収納ケース
【課題】 本発明は、開口を簡単に開閉でき、該開口から商品の出し入れをすることができる収納ケースを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の収納ケースは、シート材を組み立てて形成されており、底面壁2と、底面壁2の上方に起立された正面壁3及び背面壁4と、正面壁3及び背面壁4の間に連設された左右側面壁5と、を有し、正面壁3と左右側面壁5の境界には、正面壁3の上辺の一端部33a及び他端部33bからそれぞれ下方に延びる傾斜状の一対の折り罫線32が形成され、正面壁3の上辺の両端部と背面壁4の上辺の両端部が連設され、正面壁3の上辺には、上方に延出された正面延出片35が設けられ、且つ背面壁4の上辺には、上方に延出された背面延出片が設けられている。
【解決手段】本発明の収納ケースは、シート材を組み立てて形成されており、底面壁2と、底面壁2の上方に起立された正面壁3及び背面壁4と、正面壁3及び背面壁4の間に連設された左右側面壁5と、を有し、正面壁3と左右側面壁5の境界には、正面壁3の上辺の一端部33a及び他端部33bからそれぞれ下方に延びる傾斜状の一対の折り罫線32が形成され、正面壁3の上辺の両端部と背面壁4の上辺の両端部が連設され、正面壁3の上辺には、上方に延出された正面延出片35が設けられ、且つ背面壁4の上辺には、上方に延出された背面延出片が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材を組み立てて形成した収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の商品を包装する収納ケースは、様々な形態のものが知られている。
このうち、比較的安価に製造でき、更に、不使用時には折り畳んで扁平状にして保管できるなどの理由から、合成樹脂製シート、厚紙などのシート材を組み立てた収納ケースが多用されている。
このようなシート材を組み立てた収納ケースの中で、その代表的な形態は、内部に収納部を有する直方体状に形成されているものである。
【0003】
具体的には、直方体状の収納ケースは、矩形状の底面壁と、該底面壁の対向二辺に連設され且つ上方に起立された前後に対向する正面壁及び背面壁と、底面壁の残る対向二辺に連設され且つ正背面壁の各側辺に連設された右側面壁及び左側面壁と、正背面壁の上辺及び左右側面壁の上辺によって形成される矩形状の上面開口部を閉塞する蓋面壁と、を有し、蓋面壁が、正面壁の上辺に折曲げ自在に連設されている。
かかる直方体状の収納ケースは、開口から収納部内に商品を入れ、且つ蓋面壁を折り曲げて開口を閉じた後、保管・搬送などに供される。また、蓋面壁を外すことにより、商品を取り出すことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の包装ケースは、商品を出し入れする際に、蓋面壁を曲げたり或いは戻したりして、蓋面壁の開閉をしなければならない。この蓋面壁の開閉作業が面倒である。また、上記直方体状の収納ケースは、形態的にありふれているため、異なる形態の収納ケースが求められる。
【0005】
そこで、本発明は、開口を簡単に開閉して商品の出し入れをすることができる収納ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の収納ケースは、シート材を組み立てて形成されており、底面壁と、底面壁の上方に起立され且つ前後に対向する正面壁及び背面壁と、底面壁の上方に起立され且つ正面壁及び背面壁の間に連設された右側面壁及び左側面壁と、を有し、底面壁を下にして自立可能な収納ケースであって、正面壁と左右側面壁の境界には、正面壁の上辺の一端部及び他端部からそれぞれ下方に延びる左右一対の折り罫線が形成され、この一対の折り罫線は、下方に向かうに従って互いに近づくように正面壁の上辺に対して傾斜しており、背面壁と左右側面壁の境界には、背面壁の上辺の一端部及び他端部からそれぞれ下方に延びる左右一対の折り罫線が形成され、この一対の折り罫線は、下方に向かうに従って互いに近づくように背面壁の上辺に対して傾斜しており、正面壁の上辺の一端部と背面壁の上辺の一端部が連設され、且つ正面壁の上辺の他端部と背面壁の上辺の他端部が連設されていると共に、正面壁の上辺には、上方に延出された正面延出片が設けられ、且つ背面壁の上辺には、上方に延出された背面延出片が設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記収納ケースは、正面壁の上辺と背面壁の上辺が連設されていないので、正面壁の上辺と背面壁の上辺の間に、細長い開口を有する。
上記収納ケースは、正面壁の上辺の一端部と背面壁の上辺の一端部とが連設され、且つ正面壁の上辺の他端部と背面壁の上辺の他端部とが連設されているので、正面壁の上辺と背面壁の上辺が対向すると共に、正面壁と背面壁は、その上辺から下方に向かうに従って離反した、屋根型状に配置される。
かかる正面壁の上辺には正面延出片が延出され、且つ背面壁の上辺には背面延出片が延出されているので、正面延出片の上方部内面と背面延出片の上方部内面が面接触する。このため、上記正面壁と背面壁の上辺間の開口を塞ぐことができる。
一方、左右側面壁を内側に押圧することにより、正面壁及び正面延出片と背面壁及び背面延出片が変形し、上記開口を開けることができる。
【0008】
本発明の好ましい収納ケースは、上記左側面壁の面内及び右側面壁の面内には、上下方向に延びる折り罫線がそれぞれ形成され、この折り罫線において左側面壁及び右側面壁が山折りされ、左側面壁及び右側面壁が外側に膨らんでいる構成である。
【0009】
かかる好ましい収納ケースは、左右の側面壁が折り罫線を介して山折りされているので、この折り罫線の部分において側面壁を内側に押圧することにより、正面壁及び正面延出片と背面壁及び背面延出片が大きく変形し、上記開口を大きく開けることができる。
【0010】
本発明の他の好ましい収納ケースは、上記正面壁と左右側面壁の境界に形成された左右一対の折り罫線、又は、背面壁と左右側面壁の境界に形成された左右一対の折り罫線のうち、少なくとも何れかの一方の一対の折り罫線が、側面壁側へと膨らんだ形状に形成されている部分を有する構成である。
【0011】
かかる好ましい収納ケースは、上記正面延出片の上方部内面と背面延出片の上方部内面が強く密着し、上記開口をより確実に塞ぐことができる。
【0012】
本発明の他の好ましい収納ケースは、上記正面延出片の上辺と背面延出片の上辺が一体的に連設されている構成である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る収納ケースは、正面壁の上辺と背面壁の上辺の間に形成される開口を、正面延出片の内面と背面延出片の内面が接することにより閉塞できる。該収納ケースは、左右の側面壁を内側へ押圧することにより、正面延出片及び背面延出片が変形し、上記開口を開けることができる。
本発明の収納ケースによれば、蓋面などの開閉作業を伴わずに、商品を出し入れするための開口を開閉することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
ただし、本発明に於いて、収納ケースの底面壁を下側にし、且つ収納ケースの一面を正面として視た場合を基準にして、上下左右という方向を示す用語を便宜上用いている。
【0015】
<第1実施形態>
図1〜図5に於いて、1は、本発明の一実施形態の収納ケースを示す。
収納ケース1は、後述するように、シート材を組み立てて形成されている。
該収納ケース1は、底面壁2と、前記底面壁2の上方に起立され且つ前後に対向する正面壁3及び背面壁4と、底面壁2の上方に起立され且つ正壁面3及び背面壁4の間に連設された右側面壁5及び左側面壁6と、を有する。
収納ケース1は、底面壁2を下側にして自立可能な自立型ケースであり、該底面壁2の上方に起立された正背面壁3,4及び左右側面壁5,6によって囲われた内部に、商品を収納する収納部9が形成されている。
【0016】
上記収納ケース1は、可撓性のあるシート材を組み立てることによって形成されている。
該シート材としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリスチレン系、ポリアミド系などの各種合成樹脂製シート、紙、合成紙などの各種シートを用いることができる。また、シート材は、同種又は異種の積層シートでもよい。中でも、収納した商品を外部から視認できることから、透明(無色透明又は有色透明)なシート材を用いることが好ましい。
シート材の厚みは、特に限定されないが、例えば、合成樹脂製シートの場合には、0.2mm〜1.0mm程度が例示される。
中でも、適度な剛性と柔軟性を有することから、厚み0.2mm〜0.6mm程度の透明なポリプロピレンのシートを用いることが好ましい。
【0017】
底面壁2は、例えば、矩形状(好ましくは、正方形を含む菱形状)に形成されている。
この底面壁2の隣合う2辺21,22に、折り罫線を介して右側面壁5が連設され、底面壁2の残る隣合う2辺23,24に、折り罫線を介して左側面壁6が連設されている。
なお、底面壁2は、複数の底面形成片を組み合わせることによって形成されている。
【0018】
正面壁3は、底面壁2の上方に起立されている。本実施形態では、正面壁3の面形状は、逆三角形状に形成されている。
