説明

収納ボックス

【課題】物品が収納される収納空間内を容易に清掃することができるとともに、収納空間内を清潔に保つことができる収納ボックスを提供する。
【解決手段】収納ボックスは、物品が収納される収納空間が形成された本体部10と、この本体部10に取り付けられた収納空間の入口111を開閉する蓋部20と、前記収納空間の入口111を開閉する蓋部20の動作に連動し、清掃空間12内の空気を収納空間内へ押し出すことで収納空間内を清掃する清掃手段30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などに好適に用いられる収納ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に設けられた収納ボックス(コンソールボックス)が記載されている。この種の収納ボックスは、物品を収納する収納空間が形成された本体部および収納空間の入口(開口)を開閉する蓋部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−155766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような収納ボックスは、収納空間内に埃が溜まりやすく、収納空間内を清潔に保つためには清掃を頻繁に行わなければならないという問題があった。特に、車両に設けられる収納ボックスは、一般的にはそれほど収納空間が大きくないため、その狭い収納空間内を清掃するのは面倒である。
【0005】
上記実情に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、物品が収納される収納空間内を容易に清掃することができるとともに、収納空間内を清潔に保つことができる収納ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明にかかる収納ボックスは、物品が収納される収納空間が形成された本体部と、この本体部に取り付けられた前記収納空間の入口を開閉する蓋部と、前記収納空間の入口を開閉する前記蓋部の動作に連動して前記収納空間内を清掃する清掃手段と、を備えることを要旨とする。
【0007】
上記構成は、収納空間の入口を開閉する蓋部を動作させれば、自動的に清掃手段によって収納空間内が清掃されるため、収納空間内の清掃が容易である。また、蓋部の開閉操作の度に収納空間内が清掃されるため、収納空間内を常に清潔に保つことができる。
【0008】
また、上記の場合において、前記本体部には、連通孔を介して前記収納空間と連なる空間である清掃空間が形成されており、前記清掃手段は、前記収納空間の入口を開放する方向に動作する前記蓋部に連動して前記連通孔に近づく方向に前記清掃空間内を移動し、前記清掃空間内の空気を前記連通孔を通じて前記収納空間内へ押し出す押出部材を有していればよい。
【0009】
上記構成によれば、蓋部が収納空間の入口を開放する際、清掃手段の押出部材によって清掃空間内の空気が収納空間に押し出される。したがって、その押し出された空気により収納空間内に溜まった埃などが吹き飛ばされて除去される。このように、収納空間の入口を開放する方向に蓋部が操作される度に、収納空間内の埃などが風圧により除去される構成であるため、収納空間内を隅々まで清掃すること(清潔に保つこと)ができる。
【0010】
また、上記の場合において、前記本体部には、第一の連通孔および第二の連通孔を介して前記収納空間と連なる空間である清掃空間が形成されており、前記清掃手段は、前記収納空間の入口を開放する方向に動作する前記蓋部に連動して前記第一の連通孔に近づく方向かつ前記第二の連通孔から離れる方向に前記清掃空間内を移動し、前記清掃空間内の空気を前記第一の連通孔を通じて前記収納空間内へ押し出すとともに前記収納空間内の空気を前記第二の連通孔を通じて前記清掃空間内に引き込む押出引込部材を有していればよい。
【0011】
上記構成によれば、蓋部が収納空間の入口を開放する際、清掃手段の押出引込部材によって清掃空間内の空気が第一の連通孔より収納空間に押し出される。これと同時に、押出引込部材によって収納空間内の空気が第二の連通孔より清掃空間内に引き込まれる。つまり、第一の連通孔より収納空間内に溜まった埃などが吹き飛ばされると同時に、その吹き飛ばされた埃を第二の連通孔より引き込む(吸い込む)構成である。このように、収納空間の入口を開放する方向に蓋部が操作される度に、収納空間内の埃などが風圧により吹き飛ばされると同時に清掃空間に吸い込まれる構成であるため、収納空間内を隅々まで清掃すること(清潔に保つこと)ができる。
