説明

反射鏡

【課題】光源に点光源を用いた場合でもエッジがシャープな照射エリアを得ることができる反射鏡を提供すること。
【解決手段】母材50の表面にアンダーコート層51を形成し、当該アンダーコート層51の上に反射層52を形成して反射面60を形成した反射鏡12において、前記反射面60の縁部60Aの表面粗度を高めて光を拡散し、或いは、前記反射面60の縁部60Aを非反射にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED等の点光源に用いて好適な反射鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック(合成樹脂)等で反射鏡の母材(基材)を形成し、この母材表面にアンダーコート層を形成した後、アンダーコート層に金属薄膜や誘電体薄膜等の反射膜を形成した樹脂成形の反射鏡が広く知られており、かかる反射鏡は例えばヘッドライトの車両用灯具等に用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
一方、照明分野では、反射鏡の面内に、反射方向や反射面積等が異なる複数の反射面を所望の配光に応じて適宜に設けることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−86908号公報
【特許文献2】特開平11−221517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、樹脂成形の反射鏡では、母材の各反射面の表面形状を光学設計値通りに形成したとしても、それぞれの反射面の縁部がアンダーコート層の厚みの影響で光学設計値とは成らない。このため、反射面の縁部では、光学設計通りの光制御が行われなくなり、意図せぬ反射光が生じるため、反射面の照射エリアのエッジがぼやけてしまう、という問題がある。
光源が放電ランプ等の線状光源である場合には、光源の特性によって照射エリアのエッジにぼやけが生じることから、反射面の縁部が光学設計値と多少異なっていても影響は少ない。
しかしながら、光源がLED等の点光源である場合には、光学設計に忠実な照射エリアが形成できるため、エッジでの明暗が明瞭な照射エリアが形成できるものの、上述のように反射面の縁部が光学設計値と異なっていると、照射エリアのエッジのぼやけが目立ってしまい、明瞭でシャープなエッジが得られない。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、光源に点光源を用いた場合でもエッジがシャープな照射エリアを得ることができる反射鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、母材表面にアンダーコート層を形成し、当該アンダーコート層の上に反射層を形成して反射面を形成した反射鏡において、前記反射面の縁部の表面粗度を高めて光を拡散し、或いは、前記反射面の縁部を非反射にしたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記反射鏡において、照射範囲が重なる複数の反射面を連設し、各反射面の境界に当たる縁部の表面粗度を高めて光を拡散し、或いは、前記反射面の縁部を非反射にしたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記反射鏡において、前記反射面の縁部の表面粗度を予め高めた母材を成形し、当該母材表面に前記アンダーコート層及び前記反射層を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、反射面の縁部の表面粗度を高めて光を拡散し、或いは、反射面の縁部を非反射にしたため、反射面の縁部で反射する光が広い範囲に拡散されて単位面積あたりの光量が非常に小さくなり、或いは、縁部で反射光が生じることがない。反射面の縁部での反射光が反射面の照射エリアのエッジを照射する光量が非常に低減され、或いはエッジを照射することがないため、照射エリアのエッジのぼやけが抑制され、シャープなエッジを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る歯科用LED無影灯の構成を示す図であり、(A)は底面からみた図、(B)は(A)のI−I線における断面視図である。
【図2】無影用LEDユニットの構成とともに照射エリアを模式的に示す図である。
【図3】無影用LEDユニットの正面、平面及び側面の三面を示す図である。
