説明

反射板用白色積層ポリエステルフィルムおよびバックライト装置

【課題】高い反射率と高い隠蔽性を両立させ、かつ剛性の高い反射板用白色積層ポリエステルフィルム。
【解決手段】内部に空洞を含有するポリエステル層(B)の両側にポリエステル層(A)が積層された下記の(1)〜(5)の全てを満たす反射板用白色ポリエステルフィルム。(1)ポリエステル層(A)の厚さが12〜40μmであること。(2)ポリエステル層(A)がポリエステルと、該ポリエステルとは非相溶の成分(非相溶成分)を用いてなる層であり、かつ該非相溶成分の含有量がポリエステル層(A)に対して、0.01〜1.50重量%であること。(3)ポリエステル層(B)の厚さが250〜450μmであること。(4)該積層ポリエステルフィルムの90℃×30分における長手方向と幅方向それぞれの熱収縮率が0.0〜0.5%であること。(5)該積層ポリエステルフィルムの見かけ密度が0.5〜0.9g/cmであること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射板用白色積層ポリエステルフィルムに関するものである。さらに詳しくは、本発明は積層構造を有し、輝度、剛性、熱撓み安定性に優れ、かつ生産性の良いポリエステルフィルムに関するもので、特に画像表示用のバックライト装置の反射板に好適に使用することができる白色積層ポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等に用いられる平面型画像表示方式における、面光源装置の反射板および反射シートとして、白色ポリエステルフィルムが、均一で高い反射率、寸法安定性、安価である等の特性から広く用いられている。高い反射性能を発現する方法として、ポリエステルフィルム中に例えば酸化チタンや硫酸バリウムなどの無機粒子を多数含有し、ポリエステル樹脂と粒子の界面および、粒子を核として生成する微細な空洞の空洞界面での光反射を利用する方法(参考文献1および参考文献2参照)、ポリエステルと非相溶な樹脂を混合することにより、非相溶な樹脂を核として生成する微細な空洞の空洞界面での光反射を利用する方法(参考文献3参照)、圧力容器中で不活性ガスをポリエステルフィルムに含浸させることで、内部に生成した空洞の界面での光反射を利用する方法(参考文献4参照)等、ポリエステルフィルム中に含有された無機粒子とポリエステル樹脂の屈折率差および、微細な空洞とポリエステル樹脂の屈折率差を利用した方法が広く用いられている。
【0003】
近年、液晶ディスプレイを利用した用途の拡大はめざましく、奥行き150mm以下の薄型で、かつ26inch以上の大画面用の液晶テレビ用途においては、消費電力量が小さく高出力化が可能なLED光源を使用する方式が用いられ始め、従来のバックライト装置の背面に光源を配置させる方式に加え、光源を側面に配置させた薄型化に有利な方式を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−138150号公報
【特許文献2】特開2004−330727号公報
【特許文献3】特開平04−239540号公報
【特許文献4】国際公開第97/01117号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光源を側面に配置させた薄型大画面用LED光源バックライト装置の場合次のような問題があった。すなわち、従来の冷陰極管CCFLエッジライト方式では、光源と導光板および反射板が直接的に接していなかったが、LEDエッジライト方式では、LED光源と導光板が直接的に接し、かつ導光板が反射板と直接的に接しているため、光源が発する熱を直接受け、導光板および反射板が高温になりやすく、熱安定性が重要となっている。また、薄型大画面用のLEDバックライト筐体には、筐体の強度向上や電気配線と基盤格納のために凹凸状の加工が設けられており、また、LED光源に近い筐体端部に放熱用の溝加工が設けられている。そのため反射板が一部筐体から宙に浮く部分があるため、組み立て後の光源点灯時に光源の熱で反射板が筐体の凹みに沿って熱撓みすることで、輝度ムラが発生するという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題を解決し、LED光源を側面に配置させた薄型大画面用のバックライト装置において、光源点灯時に熱撓みせず、輝度が高く、輝度ムラが発生しない反射板用白色積層ポリエステルフィルムを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成する本発明の反射板用白色積層ポリエステフィルムは、内部に空洞を含有するポリエステル層(B)の両側にポリエステル層(A)が積層された積層ポリエステルフィルムであって、該積層ポリエステルフィルムが、下記の(1)〜(5)の要件をすべて満たすことを特徴とする反射板用白色積層二軸延伸ポリエステルフィルムである。
(1)ポリエステル層(A)の厚さが12〜40μmであること。
(2)ポリエステル層(A)がポリエステルと、該ポリエステルとは非相溶の成分(非相溶成分)を用いてなる層であり、かつ該非相溶成分の含有量がポリエステル層(A)に対して、0.01〜1.50重量%であること。
(3)ポリエステル層(B)の厚さが250〜450μmであること。
(4)該積層ポリエステルフィルムの90℃×30分における長手方向と幅方向の熱収縮率がそれぞれ0.0〜0.5%であること。
(5)該積層ポリエステルフィルムの見かけ密度が0.5〜0.9g/cmであること。
また、本発明の空洞含有積層白色ポリエステフィルムは、以下の(a)〜(c)の好ましい様態を有するものである。
(a)該積層ポリエステルフィルムのテーバー式剛性度試験機による曲げ角度15度での曲げモーメントの長手方向と幅方向の平均が3.5〜9.5mN・mであること。
(b)ポリエステル層(A)の密度が1.1〜1.5g/cmであること。
(c)導光板と、この導光板の少なくとも一側端部に配置された複数の点光源と、前記導光板の光出射面側と反対側に配置された反射板と、この反射板を載置する筐体とを備えたバックライト装置であって、前記筐体は、反射板と相対向する面に高さ5〜20mmの凹凸を有しており、前記反射板として、前記の反射板用白色積層二軸延伸ポリエステルフィルムを使用したことを特徴とするバックライト装置であること。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、薄型大画面用LEDバックライト装置において、光源点灯時に熱撓みせず、輝度ムラが発生しない反射板用白色積層ポリエステルフィルムを低コストで得ることができる。また、見かけ密度が低く、かつ腰があることで取り扱い性がよく、自重撓みによる折れが起きにくいため、組み立て加工時のロスが少なく、薄型大画面用LEDバックライト装置に限らず液晶ディスプレイ全般の反射板として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明における熱撓み測定方法を示すものである。
【図2】本発明のバックライト装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者らは、前記課題の解決、すなわちLED光源を側面に配置させた薄型大画面用のLEDバックライト装置において、光源点灯時に熱撓みせず、輝度ムラが発生しない反射板用白色積層ポリエステルフィルムについて鋭意検討した結果、特定の構成を有するポリエステルフィルムが、かかる課題を一挙に解決する事ができることを見出し究明したものである。
【0011】
