説明

収容タンク

【課題】本発明は、蓋体を開けた際にタンク本体に対して保持させることが可能であり、蓋体をタンク本体から容易に取り外すことも可能である粒剤等の収容タンクを提供すること。
【解決手段】本発明の収容タンク20は、上部に開口部36を有するタンク本体34と、開口部を閉じる蓋体38と、タンク本体の外面にて支持され、蓋体によりタンク本体の開口部を閉じた状態において、蓋体と係合してこれを固定する第一の位置から係合を解除する第二の位置へ枢動可能となっているフックと、を備え、フックは蓋体と係合したままの状態で枢動可能となっており、且つ、 フックが第二の位置にある場合に、蓋体の縁部と係合し、フックと協働して蓋体を静止状態に保持する係合部が、タンク本体の外面に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒剤等を収容するための収容タンクに関し、特に、乗用管理機等に搭載される粒剤散布装置における収容タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
水田や畑作において中間管理作業を行うための乗用管理機には、粒剤散布装置が搭載された型式のものがある。従来一般の粒剤散布装置は、例えば特許文献1や特許文献2に記載されるように、肥料等の粒剤を収容する収容タンクと、収容タンクの下部から粒剤を繰り出す繰出し装置とから構成されており、繰出し装置により繰り出された粒剤を直接、或いは、散布管を通して散布するようになっている。
【0003】
収容タンクは、上部が開口されたタンク本体と、このタンク本体の上部開口部を閉じる蓋体とから構成されている。一般的には、蓋体は粒剤投入時にタンク本体から完全に取り外される。しかしながら、取り外した蓋体を保管するスペースを確保することが困難である場合や、地面に置いた場合には汚れてしまう場合がある等の問題があった。
【0004】
このため、従来においては、特許文献2に記載されているように、通常の場合は蓋体をタンク本体から分離することなく保持でき、しかも必要に応じてタンク本体から取り外すこともできるよう、蓋体をタンク本体に対して脱着可能に枢支させたものが提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−333584号公報
【0006】
【特許文献2】
実開平7−4398号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2に記載のような従来の収容タンクは、ねじによって蓋体をタンク本体に脱着可能に枢支しているため、洗浄等のために蓋体をタンク本体から取り外した場合には手間がかかるという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、蓋体を開けた際にタンク本体に対して保持させることが可能であり、蓋体をタンク本体から容易に取り外すことも可能である粒剤等の収容タンクを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による収容タンク(20)は、上部に開口部(36)を有するタンク本体(34)と、開口部(36)を閉じる蓋体(38)と、タンク本体(34)の外面にて支持され、蓋体(38)によりタンク本体(34)の開口部(36)を閉じた状態において、蓋体(38)と係合してこれを固定する第一の位置から係合を解除する第二の位置へ枢動可能となっているフック(44)と、を備え、フック(44)は蓋体(38)と係合したままの状態で枢動可能となっており、且つ、フック(44)が第二の位置にある場合に、蓋体(38)の縁部と係合し、フック(44)と協働して蓋体(38)を静止状態に保持する係合部(49)が、タンク本体(34)の外面に設けられていることを特徴としている。
【0010】
この構成では、フック(44)が蓋体(38)のヒンジとして機能する一方、従来から知られたフック(44)本来の機能は損なわれていないので、蓋体(38)を容易にタンク本体(34)から取り外すことができる。
【0011】
なお、係合部(49)としてはフック(44)を枢支するフック支持金具(46)から構成されたものが、部品点数を少なくするために好ましい。
【0012】
また、フック(44)及び係合部(49)が当該収容タンク(20)の前後にそれぞれ設けられていることが有効である。前後で開閉することができるからである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明が適用された乗用管理機の一種、ブームスプレーヤを示している。図示するように、本実施形態に係るブームスプレーヤ10は、走行台車12の前方に液剤散布装置であるブームノズル装置14が設置されており、更に、そのブームノズル装置14に粒剤散布装置16が搭載されている。
