説明

反射防止膜およびその製造方法。

【課題】基材の大きさに制限がなく、製造に真空チャンバー等の高価な機器を必要としない反射防止膜およびその製造方法を提供する。
【解決手段】反射防止膜1は、第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された基材14の表面に、第1の官能基とカップリング反応により結合を形成する第1のカップリング反応基を有する第1のカップリング剤の形成する被膜で被覆された反応性透明微粒子42が配列した透明微粒子層が、第1の官能基と第1のカップリング反応基とのカップリング反応により形成される結合を介して1層結合固定されている。あるいは、さらにその上に第1のカップリング反応基と反応する膜化合物の被膜で被覆された透明微粒子24および反応性透明微粒子42が交互に結合固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品等に用いる反射防止膜およびその製造方法に関する。より具体的には、基材の表面に、透光性の微粒子からなる透明微粒子層が共有結合を介して固定された反射防止膜およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の製品に用いられている透光性部材の表面には、高い光透過率と低い反射率とを併せ持つ反射防止膜が形成されている。反射防止膜を形成する目的は様々であり、例えば、車両用のフロントガラス、建築用ガラス、およびディスプレイ用パネル等においては、表面での反射による映り込みの防止、カメラおよび眼鏡用レンズ等においては、多重干渉の発生防止、太陽電池パネルにおいては、反射率の低減による光電変換効率の向上が、その目的として挙げられる。
【0003】
これまでに種々の反射防止膜が提案されているが、反射防止性能の観点からは、多層干渉膜(例えば、特許文献1および2参照)、および多孔質膜(例えば、特許文献3および4参照)が一般に優れていると言われている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−017544号公報
【特許文献2】特表平10−508113号公報
【特許文献3】特開平7−300346号公報
【特許文献4】特開平11−281802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および2に記載の多層干渉膜は、膜厚制御が難しい上に製造コストが高いという問題点を有している。特に、特許文献1に記載の反射防止フィルムは、真空蒸着法を用いて形成されているため、その製造に高価な真空機器を必要とする上に、大面積の基材上に均一な膜厚の反射防止膜を形成するのは困難である。
また、特許文献3および4に記載の多孔質膜においても、膜厚および孔径を厳密に制御することは困難である。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、膜厚、細孔径、および屈折率を容易に制御できる反射防止膜およびその製造方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る反射防止膜は、第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された基材の表面に、第2の官能基を有する第2の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明微粒子が配列した透明微粒子層が1層結合固定された反射防止膜であって、前記被覆された透明微粒子は、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤と、前記第1および前記第2の官能基とのカップリング反応により形成された結合を介して前記被覆された基材上に固定されている。
なお、「カップリング反応」とは、官能基間の付加反応、または縮合反応により生成する任意の反応をいい、熱反応、および光反応のいずれであってもよい。
【0008】
第1の発明に係る反射防止膜において、前記第1の膜化合物と前記第2の膜化合物とが同一の化合物であることが好ましい。
【0009】
第1の発明に係る反射防止膜において、前記第1および第2の膜化合物の形成する被膜の一方または双方が単分子膜であることが好ましい。
【0010】
第2の発明に係る反射防止膜は、第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された基材の表面に、透明微粒子が配列した透明微粒子層が前記被覆された基材側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層しており、第x番目(xは、1≦m≦nである整数)の前記透明微粒子層を形成している前記透明微粒子の表面は、第(x+1)の官能基を有する第mの膜化合物の形成する被膜で被覆されており、前記透明微粒子層の第(x−1)層と第x層は、第xの官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第xのカップリング反応基と、前記第(x+1)の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第(x+1)のカップリング反応基とを有する第xのカップリング剤と、前記第xの官能基と前記第xのカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合、および前記第(x+1)の官能基と前記第(x+1)のカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに固定されている。
【0011】
第2の発明に係る反射防止膜において、前記第1〜第(n+1)の膜化合物、ならびに前記第1〜第nのカップリング剤がそれぞれ同一の化合物であることが好ましい。
【0012】
第2の発明に係る反射防止膜において、前記第1〜第(n+1)の膜化合物が形成する被膜が全て単分子膜であることが好ましい。
【0013】
第1および第2の発明に係る反射防止膜において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CHCH(OH)結合であってもよい。
【0014】
第1および第2の発明に係る反射防止膜において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であってもよい。
【0015】
第3の発明に係る反射防止膜の製造方法は、分子の両端にそれぞれ第1の官能基および第1の結合基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された基材の表面に、分子の両端にそれぞれ第2の官能基および第2の結合基を有する第2の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明微粒子が配列した透明微粒子層が1層結合固定された反射防止膜の製造方法であって、前記第1の膜化合物を含む溶液を基材の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記基材の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記基材の表面が被覆された被覆基材を調製する工程Aと、
前記第2の膜化合物を含む溶液を前記透明微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記第1の透明微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記透明微粒子の表面が被覆された第1の被覆透明微粒子を調製する工程Bと、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を、前記被覆された基材および前記第1の被覆透明微粒子の表面にそれぞれ接触させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応、および前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の被覆透明微粒子からなる1層の透明微粒子層を、前記被覆基材の表面に結合固定し、次いで、前記被覆基材の表面に固定されなかった前記第1の被覆透明微粒子を除去する工程Cとを有する。
【0016】
第3の発明に係る反射防止膜の製造方法において、前記工程Cでは、前記第1のカップリング剤を、まず、前記被覆基材の表面に接触させ、該第1のカップリング剤の被膜を有する反応性基材を調製し、次いで、該反応性基材の表面に前記第1の被覆透明微粒子を接触させ、該反応性基材の表面に前記第1の被覆透明微粒子を固定してもよい。
【0017】
第3の発明に係る反射防止膜の製造方法において、前記工程Cでは、まず、前記第1の被覆透明微粒子の表面に前記第1のカップリング剤を接触させ、前記第1のカップリング剤の被膜を有する第1の反応性透明微粒子を調製し、次いで、該第1の反応性透明微粒子の表面を前記被覆基材と接触させ、該被覆基材の表面に前記第1の反応性透明微粒子を固定してもよい。
【0018】
第3の発明に係る反射防止膜の製造方法において、前記第1の膜化合物と前記第2の膜化合物とが同一の化合物であることが好ましい。
【0019】
第3の発明に係る反射防止膜の製造方法において、前記工程Aおよび前記工程Bにおいて、未反応の前記第1および第2の膜化合物は洗浄除去され、前記被覆基材および前記第1の被覆透明微粒子の表面で前記第1および第2の膜化合物がそれぞれ形成する被膜は、単分子膜であることが好ましい。
【0020】
