーン基材21の長さ毎に、連続的に凹部23を形成する。
【0053】
図2(b)に示す基材変形工程120を行う場合、本実施形態では、前述したように、ロール・ツー・ロール方式で行っているが、これに限られず、スクリーン基材21を定寸裁断したものを用いて行ってもよい。また、図2(a)に示す導電性膜形成工程110を行う場合も、ロール・ツー・ロール方式ではなく、スクリーン基材21を定寸裁断したものを用いて行ってもよい。
【0054】
図2に戻り、基材変形工程120が終了した場合、次工程の反射膜形成工程130に移行する。図2(c)に示すように、反射膜形成工程130は、凹部23の内面23Aに選択的に反射膜24を形成する工程である。なお、反射膜形成工程130は、本実施形態では、蒸着工程131を含んで構成されている。本実施形態では、この蒸着工程131により、アルミニウムの膜を、内面23Aに選択的に形成している。
【0055】
図5は、反射膜形成工程130における蒸着工程131を示す模式図である。図5を参照して、蒸着工程131に関して説明する。
蒸着工程131は、ロール状に巻き取られたスクリーン基材21を、基材表面21Aが蒸着源Sの上方に相対して、傾斜するように引き出し、先端を巻き取り側のロール部材に取り付ける。なお、基材表面21Aは、スクリーン基材21の上部側が下部側に比べて、蒸着源Sから離れる状態に取り付けられる。また、蒸着源Sは、図4に示した中心線Yc上で、スクリーン基材21の下部側に設置される。なお、スクリーン基材21の上部側とは、反射型スクリーン2が起立した場合の上部側をいう。
【0056】
蒸着工程131は、詳細には、反射膜24を形成する際、基材表面21Aに対して斜めに投射光Lpを射出するプロジェクターPJの位置を仮想光源位置Pとして予め想定しておく。そして、基材表面21Aの各凹部23に対する蒸着材料の蒸着の角度θsが、基材表面21Aの各凹部23に対する仮想光源位置Pからの投射光Lpの入射角度θpと等しいか、それよりも小さくなるように蒸着源Sを配置して、投射光Lpの入射方向から各凹部23に蒸着材料を蒸着させる。
【0057】
蒸着工程131を行うことにより、凹部23の内面23Aの投射光Lpが照射される部分に沿って、凹状の反射膜24が形成される。なお、このように、斜め方向から蒸着を行い、反射膜24を選択的に形成することで、蒸着源Sを中心にして、基材表面21Aの各凹部23に放射状で部分的に反射膜24が形成される。そして、反射膜24の膜厚は、蒸着源Sから離れるに従って徐々に薄く形成される。なお、反射膜24を蒸着法により形成することで、スプレーコート方法、印刷方法などにより反射膜を形成するよりも、薄く高品位な反射膜24を形成することができる。
【0058】
なお、反射膜形成工程130も基材変形工程120と同様に、ロール・ツー・ロール方式で、引き出された1枚分のスクリーン基材21の長さ毎に、連続的に反射膜24を形成する。上述した製造工程100で製造されたスクリーン基材21(反射型スクリーン2)は、以降の工程において、所定の長さで個々に切り分けられ、本実施形態の反射型スクリーン装置1として組み立てられる。
【0059】
図2(c)に示す反射膜形成工程130を行う場合、本実施形態では、前述したように、ロール・ツー・ロール方式で行っているが、これに限られず、スクリーン基材21を定寸裁断したものを用いて行ってもよい。
【0060】
上述した製造工程100により、形成された反射型スクリーン2が、反射型スクリーン装置1として組み立てられた場合、プロジェクターPJから投射された投射光Lpは、反射型スクリーン2の反射膜24により、効率的に観察者側に反射される。また、反射型スクリーン2に、蛍光灯等からの不要な外光が入射した場合には、反射膜24以外の凹部23に吸収されるため、観察者側には反射させ難くできる。また、反射型スクリーン2は、基材裏面21Bに導電性膜22が形成されているため、反射型スクリーン2の背面側から入射する外光に対して遮光性を向上させることができる。これにより、反射型スクリーン2のコントラスト性能を向上させる。
【0061】
図6は、反射型スクリーン装置1の構成を模式的に示す概断面図である。図6を参照して、反射型スクリーン装置1の構成及び動作を説明する。