本発明の反射板用白色積層ポリエステルフィルムは、内部に空洞を含有するポリエステル層(B)の両側に、ポリエステルとは非相溶の成分(非相溶成分)を含有するポリエステル層(A)が積層されたポリエステルフィルムである。本発明において、ポリエステル層(B)は内部に空洞を含有している。内部に空洞を多数含有することで、ポリエステル樹脂と空洞間の屈折率差を利用して、散乱ロスを押さえながら、反射率を高める事が出来る。ポリエステル層(B)中に空洞を含有せしめ、高い反射率と隠蔽性を発現させる方法としては、(1)ポリエステルに発泡剤を含有せしめ、押出や製膜時の加熱により発泡、あるいは化学的分解により発泡させて空洞を形成する方法、(2)ポリエステルの押出時にガスまたは気化可能物質を添加する方法、(3)ポリエステルに該ポリエステルと非相溶の熱可塑性樹脂(非相溶樹脂)を添加し、それを一軸または二軸延伸することにより微細な空洞を発生させる方法、(4)前記の非相溶樹脂の代わりに気泡形成性の無機系微粒子を多量添加する方法等が挙げられるが、本発明においては、製膜性、内部に含有せしめる空洞の量の調整し易さ、より微細で均一な大きさの空洞の形成し易さ、さらに軽量性などの総合的な点から、上記の(3)の非相溶樹脂の使用および(4)の無機系微粒子を使用する方法を用いることが好ましい。本方法においては、ポリエステルに非相溶な樹脂および/または無機粒子の含有量が多いほど、また2軸延伸の工程において延伸倍率が高いほど、ポリエステル内部に光を反射する界面が生成されるため、高い反射率と隠蔽性を発現することが可能である。
【0012】
ここで言う非相溶樹脂とは、ポリエステル以外の熱可塑性樹脂であって、かつポリエステルに対して非相溶性を示す熱可塑性樹脂であり、ポリエステル中では粒子状に分散し、延伸によりフィルム中に空洞を形成せしめる効果が大きい樹脂が好ましい。
【0013】
該非相溶樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、などが好ましく挙げられる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンなどのような直鎖状、分鎖状あるいは環状のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、フッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらの非相溶樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶性樹脂を併用してもよい。これらの中で、表面張力の小さなポリオレフィン系樹脂が、ボイド形成性に優れるという点で好ましく用いられる。さらに具体的には、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンが好ましく用いられる。ポリメチルペンテンは相対的にポリエステルとの表面張力差が大きくボイド形成性に優れ、添加量当たりの気泡形成の効果が大きいだけでなく、かつ融点が高いため、熱処理による変形が起こりにくいため、フィルム製造時に熱処理を充分施すことができ、その結果、形成されるフィルムの機械的強度、寸法安定性を高めることができるという特徴があるため空隙の核となる非相溶樹脂として特に好ましいものである。
【0014】
ここで、ポリメチルペンテンとしては、分子骨格中に4−メチルペンテン−1からの誘導単位を含むものが好ましい。また、その他の誘導単位としては、エチレン単位、プロピレン単位、ブテン−1単位、3−メチルブテン−1、あるいは4−メチルペンテン−1以外で炭素数6〜12の炭化水素などが例示される。ポリメチルペンテンは単独重合体であっても共重合体であってもよい。また、組成や、溶融粘度などの異なる複数のポリメチルペンテンを用いたり、他のオレフィン系樹脂やその他樹脂と併用したりしてもよい。
【0015】
また、本発明に用いる非相溶樹脂として、環状オレフィン共重合体についても特に好ましく用いられる。環状オレフィン共重合体とは、シクロアルケン、ビシクロアルケン、トリシクロアルケン及びテトラシクロアルケンからなる群から選ばれた少なくとも1種の環状オレフィンと、エチレン、プロピレン等の直鎖オレフィンからなる共重合体である。かかる環状オレフィンの代表例としては、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−i−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、2−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、5−メチル−トリシクロ〔4,3,0,12.5 〕−3−デセン、トリシクロ〔4,4,0,12.5 〕−3−デセン、10−メチル−トリシクロ〔4,4,0,12.5 〕−3−デセン等がある。特に、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)やその誘導体が生産性・透明性・高Tg(ガラス転移点)化が容易であるという点から好ましい。
【0016】
本発明におけるポリエステル層(B)中の非相溶樹脂の含有量は、ポリエステル層(B)全体に対して12〜35重量%が好ましく、より好ましくは18〜30重量%の範囲である。非相溶樹脂の含有量が上記範囲内である場合、反射率や隠蔽性が優れたフィルムとなり、フィルム全体の見かけ密度が低いながらも、延伸時にフィルム破れ等が発生しにくく、また剛性度が高く撓みにくいため、取り扱いやすいフィルムとなるため好ましい。
本発明において、ポリエステル層(B)の内部の微細な空洞の有無は、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)などによりポリエステル層(B)の断面を観察することで確認することができる。
【0017】
本発明において、ポリエステル層(B)に非相溶樹脂を含有する場合、該非相溶樹脂を核として生成される空洞は互いに独立していることが好ましい。なお、ここで言う長手方向とはフィルム製造時の工程においてフィルムが流れる方向であり、フィルム面内において長手方向に対して直交する方向を幅方向とする。
【0018】
非相溶樹脂の平均分散径を好ましい範囲内に制御する方法としては、特に限定はされないが、例えば、前述したポリエステルと非相溶樹脂の他に、さらに分散剤を添加することが好ましい方法として挙げられる。分散剤を添加することにより、非相溶樹脂の分散径が小さくなることで延伸により発生する空洞をより微細化でき、結果的にフィルムの反射率や全光線透過率、製膜安定性を向上させることができる。なお、ポリエステル層(B)中の非相溶樹脂は体積平均粒子径1.0〜6.0μmであることが好ましい。上記の効果を示す分散剤としては、カルボキシル基やエポキシ基等の極性基やポリエステルと反応性のある官能基をもったオレフィン系の重合体または共重合体、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステル、メトキシポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、その他には、エチレノキサイド/プロピレノキサイド共重合体、さらにはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホネートナトリウム塩、グリセリンモノステアレート、テトラブチルホスホニウムパラアミノベンゼンスルホネートなど、界面活性剤および熱接着性樹脂等を用いることができる。もちろん、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。中でも、ポリアルキレングリコールと炭素数が2〜6の脂肪族ジオール成分とテレフタル酸からなるポリエステル樹脂との共重合樹脂が、ポリエステル層(B)の主構成単位であるポリエステル樹脂との相溶性とポリオレフィン系樹脂の分散性改善の点で好ましく、ポリエチレングリコールとポリブチレンテレフタレートのブロック共重合体が特に好ましい。かかる分散剤は、あらかじめ重合反応において分散剤を共重合化したポリエステルとして使用しても、直接そのまま使用してもよい。
