説明

収容物固定具

【課題】直方体や立方体の容器を使用した場合であっても、収容物を容器の内部に安定に固定させることができ、かつ容易に作製することのできる収容物固定具を提供すること。
【解決手段】本発明の収容物固定具1は、周壁21、21aを構成するための周壁部2と、収容物固定具1を容器8の内部に固定するための固定片3とからなる一体の帯状体であり、固定片3は、固定片折曲部33を介して隣接片31と当接片32とからなり、使用時には、周壁部2の端部24が周壁部2と固定片3との境界部25に当接して、周壁部2が多角形形状を呈する収容部4を形成し、隣接片31と当接片32とが固定片折曲部33において180度未満の角度をなすとともに、当接片32の端部321が容器8の角部81に当接することにより、隣接片31が周壁21aを隣接支持して容器8の内部で収容部4の多角形形状を維持することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に収容される収容物を、当該容器の内部に固定して収容するための収容物固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を保管したり輸送したりするために、例えば、段ボール製の容器が広く使用されている。このような容器として、隙間なく安定に積み上げることができるという観点から、直方体や立方体の形状のものが広く普及している。
【0003】
ここで、容器に収容される物品(収容物)の形状について考えると、必ずしも直方体や立方体の容器の内部に安定して収容される形状でないことが多い。例えば、円盤状の形状を呈する電子部品の巻き取り用リール、ピザパイ等や、曲面を有する家電製品等のような収容物を直方体や立方体の収容しようとすると、収容物を収容した後の容器の内部、特に容器の角となる部分に無駄な空間、いわゆるデッドスペースができる。容器の内部にこのような空間が存在すると、収容物の安定性が悪くなり、輸送中に収容物が容器の内部で動いてしまうことがある。このように、収容物が輸送中に容器の内部で動くと、収容物の破損事故を引き起こす要因となる。このような問題は、円盤形状や曲面を有する形状等の収容物を容器に収容しようとする場合に限らず、例えば、収容物の大きさが容器の大きさに比べて小さい場合にも発生する。
【0004】
そこで、容器の角や隙間にフィットするような形状をした箱や発泡スチロール等の詰め物を容器の四隅等の隙間に入れることが広く行われている。例えば、図4に示すように、円盤状の収容物5を直方体の容器8に収容する場合、三角柱の形状をした詰め物9を容器の四隅に入れることが行われている。図4は、三角柱形状の詰め物を使用して、直方体の容器に円盤形状の物品を収容した状態を示す斜視図である。
【0005】
また、特許文献1のように、円盤状の収容物を収容する容器として、八角形の形状をした仕切りが付与されたものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−42634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の詰め物は、空間を埋めるものであるので、例えば箱型形状のように、立体的な形状を有するものを使用する必要がある。そのような詰め物を紙製の素材で作製しようとすると、詰め物の作製のための加工に大きな手間がかかる。このような問題は、発泡スチロール製の詰め物を使用すれば解決できるかもしれないが、発泡スチロール製の詰め物を使用すると、今度は廃棄物の問題を生じる可能性がある。
【0008】
また、特許文献1に記載されたような容器は、容器を作製する際に、原紙を複雑な形状に打ち抜き加工する必要があるので、作製に大きな手間がかかるし、原紙のロスも大きい。
【0009】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、直方体や立方体の容器を使用した場合であっても、収容物を容器の内部に安定に固定させることができ、かつ容易に作製することのできる収容物固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、以下のような収容物固定具を使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明の収容物固定具は、使用時に、容器に内接し、周壁を辺とした多角形形状を呈する収容部を有し、前記容器に収容される収容物を、前記収容部の内部に当接収容することにより前記容器の内部に固定するための収容物固定具である。そして、この収容物固定具は、前記周壁を構成するための周壁部と、前記収容物固定具を前記容器の内部に固定するための固定片とからなる一体の帯状体であり、前記固定片は、固定片折曲部を介して隣接片と当接片とからなり、使用時には、前記周壁部の端部が前記周壁部と前記固定片との境界部に当接して、前記周壁部が多角形形状を呈する前記収容部を形成し、前記隣接片と前記当接片とが前記固定片折曲部において180度未満の角度をなすとともに、前記当接片の端部が前記容器の角部に当接することにより、前記隣接片が前記周壁を隣接支持して前記容器の内部で前記収容部の多角形形状を維持することを特徴とする。
