説明

収容装置、像形成組立体、および画像形成装置

【課題】粉体を収容する能力が高い収容装置、像形成組立体、および画像形成装置を提供する。
【解決手段】粉体が収容される内部空間の最上部よりも下方に粉体の流入口722を有する収容容器721と、収容容器内部の流入口に面した位置に配置され、流入口に沿って回転軸を有し、回転により、粉体を上方かつ流入口から離れる方向に搬送する搬送部材と、搬送部材を流入口との間に挟んだ位置に配置され、上縁が搬送部材の回転軸および流入口の下縁よりも上方に位置する仕切板724とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容装置、像形成組立体、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナー回収容器内に回収されたトナーをトナー回収口から遠ざける方向に移送するトナー移送ユニットをトナー回収容器内に上下に揺動自在に支持して、トナー回収容器の底部に堆積されたトナーにも搬送力を伝達するトナー回収装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、トナー回収容器内へトナーを受入れる容器回収口の下方に架設された容器内の仕切り板と、仕切り板上下の第1空間部及び第2空間部と、これらに連通する第3空間部と、回収口からのトナーを空間部から空間部へ放出する第1トナー搬送部材と、空間部から落下してくるトナーを空間部の奥側へ搬送する第2トナー搬送部材とを有するトナー回収装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−209782号公報
【特許文献2】特開2008−083630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、粉体を収容する能力が高い収容装置、像形成組立体、および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の収容装置は、
粉体が収容される内部空間の最上部よりも下方に粉体の流入口を有する収容容器と、
上記収容容器内部の上記流入口に面した位置に配置され、その流入口に沿って回転軸を有し、回転により、粉体を上方かつその流入口から離れる方向に搬送する搬送部材と、
上記搬送部材を上記流入口との間に挟んだ位置に配置され、上縁が上記搬送部材の回転軸および上記流入口の下縁よりも上方に位置する仕切板とを有することを特徴とする。
【0007】
請求項2の収容装置は、上記仕切板下縁が、上記収容容器の内壁に接触していることを特徴とする。
【0008】
請求項3の収容装置は、上記搬送部材が、上記回転軸を軸方向に見たときに、この回転軸の周りに、この回転軸から放射状に広がり、先端部が、この回転軸の回転方向に折れ曲がった形状の羽根を有することを特徴とする。
【0009】
請求項4の収容装置は、上記仕切板が、この仕切板の上縁から下縁に向かって、上記流入口から見て奥側に下がった斜面を有するものであることを特徴とする。
【0010】
請求項5の収容装置は、上記収容容器が、上記流入口を側面に有することを特徴とする。
【0011】
請求項6の像形成組立体は、
像を形成し、像形成に際して生じた不要な粉体を排出する像形成部と、
上記像形成部から排出された粉体を回収する回収部とを有し、
上記回収部が、
回収された粉体が収容される内部空間の最上部よりも下方に粉体の流入口を有する収容容器と、
上記収容容器内部の上記流入口に面した位置に配置され、その流入口に沿って回転軸を有し、回転により、粉体を上方かつその流入口から離れる方向に搬送する搬送部材と、
上記搬送部材を上記流入口との間に挟んだ位置に配置され、上縁が上記搬送部材の回転軸および上記流入口の下縁よりも上方に位置する仕切板とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項7の画像形成装置は、
筐体と、
上記筐体に着脱自在に構成されてこの筐体内に収容された、像を形成する像形成組立体と、
上記像を用紙に転写定着してこの用紙上に画像を形成する転写定着部とを備え、
上記像形成組立体が、
像を形成し、像形成に際して生じた不要な粉体を排出する像形成部と、
上記像形成部から排出された粉体を回収する回収部とを有し、
上記回収部が、
回収された粉体が収容される内部空間の最上部よりも下方に粉体の流入口を有する収容容器と、
上記収容容器内部の上記流入口に面した位置に配置され、その流入口に沿って回転軸を有し、回転により、粉体を上方かつその流入口から離れる方向に搬送する搬送部材と、