【0012】
また、上記の場合において、前記清掃手段は、前記収納空間の入口を開放および閉鎖する前記蓋部に連動して、前記収納空間を構成する壁面上を摺り動く刷毛部材を備えていればよい。
【0013】
上記構成によれば、蓋部が収納空間の入口を開放する際、清掃手段の刷毛部材によって収納空間の壁面上に溜まった埃などが掃き出されるため、収納空間内の清掃が容易である。また、清掃空間内を常に清潔に保つことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる収納ボックスによれば、収納空間の入口を開閉する蓋部を動作させれば、自動的に清掃手段によって収納空間内が清掃されるため、収納空間内の清掃が容易である。また、蓋部の開閉操作の度に収納空間内が清掃されるため、収納空間内を常に清潔に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態にかかる収納ボックスの外観斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態にかかる収納ボックスの断面(図1におけるA−A線断面に相当する)斜視図である。
【図3】図3(a)は本発明の第一の実施形態にかかる収納ボックスの断面(図1におけるA−A線断面に相当する)図であり、図3(b)は(図3(a)に示した状態から)収納空間の入口を開放する方向に蓋部を移動させた状態を示した断面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態にかかる収納ボックスが備える蓋部材およびこれと一体的に形成された押出部材(清掃手段)の外観斜視図である。
【図5】図5(a)は本発明の第二の実施形態にかかる収納ボックスの断面(図1におけるA−A線断面に相当する)図であり、図5(b)は(図5(a)に示した状態から)収納空間の入口を開放する方向に蓋部を移動させた状態を示した断面図である。
【図6】図5(a)におけるB−B線断面図である。
【図7】本発明の第三の実施形態にかかる収納ボックスの断面(図1におけるA−A線断面に相当する)図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明における上下方向(高さ方向)とは図2、図5、図6における上下方向をいい、前後方向とは図2、図5(a)、図6における左右方向をいい、幅方向とは上下方向および前後方向に直交する方向をいう。本実施形態にかかる収納ボックス(以下の第一〜第三の実施形態にかかる収納ボックス1,2,3)は、車両用シートのアームレストと一体的に構成されたものである。以下、各実施形態について詳細に説明する。
【0017】
第一の実施形態にかかる収納ボックス1は、物品が収納される収納空間11が形成された本体部10と、この本体部10に取り付けられた蓋部20と、本体部10に形成された収納空間11を清掃する清掃手段30と、を備える。
【0018】
本体部10は、アームレストとしての肘掛け機能を発揮する部分である。この本体部10の上部には、所定の大きさの収納空間11が形成されている。この収納空間11は、上方に向かって開口している。つまり、この開口が、物品を出し入れする際の入口111(出し入れ口)となる。本実施形態では、収納空間11を構成する底面112における前側の一部は、前方に向かって段々と上方に傾斜している。なお、収納空間11を構成する底面112の全部が、前方に向かって段々と上方に傾斜する形状としてもよい。収納空間11を構成する幅方向両側面(内壁面)には、蓋部20を案内する第一のガイドレール113が形成されている。本実施形態では、第一のガイドレール113は、幅方向外側に向かって窪んだ前後方向に延びる溝である。
【0019】
また、本体部10における収納空間11の下側には、清掃空間12が形成されている。清掃空間12は、前後方向および幅方向に広がるような直方体形状の空間である。この清掃空間12と上記収納空間11とは、連通孔13を介して連なる。連通孔13は、側方視(断面)略「S」字を描くような形状に屈曲して清掃空間12の前面から収納空間11の後面に繋がった孔である。なお、この連通孔13の収納空間11側の開口(以下、通気口114と称する)は、例えば網目状(メッシュ)のカバーで覆われている。このカバーは、収納空間11内に収納された物品が通気口114から連通孔13に入り込まないようにするためのものである。
【0020】