【0012】
この収容物固定具は、前記隣接片と前記当接片とが前記固定片折曲部において直角をなすことが好ましい。
【0013】
また、前記容器の底面が正方形であり、かつ前記収容部の形状が正八角形であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、直方体や立方体の容器を使用した場合であっても、収容物を容器の内部に安定に固定させることができ、かつ容易に作製することのできる収容物固定具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の収容物固定具の一実施形態における使用状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の収容物固定具の一実施形態が容器に適用された状態を示す平面図である。
【図3】本発明の収容物固定具の一実施形態を示す平面図である。
【図4】三角柱形状の詰め物を使用して、直方体の容器に円盤形状の物品を収容した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の収容物固定具の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の収容物固定具の一実施形態における使用状態を示す斜視図である。図2は、本発明の収容物固定具の一実施形態が容器に適用された状態を示す平面図である。図3は、本発明の収容物固定具の一実施形態を示す平面図である。
【0017】
本実施形態における収容物固定具1は、段ボールによって構成される。しかし、本発明の収容物固定具を構成する素材は、これに限定されず、例えば、プラスチック段ボール、樹脂発泡体、樹脂板等、板状に加工した際に収容物を支えることのできるだけの強度を有し、かつ折り曲げ加工が可能なものであれば任意のものを使用することができる。
【0018】
まず、図1を使用して、本実施形態の収容物固定具1の使用状態について説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の収容物固定具1は、正方形の底面を有する容器8に使用され、使用時に、8枚の周壁21、21aからなる辺を有する正八角形形状を呈する。この正八角形形状の内部は、収容物5を収容するための収容部4となる。ここで、収容物固定具1の使用時において、8枚存在する周壁のうち、後に説明する隣接片31に隣接することになる周壁を特に周壁21aと呼ぶ。なお、本実施形態の収容物固定具1は、上記のように、段ボールという厚みのある素材によって構成されているので、使用状態において、必ずしも正確な正八角形形状を呈するものではなく、「実質的に」正八角形であるに過ぎない。しかし、本発明では、このように実質的に正多角形であるものも、正多角形と呼ぶ。
【0020】
本実施形態の収容物固定具は、例えば、電子部品の巻き取り用リール等のように、円盤形状の収容物5に対して好ましく使用される。収容物5は、収容物固定具1が呈する正八角形形状の内部、すなわち収容部4に当接収容されることにより、容器8の内部に固定される。ここで、「当接収容」とは、8枚の周壁21、21aに当接して収容されることを意味する。つまり、収容物5は、8枚の周壁21、21aのそれぞれと当接することにより、収容部4の内部に固定される。
【0021】
次に、図3を使用して、本実施形態の収容物固定具1の構成を説明する。
本実施形態の収容物固定具1は、周壁部2と固定片3とからなる一体の帯状体である。そして、周壁部2と固定片3とは、境界部25によって区画される。
【0022】
周壁部2は、周壁部2を長さ方向に8等分する7本の周壁折曲部23によって、8枚の周壁21、21aに区画される。8枚の周壁21、21aは、収容物固定具1の使用時に、正八角形形状の収容部4を構成するのに使用される。具体的には、8枚の周壁21、21aは、収容物固定具1の使用時に、正八角形である収容部4の各辺を構成する。なお、これら8枚の周壁のうち、周壁部2の端部24側に位置する周壁は、収容物固定具1の使用時において、後に説明する隣接片31に隣接することになる周壁21aである。
