反応装置、反応方法及び触媒ユニット
【課題】反応装置、反応方法及び触媒ユニットとして、小さなスペースで高い混合効果を確保しつつ大流量の流体を混合し反応させることが可能なことを実現する。
【解決手段】混合器1は、複数の積層エレメント21が積層される積層体2と、当該積層体2を挟んで対向配置される第1の板3と第2の板4とを備え、前記積層エレメント21は、複数の第1の貫通孔22を有し、前記第2の板4は、前記積層エレメント21の少なくとも1つの第1の貫通孔22に連通する貫通孔41を有し、前記積層エレメント21は、前記第1の貫通孔22の一部又は全部が、隣接する積層エレメント21の第1の貫通孔22との間で流体を積層エレメント21の延在する方向に流通可能に連通するように配置されている。
【解決手段】混合器1は、複数の積層エレメント21が積層される積層体2と、当該積層体2を挟んで対向配置される第1の板3と第2の板4とを備え、前記積層エレメント21は、複数の第1の貫通孔22を有し、前記第2の板4は、前記積層エレメント21の少なくとも1つの第1の貫通孔22に連通する貫通孔41を有し、前記積層エレメント21は、前記第1の貫通孔22の一部又は全部が、隣接する積層エレメント21の第1の貫通孔22との間で流体を積層エレメント21の延在する方向に流通可能に連通するように配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応装置、反応方法及び触媒ユニットに関するものであって、流体を効率的に混合し反応させるために利用される技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
反応装置や反応器内部で流体を混合して反応させるものとして、例えば、不均一系の発熱反応であるメタノール合成反応器がある。当該反応器においては触媒により原料ガスを反応させるが、反応器内部に充填する触媒量を少なくするために各触媒層での反応率が大きくなるように触媒層を幾つかに分割し、各触媒層の入口ガスを冷却して、且つ入口ガス中の反応生成物の濃度を下げている。具体的には、発熱反応により高温になった各触媒層の出口ガスに対して温度の低い原料ガスを混合することにより、出口ガスの温度及び反応生成物であるメタノールの濃度を下げて下流の触媒層に供給している。これにより、各触媒層における反応速度及び反応率を大きくすることができるので、反応器に充填する全体の触媒量を少なくすることができる。
【0003】
特許文献1は、そのような混合装置及び反応器の例であって、不均一系の発熱合成反応器内部で異なる温度のガス流を混合して反応させている。反応器内部には混合装置が配され、混合装置は、触媒層を支持する反応器の側壁に対して触媒床の底部の下方に平行に配された隔壁により形成される環状空間からの高温ガス流に対し、隔壁下部に配された円環状の穴あき供給部から供給される冷却ガス流を所定の条件下で混合するものである。これにより温度の異なるガス流を最適に混合し、反応器内での転化率を向上させることができるとしている。
【0004】
しかし、前記混合装置では混合するに際して、冷却ガス流を環状空間に配された穴あき供給部を通して高温ガス流に対し局部的に注入するので、穴あき部周辺ではガスの混合は不十分であり、全体的に十分にガスを混合させるためにはさらに所定の空間を必要とする。そのため、ディフレクターを配することにより混合効果を上げているが、なお混合効果には限界がある。また、反応器に供給するガス流量を小さくして反応器の負荷を下げて運転する場合には、穴あき供給部の孔から供給される冷却ガス流の流速が小さくなるので、高温ガス流との混合効果がさらに小さくなるという問題がある。さらに、冷却ガス流供給用の穴あき供給部は環状空間に配されており、反応器が大きくなるに従って環状空間の製作が困難になるという問題がある。
【0005】
また、特許文献2も内部に混合機構を有する反応器の例であって、攪拌混合孔により水素リッチガスと空気を混合するものであるが、上記と同様の理由によりやはり混合効果には限界がある。
【0006】
また、特許文献3は、筒型状の反応容器において、反応容器の長手方向に貫通し、複数のセルからなる金属モノリスと、各セルの内壁に付着された触媒物質を含む反応容器の例である。前記反応容器は、触媒と接触したガスを反応温度まで迅速に上昇させ、触媒と内部を通過するガスとの接触頻度を高めることができる攪拌構造を持った反応容器を提供するものである。
【0007】
しかし、前記反応容器において、ガスはセル内部を長手方向に直線的に流れるので流体の混合効果は小さい。そのためセル密度を小さくすると、セル内壁で反応した流体とセル中心部の未反応の流体の混合不足により、反応効率や反応の選択性が必ずしも高くならない。上記とは逆にセル密度を大きくすると、反応容器重量が大きくなりコストも高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表平9−509611号公報
【特許文献2】特開2003−165708号公報
【特許文献3】特開2008−247727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、流体を効率良く混合し、反応させることができる反応装置、反応方法及び触媒ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するため、以下の反応装置、反応方法及び触媒ユニットを提供する。
(1)反応装置
本発明に係る反応装置の一つの構成は、
入口及び出口を有する容器内部で流体を反応させる反応装置であって、
前記容器内部には少なくとも2以上の触媒層が配され、且つ、少なくとも1の触媒層間に1又は2以上の流体を混合する混合器が配され、
前記混合器は、複数の積層エレメントが積層される積層体と、当該積層体を挟んで対向配置される第1の板と第2の板とを備え、
前記積層エレメントは、複数の第1の貫通孔を有し、
前記第1の板は、前記容器内側形状よりも小さい外側形状を有し、
前記第2の板は、前記容器内側形状と略同一の外側形状を有し、外側面が前記容器内側面と略内接しており、且つ前記積層エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通する貫通孔を有し、
前記積層体は、前記第1の貫通孔の一部又は全部が、隣接する積層エレメントの第1の貫通孔との間で流体を積層エレメントの延在する方向に流通可能に連通するように配置されているものである(第1の技術的手段)。
【0011】
本反応装置によれば、反応装置内部の2以上の触媒層の内のいずれか1の触媒層間に混合器が配され、上流の触媒層からの流体は、1又は2以上の他の流体とともに触媒層間に配された混合器に供給される。混合器に供給された流体は、混合器を形成する第2の板の貫通孔を経由して第2の板の貫通孔に連通する積層エレメントの第1の貫通孔から積層体内部に流入する。そして、積層体内部の連通する第1の貫通孔を流通しながら混合され、混合器から流出し、下流の触媒層に供給される。
【0012】
混合器を形成する積層体の積層方向両端部では、第1の板と第2の板により、積層エレメントの第1の貫通孔は積層方向に閉じている。従って、積層体内部に流入した流体は、連通する第1の貫通孔を積層エレメントの延在する方向に流通するように案内される。
流通するに際して流体は、当該第1の貫通孔から積層方向に連通する他の第1の貫通孔に流出し、又はその逆に積層方向に連通する他の第1の貫通孔から当該第1の貫通孔に流入することにより、連通する第1の貫通孔で流入及び流出を繰り返して混合される。
【0013】
上記とは逆に、積層体内部の流体が第2の板の貫通孔から流出する場合には、流体は、積層体周辺の空間に開く積層エレメントの第1の貫通孔から積層体内部に流入する。そして、積層体内部の連通する第1の貫通孔を積層エレメントの延在する方向に流通しながら混合され、積層体端部の第1の貫通孔に連通する第2の板の貫通孔から流出し、下流の触媒層に供給される。
【0014】
以上により、流体は混合器内部で複雑に流動して高度に混合されて下流の触媒層に供給されるので、触媒層での流体の反応率が高くなる。
また、混合器を形成する積層エレメントの積層枚数を多くすることにより、流体の流れる積層エレメントが延在する方向への断面積が大きくなるので、より多くの流量の流体を混合し、反応させることができる。
なお、ここでいう積層エレメントの延在する方向とは、積層エレメントの積層方向に対して垂直方向をいう。
【0015】
本構成において第1の板は、容器内側形状よりも小さい外側形状を有しているので、流体を積層体周辺の空間から確実に流出又は流入させることができる。また、第2の板の外側面は容器内側面と略内接しているので、流体を第2の板の貫通孔から確実に積層体内部に流入又は流出させることができる。
【0016】
本発明に係る他の局面に従った反応装置の構成は、
第1の技術的手段に係る反応装置において、
前記複数の積層エレメント、前記第1の板及び前記第2の板は、分解可能に固定されているものである(第2の技術的手段)。
【0017】
本構成によれば、各積層エレメント、第1の板及び第2の板は分解することができるので、反応装置内部での組み立てが容易である。また、積層エレメントの第1の貫通孔に残留物や異物が堆積した場合でも、その除去が容易である。また、小さい入口や出口を有する容器内部に混合器を設置することができる。
【0018】
本発明に係る他の局面に従った反応装置の構成は、
第1又は第2のいずれか1の技術的手段に係る反応装置において、
前記積層エレメントは、前記第1の貫通孔より大きい第2の貫通孔を有し、且つ前記第2の貫通孔が積層方向に連通して前記積層体に中空部を形成するように配置されており、
前記第2の板の貫通孔が前記中空部を介して前記積層エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通するように配置されているものである(第3の技術的手段)。
【0019】
本構成によれば、混合器を形成する第2の板の貫通孔から流入した流体は、混合器の中空部に流入する。中空部では流体が流れる際の流動抵抗は小さい。一方、流体が積層体内部を積層エレメントの延在する方向へ流れる際の流動抵抗は、中空部を流れる際の流動抵抗よりも大きい。以上により、流体は、中空部に連通する第1の貫通孔を介して積層体内部に流入するに際して、積層方向の位置に関らず略均等に積層エレメントの延在する方向へ流れる。
【0020】
上記とは逆に、積層体内部の流体が第2の板の貫通孔から流出する場合には、流体は、積層体周辺の空間に開く積層エレメントの第1の貫通孔から積層体内部に流入する。そして、流体は、積層体内部を積層エレメントの延在する方向へ積層方向の位置に関らず略均等に流れ、中空部に連通する第1の貫通孔から流出する。
なお、ここでいう中空部とは、積層エレメントの第2の貫通孔が積層して形成される中空状の空間部をいう。
【0021】
(2)反応方法
本発明に係る反応方法は、
第1乃至第3のいずれか1の技術的手段に係る反応装置による流体の反応方法であって、
前記混合器の上流に配された触媒層からの流体と1又は2以上の他の流体を前記混合器内部に流入させ、前記積層エレメントの延在する方向に前記第1の貫通孔を流通させ、前記混合器外部に流出させ、前記混合器の下流に配された触媒層に流入させるものである(第4の技術的手段)。
【0022】
本反応方法によれば、上流の触媒層からの流体は、1又は2以上の他の流体とともに触媒層間に配された混合器に流入させられる。混合器内部では、積層体内部の連通する第1の貫通孔を積層エレメントの延在する方向に流通しながら流入及び流出を繰り返すので、流体が複雑に流動して高度に混合される。以上により、流体は高度に混合された状態で下流の触媒層に供給されるので、触媒層での流体の反応率が高くなる。
また、混合器を形成する積層エレメントの積層枚数を多くすることにより、流体の流れる積層エレメントが延在する方向への断面積が大きくなるので、より多くの流量の流体を混合し、反応させることができる。
【0023】
(3)触媒ユニット
本発明に係る触媒ユニットの一つの構成は、
触媒ユニットであって、
複数の触媒エレメントが積層される触媒体と、当該触媒体を挟んで対向配置される第1の板と第2の板とを備え、
前記触媒エレメントは、複数の第1の貫通孔を有し、
前記第2の板は、前記触媒エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通する貫通孔を有し、
前記触媒エレメントは、前記第1の貫通孔の一部又は全部が、隣接する触媒エレメントの第1の貫通孔との間で流体を触媒エレメントの延在する方向に流通可能に連通するように配置されているものである(第5の技術的手段)。
【0024】
本触媒ユニットによれば、触媒ユニットを形成する第2の板の貫通孔から流入した流体は、第2の板の貫通孔に連通する触媒エレメントの第1の貫通孔から触媒体内部に流入する。そして、触媒体内部の連通する第1の貫通孔を流通しながら混合され反応し、触媒ユニットから流出する。
【0025】