第3の発明に係る反射防止膜の製造方法において、前記基材上には、前記透明微粒子層が前記基材側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層した反射防止膜の製造方法であって、分子の両端にそれぞれ第3の官能基および第3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液を前記透明微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記透明微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第3の膜化合物の形成する被膜で表面が被覆された第2の被覆透明微粒子を被覆し、次いで、前記第2の被覆透明微粒子の表面に、前記第2のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を接触させ、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第2のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する第2の反応性透明微粒子を調製する工程Dと、前記第1の被覆透明微粒子の透明微粒子層の表面に前記第2の反応性透明微粒子を接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第2の反応性透明微粒子を前記第1の被覆透明微粒子の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第2の反応性透明微粒子を除去する工程Eと、前記第2の反応透明微粒子の透明微粒子層の表面に前記第1の被覆透明微粒子を接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の被覆透明微粒子を前記第2の反応性透明微粒子の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第1の被覆透明微粒子を除去する工程Fと、前記工程EおよびFをこの順序で繰返し行い、n層の前記透明微粒子層からなる反射防止膜を形成する工程Gとをさらに有していてもよい。
なお、工程Gは、nの値に応じて、工程Eおよび工程Fのいずれで終えてもよい。
【0021】
第3の発明に係る反射防止膜の製造方法において、前記基材上には、前記透明微粒子層が前記基材側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層した反射防止膜の製造方法であって、前記第3の膜化合物を含む溶液を前記透明微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記透明微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第3の膜化合物の形成する被膜で前記透明微粒子の表面が被覆された第2の被膜透明微粒子を調製する工程Dと、前記第1の反応性透明微粒子の透明微粒子層の表面に前記第2の被覆透明微粒子を接触させ、前記第3の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第2の被覆透明微粒子を前記第1の反応性透明微粒子の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第2の被覆透明微粒子を除去する工程Eと、
前記第2の被覆透明微粒子の透明微粒子層の表面に前記第1の反応性透明微粒子を接触させ、前記第3の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の反応性透明微粒子を前記第2の被覆透明微粒子の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第1の反応性透明微粒子を除去する工程Fと、前記工程EおよびFをこの順序で繰返し行い、n層の前記透明微粒子層からなる反射防止膜を形成する工程Gとをさらに有していてもよい。
なお、工程Gは、nの値に応じて、工程Eおよび工程Fのいずれで終えてもよい。
【0022】
第3の発明に係る反射防止膜の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物が同一の化合物であることが好ましい。
【0023】
第3の発明に係る反射防止膜の製造方法において、前記工程Dにおいて、未反応の前記第3の膜化合物は洗浄除去され、前記第2の被覆透明微粒子の表面上で前記第3の膜化合物が形成する被膜は、単分子膜であることが好ましい。
【0024】
第3の発明に係る反射防止膜の製造方法において、前記第1および第2の膜化合物、あるいは前記第1〜第3の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1および第2の膜化合物、あるいは前記第1〜第3の膜化合物を含む溶液は、さらに、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物を含んでいてもよい。
【0025】
第3の発明に係る反射防止膜の製造方法において、前記第1および第2の膜化合物、あるいは前記第1〜第3の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1および第2の膜化合物、あるいは前記第1〜第3の膜化合物を含む溶液は、さらに、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物を含んでいてもよい。
【0026】
第3の発明に係る反射防止膜の製造方法において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CHCH(OH)結合であってもよい。
【0027】
第3の発明に係る反射防止膜の製造方法において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であってもよい。
【発明の効果】
【0028】
請求項1〜8記載の反射防止膜および請求項9〜23記載の反射防止膜の製造方法においては、車両用のフロントガラス、建築用ガラス、ディスプレイ用パネル、カメラおよび眼鏡用レンズ、ならびに太陽電池パネル等の種々の製品に応用可能な反射防止膜、および製造に特殊な真空チャンバーや高温を必要とせず、大面積の基材に対しても適用可能であり、低コストで製造できる反射防止膜の製造方法を提供できる。
また、基材の表面には、透明微粒子が配列した透明微粒子層が1層結合固定されているので、反射防止膜の耐剥離強度を高めることができる。
さらに、カップリング反応により形成された結合を介して反射防止膜を1層ずつ積層固定するので、反射防止膜の膜厚を容易に制御できる。
【0029】
請求項2記載の反射防止膜においては、第1の膜化合物と第2の膜化合物とが同一の化合物であるので、製造コストを低減できる。
【0030】
請求項3記載の反射防止膜においては、第1および第2の膜化合物の形成する被膜の一方または双方が単分子膜であるので、基材および微粒子のいずれか一方または双方の本来の物性や機能を保持することができる。
【0031】
請求項4記載の反射防止膜においては、基材側から空気との界面側に向かって順次積層した透明微粒子層について、積層された透明微粒子層の数、各層の透明微粒子層を構成する微粒子の材質、粒径等を任意に定めることができるため、反射防止膜の膜厚、屈折率、空隙率等を容易に制御できる。また、各層の透明微粒子層を構成する微粒子の材質に応じて、最適な膜化合物およびカップリング剤を選択できる。
【0032】
請求項5記載の反射防止膜においては、第1〜第(n+1)の膜化合物ならびに第1〜第nのカップリング剤がそれぞれ同一の化合物であるので、製造コストをさらに低減できる。
請求項6記載の反射防止膜においては、第1〜第(n+1)の膜化合物の形成する被膜が全て単分子膜であるので、基材および微粒子の本来の物性や機能を損なうことがない。
【0033】
請求項7記載の反射防止膜においては、カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CHCH(OH)結合であるので、加熱により強固な結合を形成できる。
【0034】
請求項8記載の反射防止膜においては、カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であるので、加熱により強固な結合を形成できる。
【0035】
請求項10記載の反射防止膜の製造方法においては、工程Cにおいて、まず、被覆基材の表面に第1のカップリング剤を接触させ、第1のカップリング剤の被膜を有する反応性基材を調製するので、第1の被覆透明微粒子に対して前処理を行うことなく、第2の官能基と第2のカップリング反応基とのカップリング反応により、第1の被覆透明微粒子を表面に結合固定することができる。
【0036】
請求項11記載の反射防止膜の製造方法においては、工程Cにおいて、まず、第1の被覆透明微粒子の表面に第1のカップリング剤を接触させ、第1のカップリング剤の被膜を有する第1の反応性透明微粒子を調製するので、被覆基材に対して前処理を行うことなく、第1の官能基と第1のカップリング反応基とのカップリング反応により、被覆基材の表面に第1の反応性透明微粒子を表面に結合固定することができる。
【0037】
請求項12記載の反射防止膜の製造方法においては、第1および第2の膜化合物とが同一の化合物であるので、製造コストを低減できる。
【0038】
請求項13記載の反射防止膜の製造方法においては、第1および第2の膜化合物がそれぞれ形成する被膜が単分子膜であるので、基材および微粒子の本来の物性や機能を保持することができる。
【0039】
請求項14記載の反射防止膜の製造方法においては、3種類の膜化合物、および2種類のカップリング剤を用いて任意の膜厚の反射防止膜を製造できる。
【0040】
請求項15記載の反射防止膜の製造方法においては、3種類の膜化合物、および1種類のカップリング剤を用いて任意の膜厚の反射防止膜を製造できるので、製造コストを低減できる。
【0041】
請求項16記載の反射防止膜の製造方法においては、第1〜第3の膜化合物ならびに第1および第2のカップリング剤にそれぞれ同一の化合物を使用するので、製造コストを大幅に低減できる。
請求項17記載の反射防止膜の製造方法においては、第1〜第3の膜化合物の形成する被膜が全て単分子膜であるので、基材および微粒子の本来の物性や機能を損なうことがない。
【0042】