上記搬送部材を上記流入口との間に挟んだ位置に配置され、上縁が上記搬送部材の回転軸および上記流入口の下縁よりも上方に位置する仕切板とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の収容装置によれば、搬送部材および仕切板を有していない場合と比較して、粉体を収容する能力が高い。
【0014】
請求項2の収容装置によれば、流入口から見て仕切板の向こう側に搬送された粉体が、仕切板下縁と収容容器内壁との間を通って、流入口から見て手前側に移動することが防止される。
【0015】
請求項3の収容装置によれば、折れ曲がりのない形状の羽根を有する搬送部材の場合と比較して、粉体を搬送する搬送能力が高い。
【0016】
請求項4の収容装置によれば、流入口から見て仕切板の向こう側に搬送された粉体が仕切板でさらに流入口から離れる方向に送られる。
【0017】
請求項5の収容装置によれば、流入口を上面に設けた構成と比較して、収容容器の上方に他の部材を配置するといったレイアウトの自由度が高い。
【0018】
請求項6の像形成組立体、および請求項7の画像形成装置によれば、搬送部材および仕切板を有していない場合と比較して、回収された粉体を収容する能力が高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態である画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示す画像形成装置の扉を開いた状態を示す斜視図である。
【図4】プロセスカートリッジを取り出す途中の状態を示す斜視図である。
【図5】プロセスカートリッジの外観を示す斜視図である。
【図6】プロセスカートリッジの構成を示す断面図である。
【図7】第2実施形態におけるプロセスカートリッジの構成を示す断面図である。
【図8】第3実施形態におけるプロセスカートリッジの構成を示す断面図である。
【図9】第4実施形態におけるプロセスカートリッジの構成を示す断面図である。
【図10】第5実施形態におけるプロセスカートリッジの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本発明の第1実施形態である画像形成装置の概略構成を示す断面図である。また、図2は、図1に示す画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【0022】
図1および図2に示す画像形成装置1は、用紙上に電子写真方式により画像をプリントするプリンタである。なお、この画像形成装置1は、用紙すなわち紙の記録媒体のみならず、OHPシートに代表される樹脂の記録媒体にも対応した装置であるが、以下の説明では、特に断らない限り、用紙で記録媒体を代表させて説明しているものとする。
【0023】
画像形成装置1は、トナー像形成部10、露光器20、用紙搬送装置30、転写器40、定着器50、および用紙収容部60を備えている。トナー像形成部10は、感光体11、帯電器12、現像器13、清掃器14、およびトナー回収路15を備えている。このトナー像形成部10が、本発明にいう像形成部の一例に相当する。
【0024】
感光体11は、円筒状の表面を有しており、図示しないモータによって円筒の軸周りである矢印a方向に回転駆動する。感光体11は、表面に形成される静電潜像およびトナー像を保持する。帯電器12は、感光体11の表面を帯電させる。帯電器12は、ここに示す例では、感光体11に接触して回転する帯電ロールであるが、他の例としては、例えばコロトロンによる非接触式の帯電手段も採用され得る。
【0025】
露光器20は、感光体11を露光して感光体11上に静電潜像を形成する。露光器20は、帯電器12によって帯電された感光体11の表面を、外部から供給される画像信号に基づいた光ビームBmで走査し、感光体11の表面上に潜像を形成する。露光器20は光ビームBmで感光体11の表面を、感光体11の回転軸が延びる軸方向Xに走査する。
【0026】
現像器13は、感光体11上の潜像をトナーで現像して感光体11上にトナー像を形成する。現像器13は、トナーおよび磁性キャリアを含む現像剤を攪拌する攪拌部材132,133と、攪拌された現像剤を感光体11上に搬送する現像ロール131とを有する。
【0027】
転写器40は、感光体11との間に用紙を挟んで回転するロールであり、感光体11上のトナー像を用紙上に転写する。定着器50は、感光体11から転写を受けたトナー像を用紙上に定着する。定着器50は、加熱ロール51および加圧ロール52を備えており、定着前のトナー像が形成された用紙を挟んで通過させることによりトナーを加熱および加圧する。これにより、用紙上に定着トナー像からなる画像が形成される。この転写器40と定着器50との組み合わせが、本発明にいう転写定着部の一例に相当する。
【0028】