【0019】
本発明で用いられる分散剤の添加量は分散剤が含有されているポリエステル層(B)全体に対して3〜35重量%が好ましく、より好ましくは15〜30重量%である。添加量が上記範囲内である場合、気泡を微細化する効果が高くなり、優れた光反射機能を有し、かつ、生産安定性が高く、低コストで生産が可能であるため好ましい。
【0020】
かかるポリエステル層(B)は、内部に空洞を含有しているので、優れた光反射機能を有するが、高いクッション性や柔軟性を有するので、剛性の点で大きく劣る。
【0021】
そこで、本発明では、以下で説明するポリエステル層(A)を、ポリエステル層(B)の両側に、積層することが必要である。該ポリエステル層(A)を積層することによって、積層ポリエステルフィルムの剛性を保持し製膜性を向上させることができ、単層構造では達成不可能であった、高剛性と高反射率と生産性を併せ持つフィルムを得ることが可能となる。
【0022】
本発明において、ポリエステル層(A)はポリエステルと、該ポリエステルとは非相溶の成分(非相溶成分)を用いてなる層であり、かつ、該非相溶成分の含有量が、ポリエステル層(A)に対して、0.01〜1.50重量%であることが好ましい。該非相溶成分の含有量は、より好ましくは0.02〜0.80重量%、さらに好ましくは0.20〜0.60重量%である。該非相溶成分の含有量が上記数値範囲を下回ると、ロールとの接触面積が多くなり、ロールに異物や傷がある場合にフィルムに傷が付き易くなり、またロール上ですべらないため蛇行しやすくなり製膜が不安定となる。また、該非相溶成分の含有量が上記数値範囲上回ると、ポリエステル層(A)の空洞が多くなることにより剛性度が低下する。また、ポリエステル層(A)での光の内部吸収が大きくなるため、好ましくない。
【0023】
本発明では、ポリエステル層(B)の両側に、かかる剛性の高いポリエステル層(A)を設けるので、積層ポリエステルフィルムに十分な剛性を持たせることができる。剛性は角度15度の曲げモーメントの値で表し、3.5〜9.5mN・mであることが好ましい。3.5mN・m未満であった場合は、剛性が不十分となり、熱撓みを起こすため、輝度ムラが発生する。また、9.5mN・mを超える場合は、ロールとして巻くことが難しくなり、重度の巻き癖や折れ目が発生するため好ましくない。
【0024】
本発明のポリエステル層(A)に含有させる非相溶成分としては、例えば二酸化ケイ素、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)、などが挙げられるが、すべり性やポリエステルとの屈折率差が小さい等の観点で二酸化ケイ素粒子が好ましい。また、該非相溶成分の数平均粒子径は、ポリエステル表面への突出性の観点から、1.0〜4.0μmであることが好ましい。
【0025】
本発明において、ポリエステル層(A)の厚さは12〜40μmであることが必要である。本発明において、ポリエステル層(A)は、B層の両側に設けられるが、各々の厚みが12〜40μmであることが必要である。
【0026】
ポリエステル層(A)の厚さが12μm未満であった場合は、積層ポリエステルフィルムの剛性度が小さくなり、バックライト内で光源点灯時に高温な環境にさらされたときに熱撓みを起こすため、輝度ムラが発生する。ポリエステル層(A)の厚さが40μmを越える場合は、ポリエステル層(A)内での光吸収によるロスが増えることで、反射率が低下する。
【0027】
一方、本発明において、ポリエステル層(B)の厚さは250〜450μmが必要である。ポリエステル層(B)中の空洞により主な光反射性能を発現しており、このポリエステル層(B)の厚さが250μm未満である場合は、反射率や隠蔽性や剛性度が劣るフィルムとなる。ポリエステル層(A)の厚さが450μmを超える場合は、フィルムの生産安定性が低下する。
【0028】
また、ポリエステル層(A)とポリエステル層(B)は共押出し法により製膜ライン中で一挙に積層された後に、2軸方向に延伸され、二軸配向させることが好ましい。なお、コーティング法によりポリエステル層(A)を設ける方法では、十分な剛性を発現するために必要な膜厚を安定して付与することが困難である場合がある。また、貼り合せ法ではコストが高くなってしまうため好ましくない。
【0029】
本発明において、ポリエステル層(A)およびポリエステル層(B)は、ポリエステル樹脂を用いて構成される。本発明で用いられるポリエステル樹脂を構成する成分としては、以下の成分が挙げられる。ジカルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸では、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸およびそのエステル誘導体が挙げられ、また脂肪族ジカルボン酸では、アジピン酸、セバシン酸、ドデカジオン酸、エイコ酸、ダイマー酸およびそのエステル誘導体が、脂環族ジカルボン酸では、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びそのエステル誘導体が挙げられ、また多官能酸では、トリメリット酸、ピロメリット酸およびそのエステル誘導体が代表例として挙げられる。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、テトラメチレングリコールやポリエチレングリコール、およびポリテトラメチレングリコールのようなポリエーテルなどが代表例として挙げられる。製造されるポリエステルフィルムの機械強度、耐熱性、製造コストなどを加味すると、本発明におけるポリエステル層(A)およびポリエステル層(B)はポリエチレンテレフタレートを基本構成とすることが好ましい。この場合の基本構成とは、含有されるポリエステル樹脂に対して50重量%以上がポリエチレンテレフタレートであるという意味である。
【0030】
また、本発明において、ポリエチレンテレフタレート基本構成に対して、共重合成分を導入してもよい。共重合成分を導入する方法としては、原料であるポリエステルペレットの重合時に共重合成分を添加し、あらかじめ共重合成分が重合されたペレットとして用いても良いし、また、例えば単独で重合されたポリブチレンテレフタレートペレットとポリエチレンテレフタレートペレットの混合物を押出機に供給し、溶融時にエステル交換反応によって共重合化する方法を用いても良い。これらの共重合成分の量は、特に限定されないが、各特性面より、ジカルボン酸成分およびジオール成分とも、それぞれの成分に対して好ましくは1〜50モル%であり、より好ましくは1〜20モル%である。また、ポリエステル層(A)とポリエステル層(B)間の劈開防止性や製膜安定性、製造コストの観点から、イソフタル酸を共重合成分として使用することが好ましい。また、ポリエステル層(A)とポリエステル層(B)に共通の共重合成分を共に含有することは、ポリエステル層(A)とポリエステル層(B)間の劈開防止性が更に向上するため、好ましい。
【0031】
上記ポリエステル樹脂の重縮合反応に使用される触媒としては、例えば、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物およびマンガン化合物などが好ましく挙げられる。これら触媒は単独で、あるいは組み合わせで用いることができる。これらの触媒のうち、アンチモン化合物は重合反応を制御し易く、かつコスト面で有利である。また、チタン化合物やゲルマニウム化合物は金属触媒凝集物を生成しにくいという点が有利であり、コストの観点からはチタン化合物が好ましい。
【0032】