請求項18および20記載の反射防止膜の製造方法においては、アルコキシシリル基を有する膜化合物を含む溶液が、アルコキシシリル基とヒドロキシル基との縮合反応を触媒する、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物を含むので、反応性透明微粒子の調製時間を短縮し、反射防止膜の製造をより高効率に行うことができる。
【0043】
請求項19および21記載の反射防止膜の製造方法においては、アルコキシシリル基を有する膜化合物を含む溶液が、アルコキシシリル基とヒドロキシル基との縮合反応を触媒する、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物からからなる群より選択される1または2以上の化合物をさらに含むので、反応性透明微粒子の調製時間を短縮し、反射防止膜の製造をより高効率に行うことができる。
特に、これらの化合物と上述のカルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物の両者をともに含む場合には、これらの化合物は助触媒として作用するため、調製時間をさらに短縮できる。
【0044】
請求項22記載の反射防止膜の製造方法においては、カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CHCH(OH)結合であるので、加熱により強固な結合を形成できる。
【0045】
請求項23記載の反射防止膜の製造方法においては、カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であるので、加熱により強固な結合を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1(a)は本発明の第1の実施の形態に係る反射防止膜の断面構造を模式的に表した説明図、図1(b)は本発明の第2の実施の形態に係る反射防止膜の断面構造を模式的に表した説明図、図2は本発明の第1、第2の実施の形態に係る反射防止膜の製造方法において、エポキシ化光学ガラス基材を製造する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、図2(a)は反応前の光学ガラス基材の断面構造、図2(b)はエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜が形成された光学ガラス基材の断面構造をそれぞれ表し、図3は同反射防止膜の製造方法において、エポキシ化シリカ微粒子を製造する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、図3(a)は反応前のシリカ微粒子の断面構造、図3(b)はエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜が形成されたシリカ微粒子の断面構造をそれぞれ表し、図4はエポキシ化光学ガラス基材の表面に、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜を有する反応性光学ガラス基材の断面構造を模式的に表した説明図、図5はエポキシ化シリカ微粒子の表面に、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜を有する反応性シリカ微粒子の断面構造を模式的に表した説明図である。
【0047】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る反射防止膜1について説明する。
図1(a)に示すように、反射防止膜1は、反応性光学ガラス基材(反応性基材の一例)32の表面に、エポキシ化シリカ微粒子(第1の被覆透明微粒子の一例)24が配列した透明微粒子層が1層結合固定されている。透明微粒子層は、エポキシ化光学ガラス基材14側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数で、本実施の形態においてはn=2)まで順次積層している。
【0048】
反応性光学ガラス基材32の表面は、エポキシ基を有する膜化合物(第1の膜化合物の一例)の単分子膜13で被覆され、さらにその表面は、2−メチルイミダゾール(第1のカップリング剤の一例)のアミノ基(第1のカップリング反応基の一例)とエポキシ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜で被覆されている。
2層目の透明微粒子層を形成しているエポキシ化シリカ微粒子24の表面は、2−メチルイミダゾール(第3のカップリング剤の一例)のアミノ基(第3のカップリング反応基の一例)とエポキシ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜でさらに被覆されている。
反応性光学ガラス基材32と第1層目の透明微粒子層を形成するエポキシ化シリカ微粒子24、および奇数層目の透明微粒子層を形成するエポキシ化シリカ微粒子24と第2層目の透明微粒子層を形成する反応性シリカ微粒子42との間は、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基またはイミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに結合固定されている。
【0049】
反射防止膜1の製造方法は、図2(a)、(b)、図3(a)、(b)、図4、および図5に示すように、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物(第1の膜化合物の一例)を含む溶液を光学ガラス基材(基材の一例)11の表面に接触させ、アルコキシシリル基(第1の結合基の一例)と光学ガラス基材11の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化光学ガラス基材14(被覆基材の一例)を調製する工程A(図2参照)と、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物(第2の膜化合物の一例)をシリカ微粒子(透明微粒子の一例)21の表面に接触させ、アルコキシシリル基(第2の結合基の一例)とシリカ微粒子21の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化シリカ微粒子24を調製する工程B(図3参照)と、まず、エポキシ化光学ガラス基材14の表面に、2−メチルイミダゾールを接触させ、エポキシ基とアミノ基とをカップリング反応させて反応性光学ガラス基材32を調製し、次いで、反応性光学ガラス基材32の表面にエポキシ化シリカ微粒子24を接触させ、エポキシ基とイミノ基(第2のカップリング反応基の一例)とのカップリング反応により結合を形成させ、エポキシ化光学ガラス基材14の表面にエポキシ化シリカ微粒子24を固定し、次いで、固定されなかったエポキシ化シリカ微粒子24を除去する工程C(図4参照)と、エポキシ化アルコキシシラン化合物(第3の膜化合物の一例)を含む溶液をシリカ微粒子21の表面に接触させ、アルコキシシリル基(第3の結合基の一例)とシリカ微粒子21の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化シリカ微粒子(第2の被覆透明微粒子の一例)24を調製し、次いで、エポキシ化シリカ微粒子24の表面に、2−メチルイミダゾール(第2のカップリング剤の一例)を接触させ、エポキシ基(第3の官能基の一例)とアミノ基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの形成する被膜を表面に有する反応性シリカ微粒子(第2の反応性透明微粒子の一例)42を調製する工程D(図5参照)と、エポキシ化シリカ微粒子24の透明微粒子層を有する反射防止膜1の表面に反応性シリカ微粒子42を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、反応性シリカ微粒子42をエポキシ化シリカ微粒子24の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった反応性シリカ微粒子42を除去する工程Eと、反応性シリカ微粒子42の透明微粒子層を有する反射防止膜1の表面にエポキシ化シリカ微粒子24を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、エポキシ化シリカ微粒子24を反応性シリカ微粒子42の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかったエポキシ化シリカ微粒子24を除去する工程Fとを有する。
【0050】
以下、工程A〜Fについてより詳細に説明する。
工程Aでは、エポキシ基を有する膜化合物を光学ガラス基材11に接触させ、エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜13で表面が覆われたエポキシ化光学ガラス基材14を製造する(図2)。
なお、光学ガラス基材11の形状および大きさには特に制限はない。光学ガラス基材の具体例としては、カメラ、眼鏡、望遠鏡、顕微鏡、液晶プロジェクタ等のレンズ、CRT、LCD、および有機EL等の各種表示装置用ガラス板、反射望遠鏡等の反射鏡、コピー機、フラットヘッドスキャナ等の原稿台ガラス等が挙げられる。
【0051】
エポキシ基を有する膜化合物としては、光学ガラス基材11の表面に吸着または結合し、自己組織化により単分子膜を形成することのできる任意の化合物を用いることができるが、直鎖状アルキレン基の一方の末端にエポキシ基(オキシラン環)を含む官能基を、他方の末端にアルコキシシリル基(第1の結合基の一例)をそれぞれ有し、下記の一般式(化1)で表されるアルコキシシラン化合物が好ましい。
【0052】
【化1】

【0053】
上式において、官能基Eはエポキシ基を有する官能基を、mは3〜20の整数を、Rは炭素数1〜4のアルキル基をそれぞれ表す。
用いることのできるエポキシ基を有する膜化合物の具体例としては、下記(1)〜(12)に示したアルコキシシラン化合物が挙げられる。
【0054】
(1) (CHOCH)CHO(CHSi(OCH