触媒ユニットを形成する触媒体の積層方向両端部では、第1の板と第2の板により、触媒エレメントの第1の貫通孔は積層方向に閉じている。従って、触媒体内部に流入した流体は、連通する第1の貫通孔を触媒エレメントの延在する方向に流通するように案内される。
流通するに際して流体は、当該第1の貫通孔から積層方向に連通する他の第1の貫通孔に流出し、又はその逆に積層方向に連通する他の第1の貫通孔から当該第1の貫通孔に流入することにより連通する第1の貫通孔で流入及び流出を繰り返し、混合され反応する。
【0026】
上記とは逆に、触媒体内部の流体が第2の板の貫通孔から流出する場合には、流体は、触媒体周辺の空間に開く触媒エレメントの第1の貫通孔から触媒体内部に流入する。そして、触媒体内部の連通する第1の貫通孔を触媒エレメントの延在する方向に流通し混合されながら反応し、触媒体端部の第1の貫通孔に連通する第2の板の貫通孔から流出する。
【0027】
以上により、流体は触媒ユニット内部で複雑に流動して高度に混合されるので、触媒ユニットによる流体の反応率が高くなる。
また、触媒ユニットを形成する触媒エレメントの積層枚数を多くすることにより、流体の流れる触媒エレメントが延在する方向への断面積が大きくなるので、より多くの流量の流体を混合し、反応させることができる。
なお、ここでいう触媒エレメントの延在する方向とは、触媒エレメントの積層方向に対して垂直方向をいう。
【0028】
本発明に係る他の局面に従った触媒ユニットの構成は、
第5の技術的手段に係る触媒ユニットにおいて、
前記複数の触媒エレメント、前記第1の板及び前記第2の板は、分解可能に固定されているものである(第6の技術的手段)。
【0029】
本構成によれば、各触媒エレメント、第1の板及び第2の板は分解することができるので、反応装置内部での組み立てが容易である。また、各触媒エレメント、第1の板及び第2の板は分解することができるので、小さい入口や出口を有する容器内部に触媒ユニットを設置することができる。
【0030】
本発明に係る他の局面に従った触媒ユニットの構成は、
第5又は第6のいずれか1の技術的手段に係る触媒ユニットにおいて、
前記触媒エレメントは、前記第1の貫通孔より大きい第2の貫通孔を有し、且つ前記第2の貫通孔が積層方向に連通して前記触媒体に中空部を形成するように配置されており、
前記第2の板の貫通孔が前記中空部を介して前記触媒エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通するように配置されているものである(第7の技術的手段)。
【0031】
本構成によれば、触媒ユニットを形成する第2の板の貫通孔から流入した流体は触媒体の中空部に流入する。中空部では流体が流れる際の流動抵抗は小さい。一方、流体が触媒体内部を触媒エレメントの延在する方向へ流れる際の流動抵抗は、中空部を流れる際の流動抵抗よりも大きい。以上により、流体は、中空部に連通する第1の貫通孔を介して触媒体内部に流入するに際して、積層方向の位置に関らず略均等に触媒エレメントの延在する方向へ流れる。
【0032】
上記とは逆に、触媒体内部の流体が第2の板の貫通孔から流出する場合には、流体は、触媒体周辺の空間に開く触媒エレメントの第1の貫通孔から触媒体内部に流入する。そして、流体は、触媒体内部を触媒エレメントの延在する方向へ積層方向の位置に関らず略均等に流れ、中空部に連通する第1の貫通孔から流出する。
なお、ここでいう中空部とは、触媒エレメントの第2の貫通孔が積層して形成される中空状の空間部をいう。
【0033】
(4)反応装置
本発明に係る他の局面に従った反応装置の構成は、
第5乃至第7のいずれか1の技術的手段に係る触媒ユニットと、当該触媒ユニットを収容する入口及び出口を有する容器とを備える反応装置であって、
前記触媒ユニットにおける第1の板は、前記容器内側形状よりも小さい外側形状を有し、
前記触媒ユニットにおける第2の板は、前記容器内側形状と略同一の外側形状を有し、且つ当該第2の板の外側面が前記容器内側面と略内接しているものである(第8の技術的手段)。
【0034】
本構成によれば、容器入口から流入した流体は、触媒ユニットを形成する第2の板の貫通孔を経由して第2の板の貫通孔に連通する触媒エレメントの第1の貫通孔から触媒体内部に流入する。そして、触媒体内部の連通する第1の貫通孔を触媒エレメントの延在する方向に流通しながら、混合され反応して触媒体から流出し、さらに、容器出口から流出する。
【0035】
上記とは逆に、触媒体内部の流体が第2の板の貫通孔から流出する場合には、流体は、触媒体周辺の空間に開く触媒エレメントの第1の貫通孔から触媒体内部に流入する。そして、触媒体内部の連通する第1の貫通孔を触媒エレメントの延在する方向に流通しながら、混合され反応して触媒体から流出し、触媒体端部の第1の貫通孔に連通する第2の板の貫通孔から流出し、さらに、容器出口から流出する。
【0036】
本構成において第1の板は、容器内側形状よりも小さい外側形状を有しているので、流体を触媒体周辺の空間から確実に流出又は流入させることができる。また、第2の板の外側面は容器内側面と略内接しているので、流体を第2の板の貫通孔から確実に触媒体内部に流入又は流出させることができる。
【0037】
以上により、流体は触媒ユニット内部で複雑に流動して高度に混合され反応するので、反応装置による反応率が高くなる。
【0038】
(5)反応方法
本発明に係る他の局面に従った反応方法は、
第5乃至第7のいずれか1の技術的手段に係る触媒ユニットによる流体の反応方法であって、
流体を前記触媒ユニット内部に流入させ、前記触媒エレメントの延在する方向に前記第1の貫通孔を流通させ、前記触媒ユニット外部に流出させるものである(第9の技術的手段)。
【0039】
本反応方法によれば、触媒ユニットに流入した流体は触媒ユニットを形成する触媒体に流入し、触媒体内部の連通する第1の貫通孔を触媒エレメントの延在する方向に流通しながら流入及び流出を繰り返すので、流体が複雑に流動してより混合効果が高くなるため、触媒ユニットによる流体の反応率が高くなる。
また、触媒ユニットを形成する触媒エレメントの積層枚数を多くすることにより、流体の流れる触媒エレメントが延在する方向への断面積が大きくなるので、より多くの流量の流体を混合し、反応させることができる。
【発明の効果】
【0040】
以上のように、本発明に係る反応装置及び反応方法によれば、流体が混合器を形成する積層体内部の連通する第1の貫通孔を流通するので、流体の混合効果が高くなり、下流の触媒層での反応率を高くすることができる。また、積層体の積層枚数を多くすることにより、より多くの流量の流体を良好に混合し、反応させることができる。
【0041】
さらに、本発明に係る触媒ユニット、並びに、当該触媒ユニットを使用した反応装置及び反応方法によれば、流体が触媒ユニット内部の連通する第1の貫通孔を流通するので、触媒ユニットによる流体の混合効果が高くなり反応率を高くすることができる。また、触媒ユニットを形成する触媒エレメントの積層枚数を多くすることにより、より多くの流量の流体を良好に混合し、反応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】反応装置の実施形態1に係る反応装置内部を流体が流れる様子を示した断面図である。
【図2】反応装置の実施形態1における混合器内部を流体が流れる様子を示した断面図である。
【図3】反応装置の実施形態1における混合器の構成部品を示した斜視図である。
【図4】反応装置の実施形態1における積層エレメントの重なり合いを示した平面図である。
【図5】反応装置の実施形態1における積層エレメントの変形例1を適用した場合の混合器の構成部品を示した斜視図である。
【図6】反応装置の実施形態1における積層エレメントの変形例1を適用した場合の積層エレメントの重なり合いを示した平面図である。
【図7】積層エレメントの変形例2による積層エレメントにおける第1の貫通孔の変形例を示した斜視図である。
【図8】積層エレメントの変形例3による積層エレメントを分解構造とした場合の例を示した斜視図である。
【図9】反応装置の実施形態2に係る反応装置内部を流体が流れる様子を示した断面図である。
【図10】反応装置の実施形態3に係る反応装置内部を流体が流れる様子を示した断面図である。
【図11】反応装置の実施形態4に係る反応装置内部を流体が流れる様子を示した断面図である。
【図12】反応装置の実施形態4における触媒エレメントを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(反応装置の実施形態1)
図1は実施形態1による反応装置5A内部を流体Aが流れる様子を示した断面図であり、図2(a)及び(b)は反応装置5Aに配された混合器1内部を流体が流れる様子を示した断面図である。図3は混合器1の構成部品を示す斜視図であり、図4は混合器1を形成する積層エレメント21a、21bが隣接する積層エレメント21a、21bと積層したときの第1の貫通孔22の重なり合いを示した平面図である。
【0044】
反応装置5Aは、入口51及び出口52を有する略円筒状の容器50であって、反応装置5A内部には触媒層6a〜6dが配されており、各触媒層間に混合器1a〜1c及び冷却ガス供給用ノズル7a〜7cが配されている。
なお、本実施形態1では、反応装置5Aは不均一系の発熱反応であるメタノール合成反応器として好適に使用することができ、例えば、入口51からは予熱された高温の原料ガス(流体A)が供給され、冷却ガス供給用ノズル7a〜7cからは予熱されていない低温の原料ガス(流体B1〜B3)が供給される。
【0045】
混合器1は図3に示すように、略円形状の板から構成される積層エレメント21a、21bを交互に複数枚(ここでは合計4枚)積層した積層体2、第1の板3及び第2の板4により形成され、例えば、ボルトとナットのような適宜な手段により容器50内部に固定される。
第1の板3は円形状の板であって、積層エレメント21a、21bの外径と略同一の外径を有する。第2の板4は、略中央部に流体A及びBが流入する円形の貫通孔41を有する円形状の板であって、容器50の内径と略同一の外径を有する。
【0046】
積層エレメント21a、21bは略矩形状の第1の貫通孔22を複数備え、略同一の外径を有する。積層エレメント21a、21bの略中央部には略同一の内径を有する略円形状の第2の貫通孔23が配されており、第2の貫通孔23の内径は、第2の板4の貫通孔41の内径と略同一、且つ略同心である。積層エレメント21a、21bが積層されることにより、第2の貫通孔23は混合器1において中空部24を形成する(図2参照)。
【0047】
積層エレメント21aは内側部及び外側部には枠部25を備えるが、積層エレメント21bは内側部及び外側部には枠部25を備えず、第1の貫通孔22は内側部および外側部において開放されている。従って、積層エレメント21bの内側部及び外側部の第1の貫通孔22は、混合器1の中空部24及び外側空間部28に連通する。
【0048】
積層エレメント21a、21bの各第1の貫通孔22は千鳥状に配列されていて、半径方向のピッチは同一である。一方、円周方向のピッチは、内周部から外周部に向かうに従って大きくなり、各円周上の第1の貫通孔22の個数は同じである。そして、図4に示すように、複数の第1の貫通孔22の一部は、互いに隣接する積層エレメント21a、21bの第1の貫通孔22とその位置をずらせて、半径方向及び円周方向に部分的に重なり合うように配置され、積層エレメント21a、21bの延在する方向に連通する。
【0049】
積層体2の両端部に対向配置されている第1の板3及び第2の板4により、積層体2両端部の積層エレメント21a、21bの第1の貫通孔22は積層方向に閉じている。また、第1の板3の外径は、第2の板4の貫通孔41より大きい。そのため、積層体2内部に流入した流体A及びBは、積層体2両端部の積層エレメント21a、21bの第1の貫通孔22から積層方向に流出することを妨げられ、積層エレメント21a、21bの延在する方向へ確実に流通する。
【0050】
以上の混合器1a〜1cにおいて、例えば混合器1aでは、適宜な圧送手段により反応装置5Aの入口51から流入し第1触媒層6aを通過した高温の触媒層出口ガスA1が、冷却ガス用ノズル7aから供給された冷却ガスB1とともに、第2の板4の貫通孔41を経由して中空部24aに流入する。次に、触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1は、中空部24aに連通する積層エレメント21bの第1の貫通孔22から、積層体2内部に流入する。次に、触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1は、当該第1の貫通孔22に連通する他の第1の貫通孔22に流入し、さらに、他の第1の貫通孔22に連通する第1の貫通孔22に流入する。最終的に、触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1は、積層体2aの外側空間部28aに連通する積層エレメント21bの第1の貫通孔22から流出し、積層体2a内部から流出する。