具体的には、正面壁3は、上辺33と、左右の側面壁5,6の境界に形成された左右一対の折り罫線31,32と、によって区画された面部である。以下、この一対の折り罫線31,32のうち、正面壁3を正面から視た状態を基準に、右側を「正面右折り罫線31」、左側を「正面左折り罫線32」という場合がある。
ただし、正面壁3の上辺33には、正面延出片35が一体的に延出されているので、該上辺33の形状は現れず、該正面壁3の上辺33は仮想の辺である。なお、正面壁3の上辺33となる箇所を、図面上において実線で示している。
【0019】
上記正面右折り罫線31は、この上辺33の一端部33aを始点として下方に延び、一方、正面左折り罫線32は、この上辺33の他端部33bを始点として下方に延びている。この一対の折り罫線31,32は、下方に向かうに従って互いに近づき、底面壁2の一つの角部2aにまで形成されている。従って、この一対の折り罫線31,32は、下方に向かうに従って互いに近づくように正面壁3の上辺33に対して傾斜し、且つ各折り罫線31,32の下端部が底面壁2の角部2aに連設されている。よって、正面壁3は、折り罫線31,32の下端部を頂点とする逆三角形状に形成されている。
さらに、正面右折り罫線31は、その上端部(上辺33の一端部33a)から下端部(底面壁2の角部2a)までの間が、右側面壁5側に膨らんだ弧状に形成されている。正面左折り罫線32も同様に、その上端部(上辺33の他端部33b)から下端部(底面壁2の角部2a)までの間が、左側面壁6側へと膨らんだ弧状に形成されている。
【0020】
次に、背面壁4は、底面壁2の上方に起立されている。本実施形態では、背面壁4の面形状は、逆三角形状に形成されている。
具体的には、背面壁4は、上辺43と、左右の側面壁5,6の境界に形成された左右一対の折り罫線41,42と、によって区画された面部である。以下、この一対の折り罫線41,42のうち、正面壁3を正面から見た状態を基準に、右側を「背面右折り罫線41」、左側を「背面左折り罫線42」という場合がある。
ただし、正面壁4の上辺43には、背面延出片45が一体的に延出されているので、該上辺43の形状は現れず、該背面壁4の上辺43は仮想の辺である。なお、背面壁4の上辺43となる箇所を、図面上において実線で示している。
【0021】
上記背面右折り罫線41は、この上辺43の一端部43aを始点として下方に延び、一方、背面左折り罫線42は、この上辺43の他端部43bを始点として下方に延びている。この一対の折り罫線41,42は、下方に向かうに従って互いに近づき、底面壁2の他の角部2bにまで形成されている。なお、この底面壁2の他の角部2bは、上記正面壁3の一対の折り罫線31,32の下端部が連設された角部2aと、対角線上に位置する関係にある。
従って、背面壁4の一対の折り罫線41,42は、下方に向かうに従って互いに近づくように背面壁4の上辺43に対して傾斜し、且つ各折り罫線41,42の下端部が底面壁2の角部2bに連設されている。よって、背面壁4は、折り罫線41,42の下端部を頂点とする逆三角形状に形成されている。
さらに、背面右折り罫線41は、その上端部(上辺43の一端部43a)から下端部(底面壁2の角部2b)までの間が、右側面壁5側に膨らんだ弧状に形成されている。背面左折り罫線42も同様に、その上端部(上辺43の他端部43b)から下端部(底面壁2の角部2b)までの間が、左側面壁6側へと膨らんだ弧状に形成されている。
【0022】
上記正面壁3の上辺33の一端部33aと背面壁4の上辺43の一端部43aは、連設されており、さらに、正面壁3の上辺33の他端部33bと背面壁4の上辺43の他端部43bも連設されている。従って、正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43は、その一端部33a,43a及び他端部33b,43bが一致している。また、正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43は、略平行となっており、この正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43の間には、細長い開口を有する。
【0023】
一方、右側面壁5は、底面壁2の上方に起立され且つ正面壁3及び背面壁4の間に連設されている。本実施形態では、右側面壁5の面形状は、三角形状に形成されている。
具体的には、右側面壁5は、下辺と、正面壁3の正面右折り罫線31と、背面壁4の背面右折り罫線41と、によって区画された面部である。
右側面壁5の下辺は、底面壁2の隣合う2辺21,22に形成された折り罫線を介して、底面壁2に連設されている。また、右側面壁5の一方の側部は、正面右折り罫線31を介して正面壁3に連設され、右側面壁5の他方の側部は、背面右折り罫線41を介して背面壁4に連設されている。上記正面右折り罫線31及び背面右折り罫線41の傾斜に従い、右側面壁5の両側部は、下方に向かうに従って互いに離れるように傾斜状に形成されている。
この右側面壁5の面内には、正面壁3の上辺33の一端部33a(背面壁4の上辺43の一端部43aと同じ)から底面壁2の他の角部2c(底面壁2の隣合う2辺21,22の連設部分)にかけて、折り罫線51が形成されている。以下、この折り罫線51を「右側面折り罫線51」という場合がある。
従って、右側面壁5は、正面壁3の上辺33の一端部33aを頂点とする三角形状に形成されており、且つ、右側面折り罫線51を稜線として山折りされ、外側に膨らんでいる。
なお、52は、シート材を組立てて収納シート1を形成する際の糊代片である。
【0024】
次に、左側面壁6は、底面壁2の上方に起立され且つ正面壁3及び背面壁4の間に連設されている。本実施形態では、左側面壁6の面形状は、三角形状に形成されている。
具体的には、左側面壁6は、下辺と、正面壁3の正面左折り罫線32と、背面壁4の背面左折り罫線42と、によって区画された面部である。
左側面壁6の下辺は、底面壁2の残る隣合う2辺23,24に形成された折り罫線を介して、底面壁2に連設されている。また、左側面壁6の一方の側部は、正面左折り罫線32を介して正面壁3に連設され、左側面壁6の他方の側部は、背面左折り罫線42を介して背面壁4に連設されている。上記正面左折り罫線32及び背面左折り罫線42の傾斜に従い、左側面壁6の両側部は、下方に向かうに従って互いに離れるように傾斜状に形成されている。
この左側面壁6の面内には、正面壁3の上辺33の他端部33b(背面壁4の上辺43の他端部43bと同じ)から底面壁2の他の角部2d(底面壁2の残る隣合う2辺23,24の連設部分)にかけて、折り罫線61が形成されている。以下、この折り罫線61を「左側面折り罫線61」という場合がある。
従って、左側面壁6は、正面壁3の上辺33の他端部33bを頂点とする三角形状に形成されており、且つ、左側面折り罫線61を稜線として山折りされ、外側に膨らんでいる。
本実施形態では、右側面壁5と左側面壁6とは、略同大同形に形成されており、右側面壁5と左側面壁6とは、左右に対向配置されている。
【0025】
上記左右側面壁5,6が、正背面壁3,4の間に設けられていることにより、正面壁3及び背面壁4は、その上辺33,43から下方に向かうに従って離反した屋根型状となっている。
【0026】
さらに、上記正面壁3の上辺33には、上方に延出された正面延出片35が設けられている。同様に、上記背面壁4の上辺43には、上方に延出された背面延出片45が設けられている。
正面延出片35は、正面壁3の上辺33と略同幅であり、正面延出片35の両角部は、円弧状に形成されている(角取り加工)。同様に、背面延出片45は、背面壁4の上辺43と略同幅であり、背面延出片45の両角部は、円弧状に形成されている。
また、正面延出片35及び背面延出片45の延出長さは、特に限定されないが、余りに短いと開口を十分に塞ぐことができないので、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上、特に好ましくは15mm以上である。一方、正面延出片35及び背面延出片45の延出長さの上限は、特に限定されないが、余りに長いと収納ケース1の上下長さが長くなりすぎるので、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下である。
【0027】
本実施形態では、正面壁3及び正面延出片35と、背面壁4及び背面延出片45とは、略同大同形状に形成されており、正面壁3及び正面延出片35と、背面壁4及び背面延出片45とは、前後に対向配置されている。
【0028】
次に、図6は、上記収納ケース1を構成する展開シート10を示す。図6に付した符号のうち、上記収納ケース1の各構成要素に対応する部分については、収納ケース1と同じ符号を付している。また、全ての折り罫線を一点鎖線で表している。
【0029】
この展開シート10は、1枚のシート材を打ち抜いて形成されている。
この展開シート10は、収納ケース1の底面壁2、正面壁3、背面壁4、及び左右側面壁5,6に対応する面部が連なって形成されている。この展開シート10においては、右側面壁5は、右側面折り罫線51にて2分されている。該展開シート10において、2分された右側面壁5の一方の分割片には、糊代片52が連設されている。また、展開シート10において、左右側面壁5,6の下辺には、底面壁2を形成する底面形成片251がそれぞれ連設されている。