(2) (CHOCH)CHO(CHSi(OCH
(3) (CHOCH)CHO(CH11Si(OCH
(4) (CHCHOCH(CH)CH(CHSi(OCH
(5) (CHCHOCH(CH)CH(CHSi(OCH
(6) (CHCHOCH(CH)CH(CHSi(OCH
(7) (CHOCH)CHO(CHSi(OC
(8) (CHOCH)CHO(CHSi(OC
(9) (CHOCH)CHO(CH11Si(OC
(10) (CHCHOCH(CH)CH(CHSi(OC
(11) (CHCHOCH(CH)CH(CHSi(OC
(12) (CHCHOCH(CH)CH(CHSi(OC
【0055】
ここで、(CHOCH)CHO−基は、化2で表される官能基(グリシジルオキシ基)を表し、(CHCHOCH(CH)CH−基は、化3で表される官能基(3,4−エポキシシクロヘキシル基)を表す。
【0056】
【化2】

【0057】
【化3】

【0058】
エポキシ化光学ガラス基材14の製造は、エポキシ基およびアルコキシシリル基(第2の結合基の一例)を含むアルコキシシラン化合物と、アルコキシシリル基と光学ガラス基材11の表面のヒドロキシル基12との縮合反応を促進するための縮合触媒と、非水系の有機溶媒とを混合した反応液を光学ガラス基材11の表面に塗布し、室温の空気中で反応させることにより行われる。塗布は、ドクターブレード法、ディップコート法、スピンコート法、スプレー法、スクリーン印刷法等の任意の方法により行うことができる。
【0059】
縮合触媒としては、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステルおよびチタン酸エステルキレート等の金属塩が利用可能である。
縮合触媒の添加量は、好ましくはアルコキシシラン化合物の0.2〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜1質量%である。
【0060】
カルボン酸金属塩の具体例としては、酢酸第1スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第1スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄が挙げられる。
【0061】
カルボン酸エステル金属塩の具体例としては、ジオクチルスズビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩が挙げられる。
カルボン酸金属塩ポリマーの具体例としては、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマーが挙げられる。
カルボン酸金属塩キレートの具体例としては、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレートが挙げられる。
【0062】
チタン酸エステルの具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネートが挙げられる。
チタン酸エステルキレート類の具体例としては、ビス(アセチルアセトニル)ジ−プロピルチタネートが挙げられる。
【0063】
アルコキシシリル基と光学ガラス基材11の表面のヒドロキシル基12とが縮合反応を起こし、下記の化4で示されるような構造を有するエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜13を生成する。なお、酸素原子から延びた3本の単結合は光学ガラス基材11の表面または隣接するシラン化合物のケイ素(Si)原子と結合しており、そのうち少なくとも1本は光学ガラス基材11の表面のケイ素原子と結合している。
【0064】
【化4】

【0065】
アルコキシシリル基は、水分の存在下で分解するので、反応は相対湿度45%以下の空気中で行うことが好ましい。なお、縮合反応は、光学ガラス基材11の表面に付着した油脂分や水分により阻害されるので、光学ガラス基材11をよく洗浄して乾燥することにより、これらの不純物を予め除去しておくことが好ましい。
縮合触媒として上述の金属塩のいずれかを用いた場合、縮合反応の完了までに要する時間は2時間程度である。
【0066】
上述の金属塩の代わりに、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物を縮合触媒として用いた場合、反応時間を1/2〜2/3程度まで短縮できる。
【0067】
あるいは、これらの化合物を助触媒として、上述の金属塩と混合(質量比1:9〜9:1の範囲で使用可能だが、1:1前後が好ましい)して用いると、反応時間をさらに短縮できる。
【0068】
例えば、縮合触媒として、ジブチルスズオキサイドの代わりにケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3を用い、その他の条件は同一にしてエポキシ化シリカ微粒子24の製造を行うと、エポキシ化シリカ微粒子24の品質を損なうことなく反応時間を1時間程度にまで短縮できる。
【0069】
さらに、縮合触媒として、ジャパンエポキシレジン社のH3とジブチルスズビスアセチルアセトネートとの混合物(混合比は1:1)を用い、その他の条件は同一にしてエポキシ化シリカ微粒子24の製造を行うと、反応時間を20分程度に短縮できる。
【0070】
なお、ここで用いることができるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン等が挙げられる。
【0071】
また、用いることができる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、マロン酸等が挙げられる。
【0072】
反応液の製造には、有機塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、フッ化炭素系溶媒、シリコーン系溶媒、およびこれらの混合溶媒を用いることができる。アルコキシシラン化合物の加水分解を防止するために、乾燥剤または蒸留により使用する溶媒から水分を除去しておくことが好ましい。また、溶媒の沸点は50〜250℃であることが好ましい。
【0073】
具体的に使用可能な溶媒としては、非水系の石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
さらに、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいはそれらの混合物を用いることもできる。
【0074】
また、用いることができるフッ化炭素系溶媒としては、フロン系溶媒、フロリナート(米国3M社製)、アフルード(旭硝子株式会社製)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、ジクロロメタン、クロロホルム等の有機塩素系溶媒を添加してもよい。
【0075】
反応液におけるアルコキシシラン化合物の好ましい濃度は、0.5〜3質量%である。
【0076】
反応後、溶媒で洗浄し、未反応物として表面に残った余分なアルコキシシラン化合物および縮合触媒を除去すると、エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜13で表面が覆われたエポキシ化光学ガラス基材14が得られる。このようにして製造されるエポキシ化光学ガラス基材14の断面構造の模式図を図2(b)に示す。
【0077】
洗浄溶媒としては、アルコキシシラン化合物を溶解できる任意の溶媒を用いることができるが、安価であり、溶解性が高く、風乾により容易に除去することのできるジクロロメタン、クロロホルム、N−メチルピロリドン等が好ましい。
【0078】
反応後、生成したエポキシ化光学ガラス基材14を溶媒で洗浄せずに空気中に放置すると、表面に残ったアルコキシシラン化合物の一部が空気中の水分により加水分解を受け、生成したシラノール基がアルコキシシリル基と縮合反応を起こす。その結果、エポキシ化光学ガラス基材14の表面にポリシロキサンよりなる極薄のポリマー膜が形成される。このポリマー膜は、エポキシ化光学ガラス基材14の表面に必ずしも共有結合により固定されていないが、エポキシ基を含んでいるため、エポキシ化光学ガラス基材14に対してエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜13と同様の反応性を有している。そのため、洗浄を行わなくても、工程C以降の製造工程に特に支障をきたすことはない。
【0079】
なお、本実施の形態においては、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物を用いたが、直鎖状アルキレン基の一方の末端にアミノ基を、他方の末端にアルコキシシリル基をそれぞれ有し、下記の一般式(化5)で表されるアルコキシシラン化合物を用いてもよい。なお、アミノ基と反応するカップリング剤としては、両端にグリシジル基を有する化合物が使用できる。
【0080】
【化5】

【0081】
上式において、mは3〜20の整数を、Rは炭素数1〜4のアルキル基をそれぞれ表す。
用いることのできるアミノ基を有する膜化合物の具体例としては、下記(21)〜(28)に示したアルコキシシラン化合物が挙げられる。
【0082】
(21) HN(CHSi(OCH
(22) HN(CHSi(OCH
(23) HN(CHSi(OCH
(24) HN(CHSi(OCH
(25) HN(CHSi(OC
(26) HN(CHSi(OC
(27) HN(CHSi(OC
(28) HN(CHSi(OC
【0083】
ただし、この場合に反応液において用いることのできる縮合触媒のうち、スズ(Sn)塩を含む化合物は、アミノ基と反応して沈殿を生成するため、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物に対しては縮合触媒として用いることができない。