【0023】
固定片3は、収容物固定具1を容器8の内部に固定するために使用され、固定片折曲部33を介して隣接片31と当接片32とからなる。隣接片31は、収容物固定具1の使用時に、周壁21aに隣接する。そして、隣接片31から連続する当接片32は、その端部321を容器8の角部81に当接させる。これにより、隣接片31に隣接する周壁21aは、隣接片31及び当接片32により支えられて、固定される。
【0024】
収容物固定具1を作製するには、公知の方法により、収容物固定具1を構成するための素材を帯状に裁断するとともに、裁断された帯状の素材に対して、折目(周壁折曲部23、境界部25及び固定片折曲部33)を形成する加工を施せばよい。例えば、収容物固定具1を段ボールにより構成する場合には、抜き型装置を使用して、段ボール原紙を帯状に裁断する裁断加工と、裁断された帯状の段ボールに対して、周壁折曲部23、境界部25及び固定片折曲部33を形成させる折目加工と、を同時に行えばよい。
【0025】
帯状の収容物固定具1の短手方向(幅方向)の大きさは、収容物固定具1の使用時に、収容物固定具1の高さとなるので、収容物5の大きさや、容器8の大きさ等を考慮して適宜決定すればよい。また、帯状の収容物固定具1の長手方向(長さ方向)の大きさは、各々の周壁21、21a、隣接片31及び当接片32の長さの和となる。各々の周壁21、21a、隣接片31及び当接片32の長さについては、後述する。
【0026】
次に、図1及び図2を使用して、本実施形態の収容物固定具1の詳細な使用状態及び作用について説明する。
【0027】
既に説明したように、本実施形態の収容物固定具1は、使用時に正八角形形状を呈する収容部4を形成する。周壁部2は、7本の周壁折曲部23によって折り曲げられることで区画され、8枚の周壁21、21aを形成する。8枚の周壁21、21aは、周壁部2の端部24が周壁部2と固定片3との境界部25に当接することにより、正八角形形状である収容部4を形成する。収容部4は、容器8に内接する。各々の周壁21、21aの長さは、収容部4が容器8に内接するように適宜決定すればよい。
【0028】
周壁部2と固定片3との境界である境界部25において、固定片3は、容器8の内側方向に折り曲げられる。これにより、固定片3に含まれる隣接片31は、周壁部2の端部24側(すなわち、収容物固定具1の端部側)に存在する周壁21aに隣接する。
【0029】
当接片32は、固定片折曲部33において、容器8の外側方向に折り曲げられる。このとき、隣接片31と当接片32とが固定片折曲部33において直角(90度)をなし、当接片32の端部321が容器8の角部81に当接する。固定片3における固定片折曲部33の位置は、隣接片31と当接片32とが固定片折曲部33において直角を形成するように適宜決定すればよい。また、当接片32の長さは、当接片32の端部321が容器8の角部81に当接するように適宜決定すればよい。
【0030】
本実施形態の収容物固定具1が上記のように使用されることにより、周壁部2の端部24は、周壁部2と固定片3との境界である境界部25で係止される。そして、周壁部2の端部24側の周壁21aは、隣接片31及び当接片32によって隣接支持されるとともに、収容物5と当接することにより、固定される。これにより、収容物固定具1は、使用時に、収容部4を正八角形形状に維持する。そして、収容部4は、容器8に内接することにより、容器8の内部で位置が固定される。これにより、収容部4の内部に当接収容された収容物5は、容器8の内部に固定され、輸送中に、容器8に振動や衝撃が加わったとしても動くことはない。
【0031】
以上のような作用により、本実施形態の収容物固定具1は、容器8の内部に収容物5を固定する。本実施形態の収容物固定具1は、粘着テープ等による接着加工を必要とせずに、容易に作製することができる一方で、直方体や立方体の容器8の内部に例えば円盤形状の収容物5を収容する場合であっても、収容物5を容器8の内部に安定して固定することができる。
【0032】
以上、本発明の収容物固定具について一実施形態を示して具体的に説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成の範囲において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0033】