各折り罫線は、シート材を折り曲げ易く型付けできるように形成された線であれば特に限定されず、例えば、シート材を厚み方向に略V字状に切り込んだハーフカット線、シート材を貫通する短い孔が断続的に形成されたミシン目線などを用いることができる。
上記展開シート10の各部の構成は、上記収納ケース1の各部に対応しているので、その具体的な説明は省略する。
【0030】
次に、上記展開シート10から収納ケース1を組み立てる手順を説明する。
展開シート10を用い、各折り罫線において折り曲げつつ、糊代片52を、右側面壁5の他方の分割片に接着する。
このように接着した後、通常、収納ケース1は、扁平状に折り畳まれ、保管・搬送などに供される。
具体的には、糊代片52を接着した後、右側面折り罫線51及び左側面折り罫線61において、正背面壁3,4の内面同士が面接触するように、折り曲げることにより、収納ケース1は扁平状に折り畳まれる。
使用時には、各底面形成片251を組み合わせて底面壁2を形成することにより、図1等に示すような、収納ケース1が形成される。
【0031】
上記収納ケース1は、収納部9内に商品を入れて使用される。
該商品は、特に限定されず、個包装された菓子、その他の固体状食品、おもちゃ、化粧品、下着など任意のものである。
上記収納ケース1は、正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43の間に細長い開口を有しつつ、正面壁3と背面壁4が屋根型状となっている。さらに、正面壁3の上辺33には正面延出片35が上方に延出され、且つ背面壁4の上辺43には背面延出片45が上方に延出されている。この正面延出片35及び背面延出片45は、屋根型状となった正面壁3及び背面壁4の傾斜に従い、互いに押さえ合うように上方に延びているので、図5に示すように、正面延出片35の上方部内面と背面延出片45の上方部内面が面接触する。このため、正面延出片35及び背面延出片45によって、正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43の間の、上記開口を塞ぐことができる。従って、収納部9内に収納した商品が不用意に外部へ出ることを防止できる。
【0032】
本発明の収納ケース1によれば、蓋を用いて開口の開閉作業を行わなくても、正面延出片35及び背面延出片45の剛性によって、上記開口を塞ぐことができる。
特に、本実施形態では、正面壁3の折り罫線31,32及び背面壁4の折り罫線41,42が、左右側面壁5,6側に膨らんだ弧状に形成されている。このため、正面壁3及び背面壁4は、その上辺33,43に向かうに従って近づくように、なだらかな弓形の湾曲面となる。従って、上記正面延出片35の上方部内面と背面延出片45の上方部内面が強く密着し、上記開口をより確実に塞ぐことができる。このように、上記開口を確実に塞ぐことができるので、収納部9内に粉塵などが入り込むことを防止できる。
【0033】
また、本発明の収納ケース1は、図7に示すように、使用者が正面壁3の上辺33の両端部33a,33b(背面壁4の上辺43の両端部43a,43b)に指を当て、両端部33a,33bが近づくように左右側面壁5,6を押圧することにより、正面壁3及び正面延出片35と背面壁4及び背面延出片45とが湾曲して外側へ膨らみ、正面延出片35と背面延出片45が離反する。その結果、正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43の間の開口を開くことができる。かかる開口から、収納された商品を出し入れすることができる。
なお、上記指による押圧を解除すると、正面壁3及び背面壁4は、シート材の復帰力に従い、元の形状に戻り、正面延出片35及び背面延出片45によって、上記開口を塞ぐことができる。
【0034】
また、本実施形態の収納ケース1は、底面壁2が矩形状であり、正面壁3及び背面壁4が底面壁2から上方に向かうに従って扇状に拡がっているため、使用者の興味を喚起しうる形態であり、アイキャッチ性に優れている。
【0035】
<第2実施形態>
本実施形態は、正面延出片部の上辺と背面延出片部の上辺が連設されている収納ケースに関する。
以下、本実施形態の収納ケースについて、上記第1実施形態と異なる構成及び効果について主として説明し、上記第1実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
【0036】
本実施形態の収納ケース1は、図8及び図9に示すように、上記第1実施形態と同様に、底面壁2と、正面壁3及び背面壁4と、右側面壁5及び左側面壁6と、を有し、正面壁3及び背面壁4には、それぞれ折り罫線31,32,41,42が形成されている。
本実施形態の収納ケース1が、上記第1実施形態と異なる点は、下記の通りである。
本実施形態の収納ケース1は、その正面延出片35の上辺及び背面延出片45の上辺が一体的に連設されている。
具体的には、正面延出片35と背面延出片45は、その境界に折り罫線7が形成され、該折り罫線7にて正面延出片35の内面及び背面延出片45の内面が重なるように折り曲げることにより、正面延出片35及び背面延出片45は、その上辺(折り罫線7の形成部分)において連設されている。
また、正面延出片35の面内には、正面延出片35の上辺(折り罫線7)と平行に、切取用ミシン目線81が形成されている。この切取用ミシン目線81の両端部は、正面壁3の両端部33a,33bに連設されている。
同様に、背面延出片45の面内には、背面延出片45の上辺(折り罫線7)と平行に、切取用ミシン目線82が形成されている。この切取用ミシン目線82の両端部は、背面壁4の両端部43a,43bに連設されている。
【0037】
次に、図10は、本実施形態の収納ケース1を構成する展開シート10を示す。図10に付した符号のうち、上記収納ケース1の各構成要素に対応する部分については、収納ケース1と同じ符号を付している。また、全ての折り罫線を一点鎖線で表している。
【0038】
この展開シート10は、収納ケース1の正面壁3の正面延出片35及び背面壁4の背面延出片45の上辺が連なって形成されている。また、正面延出片35及び背面延出片45の面内には、それぞれ切取用ミシン目線81,82が形成されている。
この展開シート10においては、左右側面壁5,6は、右側面折り罫線51及び左側面折り罫線61にて2分されている。該展開シート10において、2分された左右側面壁5,6の一方の分割片には、糊代片52,62がそれぞれ連設されている。また、展開シート10において、左右側面壁5,6の下辺には、底面壁2を形成する底面形成片251がそれぞれ連設されている。
【0039】
上記展開シート10を用い、正面延出片35及び背面延出片45の境界に形成された折り罫線7において折り曲げ、更に、残る各折り罫線において折り曲げつつ、糊代片52,62を、左右側面壁5,6の他方の分割片に接着する。
本実施形態の収納ケース1も、通常、扁平状にした状態で、保管・搬送などに供される。
使用時には、収納部9内に商品を入れた後、各底面形成片251を組み合わせて底面壁2を形成することにより、図8及び図9に示すような、収納ケース1が形成される。
【0040】
本実施形態の収納ケース1は、正面延出片35の上辺及び背面延出片45の上辺が連設されているので、搬送等の際、押圧力が加わっても、正面延出片35及び背面延出片45が不用意に離反することを防止できる。従って、商品を入れた収納ケース1を搬送などする際に、収納部9内に粉塵などが入り込むことを確実に防止できる。
なお、本実施形態の収納ケース1は、切取用ミシン目線81,82を利用して、正面延出片35及び背面延出片45を上下に2分して、正面延出片35及び背面延出片45の上方側を除去することにより、開口を形成することができる。本実施形態の収納ケース1は、このように開口を形成することにより、上記第1実施形態の収納ケース1と同様の構成となる。なお、切取用ミシン目線81,82を用いずに、カッターやハサミなどを用いて、正面延出片35と背面延出片45の連設部分を切断し、開口を形成しても同様である。
その後、使用者が正面壁3の上辺33の両端部33a,33bを押圧することにより、正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43の間の開口を開くことができ、そこから商品を出し入れすることができる。
また、上記押圧を解除すると、正面壁3及び背面壁4は、元の形状に戻り、正面延出片35及び背面延出片45によって、上記開口を塞ぐことができる。
【0041】
<第3実施形態>
本実施形態は、正面壁の折り罫線及び背面壁の折り罫線が直線状に形成されている収納ケースに関する。
以下、本実施形態の収納ケースについて、上記第1実施形態と異なる構成及び効果について主として説明し、上記第1実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
【0042】
本実施形態の収納ケース1は、図11及び図12に示すように、上記第1実施形態と同様に、底面壁2と、正面壁3及び背面壁4と、右側面壁5及び左側面壁6と、を有し、正面壁3及び背面壁4には、それぞれ折り罫線31,32,41,42が形成されている。