清掃器14は、感光体11上に接触し、用紙へのトナー像の転写後に感光体11上に残存する、トナー像形成に際して生じた不要なトナーを除去することにより、感光体11を清掃する。清掃器14は、ここに示す例では、感光体11に沿って延びた板状のブレードであるが、他の例としては、例えばブラシも採用され得る。
【0029】
トナー回収路15は、清掃器14により感光体11から除去されたトナーをトナー回収部72に排出する。トナー回収路15はパドル151を有する。パドル151は、トナー回収路15内部の、清掃器14に面した位置に配置されている。パドル151は、清掃器14に沿って軸方向Xに延びる回転軸151aを有する。回転軸151aは、軸周りである矢印b方向に回転する。尚、回転軸151aの駆動源は感光体11を回転駆動させるモータである。このため、回転軸151aの回転速度は、感光体11の回転速度変化に応じて変化する。パドル151は、回転軸151aを軸方向Xに見たときに、回転軸151aの周りに、回転軸151aから放射状に広がった形状の羽根151bを有する。パドル151は、羽根151bを有する回転軸151aが矢印b方向に回転することで、清掃器14により感光体11から除去されたトナーをトナー回収部72に向けて搬送する。
【0030】
用紙収容部60は、画像が形成される用紙を収容している。用紙収容部60は、3種類の用紙を収容する3つの用紙収容器61,62,63を備えている。3つの用紙収容器61〜63のうち、下に配置された2つの用紙収容器62,63は、作業者によって画像形成装置1の前面から前方向Fに引き出され、用紙が補給され、後ろ方向Bに押し込まれて画像形成装置1内に収容されることで、用紙に画像を形成し得る状態となる。3つの用紙収容器61〜63のうち残りの、上に配置された用紙収容器61は、画像形成装置1の前面に設けられた手差し扉81が前方向Fに開かれることで外部に露出し、用紙が補給される。
【0031】
用紙搬送装置30は、用紙を、転写位置を経由する搬送経路Rを搬送する。転写位置は、用紙が感光体11からトナー像の転写を受ける位置であり、感光体11と転写器40とに挟まれた位置である。用紙搬送装置30は、取出しロール31、捌きロール32、レジストレーションロール33、排出ロール34、および反転搬送ロール35を備えている。取出しロール31は、用紙収容器61〜63から用紙を取り出す。捌きロール32は、取出しロール31で取り出された用紙を1枚ずつに捌く。レジストレーションロール33は、感光体11にトナー像が形成されるタイミングに合わせて用紙を転写器40に送り込む。排出ロール34は、定着器50によってトナー像が定着された用紙を画像形成装置1の外部に排出する。排出ロール34によって排出された用紙は、画像形成装置1の上部に設けられた排出台83の上に排出される。排出された用紙のうち、排出台83からはみ出た一部が扉82の上に載る。扉82は、画像形成装置1の前面と上面を覆う部材である。扉82が画像形成装置1の前面に設けられた軸82aを中心として前方向Fに回転することで、画像形成装置1の内部の機構が露出する。排出ロール34は、両面プリントが実行される場合には、用紙を途中まで搬送した状態で逆転し、用紙を反転搬送経路R’に沿って搬送する。反転搬送ロール35は、用紙を反転搬送経路R’に沿って搬送し、レジストレーションロール33に送り込む。これによって用紙の、画像がすでに形成された面の反対面に新たな画像が形成される。
【0032】
第1実施形態の画像形成装置1は、画像形成装置1の前面側に用紙収容器62,63が引き出されて用紙が補給される。この画像形成装置1では、画像形成装置1より前方向Fの位置から用紙収容器61〜63に補給された用紙Pは、画像形成装置1の後部、具体的には、感光体11より後ろ方向Bに設けられた搬送経路Rを下から上に向かって搬送される。画像が形成された用紙Pは、画像形成装置1の上部にある排出台83の上に前方向Fに向かって排出される。この画像形成装置1では、作業者による新たな用紙の補給と、画像が形成された用紙の取り出しが装置より前方向Fの位置から行われる。したがって、画像形成装置1の軸方向Xの両脇に空間的な余裕がない場所にも設置され得る。また、画像形成装置1の上方には、用紙取出しおよび部品交換のための隙間をあけて、画像読取装置が配置され得る。
【0033】
また、画像形成装置1には、トナー回収部72、容器装着部73、トナー供給器74、および制御部1Cも備えられている。
【0034】
トナー回収部72は、清掃器14により感光体11から除去され、トナー回収路15によって排出されたトナーを回収する。このトナー回収部72が、本発明の収容装置の第1実施形態に相当するとともに、本発明の像形成組立体および画像形成装置にいう回収部の一例に相当する。トナー回収部72の具体的な構造については、後に説明する。
【0035】