したがって、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物を用いる場合には、カルボン酸スズ塩、カルボン酸エステルスズ塩、カルボン酸スズ塩ポリマー、カルボン酸スズ塩キレートを除き、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の場合と同様の化合物を単独でまたは2種類以上を混合して縮合触媒として用いることができる。
用いることのできる助触媒の種類およびそれらの組み合わせ、溶媒の種類、アルコキシシラン化合物、縮合触媒、および助触媒の濃度、反応条件ならびに反応時間についてはエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0084】
本実施の形態においては、各種光学機器に用いられる光学ガラス基材を基材として用いたが、自動車、鉄道車両、および船舶等のフロントスクリーン用ガラス等を基材として用いてもよい。
また、その表面にヒドロキシル基、アミノ基等の活性水素基を有する透明な合成樹脂等も基材として用いることができる。
(以上工程A)
【0085】
工程Bでは、工程Aにおいて用いたものと同様のエポキシ基を有する膜化合物をシリカ微粒子21と接触させ、エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜23で表面が覆われたエポキシ化シリカ微粒子24を製造する(図3)。
【0086】
用いることのできるシリカ微粒子21の粒径は、製造される反射防止膜の膜厚、屈折率、および空隙率等に応じて適宜決定されるが、可視光の散乱を防止するために可視光波長(380〜700nm)より小さくなければならない。
具体的には、微粒子の直径は10〜400nmであることが好ましく、10〜300nmであることがより好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましい。
【0087】
エポキシ化シリカ微粒子24の製造は、エポキシ基を含むアルコキシシラン化合物と、アルコキシシリル基とシリカ微粒子21の表面のヒドロキシル基22との縮合反応を促進するための縮合触媒と、非水系の有機溶媒とを混合した反応液中にシリカ微粒子21を分散させ、室温の空気中で反応させることにより行われる。
【0088】
工程Bにおいて用いることのできるエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の種類、縮合触媒、助触媒の種類およびそれらの組み合わせ、溶媒の種類、アルコキシシラン化合物、縮合触媒、および助触媒の濃度、反応条件ならびに反応時間については工程Aと同様であるので、説明を省略する。
【0089】
反応後、溶媒で洗浄し、未反応物として表面に残った余分なアルコキシシラン化合物および縮合触媒を除去すると、エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜23で表面が覆われたエポキシ化シリカ微粒子24が得られる。このようにして製造されるエポキシ化シリカ微粒子24の断面構造の模式図を図3(b)に示す。
【0090】
洗浄溶媒としては、工程Aと同様の洗浄溶媒を用いることができる。
反応後、生成したエポキシ化シリカ微粒子24を溶媒で洗浄せずに空気中に放置すると、表面に残ったアルコキシシラン化合物の一部が空気中の水分により加水分解を受け、生成したシラノール基がアルコキシシリル基と縮合反応を起こす。その結果、エポキシ化シリカ微粒子24の表面にポリシロキサンよりなる極薄のポリマー膜が形成される。このポリマー膜は、エポキシ化シリカ微粒子24の表面に全てが共有結合により固定されているわけではないが、エポキシ基を含んでいるため、エポキシ化シリカ微粒子24に対してエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜23と同様の反応性を有している。そのため、洗浄を行わなくても、工程C以降の製造工程に特に支障をきたすことはない。
【0091】
なお、本実施の形態においてはエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物を用いたが、工程Aと同様、直鎖状アルキレン基の一方の末端にアミノ基を、他方の末端にアルコキシシリル基をそれぞれ有するアルコキシシラン化合物を用いてもよい。
また、本実施の形態においては工程Aと同一のアルコキシシラン化合物を用いているが、異なるアルコキシシラン化合物を用いてもよい。ただし、工程Cにおいて用いるカップリング剤のカップリング反応基と反応して結合を形成する官能基を有するものでなければならない。
【0092】
また、本実施の形態においては、透明微粒子としてシリカ微粒子を用いたが、透明であり、かつ膜化合物と結合の形成が可能な官能基を表面に有する任意の微粒子を用いることができる。用いることができる透明微粒子としては、アルミナ、ジルコニア等の無機微粒子、有機微粒子、有機−無機ハイブリッド微粒子等が挙げられる。
【0093】
シリカ微粒子以外の微粒子であっても、その表面に水酸基、アミノ基等の活性水素基を有する場合には、膜化合物としてアルコキシシラン化合物を用いることができる。この様な透明微粒子の具体例としては、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。
【0094】
本実施の形態においては、第1および第2の膜化合物として、ともにエポキシ基を有する膜化合物を用いているが、両者は同一の化合物であってもよく、また異なる化合物であってもよい。さらに、第1および第2の膜化合物が異なる官能基(例えば、一方がエポキシ基で他方がイソシアネート基)を有していてもよい。
(以上工程B)
【0095】
工程Cでは、まず、エポキシ化光学ガラス基材14の表面に、2−メチルイミダゾールを接触させ、エポキシ基とアミノ基とをカップリング反応させて反応性光学ガラス基材32を調製し、次いで、反応性光学ガラス基材32の表面にエポキシ化シリカ微粒子24を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、エポキシ化光学ガラス基材14の表面にエポキシ化シリカ微粒子24を固定し、次いで、固定されなかったエポキシ化シリカ微粒子24を除去する
【0096】
2−メチルイミダゾールはエポキシ基と反応するアミノ基およびイミノ基をそれぞれ1−位および3−位に有しており、下記の化6に示すような架橋反応により結合を形成する。
【0097】
【化6】

【0098】
反応性光学ガラス基材32の製造は、2−メチルイミダゾールと溶媒とを混合した反応液をエポキシ化光学ガラス基材14の表面に塗布し、加熱して反応させることにより行われる。塗布は、ドクターブレード法、ディップコート法、スピンコート法、スプレー法、スクリーン印刷法等の任意の方法により行うことができる。
膜前駆体の製造には、2−メチルイミダゾールが可溶な任意の溶媒を用いることができるが、価格、室温での揮発性、および毒性等を考慮すると、イソプロピルアルコール、エタノール等の低級アルコール系溶媒が好ましい。
2−メチルイミダゾールの添加量、塗布する溶液の濃度、反応温度および反応時間は、用いる基材および微粒子の種類、形成する反射防止膜の膜厚等に応じて適宜調節される。
【0099】
反応後、溶媒で洗浄し、未反応物として表面に残った余分な2−メチルイミダゾールを除去すると、反応性単分子膜31で表面が覆われた反応性光学ガラス基材32が得られる(図4)。
【0100】
このようにして得られた反応性光学ガラス基材32の表面にエポキシ化シリカ微粒子24の分散液を塗布後加熱し、エポキシ化シリカ微粒子24上のエポキシ基と、反応性単分子膜31上の2−メチルイミダゾールに由来するイミノ基とのカップリング反応によりエポキシ化シリカ微粒子24を反応性光学ガラス基材32の表面に結合固定し、単層の透明微粒子層を有する反射防止膜1を製造する。
加熱温度は、100〜200℃が好ましい。加熱温度が100℃未満だと、カップリング反応の進行に長時間を要し、200℃を上回ると、エポキシ基を有する単分子膜23や反応性単分子膜31の分解反応が起こり、均一な反射防止膜1が得られない。
【0101】
反応後、水やアルコール等の溶媒で洗浄することにより、過剰のエポキシ化シリカ微粒子24を除去する。
【0102】
本実施の形態においては、カップリング剤として2−メチルイミダゾールを用いたが、下記化7で表される任意のイミダゾール誘導体を用いることができる。
【0103】
【化7】

【0104】
化7で表されるイミダゾール誘導体の具体例としては、下記(31)〜(38)に示すものが挙げられる。
(31) 2−メチルイミダゾール(R=Me、R=R=H)
(32) 2−ウンデシルイミダゾール(R=C1123、R=R=H)
(33) 2−ペンタデシルイミダゾール(R=C1531、R=R=H)
(34) 2−メチル−4−エチルイミダゾール(R=Me、R=Et、R=H)
(35) 2−フェニルイミダゾール(R=Ph、R=R=H)
(36) 2−フェニル−4−エチルイミダゾール(R=Ph、R=Et、R=H)
(37) 2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(R=Ph、R=Me、R=CHOH)
(38) 2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール(R=Ph、R=R=CHOH)
なお、Me、Et、およびPhは、それぞれメチル基、エチル基、およびフェニル基を表す。
【0105】
また、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる無水フタル酸、無水マレイン酸等の酸無水物、ジシアンジアミド、ノボラック等のフェノール誘導体等の化合物をカップリング剤として用いてもよい。この場合、カップリング反応を促進するためにイミダゾール誘導体を触媒として用いてもよい。
【0106】
なお、本実施の形態においては官能基としてエポキシ基を有する膜化合物を用いた場合について説明しているが、官能基としてアミノ基またはイミノ基を有する膜化合物を用いる場合には、カップリング反応基として2もしくは3以上のエポキシ基または2もしくは3以上のイソシアネート基を有するカップリング剤を用いる。イソシアネート基を有する化合物の具体例としては、p−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート等が挙げられる。