清掃空間12内には、詳細を後述する清掃手段30の押出部材31が設けられている。清掃空間12を構成する幅方向両側面(内壁面)には、この押出部材31を案内する第二のガイドレール121が形成されている。本実施形態では、第二のガイドレール121は、幅方向外側に向かって窪んだ前後方向に延びる溝である。
【0021】
さらに、本体部10の後側には、収納空間11と清掃空間12とを繋ぐ蓋ガイド孔14が形成されている。蓋ガイド孔14は、側方視(断面)略「U」字を描くような形状に屈曲して収納空間11の後面から清掃空間12の後面に繋がった孔である。
【0022】
蓋部20は、その先端(収納空間11に近い側を先端と称し、その反対側を基端と称する。以下同じ)寄りの一部が本体部10に形成された収納空間11の入口111を開閉する部材であり、容易に屈曲変形するような形状、材質で形成されている。本実施形態では、蓋部20には、その内側に一定間隔で幅方向に延びる切れ込み21が形成されている。この切れ込み21により蓋部20は容易に屈曲変形する。この蓋部20の一部は、その幅方向両側部分が本体部10に形成された第一のガイドレール113に係合されている。蓋部20における第一のガイドレール113に係合された部分は、第一のガイドレール113に案内されて前後方向にスライド自在である。なお、蓋部20の先端側の外側には、蓋部20をスライドさせるための持ち手22が形成されている。さらに、蓋部20における第一のガイドレール113に係合された部分よりも基端寄りの一部は、本体部10に形成された蓋ガイド孔14に挿通されている。つまり、側方視(断面)略「U」字を描くような形状に屈曲した蓋ガイド孔14に沿って、蓋部20も屈曲している。そして、蓋部20における蓋ガイド孔14に挿通された部分よりも基端寄りの部分は、清掃空間12内に位置する。すなわち、蓋部20の基端は、常に清掃空間12内に位置する。この蓋部20の基端には、清掃手段30を構成する押出部材31が形成されている。すなわち、蓋部20と押出部材31は一体的に形成されている。
【0023】
清掃手段30は、蓋部20と一体的に形成された押出部材31を有する。押出部材31は、清掃空間12内を前後方向に移動(スライド)する略矩形状の板状の部材である。図4から分かるように、押出部材31の幅方向両側には、外側に向かって突出したスライド突起311が形成されている。このスライド突起311が清掃空間12を構成する幅方向両側面に形成された第二のガイドレール121に係合されている。つまり、押出部材31は、第二のガイドレール121に案内されて前後方向に移動する。また、押出部材31の周囲には、シール部312が形成されている。シール部312は例えばゴムなどの弾性部材で形成されている。清掃空間12内に設けられた押出部材31は、このシール部312が弾性変形した状態で清掃空間12に面する内壁と密着する。これにより、清掃空間12は、押出部材31よりも前側の空間(連通孔13が繋がっている空間)と押出部材31よりも後側の空間とに分割されている。つまり、押出部材31が前方に移動すれば前側の空間が小さくなり、その小さくなった分後側の空間が大きくなる。一方、押出部材31が後方に移動すれば前側の空間が大きくなり、その大きくなった分後側の空間が小さくなる。なお、この前側の空間と後側の空間は、押出部材31(シール部312)によって完全に遮られている(一方の空間の空気が他方の空間に流れ込まない状態)とよい。少なくとも、押出部材31が移動したときに小さくなる空間の圧力が一時的にある程度高まるように(空気が連通孔13へ押し出されるように)両空間が押出部材31によって遮られている必要がある。
【0024】
以上の構成を備える本実施形態にかかる収納ボックス1の作用は次の通りである。収納空間11の入口111を開放する方向(蓋部20の先端が後方に移動する方向)に蓋部20を移動させると、図3に示すように、その蓋部20と一体的に構成されている押出部材31は連通孔13に近づく方向(前方)に移動する。つまり、押出部材31は、清掃空間12の前側の空間を小さくする方向に移動する。そうすると、前側の空間内の圧力が一時的に高まり、前側の空間内の空気は連通孔13に押し出される。清掃空間12は、連通孔13を介して収納空間11と繋がっているため、この押し出された空気は収納空間11の後方に形成された通気口114から噴出する(図3(b)参照)。この噴出した空気により、収納空間11内に溜まっていた埃などが吹き飛ばされる。上述したように、収納空間11構成する底面112の少なくとも一部は、前方に向かって段々と上方に傾斜しているため、噴出された空気は上昇気流となり、埃などを収納空間11の入口111から収納空間11外に吹き飛ばす。これにより、収納空間11内が清掃される。