【0062】
本実施形態の反射型スクリーン装置1は、図1で説明したように、反射型スクリーン2と筐体3を備えている。筐体3の内部には、パンタグラフ機構部(図示省略)が伸縮自在に設置されている。このパンタグラフ機構部の上端部に反射型スクリーン2の上端部が固定されている。また、反射型スクリーン2の下端部は、筐体3内部に設置されるばね式の巻き取り機構部5に固定されて巻き取られている。
【0063】
巻き取り機構部5は、反射型スクリーン2の幅方向(X方向)の長さと同等の長さの巻き取り軸51を備えて構成されている。巻き取り軸51は、常に巻き取る方向に引張り力を付加するバネ部材(図示省略)を有している。反射型スクリーン2は、この巻き取り機構部5により、常に巻き取られる方向に引張り力が付与される。従って、反射型スクリーン2は、使用時や、引き出し時及び巻き取り時において、常に突っ張る状態となり、弛みを低減させている。
【0064】
本実施形態のパンタグラフ機構部は、モーター(図示省略)により伸縮動作(昇降動作)を行う。パンタグラフ機構部が動作し、上方(+Y方向)に伸びる動作に対応して、反射型スクリーン2は、巻き取り機構部5から繰り出される。また、逆に、パンタグラフ機構部が動作し、下方(−Y方向)に縮む動作に対応して、反射型スクリーン2は、巻き取り機構部5(巻き取り軸51)に巻き取られ、筐体3内部に収容される。
【0065】
筐体3内部には、巻き取り機構部5の他、接続部6、接地部材7、回路ユニット8、及び電源ケーブル9が設置されている。なお、筐体3は、導電性を有する金属で形成されている。また、筐体3の上面には、反射型スクリーン2を出し入れする開口部31が形成されている。
【0066】
接続部6は、反射型スクリーン2の導電性膜22と、導電部としての筐体3と、を電気的に接続する。接続部6は、ブラシ61と接続板62とを備え、どちらも導電性を有して構成されている。ブラシ61は、本実施形態では、ナイロン樹脂等をベースとして、導電性を有するカーボン微粒子を混合した導電性の繊維で構成されている。そして、ブラシ61は、いわゆる除電ブラシとして動作する。接続板62は、ブラシ61を固定し、電荷を筐体3及び後述する接地部材7に逃がす働きを有している。
【0067】
なお、接続部6は、筐体3の上面の開口部31に臨んで設置され、筐体3内面にネジ65で固定される。接続部6は、固定の際、ブラシ61の先端部を、反射型スクリーン2の背面側(スクリーン基材21の基材裏面21B側)に形成された導電性膜22に接触させて固定される。前述したように構成及び設置される接続部6は、反射型スクリーン2に帯電した静電気をブラシ61により接続板62に伝導させることで、筐体3に伝達させている。また併せて、反射型スクリーン2に帯電した静電気を後述する接地部材7に伝達させている。
【0068】
接地部材7は、本実施形態では電線71で構成されている。接地部材7は、いわゆるアース線として動作する。本実施形態の電線71は、接続部6と回路ユニット8とを接続している。詳細には、電線71は、接続部6(接続板62)と、回路ユニット8に接続する電源ケーブル9のアース端子91とを接続している。
【0069】
回路ユニット8は、反射型スクリーン装置1の動作を統括して制御する制御部(図示省略)が実装されている。また、回路ユニット8は、筐体3側面から導入される電源ケーブル9が接続されている。電源ケーブル9は、本実施形態では、アース端子91を有するいわゆる3端子の電源ケーブルを採用している。
【0070】
この構成により、反射型スクリーン2に帯電した静電気は、導電性膜22、接続部6、接地部材7、及びアース端子91を介して短絡される。
【0071】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態の反射型スクリーン2によれば、スクリーン基材21の基材裏面21Bに導電性を有する導電性膜22を備えているため、反射型スクリーン2を巻き取って収容する場合にも、スクリーン基材21の摩擦などによる静電気がスクリーン基材21に帯電し難くなる。従って、界面活性剤を用いずに、帯電防止が行える反射型スクリーン2を実現できる。また、これにより、反射膜24を含む凹部23に塵埃等が付着して汚染されることを低減でき、反射膜24の反射率の低下を防止することができる。