このように、光吸収のロスが少ないポリエステル層(B)の厚い層により、基本的な光反射性能を発現しながら、かつ表面側にポリエステルフィルムの剛性度を高めるポリエステル層(A)を積層することで、フィルム全体として空洞が多く見かけ密度が低いながらも、高い剛性度と反射率増加効果を得ることができる。なお、各ポリエステル層の厚みは、上記断面の走査型顕微鏡による観察写真より各ポリエステル層の厚み方向の長さを計測し、拡大倍率から逆算して各層の厚みを求める。なお、各ポリエステル層の厚みを求めるにあたっては、幅方向に沿って切り出した切断面において互いに異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真を使用し、その平均値として算出する。長手方向、幅方向が不明な場合は、任意の方向の断面を測定しても良い。
【0033】
本発明において、フィルム全体の見かけ密度は0.5〜0.9g/cmであることが必要である。空洞含有積層白色ポリエステルフィルムの見かけ密度は、ポリエステル層(A)の厚みにより増加し、ポリエステル層(B)の厚み、及び含有される微細な空洞により低減され、最終的に上記範囲内であることが重要である。見かけ密度が0.5未満であると、フィルムの強度が劣り破断を生じたり、立体加工時にシワを生じたり、また、フィルム製造工程において破断が多発し生産性が劣り、またバックライトに組み込んだ後、光源点灯時に熱撓みし易くなるなどの問題が生じるため好ましくない。また、見かけ密度が0.9g/cmを超えると、ポリエステルフィルム中に存在する空洞量が不足するため、反射率が悪化する。さらに、大画面サイズでは自重により撓み易くなり、取り扱い中に折れが発生するため好ましくない。なお、本発明における見かけ密度は、フィルムを100mm×100mmの大きさにカットし、ダイアルゲージに、直径10mmの測定子を取り付けたものにて10点の厚みを測定し、厚みの平均値d(μm)を計算した後、フィルムを直示天秤にて秤量し、重さw(g)を10−4gの単位まで読みとり、算出した値である。
【0034】
また、本発明においては、ポリエステル層(A)の密度が1.1〜1.5g/cmである事が好ましい。ポリエステル層(A)に空洞が無いことによって、フィルム全体の密度が低くても、フィルム全体として高い剛性を得ることができる。ポリエステル層(A)の密度を上記範囲にする方法としては、ポリエステル層(A)に非相溶樹脂や無機粒子などの空洞を形成する粒子を含有しない、無機粒子の表層を有機処理行い、また含有量を5%以下とし延伸による空洞を形成させにくくする、延伸後200℃以上の熱風または赤外ヒータを照射しポリエステル層(A)のボイドを消失させる等の方法が挙げられる。
【0035】
また、ポリエステル層(A)の内部ヘイズは1〜40%である事が好ましい。より好ましくは5〜20%である。ポリエステル層(A)の内部ヘイズが1%未満であるとポリエステル層(A)中をフィルムに入射した光の一部が面内方向にフィルムの端面まで伝播し、フィルム前面に出射しないため、あたかも光を吸収した様になりフィルムの反射率が低下するため好ましくない。ポリエステル層(A)の内部ヘイズが上記範囲にあることによって伝播する光が散乱され、フィルム前面側に光が出射されるためにフィルムの反射率を向上させることができる。また、内部ヘイズが40%より大きいと、ポリエステル層(B)により反射された光がポリエステル層(A)で散乱され透過率が低下しフィルムの反射率が低下する為に好ましくない。内部ヘイズを上記範囲にする方法としては、ポリエステル層(A)にポリエステルと屈折率の異なる非相溶な成分をポリエステル層(A)の重量に対して0.01〜1.50重量%含有させる方法が好ましく用いられる。特に内部ヘイズを5〜20%にする方法としては、ポリエステル層(A)にポリエステルと屈折率の異なる非相溶な成分をポリエステル層(A)の重量に対して0.20〜0.60重量%含有させる方法が好ましく用いられる。このとき、フィルムの製造工程における延伸によってポリエステル層(A)中に空洞が形成されることは内部ヘイズが上記範囲とならないばかりかフィルムに剛性が低下することから好ましくない。非相溶な成分としては、例えば二酸化ケイ素、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)、などが挙げられるが、上記範囲に内部ヘイズをコントロールしやすい点において、二酸化ケイ素や硫酸バリウムが好ましく用いられる。
【0036】
また、本発明においては、ポリエステル層(B)に酸化防止剤を、ポリエステル層(B)に対して好ましくは0.05〜1.0重量%、より好ましくは0.1〜0.5重量%含有せしめることにより、一層安定したポリマー押出と製膜を行うことが可能となる。酸化防止剤としては、分散性の点から、特にヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系の酸化防止剤が好ましい。
【0037】
本発明の反射板用白色積層ポリエステルフィルムにおいて、その長手方向と幅方向それぞれの90℃に30分さらしたときの熱収縮率の平均値は0.0〜0.5%が必要である。好ましくは、0.0〜0.3%である。熱収縮率が0.5%を越える場合、反射板用フィルムの熱収縮による寸法変化が大きくなり、フィルムの平面性が悪化するため輝度ムラがおこることがあり好ましくない。また、熱収縮率は0.0%より大きい方が好ましい。0.0%未満である場合、すなわち加熱時にフィルムが伸びる方向である場合は、バックライトユニットに組み込んだ後、光源の熱などでフィルムが伸びるため、たわみや波打ちが発生しやすくなる。90℃における熱収縮率を0.0〜0.5%とする方法は特には限定されないが、通常、2軸延伸フィルムを製造時の延伸倍率を下げる、熱処理温度を上げる、熱処理と同時に幅方向および/または長手方向に緩和処理を施すなどの手法が挙げられる。長手方向、幅方向ともに、所定の熱収縮率を得るためには、長手方向にも緩和処理をすることが好ましい。この緩和処理については、2軸延伸ポリエステルフィルムの製造中に行う方法(インライン処理)が、製造コストの観点で好ましいが、一度製膜したフィルムを再びオーブン中に通し、緩和処理を行う方法(オフライン処理)を行っても良い。
【0038】
次に、本発明の反射板用白色積層ポリエステルフィルムの製造方法について、その一例を説明するが、本発明は、かかる例のみに限定されるものではない。
【0039】
押出機(A)と押出機(B)を有する複合製膜装置において、まず、ポリエステル層(A)を形成するため、融点230〜280℃のポリエステルペレットおよび非相溶成分を含むマスターペレットを、非相溶成分が0.01〜1.50重量%となるよう混合し、十分に真空乾燥する。この乾燥原料には、必要に応じて紫外線吸収剤を添加してもよい。次に、この乾燥原料を、240〜300℃の温度に加熱された押出機(A)に供給し、溶融押出後10〜50μmカットのフィルターにて濾過した後に、Tダイ複合口金内に導入する。一方、ポリエステル層(B)を形成するため、真空乾燥したポリエステルペレットと必要に応じて真空乾燥したポリエステルに非相溶な樹脂のペレットとを混合し、これを260〜300℃の温度に加熱された押出機(B)に供給し、ポリエステル(A)層の場合と同様に溶融し、濾過してTダイ複合口金内に導入する。なお、この原料には、必要に応じて分散剤を添加してもよい。また、非相溶樹脂の添加は、予めマスターチップとしたものを真空乾燥して使用してもよい。Tダイ複合口金内では押出機(B)のポリマーが中央部に押出機(A)のポリマーが両表面側にA/B/Aとなるように積層してシート状に共押出成形し、溶融積層シートを得る。
【0040】
この溶融積層シートを、表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製する。該未延伸積層フィルムを70〜120℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に3〜4倍延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却する。