【図4】凹面反射面での反射光の指向方向を模式的に示す図である。
【図5】反射鏡の製造工程を示す図である。
【図6】反射鏡の反射面同士の境界の断面を拡大して示す模式図である。
【図7】反射鏡の比較例を模式的に示す図である。
【図8】無影用LEDユニットの特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明に係るLEDユニットを備えた照明器具の一例として、歯科治療に用いられる無影灯を例示する。
図1は本実施形態に係る歯科用LED無影灯1の構成を示す図であり、図1(A)は底面を示し、図1(B)は図1(A)のI−I線における断面を示す図である。
歯科用LED無影灯1は、同図に示すように、底面が矩形の照射開口2Aとして開口した横長のケース体(灯体)2と、ケース体2の照射開口2Aを覆う例えば樹脂製の透明カバー3とを備えている。ケース体2は、図1(B)に示すように、有底の中ケース5と、当該中ケース5の上側を覆う上ケース6とを備え、中ケース5及び上ケース6に囲まれてできた空間8には、図示を省略したLED駆動回路や電源回路、ヒートシンクなどが内蔵されている。また、中ケース5の底面5Aには無影用のLEDユニット(以下、「無影用LEDユニット」と言う)10が固定されている。
なお、上記透明カバー3は、その形状や材質等により、透過時の光拡散や偏向を抑制するように構成されている。また、LEDユニット10を露出して使用可能な照明器具にあっては、透明カバー3に相当するカバー部材を備える必要はない。
【0012】
無影用LEDユニット10単体で照射エリアに無影効果を生じさせるように構成されている。このため、無影用LEDユニット10のケース体2への取付構造においては、図1(B)に示すように、無影用LEDユニット10を傾斜させるための構造を備えていない。これにより、無影用LEDユニット10のケース体2への取り付け作業が容易となり、組立性の向上が図れることとなる。
以下、かかる無影用LEDユニット10の構造について詳述する。
【0013】
図2は無影用LEDユニット10の構成と照射エリアを模式的に示す図であり、図2(A)が無影用LEDユニット10の斜視図、図2(B)が照射エリアの模式図である。また、図3は無影用LEDユニット10の正面、平面及び側面の三面を示す図である。
無影用LEDユニット10は、これらの図に示すように、直方体形状の反射鏡12と、この反射鏡12の周囲に配置された4つのLED16とを備え、反射鏡12の一面には各LED16に対向して凹面反射面14が形成されている。
【0014】
凹面反射面14は、大別して4つの第1〜第4凹面反射面14A〜14Dを上下左右に連設して形成されている。これら第1〜第4凹面反射面14A〜14Dは、反射鏡12の一面を4等分に区画したそれぞれに回転放物面状の窪みを設けて形成されている。そして、第1〜第4凹面反射面14A〜14DごとにLED16が対向配置されている。第1〜第4凹面反射面14A〜14Dの反射光は、図2(B)に示すように、それぞれ所定距離離れた位置でX方向に伸びた矩形状の所定範囲(所定大きさ)を照射して照射エリア20A〜20Dを形成し、これら照射エリア20A〜20Dが重なり合って1つの照射エリア20が形成されている。
【0015】
具体的には、反射鏡12の一側面の側に横並びに連設された第1、第2凹面反射面14A、14Bの照射エリア20A、20Bは、それぞれ同じ照射範囲21Aを照射し、また同様に、第3、第4凹面反射面14C、14Dの照射エリア20C、20Dがそれぞれ同じ照射範囲21Bを照射する。これにより、照射範囲21A、21Bでの照度が高められている。また、照射範囲21A、21Bは互いに一部を重なり合わせながらY方向にずれて配置されており、これにより、照射エリア20がY方向に拡張されることとなる。歯科用LED無影灯1においては、X方向を患者の顔の左右方向に向け、Y方向を顔の上下方向に向けることで、患者の目を照らさずに患者の口元を良好に照明することができる。
また、各照射範囲21A、21Bでは、それぞれ無影効果が得られるように構成されている。なお、第1、第2凹面反射面14A、14Bと、第3、第4凹面反射面14C、14Dとは同一構成であるため、以下の説明では、第1、第2凹面反射面14A、14Bを代表して説明する。
【0016】
図4は、第1、第2凹面反射面14A、14Bでの反射光の指向方向を模式的に示す図である。