【0072】
本実施形態の反射型スクリーン2によれば、スクリーン基材21の基材裏面21Bに導電性を有するアルミニウムの導電性膜22を備えているため、反射型スクリーン2の背面側から入射する外光に対して遮光性を向上させることができる。従って、反射型スクリーン2のコントラスト性能を向上させることができる。
【0073】
本実施形態の反射型スクリーン2によれば、基材裏面21Bに導電性膜22を備えることで、帯電防止を行うことができると共に、基材表面21Aに形成される複数の凹部23に選択的に反射膜24を備えることで、入射する投射光Lpを観察者側に効率よく反射させることができる反射型スクリーン2を実現できる。
【0074】
本実施形態の反射型スクリーン装置1よれば、筐体3に導電性を有する接続部6を備えて、反射型スクリーン2の導電性膜22に接続(接触)させている。これにより、反射型スクリーン2に帯電した静電気を、筐体に備える接続部を介して逃がすことができる。従って、帯電防止が行える反射型スクリーン装置1を実現できる。
【0075】
本実施形態の反射型スクリーン装置1よれば、導電部としての筐体3に、接続部6を介して反射型スクリーン2の導電性膜22を接続することにより、反射型スクリーン2に帯電した静電気を、接続部6を介して導電部(筐体3)に逃がすことができる。従って、帯電防止が行える反射型スクリーン装置1を実現できる。
【0076】
本実施形態の反射型スクリーン装置1よれば、反射型スクリーン2の導電性膜22が、接続部6を介して接地部材7に接続され、更に、接地部材7は電源ケーブル9のアース端子91に接続されている。従って、反射型スクリーン2に帯電した静電気を、接地部材7及び電源ケーブル9により短絡させることができる。従って、帯電防止が行える反射型スクリーン装置1を実現できる。
【0077】
本実施形態の反射型スクリーン2の製造方法によれば、導電性膜形成工程110により、スクリーン基材21の基材裏面21Bに導電性を有する導電性膜22を形成することで、スクリーン基材21に静電気を帯電し難くさせる反射型スクリーン2を製造することができる。従って、界面活性剤を用いずに帯電防止が行える反射型スクリーン2を製造することができる。
【0078】
本実施形態の反射型スクリーン2の製造方法によれば、導電性膜形成工程110は蒸着工程111により、導電性膜22が形成される。これにより、スプレーコート方法や印刷方法などにより導電性膜が形成される場合に比較して、薄く、ムラがなく、膜厚を均一に形成することができる。従って、スクリーン基材21に対する帯電防止性能を向上させる反射型スクリーン2を製造することができる。また、導電性膜22は、スクリーン基材21の基材裏面21B側に、薄く、ムラがなく、膜厚を均一に形成することができることにより、反射型スクリーン2の背面側(導電性膜22側)から入射する外光に対して遮光性を向上させる反射型スクリーン2を製造することができる。従って、コントラスト性能を向上させる反射型スクリーン2を製造することができる。
【0079】
本実施形態の反射型スクリーン2の製造方法によれば、基材変形工程120により、スクリーン基材21の基材表面21Aに複数の凹部23を容易に形成できる。そして、この基材変形工程120以降の工程(反射膜形成工程130)において、複数の凹部23を利用した反射膜24を形成することで、入射する投射光Lpを観察者側に効率よく反射させる反射型スクリーン2を製造することができる。
【0080】
本実施形態の反射型スクリーン2の製造方法によれば、基材変形工程120は、加熱しながら型を押し付けるエンボス加工装置122を用いて、スクリーン基材21を変形させる転写工程121を備えている。そして、転写工程121では、導電性膜22をエンボス加工装置122とスクリーン基材21との密着防止部材として使用している。これにより、従来の密着防止部材が不要となるため、基材変形工程120に掛かるコスト(部品代、メンテナンス代等)を低減できる反射型スクリーン2を製造することができる。
