説明

収納具

【課題】物品の収納が容易な収納具を提供する。
【解決手段】本発明に係る収納具は、基板と、基板に着脱可能に取り付けられる複数の小容器と、を備え、小容器において、基板と対向する面には、板状の固定片が取り付けられており、基板には、各固定片がそれぞれ挿入される貫通孔が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の小容器が設けられた収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク、光ディスク、またはカードなどの比較的小型の物品を収納する収納具としては、例えば、特許文献1に示すものがある。この収納具は、書類などを挟むホルダーに板状のベースを見開き可能に固定するとともに、このベースに複数のポケットを一体的に形成したものである。このように構成されたホルダーには、書類とともに、複数の磁気ディスクなどの物品を収納することができる。
【特許文献1】特開2000−37981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記のようなホルダーでは、複数のポケットが取り付けられているため、そのうちの一つに物品を収納しようとすると、他のポケットが邪魔をして収納しにくいという問題がある。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、物品の収納が容易な収納具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る収納具は、上記問題を解決するためになされたものであり、基板と、前記基板に着脱可能に取り付けられる複数の小容器と、を備え、前記小容器において、前記基板と対向する面には、板状の固定片が取り付けられており、前記基板には、前記各固定片がそれぞれ挿入される貫通孔が形成されている。
【0006】
この構成によれば、小容器が基板に対し、着脱自在に取り付けられている。そのため、小容器のみを取り外して物品を収納した後、基板に再度固定することができる。そのため、他の小容器が邪魔になって物品の収納が妨げられると言った問題を解決することができ、物品を容易に収納することができる。また、小容器を取り外して収納している物品を持ち出すこともできる。このように、小容器の取り外しが可能であることから、操作性が向上し、物品の収納が容易になる。
【0007】
また、小容器は、固定片を基板の貫通孔に挿入することで、固定されるため、小容器を固定片を中心に揺動させることができる。これにより、例えば、直下に配置されている小容器から物品を取り出す際に、小容器を揺動させて物品を取り出しやすくすることができる。なお、ここで用いられる小容器は、特には限定されず、基板に取り付けられるものであれば、特には限定されない。例えば、袋状、箱状など種々の形態にすることができる。また、基板も種々の態様があり、例えば、壁などの固定物に固定したり、或いはルーズリーフのようにバインダーに挟むように構成することができる。バインダーに挟む場合には、ルーズリーフと同様に基板を矩形状に形成し、その一辺に複数の穴を形成することが好ましい。この他、基板の形状は、特には限定されず、円形などでもよい。
【0008】
上記収納具においては、基板を、重ね合わせて袋状に形成した2枚のシート材で形成することができる。このとき、貫通孔は、各シート材に形成された透孔を一致させることで構成することができる。このように基板を袋状にすると、シート材の間に書類を挿入することができ、書類の収納具としても用いることができる。なお、袋状に形成されているとは、例えば、基板を矩形状に形成する場合、3辺、または2辺が互いに固定され、残りの辺が開放し、ここから内部に書類を挿入可能となっていることをいう。また、基板は、上記のように2枚のシート材を重ね合わせて袋状にするが、ここでの「2枚」とは重ね合わされた状態を意味しており、1枚のシート材を折り曲げ周縁の一部を固着して袋状にする場合も含む。
【0009】
また、基板は、2枚のシート材で形成されているため、一方のシート材の透孔にのみ固定片を係合させれば、固定片が基板の背面から突出しないようにすることができる。すなわち、固定片を両シート材の間に配置する。このように、固定片を両シート材の間に配置するには、次のようにすればよい。まず、両透孔を貫通するように、固定片を挿入する。続いて、2枚目のシート材、つまり、小容器と接触していない側のシート材から突出している固定片を、両シート材の間に配置する。すなわち、2枚目のシート材の透孔から係止片を取り外して係止状態を解除し、1枚目のシート材の透孔とのみ係止片が係止するようにする。このとき、2枚のシート材の間に手を入れ、両シート材を離間させると、2枚目のシート材の透孔から係止片を簡単に取り外すことができる。このようにすると、基板の背面から、係止片が突出しなくなるため、邪魔にならない。
【0010】