第1、第2凹面反射面14A、14Bから成る一連の凹面反射面14には、その両端部に、無影用反射面18が形成されている。各無影用反射面18は、LED16の反射光22Aを照射範囲21Aの中心部Oに指向させ当該照射範囲21Aに至る前に光線が交差して、照射範囲21Aの中央領域Raを照射するように設けた反射面である。これにより、当該中央領域Raでは無影効果が得られることとなる。
【0017】
また、第1、第2凹面反射面14A、14Bには、それぞれ無影用反射面18の残余の部分に、全範囲照射用反射面17と、むら防止用反射面19A〜19Cとが設けられている。
全範囲照射用反射面17は、LED16の反射光22Bで照射範囲21Aの全体領域Rcを照射する。第1、第2凹面反射面14A、14Bにおいて、全範囲照射用反射面17は、LED16の放射光量が最も多い正面位置に設けられている。むら防止用反射面19A〜19Cは、中央領域Raの残余を含めた左右半分の領域Rbを反射光22C、22Dなどで照射し、当該左右半分の領域Rbでの照度むらを解消するように、むら防止用反射面19A〜19Cの各々の領域が規定されている。
【0018】
第3、第4凹面反射面14C及び14Dによる照射範囲21Bにおいても、照射範囲21Aと同様に、全体的に照度むらが無く、なおかつ、中央領域Raで無影効果が得られ、これら照射範囲21A、21Bを重ねた照射エリア21が無影用LEDユニット10により得られる。
【0019】
かかる無影用LEDユニット10は、反射鏡12にLED16を組み付けて製造される。具体的には、反射鏡12の長手方向に延びる側面のそれぞれに、第1〜第4凹面反射面14A〜14Dに正対した位置に、それぞれ板状のLED取付板30をネジ止め固定し、各LED取付板30にLED16を取り付ける。このとき、LED16を、LED取付板30の内面に取り付けることでLED16を第1〜第4凹面反射面14A〜14Dに対向させて配置できるが、本実施形態では、次のようにしている。すなわち、図3に示すように、LED取付板30には凹面反射面14にオーバーハングさせたLED固定部32を設け、このLED固定部32にLED16をネジ止め固定する。これにより、LED16が各第1〜第4凹面反射面14A〜14Dにオーバーハングした位置から光を放射するため、LED取付板30の内面内にLED16を固定した場合に比べて、無影用反射面18に入射する光量を増やせるため、無影効果を高めることができる。
また、このようにして製造した無影用LEDユニット10にあっては、単体で無影効果が得られるため、歯科用LED無影灯1のケース体2に組み付け際には、当該無影用LEDユニット10をそのままケース体2に固定するだけで、無影灯が構成される。
【0020】
ここで、反射鏡12には、軽量化及び低コスト化を図るため、樹脂成形品を母材(基材)としたものが用いられている。
具体的には、図5に示すように、合成樹脂を金型成型して、上記第1〜第4凹面反射面14A〜14Dとなる凹面を有する反射鏡12の母材50(図6参照)を成形する(ステップS1)。この母材50の凹面のそれぞれには、無影用反射面18、全範囲照射用反射面17、及び、むら防止用反射面19A〜19Cも金型成型の段階で区画されている。
なお、以下の説明では、第1〜第4凹面反射面14A〜14D、並びに、無影用反射面18、全範囲照射用反射面17、及び、むら防止用反射面19A〜19Cのそれぞれを特に区別する必要がないときには単に「反射面」と称して符号60を付すことにする。
【0021】
金型成型後の母材50にあっては、各反射面60の縁部のうち、反射面60同士の境界Kについては、後に詳述するが、母材成型の段階で境界Kで粗度が高められて当該境界Kに光拡散性を持たせている。すなわち、図5に示すように、反射面60同士の境界Kの粗度を高めるようなダイフェースを有する金型が予め設計・製造されており(ステップS0)、この金型を用いて樹脂を金型成型することで、母材50における境界Kの粗度を母材50の金型成型の段階で高めている。これにより、成型後の母材50の表面にサンドブラスト加工を施す等の別途の工程を要することがないため、簡単、かつ精度良く境界Kの粗度を高めることができる。
【0022】
次いで、図5に示すように、母材50の表面の平滑度を高めるために、表面に例えばシリコン系の無機薄膜から成るアンダーコート層51(図6)を形成し(ステップS2)、このアンダーコート層51の上にアルミニウム等の金属材を蒸着して、アンダーコート層51よりも非常に薄い反射層52(図6)を形成する(ステップS3)。なお、この反射層52には金属膜の蒸着に代えて誘電多層膜を用いることもできる。その後、反射層52の耐食性、耐擦傷性を高めるために、反射層52の上に例えば無機薄膜から成るトップコート層53(図6)を形成し(ステップS4)、これにより、反射鏡12が製造される。