容器装着部73は、トナー容器(トナーカートリッジ)TCが着脱自在に装着される。トナー容器TCには、現像器13への補給用のトナーが収容されている。トナーが消耗した場合には、作業者によってトナー容器TCが取り外され、新たなトナー容器TCと交換される。
【0036】
トナー供給器74は、トナー容器TCに収容されたトナーを現像器13に供給する。トナー供給器74は、トナー容器TCの下部から現像器13の上部まで延びた管の中に、螺旋形の羽根部材74aが配置された構造を有している。トナー供給器74は、羽根部材74aが回転することでトナーをトナー容器TCから現像器13に向けて搬送する。制御部1Cは、画像形成装置1の各部を制御する。
【0037】
上述したトナー像形成部10、トナー回収部72、容器装着部73、およびトナー供給器74は、プロセスカートリッジCRに備えられている。プロセスカートリッジCRは、画像形成装置1の本体1Aに対し着脱自在に装着されている。このプロセスカートリッジCRが、本発明の像形成組立体の第1実施形態に相当し、本体1Aが、本発明にいう筐体の一例に相当する。トナー容器TCは、プロセスカートリッジCRに対し着脱自在に装着されている。ここで、プロセスカートリッジCRが本体1Aに装着される方向を装着方向Jと称し、装着方向Jの反対方向を取外し方向Kと称する。また、装着方向Jおよび取外し方向Kを含む双方向を着脱方向JKと称する。プロセスカートリッジCRには、本体1Aに着脱される際に作業者が掴む把手76も備えられている。プロセスカートリッジCRの具体的な構造については、後に説明する。
【0038】
[画像形成装置の基本動作]
図1に示す画像形成装置1の基本動作を説明する。
【0039】
トナー像形成部10では、感光体11が矢印a方向に回転駆動され、感光体11の表面に帯電器12によって電荷が付与される。露光器20は、外部から供給される画像信号に基づく露光光を感光体11の表面に照射することで、感光体11の表面に静電潜像を形成する。感光体11は、静電潜像を保持しながら回転する。
【0040】
現像器13は、感光体11上の静電潜像をトナーで現像することで、トナー像を形成する。現像器13には、トナー供給器74によって、トナー容器TCからトナーが供給される。感光体11は、現像器13によって形成されたトナー像を保持しながら回転する。
【0041】
用紙収容器61,62,63に収容された用紙Pは、取出しロール31によって取り出され、捌きロール32、およびレジストレーションロール33によって搬送経路Rを転写器40に向かって搬送される。用紙Pは、レジストレーションロール33によって、感光体11上にトナー像が形成されていくタイミングに合わせて、転写器40に送り込まれる。転写器40は、感光体11と用紙との間に転写用のバイアス電圧を与えることによって、感光体11のトナー像を用紙に転写する。転写器40によって、トナー像が転写された用紙は定着器50に搬送され、転写されたトナー像が用紙上に定着される。このようにして、用紙上に画像が形成される。画像が形成された用紙は排出ロール34によって排出台83の上に排出される。
【0042】
転写器40による転写後、感光体11に残存したトナーは、清掃器14によって除去される。清掃器14により感光体11から除去されたトナーは、トナー回収路15によってトナー回収部72に排出され、トナー回収部72に回収されて収容される。
【0043】
[プロセスカートリッジの着脱]
図3は、図2に示す画像形成装置の扉を開いた状態を示す斜視図である。
【0044】
図3および図1を参照して説明を続ける。プロセスカートリッジCRは、画像形成装置1の前面および上面を覆う扉82が前方向Fに開かれることで、画像形成装置1の外部に露出する。より詳細には、扉82が開かれることで、プロセスカートリッジCRのうち、容器装着部73とトナー容器TCと把手76とが露出する。プロセスカートリッジCRは、本体1Aの装着部90に設けられた空洞に配置されている。装着部90の空洞は、画像形成装置1の本体1Aの前方向F斜め上に向かって開口した装着開口91を有する。
【0045】
図4は、プロセスカートリッジを取り出す途中の状態を示す斜視図である。図4には、画像形成装置1の上部に配置され得る画像読取装置RDの配置位置が破線で示されている。画像読取装置RDは、原稿から画像を読み取る装置であり、読み取った画像データを画像形成装置1に供給することで、画像形成装置1を例えば複写機として機能させる。
【0046】
操作者が把手76を掴んで引くと、プロセスカートリッジCRは、画像形成装置1の本体1Aから、前方向F斜め上に、すなわち取外し方向Kに引き出される。画像形成装置1の上方に画像読取装置RDが配置される場合、画像形成装置1と画像読取装置RDとの間には、用紙を取り出すための空間が設けられる。プロセスカートリッジCRの着脱の際には、プロセスカートリッジCRが、この画像形成装置1と画像読取装置RDとの間の用紙を取り出すための空間内を移動することとなる。