【0081】
本実施形態の反射型スクリーン2の製造方法によれば、複数の凹部23に投射光Lpを反射する反射膜24を選択的に形成する反射膜形成工程130を備えることにより、入射する投射光Lpを観察者側に効率よく反射させる反射膜24を形成することができる。また、反射膜24を形成しない選択外の凹部23により、不要な入射光を吸収して観察者側に反射させ難くする反射型スクリーン2を製造することができる。
(第2実施形態)
【0082】
図7は、第2実施形態に係る反射型スクリーン装置1の一部を模式的に示す概断面図である。なお、図7は、反射型スクリーン2の一部を模式的に示している。本実施形態の反射型スクリーン2は、スクリーン基材21の基材表面21Aに複数の凸部25を形成していることが、第1実施形態と異なる点である。また、本実施形態では、この凸部25に対して、選択的に反射膜26を形成している。その他は、第1実施形態と同様に構成される。
【0083】
なお、凸部25や反射膜26を形成するための製造工程も第1実施形態の製造工程100と同様に行われる。詳細には、複数の凸部25を形成する基材変形工程120は、導電性膜形成工程110の後に行われる。そして、基材変形工程120は、第1実施形態と同様に、転写工程121を含んで構成され、エンボス加工装置122の金型124の凸部124Aを凹部(図示省略)に変更して実施される。
【0084】
また、反射膜26を形成する反射膜形成工程130は、基材変形工程120の後に行われる。そして、反射膜形成工程130は、第1実施形態と同様に、蒸着工程131を含んで構成され、スクリーン基材21の斜め方向から蒸着されて、凸部25の外面25Aに選択的に反射膜26が形成される。
【0085】
上述した第2実施形態によれば、プロジェクターPJからの入射光Lpを、効率よく観察者側に反射できる。また、これ以外に、第1実施形態での効果を同様に奏することができる。
【0086】
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0087】
前記第1実施形態の反射型スクリーン2は、基材裏面21Bに導電性を有する導電性膜22を形成している。そして、反射型スクリーン2は、基材表面21A(投射光Lpの入射側)に凹部23を形成し、凹部23に選択的に反射膜24を形成している。しかし、投射光Lpの入射側は、これに限られず、入射光を反射させるために様々に形成されていてもよい。例えば、スクリーンの基材に白色の塗料を塗布したものや、基材の表面にレンチキュラーレンズの凹凸を形成したものや、基材の表面にアルミ箔を貼着してマットフィルム等の被膜を設けたものや、基材の表面に細かいガラス粉末(ビーズ)を塗布したもの等でもよい。
【0088】
前記第1実施形態の反射型スクリーン2の製造工程100において、導電性膜形成工程110は、蒸着工程111により、導電性部材(アルミニウム)を蒸着している。しかし、これに限られず、スパッタ工程を用いて、導電性部材(アルミニウム)をスパッタして導電性膜を形成してもよい。
【0089】
前記第1実施形態の反射型スクリーン2の製造工程100において、導電性膜形成工程110は、蒸着工程111により、導電性部材(アルミニウム)を蒸着している。しかし、これに限られず、導電性膜形成工程は、導電性部材を含む塗料を塗布する塗膜形成工程を含んで構成されていてもよい。例えば、アルミニウム等の導電性材料の微粉末を含む塗料を塗布することで、導電性膜を形成してもよい。この塗膜形成工程を用いることにより、小規模な装置によって導電性膜を形成することができる。また、導電性材料の種類を変更することや、導電性材料の含有率を調整することが容易に行える。従って、使用環境に対応させた導電性膜を有する反射型スクリーンを製造することが可能となる。
【0090】
前記第1実施形態の反射型スクリーン2の導電性膜22は、導電性を有する金属材料のアルミニウムを用いて形成している。しかし、これに限られず、導電性を有していればよく、例えば、アルミニウム以外の導電性の金属材料や、カーボン微粒子や、ITO(Indium Tin Oxide)等で形成されていてもよい。なお、ITOは、スパッタ法により形成することがよい。