【0023】
この反射鏡12にあっては、母材50と反射層52の間にアンダーコート層51が介在するため、母材50の表面形状が光学設計値に精度良く合うように金型成型しても、何ら対策を施さなければ、図7(A)に示すように、アンダーコート層51の厚みの影響によって、反射面60の縁部60Aの形状が母材50の縁部50Aの形状と異なってしまう。
本実施形態では、第1〜第4凹面反射面14A〜14Dの凹面内に、無影用反射面18、全範囲照射用反射面17、及び、むら防止用反射面19A〜19Cのそれぞれを区画しているため、無影用反射面18、全範囲照射用反射面17、及び、むら防止用反射面19A〜19Cの境界Kでは、図7(A)に示すように、反射面60の縁部60Aが上下にずれた段差が生じる。そして、上述したように、反射面60の縁部60Aではエッジ形状が鈍化し、光学設計値により期待される反射光M1とは異なる方向に反射光M2が生じることとなる。
【0024】
反射面60の縁部60Aでの反射光M2は、本来、この反射面60の照射エリアのエッジを照射する光であるから、この反射光M2が本来と異なる方向を指向すると、照射エリアのエッジにぼやけが生じることとなる。特に、歯科用LED無影灯1においては、反射光M2が照射エリアの外側に向かった場合、照射エリアが広がることとなり、照射光が患者の目に届きやすくなってしまう。
なお、反射面60の縁部60Aでの問題は、反射面60同士を段差を設けて連設した場合に限らず、例えば図7(B)に示すように、2つの反射面60をV字状に連設した場合といったように、2つの反射面60同士を境界Kで変節して連設した場合に一般に生じる問題である。
【0025】
そこで本実施形態では、上述したように、母材50の成型の段階で縁部50Aの粗度を予め高めることで、反射面60の縁部60Aの表面の粗度を高めることとしている。これにより、図6に示すように、反射面60の縁部60Aでの反射光M2が拡散により散乱されてランダムな方向を指向することとなる。このため、照射エリアでのエッジを基準に反射光M2が広く拡散することとなるから、反射光M2の単位面積あたりの光量が抑えられ、当該反射光M2によるぼやけの発生を目立たなくできる。
【0026】
ここで、各反射面60の全周に亘る縁部60Aの粗度を高めても良いが、縁部60Aの反射光M2が外部に取り出される事がない箇所については、粗度を高める処理を施す必要がない。すなわち、本実施形態では、図6に示すように、LED16の光Pが照射される箇所であって、縁部60Aでの反射光M2がケース体2の壁面で遮蔽されずに外部に取り出される箇所の縁部60Aだけを対象に粗度を高めている。
【0027】
図8は、無影用LEDユニット10の特性の一例を示す図であり、図8(A)は照射エリア21における照度分布を示し、図8(B)は当該照射エリア21をX方向(図2(B))に切った断面の照度分布を示し、また、図8(C)は当該照射エリア21をY方向(図2(B))に切った断面の照度分布を示す。なお、反射鏡12の凹面反射面14の寸法は、X方向が180mm、Y方向が90mmであり(各第1〜第4凹面反射面14A〜14Dは、X方向90mm、Y方向45mm)、照射エリア21の位置は、無影用LEDユニット10から直下に向けて距離700mmだけ離間した位置に設定されている。
【0028】
これらの図に示すように、無影用LEDユニット10によれば、各反射面60での反射光により縦(Y方向)が80mm、横(X方向)が200mm程度の略矩形の照射エリア21が得られる。また、照射エリア21のX方向については、上記全範囲照射用反射面17と、むら防止用反射面19A〜19Cとにより、略均等な照度分布が得られていることが分る。さらに、この照射エリア21のY方向(すなわち、口元から目元に向かう方向)では、±40mmの範囲に30000ルクス程度の照度を確保しつつ、この範囲から外れた箇所での照度を低下させている。
【0029】
特に、無影用LEDユニット10では反射鏡12の各反射面60の縁部60Aの粗度が高め縁部60Aでの反射光M2を、照射エリア21の周囲R(図8(A))を含む広い範囲に拡散させて当該反射光M2の単位面積あたりの光量を非常に低くしているため、照射エリア21のエッジEでは、各反射面60の縁部60Aの粗度を高めていない場合(図8(A)、図8(B)に点線で示す)に比べて、明暗差を明瞭にすることができ、シャープなエッジEが得られる。これにより、患者の目元に届く光量を抑え口元だけを高い照度で照らすことができる。