例えば、上記実施態様では、収容部4の形状は、正八角形であったが、他の多角形形状であってもよく、容器に収容される収容物の形状に合わせて適宜決定すればよい。例えば、収容部4の形状は、六角形、五角形、四角形、三角形等の形状とすることができる。このような形状の収容部4とするためには、周壁21、21aの枚数を適宜変更すればよい。例えば、収容部4の形状を六角形とすることを所望するならば、周壁21、21aの枚数を6枚とすればよいし、収容部4の形状を五角形とすることを所望するならば、周壁21、21aの枚数を5枚とすればよい。なお、上記実施形態のように、円盤形状の収容物を収容する場合、収容部4の形状は、正八角形であることが好ましい。
【0034】
また、収容部4の形状は、必ずしも正多角形である必要はなく、各辺の長さの異なる多角形であってもよい。このため、収容物5の形状に合わせて、各々の周壁21、21aの長さを適宜設定すればよい。
【0035】
また、上記実施形態では、収容物5は、円盤形状であったが、多角形形状である収容部4の内部に当接して収容されるものであれば、どのような形状であってもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、容器8の底面は、正方形だったが、長方形であってもよい。この場合、収容物固定具1が使用時に容器8に内接することができるように、収容部4の形状や、各々の周壁21、21aの長さを適宜設定すればよい。なお、上記実施形態のように、円盤形状の収容物を収容する場合、一般的には、容器8の底面の形状が正方形であることが好ましい。
【0037】
また、上記実施形態では、隣接片31と当接片32とが固定片折曲部33において直角(90度)をなしていたが、これに限定されず、隣接片31と当接片32とが固定片折曲部33において180度未満の角度をなしていればよい。ここで、隣接片31と当接片32とが固定片折曲部33においてなす角度とは、当接片32が固定片折曲部33において容器8の外側方向に折り曲げられたときにおける内角を意味し、図2における角度θである。つまり、既に説明したように、当接片32は、固定片折曲部33において、容器8の外側方向に折り曲げられるが、このとき何らかの折り曲げがなされていればよい。このような折り曲げがなされるとともに、当接片32の端部321が容器8の角部81に当接することにより、周壁部2の端部24方向に位置する周壁21aは、隣接片31及び当接片32によって隣接支持される。なお、この隣接支持の効果を大きくするとの観点からは、隣接片31と当接片32とが固定片折曲部33においてなす角度θが90度であることが好ましい。
【符号の説明】
【0038】
1 収容物固定具
2 周壁部
21 周壁
23 周壁折曲部
24 (周壁部2の)端部
3 固定片
31 隣接片
32 当接片
321 (当接片32の)端部
33 固定片折曲部
4 収容部
5 収容物
8 容器
81 (容器8の)角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に、容器に内接し、周壁を辺とした多角形形状を呈する収容部を有し、
前記容器に収容される収容物を、前記収容部の内部に当接収容することにより前記容器の内部に固定するための収容物固定具であって、
前記収容物固定具は、前記周壁を構成するための周壁部と、前記収容物固定具を前記容器の内部に固定するための固定片とからなる一体の帯状体であり、
前記固定片は、固定片折曲部を介して隣接片と当接片とからなり、
使用時には、
前記周壁部の端部が前記周壁部と前記固定片との境界部に当接して、前記周壁部が多角形形状を呈する前記収容部を形成し、
前記隣接片と前記当接片とが前記固定片折曲部において180度未満の角度をなすとともに、前記当接片の端部が前記容器の角部に当接することにより、前記隣接片が前記周壁を隣接支持して前記容器の内部で前記収容部の多角形形状を維持することを特徴とする収容物固定具。
【請求項2】
使用時に、前記隣接片と前記当接片とが前記固定片折曲部において直角をなす請求項1記載の収容物固定具。
【請求項3】
前記容器の底面が正方形であり、かつ前記収容部の形状が正八角形である請求項1又は2記載の収容物固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−93558(P2011−93558A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248572(P2009−248572)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(508288526)株式会社フタバ (5)
【Fターム(参考)】