【0025】
収納空間11の入口111を開放した状態から閉鎖する方向(蓋部20の先端が前方に移動する方向)に蓋部20を移動させると、その蓋部20と一体的に構成されている押出部材31は連通孔13から離れる方向(後方)に移動する。その際、清掃空間12の前側の空間の圧力が一時的に低下し(負圧となり)、収納空間11に残っている埃が清掃空間12内に引き込まれることもある。したがって、本体部10には、清掃空間12内に引き込まれた埃を除去するための構成が設けられていることが好ましい。例えば、本体部10の底面112や側面に開閉自在の扉を設けておけばよい。ただし、この扉は、閉状態において清掃空間12を密閉する必要があるため、扉の周囲にはゴムなどの弾性部材などで形成されたシール部312を形成する必要がある。
【0026】
このように、本実施形態にかかる収納ボックス1によれば、収納空間11の入口111を開放する方向に蓋部20が操作されると、通気口114より噴出する空気(風圧)によって収納空間11内の埃などが除去されるため、収納空間11内の隅々まで清掃される。また、収納空間11の入口111を開放する方向に蓋部20が操作される度にこのような収納空間11の清掃が行われる構成であるため、収納空間11内を清潔に保つことができる。
【0027】
次に、第二の実施形態にかかる収納ボックス2について説明する。第二の実施形態にかかる収納ボックス2も、第一の実施形態にかかる収納ボックス1と同様に、物品が収納される収納空間41が形成された本体部40と、この本体部40に取り付けられた蓋部50と、本体部40に形成された収納空間41を清掃する清掃手段60と、を備える。
【0028】
本体部40は、アームレストとしての肘掛け機能を発揮する部分である。この本体部40の上部には、所定の大きさの収納空間41が形成されている。この収納空間41は、上方に向かって開口している。つまり、この開口が、物品を出し入れする際の入口411(出し入れ口)となる。収納空間41を構成する幅方向両側面(内壁面)には、蓋部50を案内する第一のガイドレール412が形成されている。本実施形態では、第一のガイドレール412は、幅方向外側に向かって窪んだ前後方向に延びる溝である。
【0029】
また、本体部40における収納空間41の下側には、清掃空間42が形成されている。清掃空間42は、前後方向および幅方向に広がるような直方体形状の空間である。この清掃空間42と上記収納空間41とは、第一の連通孔431および第二の連通孔432を介して連なる。第一の連通孔431は、側方視(断面)略「U」字を描くような形状に屈曲して清掃空間42の前面から収納空間41の前面に繋がった孔である。第二の連通孔432は、側方視(断面)略「U」字を描くような形状に屈曲して清掃空間42の後面から収納空間41の後面に繋がった孔である。なお、これら第一の連通孔431および第二の連通孔432の収納空間41側の開口(以下、第一の通気口413および第二の通気口414と称する)は、例えば網目状(メッシュ)のカバーで覆われている。このカバーは、収納空間41内に収納された物品が通気口から第一の連通孔431および第二の連通孔432に入り込まないようにするためのものである。
【0030】
清掃空間42内には、詳細を後述する清掃手段60の押出引込部材61が設けられている。清掃空間42を構成する幅方向両側面(内壁面)には、この押出引込部材61を案内する第二のガイドレール421が形成されている。本実施形態では、第二のガイドレール421は、幅方向外側に向かって窪んだ前後方向に延びる溝である。
【0031】
さらに、本体部40の後側には、収納空間41と清掃空間42とを繋ぐ蓋ガイド孔44が形成されている。蓋ガイド孔44は、側方視(断面)略「U」字を描くような形状に屈曲して収納空間41の後面から清掃空間42の後面に繋がっている。
【0032】