【0051】
以上のように、触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1は、積層体2a内部の連通する第1の貫通孔22を内周部から外周部に向かって流通する際に、分散、合流、反転、乱流、渦流、衝突等を繰り返すことにより高度に混合される。そして、高度に混合された触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1が下流の触媒層6bに供給されることにより、触媒層6bにおける反応率が高くなる。
【0052】
分散、合流、反転、乱流、渦流、衝突については概ね次のようである。すなわち、分散
とは、各第1の貫通孔22から隣接する第1の貫通孔22に流体が流出する際の分散を、合流とは複数の第1の貫通孔22から隣接する第1の貫通孔22へ流体が流れ込むことによる合流を、反転とは第1の貫通孔22内部での流体の反転をいう。また、乱流とは流体の不規則な流れを、渦流は強い乱流に伴って発生する渦状の流れをいい、そして、それらの流れが衝突する。
【0053】
中空部24aは第1の貫通孔22に対して十分な大きさを有し、中空部24aを構成する各積層エレメント21a、21bの第2の貫通孔23は略同一の内径を有するとともに、且つ略同心である。そのため、触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1が中空部24aを流れる際の流動抵抗は、積層体2内部を積層エレメント21a、21bの延在する方向へ流れる際の流動抵抗と比較して小さい。従って、触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1は、積層エレメント21a、21bの積層枚数が多い場合でも、積層方向の位置に関らず略均等に各積層エレメント21a、21bの内周部に到達し、積層体2内部を内周部から外周部へ略均等に流れる。
【0054】
混合器1a内部の上面及び下面を他の積層エレメント21a、21bと接する積層エレメント21a、21bの第1の貫通孔22においては、流体は当該第1の貫通孔22から上面及び下面の他の第1の貫通孔22へ流出して分散される。また、当該第1の貫通孔22へは、上面及び下面の他の第1の貫通孔22から流体が流入して合流する。従って、流体の混合効果が高く、触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1は高度に混合される。
【0055】
特に、流量が増大して流動状態が乱流に移行すると乱流及び渦流の効果が高くなって、分散及び合流に伴う流体の混合効果がより一層増大する。流量が少なく流動状態が層流の場合でも、流体は上面及び下面に分散し、合流することにより混合される。
【0056】
さらに、積層エレメント21a、21bの各第1の貫通孔22が千鳥状に配列されているので、当該第1の貫通孔22から上面及び下面の他の第1の貫通孔22へ流出する際に、流れが容易に2つに分割され、又は、2つの流れが容易に合流させられることにより、効率的に混合される。
【0057】
なお、上記実施形態1は混合器1aについてのものであるが、混合器1bによっても同様に、触媒層出口ガスA2及び冷却ガスB2が高度に混合される。
【0058】
一方、混合器1cついては、混合器1a及び1bとは逆に積層体2cの上部に第1の板3が配され、下部に第2の板4が配されている。このように形成された混合器1cであっても、触媒層出口ガスA3及び冷却ガスB3は、積層体2cの外側空間部28cに連通する積層エレメント21bの第1の貫通孔22を経由して積層体2c内部に流入し、中空部24cに連通する積層エレメント21bの第1の貫通孔22から流出し、高度に混合される。
【0059】
このように、本実施形態では、混合器1はガスの流れる方向に第2の板4→積層体2→第1の板3の順で積層されていても良いし、逆に、第1の板3→積層体2→第2の板4の順で積層されていても良い(図1、図2(a)(b)参照)。
【0060】
本実施形態においては、積層エレメント21a、21b、第1の板3及び第2の板4は各々に分解可能なので、積層エレメント21a、21bの第1の貫通孔22に残留物や異物が堆積しても容易に除去することができる。
また、積層エレメント21a、21b、第1の板3及び第2の板4を別々に製作することができるので、混合器1の製作が容易であり、且つ安価に製作することができる。
また、積層エレメント21の積層枚数を任意に選択して、混合器1の圧力損失を小さくすることが容易である。例えば、触媒層出口ガスA3は触媒層出口ガスA1に冷却ガスB1及びB2が加わっているため、混合器1cに流入するガス流量は混合器1aに流入するガス流量よりも多い。この場合に、混合器1cの積層エレメント21の積層枚数が混合器1aと同じであれば、混合器1cによる圧力損失が大きくなり、反応装置5A全体の圧力損失が大きくなる。しかし、混合器1cの積層エレメント21の積層枚数を混合器1aより多くして、混合器1cによる圧力損失を小さくすることが容易にできる。
【0061】
(積層エレメントの変形例1)
積層エレメント21aのように内側部及び外側部に枠部25を具備するが、異なる内径および外径を有する積層エレメント21c及び21dを使用して混合器1を形成することもできる(図5、図6)。
例えば、図5に示すように、積層エレメント21cの外周形状及び内周形状を、隣接する積層エレメント21dの外周形状及び内周形状よりも大きくする。第2の貫通孔23が略中央部に略円形状に配されている点は上述した反応装置の実施形態1のものと同じであるが、本変形例1では、上端部の積層エレメント21cの第2の貫通孔23の内径は、隣接する第2の板4の貫通孔41の内径と略同一、且つ略同心であり、下端部の積層エレメント21dの外径は、隣接する第1の板3の外径と略同一、且つ略同心である。また、積層エレメント21c、21dの第1の貫通孔22の形状、配置は実施形態1と同様である。
このようにしても積層体2の内周部には積層エレメント21dの第1の貫通孔22が開放され、外周部にはエレメント21cの第1の貫通孔22が開放され、各々中空部24及び外側空間部28に連通するので、混合器1の作用及び効果を奏する。
【0062】
(積層エレメントの変形例2)
積層エレメント21bのように内側部及び外側部に枠部25を具備しない複数の第1の貫通孔22が同一の位置に配置されている同一の積層エレメント21のみを使用して混合器1を形成することもできる。
例えば、図7(a)〜(d)に示すように、積層エレメント21の第1の貫通孔22を円形、正四角形、三角形、六角形等の多角形状としたものを、複数の第1の貫通孔22が半径方向及び円周方向に部分的に重なり合うように配置することができる。
【0063】
この場合には、複数の第1の貫通孔22が半径方向及び円周方向に部分的に重なり合うように、その位置をずらせて配置することにより第1の貫通孔22を積層エレメント21の延在する方向に連通させて積層体2を形成することができる。このようにしても、触媒層出口ガスA及び冷却ガスBは、連通する第1の貫通孔22を流通することにより高度に混合される。
【0064】
(積層エレメントの変形例3)
積層エレメント21、第1の板3及び第2の板4の各々を各種形状の分割構造とすることができる。このため、混合装置の運転終了後の洗浄等のメンテナンスが容易になる。また、大型の混合器1であっても容易に製作することができ、容器50内部に容易に配することができる。
例えば、図1に示される反応装置5Aのように容器50が略円筒状であって積層エレメント21が環状の形状を有する場合には、図8に示すように、扇形形状の分割体26による分割構造としたものを容器50に配されたマンホール30から搬入することができる。
また、積層エレメント21を光触媒を担持したものとすることができる。これによれば、各板に付着した流体の残留物や異物を光触媒の作用により分解することができるので、混合装置の運転終了後の洗浄等のメンテナンスが容易になる。
【0065】
(反応装置の実施形態2)
図9は、反応装置の実施形態2による反応装置5B内部を流体Cが流れる様子を示した断面図である。反応装置5Bは図9に示すように、フランジ53を有する円筒状の容器50に、入口51及び出口52を有する外周円形状のフランジ54が着脱自在に装着している。反応装置5Bの内部には、触媒ユニット9Aが配されている。
【0066】
触媒ユニット9Aは、図3に示された混合器1と同様に、各々積層エレメント21a、21bと同様の形状を有する触媒エレメント27a、27bを交互に複数枚(ここでは合計3枚)重ね合わせた触媒体8a〜8dを具備し、各触媒体8a〜8dの上端及び下端の触媒エレメント27a又は27bは第1の板3又は第2の板4と隣接している。触媒エレメント27a、27b、第1の板3及び第2の板4は、例えば、ボルトとナットのような適宜な手段により反応装置5B内部に固定される。
第1の板3は円形状の板であって、触媒エレメント27a、27bの外径と略同一の外径を有する。第2の板4は、中央部に流体Cが流入する円形の貫通孔41を有する円形状の板であって、反応装置5Bの内径と略同一の外径を有する。
【0067】
反応装置5Bの入口51側には第2の板4が配され、その下面に第1触媒体8aが配されている。第1触媒体8aの下面には第1の板3が配され、続いて第2触媒体8b、第2の板4、第3触媒体8c、第1の板3、第4触媒体8d、第2の板4が順次配されている。
【0068】
触媒エレメント27a、27bは、反応装置の実施形態1における積層エレメント21a、21bと同様に、第1の貫通孔22を複数備え、中央部に略同一の内径を有する略円形の第2の貫通孔23を有している。第2の貫通孔23の内径は、第2の板4の貫通孔41の内径と略同一、且つ略同心である。触媒エレメント27a、27bが積層されることにより各触媒体8a〜8dの中央部では、第2の貫通孔23が第1中空部24a〜第4中空部24dを形成する。触媒エレメント27a、27bのその他の構造は、積層エレメント21a、21bと同様である。
容器50の内周部と、第1触媒体8a及び第2触媒体8bの外周部との間には第1環状空間部55aが、並びに、第3触媒体8c及び第4触媒体8dの外周部との間には第2環状空間部55bが形成される。
【0069】
また、反応装置の実施形態1における積層体2と同様に、各触媒体8a〜8d内部において複数の第1の貫通孔22の一部は、触媒エレメント27a、27bの延在する方向に連通し、且つ、中空部24a〜24d及び環状空間部55a、55bに連通している。
各触媒体8a〜8dの両端部に対向配置されている第1の板3及び第2の板4により、両端部の触媒エレメント27a、27bの第1の貫通孔22は積層方向に閉じている。また、第1の板3の外径は、第2の板4の貫通孔41より大きい。そのため、触媒体8a〜8d内部の流体は、各触媒体8a〜8dの両端部の第1の貫通孔22から積層方向に流出することを妨げられ、触媒体8a〜8d内部を触媒エレメント27a、27bの延在する方向へ確実に流通する。
【0070】
以上の構成を有する反応装置5Bにおいて、例えば、適宜な圧送手段により入口51から流入した流体Cは、第2の板4の貫通孔41を経由して第1中空部24aに流入する。続いて、流体Cは、第1中空部24aに連通する第1の貫通孔22から第1触媒体8a内部に流入し、連通する第1の貫通孔22を外周方向へ流通する。続いて、流体Cは、第1環状空間部55aに連通する第1の貫通孔22を経由して、第1触媒体8a内部から第1環状空間部55aへ流出する。
【0071】
続いて、流体Cは、第1環状空間部55aに連通する第1の貫通孔22から第2触媒体8b内部に流入し、連通する第1の貫通孔22を内周方向へ流通する。続いて、流体Cは、第2中空部24bに連通する第1の貫通孔22を経由して、第2触媒体8b内部から第2中空部24bへ流出する。
【0072】
その後、流体Cは、第3中空部24c→第3触媒体8c→第2環状空間部55b→第4触媒体8d→第4中空部24dを経由し、第2の板4の貫通孔41を経て、出口52から流出する。以上のように、流体Cは、各触媒体8a〜8dの内部を内周部から外周部へ、又は外周部から内周部へ流通しながら、連通する第1の貫通孔22を流通することにより高度に混合されながら反応する。以上により、反応装置5Bの入口51から流入した流体Cは、高度に混合されながら反応して出口52から流出する。
【0073】
上述したように触媒ユニット9Aを具備する本反応装置5Bによれば、各触媒体8a〜8dの両端部に対向配置されている第1の板3及び第2の板4により、流体Cが触媒体8内部を流れる方向を、内周部から外周部へ、又はその逆に、外周部から内周部へと変えることができる。そうすると、流体Cは、より多くの連通する第1の貫通孔22を流通するので、さらに流体Cを高度に混合して反応させることができる。
【0074】