本実施形態の収納ケース1が、上記第1実施形態と異なる点は、下記の通りである。
本実施形態の収納ケース1は、正面壁3の上辺33の一端部33aから底面壁2の一つの角部2aにまで形成された正面右折り罫線31が、直線状に形成されている。さらに、正面壁3の上辺33の他端部33bから底面壁2の一つの角部2aにまで形成された正面左折り罫線32が、直線状に形成されている。
【0043】
また、収納ケース1は、背面壁4の上辺43の一端部43aから底面壁2の他の角部2bにまで形成された背面右折り罫線41が、直線状に形成されている。さらに、背面壁4の上辺43の他端部43bから底面壁2の他の角部2bにまで形成された背面左折り罫線42が、直線状に形成されている。
【0044】
次に、図13は、本実施形態の収納ケース1を構成する展開シート10を示す。図13に付した符号のうち、上記収納ケース1の各構成要素に対応する部分については、収納ケース1と同じ符号を付している。また、全ての折り罫線を一点鎖線で表している。
【0045】
この展開シート10は、正面右折り罫線31、正面左折り罫線32、背面右折り罫線41及び背面左折り罫線42が直線状に形成されていることを除いて、上記第1実施形態のものと同様である。
【0046】
本実施形態の収納ケース1は、正面壁3の折り罫線31,32及び背面壁4の折り罫線41,42が直線状に形成されているので、正面延出片35の上辺の中央部と上面延出片45の上辺の中央部が僅かに離反する虞があるが、収納部9内に収納した商品が出るほどの隙間が生じることはない。
【0047】
<第4実施形態>
本実施形態は、正面壁が背面壁に比して長く形成されている収納ケースに関する。
以下、本実施形態の収納ケースについて、上記第1実施形態と異なる構成及び効果について主として説明し、上記第1実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
【0048】
本実施形態の収納ケース1は、図14及び図15に示すように、上記第1実施形態と同様に、底面壁2と、正面壁3及び背面壁4と、右側面壁5及び左側面壁6と、を有し、正面壁3及び背面壁4には、それぞれ折り罫線31,32,41,42が形成されている。
本実施形態の収納ケース1が、上記第1実施形態と異なる点は、下記の通りである。
本実施形態の収納ケース1は、正面右折り罫線31及び正面左折り罫線32の上下長さが、背面右折り罫線41及び背面右折り罫線42の上下長さよりも、長く形成されている。従って、正面壁3の上下長さが、背面壁4に比して、長く形成されている。なお、正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43は、同じ長さである。
また、正面延出片35の上辺及び背面延出片45の上辺は、半円弧が2つ並列された形状に形成されている。正面延出片35及び背面延出片45をこのように形成したのは、収納ケース1のデザインのためである。
【0049】
次に、図16は、本実施形態の収納ケース1を構成する展開シート10を示す。図16に付した符号のうち、上記収納ケース1の各構成要素に対応する部分については、収納ケース1と同じ符号を付している。
【0050】
この展開シート10は、正面壁3の上下に長く形成されていることに対応して、正面壁3に連設された左右側面壁5,6の2辺21,24が、下方に大きく傾斜されている。なお、この2辺21,24は、左右側面壁5,6と底面壁2の連設部分であり、折り罫線が形成されている。
【0051】
本実施形態の収納ケース1は、上記第1実施形態と同様に、正面延出片35及び背面延出片45によって、開口を閉塞できる。また、収納ケース1の左右側面壁5,6を押圧することにより、正面延出片35及び背面延出片45を離反させ、開口を開くことができる。
また、本実施形態の収納ケース1は、正面壁3が背面壁4に比して長く形成されているので、図15に示すように、側面視が非対称な収納ケース1を構成できる。このように正面壁3が大面積に形成された収納ケース1は、第1実施形態の収納ケース1に比して、よりアイキャッチ性を向上させることができる。
【0052】
なお、本実施形態では、正面壁3の折り罫線31,32及び背面壁4の折り罫線41,42は、下方に向かうに従って互いに離れるように傾斜状に形成されているが、第3実施形態と同様にして、正面壁3の折り罫線31,32及び背面壁4の折り罫線41,42が、直線状に形成されていてもよい。
かかる変形例の収納ケース1を構成する展開シート10を、図17に示す。図17に付した符号のうち、上記収納ケース1の各構成要素に対応する部分については、収納ケース1と同じ符号を付している。
【0053】
<他の実施形態>
本発明の収納ケース1は、本発明の意図する範囲で様々な態様に変更することができる。
例えば、上記第1〜第4実施形態では、正面壁3の左右の折り罫線31,32の下端部が何れも底面壁2の角部2aまで形成されているが、該左右の折り罫線31,32の下端部が、(底面壁2の角部2aにまで形成されておらず)底面壁2の辺の上方に位置するように形成されていてもよい。かかる左右の折り罫線31,32の場合には、正面壁3は、逆台形状となる。なお、背面壁4の左右の折り罫線41,42も同様に、左右の折り罫線41,42の下端部が、底面壁2の辺の上方に位置するように形成されていてもよい。
【0054】
また、上記第1実施形態などにおいて、正面壁3の左右の折り罫線31,32は、その上端部から下端部までの間が、右側面壁5側に膨らんだ弧状に形成されているが、例えば、図18に示すように、左右の折り罫線31,32が複数(例えば2本)の直線からなり、側面壁5,6側へと膨らんだ屈曲状に形成されていてもよい。
なお、背面壁4の左右の折り罫線41,42についても同様に、側面壁5,6側へと膨らんだ屈曲状に形成されていてもよい。
このように正面壁3及び/又は背面壁4の各折り罫線31,32,41,42が、側面壁5,6側へと膨らんだ屈曲状に形成されていても、上記第1実施形態と同様に、正面延出片35の上方部内面と背面延出片45の上方部内面が強く密着する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施形態の収納ケースを正面側から視た斜視図。
【図2】同収納ケースを背面側から視た斜視図。
【図3】(a)は、同収納ケースの正面図、(b)は、同収納ケースの背面図。
【図4】同収納ケースの右側面図。
【図5】図3(a)のI−I線で切断した縦切断端面図。
【図6】同収納ケースを構成する展開シートの平面図。但し、図6に於いて、展開シートに形成された全ての折り罫線を一点鎖線で表す(他の展開シートを示す図も同様である)。
【図7】同収納ケースの使用状態を正面側から視た斜視図。
【図8】第2実施形態の収納ケースを正面側から視た斜視図。
【図9】図8のII−II線で切断した縦切断端面図。
【図10】同収納ケースを構成する展開シートの平面図。
【図11】第3実施形態の収納ケースを正面側から視た斜視図。
【図12】図11のIII−III線で切断した縦切断端面図。
【図13】同収納ケースを構成する展開シートの平面図。
【図14】第4実施形態の収納ケースを正面側から視た斜視図。
【図15】同右側面図。
【図16】同収納ケースを構成する展開シートの平面図。
【図17】第4実施形態の変形例に係る収納ケースを構成する展開シートの平面図。
【図18】他の実施形態に係る収納ケースの正面図。
【符号の説明】
【0056】
1…収納ケース、2…底面壁、3…正面壁、31,32…正面壁の左右の折り罫線、33a…正面壁の上辺の一端部、33b…正面壁の上辺の他端部、35…正面延出片、4…背面壁、41,42…背面壁の左右の折り罫線、43a…背面壁の上辺の一端部、43b…背面壁の上辺の他端部、45…背面延出片、5…右側面壁、51…右側面壁の折り罫線、6…左側面壁、61…左側面壁の折り罫線
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材を組み立てて形成した収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の商品を包装する収納ケースは、様々な形態のものが知られている。
このうち、比較的安価に製造でき、更に、不使用時には折り畳んで扁平状にして保管できるなどの理由から、合成樹脂製シート、厚紙などのシート材を組み立てた収納ケースが多用されている。
このようなシート材を組み立てた収納ケースの中で、その代表的な形態は、内部に収納部を有する直方体状に形成されているものである。
【0003】
具体的には、直方体状の収納ケースは、矩形状の底面壁と、該底面壁の対向二辺に連設され且つ上方に起立された前後に対向する正面壁及び背面壁と、底面壁の残る対向二辺に連設され且つ正背面壁の各側辺に連設された右側面壁及び左側面壁と、正背面壁の上辺及び左右側面壁の上辺によって形成される矩形状の上面開口部を閉塞する蓋面壁と、を有し、蓋面壁が、正面壁の上辺に折曲げ自在に連設されている。