これらのジイソシアネート化合物の添加量は、2−メチルイミダゾールの場合と同様、エポキシ化シリカ微粒子の5〜15重量%が好ましい。この場合、膜前駆体の製造に用いることのできる溶媒としては、キシレン等の芳香族有機溶媒が挙げられる。
また、アミノ基を有する膜化合物を用いる場合には、架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の2または3以上のエポキシ基を有する化合物を用いることもできる。
(以上工程C)
【0107】
工程Dでは、エポキシ化アルコキシシラン化合物を含む溶液をシリカ微粒子21の表面に接触させ、アルコキシシリル基とシリカ微粒子21の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化シリカ微粒子24を調製し、次いで、エポキシ化シリカ微粒子24の表面に、2−メチルイミダゾールを接触させ、エポキシ基と2−メチルイミダゾールに由来するアミノ基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの形成する被膜を表面に有する反応性シリカ微粒子42を調製する(図5)。
用いられる2−メチルイミダゾール溶液の濃度、反応条件等は、溶液を塗布するのではなく、エポキシ化シリカ微粒子24を溶液中に分散させて加熱することを除けば、工程Cにおける反応性光学ガラス基材32の調製の場合と同様であるので、詳しい説明を省略する。他に用いることのできるカップリング剤についても、工程Cにおける反応性光学ガラス基材32の調製の場合と同様である。
【0108】
本実施の形態においては、第3の膜化合物として、ともにエポキシ基を有する膜化合物を用いているが、第1および第2の膜化合物の一方または双方と同一の化合物であってもよく、また異なる化合物であってもよい。さらに、第1および第2の膜化合物と異なる官能基(例えば、アミノ基)を有していてもよい。
(以上工程D)
【0109】
工程Eでは、エポキシ化シリカ微粒子24の透明微粒子層を有する反射防止膜1の表面に反応性シリカ微粒子42を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、反応性シリカ微粒子42をエポキシ化シリカ微粒子24の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった反応性シリカ微粒子42を除去する。
また、工程Fでは、反応性シリカ微粒子42の透明微粒子層を有する反射防止膜1の表面にエポキシ化シリカ微粒子24を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、エポキシ化シリカ微粒子24を反応性シリカ微粒子42の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかったエポキシ化シリカ微粒子24を除去する。
工程E、Fにおける反応条件については、工程Dと同様であるので、詳しい説明を省略する。
(以上工程EおよびF)
【0110】
本実施の形態においては、透明微粒子層を2層有する反射防止膜の調製について説明したが、工程EおよびFをこの順序で繰り返し行って、n(nは2以上の整数)層の透明微粒子層からなる反射防止膜を形成する工程Gをさらに行ってもよい。なお、工程Gは、nの値に応じて、工程Eおよび工程Fのいずれで終えてもよい。
【0111】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る反射防止膜2について説明する。
図1(b)に示すように、反射防止膜2は、エポキシ化光学ガラス基材14の表面に、反応性シリカ微粒子(第1の反応性透明微粒子の一例)42が配列した透明微粒子層が1層結合固定されている。透明微粒子層は、エポキシ化光学ガラス基材14側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数で、本実施の形態においてはn=2)まで順次積層している。
【0112】
エポキシ化光学ガラス基材14の表面は、エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜13で被覆されている。
1層目の透明微粒子層を形成している反応性シリカ微粒子42の表面は、2−メチルイミダゾールのアミノ基とエポキシ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜でさらに被覆されている。
エポキシ化光学ガラス基材14と第1層目の透明微粒子層を形成する反応性シリカ微粒子42、および奇数層目の透明微粒子層を形成する反応性シリカ微粒子42と偶数層目の透明微粒子層を形成するエポキシ化シリカ微粒子24との間は、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基またはイミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに結合固定されている。
【0113】
反射防止膜2の製造方法は、図2(a)、(b)、図3(a)、(b)、および図5に示すように、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物を含む溶液を光学ガラス基材11の表面に接触させ、アルコキシシリル基と光学ガラス基材11の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化光学ガラス基材14を調製する工程Aと、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物をシリカ微粒子21の表面に接触させ、アルコキシシリル基とシリカ微粒子21の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化シリカ微粒子24を調製する工程Bと、まず、エポキシ化シリカ微粒子24の表面に、2−メチルイミダゾールを接触させ、エポキシ基とアミノ基とをカップリング反応させて反応性光学ガラス基材32を調製し、次いで、反応性光学ガラス基材32の表面に反応性シリカ微粒子42を接触させ、エポキシ基とイミノ基(第2のカップリング反応基の一例)とのカップリング反応により結合を形成させ、エポキシ化光学ガラス基材14の表面に反応性シリカ微粒子42を固定し、次いで、固定されなかった反応性シリカ微粒子42を除去する工程Cと、エポキシ化アルコキシシラン化合物を含む溶液をシリカ微粒子21の表面に接触させ、アルコキシシリル基とシリカ微粒子21の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化シリカ微粒子24を調製する工程Dと、反応性シリカ微粒子42の透明微粒子層を有する反射防止膜1の表面にエポキシ化シリカ微粒子24を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、反応性エポキシ化シリカ微粒子24を反応性シリカ微粒子42の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかったエポキシ化シリカ微粒子24を除去する工程Eと、エポキシ化シリカ微粒子24の透明微粒子層を有する反射防止膜1の表面に反応性シリカ微粒子42を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、反応性シリカ微粒子42をエポキシ化シリカ微粒子24の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった反応性シリカ微粒子42を除去する工程Fとを有する。
【0114】
工程A〜Fにおける、エポキシ化光学ガラス基材14、エポキシ化シリカ微粒子24、反応性光学ガラス基材32、および反応性シリカ微粒子42の調製、ならびにこれらの反応については、第1の実施の形態にかかる反射防止膜1の場合と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【実施例】
【0115】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
【0116】
実施例1:エポキシ化光学ガラス基材の調製
光学ガラス基材を用意し、洗浄後よく乾燥した。
3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(化8、信越化学工業株式会社製)0.99重量部、およびジブチルスズビスアセチルアセトナート(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン溶媒に溶解し、反応液を調製した。
【0117】
【化8】

【0118】
このようにして得られた反応液を光学ガラス基材に塗布し、空気中(相対湿度45%)で2時間程度反応させた。
その後、クロロホルムで洗浄し、余分なアルコキシシラン化合物およびジブチルスズビスアセチルアセトナートを除去した。
【0119】
実施例2;エポキシ化シリカ微粒子の調製
粒径が100nm程度の無水のシリカ微粒子を用意し、よく乾燥した。
3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(化8)0.99重量部、およびジブチルスズビスアセチルアセトナート(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン溶媒に溶解し、反応液を調製した。
【0120】
このようにして得られた反応液中にシリカ微粒子を混合し、撹拌しながら空気中(相対湿度45%)で2時間程度反応させた。
その後、トリクレンで洗浄し、余分なアルコキシシラン化合物およびジブチルスズビスアセチルアセトナートを除去した。
【0121】
実施例3:反応性光学ガラス基材の調製