【0047】
[プロセスカートリッジの構成]
図5は、プロセスカートリッジの外観を示す斜視図である。また、図6は、プロセスカートリッジの構成を示す断面図である。
【0048】
図6には、プロセスカートリッジCRが画像形成装置1の本体1A(図1参照)に装着された状態における転写器40の位置も破線で示されている。
【0049】
プロセスカートリッジCRは、トナー像形成部10、トナー回収部72、容器装着部73、トナー供給器74、および把手76が一体化された交換ユニットである。このうちトナー像形成部10は、感光体11、帯電器12、現像器13、および清掃器14を有する。したがって、画像形成装置1(図1参照)において、プロセスカートリッジCRが交換されると、感光体11、帯電器12、現像器13、清掃器14、およびトナー回収部72のすべてが新品と交換されることになる。なお、トナー容器TCは、プロセスカートリッジCRの容器装着部73に着脱自在に装着されるので、プロセスカートリッジCRが本体1A(図1参照)に装着されたままの状態で、容器装着部73から取り外して新しいものに交換される。
【0050】
[トナー回収部の配置]
図6に示すプロセスカートリッジCRにおいて、トナー容器TCが装着される容器装着部73は、トナー像形成部10に隣接しておらず、トナー像形成部10から離れた位置に設けられている。トナー回収部72は、トナー像形成部10と容器装着部73とに挟まれた空間に広がっている。
【0051】
トナー回収部72を除く、トナー容器TCおよびトナー像形成部10は、プロセスカートリッジCRの中で、最も大きな空間を占める部位である。トナー容器TCおよびトナー像形成部10を互いに離れた位置に配置することで、プロセスカートリッジCRに突出部分を設けることなく、トナー容器TCおよびトナー像形成部10の間に大きな空間が確保される。トナー回収部72は、トナー容器TCとトナー像形成部10とに挟まれた空間に広がっている。このため、例えば、トナー容器TCとトナー像形成部が隣接しプロセスカートリッジに突出部分を設けることなく他の部品の隙間を利用してトナー回収部を配置した場合に比べ、大きい容量が確保される。
【0052】
トナー回収部72は、トナーが内部に収容しきれない状態、すなわち、清掃器14によって感光体11から除去されたトナーがトナー回収部72の内部に送り込まれない満杯状態となると、使用不能となる。したがって、プロセスカートリッジCRを新たなものに交換することが求められる。つまり、トナー回収部72の容量は、プロセスカートリッジCRの寿命を決める要因の一つである。プロセスカートリッジCRが長寿命化するためには、トナー回収部72に効率よくトナーを収容する必要がある。
【0053】
[トナー回収部の構造]
図6に示すように、トナー回収部72は、トナー回収容器721と、パドル723と、仕切板724とを有する。
【0054】
トナー回収容器721は、回収されたトナーが収容される内部空間の最上部721aよりも下方にトナーの流入口722を有する。より詳細には、トナー回収容器721は、流入口722を側面721bに有する。このため、トナー回収容器の上面に流入口を配置した場合に比べ、トナー回収容器721の上方に他の部材を配置するといったレイアウトの自由度が高い。このトナー回収容器721が、本発明にいう収容容器の一例に相当する。
【0055】
パドル723は、トナー回収容器721内部の、流入口722に面した位置に配置されている。パドル723は、流入口722に沿って軸方向Xに延びる回転軸723aを有する。回転軸723aは、軸周りである矢印c方向に回転する。尚、回転軸723aの駆動源は感光体11を回転駆動させるモータである。このため、回転軸723aの回転速度は、感光体11の回転速度変化に応じて変化する。パドル723は、回転軸723aを軸方向Xに見たときに、回転軸723aの周りに、回転軸723aから放射状に広がった形状の羽根723bを有する。パドル723は、羽根723bを有する回転軸723aが矢印c方向に回転することで、トナーを上方かつ流入口722から見て奥側、つまり流入口から離れる方向に搬送する。このパドル723が、本発明にいう搬送部材の一例に相当する。
【0056】
仕切板724は、パドル723を流入口722との間に挟んだ位置に配置されている。仕切板724は、上縁724aが、パドル723の回転軸723aおよび流入口722の下縁722aよりも上方に位置する。仕切板724は、下縁724bが、トナー回収容器721の内壁721cから離間している。仕切板724は、両側縁724cが、トナー回収容器721の内壁721cに接触している。この仕切板724が、本発明にいう仕切板の一例に相当する。
【0057】