かかる直方体状の収納ケースは、開口から収納部内に商品を入れ、且つ蓋面壁を折り曲げて開口を閉じた後、保管・搬送などに供される。また、蓋面壁を外すことにより、商品を取り出すことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の包装ケースは、商品を出し入れする際に、蓋面壁を曲げたり或いは戻したりして、蓋面壁の開閉をしなければならない。この蓋面壁の開閉作業が面倒である。また、上記直方体状の収納ケースは、形態的にありふれているため、異なる形態の収納ケースが求められる。
【0005】
そこで、本発明は、開口を簡単に開閉して商品の出し入れをすることができる収納ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の収納ケースは、シート材を組み立てて形成されており、底面壁と、底面壁の上方に起立され且つ前後に対向する正面壁及び背面壁と、底面壁の上方に起立され且つ正面壁及び背面壁の間に連設された右側面壁及び左側面壁と、を有し、底面壁を下にして自立可能な収納ケースであって、正面壁と左右側面壁の境界には、正面壁の上辺の一端部及び他端部からそれぞれ下方に延びる左右一対の折り罫線が形成され、この一対の折り罫線は、下方に向かうに従って互いに近づくように正面壁の上辺に対して傾斜しており、背面壁と左右側面壁の境界には、背面壁の上辺の一端部及び他端部からそれぞれ下方に延びる左右一対の折り罫線が形成され、この一対の折り罫線は、下方に向かうに従って互いに近づくように背面壁の上辺に対して傾斜しており、正面壁の上辺の一端部と背面壁の上辺の一端部が連設され、且つ正面壁の上辺の他端部と背面壁の上辺の他端部が連設されていると共に、正面壁の上辺には、上方に延出された正面延出片が設けられ、且つ背面壁の上辺には、上方に延出された背面延出片が設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記収納ケースは、正面壁の上辺と背面壁の上辺が連設されていないので、正面壁の上辺と背面壁の上辺の間に、細長い開口を有する。
上記収納ケースは、正面壁の上辺の一端部と背面壁の上辺の一端部とが連設され、且つ正面壁の上辺の他端部と背面壁の上辺の他端部とが連設されているので、正面壁の上辺と背面壁の上辺が対向すると共に、正面壁と背面壁は、その上辺から下方に向かうに従って離反した、屋根型状に配置される。
かかる正面壁の上辺には正面延出片が延出され、且つ背面壁の上辺には背面延出片が延出されているので、正面延出片の上方部内面と背面延出片の上方部内面が面接触する。このため、上記正面壁と背面壁の上辺間の開口を塞ぐことができる。
一方、左右側面壁を内側に押圧することにより、正面壁及び正面延出片と背面壁及び背面延出片が変形し、上記開口を開けることができる。
【0008】
本発明の好ましい収納ケースは、上記左側面壁の面内及び右側面壁の面内には、上下方向に延びる折り罫線がそれぞれ形成され、この折り罫線において左側面壁及び右側面壁が山折りされ、左側面壁及び右側面壁が外側に膨らんでいる構成である。
【0009】
かかる好ましい収納ケースは、左右の側面壁が折り罫線を介して山折りされているので、この折り罫線の部分において側面壁を内側に押圧することにより、正面壁及び正面延出片と背面壁及び背面延出片が大きく変形し、上記開口を大きく開けることができる。
【0010】
本発明の他の好ましい収納ケースは、上記正面壁と左右側面壁の境界に形成された左右一対の折り罫線、又は、背面壁と左右側面壁の境界に形成された左右一対の折り罫線のうち、少なくとも何れかの一方の一対の折り罫線が、側面壁側へと膨らんだ形状に形成されている部分を有する構成である。
【0011】
かかる好ましい収納ケースは、上記正面延出片の上方部内面と背面延出片の上方部内面が強く密着し、上記開口をより確実に塞ぐことができる。
【0012】
本発明の他の好ましい収納ケースは、上記正面延出片の上辺と背面延出片の上辺が一体的に連設されている構成である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る収納ケースは、正面壁の上辺と背面壁の上辺の間に形成される開口を、正面延出片の内面と背面延出片の内面が接することにより閉塞できる。該収納ケースは、左右の側面壁を内側へ押圧することにより、正面延出片及び背面延出片が変形し、上記開口を開けることができる。
本発明の収納ケースによれば、蓋面などの開閉作業を伴わずに、商品を出し入れするための開口を開閉することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
ただし、本発明に於いて、収納ケースの底面壁を下側にし、且つ収納ケースの一面を正面として視た場合を基準にして、上下左右という方向を示す用語を便宜上用いている。
【0015】
<第1実施形態>
図1〜図5に於いて、1は、本発明の一実施形態の収納ケースを示す。
収納ケース1は、後述するように、シート材を組み立てて形成されている。
該収納ケース1は、底面壁2と、前記底面壁2の上方に起立され且つ前後に対向する正面壁3及び背面壁4と、底面壁2の上方に起立され且つ正壁面3及び背面壁4の間に連設された右側面壁5及び左側面壁6と、を有する。
収納ケース1は、底面壁2を下側にして自立可能な自立型ケースであり、該底面壁2の上方に起立された正背面壁3,4及び左右側面壁5,6によって囲われた内部に、商品を収納する収納部9が形成されている。
【0016】
上記収納ケース1は、可撓性のあるシート材を組み立てることによって形成されている。
該シート材としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリスチレン系、ポリアミド系などの各種合成樹脂製シート、紙、合成紙などの各種シートを用いることができる。また、シート材は、同種又は異種の積層シートでもよい。中でも、収納した商品を外部から視認できることから、透明(無色透明又は有色透明)なシート材を用いることが好ましい。
シート材の厚みは、特に限定されないが、例えば、合成樹脂製シートの場合には、0.2mm〜1.0mm程度が例示される。
中でも、適度な剛性と柔軟性を有することから、厚み0.2mm〜0.6mm程度の透明なポリプロピレンのシートを用いることが好ましい。
【0017】
底面壁2は、例えば、矩形状(好ましくは、正方形を含む菱形状)に形成されている。
この底面壁2の隣合う2辺21,22に、折り罫線を介して右側面壁5が連設され、底面壁2の残る隣合う2辺23,24に、折り罫線を介して左側面壁6が連設されている。
なお、底面壁2は、複数の底面形成片を組み合わせることによって形成されている。
【0018】
正面壁3は、底面壁2の上方に起立されている。本実施形態では、正面壁3の面形状は、逆三角形状に形成されている。
具体的には、正面壁3は、上辺33と、左右の側面壁5,6の境界に形成された左右一対の折り罫線31,32と、によって区画された面部である。以下、この一対の折り罫線31,32のうち、正面壁3を正面から視た状態を基準に、右側を「正面右折り罫線31」、左側を「正面左折り罫線32」という場合がある。
ただし、正面壁3の上辺33には、正面延出片35が一体的に延出されているので、該上辺33の形状は現れず、該正面壁3の上辺33は仮想の辺である。なお、正面壁3の上辺33となる箇所を、図面上において実線で示している。
【0019】
上記正面右折り罫線31は、この上辺33の一端部33aを始点として下方に延び、一方、正面左折り罫線32は、この上辺33の他端部33bを始点として下方に延びている。この一対の折り罫線31,32は、下方に向かうに従って互いに近づき、底面壁2の一つの角部2aにまで形成されている。従って、この一対の折り罫線31,32は、下方に向かうに従って互いに近づくように正面壁3の上辺33に対して傾斜し、且つ各折り罫線31,32の下端部が底面壁2の角部2aに連設されている。よって、正面壁3は、折り罫線31,32の下端部を頂点とする逆三角形状に形成されている。
さらに、正面右折り罫線31は、その上端部(上辺33の一端部33a)から下端部(底面壁2の角部2a)までの間が、右側面壁5側に膨らんだ弧状に形成されている。正面左折り罫線32も同様に、その上端部(上辺33の他端部33b)から下端部(底面壁2の角部2a)までの間が、左側面壁6側へと膨らんだ弧状に形成されている。
【0020】
次に、背面壁4は、底面壁2の上方に起立されている。本実施形態では、背面壁4の面形状は、逆三角形状に形成されている。
具体的には、背面壁4は、上辺43と、左右の側面壁5,6の境界に形成された左右一対の折り罫線41,42と、によって区画された面部である。以下、この一対の折り罫線41,42のうち、正面壁3を正面から見た状態を基準に、右側を「背面右折り罫線41」、左側を「背面左折り罫線42」という場合がある。
ただし、正面壁4の上辺43には、背面延出片45が一体的に延出されているので、該上辺43の形状は現れず、該背面壁4の上辺43は仮想の辺である。なお、背面壁4の上辺43となる箇所を、図面上において実線で示している。
【0021】
上記背面右折り罫線41は、この上辺43の一端部43aを始点として下方に延び、一方、背面左折り罫線42は、この上辺43の他端部43bを始点として下方に延びている。この一対の折り罫線41,42は、下方に向かうに従って互いに近づき、底面壁2の他の角部2bにまで形成されている。なお、この底面壁2の他の角部2bは、上記正面壁3の一対の折り罫線31,32の下端部が連設された角部2aと、対角線上に位置する関係にある。