実施例1で調製したエポキシ化光学ガラス基材の表面に、2−メチルイミダゾールのエタノール溶液を塗布し、100℃で加熱すると、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とが反応して反応性光学ガラス基材が得られた。エタノールで洗浄することにより余分な2−メチルイミダゾールを除去した。
【0122】
実施例4:反応性シリカ微粒子の調製
実施例2で調製したエポキシ化シリカ微粒子を、2−メチルイミダゾールのエタノール溶液中に分散して、100℃で加熱すると、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とが反応して反応性光学ガラス基材が得られた。エタノールで洗浄することにより余分な2−メチルイミダゾールを除去した。
【0123】
実施例5:反射防止膜の調製(1)
実施例3で調製した反応性光学ガラス基材の表面に、実施例2で調製したエポキシ化シリカ微粒子のエタノール分散液を塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分なエポキシ化シリカ微粒子を除去して、1層の微粒子膜よりなる単層反射防止膜を形成した。このとき、単層反射防止膜において、透明微粒子層の厚さは約100nmで、かつ均一性が高かったため、干渉色は観測されなかった。
このようにして得られた、透明微粒子層が1層積層した単層反射防止膜の表面に、さらに実施例4で調製した反応性シリカ微粒子のエタノール分散液をさらに塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分な反応性シリカ微粒子を除去すると、2層の透明微粒子層が積層した累積反射防止膜が得られた。
【0124】
実施例6:反射防止膜の調製(2)
実施例1で調製したエポキシ化光学ガラス基材の表面に、実施例4で調製した反応性シリカ微粒子のエタノール分散液を塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分な反応性シリカ微粒子を除去した。
このようにして得られた、透明微粒子層が1層積層した単層反射防止膜の表面に、実施例2で調製したエポキシ化シリカ微粒子のエタノール分散液をさらに塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分なエポキシ化シリカ微粒子を除去すると、2層の透明微粒子層が積層した2層累積反射防止膜が得られた。
2層累積反射防止膜において、透明微粒子層の厚さは約200nmで、かつ均一性が高かったため、干渉色は観測されなかった。
【0125】
実施例7:反射防止膜の調製(3)
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(化9、信越化学工業株式会社製)0.99重量部、および酢酸(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン−ジメチルホルムアミド混合溶媒(1:1v/v)に溶解した反応液を用いて、実施例1および実施例2と同様の処理を行い、アミノ化光学ガラス基材および粒径が約100nmのアミノ化シリカ微粒子を調製した。
また、カップリング剤として、p−フェニレンジイソシアネートを用いて、実施例3および実施例4と同様の処理を行い、カップリング反応基としてイソシアネート基を有する反応性光学ガラス基材および反応性シリカ微粒子を調製した。
これらの原料を用いて、実施例5および実施例6と同様の処理を行うと、1層または2層の透明微粒子層が積層した累積反射防止膜が得られた。
2層反射防止膜において、透明微粒子層の厚さは約200nmで、かつ均一性が高かったため、干渉色は観測されなかった。
【0126】
【化9】

【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る反射防止膜の断面構造を模式的に表した説明図、(b)は本発明の第2の実施の形態に係る反射防止膜の断面構造を模式的に表した説明図である。
【図2】本発明の第1、第2の実施の形態に係る反射防止膜の製造方法において、エポキシ化光学ガラス基材を製造する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前の光学ガラス基材の断面構造、(b)はエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜が形成された光学ガラス基材の断面構造をそれぞれ表す。
【図3】同反射防止膜の製造方法において、エポキシ化シリカ微粒子を製造する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前のシリカ微粒子の断面構造、(b)はエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜が形成されたシリカ微粒子の断面構造をそれぞれ表す。
【図4】エポキシ化光学ガラス基材の表面に、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜を有する反応性光学ガラス基材の断面構造を模式的に表した説明図である。
【図5】エポキシ化シリカ微粒子の表面に、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜を有する反応性シリカ微粒子の断面構造を模式的に表した説明図である。
【符号の説明】
【0128】
1、2:反射防止膜、11:光学ガラス基材、12:ヒドロキシル基、13:エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜、14:エポキシ化光学ガラス基材、21:シリカ微粒子、22:ヒドロキシル基、23:エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜、24:エポキシ化シリカ微粒子、31:反応性単分子膜、32:反応性光学ガラス基材、41:反応性単分子膜、42:反応性シリカ微粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された基材の表面に、第2の官能基を有する第2の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明微粒子が配列した透明微粒子層が1層結合固定された反射防止膜であって、
前記被覆された透明微粒子は、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤と、前記第1および前記第2の官能基とのカップリング反応により形成された結合を介して前記被覆された基材上に固定されていることを特徴とする反射防止膜。
【請求項2】
請求項1記載の反射防止膜において、前記第1の膜化合物と前記第2の膜化合物とが同一の化合物であることを特徴とする反射防止膜。
【請求項3】
請求項1および2のいずれか1項に記載の反射防止膜において、前記第1および第2の膜化合物の形成する被膜の一方または双方が単分子膜であることを特徴とする反射防止膜。
【請求項4】
第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された基材の表面に、透明微粒子が配列した透明微粒子層が前記被覆された基材側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層しており、
第x番目(xは、1≦m≦nである整数)の前記透明微粒子層を形成している前記透明微粒子の表面は、第(x+1)の官能基を有する第mの膜化合物の形成する被膜で被覆されており、
前記透明微粒子層の第(x−1)層と第x層は、第xの官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第xのカップリング反応基と、前記第(x+1)の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第(x+1)のカップリング反応基とを有する第xのカップリング剤と、前記第xの官能基と前記第xのカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合、および前記第(x+1)の官能基と前記第(x+1)のカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに固定されていることを特徴とする反射防止膜。
【請求項5】
請求項4記載の反射防止膜において、前記第1〜第(n+1)の膜化合物、ならびに前記第1〜第nのカップリング剤がそれぞれ同一の化合物であることを特徴とする反射防止膜。
【請求項6】
請求項4および5のいずれか1項に記載の反射防止膜において、前記第1〜第(n+1)の膜化合物が形成する被膜が全て単分子膜であることを特徴とする反射防止膜。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射防止膜において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CHCH(OH)結合であることを特徴とする反射防止膜。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射防止膜において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であることを特徴とする反射防止膜。
【請求項9】
分子の両端にそれぞれ第1の官能基および第1の結合基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された基材の表面に、分子の両端にそれぞれ第2の官能基および第2の結合基を有する第2の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明微粒子が配列した透明微粒子層が1層結合固定された反射防止膜の製造方法であって、
前記第1の膜化合物を含む溶液を基材の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記基材の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記基材の表面が被覆された被覆基材を調製する工程Aと、