また、各中空部24a〜24dは第1の貫通孔22に対して十分な大きさを有し、中空部24を構成する各触媒エレメント27a、27bの第2の貫通孔23は略同一の内径を有するとともに、且つ略同心である。そのため、流体Cが各中空部24a〜24dを流れる際の流動抵抗は、各触媒体8a〜8d内部を触媒エレメント27a、27bが延在する方向へ流れる際の流動抵抗と比較して小さい。従って、流体Cは、触媒エレメント27a、27bの積層枚数が多い場合でも、積層方向の位置に関らず略均等に各触媒エレメント27a、27bの内周部に到達し、各触媒体8a〜8d内部を内周部から外周部へ、又はその逆に外周部から内周部へ略均等に流れる。
【0075】
各環状空間部55a、55bから各触媒体8a〜8d内部への流体Cの流入についても、上記各中空部24a〜24dについてのものと同様である。
【0076】
触媒ユニット9A内部の上面及び下面を他の触媒エレメント27a、27bと接する触媒エレメント27a、27bの第1の貫通孔22においては、流体は当該第1の貫通孔22から上面及び下面の他の第1の貫通孔22へ流出して分散される。また、当該第1の貫通孔22へは、上面及び下面の他の第1の貫通孔22から流体が流入して合流する。従って、流体の混合効果が高く、流体Cは高度に混合され、高い反応率が得られる。
【0077】
特に、流体Cの流量が増大して流動状態が乱流に移行すると乱流及び渦流の効果が高くなって、分散及び合流に伴う流体の混合効果がより一層増大する。流量が少なく流動状態が層流の場合でも、流体は上面及び下面に分散し、合流することにより混合される。
【0078】
さらに、触媒エレメント27a、27bの各第1の貫通孔22が千鳥状に配列されているので、当該第1の貫通孔22から上面及び下面の他の第1の貫通孔22へ流出する際に、流れが容易に2つに分割され、又は、2つの流れが容易に合流させられる。
【0079】
本実施形態においては、触媒エレメント27a、27b、第1の板3及び第2の板4は各々に分解可能なので、触媒ユニット9Aの製作が容易であり、且つ安価に製作することができる。
なお、本実施形態において、第1環状空間部55a又は第2環状空間部55bに他の流体を供給することにより、実施形態1による反応器5Aのように多段で反応させることもできる。
触媒エレメント27としては、触媒能を有する材料を触媒エレメント27の形状にしたもの、担体を触媒エレメント27の形状とし触媒活性成分を担持したもの、触媒エレメント27の形状を有するアルミニウムを陽極酸化して表面に触媒活性成分を担持したもの等が使用される。
【0080】
触媒エレメント27a、27bの変形例については、積層エレメントの変形例1〜3と同様である。
【0081】
(反応装置の実施形態3)
図10は、反応装置の実施形態3による反応装置5C内部を流体Dが流れる様子を示した断面図である。反応装置5Cは図10に示すように、内部に触媒ユニット9Bが配され、触媒ユニット9Bを形成する各触媒体8a〜8dの触媒エレメント27a、27bの外径が容器50の内径と略同一である。他の構成は上記実施形態2における反応装置5Bと同様である。
【0082】
この反応装置5Cでは、容器50の内周面と触媒ユニット9Bの外周面が接しており、第1の板3の外径は第2の板4及び触媒体8a〜8dの外径よりも小さい。従って、流体Dは、第1触媒体8aと第2触媒体8bとの間、第3触媒体8cと第4触媒体8dとの間では、外周部で互いに連通する第1の貫通孔22間で流通する。
【0083】
以上の構成を有する反応装置5Cにおいて、例えば、適宜な圧送手段により入口51から流入した流体Dは、各触媒体8a〜8d内部の連通する第1の貫通孔22を触媒27a、27bの延在する方向に流通することにより混合されながら反応する。
本実施形態3は、触媒エレメント27a、27bの外径が容器50の内径と略同一であるため、触媒エレメント27a、27bの容器50の内部への設置が容易である。
【0084】
本実施形態3における反応装置5Cのその他の作用効果は、上記反応装置の実施形態2における反応装置5Bの作用効果と同様である。
【0085】
(反応装置の実施形態4)
図11は、反応装置の実施形態4による反応装置5D内部を流体Eが流れる様子を示した断面図であり、図12は、この反応装置5D内部に配設された触媒ユニット9Cを形成する触媒27cを示す斜視図である。
本実施形態4による反応装置5Dが実施形態3による反応装置5Cと異なるところは、反応装置5Dに配される複数の触媒エレメント27cが、図12に示すように、外側部に枠部25を有するとともに、中央部には第2の貫通孔23を設けずに第1の貫通孔22を全面に有していることである。また、第1の板3の外周形状は、当該板に重ね合わされた触媒27cの外周部付近の第1の貫通孔22が開放されるように、触媒エレメント27cよりも小径に形成されている。
この場合には、触媒エレメント27cの第1の貫通孔22は、半径方向及び円周方向に部分的に重なり合うように、その位置をずらせて配置され、第1の貫通孔22は触媒エレメント27cの延在する方向に連通させられる。
【0086】
反応装置5Dをこのように構成することによっても、適宜な圧送手段により入口51から流入した流体Eは、第2の板4の貫通孔41を介して触媒体8aに流入し、触媒体8a内部を放射状に流通しながら、触媒エレメント27cの連通する第1の貫通孔22を流通することにより高度に混合されながら反応する。最終的に、流体Eは、触媒ユニット9Cの一端の第2の板4の貫通孔41に連通する第1の貫通孔22を経て流出する。
【0087】
このように、本実施形態4による反応装置5Dによれば、触媒エレメント27cが第2の貫通孔23を備えないので製造が容易である。
また、触媒エレメント27cの外径が容器50の内径と略同一であるため、触媒エレメント27cの容器50の内部への設置が容易である。
本実施形態4の反応装置5Dにおけるその他の構成及び作用効果は、上記実施形態3の反応装置5Cと同様である。
【0088】
(反応装置の変形例)
本発明に係る反応装置5は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で変形して実施することができる。
また、容器50を略円筒状又は円筒状としているが、これに限定されるものではなく、例えば工場の排気ガス処理装置のように低い圧力で反応装置を使用する場合には矩形状でもよい。この場合、積層エレメント21、触媒エレメント27、第1の板3及び第2の板4の形状は、容器50の形状に対応して適宜設計変更される。
【0089】
また、積層エレメント21の第1の貫通孔22を略矩形状としているが、上述したように、本発明はこれに限定されるものではない。また、積層エレメント21a、21bの第1の貫通孔22の半径方向のピッチを略同一としているが、本発明はこれに限定されるものではない。また、第1の貫通孔22の大きさは積層エレメント21a、21bのように内周部から外周部に向かうに従って大きくなってもよく、図7(a)〜(d)に示されたように全て同一でもよい。
また、積層エレメント21の第2の貫通孔23を略円形状とし、第2の板4の貫通孔41を円形としているが、本発明は、これに限定されるものではなく、これらと同様な機能を果たす他の形状を採用し得る。また、積層エレメント21は第2の貫通孔23を略中央部に、第2の板4は貫通孔41を略中央部に有し、略同一径、略同心であるが、本発明はこれらと同様な機能を果たす他の形状を採用し得るものであって、これに限定されるものではない。
また、混合器1を、反応装置5B、5C又は5Dにおける触媒体8、第1の板3及び第2の板4のような組合せの構成にしてもよい。
【0090】
また、積層エレメント21aと積層エレメント21bは各々の形状が異なり、各々の複数の第1の貫通孔22は、互いに隣接する積層エレメント21a、21bの第1の貫通孔22とその位置をずらせて半径方向及び円周方向に部分的に重なり合うように配置されているが、これに限定されるものではない。
例えば、複数の第1の貫通孔22が同一の位置に配置されている同一形状の積層エレメント21を使用して、複数の第1の貫通孔22が半径方向及び円周方向に部分的に重なり合うように、その位置をずらせて配置しても良い。
【0091】
以上の積層エレメント21についての例は、積層エレメント21と同じ構造を有する触媒エレメント27についても同様である。
【0092】
また、反応装置に供給される流体は気体に限定されるものではなく、液体、気体と液体、液体と固体との混合物あるいはその他であってもよい。
【0093】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
【符号の説明】
【0094】
1、1a、1b、1c 混合器
2 積層体
3 第1の板
4 第2の板
5A、5B、5C、5D 反応装置
9A、9B、9C 触媒ユニット
21、21a、21b、21c、21d 積層エレメント
22 (積層エレメント、又は触媒エレメントの)第1の貫通孔
23 (積層エレメント、又は触媒エレメントの)第2の貫通孔
24、24a、24b、24c、24d 中空部
27、27a、27b、27c 触媒エレメント
41 (第2の板の)貫通孔
55、55a、55b 環状空間部
A、B、C、D、E 流体
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応装置、反応方法及び触媒ユニットに関するものであって、流体を効率的に混合し反応させるために利用される技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
反応装置や反応器内部で流体を混合して反応させるものとして、例えば、不均一系の発熱反応であるメタノール合成反応器がある。当該反応器においては触媒により原料ガスを反応させるが、反応器内部に充填する触媒量を少なくするために各触媒層での反応率が大きくなるように触媒層を幾つかに分割し、各触媒層の入口ガスを冷却して、且つ入口ガス中の反応生成物の濃度を下げている。具体的には、発熱反応により高温になった各触媒層の出口ガスに対して温度の低い原料ガスを混合することにより、出口ガスの温度及び反応生成物であるメタノールの濃度を下げて下流の触媒層に供給している。これにより、各触媒層における反応速度及び反応率を大きくすることができるので、反応器に充填する全体の触媒量を少なくすることができる。
【0003】
特許文献1は、そのような混合装置及び反応器の例であって、不均一系の発熱合成反応器内部で異なる温度のガス流を混合して反応させている。反応器内部には混合装置が配され、混合装置は、触媒層を支持する反応器の側壁に対して触媒床の底部の下方に平行に配された隔壁により形成される環状空間からの高温ガス流に対し、隔壁下部に配された円環状の穴あき供給部から供給される冷却ガス流を所定の条件下で混合するものである。これにより温度の異なるガス流を最適に混合し、反応器内での転化率を向上させることができるとしている。
【0004】
しかし、前記混合装置では混合するに際して、冷却ガス流を環状空間に配された穴あき供給部を通して高温ガス流に対し局部的に注入するので、穴あき部周辺ではガスの混合は不十分であり、全体的に十分にガスを混合させるためにはさらに所定の空間を必要とする。そのため、ディフレクターを配することにより混合効果を上げているが、なお混合効果には限界がある。また、反応器に供給するガス流量を小さくして反応器の負荷を下げて運転する場合には、穴あき供給部の孔から供給される冷却ガス流の流速が小さくなるので、高温ガス流との混合効果がさらに小さくなるという問題がある。さらに、冷却ガス流供給用の穴あき供給部は環状空間に配されており、反応器が大きくなるに従って環状空間の製作が困難になるという問題がある。
【0005】
また、特許文献2も内部に混合機構を有する反応器の例であって、攪拌混合孔により水素リッチガスと空気を混合するものであるが、上記と同様の理由によりやはり混合効果には限界がある。
【0006】
また、特許文献3は、筒型状の反応容器において、反応容器の長手方向に貫通し、複数のセルからなる金属モノリスと、各セルの内壁に付着された触媒物質を含む反応容器の例である。前記反応容器は、触媒と接触したガスを反応温度まで迅速に上昇させ、触媒と内部を通過するガスとの接触頻度を高めることができる攪拌構造を持った反応容器を提供するものである。
【0007】
しかし、前記反応容器において、ガスはセル内部を長手方向に直線的に流れるので流体の混合効果は小さい。そのためセル密度を小さくすると、セル内壁で反応した流体とセル中心部の未反応の流体の混合不足により、反応効率や反応の選択性が必ずしも高くならない。上記とは逆にセル密度を大きくすると、反応容器重量が大きくなりコストも高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表平9−509611号公報
【特許文献2】特開2003−165708号公報
【特許文献3】特開2008−247727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、流体を効率良く混合し、反応させることができる反応装置、反応方法及び触媒ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するため、以下の反応装置、反応方法及び触媒ユニットを提供する。