従って、背面壁4の一対の折り罫線41,42は、下方に向かうに従って互いに近づくように背面壁4の上辺43に対して傾斜し、且つ各折り罫線41,42の下端部が底面壁2の角部2bに連設されている。よって、背面壁4は、折り罫線41,42の下端部を頂点とする逆三角形状に形成されている。
さらに、背面右折り罫線41は、その上端部(上辺43の一端部43a)から下端部(底面壁2の角部2b)までの間が、右側面壁5側に膨らんだ弧状に形成されている。背面左折り罫線42も同様に、その上端部(上辺43の他端部43b)から下端部(底面壁2の角部2b)までの間が、左側面壁6側へと膨らんだ弧状に形成されている。
【0022】
上記正面壁3の上辺33の一端部33aと背面壁4の上辺43の一端部43aは、連設されており、さらに、正面壁3の上辺33の他端部33bと背面壁4の上辺43の他端部43bも連設されている。従って、正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43は、その一端部33a,43a及び他端部33b,43bが一致している。また、正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43は、略平行となっており、この正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43の間には、細長い開口を有する。
【0023】
一方、右側面壁5は、底面壁2の上方に起立され且つ正面壁3及び背面壁4の間に連設されている。本実施形態では、右側面壁5の面形状は、三角形状に形成されている。
具体的には、右側面壁5は、下辺と、正面壁3の正面右折り罫線31と、背面壁4の背面右折り罫線41と、によって区画された面部である。
右側面壁5の下辺は、底面壁2の隣合う2辺21,22に形成された折り罫線を介して、底面壁2に連設されている。また、右側面壁5の一方の側部は、正面右折り罫線31を介して正面壁3に連設され、右側面壁5の他方の側部は、背面右折り罫線41を介して背面壁4に連設されている。上記正面右折り罫線31及び背面右折り罫線41の傾斜に従い、右側面壁5の両側部は、下方に向かうに従って互いに離れるように傾斜状に形成されている。
この右側面壁5の面内には、正面壁3の上辺33の一端部33a(背面壁4の上辺43の一端部43aと同じ)から底面壁2の他の角部2c(底面壁2の隣合う2辺21,22の連設部分)にかけて、折り罫線51が形成されている。以下、この折り罫線51を「右側面折り罫線51」という場合がある。
従って、右側面壁5は、正面壁3の上辺33の一端部33aを頂点とする三角形状に形成されており、且つ、右側面折り罫線51を稜線として山折りされ、外側に膨らんでいる。
なお、52は、シート材を組立てて収納シート1を形成する際の糊代片である。
【0024】
次に、左側面壁6は、底面壁2の上方に起立され且つ正面壁3及び背面壁4の間に連設されている。本実施形態では、左側面壁6の面形状は、三角形状に形成されている。
具体的には、左側面壁6は、下辺と、正面壁3の正面左折り罫線32と、背面壁4の背面左折り罫線42と、によって区画された面部である。
左側面壁6の下辺は、底面壁2の残る隣合う2辺23,24に形成された折り罫線を介して、底面壁2に連設されている。また、左側面壁6の一方の側部は、正面左折り罫線32を介して正面壁3に連設され、左側面壁6の他方の側部は、背面左折り罫線42を介して背面壁4に連設されている。上記正面左折り罫線32及び背面左折り罫線42の傾斜に従い、左側面壁6の両側部は、下方に向かうに従って互いに離れるように傾斜状に形成されている。
この左側面壁6の面内には、正面壁3の上辺33の他端部33b(背面壁4の上辺43の他端部43bと同じ)から底面壁2の他の角部2d(底面壁2の残る隣合う2辺23,24の連設部分)にかけて、折り罫線61が形成されている。以下、この折り罫線61を「左側面折り罫線61」という場合がある。
従って、左側面壁6は、正面壁3の上辺33の他端部33bを頂点とする三角形状に形成されており、且つ、左側面折り罫線61を稜線として山折りされ、外側に膨らんでいる。
本実施形態では、右側面壁5と左側面壁6とは、略同大同形に形成されており、右側面壁5と左側面壁6とは、左右に対向配置されている。
【0025】
上記左右側面壁5,6が、正背面壁3,4の間に設けられていることにより、正面壁3及び背面壁4は、その上辺33,43から下方に向かうに従って離反した屋根型状となっている。
【0026】
さらに、上記正面壁3の上辺33には、上方に延出された正面延出片35が設けられている。同様に、上記背面壁4の上辺43には、上方に延出された背面延出片45が設けられている。
正面延出片35は、正面壁3の上辺33と略同幅であり、正面延出片35の両角部は、円弧状に形成されている(角取り加工)。同様に、背面延出片45は、背面壁4の上辺43と略同幅であり、背面延出片45の両角部は、円弧状に形成されている。
また、正面延出片35及び背面延出片45の延出長さは、特に限定されないが、余りに短いと開口を十分に塞ぐことができないので、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上、特に好ましくは15mm以上である。一方、正面延出片35及び背面延出片45の延出長さの上限は、特に限定されないが、余りに長いと収納ケース1の上下長さが長くなりすぎるので、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下である。
【0027】
本実施形態では、正面壁3及び正面延出片35と、背面壁4及び背面延出片45とは、略同大同形状に形成されており、正面壁3及び正面延出片35と、背面壁4及び背面延出片45とは、前後に対向配置されている。
【0028】
次に、図6は、上記収納ケース1を構成する展開シート10を示す。図6に付した符号のうち、上記収納ケース1の各構成要素に対応する部分については、収納ケース1と同じ符号を付している。また、全ての折り罫線を一点鎖線で表している。
【0029】
この展開シート10は、1枚のシート材を打ち抜いて形成されている。
この展開シート10は、収納ケース1の底面壁2、正面壁3、背面壁4、及び左右側面壁5,6に対応する面部が連なって形成されている。この展開シート10においては、右側面壁5は、右側面折り罫線51にて2分されている。該展開シート10において、2分された右側面壁5の一方の分割片には、糊代片52が連設されている。また、展開シート10において、左右側面壁5,6の下辺には、底面壁2を形成する底面形成片251がそれぞれ連設されている。
各折り罫線は、シート材を折り曲げ易く型付けできるように形成された線であれば特に限定されず、例えば、シート材を厚み方向に略V字状に切り込んだハーフカット線、シート材を貫通する短い孔が断続的に形成されたミシン目線などを用いることができる。
上記展開シート10の各部の構成は、上記収納ケース1の各部に対応しているので、その具体的な説明は省略する。
【0030】
次に、上記展開シート10から収納ケース1を組み立てる手順を説明する。
展開シート10を用い、各折り罫線において折り曲げつつ、糊代片52を、右側面壁5の他方の分割片に接着する。
このように接着した後、通常、収納ケース1は、扁平状に折り畳まれ、保管・搬送などに供される。
具体的には、糊代片52を接着した後、右側面折り罫線51及び左側面折り罫線61において、正背面壁3,4の内面同士が面接触するように、折り曲げることにより、収納ケース1は扁平状に折り畳まれる。
使用時には、各底面形成片251を組み合わせて底面壁2を形成することにより、図1等に示すような、収納ケース1が形成される。
【0031】
上記収納ケース1は、収納部9内に商品を入れて使用される。
該商品は、特に限定されず、個包装された菓子、その他の固体状食品、おもちゃ、化粧品、下着など任意のものである。
上記収納ケース1は、正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43の間に細長い開口を有しつつ、正面壁3と背面壁4が屋根型状となっている。さらに、正面壁3の上辺33には正面延出片35が上方に延出され、且つ背面壁4の上辺43には背面延出片45が上方に延出されている。この正面延出片35及び背面延出片45は、屋根型状となった正面壁3及び背面壁4の傾斜に従い、互いに押さえ合うように上方に延びているので、図5に示すように、正面延出片35の上方部内面と背面延出片45の上方部内面が面接触する。このため、正面延出片35及び背面延出片45によって、正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43の間の、上記開口を塞ぐことができる。従って、収納部9内に収納した商品が不用意に外部へ出ることを防止できる。
【0032】
本発明の収納ケース1によれば、蓋を用いて開口の開閉作業を行わなくても、正面延出片35及び背面延出片45の剛性によって、上記開口を塞ぐことができる。