【0091】
前記第1実施形態の反射型スクリーン装置1は、電動で、反射型スクリーン2を伸縮する。しかし、これに限られず、筒状の部材に反射型スクリーンを手動で巻き取るタイプの反射型スクリーン等にも、導電性膜を形成することで、静電気に対する効果がある。
【0092】
前記第1実施形態の反射型スクリーン装置1は、接続部6を導電部としての筐体3に接続している。また、併せて、接続部6を接地部材7の電線71に接続している。しかし、この接続に限られず、筐体3が導電性を有していない場合等には、接続部6を接地部材7の電線71に接続するだけでもよい。
【0093】
前記第1実施形態の反射型スクリーン装置1は、接続部6を導電部としての筐体3に接続している。また、併せて、接続部6を接地部材7の電線71に接続している。しかし、この接続に限られず、反射型スクリーン装置が電動で動作しない場合等では、接続部6を導電部としての筐体3に接続するだけでもよい。
【0094】
前記第1実施形態の反射型スクリーン装置1は、接続部6と接続する接地部材7(電線71)を電源ケーブル9のアース端子91に接続している。しかし、この接続に限られず、電源ケーブルにアース端子がない場合等には、接地部材7として電線に金属板を取り付けたアース線を筐体3の外部に延出させることで、コンセント側に有するアース端子に接続させてもよい。
【0095】
前記第1実施形態の反射型スクリーン装置1は、接続部6と接続する接地部材7(電線71)を電源ケーブル9のアース端子91に接続している。しかし、この接続に限られず、電源ケーブルが筐体とは別体で設けられ、筐体には、別体の電源ケーブルと接続するインレット等が設置される場合等には、インレットのアース端子に接地部材7(電線71)を接続してもよい。なお、インレットが2端子でアース端子がない場合等には、接地部材7として電線に金属板を取り付けたアース線を筐体3の外部に延出させることで、コンセント側に有するアース端子に接続させてもよい。
【0096】
前記第1実施形態の反射型スクリーン装置1は、接続部6を導電部としての筐体3に接続している。また、併せて、接続部6を接地部材7の電線71に接続している。しかし、この接続に限られず、接続部6を導電部(筐体3)に接続し、その導電部(筐体3)と接地部材7とを接続してもよい。
【0097】
前記第1実施形態の反射型スクリーン2において、凹部23は、中心線Yc上の所定の位置を中心として円弧状に配列されている。しかし、この配列に限られず、Y方向、X方向に直線状に配列するように形成してもよい。
【0098】
前記第1実施形態の反射型スクリーン2において、凹部23のピッチや深さ等は、製造のしやすさや反射効率等を考慮して適宜設定することができる。
【0099】
前記第1実施形態の反射型スクリーン装置1において、反射型スクリーン2は、巻き取り機構部5(巻き取り軸51)に巻き取られて収容される。しかし、これに限られず、ジャバラ方式で折り畳むように収容されてもよい。なお、この場合、導電性膜22に亀裂等が入らないことが必要である。
【0100】
前記第1実施形態の反射型スクリーン装置1は、床面Fに載置するタイプである。しかし、これに限られず、壁面に固定されてもよい。また、机や台等に固定されてもよい。
【0101】
前記第1実施形態の反射型スクリーン装置1は、床面Fに載置して、筐体3の内部から上方(床面Fに対して略垂直な方向)に向かって反射型スクリーン2が繰り出される。しかし、これに限られず、天井や天井に近い壁面などに固定して、筐体の内部から、床面に向かって下方向に反射型スクリーンが繰り出されることでもよい。このタイプの反射型スクリーン装置の場合にも、プロジェクターの位置や、導電性膜及び反射膜の製造方法等は、前記第1実施形態と同様とすることで、同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0102】