前記第2の膜化合物を含む溶液を前記透明微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記第1の透明微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記透明微粒子の表面が被覆された第1の被覆透明微粒子を調製する工程Bと、
前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を、前記被覆された基材および前記第1の被覆透明微粒子の表面にそれぞれ接触させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応、および前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の被覆透明微粒子からなる1層の透明微粒子層を、前記被覆基材の表面に結合固定し、次いで、前記被覆基材の表面に固定されなかった前記第1の被覆透明微粒子を除去する工程Cとを有することを特徴とする反射防止膜の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の反射防止膜の製造方法において、前記工程Cでは、前記第1のカップリング剤を、まず、前記被覆基材の表面に接触させ、該第1のカップリング剤の被膜を有する反応性基材を調製し、次いで、該反応性基材の表面に前記第1の被覆透明微粒子を接触させ、該反応性基材の表面に前記第1の被覆透明微粒子を固定することを特徴とする反射防止膜の製造方法。
【請求項11】
請求項9記載の反射防止膜の製造方法において、前記工程Cでは、まず、前記第1の被覆透明微粒子の表面に前記第1のカップリング剤を接触させ、前記第1のカップリング剤の被膜を有する第1の反応性透明微粒子を調製し、次いで、該第1の反応性透明微粒子の表面を前記被覆基材と接触させ、該被覆基材の表面に前記第1の反応性透明微粒子を固定することを特徴とする反射防止膜の製造方法。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記第1の膜化合物と前記第2の膜化合物とが同一の化合物であることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記工程Aおよび前記工程Bにおいて、未反応の前記第1および第2の膜化合物は洗浄除去され、前記被覆基材および前記第1の被覆透明微粒子の表面で前記第1および第2の膜化合物がそれぞれ形成する被膜は、単分子膜であることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
【請求項14】
請求項10記載の反射防止膜の製造方法において、前記基材上には、前記透明微粒子層が前記基材側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層した反射防止膜の製造方法であって、
分子の両端にそれぞれ第3の官能基および第3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液を前記透明微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記透明微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第3の膜化合物の形成する被膜で表面が被覆された第2の被覆透明微粒子を被覆し、次いで、前記第2の被覆透明微粒子の表面に、前記第2のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を接触させ、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第2のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する第2の反応性透明微粒子を調製する工程Dと、
前記第1の被覆透明微粒子の透明微粒子層の表面に前記第2の反応性透明微粒子を接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第2の反応性透明微粒子を前記第1の被覆透明微粒子の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第2の反応性透明微粒子を除去する工程Eと、
前記第2の反応透明微粒子の透明微粒子層の表面に前記第1の被覆透明微粒子を接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の被覆透明微粒子を前記第2の反応性透明微粒子の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第1の被覆透明微粒子を除去する工程Fと、
前記工程EおよびFをこの順序で繰返し行い、n層の前記透明微粒子層からなる反射防止膜を形成する工程Gとをさらに有することを特徴とする反射防止膜の製造方法。
【請求項15】
請求項11記載の反射防止膜の製造方法において、前記基材上には、前記透明微粒子層が前記基材側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層した反射防止膜の製造方法であって、
前記第3の膜化合物を含む溶液を前記透明微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記透明微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第3の膜化合物の形成する被膜で前記透明微粒子の表面が被覆された第2の被膜透明微粒子を調製する工程Dと、
前記第1の反応性透明微粒子の透明微粒子層の表面に前記第2の被覆透明微粒子を接触させ、前記第3の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第2の被覆透明微粒子を前記第1の反応性透明微粒子の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第2の被覆透明微粒子を除去する工程Eと、
前記第2の被覆透明微粒子の透明微粒子層の表面に前記第1の反応性透明微粒子を接触させ、前記第3の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の反応性透明微粒子を前記第2の被覆透明微粒子の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第1の反応性透明微粒子を除去する工程Fと、
前記工程EおよびFをこの順序で繰返し行い、n層の前記透明微粒子層からなる反射防止膜を形成する工程Gとをさらに有することを特徴とする反射防止膜の製造方法。
【請求項16】
請求項14および15のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物が同一の化合物であることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記工程Dにおいて、未反応の前記第3の膜化合物は洗浄除去され、前記第2の被覆透明微粒子の表面上で前記第3の膜化合物が形成する被膜は、単分子膜であることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
【請求項18】
請求項9〜13のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記第1および第2の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1および第2の膜化合物を含む溶液は、さらに、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする反射防止膜の製造方法。
【請求項19】
請求項9〜13、および18のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記第1および第2の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1および第2の膜化合物を含む溶液は、さらに、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする反射防止膜の製造方法。
【請求項20】
請求項14〜17のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1〜第3の膜化合物を含む溶液は、さらに、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする反射防止膜の製造方法。
【請求項21】
請求項14〜17、および20のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1〜第3の膜化合物を含む溶液は、さらに、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする反射防止膜の製造方法。
【請求項22】
請求項9〜21のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CHCH(OH)結合であることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
【請求項23】
請求項9〜21のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であることを特徴とする反射防止膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−275898(P2008−275898A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119581(P2007−119581)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【Fターム(参考)】