【0041】
続いて、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90〜150℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に3〜4倍に延伸する。
【0042】
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ3〜4倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜16倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満であると、得られる2軸延伸積層フィルムの反射率や隠蔽性、フィルム強度が不十分となり、逆に面積倍率が16倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
【0043】
得られた2軸延伸積層フィルムの結晶配向を完了させて、平面性と寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて150〜240℃の温度で1〜30秒間の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却し、その後必要に応じて、他素材との密着性をさらに高めるためにコロナ放電処理などを行い、巻き取ることにより、本発明の空洞含有白色積層ポリエステルフィルムを得ることができる。上記熱処理および徐冷工程中では、必要に応じて幅方向および長手方向に1〜12%の弛緩処理を施してもよい。
【0044】
また、2軸延伸は逐次延伸あるいは同時2軸延伸のいずれでもよいが、同時2軸延伸法を用いた場合は、製造工程のフィルム破れを防止でき、また、ポリエステル層(A)が加熱ロールに粘着することによって生ずる転写欠点が発生しにくい。また2軸延伸後に長手方向、幅方向いずれかの方向に再延伸してもよい。
【0045】
また、本発明は上述した反射板用白色積層二軸延伸ポリエステルフィルムを用いたバックライト装置に関する。以下、本発明に係るバックライト装置の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下では本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、それらの図面は図解のために提供されるものであり、本発明はそれらの図面に限定されるものではない。
【0046】
図2は本発明に係るバックライト装置の実施形態の構成を示す概略断面図である。
この実施形態のバックライト装置は、透光材からなる導光板4の一側端部に複数の点光源7が配置され、導光板4の光出射面側と反対側に反射板5が設けられた構成となっており、反射板5は匡体6上に載置されている。
【0047】
ここで、匡体6は、反射板5と相対向する面に高さ5〜10mmの凹凸を有する構成になっている。また、反射板5には、上述した反射板用白色積層二軸延伸ポリエステルフィルムが使用されている。点光源7については、導光板4の一側端部、両側端部、四側端部のいずれの配置とした構成でもよい。なお、導光板4は、本発明の特徴とするものではないので、その詳細説明を省略する。
【0048】
この実施形態のバックライト装置では、反射板5に上述した反射板用白色積層二軸延伸ポリエステルフィルムが使用されているため、凹凸のある筐体5に反射板5を載置しても、光源点灯時に光源から発せられた熱による溝部分での反射板5の撓みを抑えることができる。したがって、輝度ムラの少ないバックライト装置を得ることができる。
【0049】
また、この実施形態のバックライト装置では、匡体6は、反射板5と相対向する面に高さ5〜20mmの凹凸を有するため、筐体自体の剛性が高まる。また、凹部が通気孔となってバックライト内部の熱を外部に放出し、バックライトの温度の異常上昇を抑えることができる。さらに、凸部の背面側には配線基盤を収納することができる。なお、凹凸の高さは凸面に置いたスケールからの凹部の距離を別のスケールを使って測定した。凹凸の高さが5mm未満である場合、配線基盤の収納が困難となり、また、20mmを超える場合は、バックライトの薄型化が困難となるため好ましくない。
【0050】
本発明においてバックライト装置の大きさは、26インチ以上70インチ以下であることが好ましい。ここで、バックライト装置の大きさとはバックライト装置の対角線の長さを指す。上記範囲以下のバックライトでは反射板を構成するフィルム自体の自重に起因する撓みの影響を受けにくい。また、上記範囲以上のバックライトでは輝度ムラ防止効果が十分得られる。
【実施例】
【0051】
本発明を以下の実施例を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、各種物性値の測定方法、及び評価方法を以下に示す。
【0052】
[特性の測定方法および評価方法]
(1)ポリエステル層の厚さ
フィルムを凍結処理した後、長手方向および幅方向に沿って断面を切り出し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)S−2100A形((株)日立製作所製)を用いて4000倍に拡大観察して撮影した断面写真より、微細な空洞の含有の有無を調べた。
【0053】
各ポリエステル層の厚みは、上記断面の走査型顕微鏡による観察写真より各ポリエステル層の厚み方向の長さを計測し、拡大倍率から逆算して各層の厚みを求めた。なお、各ポリエステル層の厚みを求めるに当たっては、長手方向および幅方向に沿って切り出した切断面において互いに異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真を使用し、その平均値として算出した。なお、長手方向、幅方向が不明な場合は、任意の互いに直角な2方向に切り出した切断面を測定する。
【0054】
(2)見かけ密度
フィルムを100mm×100mmの大きさにカットし、ダイアルゲージ(三豊製作所製No.2109−10)に、直径10mmの測定子(No.7002)を取り付けたものにて10点の厚みを測定し、厚みの平均値d(μm)を計算する。また、このフィルムを直示天秤にて秤量し、重さw(g)を10−4gの単位まで読みとる。下記の式で計算される値を、見かけ密度とする。
(見かけ密度)=w/d×100 (g/cm)。
【0055】
(3)相対反射率
分光光度計((株)島津製作所UV2450)に積分球付属装置((株)島津製作所製ISR2200)を取り付け、硫酸バリウムを標準板とし、標準板を100%とした相対反射率を測定した。550nmの波長における相対反射率を、以下の基準にて判定を行った。なお、○、△が合格である。
○:良好 (104%以上)
△:やや劣る (102%以上104%未満)
×:劣る (102%未満)。
【0056】
<標準板作成方法>
硫酸バリウム白色標準試薬(EASTMAN White Reflectance Standard Cat No.6091)34gを、直径50.8mm、深さ9.5mmの円柱形くぼみに入れ、ガラス板を用いて圧縮して、圧縮密度約2g/cmの硫酸バリウム白色標準板を作製した。
【0057】
(4)隠蔽性
ポリエステルフィルムをヘイズメーター(スガ試験器(株)社製HZ−2)を用い、JIS K7105(1981年)に従い全光線透過率を測定し、以下の基準にて隠蔽性の判定を行った。なお、○、△が合格である。
○:良好 (全光線透過率が2.5%未満)
△:やや劣る (全光線透過率が2.5%以上3.0%未満)
×:劣る (全光線透過率が3.0%以上)。
【0058】
(5)熱収縮率