(1)反応装置
本発明に係る反応装置の一つの構成は、
入口及び出口を有する容器内部で流体を反応させる反応装置であって、
前記容器内部には少なくとも2以上の触媒層が配され、且つ、少なくとも1の触媒層間に1又は2以上の流体を混合する混合器が配され、
前記混合器は、複数の積層エレメントが積層される積層体と、当該積層体を挟んで対向配置される第1の板と第2の板とを備え、
前記積層エレメントは、複数の第1の貫通孔を有し、
前記第1の板は、前記容器内側形状よりも小さい外側形状を有し、
前記第2の板は、前記容器内側形状と略同一の外側形状を有し、外側面が前記容器内側面と略内接しており、且つ前記積層エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通する貫通孔を有し、
前記積層体は、前記第1の貫通孔の一部又は全部が、隣接する積層エレメントの第1の貫通孔との間で流体を積層エレメントの延在する方向に流通可能に連通するように配置されているものである(第1の技術的手段)。
【0011】
本反応装置によれば、反応装置内部の2以上の触媒層の内のいずれか1の触媒層間に混合器が配され、上流の触媒層からの流体は、1又は2以上の他の流体とともに触媒層間に配された混合器に供給される。混合器に供給された流体は、混合器を形成する第2の板の貫通孔を経由して第2の板の貫通孔に連通する積層エレメントの第1の貫通孔から積層体内部に流入する。そして、積層体内部の連通する第1の貫通孔を流通しながら混合され、混合器から流出し、下流の触媒層に供給される。
【0012】
混合器を形成する積層体の積層方向両端部では、第1の板と第2の板により、積層エレメントの第1の貫通孔は積層方向に閉じている。従って、積層体内部に流入した流体は、連通する第1の貫通孔を積層エレメントの延在する方向に流通するように案内される。
流通するに際して流体は、当該第1の貫通孔から積層方向に連通する他の第1の貫通孔に流出し、又はその逆に積層方向に連通する他の第1の貫通孔から当該第1の貫通孔に流入することにより、連通する第1の貫通孔で流入及び流出を繰り返して混合される。
【0013】
上記とは逆に、積層体内部の流体が第2の板の貫通孔から流出する場合には、流体は、積層体周辺の空間に開く積層エレメントの第1の貫通孔から積層体内部に流入する。そして、積層体内部の連通する第1の貫通孔を積層エレメントの延在する方向に流通しながら混合され、積層体端部の第1の貫通孔に連通する第2の板の貫通孔から流出し、下流の触媒層に供給される。
【0014】
以上により、流体は混合器内部で複雑に流動して高度に混合されて下流の触媒層に供給されるので、触媒層での流体の反応率が高くなる。
また、混合器を形成する積層エレメントの積層枚数を多くすることにより、流体の流れる積層エレメントが延在する方向への断面積が大きくなるので、より多くの流量の流体を混合し、反応させることができる。
なお、ここでいう積層エレメントの延在する方向とは、積層エレメントの積層方向に対して垂直方向をいう。
【0015】
本構成において第1の板は、容器内側形状よりも小さい外側形状を有しているので、流体を積層体周辺の空間から確実に流出又は流入させることができる。また、第2の板の外側面は容器内側面と略内接しているので、流体を第2の板の貫通孔から確実に積層体内部に流入又は流出させることができる。
【0016】
本発明に係る他の局面に従った反応装置の構成は、
第1の技術的手段に係る反応装置において、
前記複数の積層エレメント、前記第1の板及び前記第2の板は、分解可能に固定されているものである(第2の技術的手段)。
【0017】
本構成によれば、各積層エレメント、第1の板及び第2の板は分解することができるので、反応装置内部での組み立てが容易である。また、積層エレメントの第1の貫通孔に残留物や異物が堆積した場合でも、その除去が容易である。また、小さい入口や出口を有する容器内部に混合器を設置することができる。
【0018】
本発明に係る他の局面に従った反応装置の構成は、
第1又は第2のいずれか1の技術的手段に係る反応装置において、
前記積層エレメントは、前記第1の貫通孔より大きい第2の貫通孔を有し、且つ前記第2の貫通孔が積層方向に連通して前記積層体に中空部を形成するように配置されており、
前記第2の板の貫通孔が前記中空部を介して前記積層エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通するように配置されているものである(第3の技術的手段)。
【0019】
本構成によれば、混合器を形成する第2の板の貫通孔から流入した流体は、混合器の中空部に流入する。中空部では流体が流れる際の流動抵抗は小さい。一方、流体が積層体内部を積層エレメントの延在する方向へ流れる際の流動抵抗は、中空部を流れる際の流動抵抗よりも大きい。以上により、流体は、中空部に連通する第1の貫通孔を介して積層体内部に流入するに際して、積層方向の位置に関らず略均等に積層エレメントの延在する方向へ流れる。
【0020】
上記とは逆に、積層体内部の流体が第2の板の貫通孔から流出する場合には、流体は、積層体周辺の空間に開く積層エレメントの第1の貫通孔から積層体内部に流入する。そして、流体は、積層体内部を積層エレメントの延在する方向へ積層方向の位置に関らず略均等に流れ、中空部に連通する第1の貫通孔から流出する。
なお、ここでいう中空部とは、積層エレメントの第2の貫通孔が積層して形成される中空状の空間部をいう。
【0021】
(2)反応方法
本発明に係る反応方法は、
第1乃至第3のいずれか1の技術的手段に係る反応装置による流体の反応方法であって、
前記混合器の上流に配された触媒層からの流体と1又は2以上の他の流体を前記混合器内部に流入させ、前記積層エレメントの延在する方向に前記第1の貫通孔を流通させ、前記混合器外部に流出させ、前記混合器の下流に配された触媒層に流入させるものである(第4の技術的手段)。
【0022】
本反応方法によれば、上流の触媒層からの流体は、1又は2以上の他の流体とともに触媒層間に配された混合器に流入させられる。混合器内部では、積層体内部の連通する第1の貫通孔を積層エレメントの延在する方向に流通しながら流入及び流出を繰り返すので、流体が複雑に流動して高度に混合される。以上により、流体は高度に混合された状態で下流の触媒層に供給されるので、触媒層での流体の反応率が高くなる。
また、混合器を形成する積層エレメントの積層枚数を多くすることにより、流体の流れる積層エレメントが延在する方向への断面積が大きくなるので、より多くの流量の流体を混合し、反応させることができる。
【0023】
(3)触媒ユニット
本発明に係る触媒ユニットの一つの構成は、
触媒ユニットであって、
複数の触媒エレメントが積層される触媒体と、当該触媒体を挟んで対向配置される第1の板と第2の板とを備え、
前記触媒エレメントは、複数の第1の貫通孔を有し、
前記第2の板は、前記触媒エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通する貫通孔を有し、
前記触媒エレメントは、前記第1の貫通孔の一部又は全部が、隣接する触媒エレメントの第1の貫通孔との間で流体を触媒エレメントの延在する方向に流通可能に連通するように配置されているものである(第5の技術的手段)。
【0024】
本触媒ユニットによれば、触媒ユニットを形成する第2の板の貫通孔から流入した流体は、第2の板の貫通孔に連通する触媒エレメントの第1の貫通孔から触媒体内部に流入する。そして、触媒体内部の連通する第1の貫通孔を流通しながら混合され反応し、触媒ユニットから流出する。
【0025】
触媒ユニットを形成する触媒体の積層方向両端部では、第1の板と第2の板により、触媒エレメントの第1の貫通孔は積層方向に閉じている。従って、触媒体内部に流入した流体は、連通する第1の貫通孔を触媒エレメントの延在する方向に流通するように案内される。
流通するに際して流体は、当該第1の貫通孔から積層方向に連通する他の第1の貫通孔に流出し、又はその逆に積層方向に連通する他の第1の貫通孔から当該第1の貫通孔に流入することにより連通する第1の貫通孔で流入及び流出を繰り返し、混合され反応する。
【0026】
上記とは逆に、触媒体内部の流体が第2の板の貫通孔から流出する場合には、流体は、触媒体周辺の空間に開く触媒エレメントの第1の貫通孔から触媒体内部に流入する。そして、触媒体内部の連通する第1の貫通孔を触媒エレメントの延在する方向に流通し混合されながら反応し、触媒体端部の第1の貫通孔に連通する第2の板の貫通孔から流出する。
【0027】
以上により、流体は触媒ユニット内部で複雑に流動して高度に混合されるので、触媒ユニットによる流体の反応率が高くなる。
また、触媒ユニットを形成する触媒エレメントの積層枚数を多くすることにより、流体の流れる触媒エレメントが延在する方向への断面積が大きくなるので、より多くの流量の流体を混合し、反応させることができる。
なお、ここでいう触媒エレメントの延在する方向とは、触媒エレメントの積層方向に対して垂直方向をいう。
【0028】
本発明に係る他の局面に従った触媒ユニットの構成は、
第5の技術的手段に係る触媒ユニットにおいて、
前記複数の触媒エレメント、前記第1の板及び前記第2の板は、分解可能に固定されているものである(第6の技術的手段)。
【0029】
本構成によれば、各触媒エレメント、第1の板及び第2の板は分解することができるので、反応装置内部での組み立てが容易である。また、各触媒エレメント、第1の板及び第2の板は分解することができるので、小さい入口や出口を有する容器内部に触媒ユニットを設置することができる。
【0030】
本発明に係る他の局面に従った触媒ユニットの構成は、
第5又は第6のいずれか1の技術的手段に係る触媒ユニットにおいて、
前記触媒エレメントは、前記第1の貫通孔より大きい第2の貫通孔を有し、且つ前記第2の貫通孔が積層方向に連通して前記触媒体に中空部を形成するように配置されており、
前記第2の板の貫通孔が前記中空部を介して前記触媒エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通するように配置されているものである(第7の技術的手段)。
【0031】
本構成によれば、触媒ユニットを形成する第2の板の貫通孔から流入した流体は触媒体の中空部に流入する。中空部では流体が流れる際の流動抵抗は小さい。一方、流体が触媒体内部を触媒エレメントの延在する方向へ流れる際の流動抵抗は、中空部を流れる際の流動抵抗よりも大きい。以上により、流体は、中空部に連通する第1の貫通孔を介して触媒体内部に流入するに際して、積層方向の位置に関らず略均等に触媒エレメントの延在する方向へ流れる。
【0032】
上記とは逆に、触媒体内部の流体が第2の板の貫通孔から流出する場合には、流体は、触媒体周辺の空間に開く触媒エレメントの第1の貫通孔から触媒体内部に流入する。そして、流体は、触媒体内部を触媒エレメントの延在する方向へ積層方向の位置に関らず略均等に流れ、中空部に連通する第1の貫通孔から流出する。
なお、ここでいう中空部とは、触媒エレメントの第2の貫通孔が積層して形成される中空状の空間部をいう。
【0033】
(4)反応装置
本発明に係る他の局面に従った反応装置の構成は、
第5乃至第7のいずれか1の技術的手段に係る触媒ユニットと、当該触媒ユニットを収容する入口及び出口を有する容器とを備える反応装置であって、
前記触媒ユニットにおける第1の板は、前記容器内側形状よりも小さい外側形状を有し、
前記触媒ユニットにおける第2の板は、前記容器内側形状と略同一の外側形状を有し、且つ当該第2の板の外側面が前記容器内側面と略内接しているものである(第8の技術的手段)。
【0034】
本構成によれば、容器入口から流入した流体は、触媒ユニットを形成する第2の板の貫通孔を経由して第2の板の貫通孔に連通する触媒エレメントの第1の貫通孔から触媒体内部に流入する。そして、触媒体内部の連通する第1の貫通孔を触媒エレメントの延在する方向に流通しながら、混合され反応して触媒体から流出し、さらに、容器出口から流出する。
【0035】
上記とは逆に、触媒体内部の流体が第2の板の貫通孔から流出する場合には、流体は、触媒体周辺の空間に開く触媒エレメントの第1の貫通孔から触媒体内部に流入する。そして、触媒体内部の連通する第1の貫通孔を触媒エレメントの延在する方向に流通しながら、混合され反応して触媒体から流出し、触媒体端部の第1の貫通孔に連通する第2の板の貫通孔から流出し、さらに、容器出口から流出する。
【0036】
本構成において第1の板は、容器内側形状よりも小さい外側形状を有しているので、流体を触媒体周辺の空間から確実に流出又は流入させることができる。また、第2の板の外側面は容器内側面と略内接しているので、流体を第2の板の貫通孔から確実に触媒体内部に流入又は流出させることができる。
【0037】
以上により、流体は触媒ユニット内部で複雑に流動して高度に混合され反応するので、反応装置による反応率が高くなる。
【0038】