蓋部50は、その先端(収納空間41に近い側を先端と称し、その反対側を基端と称する。以下同じ)寄りの一部が本体部40に形成された収納空間41の入口411を開閉する部材であり、第一の実施形態と同様に容易に屈曲変形するような形状、材質で形成されている。本実施形態では、蓋部50には、その内側に一定間隔で幅方向に延びる切れ込み51が形成されている。この切れ込み51により蓋部50は容易に屈曲変形する。この蓋部50の一部は、その幅方向両側部分が本体部40に形成された第一のガイドレール412に係合されている。蓋部50における第一のガイドレール412に係合された部分は、第一のガイドレール412に案内されて前後方向にスライド自在である。なお、蓋部50の先端側の外側には、蓋部50をスライドさせるための持ち手52が形成されている。さらに、蓋部50における第一のガイドレール412に係合された部分よりも基端寄りの一部は、本体部40に形成された蓋ガイド孔44に挿通されている。つまり、側方視(断面)略「U」字を描くような形状に屈曲した蓋ガイド孔44に沿って、蓋部50も屈曲している。そして、蓋部50における蓋ガイド孔44に挿通された部分よりも基端寄りの部分は、清掃空間42内に位置する。すなわち、蓋部50の基端は、常に清掃空間42内に位置する。この蓋部50の基端には、清掃手段60を構成する押出引込部材61が形成されている。すなわち、蓋部50と押出引込部材61は一体的に形成されている。
【0033】
清掃手段60は、蓋部50と一体的に形成された押出引込部材61を有する。押出引込部材61は、清掃空間42内を前後方向に移動(スライド)する略矩形状の板状の部材である。図5(b)から分かるように、押出引込部材61の幅方向両側には、外側に向かって突出したスライド突起611が形成されている。このスライド突起611が清掃空間42を構成する幅方向両側面に形成された第二のガイドレール421に係合されている。つまり、押出引込部材61は、第二のガイドレール421に案内されて前後方向に移動する。また、押出引込部材61の周囲には、シール部612が形成されている。シール部612は例えばゴムなどの弾性部材で形成されている。清掃空間42内に設けられた押出引込部材61は、このシール部612が弾性変形した状態で清掃空間42に面する内壁と密着する。これにより、第一実施形態と同様に、清掃空間42は、押出引込部材61よりも前側の空間(連通孔が繋がっている空間)と押出引込部材61よりも後側の空間とに分割されている。つまり、押出引込部材61が前方に移動すれば前側の空間が小さくなり、その小さくなった分後側の空間が大きくなる。一方、押出引込部材61が後方に移動すれば前側の空間が大きくなり、その大きくなった分後側の空間が小さくなる。なお、この前側の空間と後側の空間は、押出引込部材61(シール部612)によって完全に遮られている(一方の空間の空気が他方の空間に流れ込まない状態)とよい。少なくとも、押出引込部材61が移動したときに小さくなる空間の圧力が一時的にある程度高まるように(空気が連通孔へ押し出されるように)両空間が押出引込部材61によって遮られている必要がある。
【0034】
以上の構成を備える本実施形態にかかる収納ボックス2の作用は次の通りである。収納空間41の入口411を開放する方向(蓋部50の先端が後方に移動する方向)に蓋部50を移動させると、図5に示すように、その蓋部50と一体的に構成されている押出引込部材61は、第一の連通孔431に近づく方向(前方)かつ第二の連通孔432から離れる方向(後方)に移動する。つまり、押出引込部材61は、清掃空間42の前側の空間を小さくするとともに清掃空間42の後側の空間を大きくする方向に移動する。そうすると、清掃空間42の前側の空間内の圧力が一時的に高まり、前側の空間内の空気は第一の連通孔431に押し出される。清掃空間42は、第一の連通孔431を介して収納空間41と繋がっているため、この押し出された空気は収納空間41の前方に形成された第一の通気口413から噴出する(図5(b)参照)。この噴出した空気により、収納空間41内に溜まっていた埃などが吹き飛ばされる。これと同時に、清掃空間42の後側の空間の圧力が一時的に低下し(負圧となり)、吹き飛ばされた埃が第二の通気口414から清掃空間42内に引き込まれる(図5(b)参照)。このように、本実施形態にかかる収納ボックス2は、収納空間41から噴出する空気によって収納空間41の埃を吹き飛ばし、かつそれと同時に吹き飛ばされた埃を清掃空間42内に引き込む構成を備える。
【0035】
なお、本体部40には、清掃空間42内に引き込まれた埃を除去するための構成が設けられていることが好ましい。例えば、本体部40の底面や側面に開閉自在の扉を設けておけばよい。ただし、この扉は、閉状態において清掃空間42を密閉する必要があるため、扉の周囲にはゴムなどの弾性部材などで形成されたシール部612を形成する必要がある。
【0036】