また、上記収納具は、次のように構成することもできる。すなわち、上述した基板にシート材を重ね合わせて袋状に形成することができる。袋状とは、例えば、矩形状に形成したときに、そのうちの少なくとも2辺が固定され、内部に書類などを収納できる状態をいう。また、基板とシート材とは、別個の材料で構成することもできるし、1枚の材料を折り曲げて袋状にすることもできる。ここで、上記貫通孔は基板にのみ形成され、シート材には形成されていないため、小容器を基板の貫通孔に収納した場合には、固定片は基板とシート材との間に収納される。このため、固定片が外部に露出しないようにすることができ、その結果、固定片が引っかかるのを防止できるため、取り扱いが容易になる。なお、基板とシート材とは、例えば、同じ厚さのプラスチックフィルムを用いたり、或いは厚さを変化させたり、種々の材料変更が可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る収納具によれば、物品の収納が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る収納具の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る収納具の斜視図、図2は図1の背面図、図3は図1のA−A線断面図である。以下では、説明の便宜上、図1の紙面手前側を前面側、それとは反対側を背面側と称し、収納具の前面及び背面を表すこととする。
【0013】
図1から図3に示すように、本実施形態に係る収納具は、矩形状の基板1と、この基板1に取り付けられる4つの小容器2a〜2dとで、構成されている。4つの小容器2a〜2dは、縦方向に2個、横方向に2個ずつ配置されている。基板1は、2枚の樹脂製のシート材11,12を重ね合わせ袋状に形成したものである。すなわち、矩形状のシート材11,12の左右の辺及び下側の辺を融着し、上端部の辺を融着せずに開放している。したがって、書類などの薄手の物品は、基板1の上端部からシート材11,12の間に収納することができる。以下では、小容器2が取り付けられる前面側のシート材を第1シート材11、背面側の一枚のシート材を第2シート材12と称することとする。
【0014】
また、この基板1は、ルーズリーフのようにバインダーに取り付けるために、左側の長辺にはバインダーのリングに挿通される2個の挿通孔13が形成されている。さらに、この基板1には、小容器2を固定するための4つの貫通孔14が形成されている。各貫通孔14は、2枚のシート材に形成された透孔111,121を一致させることで構成されている。図2に示すように、各貫通孔14は、左右方向に延びる細い横長状に形成されており、各小容器2が取り付けられる位置に対応して形成されている。
【0015】
次に、小容器2について図4も参照しつつ説明する。図4は小容器を示す図1の拡大断面図である。図1に示すように、各小容器2は、樹脂製のシート状材料を組み立てて構成されたものであり、平面視矩形状に形成されている。そして、左右及び下側の辺には、小容器2に厚みをもたせるためのマチ、つまり厚さ方向に延びる側面21が形成されている。各側面21の中央には、各辺に沿って延びる折り目211が形成されており、この折り目に沿って側面21を折り曲げることで、小容器2の厚みを調整することができる。すなわち、折り目211を折り曲げない場合には、厚みが大きくなり、折り目211を折り曲げると厚みが小さくなる。
【0016】
また、図4に示すように、小容器2の上端部の辺は開放されて開口を形成しており、この開口を閉じる蓋22が設けられている。この蓋22は、小容器における背面側シート状材料の上端に折り曲げ可能に取り付けられており、折り曲げることで、小容器2の開口を閉じるようになっている。また、蓋22の中央には上に凸の円弧状の切欠(図1参照)が形成されており、この切欠によって半円状の係止片23が可動するように形成されている。一方、小容器2における前面側シート状材料には、横長の係止孔24が形成されており、この係止孔24に蓋22の係止片23が挿入される。すなわち、蓋22を固定する際には、図4(b)に示すように、係止片23を背面側に押し遣り、係止孔24に挿入する。こうすることで、係止片23が係止孔24に嵌り、蓋22が固定される。
【0017】
小容器2の背面には、横方向に延びる矩形状の固定片25が取り付けられており、上述した基板1の貫通孔14に挿入されるようになっている。この固定片25は、樹脂製のシート状材料で形成され、小容器2の中央より上側に取り付けられており、図2に示すように、左右方向の幅D2は、貫通孔14の幅D1よりも小さくなっている。より詳細には、固定片25の上端部の辺が、小容器の背面側のシート状材料に融着されており、これによって、固定片25は、通常は小容器2の背面と重なり合っているが、弾性変形により、上端部の辺に沿って揺動可能となっている。また、固定片25の両側には、突起251が形成されており、両突起251を含めた固定片25の幅D3は、貫通孔4の幅D1よりも大きくなっている。これにより、一旦、貫通孔14に挿入された固定片25は、突起251により貫通孔14の側端縁に係合するため、小容器2が基板1から容易に外れるのを防止している。
【0018】
次に、上記のように構成された収納具の使用方法について説明する。まず、各小容器2を基板1に固定するには、固定片25を貫通孔14に挿入すればよい。このとき、第1シート材11の透孔111にのみ固定片25が挿入されるようにすることが好ましい。これにより、固定片25は、両シート材11,12の間に配置されることになり、基板1の背面から突出しなくなる。この状態で、両シート材11,12の間に書類を収納することができる。