ASTM D1204(1984)に従い、90℃30分の熱収縮率を測定した。長手方向及び幅方向にそれぞれ測定した値を平均したものをそのフィルムの熱収縮率とした。
【0059】
(6)曲げモーメント(剛性度)
曲げモーメント(mN・m)はJIS P−8125(2000)による曲げ角度15゜におけるものであり、テーパー式剛性度試験機TELEDYNE TABER MODEL150-D(North Tonawanda, New York USA製)を使用した。
【0060】
(7)熱撓み値
幅120mm、長さ155mm、高さ25mmの鉄製ブロックの上に、長さ297mm、幅210mmのフィルムを、鉄製ブロック上中央にフィルムの長さ方向を揃えて載せ、90℃の熱風オーブン中に3分放置した後、オーブン内で図1に示す撓み距離をフィルムの4角で計測し、その平均値を熱撓み値とした。熱撓みがない場合は0mmであり、熱撓みが25mm以上の場合は25mmとする。
【0061】
(8)輝度ムラ
Samsung(株)製C7000シリーズ46インチモデルのバックライト(厚さ5mmのパターン印刷した導光板と、この導光板の左右二辺に配置された複数のLED光源と、該導光板の光出射面側と反対側に配置された反射板と、この反射板を載置する筐体が配設されたバックライトで、該筐体の反射板側には相互に略平行に並んだ、上辺部から下辺部まで繋がる4本の凹部とこの凹部と筐体上下辺で仕切られた凸部(高さ7mm)を有し、この筐体凸部の背面側に電子基盤を格納したバックライト。)内に張り合わせてある反射フィルムを所定のフィルムサンプルに変更し、点灯させた。その状態で1時間待機して光源を安定化させた後、液晶画面部をCCDカメラ(SONY製DXC−390)にて撮影し画像解析装置アイシステム製アイスケールで画像を取り込んだ。その後、撮影した画像の輝度レベルを3万ステップに制御し自動検出させ、輝度に変換した。下記式に従って輝度均一性を評価した。目視でムラとして認識できないものを合格(○)とし、下記の通りの評価結果とした。
輝度ムラ(%)=(最大値―最小値)/平均値×100
○:良好 (輝度ムラが10%未満)
△:やや劣る (輝度ムラが10%以上20%未満)
×:劣る (輝度ムラが20%以上)。
【0062】
(9)ポリエステル層(A)の密度
(サンプルの調整)フィルム断面に刃を入れ、ポリエステル層(A)部分を剥離する。ポリエステル層(B)が付着している場合は、片刃もしくはヤスリで削り取り、30mm×30mmのサンプルを5枚作成する。
(密度の測定)
サンプルをJIS K7112(1980)に基づいて電子比重計を用いて測定した。なお、サンプルは5枚用意し、それぞれを測定し、その平均値をポリエステル層(A)の密度とした。電子比重計はミラージュ貿易(株)製のSD−120Lを用いた。
【0063】
(10)ポリエステル層(A)の内部ヘイズ
(サンプルの調整)フィルム断面に刃を入れ、ポリエステル層(A)部分を剥離する。ポリエステル層(B)が付着している場合は、片刃もしくはヤスリで削り取り、30mm×30mmのサンプルを5枚作成する。
(内部ヘイズの測定)
JIS K7105(1985)に基づいて、ヘイズメーター(スガ試験機社製HGM−2DP)を用いて測定した。液体測定用ガラスセルにフィルムを入れ、その周辺にテトラリンを充填し測定を行うことで、内部ヘイズを得た。サンプルは5枚用意し、それぞれを測定し、その平均値をポリエステル層(A)の内部ヘイズとした。
【0064】
<実施例1>
(ポリエチレンテレフタレートペレット(PET)の製造)
酸成分としてテレフタル酸を、グリコール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、極限粘度0.63dl/g、カルボキシル末端基量40当量/トンのポリエチレンテレフタレートペレット(PET)を得た。
【0065】
押出機(a)と押出機(b)を有する複合製膜装置において、ポリエステル層(A)を形成するため、表1に示した原料のマスターペレット混合物を160℃の温度で5時間真空乾燥した後、押出機(a)側に供給し、280℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより異物濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。
【0066】
なお、表1中の略称は以下の意味である。
・SiO:二酸化ケイ素(体積平均粒子径1.5μm)
・BaSO:硫酸バリウム(平均粒子径0.5μm)
・PMP:ポリメチルペンテン(三井化学(株)製“TPX”)
・PBT/PAG:ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリアルキレングリコール(PAG)のブロック共重合体(東レ・デュポン社製「ハイトレル(R)」(登録商標))
・COC:環状オレフィン共重合体(エチレンとノルボルネンの共重合樹脂)(ポリプラスチックス社製“TOPAS”)
一方、ポリエステル層(B)を形成するため、表1に示した原料の混合物を160℃の温度で5時間真空乾燥した後に、押出機(b)側に供給し、280℃の温度で溶融押出後30μmカットフィルターにより異物濾過を行った後に、Tダイ複合口金に導入した。
【0067】
次いで、該Tダイ複合口金内で、ポリエステル層(A)がポリエステル層(B)の両表層に積層(A/B/A)されるよう合流せしめた後、シート状に共押出して溶融積層シートとし、該溶融積層シートを、表面温度18℃に保たれたドラム上に静電荷法で密着冷却固化させて未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを常法に従い85℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に3.4倍延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。
【0068】
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の90℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に100℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.4倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで190℃の温度で10秒間の熱処理を施し、さらに180℃の温度で4%幅方向に弛緩処理を行った後、更に150℃の温度で1%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷しつつ、テンター出口で0.3%長手方向に弛緩し、巻き取り、ポリエステル層(A)と内部に空洞を有するポリエステル層(B)の厚さが23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムはポリエステル層(B)中に微細な空洞を多数含有するものであった。
【0069】
かくして得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、ポリエステル層(A)が厚く高い剛性があり熱撓みしにくく、輝度均一性、反射率、隠蔽性にも特に優れたものであった。
【0070】
<実施例2>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にしてポリエステル層(A)と内部に空洞を有するポリエステル層(B)の厚さが、13/274/13(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ300μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであり、剛性と熱撓みと輝度均一性がやや劣るものの合格の範囲内であった。