(5)反応方法
本発明に係る他の局面に従った反応方法は、
第5乃至第7のいずれか1の技術的手段に係る触媒ユニットによる流体の反応方法であって、
流体を前記触媒ユニット内部に流入させ、前記触媒エレメントの延在する方向に前記第1の貫通孔を流通させ、前記触媒ユニット外部に流出させるものである(第9の技術的手段)。
【0039】
本反応方法によれば、触媒ユニットに流入した流体は触媒ユニットを形成する触媒体に流入し、触媒体内部の連通する第1の貫通孔を触媒エレメントの延在する方向に流通しながら流入及び流出を繰り返すので、流体が複雑に流動してより混合効果が高くなるため、触媒ユニットによる流体の反応率が高くなる。
また、触媒ユニットを形成する触媒エレメントの積層枚数を多くすることにより、流体の流れる触媒エレメントが延在する方向への断面積が大きくなるので、より多くの流量の流体を混合し、反応させることができる。
【発明の効果】
【0040】
以上のように、本発明に係る反応装置及び反応方法によれば、流体が混合器を形成する積層体内部の連通する第1の貫通孔を流通するので、流体の混合効果が高くなり、下流の触媒層での反応率を高くすることができる。また、積層体の積層枚数を多くすることにより、より多くの流量の流体を良好に混合し、反応させることができる。
【0041】
さらに、本発明に係る触媒ユニット、並びに、当該触媒ユニットを使用した反応装置及び反応方法によれば、流体が触媒ユニット内部の連通する第1の貫通孔を流通するので、触媒ユニットによる流体の混合効果が高くなり反応率を高くすることができる。また、触媒ユニットを形成する触媒エレメントの積層枚数を多くすることにより、より多くの流量の流体を良好に混合し、反応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】反応装置の実施形態1に係る反応装置内部を流体が流れる様子を示した断面図である。
【図2】反応装置の実施形態1における混合器内部を流体が流れる様子を示した断面図である。
【図3】反応装置の実施形態1における混合器の構成部品を示した斜視図である。
【図4】反応装置の実施形態1における積層エレメントの重なり合いを示した平面図である。
【図5】反応装置の実施形態1における積層エレメントの変形例1を適用した場合の混合器の構成部品を示した斜視図である。
【図6】反応装置の実施形態1における積層エレメントの変形例1を適用した場合の積層エレメントの重なり合いを示した平面図である。
【図7】積層エレメントの変形例2による積層エレメントにおける第1の貫通孔の変形例を示した斜視図である。
【図8】積層エレメントの変形例3による積層エレメントを分解構造とした場合の例を示した斜視図である。
【図9】反応装置の実施形態2に係る反応装置内部を流体が流れる様子を示した断面図である。
【図10】反応装置の実施形態3に係る反応装置内部を流体が流れる様子を示した断面図である。
【図11】反応装置の実施形態4に係る反応装置内部を流体が流れる様子を示した断面図である。
【図12】反応装置の実施形態4における触媒エレメントを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(反応装置の実施形態1)
図1は実施形態1による反応装置5A内部を流体Aが流れる様子を示した断面図であり、図2(a)及び(b)は反応装置5Aに配された混合器1内部を流体が流れる様子を示した断面図である。図3は混合器1の構成部品を示す斜視図であり、図4は混合器1を形成する積層エレメント21a、21bが隣接する積層エレメント21a、21bと積層したときの第1の貫通孔22の重なり合いを示した平面図である。
【0044】
反応装置5Aは、入口51及び出口52を有する略円筒状の容器50であって、反応装置5A内部には触媒層6a〜6dが配されており、各触媒層間に混合器1a〜1c及び冷却ガス供給用ノズル7a〜7cが配されている。
なお、本実施形態1では、反応装置5Aは不均一系の発熱反応であるメタノール合成反応器として好適に使用することができ、例えば、入口51からは予熱された高温の原料ガス(流体A)が供給され、冷却ガス供給用ノズル7a〜7cからは予熱されていない低温の原料ガス(流体B1〜B3)が供給される。
【0045】
混合器1は図3に示すように、略円形状の板から構成される積層エレメント21a、21bを交互に複数枚(ここでは合計4枚)積層した積層体2、第1の板3及び第2の板4により形成され、例えば、ボルトとナットのような適宜な手段により容器50内部に固定される。
第1の板3は円形状の板であって、積層エレメント21a、21bの外径と略同一の外径を有する。第2の板4は、略中央部に流体A及びBが流入する円形の貫通孔41を有する円形状の板であって、容器50の内径と略同一の外径を有する。
【0046】
積層エレメント21a、21bは略矩形状の第1の貫通孔22を複数備え、略同一の外径を有する。積層エレメント21a、21bの略中央部には略同一の内径を有する略円形状の第2の貫通孔23が配されており、第2の貫通孔23の内径は、第2の板4の貫通孔41の内径と略同一、且つ略同心である。積層エレメント21a、21bが積層されることにより、第2の貫通孔23は混合器1において中空部24を形成する(図2参照)。
【0047】
積層エレメント21aは内側部及び外側部には枠部25を備えるが、積層エレメント21bは内側部及び外側部には枠部25を備えず、第1の貫通孔22は内側部および外側部において開放されている。従って、積層エレメント21bの内側部及び外側部の第1の貫通孔22は、混合器1の中空部24及び外側空間部28に連通する。
【0048】
積層エレメント21a、21bの各第1の貫通孔22は千鳥状に配列されていて、半径方向のピッチは同一である。一方、円周方向のピッチは、内周部から外周部に向かうに従って大きくなり、各円周上の第1の貫通孔22の個数は同じである。そして、図4に示すように、複数の第1の貫通孔22の一部は、互いに隣接する積層エレメント21a、21bの第1の貫通孔22とその位置をずらせて、半径方向及び円周方向に部分的に重なり合うように配置され、積層エレメント21a、21bの延在する方向に連通する。
【0049】
積層体2の両端部に対向配置されている第1の板3及び第2の板4により、積層体2両端部の積層エレメント21a、21bの第1の貫通孔22は積層方向に閉じている。また、第1の板3の外径は、第2の板4の貫通孔41より大きい。そのため、積層体2内部に流入した流体A及びBは、積層体2両端部の積層エレメント21a、21bの第1の貫通孔22から積層方向に流出することを妨げられ、積層エレメント21a、21bの延在する方向へ確実に流通する。
【0050】
以上の混合器1a〜1cにおいて、例えば混合器1aでは、適宜な圧送手段により反応装置5Aの入口51から流入し第1触媒層6aを通過した高温の触媒層出口ガスA1が、冷却ガス用ノズル7aから供給された冷却ガスB1とともに、第2の板4の貫通孔41を経由して中空部24aに流入する。次に、触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1は、中空部24aに連通する積層エレメント21bの第1の貫通孔22から、積層体2内部に流入する。次に、触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1は、当該第1の貫通孔22に連通する他の第1の貫通孔22に流入し、さらに、他の第1の貫通孔22に連通する第1の貫通孔22に流入する。最終的に、触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1は、積層体2aの外側空間部28aに連通する積層エレメント21bの第1の貫通孔22から流出し、積層体2a内部から流出する。
【0051】
以上のように、触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1は、積層体2a内部の連通する第1の貫通孔22を内周部から外周部に向かって流通する際に、分散、合流、反転、乱流、渦流、衝突等を繰り返すことにより高度に混合される。そして、高度に混合された触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1が下流の触媒層6bに供給されることにより、触媒層6bにおける反応率が高くなる。
【0052】
分散、合流、反転、乱流、渦流、衝突については概ね次のようである。すなわち、分散
とは、各第1の貫通孔22から隣接する第1の貫通孔22に流体が流出する際の分散を、合流とは複数の第1の貫通孔22から隣接する第1の貫通孔22へ流体が流れ込むことによる合流を、反転とは第1の貫通孔22内部での流体の反転をいう。また、乱流とは流体の不規則な流れを、渦流は強い乱流に伴って発生する渦状の流れをいい、そして、それらの流れが衝突する。
【0053】
中空部24aは第1の貫通孔22に対して十分な大きさを有し、中空部24aを構成する各積層エレメント21a、21bの第2の貫通孔23は略同一の内径を有するとともに、且つ略同心である。そのため、触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1が中空部24aを流れる際の流動抵抗は、積層体2内部を積層エレメント21a、21bの延在する方向へ流れる際の流動抵抗と比較して小さい。従って、触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1は、積層エレメント21a、21bの積層枚数が多い場合でも、積層方向の位置に関らず略均等に各積層エレメント21a、21bの内周部に到達し、積層体2内部を内周部から外周部へ略均等に流れる。
【0054】
混合器1a内部の上面及び下面を他の積層エレメント21a、21bと接する積層エレメント21a、21bの第1の貫通孔22においては、流体は当該第1の貫通孔22から上面及び下面の他の第1の貫通孔22へ流出して分散される。また、当該第1の貫通孔22へは、上面及び下面の他の第1の貫通孔22から流体が流入して合流する。従って、流体の混合効果が高く、触媒層出口ガスA1及び冷却ガスB1は高度に混合される。
【0055】
特に、流量が増大して流動状態が乱流に移行すると乱流及び渦流の効果が高くなって、分散及び合流に伴う流体の混合効果がより一層増大する。流量が少なく流動状態が層流の場合でも、流体は上面及び下面に分散し、合流することにより混合される。
【0056】
さらに、積層エレメント21a、21bの各第1の貫通孔22が千鳥状に配列されているので、当該第1の貫通孔22から上面及び下面の他の第1の貫通孔22へ流出する際に、流れが容易に2つに分割され、又は、2つの流れが容易に合流させられることにより、効率的に混合される。
【0057】
なお、上記実施形態1は混合器1aについてのものであるが、混合器1bによっても同様に、触媒層出口ガスA2及び冷却ガスB2が高度に混合される。
【0058】
一方、混合器1cついては、混合器1a及び1bとは逆に積層体2cの上部に第1の板3が配され、下部に第2の板4が配されている。このように形成された混合器1cであっても、触媒層出口ガスA3及び冷却ガスB3は、積層体2cの外側空間部28cに連通する積層エレメント21bの第1の貫通孔22を経由して積層体2c内部に流入し、中空部24cに連通する積層エレメント21bの第1の貫通孔22から流出し、高度に混合される。
【0059】
このように、本実施形態では、混合器1はガスの流れる方向に第2の板4→積層体2→第1の板3の順で積層されていても良いし、逆に、第1の板3→積層体2→第2の板4の順で積層されていても良い(図1、図2(a)(b)参照)。
【0060】
本実施形態においては、積層エレメント21a、21b、第1の板3及び第2の板4は各々に分解可能なので、積層エレメント21a、21bの第1の貫通孔22に残留物や異物が堆積しても容易に除去することができる。
また、積層エレメント21a、21b、第1の板3及び第2の板4を別々に製作することができるので、混合器1の製作が容易であり、且つ安価に製作することができる。
また、積層エレメント21の積層枚数を任意に選択して、混合器1の圧力損失を小さくすることが容易である。例えば、触媒層出口ガスA3は触媒層出口ガスA1に冷却ガスB1及びB2が加わっているため、混合器1cに流入するガス流量は混合器1aに流入するガス流量よりも多い。この場合に、混合器1cの積層エレメント21の積層枚数が混合器1aと同じであれば、混合器1cによる圧力損失が大きくなり、反応装置5A全体の圧力損失が大きくなる。しかし、混合器1cの積層エレメント21の積層枚数を混合器1aより多くして、混合器1cによる圧力損失を小さくすることが容易にできる。
【0061】
(積層エレメントの変形例1)
積層エレメント21aのように内側部及び外側部に枠部25を具備するが、異なる内径および外径を有する積層エレメント21c及び21dを使用して混合器1を形成することもできる(図5、図6)。