このように、本実施形態にかかる収納ボックス2によれば、収納空間41の入口411を開放する方向に蓋部50が操作されると、通気口より噴出する空気(風圧)によって収納空間41内の埃などが吹き飛ばされると同時にその埃が清掃空間42内に引き込まれるため、収納空間41の隅々まで清掃される。そして、収納空間41の入口411を開放する方向に蓋部50が操作される度にこのような収納空間41の清掃が行われる構成であるため、収納空間41内を清潔に保つことができる。なお、本実施形態にかかる収納ボックス2は、吹き飛ばされた埃が吹き飛ばされると同時に清掃空間42内に引き込まれる構造を備えているため、清掃能力は第一実施形態にかかる収納ボックス1よりも優れる。ただし、第一の実施形態にかかる収納ボックス1の方が構造が簡単である(製造コストが低廉である)という利点がある。
【0037】
なお、この第二の実施形態にかかる収納ボックス2においても、第一の実施形態にかかる収納ボックス1と同様に、収納空間41の底面に傾斜をつけるなどして、より埃が吹き飛ばされやすく、かつ、引き込まれやすい構成としてもよい。
【0038】
次に、第三の実施形態にかかる収納ボックス3について説明する。第三の実施形態にかかる収納ボックス3も、第一の実施形態にかかる収納ボックス1および第二の実施形態にかかる収納ボックス2と同様に、物品が収納される収納空間71が形成された本体部70と、この本体部70に取り付けられた蓋部80と、本体部70に形成された収納空間71を清掃する清掃手段90と、を備える。
【0039】
本体部70は、アームレストとしての肘掛け機能を発揮する部分である。この本体部70には、所定の大きさの収納空間71が形成されている。この収納空間71は、上方に向かって開口している。つまり、この開口が、物品を出し入れする際の入口711(出し入れ口)となる。収納空間71を構成する幅方向両側面(内壁面)には、蓋部80を案内するガイドレール712が形成されている。本実施形態では、ガイドレール712は、幅方向外側に向かって窪んだ前後方向に延びる溝である。収納空間71の後方には、下方に向かって窪んだダスト空間72が形成されている。
【0040】
蓋部80は、収納空間71の入口711を開閉する部材である。本実施形態では、蓋部80には、その内側に一定間隔で幅方向に延びる切れ込みが形成されている。この切れ込みにより蓋部80は容易に屈曲変形する。この蓋部80の一部は、その幅方向両側部分が本体部70に形成されたガイドレール712に係合されている。蓋部80におけるガイドレール712に係合された部分は、ガイドレール712に案内されて前後方向にスライド自在である。なお、蓋部80の先端側の外側には、蓋部80をスライドさせるための持ち手81が形成されている。さらに、この蓋部80の先端側には、清掃手段90を構成する刷毛部材91(詳細は後述)が設けられている。すなわち、蓋部80と刷毛部材91は一体的に動作する。
【0041】
清掃手段90は、蓋部80と一体的に動作する刷毛部材91を有する。刷毛部材91の基端側は蓋部80の内側に回動自在に接続されている。具体的には、刷毛部材91が蓋部80に対して略直交した下向きの状態から、蓋部80の内側の面と接触する水平な状態まで回動自在である。刷毛部材91は、図示されないロック機構により、その下向きの状態あるいは水平な状態を保持することが可能である。下向きの状態にある刷毛部材91は、その先端の刷毛部911が収納空間71を構成する底面713に接触する。
【0042】
以上の構成を備える本実施形態にかかる収納ボックス3の作用は次の通りである。収納空間71の入口711を開放する方向(蓋部80が後方に移動する方向)に蓋部80を移動させると、刷毛部材91は後方に移動する。このとき、刷毛部材91が下向きの状態であれば、刷毛部材91の刷毛部911が収納空間71を構成する底面713上を摺り動く。すなわち、当該底面713上に溜まっていた埃などが、収納空間71の後方に形成されたダスト空間72に向かって掃き出される。このようにして、収納空間71に溜まっていた埃などが除去される。なお、ダスト空間72を囲む部分(図7において721で示す)は本体部70に対して着脱自在に構成するとよい。つまり、ダスト空間72に溜まった埃などをまとめて捨てることができる構成とすればよい。また、ダスト空間72の開口(収納空間71との境界)には、収納空間71に収納された物品がダスト空間72に落下しないようなバリア部材(例えば網目状の部材)が設けられているとよい。
【0043】
収納空間71に物品などが収納されている場合には、刷毛部材91を水平状態にして(蓋部80の裏に形成された凹部に収納して)蓋部80を操作する。このようにすれば、収納された物品に刷毛部材91が接触しない。つまり、収納空間71を清掃する際には、収納空間71に物品が収納されていない状態とする。