【0071】
<実施例3>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にしてポリエステル層(A)と内部に空洞を有するポリエステル層(B)の厚さが、38/274/38(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ350μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであり、高い剛性があり熱撓みしにくいもののポリエステル層(A)が厚い分、光の内部吸収が大きいため、相対反射率がやや劣るが合格の範囲内であった。
【0072】
<実施例4>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様の23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、高い剛性があり熱撓みしにくいものの、ポリエステル層(A)の粒子量が少ないため、フィルムが蛇行することがあり、やや製膜安定性が劣るが合格の範囲内であった。
【0073】
<実施例5>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様の23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、ポリエステル層(A)の粒子量が多いため、ポリエステル層(A)にボイドが多数できるため、剛性がやや劣り、相対反射率がやや低いものの合格の範囲内であった。
【0074】
<実施例6>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にして23/255/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ301μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、全体厚みが薄い分、剛性、熱撓み、相対反射率、隠蔽性がやや劣るものの合格の範囲内であった。
【0075】
<実施例7>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にして23/440/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ486μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、ポリエステル層(B)が厚く高い剛性があり、熱撓みしにくいものの、やや製膜安定性に劣るが合格の範囲内であった。
【0076】
<実施例8>
表1に示された原料を使用し、180℃の温度で3%幅方向に弛緩処理を行った後、更に150℃の温度で1.5%幅方向に弛緩処理を行い、実施例1と同様の23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、やや熱撓みしやすいが、高い剛性があり反射率・隠蔽性が高く、優れた特性を有していた。
【0077】
<実施例9>
表1に示された原料を使用し、長手方向(縦方向)に3.7倍延伸を行い、実施例1と同様の23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、やや剛性と熱撓みと製膜製が劣るものの反射率・隠蔽性ともに特に高く、優れた特性を有していた。
【0078】
<実施例10>
表1に示された原料を使用し、長手方向(縦方向)に3.1倍延伸を行い、実施例1と同様の23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、高い剛性があるものの熱撓みしやすく、反射率・隠蔽性にやや劣るものの合格の範囲であった。
【0079】
<実施例11>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様の23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、反射率・隠蔽性が向上し、やや熱撓みしやすいものの合格の範囲内であった。
【0080】
<実施例12>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にしてポリエステル層(A)と内部に空洞を有するポリエステル層(B)の厚さが、38/274/38(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ350μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであり、ポリエステル層(A)が厚く光の内部吸収が大きいが、反射率・隠蔽性がわずかに向上するが、剛性度及び熱撓みは合格の範囲内であった。
【0081】
<実施例13>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にして23/440/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ486μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、ポリエステル層(B)が厚いため高い剛性が非常に高いが、PBT/PAGがやや多いため、熱撓みやすく、見かけ密度が低いため、やや製膜安定性に劣るが合格の範囲内であった。
【0082】
<実施例14>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にして23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムを上記実施例とは異なる凹凸高さが20mmであるバックライト筐体に組み込み評価した結果は、表2および表3のとおりであって、ポリエステル層(A)が厚く高い剛性があり熱撓みしにくく、輝度均一性、反射率、隠蔽性にも特に優れたものであった。
【0083】
<実施例15>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にして23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであり、剛性が高く、輝度均一性が良いばかりか、反射率、隠蔽性にも特に優れたものであった。
【0084】
<実施例16>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にして23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであり、剛性が高く、輝度均一性が良いばかりか、反射率、隠蔽性にも特に優れたものであった。
<実施例17>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にして23/354/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ400μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであり、剛性が高く、輝度均一性が良いばかりか、反射率、隠蔽性にも特に優れたものであった。
<実施例18>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様の23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、ポリエステル層(A)の粒子量が多く、ポリエステル層(A)にボイドが多数できるため、剛性がやや劣り、相対反射率がやや低いものの合格の範囲内であった。