[トナー回収部内におけるトナーの流れ]
トナー回収路15によってトナー回収部72に排出されたトナーの、トナー回収部72内での流れを説明する。
【0058】
トナー回収路15によって排出されたトナーは、トナーの自重によって流入口722からトナー回収容器721の内部空間に落下する。内部空間が仕切板724により仕切られているため、トナーは、内部空間のうちの、パドル723が設けられた側の内部空間に堆積していく。パドル723が設けられた側の内部空間に堆積したトナーが、パドル723が設けられた高さまで堆積すると、その堆積したトナーは、パドル723の回転によってすくい上げられ、上方かつ流入口722から見て奥側に搬送される。すなわち、その堆積したトナーは、パドル723の回転によって、内部空間のうちの、流入口722から見て仕切板724よりも奥側の内部空間に搬送され、この奥側の内部空間に、仕切板724の上縁724aの高さまで堆積する。
【0059】
ここで、側面721bに流入口722を有するトナー回収容器721内部に、上述したパドル723および仕切板724が設けられていない場合、回収されたトナーが流入口722の高さまで堆積すると、堆積したトナーで流入口722がふさがれてしまい、それ以上トナーを回収できなくなってしまう可能性がある。
【0060】
第1実施形態では、パドル723の回転軸723aおよび流入口722の下縁722aよりも上方に位置する仕切板724の上縁724aの高さまでトナーを堆積させることができるため、パドル723および仕切板724が設けられていない場合に比べ、回収されたトナーを収容する能力が高い。
【0061】
以上で、第1実施形態の説明を終了し、本発明の画像形成装置の第2実施形態〜第5実施形態について以下説明する。第2実施形態〜第5実施形態は、それぞれ、上述したトナー回収部に替えて、異なる構成のトナー回収部を用いる点が上述した第1実施形態とは異なる。以下、相違点に着目して説明する。
【0062】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態におけるプロセスカートリッジの構成を示す断面図である。
【0063】
図7に示すように、第2実施形態のトナー回収部72の仕切板724は、下縁724bが、トナー回収容器721の内壁721cに接触している。このため、流入口722から見て仕切板724の奥側に搬送されたトナーが、仕切板724下縁724bとトナー回収容器721内壁721cとの間を通って、流入口722から見て手前側に逆流することが防止される。
【0064】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態におけるプロセスカートリッジの構成を示す断面図である。
【0065】
図8に示すように、第3実施形態のトナー回収部72の仕切板724は、上縁724aから下縁724bに向かって、流入口722から見て奥側に下がった斜面724dを有する。このため、流入口722から見て仕切板724の奥側に搬送されたトナーが仕切板724でさらに奥に送られる。
【0066】
[第4実施形態]
図9は、第4実施形態におけるプロセスカートリッジの構成を示す断面図である。
【0067】
図9に示すように、第4実施形態のトナー回収部72の仕切板724は、第2実施形態のトナー回収部72の仕切板724と同様に、下縁724bが、トナー回収容器721の内壁721cに接触している。また仕切板724は、第3実施形態のトナー回収部72の仕切板724と同様に、上縁724aから下縁724bに向かって、流入口722から見て奥側に下がった斜面724dを有する。
【0068】
[第5実施形態]
図10は、第5実施形態におけるプロセスカートリッジの構成を示す断面図である。
【0069】
図10に示すように、第5実施形態のトナー回収部72の仕切板724は、第2実施形態のトナー回収部72の仕切板724と同様に、下縁724bが、トナー回収容器721の内壁721cに接触している。また仕切板724は、上縁724aから、上縁724aと下縁724bとの略中間部分に向かって、流入口722から見て奥側に下がった斜面724dを有する。
【0070】
また、第5実施形態のトナー回収部72のパドル723は、回転軸723aを軸方向Xに見たときに、羽根723bの先端部723cが、回転軸723aの回転方向に折れ曲がった形状を有する。このため、回転軸723aを軸方向に見たときに、折れ曲がりのない形状の羽根を有するパドルの場合と比較して、トナーを搬送する搬送能力が高い。
【0071】
なお、上述した各実施形態では、画像形成装置の例としてモノクロプリンタが示されている。しかし、本発明にいう画像形成装置はこれに限られず、例えば、カラー画像を形成するカラープリンタであってもよい。
【0072】