【0044】
また、本実施形態にかかる収納ボックス3は、通常時(清掃機能を発揮させない時)に刷毛部材91を水平状態としておけば(蓋部80の裏に形成された凹部に収納しておけば)、刷毛部材91によって収納空間71の大きさが小さくならないという利点もある。
【0045】
このように、本実施形態にかかる収納ボックス3によれば、収納空間71の入口711を開放する方向に蓋部80が操作されると、収納空間71を構成する底面713が刷毛部材91(清掃手段90)によって清掃される。なお、刷毛部材91の刷毛部911を幅方向に突出するように形成し、収納空間71を構成する側面が清掃される構成としてもよい。また、刷毛部911を下方向および幅方向の両方に突出するように形成し、収納空間71を構成する側面および底面が一度に清掃される構成としてもよい。
【0046】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0047】
例えば、上記各実施形態にかかる収納ボックス1,2,3は、車両用シートのアームレストに設けられているものであることを説明したが、これに限られるものではない。車両内のその他の位置に設けられる収納ボックスに適用してもよいし、車両内ではない場所に設けられる収納ボックスに適用してもよい。すなわち、車両内などに設けられる収納ボックスのように、収納空間が小さく清掃が面倒であるものであれば、上記本発明を適用する意義が大きいというだけであり、収納ボックスの設置場所が特定の場所に限定されるものではない。また、上記第一の実施形態〜第三の実施形態かかる収納ボックス1,2,3のうち、二以上の収納ボックスの特徴部分を組み合わせた構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 収納ボックス(第一の実施形態)
10 本体部
11 収納空間
111 入口
12 清掃空間
13 連通孔
20 蓋部
30 清掃手段
31 押出部材
2 収納ボックス(第二の実施形態)
40 本体部
41 収納空間
411 入口
42 清掃空間
431 第一の連通孔
432 第二の連通孔
50 蓋部
60 清掃手段
61 押出引込部材
3 収納ボックス(第三の実施形態)
70 本体部
71 収納空間
711 入口
80 蓋部
90 清掃手段
91 刷毛部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が収納される収納空間が形成された本体部と、
この本体部に取り付けられた前記収納空間の入口を開閉する蓋部と、
前記収納空間の入口を開閉する前記蓋部の動作に連動して前記収納空間内を清掃する清掃手段と、
を備えることを特徴とする収納ボックス。
【請求項2】
前記本体部には、連通孔を介して前記収納空間と連なる空間である清掃空間が形成されており、
前記清掃手段は、前記収納空間の入口を開放する方向に動作する前記蓋部に連動して前記連通孔に近づく方向に前記清掃空間内を移動し、前記清掃空間内の空気を前記連通孔を通じて前記収納空間内へ押し出す押出部材を有することを特徴とする請求項1に記載の収納ボックス。
【請求項3】
前記本体部には、第一の連通孔および第二の連通孔を介して前記収納空間と連なる空間である清掃空間が形成されており、
前記清掃手段は、前記収納空間の入口を開放する方向に動作する前記蓋部に連動して前記第一の連通孔に近づく方向かつ前記第二の連通孔から離れる方向に前記清掃空間内を移動し、前記清掃空間内の空気を前記第一の連通孔を通じて前記収納空間内へ押し出すとともに前記収納空間内の空気を前記第二の連通孔を通じて前記清掃空間内に引き込む押出引込部材を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の収納ボックス。
【請求項4】
前記清掃手段は、前記収納空間の入口を開放および閉鎖する前記蓋部に連動して、前記収納空間を構成する壁面上を摺り動く刷毛部材を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の収納ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−240450(P2012−240450A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109489(P2011−109489)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】