<実施例19>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様の23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、ポリエステル層(A)の粒子量が多く、ポリエステル層(A)にボイドが多数できるため、剛性がやや劣り、相対反射率がやや低いものの合格の範囲内であった。
【0085】
<比較例1>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にしてポリエステル層(A)と内部に空洞を有するポリエステル層(B)の厚さが、10/274/10(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ294μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであり、剛性が低く熱撓みし易く輝度均一性が非常に悪いものであった。
【0086】
<比較例2>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にしてポリエステル層(A)と内部に空洞を有するポリエステル層(B)の厚さが、42/274/42(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ358μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであり、高い剛性があり熱撓みしにくいものの相対反射率が低いものであった。
【0087】
<比較例3>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様の23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、高い剛性があり熱撓みしにくいものの、製膜が不安定であった。
【0088】
<比較例4>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様の23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、剛性が低く、相対反射率がやや低いものであった。
【0089】
<比較例5>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にして23/212/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ258μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、剛性が低く熱撓みしやすい為輝度均一性が悪く、相対反射率、隠蔽性非常に劣るものであった。
【0090】
<比較例6>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にして23/470/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ516μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、高い剛性があり熱撓みしにくいものの製膜が非常に不安定であった。
【0091】
<比較例7>
表1に示された原料を使用し、180℃の温度で2%幅方向に弛緩処理を行った後、更に150℃の温度で1%幅方向に弛緩処理を行い、実施例1と同様の23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、熱収縮が高い分、熱撓みしやすく輝度均一性がやや劣るものであった。
【0092】
<比較例8>
表1に示された原料を使用し、長手方向(縦方向)に3.9倍延伸を行い、実施例1と同様の23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、剛性が低く熱撓みしやすい上、製膜が非常に不安定であった。
【0093】
<比較例9>
表1に示された原料を使用し、長手方向(縦方向)に2.9倍延伸を行い、実施例1と同様の23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、非常に高い剛性があるものの熱撓みしやすく、反射率・隠蔽性ともに劣るものであった。
【0094】
<比較例10>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様にして23/470/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ516μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、高い剛性と反射率・隠蔽性があるが熱撓みしやすく、また、製膜が非常に不安定であった。
【0095】
<比較例11>
表1に示された原料を使用し、実施例1と同様の23/274/23(μm)のA/B/A 3層複合構成とした厚さ320μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は、表2および表3のとおりであって、熱収縮率が高く、熱撓みしやすいものであった。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【符号の説明】
【0099】
1 鉄製ブロック
2 フィルム
3 熱撓み値
4 導光板
5 反射板
6 筐体
7 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空洞を含有するポリエステル層(B)の両側にポリエステル層(A)が積層された積層ポリエステルフィルムであって、該積層ポリエステルフィルムが、下記の(1)〜(5)の要件をすべて満たすことを特徴とする反射板用白色積層二軸延伸ポリエステルフィルム。
(1)ポリエステル層(A)の厚さが12〜40μmであること。
(2)ポリエステル層(A)がポリエステルと、該ポリエステルとは非相溶の成分(非相溶成分)を用いてなる層であり、かつ該非相溶成分の含有量がポリエステル層(A)に対して、0.01〜1.50重量%であること。
(3)ポリエステル層(B)の厚さが250〜450μmであること。
(4)該積層ポリエステルフィルムの90℃×30分における長手方向と幅方向それぞれの熱収縮率が0.0〜0.5%であること。
(5)該積層ポリエステルフィルムの見かけ密度が0.5〜0.9g/cmであること。
【請求項2】
テーバー式剛性度試験機による曲げ角度15度での曲げモーメントの長手方向と幅方向の平均が3.5〜9.5mN・mである請求項1に記載の反射板用積層ポリエステルフィルム。
【請求項3】
ポリエステル層(A)の密度が1.1〜1.5g/cmである請求項1または2に記載の反射板用積層ポリエステルフィルム。
【請求項4】
導光板と、この導光板の少なくとも一側端部に配置された複数の点光源と、前記導光板の光出射面側と反対側に配置された反射板と、この反射板を載置する筐体とを備えたバックライト装置であって、前記筐体は、反射板と相対向する面に高さ5〜20mmの凹凸を有しており、前記反射板が、請求項1〜3のいずれかに記載の反射板用白色積層二軸延伸ポリエステルフィルムであることを特徴とするバックライト装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−200921(P2012−200921A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65480(P2011−65480)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】