【0015】
粒剤散布装置16は、ブームノズル装置14のセンタブーム18に対して脱着可能に設置されるようになっている。この粒剤散布装置16は、図2に示すように、粒剤を収容する収容タンク20と、収容タンク20の下部開口から粒剤を所望量で繰り出すための繰出し装置22と、繰出し装置22により繰り出された粒剤を散布するための散布管24から主に構成されている。散布管24はブームノズル装置14のセンタブーム18及びサイドブーム26に沿って配置されている。なお、符号28は、収容タンク20をセンタブーム18に固定するための支持フレームである。
【0016】
かかる粒剤散布装置16は、走行台車12の前方に配置されているため、運転席30から散布状態を視認することが可能である。また、粒剤を収容タンク20に投入する場合には、前側から行うことも、平行リンク機構32により上昇させた状態では運転席30から行うことも可能となっている。
【0017】
図3は収容タンク20の断面図である。図示するように、収容タンク20は、上部が開口されたホッパ状のタンク本体34と、タンク本体34の上部開口部36を覆うようにして閉じる蓋体38とから構成されている。
【0018】
タンク本体34の上部開口部36を画している上縁部は、その全周にわたり、外側に折り返されており、これによりタンク本体34の強度が増されている。
【0019】
また、蓋体38は平板状であるが、その外周縁はタンク本体34の上縁の折返し部に掛かるよう垂下されている。また、蓋体38の前後の外縁部には、それぞれ、1対の隆起部40が形成されている。この隆起部40は、図4に明示するように、蓋体38でタンク本体34の上部開口部36を閉じた状態にて、タンク本体34の前板42a及び後板42bのそれぞれに設けられたフック44が係合され、蓋体38をタンク本体34に固定できるようにしている。
【0020】
フック44は金属製の丸棒を屈曲加工して形成されたものである。各フック44の両端部は、タンク本体34の前板部42a及び後板部42bの外面に固定されたフック支持金具46の丸穴48に嵌合され、これによってフック44を枢動可能に支持している。フック支持金具46はL字状であり、丸穴48が形成されている部分49は、タンク本体34から離れる方向に突出している。また、フック44は、フック支持金具46から湾曲部50を経て、タンク本体34の外側へと延びている。この湾曲部50は、図3及び図4に示した係合解除位置(第二の位置)において、下方に膨らむ円弧状となっている。円弧の直径は、蓋体38の外縁部の最大高さ(隆起部40における位置の厚さ)よりも大きく、従って蓋体38の外縁部を収容できる大きさとなっている。フック44の両湾曲部50間は、前板部42a又は後板部42bの上縁に平行に延びており、その両端の部分が蓋体38の隆起部40と係合する係合部54となっている。なお、この係合部54間はフック44を操作するためのハンドル部56となっている。
【0021】
このようなフック44は、図3〜図5に示す係合解除位置と、図2及び図6に示す係合位置(第一の位置)との間で、上下に枢動することができる。係合解除位置では、図5に示すように、蓋体38の隆起部40から分離させることができるので、前後のフック44を図5の状態とすることで、蓋体38をタンク本体34から完全に取り外すことができる。従って、蓋体38のみ洗浄作業等もフック44の係合を解除するだけで、簡単に行うことができる。また、係合位置では、図6に示すように、タンク本体34の上縁部に蓋体38を適正に載せた状態であれば隆起部40と係合し、蓋体38はタンク本体34の上部開口部36を閉じた状態とする。
【0022】
ここで、一方のフック44、例えば後側(運転席30側)のフック44を係合解除位置として隆起部40から分離させ、前側のフック44はそのまま隆起部40に係合させた状態とする。この状態で、蓋体38の後縁部を持ち上げると、蓋体38は、前側の隆起部40が前側のフック44と係合状態を維持したまま、フック44の枢支点(丸穴48の中心)を中心にして回動する。そして、蓋体38の回動を続けると、図3、特に図4に示すように、蓋体38の前縁部の下縁60が、フック支持金具46の突出部49の下縁に接する。従って、蓋体38は静止状態で安定することとなり、作業者は、蓋体38をタンク本体34から取り外すことなく、運転席30の側から粒剤をタンク本体34に投入することができる。
【0023】