特に、本実施形態では、正面壁3の折り罫線31,32及び背面壁4の折り罫線41,42が、左右側面壁5,6側に膨らんだ弧状に形成されている。このため、正面壁3及び背面壁4は、その上辺33,43に向かうに従って近づくように、なだらかな弓形の湾曲面となる。従って、上記正面延出片35の上方部内面と背面延出片45の上方部内面が強く密着し、上記開口をより確実に塞ぐことができる。このように、上記開口を確実に塞ぐことができるので、収納部9内に粉塵などが入り込むことを防止できる。
【0033】
また、本発明の収納ケース1は、図7に示すように、使用者が正面壁3の上辺33の両端部33a,33b(背面壁4の上辺43の両端部43a,43b)に指を当て、両端部33a,33bが近づくように左右側面壁5,6を押圧することにより、正面壁3及び正面延出片35と背面壁4及び背面延出片45とが湾曲して外側へ膨らみ、正面延出片35と背面延出片45が離反する。その結果、正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43の間の開口を開くことができる。かかる開口から、収納された商品を出し入れすることができる。
なお、上記指による押圧を解除すると、正面壁3及び背面壁4は、シート材の復帰力に従い、元の形状に戻り、正面延出片35及び背面延出片45によって、上記開口を塞ぐことができる。
【0034】
また、本実施形態の収納ケース1は、底面壁2が矩形状であり、正面壁3及び背面壁4が底面壁2から上方に向かうに従って扇状に拡がっているため、使用者の興味を喚起しうる形態であり、アイキャッチ性に優れている。
【0035】
<第2実施形態>
本実施形態は、正面延出片部の上辺と背面延出片部の上辺が連設されている収納ケースに関する。
以下、本実施形態の収納ケースについて、上記第1実施形態と異なる構成及び効果について主として説明し、上記第1実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
【0036】
本実施形態の収納ケース1は、図8及び図9に示すように、上記第1実施形態と同様に、底面壁2と、正面壁3及び背面壁4と、右側面壁5及び左側面壁6と、を有し、正面壁3及び背面壁4には、それぞれ折り罫線31,32,41,42が形成されている。
本実施形態の収納ケース1が、上記第1実施形態と異なる点は、下記の通りである。
本実施形態の収納ケース1は、その正面延出片35の上辺及び背面延出片45の上辺が一体的に連設されている。
具体的には、正面延出片35と背面延出片45は、その境界に折り罫線7が形成され、該折り罫線7にて正面延出片35の内面及び背面延出片45の内面が重なるように折り曲げることにより、正面延出片35及び背面延出片45は、その上辺(折り罫線7の形成部分)において連設されている。
また、正面延出片35の面内には、正面延出片35の上辺(折り罫線7)と平行に、切取用ミシン目線81が形成されている。この切取用ミシン目線81の両端部は、正面壁3の両端部33a,33bに連設されている。
同様に、背面延出片45の面内には、背面延出片45の上辺(折り罫線7)と平行に、切取用ミシン目線82が形成されている。この切取用ミシン目線82の両端部は、背面壁4の両端部43a,43bに連設されている。
【0037】
次に、図10は、本実施形態の収納ケース1を構成する展開シート10を示す。図10に付した符号のうち、上記収納ケース1の各構成要素に対応する部分については、収納ケース1と同じ符号を付している。また、全ての折り罫線を一点鎖線で表している。
【0038】
この展開シート10は、収納ケース1の正面壁3の正面延出片35及び背面壁4の背面延出片45の上辺が連なって形成されている。また、正面延出片35及び背面延出片45の面内には、それぞれ切取用ミシン目線81,82が形成されている。
この展開シート10においては、左右側面壁5,6は、右側面折り罫線51及び左側面折り罫線61にて2分されている。該展開シート10において、2分された左右側面壁5,6の一方の分割片には、糊代片52,62がそれぞれ連設されている。また、展開シート10において、左右側面壁5,6の下辺には、底面壁2を形成する底面形成片251がそれぞれ連設されている。
【0039】
上記展開シート10を用い、正面延出片35及び背面延出片45の境界に形成された折り罫線7において折り曲げ、更に、残る各折り罫線において折り曲げつつ、糊代片52,62を、左右側面壁5,6の他方の分割片に接着する。
本実施形態の収納ケース1も、通常、扁平状にした状態で、保管・搬送などに供される。
使用時には、収納部9内に商品を入れた後、各底面形成片251を組み合わせて底面壁2を形成することにより、図8及び図9に示すような、収納ケース1が形成される。
【0040】
本実施形態の収納ケース1は、正面延出片35の上辺及び背面延出片45の上辺が連設されているので、搬送等の際、押圧力が加わっても、正面延出片35及び背面延出片45が不用意に離反することを防止できる。従って、商品を入れた収納ケース1を搬送などする際に、収納部9内に粉塵などが入り込むことを確実に防止できる。
なお、本実施形態の収納ケース1は、切取用ミシン目線81,82を利用して、正面延出片35及び背面延出片45を上下に2分して、正面延出片35及び背面延出片45の上方側を除去することにより、開口を形成することができる。本実施形態の収納ケース1は、このように開口を形成することにより、上記第1実施形態の収納ケース1と同様の構成となる。なお、切取用ミシン目線81,82を用いずに、カッターやハサミなどを用いて、正面延出片35と背面延出片45の連設部分を切断し、開口を形成しても同様である。
その後、使用者が正面壁3の上辺33の両端部33a,33bを押圧することにより、正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43の間の開口を開くことができ、そこから商品を出し入れすることができる。
また、上記押圧を解除すると、正面壁3及び背面壁4は、元の形状に戻り、正面延出片35及び背面延出片45によって、上記開口を塞ぐことができる。
【0041】
<第3実施形態>
本実施形態は、正面壁の折り罫線及び背面壁の折り罫線が直線状に形成されている収納ケースに関する。
以下、本実施形態の収納ケースについて、上記第1実施形態と異なる構成及び効果について主として説明し、上記第1実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
【0042】
本実施形態の収納ケース1は、図11及び図12に示すように、上記第1実施形態と同様に、底面壁2と、正面壁3及び背面壁4と、右側面壁5及び左側面壁6と、を有し、正面壁3及び背面壁4には、それぞれ折り罫線31,32,41,42が形成されている。
本実施形態の収納ケース1が、上記第1実施形態と異なる点は、下記の通りである。
本実施形態の収納ケース1は、正面壁3の上辺33の一端部33aから底面壁2の一つの角部2aにまで形成された正面右折り罫線31が、直線状に形成されている。さらに、正面壁3の上辺33の他端部33bから底面壁2の一つの角部2aにまで形成された正面左折り罫線32が、直線状に形成されている。
【0043】
また、収納ケース1は、背面壁4の上辺43の一端部43aから底面壁2の他の角部2bにまで形成された背面右折り罫線41が、直線状に形成されている。さらに、背面壁4の上辺43の他端部43bから底面壁2の他の角部2bにまで形成された背面左折り罫線42が、直線状に形成されている。
【0044】
次に、図13は、本実施形態の収納ケース1を構成する展開シート10を示す。図13に付した符号のうち、上記収納ケース1の各構成要素に対応する部分については、収納ケース1と同じ符号を付している。また、全ての折り罫線を一点鎖線で表している。
【0045】
この展開シート10は、正面右折り罫線31、正面左折り罫線32、背面右折り罫線41及び背面左折り罫線42が直線状に形成されていることを除いて、上記第1実施形態のものと同様である。
【0046】
本実施形態の収納ケース1は、正面壁3の折り罫線31,32及び背面壁4の折り罫線41,42が直線状に形成されているので、正面延出片35の上辺の中央部と上面延出片45の上辺の中央部が僅かに離反する虞があるが、収納部9内に収納した商品が出るほどの隙間が生じることはない。
【0047】
<第4実施形態>
本実施形態は、正面壁が背面壁に比して長く形成されている収納ケースに関する。
以下、本実施形態の収納ケースについて、上記第1実施形態と異なる構成及び効果について主として説明し、上記第1実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
【0048】
本実施形態の収納ケース1は、図14及び図15に示すように、上記第1実施形態と同様に、底面壁2と、正面壁3及び背面壁4と、右側面壁5及び左側面壁6と、を有し、正面壁3及び背面壁4には、それぞれ折り罫線31,32,41,42が形成されている。
本実施形態の収納ケース1が、上記第1実施形態と異なる点は、下記の通りである。
本実施形態の収納ケース1は、正面右折り罫線31及び正面左折り罫線32の上下長さが、背面右折り罫線41及び背面右折り罫線42の上下長さよりも、長く形成されている。従って、正面壁3の上下長さが、背面壁4に比して、長く形成されている。なお、正面壁3の上辺33と背面壁4の上辺43は、同じ長さである。