例えば、図5に示すように、積層エレメント21cの外周形状及び内周形状を、隣接する積層エレメント21dの外周形状及び内周形状よりも大きくする。第2の貫通孔23が略中央部に略円形状に配されている点は上述した反応装置の実施形態1のものと同じであるが、本変形例1では、上端部の積層エレメント21cの第2の貫通孔23の内径は、隣接する第2の板4の貫通孔41の内径と略同一、且つ略同心であり、下端部の積層エレメント21dの外径は、隣接する第1の板3の外径と略同一、且つ略同心である。また、積層エレメント21c、21dの第1の貫通孔22の形状、配置は実施形態1と同様である。
このようにしても積層体2の内周部には積層エレメント21dの第1の貫通孔22が開放され、外周部にはエレメント21cの第1の貫通孔22が開放され、各々中空部24及び外側空間部28に連通するので、混合器1の作用及び効果を奏する。
【0062】
(積層エレメントの変形例2)
積層エレメント21bのように内側部及び外側部に枠部25を具備しない複数の第1の貫通孔22が同一の位置に配置されている同一の積層エレメント21のみを使用して混合器1を形成することもできる。
例えば、図7(a)〜(d)に示すように、積層エレメント21の第1の貫通孔22を円形、正四角形、三角形、六角形等の多角形状としたものを、複数の第1の貫通孔22が半径方向及び円周方向に部分的に重なり合うように配置することができる。
【0063】
この場合には、複数の第1の貫通孔22が半径方向及び円周方向に部分的に重なり合うように、その位置をずらせて配置することにより第1の貫通孔22を積層エレメント21の延在する方向に連通させて積層体2を形成することができる。このようにしても、触媒層出口ガスA及び冷却ガスBは、連通する第1の貫通孔22を流通することにより高度に混合される。
【0064】
(積層エレメントの変形例3)
積層エレメント21、第1の板3及び第2の板4の各々を各種形状の分割構造とすることができる。このため、混合装置の運転終了後の洗浄等のメンテナンスが容易になる。また、大型の混合器1であっても容易に製作することができ、容器50内部に容易に配することができる。
例えば、図1に示される反応装置5Aのように容器50が略円筒状であって積層エレメント21が環状の形状を有する場合には、図8に示すように、扇形形状の分割体26による分割構造としたものを容器50に配されたマンホール30から搬入することができる。
また、積層エレメント21を光触媒を担持したものとすることができる。これによれば、各板に付着した流体の残留物や異物を光触媒の作用により分解することができるので、混合装置の運転終了後の洗浄等のメンテナンスが容易になる。
【0065】
(反応装置の実施形態2)
図9は、反応装置の実施形態2による反応装置5B内部を流体Cが流れる様子を示した断面図である。反応装置5Bは図9に示すように、フランジ53を有する円筒状の容器50に、入口51及び出口52を有する外周円形状のフランジ54が着脱自在に装着している。反応装置5Bの内部には、触媒ユニット9Aが配されている。
【0066】
触媒ユニット9Aは、図3に示された混合器1と同様に、各々積層エレメント21a、21bと同様の形状を有する触媒エレメント27a、27bを交互に複数枚(ここでは合計3枚)重ね合わせた触媒体8a〜8dを具備し、各触媒体8a〜8dの上端及び下端の触媒エレメント27a又は27bは第1の板3又は第2の板4と隣接している。触媒エレメント27a、27b、第1の板3及び第2の板4は、例えば、ボルトとナットのような適宜な手段により反応装置5B内部に固定される。
第1の板3は円形状の板であって、触媒エレメント27a、27bの外径と略同一の外径を有する。第2の板4は、中央部に流体Cが流入する円形の貫通孔41を有する円形状の板であって、反応装置5Bの内径と略同一の外径を有する。
【0067】
反応装置5Bの入口51側には第2の板4が配され、その下面に第1触媒体8aが配されている。第1触媒体8aの下面には第1の板3が配され、続いて第2触媒体8b、第2の板4、第3触媒体8c、第1の板3、第4触媒体8d、第2の板4が順次配されている。
【0068】
触媒エレメント27a、27bは、反応装置の実施形態1における積層エレメント21a、21bと同様に、第1の貫通孔22を複数備え、中央部に略同一の内径を有する略円形の第2の貫通孔23を有している。第2の貫通孔23の内径は、第2の板4の貫通孔41の内径と略同一、且つ略同心である。触媒エレメント27a、27bが積層されることにより各触媒体8a〜8dの中央部では、第2の貫通孔23が第1中空部24a〜第4中空部24dを形成する。触媒エレメント27a、27bのその他の構造は、積層エレメント21a、21bと同様である。
容器50の内周部と、第1触媒体8a及び第2触媒体8bの外周部との間には第1環状空間部55aが、並びに、第3触媒体8c及び第4触媒体8dの外周部との間には第2環状空間部55bが形成される。
【0069】
また、反応装置の実施形態1における積層体2と同様に、各触媒体8a〜8d内部において複数の第1の貫通孔22の一部は、触媒エレメント27a、27bの延在する方向に連通し、且つ、中空部24a〜24d及び環状空間部55a、55bに連通している。
各触媒体8a〜8dの両端部に対向配置されている第1の板3及び第2の板4により、両端部の触媒エレメント27a、27bの第1の貫通孔22は積層方向に閉じている。また、第1の板3の外径は、第2の板4の貫通孔41より大きい。そのため、触媒体8a〜8d内部の流体は、各触媒体8a〜8dの両端部の第1の貫通孔22から積層方向に流出することを妨げられ、触媒体8a〜8d内部を触媒エレメント27a、27bの延在する方向へ確実に流通する。
【0070】
以上の構成を有する反応装置5Bにおいて、例えば、適宜な圧送手段により入口51から流入した流体Cは、第2の板4の貫通孔41を経由して第1中空部24aに流入する。続いて、流体Cは、第1中空部24aに連通する第1の貫通孔22から第1触媒体8a内部に流入し、連通する第1の貫通孔22を外周方向へ流通する。続いて、流体Cは、第1環状空間部55aに連通する第1の貫通孔22を経由して、第1触媒体8a内部から第1環状空間部55aへ流出する。
【0071】
続いて、流体Cは、第1環状空間部55aに連通する第1の貫通孔22から第2触媒体8b内部に流入し、連通する第1の貫通孔22を内周方向へ流通する。続いて、流体Cは、第2中空部24bに連通する第1の貫通孔22を経由して、第2触媒体8b内部から第2中空部24bへ流出する。
【0072】
その後、流体Cは、第3中空部24c→第3触媒体8c→第2環状空間部55b→第4触媒体8d→第4中空部24dを経由し、第2の板4の貫通孔41を経て、出口52から流出する。以上のように、流体Cは、各触媒体8a〜8dの内部を内周部から外周部へ、又は外周部から内周部へ流通しながら、連通する第1の貫通孔22を流通することにより高度に混合されながら反応する。以上により、反応装置5Bの入口51から流入した流体Cは、高度に混合されながら反応して出口52から流出する。
【0073】
上述したように触媒ユニット9Aを具備する本反応装置5Bによれば、各触媒体8a〜8dの両端部に対向配置されている第1の板3及び第2の板4により、流体Cが触媒体8内部を流れる方向を、内周部から外周部へ、又はその逆に、外周部から内周部へと変えることができる。そうすると、流体Cは、より多くの連通する第1の貫通孔22を流通するので、さらに流体Cを高度に混合して反応させることができる。
【0074】
また、各中空部24a〜24dは第1の貫通孔22に対して十分な大きさを有し、中空部24を構成する各触媒エレメント27a、27bの第2の貫通孔23は略同一の内径を有するとともに、且つ略同心である。そのため、流体Cが各中空部24a〜24dを流れる際の流動抵抗は、各触媒体8a〜8d内部を触媒エレメント27a、27bが延在する方向へ流れる際の流動抵抗と比較して小さい。従って、流体Cは、触媒エレメント27a、27bの積層枚数が多い場合でも、積層方向の位置に関らず略均等に各触媒エレメント27a、27bの内周部に到達し、各触媒体8a〜8d内部を内周部から外周部へ、又はその逆に外周部から内周部へ略均等に流れる。
【0075】
各環状空間部55a、55bから各触媒体8a〜8d内部への流体Cの流入についても、上記各中空部24a〜24dについてのものと同様である。
【0076】
触媒ユニット9A内部の上面及び下面を他の触媒エレメント27a、27bと接する触媒エレメント27a、27bの第1の貫通孔22においては、流体は当該第1の貫通孔22から上面及び下面の他の第1の貫通孔22へ流出して分散される。また、当該第1の貫通孔22へは、上面及び下面の他の第1の貫通孔22から流体が流入して合流する。従って、流体の混合効果が高く、流体Cは高度に混合され、高い反応率が得られる。
【0077】
特に、流体Cの流量が増大して流動状態が乱流に移行すると乱流及び渦流の効果が高くなって、分散及び合流に伴う流体の混合効果がより一層増大する。流量が少なく流動状態が層流の場合でも、流体は上面及び下面に分散し、合流することにより混合される。
【0078】
さらに、触媒エレメント27a、27bの各第1の貫通孔22が千鳥状に配列されているので、当該第1の貫通孔22から上面及び下面の他の第1の貫通孔22へ流出する際に、流れが容易に2つに分割され、又は、2つの流れが容易に合流させられる。
【0079】
本実施形態においては、触媒エレメント27a、27b、第1の板3及び第2の板4は各々に分解可能なので、触媒ユニット9Aの製作が容易であり、且つ安価に製作することができる。
なお、本実施形態において、第1環状空間部55a又は第2環状空間部55bに他の流体を供給することにより、実施形態1による反応器5Aのように多段で反応させることもできる。
触媒エレメント27としては、触媒能を有する材料を触媒エレメント27の形状にしたもの、担体を触媒エレメント27の形状とし触媒活性成分を担持したもの、触媒エレメント27の形状を有するアルミニウムを陽極酸化して表面に触媒活性成分を担持したもの等が使用される。
【0080】
触媒エレメント27a、27bの変形例については、積層エレメントの変形例1〜3と同様である。
【0081】
(反応装置の実施形態3)
図10は、反応装置の実施形態3による反応装置5C内部を流体Dが流れる様子を示した断面図である。反応装置5Cは図10に示すように、内部に触媒ユニット9Bが配され、触媒ユニット9Bを形成する各触媒体8a〜8dの触媒エレメント27a、27bの外径が容器50の内径と略同一である。他の構成は上記実施形態2における反応装置5Bと同様である。
【0082】
この反応装置5Cでは、容器50の内周面と触媒ユニット9Bの外周面が接しており、第1の板3の外径は第2の板4及び触媒体8a〜8dの外径よりも小さい。従って、流体Dは、第1触媒体8aと第2触媒体8bとの間、第3触媒体8cと第4触媒体8dとの間では、外周部で互いに連通する第1の貫通孔22間で流通する。
【0083】
以上の構成を有する反応装置5Cにおいて、例えば、適宜な圧送手段により入口51から流入した流体Dは、各触媒体8a〜8d内部の連通する第1の貫通孔22を触媒27a、27bの延在する方向に流通することにより混合されながら反応する。
本実施形態3は、触媒エレメント27a、27bの外径が容器50の内径と略同一であるため、触媒エレメント27a、27bの容器50の内部への設置が容易である。
【0084】
本実施形態3における反応装置5Cのその他の作用効果は、上記反応装置の実施形態2における反応装置5Bの作用効果と同様である。
【0085】
(反応装置の実施形態4)
図11は、反応装置の実施形態4による反応装置5D内部を流体Eが流れる様子を示した断面図であり、図12は、この反応装置5D内部に配設された触媒ユニット9Cを形成する触媒27cを示す斜視図である。
本実施形態4による反応装置5Dが実施形態3による反応装置5Cと異なるところは、反応装置5Dに配される複数の触媒エレメント27cが、図12に示すように、外側部に枠部25を有するとともに、中央部には第2の貫通孔23を設けずに第1の貫通孔22を全面に有していることである。また、第1の板3の外周形状は、当該板に重ね合わされた触媒27cの外周部付近の第1の貫通孔22が開放されるように、触媒エレメント27cよりも小径に形成されている。
この場合には、触媒エレメント27cの第1の貫通孔22は、半径方向及び円周方向に部分的に重なり合うように、その位置をずらせて配置され、第1の貫通孔22は触媒エレメント27cの延在する方向に連通させられる。
【0086】
反応装置5Dをこのように構成することによっても、適宜な圧送手段により入口51から流入した流体Eは、第2の板4の貫通孔41を介して触媒体8aに流入し、触媒体8a内部を放射状に流通しながら、触媒エレメント27cの連通する第1の貫通孔22を流通することにより高度に混合されながら反応する。最終的に、流体Eは、触媒ユニット9Cの一端の第2の板4の貫通孔41に連通する第1の貫通孔22を経て流出する。
【0087】