【0030】
このように、本実施形態によれば、無影用LEDユニット10が備える反射鏡12において、反射面60の縁部60Aの表面の粗度を高める構成としたため、反射面60の縁部60Aでの反射光M2が広い範囲に拡散されて、照射エリア21での単位面積あたりの光量が非常に小さくなる。これにより、照射エリア21のエッジEを照射する光量が非常に低減され、或いはエッジを照射することがないため、照射エリア21のエッジEのぼやけが抑制され、シャープなエッジEを得ることができる。
【0031】
また本実施形態によれば、照射範囲が重なる複数の反射面60を連設して反射鏡12を構成し、各反射面60の境界Kに当たる縁部60Aの表面粗度を高める構成とした。この構成によれば、反射面60の縁部60Aの反射光M2の光量が照射エリアで低下しても、各反射面60の照射範囲が重なることで、照射エリア21での反射光M2の光量低下を補い合うことができる。
なお、縁部60Aにおいて表面粗度を高める範囲を大きくすると、その分、照射エリアが縮小するため、各反射面60の照射範囲の重なり部分での照度ムラの要因となる。したがって、縁部60Aにおいて表面粗度を高める範囲は、照度ムラが生じない程度とすることが望ましい。
【0032】
また本実施形態によれば、縁部60Aの粗度を予め高めた母材50を成形し、当該母材50の表面にアンダーコート層51及び反射層52を形成する構成とした。これにより、反射鏡12の製造後にサンドブラスト加工等により縁部60Aの表面粗度を高めるといった別処理が不要となることから製造が容易となる。
特に、母材50を成型する金型のダイフェースの形状を加工して縁部60Aの粗度を高めるようにすることで、縁部60Aの粗度を精度良く高めることができる。
【0033】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。
【0034】
例えば、上述した実施形態において、反射鏡12に複数の反射面60を連設した場合を例示したが、これに限らず単一の反射面60であっても良い。
また例えば、反射面60の縁部60Aの粗度を高めて反射光M2を広範囲に拡散させる構成を例示したが、これに限らず、縁部60Aを非反射として反射光M2が発生しない構成としても良い。具体的には、反射面60の縁部60Aを覆うように遮蔽部材を設け、或いは、反射層52の形成時に反射面60の縁部60Aをマスキングして縁部60Aに反射層52が形成されないようにしても良い。
【0035】
また例えば、上述した実施形態では、反射鏡12を備えた照明器具の一例として無影灯を例示したが、これに限らず、本発明は、照射エリア21以外での光量を抑制し照射エリア21のエッジEをシャープにすることが望まれる例えば寝室や病院等の読書灯等の任意の照明器具に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 歯科用LED無影灯
2 ケース体
M1、M2 反射光
10 無影用LEDユニット
12 反射鏡
14、14A〜14D 凹面反射面(反射面)
16 LED(点光源)
17 全範囲照射用反射面(反射面)
18 無影用反射面(反射面)
19A 防止用反射面(反射面)
30 LED取付板
32 LED固定部
50 母材
50A 縁部
51 アンダーコート層
52 反射層
53 トップコート層
60 反射面
60A 縁部
K 境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材表面にアンダーコート層を形成し、当該アンダーコート層の上に反射層を形成して反射面を形成した反射鏡において、
前記反射面の縁部の表面粗度を高めて光を拡散し、或いは、前記反射面の縁部を非反射にしたことを特徴とする反射鏡。
【請求項2】
照射範囲が重なる複数の反射面を連設し、各反射面の境界に当たる縁部の表面粗度を高めて光を拡散し、或いは、前記反射面の縁部を非反射にしたことを特徴とする請求項1に記載の反射鏡。
【請求項3】
前記反射面の縁部の表面粗度を予め高めた母材を成形し、当該母材表面に前記アンダーコート層及び前記反射層を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の反射鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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