また、正面延出片35の上辺及び背面延出片45の上辺は、半円弧が2つ並列された形状に形成されている。正面延出片35及び背面延出片45をこのように形成したのは、収納ケース1のデザインのためである。
【0049】
次に、図16は、本実施形態の収納ケース1を構成する展開シート10を示す。図16に付した符号のうち、上記収納ケース1の各構成要素に対応する部分については、収納ケース1と同じ符号を付している。
【0050】
この展開シート10は、正面壁3の上下に長く形成されていることに対応して、正面壁3に連設された左右側面壁5,6の2辺21,24が、下方に大きく傾斜されている。なお、この2辺21,24は、左右側面壁5,6と底面壁2の連設部分であり、折り罫線が形成されている。
【0051】
本実施形態の収納ケース1は、上記第1実施形態と同様に、正面延出片35及び背面延出片45によって、開口を閉塞できる。また、収納ケース1の左右側面壁5,6を押圧することにより、正面延出片35及び背面延出片45を離反させ、開口を開くことができる。
また、本実施形態の収納ケース1は、正面壁3が背面壁4に比して長く形成されているので、図15に示すように、側面視が非対称な収納ケース1を構成できる。このように正面壁3が大面積に形成された収納ケース1は、第1実施形態の収納ケース1に比して、よりアイキャッチ性を向上させることができる。
【0052】
なお、本実施形態では、正面壁3の折り罫線31,32及び背面壁4の折り罫線41,42は、下方に向かうに従って互いに離れるように傾斜状に形成されているが、第3実施形態と同様にして、正面壁3の折り罫線31,32及び背面壁4の折り罫線41,42が、直線状に形成されていてもよい。
かかる変形例の収納ケース1を構成する展開シート10を、図17に示す。図17に付した符号のうち、上記収納ケース1の各構成要素に対応する部分については、収納ケース1と同じ符号を付している。
【0053】
<他の実施形態>
本発明の収納ケース1は、本発明の意図する範囲で様々な態様に変更することができる。
例えば、上記第1〜第4実施形態では、正面壁3の左右の折り罫線31,32の下端部が何れも底面壁2の角部2aまで形成されているが、該左右の折り罫線31,32の下端部が、(底面壁2の角部2aにまで形成されておらず)底面壁2の辺の上方に位置するように形成されていてもよい。かかる左右の折り罫線31,32の場合には、正面壁3は、逆台形状となる。なお、背面壁4の左右の折り罫線41,42も同様に、左右の折り罫線41,42の下端部が、底面壁2の辺の上方に位置するように形成されていてもよい。
【0054】
また、上記第1実施形態などにおいて、正面壁3の左右の折り罫線31,32は、その上端部から下端部までの間が、右側面壁5側に膨らんだ弧状に形成されているが、例えば、図18に示すように、左右の折り罫線31,32が複数(例えば2本)の直線からなり、側面壁5,6側へと膨らんだ屈曲状に形成されていてもよい。
なお、背面壁4の左右の折り罫線41,42についても同様に、側面壁5,6側へと膨らんだ屈曲状に形成されていてもよい。
このように正面壁3及び/又は背面壁4の各折り罫線31,32,41,42が、側面壁5,6側へと膨らんだ屈曲状に形成されていても、上記第1実施形態と同様に、正面延出片35の上方部内面と背面延出片45の上方部内面が強く密着する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施形態の収納ケースを正面側から視た斜視図。
【図2】同収納ケースを背面側から視た斜視図。
【図3】(a)は、同収納ケースの正面図、(b)は、同収納ケースの背面図。
【図4】同収納ケースの右側面図。
【図5】図3(a)のI−I線で切断した縦切断端面図。
【図6】同収納ケースを構成する展開シートの平面図。但し、図6に於いて、展開シートに形成された全ての折り罫線を一点鎖線で表す(他の展開シートを示す図も同様である)。
【図7】同収納ケースの使用状態を正面側から視た斜視図。
【図8】第2実施形態の収納ケースを正面側から視た斜視図。
【図9】図8のII−II線で切断した縦切断端面図。
【図10】同収納ケースを構成する展開シートの平面図。
【図11】第3実施形態の収納ケースを正面側から視た斜視図。
【図12】図11のIII−III線で切断した縦切断端面図。
【図13】同収納ケースを構成する展開シートの平面図。
【図14】第4実施形態の収納ケースを正面側から視た斜視図。
【図15】同右側面図。
【図16】同収納ケースを構成する展開シートの平面図。
【図17】第4実施形態の変形例に係る収納ケースを構成する展開シートの平面図。
【図18】他の実施形態に係る収納ケースの正面図。
【符号の説明】
【0056】
1…収納ケース、2…底面壁、3…正面壁、31,32…正面壁の左右の折り罫線、33a…正面壁の上辺の一端部、33b…正面壁の上辺の他端部、35…正面延出片、4…背面壁、41,42…背面壁の左右の折り罫線、43a…背面壁の上辺の一端部、43b…背面壁の上辺の他端部、45…背面延出片、5…右側面壁、51…右側面壁の折り罫線、6…左側面壁、61…左側面壁の折り罫線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を組み立てて形成されており、
底面壁と、前記底面壁の上方に起立され且つ前後に対向する正面壁及び背面壁と、前記底面壁の上方に起立され且つ正面壁及び背面壁の間に連設された右側面壁及び左側面壁と、を有し、底面壁を下にして自立可能な収納ケースであって、
前記正面壁と左右側面壁の境界には、正面壁の上辺の一端部及び他端部からそれぞれ下方に延びる左右一対の折り罫線が形成され、前記一対の折り罫線は、下方に向かうに従って互いに近づくように傾斜しており、
前記背面壁と左右側面壁の境界には、背面壁の上辺の一端部及び他端部からそれぞれ下方に延びる左右一対の折り罫線が形成され、前記一対の折り罫線は、下方に向かうに従って互いに近づくように傾斜しており、
前記正面壁の上辺の一端部と背面壁の上辺の一端部が連設され、且つ前記正面壁の上辺の他端部と背面壁の上辺の他端部が連設されていると共に、
前記正面壁の上辺には、上方に延出された正面延出片が設けられ、且つ背面壁の上辺には、上方に延出された背面延出片が設けられていることを特徴とする収納ケース。
【請求項2】
前記左側面壁の面内及び右側面壁の面内には、上下方向に延びる折り罫線がそれぞれ形成され、この折り罫線において左側面壁及び右側面壁が山折りされ、左側面壁及び右側面壁が外側に膨らんでいる請求項1に記載の収納ケース。
【請求項3】
前記正面壁と左右側面壁の境界に形成された左右一対の折り罫線、又は、背面壁と左右側面壁の境界に形成された左右一対の折り罫線のうち、少なくともいずれかの一対の折り罫線が、側面壁側へと膨らんだ形状に形成されている部分を有する請求項1または2に記載の収納ケース。
【請求項4】
前記正面延出片の上辺と背面延出片の上辺が一体的に連設されている請求項1〜3のいずれかに記載の収納ケース。
【請求項1】
シート材を組み立てて形成されており、
底面壁と、前記底面壁の上方に起立され且つ前後に対向する正面壁及び背面壁と、前記底面壁の上方に起立され且つ正面壁及び背面壁の間に連設された右側面壁及び左側面壁と、を有し、底面壁を下にして自立可能な収納ケースであって、
前記正面壁と左右側面壁の境界には、正面壁の上辺の一端部及び他端部からそれぞれ下方に延びる左右一対の折り罫線が形成され、前記一対の折り罫線は、下方に向かうに従って互いに近づくように傾斜しており、
前記背面壁と左右側面壁の境界には、背面壁の上辺の一端部及び他端部からそれぞれ下方に延びる左右一対の折り罫線が形成され、前記一対の折り罫線は、下方に向かうに従って互いに近づくように傾斜しており、
前記正面壁の上辺の一端部と背面壁の上辺の一端部が連設され、且つ前記正面壁の上辺の他端部と背面壁の上辺の他端部が連設されていると共に、
前記正面壁の上辺には、上方に延出された正面延出片が設けられ、且つ背面壁の上辺には、上方に延出された背面延出片が設けられていることを特徴とする収納ケース。
【請求項2】
前記左側面壁の面内及び右側面壁の面内には、上下方向に延びる折り罫線がそれぞれ形成され、この折り罫線において左側面壁及び右側面壁が山折りされ、左側面壁及び右側面壁が外側に膨らんでいる請求項1に記載の収納ケース。
【請求項3】
前記正面壁と左右側面壁の境界に形成された左右一対の折り罫線、又は、背面壁と左右側面壁の境界に形成された左右一対の折り罫線のうち、少なくともいずれかの一対の折り罫線が、側面壁側へと膨らんだ形状に形成されている部分を有する請求項1または2に記載の収納ケース。
【請求項4】
前記正面延出片の上辺と背面延出片の上辺が一体的に連設されている請求項1〜3のいずれかに記載の収納ケース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−285197(P2008−285197A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131575(P2007−131575)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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