【0019】
上記のように、固定片25を両シート材11,12の間に配置する方法としては、例えば、次のような方法がある。まず、図5(a)に示すように、両シート材11,12の透孔111,121に固定片25を挿入し、基板1の背面から固定片25を突出させる。次に、図5(b)に示すように、基板1の上端部の辺から両シート材11,12の間に手を入れるなどして、両者を離間させる。これにより、第2シート材12の透孔121に係合していた固定片25が外れ、図3に示すように、固定片25が第1シート材11の透孔111にのみ係合した状態となる。すなわち、固定片25は、両シート材11,12の間に配置されることになり、基板1の背面から突出しなくなる。したがって、固定片25が邪魔にならない。
【0020】
また、基板1をバインダーに挟んだ状態で使用する場合には、図6に示すように、必要に応じて、小容器2を基板から取り外し、物品を小容器2に収納した後、基板1に再度取り付けるといった使用方法がある。さらに、小容器2は、固定片25の上端部を中心に基板1に対して揺動可能であるため、例えば、図7に示すように、小容器2cに収納された物品を取り出す際に、その上方に配置された小容器2aを前面側に揺動させると、小容器2cの上方に空間が形成されるため、蓋22を開けたときに物品を取り出しやすくなる。
【0021】
以上のように、本実施形態によれば、小容器2が基板1に対し、着脱自在に取り付けられているため、小容器2のみを取り外して物品を収納した後、基板1に取り付けることができる。このため、他の小容器が邪魔になって物品を収納しにくいといったことがない。また、小容器2を基板1から取り外すことで、物品を収納したままで持ち出すこともできる。このように、小容器1の取り外しが可能であることから、操作性が向上し、物品の収納が容易になる。また、部品点数が少ないことから、製造コストの低減も可能である。
【0022】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、基板1をバインダーに挟んで使用しているが、これに限定されるものではなく、基板1を壁などに貼り付けて用いることもできる。また、小容器の形状は、上記以外ももちろん可能であり、背面に固定25が取り付けられていれば、袋型、箱形等、種々の形状が可能である。また、小容器の数は、上記実施形態では4つであったが、その数は、限定されない。また、固定片25と貫通孔14との係合についても、上記のように両側部に突起251を設ける以外に、片方の側部に突起を設けてもよく、その他の係合手段でもよい。
【0023】
上記実施形態では、2枚のシート材の両方に透孔を設けているが、これを片側だけにしてもよい。すなわち、図8に示すように、1枚のシート材11に貫通孔14を形成し、他方のシート材12には、貫通孔を設けない。これにより、小容器2を取り付ける際に、固定片25は一方の貫通孔14の中に入り込むが、もう一方のシート材12には貫通孔が形成されていないため、固定片25は両シート材11,12の間に保持され、外部に露出することはない。しがって、固定片25が外部で引っかかることがなく、取り扱い易いという利点がある。なお、この例では、一方のシート材11が本発明の基板を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る収納具の斜視図である。
【図2】図1の収納具の背面図である。
【図3】図1の収納具のA−A線断面図である。
【図4】図1の収納具の拡大断面図である。
【図5】図1の収納具の使用方法を示す断面図である。
【図6】図1の収納具の他の使用方法を示す断面図である。
【図7】図1の収納具のさらに他の使用方法を示す断面図である。
【図8】図1の収納具のさらに異なる他の使用方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 基板
11、12 シート材
14 貫通孔
2 小容器
25 固定片


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に着脱可能に取り付けられる複数の小容器と、を備え、
前記小容器において、前記基板と対向する面には、板状の固定片が取り付けられており、
前記基板には、前記各固定片がそれぞれ挿入される貫通孔が形成されている、収納具。
【請求項2】
前記基板は、重ね合わされ、袋状に形成された2枚のシート材からなり、
前記貫通孔は、前記各シート材に形成された透孔が一致することで構成される、請求項1に記載の収納具。
【請求項3】
前記基板に重ね合わされ、当該基板とともに袋を形成するシート材をさらに備えている、請求項1に記載の収納具。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−184332(P2009−184332A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31255(P2008−31255)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(390006921)ナカバヤシ株式会社 (58)
【Fターム(参考)】