1…反射型スクリーン装置、2…反射型スクリーン、3…筐体、6…接続部、7…接地部材、21…スクリーン基材、21A…基材表面、21B…基材裏面、22…導電性膜、23…凹部、24…反射膜、25…凸部、26…反射膜、100…製造工程、110…導電性膜形成工程、111…蒸着工程、120…基材変形工程、121…転写工程、122…エンボス加工装置、130…反射膜形成工程、131…蒸着工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投射光を反射する反射型スクリーンであって、
前記投射光を反射する側となる第1面と、当該第1面と反対側の第2面とを有すると共に、可撓性を有するシート状の基材と、
前記第2面に形成され、導電性を有する導電性膜と、を備えていることを特徴とする反射型スクリーン。
【請求項2】
請求項1に記載の反射型スクリーンであって、
前記第1面に形成される複数の凹部または複数の凸部と、
前記複数の凹部または前記複数の凸部に選択的に形成されて前記投射光を反射する反射膜と、を備えていることを特徴とする反射型スクリーン。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の反射型スクリーンと、
前記反射型スクリーンを収容する筐体と、を備え、
前記筐体は、前記導電性膜と接続する導電性を有する接続部を備えていることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項4】
請求項3に記載の反射型スクリーン装置であって、
前記筐体は、前記接続部と接続する導電性を有する導電部を備えていることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の反射型スクリーン装置であって、
前記筐体は、前記接続部および前記導電部の少なくとも一方を接地する接地部材を備えていることを特徴とする反射型スクリーン装置。
【請求項6】
投射光を反射する反射型スクリーンの製造方法であって、
前記投射光を反射する側となる第1面と、当該第1面と反対側の第2面とを有すると共に、可撓性を有するシート状の基材に対し、前記第2面に導電性を有する導電性膜を形成する導電性膜形成工程を備えていることを特徴とする反射型スクリーンの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の反射型スクリーンの製造方法であって、
前記導電性膜形成工程は、導電性部材を蒸着する蒸着工程、または導電性部材をスパッタするスパッタ工程のいずれかを含むことを特徴とする反射型スクリーンの製造方法。
【請求項8】
請求項6に記載の反射型スクリーンの製造方法であって、
前記導電性膜形成工程は、導電性部材を含む塗料を塗布する塗膜形成工程を含むことを特徴とする反射型スクリーンの製造方法。
【請求項9】
請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載の反射型スクリーンの製造方法であって、
前記第1面に複数の凹部または複数の凸部を有するように前記基材を変形させる基材変形工程を備えていることを特徴とする反射型スクリーンの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の反射型スクリーンの製造方法であって、
前記基材変形工程は、加熱しながら型を押し付ける転写装置を用いて前記基材を変形させる転写工程を含み、
前記転写工程は、前記導電性膜を前記転写装置と前記基材との密着防止部材として使用することを特徴とする反射型スクリーンの製造方法。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の反射型スクリーンの製造方法であって、
前記複数の凹部または前記複数の凸部に前記投射光を反射する反射膜を選択的に形成する反射膜形成工程を備えていることを特徴とする反射型スクリーンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−32584(P2012−32584A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171624(P2010−171624)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】