このように、本実施形態4による反応装置5Dによれば、触媒エレメント27cが第2の貫通孔23を備えないので製造が容易である。
また、触媒エレメント27cの外径が容器50の内径と略同一であるため、触媒エレメント27cの容器50の内部への設置が容易である。
本実施形態4の反応装置5Dにおけるその他の構成及び作用効果は、上記実施形態3の反応装置5Cと同様である。
【0088】
(反応装置の変形例)
本発明に係る反応装置5は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で変形して実施することができる。
また、容器50を略円筒状又は円筒状としているが、これに限定されるものではなく、例えば工場の排気ガス処理装置のように低い圧力で反応装置を使用する場合には矩形状でもよい。この場合、積層エレメント21、触媒エレメント27、第1の板3及び第2の板4の形状は、容器50の形状に対応して適宜設計変更される。
【0089】
また、積層エレメント21の第1の貫通孔22を略矩形状としているが、上述したように、本発明はこれに限定されるものではない。また、積層エレメント21a、21bの第1の貫通孔22の半径方向のピッチを略同一としているが、本発明はこれに限定されるものではない。また、第1の貫通孔22の大きさは積層エレメント21a、21bのように内周部から外周部に向かうに従って大きくなってもよく、図7(a)〜(d)に示されたように全て同一でもよい。
また、積層エレメント21の第2の貫通孔23を略円形状とし、第2の板4の貫通孔41を円形としているが、本発明は、これに限定されるものではなく、これらと同様な機能を果たす他の形状を採用し得る。また、積層エレメント21は第2の貫通孔23を略中央部に、第2の板4は貫通孔41を略中央部に有し、略同一径、略同心であるが、本発明はこれらと同様な機能を果たす他の形状を採用し得るものであって、これに限定されるものではない。
また、混合器1を、反応装置5B、5C又は5Dにおける触媒体8、第1の板3及び第2の板4のような組合せの構成にしてもよい。
【0090】
また、積層エレメント21aと積層エレメント21bは各々の形状が異なり、各々の複数の第1の貫通孔22は、互いに隣接する積層エレメント21a、21bの第1の貫通孔22とその位置をずらせて半径方向及び円周方向に部分的に重なり合うように配置されているが、これに限定されるものではない。
例えば、複数の第1の貫通孔22が同一の位置に配置されている同一形状の積層エレメント21を使用して、複数の第1の貫通孔22が半径方向及び円周方向に部分的に重なり合うように、その位置をずらせて配置しても良い。
【0091】
以上の積層エレメント21についての例は、積層エレメント21と同じ構造を有する触媒エレメント27についても同様である。
【0092】
また、反応装置に供給される流体は気体に限定されるものではなく、液体、気体と液体、液体と固体との混合物あるいはその他であってもよい。
【0093】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
【符号の説明】
【0094】
1、1a、1b、1c 混合器
2 積層体
3 第1の板
4 第2の板
5A、5B、5C、5D 反応装置
9A、9B、9C 触媒ユニット
21、21a、21b、21c、21d 積層エレメント
22 (積層エレメント、又は触媒エレメントの)第1の貫通孔
23 (積層エレメント、又は触媒エレメントの)第2の貫通孔
24、24a、24b、24c、24d 中空部
27、27a、27b、27c 触媒エレメント
41 (第2の板の)貫通孔
55、55a、55b 環状空間部
A、B、C、D、E 流体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口及び出口を有する容器内部で流体を反応させる反応装置であって、
前記容器内部には少なくとも2以上の触媒層が配され、且つ、少なくとも1の触媒層間に1又は2以上の流体を混合する混合器が配され、
前記混合器は、複数の積層エレメントが積層される積層体と、当該積層体を挟んで対向配置される第1の板と第2の板とを備え、
前記積層エレメントは、複数の第1の貫通孔を有し、
前記第1の板は、前記容器内側形状よりも小さい外側形状を有し、
前記第2の板は、前記容器内側形状と略同一の外側形状を有し、外側面が前記容器内側面と略内接しており、且つ前記積層エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通する貫通孔を有し、
前記積層体は、前記第1の貫通孔の一部又は全部が、隣接する積層エレメントの第1の貫通孔との間で流体を積層エレメントの延在する方向に流通可能に連通するように配置されている反応装置。
【請求項2】
請求項1に記載の反応装置において、
前記複数の積層エレメント、前記第1の板及び前記第2の板は、分解可能に固定されている反応装置。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1の請求項に記載の反応装置において、
前記積層エレメントは、前記第1の貫通孔より大きい第2の貫通孔を有し、且つ前記第2の貫通孔が積層方向に連通して前記積層体に中空部を形成するように配置されており、
前記第2の板の貫通孔が前記中空部を介して前記積層エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通するように配置されている反応装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1の請求項に記載の反応装置による流体の反応方法であって、
前記混合器の上流に配された触媒層からの流体と1又は2以上の他の流体を前記混合器内部に流入させ、前記積層エレメントの延在する方向に前記第1の貫通孔を流通させ、前記混合器外部に流出させ、前記混合器の下流に配された触媒層に流入させる反応方法。
【請求項5】
触媒ユニットであって、
複数の触媒エレメントが積層される触媒体と、当該触媒体を挟んで対向配置される第1の板と第2の板とを備え、
前記触媒エレメントは、複数の第1の貫通孔を有し、
前記第2の板は、前記触媒エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通する貫通孔を有し、
前記触媒エレメントは、前記第1の貫通孔の一部又は全部が、隣接する触媒エレメントの第1の貫通孔との間で流体を触媒エレメントの延在する方向に流通可能に連通するように配置されている触媒ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の触媒ユニットにおいて、
前記複数の触媒エレメント、前記第1の板及び前記第2の板は、分解可能に固定されている触媒ユニット。
【請求項7】
請求項5又は6のいずれか1の請求項に記載の触媒ユニットにおいて、
前記触媒エレメントは、前記第1の貫通孔より大きい第2の貫通孔を有し、且つ前記第2の貫通孔が積層方向に連通して前記触媒体に中空部を形成するように配置されており、
前記第2の板の貫通孔が前記中空部を介して前記触媒エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通するように配置されている触媒ユニット。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1の請求項に記載の触媒ユニットと、当該触媒ユニットを収容する入口及び出口を有する容器とを備える反応装置であって、
前記触媒ユニットにおける第1の板は、前記容器内側形状よりも小さい外側形状を有し、
前記触媒ユニットにおける第2の板は、前記容器内側形状と略同一の外側形状を有し、且つ当該第2の板の外側面が前記容器内側面と略内接している反応装置。
【請求項9】
請求項5乃至7のいずれか1の請求項に記載の触媒ユニットによる流体の反応方法であって、
流体を前記触媒ユニット内部に流入させ、前記触媒エレメントの延在する方向に前記第1の貫通孔を流通させ、前記触媒ユニット外部に流出させる反応方法。
【請求項1】
入口及び出口を有する容器内部で流体を反応させる反応装置であって、
前記容器内部には少なくとも2以上の触媒層が配され、且つ、少なくとも1の触媒層間に1又は2以上の流体を混合する混合器が配され、
前記混合器は、複数の積層エレメントが積層される積層体と、当該積層体を挟んで対向配置される第1の板と第2の板とを備え、
前記積層エレメントは、複数の第1の貫通孔を有し、
前記第1の板は、前記容器内側形状よりも小さい外側形状を有し、
前記第2の板は、前記容器内側形状と略同一の外側形状を有し、外側面が前記容器内側面と略内接しており、且つ前記積層エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通する貫通孔を有し、
前記積層体は、前記第1の貫通孔の一部又は全部が、隣接する積層エレメントの第1の貫通孔との間で流体を積層エレメントの延在する方向に流通可能に連通するように配置されている反応装置。
【請求項2】
請求項1に記載の反応装置において、
前記複数の積層エレメント、前記第1の板及び前記第2の板は、分解可能に固定されている反応装置。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1の請求項に記載の反応装置において、
前記積層エレメントは、前記第1の貫通孔より大きい第2の貫通孔を有し、且つ前記第2の貫通孔が積層方向に連通して前記積層体に中空部を形成するように配置されており、
前記第2の板の貫通孔が前記中空部を介して前記積層エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通するように配置されている反応装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1の請求項に記載の反応装置による流体の反応方法であって、
前記混合器の上流に配された触媒層からの流体と1又は2以上の他の流体を前記混合器内部に流入させ、前記積層エレメントの延在する方向に前記第1の貫通孔を流通させ、前記混合器外部に流出させ、前記混合器の下流に配された触媒層に流入させる反応方法。
【請求項5】
触媒ユニットであって、
複数の触媒エレメントが積層される触媒体と、当該触媒体を挟んで対向配置される第1の板と第2の板とを備え、
前記触媒エレメントは、複数の第1の貫通孔を有し、
前記第2の板は、前記触媒エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通する貫通孔を有し、
前記触媒エレメントは、前記第1の貫通孔の一部又は全部が、隣接する触媒エレメントの第1の貫通孔との間で流体を触媒エレメントの延在する方向に流通可能に連通するように配置されている触媒ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の触媒ユニットにおいて、
前記複数の触媒エレメント、前記第1の板及び前記第2の板は、分解可能に固定されている触媒ユニット。
【請求項7】
請求項5又は6のいずれか1の請求項に記載の触媒ユニットにおいて、
前記触媒エレメントは、前記第1の貫通孔より大きい第2の貫通孔を有し、且つ前記第2の貫通孔が積層方向に連通して前記触媒体に中空部を形成するように配置されており、
前記第2の板の貫通孔が前記中空部を介して前記触媒エレメントの少なくとも1つの第1の貫通孔に連通するように配置されている触媒ユニット。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1の請求項に記載の触媒ユニットと、当該触媒ユニットを収容する入口及び出口を有する容器とを備える反応装置であって、
前記触媒ユニットにおける第1の板は、前記容器内側形状よりも小さい外側形状を有し、
前記触媒ユニットにおける第2の板は、前記容器内側形状と略同一の外側形状を有し、且つ当該第2の板の外側面が前記容器内側面と略内接している反応装置。
【請求項9】
請求項5乃至7のいずれか1の請求項に記載の触媒ユニットによる流体の反応方法であって、
流体を前記触媒ユニット内部に流入させ、前記触媒エレメントの延在する方向に前記第1の貫通孔を流通させ、前記触媒ユニット外部に流出させる反応方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−194522(P2010−194522A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45414(P2009−45414)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000100838)アイセル株式会社 (62)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000100838)アイセル株式会社 (62)
【Fターム(参考)】
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