また、上述した各実施形態では、画像形成装置の例としてプリンタが示されている。しかし、本発明にいう画像形成装置はプリンタに限られず、例えば、複写機やファクシミリであってもよい。
【0073】
また、上述した各実施形態では、本発明にいう搬送部材が、軸周りである矢印c方向に回転軸が回転するものである例を挙げて説明したが、本発明にいう搬送部材は、これに限られるものではなく、軸周りである矢印c方向の反対方向に回転軸が回転するものであってもよい。
【0074】
また、上述した各実施形態では、本発明にいう粉体が、感光体から回収されたトナーを例に挙げて説明したが、本発明にいう粉体は、これに限られるものではなく、未使用のトナーであってもよく、さらには2成分現像方式におけるキャリアやトナーとキャリアの混合したものであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 画像形成装置
1A 本体
10 トナー像形成部
11 感光体
12 帯電器
13 現像器
14 清掃器
15 トナー回収路
20 露光器
30 用紙搬送装置
40 転写器
50 定着器
72 トナー回収部
721 トナー回収容器
721a 最上部
721b 側面
721c 内壁
722 流入口
723 パドル
723a 回転軸
723b 羽根
723c 先端部
724 仕切板
724a 上縁
724b 下縁
724c 側縁
724d 斜面
73 容器装着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体が収容される内部空間の最上部よりも下方に粉体の流入口を有する収容容器と、
前記収容容器内部の前記流入口に面した位置に配置され、該流入口に沿って回転軸を有し、回転により、粉体を上方かつ該流入口から離れる方向に搬送する搬送部材と、
前記搬送部材を前記流入口との間に挟んだ位置に配置され、上縁が前記搬送部材の回転軸および前記流入口の下縁よりも上方に位置する仕切板とを有することを特徴とする収容装置。
【請求項2】
前記仕切板下縁が、前記収容容器の内壁に接触していることを特徴とする請求項1記載の収容装置。
【請求項3】
前記搬送部材が、前記回転軸を軸方向に見たときに、該回転軸の周りに、該回転軸から放射状に広がり、先端部が、該回転軸の回転方向に折れ曲がった形状の羽根を有することを特徴とする請求項1または2記載の収容装置。
【請求項4】
前記仕切板が、該仕切板の上縁から下縁に向かって、前記流入口から見て奥側に下がった斜面を有するものであることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項記載の収容装置。
【請求項5】
前記収容容器が、前記流入口を側面に有することを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか1項記載の収容装置。
【請求項6】
像を形成し、像形成に際して生じた不要な粉体を排出する像形成部と、
前記像形成部から排出された粉体を回収する回収部とを有し、
前記回収部が、
回収された粉体が収容される内部空間の最上部よりも下方に粉体の流入口を有する収容容器と、
前記収容容器内部の前記流入口に面した位置に配置され、該流入口に沿って回転軸を有し、回転により、粉体を上方かつ該流入口から離れる方向に搬送する搬送部材と、
前記搬送部材を前記流入口との間に挟んだ位置に配置され、上縁が前記搬送部材の回転軸および前記流入口の下縁よりも上方に位置する仕切板とを有することを特徴とする像形成組立体。
【請求項7】
筐体と、
前記筐体に着脱自在に構成されて該筐体内に収容された、像を形成する像形成組立体と、
前記像を用紙に転写定着して該用紙上に画像を形成する転写定着部とを備え、
前記像形成組立体が、
像を形成し、像形成に際して生じた不要な粉体を排出する像形成部と、
前記像形成部から排出された粉体を回収する回収部とを有し、
前記回収部が、
回収された粉体が収容される内部空間の最上部よりも下方に粉体の流入口を有する収容容器と、
前記収容容器内部の前記流入口に面した位置に配置され、該流入口に沿って回転軸を有し、回転により、粉体を上方かつ該流入口から離れる方向に搬送する搬送部材と、
前記搬送部材を前記流入口との間に挟んだ位置に配置され、上縁が前記搬送部材の回転軸および前記流入口の下縁よりも上方に位置する仕切板とを有することを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−203307(P2012−203307A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69712(P2011−69712)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】