図3及び図4の位置からタンク本体34の上部開口部36を閉じるには、蓋体38を逆方向に回動させればよいが、その際、蓋体38の前側の隆起部44は前側のフック44と係合状態を保っているので、蓋体38はフック44の枢支点を中心として安定して回動し、蓋体38はタンク本体34の上部の所望位置に載り、確実にタンク本体34の上部開口部36を閉じることができる。収容タンク20が大型化した場合、蓋体38も大型化するため、蓋体38を完全にタンク本体34から取り外した場合には、蓋体38を元の位置に戻す際、位置合わせ等に手間がかかるが、本実施形態の構成では、蓋体38を回動させるだけでよく、位置合わせ等の手間は不要となる。
【0024】
上記の蓋体38の開閉操作は、前後逆にして行うことが可能であるので、蓋体38を前側から開けて、前側から粒剤を投入することができる。勿論、この場合も蓋体38をタンク本体34から取り外さずに行うことができる。
【0025】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0026】
例えば、上記実施形態では、前後に同一形状のフックと隆起部が設けられているが、収容タンクの蓋体が一方向のみからの開閉で足りる場合等には、一方の側のフック及び隆起部が上記構成を備えていればよい。
【0027】
また、上記実施形態では、フック支持金具に蓋体の縁部が係合することとなっているが、フック支持金具とは別個に、蓋体の縁部が係合する係合部を設けることとしてもよい。
【0028】
更に、上記実施形態は粒剤を収容するための収容タンクに係るものであるが、収容されるものについては粒剤に限られない。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、蓋体を固定するためのフックをヒンジとして使用し、蓋体をタンク本体から分離させずに、開閉を行うことができる。従って、蓋体をタンク本体から取り外して、適当な保管スペースに置くための手間等がない。また、蓋体をタンク本体から完全に取り外すこともでき、しかもその取外し作業はフックを回動させるだけの容易なものである。従って、収容タンクに係る作業性が大いに向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による収容タンクを備えたブームスプレーヤを示す側面図である。
【図2】本発明による収容タンクを示す斜視図である。
【図3】本発明による収容タンクを示す断面図である。
【図4】図3の収容タンクの要部を拡大して示す断面図であり、蓋体を係合したままフックを係合解除位置とした状態を示す図である。
【図5】図3の収容タンクの要部を拡大して示す断面図であり、蓋体からフックを外した状態を示す図である。
【図6】図3の収容タンクの要部を拡大して示す断面図であり、蓋体にフックを係合させた状態を示す図である。
【符号の説明】
10…ブームスプレーヤ、12…走行台車、14…ブームノズル装置、16…粒剤散布装置、20…粒剤タンク、34…タンク本体、36…上部開口部、38…蓋体、40…隆起部、44…フック、46…フック支持金具、49…係合部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部(36)を有するタンク本体(34)と、
前記開口部(36)を閉じる蓋体(38)と、
前記タンク本体(34)の外面にて支持され、前記蓋体(38)により前記タンク本体(34)の前記開口部(36)を閉じた状態において、前記蓋体(38)と係合してこれを固定する第一の位置から前記係合を解除する第二の位置へ枢動可能となっているフック(44)と、
を備え、
前記フック(44)は前記蓋体(38)と係合したままの状態で枢動可能となっており、且つ、
前記フック(44)が前記第二の位置にある場合に、前記蓋体(38)の縁部と係合し、前記フック(44)と協働して前記蓋体(38)を静止状態に保持する係合部(49)が、前記タンク本体(34)の外面に設けられていることを特徴とする収容タンク。
【請求項2】
前記係合部(49)が前記フック(44)を枢支するフック支持金具(46)から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の収容タンク。
【請求項3】
前記フック(44)及び前記係合部(49)が当該収容タンク(20)の前後にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の収容タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2004−323083(P2004−323083A)
【公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−122793(P2003−122793)
【出願日】平成15年4月25日(2003.4.25)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】